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JP2007138013A - 両面粘着シート及びそれを用いた部材の製造方法 - Google Patents

両面粘着シート及びそれを用いた部材の製造方法 Download PDF

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JP2007138013A JP2005333666A JP2005333666A JP2007138013A JP 2007138013 A JP2007138013 A JP 2007138013A JP 2005333666 A JP2005333666 A JP 2005333666A JP 2005333666 A JP2005333666 A JP 2005333666A JP 2007138013 A JP2007138013 A JP 2007138013A
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Shunei Suzuki
俊英 鈴木
Hideyuki Takahashi
秀幸 高橋
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Abstract

【課題】低ガラス転移温度の粘着剤用樹脂を使用しながらも、高接着力で高凝集力に優れた粘着剤組成物を得ることで、部材に対する接着強度や、落下による耐衝撃性に優れた、電子機器部品の固定に好ましく用いられる両面粘着シートを提供する。
【解決手段】不織布又はポリエステル系フィルムの両面に、粘着剤層(A)を有する粘着シートであって、前記粘着剤層(A)が、モノマーの全量100重量%中iso-ブチルメタクリレート8〜20重量%と他の共重合性モノマーとを共重合してなり、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方を有し、重量平均分子量が40万〜120万であって、ガラス転移温度が−70〜−40℃である共重合体(a)と、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方と反応し得る官能基を有する架橋剤とを含有する粘着剤(b)から形成されることを特徴とする粘着シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、両面粘着シートに関するものである。詳しくは、電子機器のディスプレイ部分の窓部材固定に好ましく用いられる両面粘着シートに関するものである。
従来より、両面粘着シート類は加工性や作業性が良好なことから、各種産業分野で部材の固定用に利用されている。特に、固定される部材が複雑な形状である場合や、自動化ラインでの生産性を要求される場合は接着剤より有利である。そのため、電子機器の銘板や情報表示部の保護パネルの固定等に両面粘着シートが使用されている。電子機器、特に携帯型電子機器は技術革新により、小型化、薄型化、軽量化が進んでいる。そのため、ネジやビスの使用よりも接着剤の使用が好ましいが、さらに、乾燥あるいは加熱工程が必要な接着剤に代わり、両面粘着シートの使用が主流になってきている。両面粘着シートは、電子機器自体の作成や組立はもとより、電子機器をその内部に収容するための筐体の作製や組立にも好適に使用されるようになってきている。
しかし、小型化、薄型化、軽量化が進むにつれ、両面粘着シートに薄さが要求されるようになったり、貼着される面積が小さくなってきている。一般に両面粘着シートは、厚みが薄くなる程、又は貼着面積が小さくなる程、その接着力は低下してしまう。そのため、近年益々両面粘着シートに求められる接着強度が高くなってきている。また、携帯電子機器は、誤って落下させてしまった場合でも接合部材が脱落しないように、落下による衝撃が加わっても脱落しないような物性も求められている。
さらに、各種部材固定用両面粘着シートとして求められる物性として、部材を変形させるような応力が加わっても、その応力に抗し、脱落しない接着強度が求められている。
また、落下による衝撃が加わっても脱落しない為には、粘着剤のガラス転移温度を低くする必要がある。一方、部材の変形に対する一定の応力が加わっても脱落しないためには、粘着剤層の凝集力を高くする必要がある。よって、低ガラス転移温度を有し、かつ高度な粘着力と凝集力を発揮できる物性が要求されている。
粘着力と凝集力を向上させる方法として、例えば、アクリル系粘着剤組成物の構成成分として極性モノマーや高凝集力モノマーを多く用いたり、粘着付与樹脂の添加量や硬化剤量を多くする方法が知られているが、これらの方法の場合、部材に対する接着強度は向上されるものの、粘着剤のガラス転移温度が高くなってしまい、落下による衝撃により簡単に脱落してしまう。一方、上記と逆の方法で得られるアクリル系粘着剤組成物を用いた場合は、落下による衝撃で部材は脱落しないが、部材に対する接着強度が低下してしまう。
凝集力の点で難があるアクリル系粘着剤に対して、例えば、特許文献1には、粘着剤の接着力と凝集力を向上させるために、ポリカーボネート構造を持つポリエステルを用いることが提案されている。しかしながら、この技術にあっては、接着力や凝集力は向上できても、落下による衝撃が加わっても部材が脱落しないという物性を両立させるのは困難であった。
特許文献2には、再剥離用粘着剤として、経時剥離力の上昇を抑制する目的でメタクリル酸アルキルエステルを使用し、実施例2にiso-ブチルメタクリレートを43重量部使用した粘着剤が提案されている。しかし、この実施例の組成は、本明細書中に記載したガラス転移温度の計算方法によると、−6.1℃と高く、タックや粘着力が低い。再剥離用としては充分な粘着力ではあるが、部材固定用両面粘着シートを構成する粘着剤層は、低ガラス転移温度で、高度な接着強度が要求されるため、本発明の如き部材を固定する用途には適さない。
特開2000−230164号公報 特開2002−363521号公報
本発明は、低ガラス転移温度の粘着剤用樹脂を使用しながらも、高接着力で高凝集力に優れた粘着剤組成物を得ることで、部材に対する接着強度や、落下による耐衝撃性に優れた、電子機器部品の固定に好ましく用いられる両面粘着シートを提供することを目的とする。
第1の発明は、不織布又はポリエステル系フィルムの両面に、粘着剤層(A)を有する粘着シートであって、
前記粘着剤層(A)が、モノマーの全量100重量%中iso-ブチルメタクリレート8〜20重量%と他の共重合性モノマーとを共重合してなり、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方を有し、重量平均分子量が40万〜120万であって、ガラス転移温度が−70〜−40℃である共重合体(a)と、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方と反応し得る官能基を有する架橋剤とを含有する粘着剤(b)から形成されることを特徴とする粘着シートに関する。
第2の発明は、開口部を有する枠部材(B)と該枠部材の開口部を覆うための窓部材(C)とが、前記枠部材(B)の開口部を取り囲む位置に設けられた第1の発明記載の粘着シートを介して積層されてなる部材(D)に関する。
第3の発明は、上記発明記載の部材(D)の製造方法であって、窓部材(C)の周辺部に第1の発明記載の粘着シートの一方の面が貼着されてなる粘着剤層付き窓部材を、開口部を有する枠部材(B)の開口部を覆うように貼付することを特徴とする部材(D)の製造方法に関する。
本発明により、電子機器のディスプレイ部分の窓部材を固定する両面粘着シートに求められる高度な接着性と落下による耐衝撃性の優れた両面接着シートを提供することができる。
本発明の両面粘着シートは、不織布又はポリエステル系フィルムの両面に、粘着剤層(A)を有する粘着シートであって、
前記粘着剤層(A)は、iso-ブチルメタクリレートを必須の構成成分とする共重合体(a)と架橋剤とを含有する粘着剤(b)から形成される。
本発明において用いられる共重合体(a)を構成するモノマーの必須成分であるiso-ブチルメタクリレートは、他のアクリル系共重合性モノマーと比較して少量の使用で粘着剤層の塗膜強度を向上することが可能である。そのため、iso-ブチルメタクリレートを使用することで、共重合体のガラス転移温度を高めることなく粘着剤層の凝集力を向上させることができ、粘着力と凝集力を向上できる。その結果、電子機器部品を固定する両面粘着シートに求められる高度な接着性と落下による耐衝撃性に優れた両面接着テープを提供することができる。
iso-ブチルメタクリレートの代わりにその構造異性体である、normal-ブチルメタクリレートを使用しても、凝集力を向上することはできず、高度な接着性を得ることができない。
尚、iso-ブチルメタクリレートの代わりにiso-ブチルアクリレートを使用しても、凝集力の向上はあまり期待できない。
本発明において用いられる共重合体(a)は、後述する架橋剤との反応に関与する官能基として、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方を有していることが重要である。共重合体(a)がカルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方を有するためには、iso-ブチルメタクリレートと共重合し得るモノマーとして、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方を有するものを用いる。
カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方を有する共重合性のモノマーとしては、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方を有する、アルケニル基含有化合物やα,β−不飽和カルボン酸エステルやα,β−不飽和カルボン酸が挙げられる。
ラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
また、ラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の水酸基を有するモノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルヘキシル)−メチルアクリレート、クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
本発明において用いられる共重合体(a)を得る際に用いられる、その他の共重合性モノマーとしては、α,β−不飽和化合物と呼ばれる分子内に重合性二重結合保有する化合物が広く挙げられ、アクリル系モノマーがtert-ブチルメタクリレートとの共重合性や粘着物性の面から好ましい。
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルなどの(メタ)アクリル酸環状エステル類;
(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1-メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1-ブテニル、(メタ)アクリル酸2-ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、(メタ)アクリル酸ビニル等の不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N−トリブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などの(メタ)アクリル酸誘導体類;
(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロブチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルなどの(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステル類;
トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパン トリアクリル酸等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸トリパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類;
等のアクリル系モノマーが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
また、アクリル系モノマーと共重合可能なビニル系モノマー等のその他のモノマーも用いることができる。
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1−ブチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびそのナトリウム塩などの芳香族ビニル系モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのトリアルキルオキシシリル基含有ビニル系モノマー類;
γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランなどのケイ素含有ビニル系モノマー類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系モノマー類;
アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド基含有ビニル系モノマー類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類;
パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどのフッ素含有モノマー類;
などが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。これらは、1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
本発明において用いられる共重合体(a)は、iso-ブチルメタクリレートと、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方を有するモノマーと、及びその他の共重合性モノマーとを有機溶剤中でラジカル重合することにより得ることができる。
iso-ブチルメタクリレートの使用量は、重合に供するモノマーの合計100重量%中8〜20重量%であることが重要である。iso-ブチルメタクリレートが8重量%未満では粘着剤層の凝集力向上があまり期待できず、接着性が低下する傾向にある。一方、iso-ブチルメタクリレートが20重量%よりも多いと、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり、落下による耐衝撃性が低下する傾向にある。好ましくは、9〜16重量%である。
共重合体(a)を得る際に使用されるカルボキシル基を有するモノマーは、粘着剤としての接着強度や凝集力の観点から、重合に供するモノマーの合計100重量%中0.5〜10重量%共重合することが好ましい。
カルボキシル基を有するモノマーが、0.5重量%未満では粘着剤層の凝集力が低下し、接着性が低下する傾向にある。一方、カルボキシル基を有するモノマーを10重量%よりも多く使用すると、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり、落下による耐衝撃性が低下する傾向にある。より好ましくは1〜6重量%である。
共重合体(a)を得る際に使用される水酸基を有するモノマーは、架橋剤としてイソシアネート系化合物を用いる場合に主として使用されるものであり、重合に供するモノマーの合計100重量%中0.01〜5重量%共重合することが好ましい。0.01重量%未満では十分な粘着力が得られにくく、粘着剤層の凝集力が低下し、接着性が低下する傾向にある。一方、水酸基を有するモノマーを5重量%よりも多く使用すると、落下による耐衝撃性が低下する傾向にある。より好ましくは0.05〜2重量%である。
カルボキシル基を含有するモノマーや水酸基を含有するモノマーは、それぞれ単独で使用することもできるし、併用することもできる。
本発明において用いられる共重合体(a)は、上記したその他の共重合性モノマーのうち、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以下のホモポリマーを形成し得る、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等のアルキル側鎖を有するアクリル酸エステルを共重合性モノマー100重量%中、60〜91.5重量%用いることが好ましく、単独もしくは併用しても良い。
本発明において用いられる共重合体(a)は、上記したその他の共重合性モノマーのうち、Tgが−30〜120℃範囲のホモポリマーを形成し得る、アルケニル基含有化合物やα,β−不飽和カルボン酸エステルを適宜用いることができる。
iso-ブチルメタクリレート及び上記した種々のモノマーは、ガラス転移温度(Tg)が−70〜−40℃の共重合体(a)を形成し得るように共重合することが重要である。
共重合体のTgが−70℃未満の場合、形成される粘着剤層の凝集力が低下し、固定部材の変形に対する高度な接着性が得られにくい傾向にある。
一方、共重合体のガラス転移温度が−40℃を超える場合、落下による耐衝撃性が低下する傾向にある。好ましくは、−60〜−45℃である。
共重合体(a)を重合する際に用いられる有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が用いられる。またこれら重合溶媒は2種類以上混合して用いても良い。
共重合体(a)を重合する際に用いられる重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物系重合開始剤;2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ系重合開始剤等のラジカル重合開始剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。重合開始剤の使用量は、重合に供するモノマーの組成や反応条件等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。
さらに、共重合体(a)を重合する際には、連鎖移動剤を使用することもできる。
使用し得る連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン等が挙げられる。特に、チオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセンを使用した場合には、得られる共重合体が低臭気となり好ましい。なお、連鎖移動剤を使用する場合には、重合させるモノマーの合計100重量部に対して、0.001〜3重量部程度の範囲で使用される。
重合反応は、通常40〜100℃の温度条件下で、2〜8時間かけておこなわれる。
本発明において用いられる共重合体(a)の重量平均分子量は、40万〜120万であることが重要であり、50万〜100万であることが好ましい。重量平均分子量が40万未満では、架橋剤を添加しても粘着剤層の凝集力が不足して、接着性が低下する傾向にある。また、重量平均分子量が120万を超えると、粘着剤層の弾性が高くなり、落下による耐衝撃性が低下してしまう傾向にある。
また、本発明における粘着剤(b)には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、本発明で特定される範囲以外の組成や分子量を有する粘着剤用樹脂をブレンドしてもよい。
本発明で用いる粘着剤(b)は、いわゆる主剤たる上記共重合体(a)と、架橋剤とを含有する。
架橋剤は、上記共重合体(a)が有するカルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方と反応し得る官能基を有するものである。このような架橋剤として、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物などがあげられる。該架橋剤を用いることにより、粘着剤層の凝集力をより一層向上させることができる。これら架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
ここで、イソシアネート系架橋剤の例としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4',4"−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソ
シアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω'−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
また一部上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアヌレート環を有する3量体等も併用することができる。ポリフェニルメタンポリイソシアネート(PAPI)、ナフチレンジイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート変性物等を使用し得る。なおポリイソシアネート変性物としては、カルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、水と反応したビュレット基、イソシアヌレート基のいずれかの基、またはこれらの基の2種以上を有する変性物を使用できる。ポリオールとジイソシアネートの反応物もポリイソシアネートとして使用することができる。
これらポリイソシアネート化合物としては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、キシリレンジイソシネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)等の無黄変型または難黄変型のポリイシソアネート化合物を用いると耐候性の点から、特に好ましい。
エポキシ系架橋剤の例としては、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1、3−ビス(N、N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどを挙げられる。
金属キレート系架橋剤の例としては、アルミニウム、銅、鉄、スズ、亜鉛、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの二価以上の金属のアセチルアセトンやアセトン酸エステルからなるキレート化合物が挙げられる。
アジリジン系架橋剤の例としては、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)などが挙げられる。
アミン系架橋剤としては、1級アミノ基を2個以上有するポリアミンであれば特に制限なく使用することができる。硬化速度が優れる点から、芳香環には直接結合していない1級アミノ基を2個以上有するポリアミン、即ち、1級アミノ基が脂肪族官能基や脂環族官能基に直接結合している脂肪族系ポリアミンが好ましい。脂肪族系ポリアミンは、1級アミノ基に芳香環が直接結合していなければ、その骨格内に芳香環を含んでも良い。
脂肪族系ポリアミンとしては、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、分子両末端のプロピレン分岐炭素にアミノ基が結合したポリプロピレングリコール〔プロピレン骨格のジアミン、例えば、サンテクノケミカル社製「ジェファーミンD230」、「ジェファーミンD400」等、プロピレン骨格のトリアミン、例えば、「ジェファーミンT403」等。〕、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノプロパン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、H2N(CH2CH2O)2(CH22NH2〔サンテクノケミカル社製「ジェファーミンEDR148」(エチレングリコール骨格のジアミン)〕等のアミン窒素にメチレン基が結合したポリエーテル骨格のジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(デュポン・ジャパン社製「MPMD」)、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ポリアミドアミン(三和化学社製「X2000」)、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学社製「1,3BAC」)、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン(三井化学社製「NBDA」)等を挙げることができる。
これらの中でも、特に硬化速度が高いことから、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン、H2N(CH2CH2O)2(CH22NH2(エチレングリコール骨格のジアミン)、プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミン、ポリアミドアミン(商品名:X2000)が挙げられる。
またこれらのポリアミンとケトンとの反応物であるケチミンもアミン系化合物に含まれ、安定性、反応性の調整および重ね塗り性の観点から、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンとメタキシリレンジアミンとから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンと、エチレングリコール骨格またはプロピレン骨格のジアミンであるジェファーミンEDR148、ジェファーミンD230、ジェファーミンD400等またはプロピレン骨格のトリアミンであるジェファーミンT403等とから得られるもの等が挙げられる。
カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられ、公知のポリカルボジイミドを用いることができる。
カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。
このような化合物としては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応したものが挙げられる。ジイソシアネートとしては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートの一種又はこれらの混合物を使用することができる。カルボジイミド化触媒としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドを利用することができる。
オキサゾリン化合物としては、分子内にオキサゾリン基を2個以上有する化合物が好ましく用いられ、具体的には、2′−メチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−プロピレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4−フェニレンビス−2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−o−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)等を挙げることができる。または、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンや、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリンなどのビニル系化合物と、これらと共重合しうる他のモノマーとの共重合体でもよい。
メラミン化合物としては、トリアジン環を分子内に有する化合物であり、メラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、メチルグアナミン、ビニルグアナミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。また、これらの低縮合化物やアルキルエーテル化ホルムアルデヒド樹脂やアミノプラスト樹脂を使用しても良い。
架橋剤の使用量は、共重合体(a)の種類や、粘着物性等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、架橋剤量を調節することによって、粘着シートにおける粘着剤層の架橋密度(ゲル分率)を適度な値に調節することができる。言い換えると、架橋剤の使用量は、粘着剤層のゲル分率が30〜80%の範囲となるように、架橋剤を適宜含有することが好ましく、ゲル分率が40〜60%の範囲となるようにすることがより好ましい。粘着剤層のゲル分率が30%未満であると、粘着剤層の凝集力が不足して、接着性が低下する傾向にある。一方、粘着剤層のゲル分率が80%を超えると、粘着剤層の弾性が高くなり、落下による耐衝撃性が低下してしまう傾向にある。
尚、アクリル系共重合体(a)に架橋剤を添加する添加方法は、特に限定されるものではない。
また、本発明における粘着剤(b)には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、従来アクリル系粘着剤に配合される、粘着付与樹脂、シランカップリング剤、耐候安定剤、可塑剤、軟化材、染料、顔料、無機フィラー等の各種添加成分を含有させることができる。
粘着付与剤としては、例えばテルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジンおよびそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)など既存全てのものが使用可能である。可塑剤としては、フタル酸エステル類、リン酸エステル類など公知のものが使用できる。
次に、本発明の粘着シートについて説明する。
本発明の粘着シートは、支持体の両面に粘着剤層(A)を積層してなる両面粘着シートである。即ち、例えば支持体の両面に粘着剤(b)溶液を塗布・乾燥することによって得ることができ、支持体の片面につき乾燥後の厚さ5μm〜200μm、好ましくは厚さが40μm〜100μmの粘着剤層が積層されてなるものが好ましい。粘着剤層の厚みが片面につき5μm未満であると、被着体表面の凹凸や衝撃によって剥離を生じ易くなることがあり、逆に粘着剤層の厚みが片面につき200μmを超えると、被着体への密着性や接着力はもはやそれ以上向上しないにもかかわらず、コスト高となる。
尚、ここで言う支持体とは、不織布又はポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルムを言う。支持体の厚さは、従来から一般に使用されている4〜200μmのものを使用できるが、10〜100μmのものが好ましい。
不織布としては、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などの天然繊維、半合成繊維又は合成繊維の繊維状物質などからなる単独又は混紡などの不織布等の布が挙げられる。上記不織布を製造する段階で、不織布の強度を向上する目的として、強度向上剤を使用することが好ましい。強度向上剤としてはビスコースや、カチオン系ポリマーとしてポリアミド、アミン、エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。強度向上剤は、不織布の抄紙段階で添加したり、抄紙後に塗布や含侵させることができる。
尚、本発明の粘着シートは、その少なくとも一方の面の粘着剤層上に剥離性シートを積層することができる。
剥離性シートとしては、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙、ポリエチレン等のフィルムをラミネートした紙、ポリビニルアルコールやアクリル酸エステル共重合体等の樹脂を塗布した紙、ポリエステルやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム等に、剥離剤であるフッソ樹脂やシリコーン樹脂等を塗布してなるものが挙げられる。尚、剥離性シートは、セパレーターあるいは離型紙ともいう。
本発明の粘着シートの両面の粘着剤層上に剥離性シートを積層する場合においては、作業性の向上のために、両面に積層される剥離性シートの剥離力が異なるようにそれぞれの剥離性シートを選択することが好ましい。例えば、両面粘着シートの始めに貼着する面側の剥離性シートの剥離力は、次に貼着する面側の剥離性シートの剥離力より軽剥離である剥離性シートを選択すると作業性が向上する。
本発明の両面粘着シートは、種々の方法で得ることができる。
例えば、粘着剤溶液を支持体に直接塗布・乾燥する方法や、剥離性シートに粘着剤溶液を塗布、乾燥した後、形成された粘着剤層上に支持体を積層する、いわゆる転写方法によって、まず支持体の一方の面に粘着剤層を積層できる。
次いで、支持体のもう一方の面についても、粘着剤溶液を直接塗布・乾燥したり、あるいは転写法を用いることによって粘着剤層が形成され、両面粘着シートが得られる。
尚、生産性に優れることから転写方法を採用することが好ましい。
粘着剤を支持体または剥離性シートに塗布する際に用いる塗布装置は、通常使用されている塗布装置であり特に限定されるものではないが、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーターなどが挙げられる。
また、乾燥条件は、乾燥時に粘着剤溶液の溶剤が乾燥し除去され、かつ、共重合体(a)が有する官能基と架橋剤とが反応し、架橋構造が形成され得る条件であればよい。例えば、60〜120℃、1〜5分程度が好ましいが、これに限定されるものではない。乾燥後、支持体と剥離性シートにより粘着剤層(A)を挟んだ状態で熟成し、さらに架橋反応を進行させることができる。
また、支持体として不織布を用いる場合には、粘着剤層を不織布の内部まで含侵させるために、粘着剤層を積層した後に、50℃以上の温度で加熱ラミネートする方法を使用しても良い。
また、本発明の両面粘着シートは、ロール状で提供することもでき、枚葉状態で提供することもでき、あるいはさらに種々の形状に加工することもできる。
次に、本発明の部材(D)およびその製造方法について、図面に基づいて説明する。
部材(D)は、開口部を有する枠部材(B)と該枠部材の開口部を覆うための窓部材(C)とが、前記枠部材(B)の開口部を取り囲む位置に設けられた本発明の粘着シートを介して積層されてなるものである。
図1の(1)は、枠部材(B)の開口部を覆うための窓部材(C)である。図1の(2)は、枠部材(B)の開口部を取り囲むように加工された両面粘着シートを表す。両面粘着シートの加工は、通常両面に剥離性シートが積層された状態にておこなわれ、人手で加工することも打ち抜き加工機で加工することもできる。加工する刃は、刃を入れる面と反対面に積層されている剥離性シートを完全に貫通させたり、該剥離性シートを切断しない程度に深く粘着剤層を貫通させる方法(ハーフカットとも呼ばれる)を用いても良い。
図1の(3)は、図1の(2)の両面粘着シートの一方の面の剥離性シートを剥離して取り除き、図1の(1)の窓部材(C)の周辺部に貼着させて得られる、粘着剤層付き窓部材を表す。
そして、図1の(5)に示すように、図1の(3)で得られた粘着剤層付き窓部材上の両面粘着シートからもう一方の剥離性シートを取り除き、図1の(4)の枠部材(B)の開口部を覆うように貼付させることにより、本発明の粘着シートを介して、枠部材(B)と窓部材(C)とが積層される。
枠部材(B)の具体例としては、携帯電話機、携帯型パーソナルコンピューター、携帯型情報端末機器(PDA)等の表示パネル部位等が挙げられる。枠部材(B)を構成する材料としては、合成樹脂や金属類等、特に限定されるものではないが、これらを熱プレス等で所望の形状に加工され得られる。枠部材(B)は、そのデザイン性や傷つき防止等の目的で、一般に使用される塗料やコーティング剤により塗装またはコーティングされていてもよい。
また、枠部材(B)の開口部の大きさや形状は特に限定されるものではなく、1つまたは2つ以上あってもよい。開口部は主に、液晶表示部材を格納するためにあり、窓部材(C)はこの液晶表示部材を保護するように設けられる。
窓部材(C)を構成する材料としては、ガラスや、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂等、特に限定されるものではないが、液晶表示パネル等の保護を目的とすることが多い為、透明性の材料が選択される。また、窓部材(C)は枠部材(B)に積層された後、窓部材(C)の外部から、積層界面に存在する粘着シートが見えないようにする等のデザイン性の面から、接合部の内側に、アルミ蒸着や印刷等を施し、装飾してもよい。
また、窓部材(C)は、一般に使用される塗料やコーティング剤により塗装またはコーティングされていてもよい。
次に、本発明の実施例を示して更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、部とは重量部、%とは重量%をそれぞれ意味するものとする。
(実施例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート77.9部、n−ブチルアクリレート10部、iso-ブチルメタクリレート10部、アクリル酸2部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、酢酸エチル47部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約65万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.8部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を市販のセパレーター上に乾燥塗膜厚さが70μmになるように塗布し、100℃−2分間で乾燥させ、この粘着剤層面と秤量14g/m2の市販の不織布とを貼り合わせた。さらに、不織布のもう一方の面についても同様にして、粘着剤層が設けられたセパレーターを貼り合わせて、不織布の両面に粘着剤層を積層した両面粘着シートを作製した。
(実施例2)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート76.9部、n−ブチルアクリレート10部、iso-ブチルメタクリレート10部、アクリル酸3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、酢酸エチル47部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約67万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.8部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
(実施例3)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート75.9部、n−ブチルアクリレート8部、iso-ブチルメタクリレート15部、アクリル酸1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、酢酸エチル47部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約63万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.8部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
(比較例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート56.9部、n−ブチルアクリレート30部、メチルアクリレート10部、アクリル酸3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、酢酸エチル72部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約66万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.8部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
(比較例2)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート67.9部、n−ブチルアクリレート30部、アクリル酸2部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、酢酸エチル59部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約64万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.8部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
(比較例3)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器にn−ブチルアクリレート93.9部、アクリル酸6部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、酢酸エチル100部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約69万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.8部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
(比較例4)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート80.4部、n−ブチルアクリレート10部、メチルメタクリレート8.5部、アクリル酸1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、酢酸エチル43部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約67万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.8部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
(比較例5)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート60.9部、n−ブチルアクリレート18部、normal-ブチルメタクリレート20部、アクリル酸1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、酢酸エチル67部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約68万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.8部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
(比較例6)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート76.9部、n−ブチルアクリレート10部、iso-ブチルメタクリレート10部、アクリル酸3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、トルエン100部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約18万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)1.5部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
(比較例7)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート76.9部、n−ブチルアクリレート10部、iso-ブチルメタクリレート10部、アクリル酸3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、アセトン47部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約145万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.4部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
(比較例8)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に2−エチルへキシルアクリレート68.9部、iso-ブチルメタクリレート30部、アクリル酸1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、酢酸エチル43部、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら窒素雰囲気下中で、この反応溶液を還流温度で8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、不揮発分濃度約40%、重量平均分子量Mw約61万であるアクリル系共重合体の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体溶液100重量部に、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製「コロネートL」、不揮発分濃度75%)0.8部を添加して均一に撹拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を用い、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
表1中の共重合体(a)を構成する共重合性モノマーの種類を下記の略号で示した。
BA:normal-ブチルアクリレート(分子量=128、ホモポリマーのTg=−54℃)
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(分子量=184、ホモポリマーのTg=−85℃)
iBMA:iso-ブチルメタクリレート(分子量=142、ホモポリマーのTg=67℃)nBMA:normal-ブチルメタクリレート(分子量=142、ホモポリマーのTg=20℃)
MA:メチルアクリレート(分子量=86、ホモポリマーのTg=8℃)
MMA:メチルメタクリレート(分子量=100、ホモポリマーのTg=105℃)
AA:アクリル酸(分子量=72、ホモポリマーのTg=106℃)
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル(分子量=116、ホモポリマーのTg=−15℃)
〔重量平均分子量〕
GPCの測定でもとめたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、測定条件は以下のとおりである。
装置:東ソー社製 HCL8820GPC
カラム:東ソー社製 TSKgel GMHXL3本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.2wt%
試料注入量:100μl
〔ガラス転移温度(Tg)〕
本発明におけるアクリル系共重合体のTgは下記の式[I]により理論的に導かれる。
Tg=[M1/(M1+M2+・・・・+Mn)×Tg1]+[M2/(M1+M2+・・・・+Mn)×Tg2]+・・・・+[Mn/(M1+M2+・・・・+Mn)×Tgn] [I]
ただし、M1=(モノマー1の重量%)/(モノマー1の分子量)、Tg1:モノマー1のホモポリマーのガラス転移温度(℃)、
M2=(モノマー2の重量%)/(モノマー2の分子量)、Tg2:モノマー2のホモポリマーのガラス転移温度(℃)、
Mn=(モノマーnの重量%)/(モノマーnの分子量)、Tgn:モノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(℃)。
(ここに、共重合に供する全モノマーを100重量%とする。)
〔粘着シートの物性測定〕
実施例、比較例で得られた両面粘着シートについて、23℃−50%RHの雰囲気下で7日間経過させ、粘着剤層を熟成した後、以下に示す試験をおこなった。結果を表1に示す。尚、粘着力、保持力、ボールタック試験は、得られた両面粘着シートの一方の面のセパレーターを剥がし、ポリエステルフィルム(商品名「東洋紡エステル」、厚さ25μm、東洋紡社製)を貼り合せたものを測定用試料として用いた。
〔粘着力〕
JIS Z 0237に準拠しておこなった。測定用試料から幅25mmの試験片を切り出し、セパレーターを剥がし、23℃−50%雰囲気下でステンレス板に貼付し、同環境下に20分おいた後、同環境下で、引張試験機によって300mm/分の引張速度で180°の角度で剥離した際の剥離強度(N/inch)を測定した。
〔保持力〕
測定用試料から幅25mmの試験片を切り出し、セパレーターを剥がし、ステンレス板に貼付し(貼着面積 25mm×25mm)、80℃の環境下で、試験片に1Kgの荷重を掛け、1時間放置し、貼着位置のズレを測定した(mm)。1時間以内に落下した場合は、落下するまでの時間を求めた。
〔ボールタック〕
JIS Z 0237に準拠しておこなった。粘着シートの傾斜角は30°とし、23℃−50%雰囲気下で測定した。
〔押出し強度〕
実際に窓部材を枠部材に固定したときの接着強度を以下の方法により求めた。
40×54mmの両面粘着シートに36×50mmの開口部ができるように打ち抜き加工をおこない、幅2mmの試料を作製した(試料の面積は360mm2)。この試料の一方のセパレーターを剥がし、40×54×厚さ3mmのアクリル板の4辺の端からそれぞれ約2mmまでの位置が被覆されるように前記試料を貼着し、粘着シート付き窓部材を得た。
次いで、貼着した試料からセパレーターを剥がし、中央に直径15mmの穴を開けた50×60×厚さ2mmのポリカーボネート板に、前記粘着シート付き窓部材の中心がポリカーボネート板の穴の中央と一致するように貼着させ、2kgローラーで1往復圧着し、押出し強度測定用サンプルを得た。
23℃−50%RH雰囲気下で30分間静置後、先端径の直径が5mmのステンレス棒をポリカーボネート板の穴から通しアクリル板を10mm/minの速さで押出し、アクリル板が剥離する最大強度を求めた。
〔落下試験〕
〔押出し強度〕の測定において用意した、押出し強度測定用サンプルのポリカーボネート板に全体の重さが210gになるようにステンレス板を固定したものを落下試験用サンプルとした。
この試験用サンプルを10℃、または23℃−50%RH雰囲気下で30分間静置後、それぞれ同雰囲気下で高さ1.5mから、アクリル板が下になるようにしてコンクリート面に60回連続して自然落下させ、耐衝撃性を評価した。
評価基準を以下に示す。
○・・・10℃雰囲気下および23℃−50%雰囲気下で高さ1.5mから60回落下させても脱落がない。
△・・・23℃−50%雰囲気下で高さ1.5mから60回落下させても脱落がないが、10℃雰囲気下では脱落があった。
×・・・10℃雰囲気下および23℃−50%雰囲気下で高さ1.5mから60回以内の落下でどちらも脱落があった。
Figure 2007138013
表1から、実施例のように本発明によって特定される粘着剤(b)を用いたものは落下脱落試験も良好であり、押出し強度についても良好な接着強度が得られることが分かる。
比較例の中で、落下脱落試験が良好なものは、押出し強度が実施例と比較して低く、充分な強度は得られなかった。
本発明の粘着シートを用い、開口部を有する枠部材と開口部を覆うための窓部材とを固定する工程を示す工程図である。
符号の説明
ア:粘着剤層付き窓部材。
B:開口部を有する枠部材。
C:開口部を覆うための窓部材。
D:枠部材と窓部材とが粘着シートを介して積層されてなる部材。
E:枠部材の開口部を取り囲むように加工された粘着シート。

Claims (3)

  1. 不織布又はポリエステル系フィルムの両面に、粘着剤層(A)を有する粘着シートであって、
    前記粘着剤層(A)が、モノマーの全量100重量%中iso−ブチルメタクリレート8〜20重量%と他の共重合性モノマーとを共重合してなり、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方を有し、重量平均分子量が40万〜120万であって、ガラス転移温度が−70℃〜−40℃である共重合体(a)と、カルボキシル基又は水酸基の少なくとも一方と反応し得る官能基を有する架橋剤とを含有する粘着剤(b)から形成されることを特徴とする粘着シート。
  2. 開口部を有する枠部材(B)と該枠部材の開口部を覆うための窓部材(C)とが、前記枠部材(B)の開口部を取り囲む位置に設けられた請求項1記載の粘着シートを介して積層されてなる部材(D)。
  3. 請求項2記載の部材(D)の製造方法であって、窓部材(C)の周辺部に請求項1記載の粘着シートの一方の面が貼着されてなる粘着剤層付き窓部材を、開口部を有する枠部材(B)の開口部を覆うように貼付することを特徴とする部材(D)の製造方法。

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