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JP2007184251A - 表示装置 - Google Patents

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JP2007184251A
JP2007184251A JP2006322104A JP2006322104A JP2007184251A JP 2007184251 A JP2007184251 A JP 2007184251A JP 2006322104 A JP2006322104 A JP 2006322104A JP 2006322104 A JP2006322104 A JP 2006322104A JP 2007184251 A JP2007184251 A JP 2007184251A
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利明 今井
Kaoru Abe
薫 安部
Shinji Kubota
紳治 久保田
Shinichiro Morikawa
慎一郎 森川
Teiichiro Nishimura
貞一郎 西村
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Abstract

【課題】封止特性および段差側壁の被覆性良好な保護膜によって発光素子を保護することが可能で、これにより発光素子の劣化を防止して表示特性を良好に維持することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】基板2上に設けられた有機電界発光素子3を保護膜4で覆ってなる表示装置1において、保護膜4は、アンモニアガスを用いた化学的気相成長法によって成膜された窒化シリコン膜4a,4b,4cを積層してなると共に、当該保護膜4の表面層に高密度窒化シリコン膜4cが設けられ、その下層にこれよりも低密度の低密度窒化シリコン膜4bが設けられていることを特徴としている。
【選択図】図2

Description

本発明は、表示装置に関し、特には有機電界発光素子を保護膜で覆ってなる表示装置に関する。
陽極と陰極との間に有機正孔輸送層や有機発光層を積層させた有機層を設けてなる有機電界発光素子は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。ところが、有機電界発光素子は吸湿によって発光輝度が低下したり、発光が不安定になる等、経時的な安定性が低いと言った課題がある。そこで、有機電界発光素子を用いた表示装置においては、有機電界発光素子を保護膜で覆うことにより、有機電界発光素子への水分の到達を防止している。
このような保護膜としては、例えば窒化シリコン膜のような無機材料膜が用いられている。また、この窒化シリコン膜の成膜には、原料ガスとしてアンモニア(NH3)ガスを用いずに、SiH4(シラン)ガスとN2(窒素)ガスのみを用いたプラズマCVD法を適用することが提案されている。このようにして成膜された窒化シリコン膜を保護膜として用いることにより、保護膜にクラックや剥離が発生せず、有機電界発光素子の動作も安定するとしている(下記特許文献1参照)。
また、原料ガスとして、SiH4(シラン)ガス、N2(窒素)ガス、H2(水素)ガスを用いる成膜方法において、窒素ガスの濃度を変えることによって膜密度を制御し、高密度の窒化シリコン膜を、低密度窒化シリコン膜で挟んだ3層構造とすることで、保護膜中の残留応力を低下させて膜剥がれを防止する構成も提案されている(下記特許文献2参照)。
特開2000−223264号公報(特に0021−0022段落参照) 特開2004−63304号公報(特に0014−0015段落参照)
しかしながら、上述したように原料ガスとしてアンモニア(NH3)ガスを用いずに成膜された窒化シリコン膜は、波長450nm付近の青色の光透過率が低い。このため、基板と反対側から保護膜を透過させて有機電界発光素子からの光を取り出す、いわゆる上面発光型の表示装置においての青色光の取出効率を低下させ、フルカラー表示における色再現性を低下させる要因となる。
一方、原料ガスとしてアンモニア(NH3)ガスを用いたCVD法によって成膜された窒化シリコン膜を、保護膜として用いる場合、成膜速度を遅くして窒化シリコン膜を高密度化する必要がある。ところが、このような高密度な窒化シリコン膜は、段差側壁の被覆性が悪く、ダークスポットの原因となってしまい、製品不良を引き起こす。また、成膜速度が遅いことから、製造コストも引き上げられる。
また、成膜速度を速めに設定した場合には、窒化シリコン膜の封止特性が低下することによる素子の発光寿命の低下、色度の低下、駆動電力の上昇が引き起こされる。しかも、膜表面に50nm〜300nmの異物が付着し、保護膜の品質の安定が保てないという問題があった。
そこで本発明は、封止特性および段差側壁の被覆性が良好で表面付着物のない保護膜によって発光素子を保護することが可能で、これにより発光素子の劣化を防止すると共にダークスポットの発生を防止して保護膜側から取り出される発光光による表示特性を良好に維持することが可能な表示装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の表示装置は、基板上に設けられた発光素子を保護膜で覆ってなる構成であり、特に保護膜は、アンモニアガスを用いた化学的気相成長法によって成膜された膜密度が異なる窒化シリコン膜を積層してなると共に、この保護膜における表面層の窒化シリコン膜がその下層の窒化シリコン膜よりも高密度に構成されていることを特徴としている。
このような構成の表示装置では、アンモニアガスを用いた化学的気相成長法によって成膜された窒化シリコン膜を保護膜として用いているため、発光素子からの青色光が減衰することなく保護膜側から取り出される。また、保護膜における表面層を構成する窒化シリコン膜は、下層と比較して膜密度の高い膜であることから封止特性が良好である。一方、下層の窒化シリコン膜は、上層と比較して膜密度が低い膜である。このような膜密度の低い膜は、主に気相反応によって成膜されるため、段差側壁の被覆性が良好である。したがって、この保護膜により、封止特性良好にかつ段差側壁の被覆性良好に発光素子が保護される。しかも、保護膜における表面層が膜密度の高い窒化シリコン膜、すなわち主に表面反応によって成膜された膜であることから、主に気相反応を主とした成膜速度が速い条件で成膜を終了した場合と比較して、表面への異物の付着が防止される。
以上説明したように本発明の表示装置によれば、封止特性および段差側壁の被覆性が良好で膜表面に異物の付着のない保護膜によって発光素子を保護することができ、この結果として発光素子の劣化とダークスポットの発生を防止し、保護膜側から取り出される発光光による表示特性を良好に維持することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態の表示装置1の一例を示す図であり、図1(A)は概略構成図、図1(B)は画素回路の構成図である。ここでは、発光素子として有機電界発光素子3を用いたアクティブマトリックス方式の表示装置1に本発明を適用した実施形態を説明する。
図1(A)に示すように、この表示装置1の基板2上には、表示領域2aとその周辺領域2bとが設定されている。表示領域2aは、複数の走査線9と複数の信号線11とが縦横に配線されており、それぞれの交差部に対応して1つの画素aが設けられた画素アレイ部として構成されている。これらの各画素aには有機電界発光素子が設けられている。また周辺領域2bには、走査線9を走査駆動する走査線駆動回路13と、輝度情報に応じた映像信号(すなわち入力信号)を信号線11に供給する信号線駆動回路15とが配置されている。
図1(B)に示すように、各画素aに設けられる画素回路は、例えば有機電界発光素子3、駆動トランジスタTr1、書き込みトランジスタ(サンプリングトランジスタ)Tr2、および保持容量Csで構成されている。そして、走査線駆動回路13による駆動により、書き込みトランジスタTr2を介して信号線11から書き込まれた映像信号が保持容量Csに保持され、保持された信号量に応じた電流が有機電界発光素子3に供給され、この電流値に応じた輝度で有機電界発光素子3が発光する。
尚、以上のような画素回路の構成は、あくまでも一例であり、必要に応じて画素回路内に容量素子を設けたり、さらに複数のトランジスタを設けて画素回路を構成しても良い。また、周辺領域2bには、画素回路の変更に応じて必要な駆動回路が追加される。
次に、上記表示装置1の主要部の断面構成を、図2に基づいて説明する。図2は、表示領域に設けられる有機電界発光素子3の1素子分を示す要部断面構成図である。この図に示すように、表示装置1においては、基板2の表示領域上に設けられた複数の有機電界発光素子3を保護膜4で覆った構成となっている。尚、この保護膜4は、有機電界発光素子3が設けられた表示領域の全体を覆って設けられていることとする。
各有機電界発光素子3は、例えば陽極31、少なくとも発光層を有する有機層32、陰極33をこの順に積層してなる。このような有機電界発光素子3は、基板2側に配置された陽極31が反射材料で構成され、陰極33が光透過性材料で構成されていることとする。これにより、この表示装置1は、有機層32内において生じた発光光を基板2と反対側の陰極33を透過させて取り出す、いわゆる上面発光型として構成されていることとする。
そして、この有機電界発光素子3を覆う保護膜4が、本発明に特徴的な構成となっている。
すなわち保護膜4は、アンモニアガスを用いた化学的気相成長法(chemical vapor deposition:CVD法)、特にプラズマCVD法によって成膜された窒化シリコン膜によって構成されていることとする。そして、この保護膜4は、高密度窒化シリコン膜4a、低密度窒化シリコン膜4b、高密度窒化シリコン膜4cをこの順に積層した3層構造で構成されている。
ここで、高密度窒化シリコン膜4a,4cとは、低密度窒化シリコン膜4bよりも膜密度の高い膜であり、低密度窒化シリコン膜4cとは高密度窒化シリコン膜4a,4cよりも膜密度の低い膜であることとする。そして、これらの高密度窒化シリコン膜4,4cと低密度窒化シリコン膜4bとの膜密度の差は、0.4×1022[atoms/cm3]以上であることが好ましい。
さらに高密度窒化シリコン膜4a,4cは、膜密度が6.2×1022[atoms/cm3]以上であることが好ましい。ただし、有機電界発光素子3を直接覆う高密度窒化シリコン膜4aと、最表面の高密度窒化シリコン膜4cとは、膜密度が同じである必要はない。一方、低密度窒化シリコン膜4bは、膜密度が5.8×1022[atoms/cm3]以下であることが好ましい。
また、膜密度の異なる窒化シリコン膜4a,4b,4cは、湿度透過係数に差が生じる。つまり、膜密度が高くなるほど、湿度透過係数が低く抑えられて封止特性(パッシベーション特性)が向上するのである。このような観点からすると、高密度窒化シリコン膜4a,4cは、その湿度透過係数が8.0×10-4[g・mm/m2・d]未満であることが好ましい。そして、先に示したように、高密度窒化シリコン膜4a,4cの膜密度を6.2×1022[atoms/cm3]以上とすることにより、このように湿度透過係数を低く抑えて封止能力を高く維持することができる。これに対して、膜密度が5.8×1022[atoms/cm3]以下の低密度窒化シリコン膜4bでは、その湿度透過係数が8.0×10-4[g・mm/m2・d]以上となる。
以上のような窒化シリコン膜4a,4b,4cの膜密度は、CVD法によって成膜する際の成膜条件によって制御される。つまり、CVD法による成膜は、成膜表面における表面反応と、成膜雰囲気における気相反応とによって成膜が進行する。このとき、例えば原料ガスの流量を増加させて気相反応を多くすることで、成膜速度が速くなるとと共に膜密度が低くなる。一方、原料ガスの流量を減少させて表面反応を多くすることで、成膜速度が遅くなると共に膜密度が高くなる。
ここで、窒化シリコン膜4a,4b,4cの成膜には、アンモニア(NH3)ガスが用いられており、この他の原料ガスとしてはさらにシラン(SH4)ガスが用いられることになる。したがって、これらの窒化シリコン膜4a,4b,4cは、アンモニアガスとシランガスとの合計の流量を調整することにより、膜密度が制御された膜として構成される。
つまり、高密度窒化シリコン膜4a,4cは、表面反応を主とした成膜速度が比較的低速度なCVD法によって成膜された膜となる。一方、低密度窒化シリコン膜4bは、高密度窒化シリコン膜4aと比較して気相反応を主とした成膜速度が高速度なCVD法によって成膜された膜となる。
尚、CVD成膜における気相反応と表面反応とは、上述した原料ガスの流量のほかに、例えば基板温度や成膜雰囲気内のガス圧力によっても制御される。この際、例えば、基板温度を下げること、または成膜雰囲気のガス圧量を高くすることにより、気相反応が多くなり、成膜速度が速まって膜密度が低くなるのである。
さらに以上のようなCVD法による成膜においては、成膜の条件によって段差側壁の被覆性に差が生じる。すなわち、気相反応を主とした低密度な膜ほど段差側壁の被覆率が高められる。そして、先に示したように、低密度窒化シリコン膜4bの膜密度を5.8×1022[atoms/cm3]以下とすることにより、段差側壁の被覆率(上面膜厚/側壁膜厚)th/tv≧2/3とすることができる。これに対して、膜密度が6.2×1022[atoms/cm3]以上の低密度窒化シリコン膜4a,4bでは、その段差側壁の被覆率がth/tv<2/3となる。尚、ここで示した段差側壁の被覆率は、テーパー角90°、高さ1μmの段差の被覆率であることとする。
またさらに、以上のようなCVD法による成膜においては、気相反応を主とした成膜速度が速い条件で成膜を終了した場合には、膜表面に50nm〜300nmの異物が付着し易い。このような観点から、保護膜4の最表面は、表面反応を主とした成膜速度が比較的遅い条件で成膜される高密度窒化シリコン膜4cで構成されることとする。そして、気相反応を主とした条件で成膜される低密度窒化シリコン膜4bの表面に異物が付着することのないように、最表面の高密度窒化シリコン膜4cを、低密度窒化シリコン膜4bの成膜に連続させて成膜された膜とする。ここで連続成膜とは、同一の成膜雰囲気内で大気開放せずに行う成膜であり、さらは成膜を停止させずに原料ガスの流量を連続的に変化させて行う成膜であることが好ましい。
以上、プラズマCVD法によって成膜される窒化シリコン膜の特性を、膜密度の違いによって分類すると、次のようになる。先ず、高密度窒化シリコン膜4a,4cは、1)封止特性が良好であるが、2)成膜速度が遅く、3)表面に異物が付着し難く、4)段差側壁の被覆率が低い。これに対して、低密度窒化シリコン膜4bは、1)封止特性は劣るが、2)成膜速度が早く、3)表面に異物が付着し易く、4)段差被覆率が良好である。
図3には、本実施形態の他の構成の表示装置1’の要部断面構成図を示す。この図に示すように、表示装置1’は、先に説明した保護膜4上をさらに樹脂5で覆い、この樹脂5を介して封止基板6を貼り合わせた構成としても良い。このような樹脂5としては、例えばエポキシ樹脂が用いられる。
この樹脂5は、基板1上の全面を覆うことにより封止特性が向上するが、封止基板6の貼り合わせに十分であれば、基板1上の一部を覆う状態で設けられても良い。ただし、基板1の周縁においては、保護膜4の周端を露出させずに樹脂5で完全に覆われることが好ましい。また封止基板6は、光透過性材料からなることとし、プラスチック基板であってもガラス基板であっても良い。尚、保護基板4〜封止基板6までの間に、光透過性を有する他の薄膜が設けられても良い。
以上説明したように、本実施形態の表示装置1,1’は、アンモニアガスを用いたCVD法によって成膜された窒化シリコン膜を保護膜4として用いているため、有機電界発光素子3からの青色光を減衰させることなく保護膜4側から取り出すことが可能である。したがって、上面発光型の表示装置1において、色再現性の良好な表示が可能である。
そして、この保護膜4は、下層から順に高密度シリコン膜4a、低密度シリコン膜4b、高密度シリコン膜4cの順に積層した保護膜4によって有機電界発光素子3を覆う構成である。このため、高密度シリコン膜4a,4cによって、封止特性が良好に維持される。一方、低密度窒化シリコン膜4bによって、段差側壁の被覆性が良好に維持される。したがって、この保護膜4により、封止特性良好にかつ段差側壁の被覆性良好に有機電界発光素子3が保護され、水分の浸入による有機電界発光素子3の劣化を防止することが可能である。
しかも、保護膜4の最表面を構成する表面層が高密度窒化シリコン膜4cで構成されているため、表面反応を主とした成膜条件で保護膜4の形成が終了することになり、保護膜4の表面への異物の付着を防止することができる。特に、保護膜4における表面層の高密度窒化シリコン膜4cを、低密度窒化シリコン膜4bの成膜に連続させて成膜された膜としたことにより、低密度窒化シリコン膜4bを成膜するための気相反応を主とした成膜での一時停止もない。したがって、低密度窒化シリコン膜4bの表面に異物が付着することも防止され、品質の良好な保護膜4によって有機電界発光素子3を覆うことが可能になる。
以上の結果、封止特性および段差側壁の被覆性が良好で表面に異物の付着のない保護膜4によって有機電界発光素子3を保護することができ、この結果として有機電界発光素子3の劣化とダークスポットの発生を防止し、保護膜4側から取り出される発光光による表示特性を良好に維持することが可能になる。
また高密度窒化シリコン膜のみで保護膜を構成した場合と比較して、保護膜全体の成膜速度を速めることが可能になるため、生産性の向上を図ることもできる。
また特に、図3に示したように、樹脂5を介して封止基板6を貼り合わせた構成とすることにより、有機電界発光素子3への水分の浸入を防止し、有機電界発光素子3の水分による劣化をさらに確実に防止することが可能になる。
図2および図3を用いて説明した実施形態の表示装置においては、保護膜4を、高密度窒化シリコン膜4a、低密度窒化シリコン膜4b、高密度窒化シリコン膜4cの3層構造として説明した。しかしながら、保護膜の構成は、最表面が高密度窒化シリコン膜で構成され、その下層にこれよりも低密度の窒化シリコン膜が設けられていれば、さらに窒化シリコン膜を多層で積層した構成であっても良い。ただし、有機電界発光素子3を確実に封止するためには、最下層を高密度窒化シリコン膜とすることが好ましい。
尚、本発明にかかる表示装置は、図4に開示したような、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。例えば、画素アレイ部である表示領域2aを囲むようにシーリング部21が設けられ、このシーリング部21を接着剤として、透明なガラス等の対向部(封止基板6)に貼り付けられ形成された表示モジュールが該当する。この透明な封止基板6には、カラーフィルタ、保護膜、遮光膜等が設けられてもよい。尚、表示領域2aが形成された表示モジュールとしての基板2には、外部から表示領域2a(画素アレイ部)への信号等を入出力するためのフレキシブルプリント基板23が設けられていてもよい。
また、以上説明した本発明における表示装置は、様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話、ビデオカメラなど、電子機器に入力された、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能であり、電子光学の技術を応用した電気製品における表示部分として広く適用可能である。
以下、この様な表示装置が適用された電子機器の一例を示す。
図5は、本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明に係る表示装置を用いることにより作成される。
図6は、本発明が適用されるデジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
図7は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
図8は、本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
図9は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
<比較例>
比較のためのサンプルとして、図10に示すように、基板2上に形成した有機電界発光素子3を単層の窒化シリコン膜14で覆った各サンプルを作製した。
下記表1に示すように、各サンプル1〜4は、異なる各条件1〜4で膜密度の異なる窒化シリシリコン膜14を成膜したものである。尚、各サンプル1〜4における窒化シリコン膜14は、原料ガスとしてアンモニア(NH3)ガスとシラン(SH4)ガスとを用いたプラズマCVD法によって成膜した。この際、アンモニアガスとシランガスとの合計の流量を調整した各条件1〜4によって、膜密度の異なる窒化シリコン膜14を成膜した。
Figure 2007184251
そして、これらのサンプル1〜4に関して、窒化シリコン膜14の段差被覆性、および有機電界発光素子3の寿命特性を測定した。
表1に示に示したように、窒化シリコン膜14の膜密度が、上述した実施形態において低密度窒化シリコン膜の好ましい条件とした5.8×1022[atoms/cm3]以下であるサンプル3,4では、段差側壁の被覆率(上面膜厚/側壁膜厚)th/tv≧2/3(0・67)であり、良好な被覆率が確保されることが確認された。
また、窒化シリコン膜14の膜密度が、上述した実施形態において高密度窒化シリコン膜の好ましい条件とした6.2×1022[atoms/cm3]以上であるサンプル1,2では、有機電界発光素子3の寿命特性が、サンプル3,4よりも良好であることが確認された。ここで、膜密度が最も高いサンプル1よりもサンプル2の寿命特性が良好な理由は、サンプル1の方が膜密度が高いものの応力が高く、これによる膜剥れが発生したのに対して、サンプル2の方が膜応力の発生が抑えられたためと考えられる。
また、図10に示すように、低密度の窒化シリコン膜14が成膜されたサンプル3,4においては、窒化シリコン膜14の表面に異物Aの付着による白濁が確認された。さらに、高密度の窒化シリコン膜14を備えたサンプル1,2においては、段差被覆性が悪いことに起因するダークスポットの発生が確認された。
図11には、サンプル1〜3を構成する窒化シリコン膜14について、高温高湿保存条件下においての酸化膜厚を測定した結果を示す。この図に示すように、膜密度の低い窒化シリコン膜(条件3で成膜)は酸化速度が速く、膜密度が高いほど酸化速度が抑えられていることが分かった。したがって、実施形態で説明した本発明は、酸化速度の異なる窒化シリコン膜を積層させた構成とすれば良いと言える。
<実施例1>
実施例1として、図2で示した構成の表示装置1を作製した。ここでは、上記の比較例の条件2で成膜した高密度窒化シリコン膜4a、条件3で成膜した低密度窒化シリコン膜4b,および条件2で成膜した窒化シリコン膜4cをこの順に積層した保護膜4を設けた。尚、この保護膜4の形成においては、プラズマCVD法によって各窒化シリコン膜4a,4b,4cを連続して成膜した。
図12には、実施例1で作製した表示装置1について、有機電界発光素子3の発光寿命を測定した結果を示す。比較例のサンプル1,4について同様に測定した発光寿命もあわせて示す。
図12に示すように、実施例1の表示装置1は、高密度な窒化シリコン膜を単層で用いたサンプル4と同程度に良好な発光寿命が得られ、保護膜4による封止特性が良好に保たれていることが確認された。
また、ダークスポットの発生については、段差被覆性に劣る膜密度の高い窒化シリコン膜を単層で用いたサンプル1,2と比較して、1/2に抑えることができた。これにより、実施例1の表示装置1では、高密度窒化シリコン膜4a,4cにおける段差被覆性の悪さが、低密度窒化シリコン膜4bによって補われていることが確認された。尚、実施例1に関するこれらの結果は、上記表1の最後に合わせて示した。
また、保護膜4の表面に異物の付着もなく、白濁は確認されなかった。
さらに、実施例1の表示装置1について保護膜4の光透過率を測定したところ、先行分権として挙げた特開2000-223264号公報に記載のアンモニアガスを用いずに成膜した構造の膜と比較して、波長λ=450nm付近の青色の光の透過率が2倍以上向上することが確認された。これにより、本発明構成の表示装置1は、基板2と反対側から発光光を取り出す上面発光型のフルカラー表示装置への適用に適していることが確認された。
以上により、本発明構成を適用することにより、段差被覆性と封止特性との両方が良好に保たれ、かつ表面付着物のない保護膜4によって有機電界発光素子3を保護することが可能で、これにより有機電界発光素子3の劣化を防止すると共にダークスポットの発生を防止して保護膜4側から取り出される発光光による表示特性を良好に維持することが可能であることが確認された。
<実施例2>
実施例2として、図3で示した構成の表示装置1’を作製した。ここでは、実施例1で作製した表示装置の保護膜4上に、エポキシ樹脂5を全面塗布し、これを接着剤としてガラス基板(封止基板)6を張り合わせた。
このようにして作製した実施例2の表示装置1’を、温度80°、湿度75%の高温高湿の雰囲気下に晒す試験を行ったところ、基板2とガラス基板6との間への水分の浸入は見られなかった。尚、実施例1の表示装置1で同様の試験を行ったところ、基板2の端縁から2mm以上内側の窒化シリコン部分(保護膜4内)へ水分浸入の痕跡が見られた。これにより、樹脂5を介して封止基板6を貼合せることにより、表示装置内への水分浸入が抑えられることが確認された。
<実施例3>
実施例3として、図2で示した構成の表示装置1を作製した。ここでは、上記の比較例の条件2で成膜した高密度窒化シリコン膜4a、条件3で成膜した低密度窒化シリコン膜4b,および条件1で成膜した窒化シリコン膜4cをこの順に積層した保護膜4を設けた。つまり、下層側から順に[条件2/条件3/条件1]の成膜を行った。尚、この保護膜4の形成においては、プラズマCVD法によって各窒化シリコン膜4a,4b,4cを連続して成膜した。
このようにして作製した実施例3の表示装置1を、温度80°、湿度75%の高温高湿の雰囲気下に晒す試験を行ったところ、基板2の端縁から2mm以上内側の窒化シリコン部分(保護膜4内)へ水分浸入の痕跡は見られなかった。これにより、エポキシ樹脂5とガラス基板(封止基板)6が存在しなくても、保護膜4を構成する積層膜の膜密度、特に表面層を構成する高密度窒化シリコン膜4cの膜密度を調整することにより、表示装置内への水分浸入が抑えられることが確認された。
またさらに実施例3の表示装置1で作製した保護膜4について、条件1〜3でそれぞれ成膜したサンプル1〜3の窒化シリコン膜と同様に、高温高湿保存条件下においての酸化膜厚を測定した。この結果、図11に示す条件1の窒化シリコン膜(サンプル1)と同程度に酸化速度が低く抑えられていることが確認された。
実施形態の表示装置の概略を説明する図であり、(A)は概略構成図、(B)は画素回路の構成図である。 実施形態の表示装置の要部断面構成図である。 実施形態の他の構成の表示装置の要部断面構成図である。 本発明が適用される封止された構成のモジュール形状の表示装置を示す構成図である。 本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。 本発明が適用されるデジタルカメラを示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。 本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。 本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。 本発明が適用される携帯端末装置を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。 比較例のサンプル1〜4の構成を示す要部断面構成図である。 比較例のサンプルを構成する単層の窒化シリコン膜の酸化速度を示すグラフである。 実施例1の表示装置と比較例のサンプルとにおける輝度の劣化速度(発光寿命)を示すグラフである。
符号の説明
1、1’…表示装置、2…基板、3…有機電界発光素子(発光素子)、4…保護膜、4a,4c…高密度窒化シリコン膜、4b…低密度窒化シリコン膜

Claims (4)

  1. 基板上に設けられた発光素子を保護膜で覆ってなる表示装置において、
    前記保護膜は、
    アンモニアガスを用いた化学的気相成長法によって成膜された膜密度が異なる窒化シリコン膜を積層してなると共に、当該保護膜における表面層の窒化シリコン膜がその下層の窒化シリコン膜よりも高密度に構成されている
    ことを特徴とする表示装置。
  2. 請求項1記載の表示装置において、
    前記保護膜は、発光素子を直接覆う最下層の窒化シリコン膜がその上層の窒化シリコン膜よりも高密度に構成されている
    ことを特徴とする表示装置。
  3. 請求項1記載の表示装置において、
    前記保護膜における表面層の窒化シリコン膜は、その下層の窒化シリコン膜の成膜に連続して成膜された膜である
    ことを特徴とする表示装置。
  4. 請求項1記載の表示装置において、
    前記発光素子における発光光が、前記保護膜を透過して取り出される
    ことを特徴とする表示装置。
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