JP2007159401A - 改変タンパク質の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイスループットかつ効率的な機能解析及びスクリーニングを実現することができる、改変タンパク質の作製方法を提供する。
【解決手段】(a)微生物を含有する試料から、微生物に由来するDNAを調製し、(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製し、(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、PCRを行い、(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定し、(e)既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出し、(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示す領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製し、(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する。
【選択図】なし
【解決手段】(a)微生物を含有する試料から、微生物に由来するDNAを調製し、(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製し、(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、PCRを行い、(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定し、(e)既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出し、(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示す領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製し、(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する。
【選択図】なし
Description
本発明は、改変タンパク質の作製方法、改変タンパク質ライブラリーの作製方法及び改変タンパク質のスクリーニング方法に関する。また、本発明は、微生物に由来するタンパク質の機能推定方法に関する。
優れた機能を有するタンパク質を取得する方法としては、(1)新規なタンパク質を同定し、その機能を解析する方法、(2)既存のタンパク質のアミノ酸配列にランダム変異を導入して改変タンパク質を作製し、その機能を解析する方法(例えば、特許文献1)がある。
特開2003−304870号公報
上記(1)の方法では、既存のタンパク質又は遺伝子の間で保存されているアミノ酸配列又は塩基配列に基づいて設計したプライマーを用いてPCRを行い、PCR増幅断片をプローブとして新規なタンパク質をコードする遺伝子を取得する。しかしながら、新規なタンパク質の機能を評価するためには、それをコードする遺伝子の全長塩基配列を決定する必要があり、既存のタンパク質又は遺伝子の間で保存されているアミノ酸配列又は塩基配列以外の情報は未知であるので、新規なタンパク質をコードする遺伝子の全長塩基配列を決定するには多大な労力と時間を要する。また、上記(1)の方法を利用して微生物に由来するタンパク質又は遺伝子を同定する際、微生物に由来するゲノムDNA、mRNA等を得るために微生物の分離培養が必要となる場合があるが、微生物が培養不能又は培養条件が未知である場合には対処の仕様がない。
一方、上記(2)の方法では、改変タンパク質を容易かつ迅速に作製することができるので、改変タンパク質のハイスループットな機能解析を行うことができる。しかしながら、既存のタンパク質のアミノ酸配列にランダム変異を導入した結果、かえって機能が低下してしまう場合が多い。
そこで、本発明は、機能の向上が期待できる改変タンパク質を容易かつ迅速に作製することにより、改変タンパク質のハイスループットかつ効率的な機能解析及びスクリーニングを実現することができる、改変タンパク質の作製方法、改変タンパク質ライブラリーの作製方法及び改変タンパク質のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、微生物に由来するタンパク質の機能を推定する際、タンパク質又はそれをコードするDNAの全長配列を同定する必要がなく、また、微生物を分離培養する必要がない、微生物に由来するタンパク質の機能推定方法を提供することを目的とする。
上記目的を解決するために、本発明は、下記(1)〜(7)の改変タンパク質の作製方法、改変タンパク質ライブラリーの作製方法、改変タンパク質のスクリーニング方法及び微生物に由来するタンパク質の機能推定方法を提供する。
(1)下記工程(a)〜(g)を含む、改変タンパク質の作製方法。
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(2)下記工程(a)〜(h)を含む、改変タンパク質ライブラリーの作製方法。
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(h)微生物を含有する2種類以上の試料について前記工程(a)〜(g)を行う工程
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(h)微生物を含有する2種類以上の試料について前記工程(a)〜(g)を行う工程
(3)下記工程(a)〜(i)を含む、所定機能を有する改変タンパク質のスクリーニング方法。
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(h)微生物を含有する2種類以上の試料について前記工程(a)〜(g)を行う工程
(i)前記改変タンパク質の機能を評価し、所定機能を有する改変タンパク質をスクリーニングする工程
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(h)微生物を含有する2種類以上の試料について前記工程(a)〜(g)を行う工程
(i)前記改変タンパク質の機能を評価し、所定機能を有する改変タンパク質をスクリーニングする工程
(4)下記工程(a)〜(g)及び(j)を含む、微生物に由来するタンパク質の機能推定方法。
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(j)前記改変タンパク質の機能を評価し、前記改変タンパク質の機能に基づいて、前記微生物に由来するタンパク質の機能を推定する工程
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(j)前記改変タンパク質の機能を評価し、前記改変タンパク質の機能に基づいて、前記微生物に由来するタンパク質の機能を推定する工程
(5)前記工程(b)で作製される縮重プライマーが、前記第1〜第nの既知タンパク質をコードするDNAのうち、前記第1〜第nの既知タンパク質の機能ドメインをコードする領域を増幅できる前記(4)記載の方法。
(6)前記工程(e)で見出される既知タンパク質が、前記第1〜第nの既知タンパク質と同一種類の機能を有する前記(4)又は(5)記載の方法。
(7)前記微生物が培養不能又は培養条件が未知の微生物である前記(4)〜(6)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、機能の向上が期待できる改変タンパク質を容易かつ迅速に作製することにより、改変タンパク質のハイスループットかつ効率的な機能解析及びスクリーニングを実現することができる、改変タンパク質の作製方法、改変タンパク質ライブラリーの作製方法及び改変タンパク質のスクリーニング方法が提供される。
また、本発明によれば、微生物に由来するタンパク質の機能を推定する際、タンパク質又はそれをコードするDNAの全長配列を同定する必要がなく、また、微生物を分離培養する必要がない、微生物に由来するタンパク質の機能推定方法が提供される。
以下、本発明の方法に含まれる工程について詳細に説明する。
工程(a)
工程(a)は、微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程である。
工程(a)
工程(a)は、微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程である。
試料の種類は、1種類又は2種類以上の微生物を含有する限り特に限定されるものではない。試料としては、例えば、各種環境から採取した土壌、水、泥、堆積物等の天然試料を使用することができる。天然試料を採取する環境は特に限定されるものではなく、様々な条件(例えば、常温、高温、低温等の様々な温度条件、中性、酸性、アルカリ性等の様々なpH条件、常圧、高圧、低圧等の様々な圧力条件)下にある環境から天然試料を採取することができる。天然試料を採取する環境の具体例としては、温泉等の高温環境、酸性温泉等の酸性環境、アルカリ性温泉等のアルカリ環境、深海等の高圧環境等が挙げられる。
試料としては、2種類以上の微生物を含有する試料を使用することが好ましい。2種類以上の微生物を含有する試料を使用すると、工程(c)においてPCR増幅断片が得られる可能性が高くなる。また、2種類以上のPCR増幅断片が得られる可能性も高くなり、1つの試料から多種類の改変タンパク質を作製することが可能となる。なお、2種類以上のPCR増幅断片は混合物として得られるが、工程(d)において各PCR増幅断片の塩基配列を決定することにより、各PCR増幅断片の種類を区別することができる。
試料に含有される微生物の種類は特に限定されるものではなく、例えば、細菌、カビ類(糸状菌類)、担子菌類、酵母類、ウイルス等が挙げられる。
試料として、高温環境から採取した天然試料を使用する場合、試料には好熱菌が含有されると考えられる。「好熱菌」は、高温下に生育できる細菌の総称であり、通常55℃以上で生育できる細菌を指す。好熱菌には、通常75℃以上でも生育できる高度好熱菌、通常85〜90℃以上で生育できる超好熱菌、常温(通常37℃)でも生育できる通性好熱菌、約40℃以上でのみ生育できる絶対好熱菌等が含まれる。
試料に含有される微生物の種類(科、属、種等)は同定されていてもよいし同定されていなくてもよい。試料に含有される微生物の種類が同定されていない場合であっても、当該微生物の種類を同定する必要はない。
試料に含有される微生物は、培養不能又は培養条件が未知の微生物であってもよい。本発明は、試料に含有される微生物を分離培養する必要がないので、試料に含有される微生物が培養不能又は培養条件が未知である場合に特に有用である。
微生物に由来するDNAは、ゲノムDNAであってもよいしcDNAであってもよい。微生物に由来するゲノムDNAは、常法に従って微生物から抽出することができる。微生物に由来するcDNAは、常法に従って微生物から抽出されたmRNAを逆転写することにより調製することができる。微生物から抽出されたゲノムDNA又はmRNAには、通常、微生物が有する全てのゲノムDNA又はmRNAが含まれるが、微生物が有する一部のゲノムDNA又はmRNAのみが含まれていてもよい。
工程(b)
工程(b)は、同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程である。
工程(b)は、同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程である。
第1〜第nの既知タンパク質は、アミノ酸配列、由来生物種、機能等が既知の天然型タンパク質である。
第1〜第nの既知タンパク質が有する同一種類の機能は特に限定されるものではないが、例えば、耐熱性、DNAポリメラーゼ活性、キチナーゼ活性、アラニンデヒドロゲナーゼ活性、D−2−デオキシリボース−5−フォスフェートアルドラーゼ活性、ヌクレアーゼ活性、ヘリカーゼ活性等が挙げられる。第1〜第nの既知タンパク質が有する機能のうち、1種類の機能が同一であってもよいし、2種類以上の機能が同一であってもよい。
第1〜第nの既知タンパク質が由来する生物種は特に限定されるものではないが、微生物であることが好ましく、試料に含有される微生物と近縁の微生物であることがさらに好ましい。試料に含有される微生物と、第1〜第nの既知タンパク質が由来する生物種とが近縁である場合、工程(c)においてPCR増幅断片が得られる可能性が高くなる。試料に含有される微生物が未同定であっても、試料に含有される微生物と近縁の生物種に由来するタンパク質を第1〜第nの既知タンパク質として選択することができる。例えば、高温環境から採取された天然試料を使用する場合、当該天然試料には好熱菌が含有されると考えられるので、好熱菌に由来するタンパク質を第1〜第nの既知タンパク質として選択することができる。
縮重プライマーは、第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて作製することができる。すなわち、第1〜第nの既知タンパク質のアミノ酸配列をアライメントして保存領域(相同領域)を同定し、保存領域のアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーの塩基配列を決定し、化学合成等の常法に従って縮重プライマーを作製することができる。
縮重プライマーには、第1〜第nの既知タンパク質をコードする2本鎖DNAのうち、センス鎖にハイブリダイズできるプライマー及びアンチセンス鎖にハイブリダイズできるプライマーが含まれ、各プライマーはそれぞれ異なる保存領域のアミノ酸配列に基づいて作製することができる。
微生物に由来するDNAの存在下、第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて作製した縮重プライマーを用いてPCRを行うことにより、微生物に由来するDNAのうち、第1〜第nの既知タンパク質と同一種類の機能を有するタンパク質をコードするDNAの一部が増幅されると考えられる。
例えば、Bacillus subtilis、Bacillus caldotenax、Thermus aquaticus、Themus thermophilus、Escherichia coli等の微生物に由来するファミリーA型DNAポリメラーゼには、図2及び図3に示すように、DPNLQNIP、QVHDELX(XはI、V又はLを表す)等のアミノ酸配列が保存されており、DPNLQNIPに基づいて5'- gaycchaacytscaraayathcc -3'で表される縮重プライマーを、QVHDELXに基づいて5'- kassakytcrtcgtgnacytg -3'で表される縮重プライマーを作製することができる。そして、任意の微生物(例えば、Bacillus caldotenax,Bacillus caldolyticus,Escherichia coli,Bacillus subtilis,Lactobacillus bulgaricus,Lactobacillus homohiochii,Lactobacillus heterohiochii,Thermus aquaticus,Themus thermophilus,Sulfolobus solfataricus)に由来するDNAの存在下、上記縮重プライマーを用いてPCRを行うことにより、PCR増幅断片を得ることができる。こうして得られたPCR増幅断片は、ファミリーA型DNAポリメラーゼをコードするDNAを鋳型として増幅したDNA断片(ファミリーA型DNAポリメラーゼをコードするDNAの一部)であると考えられる。
例えば、Serratia marcescens、Bacillus circurans、Stenotrophomonas maltophilia、Janthinobacterium lividum、Thermococcus kodakaraensis、Clostridium thermocellum、Bacillus licheniformis等の微生物に由来するキチナーゼには、図10に示すように、THINYAF、ISVGGWT、DIDWEYP、INVMTYD、GLGGAMFWE等のアミノ酸配列が保存されており、THINYAFに基づいて5'- acncayathaaytaygcntt -3'で表される縮重プライマーを、ISVGGWTに基づいて5'- athwsigtiggnggntggac -3'で表される縮重プライマーを、DIDWEYPに基づいて5'- gayathgaytgggartaycc -3'で表される縮重プライマーを、INVMTYDに基づいて5'- athaaygtnatgacntayga -3'で表される縮重プライマーを、GLGGAMFWEに基づいて5'- tcccadatcatiacnccncciarncc -3'で表される縮重プライマーを作製することができる。そして、任意の微生物に由来するDNAの存在下、上記縮重プライマーを用いてPCRを行うことにより、PCR増幅断片を得ることができる。こうして得られたPCR増幅断片は、キチナーゼをコードするDNAを鋳型として増幅したDNA断片(キチナーゼをコードするDNAの一部)であると考えられる。
例えば、Bacillus属、Carnobacterium属、Synechocystis属、Phormidium属、Vibrio属、Shewanella属、Mycobacterium属等の微生物に由来するアラニンデヒドロゲナーゼ(AlaDH)には、図11に示すように、FTYLHLA、DVAIDQG等のアミノ酸配列が保存されており、FTYLHLAに基づいて5'- ttyacitwyyticayytigc -3'で表される縮重プライマーを、DVAIDQGに基づいて5'- ccytgrtcdatigciayrtc -3'で表される縮重プライマーを作製することができる。そして、任意の微生物に由来するDNAの存在下、上記縮重プライマーを用いてPCRを行うことにより、PCR増幅断片を得ることができる。こうして得られたPCR増幅断片は、アラニンデヒドロゲナーゼをコードするDNAを鋳型として増幅したDNA断片(アラニンデヒドロゲナーゼをコードするDNAの一部)であると考えられる。
例えば、Bacillus subtilis、Oceanobacillus iheyensis、Escherichia coli、Thermotoga maritima、Aquifex aeolicus等に由来するD−2−デオキシリボース−5−フォスフェートアルドラーゼ(D-2-deoxyribose-5-phosphate aldolase:DERA)は、図12に示すように、VIGFPLG、VKASGGV等のアミノ酸配列が保存されており、VIGFPLGに基づいて5'- gtnathggittycciytigg -3'で表される縮重プライマーを、VKASGGVに基づいて5'- ayiccicciswngcyttnac -3'で表される縮重プライマーを作製することができる。そして、任意の微生物に由来するDNAの存在下、上記縮重プライマーを用いてPCRを行うことにより、PCR増幅断片を得ることができる。こうして得られたPCR増幅断片は、D−2−デオキシリボース−5−フォスフェートアルドラーゼをコードするDNAを鋳型として増幅したDNA断片(D−2−デオキシリボース−5−フォスフェートアルドラーゼをコードするDNAの一部)であると考えられる。
なお、上記縮重プライマーの塩基配列において、「i」はイノシンを、「w」はa又はtを、「y」はt又はcを、「s」はc又はgを、「k」はg又はtを、「r」はa又はgを、「h」はa又はt又はcを、「n」はa又はg又はc又はtを、「d」はa又はt又はgを表す。
縮重プライマーは、通常15〜30塩基、好ましくは20〜25塩基からなるオリゴヌクレオチドであり、常法に従って化学合成することができる。縮重プライマーには、制限酵素認識配列、タグ配列、蛍光色素、ラジオアイソトープ等の標識を付加することができる。
縮重プライマーは、第1〜第nの既知タンパク質をコードするDNAのうち、第1〜第nの既知タンパク質の機能ドメインをコードする領域を増幅できるように作製することが好ましい。ここで、「機能ドメイン」とは、第1〜第nの既知タンパク質が有する同一種類の機能に関与するドメインを意味する(例えば、第1〜第nの既知タンパク質が有する同一種類の機能がDNAポリメラーゼ活性である場合、DNAポリメラーゼ活性に関与するドメインを意味する)。縮重プライマーが、第1〜第nの既知タンパク質の機能ドメインをコードする領域を増幅できる場合、微生物に由来するDNAのうち、第1〜第nの既知タンパク質と同一種類の機能を有するタンパク質の機能ドメインをコードする領域を増幅することができると考えられ、このようなPCR増幅断片を利用して改変タンパク質を作製することにより、改変タンパク質の機能が向上する可能性が高くなるとともに、改変タンパク質の機能が微生物に由来するタンパク質の機能を反映する可能性が高くなる。
工程(c)
工程(c)は、前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程である。
工程(c)は、前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程である。
微生物に由来するDNAの存在下、縮重プライマーを用いてPCRを行うことにより、微生物に由来するDNAを鋳型としたPCR増幅断片を得ることができる。PCRは常法に従って行うことができ、PCR増幅断片は、ポリアクリルアミド電気泳動等の常法に従って精製することができる。
工程(d)
工程(d)は、前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程である。
工程(d)は、前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程である。
PCR増幅断片の塩基配列は、マキサム−ギルバートの化学修飾法、ジデオキシヌクレオチド鎖終結法等の常法に従って決定することができる。塩基配列解析の際には、例えば、市販の塩基配列分析装置を使用することができる。
PCR増幅断片は、塩基配列解析の前に、常法に従ってクローニングしてもよい。例えば、PCR増幅断片を適当なクローニングベクターに組み込んで組換えベクターを作製し、当該組換えベクターを用いて大腸菌等の宿主細胞を形質転換し、テトラサイクリン耐性、アンピシリン耐性を指標として形質転換体を選択することにより、PCR増幅断片をクローニングすることができる。クローニングベクターは、宿主細胞中で自立複製できるものであればよく、例えば、ファージベクター、プラスミドベクター等を使用することができる。宿主細胞としては、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等を使用することができる。
決定された塩基配列には誤差が含まれる場合があるので、決定された塩基配列を修正して誤差を取り除いた後、塩基配列にコードされるアミノ酸配列を確定することが好ましい。
工程(e)
工程(e)は、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程である。
工程(e)は、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程である。
相同性評価の対象となる既知タンパク質は、アミノ酸配列、由来生物種、機能等が既知の天然型タンパク質であり、その種類は特に限定されるものではない。
相同性評価の対象となる既知タンパク質が有する機能は特に限定されるものではなく、第1〜第nの既知タンパク質と同一種類の機能であってもよいし、第1〜第nの既知タンパク質と異なる種類の機能であってもよいが、第1〜第nの既知タンパク質と同一種類の機能であることが好ましい。
相同性の評価は、既存のデータベース等を利用して行うことができる。
相同性の評価により、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列が新規であるか否かを判別することができる。工程(f)及び(g)は、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列が既知である場合に行ってもよいが、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列が新規である場合に行うことが好ましい。
相同性の評価により、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列が新規であるか否かを判別することができる。工程(f)及び(g)は、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列が既知である場合に行ってもよいが、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列が新規である場合に行うことが好ましい。
相同性の評価により、既知タンパク質が、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有するか否かを判定することができる。
相同性を示す領域は、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と通常50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上の相同性を示す領域である。
相同性を示す領域は、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と通常50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上の相同性を示す領域である。
工程(f)
工程(f)は、前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程である。
工程(f)は、前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程である。
改変DNAは、工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAを制限酵素で処理して、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を除去し、この部分にPCR増幅断片を連結することにより作製することができる。PCR増幅断片は、トリプレット(コドン)の読みとり枠がずれないように(すなわちフレームシフトが生じないように)連結する。
改変DNAは、工程(e)で見出された既知タンパク質のアミノ酸配列のうち、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列が、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列で置換された改変タンパク質をコードする。PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列は自然界に存在するアミノ酸配列であり、自然淘汰されたものであるので、そのアミノ酸配列は何らかの意義を有しているものと考えられる。したがって、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列が、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列で置換された改変タンパク質は、既存のタンパク質のアミノ酸配列をランダムに変異させた改変タンパク質よりも、機能の向上を期待することができる。
改変DNAは、改変タンパク質をコードするオープンリーディングフレームとその3'末端側に位置する終止コドンとを含む。改変DNAは、オープンリーディングフレームの5'末端及び/又は3'末端に非翻訳領域(UTR)を含んでいてもよい。また、改変DNAは、改変タンパク質が融合タンパク質として発現されるように、他のタンパク質又はペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。
工程(g)
工程(g)は、前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程である。
工程(g)は、前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程である。
改変タンパク質は、例えば、次のようにして作製することができる。
まず、改変DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入して組換えベクターを作製し、組換えベクターを適当な宿主細胞に導入して改変タンパク質を生産できる形質転換体を作製する。次いで、形質転換体を培養する。改変タンパク質が形質転換体の細胞内に蓄積される場合には、培養物を遠心分離することにより、培養物中の細胞を集め、該細胞を洗浄した後に細胞を破砕して、改変タンパク質を抽出する。改変タンパク質が形質転換体の細胞外に分泌される場合には、培養上清をそのまま使用するか、遠心分離等により培養上清から細胞又は菌体を除去する。こうして、改変タンパク質を作製することができる。
まず、改変DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入して組換えベクターを作製し、組換えベクターを適当な宿主細胞に導入して改変タンパク質を生産できる形質転換体を作製する。次いで、形質転換体を培養する。改変タンパク質が形質転換体の細胞内に蓄積される場合には、培養物を遠心分離することにより、培養物中の細胞を集め、該細胞を洗浄した後に細胞を破砕して、改変タンパク質を抽出する。改変タンパク質が形質転換体の細胞外に分泌される場合には、培養上清をそのまま使用するか、遠心分離等により培養上清から細胞又は菌体を除去する。こうして、改変タンパク質を作製することができる。
組換えベクターにおいて、改変DNAは、その機能が発揮されるように組み込まれていることが必要であり、組換えベクターは、プロモーターの他、エンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子)、リボソーム結合配列(SD配列)等を含有することができる。
発現ベクターの種類は、宿主細胞において自立複製が可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター等が挙げられる。プラスミドベクターとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例えば、pRSET、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19)、枯草菌由来のプラスミド(例えば、pUB110、pTP5)、酵母由来のプラスミド(例えば、YEp13、YEp24、YCp50)が挙げられ、ファージベクターとしては、例えば、λファージ(例えば、Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP)が挙げられ、ウイルスベクターとしては、例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス等の動物ウイルス、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスが挙げられる。
宿主細胞の種類は、改変DNAを発現できる限り特に限定されるものではなく、例えば、原核細胞、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等が挙げられる。
組換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
形質転換体の培養は、宿主細胞の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
改変タンパク質は、溶媒抽出法、硫安等による塩析法脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、イオン交換クロマトグラフィー法、疎水性クロマトグラフィー法、ゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法等により精製することができる。
改変タンパク質は、溶媒抽出法、硫安等による塩析法脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、イオン交換クロマトグラフィー法、疎水性クロマトグラフィー法、ゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法等により精製することができる。
工程(h)
工程(h)は、微生物を含有する2種類以上の試料について前記工程(a)〜(g)を行う工程である。
工程(h)は、微生物を含有する2種類以上の試料について前記工程(a)〜(g)を行う工程である。
2種類以上の試料について工程(a)〜(g)を行うことにより、2種類以上の改変タンパク質の集合物である改変タンパク質ライブラリーを作製することができる。
2種類以上の試料としては、例えば、温度、pH等が異なる環境から採取された土壌、水、泥、堆積物等の天然試料を使用することができる。
2種類以上の試料としては、例えば、温度、pH等が異なる環境から採取された土壌、水、泥、堆積物等の天然試料を使用することができる。
工程(i)
工程(i)は、前記改変タンパク質の機能を評価し、所定機能を有する改変タンパク質をスクリーニングする工程である。
工程(i)は、前記改変タンパク質の機能を評価し、所定機能を有する改変タンパク質をスクリーニングする工程である。
改変タンパク質の機能は、常法に従って解析することができる。改変タンパク質の機能解析は、少なくとも改変前の既知タンパク質が有する機能について行うが、それ以外の機能について行ってもよい。
スクリーニングする改変タンパク質が有する所定機能は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。
スクリーニングする改変タンパク質が有する所定機能は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。
工程(j)
工程(j)は、前記改変タンパク質の機能を評価し、前記改変タンパク質の機能に基づいて、前記微生物に由来するタンパク質の機能を推定する工程である。
工程(j)は、前記改変タンパク質の機能を評価し、前記改変タンパク質の機能に基づいて、前記微生物に由来するタンパク質の機能を推定する工程である。
改変タンパク質は、微生物に由来するタンパク質の一部(PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列)を有しているので、改変タンパク質の機能は、微生物に由来するタンパク質の機能を反映している可能性がある。タンパク質の機能には機能ドメインが関与すると考えられるので、改変タンパク質が有する微生物に由来するタンパク質の一部(PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列)が、第1〜第nの既知タンパク質と同一種類の機能を有するタンパク質の機能ドメインである場合、改変タンパク質の機能は、微生物に由来するタンパク質の機能を反映している可能性が高い。また、改変タンパク質が有する微生物に由来するタンパク質の一部(PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列)は、第1〜第nの既知タンパク質と同一種類の機能を有するタンパク質の一部であると考えられるので、工程(e)で見出される既知タンパク質(微生物に由来するタンパク質の一部が組み込まれるタンパク質)が、第1〜第nの既知タンパク質と同一種類の機能を有する場合、改変タンパク質の機能は、微生物に由来するタンパク質の機能を反映している可能性が高い。
〔実施例1〕高温環境土壌に含まれる微生物に由来するゲノムDNAの獲得
(1)高温環境土壌の採取
DNAポリメラーゼを有効に利用するためには、PCR等に使用できるような耐熱性を有することが重要であると考えられる。そして、耐熱性酵素を得るためには、高温環境から試料を取得することが最も効率的である。そこで、高温環境として性質(pH)の異なる温泉地帯を選択した。一つは強酸性を示す九州鹿児島霧島温泉地域で、もう一つは中性に近いpHを示す宮城県鬼首温泉地域及び秋田県大噴湯温泉地域である。
(1)高温環境土壌の採取
DNAポリメラーゼを有効に利用するためには、PCR等に使用できるような耐熱性を有することが重要であると考えられる。そして、耐熱性酵素を得るためには、高温環境から試料を取得することが最も効率的である。そこで、高温環境として性質(pH)の異なる温泉地帯を選択した。一つは強酸性を示す九州鹿児島霧島温泉地域で、もう一つは中性に近いpHを示す宮城県鬼首温泉地域及び秋田県大噴湯温泉地域である。
温泉地域内の特定の領域には、マッドポット(泥が煮立っているような穴)が天然の状態(人手の入らない状態)で幾つも存在している。これらの地点から、採取地点ごとに、温度、pH等のデータとともに採取試料の色、水分量等の状態を映像等により記録した。各地点からは、十分量のDNAが回収できるように、100g程度の土壌、泥又は堆積物を採取した。
(2)高温環境土壌からのゲノムDNAの抽出
採取された土壌1gを滅菌したエッペンドルフチューブに分取した後、土壌に含まれる微生物に由来するゲノムDNAを抽出した。土壌からのゲノムDNAの抽出は、土壌からのDNA抽出キットであるUltra CleanTM Soil DNA Purification kit(MO Bio社製,カタログNo.12800-50,フナコシカタログNo.LM128000)を用いて行った。操作は本キットに添付されている操作手順書に従った。
採取された土壌1gを滅菌したエッペンドルフチューブに分取した後、土壌に含まれる微生物に由来するゲノムDNAを抽出した。土壌からのゲノムDNAの抽出は、土壌からのDNA抽出キットであるUltra CleanTM Soil DNA Purification kit(MO Bio社製,カタログNo.12800-50,フナコシカタログNo.LM128000)を用いて行った。操作は本キットに添付されている操作手順書に従った。
実際に抽出したDNA溶液の1/50量である2μLを分取し、18μLのTAE緩衝液(0.04M Tris,0.02M 酢酸,0.001M EDTA(pH8.0))及び2μLの電気泳動用濃縮染色液(0.25%ブロモフェノールブルー,0.25%キシレンシアノール,30%グリセロール)を加え、0.8%アガロースゲル電気泳動で確認した。
その結果、図1に示すように、量の多少は有るが、幾つかの地点からは10キロ塩基対以上の長さのゲノムDNAが回収されていることが確認できた。なお、図1中、「M」は分子量マーカーを表し、レーン1〜38は異なる地点に関する結果を表す。この結果から、高温環境土壌中には、十分量のゲノムDNAを抽出できる量の微生物が存在することが確認できた。
〔実施例2〕ファミリーA型DNAポリメラーゼ特異的プライマーを用いたPCR
(1)ファミリーA型DNAポリメラーゼ特異的プライマーの設計
複数の微生物(Bacillus subtilis、Bacillus caldotenax、Thermus aquaticus、Themus thermophilus、Escherichia coli)に由来するファミリーA型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列のアライメント結果を図2及び図3に示す。なお、図3は図2の続きである。
(1)ファミリーA型DNAポリメラーゼ特異的プライマーの設計
複数の微生物(Bacillus subtilis、Bacillus caldotenax、Thermus aquaticus、Themus thermophilus、Escherichia coli)に由来するファミリーA型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列のアライメント結果を図2及び図3に示す。なお、図3は図2の続きである。
図2及び図3中、四角で囲んだ2つの領域(DPNLQNIP及びQVHDELX(XはI、V又はLを表す))は、複数の微生物間で相同性が高いアミノ酸配列である。このアミノ酸配列は、その他の微生物が有するファミリーA型DNAポリメラーゼにおいても保存されていると推測される。
そこで、上記アミノ酸配列に基づいて、表1に示す2種類(5'プライマー(配列番号1)及び3'プライマー(配列番号2))の縮重プライマーを設計した(Takashi Uemori, Yoshizumi Ishino, Kayo Fujita, Kiyozo Asada and Ikunoshin Kato “Cloning of the DNA Polymerase Gene of Bacillus caldotenax and Characterization of the Gene Product” (1993) J. Biocem., 113, 401-410.)。
なお、「y」はt又はcを、「s」はc又はgを、「k」はg又はtを、「r」はa又はgを、「h」はa又はt又はcを、「n」はa又はg又はc又はtを表す。
(2)ファミリーA型DNAポリメラーゼ特異的プライマーを用いたPCR
10種類の微生物(Bacillus caldotenax,Bacillus caldolyticus,Escherichia coli,Bacillus subtilis,Lactobacillus bulgaricus,Lactobacillus homohiochii,Lactobacillus heterohiochii,Thermus aquaticus,Themus thermophilus,Sulfolobus solfataricus)から抽出したゲノムDNA 0.5ngの存在下、上記縮重プライマー100pmolを用いて、50μLの10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、15mM MgCl2、200μM dNTP及び5ユニット TAKARA Ex Taqポリメラーゼ(タカラバイオ社製)を含む溶液中でPCRを行った。PCRは、94℃で30秒間、55℃で1分間、72℃で2分間からなる温度サイクルを30サイクル行った。
10種類の微生物(Bacillus caldotenax,Bacillus caldolyticus,Escherichia coli,Bacillus subtilis,Lactobacillus bulgaricus,Lactobacillus homohiochii,Lactobacillus heterohiochii,Thermus aquaticus,Themus thermophilus,Sulfolobus solfataricus)から抽出したゲノムDNA 0.5ngの存在下、上記縮重プライマー100pmolを用いて、50μLの10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、15mM MgCl2、200μM dNTP及び5ユニット TAKARA Ex Taqポリメラーゼ(タカラバイオ社製)を含む溶液中でPCRを行った。PCRは、94℃で30秒間、55℃で1分間、72℃で2分間からなる温度サイクルを30サイクル行った。
その結果、図4に示すように、10種全ての微生物において、ファミリーA型DNAポリメラーゼに由来すると推定されるPCR増幅断片が得られた。なお、図4中、「M」は分子量マーカーを表し、レーン2はBacillus caldotenax、レーン3はBacillus caldolyticus、レーン4はEscherichia coli、レーン5はBacillus subtilis、レーン6はLactobacillus bulgaricus、レーン7はLactobacillus homohiochii、レーン8はLactobacillus heterohiochii、レーン9はThermus aquaticus、レーン10はThemus thermophilus、レーン11はSulfolobus solfataricusに関する結果である。
この結果から、上記縮重プライマーは、任意の微生物に由来するファミリーA型DNAポリメラーゼ遺伝子に対するプライマーとして使用できることが明らかになった。
この結果から、上記縮重プライマーは、任意の微生物に由来するファミリーA型DNAポリメラーゼ遺伝子に対するプライマーとして使用できることが明らかになった。
次に、霧島温泉地域、鬼首温泉地域等の高温環境土壌より回収されたゲノムDNAの全回収量の1/50(1μL)の存在下、上記縮重プライマー100pmolを用いて、50μLの10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、15mM MgCl2、200μM dNTP及び5ユニット TAKARA EX Taqポリメラーゼ(タカラバイオ社製)を含む溶液中でPCRを行った。PCRは、94℃で30秒間、55℃で1分間、72℃で2分間の温度サイクルを30サイクル行った。
その結果、図5に示すように、幾つかの地点から回収したゲノムDNAを鋳型とした場合、ファミリーA型DNAポリメラーゼに由来すると推定されるDNA断片が増幅された。DNA断片の長さが予測とほぼ一致していた場合に、DNA断片がファミリーA型DNAポリメラーゼに由来するDNA断片であると推定した。なお、図5中、「M」は分子量マーカーを表し、レーン1〜29は異なる地点に関する結果を表す。
(3)増幅断片のクローニング
PCR終了後の反応液に等量の10mM Tris−HCl(pH7.5)及び1mM EDTA溶液を加えた後、水溶液と等量の水飽和フェノール/クロロフォルム液を加えてよく攪拌し、70℃で10分間加温した後、10,000rpmで5分間遠心し、上層水溶液画分を注意して分取した。分取した水溶液画分を、Microcon100(ミリポア社製)に加え、2500rpmで15分間遠心した。再度、10mM Tris−HCl(pH7.5)及び1mM EDTA溶液を200μL加え、2,500rpmで15分間遠心した。以上の操作により、未反応プライマー、ヌクレオチド、塩等を除去した。
PCR終了後の反応液に等量の10mM Tris−HCl(pH7.5)及び1mM EDTA溶液を加えた後、水溶液と等量の水飽和フェノール/クロロフォルム液を加えてよく攪拌し、70℃で10分間加温した後、10,000rpmで5分間遠心し、上層水溶液画分を注意して分取した。分取した水溶液画分を、Microcon100(ミリポア社製)に加え、2500rpmで15分間遠心した。再度、10mM Tris−HCl(pH7.5)及び1mM EDTA溶液を200μL加え、2,500rpmで15分間遠心した。以上の操作により、未反応プライマー、ヌクレオチド、塩等を除去した。
PCR増幅断片 約0.05μgと、10mM Tris−HCl(pH7.5)及び1mM EDTA溶液に溶解したpGEM T−ベクター(Promega社製) 0.1μgと、10mM Tris−HCl(pH7.5)/1mM EDTA溶液8μLとを混合した後、ライゲーションキット・バージョン2(タカラバイオ社製)10μLを加えて16℃で30分間保温することにより、PCR増幅断片をプラスミドDNAにライゲートさせた。PCR増幅断片がライゲートされたプラスミドDNA 1μLを、氷中で溶解したカルシウム処理済大腸菌DH10B 50μLに加え、氷上で20分間静置し、42℃で2分間加温した後、950μLの液体LB培地(1Lあたり10gトリプトン、5g酵母抽出液、5g塩化ナトリウム及び1gグルコースを含む)を加え、37℃で60分間震盪培養した。震盪培養終了後の培養物150μLを、100μg/mL アンピシリンを含むLB寒天培地上に植菌し、一晩37℃で培養を行った。
(4)PCR増幅断片の塩基配列の解読
寒天培地上に増幅した大腸菌のコロニーを100μg/mL アンピシリン約2mLを含むLB培地に植菌し、一晩37℃で震盪培養した。増殖した菌体を10,000rpmで10分間の遠心で集菌し、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製,カタログNo.27104)を用いてプラスミドDNAを回収した。回収されたプラスミドDNAを鋳型とし、塩基配列解読用プライマー(M13プライマー M4及びTプロモータープライマー)を用いてPCRを行った。PCRには、ダイターミネーターサイクルシーケンシングキット(ABI社製)を使用し、塩基配列の解読には、ABI社製3700自動塩基配列検出装置を使用した。
寒天培地上に増幅した大腸菌のコロニーを100μg/mL アンピシリン約2mLを含むLB培地に植菌し、一晩37℃で震盪培養した。増殖した菌体を10,000rpmで10分間の遠心で集菌し、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製,カタログNo.27104)を用いてプラスミドDNAを回収した。回収されたプラスミドDNAを鋳型とし、塩基配列解読用プライマー(M13プライマー M4及びTプロモータープライマー)を用いてPCRを行った。PCRには、ダイターミネーターサイクルシーケンシングキット(ABI社製)を使用し、塩基配列の解読には、ABI社製3700自動塩基配列検出装置を使用した。
(5)PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列の確定
決定されたPCR増幅断片の塩基配列は機械的な誤差を含む場合があるので、塩基配列を人手によって修正して機械的な誤差を除いた後、塩基配列にコードされるアミノ酸配列を決定した。公共のタンパク質データベースを使用して相同性検索を行い、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と、既知のファミリーA型DNAポリメラーゼ(Thermus aquaticus由来のDNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ))のアミノ酸配列と比較を行った。
決定されたPCR増幅断片の塩基配列は機械的な誤差を含む場合があるので、塩基配列を人手によって修正して機械的な誤差を除いた後、塩基配列にコードされるアミノ酸配列を決定した。公共のタンパク質データベースを使用して相同性検索を行い、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と、既知のファミリーA型DNAポリメラーゼ(Thermus aquaticus由来のDNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ))のアミノ酸配列と比較を行った。
その結果、図6に示すように、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列には、ファミリーA型DNAポリメラーゼの機能ドメインのアミノ酸配列が含まれていることが確認された。
なお、図6中、「Taq」はTaqDNAポリメラーゼのアミノ酸配列を表し、「No.1」、「No.2」及び「No.3」は、異なる地点から回収されたゲノムDNAを鋳型として得られたPCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列を表し、それぞれTaqDNAポリメラーゼのアミノ酸配列と90%、57%及び52%の相同性を示す。また、「No.1」、「No.2」及び「No.3」に関するアミノ酸配列は、TaqDNAポリメラーゼと異なるアミノ酸配列のみを示す。
なお、図6中、「Taq」はTaqDNAポリメラーゼのアミノ酸配列を表し、「No.1」、「No.2」及び「No.3」は、異なる地点から回収されたゲノムDNAを鋳型として得られたPCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列を表し、それぞれTaqDNAポリメラーゼのアミノ酸配列と90%、57%及び52%の相同性を示す。また、「No.1」、「No.2」及び「No.3」に関するアミノ酸配列は、TaqDNAポリメラーゼと異なるアミノ酸配列のみを示す。
また、表2に示すように、異なる地点(a〜g)から回収されたゲノムDNAを鋳型として得られたPCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列は、それぞれ異なる微生物に由来するファミリーA型DNAポリメラーゼのアミノ酸配列と相同性を示したことから、数多くの未知ファミリーA型DNAポリメラーゼが高温環境中に存在することが確認できた。
〔実施例3〕改変DNAポリメラーゼをコードするDNAを有するプラスミドの構築
(1)制限酵素部位を導入するためのプライマーの設計
実施例2で得られたPCR増幅断片は、DNAポリメラーゼ活性の中心を担う領域をカバーするものであるから、Taq DNAポリメラーゼのアミノ酸配列のうち、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示す領域が、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列で置換された改変DNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼとは異なるDNAポリメラーゼ活性を示すと考えられ、向上したDNAポリメラーゼ活性を示す可能性がある。また、改変DNAポリメラーゼの機能は、高温土壌中に存在する未知ファミリーA型DNAポリメラーゼの機能を反映していると考えられる。
(1)制限酵素部位を導入するためのプライマーの設計
実施例2で得られたPCR増幅断片は、DNAポリメラーゼ活性の中心を担う領域をカバーするものであるから、Taq DNAポリメラーゼのアミノ酸配列のうち、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示す領域が、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列で置換された改変DNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼとは異なるDNAポリメラーゼ活性を示すと考えられ、向上したDNAポリメラーゼ活性を示す可能性がある。また、改変DNAポリメラーゼの機能は、高温土壌中に存在する未知ファミリーA型DNAポリメラーゼの機能を反映していると考えられる。
そこで、Taq DNAポリメラーゼをコードするDNAのうち、PCR増幅断片で置換される領域の外側に制限酵素部位(BlpI部位及びBglII部位)を導入するために、表3に示す2種類のプライマーA(配列番号3)及びプライマーB(配列番号4)を設計した。プライマーA及びBは、Taq DNAポリメラーゼのアミノ酸配列に影響することなく、新たな制限酵素部位を導入できるように設計されている。
一方、PCR増幅断片の外側に制限酵素部位(BlpI部位及びBglII部位)を導入するために、表3に示す2種類のプライマーC(配列番号5)及びプライマーD(配列番号6)を設計した。プライマーC及びDは、PCR増幅断片にコードされるアミノ酸配列に影響することなく、新たな制限酵素部位を導入できるように設計されている。
なお、表3中、一重下線部分は新たに導入されたBlpI部位を表し、二重下線部分は新たに導入されたBglII部位を表す。
(2)制限酵素部位導入プライマーを用いたPCR
Taq DNAポリメラーゼをコードするDNAを含むpTAQ9ベクター(Ishino Y, Ueno T, Miyagi M, Uemori T, Imamura M, Tsunasawa S, Kato I.“Overproduction of Thermus aquaticus DNA polymerase and its structural analysis by ion-spray mass spectrometry” (1994) J Biochem (Tokyo), 116(5), 1019-24)10ngの存在下、プライマーA及びB 2pmolを用いて、50μLの10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、15mM MgCl2、200μM dNTP及び2.5ユニット PfuUltra DNAポリメラーゼ(Stratagene社製)を含む溶液中でPCRを行った。PCRは、95℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間の温度サイクルを30サイクル行った。
Taq DNAポリメラーゼをコードするDNAを含むpTAQ9ベクター(Ishino Y, Ueno T, Miyagi M, Uemori T, Imamura M, Tsunasawa S, Kato I.“Overproduction of Thermus aquaticus DNA polymerase and its structural analysis by ion-spray mass spectrometry” (1994) J Biochem (Tokyo), 116(5), 1019-24)10ngの存在下、プライマーA及びB 2pmolを用いて、50μLの10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、15mM MgCl2、200μM dNTP及び2.5ユニット PfuUltra DNAポリメラーゼ(Stratagene社製)を含む溶液中でPCRを行った。PCRは、95℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間の温度サイクルを30サイクル行った。
次に、実施例2で得られたプラスミドクローン10ngの存在下、プライマーC及びD 2pmolを用いて、50μLの10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、15mM MgCl2、200μM dNTP及び2.5ユニット PfuUltra DNAポリメラーゼ(Stratagene社製)を含む溶液中でPCRを行った。PCRは、95℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間の温度サイクルを30サイクル行った。
(3)PCR増幅断片の制限酵素処理
PCR増幅断片を制限酵素BlpI及びBglIIで切断した。すなわち、各PCR増幅反応液50μLに10倍濃縮制限酵素用緩衝液(200mM Tris−HCl (pH8.2)、100mM MgCl2、600mM NaCl、10mM DTT)5μL、滅菌蒸留水42μL及び制限酵素BlpI 3μLを加えて、十分に混合した後、37℃で3時間保温した。次に、5M NaCl溶液を4μL及び制限酵素BglII 3μLを加えて、十分に混合した後、60℃で3時間保温した。保温終了後、10μLの10mM EDTA及び2%SDS液を加えて、反応を止めた。
0.8%アガロースゲル電気泳動により切断された各DNA断片を分離した後、QUIAGEN社製 QuiaQuickTipを用いて各DNA断片を回収・精製した。
PCR増幅断片を制限酵素BlpI及びBglIIで切断した。すなわち、各PCR増幅反応液50μLに10倍濃縮制限酵素用緩衝液(200mM Tris−HCl (pH8.2)、100mM MgCl2、600mM NaCl、10mM DTT)5μL、滅菌蒸留水42μL及び制限酵素BlpI 3μLを加えて、十分に混合した後、37℃で3時間保温した。次に、5M NaCl溶液を4μL及び制限酵素BglII 3μLを加えて、十分に混合した後、60℃で3時間保温した。保温終了後、10μLの10mM EDTA及び2%SDS液を加えて、反応を止めた。
0.8%アガロースゲル電気泳動により切断された各DNA断片を分離した後、QUIAGEN社製 QuiaQuickTipを用いて各DNA断片を回収・精製した。
(4)制限酵素処理されたDNA断片のライゲーション
回収・精製された各DNA断片0.5μg(1μL)を氷上で混合し、10mM Tris−HCl(pH7.5)及び1mM EDTA溶液3μL加え、さらにタカラバイオ社製 Takara Ligation Kit version2を5μL加えて、よく混合した後、16℃で1時間保温した。
回収・精製された各DNA断片0.5μg(1μL)を氷上で混合し、10mM Tris−HCl(pH7.5)及び1mM EDTA溶液3μL加え、さらにタカラバイオ社製 Takara Ligation Kit version2を5μL加えて、よく混合した後、16℃で1時間保温した。
(5)大腸菌への導入
ライゲーション反応液のうち1μLをカルシウム処理済大腸菌DH10B菌体液20μLと氷上で混合し、20分間静置し、42℃で2分間の熱処理後、LB液体培地980μLを加え、37℃で50分間震盪培養を行った。次いで、100μLを分取し、100μg/mLアンピシリンを含む寒天LB培地上に均一に植菌した後、一晩37℃で保温した。
ライゲーション反応液のうち1μLをカルシウム処理済大腸菌DH10B菌体液20μLと氷上で混合し、20分間静置し、42℃で2分間の熱処理後、LB液体培地980μLを加え、37℃で50分間震盪培養を行った。次いで、100μLを分取し、100μg/mLアンピシリンを含む寒天LB培地上に均一に植菌した後、一晩37℃で保温した。
(6)組み換えの確認
寒天培地上に植菌された大腸菌のうち、プラスミドDNAを有するもののみが寒天培地上で増殖しコロニーを形成した。形成されたコロニーのうち、無作為に10個を選択し、2mLのLB液体培地に植菌し、37℃で一晩震盪培養した後、QIAGEN社製 QIAprep Spin Miniprep Kit(カタログNo.27104)を用いてプラスミドDNAを回収した。回収したプラスミドDNAをBlpI及びBglIIで処理し、BlpI/BglII断片を切り出した。その結果、図7に示すように、Taq DNAポリメラーゼをコードするDNAを含むpTAQ9ベクターにPCR増幅断片が組み込まれていること、すなわち、改変DNAポリメラーゼをコードするDNAを有するpTAQ9ベクターを構築できたことが確認された。なお、図7中、「M」はマーカーを表し、レーン1〜3は、それぞれ異なる地点から回収されたゲノムDNAを鋳型として得られたPCR増幅断片が組み込まれたpTAQ9ベクターに関する結果を示す。
寒天培地上に植菌された大腸菌のうち、プラスミドDNAを有するもののみが寒天培地上で増殖しコロニーを形成した。形成されたコロニーのうち、無作為に10個を選択し、2mLのLB液体培地に植菌し、37℃で一晩震盪培養した後、QIAGEN社製 QIAprep Spin Miniprep Kit(カタログNo.27104)を用いてプラスミドDNAを回収した。回収したプラスミドDNAをBlpI及びBglIIで処理し、BlpI/BglII断片を切り出した。その結果、図7に示すように、Taq DNAポリメラーゼをコードするDNAを含むpTAQ9ベクターにPCR増幅断片が組み込まれていること、すなわち、改変DNAポリメラーゼをコードするDNAを有するpTAQ9ベクターを構築できたことが確認された。なお、図7中、「M」はマーカーを表し、レーン1〜3は、それぞれ異なる地点から回収されたゲノムDNAを鋳型として得られたPCR増幅断片が組み込まれたpTAQ9ベクターに関する結果を示す。
〔実施例4〕改変DNAポリメラーゼの発現及び機能解析
(1)ベクターの発現用大腸菌への導入
異なる改変DNAポリメラーゼをコードするDNAを有する2種類のpTAQ9ベクターを、外来タンパク質の発現効率が高い大腸菌BL21-CodonPlus(DE3)-RIL(Stratagene社製)に形質転換した。
大腸菌BL21-CodonPlus(DE3)-RILのコンピテント細胞を融解して、2本のファルコンチューブに0.1mLずつ移した。その中に、2種類のpTAQ9ベクター10ngに相当する溶液を別々に加え、氷中に30分間放置した後、42℃のヒートショックを30秒間行い、そこにSOC培地0.9mLを加え、37℃で1時間振とう培養した。その後、アンピシリンを含むLB寒天プレート上に適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体大腸菌BL21-CodonPlus(DE3)-RIL/ST0452-1を得た。
(1)ベクターの発現用大腸菌への導入
異なる改変DNAポリメラーゼをコードするDNAを有する2種類のpTAQ9ベクターを、外来タンパク質の発現効率が高い大腸菌BL21-CodonPlus(DE3)-RIL(Stratagene社製)に形質転換した。
大腸菌BL21-CodonPlus(DE3)-RILのコンピテント細胞を融解して、2本のファルコンチューブに0.1mLずつ移した。その中に、2種類のpTAQ9ベクター10ngに相当する溶液を別々に加え、氷中に30分間放置した後、42℃のヒートショックを30秒間行い、そこにSOC培地0.9mLを加え、37℃で1時間振とう培養した。その後、アンピシリンを含むLB寒天プレート上に適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体大腸菌BL21-CodonPlus(DE3)-RIL/ST0452-1を得た。
(2)改変DNAポリメラーゼの発現
寒天培地上に現れた形質転換体を、アンピシリンを含むLB培地5mL中、37℃で一晩培養した後、IPTG(Isopropyl-b-D-thiogalactopyranoside)を1mMになるように加え、さらに30℃で5時間培養した。培養後、遠心分離(6,000rpmで20分間)により集菌を行った。
集菌した菌体を75℃で30分間加熱処理した後、2倍量の50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)、1錠のプロテアーゼ阻害剤(Complete EDTA-free, Roche社製)、0.5mgのDNase RQ1(プロメガ社製)を加え、懸濁した。得られた懸濁液を超音波破砕し、37℃で10分間保温した後、遠心分離(11,000rpmで20分間)により上清を得た。この上清に終濃度0.2Mとなるように硫酸アンモニウムを加えた後、1,8000×gで10分間遠心し、上清を得た。この上清をHiTrapフェニールHPカラムで処理した後、HiTrapヘパリンHPカラムで処理し、粗DNAポリメラーゼ画分とした。
寒天培地上に現れた形質転換体を、アンピシリンを含むLB培地5mL中、37℃で一晩培養した後、IPTG(Isopropyl-b-D-thiogalactopyranoside)を1mMになるように加え、さらに30℃で5時間培養した。培養後、遠心分離(6,000rpmで20分間)により集菌を行った。
集菌した菌体を75℃で30分間加熱処理した後、2倍量の50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)、1錠のプロテアーゼ阻害剤(Complete EDTA-free, Roche社製)、0.5mgのDNase RQ1(プロメガ社製)を加え、懸濁した。得られた懸濁液を超音波破砕し、37℃で10分間保温した後、遠心分離(11,000rpmで20分間)により上清を得た。この上清に終濃度0.2Mとなるように硫酸アンモニウムを加えた後、1,8000×gで10分間遠心し、上清を得た。この上清をHiTrapフェニールHPカラムで処理した後、HiTrapヘパリンHPカラムで処理し、粗DNAポリメラーゼ画分とした。
粗DNAポリメラーゼ画分をSDS−PAGEに供した後、CBB(クマシーブリリアントブルー)染色した結果を図8に示す。図8中、「M」は分子量マーカーを表し、「pTAQ9」は、Taq DNAポリメラーゼをコードするDNAを含むpTAQ9ベクターを発現させて得られた粗DNAポリメラーゼ画分に関する結果を表し、レーン1及び2は、改変DNAポリメラーゼをコードするDNAを有するpTAQ9ベクターを発現させて得られた粗DNAポリメラーゼ画分に関する結果を表す。図8に示すように、粗DNAポリメラーゼ画分はほぼ均一なタンパク質評品であった。
(3)改変DNAポリメラーゼの機能解析
改変DNAポリメラーゼが耐熱性DNAポリメラーゼ活性を有するか否かを、本酵素を用いてPCRを行うことにより確認した。10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、15mM MgCl2及び200μM dNTPを含む緩衝液50μLに、pET32プラスミドDNA 1ng、該プラスミドDNAに特異的なT7プロモータープライマー及びT7ターミネータープライマー各10pmol(いずれもNovagen社製)、並びに粗DNAポリメラーゼ液1μLを混合し、94℃で30秒間、55℃で30秒間及び72℃で1分間の温度サイクルを30サイクル行った。また、コントロールとして、市販のTaqDNAポリメラーゼ(TaKaRa Taq)を用いて同様の条件でPCRを行った。その結果、図9に示すように、予定していたDNA領域の増幅が確認された。この結果から、改変DNAポリメラーゼが耐熱性DNAポリメラーゼ活性を有することが確認された。なお、図9中、「M」は分子量マーカーを表し、レーン1は、市販のTaqDNAポリメラーゼ(コントロール)を用いて得られたPCR増幅断片の電気泳動結果を示し、レーン2は改変DNAポリメラーゼを用いて得られたPCR増幅断片の電気泳動結果を示す。
改変DNAポリメラーゼが耐熱性DNAポリメラーゼ活性を有するか否かを、本酵素を用いてPCRを行うことにより確認した。10mM Tris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、15mM MgCl2及び200μM dNTPを含む緩衝液50μLに、pET32プラスミドDNA 1ng、該プラスミドDNAに特異的なT7プロモータープライマー及びT7ターミネータープライマー各10pmol(いずれもNovagen社製)、並びに粗DNAポリメラーゼ液1μLを混合し、94℃で30秒間、55℃で30秒間及び72℃で1分間の温度サイクルを30サイクル行った。また、コントロールとして、市販のTaqDNAポリメラーゼ(TaKaRa Taq)を用いて同様の条件でPCRを行った。その結果、図9に示すように、予定していたDNA領域の増幅が確認された。この結果から、改変DNAポリメラーゼが耐熱性DNAポリメラーゼ活性を有することが確認された。なお、図9中、「M」は分子量マーカーを表し、レーン1は、市販のTaqDNAポリメラーゼ(コントロール)を用いて得られたPCR増幅断片の電気泳動結果を示し、レーン2は改変DNAポリメラーゼを用いて得られたPCR増幅断片の電気泳動結果を示す。
Claims (7)
- 下記工程(a)〜(g)を含む、改変タンパク質の作製方法。
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程 - 下記工程(a)〜(h)を含む、改変タンパク質ライブラリーの作製方法。
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(h)微生物を含有する2種類以上の試料について前記工程(a)〜(g)を行う工程 - 下記工程(a)〜(i)を含む、所定機能を有する改変タンパク質のスクリーニング方法。
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(h)微生物を含有する2種類以上の試料について前記工程(a)〜(g)を行う工程
(i)前記改変タンパク質の機能を評価し、所定機能を有する改変タンパク質をスクリーニングする工程 - 下記工程(a)〜(g)及び(j)を含む、微生物に由来するタンパク質の機能推定方法。
(a)微生物を含有する試料から、前記微生物に由来するDNAを調製する工程
(b)同一種類の機能を有する第1〜第nの既知タンパク質の間で保存されているアミノ酸配列に基づいて縮重プライマーを作製する工程
(c)前記微生物に由来するDNAの存在下、前記縮重プライマーを用いてPCRを行う工程
(d)前記PCRにより増幅されたDNA断片の塩基配列を決定し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列を確定する工程
(e)前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と既知タンパク質のアミノ酸配列との相同性を評価し、前記DNA断片にコードされるアミノ酸配列と相同性を示すアミノ酸配列を有する既知タンパク質を見出す工程
(f)前記工程(e)で見出された既知タンパク質をコードするDNAのうち前記相同性を示すアミノ酸配列をコードする領域を前記DNA断片で置換して、改変DNAを作製する工程
(g)前記改変DNAを発現させて、改変タンパク質を作製する工程
(j)前記改変タンパク質の機能を評価し、前記改変タンパク質の機能に基づいて、前記微生物に由来するタンパク質の機能を推定する工程 - 前記工程(b)で作製される縮重プライマーが、前記第1〜第nの既知タンパク質をコードするDNAのうち、前記第1〜第nの既知タンパク質の機能ドメインをコードする領域を増幅できる請求項4記載の方法。
- 前記工程(e)で見出される既知タンパク質が、前記第1〜第nの既知タンパク質と同一種類の機能を有する請求項4又は5記載の方法。
- 前記微生物が培養不能又は培養条件が未知の微生物である請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
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