第一の本発明の接着剤は、上記式(I)で表される構成単位(I)を有する重合体(ただし上述の共重合体(Y)を除く)を含有している。
上記式(I)中、R4a、R4bは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。
また、mは2〜100のいずれかの整数を表し、2〜50のいずれかの整数であることが好ましい。また、各構成単位におけるmの値は、同一であっても相異なっていてもよい。
各構成単位におけるR4a同士、R4b同士は、同一又は相異なっていてもよい。
また、上記構成単位(I)の重合度は、mの値にもよるが、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
共重合体(Y)は、上記式(II)で表される繰り返し単位(II)と上記式(III)で表される繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖A、及び上記式(IV)で表される繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖Bを、B−A−Bの配置順序で有している。
ここで、上記式(II)中、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。
また、R1とR3は結合して環を形成してもよい。
R4a及びR4bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
R5は、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基等の炭化水素基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等のシリル基;を表す。
また、R1〜R5の炭化水素基は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
mは、2〜100のいずれかの整数を表し、2〜50のいずれかの整数であることが好ましい。また、各繰り返し単位におけるmの値は、同一であっても相異なっていてもよい。
各繰り返し単位において、式:−CH(R4b)−CH(R4a)−O−で表される基同士は、同一でも相異なっていてもよい。上記式(II)で表される繰り返し単位(II)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記式(II)で表される繰り返し単位(II)の重合度は、mの値にもよるが、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
また、上記式(III)中、R6及びR8は、それぞれ独立して、水素原子;又は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。
R6とR8は結合して環を形成してもよい。
R7は、水素原子;炭素数1〜10の炭化水素基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;カルボキシル基;酸無水物基;アミノ基;エステル基;又は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、酸無水物基、及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する有機基;を表す。
R9は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、酸無水物基、及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する有機基を表す。
また、R6〜R9は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
上記式(IV)中、R10〜R12は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。
R13は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基;2−ピリジル基、4−ピリジル基等のヘテロアリール基;を表し、中でもアリール基が好ましい。
また、R10〜R13は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。そのような置換基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
上記式(IV)で表される繰り返し単位(IV)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合体(Y)は、上記式(II)で表される繰り返し単位(II)と上記式(III)で表される繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖A、及び上記式(IV)で表される繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖Bを、B−A−Bの配置順序で有している。ここで、各ブロック鎖をB−A−Bの配置順序で有しているとは、B−A−Bの順である限り、各ブロック鎖が、直接結合していても、連結基、重合鎖等の他の構成単位をはさんで結合していてもよいことを意味する。なかでも、各ブロック鎖が、B‐A‐Bの順で結合して配列している場合が好ましい。この場合、結合しているとは、各ブロック鎖が直接結合している場合、酸素原子、アルキレン基等の低分子の連結基を介して結合している場合のいずれかを意味する。
本発明の第一の接着剤における、上記式(I)で表される構成単位(I)を有する重合体(ただし上述の共重合体(Y)を除く)の中では、上記式(II)で表される繰り返し単位(II)を有する重合体(ただし上述の共重合体(Y)を除く)が好ましい。
上記繰り返し単位(II)の具体例を、式(II)で表される繰り返し単位(II)に誘導される単量体で以下に例示する。
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「ブレンマーPMEシリーズ」〔式(II)においてR1=R2=水素原子、R3=メチル基、m=2〜90に相当する単量体〕(日本油脂(株)製)、アセチルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−ブチルジメチチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールシクロヘキセン−1−カルボキシレート、メトキシポリエチレングリコール−シンナメート。
これらの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の第一の接着剤における、上記繰り返し単位(II)を有する重合体(ただし上述の共重合体(Y)を除く)の中では、上記繰り返し単位(V)を有する重合体; 上記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖a、上記繰り返し単位(VI)を有するブロック鎖b及び上記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖cを、b−a−cの配置順序で有する共重合体;又は、繰り返し単位(II)を有する重合体が、繰り返し単位(II)を有するブロック鎖aと、繰り返し単位(III)を有するブロック鎖bとを有する共重合体;が好ましい。
ここで、各ブロック鎖を特定の配置順序で有しているとは、特定の順である限り、各ブロック鎖が、直接結合していても、連結基、重合鎖等の他の構成単位をはさんで結合していてもよいことを意味する。なかでも、各ブロック鎖が、特定の順で結合して配列している場合が好ましい。この場合、結合しているとは、各ブロック鎖が直接結合している場合、酸素原子、アルキレン基等の低分子の連結基を介して結合している場合のいずれか1つ以上の場合を意味する。
上記繰り返し単位(V)を有する重合体において、式(V)中、R100は、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。また、前記R100の炭化水素基は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
R200は、末端に活性ハロゲン原子を有することのできる官能基を表す。aは1〜3のいずれかの整数を表し、aが2以上の場合、式:−(R200)b−Xで表される基同士は、同一でも相異なっていてもよい。bは、1以上の整数を表し、bが2以上の場合、R200同士は、同一または相異なっていてもよい。その中でも、式(VII)で表される官能基が好ましく挙げられる。式(VII)中、R18及びR19は、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;又は、他の繰り返し単位との結合手を表す。R18、R19が、同時に他の繰り返し単位との結合手となることはない。また、前記R18及びR19の炭化水素基は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
R300は、ハロゲン原子、又は有機基を表す。有機基としては特に制限されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基などが好ましく挙げられる。
cは0または1以上の整数を表し、cが2以上の場合、R300同士は、同一又は相異なっていてもよい。
Xは、上記繰り返し単位(II)と、上記繰り返し単位(VI)とを有する共重合体である。
ここで、上記式(II)中、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。
また、R1とR3は結合して環を形成してもよい。
R4a及びR4bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
R5は、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基等の炭化水素基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等のシリル基;を表す。
また、R1〜R5の炭化水素基は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
mは、2〜100のいずれかの整数を表し、2〜50のいずれかの整数であることが好ましい。また、各繰り返し単位におけるmの値は、同一であっても相異なっていてもよい。
各繰り返し単位において、式:−CH(R4b)−CH(R4a)−O−で表される基同士は、同一でも相異なっていてもよい。上記繰り返し単位(II)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記繰り返し単位(II)の重合度は、mの値にもよるが、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
上記式(VI)中、R14〜R16は、それぞれ独立して、水素原子;又は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。R14とR16は結合して環を形成してもよい。R17は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基を表す。R17のアリール基は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
上記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖a、上記繰り返し単位(VI)を有するブロック鎖b及び上記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖cを、b−a−cの配置順序で有する共重合体において、上記式(II)中、R1〜R3は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。
また、R1とR3は結合して環を形成してもよい。
R4a及びR4bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
R5は、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基等の炭化水素基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等のシリル基;を表す。
また、R1〜R5の炭化水素基は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
mは、2〜100のいずれかの整数を表し、2〜50のいずれかの整数であることが好ましい。また、各繰り返し単位におけるmの値は、同一であっても相異なっていてもよい。
各繰り返し単位において、式:−CH(R4b)−CH(R4a)−O−で表される基同士は、同一でも相異なっていてもよい。上記繰り返し単位(II)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記繰り返し単位(II)の重合度は、mの値にもよるが、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
上記式(IV)中、R10〜R12は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。
R13は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基;2−ピリジル基、4−ピリジル基等のヘテロアリール基;を表し、中でもアリール基が好ましい。
また、R10〜R13は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。そのような置換基として、前記式(III-I)中のR6〜R8の置換基として例示したものと同様のものを挙げることができる。
前記式(IV)で表される繰り返し単位(IV)の具体例を、繰り返し単位(IV)に誘導される単量体で以下に例示する。これらの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、1−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等。
上記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖aと、繰り返し単位(III)を有するブロック鎖bとを有する共重合体において、繰り返し単位(II)及び繰り返し単位(III)は前述の通りである。
上記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖aと、繰り返し単位(III)を有するブロック鎖bとを有する共重合体は、さらに、繰り返し単位(II)及び繰り返し単位(III)と異なる繰り返し単位を含んでいてもよい。異なる繰り返し単位は、ブロック鎖a及び/又はブロック鎖bと、ブロックで結合していなくてもよいが、ブロックで結合している方が好ましい。
繰り返し単位(II)を有するブロック鎖aと、繰り返し単位(III)を有するブロック鎖bに加えて、繰り返し単位(II)及び繰り返し単位(III)と異なる繰り返し単位を有している共重合体において、それぞれの繰り返し単位のモル比は特に制限されないが、異なる繰り返し単位の合計モル数が、共重体中の総繰り返し単位モル数に対して、5〜99%の範囲であり、繰り返し単位(III)のモル数が、共重合体中の総繰り返し単位モル数に対して、1〜95%の範囲である共重合体が、接着強度の観点から好ましい。
その異なる繰り返し単位は、特に制限されないが、例えば、繰り返し単位(IV)、及び、繰り返し単位(III’)から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位が挙げられる。
上記式(III’)中、R6〜R8は、それぞれ独立に、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。また、R6とR8は、結合して環を形成してもよく、R95は、C1〜12アルキル基、アリール基、脂環式炭化水素基、又はヘテロ環基を表す。
第一の本発明の接着剤において、前記繰り返し単位(II)を含む場合、その繰り返し単位(II)の重合度は、特に制限されないが、ミクロ相分離構造を形成する上では、5以上であることが好ましい。
第一の本発明の接着剤において、前記繰り返し単位(IV)を含む場合、前記繰り返し単位(IV)の重合度は、特に制限されないが、ミクロ相分離構造を形成する上では、5以上であることが好ましい。
第一の本発明の接着剤において、前記繰り返し単位(VI)を含む場合、その繰り返し単位(VI)の重合度は、特に制限されないが、ミクロ相分離構造を形成する上では、5以上であることが好ましい。
前記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖a、前記繰り返し単位(VI)を有するブロック鎖b及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖cを、b−a−cの配置順序で有する共重合体において、前記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖aのモル数と、前記繰り返し単位(VI)を有するブロック鎖cのモル数及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖bのモル数の合計との比が、1:30〜30:1の範囲内であることが好ましい。このような範囲内であると、接着強度がより優れた接着剤が得られる。
第一の本発明の接着剤は、その分子中に、前記繰り返し単位(I)、(II)、(III’)、(IV)、(V)及び(VI)の他に、異なる繰り返し単位を構成単位として含むことができる。そのような繰り返し単位を、その繰り返し単位に誘導される単量体で以下に例示する。これらの単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−メチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−エチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸3,7−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ノルボルナン、(メタ)アクリル酸メンチル 、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニル、(メタ)アクリル酸3−オキソシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸メバロニックラクトン等の(メタ)アクリル酸エステル類;1,3−ブタジエン、イソプレン、2、3−ジメチル−1、3−ブタジエン、1、3−ペンタジエン、2−メチル−1、3−ペンタジエン、1、3−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン、4、5−ジエチル−1、3−オクタジエン、3−ブチル−1、3−オクタジエン、クロロプレン等の共役ジエン類;N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のα,β−不飽和カルボン酸イミド類;(メタ)アクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類。
第一の本発明の接着剤における重合体又は共重合体の数平均分子量は、特に制限されないが、5,000〜1,000,000の範囲が、接着剤の強度の観点から好ましい。
また、第一の本発明の接着剤における重合体又は共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、特に制限されないが、後述するミクロ相分離構造を形成する上では、1.01〜2.50、さらに1.01〜1.50の範囲が好ましい。
第二の本発明の接着剤は、前記構構成単位(I)を有する重合体と、金属塩とを含有することを特徴とする。この構成単位(I)は、第一の本発明の接着剤における構成単位(I)と同様である。なお、第一の本発明の接着剤からは、共重合体(Y)を含有する接着剤が除かれているが、第二の本発明の接着剤は、前記繰り返し単位(II)と前記繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖A、及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖Bを、B−A−Bの配置順序で有している共重合体(すなわち共重合体(Y))と、金属塩とを含有する接着剤を含んでいる。
第二の本発明の接着剤における、前記構構成単位(I)を有する重合体の中では、前記繰り返し単位(II)を有する重合体が好ましい。
上記繰り返し単位(II)の具体例を、式(II)で表される繰り返し単位(II)に誘導される単量体で以下に例示する。
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「ブレンマーPMEシリーズ」〔式(II)においてR1=R2=水素原子、R3=メチル基、m=2〜90に相当する単量体〕(日本油脂(株)製)、アセチルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−ブチルジメチチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールシクロヘキセン−1−カルボキシレート、メトキシポリエチレングリコール−シンナメート。
これらの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
第二の本発明の接着剤における、前記繰り返し単位(II)を有する重合体の中では、前記繰り返し単位(V)を有する重合体;前記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖a、前記繰り返し単位(VI)を有するブロック鎖b及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖cを、b−a−cの配置順序で有する共重合体;上記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖aと、繰り返し単位(III)を有するブロック鎖bとを有する共重合体;又は、前記繰り返し単位(II)と前記繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖A、及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖Bを、B−A−Bの配置順序で有している共重合体;が好ましい。
ここで、前記繰り返し単位(V)を有する重合体; 前記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖a、前記繰り返し単位(VI)を有するブロック鎖b及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖cを、b−a−cの配置順序で有する共重合体;及び、上記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖aと、繰り返し単位(III)を有するブロック鎖bとを有する共重合体;については、第一の本発明の接着剤におけるものと同様である。また、前記繰り返し単位(II)と前記繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖A、及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖Bを、B−A−Bの配置順序で有している共重合体における、繰り返し単位(II)、繰り返し単位(III)及び繰り返し単位(IV)は、第一の本発明の接着剤の上記式(II)で表される繰り返し単位(II)を有するブロック鎖a、前記繰り返し単位(VI)を有するブロック鎖b及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖cを、b−a−cの配置順序で有する共重合体における、繰り返し単位(II)、繰り返し単位(III)及び繰り返し単位(IV)と同様である。
前記繰り返し単位(II)と前記繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖A、及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖Bを、B−A−Bの配置順序で有している共重合体における、各ブロック鎖をB−A−Bの配置順序で有しているとは、B−A−Bの順である限り、各ブロック鎖が、直接結合していても、連結基、重合鎖等の他の構成単位をはさんで結合していてもよいことを意味する。なかでも、各ブロック鎖が、B‐A‐Bの順で結合して配列している場合が好ましい。この場合、結合しているとは、各ブロック鎖が直接結合している場合、酸素原子、アルキレン基等の低分子の連結基を介して結合している場合のいずれかを意味する。
上記式(III)中、R6及びR8は、それぞれ独立して、水素原子;又は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。
R6とR8は結合して環を形成してもよい。
R7は、水素原子;炭素数1〜10の炭化水素基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;カルボキシル基;酸無水物基;アミノ基;エステル基;又は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、酸無水物基、及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する有機基;を表す。
R9は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、酸無水物基、及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する有機基を表す。
また、R6〜R9は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
本発明においては、前記繰り返し単位(III)の中でも、以下に示す式(III-I)、(III-II)、(III-III)、又は(III-IV)で表される繰り返し単位(III-I)、(III-II)、(III-III)、又は(III-IV)が好ましい。
式(III-I)
式(III-II)
式(III-III)
式(III-IV)
前記式(III-I)中、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。
R6とR8は結合して環を形成してもよい。
R90は炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基、炭素数3〜10の2価脂環式炭化水素基、又はこれらを複合した2価有機基を表す。
また、R6〜R8及びR90は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。置換基の具体例としては、フッ素原子、クロル原子、又はブロム原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ニトリル基;ニトロ基;メトキシ基、フェノキシ基等の炭化水素オキシ基;メチルチオ基;メチルスルフィニル基;メチルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換基を有していてもよいアミノ基;アニリノ基;等を挙げることができる。
前記繰り返し単位(III-I)の具体例を、繰り返し単位(III-I)に誘導される単量体で以下に例示する。これらの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記式(III-II)中、R6〜R8は、前記繰り返し単位(III-I)のR6〜R8と同様である。pは1〜3のいずれかの整数を表す。水酸基の置換位置は特に限定されない。
前記繰り返し単位(III-II)の具体例を、繰り返し単位(III-II)に誘導される単量体で以下に例示する。これらの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記式(III-III)中、R6〜R8は、前記繰り返し単位(III-I)のR6〜R8と同様である。R91は、前記繰り返し単位(III-I)のR90と同様である。R92は、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;を表す。
R92は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、前記R6〜R8の置換基として例示したものと同様のものを挙げることができる。
前記繰り返し単位(III-III)の具体例を、繰り返し単位(III-III)に誘導される単量体で以下に例示する。これらの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記式(III-IV)中、R6〜R8は、それぞれ独立して、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。また、R6とR8は結合して環を形成してもよい。
R93は、水素原子、又は下記式(III-V)で表される官能基を表す。
前記式(III-V)中、R94メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜6のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜10の2価芳香族炭化水素基;シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロへキシレン基、アダマンタンジイル基等の炭素数3〜10の2価脂環式炭化水素基;アルキレン基、2価芳香族炭化水素基、2価脂環式炭化水素基を2以上複合した2価の有機基;を表す。
また、R6〜R8、R93〜R94は、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、前記式(III-I)中のR6〜R8の置換基として例示したものと同様のものを挙げることができる。
前記繰り返し単位(III-IV)の具体例を、繰り返し単位(III-IV)に誘導される単量体で以下に例示する。これらの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の共重合体は、前記繰り返し単位(III-I)〜(III-IV)以外の繰り返し単位(III)として、繰り返し単位(III)に誘導される単量体で以下に例示する。これらの化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記繰り返し単位(III)の重合度は、特に制限されないが、5以上であることが好ましい。
上記繰り返し単位(II)と上記繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖A、及び上記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖Bを、B−A−Bの配置順序で有している共重合体における、ブロック鎖Aは、前記繰り返し単位(II)のモル数が、50〜95%の範囲であり、前記繰り返し単位(III)のモル数が50〜5%の範囲の共重合体でなくてもよいが、そのような共重合体であることが接着強度の観点から好ましい。
また、上記繰り返し単位(II)と上記繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖A、及び上記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖Bを、B−A−Bの配置順序で有している共重合体においては、その共重合体中の総繰り返し単位モル数に対して、繰り返し単位(II)と繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖Aのモル数が10〜80%の範囲であり、繰り返し単位(IV)のモル数が20〜90%の範囲の共重合体でなくてもよいが、そのような共重合体であることが接着強度の観点から好ましい。
第二の本発明の接着剤において、前記繰り返し単位(II)を含む場合、その繰り返し単位(II)の重合度は、特に制限されないが、ミクロ相分離構造を形成する上では、5以上であることが好ましい。
第二の本発明の接着剤において、前記繰り返し単位(III)を含む場合、その繰り返し単位(III)の重合度は、特に制限されないが、ミクロ相分離構造を形成する上では、5以上であることが好ましい。
第二の本発明の接着剤において、前記繰り返し単位(IV)を含む場合、前記繰り返し単位(IV)の重合度は、特に制限されないが、ミクロ相分離構造を形成する上では、5以上であることが好ましい。
第二の本発明の接着剤において、前記繰り返し単位(VI)を含む場合、その繰り返し単位(VI)の重合度は、特に制限されないが、ミクロ相分離構造を形成する上では、5以上であることが好ましい。
第二の本発明の接着剤における重合体又は共重合体の数平均分子量は、特に制限されないが、5,000〜1,000,000の範囲が、接着剤の強度の観点から好ましい。
また、第二の本発明の接着剤における重合体又は共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、特に制限されないが、後述するミクロ相分離構造を形成する上では、1.01〜2.50、さらに1.01〜1.50の範囲が好ましい。
また、第二の本発明の接着剤は、金属塩を含有している。金属塩を含有していると、接着強度が著しく向上するからである。金属塩を含有させると、金属塩が構成単位(I)に含まれる酸素原子等に配位して擬似架橋を形成する結果、重合体の架橋密度が増加し、接着強度が向上するものと考えられる。
また、前記繰り返し単位(V)を有する重合体;前記繰り返し単位(II)を有するブロック鎖a、前記繰り返し単位(VI)を有するブロック鎖b及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖cを、b−a−cの配置順序で有する共重合体;の場合、金属塩を含んでいないと有機溶剤に溶解してしまうため、固体中で用いる必要があるが、金属塩を添加すると、有機溶剤中でも溶解することなく、接着剤としての機能を果たすことが可能となる。
金属塩としては、特に制限されないが、電解質塩であることが好ましい。電解質塩としては、アルカリ金属塩、(CH3)4NBF6等の4級アンモニウム塩、(CH3)4PBF6等の4級ホスホニウム塩、AgClO4等の遷移金属塩、あるいは塩酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸等のプロトン酸が挙げられ、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩又は遷移金属塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましい。金属塩は、複数種を併用してもよい。
アルカリ金属塩の具体例としては、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiC(CH3)(CF3SO2)2、LiCH(CF3SO2)2、LiCH2(CF3SO2)、LiC2F5SO3、LiN(C2F5SO2)2、LiB(CF3SO2)2、LiPF6、LiClO4、LiI、LiBF4、LiSCN、LiAsF6、NaCF3SO3、NaPF6、NaClO4、NaI、NaBF4、NaAsF6、KCF3SO3、KPF6、KI、LiCF3CO3、NaClO3、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2等が挙げられ、リチウム塩が特に好ましい。
金属塩は、構成単位(I)を含む重合体中のアルキレンオキサイドユニットに対して、0.005〜80モル%の範囲が好ましく、さらに、0.01〜30モル%の範囲が好ましい。このような範囲内で金属塩を含有させると、より優れた接着強度が得られる。金属塩を多く添加しすぎると、金属塩がポリマーと相溶せず単独で析出する結果、接着強度の低下を招く恐れがある。
第一及び第二の本発明(以下、本発明という)の重合体又は共重合体は、ミクロ相分離構造を有していなくてもよいが、ミクロ相分離構造を有していることが好ましく、ネットワーク型ミクロ相分離構造を有していることが特に好ましい。この様な構造を有することで、イオン導電性及び、物理的特性、熱的特性、特に強度を改善することができる。本発明における「ミクロ相分離構造」には、シリンダー、ラメラ、球状といった構造が含まれ、重合体又は共重合体の一次構造、分子量、分子量分布等の条件により適宜安定な相分離構造を取り得る。
本発明の重合体又は共重合体は、遷移金属錯体を重合触媒、ハロゲン原子を1又は複数含む有機ハロゲン化合物を重合開始剤とするリビングラジカル重合法、安定ラジカルによるリビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法、等の公知の重合法を利用して、適当な単量体を重合させることによって、製造することができる。これらの重合法の中でも、効率よく目的とする重合体又は共重合体を得ることができることからリビングラジカル重合法が好ましい。
本発明の重合体又は共重合体の製造方法の一例として、例えば、前記繰り返し単位(II)と前記繰り返し単位(III)とを含むランダム共重合体からなるブロック鎖A、及び前記繰り返し単位(IV)を有するブロック鎖Bを、B−A−Bの配置順序で有している共重合体の製造方法を記載する。このような共重合体の場合は、下記式(VIII)、式(IX)及び式(X)で表される化合物の少なくとも一種を単量体として用いて重合することによって製造することができる。
式(VIII)、式(IX)及び式(X)中のR1〜R13、及びmは前記と同じ意味を表す。
この製造方法をより詳細に説明すると、
(イ)前記式(VIII)で表される化合物と前記式(IX)で表される化合物とを、リビングラジカル重合法において、2官能開始剤を用いて反応させることにより得られる2官能ブロック鎖等の各ブロック鎖を含むマクロ開始剤に、さらに他のブロック鎖を構成する単量体を反応させて遂次にブロック鎖を伸長して製造する方法、
(ロ)前記式(VIII)で表される化合物と前記式(IX)で表される化合物とを、単官能開始剤を用い、他は前記(イ)と同様に行い、端から順次ブロック鎖を伸長して製造する方法、
(ハ)各ブロック鎖、又は、各ブロック鎖の一部を所定の配列で重合した後、カップリング反応により製造する方法、
等を例示することができる。
前記遷移金属錯体を構成する中心金属としては、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、銅等の周期律表第7〜11族元素(日本化学会編「化学便覧基礎編I改訂第4版」(1993年)記載の周期律表による)が好ましく挙げられる。なかでもルテニウムが好ましい。
これらの金属に配位して錯体を形成する配位子としては、特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリナフチルホスフィン等の炭素数18〜54のトリアリールホスフィン;トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン等の炭素数3〜18のトリアルキルホスフィン;トリフェニルホスファイト等のトリアリールホスファイト;ジフェニルホスフィノエタン;ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子;一酸化炭素;水素原子;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロオクタテトラエン、インデン、ノルボルナジエン等のジエン化合物;ベンゼン、シメン、フェノール、4−イソプロピルトルエン、シクロペンタジエニルトルエン、インデニルトルエン等の芳香族炭化水素;サリシリデン;2−メチルペンテン、2−ブテン等のアルケン;アレン;フラン;カルボン酸;含窒素系配位子;カルコゲナイド;等を挙げることができる。
前記遷移金属錯体の好ましい具体例としては、ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化鉄(I)、ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ルテニウム(II)、カルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ニッケル(II)等を挙げることができる。これらの遷移金属錯体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
有機ハロゲン化合物は、1〜4個又はそれ以上のハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を含み、遷移金属錯体と作用してラジカル種を発生させることにより重合を開始させる開始剤として用いることができる。このような有機ハロゲン化合物は1種単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。
有機ハロゲン化合物の好ましい具体例としては、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化エステル(ハロゲン含有エステル)、ハロゲン化ケトン(ハロゲン含有ケトン)、スルホニルハライド(ハロゲン化スルホニル化合物)等を挙げることができる。
リビングラジカル重合法においては、さらに、金属錯体に作用することにより、ラジカル重合を促進させる活性化剤を併用することができる。かかる活性化剤としては、ルイス酸及び/又はアミン類を挙げることができる。前記ルイス酸及びアミン類は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ルイス酸の種類は特に制限されず、例えば、アルミニウム系ルイス酸、スカンジウム系ルイス酸、チタン系ルイス酸、ジルコニウム系ルイス酸、スズ系ルイス酸等を使用することができる。
アミン類としては、2級アミン、3級アミン、含窒素芳香族複素環化合物等、含窒素化合物であれば、特に制限されないが、2級アミン、3級アミンが好ましい。また、同一分子内に、1級アミン部分、2級アミン部分、及び3級アミン部分から選ばれる少なくとも2つ以上を有する化合物も使用することができる。
遷移金属錯体と、ルイス酸及び/又はアミン類との使用割合は、遷移金属錯体/ルイス酸/アミン類(モル比)で、通常、0.05〜0.2/1〜10/1、好ましくは0.1/1〜5/1程度である。
リビングラジカル重合は、安定ラジカルを用いて行うこともできる。
安定ラジカル系開始剤としては、安定フリーラジカル化合物とラジカル重合開始剤との混合物、又は各種アルコキシアミン類を挙げることができる。
安定フリーラジカル化合物は、室温又は重合条件下で単独で安定な遊離基として存在し、また重合反応中には生長末端ラジカルと反応して再解離可能な結合を生成することができる化合物である。そのような化合物として、例えば、ニトロキシドラジカル、ヒドラジニルラジカル及び/又はニトロキシルラジカル等のラジカルを1個から複数個生成する化合物が挙げられ、具体的には、ニトロキシ化合物、ヒドラジニル化合物及びニトロキシル化合物等が挙げられ、より具体的には、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペルジニルオキシ、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4,4’−ジメチル−1,3−オキサゾリン−3−イルオキシ、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロジニルオキシ、ジ−t−ブチルニトロキシド、2,2−ジ(4−t−オクチルフェニル)−1−ピクリルヒドラジル等を挙げることができる。
ラジカル重合開始剤としては、分解してフリーラジカルを生成する化合物であれば、特に制限されず、例えば、アゾ化合物類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類等の有機過酸化物を挙げることができる。また、ジメチルアニリンやナフテン酸コバルト等有機過酸化物と組み合わせて用いられる公知の重合促進剤を併用してもよい。
これらのラジカル重合開始剤は、前述の安定フリーラジカル化合物1モルに対して通常0.05〜5モル、好ましくは0.2〜2モルの範囲で用いることができる。
アルコキシアミン類としては、ラジカル重合ハンドブック、107頁(1999年)エヌティエス社、J.Am.Chem.Soc.,121,3904(1999)等の文献に記載されている化合物を例示することができ、特に、下記に示す化合物を好ましく例示することができる。
リビングラジカル重合法による重合体又は共重合体の製造方法として、具体的には、例えば、
(a)第1の単量体の転化率が100%に達した後、第2の単量体を添加して重合を完結させ、これを繰り返すことによりブロック共重合体を得る単量体を逐次的に添加する方法、
(b)第1の単量体の転化率が100%に達しなくとも目標の重合度又は分子量に達した段階で第2の単量体を加えて重合を継続し、ブロック鎖間にランダム部分が存在するグラジエント共重合体を得る方法、
(c)第1の単量体の転化率が100%に達しなくとも目標の重合度又は分子量に達した段階で一旦反応を停止、系外に重合体を取りだし、得られた重合体をマクロ開始剤として他の単量体を加えて共重合反応を断続的に進行させて、ブロック共重合体を得る方法、
等を例示することができる。
重合形態は、特に制限されず、慣用の重合形態、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、又は乳化重合等が採用できるが、溶液重合が特に好ましい。
溶液重合を行う場合、溶媒としては特に制限されず、慣用の溶媒、たとえば、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、脂環族炭化水素類(シクロヘキサン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、オクタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アルコール類(メタノール、エタノール等)、多価アルコール誘導体類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)等が使用できる。このような溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
重合反応は、通常、真空、又は窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気中、温度0〜200℃、好ましくは40〜150℃の反応温度、常圧又は加圧下において行なうことができる。
また、本発明の重合体又は共重合体の重合方法として、リビングラジカル重合法を用い、分子内に水酸基、カルボキシル基等の活性水素を有する化合物を用いる方法を採用する場合には、必要に応じて、シリル化、アセタール化、BOC化等公知の保護化反応により活性水素を保護してから重合反応に供し、重合後、酸、アルカリ等により脱保護化反応を行うことができる。
重合反応の追跡及び重合反応終了の確認は、公知の分析手段、例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、膜浸透圧法、NMR等により容易に行うことができる。
重合反応終了後は、カラム精製、あるいは、反応液を水や貧溶媒中に投入して析出したポリマー分を濾過、乾燥する方法等、通常の分離精製方法を適用することにより、目的とする重合体又は共重合体を単離することができる。
第二の本発明の接着剤は、本発明の重合体又は共重合体と、金属塩とを溶媒中で混合し均一溶液を形成させることにより得られる。
ここで、溶媒は、本発明の重合体又は共重合体が溶解するものであれば特に制限はない。
本発明の接着剤は、本発明の効果を妨げない限り、前記の重合体又は共重合体及び金属塩の他に、任意成分を含んでいてもよい。そのような任意成分として、架橋剤、フィラー、等を挙げることができる。
本発明の接着剤においては、架橋剤を、構成単位(I)、繰り返し単位(II)、及び繰り返し単位(III)のいずれか1モルに対して、0.01〜2モル含有するものが好ましく、0.1〜1モル含有するものがより好ましい。用いる架橋剤としては、特に制限されないが、分子内に2個以上のイソシアネート基を含むポリイソシアネート化合物や分子内に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物を挙げることができる。
第一の本発明の接着剤は、オレフィン樹脂等のプラスチック、金属、無機化合物、セラミックス、これらのコーティング基板に対して高い接着力を有すると共に、導電性を有している。また、第一の本発明の接着剤は、溶剤にある程度溶解するので、固体部材間の接着剤としての使用に適している。これらの性質から、第一の本発明の接着剤は、固体電池用として好ましく用いることができる。
第二の本発明の接着剤は、オレフィン樹脂等のプラスチック、金属、無機化合物、セラミックス、これらのコーティング基板に対して高い接着力を有すると共に、導電性を有している。さらに、第二の本発明の接着剤は、耐溶剤性に優れているので、溶剤中での使用も可能である。これらの性質から、第二の本発明の接着剤は、固体電池であるか液体電池であるかを問わず、電池用として好ましく用いることができる。
本発明の接着剤は、優れた強度を有していることから、電池の電極の結着剤として用いた場合は、電極の膨潤・収縮に対しても、電極活物質間をしっかりと固定し、電池の熱安定性を向上させることが可能である。
本発明の接着剤の使用方法としては、(i)本発明の接着剤と、架橋剤とを溶媒に溶解し、基材に塗布し、架橋、固化させる方法、(ii)架橋条件の異なる2種以上の重合体又は共重合体を含む本発明の接着剤の場合は、その接着剤、及び1種以上の架橋剤を溶媒に溶解し、基材に塗布し、その接着剤の重合体又は共重合体の一種のみが架橋する条件の下に架橋させた後、さらに、他の重合体又は共重合体を架橋、固化させる方法、(iii)架橋条件の異なる2種以上の重合体又は共重合体を含む本発明の接着剤の場合は、その接着剤、及び1種以上の架橋剤を、その接着剤の重合体又は共重合体の一種のみが架橋する条件の下に架橋させた後、さらに、他の重合体又は共重合体を架橋、固化させる方法、等を挙げることができる。
本発明の接着方法としては、本発明のいずれかの接着剤を、接着したい対象物間に塗布等することを含んでいれば特に制限はない。本発明の接着方法として、例えば、(i)本発明の接着剤と、架橋剤とを溶媒に溶解し、基材に塗布し、架橋、固化させる方法、(ii)架橋条件の異なる2種以上の重合体又は共重合体を含む本発明の接着剤の場合は、その接着剤、及び1種以上の架橋剤を溶媒に溶解し、基材に塗布し、その接着剤の重合体又は共重合体の一種のみが架橋する条件の下に架橋させた後、さらに、他の重合体又は共重合体を架橋、固化させる方法、(iii)架橋条件の異なる2種以上の重合体又は共重合体を含む本発明の接着剤の場合は、その接着剤、及び1種以上の架橋剤を、その接着剤の重合体又は共重合体の一種のみが架橋する条件の下に架橋させた後、さらに、他の重合体又は共重合体を架橋、固化させる方法、等を挙げることができる。
本発明の電池は、第一の本発明の接着剤、第二の本発明の接着剤、又はその両方が用いられている電池である。本発明の接着剤が用いられている電池とは、電池を構成するいずれかの部分で本発明の接着剤が利用されていることを意味する。そのような電池としては、例えば、本発明の接着剤が、電池の電極の結着に使用されている電池等が例示される。
例えば、電池の電極の結着剤として用いた場合は、電極の膨潤・収縮に対しても、電極活物質間がしっかりと固定され、熱安定性が向上した電池が得られる。
本発明の接着剤の接着強度の向上方法は、式(I)で表される構成単位(I)を有する重合体に、金属塩を含有させることを特徴としている。金属塩を含有させると、金属塩が構成単位(I)に含まれる酸素原子等に配位して擬似架橋を形成する結果、重合体の架橋密度が増加し、接着強度が向上するものと考えられる。
式(I)表される構成単位(I)を有する重合体については、第二の本発明の接着剤における、前記式(I)表される構成単位(I)を有する重合体と同様である。
前記構成単位(I)を有する重合体としては、前記繰り返し単位(II)を有する重合体が好ましい。前記繰り返し単位(II)を有する重合体については、第二の本発明の接着剤における、前記繰り返し単位(II)を有する重合体と同様である。
また、金属塩については、上記第二の本発明の接着剤における金属塩と同様である。
以下、本発明を実施例を用いて、詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)接着剤の調製
(1)ポリマーAの製造
アルゴン雰囲気下において、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂社製、ブレンマーPME−1000、前記式(II)において、R1=R2=R4a=R4b=水素原子、R3=R5=メチル基、m=23、以下、「PME−1000」と略す)601.2g(540ミリモル)トルエン1800gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。
この混合溶液に、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム1.44g(1.5ミリモル)、ジ−n−ブチルアミン0.78g(6.0ミリモル)を加え、さらに2,2−ジクロロアセトフェノン0.57g(3.0ミリモル)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して70時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。
減圧下に揮発分を除去して得られた粘稠な残渣を60℃で5時間減圧乾燥した。得られた共重合体について、GPC分析を行ったところ、Mw=237,000、Mw/Mn=1.71の単分散ポリマーであった。
アルゴン雰囲気下において、先に合成したP−PME1000 160.0g(0.68mmol)、スチレン 68.5g(657.6mmol)、トルエン 920gをフラスコに採取し、均一に混合した。この混合溶液を脱気後、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム 0.51g(0.64mmol)、ジ−n−ブチルアミン 0.41g(3.2mmol)を加え、100℃に加温することにより重合反応を開始させた。重合反応を開始して63時間後に、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。スチレンの重合率は29%であった。大量の冷ヘキサンで再沈し、得られたポリマーを30℃で20時間減圧乾燥した。
以上のようにして、PME−1000とStとのブロック共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=404,000、Mw/Mn=1.96であった。また、共重合体中の繰り返し単位総モル数に対するPME−1000繰り返し単位モル数の比率が44%、スチレン(St)繰り返し単位モル数の比率が56%であった。
以上のようにして得られた重合体を「ポリマーA」とする。ポリマーA中のポリエチレンオキサイド(以下、「PEO」と略す;前記式(I)において、R4a=R4b=水素原子)の含量は、81重量%であった。
(2)ポリマーBの製造
アルゴン雰囲気下において、PME−1000 30.0g(26.9ミリモル)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEMA」と略す)3.3g(25.6ミリモル)、トルエン100.0gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。
この混合溶液に、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.16g(0.17ミリモル)、ジ−n−ブチルアミン0.09g(0.67ミリモル)を加え、さらに2,2−ジクロロアセトフェノン0.06g(0.33ミリモル)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して62時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。減圧下に揮発分を除去して得られた粘稠な残渣を60℃で5時間減圧乾燥した。
以上のようにして、PME−1000とHEMAとのランダム共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=169,000、Mw/Mn=1.71であった。また、共重合体中の繰り返し単位総モル数に対するPME−1000繰り返し単位モル数の比率が51%、HEMA繰り返し単位モル数の比率が49%であった。
以上のようにして得られた重合体を「ポリマーB」とする。ポリマーB中のPEOの含量は、81重量%であった。
(3)ポリマーCの製造
アルゴン雰囲気下において、PME−1000 135.0g(121.3ミリモル)、HEMA 15.0g(115.3ミリモル)、トルエン450.0gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。
この混合溶液に、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.72g(0.75ミリモル)、ジ−n−ブチルアミン0.39g(3.0ミリモル)を加え、さらに2,2−ジクロロアセトフェノン0.28g(1.5ミリモル)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して47時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。減圧下に揮発分を除去して得られた粘稠な残渣を60℃で5時間減圧乾燥した。
以上のようにして、PME−1000とHEMAとのランダム共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=215,000、Mw/Mn=2.15であった。
アルゴン雰囲気下において、先に合成したP−(PME1000/HEMA) 50.0g(0.23mmol)、スチレン 18.5g(177.6mmol)、トルエン 160gをフラスコに採取し、均一に混合した。この混合溶液を脱気後、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム 0.12g(0.15mmol)、ジ−n−ブチルアミン 0.07g(0.5mmol)を加え、100℃に加温することにより重合反応を開始させた。
重合反応を開始して46時間後に、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。スチレンの重合率は19%であった。大量の冷ヘキサンで再沈し、得られたポリマーを30℃で20時間減圧乾燥した。
以上のようにして、(PME−1000/HEMA)とStとのブロック共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=276,000、Mw/Mn=2.43であった。また、共重合体中の繰り返し単位総モル数に対するPME−1000繰り返し単位モル数の比率が33%、HEMA繰り返し単位モル数の比率が32%、St繰り返し単位モル数の比率が35%であった。
以上のようにして得られた重合体を「ポリマーC」とする。ポリマーC中のPEOの含量は、75重量%であった。
(4)ポリマーDの製造
アルゴン雰囲気下において、PME−1000 30.0g(26.9ミリモル)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEMA」と略す)3.3g(25.6ミリモル)、トルエン100.0gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。
この混合溶液に、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.16g(0.17ミリモル)、ジ−n−ブチルアミン0.09g(0.67ミリモル)を加え、さらに2,2−ジクロロアセトフェノン0.06g(0.33ミリモル)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して62時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。減圧下に揮発分を除去して得られた粘稠な残渣を60℃で5時間減圧乾燥した。
以上のようにして、PME−1000とHEMAとのランダム共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=169,000、Mw/Mn=1.71であった。
アルゴン雰囲気下において、先に合成したP−(PME1000/HEMA) 22.4g(0.13mmol)、スチレン 14.9g(143.4mmol)、トルエン 112gをフラスコに採取し、均一に混合した。この混合溶液を脱気後、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム 0.05g(0.06mmol)、ジ−n−ブチルアミン 0.04g(0.28mmol)を加え、100℃に加温することにより重合反応を開始させた。
重合反応を開始して68時間後に、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。スチレンの重合率は26%であった。大量の冷ヘキサンで再沈し、得られたポリマーを30℃で20時間減圧乾燥した。
以上のようにして、(PME−1000/HEMA)とStとのブロック共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=276,000、Mw/Mn=2.43であった。また、共重合体中の繰り返し単位総モル数に対するPME−1000繰り返し単位モル数の比率が25%、HEMA繰り返し単位モル数の比率が23%、St繰り返し単位モル数の比率が52%であった。
以上のようにして得られた重合体を「ポリマーD」とする。ポリマーD中のPEOの含量は、70重量%であった。
(5)ポリマーEポリマーの製造
アルゴン雰囲気下において、PME−1000 135.0g(121.3ミリモル)、HEMA 15.0g(115.3ミリモル)、トルエン450.0gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。
この混合溶液に、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.72g(0.75ミリモル)、ジ−n−ブチルアミン0.39g(3.0ミリモル)を加え、さらに2,2−ジクロロアセトフェノン0.28g(1.5ミリモル)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して47時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。減圧下に揮発分を除去して得られた粘稠な残渣を60℃で5時間減圧乾燥した。
以上のようにして、PME−1000とHEMAとのランダム共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=215,000、Mw/Mn=2.15であった。
アルゴン雰囲気下において、先に合成したP−(PME1000/HEMA) 50.0g(0.23mmol)、スチレン 75.0g(720mmol)、トルエン 300gをフラスコに採取し、均一に混合した。この混合溶液を脱気後、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム 0.12g(0.15mmol)、ジ−n−ブチルアミン 0.07g(0.5mmol)を加え、100℃に加温することにより重合反応を開始させた。
重合反応を開始して68時間後に、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。スチレンの重合率は21%であった。大量の冷ヘキサンで再沈し、得られたポリマーを30℃で20時間減圧乾燥した。
以上のようにして、(PME−1000/HEMA)とStとのブロック共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=329,000、Mw/Mn=2.02であった。また、共重合体中の繰り返し単位総モル数に対するPME−1000繰り返し単位モル数の比率が18%、HEMA繰り返し単位モル数の比率が17%、St繰り返し単位モル数の比率が65%であった。
以上のようにして得られた重合体を「ポリマーE」とする。ポリマーE中のPEOの含量は、62重量%であった。
(6)ポリマーFの製造
アルゴン雰囲気下において、PME−1000 90.0g(80.8ミリモル)、HEMA 10.0g(76.8ミリモル)、トルエン300.0gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。
この混合溶液に、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.48g(0.5ミリモル)、ジ−n−ブチルアミン0.26g(2.0ミリモル)を加え、さらに2,2−ジクロロアセトフェノン0.19g(1.0ミリモル)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。
重合反応を開始して45時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。減圧下に揮発分を除去して得られた粘稠な残渣を60℃で5時間減圧乾燥した。
以上のようにして、PME−1000とHEMAとのランダム共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=155,000、Mw/Mn=1.54であった。
アルゴン雰囲気下において、先に合成したP−(PME1000/HEMA) 28.0g(0.18mmol)、スチレン 84.0g(807mmol)、トルエン 110gをフラスコに採取し、均一に混合した。この混合溶液を脱気後、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム 0.06g(0.08mmol)、ジ−n−ブチルアミン 0.05g(0.37mmol)を加え、100℃に加温することにより重合反応を開始させた。
重合反応を開始して28時間後に、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。スチレンの重合率は19%であった。大量の冷ヘキサンで再沈し、得られたポリマーを30℃で20時間減圧乾燥した。
以上のようにして、(PME−1000/HEMA)とStとのブロック共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=445,000、Mw/Mn=2.07であった。また、共重合体中の繰り返し単位総モル数に対するPME−1000繰り返し単位モル数の比率が12%、HEMA繰り返し単位モル数の比率が12%、St繰り返し単位モル数の比率が76%であった。
以上のようにして得られた重合体を「ポリマーF」とする。ポリマーF中のPEOの含量は、54重量%であった。
(7)ポリマーGの製造
アルゴン雰囲気下において、PME−1000 90.0g(80.8ミリモル)、HEMA 10.0g(76.8ミリモル)、トルエン300.0gをフラスコに取り、均一に混合後、脱気処理を行った。
この混合溶液に、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.48g(0.5ミリモル)、ジ−n−ブチルアミン0.26g(2.0ミリモル)を加え、さらに2,2−ジクロロアセトフェノン0.19g(1.0ミリモル)を加え、攪拌下、80℃に加温して重合反応を開始させた。重合反応を開始して45時間経過後、反応系の温度を0℃に冷却して重合反応を停止させた。反応液のカラム精製を行って金属錯体と未反応モノマーを除去した。減圧下に揮発分を除去して得られた粘稠な残渣を60℃で5時間減圧乾燥した。
以上のようにして、PME−1000とHEMAとのランダム共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=155,000、Mw/Mn=1.54であった。
アルゴン雰囲気下において、先に合成したP−(PME1000/HEMA) 28.0g(0.18mmol)、スチレン 116.0g(1115mmol)、トルエン 150gをフラスコに採取し、均一に混合した。この混合溶液を脱気後、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム 0.06g(0.08mmol)、ジ−n−ブチルアミン 0.05g(0.37mmol)を加え、100℃に加温することにより重合反応を開始させた。
重合反応を開始して28時間後に、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。スチレンの重合率は47%であった。大量の冷ヘキサンで再沈し、得られたポリマーを30℃で20時間減圧乾燥した。
以上のようにして、(PME−1000/HEMA)とStとのブロック共重合体を得た。得られた共重合体のGPC−MALLS分析を行ったところ、Mw=214,000、Mw/Mn=1.22であった。また、共重合体中の繰り返し単位総モル数に対するPME−1000繰り返し単位モル数の比率が8%、HEMA繰り返し単位モル数の比率が8%、St繰り返し単位モル数の比率が84%であった。
以上のようにして得られた重合体を「ポリマーG」とする。ポリマーG中のPEOの含量は、44重量%であった。
以上のポリマーA〜ポリマーGの組成比を以下の表1にまとめる。
(実施例2)金属塩(リチウム塩)を含有する接着剤の調製
(1)リチウム塩含有ポリマーの製造
ポリマーA 1gを、テトラヒドロフラン(以下、「THF」と略す)とアセトニトリルとの混合溶媒(THF:4g; アセトニトリル:5g)9g中に溶解させ、さらにLiPF6を80mg加えて均一に溶解させて、接着剤(ポリマーA LiPF6)を調製した。なお、ポリマーA 1g中のエチレンオキサイド(以下、「EO」と略す)に対する、加えた金属塩(LiPF6)における金属(Li)の当量比([Li]/[EO])は、0.03であった。
(2)リチウム塩含有ポリマーの製造
ポリマーE 1gを、THFとアセトニトリルとの混合溶媒(THF:4g; アセトニトリル:5g)9g中に溶解させ、さらにLiPF6を64mg加えて均一に溶解させて、接着剤(ポリマーE LiPF6)を調製した。なお、ポリマーE 1g中のEOに対する、加えた金属塩(LiPF6)における金属(Li)の当量比([Li]/[EO])は、0.03であった。
LiPF6に代えて、LiClO4を用いて同様の操作を行い、接着剤(ポリマーE LiClO4)を調製した。なお、ポリマーE 1g中のEOに対する、加えた金属塩(LiClO4)における金属(Li)の当量比([Li]/[EO])は、0.03であった。
LiPF6に代えて、LiN(CF3SO2)(以下、「LiTFSI)と略す)を用いて同様の操作を行い、接着剤(ポリマーE LiTFSI)を調製した。
(実施例3)架橋剤を含有する接着剤の調製
ポリマーE 1gを、THFとアセトニトリルとの混合溶媒(THF:4g; アセトニトリル:5g)9g中に溶解させ、架橋剤としてトリレン−2,4−ジイソシアネート(以下、「TDI」と略す)を53mg加えて均一に溶解させて、接着剤(ポリマーE TDI(100%))を調製した。なお、この接着剤ポリマー中の架橋点のうち、TDIによる架橋の割合(TDIの架橋率)は100%であった。
また、架橋剤(TDI)の量を減らして同様の操作を行い、接着剤(ポリマーE TDI(50%))を調製した。なお、この接着剤ポリマー中の架橋点のうち、TDIによる架橋の割合(TDIの架橋率)は50%であった。
(実施例4)架橋剤及び金属塩を含有する接着剤の調製
ポリマーE 1gを、THFとアセトニトリルとの混合溶媒(THF:4g; アセトニトリル:5g)9g中に溶解させ、架橋剤としてトリレン−2,4−ジイソシアネート(以下、「TDI」と略す)を53mg、さらにLiPF6を64mg([Li]/[EO])=0.03)加えて均一に溶解させて、接着剤(ポリマーE TDI(100%)LiPF6)を調製した。なお、この接着剤ポリマー中の架橋点のうち、TDIによる架橋の割合(TDIの架橋率)は100%であった。
ポリマーEに代えて、ポリマーBを用い、さらに、TDIと、[Li]/[EO]が0.03になるような量のLiPF6とを用いて同様の操作を行い、接着剤(ポリマーB TDI(100%)LiPF6)を調製した。なお、この接着剤ポリマー中の架橋点のうち、TDIによる架橋の割合(TDIの架橋率)は100%であった。
ポリマーEに代えて、ポリマーCを用い、さらに、TDIと、[Li]/[EO]が0.03になるような量のLiPF6とを用いて同様の操作を行い、接着剤(ポリマーC TDI(100%)LiPF6)を調製した。なお、この接着剤ポリマー中の架橋点のうち、TDIによる架橋の割合(TDIの架橋率)は100%であった。
ポリマーEに代えて、ポリマーDを用い、さらに、TDIと、[Li]/[EO]が0.03になるような量のLiPF6とを用いて同様の操作を行い、接着剤(ポリマーD TDI(100%)LiPF6)を調製した。なお、この接着剤ポリマー中の架橋点のうち、TDIによる架橋の割合(TDIの架橋率)は100%であった。
ポリマーEに代えて、ポリマーFを用い、さらに、TDIと、[Li]/[EO]が0.03になるような量のLiPF6とを用いて同様の操作を行い、接着剤(ポリマーF TDI(100%)LiPF6)を調製した。なお、この接着剤ポリマー中の架橋点のうち、TDIによる架橋の割合(TDIの架橋率)は100%であった。
ポリマーEに代えて、ポリマーGを用い、さらに、TDIと、[Li]/[EO]が0.03になるような量のLiPF6とを用いて同様の操作を行い、接着剤(ポリマーG TDI(100%)LiPF6)を調製した。なお、この接着剤ポリマー中の架橋点のうち、TDIによる架橋の割合(TDIの架橋率)は100%であった。
(比較例1)
比較例のポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン(以下、「PVdF」と略す)を用意した。また、PVdF 0.3gを、NMP溶媒4.7g中に溶解させ、さらにLiPF6を21.4mg加えて均一に溶解させて、接着剤(PVdF LiPF6)を調製した。
(実施例5)接着試験1
(1)接着試験体の作製
アルミニウム板(100mm×25mm×1mm)を用意し、その一端の部分(12.5mm×25mm)に、表2に記載された接着剤を塗布した。それとは別にポリエチレン製多孔質フィルム(100mm×25mm×1mm)を用意し、その一端の部分(12.5mm×25mm)を、上記アルミニウム板の接着剤が塗布された部分に重ねて張り合わせた。次に、それを加熱真空乾燥(25℃で0.5時間、さらに65℃で4時間)して接着試験体を作製した。
(2)接着強度の測定
得られた接着試験体の両端をオートグラフ(島津製作所社製)にセットし、25℃において引張り速度10mm/minで引張り試験を行った。引張り試験は、JISK 6850:1990に準拠して実施した。引張り試験の測定結果から、破断応力(MPa)を算出した。その結果を表2に示す。
表2の結果から、ポリマーA及びポリマーEのいずれも、金属塩(リチウム塩)を添加することによって、破断応力が大きく向上し、接着強度が著しく上昇することが分かった。一方、ポリフッ化ビニリデンの場合も、金属塩(リチウム塩)を添加すると接着強度が上昇したが、その上昇率は比較的低かった。
また、用いたリチウム塩の中では、LiPF6、LiClO4が、LiTFSIよりも接着強度の向上効果が優れていた。また、ポリマーEにおいては、架橋剤(TDI)のみを加えた場合も、接着強度の向上が見られたが、さらに金属塩(リチウム塩)を加えると接着強度がより向上し、架橋剤と金属塩が接着強度の向上に対して相乗効果を示すことが分かった。
(実施例6)接着試験2
表2の接着試験で用いたポリマー以外のポリマーについても、架橋剤(TDI)と金属塩(リチウム塩)により接着強度が向上するかどうかを調べるために、表3に記載の接着剤を用い、実施例5と同様の接着試験を行った。
その結果を表3に示す。
表3の結果から分かるように、他の本発明のポリマーについても、架橋剤(TDI)と金属塩(リチウム塩)により接着強度が向上することが確認された。
(実施例7)導電性試験
アルゴン雰囲気下において、図1に記載されたポリマーEを用いた接着剤をポリテトラフルオロエチレン板上に塗布し、加熱真空乾燥(25℃で0.5時間、さらに65℃で4時間)して均一な導電率測定評価膜を得た(膜厚100μm)。得られた評価膜を白金板に挟み、周波数5〜10MHzのインピーダンスアナライザー(Solartron-1260型)を用いて複素インピーダンス解析によりイオン導電性を測定した。その結果を図1に示す。図1の結果から分かるとおり、いずれの評価膜においても、良好なイオン導電性を示した。