JP2007098361A - 基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 基板を処理するときの水平面に対する基板の角度を容易に変更することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】 処理槽33には、処理空間38が形成される。この処理空間38には、基板保持部34と、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bと、第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bとが設けられる。基板保持部34は、処理空間38内で、基板32を保持する。第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bは、基板32に洗浄液を噴射する。第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bは、基板32に乾燥用気体を噴射する。姿勢変化手段37は、処理槽33の姿勢を変化させる。処理槽33の姿勢が変化すると、処理槽33の処理空間38に設けられる基板保持部34および各ノズル41a,41b,42a,42bの姿勢も変化する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関し、詳しくは、基板に流体を供給することによって基板を処理する基板処理装置に関する。
図32は、従来の技術である基板洗浄装置1の構成を模式的に示す図である。図33は、基板洗浄装置1の一部を構成する洗浄部2の、基板Wの搬送方向3から見た構成を模式的に示す図である。この従来の技術は、特許文献1に開示される。この従来の技術の基板洗浄装置1は、基板処理装置の一例である。基板洗浄装置1は、半導体基板などの基板Wを洗浄するために用いられる。基板洗浄装置1は、処理槽10内で、搬送ローラ4によって基板Wを搬送しつつ、複数の洗浄部2,5〜7によって基板Wを洗浄処理することができるように構成される。搬送ローラ4は、基板Wを、水平面8に対して傾斜させた状態で搬送する。
前記従来の技術では、基板Wを洗浄処理するときの基板Wの姿勢を変更しようとすると、搬送ローラ4などの搬送機構の位置および姿勢を変更する必要がある。搬送機構の位置および姿勢を変更して基板Wの姿勢を変更すると、洗浄部2,5〜7などの洗浄機構と基板Wとの配置関係が変わってしまうので、洗浄機構の位置および姿勢をも変更する必要がある。このように搬送機構の位置および姿勢と洗浄機構の位置および姿勢とをそれぞれ調整する必要がある。したがって基板Wの姿勢を変更するための調整作業が困難であるという問題がある。
本発明の目的は、基板を処理するときの基板の姿勢を変更するための調整作業を容易化することができる基板処理装置を提供することである。
本発明は、処理空間が形成される処理槽と、
処理空間に設けられる基板保持部を有し、この基板保持部によって処理空間内で基板を保持する基板保持手段と、
処理空間に設けられる流体供給部を有し、この流体供給部から、基板保持部によって保持される基板に、この基板を処理するための処理流体を供給する流体供給手段と、
処理槽の姿勢を変化させる姿勢変化手段とを含むことを特徴とする基板処理装置である。
処理空間に設けられる基板保持部を有し、この基板保持部によって処理空間内で基板を保持する基板保持手段と、
処理空間に設けられる流体供給部を有し、この流体供給部から、基板保持部によって保持される基板に、この基板を処理するための処理流体を供給する流体供給手段と、
処理槽の姿勢を変化させる姿勢変化手段とを含むことを特徴とする基板処理装置である。
また本発明は、姿勢変化手段は、
処理槽をこの処理槽の重心または重心付近を通って水平に延びる回動軸線まわりに回動自在に支持する支持体と、
処理槽を回動軸線まわりに回動させる回動駆動源とを有することを特徴とする。
処理槽をこの処理槽の重心または重心付近を通って水平に延びる回動軸線まわりに回動自在に支持する支持体と、
処理槽を回動軸線まわりに回動させる回動駆動源とを有することを特徴とする。
また本発明は、流体供給部を、基板保持部によって保持される基板に沿って移動させる移動手段をさらに含み、
移動手段は、
処理槽の外部に設けられる可動体と、
処理槽の外部に設けられ、可動体を変位駆動する可動体駆動源と、
処理空間から処理槽の外部にわたって設けられ、流体供給部と可動体とを連結する連結部とを有することを特徴とする。
移動手段は、
処理槽の外部に設けられる可動体と、
処理槽の外部に設けられ、可動体を変位駆動する可動体駆動源と、
処理空間から処理槽の外部にわたって設けられ、流体供給部と可動体とを連結する連結部とを有することを特徴とする。
また本発明は、流体供給手段は、流体供給部である洗浄液噴射部から、基板を洗浄するための洗浄液を噴射する洗浄液噴射手段を含み、
洗浄液噴射手段は、基板保持部によって保持される基板が水平面に対して所定の処理角度をなすように処理槽の姿勢が維持される処理状態で、洗浄液噴射部から前記基板に、洗浄液を噴射することを特徴とする。
また本発明は、所定の処理角度は、5度以上90度以下に選ばれることを特徴とする。
洗浄液噴射手段は、基板保持部によって保持される基板が水平面に対して所定の処理角度をなすように処理槽の姿勢が維持される処理状態で、洗浄液噴射部から前記基板に、洗浄液を噴射することを特徴とする。
また本発明は、所定の処理角度は、5度以上90度以下に選ばれることを特徴とする。
また本発明は、洗浄液噴射部には、直径10μm以上200μm以下の複数の洗浄液噴射孔が一直線上に配列するように形成されることを特徴とする。
また本発明は、洗浄液噴射部には、一直線上に延びる洗浄液噴射孔であって、開口ギャップ10μm以上200μm以下の洗浄液噴射孔が形成されることを特徴とする。
また本発明は、洗浄液噴射手段は、基板保持部によって保持される基板の両面に、洗浄液を噴射することを特徴とする。
また本発明は、前記処理状態で、処理槽の内面のうちで基板保持部によって保持される基板に上方から対向する対向面が、水平面に対して傾斜することを特徴とする。
また本発明は、流体供給手段は、流体供給部である乾燥用気体噴射部から、基板を乾燥させるための乾燥用気体を噴射する乾燥用気体噴射手段を含むことを特徴とする。
また本発明は、処理槽には、処理空間に対して基板を搬入出するための基板搬入出口が形成されることを特徴とする。
本発明によれば、処理槽には、処理空間が形成される。この処理空間には、基板保持部と流体供給部とが設けられる。基板保持手段は、前記基板保持部を有し、この基板保持部によって処理空間内で基板を保持する。流体供給手段は、前記流体供給部を有し、この流体供給部から、基板保持部によって保持される基板に、この基板を処理するための処理流体を供給する。したがって処理槽の処理空間内で、基板を処理することができる。
姿勢変化手段は、処理槽の姿勢を変化させる。処理槽の姿勢が変化すると、この処理槽の処理空間に設けられる基板保持部および流体供給部の位置および姿勢も変化する。したがって姿勢変化手段によって処理槽の姿勢を変化させることによって、基板を処理するときの基板の姿勢を変更することができる。
基板保持部および流体供給部は、処理槽の処理空間に設けられるので、処理槽の姿勢が変化すると、基板保持部と流体供給部との配置関係が一定に保たれたまま、基板保持部の位置および姿勢と流体供給部の位置および姿勢とが変化する。したがって基板保持部の位置および姿勢と流体供給部の位置および姿勢とをそれぞれ調整する必要がなく、これによって基板を処理するときの基板の姿勢を変更するための調整作業を容易化することができる。
また処理槽の処理空間には、基板を処理するときの基板の姿勢を変更するための機構を設ける必要がないので、処理空間内の構成を簡素化することができ、かつ処理槽を小形化することができる。さらに前記機構からの発塵による処理空間の汚染を防ぐことができ、処理空間内で処理される基板の汚染を防ぐことができる。
また本発明によれば、支持体によって、処理槽を回動軸線まわりに回動自在に支持し、回動駆動源によって、処理槽を回動軸線まわりに回動させる。前記回動軸線は、処理槽の重心または重心付近を通って水平に延びるので、処理槽が回動軸線まわりに回動するときの、処理槽の重心の移動を少なくすることができる。したがって、できるだけ小さな駆動力で、処理槽を回動軸線まわりに回動させることができる。
また本発明によれば、流体供給部は、連結部によって可動体に連結され、可動体は、可動体駆動源によって変位駆動される。これによって流体供給部を、基板保持部によって保持される基板に沿って移動させることができ、したがって処理流体を供給可能な範囲を大きくすることができる。
可動体および可動体駆動源は、処理槽の外部に設けられるので、処理空間内の構成を簡素化することができ、かつ処理槽を小形化することができる。また可動体および可動体駆動源からの発塵による処理空間の汚染を防ぐことができ、処理空間内で処理される基板の汚染を防ぐことができる。
また本発明によれば、流体供給手段は、洗浄液噴射手段を含む。洗浄液噴射手段は、基板保持部によって保持される基板が水平面に対して所定の処理角度をなすように処理槽の姿勢が維持される処理状態で、洗浄液噴射部から前記基板に、洗浄液を噴射する。前記処理状態で洗浄液噴射部から基板に洗浄液を噴射することによって、基板の表面において、洗浄液の基板に沿う下方への一方向の流れを発生させることができる。これによって基板の表面に付着する基板汚染物を剥離除去することができる。しかも、基板の表面に付着する基板汚染物は、一方向に流れる洗浄液によって基板の表面から剥離された後、その洗浄液の流れによって基板外へ排除されるので、一旦剥離された基板汚染物がその基板の表面に再付着することがない。
また本発明によれば、所定の処理角度が5度以上90度以下に選ばれることによって、基板の表面における洗浄液の一方向への流れが一層安定し、基板汚染物の除去効率を向上させることができる。
また本発明によれば、洗浄液噴射部には、複数の洗浄液噴射孔が形成される。各洗浄液噴射孔は、直径が10μm以上200μm以下であり、相互に平行に延び、一直線上に整列して開口する。このような各洗浄液噴射孔から洗浄液が噴射されるので、基板の表面において、洗浄液の基板に沿う下方への一方向の流れを容易に発生させることができ、基板の表面に付着する基板汚染物の除去効率を向上させることができる。
また本発明によれば、洗浄液噴射部には、洗浄液噴射孔が形成される。この洗浄液噴射孔は、一直線上に延び、しかも開口ギャップが10μm以上200μm以下である。このような洗浄液噴射孔から洗浄液が噴射されるので、基板の表面において、洗浄液の基板に沿う下方への一方向の流れを容易に発生させることができ、基板の表面に付着する基板汚染物の除去効率を向上させることができる。
また本発明によれば、洗浄液噴射手段が、基板保持部によって保持される基板の両面に、洗浄液を噴射するので、前記基板の両面を洗浄することができる。
また本発明によれば、処理槽の内面の一部が、前記処理状態で、基板保持部によって保持される基板に上方から対向する。前記処理槽の内面の一部である対向面は、前記処理状態で、水平面に対して傾斜する。これによって対向面に液滴が付着する場合、この液滴は、対向面に沿って下方に流れる。したがって対向面に付着する液滴が前記基板に落下してしまうという不具合を防ぐことができる。
また本発明によれば、流体供給手段は、乾燥用気体噴射手段を含む。乾燥用気体噴射手段は、乾燥用気体噴射部から、基板を乾燥させるための乾燥用気体を噴射する。乾燥用気体噴射部から、基板保持部によって保持される基板に、乾燥用気体を噴射することによって、前記基板を、できるだけ短い時間で乾燥させ、生産性を向上させることができる。
また本発明によれば、処理槽には、基板搬入出口が形成され、この基板搬入出口を介して、処理空間に対して基板を搬入出することができる。これによって処理前の基板を処理空間に搬入することができ、また処理後の基板を処理空間から搬出することができる。したがって処理空間内で順次、基板を処理することができる。
図1は、本発明の実施の一形態である基板処理装置31の構成を示す斜視図である。図2は、基板処理装置31の断面図であり、図2(a)は搬入出状態を示し、図2(b)は処理状態を示す。本実施の形態の基板処理装置31は、基板32を洗浄するために用いられ、詳しくは、基板32の表面に付着した基板汚染物を除去するために用いられる。
基板32は、たとえば液晶表示装置用基板である。基板32は、液晶表示装置用基板に限らず、プラズマディスプレイ用基板であってもよい。また基板32は、プリント基板であってもよく、あるいは半導体ウェハであってもよい。基板32の形状は限定されないけれども、本実施の形態では、厚み方向から見た形状が長方形状または正方形状であることを想定して説明する。
基板汚染物は、微粒子、金属粒子、金属化合物および有機物から選ばれる1種または2種以上である。微粒子とは、一般にパーティクルと呼ばれる有機または無機の塵埃であって、粒径が10μm以下のものを意味する。金属粒子とは、たとえば、重金属、貴金属などの金属原子、そのイオンなどを含む塊である微細粒子を意味する。金属化合物とは、基板32の表面に残存する酸化膜、自然酸化膜、酸化物などを意味する。有機物とは、ワックス、オイル、樹脂、ホトレジスト片などを意味する。
基板処理装置31は、処理槽33と、基板保持手段である基板保持部34と、流体供給手段35と、移動手段36と、姿勢変化手段37とを含む。処理槽33には、処理空間38が形成される。この処理空間38では、予め定める仮想平面39に沿うように基板32が保持される。以下、前記予め定める仮想平面39を、基板保持面39という。基板保持面39は、処理槽33に対して一定の配置関係を有する。
説明の便宜上、次のように第1〜第3方向X〜Zを定義する。第1および第2方向X,Yは、基板保持面39に対して平行な方向であり、かつ基板保持面39内で相互に直交する方向である。第3方向Zは、基板保持面39に対して垂直な方向である。
処理槽33の処理空間38には、基板保持部34と、流体供給手段35の一部を構成する流体供給部41,42とが設けられる。基板保持部34は、処理空間38内で、基板保持面39に沿うように基板32を保持する。流体供給部41,42は、基板保持部34によって保持される基板32に、この基板32を処理するための処理流体を供給する。したがって処理槽33の処理空間38内で、基板32を処理することができる。
流体供給手段35は、基板32を洗浄するための洗浄液を処理流体として噴射する洗浄液噴射手段43と、基板32を乾燥させるための乾燥用気体を処理流体として噴射する乾燥用気体噴射手段44とを含む。
洗浄液噴射手段43は、流体供給部41である洗浄液噴射部としての第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bを有し、各ノズル41a,41bから洗浄液を噴射する。第1洗浄液噴射ノズル41aは、基板保持面39に対して第3方向一方Z1側に設けられ、基板保持面39に向かって洗浄液を噴射し、これによって基板保持部34によって保持される基板32の第3方向一方Z1側の表面に、洗浄液を噴射することができる。第2洗浄液噴射ノズル41bは、基板保持面39に対して第3方向他方Z2側に設けられ、基板保持面39に向かって洗浄液を噴射し、これによって基板保持部34によって保持される基板32の第3方向他方Z2側の表面に、洗浄液を噴射することができる。第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bは、第2方向Yに延びるように設けられる。本実施の形態では、洗浄液として、純水が用いられる。純水は、比抵抗値が10MΩcm以上のものが好ましく、18MΩcm以上のもの(すなわち超純水)が特に好ましい。
第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bには、図示しない洗浄液供給管を介して、数MPaの圧力で洗浄液が供給される。この洗浄液は、各ノズル41a,41bから出口速度30m/sで噴射される。洗浄液供給管には、図示しない開閉弁が設けられる。開閉弁は、弁を開いた状態にすることによって洗浄液の供給を許容し、弁を閉じた状態にすることによって洗浄液の供給を阻止することができる。
乾燥用気体噴射手段44は、流体供給部42である乾燥用気体噴射部としての第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bを有し、各ノズル42a,42bから乾燥用気体を噴射する。第1乾燥用気体噴射ノズル42aは、基板保持面39に対して第3方向一方Z1側に設けられ、基板保持面39に向かって洗浄液を噴射し、これによって基板保持部34によって保持される基板32の第3方向一方Z1側の表面に、乾燥用気体を噴射することができる。第2乾燥用気体噴射ノズル42bは、基板保持面39に対して第3方向他方Z2側に設けられ、基板保持面39に向かって洗浄液を噴射し、これによって基板保持部34によって保持される基板32の第3方向他方Z2側の表面に、乾燥用気体を噴射することができる。第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bは、第2方向Yに延びるように設けられる。第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bは、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bに対して第1方向一方X1側に設けられる。本実施の形態では、乾燥用気体として、相対湿度が0%〜50%に調湿された清浄なドライエアーまたはドライ窒素ガスが用いられる。ここで相対湿度とは、飽和水蒸気量に対して、実際に含まれる水蒸気の割合をいう。
第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bには、図示しない乾燥用気体供給管を介して、圧縮された乾燥用気体が供給される。この乾燥用気体は、各ノズル42a,42bから噴射される。乾燥用気体供給管には、図示しない開閉弁が設けられる。開閉弁は、弁を開いた状態にすることによって乾燥用気体の供給を許容し、弁を閉じた状態にすることによって乾燥用気体の供給を阻止することができる。
移動手段36は、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bを、基板保持部34によって保持される基板32に沿って移動させる第1移動手段36aと、第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bを、基板保持部34によって保持される基板32に沿って移動させる第2移動手段36bとを含む。
第1移動手段36aは、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bに対して第2方向Y両側にそれぞれ設けられる。各第1移動手段36aは、処理槽33の外部に設けられる第1可動体45と、処理槽33の外部に設けられ、第1可動体45を変位駆動する第1可動体駆動源と、処理空間38から処理槽33の外部にわたって設けられ、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bと第1可動体45とを連結する第1連結部47とを有する。第1可動体45は、第1方向Xに延びる案内部材48によって案内される。このような第1移動手段36aによって、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bを、第1方向Xに移動させることができ、したがって洗浄液を噴射可能な範囲を大きくすることができる。
第2移動手段36bは、第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bに対して第2方向Y両側にそれぞれ設けられる。各第2移動手段36bは、処理槽33の外部に設けられる第2可動体49と、処理槽33の外部に設けられ、第2可動体49を変位駆動する第2可動体駆動源と、処理空間38から処理槽33の外部にわたって設けられ、第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bと第2可動体49とを連結する第2連結部51とを有する。第2可動体49は、前記案内部材48によって案内される。このような第2移動手段36bによって、第1および第2乾燥用気体ノズル42a,42bを、第1方向Xに移動させることができ、したがって乾燥用気体を噴射可能な範囲を大きくすることができる。
姿勢変化手段37は、処理槽33をこの処理槽33の重心付近を通って水平に延びる回動軸線L1まわりに回動自在に支持する支持体52と、処理槽33を回動軸線L1まわりに回動させる回動駆動源53とを有する。
支持体52は、テーブル54と、テーブル54に設けられる回動軸55と、回動軸55をこの回動軸55の軸線まわりに回動自在に支持する軸受部材56とを有する。テーブル54は、板状である。回動軸55の軸線は、テーブル54の厚み方向に垂直である。軸受部材56は、回動軸55の軸線が水平になるように、回動軸55を支持する。軸受部材56は、床などに固定される。本実施の形態では、テーブル54は、厚み方向から見た形状が長方形または正方形であり、回動軸55は、テーブル54における1組の対向する縁辺部にそれぞれ設けられる。各回動軸55は、同軸である。
テーブル54には、処理槽33および案内部材48が固定される。処理槽33および案内部材48は、テーブル54の厚み方向一方側に設けられる。回動軸55の軸線は、第2方向Yと平行である。回動軸55の軸線は、テーブル54に固定される処理槽33の重心付近を通る。回動軸55の軸線は、回動軸線L1となる。
回動駆動源53は、テーブル54の厚み方向他方側に設けられる。回動駆動源53は、複動空気圧シリンダによって実現される。回動駆動源53は、複動空気圧シリンダに限らず、複動油圧シリンダによって実現されてもよい。
回動駆動源53は、シリンダ本体57と、ロッド58とを有する。シリンダ本体57は、床などに、回動軸線L1に対して平行に延びる第2の回動軸線L2まわりに回動自在に連結される。ロッド58の軸線方向一端部は、テーブル54に、回動軸線L1に対して平行に延びる第3の回動軸線L3まわりに回動自在に連結される。ロッド58の軸線は、回動軸線L1に垂直な仮想平面に対して平行である。
本実施の形態では、ロッド58の軸線方向一端部は、テーブル54の第1方向一方X1側の端部59に連結される。またシリンダ本体57は、テーブル54が水平であり、かつこのテーブル54の上方に処理槽33が配置される状態で、ロッド58の軸線がほぼ鉛直になるように、床などに連結される。
回動駆動源53のロッド58が伸長すると、テーブル54が回動軸線L1まわりの周方向一方A1に回動する。換言すれば、テーブル54の第1方向一方X1側の端部59が上昇し、テーブル54の第1方向他方X2側の端部が下降する。また回動駆動源53のロッド58が縮退すると、テーブル54が回動軸線L1まわりの周方向他方A2に回動する。換言すれば、テーブル54の第1方向一方X1側の端部59が下降し、テーブル54の第1方向他方X2側の端部が上昇する。このように回動駆動源53のロッド58が伸長または縮退すると、テーブル54が回動軸線L1まわりに回動する。
このようにテーブル54が回動軸線L1まわりに回動することによって、テーブル54に固定される処理槽33の姿勢が変化する。本実施の形態では、回動駆動源53は、処理槽33を、図2(a)に示す搬入出状態と図2(b)に示す処理状態とにわたって変化させる。搬入出状態は、処理空間38に対して基板32を搬入出するときの状態である。この搬入出状態では、基板保持面39が水平面60に対して平行になるように、処理槽33の姿勢が維持される。処理状態は、処理空間38内で基板32を処理するときの状態である。この処理状態では、基板保持面39が水平面60に対して所定の処理角度θ1をなすように、処理槽33の姿勢が維持される。
搬入出状態では、回動駆動源53のロッド58が縮退しており、この状態から、回動駆動源53のロッド58が所定量、伸長すると、処理状態となる。逆に、処理状態では、回動駆動源53のロッド58が伸長しており、この状態から、回動駆動源53のロッド58が所定量、縮退すると、搬入出状態となる。
図3は、処理槽33の断面図である。処理槽33は、箱型である。図1をも参照して、処理槽33は、テーブル54に固定される底部61と、底部61に連なる筒状の側部62と、側部62の底部61に連なる側とは反対側の端部に連なる天井部63とを有し、これらの各部61〜63によって処理空間38が形成される。処理槽33の各部61〜63は、板状である。底部61は、第3方向Zに垂直である。底部61は、厚み方向から見た形状が長方形状または正方形状であり、一方の組の対向する縁辺部が第1方向Xに平行であり、他方の組の対向する縁辺部が第2方向Yに平行である。側部62は、底部61に連なって第3方向一方Z1に延びる。側部62は、底部61の第1方向一方X1側の縁辺部に連なる第1側板部分62aと、底部61の第1方向他方X2側の縁辺部に連なる第2側板部分62bと、底部61の第2方向一方Y1側の縁辺部に連なる第3側板部分62cと、底部61の第2方向他方Y2側の縁辺部に連なる第4側板部分62dとを有する。
天井部63は、第1方向他方X2に進むにつれて、第3方向他方Z2に傾斜する。天井部63の底部61に臨む面63aは、処理状態で、処理槽33の内面のうちで基板保持部34によって保持される基板32に上方から対向する対向面となる。前記天井部63の底部61に臨む面(以下、「対向面」という)63aは、処理状態で、水平面60に対して傾斜する。これによって対向面63aに液滴が付着する場合、この液滴は、対向面63aに沿って下方に流れる。したがって対向面63aに付着する液滴が基板32に落下してしまうという不具合を防ぐことができる。
処理槽33には、基板搬入出口64が形成される。基板搬入出口64は、第1側板部分62aに形成される。基板搬入出口64は、第3方向Zに関する位置が基板保持面39とほぼ同一である。この基板搬入出口64を介して、処理空間38に対して基板32を搬入出することができる。これによって処理前の基板32を処理空間38に搬入することができ、また処理後の基板32を処理空間38から搬出することができる。したがって処理空間38内で順次、基板32を処理することができる。前記処理前の基板32は、前工程での処理を終えた基板32である。
基板搬入出口64には、蓋部材65が設けられる。蓋部材65は、処理空間38と、処理槽33の外部の空間(以下、「外部空間」という)との間を、開放する開放状態と、閉鎖する閉鎖状態とに、切り換えることができる。蓋部材65が開放状態では、基板搬入出口64を介して、処理空間38に対して基板32を搬入出することができる。蓋部材65が閉鎖状態では、塵埃などが基板搬入出口64を介して外部空間から処理空間38へ侵入するという不具合を防ぐことができ、また洗浄液などが基板搬入出口64を介して処理空間38から外部空間へ漏洩するという不具合も防ぐことができる。
処理槽33には、第1および第2連結部47,51が挿通する挿通孔66がさらに形成される。挿通孔66は、第3および第4側板部分62c,62dに形成される。挿通孔66は、第1および第2連結部47,51が第1方向Xに移動しても第1および第2連結部47,51と処理槽33とが接触干渉しないように、第1方向Xに延びるように形成される。
処理槽33には、給気口67がさらに形成される。給気口67は、第1側板部分62aに形成される。給気口67は、基板搬入出口64よりも、天井部63寄りに配置される。給気口67には、給気手段68が設けられる。給気手段68は、処理空間38と外部空間との間に介在されるフィルタ69と、このフィルタ69を介して外部空間の空気を処理空間38に送給する送風機70とを有する。送風機70によって送給される空気は、フィルタ69によってパーティクルを除去されて、処理空間38に供給される。したがって処理空間38には、給気口67を介して清浄な空気が供給される。
処理槽33には、第1および第2排気排液口71,72がさらに形成される。第1および第2排気排液口71,72は、第2側板部分62bに形成される。第1排気排液口71は、第2排気排液口72よりも、天井部63寄りに配置される。処理空間38の気体は、主に第1排気排液口71を介して、処理空間38から排出される。処理空間38の液体は、主に第2排気排液口72を介して、処理空間38から排出される。
処理空間38には、給気口67を介して清浄な空気が供給され、また処理空間38からは、第1および第2排気排液口71,72を介して気体が排出される。これによって処理空間38では、給気口67から第1および第2排気排液口71,72に向かう気流73を発生させることができる。このような気流73を発生させることによって、基板32の表面から剥離除去された基板汚染物および洗浄液のミストなどを速やかに処理空間38から排出して、処理空間38をできるだけ清浄に保つことができる。したがって基板汚染物などの基板32の表面への再付着を防ぐことができる。
給気口67からの給気量ならびに第1および第2排気排液口71,72からの排気量は、処理空間38の気圧が外部空間の気圧よりも高くなるように、調整される。これによって塵埃などが前記挿通孔66を介して外部空間から処理空間38へ侵入するという不具合を防ぐことができる。
第1および第2排気排液口71,72から排出される気体および液体は、伸縮自在なパイプ74を経て、分離ユニット75に送給される。分離ユニット75は、気体と液体とを分離するためのユニットである。分離ユニット75は、液体を貯留する液体貯留槽76と、液体貯留槽76の下部に連なる排液管77と、排液管77に設けられる開閉弁78と、液体貯留槽76の上部に連なる排気管79と、液体貯留槽76内の上部側に設けられる液体分離壁80とを有する。
排液管77は、図示しない排液設備に接続される。開閉弁78は、弁を開いた状態にすることによって液体の排出を許容し、弁を閉じた状態にすることによって液体の排出を阻止することができる。開閉弁78は、液体貯留槽76に貯留される液体が所定量に達すると、弁を閉じた状態から弁を開いた状態に切り換わり、これによって液体貯留槽76に貯留される液体が排液管77を経て、排液設備に送給される。開閉弁78は、液体の排出が終了した後、弁を開いた状態から弁を閉じた状態に切り換わる。排気管79は、図示しない排気設備に接続される。液体分離壁80は、気体だけを通過させる。液体分離壁80を通過した気体は、排気管79を経て、排気設備に送給される。
図4は、基板保持部34の正面図である。図5は、図4の矢符81方向から見た側面図である。図6は、図4の矢符82方向から見た側面図である。基板保持部34は、複数、たとえば5つの保持部分83を含む。各保持部分83は、第2方向Yに等間隔をあけて設けられる。各保持部分83は、フレーム84と、支持ピン85と、位置決めピン86とを有する。
フレーム84は、第1方向Xに延びる延在部分87と、延在部分87の両端部に屈曲して連なって第3方向他方Z2に延び、処理槽33の底部61に固定される一対の脚部分88とを有する。延在部分87は、処理槽33の底部61から所定の距離D11をあけて設けられ、これによって延在部分87と処理槽33の底部61との間には、第2洗浄液噴射ノズル41bおよび第2乾燥用気体噴射ノズル42bが挿通することができる。
延在部分87には、複数、たとえば6つの支持ピン85が第1方向Xに等間隔をあけて設けられる。各支持ピン85は、延在部分87から第3方向一方Z1に突出する。各支持ピン85の突出量は、同一である。各支持ピン85の先端部は、平面ではなく、球面またはR面取りをした円錐形状である。換言すれば、各支持ピン85の先端面は、外方(図5では上方)に凸に湾曲した曲面である。したがって各支持ピン85と基板32との接触面積を、できるだけ小さくすることができる。各支持ピン85の先端は、基板保持面39内に含まれる。このような支持ピン85によって、基板保持面39に沿うように基板32を支持することができる。
また延在部分87には、位置決めピン86が設けられる。位置決めピン86は、延在部分87から第3方向一方Z1に突出する。位置決めピン86の突出量は、支持ピン85の突出量よりも大きい。位置決めピン86は、この位置決めピン86の第1方向一方X1側に各支持ピン85が配置されるように、設けられる。各保持部分83の位置決めピン86は、第1方向Xに関する位置が同一である。このような位置決めピン86によって、第1方向他方X2への基板32の変位を阻止して、第1方向Xに関して基板32を位置決めすることができる。
図7は、第1洗浄液噴射ノズル41aの斜視図である。図8は、第1洗浄液噴射ノズル41aの正面図である。第1洗浄液噴射ノズル41aは、耐圧性を有する耐圧ノズルである。第1洗浄液噴射ノズル41aには、一直線上に延びるスリット状の洗浄液噴射孔91が形成され、この洗浄液噴射孔91から洗浄液92が薄膜状に噴射される。本実施の形態では、洗浄液噴射孔91は、第2方向Yに延びる。洗浄液噴射孔91は、第2方向Yの幅である噴射幅W1が、基板32の第2方向Yの長さよりも大きく、したがって基板32における第2方向Yの全体にわたって洗浄液を噴射することができる。洗浄液噴射孔91の開口ギャップD21は、10μm以上200μm以下が好ましく、10μm〜100μmが特に好ましい。開口ギャップD21は、洗浄液噴射孔91の延在方向に垂直な方向に関する幅に相当する。本実施の形態では、洗浄液噴射孔91の開口ギャップD21は、15μmである。
第1乾燥用気体噴射ノズル42aは、第1洗浄液噴射ノズル41aに類似する。第1乾燥用気体噴射ノズル42aには、一直線上に延びるスリット状の乾燥用気体噴射孔が形成され、この乾燥用気体噴射孔から乾燥用気体が噴射される。本実施の形態では、乾燥用気体噴射孔は、第2方向Yに延びる。乾燥用気体噴射孔は、第2方向Yの幅である噴射幅が、基板32の第2方向Yの長さよりも大きく、したがって基板32における第2方向Yの全体にわたって乾燥用気体を噴射することができる。
図9は、第2洗浄液噴射ノズル41bから噴射される洗浄液93の噴射状態を示す正面図である。第2洗浄液噴射ノズル41bは、図7および図8に示す第1洗浄液噴射ノズル41aに類似するけれども、洗浄液93を噴射しない非噴射部分94が設けられるという点で異なる。非噴射部分94は、第2方向Yに関して各保持部分83とほぼ同一位置に設けられる。これによって、第2洗浄液噴射ノズル41bから噴射された洗浄液93が各保持部分83にあたって飛び散るという不具合を防ぐことができる。また第2洗浄液噴射ノズル41bから噴射された洗浄液93は、基板32の第3方向他方Z2側の表面にあたって拡がるので、基板32の支持ピン85が当接する部分にも洗浄液93が到達し、したがって基板32の支持ピン85が当接する部分をも洗浄することができる。
第2乾燥用気体噴射ノズル42bは、前記第1乾燥用気体噴射ノズル42aに類似するけれども、乾燥用気体を噴射しない非噴射部分が設けられるという点で異なる。非噴射部分は、第2方向Yに関して各保持部分83とほぼ同一位置に設けられる。これによって、第2乾燥用気体噴射ノズル42bから噴射された乾燥用気体が乱れて基板32ががたつくという不具合を防ぐことができる。また第2乾燥用気体噴射ノズル42bから噴射された乾燥用気体は、基板32の第3方向他方Z2側の表面にあたって拡がるので、基板32の支持ピン85が当接する部分にも乾燥用気体が到達し、したがって基板32の支持ピン85が当接する部分をも素早く乾燥させることができる。
図10〜図12は、基板保持部34に基板32を載置するときの、基板保持部34と基板32との位置関係を示す図である。基板32の移載には、移載ロボットが用いられる。移載ロボットは、アームを有し、このアームの先端部には、櫛歯状のハンド97が設けられる。ハンド97は、基部98と、この基部98に連なって同一方向に延びる複数、たとえば4つの延在部99とを有する。各延在部99は、等間隔をあけて設けられる。各延在部99の幅は、基板保持部34の隣り合う保持部分83の間の距離よりも小さい。換言すれば、各延在部99は、前記隣り合う保持部分83の間に緩やかに挿入することができるように形成されている。各延在部99には、吸着部100が設けられ、吸着部100には、図示しない真空ポンプが接続される。ハンド97に乗載される基板32は、真空吸着によって保持される。
基板保持部34に基板32を載置するにあたって、移載ロボットは、基板32をハンド97によって保持している。このとき、基板32における一方の組の対向する縁辺部は、ハンド97の延在部99の延在方向に平行である。
処理槽33が搬入出状態にあり、かつ蓋部材65が開放状態にあるときに、移載ロボットは、ハンド97によって基板32を保持した状態で、ハンド97を、基板搬入出口64を介して処理空間38に挿入する。そしてハンド97を、基板保持部34の上方の所定位置まで移動させて静止させる。
ハンド97が所定位置で静止するとき、このハンド97の各延在部99は、延在方向が第1方向Xに平行である。またハンド97の各延在部99は、第2方向Yに関して基板保持部34の隣り合う保持部分83の間にそれぞれ位置する。基板32の第1方向他方X2側の縁辺部と基板保持部34の各位置決めピン86との間には、第1方向Xに関して間隙D31が設けられている。
次に移載ロボットは、真空吸着を解除し、ハンド97を下方へ移動させ、これによって基板32が、基板保持部34の支持ピン85によって支持される。このとき、図11において仮想線101で示されるように、基板32は、その第1方向他方X2側の縁辺部と基板保持部34の各位置決めピン86との間に第1方向Xに関して間隙D31が設けられた状態で、基板保持部34に載置される。移載ロボットは、図11において仮想線102で示されるように、ハンド97を下方へさらに移動させた後、ハンド97を、処理空間38から退出させる。
前記間隙D31は、ハンド97に対する基板32の位置のばらつきに起因して基板32が各位置決めピン86に乗り上がってしまうという不具合を防ぐために設けられる。前記間隙D31は、前記ばらつきの量にあわせて設定される。前記間隙D31は、1〜2mm程度である。
前述のようにして、基板保持部34に基板32が載置された後、蓋部材65が閉鎖状態になる。この後、回動駆動源53のロッド58が所定量、伸長し、これによって処理槽33が処理状態になる。処理槽33が搬入出状態から処理状態に変化する間に、水平面60に対する基板32の角度が大きくなり、基板32は、自重によって、第1方向他方X2へ移動して、位置決めピン86に当接する。これによって基板32が第1方向Xに関して位置決めされる。
基板32を支持する各支持ピン85の先端部は、前述のように、球面またはR面取りをした円錐形状である。したがって各支持ピン85の先端部が平面である場合に比べて、基板32を、第1方向他方X2へ滑らかに移動させることができる。
回動駆動源53は、ロッド58が徐々に伸長するように制御される。これによって基板32が第1方向他方X2へゆっくりと移動するので、基板32が位置決めピン86に衝突するときに位置決めピン86から受ける衝撃力を小さくすることができる。したがって前記衝撃力による基板32の割れおよび欠けを防ぐことができる。
図13は、基板処理装置31の洗浄乾燥動作を説明するための図である。図14は、基板処理装置31の図13に続く洗浄乾燥動作を説明するための図である。前述のようにして、基板保持部34に基板32が載置された状態で、処理槽を搬入出状態から処理状態に変化させた後、洗浄乾燥動作が開始される。
洗浄乾燥動作が開始されるとき、図13(a)に示すように、基板保持部34によって保持される基板32は、水平面60に対して所定の処理角度θ1をなす。また第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bならびに第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bは、前記基板32に対して第1方向一方X1側の予め定める開始位置で待機している。
洗浄乾燥動作が開始されると、まず、洗浄液供給管に設けられる開閉弁が開かれ、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bからの洗浄液の噴射が開始される。洗浄液の噴射が安定すると、第1移動手段36aは、図13(b)に示すように、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bを第1方向他方X2へ移動させる。第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bから噴射される洗浄液によって、基板32の両面が洗浄される。基板32は、第1方向一方X1側の縁辺部から第1方向他方X2側の縁辺部にわたって洗浄される。
基板32の第1方向他方X2側の縁辺部まで洗浄が完了した後、洗浄液供給管に設けられる開閉弁が閉じられ、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bからの洗浄液の噴射が停止される。第1移動手段36aは、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bを、基板32に対して第1方向他方X2側の予め定める停止位置まで移動させて静止させる。
この後、乾燥用気体供給管に設けられる開閉弁が開かれ、第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bからの乾燥用気体の噴射が開始される。乾燥用気体の噴射が安定すると、第2移動手段36bは、図14(a)に示すように、第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bを第1方向他方X2へ移動させる。第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bから噴射される乾燥用気体によって、基板32の両面が乾燥される。基板32は、第1方向一方X1側の縁辺部から第1方向他方X2側の縁辺部にわたって乾燥される。
基板32の第1方向他方X2側の縁辺部まで乾燥が完了した後、乾燥用気体供給管に設けられる開閉弁が閉じられ、第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bからの乾燥用気体の噴射が停止される。第2移動手段36bは、図14(b)に示すように、第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bを、基板32に対して第1方向他方X2側の予め定める停止位置まで移動させて静止させ、洗浄乾燥動作が終了される。
洗浄乾燥動作が終了された後、回動駆動源53のロッド58が所定量、縮退し、これによって処理槽33が搬入出状態になる。この後、蓋部材65が開放状態になり、移載ロボットによって、図10〜図12を参照して説明した手順とは逆の手順で、処理空間38から基板32が取出される。
図15は、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bと基板32との位置関係を示す断面図である。処理槽33が処理状態にあるときに、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bから基板32に洗浄液を噴射することによって、基板32の表面において、洗浄液の基板32に沿う下方への一方向の流れ109,110を発生させることができる。これによって基板32の表面に付着する基板汚染物を剥離除去することができる。しかも、基板32の表面に付着する基板汚染物は、一方向に流れる洗浄液によって基板32の表面から剥離された後、その洗浄液の流れによって基板32外へ排除されるので、一旦剥離された基板汚染物がその基板32の表面に再付着することがない。
処理槽33が処理状態では、基板32は、水平面60に対して所定の処理角度θ1をなす。所定の処理角度θ1は、45度以上75度以下に選ばれる。本実施の形態のように基板32の下方に臨む面111にも洗浄液を噴射する場合には、所定の処理角度θ1を45度未満にすると、前記下方に臨む面111に噴射された洗浄液が重力によって落下しやすくなり、前記下方に臨む面111で洗浄液の一方向への流れを形成しにくくなる。また本実施の形態のように基板32を各支持ピン85および位置決めピン86によって位置決めして支持している場合には、所定の処理角度θ1が75度を超えると、基板32の姿勢が不安定になる。また所定の処理角度θ1が75度を超えると、基板32の自重をほとんど位置決めピン86だけで支持することになり、これによって基板32の位置決めピン86に当接する部分には、位置決めピン86からの大きな反力が作用して、割れおよび欠けが生じる可能性がある。本実施の形態では、所定の処理角度θ1は60度である。
このように水平面60に対して基板32が所定の処理角度θ1をなしているので、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bから噴射されて基板32に衝突した洗浄液は、基板32の表面に留まることなく基板32に沿って下方へ流れて、基板32外へ排出される。したがって基板32の表面に液溜りが発生するのを防ぐことができる。
このように液溜りの発生を防ぐことができるので、第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bから噴射された洗浄液の流速が、液溜りによって減衰することがなくなる。したがって基板32の表面の近傍における洗浄液の流速を大きくして、パーティクルに作用する力を大きくすることができ、より効果的に、パーティクルを剥離除去することができる。また基板32の表面から剥離除去されたパーティクルは、洗浄液の流れにのって、基板32外へ排出されるので、前記パーティクルが再度、基板32の表面に付着するという不具合を防ぐことができる。
第1洗浄液噴射ノズル41aは、基板32から所定の第1距離D1をあけて設けられる。所定の第1距離D1は、第1洗浄液噴射ノズル41aの洗浄液噴射孔91から基板32へ下ろした垂線の長さに相当する。所定の第1距離D1は、好ましくは1〜50mm、さらに好ましくは1〜10mmである。1mm未満または50mmを超えると、基板32の第3方向一方Z1側の表面において、洗浄液の基板32に沿う下方への一方向の流れが充分に発生せず、基板汚染物の除去が不十分になるおそれがある。
第1洗浄液噴射ノズル41aの噴射方向112は、第1洗浄液噴射ノズル41aに対して第1方向他方X2側で基板32と交差する。この噴射方向112は、基板32に対して所定の第1噴射角度θ11をなす。本実施の形態では、所定の第1噴射角度θ11は45度である。第1噴射角度θ11を45度にすることによって、基板32の表面に液溜りがあっても、第1洗浄液噴射ノズル41aから噴射された洗浄液の、基板32の表面の近傍までの流速を高くし、かつ洗浄液が基板32に衝突した後の、この洗浄液の基板32に沿う下方への流速を高くすることができる。
第2洗浄液噴射ノズル41bは、基板32から所定の第2距離D2をあけて設けられる。所定の第2距離D2は、第2洗浄液噴射ノズル41bの洗浄液噴射孔から基板32へ下ろした垂線の長さに相当する。所定の第2距離D2は、好ましくは5〜50mm、さらに好ましくは5〜10mmである。5mm未満にすると、第2洗浄液噴射ノズル41bと基板32との間に、延在部分87および支持ピン85を介在させることができない。また50mmを超えると、基板32の第3方向他方Z2側の表面において、洗浄液の基板32に沿う下方への一方向の流れが充分に発生せず、基板汚染物の除去が不十分になるおそれがある。
第2洗浄液噴射ノズル41bの噴射方向113は、第2洗浄液噴射ノズル41bに対して第1方向他方X2側で基板32と交差する。この噴射方向113は、基板32に対して所定の第2噴射角度θ12をなす。本実施の形態では、所定の第2噴射角度θ12は45度である。第2噴射角度θ12を45度にすることによって、基板32の表面に液溜りがあっても、第2洗浄液噴射ノズル41bから噴射された洗浄液の、基板32の表面の近傍までの流速を高くし、かつ洗浄液が基板32に衝突した後の、この洗浄液の基板32に沿う下方への流速を高くすることができる。
図16は、洗浄液の流れを示す断面図であり、図16(a)は液膜114が第1の厚みT1を有する場合を示し、図16(b)は液膜114が第1の厚みT1よりも小さい第2の厚みT2を有する場合を示す。図16において、矢符は洗浄液の流れを意味し、かつ矢符の長さは洗浄液の流速を意味する。矢符が長いほど、流速が大きいことを意味する。
基板32の表面には、粒径10μm以下のパーティクル115が付着していることがある。このようなパーティクル115を剥離除去するためには、基板32の表面の極近傍において、洗浄液の流速を大きくして、パーティクル115に作用する力を大きくする必要がある。
洗浄液の流速は、基板32の表面に近づくほど小さくなる。基板32の表面の極近傍における洗浄液の流速は、液膜114の厚みによって異なる。具体的に述べると、液膜114の表面における洗浄液の流速が同一であるとき、図16(a)および図16(b)に示すように、液膜114の厚みが小さい方が、基板32の表面の極近傍における洗浄液の流速が大きくなる。
この点を考慮して、本実施の形態では、開口ギャップ15μmのスリット状の洗浄液噴射孔91から洗浄液を噴射し、これによって液膜114の厚みを小さくする。このように液膜114の厚みを小さくすることによって、基板32の表面の極近傍における洗浄液の流速を大きくして、パーティクル115に作用する力を大きくすることができ、パーティクル115の除去効率を向上させることができる。
したがって洗浄液の流れだけによって、高い洗浄力を発揮することができる。しかも数種の薬剤を使用せず、洗浄液として純水だけを使用して、微粒子だけでなく、金属粒子、金属化合物、有機物などをも除去することができる。したがって複数の薬剤槽および使用後の薬剤を処理する設備を必要とせず、また単一の薬剤槽での薬剤の入れ換え作業などの繁雑な操作を必要としない。また、複数の純水吐出装置などを用いる多段階洗浄を行う必要もない。
図17は、処理槽33の断面図であり、図17(a)は天井部63が基板保持面39に対して平行な場合を示し、図17(b)は天井部63が第1方向他方X2に進むにつれて第3方向一方Z1に傾斜する場合を示し、図17(b)は天井部63が第1方向他方X2に進むにつれて第3方向他方Z2に傾斜する場合を示す。
図17(a)に示すように、天井部63が基板保持面39に対して平行な場合、仮想線121で示す処理状態では、対向面63aが水平面60に対して傾斜するので、対向面63aに付着する液滴は、対向面63aに沿って下方へ流れる。したがって対向面63aに付着する液滴が基板32に落下してしまうという不具合を防ぐことができる。しかしながら実線で示す搬入出状態では、対向面63aが水平面に対して平行になるので、対向面63aに付着する液滴124は、対向面63aに沿って下方へ流れることができず、基板32に落下してしまう。
図17(b)に示すように、天井部63が第1方向他方X2に進むにつれて第3方向一方Z1に傾斜する場合、仮想線122で示す処理状態では、対向面63aの水平面60に対する角度が小さいので、対向面63aに付着する液滴は、対向面63aに沿って下方へ充分に流れることができず、基板32に落下してしまう。また処理状態から搬入出状態に変化する途中で、対向面63aが水平面60に対して平行になるので、対向面63aに付着する液滴124は、対向面63aに沿って下方へ流れることができなくなり、基板32に落下してしまう。
図17(c)に示すように、天井部63が第1方向他方X2に進むにつれて第3方向他方Z2に傾斜する場合、仮想線123で示す処理状態では、対向面63aが水平面60に対して傾斜するので、対向面63aに付着する液滴は、対向面63aに沿って下方へ流れる。したがって対向面63aに付着する液滴が基板32に落下してしまうという不具合を防ぐことができる。しかも前記図17(a)に示す場合に比べて、対向面63aの水平面60に対する角度が大きいので、対向面63aに付着する液滴が対向面63aに沿って下方へ流れやすく、したがってより確実に、前記不具合を防ぐことができる。また処理状態から搬入出状態に変化する途中、および実線で示す搬入出状態でも、対向面63aが水平面60に対して傾斜するので、対向面63aに付着する液滴124は、対向面63aに沿って下方へ流れる。したがって対向面63aに付着する液滴124が基板32に落下してしまうという不具合を防ぐことができる。
これらの点を考慮して、本実施の形態では、図17(c)に示す場合のように、処理槽33が構成される。これによって対向面63aに付着する液滴124が基板32に落下してしまうという不具合を防ぐことができるので、液滴124の落下によって処理後の基板32に基板汚染物が再付着するという不具合を防ぐことができる。
以上のような本実施の形態によれば、姿勢変化手段37は、処理槽33の姿勢を変化させる。処理槽33の姿勢が変化すると、この処理槽33の処理空間38に設けられる基板保持部34および各ノズル41a,41b,42a,42bの姿勢も変化する。したがって姿勢変化手段37によって処理槽33の姿勢を変化させることによって、基板32を処理するときの基板32の姿勢を変更することができる。
基板保持部34および各ノズル41a,41b,42a,42bは、処理槽33の処理空間38に設けられるので、処理槽33の姿勢が変化すると、基板保持部34と各ノズル41a,41b,42a,42bとの配置関係が一定に保たれたまま、基板保持部34の位置および姿勢と各ノズル41a,41b,42a,42bの位置および姿勢とが変化する。したがって基板保持部34の位置および姿勢と各ノズル41a,41b,42a,42bの位置および姿勢とをそれぞれ調整する必要がなく、これによって基板32を処理するときの基板32の姿勢を変更するための調整作業を容易化することができる。
また処理槽33の処理空間38には、基板32の姿勢を調整するための機構を設ける必要がないので、処理空間38内の構成を簡素化することができ、かつ処理槽33を小形化することができる。さらに前記機構からの発塵による処理空間38の汚染を防ぐことができ、処理空間38内で洗浄および乾燥される基板32の汚染を防ぐことができる。
また支持体52によって、処理槽33を回動軸線L1まわりに回動自在に支持し、回動駆動源53によって、処理槽33を回動軸線L1まわりに回動させる。前記回動軸線L1は、処理槽33の重心付近を通って水平に延びるので、処理槽33が回動軸線L1まわりに回動するときの、処理槽33の重心の移動を少なくすることができる。したがって、できるだけ小さな駆動力で、処理槽33を回動軸線L1まわりに回動させることができる。
さらに第1移動手段36aの一部を構成する第1可動体45および第1可動体駆動源は、処理槽33の外部に設けられ、第2移動手段36bの一部を構成する第2可動体49および第2可動体駆動源は、処理槽33の外部に設けられる。したがって処理空間38内の構成を簡素化することができ、かつ処理槽33を小形化することができる。また第1および第2可動体45,49ならびに第1および第2可動体駆動源からの発塵による処理空間38の汚染を防ぐことができ、処理空間38内で洗浄および乾燥される基板32の汚染を防ぐことができる。
さらに洗浄液噴射手段43は、基板保持部34によって保持される基板32の両面に、洗浄液を同時に噴射するので、前記基板32の両面を同時に洗浄することができる。したがって前記基板32の洗浄に要する時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
さらに基板32を洗浄した後で、第1および第2乾燥用気体噴射ノズル42a,42bから基板32に乾燥用気体を噴射することによって、基板32を、できるだけ短い時間で乾燥させ、生産性を向上させることができる。
さらに基板処理装置31は、洗浄処理および乾燥処理を単体で実行することができるので、洗浄処理と乾燥処理との間に、基板洗浄装置から基板乾燥装置に基板を搬送する必要がなく、できるだけ短い時間で、基板を洗浄および乾燥させることができ、生産性を向上させることができる。
図18は、本発明の実施の他の形態である基板処理装置が備える第1洗浄液噴射ノズル131の斜視図である。図19は、第1洗浄液噴射ノズル131の正面図である。本実施の形態の基板処理装置は、前述の実施の形態の基板処理装置31に類似するので、同一の部分については説明を省略する。
第1洗浄液噴射ノズル131は、耐圧性を有する耐圧ノズルである。第1洗浄液噴射ノズル131には、微小な円形の複数の洗浄液噴射孔132が一直線上に配列するように形成され、各洗浄液噴射孔132から洗浄液133が噴射される。複数の洗浄液噴射孔132が一直線上に配列するとは、複数の洗浄液噴射孔132が相互に平行に延びて整列して開口することを意味する。本実施の形態では、各洗浄液噴射孔132は、第2方向Yに配列する。噴射幅W2は、基板32の第2方向Yの長さよりも大きく、したがって基板32における第2方向Yの全体にわたって洗浄液を噴射することができる。本実施の形態の第1洗浄液噴射ノズル131において、噴射幅W2とは、最も第2方向一方Y1寄りの洗浄液噴射孔132と最も第2方向他方Y2寄りの洗浄液噴射孔132との間の距離に相当する。各洗浄液噴射孔132は、直径D41が10μm以上200μm以下であり、本実施の形態では20μmである。また本実施の形態では、各洗浄液噴射孔132の中心の距離D42は、60μmである。
第1洗浄液噴射ノズル131には、洗浄液供給管を介して、数MPaの圧力で洗浄液が供給される。この洗浄液は、第1洗浄液噴射ノズル131の各洗浄液噴射孔132から出口速度30m/sで噴射される。各洗浄液噴射孔132からは、洗浄液が第2方向Yに等間隔をあけて円柱状に噴射されるけれども、この洗浄液は基板32に衝突して拡がるので、第2方向Yの全体にわたって、基板32を洗浄することができる。
本実施の形態によれば、直径20μmの複数の洗浄液噴射孔91から洗浄液を噴射し、これによって液膜の厚みを小さくする。このように液膜の厚みを小さくすることによって、前述の実施の形態と同様に、基板32の表面の極近傍における洗浄液の流速を大きくして、パーティクルに作用する力を大きくすることができ、パーティクルの除去効率を向上させることができる。
本実施の形態の第1洗浄液噴射ノズル131では、前述の実施の形態の第1洗浄液噴射ノズル41aに比べて、同じ出口速度および噴射幅W1,W2で必要な洗浄液の流量が約0.35倍となる。このように洗浄液の流量が少なくなることによって、基板32の表面の極近傍における洗浄液の流速をさらに大きくして、パーティクルに作用する力をさらに大きくすることができ、パーティクルの除去効率をさらに向上させることができる。
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば回動軸線L1が処理槽33の重心を通るようにして、処理槽33が回動軸線L1まわりに回動するときの、処理槽33の重心の移動をなくしてもよい。これによって、処理槽33を回動軸線L1まわりに回動させるための駆動力をさらに小さくすることができる。
また前述の実施の各形態では、支持ピン85によって基板32を支持するけれども、多孔質部材から流体を噴射することによって非接触で基板32を支持してもよい。この場合、基板保持部である多孔質部材と、多孔質部材に流体を供給する流体供給源と、流体の流路を構成する流体供給管とを含んで、基板保持手段が構成される。第1および第2洗浄液噴射ノズル41a,41bから洗浄液を噴射して基板32を洗浄している間は、多孔質部材から洗浄液を噴射し、続いて第1および第2洗浄液噴射ノズル42a,42bから乾燥用気体を噴射して基板32を乾燥させている間は、多孔質部材から乾燥用気体を噴射する。これによって、基板32の第3方向他方Z2側の表面を、より確実に、洗浄し、かつ乾燥させることができる。
さらに水平面60に対する基板32の角度が75度を超えても基板32を安定して保持することができるように、基板保持手段が構成される場合、所定の処理角度は、5度以上90度以下に選ばれてもよい。一例として述べると、基板保持手段は、吸着部を有する基板保持部と、吸着部に接続される真空ポンプとを含む。所定の処理角度が5度以上90度以下に選ばれることによって、基板32の表面における洗浄液の一方向への流れが一層安定し、基板汚染物の除去効率を向上させることができる。
さらに洗浄液は、純水に限らず、水素、アンモニアなどの基板洗浄用薬液の有効成分を含んでいてもよい。
以下、本発明の実施のさらに他の形態である基板処理装置としての基板洗浄装置225と、この基板洗浄装置225による基板洗浄方法について説明する。本実施の形態の基板洗浄装置225は、前述の実施の各形態の基板処理装置31に類似する。本実施の形態の基板洗浄装置225は、前述の実施の各形態の基板処理装置31が備える姿勢変化手段37と同様の姿勢変化手段を含む。この姿勢変化手段によって、処理槽の姿勢を変化させることができる。
図20は、基板洗浄方法を説明するための側面図である。図21は、基板洗浄方法を説明するための斜視図である。基板201は、図示しない基板保持手段により水平面202に対して傾斜角度θ21をなして傾斜姿勢で保持される。ここで、基板201の傾斜角度θ21は、好ましくは5〜90°、さらに好ましくは75〜90°である。5°未満または90°を超えると、基板201の被洗浄面1において、液膜207を構成する純水の上部から下部に向けての一方向の流れが充分に発生せず、基板汚染物の除去が不充分になるおそれがある。
基板201の被洗浄面201aを臨み、間隔d1を開けて純水噴射手段203が設けられる。純水噴射手段203は、その内部に図示しない耐圧構造を有し、その先端に、基板201の被洗浄面201aに対して加圧された状態の純水(以後「加圧純水」と称す)を噴射する噴射孔205を有する耐圧ノズル204と、耐圧ノズル204に加圧純水を供給する耐圧配管206と、図示しない純水加圧供給手段とを含んで構成される。本実施の形態では、純水は、処理流体としての洗浄液に相当し、純水噴射手段203は、流体供給手段としての洗浄液噴射手段に相当する。
なお、被洗浄面201aと噴射孔205との並び方向は、略平行であることが望ましい。ここで、被洗浄面201aと噴射孔205との並び方向は、略平行である場合、間隔d1は、噴射孔205から被洗浄面201aへの垂線の長さであり、好ましくは1〜50mm、さらに好ましくは1〜10mmである。1mm未満または50mmを超えると、基板201の被洗浄面201aにおいて、液膜207を構成する純水の上部から下部に向けての一方向の流れが充分に発生せず、基板汚染物の除去が不充分になるおそれがある。
純水噴射手段203から噴射される純水は、比抵抗値が10MΩcm以上のものが好ましく、18MΩcm以上のもの(すなわち超純水)が特に好ましい。また、純水は、本実施の形態の基板洗浄方法の好ましい利点を損なわない範囲で、水素、アンモニアなどの、従来の基板洗浄用薬液の有効成分を含むことができる。
耐圧ノズル204には、直径200μm以上の円形の噴射孔205であって、複数の噴射孔205が一直線上に一列に配列される耐圧ノズルが使用できる。また、噴射孔205がスリット状に形成され、スリットの開口ギャップが200μm以下である耐圧スリットノズルも使用できる。耐圧配管206は、耐圧性および柔軟性を有する材料からなり、上下左右に移動可能に設けられる。図示しない純水加圧供給手段は、たとえば、純水製造装置により製造される純水を貯留する純水貯留槽と、純水貯留槽内の純水を加圧しながら耐圧配管206に供給する加圧ポンプとを含んで構成される。
純水噴射手段203は、図示しない移動手段により、間隔d1を保持しながら被洗浄面201aに沿って上下動可能に支持される。本実施の形態の基板洗浄方法では、基板201の被洗浄面201aにおいて、純水噴射手段203から噴射される純水が到達する地点およびその近傍の液膜207中に、図25に示す高圧領域216が発生する。この高圧領域216の下端よりも下部の液膜領域208(以後「洗浄実行領域208」と称す)は特に洗浄力が高い領域である。純水噴射手段203の上下動、好ましくは上部から下部への移動を行うことによって、洗浄実行領域208を被洗浄面201a上で移動させることができるので、大型基板であっても、基板全面を洗浄できる。
なお、基板洗浄を効率良く行うには、洗浄実行領域208を、高圧領域216の下端から少なくとも0〜5cmが好ましく、さらに好ましくは0〜10cmの範囲にするのがよい。そのためには、基板201の傾斜角度θ21、洗浄液として用いられる純水の比抵抗値、純水の被洗浄面201aへの噴射圧力などの各種条件を適宜変更すれば良い。
また、純水噴射手段203から噴射される純水が、放物線状ではなく、直線状の軌跡を保持して被洗浄面201aに到達する場合、その純水の軌跡と基板201とがなす角度θ22が鋭角になることが好ましい。これによって、噴射される純水が被洗浄面201aに衝突する際に、被洗浄面201a上に生成する液膜207の厚みを小さくし、基板汚染物の除去に有効な膜厚の小さい液膜207が形成され易くなり、被洗浄面201aにおいて、液膜207を構成する純水の上部から下部への一方向の流れを発生させることが一層容易になる。なお、液膜207の厚みについては後に説明する。
図20および図21に示すように、水平面202にθ21の角度をなすように傾斜姿勢で保持される基板201の被洗浄面201aに、基板201の被洗浄面201aに対して間隔d1を開けて配置される純水噴射手段203の耐圧ノズル204の噴射孔205から、超純水が噴射されると、被洗浄面201a上には液膜207が発生し、液膜207を構成する純水は、被洗浄面201aにおける上部から下部への一方向の流れになって、被洗浄面201a上を流過し、被洗浄面201a上に付着する図示しない基板汚染物を剥離除去する。
図22は洗浄実行領域208における液膜流れの状態を模式的に示す断面図である。図23は洗浄実行領域208において微粒子が除去される機構を模式的に示す断面図である。なお、微粒子の除去には純水として超純水が好ましく用いられ、かつ図23は微粒子の除去に関するので、図22および図23の説明においては、純水として超純水を用いるものとする。以後、同様にして、微粒子の除去に関する説明においては、超純水を用いるものとする。
図22において、矢符は液膜207内での液流を意味し、かつ矢符の長さは液流の流速を意味する。矢符が長い程、流速が大きいことを意味する。また、洗浄実行領域208をさらに細かい4つの第1〜第4小領域209,210,211,212に分け、それぞれの小領域間には液膜面207aを基準にして等しい長さになる間隙を設ける。さらに、4つの第1〜第4小領域209,210,211,212において、液流を示す矢符の頂点を結んだ線を第1〜第4流速線209x,210x,211x,212xとする。
洗浄実行領域208において、純水噴射手段203から噴射される超純水が到達する地点の最も直下にあたる第1小領域209では、被洗浄面201a近傍の液流209a、液膜207の厚さ方向の中央部における液流209b,209c,209dおよび液膜面207a近傍の液流209eが全てほぼ同じ流速を有し、ほぼ直線状の流速線209xが得られる。液流209a〜209eは、そのまま下方に向かって流過するけれども、超純水の粘性に基因して被洗浄面201aからせん断力を受け、被洗浄面201aに近いほど流速が減速される。したがって、第1小領域209よりも液膜流れ方向の下流側に想定される第2小領域210においては、被洗浄面201aの近傍を流過する液流210aは減速され、液流210bも僅かに減速される。一方、被洗浄面201aとは相対的に離反する位置にある他の液流210c,210d,210eは殆ど減速されず、第2流速線210xは放物線状になる。
さらに、第3小領域211では被洗浄面201a近傍における、せん断力による液流の減速傾向が一層顕著になり、被洗浄面201aに最も近い液流211aは洗浄実行領域208における最初の流速(液流29aの流速)の1/2程度になり、液流211b〜211dも被洗浄面201aとの距離に応じて減速され、液流面207a近傍の液流211eのみが減速を受けない。その結果、第3流速線211xは、第2流速線210xよりも、曲線部分の曲率が大きい放物線状になり、液膜207における厚さ方向の位置によって液流の流速に大きな差が生じることが判る。
洗浄実行領域208において最も下部に想定される第4小領域212では、被洗浄面201aに最も近い液流212aはさらに減速を受け、殆ど「0」に近くなる。液流212b〜212dもそれぞれ減速を受けるけれども、被洗浄面201aから最も離反する位置を流過する液流212eは、殆ど減速を受けない。そして、得られる第4流速線212xは、曲率がさらに大きい放物線状になるけれども、洗浄実行領域208において、液膜面207a近傍の液流は、被洗浄面201aとの接触によるせん断力を殆ど受けることがなく、ほぼ同じ流速を保持する。この液膜面207a近傍の液流が、被洗浄面201aから剥離する図示しない基板汚染物の再付着防止に非常に有効である。
第1〜第4小領域209〜212で得られる第1〜第4流速線209x〜212xのうち、第1〜第3流速線209x〜211xを持つ液流は、被洗浄面201aに付着する基板汚染物の剥離除去に特に有効である。すなわち、図23に示すように、被洗浄面201aに付着する微粒子213aは、被洗浄面201a近傍の液流209a,209bなどによる応力214を受けて被洗浄面201aから剥離して浮上し、被洗浄面201a近傍を流過する微粒子213bになる。微粒子213bは、さらに液流209b〜209e、特に液流209eによる応力を受けて液膜207内を液膜面207aに向けてさらに浮上し、液膜面207a近傍を流過する微粒子213cになり、基板201の外部に排出される。
次に、本実施の形態の基板洗浄方法において、基板201の被洗浄面201aから微粒子を除去するにあたり、被洗浄面201aに超純水を噴射する際に生じる液膜の厚みが微粒子の除去に及ぼす影響について、図24および図25に基づいて説明する。図24は、水平面に載置される基板201の被洗浄面201aに生じる液膜215の状態を模式的に示す断面図である。図25は、本実施の形態の基板洗浄方法において、基板201の被洗浄面201aに生じる液膜207の状態を模式的に示す断面図である。
図24では、基板201は、図示しない水平面に載置される。基板201の被洗浄面201aに対し、被洗浄面201aの上方に間隔を空けて配置される純水噴射手段の耐圧ノズル204から、加圧状態の超純水を噴射すると、被洗浄面201aが水平であるため、超純水が被洗浄面201a上に滞留し、膜厚の大きな液膜215が形成される。液膜215の厚みt1は、超純水の噴射量、噴射圧力などによって変化するけれども、超純水が耐圧ノズル204から被洗浄面201aに向けて直線状の軌跡で噴射される場合には、1mm以上に成長する。また、超純水が被洗浄面201aに到達する地点およびその近傍には、超純水が該地点に到達するのとほぼ同時に、超純水に付加されている高圧が保持される高圧領域216が形成される。その後に噴射される超純水は、高圧領域216を迂回するように流過するので、超純水は基板201の被洗浄面201aまで達することなく、液膜面215aの近傍において超純水の流れ(主流)217が発生する。その結果、被洗浄面201a近傍における超純水の流速はほぼ「0」になり、図示しない微粒子が被洗浄面201aに付着していても、被洗浄面201aから除去することは困難である。
これに対し、図25に示すように、本実施の形態の基板洗浄方法では、基板201が水平面202に対して角度θ21をなして傾斜保持される。これによって、基板201の被洗浄面201aに超純水を吐出すると、超純水は被洗浄面201a上で滞留することなく、主に重力の作用を受けて、基板201の下方に排出される。このため、基板201の被洗浄面201a上に形成される液膜207の厚みt2は、1mmよりも著しく薄くなる。具体的には、100〜500μm程度になる。また、基板201を水平面202に載置する場合と同様に、この場合でも、耐圧ノズル204から噴射される超純水が基板201の被洗浄面201aに到達する地点およびその近傍には、高圧領域216が形成される。しかしながら、基板201が水平面202に対して傾斜保持されることなどから、高圧領域216は、図24の場合と比べて、相対的に小さなものとなる。したがって、高圧領域216が形成された後に、被洗浄面201aに向けて噴射される超純水は、高圧領域216が障害物にならず、高圧領域を迂回することがないので、被洗浄面201a近傍を流過し、被洗浄面201a近傍を流過する主流217が発生する。よって、被洗浄面201aに付着する図示しない微粒子は、主流217によって除去される。ここで、液膜厚みt2は、主に、水平面202に対する基板201の傾斜角度θ21に依存するので、被洗浄面201aに付着する微粒子の除去効果を一層向上させるには、傾斜角度θ21を90°に近づけるのが好ましい。傾斜角度θ21が90°に近いほど、液膜厚みt2が小さくなり、微粒子が主流217による応力を受け易くなる。また、液膜厚みt2が極めて小さいことから、主流217は図25において便宜上一つの液流として示されるけれども、図22、図23および図26〜図28に示されるように、実際にはさらに細かな液流に分けられる。
次いで、基板201の被洗浄面201aに付着する基板汚染物が金属粒子である場合について、図20および図26に基づいて説明する。図26は基板201の被洗浄面201aの洗浄実行領域208において金属粒子218aが除去される機構を模式的に示す断面図である。なお、金属粒子の除去には、純水の中でも特に亜臨界状態まで加圧された亜臨界超純水が好ましいので、図26に関する説明では、亜臨界超純水を用いたものとする。耐圧ノズル204内で加圧される亜臨界超純水を、水平面202に対して傾斜角度θ21をなすように傾斜姿勢で保持される基板201の被洗浄面201aに噴射すると、洗浄実行領域208の最上部である第1小領域209において、液膜207中に、液流209a,209b,209c,209d,209eが発生する。なお、これらの液流は便宜上5つの流れとして表されるけれども、これらの液流を合わせて1つの液流(主流)と表すことができ、また、6以上の液流に細分化することも可能である。被洗浄面201aに付着する金属粒子218aは、被洗浄面201aの近傍を流過する液流209a,209bなどによる応力を受けると、金属粒子218aを構成する金属原子間の結合219が部分的に切断され、金属粒子218bとして液膜207中に溶出する。金属粒子218bは、さらに液流209c,209d,209eなどの応力を受けて、金属粒子218cのように、液膜207の厚さ方向の中央部から液膜面207aまでの液膜207中を流過し、基板201の下方に排出される。このとき、金属粒子217cの大部分が被洗浄面201aの近傍を流過しないので、被洗浄面201aへの再付着が防止される。このように、基板201の被洗浄面201aに付着する金属粒子218aを除去するには、被洗浄面201a近傍を流過する、亜臨界超純水の液流が必要になる。また、液膜207の厚みを小さくすると、亜臨界超純水の液流が被洗浄面201aのさらに近傍を流過し、金属粒子218aの除去性能が向上する。液膜207の厚みを小さくするには、図25に関する説明でも述べたように、基板201の水平面202に対する傾斜角度θ21を90°に近づけるのが好ましい。
次いで、基板201の被洗浄面201aに付着する基板汚染物が金属化合物である場合について、図20および図27に基づいて説明する。図27は基板201の被洗浄面201aの洗浄実行領域208において金属化合物が除去される機構を模式的に示す断面図である。なお、金属化合物の除去にも、金属粒子の場合と同様に亜臨界超純水が好ましい。したがって、図27に関する説明においても、亜臨界超純水を用いるものとする。基板201の被洗浄面201aに付着する金属化合物を除去する場合でも、被洗浄面201a近傍を流過する、亜臨界超純水の液流が必要である。すなわち、水平面202に対して傾斜角度θ21をなすように傾斜保持される基板201の被洗浄面201aに、耐圧ノズル204内で加圧される亜臨界超純水を噴射すると、液膜207中に、液流209a,209b,209c,209d,209eが発生する。被洗浄面201aに付着する金属化合物220aは、図26に示すのと同様にして、金属化合物220a同士の結合221が切断され、金属化合物220bとして液膜207中に溶出し、さらに液膜207の厚み方向の中央部から液膜面207aまでの液膜207中を流過し、基板201の下方に排出される。また、液膜207の厚みを小さくするのが好ましいのは、図26に示す金属粒子218aの除去の場合と同様であり、そのためには、やはり基板201の水平面202に対する傾斜角度θ21を90°に近づけるのがよい。
次いで、基板201の被洗浄面201aに付着する基板汚染物が有機物である場合について、図20および図28に基づいて説明する。図28は基板201の被洗浄面201aの洗浄実行領域208において有機物222aが除去される機構を模式的に示す断面図である。なお、有機物222aの除去にも、金属粒子218aおよび金属化合物220aの除去の場合と同様に、亜臨界超純水が好ましい。したがって、図28に関する説明においても、亜臨界超純水を用いるものとする。有機物222aは、図26に示す金属粒子218aおよび図27に示す金属化合物220aと同様にして除去される。すなわち、角度θ21で傾斜保持される基板201の被洗浄面201aに、加圧された亜臨界超純水を耐圧ノズル204から噴射すると、被洗浄面201a上に亜臨界超純水の液膜207が形成され、液膜207中には液流209a,209b,209c,209d,209eが発生する。これらのうち、特に被洗浄面201a近傍を流過する液流209a,209bなどが、被洗浄面201aに付着する有機物222aに応力を付与する。その結果、有機物222a中の炭素結合223が切断され、有機物片である有機物222bが液膜207中に溶出する。有機物222bは、さらに液流209c,209d,209eなどの応力を受け、液膜207の厚み方向の中央部を流過する有機物222cになる。有機物222cは、最終的に、基板201の下方に排出される。有機物222aの除去効率を高めるには、ここでも、基板201の水平面202に対する傾斜角度θ21を可能な限り90°に近づけ、液膜207の厚みを小さくすることが有効である。
図29は、基板洗浄装置225の構成を模式的に示す側面図である。基板洗浄装置225は、基板201を水平面202に対して傾斜角度θ21をなすように傾斜保持する図示しない基板保持手段と、基板201の被洗浄面201aに純水を噴射する純水噴射手段226とを含んで構成される。
基板保持手段は図示されないけれども、たとえば、基板201を載置する金属製または合成樹脂製の板状部材を有する。本実施の形態では、板状部材は、基板保持部に相当する。板状部材には、基板201を固定する保持具を設けることができる。純水噴射手段226は、基板201の被洗浄面201aに純水を噴射する耐圧ノズル204と、図示しない純水供給手段とを含んで構成される。耐圧ノズル204は、流体供給部としての洗浄液噴射部に相当する。板状部材および耐圧ノズル204は、処理槽に形成される処理空間に設けられる。
移動手段は、耐圧ノズル204を角変位可能に支持するアーム227と、アーム227を支持しかつ基板201に対して平行に配置されるガイド229に沿って移動可能に設けられるスライダ228と、を含んで構成される。ガイド229とスライダ228は、たとえば、モータで回転駆動されるボールねじと、ボールねじに螺合するめねじ部材とによって実現される。
姿勢変化手段は、処理槽の姿勢を変化させ、これによって処理槽に設けられる板状部材および耐圧ノズル204の姿勢を変化させる。このようにして、板状部材が水平面202に対してなす角度を適宜調整することによって、基板201の水平面202に対してなす角度θ21を決定できる。
図30(a)は、耐圧ノズル204の外観を示す斜視図である。図30(b)は、耐圧ノズル204における純水噴射面230の構成を模式的に示す平面図である。耐圧ノズル204の純水噴射面230には、複数の洗浄液噴射孔である複数の円形噴射孔231が直線状に一列に形成される。円形噴射孔231の直径d2は、基板201の被洗浄面201a上に形成される純水の液膜207の厚みを1mm未満にし、基板汚染物の除去性能を向上させるためには、200μm以下が好ましく、10μm〜100μmが特に好ましい。また、隣り合う円形噴射孔231の中心間隔すなわち形成ピッチd3は、次の式(1)を満たすことが好ましい。
2×d2≦d3≦3×d2 …(1)
2×d2≦d3≦3×d2 …(1)
具体的には、たとえば、円形噴射孔231の直径d2が30μm、円形噴射孔231の形成ピッチd3が60μmである耐圧ノズルが挙げられる。該耐圧ノズルに供給する純水が4MPaに加圧される場合、基板201の被洗浄面201aにおける純水衝突点から20mm下流で発生する液膜207の厚みは100〜150μmと極めて小さくなる。このとき、基板201の被洗浄面201a上を流過する超純水は、平均速度で秒速10m以上である。ただし、上記の、耐圧ノズル204の構成を示す数値および式(1)は、基板201の被洗浄面201a上で液膜207を発生させるための一例であって、本実施の形態において液膜207により基板汚染物を除去するにあたり、耐圧ノズル204の構成を限定するものではない。
耐圧ノズル204から、水平面202に対して傾斜角度θ21をなして傾斜保持される基板201の被洗浄面201aに純水を噴射すると、被洗浄面201a上に純水の液膜207が形成される。
図31(a)は、別形態の耐圧ノズル232の外観を示す斜視図である。図31(b)は、耐圧ノズル232における純水噴射面233の構成を模式的に示す平面図である。耐圧ノズル232の純水噴射面233には、洗浄液噴射孔であるスリット状噴射孔234が形成される。スリット状噴射孔234のギャップd4は、基板201の被洗浄面201a上に形成される純水の液膜207の厚みを1mm未満にし、基板汚染物の除去性能を向上させるためには、200μm以下が好ましく、10μm〜100μmが特に好ましい。具体的には、たとえば、スリット状噴射孔234のギャップd4が30μmである耐圧ノズルが挙げられる。該耐圧ノズルに供給する超純水が4MPaに加圧される場合、基板201の被洗浄面201aにおける超純水衝突点から20mm下流で発生する液膜207の厚みは100〜150μmと極めて薄い。このとき、基板201の被洗浄面201a上を流過する超純水は、平均速度で秒速10m以上である。ただし、上記の、耐圧ノズル232の構成を示す数値は、基板201の被洗浄面201a上で液膜207を発生させるための一例であって、本実施の形態において液膜207により基板汚染物を除去するにあたり、耐圧ノズル232の構成を限定するものではない。
耐圧ノズル232から、水平面202に対して傾斜角度θ21をなして傾斜保持される基板201の被洗浄面201aに純水を噴射すると、被洗浄面201a上に純水の液膜207が形成される。
図29に戻り、アーム227は、耐圧ノズル204を角変位可能に支持する。したがって、基板201の被洗浄面201aに対する耐圧ノズル204の純水噴射角度θ22を適宜調整できる。また、アーム227はスライダ228によって支持され、スライダ228はガイド229に沿って移動可能に配置される。ガイド229は、基板201の被洗浄面201aに対して平行に配置されるので、アーム227ひいては耐圧ノズル204は、スライダ228によって、基板201の被洗浄面201aに平行に上下動可能に支持されることになる。
純水供給手段には、たとえば、純水を貯留する純水貯留槽と、一端が純水貯留槽に接続され、他端が耐圧ノズル204に接続される耐圧性ホースと、純水を加圧して送給する加圧ポンプとを含んで構成される。勿論、この構成に限定されることなく、ノズルに液体を供給する一般的な方法を採用することができる。
基板洗浄装置225によれば、たとえば、次のようにして、基板201の被洗浄面201aの洗浄が行われる。まず、耐圧ノズル204から噴射される純水の到達する地点が、基板201の鉛直方向の最上部になるようにスライダ228を移動させ、耐圧ノズル204の位置合わせを行う。次いで、耐圧ノズル204から加圧されている純水235の噴射を開始し、基板201の被洗浄面201a上に膜厚が薄い液膜207を形成する。液膜207中の液流は、純水自体の粘度、被洗浄面201aとの摩擦などによって、基板201の下方になるほど減速し、それとともに液膜207の膜厚が大きくなる。そして、被洗浄面201aにおける純水235の到達する地点の直下から下方数cmまでの領域である洗浄実行領域208では、被洗浄面201aに付着する基板汚染物が除去される。したがって、耐圧ノズル204を下方に移動させると、基板201の下方に向けて洗浄実行領域208を連続的に発生させることができ、基板201全体を洗浄できる。また、耐圧ノズル204を基板201の上方から下方へ移動することにより、被洗浄面201aから剥離し、液膜207中に溶出する基板汚染物を再付着させることなく、基板201の外に効率的に排出できる。最後に、基板201の被洗浄面201aの最下部まで洗浄実行領域208が及んだ時点で、耐圧ノズル204による純水の噴射を停止し、基板201の洗浄が終了する。
31,225 基板処理装置
32,201 基板
33 処理槽
34 基板保持部
35 流体供給手段
36 移動手段
37 姿勢変化手段
38 処理空間
41a,131 第1洗浄液噴射ノズル
41b 第2洗浄液噴射ノズル
42a 第1乾燥用気体噴射ノズル
42b 第2乾燥用気体噴射ノズル
43 洗浄液噴射手段
44 乾燥用気体噴射手段
45 第1可動体
47 第1連結部
49 第2可動体
51 第2連結部
52 支持体
53 回動駆動源
64 基板搬入出口
91,132 洗浄液噴射孔
203,226 純水噴射手段
204,232 耐圧ノズル
205 噴射孔
231 円形噴射孔
234 スリット状噴射孔
32,201 基板
33 処理槽
34 基板保持部
35 流体供給手段
36 移動手段
37 姿勢変化手段
38 処理空間
41a,131 第1洗浄液噴射ノズル
41b 第2洗浄液噴射ノズル
42a 第1乾燥用気体噴射ノズル
42b 第2乾燥用気体噴射ノズル
43 洗浄液噴射手段
44 乾燥用気体噴射手段
45 第1可動体
47 第1連結部
49 第2可動体
51 第2連結部
52 支持体
53 回動駆動源
64 基板搬入出口
91,132 洗浄液噴射孔
203,226 純水噴射手段
204,232 耐圧ノズル
205 噴射孔
231 円形噴射孔
234 スリット状噴射孔
Claims (11)
- 処理空間が形成される処理槽と、
処理空間に設けられる基板保持部を有し、この基板保持部によって処理空間内で基板を保持する基板保持手段と、
処理空間に設けられる流体供給部を有し、この流体供給部から、基板保持部によって保持される基板に、この基板を処理するための処理流体を供給する流体供給手段と、
処理槽の姿勢を変化させる姿勢変化手段とを含むことを特徴とする基板処理装置。 - 姿勢変化手段は、
処理槽をこの処理槽の重心または重心付近を通って水平に延びる回動軸線まわりに回動自在に支持する支持体と、
処理槽を回動軸線まわりに回動させる回動駆動源とを有することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。 - 流体供給部を、基板保持部によって保持される基板に沿って移動させる移動手段をさらに含み、
移動手段は、
処理槽の外部に設けられる可動体と、
処理槽の外部に設けられ、可動体を変位駆動する可動体駆動源と、
処理空間から処理槽の外部にわたって設けられ、流体供給部と可動体とを連結する連結部とを有することを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。 - 流体供給手段は、流体供給部である洗浄液噴射部から、基板を洗浄するための洗浄液を噴射する洗浄液噴射手段を含み、
洗浄液噴射手段は、基板保持部によって保持される基板が水平面に対して所定の処理角度をなすように処理槽の姿勢が維持される処理状態で、洗浄液噴射部から前記基板に、洗浄液を噴射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板処理装置。 - 所定の処理角度は、5度以上90度以下に選ばれることを特徴とする請求項4記載の基板処理装置。
- 洗浄液噴射部には、直径10μm以上200μm以下の複数の洗浄液噴射孔が一直線上に配列するように形成されることを特徴とする請求項4または5記載の基板処理装置。
- 洗浄液噴射部には、一直線上に延びる洗浄液噴射孔であって、開口ギャップ10μm以上200μm以下の洗浄液噴射孔が形成されることを特徴とする請求項4または5記載の基板処理装置。
- 洗浄液噴射手段は、基板保持部によって保持される基板の両面に、洗浄液を噴射することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1つに記載の基板処理装置。
- 前記処理状態で、処理槽の内面のうちで基板保持部によって保持される基板に上方から対向する対向面が、水平面に対して傾斜することを特徴とする請求項4〜8のいずれか1つに記載の基板処理装置。
- 流体供給手段は、流体供給部である乾燥用気体噴射部から、基板を乾燥させるための乾燥用気体を噴射する乾燥用気体噴射手段を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の基板処理装置。
- 処理槽には、処理空間に対して基板を搬入出するための基板搬入出口が形成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の基板処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005295642A JP2007098361A (ja) | 2005-10-07 | 2005-10-07 | 基板処理装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010135525A (ja) * | 2008-12-04 | 2010-06-17 | Siltronic Ag | 半導体ウエハの洗浄方法 |
CN103515190A (zh) * | 2012-06-25 | 2014-01-15 | 株式会社Mm科技 | 衬底处理设备 |
-
2005
- 2005-10-07 JP JP2005295642A patent/JP2007098361A/ja active Pending
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