JP2006323178A - リソグラフィ用ペリクル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のペリクルは、各辺が300mm以上の長さを有するペリクル枠にペリクル膜を保持する大型ペリクルであって、該ペリクル膜がパーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体からなる非晶質フッ素ポリマーからなり、ペリクル膜の張力が0 N/mmより大きく、2×10-2N/mm未満であることを特徴とし、パーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体からなる非晶質フッ素ポリマーを溶媒に希釈して基板上に塗布し、180℃以上の温度で加熱して溶媒を除去した後、得られたペリクル膜を仮枠体に接着固定して基板から剥離し、その後ペリクル枠に貼り付け、仮枠体を取り外すことにより得られる。
【選択図】 図5
Description
ペリクルは、基本的に次のような構成からなっている。すなわち、露光に用いる光を良く透過させるニトロセルロース、酢酸セルロース、フッ素系ポリマーなどからなる透明なペリクル膜が黒色アルマイト処理を施したJIS A7075、A6061、A5052などのアルミニウム合金、ステンレス、ポリエチレンなどからなるペリクル枠の上面にペリクル膜の良溶媒を塗布して展張され、風乾・接着されている(特許文献1参照)。
この程度の大きさになると、図3に示すように、先ず膜張力で変形しない強度を有する仮枠体にペリクル膜を展張し、その後ペリクル膜はペリクル枠に移し変えられるが、このときペリクル枠は、特にその長辺がペリクル膜の張力によって内側方向に変形し、ペリクルに要求される寸法仕様を満たすことができない場合がある。
また、ペリクルを大型のままとし、その変形防止対策として、図4に示すように、ペリクル枠の長辺側を予め外側に突出させた形状に加工し、展張したペリクル膜の張力でペリクル枠を変形させ、ペリクル枠の長辺がおよそ直線状になるようにする方法が提案されている(特許文献5参照)。
また、特許文献5の方法は一見合理的であり、古くから類似した方法が長尺の対辺を持つ大型の枠体に、引っ張り応力を有するフィルムや網等を張る際に広く用いられている。しかしこの方法は、例えば、特許文献6に記載があるように、展張物の張力を常に一定にし、それと釣り合う形状の枠体を製作することは容易ではなく、精度やコストアップなどの問題があった。
なお、仮枠体は、JIS A5000系、A6000系、A7000系の何れかのアルミ合金からなり、断面二次モーメントの値5mm4 以上3500mm4以下とする。
これにより、ペリクル膜張力を常に所望の値で一定にすることができ、膜張力を前記範囲とすることにより、ペリクル枠に変形が無く、ペリクル膜にシワや弛みのないペリクルを得ることができる。
本発明のペリクルは図1、2に示したように、ペリクル枠の上端面にペリクル膜貼り付け用接着剤を介してペリクル膜が展張されている。通常、下端面にレチクル接着用粘着剤層が形成され、さらに粘着剤層の下端面にライナーが剥離可能に貼着されている。
ペリクル枠表面の陽極酸化処理は、公知の方法によって行うことができるが、一般に、酸性電解液中において行われる。酸性電解液としては、硫酸水溶液、シュウ酸水溶液などが一般的に用いられる。
通気口に設置する除塵用フィルターの形状、個数、場所等については、通気口と同様に適宜設定すればよい。フィルターの材質には、樹脂(PTFE、ナイロン66等)金属(316Lステンレススチール等)、セラミックス(アルミナ、チッ化アルミ等)等が挙げられる。また、除塵用フィルターの外側に環境中の化学物質を吸着又は分解するケミカルフィルターを装備してもよい。
基板上に塗付するには、スピンコーター、バーコーター、ダイコーターなどの方法を採用することができる。ペリクル膜として必要な特性が得られれば、その他の方法を採用してもよい。
レチクル貼り付け用接着剤としては、両面粘着テープ、シリコーン樹脂粘着剤、アクリル系粘着剤等が挙げられる。
なお、ペリクル膜貼り付け用接着剤層は、必要により溶媒で希釈してペリクル枠上端面に塗布し、加熱して乾燥・硬化させ形成される。接着剤の塗布方法としては、刷毛塗り、スプレー、自動ディスペンサーによる方法等が挙げられる。
本発明で使用する、レチクル接着剤保護用ライナーについては、公知の様々な材質のものが使用でき、例えば、PET、PTFE、PFA、PE、PC、塩ビ、PP等が挙げられ、これらの基材の表面に、使用する粘着剤に適した離型層が形成される。
仮枠体は、基板から膜を支障無く剥離できるものあれば、特に材質に制限はないが、その寸法は、最終的に所望のペリクル膜張力が得られるように、その材質によって決まるヤング率と、形状から所望の断面二次モーメントが得られるように設計する必要がある。これにより、膜の張力に応じて仮枠体は内側に向かって撓み、常に一定の膜張力で安定する。この状態でペリクル膜を仮枠体からペリクル枠に貼り替えることにより、所望の膜張力を有するペリクルが得られる。
仮枠体1は、断面二次モーメントの値が5mm4 〜3500mm4の範囲にあり、仮枠体1に基板より剥離したペリクル膜が展張されている。仮枠体1は、ペリクル膜の張力によってその長辺が内側に撓み変形する。この変形により、ペリクル枠貼り付け後の膜張力は0〜2×10-2N/mmとなる。このペリクル膜に予め膜接着剤を塗布したペリクル枠を接着し、ペリクル枠周辺の不要な膜を切断除去することによりペリクルが得られる。これにより展張されたペリクル膜は、仮枠体1から剥離された時の膜張力を保持しているため、所望の膜張力を持ったペリクルが得られる。
大型ペリクル枠体の変形量は、δを枠体の辺中央部での内側方向への変形量とすると、
δ=P L4/384EI
で求められる。なお、Pは膜張力、Eは枠体のヤング率、Iは枠体の断面二次モーメント、Lは仮枠体の辺長である。さらに、断面二次モーメントは、
I=hW3/12
で表される。hはペリクル枠の高さ、Wはペリクル枠の幅である。
σ1=σ0−kδ=σ0−(kPL4/384EI)=σ0−(kPL4/32Ebh3)
ここで、σ0は仮枠体の変形がない場合の膜張力、kは膜の弾性係数である。ただし、σ1≧0であり、膜材料が弾性変形し、かつ仮枠体が膜張力によって塑性変形しない範囲で有れば、σ1≒0〜σ1=σ0の間で任意の膜張力をペリクルに持たせることが可能である。
従って、仮枠体の変形によって得られる緩和された膜張力は、仮枠体の材質を決めればヤング率が決まるため、仮枠体の形状及び寸法即ち、断面二次モーメント及び仮枠体の辺の長さによって決まることになる。
図6に、辺長が900mm、1000mm、1400mmの場合について、断面二次モーメントと仮枠体の変形量との関係をグラフで示した。断面二次モーメントを3500mm4以上に取ると仮枠体の変形量が少なすぎ、ペリクル枠展張後の膜張力を所定の値に調節することができない。他方、仮枠体の断面二次モーメントを小さくし過ぎると、変形が大きくなりすぎ、ペリクル膜をペリクル枠に貼った際に膜に弛みやシワを生じる。
先ず、大型基板上に、溶剤に溶解したポリマーをスピンコート法などで塗布する。さらに、溶媒の沸点付近の温度で乾燥し、ペリクル膜を形成する。次に、基板とほぼ同じ大きさの仮枠体に接着剤を塗布して基板上に形成したペリクル膜に貼り合わせる。接着後、仮枠体を基板上から剥離し、ペリクル膜を仮枠体に移し取る。
仮枠体に展張されたペリクル膜をペリクル枠に接着剤で接着し、ペリクル枠の周囲の不要膜部分をカッターで切断除去して、膜張力が所定の範囲にあるペリクルが得られる。
(実施例1)
先ず、外寸474mm×782mm×長辺幅7.0mm、短辺幅6.0mm、厚さ5.5mmの、材質A5052からなるアルミニウム合金製ペリクル枠を用意した。このペリクル枠の一側面中央に直径0.5mmの通気孔を10個設けた。ペリクル枠を表面洗浄した後、ガラスビーズを使用し、吐出圧1.5kg/cm2のサンドブラスト装置にて1分間表面処理し表面を粗化した。
一方、ペリクル膜の仮枠体として、外寸800mm×920mm×6mm、厚さ6mmの材質A7075-T651からなるアルミニウム合金製ペリクル枠を用意した。
仮枠体に、エポキシ系接着剤アラルダイトラピッド(昭和高分子社製、商品名)を塗布して基板上のペリクルに接着し、基板よりペリクル膜を剥離した。
このようにして仕上がったペリクル枠を、仮枠体に剥離したサイトップの膜表面に密着させ、IRランプでペリクル枠を加熱してペリクル枠と膜を接着させた。このとき、ペリクル枠と仮枠体は、ペリクル枠の接着面を上向きにして固定用の治具に取り付け、相対的に位置がずれないように固定した。
完成したペリクルのペリクル枠内側方向への撓みを定盤と隙間ゲージを用いて測定したところ、2つの長辺の中央付近で100μm以下、短辺で50μm以下であった。また、膜に弛みやしわの発生はなかった。
ペリクル枠として、外寸474mm×782mm×6.5mm、厚さ7mmの材質A7075-T651からなるアルミニウム合金製ペリクル枠を使用し、ペリクル膜の仮枠体として、外寸800mm×920mm×5mm、厚さ5mmの材質A6061-T651からなるアルミニウム合金製ペリクル枠を使用した以外は、実施例1と同様にしてペリクルを作製した。
完成したペリクルのペリクル枠内側方向への撓みを定盤と隙間ゲージを用いて測定したところ、2つの長辺の中央付近で100μm以下、短辺で25μm以下であった。また、膜に弛みやしわは発生しなかった。
ペリクル枠として、外寸474mm×782mm×長辺幅7.0mm、短辺幅6.0mm、厚さ5.5mmのA5052からなるアルミニウム合金製ペリクル枠を使用し、ペリクル膜の仮枠体として、外寸800mm×920mm×12mm、厚さ10mmのA6061-T651からなるアルミニウム合金製ペリクル枠を使用した以外は、実施例1と同様にしてペリクルを作製した。
完成したペリクルのペリクル枠内側方向への撓みを定盤と隙間ゲージを用いて測定したところ、膜に弛みやしわは無かったものの、2つの長辺の中央付近で1000μm、短辺で200μmであった。
Claims (5)
- 各辺が300mm以上の長さを有するペリクル枠にペリクル膜を保持する大型ペリクルであって、該ペリクル膜がパーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体からなる非晶質フッ素ポリマーからなり、ペリクル膜の張力が0 N/mmより大きく、2×10-2N/mm未満であることを特徴とするリソグラフィ用ペリクル。
- 前記ペリクル枠が、JIS A5000系、A6000系、A7000系の何れかのアルミ合金からなる請求項1に記載のリソグラフィ用ペリクル。
- パーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体からなる非晶質フッ素ポリマーを溶媒に希釈して基板上に塗布し、180℃以上の温度で加熱して溶媒を除去した後、得られたペリクル膜を仮枠体に接着固定して基板から剥離し、その後ペリクル枠に貼り付け、仮枠体を取り外すことを特徴とするリソグラフィ用ペリクルの製造方法。
- 前記仮枠体にペリクル膜が張られた状態で、ペリクル膜の張力により弾性変形する仮枠体の変位量によって、ペリクル枠に貼り付け後の膜張力が0 N/mmより大きく、2×10-2N/mm未満となるように仮枠体の断面二次モーメントが調整されている請求項3に記載のリソグラフィ用ペリクルの製造方法。
- 前記仮枠体が、JIS A5000系、A6000系、A7000系の何れかのアルミ合金からなり、断面二次モーメントの値が、5mm4 以上3500mm4以下である請求項3又は4に記載のリソグラフィ用ペリクルの製造方法。
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