JP2006234536A - マイクロ流体混合器 - Google Patents
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Abstract
【課題】
マイクロ流体チップで行う化学分析や化学反応において、複数のサンプルの厳密な送液制御なしに、容易に均一な混合を実現することが可能な流路合流部の形状を提供する。
【解決手段】
複数のサンプル導入口とそこから延びる流路を持ち、それぞれの流路が合流する流路合流部を備えたマイクロ流体チップにおいて、それぞれのサンプル導入口から一定量のサンプルを導入後送液し、流路合流部でサンプルが混合することにより化学反応を起こさせようとする際、送液されるサンプルの液先端を揃えなければ、サンプルが混合する間に気泡を挟むなどして均一な混合ができず、ひいては化学反応が不成功となることがある。そこで、流路合流部を三角形状にすることで、送液しているサンプルの液先端を厳密に揃えなくとも、混合溶液の間に気泡を挟み込むことなく、均一に混合することが可能となるような流路合流部の形状を提供する。
【選択図】 図2
マイクロ流体チップで行う化学分析や化学反応において、複数のサンプルの厳密な送液制御なしに、容易に均一な混合を実現することが可能な流路合流部の形状を提供する。
【解決手段】
複数のサンプル導入口とそこから延びる流路を持ち、それぞれの流路が合流する流路合流部を備えたマイクロ流体チップにおいて、それぞれのサンプル導入口から一定量のサンプルを導入後送液し、流路合流部でサンプルが混合することにより化学反応を起こさせようとする際、送液されるサンプルの液先端を揃えなければ、サンプルが混合する間に気泡を挟むなどして均一な混合ができず、ひいては化学反応が不成功となることがある。そこで、流路合流部を三角形状にすることで、送液しているサンプルの液先端を厳密に揃えなくとも、混合溶液の間に気泡を挟み込むことなく、均一に混合することが可能となるような流路合流部の形状を提供する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、マイクロ流体チップの分野に属するものであり、遺伝子検査や免疫学的検査等の生化学的検査および診断、または化学分析、化学反応に好適なマイクロ流体チップに関するものである。
近年、ナノテクノロジーに代表される微細加工技術を駆使して、化学分析や化学反応、または遺伝子検査や免疫学的検査などを微細化して行うμ−TAS(μ−Total Analysis Systems)が注目を集めている。μ−TASにおいては、これらの反応をマイクロチップ上に集積化することで、必要試薬量の低減、それによる産業廃棄物の削減、操作の簡便性、さらには比表面積増大による攪拌効率や抽出効率の向上により、分析所要時間の大幅な短縮などが期待されている。
また、装置の小型化による省スペース化、さらには、持ち運び可能な大きさにすることでPoint Of Care Testing(その場分析)の実現も期待されている。例えば、感染症の診断および治療においては、適切な処置を行うために感染している細菌やウィルス種を特定する必要があり、免疫学的検査や遺伝子検査が実施されている。後者においては、細菌やウィルス由来の核酸を増幅するために、PCR(ポリメレースチェーンリアクション)法の適用が検討されている。しかしながら、従来の免疫学的検査や遺伝子検査においては、検体の前処理や必要となる試薬類の保存や調製、さらには、大掛かりな検出装置などが必要であり、中央検査室と称される大型の医療機関において主に利用されてきた。
一方、マイクロ流体チップに上記の検査項目を集積化することが可能ならば、小病院への各種検査法の導入のみならず、入院患者がベッドサイドで自ら分析することや、ひいては、自宅で簡便に健康状態を把握することも不可能ではなくなり、QOL(Quality Of Life;生活の質)の向上による豊かな暮らしへの貢献が期待されている。
実際、これまでにいくつかの遺伝子分析や化学分析を行うマイクロ流体チップの報告がなされているが、実用的な臨床診断ツールとして利用させている例は皆無である。
実用的なマイクロ流体チップの実現が困難であることの一因として、従来の技術ではマイクロ流体チップ上における流体制御が難しく、特に、複数のサンプルを流路合流部で定量的に均一に混合することが容易ではない。そのため、チップ上での複数の溶液の混合法が提案されている。混合部後方に垂直及び水平流路を有する基板を複数枚積層する方法(特許文献1および2)や反応流路部に圧電素子を装着し、流路の変形により混合させる方法(特許文献3)、さらには合流部の後方に微細な凹凸面を有する混合器を形成させる方法(特許文献4)等が提案されている。各提案の多くは流動溶液の分割と合流により混合を促進させる方法であり、その実現にはチップ作製の困難性、コスト増大等の問題が残っている。さらに上記手段ではサンプル溶液を継続的に送液する連続流体を前提にしており、臨床診断分野や分析分野のように取り扱えるサンプル量が微量である不連続流体への適用は困難であり、簡便な構造で上記の目的を達成可能な混合機構が望まれている。
サンプル量が微量で、不連続流体を均一に混合する必要のあるマイクロ流体チップにおいては、導入したサンプルがマイクロ流体チップ上で混合することで反応がスタートするような系、特に、遺伝子増幅反応においては検体と各種酵素、基質溶液をマイクロ流体チップ上で混合させる場合、各サンプルは定量的に混合されるべきであるが、図3に示すように、各サンプルの流路合流部への到達時間にズレがあると、サンプルが混合している間に空気を挟み込むなどして均一な混合が難しく反応が進行しない原因となっていた。また、流路を送液する複数のサンプルの流路合流部への到達時間を合わせるためには、流路を流れるサンプルの液先端を揃える必要があるが、その目的で送液制御を行うためには、各流路を別々に制御する複数のポンプが必要となり、装置が大掛かりとなってしまい、ひいてはその場分析への対応は不可能となってしまう。
本発明は、マイクロ流体チップに導入されたサンプルを、厳密な送液制御を必要とせずに、均一に混合することが可能な流路合流部の形状をもつマイクロ流体混合器により、簡便かつ低コストで製作可能なマイクロ流体チップを提供するものである。
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、複数のサンプルをマイクロ流体チップ上で混合することにより化学反応が開始するような反応系を実施するに当たり、複数の流路の合流部の形状が流路合流部下流端を頂点とした概ね三角形状であることで、流路内に定量的に導入したサンプルを複雑な送液制御を必要とせず、均一に混合することが可能となることを見出した。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、マイクロ流体チップにおいて複数のサンプルを均一に混合するための流路合流部の形状に関するものであって、複数の流路が合流する流路合流部の形状が流路合流部下流端を頂点とした概ね三角形状であることを特徴とする。
図1に示したマイクロ流体チップ1において、サンプル導入口2および3に定量的にサンプルを導入し、該導入口から延びる導入路4へサンプルを送液し、流路合流部5でサンプルを混合することで反応がスタートするような化学反応を行う際、マイクロ流体チップに接続されたポンプで加圧または減圧することによりサンプルを送液することとなるが、その際、サンプルの液先端が同時に流路合流部5に到達しなければ、図3に示すようにサンプルの混合液に気泡を噛み込んでしまう。この状態では意図した試薬組成と異なる混合液が生成したこととなり、均一な混合または化学反応が進行しない原因となる。このことを防止するためには、流路を送液する複数のサンプルの液先端を厳密に制御することが必要である。しかしながら、そのためにはサンプル数と同じ数の加圧ポンプのような制御装置が必要となり、小型化、簡便化の妨げとなる。そこで、流路合流部を特徴的な形状にすることで、この問題を解決することが可能となった。すなわち、図4に示すように、サンプルの液先端が揃わずに一方のサンプルが先に流路合流部に到達しても、流路合流部を流路合流部下流端を頂点とした概ね三角形状にすることで、先に到達したサンプルが流路合流部よりも下流に流れていくことなく一旦留まり、遅れて到達したサンプルと混合することにより体積が増加することで流路合流部内を混合液が満たし、排出路へと送液され、下流の検出部等で検出等することが可能となった。これにより、意図した試薬組成の混合液が生成し、目的の化学反応の反応効率が向上する。
前記流路合流部の形状は図2の(B)に示したように、合流する流路を二辺とし、流路合流部下流端を頂点とするような形状の二等辺三角形であることが好ましく、さらに好適には、図2の(C)に示したように、上記二等辺三角形の底辺を送液方向に凸となるようにすることが好ましい。具体的には、底辺のなす角θが150°以上180°以下であることが好ましい。またθは、流路合流部の概ね三角形状の流路合流部下流端の頂点のなす角θ’より大きいことが好ましく、θ’は150°以下であることが好ましい。これら図2の(B)および(C)を含めて概ね三角形状ということができる。また図2の(A)、(D)および(E)については、(A)および(E)は流路合流部に底辺が無く、(D)は底辺がサンプル送液方向に向かって凸ではないため、それぞれ概ね三角形状には含まれないとする。また、図2の(B)および(C)とは異なる形状であっても流路合流部が概ね三角形状であればよく、たとえば図2の(F)のように二等辺三角形ではないもの、(G)のように頂点を形成する2辺が直線ではないもの等もサンプルを均一に混合する効果があり、概ね三角形状に含まれるものとする。(H)の場合は、底辺が曲線であるものの送液方向に向かって凸である形状であるため、サンプルを均一に混合する効果があり、概ね三角形状に含まれるものとする。なお、本発明において概ね三角形状とは図2のようにマイクロ流体チップの上方から見て概ね三角形状であることを意味する。
本発明における流路合流部の容積は特に限定されないが、流路合流部に送液されるサンプルの総量に対して同程度であることが好ましく、特に50%以上150%以下であることが好ましい。
本発明において流路合流部に接続される2つの導入路および1つの排出路が、概ね三角形状である流路合流部の、三角形の各頂点に接続されていることが好ましい。
マイクロ流体チップの材質は、特に限定されることはなく、目的の形状を作製可能であり、流路内に送液する液体と反応を起こさないものであればどのような材質を用いても構わない。たとえばアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール等の合成樹脂製や、磁器製、金属製、ガラス製などが例示できる。また、マイクロ流体チップの流路の幅および深さは特に限定されない。
本発明において、混合するサンプルの種類は特に限定されることはなく、たとえば混合後反応が開始される酵素と基質、抗原と抗体などの組み合わせでもよいし、反応が開始されない物質の組み合わせを混合するだけでもよい。
本発明において、1つの流路合流部では2つの導入路が接続されて1つの排出路へと送液されるが、3つ以上のサンプルを混合する場合には、まず2つのサンプルを最初の流路合流部において混合し、その混合液が送液される排出路が再び次の流路合流部の導入路となって、3つ目のサンプルと混合することができる。このように順次サンプルを混合することで、本発明では1つのマイクロ流体チップ上で3つ以上のサンプルを均一に混合することも可能である。
本発明によれば、複数のサンプルを送液可能な複数の導入路を備え、かつそれらの導入路が合流し、複数のサンプルが混合することで反応が進行するような系を備えたマイクロ流体チップにおいて、流路合流部の形状を流路合流部下流端を頂点とした概ね三角形状にすることにより、容易に複数のサンプルを均一に混合することが可能となった。特に、マイクロ流体チップの流路に導入した一定量のサンプル同士を、一定の割合で混合することが必要な場合、従来は送液するサンプルの液先端を揃える必要があったが、本発明によれば、送液するサンプルの液先端を厳密に揃えなくとも、先に到達したサンプル溶液が流路合流部で留まり、遅れて到達したサンプルと混合してから下流の流路へ流れていく。これにより、意図した反応試薬組成通りの混合が可能となり、マイクロ流体チップ上で行う各種化学反応の反応効率が向上すると期待できる。このような単純な機構で均一な混合が達成可能であるため、複雑な送液制御の必要がなくなるため装置の単純化や小型化、低コスト化に繋がり、マイクロ流体チップの応用が期待されているPOC分野への対応の可能性が向上した。また、本発明によるマイクロ流体混合器はサンプル量が微量である不連続流体の均一な混合を可能としており、臨床診断分野や分析分野への応用が可能となる。
以下、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される物ではない。
さまざまな形状の流路合流部を備えたマイクロ流体チップにおける核酸増幅反応。
(1)図2の(A)、(B)、(D)または(E)の形状の流路および流路合流部と、それぞれの導入路にサンプルを導入可能な導入口を有し、かつ、流路合流部からサンプルが送液される排出路を備えたアクリル樹脂製マイクロ流体チップと、TRC反応(特許文献5および非特許文献1)に用いる試薬(基質試薬、酵素試薬、プライマー試薬、標的核酸溶液)を用意した。基質試薬と酵素試薬、およびプライマー試薬と標的核酸溶液を予め混合し、それぞれA液、B液とした。マイクロ流体チップの流路は幅、深さ共に300μmであり、全ての混合器の内容積は12μlである。
(1)図2の(A)、(B)、(D)または(E)の形状の流路および流路合流部と、それぞれの導入路にサンプルを導入可能な導入口を有し、かつ、流路合流部からサンプルが送液される排出路を備えたアクリル樹脂製マイクロ流体チップと、TRC反応(特許文献5および非特許文献1)に用いる試薬(基質試薬、酵素試薬、プライマー試薬、標的核酸溶液)を用意した。基質試薬と酵素試薬、およびプライマー試薬と標的核酸溶液を予め混合し、それぞれA液、B液とした。マイクロ流体チップの流路は幅、深さ共に300μmであり、全ての混合器の内容積は12μlである。
A液
120mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.6)
34mM 塩化マグネシウム
2mM DTT
0.4U/μl RNase Inhibitor
各0.5mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP
7.2mM ITP
各6mMのATP、CTP、GTP、UTP
4% ソルビトール
0.24mg/ml 牛血清アルブミン
11.36U/μl T7RNAポリメレース
0.53U/μl AMV逆転写酵素
容量調整用蒸留水
B液
220mM 塩化カリウム
2.0μMの第一のオリゴヌクレオチド(T7RNAポリメレース・プロモーター配列含有センスプライマー)
2.0μMの第二のオリゴヌクレオチド(アンチセンスプライマー)
0.32μMの第三のオリゴヌクレオチド(3’末端をアミノ基修飾)
20.8% DMSO
1000コピー/15μl 標準RNA
容量調整用蒸留水
(2)使用した標準RNAは、mecA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の細胞壁合成酵素PBP2’遺伝子配列(非特許文献2参照)を含む2183塩基のRNA)。この標準RNAをRNA希釈液(10mM Tris−HCl (pH8.0)、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.5U/μl RNase Inhibitor)で1000コピー/5μlになるように調製しRNA試料とした。
(3)オリゴヌクレオチドの塩基配列
第一のオリゴヌクレオチド(T7RNAポリメレース・プロモーター配列含有センスプライマー)
5’−AAT TCT AAT ACG ACT CAC TAT AGG GAG ACT AAC TAT TGA TGC TAA AGT TCA AA−3’
第二のオリゴヌクレオチド(アンチセンスプライマー)
5’−TTC TTT TTT ATC TTC GGT−3’
第三のオリゴヌクレオチド(3’末端をアミノ基修飾)
5’−GTT AGT TGA ATA TCT TTG CCA TCT TTT TTC TTT TTC TCT ATT AAT GTA T−3’NH2
(4)先に調製したA液、B液を、それぞれ異なるサンプル導入口に5μlずつ導入し、それぞれの導入口には、空気圧によりサンプルを送液するためにシリンジポンプを接続した。
(5)試薬導入後、43℃に設定されたホットプレート上にマイクロ流体チップを乗せ、5分間放置して導入したサンプルおよびマイクロ流体チップが暖まるのを待った。
(6)毎分10μlの送液速度に設定したシリンジポンプを動作させ、導入口に導入した試薬を空気圧により送液した。A液、B液が流路合流部で混合し、さらに下流の排出路に送液され、混合液の全量が流路合流部を通過後にシリンジポンプによる送液を一旦停止した。但し、(E)の流路合流部形状を有するマイクロ流体チップにおいては、混合液の全量が流路合流部の下流に設置された混合部を通過後に送液を停止した。この状態で20分間放置し、TRC反応を進行させた。
(7)20分経過後、毎分50μlの送液速度に設定したシリンジポンプを動作させ、サンプル排出口からA液とB液の混合液を回収し、アガロースゲルで電気泳動を行い、SYBR Green IIで染色し、デンシトメーターでRNA増幅産物のバンド濃度を定量した。
120mM Tris−塩酸緩衝液(pH8.6)
34mM 塩化マグネシウム
2mM DTT
0.4U/μl RNase Inhibitor
各0.5mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP
7.2mM ITP
各6mMのATP、CTP、GTP、UTP
4% ソルビトール
0.24mg/ml 牛血清アルブミン
11.36U/μl T7RNAポリメレース
0.53U/μl AMV逆転写酵素
容量調整用蒸留水
B液
220mM 塩化カリウム
2.0μMの第一のオリゴヌクレオチド(T7RNAポリメレース・プロモーター配列含有センスプライマー)
2.0μMの第二のオリゴヌクレオチド(アンチセンスプライマー)
0.32μMの第三のオリゴヌクレオチド(3’末端をアミノ基修飾)
20.8% DMSO
1000コピー/15μl 標準RNA
容量調整用蒸留水
(2)使用した標準RNAは、mecA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の細胞壁合成酵素PBP2’遺伝子配列(非特許文献2参照)を含む2183塩基のRNA)。この標準RNAをRNA希釈液(10mM Tris−HCl (pH8.0)、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.5U/μl RNase Inhibitor)で1000コピー/5μlになるように調製しRNA試料とした。
(3)オリゴヌクレオチドの塩基配列
第一のオリゴヌクレオチド(T7RNAポリメレース・プロモーター配列含有センスプライマー)
5’−AAT TCT AAT ACG ACT CAC TAT AGG GAG ACT AAC TAT TGA TGC TAA AGT TCA AA−3’
第二のオリゴヌクレオチド(アンチセンスプライマー)
5’−TTC TTT TTT ATC TTC GGT−3’
第三のオリゴヌクレオチド(3’末端をアミノ基修飾)
5’−GTT AGT TGA ATA TCT TTG CCA TCT TTT TTC TTT TTC TCT ATT AAT GTA T−3’NH2
(4)先に調製したA液、B液を、それぞれ異なるサンプル導入口に5μlずつ導入し、それぞれの導入口には、空気圧によりサンプルを送液するためにシリンジポンプを接続した。
(5)試薬導入後、43℃に設定されたホットプレート上にマイクロ流体チップを乗せ、5分間放置して導入したサンプルおよびマイクロ流体チップが暖まるのを待った。
(6)毎分10μlの送液速度に設定したシリンジポンプを動作させ、導入口に導入した試薬を空気圧により送液した。A液、B液が流路合流部で混合し、さらに下流の排出路に送液され、混合液の全量が流路合流部を通過後にシリンジポンプによる送液を一旦停止した。但し、(E)の流路合流部形状を有するマイクロ流体チップにおいては、混合液の全量が流路合流部の下流に設置された混合部を通過後に送液を停止した。この状態で20分間放置し、TRC反応を進行させた。
(7)20分経過後、毎分50μlの送液速度に設定したシリンジポンプを動作させ、サンプル排出口からA液とB液の混合液を回収し、アガロースゲルで電気泳動を行い、SYBR Green IIで染色し、デンシトメーターでRNA増幅産物のバンド濃度を定量した。
図5に示したように、アガロースゲル電気泳動で増幅産物量を数値化した結果、流路合流部が(B)の形状であるマイクロ流体チップにおける増幅産物量は、概ね三角形状の流路混合部のない(A)、(D)および(E)のマイクロ流体チップにおける増幅産物量よりも顕著に多く得られ、さらには、増幅産物量の再現性が高いことが分かった。また、(D)および(E)のように丸型の流路合流部または丸型の混合部を備えたものは、増幅産物量、再現性共に特徴的な流路合流部を備えていないマイクロ流体チップと同程度であった。また、A液とB液の合流の際に、(B)の形状の流路合流部により顕著に気泡の混入が抑制され、均一に混合されている様子が観察された。これらのことから、流路合流部を(B)のような形状にすることにより、定量的に導入したA液とB液が均一に混合し易くなり、TRC反応の成功率を向上させることが分かった。このように、TRC反応に限らず、流路に導入した試薬をマイクロ流体チップ上で混合させることにより反応がスタートするような化学反応を行う際には、本発明により導入サンプルの均一な混合が達せられることにより、目的反応の反応効率を向上させることが期待される。
Claims (5)
- サンプルを導入可能な複数のサンプル導入口と、導入したサンプルを送液する複数の導入路と、導入路が合流後接続される排出路と、排出路と接続しサンプルを取り出す排出口と、からなる流路パターンを有するマイクロ流体チップにおいて、
流路合流部の形状が流路合流部下流端を頂点とした概ね三角形状であるマイクロ流体混合器。 - 請求項1において、流路合流部の内容積が、導入したサンプルの体積の総和の50〜150%であること、すなわち、混合後のサンプル溶液の体積に対して50〜150%であるマイクロ流体混合器。
- 請求項1または2において、2つの導入路および1つの排出路が、流路合流部の各頂点に接続されているマイクロ流体混合器。
- 請求項1乃至3において、概ね三角形状の流路合流部の底辺が、直線、または流路合流部の概ね三角形状の頂点のなす角以上、かつ150°以上180°未満の大きさの角度を有する送液方向に向かって凸である二辺で構成されているマイクロ流体混合器。
- 請求項1乃至3において、概ね三角形状の流路合流部の底辺が送液方向に向かって凸である曲線で構成されているマイクロ流体混合器。
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- 2005-02-24 JP JP2005048423A patent/JP2006234536A/ja active Pending
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