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JP2006226788A - バッテリ管理システム - Google Patents

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JP2006226788A
JP2006226788A JP2005039609A JP2005039609A JP2006226788A JP 2006226788 A JP2006226788 A JP 2006226788A JP 2005039609 A JP2005039609 A JP 2005039609A JP 2005039609 A JP2005039609 A JP 2005039609A JP 2006226788 A JP2006226788 A JP 2006226788A
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篤史 難波
Mikio Ono
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Abstract

【課題】車両搭載のバッテリの劣化状態を正確に把握し、バッテリ管理に反映させる。
【解決手段】バッテリ温度が設定範囲内にあり、バッテリ電流が0付近にある状態が設定時間TNLD継続し、直前の設定時間TNLS内にバッテリ電流Iが設定値IBHC以上或いは設定値−IBHC以下である状態が存在し、且つ、その状態が設定時間TNLB継続している条件が成立する場合(S2〜S5)、電流値が0付近になる前後の電流I1,I2、電圧V1,V2を算出する(S6)。そして、電流変化量DIBH及び電圧変化量DVBHを統計処理してインピーダンスを算出し(S7〜S9)、算出したインピーダンスと予め保有する補正計算用インピーダンスとの比をバッテリ劣化係数として算出し(S10)、車両システムにバッテリ劣化係数を送信する(S11)ことで、バッテリの劣化に応じた的確なバッテリ管理を可能とする。
【選択図】図11

Description

本発明は、車両搭載のバッテリの状態をデータベースに蓄積してバッテリの劣化状態を推定し、バッテリ管理に反映させるバッテリ管理システムに関する。
近年、自動車等の車両においては、ガソリン等を燃料とするエンジンを動力源とするものに対し、低公害、省資源の促進を目的として、バッテリからの電力によって駆動力を発生するモータをエンジンに加えて搭載し、エンジンとモータとを併用するハイブリッド車が開発されている。このようなハイブリッド車では、バッテリ状態を正確に把握して管理することが重要であり、バッテリの電圧、電流、温度といった基本的なパラメータに加えて、残存容量等を算出するようにしているが、残存容量はバッテリの劣化によって変化するため、長期間に渡って精度を維持することは困難である。
これに対処するに、例えば、特許文献1には、電気自動車の車両停止時の電池電圧から求めた開放電圧により停止時残存容量を求めると共に、電池の放電電流の積算値に基づいて放電電気容量を検出し、この放電電気容量と停止時残存容量とから満充電容量を算出し、この満充電容量と公称の満充電容量とから劣化度を算出し、この劣化度を考慮した残存容量を検出する技術が開示されている。
特開平6−242193号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、車両停止時の電池電圧から求めた開放電圧と放電電流の積算値を利用して劣化度を求めているが、電流の積算値は誤差が大きく的確な劣化度を算出できない。また、バッテリの劣化時には内部インピーダンスが増大して開放電圧が変化する点が考慮されておらず、さらに、電気自動車においては、モータが停止していてもインバータ等の負荷には電流が流れていることから、必ずしも正確な開放電圧を検出できるとは限らない。すなわち、特許文献1に開示の技術では、適用範囲が限定されてしまい、ハイブリッド車や電気自動車に搭載されているバッテリの状態を的確に管理するには、不十分である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両搭載のバッテリの劣化状態を正確に把握し、バッテリ管理に反映させることのできるバッテリ管理システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明によるバッテリ管理システムは、車両搭載のバッテリの情報をデータベースに格納し、バッテリ管理に反映させるバッテリ管理システムであって、上記データベースに格納されたバッテリ情報からバッテリ電流が0付近に変化している状態を検出し、該状態におけるバッテリ電流及び電圧を統計処理して上記バッテリのインピーダンスを算出するインピーダンス算出手段と、上記インピーダンス算出手段で算出したインピーダンスの初期値に対する増加割合に基づいて上記バッテリの劣化状態を表すバッテリ劣化係数を算出する劣化状態算出手段とを備えたことを特徴とする。
インピーダンスの算出に際しては、バッテリ電流が0付近に変化している前後の電流変化量及び電圧変化量を求めて記録し、所定の演算周期毎に、電流変化量と電圧変化量との関係を最小二乗法を用いて直線近似することにより、近似した直線の傾きをバッテリのインピーダンスとして算出することができる。
インピーダンス算出の演算周期は、絶対的な経過時間或いはバッテリの実使用時間によって決定しても良く、また、電流変化量及び電圧変化量のデータの個数によって決定しても良い。但し、演算周期内に、電流変化量及び電圧変化量のデータの個数が設定値以下の場合には、インピーダンスの算出を行わず、次の演算周期にデータを繰り越すことが望ましい。
また、バッテリ劣化係数は、バッテリの温度に基づいて設定した領域毎に算出し、各領域のバッテリ劣化係数を平均化して全体のバッテリ劣化係数を算出するようにしても良い。但し、バッテリ劣化係数のデータの個数が設定値以下の領域は、平均化処理から除外することが望ましい。
更に、バッテリ劣化係数を用いた寿命予測として、インピーダンスの初期値に対する増加割合とバッテリの新品時からの経過時間の関数とを比例関係とするテーブルを予め保有し、このテーブルにバッテリ劣化係数を適用して算出した経過時間と、寿命判定基準として設定したインピーダンス増加割合に対応する寿命判定経過時間との差からバッテリの使用可能時間を算出することができる。
この寿命予測においては、インピーダンスの初期値に対する増加割合に比例関係となるバッテリの新品時からの経過時間の関数を予め保有すると共に、データベースに上記バッテリの使用開始時期を登録しておき、データベースに登録した使用開始時期とバッテリ劣化係数を算出した時点との差から算出した実使用時間をパラメータとする関数とバッテリ劣化係数とに基づいてバッテリの使用可能時間を算出するようにしても良い。
バッテリ管理システムは、車両システムと、この車両システムに無線通信を介して接続される管理サーバとによって構成することができる。その場合には、管理サーバのデータベースに各車両システムから送信されたバッテリ情報を蓄積し、蓄積されたバッテリ情報を用いて管理サーバでバッテリ劣化係数やバッテリの使用可能時間を算出する。
管理サーバで算出されたバッテリ劣化係数は、車両システムに送信され、また、バッテリ劣化係数に基づくバッテリの使用可能時間は、車両システムと車両のユーザとデータベースへのアクセス権を有する部署との少なくとも一者に配信することが望ましい。
管理サーバからは車両システム送信されたバッテリ劣化係数は、バッテリの残存容量を算出する際に用いることができる。車両システムは、予め保有するテーブルから読出した電流容量やインピーダンスをバッテリ劣化係数に基づいて補正し、補正後の電流容量、補正後のインピーダンスから推定した開放電圧に基づいて、高精度の残存容量を算出することができる。
このとき、補正後の電流容量とバッテリの充放電電流の積算値とに基づく第1の残存容量と、補正後のインピーダンスを用いて推定した開放電圧に基づく第2の残存容量とを、バッテリの使用状況に応じて設定したウェイトを用いて重み付け合成して最終的な残存容量を算出することにより、電流積算による残存容量と開放電圧に基づく残存容量との双方の利点を生かした均一な精度の残量容量を得ることができる。
本発明によるバッテリ管理システムは、車両搭載のバッテリの劣化状態を正確に把握することができ、バッテリの残存容量や寿命推定等のバッテリ管理に反映させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図15は本発明の実施の一形態に係り、図1はバッテリ管理システムの構成図、図2は車両システムの構成図、図3はバッテリ残存容量の推定アルゴリズムを示すブロック図、図4はバッテリ温度をパラメータとする電流容量テーブルの説明図、図5はバッテリ劣化係数をパラメータとする電流容量補正係数テーブルの説明図、図6はバッテリ温度とバッテリ劣化係数とをパラメータとする電流容量テーブルの説明図、図7は等価回路モデルを示す回路図、図8はインピーダンステーブルの説明図、図9は残存容量テーブルの説明図、図10はウェイトテーブルの説明図、図11はバッテリ劣化係数算出処理を示すフローチャート、図12はインピーダンス算出時のバッテリ電圧及び電流を示す説明図、図13はインピーダンス算出の説明図、図14は寿命推定の説明図、図15は他の寿命推定を示す説明図である。
図1に示すように、本形態におけるバッテリ管理システムは、ユーザの車両に搭載された車両システム10と、予め登録された個々のユーザの車両に備えられたバッテリの情報をデータベースに蓄積して一括管理する管理サーバ100とを主として構成され、更に、ユーザへバッテリ情報を提供するための通信端末50を備えて構成されている。本形態においては、車両システム10の外部に管理サーバ100を設置する例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両システム10内に管理サーバ100を備えるようにしても良い。
本形態のバッテリ管理システムにおいては、車両システム10から管理サーバ100に無線通信網を介して車両搭載のバッテリの情報が送信され、管理サーバ100のデータベースに蓄積される。管理サーバ100は、データベースに蓄積されたバッテリ情報に基づいて個々の車両のバッテリ劣化状態を推定し、更には、バッテリの寿命予測を行う。
また、管理サーバ100には、無線通信網を介してユーザの通信端末50を接続することが可能であり、ユーザからの要求に応じて管理サーバ100から通信端末50にバッテリ状態を送信し、各ユーザに自車両のバッテリの劣化状態や寿命予測等のバッテリ状態に関する情報を提供する。通信端末50としては、ユーザが所有する携帯型の情報端末(Personal Digital Assistant;PDA)、ノート型のコンピュータ(ノートパソコン)、携帯電話機等を用いることができる。
また、通信端末50として、ユーザの車両の車両システム10内に備えられた表示装置や音声装置であっても良く、更には、通信端末50として、ユーザの自宅等に設置するデスクトップ型のコンピュータを用いることも可能である。車両システム10内の表示装置や音声装置を用いる場合には、車両システム10をシステム専用の無線通信網を介して管理サーバ100に接続することが望ましく、管理サーバ100からの情報を表示或いは音声によって自動的に確認することができる。また、デスクトップ型のコンピュータを用いる場合には、インターネット等のネットワークを経由して管理サーバ100に接続することにより、管理サーバ100からの情報をディスプレイに表示させて確認することができる。
車両システム10は、本形態においては、図2に例示するように、エンジンとモータとを併用するハイブリッド車(HEV)を制御する車両システムであり、電源ユニット20、電源ユニット20からの直流電力を交流電力に変換してモータ30を駆動するインバータ35、インバータ35を介してモータ30を制御すると共に、図示しないエンジンを制御し、HEV全体を統括的に制御するHEV制御用電子制御ユニット(HEV制御用ECU)40等を備えて構成されている。
電源ユニット20は、例えば複数のセルを封止した電池パックを複数個直列に接続して構成されるバッテリ21と、バッテリ21の残存容量の演算、バッテリ21の冷却や充電の制御、異常検出及び異常検出時の保護動作等のエネルギーマネージメントを行う演算ユニット(演算ECU)22とを1つの筐体内にパッケージして構成されている。
尚、以下では、バッテリ21として、リチウムイオン二次電池を例に取り、複数のセルを封止した電池パックを複数個直列に接続して構成されるものとするが、その他の二次電池やキャパシタ等にも適用可能である。
演算ECU22は、マイクロコンピュータ等から構成され、電圧センサ23で測定したバッテリ21の端子電圧V、電流センサ24で測定したバッテリ21の充放電電流I、温度センサ25で測定したバッテリ21の温度(セル温度)Tに基いて、所定時間t毎にバッテリ21の充電状態(State of charge;SOC)で示される残存容量SOCを演算・推定する。この残存容量SOC(t)は、演算ユニット22から、例えばCAN(Controller Area Network)通信等を介してHEV制御用ECU40に出力され、車両制御用の基本データ、バッテリ残量や警告用の表示用データ等として使用される。
尚、後述するように、残存容量SOC(t)は、周期的な演算における1演算周期前のデータ(後述する電流積算による残存容量演算の際のベース値)SOC(t-1)としても使用される。
HEV制御用ECU40は、同様にマイクロコンピュータ等から構成され、運転者からの指令に基づいて、HEVの運転、その他、必要な制御を行う。すなわち、HEV制御用ECU40は、電源ユニット20からの信号や図示しないセンサ・スイッチ類からの信号により、車両の状態を検出し、モータ30を駆動するインバータ35を初めとして図示しないエンジンや自動変速機等を専用の制御ユニットを介して或いは直接的に制御する。
また、電源ユニット20には、無線通信網を介して外部の管理サーバ100と通信するための通信モジュール26が備えられ、この通信モジュール26が演算ECU22によって制御される。演算ECU22は、通信モジュール26を介してバッテリ21の端子電圧V、電流I、温度T等のバッテリ情報を定期的に管理サーバ100に送信すると共に、通信モジュール26を介して管理サーバ100からバッテリの劣化状態を受信し、バッテリ管理に反映させる。
管理サーバ100は、データベースに蓄積されたバッテリ情報を解析し、バッテリの劣化状態を推定する。バッテリの劣化状態は、バッテリのインピーダンス(内部インピーダンス)の変化(増加)を把握することにより推定することができ、管理サーバ100では、インピーダンス算出手段としての機能及びバッテリ劣化状態算出手段としての機能により、インピーダンスの増加割合を示すバッテリ劣化係数KREを算出し、車両システム10に送信すると共に、バッテリ劣化係数KREに基づいてバッテリの寿命予測を行い、メーカ、ユーザ等に配信する。
すなわち、管理サーバ100は、バッテリ劣化推定周期(バッテリ劣化係数KREの算出周期)毎に、データベースに蓄積されているバッテリ電圧V及びバッテリ電流Iのうち、以下に説明する条件を満足する電流及び電圧のデータを統計処理し、バッテリのインピーダンスRnを算出する。バッテリ劣化推定周期は、例えば、1ヶ月といった絶対的な時間(経過時間)、バッテリの実使用時間、或いは、データベースに蓄積されるデータの個数によって設定される。
具体的には、管理サーバ100は、バッテリ劣化推定周期に達したとき、バッテリ温度Tが以下の(1)式に示す下限設定値TBCL(例えば、TBCL=30°C)と上限設定値TBCH(例えば、TBCH=40°C)との範囲内にある条件下において、負荷が一定の状態でのバッテリ電流Iとバッテリ電圧Vとを統計処理してインピーダンスRnを算出する。
TBCL≦T≦TBCH…(1)
負荷が一定の状態にあるバッテリ電流及び電圧としては、以下の条件が成立するときの電流値及び電圧値を取得する。すなわち、バッテリ電流Iが0付近の設定範囲である以下の(2)式に示す下限設定値−IBHZと上限設定値IBHZとの範囲内にある条件が設定時間TNLD(例えば、2sec)継続しているデータ履歴をデータベースから検索し、設定時間TNLD経過後のバッテリ電流とバッテリ電圧とを、それぞれ、I2,V2として取得する。
−IBHZ≦I≦IBHZ…(2)
また、(1),(2)式の条件が成立した状態の直前の設定時間TNLS(例えば、0.5sec)内に、以下の(3)式に示すように、バッテリ電流Iが設定値IBHC以上或いは設定値−IBHC以下である状態が存在し、さらに存在した時点より以前に、(3)式の条件を満足する状態が設定時間TNLB(例えば、2sec)継続しているデータ履歴を検索し、(3)式の条件が成立する時間的に最終のバッテリ電流(0付近に変化する直前のバッテリ電流)、及びそのときのバッテリ電圧を、それぞれI1,V1として取得する。
I≦−IBHC 又は IBHC≦I …(3)
そして、以下の(4),(5)式に示すように、電流値が0付近になる前後の電流I1,I2の差の絶対値、電圧V1,V2の差の絶対値を、それぞれ、電流変化量DIBH、電圧変化量DVBHとして周期的に求めてデータベースに格納し、格納したデータ群を統計処理してインピーダンスRnを求める。
DIBH=│I1−V1│ …(4)
DVBH=│V1−V2│ …(5)
本形態においては、周期的に求めた電流変化量DIBH、電圧変化量DVBHのデータを、DIBH=0且つDVBH=0の条件が成立するように最小二乗法等を利用して直線近似を行い、直線の傾きをバッテリのインピーダンスRnとして算出する。そして、以下の(6)式に示すように、算出したインピーダンスRnと、予め管理サーバ100側に設定してある補正計算用インピーダンスRrとの比を、バッテリ劣化によるンピーダンス増加を表すバッテリ劣化係数KREとして算出する。補正計算用インピーダンスRrは、バッテリの初期状態(劣化していない状態)で、上述と同一の条件下で算出したインピーダンス初期値である。
KRE=Rn/Rr…(6)
但し、KRE≧1
この場合、バッテリ劣化推定周期内に、電流変化量DIBH及び電圧変化量DVBHのデータ個数が設定値以下の場合には、インピーダンスRnの算出を実施せず、次の周期に繰り越すようにしても良い。
また、バッテリ劣化係数KREの算出は、前述の(1)式の条件を満足する複数の温度領域を設定し、各領域毎に実施するようにしても良い。この領域毎のバッテリ劣化係数算出は、補正の機会を増やしてバッテリの劣化状態をより精度高く把握するものであり、領域j毎のバッテリ劣化係数KREjを算出した後、単純平均や加重平均等の平均化処理を行って最終的なバッテリ劣化係数KREを算出する。但し、バッテリ劣化係数KREの算出周期内でデータの個数が設定値以下の領域は、平均化処理から除外する。
また、車両システム10側でバッテリ劣化係数KREを算出するに必要なデータを車両システム10側で選別するようにしても良く、バッテリ劣化推定に必要なデータのみを送信することになり、通信量を低減することができる。すなわち、車両システム10の演算ECU22において、バッテリ温度Tが上述の(1)式の温度範囲内(TBCL≦T≦TBCH)にある状態で、設定時間TNLS内にバッテリ電流Iが(3)式の条件を満足する状態(I≦−IBHC又はIBHC≦I)から(2)式の条件に示すように0付近となる状態(−IBHZ≦I≦IBHZ)に変化したか否かを判断する。
そして、上述の条件が成立する状態でバッテリ電流Iが0付近に変化したとき、変化前後の設定時間(例えば、前後3sec)の(4),(5)式に示す電流変化量DIBH,電圧変化量DVBHを記録する。車両システム10に記録した電流変化量DIBH,電圧変化量DVBHは、記録終了後、直ちに或いはシステム終了時に、演算ECU22から管理サーバ100へ送信する。
尚、この演算ECU22から管理サーバ100へデータ送信は、ユーザの意思で随時行うようにすることも可能である。
以上の処理で算出されたバッテリ劣化係数KREは、管理サーバ100から車両システム10の演算ECU22に送信される。演算ECU22では、バッテリ劣化係数KREに基づいてバッテリ劣化度合いを反映・補正したインピーダンスと、バッテリ21の基本パラメータである端子電圧Vと電流Iと温度Tとを用いて、残存容量SOCを高精度に推定する。
周知のように、バッテリの残存容量SOCは、充放電電流の積算値や、インピーダンスから求めた開放電圧Voに基づいて算出することができるが、バッテリが劣化するとインピーダンスが増大することや電流容量が減少するため、バッテリの劣化時には残存容量の推定精度が悪化する。従って、バッテリ劣化係数KREによってインピーダンスの変化と電流容量の変化を残存容量の推定に反映させることにより、バッテリの劣化時にも残存容量の算出精度を高精度に維持することができる。
本形態における残存容量は、図3に示す推定アルゴリズムに従って算出される。この推定アルゴリズムでは、バッテリ21で測定可能なパラメータ、すなわち、端子電圧V、電流I、温度Tを用い、所定時間t毎に、第1の残存容量算出手段としての機能により、電流積算に基づく第1の残存容量としての残存容量SOCc(t)を算出すると共に、第2の残存容量算出手段としての機能により、バッテリ開放電圧Voの推定値に基づく第2の残存容量としての残存容量SOCv(t)を並行して算出し、第3の残存容量算出手段としての機能により、それぞれを重み付けして合成した残存容量SOC(t)を、バッテリ21の最終的な残存容量としている。
電流Iの積算による残存容量SOCcと、開放電圧Voの推定による残存容量SOCvとは、それぞれに一長一短があり、電流積算による残存容量SOCcは、誤差が累積し易く、特に高負荷継続時の誤差が大きい反面、突入電流等の負荷変動に強い。一方、開放電圧推定による残存容量SOCvは、通常の使用時において、略正確な値を求めることが可能であるが、負荷が短時間で大きく変動したときに値が振動する可能性がある。
従って、本SOC推定アルゴリズムでは、電流Iを積算して求めた残存容量SOCc(t)と、バッテリ開放電圧Voの推定値から求めた残存容量SOCv(t)とを、バッテリ21の使用状況に応じて随時変化させるウェイト(重み係数)wにより重み付けして合成することにより、残存容量SOCc(t),SOCv(t)双方の欠点を打消して互いの利点を最大限に引き出すようにしている。ウェイトwは、w=0〜1の間で変化させ、合成後の最終的な残存容量SOC(t)は、以下の(7)式で与えられる。
SOC(t)=w・SOCc(t)+(1−w)・SOCv(t)…(7)
ウェイトwは、現在のバッテリの使用状況を的確に表すことのできるパラメータを用いて決定する必要があり、そのパラメータとしては、単位時間当たりの電流の変化率や残存容量SOCc,SOCvの間の偏差等を用いることが可能である。単位時間当たりの電流変化率は、バッテリの負荷変動を直接的に反映しているが、単なる電流変化率では、スパイク的に発生する電流の急激な変化の影響を受けてしまう。
従って、本形態においては、瞬間的に発生する電流の変化の影響を防止するため、所定のサンプリング数の単純平均、移動平均、加重平均等の処理を施した電流変化率を用いるようにしており、特に、電流の遅れを考慮した場合、バッテリの充放電状態の変化に対して、過去の履歴を過剰となることなく適切に反映することのできる移動平均を用いてウェイトwを決定するようにしている。
この電流Iの移動平均値に基づいてウェイトwを決定することにより、電流Iの移動平均値が大きいときには、電流積算のウェイトを高くして開放電圧推定のウェイトを下げ、負荷変動の影響を電流積算によって正確に反映すると共に、開放電圧推定時の振動を防止することができる。逆に、電流Iの移動平均値が小さいときには、電流積算のウェイトを下げ、開放電圧推定のウェイトを高くすることにより、電流積算時の誤差の累積による影響を回避し、開放電圧の推定により正確な残存容量を算出することができる。
すなわち、電流Iの移動平均は、電流の高周波成分に対するローパスフィルタとなり、この移動平均のフィルタリングにより、走行中の負荷変動で発生する電流のスパイク成分を、遅れ成分を助長することなく除去することができる。これにより、バッテリ状態をより的確に把握することができ、残存容量SOCc,SOCv双方の欠点を打消して互いの利点を最大限に引き出し、残存容量の推定精度を大幅に向上することができる。
更に、本SOC推定アルゴリズムの特徴として、電池理論に基づいてバッテリ内部状況を電気化学的に把握し、バッテリ開放電圧Voに基づく残存容量SOCvの演算精度の向上を図っている。次に、本推定アルゴリズムによる残存容量SOCc,SOCvの演算について詳述する。
先ず、電流積算による残存容量SOCcは、以下の(8)式に示すように、ウェイトwを用いて合成した残存容量SOCをベース値として、所定時間毎に電流Iを積算して求められる。
SOCc(t)=SOC(t-1)−∫[(100ηI/Ah)+SD]dt/3600…(8)
但し、η :電流効率
Ah:電流容量(温度による変数)
SD :自己放電率
(8)式における電流効率η及び自己放電率SDは、それぞれ定数と見なすことができるが(例えば、η=1、SD=0)、電流容量Ahは、温度に依存して変化する。従って、この電流積算による残存容量SOCcの算出に際しては、温度によるセル容量の変動を関数化して算出した電流容量Ahを用いている。
図4は、バッテリ温度Tをパラメータとして、所定の基準とする定格容量(例えば、所定セル数を基準単位とした場合の定格電流容量)に対する容量比Ah’を格納した電流容量テーブルの例を示すものであり、常温(25°C)における容量比Ah’(=1.00)に対し、低温になる程、電流容量が減少するため、容量比Ah’の値が大きくなる。この電流容量テーブルから参照した容量比Ah’を用い、計測対象毎の温度Tにおける電流容量Ahを算出することができる。
この場合、厳密には、バッテリの電流容量は、劣化等によりバッテリの内部インピーダンスが増加すると、減少する。従って、インピーダンス増加割合に応じて電流容量を補正するための電流容量補正係数KAを導入し、この電流容量補正係数KAを用いて図4に示す電流容量テーブルから算出した電流容量Ahを補正することが望ましい(Ah=Ah×KA)。
電流容量補正係数KAは、管理サーバ100から送信されるインピーダンス増加割合であるバッテリ劣化係数KREを用いて決定することができ、図5に示すように、バッテリ劣化係数KREをパラメータとして電流容量補正係数KAを格納した電流容量補正係数テーブルを用いる。この電流容量補正係数テーブルは、バッテリ新品時のKRE=1を基準として(KA=1)、バッテリ劣化係数KREが大きくなる程(バッテリの内部インピーダンスが増加する程)、電流容量補正係数KAが減少する特性を有している。
更に、図4に示す電流容量テーブル及び図5に示す電流容量補正係数テーブルは、1つのテーブルに統合し、バッテリ温度Tとバッテリ劣化係数KREとをパラメータとする電流容量テーブルを用いて電流容量Ahを算出するようにしても良い。図6に示す電流容量テーブルは、図4の電流容量テーブルの特性を基準(KRE=1)として、バッテリ劣化係数KREをパラメータとする特性を追加したものであり、同じ温度では、バッテリ劣化係数KREの値が大きくなる程、容量比Ah’が大きくなり、電流容量が減少する。
以上のように、(8)式に基づいて電流積算による残存容量SOCc(t)を算出する際に、バッテリのインピーダンス増加割合に応じて電流容量を補正することにより、電流積算誤差を抑制することができ、正確な残存容量SOCcを得ることができる。
また、(8)式による残存容量SOCc(t)の演算は、具体的には離散時間処理によって実行され、1演算周期前の合成残存容量SOC(t-1)を、電流積算のベース値として入力している(図3のブロック図における遅延演算子Z-1)。従って、誤差が累積したり、発散することがなく、万一、初期値が真値と大きく異なっていても、所定の時間経過後(例えば、数分後)には、真値に収束させることができる。
一方、開放電圧Voの推定に基づく残存容量SOCvを求めるには、バッテリ21のインピーダンスZと、実測した端子電圧Vと電流Iとから、以下の(9)式を用いて開放電圧Voの推定値を求める。但し、電流Iは放電側を+とする。
Vo=I×Z+V…(9)
バッテリ21のインピーダンスZは、図7に示す等価回路モデルを用いて作成したインピーダンステーブルを用いて求めることができる。図7の等価回路は、抵抗分R1〜R3、容量分C1,CPE1,CPE2(但し、CPE1,CPE2は二重層容量分)の各パラメータを、直列及び並列に組合わせた等価回路モデルであり、交流インピーダンス法における周知のCole-Coleプロットをカーブフィッティングすることにより、各パラメータを決定する。
これらのパラメータから求められるインピーダンスは、バッテリの温度や電気化学的な反応速度、充放電電流の周波数成分によって大きく変化する。従って、インピーダンスを決定するパラメータとして、前述の単位時間当たりの電流Iの移動平均値を周波数成分の置き換えとして採用し、電流Iの移動平均値と温度Tとを条件とするインピーダンス測定を行ってデータを蓄積した後、温度Tと単位時間当たりの電流Iの移動平均値とに基づいてインピーダンスのテーブルを作成する。
尚、電流Iの移動平均値は、例えば、電流Iのサンプリングを0.1sec毎、電流積算の演算周期を0.5sec毎とした場合、5個のデータを移動平均して求められる。前述したように、電流Iの移動平均値は、ウェイトwを決定するパラメータとしても用いられ、ウェイトw、インピーダンスZの演算を容易としているが、詳細には、低温になる程、バッテリの内部インピーダンスが増加して電流変化率が小さくなるため、ウェイトw、インピーダンスZは、直接的には、電流Iの移動平均値を温度補正した補正後電流変化率KΔI/Δtを用いて決定する。
図8は、電流変化率ΔI/Δt(単位時間当たりの電流Iの移動平均値)を温度補正した補正後電流変化率KΔI/Δtとバッテリ温度Tとをパラメータとして、インピーダンスZを格納したインピーダンステーブルの例を示すものであり、概略的には、補正後電流変化率KΔI/Δtが同じ場合には、バッテリ温度Tが低くなる程、インピーダンスZが増加し、同じ温度では、補正後電流変化率KΔI/Δtが小さくなる程、インピーダンスZが増加する傾向を有している。尚、図8及び後述する図9に示すテーブルにおいては、通常の条件下で使用される範囲のデータを示し、他の範囲のデータは記載を省略してある。
以上のインピーダンステーブルは、バッテリ21が初期状態(劣化していない状態)であることを前提として作成したテーブルである。従って、バッテリ劣化を反映した正確な開放電圧を推定するには、管理サーバ100から送信されるバッテリ劣化係数KREを用いてインピーダンスのテーブル値Zを補正し、この補正したインピーダンス(Z×KRE)と、実測した端子電圧Vと電流Iを上述の(9)式に適用した以下の(9’)式により、開放電圧Voの推定値を求める。
Vo=I×(Z×KRE)+V…(9’)
すなわち、長期間の使用を考慮した場合、バッテリ21が初期状態(劣化していない状態)で求めたインピーダンスを用いて開放電圧を推定すると、推定誤差が大きくなり、開放電圧に基づく残存容量の精度が低下する。従って、バッテリ劣化係数KREで補正したインピーダンス(Z×KRE)を用いて開放電圧Voを求めることにより、バッテリ21が劣化しても残存容量SOCの推定精度を高精度に維持することができる。
開放電圧Voの推定後は、バッテリ内の電気化学的な関係に基づいて残存容量SOCvを演算する。具体的には、平衡状態での電極電位とイオンの活量との関係を記述した周知のネルンストの式を適用し、開放電圧Voと残存容量SOCvとの関係を表すと、以下の(10)式を得ることができる。
Vo=E+[(Rg・T/Ne・F)×lnSOCv/(100−SOCv)]+Y…(10)
但し、E :標準電極電位(例えば、リチウムイオン電池では、E=3.745)
Rg:気体定数(8.314J/mol−K)
T :温度(絶対温度K)
Ne:イオン価数(本形態のリチウムイオン電池では、Ne=1)
F :ファラデー定数(96485C/mol)
尚、(10)式におけるYは補正項であり、常温における電圧−SOC特性をSOCの関数で表現したものである。SOCv=Xとすると、以下の(11)式に示すように、SOCの三次関数で表すことができる。
Y=−10-63+9・10-52+0.013X−0.7311…(11)
以上の(10)式により、残存容量SOCvには、開放電圧Voのみならず温度Tとの間にも強い相関性があることがわかる。この場合、開放電圧Voと温度Tとをパラメータとして、直接、(10)式を用いて残存容量SOCvを算出することも可能であるが、実際には、使用する電池特有の充放電特性や使用条件等に対する考慮が必要となる。
従って、以上の(10)式の関係から実際の電池の状態を把握する場合には、常温でのSOC−Vo特性を基準として、各温度域での充放電試験或いはシミュレーションを行い、実測データを蓄積する。そして、蓄積した実測データから開放電圧Voと温度Tとをパラメータとする残存容量SOCvのテーブルを作成しておき、このテーブルを利用して残存容量SOCvを求める。図9は、残存容量テーブルの例を示すものであり、概略的には、温度T及び開放電圧Voが低くなる程、残存容量SOCvが小さくなり、温度T及び開放電圧Voが高くなる程、残存容量SOCvが大きくなる傾向を有している。
そして、残存容量SOCc,SOCvを算出した後は、前述の(7)式に示したように、残存容量SOCc,SOCvを、テーブル参照等によって決定したウェイトwを用いて重み付け合成し、残存容量SOCを算出する。図10は、ウェイトwを決定するためのウェイトテーブルの例を示し、補正後電流変化率KΔI/Δtをパラメータとする一次元テーブルである。このウェイトテーブルは、概略的には、補正後電流変化率KΔI/Δtが小さくなる程、すなわち、バッテリ負荷変動が小さい程、ウェイトwの値を小さくして電流積算による残存容量SOCcの重みを小さくする傾向を有している。
次に、管理サーバ100におけるバッテリ劣化係数KREの算出処理について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
このバッテリ劣化係数算出処理がスタートすると、先ず、ステップS1において、バッテリ劣化係数KREの算出周期に到達したか否かを判断する。そして、バッテリ劣化係数KREの算出周期でない場合には、ステップS1から処理を抜け、バッテリ劣化係数KREの算出周期に達した場合、ステップS1からステップS2以下へ進み、ステップS2〜S5でバッテリ劣化係数算出条件の成立を判断する。
このバッテリ劣化係数算出条件は、バッテリが安定している温度条件下において、データベースに格納されているデータ履歴を検索し、図12に示すように、0付近のバッテリ電流I2及び対応するバッテリ電圧V2、0付近に変化する直前の電流I1及び対応するバッテリ電圧V1を格納算出するための条件である。具体的には、ステップS2において、バッテリ温度Tが設定範囲内(TBCL≦T≦TBCH;(1)式参照)にあり、ステップS3において、バッテリ電流Iが0付近の設定範囲内(−IBHZ≦I≦IBHZ;(2)式参照)にある状態が設定時間TNLD(例えば、2sec)継続し、ステップS4において、直前の設定時間TNLS(例えば、0.5sec)内にバッテリ電流Iが設定値IBHC以上或いは設定値−IBHC以下である状態(I≦−IBHC又はIBHC≦I;(3)式参照)が存在し、且つ、ステップS5において、I≦−IBHC又はIBHC≦Iの状態が設定時間TNLB(例えば、2sec)継続している条件が成立するか否かを判断する。
そして、ステップS2〜S5の何れかにおいて条件が成立しないときには、そのステップから処理を抜け、ステップS2〜S5の全ての条件が成立するとき、ステップS6へ進む。ステップS6では、設定時間TNLS内で0付近に変化する直前のバッテリ電流I1及びバッテリ電圧V1を算出すると共に、設定時間経過TNLD経過後のバッテリ電流I2及びバッテリ電圧V2を算出する。
その後、ステップ7へ進み、前述の(4),(5)式に従い、電流I1,I2の差の絶対値、電圧V1,V2の差の絶対値を、それぞれ、電流変化量DIBH、電圧変化量DVBHとして算出し、ステップS8で、電流変化量DIBH及び電圧変化量DVBHをデータベースに格納する。そして、ステップS9で、データベースに格納された電流変化量DIBH及び電圧変化量DVBHのデータ群に対してDIBH=0且つDVBH=0の条件が成立するように最小二乗法を利用して直線近似を行うことにより、インピーダンスRnを算出する。図13は、電流変化量DIBHを横軸、電圧変化量DVBHを縦軸として太線で示す近似直線を求めた例を示しており、この近似直線の傾きがインピーダンスRnとして算出される。
インピーダンスRnを算出した後は、ステップS10へ進み、インピーダンスRnと予め保有する補正計算用インピーダンスRrとの比を、バッテリ劣化係数KREとして算出する((6)式参照)。そして、ステップS11で車両システム10にバッテリ劣化係数KREを送信し、本処理を終了する。
以上の処理によって算出されたバッテリ劣化係数KREは、車両システム10におけるインピーダンスの補正のみならず、バッテリの寿命予測に用いることができる。すなわち、バッテリのインピーダンス増加割合は、経過時間(以下、時間を年数を単位として表現する)の対数や平方根で表される関数と比例関係で示すことができることから、予め、バッテリの新品時からの経過年数とインピーダンス増加割合との関係を示すテーブルを管理サーバ100のデータベースに設定しておく。
図14は、バッテリの新品時からの経過年数tの関数f(t)とインピーダンス増加割合との関係を格納したテーブルを示し、バッテリ劣化係数KREが予め設定した寿命判定基準である寿命判定インピーダンス係数KFNに達したときを寿命としている。そして、バッテリ劣化係数KREを算出した時点での関数値f(YRL)から経過年数推定値YRLを算出し、以下の(12)式に示すように、寿命判定インピーダンス係数KFNに対応する関数値f(YFN)による寿命判定経過年数YFNから経過年数推定値YRLを減算した値を、バッテリの使用可能時間を示す寿命到達年数YRSTとして算出する。
YRST=YFN−YRL…(12)
算出された寿命到達年数YRST、或いは寿命到達年数YRSTに基づくバッテリ状態は、車両システム、ユーザ、メーカ等に配信され、バッテリ管理や車両制御のみならず、既存製品の改良や新製品の開発等にフィードバックされる。
尚、管理サーバ100側には、バッテリの新品時からの経過年数(時間)とインピーダンス増加割合との関係を予めテーブルに格納することなく、データベースに予め登録されているバッテリ使用開始時間とバッテリ劣化係数KREを算出した時間とから実経過年数YRRを求め、この実経過年数YRRから寿命到達年数YRSTを算出するようにしても良い。
すなわち、以下の(13)式に示すように、バッテリ劣化係数KREと実経過年数YRRの関数f(YRR)とから、図15に示すインピーダンス増加割合と経過年数(時間)との比例関係における比例係数KYRを算出する。そして、以下の(14)式に示すように、この比例係数KYRを用いて寿命判定インピーダンス係数KFNに対応する関数値f((KFN-1)/KYR)を求め、この関数fの逆関数gより求めた寿命判定経過年数と、実経過年数YRRとの差から、寿命到達年数YRSTを算出する。これにより、個々のバッテリの使用状況に応じた劣化状態を把握することができる。
KYR=(KRE−1)/f(YRR)…(13)
YRST=g((KFN-1)/KYR)−YRR…(14)
以上のように、本実施の形態においては、バッテリのインピーダンスの変化を的確に捉えて劣化状態を正確に推定することができ、このインピーダンス変化を、残存容量等のバッテリ状態を表すパラメータに反映したり、バッテリの寿命予測を行うことで、常に的確なバッテリ管理を行うことができる。
バッテリ管理システムの構成図 車両システムの構成図 バッテリ残存容量の推定アルゴリズムを示すブロック図 バッテリ温度をパラメータとする電流容量テーブルの説明図 バッテリ劣化係数をパラメータとする電流容量補正係数テーブルの説明図 バッテリ温度とバッテリ劣化係数とをパラメータとする電流容量テーブルの説明図 等価回路モデルを示す回路図 インピーダンステーブルの説明図 残存容量テーブルの説明図 ウェイトテーブルの説明図 バッテリ劣化係数算出処理を示すフローチャート インピーダンス算出時のバッテリ電圧及び電流を示す説明図 インピーダンス算出の説明図 寿命推定の説明図 他の寿命推定を示す説明図
符号の説明
10 車両システム
21 バッテリ
26 通信モジュール
100 管理サーバ
T バッテリ温度
I バッテリ電流
V バッテリ電圧
DIBH 電流変化量
DVBH 電圧変化量
Ah 電流容量
Rn インピーダンス
Rr 補正計算用インピーダンス(インピーダンス初期値)
KRE バッテリ劣化係数(インピーダンス増加割合)
KFN 寿命判定インピーダンス係数(寿命判定基準)
YFN 寿命判定経過年数(寿命判定経過時間)
SOCc 残存容量(第1の残存容量)
SOCv 残存容量(第2の残存容量)
w ウェイト
SOC 残存容量(合成後の残存容量)
代理人 弁理士 伊 藤 進

Claims (14)

  1. 車両搭載のバッテリの情報をデータベースに格納し、バッテリ管理に反映させるバッテリ管理システムであって、
    上記データベースに格納されたバッテリ情報からバッテリ電流が0付近に変化している状態を検出し、該状態におけるバッテリ電流及び電圧を統計処理して上記バッテリのインピーダンスを算出するインピーダンス算出手段と、
    上記インピーダンス算出手段で算出したインピーダンスの初期値に対する増加割合に基づいて上記バッテリの劣化状態を表すバッテリ劣化係数を算出する劣化状態算出手段とを備えたことを特徴とするバッテリ管理システム。
  2. 上記インピーダンス算出手段は、
    バッテリ電流が0付近に変化している前後の電流変化量及び電圧変化量を求めて記録し、所定の演算周期毎に、上記電流変化量と上記電圧変化量との関係を最小二乗法を用いて直線近似し、近似した直線の傾きを上記バッテリのインピーダンスとして算出することを特徴とする請求項1記載のバッテリ管理システム。
  3. 上記インピーダンス算出手段は、
    上記演算周期を、絶対的な経過時間或いは上記バッテリの実使用時間によって決定することを特徴とする請求項2記載のバッテリ管理システム。
  4. 上記インピーダンス算出手段は、
    上記演算周期を、上記電流変化量及び上記電圧変化量のデータの個数によって決定することを特徴とする請求項2記載のバッテリ管理システム。
  5. 上記インピーダンス算出手段は、
    上記演算周期内に、上記電流変化量及び上記電圧変化量のデータの個数が設定値以下の場合、インピーダンスの算出を行わず、次の演算周期にデータを繰り越すことを特徴とする請求項2〜4の何れか一に記載のバッテリ管理システム。
  6. 上記劣化状態算出手段は、
    上記バッテリの温度に基づいて設定した領域毎に上記バッテリ劣化係数を算出し、各領域のバッテリ劣化係数を平均化して全体のバッテリ劣化係数を算出することを特徴とする請求項1又は2記載のバッテリ管理システム。
  7. 上記劣化状態算出手段は、
    上記バッテリ劣化係数のデータの個数が設定値以下の領域を、平均化処理から除外することを特徴とする請求項6記載のバッテリ管理システム。
  8. 上記劣化状態算出手段は、
    上記インピーダンスの初期値に対する増加割合と上記バッテリの新品時からの経過時間の関数とを比例関係とするテーブルを予め保有し、このテーブルに上記バッテリ劣化係数を適用して算出した経過時間と、寿命判定基準として設定したインピーダンス増加割合に対応する寿命判定経過時間との差から上記バッテリの使用可能時間を算出することを特徴とする請求項1〜7の何れか一に記載のバッテリ管理システム。
  9. 上記劣化状態算出手段は、
    上記インピーダンスの初期値に対する増加割合に比例関係となる上記バッテリの新品時からの経過時間の関数を予め保有すると共に、上記データベースに上記バッテリの使用開始時期を登録し、
    上記データベースに登録した使用開始時期と上記バッテリ劣化係数を算出した時点との差から算出した実使用時間をパラメータとする上記関数と上記バッテリ劣化係数とに基づいて、上記バッテリの使用可能時間を算出することを特徴とする請求項1〜7の何れか一に記載のバッテリ管理システム。
  10. 上記インピーダンス算出手段及び上記劣化状態算出手段を、上記バッテリを搭載する車両の車両システムと無線通信を介して接続される管理サーバに設け、
    上記管理サーバのデータベースに各車両システムから送信されたバッテリ情報を蓄積し、上記管理サーバから上記バッテリ劣化係数を上記車両システムに送信すると共に、上記バッテリ劣化係数に基づく上記バッテリの使用可能時間を、上記車両システムと上記車両のユーザと上記データベースへのアクセス権を有する部署との少なくとも一者に配信することを特徴とする請求項8又は9記載のバッテリ管理システム。
  11. 上記インピーダンス算出手段及び上記劣化状態算出手段を、上記バッテリを搭載する車両の車両システムと無線通信を介して接続される管理サーバに設け、
    上記管理サーバのデータベースに各車両システムから送信されたバッテリ情報を蓄積し、上記管理サーバから上記バッテリ劣化係数を上記車両システムに送信することを特徴とする請求項1〜9の何れか一に記載のバッテリ管理システム。
  12. 上記車両システムに、
    予め保有するテーブルから読出した電流容量を上記管理サーバから送信されたバッテリ劣化係数に基づいて補正し、補正後の電流容量に基づいて、上記バッテリの残存容量を算出する残存容量算出手段を備えたことを特徴とする請求項10又は11記載のバッテリ管理システム。
  13. 上記車両システムに、
    予め保有するテーブルから読出したインピーダンスを上記管理サーバから送信されたバッテリ劣化係数に基づいて補正し、補正後のインピーダンスを用いて推定した上記バッテリの開放電圧に基づいて、上記バッテリの残存容量を算出する残存容量算出手段を備えたことを特徴とする請求項10又は11記載のバッテリ管理システム。
  14. 上記車両システムに、
    予め保有する電流容量テーブルから読出した電流容量を上記管理サーバから送信されたバッテリ劣化係数に基づいて補正し、補正後の電流容量と上記バッテリの充放電電流の積算値とに基づく第1の残存容量を算出する第1の残存容量算出手段と、
    予め保有するインピーダンステーブルから読出したインピーダンスを上記管理サーバから送信されたバッテリ劣化係数に基づいて補正し、補正後のインピーダンスを用いて推定した上記バッテリの開放電圧に基づく第2の残存容量を算出する第2の残存容量算出手段と、
    上記第1の残存容量算出手段で算出した第1の残存容量と、上記第2の残存容量算出手段で算出した第2の残存容量とを、上記バッテリの使用状況に応じて設定したウェイトを用いて重み付け合成し、上記バッテリの最終的な残存容量を算出する第3の残存容量算出手段とを備えたことを特徴とする請求項10又は11記載のバッテリ管理システム。
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