JP2006269303A - イオン伝導性電解質及び該イオン伝導性電解質を用いた二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたイオン伝導性を示すイオン伝導性電解質、及び該イオン伝導性電解質を用いる優れた電池性能を示す二次電池を提供する。
【解決手段】重合性官能基を有するオニウムカチオンが、重合性官能基とカチオン原子の間の最短連結鎖長が原子数2以下のモノマーであり、かつ、重合性官能基を有する有機アニオンが、重合性官能基とアニオン原子の間の最短連結鎖長が原子数2以下のモノマーであるカチオンとアニオンの組合せからなる塩モノマーを含んで得られる重合体を用いることによって良好なイオン伝導度を示すイオン伝導性電解質、及び該イオン伝導体電解質を用いた二次電池。
【選択図】なし
【解決手段】重合性官能基を有するオニウムカチオンが、重合性官能基とカチオン原子の間の最短連結鎖長が原子数2以下のモノマーであり、かつ、重合性官能基を有する有機アニオンが、重合性官能基とアニオン原子の間の最短連結鎖長が原子数2以下のモノマーであるカチオンとアニオンの組合せからなる塩モノマーを含んで得られる重合体を用いることによって良好なイオン伝導度を示すイオン伝導性電解質、及び該イオン伝導体電解質を用いた二次電池。
【選択図】なし
Description
本発明は、イオン伝導性電解質及び該イオン伝導性電解質を使用した二次電池に関するものである。
電子機器の小型軽量化やポータブル化に伴い、高電圧および高エネルギー密度などの特性を有するリチウム二次電池の研究開発が活発に行われている。特に最近のポータブル電子機器では、急速な性能向上に伴い、消費電力も急速に増大しつつある。こうした背景の中で、更なる高電圧、高エネルギー密度を実現できるようなリチウム二次電池が要求されている。
このような二次電池に対応するため、高いイオン伝導性を発現するリチウムイオン伝導性電解質が必要とされてきており、優れたイオン伝導度を実現させるために、二重結合を有するアミン成分と二重結合を有する酸成分からなる塩モノマーを利用する方法(例えば、特許文献1参照。)や、アルキレンオキシド骨格、酸の脱プロトン残基、含窒素化合物のカチオンを有する高分子を利用する方法によって、良好なイオン伝導度を得る電解質が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、ここで開示されている方法では、イオン結合部位を導入することによってイオン伝導度を高めようとしているものの、電解質中に占めるイオン結合部位の割合が十分ではなく、そのため十分なイオン伝導度を実現できているとはいえない。そのような背景から、さらに良好なイオン伝導度を実現できるイオン伝導性電解質が求められていた。
本発明は、優れたイオン伝導度を実現できるイオン伝導性電解質及びそれを用いた二次電池を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリマーとリチウム塩を必須として構成されるイオン伝導性電解質において、特定の構造を有する、重合性官能基を有するオニウムカチオン及び重合性官能基を有する有機アニオンから構成される塩モノマーを用いることによって高いイオン伝導性を発現できるイオン伝導性電解質が得られることを見出し、さらに検討を進めて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、重合性官能基を有するオニウムカチオン及び重合性官能基を有する有機アニオンから構成される塩モノマーを含んで合成されるポリマーと、リチウム塩とより構成されるイオン伝導性電解質であって、塩モノマーを構成する、前記重合性官能基を有するオニウムカチオンは、該重合性官能基とカチオン原子との間の最短連結鎖長が原子数2以下のものであり、前記重合性官能基を有する有機アニオンは、該重合性官能基とアニオン原子との間の最短連結鎖長が原子数2以下のものであることを特徴とするイオン伝導性電解質である。
本発明のイオン伝導性電解質における重合性官能基は、ラジカル重合性官能基であることが好ましく、さらに重合性官能基は、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、アリル基およびビニル基より選ばれるものであることがより好ましい。
本発明は、前記イオン伝導性電解質を構成要素とすることを特徴とする二次電池である。
本発明のイオン伝導性電解質における重合性官能基は、ラジカル重合性官能基であることが好ましく、さらに重合性官能基は、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、アリル基およびビニル基より選ばれるものであることがより好ましい。
本発明は、前記イオン伝導性電解質を構成要素とすることを特徴とする二次電池である。
本発明によれば、優れたイオン伝導度を発現するイオン伝導性電解質を提供でき、これを用いた二次電池は、良好な充放電特性を発現する。
本発明は、重合性官能基を有するオニウムカチオン及び重合性官能基を有する有機アニオンから構成される塩モノマーを含んで合成されるポリマーと、リチウム塩とを含んで構成されるイオン伝導性電解質であって、塩モノマーを構成する、前記重合性官能基を有するオニウムカチオンは、該重合性官能基とカチオン原子との間の最短連結鎖長が原子数2以下のものであり、前記重合性官能基を有する有機アニオンは、該重合性官能基とアニオン原子との間の最短連結鎖長が原子数2以下のものであることを特徴とするイオン伝導性電解質であり、前記塩モノマーを構成する、カチオンにおける重合性官能基とカチオン原子との距離、およびアニオンにおける重合性官能基とアニオン原子との距離を、それぞれ、最短連結鎖長が原子数2以下のものを用いることにより、優れたイオン伝導度を発現させることができるものである。これは、電解質中におけるイオン結合部位の占める割合を高めることができ、良好なイオン伝導度を示すものと考えられる。
本発明で使用される塩モノマーは、重合性官能基を有するオニウムカチオン及び重合性官能基を有する有機アニオンから構成されるものである。
塩モノマーを形成する重合性官能基を有するオニウムカチオンとしては、フルオニウム(FR 2 +)、オキソニウム(OR3 +)、スルホニウム(SR3 +)、アンモニウム(NR4 +)、ホスホニウム(PR4 +)などが挙げられる。汎用性、作業性の点から、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、アンモニウムカチオンがより好ましく、中でも、アンモニウムカチオンが最も好ましい。ただし、それぞれのオニウムカチオンの原子であるF、O、S、N、Pの原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が2以下である。電解質中のイオン結合部位の濃度高めるために、原子数は1以下であるとより好ましい。
塩モノマーを形成する重合性官能基を有するオニウムカチオンとしては、フルオニウム(FR 2 +)、オキソニウム(OR3 +)、スルホニウム(SR3 +)、アンモニウム(NR4 +)、ホスホニウム(PR4 +)などが挙げられる。汎用性、作業性の点から、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、アンモニウムカチオンがより好ましく、中でも、アンモニウムカチオンが最も好ましい。ただし、それぞれのオニウムカチオンの原子であるF、O、S、N、Pの原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が2以下である。電解質中のイオン結合部位の濃度高めるために、原子数は1以下であるとより好ましい。
前記スルホニウムカチオンとしては、具体的には、硫黄原子が3つの官能基Rで置換されたカチオンが挙げられる。3つの官能基Rの内、少なくとも一つは重合性官能基を含む基である。官能基Rは、置換または無置換の、アルキル基:CnH2n−1、アリール基:(R’)n−C6H5−n−、アラルキル基:(R’)m−C6H5−m−CnH2n−、アルケニル基:R’−CH=CH−R’−、アラルケニル基:(R’)n−C6H5−n−CH=CH−R’−、アルコキシアルキル基:R’−O−CnH2n−、アシルオキシアルキル基:R’−COO−CnH2n−などを例示することができる。また、官能基Rはヘテロ原子やハロゲン原子を含んでも良い。また、3つのRは各々異なっても、同一であってもかまわない。前記スルホニウムカチオンで官能基Rにおける、R’は水素、または置換もしくは無置換の炭素数20以下のアルキル基などであり、複数ある場合は互いに異なっても良く、mは1以上5以下の整数であり、nは1以上20以下の整数である。
前記ホスホニウムカチオンとしては、具体的には、燐原子が4つの官能基Rで置換されたカチオンが挙げられる。4つの官能基Rの内、少なくとも一つは重合性官能基を含む基である。官能基Rは、置換または無置換の、アルキル基:CnH2n−1、アリール基:(R’)n−C6H5−n−、アラルキル基:(R’)m−C6H5−m−CnH2n−、アルケニル基:R’−CH=CH−R’−、アラルケニル基:(R’)n−C6H5−n−CH=CH−R’−、アルコキシアルキル基:R’−O−CnH2n−、アシルオキシアルキル基:R’−COO−CnH2n−などを例示することができる。また、官能基Rはヘテロ原子やハロゲン原子を含んでも良い。また、4つのRは各々異なっても、同一であってもかまわない。前記ホスホニウムカチオンで官能基Rにおける、R’は水素、または置換もしくは無置換の炭素数20以下のアルキル基などであり、複数ある場合は互いに異なっても良く、mは1以上5以下の整数であり、nは1以上20以下の整数である。
前記アンモニウムカチオンとしては、アミン化合物から生じうるカチオンであって、アミン化合物が、脂肪族アミン、芳香族アミン、含窒素複素環式アミンなどのすべてを含むことは言うまでもなく、アミンから生じる正電荷を有するのであれば、特に限定されない。具体的には、窒素原子が4つの官能基Rで置換されたカチオンが挙げられる。4つの官能基Rの内、少なくとも一つは重合性官能基を含む基である。官能基Rは、置換または無置換の、アルキル基:CnH2n−1、アリール基:(R’)n−C6H5−n−、アラルキル基:(R’)m−C6H5−m−CnH2n−、アルケニル基:R’−CH=CH−R’−、アラルケニル基:(R’)n−C6H5−n−CH=CH−R’−、アルコキシアルキル基:R’−O−CnH2n−、アシルオキシアルキル基:R’−COO−CnH2n−などを例示することができる。また、官能基Rはヘテロ原子やハロゲン原子を含んでも良い。また、4つのRは各々異なっても、同一であってもかまわない。前記アンモニウムカチオンで官能基Rにおける、R’は水素、または置換もしくは無置換の炭素数20以下のアルキル基などであり、複数ある場合は互いに異なっても良く、mは1以上5以下の整数であり、nは1以上20以下の整数である。
上記アンモニウムカチオン以外のアンモニウムカチオンとしては、ピリジニウムカチオン、ピラリジニウムカチオンおよびキノリニウムカチオンなどの芳香族アンモニウムカチオン、ピロリジウムカチオン、ピペリジニウムカチオンおよびピペラジニウムカチオンなどの脂肪族複素環式アンモニウムカチオン、モルホリンカチオンのような窒素以外のヘテロ原子を含む複素環式アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンなどの不飽和の含窒素複素環式カチオンなど、のアンモニウムカチオンも挙げることができる。さらに、上記環状のアンモニウムカチオンでは窒素の位置が異なるカチオンや、環上に置換基をもったカチオンでもよく、ヘテロ原子を含む置換基を有するカチオンでもよい。
上記アンモニウムカチオン以外のアンモニウムカチオンとしては、ピリジニウムカチオン、ピラリジニウムカチオンおよびキノリニウムカチオンなどの芳香族アンモニウムカチオン、ピロリジウムカチオン、ピペリジニウムカチオンおよびピペラジニウムカチオンなどの脂肪族複素環式アンモニウムカチオン、モルホリンカチオンのような窒素以外のヘテロ原子を含む複素環式アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンなどの不飽和の含窒素複素環式カチオンなど、のアンモニウムカチオンも挙げることができる。さらに、上記環状のアンモニウムカチオンでは窒素の位置が異なるカチオンや、環上に置換基をもったカチオンでもよく、ヘテロ原子を含む置換基を有するカチオンでもよい。
前記オニウムカチオンにおける重合性官能基としては、ラジカル重合、イオン重合、配位重合およびレドックス重合などにより重合が可能な官能基であれば、何ら限定されないが、炭素−炭素二重結合を有する基が好ましく、ラジカル重合性官能基がより好ましい。前記ラジカル重合性官能基としては、活性エネルギー線もしくは熱によりラジカル重合が可能であることがより好ましい。このような官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、スチリル基が挙げられるが、これらの中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、アリル基およびビニル基が好ましい。塩モノマーの場合、少なくとも2つの重合性官能基を有することになるが、それらの重合性官能基は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
前記塩モノマーを構成するカチオンの具体例として、オニウムカチオンの原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が2以下のものとしては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−n−プロピルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−iso−プロピルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−n−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−iso−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−tert−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチル−n−ヘキシルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリデシルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリオクチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルドデシルジメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルドデシルヘキシルメチルアンモニウムカチオン、ビススチリルエチルジメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリエチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−n−プロピルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−iso−プロピルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−n−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−iso−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−tert−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリエチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルジエチル−n−ヘキシルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリデシルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリオクチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルドデシルジメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルドデシルヘキシルメチルアンモニウムカチオン等の各種アンモニウムカチオン、スチリルメチルメチルピロリジニウムカチオン、ビススチリルメチルピペリジニウムカチオン、N,N’−((メタ)アクリロイルオキシエチル)メチルピペラジニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルメチルモルホリニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。
また、オニウムカチオンの原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が1以下のものとしては、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、スチリルメチルトリメチルアンモニウムカチオン、ビススチリルメチルジメチルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。電解質中でイオン結合部位の割合を高めるためには、最短連結鎖長の原子数が1以下であるものがより好ましい。これにより、より優れたイオン伝導度を発現するものとなる。
また、オニウムカチオンの原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が1以下のものとしては、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、スチリルメチルトリメチルアンモニウムカチオン、ビススチリルメチルジメチルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。電解質中でイオン結合部位の割合を高めるためには、最短連結鎖長の原子数が1以下であるものがより好ましい。これにより、より優れたイオン伝導度を発現するものとなる。
また、塩モノマーを構成する有機アニオンは、重合性官能基を有するアニオンであれば、特に限定されないが、例えば、アルコラートおよびフェノラートなどの水酸基含有有機化合物のプロトンが脱離したアニオン:RO−アニオン、チオレートおよびチオフェノラートなどのプロトンが脱離したアニオン:RS−アニオン、スルホン酸アニオン:RSO3 −、カルボン酸アニオン:RCOO−、リン酸および亜リン酸の水酸基の一部が有機基で置換している含リン誘導体アニオン:Rx(OR)y(O)zP−、(但し、x、y、zは0以上の整数で、かつ、x+y+2z=3またはx+y+2z=5)、置換ボレートアニオン:Rx(OR)yB−、(但し、x、yは0以上の整数で、かつ、x+y=4)、置換アルミニウムアニオン:Rx(OR)yAl−、(但し、x、yは0以上の整数で、かつ、x+y=4)、カルボアニオン(EA)3C−、窒素アニオン(EA)2N−などが挙げられる。EAは水素原子または電子吸引基を示す。有機アニオンとしては特に、スルホキシル基、カルボキシル基、ホスフォキシル基およびスルホンイミド基由来のアニオンである、RSO3 −、RCOO−、RPO3 2−、および(RO2S)2N−が好ましい(ここで、Rは、水素、置換または無置換の、アルキル基CnH2n−1、アリール基(R’)n−C6H5−n−、アラルキル基(R’)m−C6H5−m−CnH2n−、アルケニル基R’−CH=CH−R’−、アラルケニル基(R’)n−C6H5−n−CH=CH−R’−、アルコキシアルキル基R’−O−CnH2n−、アシルオキシアルキル基R’−COO−CnH2n−から選ばれる基であり、これらは環構造を有していてもよく、また、ヘテロ原子を含んでもよい。このRが分子内に2個以上ある場合は互いに同じであっても異なっていてもかまわない。ただし、官能基Rを一つ有するアニオンの場合はそのRが、複数の官能基Rを有する場合は、少なくとも一つが、重合性官能基を含む基であり、同様に、官能基EAを一つ有するアニオンの場合はそのEAが、複数の官能基EAを有する場合は、少なくとも一つが、重合性官能基を含む基である。前記Rにおける、R’は水素、または置換もしくは無置換の炭素数20以下のアルキル基などであり、複数ある場合は互いに異なっても良く、mは1以上5以下の整数であり、nは1以上20以下の整数である。)。また前述Rの炭素上の水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されているものも含まれる。ただし、アニオン原子であるO、S、P、B、Al、Nの原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が2以下であり、イオン結合部位の濃度を高めるために原子数が1以下であるとより好ましい。
前記有機アニオンにおける重合性官能基としては、ラジカル重合、イオン重合、配位重合およびレドックス重合などにより重合が可能な官能基であれば、何ら限定されないが、炭素−炭素二重結合を有する基が好ましく、ラジカル重合性官能基がより好ましい。前記ラジカル重合性官能基としては、活性エネルギー線もしくは熱によりラジカル重合が可能であることがより好ましい。このような官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、スチリル基が挙げられるが、これらの中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、アリル基およびビニル基が好ましい。塩モノマーの場合、少なくとも2つの重合性官能基を有することになるが、それらの重合性官能基は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
前記塩モノマーを構成するアニオンの具体例として、アニオン原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が2以下のものとしては、2-ビニルベンジルスルホン酸、3-ビニルベンジルスルホン酸、4-ビニルベンジルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−1−エタンリン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−エタンリン酸等由来の各種アニオンが挙げられる。
また、アニオン原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が1以下のものとしては、ビニルスルホン酸、1−メチル−ビニルスルホン酸、2−ビニルベンゼンスルホン酸、3−ビニルベンゼンスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、(メタ)アクリル酸、等由来の各種アニオンが挙げられる。電解質中でイオン結合部位の割合を高めるためには、最短連結鎖長の原子数が1以下であるものがより好ましい。
また、アニオン原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が1以下のものとしては、ビニルスルホン酸、1−メチル−ビニルスルホン酸、2−ビニルベンゼンスルホン酸、3−ビニルベンゼンスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、(メタ)アクリル酸、等由来の各種アニオンが挙げられる。電解質中でイオン結合部位の割合を高めるためには、最短連結鎖長の原子数が1以下であるものがより好ましい。
本発明において、カチオン原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長の原子数が2以下のモノマーと、アニオン原子と重合性官能基の間にある最短連結鎖長が2以下のモノマーとの組合せによりなる塩モノマーを、イオン伝導性電解質に用いることで、より高いイオン伝導度が実現できる。このような塩モノマーの好ましい添加量としては、電解質中1〜95wt%であり、2〜90wt%がより好ましい。
本発明に用いる重合性官能基を有するオニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニオンとから構成される塩モノマーとしては、例えば、前記重合性官能基を有する有機アニオンの銀塩などの金属塩と、前記重合性官能基を有するオニウムカチオンのハロゲン化物とを反応させて合成できるが、目的の塩モノマーが得られるのであればこの合成方法に限定されない。
前記塩モノマーを重合する方法としては、塩モノマーを、メタノール、アセトニトリルなどの有機溶媒に溶解させ、必要に応じてラジカル重合開始剤を添加し、加熱、可視・紫外領域の光を照射、あるいは、電子線などの放射線を照射することによって重合することにより、所望のポリマーが得られる。前記ラジカル重合開始剤としては、加熱による方法の場合、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシドおよびジイソプロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられ、30〜150℃で加熱する方法が適用できる。光を照射する場合は、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノンおよび2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどがラジカル重合開始剤として挙げられる。ラジカル重合開始剤を使用する場合の添加量としては、電解質中0.01〜30wt%が好ましく、0.03〜20wt%がより好ましい。合成においては、作業性を考慮し、溶媒中で重合しても良い。
本発明に用いるポリマーにおいて、前記塩モノマーに、その他のモノマーを併用することも可能である。そのようなモノマーの例としては、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルメチルアミンおよびジアリルエチルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジアリルフタレートなどの重合性官能基を複数有するモノマーや、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリル酸ステアリル、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸1−アダマンチルおよび(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチルなどの重合性官能基を一つ有するモノマーが挙げられる。
本発明のリチウムイオン伝導性電解質を製造する方法としては、まず、前記塩モノマー、リチウム塩、必要に応じて、その他のモノマー、可塑剤、重合開始剤、その他添加剤の混合物を調製し、モノマーを重合して電解質を得ることができる。前記塩モノマーから得られたポリマー、リチウム塩を混合することによってもイオン伝導性電解質が得られる。この場合も、必要に応じて、その他のモノマー、可塑剤、重合開始剤、その他添加剤を使用しても良い。
前記混合方法としては、溶液混合、粉体混合、溶融混練など、公知の混合方法により行えば良い。可塑剤を使用する場合は、リチウム塩を可塑剤に溶かした溶液を、モノマーと混合しても良い。
前記混合方法としては、溶液混合、粉体混合、溶融混練など、公知の混合方法により行えば良い。可塑剤を使用する場合は、リチウム塩を可塑剤に溶かした溶液を、モノマーと混合しても良い。
前記リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiBF4、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2およびLiC(CF3SO2)3などが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上を混合して用いても良い。使用するリチウム塩の添加量は、0.1〜90wt%が好ましく、3〜80wt%がより好ましい。
常温溶融塩、難燃性電解質溶解剤を使用する場合も、モノマー、リチウム塩、常温溶融塩、難燃性電解質溶解剤、必要に応じて可塑剤、重合開始剤、その他添加剤を混合し、液状またはペースト状の混合物を調製するが、常温溶融塩、難燃性電解質溶解剤にリチウム塩を溶かした溶液と、モノマーとを混合しても良い。
前記可塑剤としては、例えば、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートなどの環状炭酸エステル、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステルなどが挙げられ、これらは、それらの混合物を添加することができる。
前記常温溶融塩としては、分子中にイオン結合を少なくとも一つ有しており、常温で液体の化合物が挙げられ、公知の化合物が使用できる。
前記難燃性電解質塩溶解剤としては、自己消火性を示し、かつ、電解質塩が共存した状態で電解質塩を溶解するのに寄与する化合物が挙げられ、一般に非水電解質電池用電解液に添加される難燃性溶媒が利用でき、リン酸エステル、ハロゲン化合物およびフォスファゼンなどが挙げられる。
前記可塑剤としては、例えば、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートなどの環状炭酸エステル、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステルなどが挙げられ、これらは、それらの混合物を添加することができる。
前記常温溶融塩としては、分子中にイオン結合を少なくとも一つ有しており、常温で液体の化合物が挙げられ、公知の化合物が使用できる。
前記難燃性電解質塩溶解剤としては、自己消火性を示し、かつ、電解質塩が共存した状態で電解質塩を溶解するのに寄与する化合物が挙げられ、一般に非水電解質電池用電解液に添加される難燃性溶媒が利用でき、リン酸エステル、ハロゲン化合物およびフォスファゼンなどが挙げられる。
さらに、電池製造における電解質の作製方法について具体例を示して説明するが、電解質の作製方法は何ら限定されない。
上記で調製した混合物は、液状またはペースト状のように均質な形態をとるものが好ましい。但し、実際にリチウムイオン伝導性電解質を製造する際に、調製後から重合による硬化が完了するまでの間、乳化、エマルジョン、コロイド、コアセルベートなどの溶液状態を維持可能であれば、混合物の濁度が高くても利用可能である。
上記で調製した混合物は、電極を備えた所定のセル若しくは型枠に注液し、加熱あるいはエネルギー線照射などの方法でモノマーを重合し、硬化させることにより、イオン伝導性電解質を得ることができる。
調製した混合物の粘度が高く作業しにくい場合は、調製した混合物を、テトラヒドロフラン、メタノールおよびアセトニトリルなどの低沸点の希釈溶媒で希釈したものを重合し、硬化させた後に、それらの希釈溶媒を除去する方法、または、希釈溶媒を電池に使用する電解液に、溶媒置換する方法などの公知であるセルの作製方法を用いても良い。
また、セルの構成によっては注液以外にも、調製した混合物をキャスト法や固相重合法など公知の方法によってリチウムイオン伝導性電解質を得ることができる。
上記で調製した混合物は、液状またはペースト状のように均質な形態をとるものが好ましい。但し、実際にリチウムイオン伝導性電解質を製造する際に、調製後から重合による硬化が完了するまでの間、乳化、エマルジョン、コロイド、コアセルベートなどの溶液状態を維持可能であれば、混合物の濁度が高くても利用可能である。
上記で調製した混合物は、電極を備えた所定のセル若しくは型枠に注液し、加熱あるいはエネルギー線照射などの方法でモノマーを重合し、硬化させることにより、イオン伝導性電解質を得ることができる。
調製した混合物の粘度が高く作業しにくい場合は、調製した混合物を、テトラヒドロフラン、メタノールおよびアセトニトリルなどの低沸点の希釈溶媒で希釈したものを重合し、硬化させた後に、それらの希釈溶媒を除去する方法、または、希釈溶媒を電池に使用する電解液に、溶媒置換する方法などの公知であるセルの作製方法を用いても良い。
また、セルの構成によっては注液以外にも、調製した混合物をキャスト法や固相重合法など公知の方法によってリチウムイオン伝導性電解質を得ることができる。
本発明の二次電池は、上記で得られたイオン伝導性電解質を構成要素とするものであり、前記イオン伝導性電解質の他に正極及び負極などを組み合わせて製造することができる。
本発明の電池で用いられる正極に使用される活物質としては、エネルギー密度が高く、リチウムイオンの可逆的な脱挿入に優れたリチウムを含有する遷移金属酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2などのリチウムコバルト酸化物、LiMn2O4などのリチウムマンガン酸化物、LiNiO2などのリチウムニッケル酸化物、これら酸化物の混合物およびLiNiO2のニッケルの一部をコバルトやマンガンに置換したものなどが挙げられる。負極活物質としては、リチウムイオンを挿入、脱離させることのできる炭素系材料が挙げられ、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズおよびグラファイトなどが挙げられる。
本発明の電池で用いられる正極に使用される活物質としては、エネルギー密度が高く、リチウムイオンの可逆的な脱挿入に優れたリチウムを含有する遷移金属酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2などのリチウムコバルト酸化物、LiMn2O4などのリチウムマンガン酸化物、LiNiO2などのリチウムニッケル酸化物、これら酸化物の混合物およびLiNiO2のニッケルの一部をコバルトやマンガンに置換したものなどが挙げられる。負極活物質としては、リチウムイオンを挿入、脱離させることのできる炭素系材料が挙げられ、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズおよびグラファイトなどが挙げられる。
本発明の高分子固体電解質を用いた二次電池を製造する方法の例としては、まず、上記LiCoO2などの正極活物質、黒鉛などの導電剤、ポリ(ビニリデンフルオライド)などの結着剤を混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン中に分散させて、スラリー状の正極合剤とする。この正極合剤を、厚み20μmのアルミニウム箔などからなる正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形することで正極が得られる。
次に、黒鉛粉末などの負極活物質と、ポリ(ビニリデンフルオライド)などの結着剤を混合して、負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドン中に分散させてスラリー状の負極合剤とする。この負極合剤を、厚み15μmの銅箔などからなる負極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形することで負極が得られる。
上記のようにして得た、正極とイオン伝導性電解質と負極を貼り合わせ単層セルとした。このセルをポリエステルフィルム−アルミニウムフィルム−変性ポリオレフィンフィルムの三層構造のラミネートフィルムからなる外装体に挿入し封止して、二次電池が得られる。
上記のようにして得た、正極とイオン伝導性電解質と負極を貼り合わせ単層セルとした。このセルをポリエステルフィルム−アルミニウムフィルム−変性ポリオレフィンフィルムの三層構造のラミネートフィルムからなる外装体に挿入し封止して、二次電池が得られる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
<塩モノマー1の合成>
アクリル酸5.5g(76mmol)と水酸化リチウム1.66g(69mmol)をメタノール100mlに溶解させ、室温で2時間攪拌反応させる。反応液を1500mlのアセトンにゆっくり滴下すると、白色の固体が析出した。これを濾過により回収し真空下で乾燥し、白色固体のアクリル酸リチウムを得た。このアクリル酸リチウム4.0g(51mmol)をメタノール100mlと水10mlの混合溶媒に完全に溶解させ、その溶液に硝酸銀8.71g(51mmol)を少しずつ添加し完全に溶解させた。これを室温で1時間攪拌反応させた後に、スチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリド10.80g(51mmol)をゆっくり攪拌しながら添加した。反応の進行と共に白色の塩化銀が析出した。滴下終了後、さらに室温で2時間攪拌反応させた。この反応液から濾過により塩化銀を取り除き、得られた濾液をエバポレータで濃縮した。溶媒が完全に除去され、無色透明液状の塩モノマー1を得た。得られた塩モノマー1は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
アクリル酸5.5g(76mmol)と水酸化リチウム1.66g(69mmol)をメタノール100mlに溶解させ、室温で2時間攪拌反応させる。反応液を1500mlのアセトンにゆっくり滴下すると、白色の固体が析出した。これを濾過により回収し真空下で乾燥し、白色固体のアクリル酸リチウムを得た。このアクリル酸リチウム4.0g(51mmol)をメタノール100mlと水10mlの混合溶媒に完全に溶解させ、その溶液に硝酸銀8.71g(51mmol)を少しずつ添加し完全に溶解させた。これを室温で1時間攪拌反応させた後に、スチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリド10.80g(51mmol)をゆっくり攪拌しながら添加した。反応の進行と共に白色の塩化銀が析出した。滴下終了後、さらに室温で2時間攪拌反応させた。この反応液から濾過により塩化銀を取り除き、得られた濾液をエバポレータで濃縮した。溶媒が完全に除去され、無色透明液状の塩モノマー1を得た。得られた塩モノマー1は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
<塩モノマー2の合成>
ビニルベンゼンスルホン酸9.21g(50mmol)を水/メタノールの混合溶媒500ml(体積混合比1/1)に溶解し、それに炭酸銀8.28g(30mmol)を添加して、8時間攪拌し、濾過後無色透明の液を得た。この溶液をエバポレーターで濃縮し、3日間冷蔵庫に静置することにより、白色板状結晶が析出した。この白色結晶を濾過により回収し、アセトンを用いて洗浄した。得られた化合物5.82g(20mmol)をメタノール/アセトニトリル(混合比:体積1/1)30mlに溶解させ、攪拌しながらスチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリド4.23g(20mmol)を滴下反応させた。反応の進行とともに白色の塩化銀が析出した。滴下終了後、室温で2時間攪拌反応させた。この反応液を濾過し、塩化銀を取り除いた。得られた濾液をエバポレータで濃縮し、溶媒を完全に除去して無色透明液状の塩モノマー2を得た。得られた塩モノマー2は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
ビニルベンゼンスルホン酸9.21g(50mmol)を水/メタノールの混合溶媒500ml(体積混合比1/1)に溶解し、それに炭酸銀8.28g(30mmol)を添加して、8時間攪拌し、濾過後無色透明の液を得た。この溶液をエバポレーターで濃縮し、3日間冷蔵庫に静置することにより、白色板状結晶が析出した。この白色結晶を濾過により回収し、アセトンを用いて洗浄した。得られた化合物5.82g(20mmol)をメタノール/アセトニトリル(混合比:体積1/1)30mlに溶解させ、攪拌しながらスチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリド4.23g(20mmol)を滴下反応させた。反応の進行とともに白色の塩化銀が析出した。滴下終了後、室温で2時間攪拌反応させた。この反応液を濾過し、塩化銀を取り除いた。得られた濾液をエバポレータで濃縮し、溶媒を完全に除去して無色透明液状の塩モノマー2を得た。得られた塩モノマー2は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
<塩モノマー3の合成>
塩モノマー1の合成で、スチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリドの代わりにアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドを使用する以外は、塩モノマー1の合成方法と同様にして塩モノマー3を得た。得られた塩モノマー3は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
塩モノマー1の合成で、スチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリドの代わりにアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドを使用する以外は、塩モノマー1の合成方法と同様にして塩モノマー3を得た。得られた塩モノマー3は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
<塩モノマー4の合成>
塩モノマー1の合成で、アクリル酸の代わりにビニルスルホン酸を、スチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリドの代わりにアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドを使用する以外は、塩モノマー1の合成方法と同様にして塩モノマー4を得た。得られた塩モノマー4は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
塩モノマー1の合成で、アクリル酸の代わりにビニルスルホン酸を、スチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリドの代わりにアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドを使用する以外は、塩モノマー1の合成方法と同様にして塩モノマー4を得た。得られた塩モノマー4は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
<塩モノマー5の合成>
塩モノマー2の合成で、ビニルベンゼンスルホン酸の代わりに2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸を、スチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリドの代わりにメタクリロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを使用する以外は、塩モノマー2の合成方法と同様にして塩モノマー5を得た。得られた塩モノマー5は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
塩モノマー2の合成で、ビニルベンゼンスルホン酸の代わりに2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸を、スチリルメチルトリメチルアンモニウムクロリドの代わりにメタクリロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを使用する以外は、塩モノマー2の合成方法と同様にして塩モノマー5を得た。得られた塩モノマー5は1H−NMRにより生成物の確認を行い、所望の塩モノマーであることを確認した。
[実施例1]
乾燥アルゴン雰囲気(露点温度:−60℃以下)にて十分に乾燥した塩モノマー1を4.4g、LiClO4を0.9g、ベンゾイルパーオキシドを0.015gそれぞれ秤量し、それを脱水メタノール10mlにより完全に溶解させた。得られた溶液をテフロン(登録商標)シート上でキャストし、室温で溶媒を除去した後に、80℃で4時間加熱し、無色透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。上記で得られたイオン伝導性電解質について、交流インピーダンス法により、イオン伝導度を測定した。測定の際の周波数範囲は50Hz〜30MHz、電圧は0.5Vとした。イオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は2.5×10−4S/cmであった。結果を表1に示す。
乾燥アルゴン雰囲気(露点温度:−60℃以下)にて十分に乾燥した塩モノマー1を4.4g、LiClO4を0.9g、ベンゾイルパーオキシドを0.015gそれぞれ秤量し、それを脱水メタノール10mlにより完全に溶解させた。得られた溶液をテフロン(登録商標)シート上でキャストし、室温で溶媒を除去した後に、80℃で4時間加熱し、無色透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。上記で得られたイオン伝導性電解質について、交流インピーダンス法により、イオン伝導度を測定した。測定の際の周波数範囲は50Hz〜30MHz、電圧は0.5Vとした。イオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は2.5×10−4S/cmであった。結果を表1に示す。
[実施例2]
塩モノマー1の代わりに塩モノマー2を使用する以外は、実施例1と同様にして無色透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。実施例1と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は2.3×10−4S/cmであった。結果を表1に示す。
塩モノマー1の代わりに塩モノマー2を使用する以外は、実施例1と同様にして無色透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。実施例1と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は2.3×10−4S/cmであった。結果を表1に示す。
[実施例3]
塩モノマー1の代わりに塩モノマー3を使用する以外は、実施例1と同様にして無色透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。実施例1と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は2.1×10−4S/cmであった。結果を表1に示す。
塩モノマー1の代わりに塩モノマー3を使用する以外は、実施例1と同様にして無色透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。実施例1と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は2.1×10−4S/cmであった。結果を表1に示す。
[実施例4]
塩モノマー1の代わりに塩モノマー4を使用する以外は、実施例1と同様にして白色半透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。実施例1と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は2.1×10−4S/cmであった。結果を表1に示す。
塩モノマー1の代わりに塩モノマー4を使用する以外は、実施例1と同様にして白色半透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。実施例1と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は2.1×10−4S/cmであった。結果を表1に示す。
[比較例1]
塩モノマー1の代わりに塩モノマー5を使用する以外は、実施例1と同様にして無色透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。実施例1と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は7.5×10−5S/cmであった。結果を表1に示す。
塩モノマー1の代わりに塩モノマー5を使用する以外は、実施例1と同様にして無色透明の膜状のイオン伝導性電解質を得た。実施例1と同様にしてイオン伝導度を測定した結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は7.5×10−5S/cmであった。結果を表1に示す。
本発明によれば、優れたイオン伝導性を示すイオン伝導性電解質を提供でき、これは、性能に優れた二次電池に適用できる。また、この電解質は、キャパシタやエレクトロクロミック素子等、電気化学素子全般へも適用可能である。
Claims (4)
- 重合性官能基を有するオニウムカチオン及び重合性官能基を有する有機アニオンから構成される塩モノマーを含んで合成されるポリマーと、リチウム塩とより構成されるイオン伝導性電解質であって、塩モノマーを構成する、前記重合性官能基を有するオニウムカチオンは、該重合性官能基とカチオン原子との間の最短連結鎖長が原子数2以下のものであり、前記重合性官能基を有する有機アニオンは、該重合性官能基とアニオン原子との間の最短連結鎖長が原子数2以下のものであることを特徴とするイオン伝導性電解質。
- 前記重合性官能基は、ラジカル重合性官能基である請求項1に記載のイオン伝導性電解質。
- 前記重合性官能基は、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、アリル基およびビニル基より選ばれるものである請求項2に記載のイオン伝導性電解質。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のイオン伝導性電解質を構成要素とすることを特徴とする二次電池。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005087236A JP2006269303A (ja) | 2005-03-24 | 2005-03-24 | イオン伝導性電解質及び該イオン伝導性電解質を用いた二次電池 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008266575A (ja) * | 2007-03-27 | 2008-11-06 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 環状オレフィン付加(共)重合体の製造方法 |
JP2010516040A (ja) * | 2007-01-16 | 2010-05-13 | エルジー・ケム・リミテッド | 共融混合物を含む電解質及びこれを用いる二次電池 |
WO2021046930A1 (zh) * | 2019-09-10 | 2021-03-18 | 华南理工大学 | 一种高透明自修复固体材料及其制备方法与应用 |
-
2005
- 2005-03-24 JP JP2005087236A patent/JP2006269303A/ja active Pending
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