JP2006028398A - シート状ガスケット及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れたシール性を有し、且つ引張強さが石綿シート状ガスケットと同等の性能を示すNAシート状ガスケットを提供すること。
【解決手段】 有機繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品を含有するスラリーを抄造し、乾燥後、圧延して得られる非石綿系シート状ガスケットであって、該有機繊維は、該シート状ガスケット中30%以上含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】 有機繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品を含有するスラリーを抄造し、乾燥後、圧延して得られる非石綿系シート状ガスケットであって、該有機繊維は、該シート状ガスケット中30%以上含有する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、石油化学プラント、各種工業用機械装置、自動車、船舶、家電など広い分野で使用される非石綿系シート状ガスケット(以下、NAシート状ガスケットとも言う)及びその製造方法に関するものである。
ジョイントシートは、基材繊維、充填材、ゴム薬品に、溶剤に溶解させたゴムをヘンシェルミキサー等で十分に混合し、混合材料組成物を調製し、次いで、この混合材料組成物を約150℃に加熱された熱ロールと約20℃に保たれた冷ロールとからなる一対のカレンダーロール間に投入し、熱ロール側に積層させながら溶剤の蒸発、加硫を行い、所定の厚さに達したシートを熱ロールから剥離することによって製造されている。
従来、ジョイントシートは、基材繊維に石綿を用いた石綿ジョイントシートが汎用され、石綿独特の形状や、優れた耐熱性を利用して、水、油、空気、水蒸気等が流れる配管の継ぎ手や機器用のガスケットとして打ち抜き加工されて使用されてきた。石綿ジョイントシートは、無機物でありながら非常に柔軟で高度にフィブリル化している石綿を65〜85重量%程度含んでおり、ジョイントシート中に石綿繊維が十分に分散し絡み合った状態となっているため、引張強さが大きく、なお且つ柔軟で、加熱後にゴムが劣化しても石綿同士の絡み合いにより弾性を発現できるため、締付応力の低下も小さく、長期にわたり安定的にシール性を保つことができる。しかし、石綿は天然鉱物であり、資源の枯渇が心配されること等から、最近では石綿を全く使用せず、石綿以外の無機繊維と有機繊維の両方又はいずれか一方を使用したアスベストフリージョイントシート又はノンアスベストジョイントシートと呼ばれるNAジョイントシートが使用されるようになっている。
特開2001−262126号公報には、石綿を除く基材繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品からなる組成物で構成される混合材料を熱ロールと冷ロール間に投入して熱ロール側にシート状物を積層して得られるジョイントシートであって、前記ジョイントシート中に粒径が5〜15μmの充填材が40重量%以上含まれるジョイントシートが開示されている。このジョイントシートは、引張強さ、圧縮率及び柔軟性が良好なものである。
特開2001−1726116号公報には、石綿を除く基材繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品からなる組成物で構成される混合材料を熱ロールと冷ロール間に投入して熱ロール側にシート状物を積層して得られるジョイントシートであって、前記ジョイントシート中にポリテトラフルオロエチレン樹脂繊維を含むジョイントシートが開示されている。このジョイントシートは、NAジョイントシ−トの製造工程で混練材料が冷ロール面に付着するトラレ現象が発生せず、高温雰囲気で使用しても増し締めが可能な柔軟性を有するものである。
特開2001−262126号公報(請求項1)
特開2001−1726116号公報(請求項1)
しかしながら、従来のジョイントシートは、使用する基材繊維が石綿以外の無機繊維や有機繊維であり、石綿に比較して繊維径が太く剛直であり、添加量も石綿のように50〜85重量%まで添加すると、カレンダーロールを用いて材料を熱ロール側に積層させる工程で、材料の表面に凹凸が生じ、材料にかかる荷重のバランスが崩れるためシートがロールから脱落してシート状に作製できないことがある。このため、基材繊維の量を石綿ジョイントシートにように多く配合できず、引張強さが石綿ジョイントシートと比べると大きく低下してしまうという問題があった。
従って、本発明の目的は、上記従来の課題を解決するものであって、優れたシール性を有し、且つ引張強さが石綿ジョイントシートと同等の性能を示すNAシート状ガスケットを提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、有機繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品を含有するスラリーを抄造し、乾燥後、圧延して得られるシート物が、シート状ガスケット中、有機繊維を多量に配合できると共に、優れたシール性と石綿ジョイントシートと同等の引張強さを示すこと等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、有機繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品を含有するスラリーを抄造し、乾燥後、圧延して得られるシート状物であって、該有機繊維は、シート状ガスケット中、30%以上含有するものであることを特徴とするシート状ガスケットを提供するものである。
また、本発明は、有機繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品を含有するスラリーを抄造し、乾燥後、圧延して、シート状物を得ることを特徴とするシート状ガスケットの製造方法を提供するものである。
本発明のシート状ガスケットは、抄造により製造されたものであるため、有機繊維を多量に配合できる。また、抄造シートを乾燥し、2つのロール間で圧延しても、材料の表面に凹凸が生じることがなく、平滑な表面を有するシート状物を安定して作製することができる。このため、優れたシール性を有すると共に、石綿ジョイントシートと同等の引張強さを示す。
本発明のシート状ガスケットは、有機繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品を含有するスラリーを抄造し、乾燥後、圧延して得られるものである。本発明のシート状ガスケット中、有機繊維の配合量は30重量%以上、好ましくは30〜85重量%、更に好ましくは35〜50重量%である。シート状ガスケット中、基材繊維となる有機繊維の配合量が30重量%未満では、引張強さが良好なシート状物が得られ難くなる。また、余り多く過ぎても、ゴム、充填材及びゴム薬品などの他の有効成分の配合量が減る点で好ましくない。
本発明のシート状ガスケットに用いる有機繊維としては、特に制限されないが、例えば芳香族ポリアミド繊維、ポリアミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO繊維)、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ尿素系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリフルオロカーボン系繊維、フェノール系繊維、セルロース系繊維等が挙げられ、このうち、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO繊維)は耐熱性が高い点で好ましい。これらの有機繊維は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、有機繊維は、適宜、カーボン繊維、ガラス繊維、ロックウール等の無機繊維の1種又は2種以上と組み合わせて使用してもよい。
本発明のシート状ガスケットに用いるゴムとしては、アクリルニトリルブタジエンゴム、水素化アクリルニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、アクリルニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレーンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ化シリコーンゴム、クロロスルフォン化ゴム、エチレン酢ビゴム、塩化ポリエチレン、塩化ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルイソプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等が挙げられ、このうち、アクリルニトリルブタジエンゴムが、耐油性が高い点で好ましい。これらのゴムは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ゴムの配合量はシート状ガスケット中、10〜40重量%が好ましい。
本発明のシート状ガスケットに用いる充填材としては、カオリンクレー、タルク、シリカ、硫酸バリウム、重炭酸ナトリウム、マイカ、グラファイト、セリサイト、ウォラストナイト、ホワイトカーボン、焼成クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラスビーズ等が挙げられる。充填材の配合量はシート状ガスケット中、5〜30重量%が好ましい。
本発明のシート状ガスケットに用いるゴム薬品は、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、可塑剤及び着色剤等の従来ゴムに配合されてきた公知のゴム薬品を使用することができる。加硫剤としては、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、過酸化物、ジニトロベンゼン等が挙げられる。加硫促進剤としては、ポリアミン系化合物、アルデヒドアミン系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸塩系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、グアニジン系化合物、チオウレア系化合物、キサントゲン酸化合物等が挙げられる。
本発明のシート状ガスケットを製造するには、有機繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品を含有するスラリーを抄造し、乾燥後、圧延して、シート状物を得る方法が挙げられる。該スラリーを製造する際、原料の投入順序としては、特に制限されないが、先ず、有機繊維と水を共にリファイナーにかけて、有機繊維が均一に分散した第1スラリーを作製することが、シート状ガスケット中に多量の有機繊維を均一に配合させることができる点で好ましい。次いで、第1スラリー中に、ゴム、充填材及びゴム薬品、あるいは凝固剤を投入し、スラリー状物を得る。スラリーは公知の抄造機にかけられ、例えば厚さ3.0mmの抄造シートにされる。なお、有機繊維以外の繊維類、例えば無機繊維を用いる場合、第1スラリーとは別に無機繊維を分散させたスラリーを作製し、該無機繊維分散スラリーを第1スラリーと混合すればよい。なお、無機繊維分散スラリーは充填材を配合させたものであってもよい。スラリー抄造機としては、特に制限されず、円網抄造機、長網抄造機などが挙げられるが、円網抄造機が、歩留まりが良好である点で好ましい。
抄造シートは乾燥され、その後、圧延される。圧延後のシート厚みは、例えば3.0mmの抄造シートであれば例えば1.5mmまで圧延される。圧延方法としては、特に制限されず、2つの熱ロール間を通す方法(加熱圧延方法)及びプレス機を用いて圧延する方法が挙げられるが、このうち、2つの熱ロール間を通す方法(加熱圧延方法)が高い生産性を示す点で好ましい。加熱圧延方法の具体例としては、例えば乾燥抄造シートを100〜120℃に加熱された熱ロール間に乾燥抄造シートを通し、所定の線圧の荷重にて圧延する方法が挙げられる。なお、熱ロール間から得られたシート状物は加硫を進めるために、更にオートクレーブ中で2次加硫を行ってもよい。
このようにして得られたシート状ガスケットは、該シート中、有機繊維が均一に絡み合って分散し、且つ表面に凹凸が認められない。このため、有機繊維が石綿に比較して繊維径が太く剛直であっても、優れたシール性を示すと共に、石綿ジョイントシートと同等の引張強さを示す。このため、長期間に亘り安定して内部流体のシール漏れを防止することができる。
本発明のシート状ガスケットの物性としては、引張強さ20〜50MPa、柔軟性が10〜15である。また、本発明のシート状ガスケットは石油化学プラント、各種工業用機械装置、自動車、船舶、家電など広い分野で使用されるガスケット基材としてペースト塗布又は無塗布でフランジに装着される。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
有機繊維を水と共にリファイナーにかけて有機繊維の分散を良くした第1スラリーを作製した。次いで第1スラリー中に残りのゴム、充填材およびゴム薬品を投入してスラリー状の原料を得た。次いで、円網抄造機にて3.0mm厚さの抄造シートを作製し、更に100℃で1時間、乾燥した後、100℃の熱ロール間に乾燥抄造シートを通し、線圧100kgf/cm以上の荷重にて圧延することにより、1.5mm厚さのシートを得た。このシートを150℃で30分加硫させることにより、厚さ1.5mmのNAシート状ガスケットを得た。なお、スラリー中の各原料の投入量は、仕上がりNAシート状ガスケットの組成が表1に示す割合となるようにした。表1中、数値は重量%である。得られたNAシート状ガスケットは引張強さとシール性を評価した。なお、引張強さの測定は、JIS R3453ジョイントシ−トの試験規格に準拠して行った。また、シール性はJIS10K25AのフランジにNAシート状ガスケットを締付け、1.0MPaの窒素ガスを負荷し、10分間放置後、水中に入れ発生した気泡を10分間捕集し、1分間当たりの漏洩量を算出した。その結果を表2に示す。
表1に示す材料を同表に示す配合割合で行った以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を表2に示す。
比較例1
表1に示す配合割合の有機繊維、ゴム、ゴム薬品、充填材をヘンシェルミキサーにて低速回転で20分間混合し、混合材料を調製した。得られた混合材料を150℃に加熱された熱ロールと、20℃に保たれた冷ロール間に投入し、熱ロール側に積層しながら加圧加硫成形して、厚さ1.5mmのNAジョイントシ−トを得た。得られたNAジョイントシ−トは実施例1と同様に引張強さとシール性を評価した。その結果を表2に示す。
表1に示す配合割合の有機繊維、ゴム、ゴム薬品、充填材をヘンシェルミキサーにて低速回転で20分間混合し、混合材料を調製した。得られた混合材料を150℃に加熱された熱ロールと、20℃に保たれた冷ロール間に投入し、熱ロール側に積層しながら加圧加硫成形して、厚さ1.5mmのNAジョイントシ−トを得た。得られたNAジョイントシ−トは実施例1と同様に引張強さとシール性を評価した。その結果を表2に示す。
比較例2
表1の比較例2に示す配合の材料を用いて比較例1と同様の方法にて厚さ1.5mmのNAジョイントシ−トを製造した。その結果を表2に示す。
表1の比較例2に示す配合の材料を用いて比較例1と同様の方法にて厚さ1.5mmのNAジョイントシ−トを製造した。その結果を表2に示す。
比較例3
表1の比較例3に示す配合の材料を用いて比較例1と同様の方法にて厚さ1.5mmのNAジョイントシ−トを製造した。その結果を表2に示す。
表1の比較例3に示す配合の材料を用いて比較例1と同様の方法にて厚さ1.5mmのNAジョイントシ−トを製造した。その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1、2のNAシート状ガスケットは、石綿繊維を使用した比較例3と同等以上の引張強さを有し、シール性も良好であった。また、比較例1は引張強さは良好であるが、シート表面に凹凸があるためシール性に劣るものであった。また、比較例2はシール性は良好であるが、引張強さが比較例3に比べると半分以下であった。
Claims (5)
- 有機繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品を含有するスラリーを抄造し、乾燥後、圧延して得られるシート状物であって、該有機繊維は、シート状ガスケット中、30%以上含有するものであることを特徴とするシート状ガスケット。
- 前記有機繊維が、芳香族ポリアミド繊維であることを特徴とする請求項1記載のシート状ガスケット。
- 有機繊維、ゴム、充填材及びゴム薬品を含有するスラリーを抄造し、乾燥後、圧延して、シート状物を得ることを特徴とするシート状ガスケットの製造方法。
- 前記スラリーは、水と有機繊維からなる第1スラリーに、ゴム、充填材及びゴム薬品を投入して作製されることを特徴とする請求項3記載のシート状ガスケットの製造方法。
- 該有機繊維は、シート状ガスケット中、30%以上含有するものであることを特徴とする請求項3又は4記載のシート状ガスケットの製造方法。
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