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JP2006045212A - 特定のキナ酸誘導体を含有する経口用組成物 - Google Patents

特定のキナ酸誘導体を含有する経口用組成物 Download PDF

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JP2006045212A JP2005196530A JP2005196530A JP2006045212A JP 2006045212 A JP2006045212 A JP 2006045212A JP 2005196530 A JP2005196530 A JP 2005196530A JP 2005196530 A JP2005196530 A JP 2005196530A JP 2006045212 A JP2006045212 A JP 2006045212A
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Kinya Takagaki
欣也 高垣
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Toyo Shinyaku Co Ltd
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Toyo Shinyaku Co Ltd
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Abstract

【課題】 ジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体の新たな用途を提供するとともに、他の素材と組合せることにより、それら物質の利用範囲を拡大させること。
【解決手段】 本発明の経口用組成物は、ジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種類を含む原料と、糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料とを含有する。この組成物は、優れた血糖値上昇抑制作用、すなわち抗糖尿病作用を有し、さらに抗肥満作用も有する。したがって、本発明の経口用組成物は、抗糖尿病目的のみならず、抗肥満目的にも使用し得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定のキナ酸誘導体を含む原料と、糖の代謝促進または糖の消化吸収抑制成分を含む原料とを含有する経口用組成物に関する。
ジカフェオイルキナ酸またはトリカフェオイルキナ酸は、キナ酸1分子に、カフェ酸2分子または3分子が結合した結合体である。このような結合体としては、例えば、3,4−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸などが挙げられる。これら物質は、抗酸化作用などの様々な生理作用が知られている(特許文献1)。
上記物質の多くは、医薬分野で使用されているが、医薬以外の分野、例えば食品分野などでの用途については、明らかにされていない。すなわち、これらの物質は、有用な物質であるにもかかわらず、十分に利用されていない。したがって、これらの物質の新たな用途、例えば食品分野などでの用途が望まれている。
特開平6−166681号公報
本発明の目的は、ジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体の新たな用途を提供するとともに、好ましい他の素材との組合せを提供して、これらの物質の利用範囲を拡大させることにある。
本発明者は、ジカフェオイルキナ酸、トリカフェオイルキナ酸、およびこれらの成分を含有する甘藷の茎または葉に、優れた血糖値の低下作用などの抗糖尿病作用があることを既に見出している。さらに、それらの成分が有する作用をより効果的に発揮させるための食品原料および医薬品原料の組合せを見出した。
本発明は、ジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種類を含む原料と、糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料とを含有する、経口用組成物を提供する。
好ましい実施態様においては、上記経口用組成物は、さらに、脂質吸収抑制成分または脂質代謝促進成分を含む原料を含有する。
好ましい実施態様においては、上記ジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種類を含む原料は、甘藷の茎および/または甘藷の葉またはそれらの加工物である。
好ましい実施態様においては、上記糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を有する原料は、キク科植物の加工物またはヒルガオ科植物の塊根の加工物である。
好ましい実施態様においては、上記キク科植物は、菊芋である。
好ましい実施態様においては、上記ヒルガオ科植物は、白甘藷である。
本発明の経口用組成物は、食品、医薬品、医薬部外品などに配合することにより、ジカフェオイルキナ酸、トリカフェオイルキナ酸などが有する作用をより増強し、優れた血糖値上昇抑制効果などの抗糖尿病効果、抗肥満効果などを得ることができる。
本発明の経口用組成物は、ジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体(以下、「特定のキナ酸誘導体」という場合がある)からなる群より選択される少なくとも1種類を含む原料と、糖の代謝促進または糖の消化吸収抑制成分を含む原料とを含有する。以下、本発明の経口用組成物の構成要素について個別に説明する。なお、本発明は、下記実施形態により限定して解釈されるべきでなく、特許請求の範囲の記載における範囲内において、種々の変更が可能である。
(1)特定のキナ酸誘導体を含む原料
本発明に用いられる特定のキナ酸誘導体を含む原料は、上述のようにジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体の少なくとも1種類を含む。これらの特定のキナ酸誘導体は、ポリフェノールの1種である。
本明細書において「ジカフェオイルキナ酸」とは、キナ酸またはキナ酸誘導体1分子にカフェ酸またはカフェ酸誘導体2分子が結合した化合物をいう。例えば、キナ酸またはキナ酸誘導体1分子とカフェ酸またはカフェ酸誘導体2分子とのエステルが挙げられる。ジカフェオイルキナ酸としては、例えば、3,4−ジカフェオイルキナ酸(3,4−dicaffeoylquinic acid)、3,5−ジカフェオイルキナ酸(3,5−dicaffeoylquinic acid)、4,5−ジカフェオイルキナ酸(3,5−dicaffeoylquinic acid)などが挙げられる。
3,5−ジカフェオイルキナ酸の構造式を以下の式(A)に、3,4−ジカフェオイルキナ酸の構造式を以下の式(B)に、そして4,5−ジカフェオイルキナ酸の構造式を以下の式(C)にそれぞれ示す。
Figure 2006045212
Figure 2006045212
Figure 2006045212
本明細書において「トリカフェオイルキナ酸」とは、キナ酸またはキナ酸誘導体1分子にカフェ酸またはカフェ酸誘導体3分子が結合した化合物をいう。例えば、キナ酸またはキナ酸誘導体1分子とカフェ酸またはカフェ酸誘導体3分子とのエステルが挙げられる。トリカフェオイルキナ酸としては、例えば、3,4,5−トリカフェオイルキナ酸(3,4,5−tricaffeoylquinic acid)などが挙げられる。3,4,5−トリカフェオイルキナ酸の構造式を以下の式(D)に示す。
Figure 2006045212
ジカフェオイルキナ酸誘導体およびトリカフェオイルキナ酸誘導体としては、例えば、ジカフェオイルキナ酸およびトリカフェオイルキナ酸の配糖体、塩、エステル、スクシニル基が結合した化合物などが挙げられ、具体例としては、3,5−ジカフェオイル−4−スクシニルキナ酸などが挙げられる。
ジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体は、例えば、甘藷の茎または葉(以下、「甘藷茎葉」という場合がある)、ヤーコン茎葉、コーヒー豆、ヨモギの茎葉、トマトの果実、シュンギクの茎葉などの植物体に含まれる。これらの植物体の中でも、特に甘藷茎葉は、ジカフェオイルキナ酸およびトリカフェオイルキナ酸を他の植物よりも多く含有する。例えば、甘藷の葉は、1mg/100g〜300mg/100gのトリカフェオイルキナ酸を含有する、あるいは甘藷茎葉に含まれるポリフェノール中には、上記の特定のキナ酸誘導体が、他の植物体に比べて多く含まれる。
したがって、本発明に用いられる特定のキナ酸誘導体を含む原料としては、好ましくは甘藷茎葉、ヤーコン茎葉、コーヒー豆、ヨモギの茎葉、トマトの果実、シュンギクの茎葉など植物体からの乾燥粉末、搾汁、搾汁を乾燥粉末化したエキス末、抽出物、またはこれらから分離精製した物質が挙げられる。これらの植物体の中でも、特に甘藷茎葉は、上記のようにジカフェオイルキナ酸およびトリカフェオイルキナ酸の両方を含み、さらに植物体の収量も比較的多いため、より好ましく用いられる。甘藷茎葉は、植物体の乾燥質量あたりの特定のキナ酸誘導体の含有量が高いので、そのまま乾燥粉末として用いることが可能であり、特定のキナ酸誘導体が有する作用(例えば、抗糖尿病作用など)が十分に発揮され得る。
以下、本発明に用いられる特定のキナ酸誘導体を含む原料について、甘藷茎葉を例に挙げて具体的に説明する。
本明細書において、「甘藷茎葉」とは、栽培した甘藷の地上部に出た茎および葉の少なくとも一部をいう。したがって、本発明においては、甘藷茎葉として、地上部の甘藷の茎のみを用いてもよく、甘藷の葉のみを用いてもよく、あるいは甘藷の茎および葉の両方を用いてもよい。
甘藷茎葉は、甘藷の栽培時に、地上部に出ている茎または葉を用いることが好ましい。特に、地上から10cm以上、好ましくは30cm以上に成長した甘藷茎葉がよい。さらに、甘藷の茎が地中から外に出ている位置から甘藷茎葉の先端までの長さを測定した場合に、その長さが300cm以下、好ましくは200cm以下、より好ましくは150cm以下である甘藷茎葉を用いるのがよい。300cmを超えると、甘藷茎葉の先端部が地面に接し、害虫などの害を受けやすくなるので、十分な量の茎葉が得られなくなる場合がある。得られた甘藷茎葉は、好ましくは付着した泥などを水で洗浄した後に加工などが施される。
上記甘藷茎葉としては、甘藷茎葉の先端部分であって、かつ他の茎葉に比べて、緑色を保持している状態の甘藷茎葉を回収して用いることがさらに好ましい。この甘藷茎葉の先端部分を、特に「甘藷の若茎葉」と記載する。甘藷の若茎葉としては、甘藷茎葉の先端から40cm以内の部位の茎葉(以下、「特定部位の甘藷茎葉」という場合がある)が、特定のキナ酸誘導体を多く含有するために好ましく用いられる。
甘藷の若茎葉および特定部位の甘藷茎葉は、植物体自身がやわらかいため加工がしやすい。これらをそのまま乾燥粉末とした場合は、舌触りがよいため、様々な食品に利用しやすくなる。
上記甘藷茎葉は、収穫後、そのまま乾燥して乾燥粉末にされ得る。あるいは、甘藷茎葉は、必要に応じて加工され得る。加工は、加熱処理、圧搾、抽出、乾燥、および粉末化処理からなる群より選択される少なくとも1種の方法によって行われる。
(加熱処理)
加熱処理は、甘藷茎葉中の酵素の失活による品質の安定化、および甘藷茎葉の褪色を防ぐ目的で行われる。加熱処理としては、例えば、ブランチング処理(湯通し)、乾熱処理、マイクロウェーブ処理、赤外線および遠赤外線処理、水蒸気処理などの処理が挙げられる。これら加熱処理のうち、ブランチング処理および水蒸気処理が好ましく用いられる。さらに、処理工程の便宜上、必要に応じて、甘藷茎葉を長径10〜30cm程度に裁断してから、各処理を行ってもよい。
(圧搾)
圧搾は、例えば、圧搾機などを用いて行われる。これによって甘藷茎葉の搾汁が得られる。得られた搾汁をそのまま飲料などの食品に用いる場合は、80℃〜130℃で加熱殺菌を行うことが好ましい。
(乾燥および粉末化処理)
乾燥は、甘藷茎葉をそのまま、または上記の加熱処理もしくは圧搾して搾汁、ペースト状などにした後、当業者が通常用いる任意の乾燥方法を用いて行われる。乾燥処理を行うことによって、抽出などの加工を施す前に植物体(甘藷茎葉)の保存が可能となるので、乾燥処理を行うことは、好ましい。
乾燥は、乾燥方法に応じた乾燥機、例えば、熱風乾燥機、高圧蒸気乾燥機、電磁波乾燥機、凍結乾燥機、減圧濃縮機、噴霧乾燥機、直火式加熱機、回転式通風乾燥機などを用いて行われる。
この中でも、甘藷茎葉の乾燥には、製造コストや乾燥の効率の面から、熱風乾燥機、直火式加熱機、回転式通風乾燥機が好ましく用いられる。
エキス末を得る場合は、減圧濃縮機および噴霧乾燥機を用いることが好ましい。噴霧乾燥は、甘藷茎葉の搾汁をエキス末とする方法として好適である。例えば、搾汁は、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥機を用いて粉末化される。噴霧乾燥を行う場合は、回収率を上げるために、必要に応じてデキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースのような賦形剤が添加される。好適にはデキストリンが用いられ、搾汁とデキストリンとの比は、デキストリン添加により粉末化を容易にするため、質量比で1:10〜5:1が好ましい。
常圧での乾燥は、60℃〜150℃、好ましくは70〜100℃で行うことが、風味が良く、色鮮やかな甘藷茎乾燥粉末が得られる点で好ましい。減圧下での乾燥は60℃以下、好ましくは甘藷茎葉、そのペーストまたは搾汁が凍結する温度以上でかつ60℃以下で行うことが、栄養成分の損失を少なくすることができる点で好ましい。
乾燥は、乾燥物またはエキス末中の水分含量が5質量%以下となるように行うことが好ましい。
甘藷茎葉をそのまま乾燥させる場合は、2段階で乾燥を行うことが好ましい。2段乾燥は、例えば、熱風乾燥機などを用いて行う。2段階乾燥では、まず、甘藷茎葉の水分含有量が25質量%以下となるまで、60〜80℃の温度で一次乾燥させる。次いで、一次乾燥した甘藷茎葉の水分含有量が5質量%以下となるまで、一次乾燥よりも高い温度で二次乾燥させる。このとき、一次乾燥の乾燥温度が60℃未満の場合は、乾燥速度が遅くなる。
二次乾燥の温度は、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、さらに好ましくは約80℃である。約80℃に調節することにより、特定のキナ酸誘導体の含有量が高く、かつ色鮮やかな甘藷茎葉粉末を得ることができる。二次乾燥の乾燥温度が100℃を超える場合は、焦げを生じることがある。
なお、一次乾燥と二次乾燥との温度差は、約5〜15℃であることが好ましく、約10℃であることがより好ましい。例えば、90℃で二次乾燥する場合、一次乾燥の温度は、75〜85℃であることが好ましく、約80℃であることがより好ましい。
この2段階の乾燥工程を行うことにより、乾燥時間が短縮されると同時に、甘藷茎葉の緑色および風味が維持される。上記のように温度差を一定範囲に設定することにより、乾燥工程における緑葉の水分管理が容易になり、効率的に乾燥が行われる。
上記乾燥により得られた甘藷茎葉は、必要に応じて粉砕され得る。特に、抽出物(後述)を得るための原料とする場合、抽出効率を上げる点から、甘藷茎葉を粉砕することが好ましい。例えば、乾燥した甘藷茎葉を、カッター、スライサー、ダイサーなどの当業者が通常用いる装置または器具を用いて粉砕する。粉砕された甘藷茎葉の大きさは、長径が20mm以下であり、好ましくは0.1〜10mmである。このようにして、甘藷茎葉の乾燥粉末を得ることができる。
均一に加熱して殺菌する目的で、加熱処理を行ってもよい。この加熱処理により、粗粉砕した甘藷茎葉加工物を均一に加熱することができ、甘藷茎葉の香味を良好にしつつ、効率のよい殺菌を行うことができる。この加熱処理は、110℃以上で行い、高圧殺菌機、加熱殺菌機、加圧蒸気殺菌機などを用いることができる。この加熱処理は、甘藷茎葉より得られたエキス末を同様に処理することによっても同様の効果を得ることができるため、エキス末を加熱処理してもよい。
上記甘藷茎葉の乾燥粉末は、さらに微粉砕することが好ましい。微粉砕の工程は、90質量%が200メッシュ区分を通過するように、微粉砕される。微粉砕は、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの当業者が通常用いる装置または器具を用いて行われる。微粉砕することにより食感がよくなる。好ましくは、粗粉砕、加熱、および微粉砕の工程を順に経ることにより、食品へ添加した場合に均一に混ざりやすくなる。
(抽出)
抽出は、上記甘藷茎葉または甘藷茎葉の乾燥粉末に、所定の溶媒を加え、10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間保持することによって行われる。抽出温度は、4℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは25℃以上、最も好ましくは40℃以上であり、130℃以下、好ましくは100℃以下である。
抽出に用い得る溶媒としては、水、有機溶媒、含水有機溶媒などが挙げられる。本明細書において「含水有機溶媒」とは、水を含む有機溶媒であり、水と有機溶媒とが混合した状態でも、分離した状態でもよい。抽出に用い得る溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテンなどの有機溶媒;およびこれらの有機溶媒に水を含んだ含水有機溶媒が挙げられる。この中でも、水、エタノール、メタノールなどの極性有機溶媒、および含水アルコール(含水エタノールおよび含水メタノール)などの含水有機溶媒を用いることが好ましい。
特に、水または含水極性有機溶媒(含水アルコール、特に含水エタノールや含水メタノール)が、特定のキナ酸誘導体を効率よく抽出できる点で好ましい。トリカフェオイルキナ酸を効率よく抽出する場合は、エタノールを80容量%〜10容量%の割合で含有する含水エタノールを用いることがさらに好ましい。より具体的には、水またはエタノール含有量を80容量%以下の割合で含有する含水エタノールを甘藷茎葉1質量部に対し、0.5質量部〜100質量部、好ましくは0.5質量部〜50質量部に添加して、10℃〜100℃で10分〜48時間、好ましくは30分〜48時間抽出することで抽出物が得られる。短時間で抽出を行う場合、例えば30分以下で行う場合は、甘藷茎葉の乾燥粉末またはエキス末を用いて抽出することが好ましい。
例えば、甘藷茎葉の乾燥粉末1kgに対し、水または80容量%の含水エタノールを10L添加し、60℃〜100℃で1時間〜24時間、加熱還流する。そして、ろ過により、抽出物を得ることができる。
このようにして得られた抽出物は、さらに乾燥粉末化してもよく、あるいは抽出物中の特定のキナ酸誘導体の含有量を高めるために、精製してもよい。精製の方法としては、例えば、抽出物中のエタノールを減圧濃縮して除去した後、合成吸着剤(例えば、ダイアイオンHP20、セパビーズ、XAD4など)に吸着させ、含水エタノール(例えば、10〜80容量%の含水エタノール)で合成吸着剤より回収する方法が挙げられる。このような抽出物中には、精製前の乾燥質量換算で、0.01質量%以上のトリカフェオイルキナ酸および0.1質量%以上のジカフェオイルキナ酸が含有される。
また、トマトなどのような水分を30質量%以上の割合で含む植物体を用いる場合、植物体をマスコロイダーなどで破砕し、必要に応じて加水した後に圧搾して搾汁とすることによって抽出物を得ることができる。このようにして得られた抽出物中には、特定のキナ酸誘導体以外にも、植物体の可溶化成分が含まれているため、必要に応じて合成吸着剤(ダイアイオンHP20、セファビースSP825、アンバーライトXAD4、MCIgelCHP20Pなど)、デキストラン樹脂(セファデックスLH−20など)など、当業者が通常用いる分離方法で精製することが好ましい。
(2)糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料
本発明の経口用組成物に用いられる糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料は、抗糖尿病作用を増強するだけでなく、体内での糖の蓄積を抑制し、その結果、糖の吸収によって引き起こされる体脂肪の増加を抑制し得る。
糖の代謝促進成分を有する原料としては、例えば、チアミン類(例えば、ビタミンB1)、ピリドキシン類、アミノ酸(イソロイシン、ロイシン、バリン、セリン、プロリン、グリシン、アラニン、スレオニンなど)、クエン酸、リンゴ酸、モリブデン、リン、イオウ、クロム、カリウム、マンガン、カプサイシノイド、ニンジンのサポニンなどの成分自体、これら成分を有する原料が挙げられる。さらに、同様の作用を有する白甘藷の塊根、レイシ、黒酢、大豆、ビール酵母などが挙げられる。
糖の消化吸収抑制成分を含む原料としては、例えば、α−アミラーゼ阻害物質、グルコシダーゼ阻害物質などの糖分解酵素の阻害作用を有する成分、水溶性食物繊維などの糖吸収抑制作用を有する成分を含む原料などが挙げられる。
α−アミラーゼ阻害作用を有する成分としては、例えば、α−アミラーゼ阻害タンパク質およびタンニンが挙げられる。α−アミラーゼ阻害タンパク質を含有する原料としては、例えば小麦、ライ麦などが挙げられる。タンニンを含有する原料としては、大麦、茶、グァバ、ビワなどが挙げられる。
α−グルコシダーゼ阻害作用を有する成分としては、例えば、1−デオキシノジリマイシン、サラシノール、1−デオキシノジリマイシン、ジヒドロカルコン化合物またはフラバノン配糖体、ヒドロキシプロリンなどが挙げられる。これらを含有する原料としては、サラシア・レティキュラタ、桑葉、ボタンピ、カシュウ、ゲットウ、アカメガシワ、ヒラミレモン、クダモノトケイソウおよびストレリチア、阿仙薬、サッサフラス、イエロードック、メドウスィート、柑橘類(ウンシュウミカン、ダイダイ、ハッサク、ナツミカン、イヨカン、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ユズ、ライムなど)、ウラジロガシ、オオボウシバナ、芍薬、チョウジ、ラフマ、ケイヒ、ユーカリ、エゾイシゲ、カモミール、シソ、ノイチゴ、トウチ、クローブなどが挙げられる。
糖分解酵素阻害作用を有する他の成分としては、例えば、茶、グァバ、テンチャ、イチョウ葉、ブドウ種子、松樹皮抽出物などに含まれるポリフェノール;マオウ、カリン、インゲン豆、ナンバンカラスウリ、カキ葉、プーアル茶、オトギリソウ、リンゴ、タラ、アカメガシワ、サンシュユ、訶子、トチュウ葉などに含有される糖分解酵素を阻害する作用を有する成分が挙げられる。
さらに、糖の消化吸収抑制作用を有する成分としては、例えば、サポニン、コンズリトールA、グルマリン、食物繊維などが挙げられる。サポニンを含有する原料としては、例えばギムネマ・シルベスタ、ギムネマ・イノドラム、タラ、トンブリなどが挙げられ、そしてコンズリトールAおよびグルマリンを含有する原料としては、例えばギムネマ・シルベスタなどが挙げられる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ガラクトマンナン、可溶性アルギン酸ナトリウム、イヌリンなどが挙げられ、特に好ましくはイヌリンである。食物繊維は、食餌をゲル化することにより、糖の腸管からの吸収を抑制すると考えられている。
本発明においては、糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を有する原料として、キク科植物の加工物またはヒルガオ科植物の塊根の加工物が好ましく用いられる。
キク科植物としては、菊芋、ゴボウ、チコリー、ヤーコン、タンポポなどが挙げられる。これらの中で、菊芋が好ましい。これらキク科植物は、食物繊維である上記のイヌリンを多く含む。イヌリンは、糖およびコレステロールの吸収抑制作用、便通改善作用を有する。そのため、本発明の組成物に含まれる特定のキナ酸誘導体の抗糖尿病作用を増強するだけでなく、体内での糖の蓄積を抑制し、ひいては糖の吸収によって引き起こされる体脂肪が増加することを抑制し得る。本発明においては、特に菊芋の塊茎を用いることが好ましい。
ヒルガオ科植物としては、甘藷、白甘藷などが挙げられる。本発明においては、白甘藷の塊根を用いることが好ましい。白甘藷は、シモン芋またはカイアポ芋と称される南米原産の白い甘藷で、その塊根はインスリンの分泌を促したり、その作用を強めたりする働きを有することが知られている。したがって、本発明の組成物に含まれる特定のキナ酸誘導体の抗糖尿病作用を増強するだけでなく、体内での糖の蓄積を抑制し、その結果、糖の吸収によって引き起こされる体脂肪の増加を抑制し得る。
本発明に用いるキク科植物もしくはヒルガオ科植物の塊根は、通常、洗浄してから、あるいはさらに、カット、摩砕などの当業者が通常行う方法によって破砕してから使用される。本発明においては、生芋を破砕したものを用いてもよいし、乾燥粉末を用いてもよい。
(3)脂質吸収抑制成分または脂質代謝促進成分を有する原料
本発明の経口用組成物は、さらに、脂質吸収抑制成分または脂質代謝促進成分を含む原料を含有し得る。これらの原料を含有することによって、相乗的な脂質の吸収・蓄積抑制効果または体脂肪減少効果を得ることができるため、本発明の組成物による抗糖尿病効果が増強されるだけでなく、肥満より生ずる様々な症状を予防することもできる。
脂質代謝促進作用を有する成分としては、例えば、リボフラビン類、茶カテキン類、異性化リノール酸、カフェイン、カプサイシン、カルニチン、コエンザイムQ10、大豆ペプチド、分岐アミノ酸、ホスファチジルコリン、アリルスルフィド化合物、フォルスコリン、ベルゲニン、ケルセチン、アスチルビン、ヒドロキシクエン酸などが挙げられる。これらの成分を含有する原料としては、茶、コレウスフォコリ、アカショウマ、黄杞、大豆、唐辛子、ソバ、ニンニク、タマネギ、コーヒー、これら植物の抽出物などが挙げられる。
脂質吸収抑制作用を有する成分としては、例えば、キトサン、サイリウム、プロアントシアニジンなどの胆汁酸を排泄する作用を有する成分、ガロタンニンなどのリパーゼ阻害作用を有する成分などが挙げられる。これらの成分を含有する原料としては、ビワ葉、ビワ葉抽出物などが挙げられる。
これらの脂質吸収抑制成分または脂質代謝促進成分を含む原料は、目的に応じて適宜配合し得る。
(4)経口用組成物
本発明の経口用組成物は、特定のキナ酸誘導体を含む原料と、糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料と、好ましくは、さらに脂質吸収抑制成分または脂質代謝促進成分を含む原料とを含有するため、優れた抗糖尿病作用を有する。これは、(1)特定のキナ酸誘導体を含む原料によるインスリンの分泌促進作用およびインスリンの感受性増強作用と、(2)糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料による作用との相乗的な作用、または(1)と(2)と脂質吸収抑制成分または脂質代謝促進成分を含む原料による作用との相乗的な作用であると考えられる。本発明の組成物は、糖および脂質の吸収抑制成分またはそれらの代謝促進成分を単に組合せた物よりも、優れた抗肥満作用を示す。さらに、本発明の経口用組成物は、食物繊維をさらに添加することにより、便秘改善作用も期待できる。
本発明の組成物中の特定のキナ酸誘導体を含む原料の摂取量には特に制限はないが、成人1日あたりの摂取量は、特定のキナ酸誘導体の合計量として0.1mg〜3000mg、好ましくは1mg〜1000mgである。甘藷茎葉の乾燥粉末を用いる場合、摂取量が0.1g〜30g、好ましくは0.1〜10gとなるように配合すればよい。
経口用組成物中における特定のキナ酸誘導体を含む原料の配合量は、その原料の形態および剤形によって異なるため、適宜調整され得る。植物体の乾燥粉末またはエキス末の場合は、経口用組成物100質量部中に、好ましくは0.0001質量部〜50質量部、より好ましくは0.01質量部〜30質量部となるように含まれる。甘藷茎葉の乾燥粉末を用いる場合は、好ましくは0.01質量部〜80質量部、より好ましくは0.1質量部〜50質量部となるように含まれる。
さらに、特定のキナ酸誘導体を含む原料と、糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料との配合比は、特に限定されない。例えば、特定のキナ酸誘導体を含む原料100質量部に対し、糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料を、乾燥質量で好ましくは0.5質量部〜5000質量部、より好ましくは1質量部〜3000質量部となるように配合するのがよい。
本発明の経口用組成物中における、脂質吸収抑制成分または脂質代謝促進成分を含む原料の配合比は、特に限定されない。例えば、特定のキナ酸誘導体を含む原料の乾燥質量100質量部に対して、脂質吸収抑制成分または脂質代謝促進成分を含む原料を、乾燥質量で好ましくは0.5質量部〜5000質量部、より好ましくは1質量部〜3000質量部となるように配合するのがよい。
本発明の経口用組成物は、必要に応じて、その他の食品原料と混合し、用途に応じて(例えば、食品、医薬品または医薬部外品として)、顆粒、錠剤などの形態に成形してもよい。
その他の食品原料としては、例えば、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料や他の食品原料、調味料、医薬品原料などが挙げられる。具体例としては、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体など)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、セレンなど)、キチン・キトサン、レシチン、ポリフェノール(フラボノイド類、これらの誘導体など)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなど)、キサンチン誘導体(カフェインなど)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチンなど)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケタラン、これらの塩など)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩など)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖など)リン脂質およびその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミドなど)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタンなど)、糖アルコール、リグナン類(セサミンなど)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガなど)、麦若葉末などのイネ科植物の緑葉、ケールなどのアブラナ科植物の緑葉などが挙げられる。
本発明の経口用組成物は、さらに上記その他の食品原料を含む飲料、例えば、植物発酵ジュース、野菜ジュース(例えば、人参ジュース)、植物抽出物、果汁などにも利用され得る。特定のキナ酸誘導体を含む本発明の組成物を含有させることにより、これらの飲料の嗜好性が良くなり、機能性または栄養価を高めることができる。これらの飲料は、糖液、糖アルコール、調味料などを加えて、甘味を強くすることもできる。
本発明の経口用組成物および本発明の経口用組成物を含む食品の形態については、特に限定はないが、必要に応じて、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤などに、あるいは粉末状、顆粒状、茶状、ティーバッグ状、もしくは飴状などの形態であってもよく、そのまま飲料の形態でもよい。これらの形状または好みに応じて、本発明の経口用組成物、または本発明の経口用組成物を含む食品は、そのまま食してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでも良い。例えば、粉末化してティーバッグ状とし、成分を浸出させてから飲んでも良い。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、この実施例は本発明を制限することを意図しない。
(調製例1)
特定のキナ酸誘導体を含む原料として、甘藷茎葉微粉末を調製した。
甘藷茎葉1kgを、pH8.0に調整した熱水(97℃)に1分間浸漬し、ブランチング処理を行った。ブランチング処理後、直ちに20℃の水へ浸漬して冷却した。冷却後、熱風乾燥を行い、ダイサーで長径が1mm程度になるように粉砕し、加圧蒸気殺菌機で殺菌後、ハンマーミルを用いて粉砕し、80gの微粉末(甘藷茎葉微粉末)を得た。
得られた甘藷茎葉微粉末に含まれるポリフェノール量を、フォーリンチオカルト法で測定したところ、1g当たり10mgのポリフェノール(1質量%)を含むことが分かった。
(実施例1:食品の調製)
調製例1で得られた甘藷茎葉微粉末(特定のキナ酸誘導体を含む原料)、糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料、および還元麦芽糖を用いて、食品(食品1〜4、粉末品)を調製した。糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料としては、グァバ葉抽出物(商品名:グアバフェノン、備前化成社株式会社)、難消化性デキストリン(商品名:パインファイバー、松谷化学工業株式会社)、およびビタミンB1を用いた。食品1〜4の処方を、表1に示す。
Figure 2006045212
(実施例2:抗糖尿病効果の評価)
上記実施例1で得られた食品1〜3について、以下の方法によって抗糖尿病効果を評価した。抗糖尿病効果は、血糖値上昇抑制効果をもとに評価した。
6週齢の雄性のSDラット(九動株式会社)25匹を、標準飼料(MF、オリエンタル酵母工業株式会社)で1週間馴化した。馴化後、ストレプトゾトシンを30mg/kg体重となるように尾静脈から投与した。投与の4日後に眼窩静脈より採血し、摂食時における血糖値を小型血糖測定機(グルテストエースGT−1640、株式会社三和化学研究所)で測定した。血糖値が200mg/dL以上である20匹を選定し、I型糖尿病モデルとした。さらにこの20匹を、血糖値の平均値が同等(431〜433mg/dL)になるように4群に分けた。このうち3群(試験群1〜3とする)には、各食品を1000mg/kg体重で7日間にわたり1日1回、強制経口投与した。経口投与を行う際の媒体として0.5v/v%Tween生理食塩水を適量用いた。残りの1群(対照群とする)のラットには、媒体のみを投与した。試験期間中、試験群1〜3および対照群のラットには、標準飼料および水を自由摂取させた。試験開始から7日後、再度摂食時の血液を採取し、血液中の血糖値(mg/dL)を測定した。その結果(平均値および標準偏差)を、表2に示す。
Figure 2006045212
表2に示すように、特定のキナ酸誘導体を含む原料と糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料とを含有する食品(食品1および食品2)を投与した試験群1および2のラットの血糖値は、糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を有する原料同士を組合せた食品(食品3)を投与した試験群3のラットおよび対照群のラットの血糖値よりも低かった。したがって、本発明の経口用組成物(食品)は、優れた血糖値上昇抑制効果、すなわち抗糖尿病効果を有することが分かる。
(実施例3:ダイエット効果の評価)
上記実施例1で調製した食品2および食品4について、以下の方法によってダイエット効果を評価した。
これまでダイエットを試みて失敗経験があるボランティア10人を、ランダムに1群5名の計2群に分け、そして各ボランティアの体重を測定した。次いで、1群のボランティアには、食品2(3g)を70℃の温水200mLに溶解させた溶液を摂取させ、そして残りの1群のボランティアには、食品4(3g)を70℃の温水200mLに溶解させた溶液を摂取させた。各ボランティアに、その飲料を、1日3回の割合で8週間にわたって摂取させた。ボランティアには、これまで摂取していた食事を制限する必要がないことを伝え、試験を行った。
摂取期間終了後の翌日に各ボランティアの体重を測定し、体重減少量を下記の式により計算した。その計算結果について、平均値および標準偏差を求めた。その結果を表3に示す。
体重減少量(kg)=摂取前の体重(kg)−摂取8週間後の体重(kg)
Figure 2006045212
表3に示すように、食品2または食品4の摂取によって、ボランティアの体重が減少した。すなわち、食品2および食品4は、いずれも、抗肥満効果(ダイエット効果)を有することが分かる。さらに、糖の代謝を促進する成分(ビタミンB1)を含む食品(食品4)を摂取した群は、体重が減少する傾向が顕著であった。
また、食品2または4を摂取した被験者10名のうち8名は、「便通が良くなった」という体調の変化を訴えていることから、これらの食品は、便通改善効果にも優れていることが分かった。
(調製例2:甘藷茎葉抽出物の製造方法)
甘藷茎葉1kgをそのまま80℃で熱風乾燥し、乾燥した甘藷茎葉をボールミルで粗粉砕した。次いで、粗粉砕した甘藷茎葉に水10L加えて、80℃で24時間、加熱還流を行い、ろ過して抽出液を得た。次いで、50℃で減圧濃縮を行い、20gの抽出粉末を得た。
この抽出粉末中のポリフェノール量を調製例1と同様に測定したところ、抽出粉末中に4質量%のポリフェノールを含有することがわかった。
(製造例1)
下記の原料を用いて、錠剤(1錠当たり250mg)を製造した。
<錠剤の成分> 配合量(質量%)
調製例1で得られた甘藷茎葉乾燥粉末 20
松樹皮抽出物(株式会社東洋新薬製) 1
結晶セルロース 14
ショ糖エステル 4
還元麦芽糖 30
二酸化ケイ素 1
卵殻カルシウム 30
(製造例2)
下記の原料を用いて、顆粒を製造した。
<顆粒の成分> 配合量(質量%)
調製例1で得られた甘藷茎葉乾燥粉末 25
桑葉乾燥粉末 25
L−カルニチン酒石酸塩 10
結晶セルロース 10
還元麦芽糖 30
(製造例3)
下記の原料を用いて、錠剤(一錠当たり200mg)を製造した。
<錠剤の成分> 配合量(質量%)
調製例2で得られた甘藷茎葉抽出物 2
グァバ葉抽出物 2
大豆ペプチド 40
キトサン 20
結晶セルロース 10
ショ糖エステル 4
トレハロース 11
還元麦芽糖 10
二酸化ケイ素 1
(実施例4)
特定のキナ酸誘導体を含む原料として調製例1で得られた甘藷茎葉微粉末、キク科植物の加工物として菊芋乾燥粉末(有機合成薬品工業株式会社)、ヒルガオ科植物の塊根の加工物としてシモン芋乾燥粉末(熊本製粉株式会社)、および果糖を、マウスの標準飼料(MF、オリエンタル酵母工業株式会社)に表4に記載の含有量(質量%)となるように混合して試験飼料1〜3を調製した。また、標準飼料に果糖を添加して対照飼料を調製した。
5週齢の雄性のII型糖尿病モデルマウス(KK−Ayマウス)(日本チャールス・リバー株式会社)28匹を標準飼料で1週間馴化した。次いで、眼底より採血を行い、血糖値を小型血糖測定機(グルテストエースGT−1640、株式会社三和化学研究所)で測定し、血糖値の平均値が均一になるように(255〜258mg/dL)4群に分けた。このうちの3群を試験群(試験群1〜3)とし、残りの1群を対照群とした。試験群1〜3のラットには試験飼料1〜3、そして対照群のラットには対照飼料を自由摂取させた。試験期間中、水については自由飲水とした。
摂取開始から28日目に眼窩静脈より血液を採取し、血液中の血糖値を測定した。結果を表4に示す。表4中の血糖値の値は平均値±標準偏差(mg/dL)である。
Figure 2006045212
表4に示すように、甘藷茎葉微粉末と菊芋乾燥粉末とを含有する試験飼料2および甘藷茎葉微粉末とシモン芋乾燥粉末とを含有する試験飼料3を摂取した群では、甘藷茎葉微粉末のみを含有する試験飼料1と比較して、血糖値上昇が非常に抑制されていた。このことから、特定のキナ酸誘導体を含む原料とキク科植物の加工物もしくはヒルガオ科植物の塊根部の加工物を含有する組成物は、より優れた抗糖尿病作用(糖尿病の予防または治療作用)を示すことが分かる。
本発明の経口用組成物は、ダイエット効果および血糖値上昇抑制効果を有する。したがって、特定のキナ酸誘導体、特に甘藷茎葉についての新たな用途が提供される。他の素材と組合せることにより、より優れたダイエット効果および血糖値上昇抑制効果が得られるので、極めて有用である。

Claims (6)

  1. ジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種類を含む原料と、糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料とを含有する、経口用組成物。
  2. さらに、脂質吸収抑制成分または脂質代謝促進成分を含む原料を含有する、請求項1に記載の経口用組成物。
  3. 前記ジカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸誘導体、トリカフェオイルキナ酸、およびトリカフェオイルキナ酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種類を含む原料が、甘藷の茎および/または甘藷の葉またはそれらの加工物である、請求項1または2に記載の経口用組成物。
  4. 前記糖の代謝促進成分または糖の消化吸収抑制成分を含む原料が、キク科植物の加工物またはヒルガオ科植物の塊根の加工物である、請求項1から3のいずれかの項に記載の経口用組成物。
  5. 前記キク科植物が、菊芋である、請求項1から4のいずれかの項に記載の経口用組成物。
  6. 前記ヒルガオ科植物が、白甘藷である、請求項1から4のいずれかの項に記載の経口用組成物。
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