JP2005325518A - プレストレス導入ユニットおよびプレストレス導入方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】予め付与された緊張力をコンクリート硬化後に解放してプレストレスを導入するユニットにおいて、ユニット中間部で緊張操作を行うことができ、PC鋼棒・コンクリートにプレストレスを安全に容易に確実に導入でき、トンネル等のプレキャスト部材に適用でき、緊張操作のための切欠き部を小さくでき、この切欠き部を任意の位置に分散配置でき、プレキャスト部材全長にプレストレスを導入できるようにする。
【解決手段】引張力が導入されるPC鋼棒2の定着板3、4間に反力鞘管(筒状PC鋼棒)5、6を嵌装し、押圧ナット7を反力鞘管の間に配置して反力鞘管と共に緊張反力(圧縮力)を受けることでPC鋼棒2の緊張状態を保持し、このユニット1をコンクリート内に埋設し、コンクリート硬化後、現場等で押圧ナット7を緩めて反力鞘管の圧縮力を解放することで、PC鋼棒2の引張力によりコンクリートにプレストレスを導入する。
【選択図】 図1
【解決手段】引張力が導入されるPC鋼棒2の定着板3、4間に反力鞘管(筒状PC鋼棒)5、6を嵌装し、押圧ナット7を反力鞘管の間に配置して反力鞘管と共に緊張反力(圧縮力)を受けることでPC鋼棒2の緊張状態を保持し、このユニット1をコンクリート内に埋設し、コンクリート硬化後、現場等で押圧ナット7を緩めて反力鞘管の圧縮力を解放することで、PC鋼棒2の引張力によりコンクリートにプレストレスを導入する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、予め緊張力が付与された状態でコンクリートに埋設され、コンクリート硬化後に緊張力を解放してコンクリートにプレストレスを導入するプレストレス導入ユニットおよびプレストレス導入ユニットを用いたプレストレス導入方法に関するものである。
一般に、コンクリートにプレストレスを導入する方法として、コンクリートの打設前にPC鋼材に引張力を付与しておき、コンクリートの硬化後、PC鋼材を切断するなどして引張力を解放し、コンクリートにプレストレスを導入するプレテンション方式、コンクリートの硬化後に、シース孔内に挿通されたPC鋼材に引張力を付与し、PC鋼材の端部を定着具により定着させ、コンクリートにプレストレスを導入するポストテンション方式があるが、最近では、PC鋼棒ユニットを予め緊張力が付与された状態でコンクリート部材に埋設し、コンクリート硬化後に緊張力を解放してコンクリート部材にプレストレスを導入する工法が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2など) 。この工法の場合、比較的簡易な装置でプレストレスを容易に確実に導入できるなどの利点がある。
特許文献1の発明で用いられるPC鋼棒ユニットは、中空筒状の引張PC鋼棒と、この内部に挿入される中実の反力PC鋼棒と、引張PC鋼棒の一端部に設けられた緊張操作側の緊張保持部材と、引張PC鋼棒の両端部に設けられた定着具などからなり、工場等において引張PC鋼棒内の反力PC鋼棒を一端側から油圧ジャッキにより押し込んで圧縮させることにより、外側の引張PC鋼棒に引張力を導入し、緊張操作側の緊張保持部材のストッパで反力PC鋼棒が元の長さに戻らないように拘束する。
このPC鋼棒ユニットを例えば型枠内に配置し、また一端の緊張操作側の緊張保持部材が型枠から突出するように固定した後、型枠内にコンクリートを打設し、コンクリート硬化後、緊張操作側の緊張保持部材のストッパを緩めていくことにより、中空筒状の引張PC鋼棒の引張力が解放され、中空筒状の引張PC鋼棒とコンクリートの付着力によって、コンクリートにプレストレスが導入される。緊張操作側の緊張保持部材は撤去し、反力PC鋼棒は必要に応じて残し、切欠き部に後埋めモルタルを打設する。なお、特許文献1では、PC鋼棒ユニットをアンカー工法や既設橋梁の主桁に定着ブラケットを定着する場合に適用することが例示されている。
特許文献2の発明では、中空筒状の引張PC鋼棒の代わりに、圧縮材(反力鋼棒)の周囲を取り囲む多数のPC鋼線を用いており、圧縮材の座屈を防止すると共にPC鋼線の位置を適正に保持するためのリング状のセパレータが多数設けられている。圧縮材にはコンクリートとの絶縁のためのシースが嵌装されている。その他の構成や動作は引用文献1のPC鋼棒ユニットと同様であり、一端側の緊張力保持装置において油圧ジャッキにより圧縮材に圧縮力を加え、緊張力保持装置のナットで固定することにより、多数のPC鋼線に引張力を付与する。緊張力保持装置のねじを緩めて取り外すことにより、圧縮材の圧縮力が解放され、多数のPC鋼線によりコンクリートにプレストレスが導入される。
特開平8−151632号公報
特許第3111047号公報
前述のような従来のPC鋼棒ユニットの場合、一端で圧縮力が導入された反力PC鋼棒をねじで固定する構造であり、端部で緊張力の解放操作を行ってプレストレスを導入するため、トンネルやカルバート等のプレキャスト部材のように内空側からしか緊張作業ができない構造に適用する場合、PC鋼棒ユニットの端部に位置する緊張力保持装置の部分に内側に開口する大きな切欠き部を形成し、緊張力の解除の操作ができるようにしなければならない。このような大きな切欠き部は後詰めモルタル等で埋めても構造上の弱点であり、さらに端部の切欠き部がトンネルやカルバート等の軸方向に連続的に点在することにより構造体に悪影響を与えるなどの問題がある。また、端部の切欠き部分にはプレストレスが導入されず、プレキャスト部材の全体にわたってプレストレスを導入することができないなどの問題もある。
本発明は、上記のような問題を解消すべくなされたものであり、予め緊張力が付与された状態でコンクリートに埋設され、コンクリート硬化後に緊張力を解放してコンクリートにプレストレスを導入するプレストレス導入ユニットにおいて、ユニットの中間部で緊張操作を行うことができ、PC鋼棒およびコンクリートにプレストレスを、安全に、容易に、確実に導入することができ、またトンネルやカルバート等のプレキャスト部材のように内空側からしか緊張作業ができない構造に適用する場合、緊張操作のための切欠き部を小さくすることができると共に、この切欠き部を任意の位置に分散配置することができ、さらにプレキャスト部材の全長にわたってプレストレスを導入することができるプレストレス導入ユニットおよびプレストレス導入方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1の発明は、予め緊張力が付与された状態でコンクリートに埋設され、コンクリート硬化後に緊張力を解放してコンクリートにプレストレスを導入するプレストレス導入ユニットであり、緊張力が付与されるPC(プレストレスト・コンクリート)鋼棒と、このPC鋼棒の両端部にそれぞれ設けられる定着部材(定着板等)と、この定着部材間のPC鋼棒にPC鋼棒を覆うように設けられるPC鋼棒軸方向に複数(2本が好ましい)の反力鞘管(筒状PC鋼棒)と、この反力鞘管の間にその隙間をPC鋼棒軸方向に拡大するように位置して反力鞘管と共に緊張反力を受けることによりPC鋼棒の緊張状態を保持し、かつ、前記隙間をPC鋼棒軸方向に縮小するように移動することによりPC鋼棒の緊張状態を解除する緊張保持解除部材(押圧ナット、長ナット、カプラー、楔部材など)とを備えていることを特徴とするプレストレス導入ユニットである。
本発明の請求項2の発明は、請求項1に記載のプレストレス導入ユニットにおいて、反力鞘管の外周にコンクリートとの付着を防止する付着防止部材(シース、被覆材など)が設けられていることを特徴とするプレストレス導入ユニットである。
本発明の請求項3の発明は、コンクリートにプレストレスを導入するプレストレス導入方法であり、請求項1または請求項2に記載のプレストレス導入ユニットを用い、コンクリートを打設する前に、定着部材間に複数の反力鞘管が配置されたPC鋼棒を緊張すると共に、緊張保持解除部材を反力鞘管の間にその隙間をPC鋼棒軸方向に拡大するように位置させて反力鞘管と共に緊張反力を受けることによりPC鋼棒の緊張状態を保持し、このPC鋼棒に引張力が導入されている状態のプレストレス導入ユニットを型枠内に設置し、緊張保持解除部材の部分に外部に開口する空間が形成されるように箱抜きした型枠内にコンクリートを打設し、コンクリートの硬化後に、緊張保持解除部材を反力鞘管の間の隙間がPC鋼棒軸方向に縮小するように移動させてPC鋼棒の緊張状態を解除し、コンクリートにプレストレスを導入することを特徴とするプレストレス導入方法である。
本発明は、従来のPC鋼棒ユニットと同様に、工場等においてPC鋼棒に所望のプレストレスを精度よく導入できると共に、プレキャスト部材では正確な位置に埋設することができ、現場等ではナット等を緩めるだけでコンクリートに所望のプレストレスを容易に確実に導入することができ、プレテンション方式とポストテンション方式の両方の利点を併せ持つものであるが、従来のPC鋼棒ユニットとは逆に、内側の芯となるPC鋼棒を引張材とし、外側の反力鞘管を圧縮材とし、さらにPC鋼棒の中間部でプレストレス導入操作を行えるようにしたものである。
緊張保持解除部材には、一方の反力鞘管の端部に螺着され、他方の反力鞘管の端面を押圧可能な押圧ナット(特殊ナット)を用いるのが好ましく、工場等において芯棒としてのPC鋼棒に反力台と油圧ジャッキ等を用いて緊張力を付与し、一方の反力鞘管に螺着された押圧ナットを回転させて他方の反力鞘管に向って前進させ、これら反力鞘管を相互に遠ざかる方向に離隔させ、一体的に結合した反力鞘管と押圧ナットとで緊張反力としての圧縮力を受け、PC鋼棒の緊張力を保持する。ユニットをコンクリートに埋設し、コンクリートが硬化した後、現場等において押圧ナットを緩めることにより圧縮力が解放され、反力鞘管はシース等によりコンクリートとの付着が防止されているため相互に接近する方向に移動し、引張力が導入されているPC鋼棒によりコンクリートにプレストレスが導入される。
この緊張保持解除部材は、上記の押圧ナットに限らず、反力鞘管を相互に離隔移動させた後、他方の反力鞘管の端部にもねじ込まれる長ナットでもよい。また、左右ねじが形成されているカップラーで反力鞘管の端部同士を連結しておき、正逆回転で反力鞘管を相互に接近・離隔移動させてもよい。さらに、楔部材を反力鞘管の間に出し入れする方式や、その他の緊張保持解除方式でもよい。
以上のような本発明では、PC鋼棒の定着部材間の中間位置に配置した押圧ナット等の緊張保持解除部材によって緊張と緊張解除を行う構成であるため、PC鋼棒等が飛び出す危険性が全く無く、工場等におけるPC鋼棒へのプレストレスの導入、現場等におけるコンクリートへのプレストレス導入を安全に容易に確実に行うことができる。また、このPC鋼棒ユニット単体あるいはこれが埋設されたプレキャスト部材の運搬時やストック時などにおいても鉄筋やRC部材と同様に安全に容易に取り扱うことができる。
さらに、現場等において緊張端に触れることなくユニットの中間部で緊張操作を行うことができるため、シールドトンネルのセグメント、カルバートの躯体、2層式トンネルの中間床版等のように、コンクリート部材の端部で緊張作業を行うことができず、内空側からしか緊張作業ができない場合でも、プレストレスを容易に確実に導入することができ、またPC鋼棒の定着部材をコンクリート部材の両端部に配置することができ、コンクリート部材の全長にわたってプレストレスを導入することができる。さらに、コンクリート部材の中間部にはプレストレス導入のための操作を行う切欠き部が必要になるが、この切欠き部は比較的小さなものでよく、また押圧ナット等の緊張保持解除部材の位置はPC鋼棒の定着部材間の任意の位置に自由に設定することができ、切欠き部をトンネル等の軸方向に平面内で万遍なく分散させることができ、構造的な弱点を作らないようにすることができる。なお、本発明は、プレキャスト部材に限らず、その他のコンクリート部材にも適用できる。
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果が得られる。
(1) 工場等においてPC鋼棒に所望のプレストレスを精度よく導入できると共に、プレキャスト部材では正確な位置に埋設することができ、現場等ではナット等を緩めるだけでコンクリートに所望のプレストレスを容易に確実に導入することができるプレストレス導入ユニットにおいて、PC鋼棒等が飛び出す危険性が全く無く、工場等におけるPC鋼棒へのプレストレスの導入、現場等におけるコンクリートへのプレストレス導入を安全に容易に確実に行うことができる。
(2) PC鋼棒ユニット単体あるいはこれが埋設されたプレキャスト部材の運搬時やストック時などにおいても鉄筋やRC部材と同様に安全に容易に取り扱うことができる。
(3) 現場等において緊張端に触れることなくユニットの中間部で緊張操作を行うことができるため、コンクリート部材の端部で緊張作業を行うことができず、内空側からしか緊張作業ができない場合でも、プレストレスを容易に確実に導入することができ、トンネルやカルバート等の必要箇所にプレストレスを容易に確実に導入することができる。
(4) PC鋼棒の定着部材をコンクリート部材の両端部に配置することができ、コンクリート部材の全長にわたってプレストレスを導入することができる。
(5) プレストレス導入のための操作を行う切欠き部は比較的小さなものとすることができ、また緊張保持解除部材の位置はPC鋼棒の定着部材間の任意の位置に自由に設定することができ、切欠き部をトンネル等の軸方向に平面内で万遍なく分散させることができ、構造的な弱点を作らないようにすることができる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。図1は本発明のプレストレス導入ユニットの一例を示す部品図と組立図である。図2は本発明のプレストレス導入方法を工程順に示す鉛直断面図である。図3は本発明が適用されるプレキャスト部材の例を示す概略断面図である。
図1の実施形態において、本発明のプレストレス導入ユニット1は、緊張力が付与される中実のPC鋼棒2と、このPC鋼棒2の両端部にそれぞれ固定される定着板(定着部材)3、4と、この定着板3、4間のPC鋼棒2にPC鋼棒2を覆うように設けられる反力鞘管5およびねじ付き反力鞘管6と、ねじ付き反力鞘管6の先端の雄ねじ部6aに螺着され、反力鞘管5と6の間に配置される特殊ナット(緊張保持解除部材)7とから構成され、内部のPC鋼棒2に引張力が導入されると、外側の反力鞘管5、6および特殊ナット7に引張反力として圧縮力が作用する二重構造である。また、反力鞘管5、6の外周はシースまたは被覆材(樹脂等)8で被覆し、コンクリートの付着を防止する。
定着板3、4は、プレストレスの導入に際し、コンクリートに支圧力を与える支圧部材であり、ねじ等でPC鋼棒2に固定する。また、一方の定着板を取り外すなどして反力鞘管3、4をPC鋼棒2に取り付けることになる。PC鋼棒2の両端部は定着板3、4から突出させてもよいし、突出させなくてもよい。突出させない場合には、コンクリート部材の全長にわたってプレストレスを導入できる。
反力鞘管5、6は、PC鋼棒2と同じ材質あるいは強度の筒状PC鋼棒が好ましく、また内部に挿入されるPC鋼棒2の外面との間に若干の隙間が形成されるような内径とする。また、反力鞘管5、6の合計長さは、定着板3、4間の寸法より小さくし、反力鞘管5と6との間に隙間が形成されるようにする。
特殊ナット7は、図1(d) に示すように、雌ねじが形成された本体部7aの先端に内側に突出する押圧フランジ部7bが一体的に設けられた六角ナットであり、雌ねじ本体部7aが一方の反力鞘管6の先端雄ねじ部6aに螺着され、押圧フランジ部7bが他方の反力鞘管5の端面に当接して押圧できるようにされている。
従って、一方の反力鞘管6に螺着された特殊ナット7を他方の反力鞘管5に向って前進する方向に回転させていけば、反力鞘管5と6との間の隙間を拡大し、反力鞘管5、6を相互に離れる方向に移動させることができ、最終的に一体的に結合した反力鞘管5、6と特殊ナット7とによりPC鋼棒2の緊張状態を保持することができる。この状態から特殊ナット7を他方の反力鞘管5から後退する方向に逆回転させていけば、反力鞘管5と6との間の隙間を縮小し、反力鞘管5、6を相互に接近する方向に移動させることができ、PC鋼棒2の緊張状態を解除することができる。
なお、このような緊張保持解除部材は、上記の押圧式の特殊ナット7に限らず、連結方式の長ナット、両側に右ねじ・左ねじがそれぞれ形成されたカプラー、あるいは楔方式の隙間拡縮部材などでもよい。長ナットの場合は、両方の反力鞘管5、6の端部に雄ねじを形成しておき、隙間を拡大した後、一方の反力鞘管6に取り付けた長ナットを他方の反力鞘管5にねじ込めばよい。カプラーの場合には、両方の反力鞘管の端部に螺着しておき、正逆回転させることにより隙間を拡縮することができる。楔方式の場合も楔部材を隙間に出し入れすることにより隙間を拡縮することができる。
以上のような構成のプレストレス導入ユニット1を用いて、次に示すような手順でコンクリートにプレストレスを導入する(図2参照) 。
(1) 先ず、PC鋼棒2の定着板3、4間に反力鞘管5・ねじ付き反力鞘管6・特殊ナット7を配置し、プレストレス導入ユニット1を組み立てる。このプレストレス導入ユニット1を一対の反力台10、10にセットする。
(2) PC鋼棒2の一端に油圧ジャッキを接続し、緊張する。
(3) PC鋼棒2の伸びに合わせて、ねじ付き反力鞘管6に螺着されている特殊ナット7をレンチ等で回転させて油圧ジャッキ側に向って前進させ、反力鞘管5とねじ付き反力鞘管6とを相互に離隔する方向に移動させ、これら鞘管5、6の管端をそれぞれ定着板3、4の内面に押し当てる。緊張は持続したまま行う。
(4) このプレストレス導入ユニット1を反力台10から取り外すことによって、PC鋼棒2の緊張反力を反力台10から一体化した反力鞘管5・ねじ付き反力鞘管6・特殊ナット7に受け替える。
(5) PC鋼棒2に引張力が導入され、反力鞘管5・ねじ付き反力鞘管6・特殊ナット7に圧縮力が導入されたプレストレス導入ユニット1を型枠11内にセットする。特殊ナット7の付近は、外部に開口する切欠き部12が形成されるように箱抜きし、コンクリートを打設する。
(6) コンクリート硬化後、特殊ナット7を緩める方向にレンチ等で回転させ反力鞘管5から遠ざかる方向に後退させることにより、反力鞘管5・ねじ付き反力鞘管6の緊張反力が解放され、PC鋼棒2の引張力によりコンクリートにプレストレスが導入される。ここで、反力鞘管5・ねじ付き反力鞘管6の外周はコンクリートとの付着が防止されているため、所望のプレストレスが導入されることになる。
なお、特殊ナット7の部分を長ナットとし、反力鞘管5にこれに合致するねじ切りを設けた場合、反力解放後に再び長ナット7と反力鞘管5とを結合することにより、連結一体化した反力鞘管5・反力鞘管6・長ナット7を鉄筋として用いることもできる。また、必要に応じて反力鞘管5、6内にはグラウト材を充填する。切欠き部12は後詰めモルタル等で埋められる。
また、プレキャスト部材の場合には、工場や製作ヤード等において、プレストレス導入ユニット1の組立・PC鋼棒2の緊張・コンクリートへの埋設を行い、コンクリート硬化後、プレストレス導入ユニット1が内蔵されたプレキャスト部材を現場へ運搬し、プレキャスト部材を組み付けた後、コンクリートにプレストレスを導入する。また、これに限らず、工場や製作ヤード等において、プレストレス導入ユニット1の組立・PC鋼棒2の緊張を行い、プレストレス導入ユニット1を現場に運搬し、現場の型枠内にセットしてコンクリートを打設し、コンクリート硬化後、コンクリートにプレストレスを導入することもできる。
以上のようなプレストレス導入ユニットおよびプレストレス導入方法は、工場等においてPC鋼棒に所望のプレストレスを精度よく導入できると共に、プレキャスト部材では正確な位置に埋設することができ、現場等ではナット等を緩めるだけでコンクリートに所望のプレストレスを容易に確実に導入することができ、プレテンション方式とポストテンション方式の両方の利点を併せ持つものであり、種々の用途のコンクリート部材に適用することができるが、トンネルやカルバート等を構成するプレキャスト部材のように内空側からしか緊張作業ができない構造に極めて有効に適用される。
図3はトンネルの一例であり、図3(a) では非円形シールドトンネルの曲げモーメント卓越箇所におけるセグメントピース20に本発明を適用する。図3(b) では2層トンネルの中間床版部21に本発明を適用する。従来のPC鋼棒ユニットの場合、大きな切欠き部がトンネル軸方向に連続的に点在することにより構造体に悪影響を与える、端部の切欠き部分にはプレストレスが導入されず、プレキャスト部材の全体にわたってプレストレスを導入することができないなどの問題があるが、本発明では、中間部の切欠き部の位置を自由に設定することができ、切欠き部の位置をトンネル軸方向に平面内で分散させることができ、構造体に与える悪影響を解消することができる。また、プレキャスト部材の全体にわたってプレストレスを導入することも可能となる。
1……プレストレス導入ユニット
2……PC鋼棒
3……定着板(定着部材)
4……定着板(定着部材)
5……反力鞘管
6……ねじ付き反力鞘管
6a…雄ねじ部
7……特殊ナット(緊張保持解除部材)
7a…雌ねじ本体部
7b…押圧フランジ部
8……シースまたは被覆材
10……反力台
11……型枠
12……切欠き部
20……非円形シールドトンネルのセグメントピース
21……2層トンネルの中間床版部
2……PC鋼棒
3……定着板(定着部材)
4……定着板(定着部材)
5……反力鞘管
6……ねじ付き反力鞘管
6a…雄ねじ部
7……特殊ナット(緊張保持解除部材)
7a…雌ねじ本体部
7b…押圧フランジ部
8……シースまたは被覆材
10……反力台
11……型枠
12……切欠き部
20……非円形シールドトンネルのセグメントピース
21……2層トンネルの中間床版部
Claims (3)
- 予め緊張力が付与された状態でコンクリートに埋設され、コンクリート硬化後に緊張力を解放してコンクリートにプレストレスを導入するプレストレス導入ユニットであり、
緊張力が付与されるPC鋼棒と、このPC鋼棒の両端部にそれぞれ設けられる定着部材と、この定着部材間のPC鋼棒にPC鋼棒を覆うように設けられるPC鋼棒軸方向に複数の反力鞘管と、この反力鞘管の間にその隙間をPC鋼棒軸方向に拡大するように位置して反力鞘管と共に緊張反力を受けることによりPC鋼棒の緊張状態を保持し、かつ、前記隙間をPC鋼棒軸方向に縮小するように移動することによりPC鋼棒の緊張状態を解除する緊張保持解除部材とを備えていることを特徴とするプレストレス導入ユニット。 - 請求項1に記載のプレストレス導入ユニットにおいて、反力鞘管の外周にコンクリートとの付着を防止する付着防止部材が設けられていることを特徴とするプレストレス導入ユニット。
- コンクリートにプレストレスを導入するプレストレス導入方法であり、
請求項1または請求項2に記載のプレストレス導入ユニットを用い、コンクリートを打設する前に、定着部材間に複数の反力鞘管が配置されたPC鋼棒を緊張すると共に、緊張保持解除部材を反力鞘管の間にその隙間をPC鋼棒軸方向に拡大するように位置させて反力鞘管と共に緊張反力を受けることによりPC鋼棒の緊張状態を保持し、このPC鋼棒に引張力が導入されている状態のプレストレス導入ユニットを型枠内に設置し、緊張保持解除部材の部分に外部に開口する空間が形成されるように箱抜きした型枠内にコンクリートを打設し、コンクリートの硬化後に、緊張保持解除部材を反力鞘管の間の隙間がPC鋼棒軸方向に縮小するように移動させてPC鋼棒の緊張状態を解除し、コンクリートにプレストレスを導入することを特徴とするプレストレス導入方法。
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