JP2005247999A - 光拡散性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂100重量部に、屈折率が1.505〜1.575で重量平均粒子径が0.5〜30μmのアクリル−スチレン系共重合体微粒子0.1〜5.0重量部を含有してなる光拡散性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
また、該ポリカーボネートに光拡散性を付与するためには、ガラス、シリカ、水酸化アルミニウム等の無機化合物の添加が提案されているが、成形加工時や押出加工時の熱安定性が低く、衝撃強度など機械的強度の低下が大きいという欠点があった。
このような欠点を改良した光拡散性ポリカーボネート樹脂として、例えば特許文献1には、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、該ポリカーボネート樹脂との屈折率差が0.08より大きく、かつ少なくとも部分的に架橋しており、その重量平均粒径が0.5〜100μmの範囲にあるポリメチルメタアクリレート微粒子0.05〜20重量部を分散添加せしめた光拡散性ポリカーボネート樹脂が開示されているが、その実施例に記載の如く、全光線透過率は80%未満と低く、実用性に劣るものであった。
特許文献3には、光線透過率や光拡散性の優れた樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、炭酸カルシウム(B)0.1〜5重量部、酸化チタン(C)0.01〜0.3重量部およびポリオルガノ水素シロキサン(D)0.0001〜2重量部からなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が開示されているが、熱安定性や耐衝撃性の点で満足できるものではなく、更に、全光線透過率も不十分なものであった。
特許文献4には、ポリカーボネート樹脂99.7〜80重量%、および平均粒径1〜30μmの透明微粒子0.3〜20重量%の合計100重量部と、蛍光増白剤0.0005〜0.1重量部からなる樹脂組成物より形成された、厚み0.5〜3.0mmのポリカーボネート樹脂製直下型バックライト用光拡散板が開示されているが、蛍光増白剤を用いて輝度を向上させているため、熱安定性が不十分であり、成形加工時、押出時の変色、リサイクル時の変色を生じやすく、実用性の低いものであった。
また、特許文献1〜4の成形品や樹脂組成物からなる成形品は、光源として、光束が低く指向性の高いLEDを用いた場合の記載が無く、しかも、仮にこれらの成形品をそのような用途に用いた場合でも、LEDのぎらつきをなくすことは困難であり、そのため、視認性の優れた表示は不可能であった。
すなわち、本発明の要旨は、ポリカーボネート樹脂100重量部に、屈折率が1.505〜1.575で、重量平均粒子径が0.5〜30μmのアクリル−スチレン系共重合体微粒子0.1〜5.0重量部を含有してなる光拡散性樹脂組成物である。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物と、ホスゲンとの界面重合法により得られるか、または芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとのエステル交換反応により作られる、分岐していてもよい芳香族ポリカーボネート重合体である。
また、本発明で使用するポリカーボネート樹脂は2種以上の混合物であってもよい。
また、該アクリル−スチレン系共重合体微粒子の屈折率は、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとの共重合比を99:1〜1:99の範囲で変化させることによって、1.493〜1.590の範囲で調整できる。ただし、スチレン系モノマーの共重合比が高くなりすぎると、耐光性が低下して黄色味を帯びてしまい、逆にアクリル系モノマーの共重合比が高くなりすぎると、微粒子とポリカーボネートとの屈折率の差が開きすぎて、LED光源のぎらつきが目立ち、視認性が低い。従って、本発明では、アクリル−スチレン系共重合体微粒子の屈折率は1.505〜1.575であり、好ましくは1.510〜1.570であり、さらに好ましくは1.515〜1.565のものを使用する。このような屈折率の微粒子を得るために、アクリル系モノマーとスチレン系モノマーの共重合比を調整する必要がある。調整比率は、使用モノマーにより異なるが、アクリル系モノマーを多く使用すると屈折率は低い方になり、スチレン系モノマーを多く使用すると屈折率が高い方になる。例えば、アクリル系モノマーとしてメチルメタクリレートを使用し、スチレン系モノマーとしてスチレンを使用した場合、屈折率を約1.52に調整する場合はアクリル系モノマーとスチレン系モノマーの比を約7:3、屈折率を約1.56に調整する場合は約3:7であり、通常はこの前後で調整すれば良い。
本発明において使用可能なアクリル−スチレン系共重合体微粒子は、市場より入手可能なものを用いても良い。このような市販品の例としては、例えば、ガンツ化成(株)より、ガンツパール、又はスタフィロイドの商品名で市販されている、GBSシリーズ、あるいはGSMシリーズから、本発明で規定する物性に適合するものが挙げられる。
紫外線吸収剤の例としては、特に限定されないが、中でも環状イミノエステル系の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。該環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)などが挙げられ、これは竹本油脂(株)から、商品名:パイオニンZA−101として市販されている。該紫外線吸収剤の使用量は、樹脂組成物中、0.05〜5重量%の範囲が好ましい。
また、酸化防止剤の例としては、熱可塑性樹脂用として公知のものを目的に応じて選択すれば良いが、リン系、フェノール系などが好ましく、これらを併用しても良い。中でもリン系が好ましく、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(例えば、旭電化工業(株)製品、商品名:アデカスタブ2112として市販されている)等が好ましい。該酸化防止剤の使用量は樹脂組成物中、0.05〜5重量%の範囲が好ましい。
また、蛍光増白剤の例としては、熱可塑性樹脂用として公知のものを使用可能であるが、中でも高分子量のものが好ましく、例えば、スチルベンベンゾオキサゾール系、フェニルアリルトリアゾリルクマリン系の蛍光増白剤が挙げられる。該蛍光増白剤の使用量は、樹脂組成物中0.005〜0.1重量%の範囲が好ましい。なお、白色度を高めるために酸化チタン等の白色顔料を添加してもよい。また、特開2002−3710号公報に記載されているように、耐候性改善のため、350〜400nmに極大吸収波長を有しない、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の紫外線吸収剤を、上記環状イミノエステル系の紫外線吸収剤とは別に使用しても良い。
実際に使用される場合の成形品の厚みは、所望の性能を示せる限り、特に限定されないが、実用上は0.5〜5mmであることが好ましい。成形品の厚みは薄すぎても、光拡散性が十分でなかったり、光源が透けて見えてしまうことがあるので好ましくなく、また厚すぎても、全光線透過率が低下したり、成形品が重すぎてしまって、利用しにくくなることがあるので好ましくない。
本発明の光拡散性部材としては、光拡散性の成形器材、例えばLED(発光ダイオード素子)を用いた各種表示器具用のカバーやレンズ、例えばLED信号灯器のレンズ又はレンズカバー、OA機器やテレビ等のディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シート、導光板、照明装置や照明器具のカバー、照明看板、透過型のスクリーンなどが挙げられる。本発明においては、特に、光源として、光束が低く、指向性の高いLEDを用いた照明器具や表示器具のカバーやレンズとして用いると、効果的である。
1)全光線透過率及びヘイズ:厚さ3mmの試験片をJIS K7105に準拠して、日本電色製NDH−2000を使用して測定した。
2)視認性:2×300×600mmシート状成形品の裏側から10cm離して0.6カンデラのLEDを10個置き、シート状成形品の表面側より30cm離れたところからのLEDのぎらつき具合、明るさを目視観察した。ぎらつきが僅かにあるものを×、殆どないものを△、全くないものを○とした。
3)試験片の成形条件:120℃で4時間予備乾燥したペレットを名機製作所製150M3型射出成形機で、シリンダー温度280℃、成形サイクル50秒、金型温度80℃で成形した。
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製のポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロン(登録商標)S−3000F)100重量部に、紫外線吸収剤として竹本油脂(株)製、商品名:パイオニンZA−101を0.2重量部、熱安定剤として旭電化工業(株)製、商品名:アデカスタブ2112を0.05重量部、光拡散剤として表1に示したアクリル−スチレン系共重合体微粒子A(ガンツ化成(株)製、商品名:ガンツパールGSM−1261)、B(ガンツ化成(株)製、商品名:ガンツパールGSM−1841)又はC(ガンツ化成(株)製、商品名:ガンツパールGSM−0561)(以下、「共重合微粒子A、B、又はC」と略記することがある)を表1に示した比率で配合し、スクリュー径40mm、シリンダー設定温度260℃の単軸押出機でペレットを作製し、前記条件で試験片を成形し、評価を行い、その結果を表1に示した。表1から、本発明のレンズは全光線透過率とヘイズが共に高く、LEDのぎらつきがなく、視認性に優れていることが明らかになった。
光拡散剤として、表2に示した架橋アクリル樹脂微粒子D(ガンツ化成(株)製、商品名:ガンツパールGM−0630H)又はE(ガンツ化成(株)製、商品名:ガンツパールGM−0105)(以下、「重合体微粒子D又はE」と略記することがある)を用い、配合率を表2に示した通りとした以外は実施例1〜5と同一条件で試験を行い、評価結果を表2に示した。
Claims (10)
- ポリカーボネート樹脂100重量部に、屈折率が1.505〜1.575で重量平均粒子径が0.5〜30μmのアクリル−スチレン系共重合体微粒子0.1〜5.0重量部を含有してなる光拡散性樹脂組成物。
- 架橋アクリル−スチレン系共重合体微粒子である請求項1に記載の光拡散性樹脂組成物。
- 紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、蛍光増白剤の少なくとも1種を含有してなる請求項1又は2に記載の光拡散性樹脂組成物。
- 環状イミノエステル系紫外線吸収剤を含有してなる請求項1、2又は3に記載の光拡散性樹脂組成物。
- リン系酸化防止剤を含有してなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光拡散性樹脂組成物を用いた光拡散性部材。
- 照明装置に用いる請求項6に記載の光拡散性部材。
- 表示器具に用いる請求項6に記載の光拡散性部材。
- 光源としてLED(発光ダイオード)を用いる照明器具又は表示器具に用いる請求項6ないし8のいずれか1項に記載の光拡散性部材。
- LED信号灯器のレンズ又はカバーである請求項6、8、又は9に記載の光拡散性部材。
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