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JP2005013150A - 滋養強壮ビール飲料及び発泡酒飲料 - Google Patents

滋養強壮ビール飲料及び発泡酒飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】古くから健康酒と言われているビールについて、その健康増進に役立つ側面が強調されたようなビール飲料及び発泡酒飲料を提供する。
【解決手段】ビール成分の中の健康効果の指標となる成分を、従来のビールには見られない程に高濃度に含むビール飲料及び発泡酒飲料(滋養強壮ビール飲料及び滋養強壮発泡酒飲料)とした。このような本発明に係るビール飲料もしくは発泡酒飲料を毎日適量、食事時や寝酒に摂ることにより、体調を整え、肉体的、精神的疲労を回復し、健康増進に役立てることができる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビールの健康成分に注目して開発された、新しいタイプの滋養強壮目的のビール(滋養強壮ビール)に関する。
【0002】
【従来の技術】
古くから世界中で愛飲されているビールには、健康酒と言われるような側面があり、特にスタウトなどの比較的濃いビールはカゼのときに飲むと疲労元気回復が早いと言われ、体の調子を整える目的でも飲まれている。一般のビールにおいても、健康増進に役立つということを提唱する者も居り、例えば、下記の特許文献1などでは、嗜好用として優れ、抽出成分を豊富に含有する新規の健康食品ビール様飲料とその製造方法が提唱されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−137556号公報
【0004】
特許文献1には、嗜好用として優れ、抽出成分を豊富に含有する新規の健康食品ビール様飲料の製造方法を提唱するものとして、「ビールを麦芽発酵醸造するに際して、麦芽粉砕後の沸騰釜,仕込釜或は仕込槽による糖化の段階、麦汁濾過機による麦汁精製の段階、及び発酵槽による主発酵の段階と後発酵の段階の少なくともその一つの段階において、健康食品の抽出液を添加して製造することを特徴とする健康食品ビール様飲料。」及び「健康食品の抽出液を、一般ビールの製造における糖化の段階、麦汁精製の段階、及び主発酵の段階と後発酵の段階の少なくともその一つの段階において、毎回或はその一部の段階で添加し、発酵の過程において添加した健康食品の抽出液を一緒に発酵させることを特徴とする健康食品ビール様飲料の製造方法。」が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ビールというものが健康増進という側面においても有用なものであるにもかかわらず、ビールに対するイメージは、日本酒に対する「酒は百薬の長」的なものが比較的少なく、痛風の原因になるものや、いわゆるとかいわゆる「ビール腹」を形成するなどものとかいう負のイメージを持っている人もいる。ビールが健康を増進する側面を持っているという認識はまだ足りない。特許文献1にて開示されている「健康食品ビール様飲料」も、現在のビールに対するこの負のイメージを払拭するものではない。
【0006】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、古くから健康酒と言われているビールについて、その健康増進に役立つ側面が強調されたようなビール飲料を提供することにある。なおここで言うビール飲料には、ビール風の発泡酒も含むものとする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明においては、ビール成分の中の健康効果の指標となる成分を、従来のビールには見られない程に高濃度に含むビール(滋養強壮ビール)とした。このような本発明に係るビールを毎日適量、食事時や寝酒に摂ることにより、体調を整えることができ、肉体的、精神的疲労を回復し、健康増進に役立てることができる。
【0008】
ビールのよく知られている効果は、気分を良くする効果、止渇効果、血行促進効果、食欲増進効果、利尿効果、消化促進効果、安眠効果があるが、近年の研究では、抗がん効果、血管障害予防効果が知られている。また、栄養素としては、ビタミンB群が多く、アルコールのカロリーを除くと低カロリーで比較的タンパク質が多い。飲むパンと呼ばれているように栄養豊富である。
【0009】
しかしながら、これらの健康効果の指標となる成分を、従来のビールにはない程に高濃度に含ませるという発想はなく、本発明以前には、ビール中に含まれている各健康成分を指標として、これらの成分を意図的に多く含ませ、滋養強壮の目的に特化した商品(ビール)は存在しなかった。
【0010】
また、毎日適量を食事時に摂ったり、あるいは寝酒として摂ることにより、体調を整え、肉体的・精神的疲労を回復し、健康増進に役立てることを目的としたときには、従来にないタイプのビールをつくる技術が必要となってくる。
【0011】
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0012】
(1) ビール中の健康効果の指標となる成分、もしくはビール独自の有効成分を、通常のビールの2.0倍以上含むビール飲料または発泡酒飲料。
【0013】
本発明は、要するに、ビール中の健康効果の指標となる成分、もしくはビール独自の有効成分を、通常のビールには見られない程に高濃度に含むビール飲料または発泡酒飲料を提供する。
【0014】
(2) 麦芽使用量が通常のビールの2倍以上であり、アルコール含量が通常のビールの1.5倍以内であるビール飲料または発泡酒飲料。
【0015】
(3) カリウム、マグネシウム、ビタミンB、ビタミンB、葉酸、ペプチド、ギャバ、キサントフモール、イソキサントフモール及び8プレニルナリンゲニンを通常のビールの2倍以上含み、アルコールが8%以下であるビール飲料または発泡酒飲料。
【0016】
(4) ギャバを150ppm以上含みかつ以下の条件の1以上を満たすビール飲料または発泡酒飲料。
カリウム:600ppm以上、
マグネシウム:140ppm以上、
ビタミンB:0.076ppm以上、
ビタミンB:0.8ppm以上、
葉酸:150ppb以上、
ペプチド:2000ppm以上、
キサントフモール、イソキサントフモール及び8プレニルナリンゲニンの合計量:3.0ppm以上。
【0017】
(5) 更に、以下の条件の全てを満たす(4)記載のビール飲料または発泡酒飲料。
ビタミンB:0.662ppm以上、
ナイアシン:11.3ppm以上、
パントテン酸:1.42ppm以上、
ビチオン:0.006ppm以上、
総ポリフェノール量:320ppm以上。
【0018】
本発明は、要するに、ビール中の健康効果の指標となる成分、ビール独自の有効成分、もしくは麦汁の成分であるキサントフモール、ポリフェノール、ギャバ、エストローゲン、タンパク、ペプチド、及びアミノ酸、カリウム、マグネシウム、ビタミンB群等を、通常のビールには見られない程に高濃度に含むビール飲料または発泡酒飲料を提供する。従って、「2倍以上」というのは一つの指標であり、好ましくは2.5倍以上、より好ましくは3倍程度もしくはそれ以上である。
【0019】
(6) オレイン酸が0.05ppm以下である(4)または(5)記載のビール飲料または発泡酒飲料。
【0020】
これは、代表的な脂肪酸である麦芽由来のオレイン酸を、通常の麦芽100%ビールに比べ半分程度の0.05ppm以下にするということであり、このようにすることにより、通常のビールよりも1.5倍泡持ちの良いビールとすることができる。
【0021】
(7) 小容量125ml〜250mlの栄養ドリンクタイプの滋養強壮ビールである(1)から(6)いずれか記載のビール飲料または発泡酒飲料。
【0022】
このようにすることにより、アルコールに弱い人でも、気軽に飲用することができ、健康のための寝酒等として使用することが可能になる。
【0023】
(8) ビール飲料または発泡酒飲料製造の際に麦汁の発酵度を低くすることにより、製造されるビール飲料または発泡酒飲料の滋養強壮効果を高める方法。
【0024】
ビール製造の際に麦汁の発酵度を低くすると、ビール酵母によって消費されるアミノ酸やペプチドの量が少なくなり、ビール飲料中に残存するアミノ酸やペプチドの量が多くなるので、製造されるビールの滋養強壮効果が高まることになる。
【0025】
(9) ビール飲料または発泡酒飲料製造の際に麦汁の発酵度を調整することにより、製造されるビール飲料または発泡酒飲料の滋養強壮飲料としての側面を調整する方法。
【0026】
上記の(8)に関連して、ビール製造の際に麦汁の発酵度を低くすると、ビール酵母によって消費されるアミノ酸やペプチドの量が少なくなり、ビール飲料中に残存するアミノ酸やペプチドの量が多くなって、製造されるビールの滋養強壮効果が高まることになるが、逆に、ビール製造の際に麦汁の発酵度を高くすると、ビール酵母によって消費されるアミノ酸やペプチドの量が多くなり、ビール飲料中に残存するアミノ酸やペプチドの量が少なくなって、製造されるビールの滋養強壮効果が低下することになる。従って、ビール製造の際に麦汁の発酵度を調整することにより、製造されるビール飲料の滋養強壮作用の調整(もしくは滋養強壮飲料としての側面の調整)がなされることになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
ビールには、気分を良くする効果、止渇効果、血行促進効果、食欲増進効果、利尿効果、消化促進効果、安眠効果等があるが、近年の研究では、抗がん効果、血管障害予防効果も知られている。
【0028】
[抗がん物質]
ビールには、抗がん物質であるホップ由来のキサントフモール、イソキサントフモール及び8プレニルナリンゲニンが含まれている。イソキサントフモールの抗がん有効量は30mgと言われている。ビール中の量は少ないが、他の一般食品には無い成分なので、日常的に摂り続ける意義がある。本発明に係る滋養強壮ビールでは、必要に応じて、イソキサントフモールなどを高濃度に含んだホップ抽出物が添加される。
【0029】
また、ビール中にはその他に、抗がん作用があると言われている成分として、ポリフェノールやベータグルカンがある。イソキサントフモールを添加した場合には、これらの成分との相乗効果が期待できる。
【0030】
[ポリフェノール]
ポリフェノールは、茶やワインにおいて実証されているように、抗酸化作用が強く、成人病予防に有効であると言われている。ビール中の総ポリフェノール量は通常160mg程度(1Lあたり)含まれている。これは主として麦芽の穀皮とホップに由来している。また、麦芽を焙燥することにより、血液をさらさらにすると言われるピラジンも生じる。実際、ビールは血液の流れをよくすることが知られている。ビール中のピラジン量は通常30μg程度(1Lあたり)含まれている。
【0031】
このようにポリフェノール量やピラジンを通常のビールの2倍程度にすることは、これらの効果を高めるものとして意義がある。
【0032】
[栄養素]
ビール中に含まれる栄養素としては、ビタミンB群が多い。また、ビールは低カロリーであり、タンパク質が比較的多く含まれている。
【0033】
<ビタミン類>
ビタミンについては、ビール中の含量が測定されている。ビール1L中の平均含有量(mg)は、B:0.038mg、B:0.331mg、B:0.4mg、ナイアシン:5.65mg、パントテン酸:0.71mg、ビチオン:0.003mgなどである。これらは、それぞれ、1日の所要量の約1/3量である。通常のサプリメントのビタミンは合成物なので、これらのビタミンを2倍含むビールは、天然のビタミンの供給源としても意義がある。
【0034】
<ミネラル>
ミネラルについては、ビール1L中の平均含有量(mg)は、K:300mg、Na:500mg以下、Ca:600mg、Mg:280mgである。
【0035】
ビールはKやMgの含量が高く、とくに不足しがちで現代人のイライラの原因の一つと言われるMgの供給に有効である。また、摂りすぎによる高血圧症の弊害が指摘されているNaが少なく、Kが多いので利尿効果がある。これら麦芽由来のバランスの良いミネラルを高めることは有益である。
【0036】
因みに、代表的なミネラルウォーターであるエビアン1L中には、K:0.7mg、Na:5mg、Ca:78mg、Mg:23mgが含まれているが、KやMgの補給源としては、ビールの方が明らかに効果的である。
【0037】
<タンパク質類>
ビール中の全タンパク質関連物質(タンパク質、ペプチド、アミノ酸)は、1L当たり3000mg程度である。そのうち、ペプチドは1L当たり1000mg程度であり、アミノ酸は1L当たり700mg程度である。タンパク質は栄養素として重要であり、1日に60g程度必要とされているが、ビールからその一部を補うこともできる。
【0038】
しかし、それよりも最近は、ペプチドの機能性に注目されている。ペプチドには、様々なタイプがあり、脂肪燃焼ペプチドや血圧降下ペプチド、アルコール代謝促進ペプチドなど、種々の機能性が認められている。また、アミノ酸については、疲労回復などの機能性があることも注目されている。ビール中には、ペプチド(それは、麦芽製造工程や麦汁製造工程で生じる)が他の食品に比べ多く、当該ペプチドについての様々な機能性が期待されている。
【0039】
これに関し、ビールの泡とペプチド、タンパクとの間には密接な関係があり、泡がきめ細かく、泡持ちも良いビールは、ペプチドやタンパクの豊富なビールであり、視覚的にその豊かさが確認できる。
【0040】
[含有量]
ビタミンB群、ミネラル、ポリフェノール、アミノ酸、ペプチド、タンパク質を高濃度に含有させるために、麦芽100%とし、その使用量も極力多くする。原麦汁エキスは、通常のビールの1.1〜1.8倍の12.5〜20%が望ましい。
【0041】
ギャバ(ガンマアミノ酪酸)の含量は、通常のビールの2倍程度である15mg/100mlまで高める。そのために、仕込み工程において、ギャバ生成を促進すべく、タンパク分解工程を長くとる、同時にペプチドやアミノ酸含量も高める。抗がん物質であるキサントフモール、イソキサントフモール、8プレニルナリンゲニンはこれらの含量の多いホップ原料を選択することにより、通常のビールの2倍以上とする。ホップ中のキサントフモールは麦汁製造の煮沸工程で、多くはイソキサントフモールに変化する。キサントフモール、イソキサントフモール、8プレニルナリンゲニン含量の多いホップ原料を選択することにより、ビール中のキサントフモール、イソキサントフモール及び8プレニルナリンゲニンの合計含量を3mg/Lまで高める。
【0042】
泡がきめ細かく、泡持ちも良いビールは、見かけの良さだけでなく、ボディー感があり、コクもある。そこで、泡持ちを阻害する脂肪酸のビール中含量を少なくすることが大切である。そのために、麦汁ろ過において、一番麦汁のみを、搾り取るような圧力をかけずに、自然ろ過で回収する。このようにすることにより、代表的な脂肪酸である麦芽由来のオレイン酸を、通常の麦芽100%ビールに比べ半分程度の0.05ppm以下にすることができ、望ましい。このようにして、通常のビールよりも2倍泡持ちの良いビールとすることができる。
【0043】
アルコール濃度は通常のビールの1.5倍以下の8%以下とし、2〜8%とする。
【0044】
[製法]
原麦汁エキスが高いので、十分発酵させ、良い香りを出すため、「掛け発酵」といわれる何回にも分けてエキス分を追加していく発酵を行うことが望ましい。この場合、モルトエキスを原料として使用する方法でもよい。また、原麦汁エキスを17%程度にし、アルコール濃度を6%程度にすると、真性エキスは8%程度と残エキス分が多くなり、甘味が出過ぎる場合には、麦汁製造工程の糖化を抑制し、オリゴ糖を多く残すように工夫することが必要である。
【0045】
健康飲料であるビールの健康効果を増強するためには、健康成分そのものの解明ないしは特定が必要である。そして同時に、それらの成分の強化方法を考案しなければならない。また、従来のビールのように酔う程まで大量に飲まなくても、少量の摂取で健康効果が期待でき、アルコール摂取量も少なくて済むような工夫が必要である。これについては、充填される容器を、例えば175ml程度の小ビンとし、一回に飲用される量を物理的に制限することによって達成することができる。
【0046】
[ビールの機能性と成分の関係]
ビールの機能性とそれをもたらす成分との関係を列挙すると次のようになる。
【0047】
ビールの機能性は、止渇効果(水分、炭酸ガス)、リラックス効果(アルコール)、食欲増進効果(フムロン、クロロゲン酸)、消化促進効果(アルコール、炭酸)、利尿効果(カリウム、クェルシトリン)、安眠作用(アルコール、ルプロン)便秘防止効果(ビタミン、オリゴ糖による腸内細菌活発化)などである。最近の研究では、更に抗がん効果(キサントフモール、ポリフェノール)、ストレス解消気分爽快効果(ギャバ)、血圧降下効果(低アルコール、ギャバ)、血液さらさら効果(ヘスペリジン、ルチン)動脈硬化予防効果(ヘスペリジン、ルチン)肝機能改善効果、美容効果(フィトエストロゲン)、アレルギー防止効果(カフェー酸)があることが分かってきた。これらの健康機能を増強し、栄養たっぷりで、味も濃くておいしいのが、本発明に係る滋養強壮ビールである。
【0048】
そこで、以下の健康成分を通常のビールの約2倍含むようにした。
抗がん作用や抗酸化作用ある、キサントフモールやポリフェノール。
気分爽快効果、高血圧抑制効果のある、ギャバ。
旨みや泡に寄与するだけでなく、血圧降下、コレステロール低下にも効果が期待できる、タンパク、ペプチド、アミノ酸。
利尿効果のある、カリウム。
現代人のイライラの原因の一つと言われるマグネシウム不足を補う、豊富なマグネシウム。
体の調子を整える、天然のビタミンB群。
【0049】
具体的にそれぞれの機能成分の量を規定すると次のようになる。
【0050】
【表1】
Figure 2005013150
【0051】
このような健康成分を2倍以上含むビールをつくるためには、麦芽100%のビールであり、かつ、麦芽の使用量を通常のビールの2倍以上とするのが第一の条件である。なお、ここでいう「通常のビール」とは、麦芽使用量が70%程度のものをいう。麦芽100%ビールに対しては、1.4倍程度の麦芽増量が必要である。麦芽の使用量が重要な理由は、ビールの副原料であるコーンスターチやコーングリッツや米には、これらの健康成分はほとんど含まれていないからである。
【0052】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0053】
[原料]
本発明に係る滋養強壮ビールの製造においては、原料10L当たり麦芽2.5kg、ホップ17g、キサントフモールを高濃度に含有したホップエキス30mg、酵母(泥状)100gを用いた。
【0054】
比較例として、通常の麦芽100%ビールの製造においては、原料10L当たり麦芽1.7kg、ホップ12.7g、酵母(泥状)100gを用いた。
【0055】
[仕込み条件]
本発明に係る滋養強壮ビールの製造においては、仕込み釜に粉砕した麦芽と湯を入れ、麦芽中の酵素により蛋白分解工程(45℃、2時間)を経た後、でんぷん分解工程(65℃、20分)を行った。その後、さらに76℃まで昇温して酵素を失活させた後、濾過した。濾過液を煮沸釜に移して、ホップ及びキサントフモールを高濃度に含有したホップエキスを添加して90分煮沸し、麦汁を作成した。
【0056】
比較例の通常の麦芽100%ビールの製造においては、仕込み釜に粉砕した麦芽と湯を入れ、麦芽中の酵素により蛋白分解工程(45℃、1時間)を経た後、でんぷん分解工程(65℃、1時間)を行った。その後、さらに76℃まで昇温して酵素を失活させた後、濾過した。濾過液を煮沸釜に移して、ホップを添加して90分煮沸し、麦汁を作成した。
【0057】
本発明に係る滋養強壮ビールは、ギャバ含量とペプチド含量を高めるため、蛋白分解工程の時間は通常のビールの2倍である。また、でんぷん分解を抑え、酵母による発酵度を下げ、アルコールの生成を少なくするため、でんぷん分解工程の時間は通常のビールの3分の1に短くしている。
【0058】
[発酵条件]
発酵条件は、本発明に係る滋養強壮ビールも比較例の通常の麦芽100%ビールと同一とし、作成した麦汁を冷却後、酵母を加え、12℃で1週間、前発酵させた後、0℃まで冷却して3週間、後発酵させた。その後、酵母を除去して瓶詰めした。
【0059】
[成分分析]
本発明に係る滋養強壮ビールと比較例の通常の麦芽100%ビールとのビール一般分析値を比較すると表2のようであった。なお、「%」は全て「重量%」であり、苦味は苦味価(BU)により測定した。ギャバ、イソキサントフモールを除く、ビール一般分析項目については、BOJCビール分析法(ビール酒造組合国際技術委員会編)に従って測定を行った。
【0060】
具体的には、アルコール及び真性エキスはSCABA法、苦味価はイソオクタン抽出−吸光度測定法により行った。原麦汁エキスは真性エキス値Eとアルコール値Aから数式1により算出した。
【0061】
【数1】
原麦汁エキスG=(2.0665×A+E)÷(100+1.0665×A)
【0062】
真性最終発酵度は、ビールに酵母を加えて、発酵可能エキスを全て発酵させた後、外観エキスAEを測定し、数式2により算出した。
【0063】
【数2】
真性最終発酵度=(G−AE)÷G×100×0.81
【0064】
アミノ態窒素はニンヒドリン比色法、トータル窒素はケルダール法、ギャバはアミノ酸分析法、イソキサントフモールはHPLC法により測定を行った。
【0065】
【表2】
Figure 2005013150
【0066】
本発明に係る滋養強壮ビールにおいては、健康成分は標準的なビールの2倍以上含まれているが、アルコール濃度は1.4倍程度の約7%なので、チューハイ程度の濃さである。また、通常のビールを飲む量である350mlの半分の175ml程度を飲むことにより、アルコールに弱い人でもそれほど酔わず、寝酒に丁度よい量で、重要な健康成分が補給できることになる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、ビールならではの健康成分を通常のビールの2倍以上含む滋養強壮ビールを開発したことにより、ビールの健康効果をより高めることが可能となった。さらに、通常のビールの半分量を飲むだけで健康効果が期待できるので、アルコールにそれほど強くない人も、ビールによる健康効果を享受できるようになる。
【0068】
より具体的には、ビール中の健康成分としては、麦芽由来の天然のビタミンB群が多いので、脚気の予防や、体の調子を整えるのに役立つ。また、ホップ由来のキサントフモールは抗がん作用があることが知られており、がんの危険を減らすことが期待でき、麦芽、ホップ由来のポリフェノール、ベータグルカンも抗がん作用があるといわれている。
【0069】
また、麦芽由来で仕込み工程で増やすことが可能なギャバ(ガンマアミノ酪酸)は高血圧改善効果、精神安定作用などが知られており、ストレスを解消し精神的健康維持に寄与することが期待できる。
【0070】
更にまた、ナトリウムが少なく、カリウム含量が高いので、利尿効果がある。
【0071】
加えて、アミノ酸やペプチド、蛋白質を多く含むため、栄養成分としての意義がある。特に、ペプチドは含有量が多く、小麦やトウモロコシのペプチドで報告されているように、血圧降下やアルコール代謝促進などの機能性効果も期待することができる。
【0072】
なお、本発明に係る滋養強壮ビールにおいては、全てが自然な成分からなっているので、毎日安心して摂ることができ、総じて快眠、快食に役立つ。これら有効成分が通常のビールより多く含まれるように設計されているので、コップ一杯程度の少量をとることにより、アルコールにそれ程強くない人もビールの効能を享受できる利点がある。

Claims (9)

  1. ビール中の健康効果の指標となる成分、もしくはビール独自の有効成分を、通常のビールの2.0倍以上含むビール飲料または発泡酒飲料。
  2. 麦芽使用量が通常のビールの2倍以上であり、アルコール含量が通常のビールの1.5倍以内であるビール飲料または発泡酒飲料。
  3. カリウム、マグネシウム、ビタミンB、ビタミンB、葉酸、ペプチド、ギャバ、キサントフモール、イソキサントフモール及び8プレニルナリンゲニンを通常のビールの2倍以上含み、アルコールが8%以下であるビール飲料または発泡酒飲料。
  4. ギャバを150ppm以上含みかつ以下の条件の1以上を満たすビール飲料または発泡酒飲料。
    カリウム:600ppm以上、
    マグネシウム:140ppm以上、
    ビタミンB:0.076ppm以上、
    ビタミンB:0.8ppm以上、
    葉酸:150ppb以上、
    ペプチド:2000ppm以上、
    キサントフモール、イソキサントフモール及び8プレニルナリンゲニンの合計量:3.0ppm以上。
  5. 更に、以下の条件の全てを満たす請求項4記載のビール飲料または発泡酒飲料。
    ビタミンB:0.662ppm以上、
    ナイアシン:11.3ppm以上、
    パントテン酸:1.42ppm以上、
    ビチオン:0.006ppm以上、
    総ポリフェノール量:320ppm以上。
  6. オレイン酸が0.05ppm以下である請求項4または5記載のビール飲料または発泡酒飲料。
  7. 小容量125ml〜250mlの栄養ドリンクタイプの滋養強壮ビールである請求項1から6いずれか記載のビール飲料または発泡酒飲料。
  8. ビール飲料または発泡酒飲料製造の際に麦汁の発酵度を低くすることにより、製造されるビール飲料または発泡酒飲料の滋養強壮効果を高める方法。
  9. ビール飲料または発泡酒飲料製造の際に麦汁の発酵度を調整することにより、製造されるビール飲料または発泡酒飲料の滋養強壮飲料としての側面を調整する方法。
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