JP2004338223A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】記録ヘッドのメンテナンス時に記録ヘッドの吐出面に残存したインクを確実に除去する。
【解決手段】本発明に係るインクジェットプリンタのホームポジションには、光硬化型のインクを所定の吐出面から吐出する記録ヘッドのメンテナンスをおこなうメンテナンス機構30が配設されている。メンテナンス機構30は、洗浄液41を染み込ませた払拭体45で記録ヘッドの吐出面を拭く第1ワイピング装置40と、乾燥したシート材51で記録ヘッドの吐出面を拭く第2ワイピング装置50とを有している。そして記録ヘッドのメンテナンス時には、先に第1ワイピング装置40の払拭体45で記録ヘッドの吐出面を拭き、その後に第2ワイピング装置50のシート材51で記録ヘッドの吐出面を拭くようになっている。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明に係るインクジェットプリンタのホームポジションには、光硬化型のインクを所定の吐出面から吐出する記録ヘッドのメンテナンスをおこなうメンテナンス機構30が配設されている。メンテナンス機構30は、洗浄液41を染み込ませた払拭体45で記録ヘッドの吐出面を拭く第1ワイピング装置40と、乾燥したシート材51で記録ヘッドの吐出面を拭く第2ワイピング装置50とを有している。そして記録ヘッドのメンテナンス時には、先に第1ワイピング装置40の払拭体45で記録ヘッドの吐出面を拭き、その後に第2ワイピング装置50のシート材51で記録ヘッドの吐出面を拭くようになっている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタに係り、特に記録ヘッドのメンテナンスをおこなうメンテナンス機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラビア印刷方式より簡便・安価に画像を作成することができるという理由から、近年ではインクジェット記録方式が写真・各種印刷・マーキング・カラーフィルターといった特殊印刷などの様々な印刷分野に応用されてきている。特にインクジェット記録方式では、微細なドットを吐出・制御するインクジェット記録方式のインクジェットプリンタと、色再現域・耐久性・吐出適性などを改善したインクと、インク吸収性・色材発色性・表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙と、を組み合わせることで銀塩写真にも匹敵する画質を得ることができるようになっている。
【0003】
ところで、従来のインクジェットプリンタはインクの種類で分類することができる。すなわち従来のインクジェットプリンタには、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式、紫外線の被照射により硬化する光硬化型インクを用いる光硬化型インクジェット方式などがある。中でも光硬化型インクジェット方式は他の記録方式に比べて比較的低臭気であり、専用紙以外にも速乾性・インク吸収性のない記録媒体にも記録できる点で注目されている。
【0004】
このような光硬化型インクジェット方式のインクジェットプリンタでは、インクを微小な液滴として記録媒体に吐出する記録ヘッドの他にも紫外線を放射する紫外線光源がキャリッジに搭載されており、記録媒体上で紫外線光源を点灯させたままキャリッジを移動させ、記録媒体に着弾した直後のインクに紫外線を照射して当該インクを即座に硬化させている(例えば特許文献1参照)。そして画像の記録動作が一時休止又は終了すると、キャリッジが記録媒体の搬送経路から外れた所定位置(ホームポジション)に移動して記録ヘッドのメンテナンス処理がおこなわれる。メンテナンス処理では、記録ヘッドからインクが空吐出されたり記録ヘッドからインクが吸引されたりするほかに、記録ヘッドのインクの吐出面(インクの吐出口が形成された面)に残存したインクを完全に拭き取るため、乾燥した払拭体で記録ヘッドのインクの吐出面が拭かれる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−132767号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表面に凹凸のある記録媒体を用いる場合やプラテンの平面性が充分に保たれていない場合、記録ヘッドのインクの吐出面と記録媒体との距離が大きい場合などには、記録媒体の表面で反射した紫外線が記録ヘッドの吐出面に入射しやすくなる。したがって画像の記録動作が長時間にわたりおこなわれると、記録ヘッドの吐出面でインクの粘度が次第に増大してしまい、メンテナンス処理において乾燥した払拭体で記録ヘッドのインクの吐出面を拭くだけの操作では、記録ヘッドの吐出面に残存したインクを完全に除去するのが難しくなる。
【0007】
本発明の課題は、記録ヘッドのメンテナンス時に記録ヘッドの吐出面に残存したインクを確実に除去することができるインクジェットプリンタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明のインクジェットプリンタは、
光の被照射により硬化するインクを所定の吐出面から吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのメンテナンスをおこなうメンテナンス機構と、
を備え、
前記メンテナンス機構が、洗浄液を染み込ませた払拭体で前記記録ヘッドの吐出面を拭く第1ワイピング装置と、乾燥した払拭体で前記記録ヘッドの吐出面を拭く第2ワイピング装置と、を有しており、
前記メンテナンス機構による前記記録ヘッドのメンテナンス時には、先に前記第1ワイピング装置の払拭体で前記記録ヘッドの吐出面が拭かれ、その後に前記第2ワイピング装置の払拭体で前記記録ヘッドの吐出面が拭かれることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明では、記録ヘッドのメンテナンス時に先に第1ワイピング装置の払拭体で記録ヘッドの吐出面が拭かれ、その後に第2ワイピング装置の払拭体で記録ヘッドの吐出面が拭かれるため、まず始めに払拭体に染み込んだ洗浄液で記録ヘッドの吐出面に残存したインクを溶かし出しながらそのインクを払拭体で拭き取ることができ、その後に洗浄液で溶かし出したインクを洗浄液ごと乾燥した払拭体で拭き取ることができる。このような構成から請求項1に記載の発明では、記録ヘッドのメンテナンス時に記録ヘッドの吐出面に残存したインクを確実に除去することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1ワイピング装置の払拭体は回転可能なローラに装着されており、前記記録ヘッドのメンテナンス時には前記洗浄液に浸された状態で前記ローラの回転に追従しながら回転することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明では、記録ヘッドのメンテナンス時に第1ワイピング装置の払拭体が洗浄液に浸された状態で回転するため、記録ヘッドのメンテナンス時においては第1ワイピング装置の払拭体を乾燥させることなく常に洗浄液の染み込んだ状態に維持することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1ワイピング装置の払拭体は多孔材料から構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明では、第1ワイピング装置の払拭体が多孔材料から構成されているため、第1ワイピング装置では払拭体のほぼすべての部分にわたって洗浄液を容易に染み込ませることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第2ワイピング装置の払拭体は、0.1デニール以下の繊度を有する繊維から構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明では、第2ワイピング装置の払拭体が、0.1デニール以下の繊度を有する極細の繊維から構成されているため、第1ワイピング装置の洗浄液で溶かし出されたインクを洗浄液ごと払拭体で確実に吸収することができ、記録ヘッドの吐出面の拭き残しを防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、一主成分としてカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明では、インクがカチオン重合系の光硬化型インクであるため比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
図1はインクジェットプリンタ1の斜視図である。
【0019】
図1に示す通り、インクジェットプリンタ1は記録媒体に対して画像の記録動作をおこなう部分として画像記録部2を有しており、画像記録部2には記録媒体に画像を記録するための各種記録系部材が配設されている。画像記録部2は一部、左右側面が多角形状を有しかつ左右方向に延在する長尺な筐体3で覆われている。筐体3の前側には正面視して四角形状の開口部3aが形成されており、画像記録部2での記録動作を開口部3aから視認することができるようになっている。一方、筐体3の後側には記録媒体を筐体3の内部に送り込むためのスリット状の搬入口(図示略)が形成されている。
【0020】
画像記録部2には、左右方向に延在する長尺状でかつ平板状のプラテン4が配設されている。プラテン4は、記録媒体を非記録面(記録面の反対側の面)からシート状に支持するものである。
【0021】
図1では記録媒体を省略しているけれども、記録媒体は、筐体3の後側の搬入口から送り込まれ、筐体3の内部に配設された搬送機構(図示略)によりプラテン4で非記録面を支持されながら筐体3の内部を後方から前方へ通過して筐体3の外部に搬出されるようになっている。つまり、記録媒体は搬送機構により筐体3の内部を通過するように搬送方向Aに沿って搬送される。
【0022】
プラテン4の上方には筐体3の内部で左右方向に延在する長尺なガイド部材5が配設されている。ガイド部材5にはキャリッジ6が支持されている。キャリッジ6はガイド部材5によりガイド・支持された状態で左右方向に延びる走査方向Bに沿って走査自在(移動自在)とされている。
【0023】
キャリッジ6には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各プロセスカラーのインクを下方に向けて吐出する4つの記録ヘッド7〜10が一列に並んだ状態で搭載されている。各記録ヘッド7〜10の下面には複数のノズル(図示略)がそれぞれ配列されており、各記録ヘッド7〜10はノズルからインクを微小な液滴として吐出するようになっている。つまり本実施形態では各記録ヘッド7〜10の下面がインクの吐出面となっている。
【0024】
4つの記録ヘッド7〜10からなる記録ヘッド群の左右両側には、紫外線を下方に向けて照射する紫外線照射機構11,12がそれぞれ配設されている。各紫外線照射機構11,12には紫外線を放射する線状の紫外線光源が配設されており、各紫外線光源が点灯することで各紫外線照射機構11,12から紫外線を下方に向けて照射できるようになっている。紫外線光源としては、LED(Light Emitting Diode),紫外線レーザ,キセノンフラッシュランプ,捕虫灯,ブラックライト,殺菌灯,冷陰極管,熱陰極管,低圧水銀ランプ,高圧水銀ランプ,メタルハライドランプ,無電極紫外線ランプなどが適用可能であり、これら以外の光源が適用されてもよい。
【0025】
図1においてプラテン4の左側には、4つの記録ヘッド7〜10に供給するためのインクを貯留する4つのインクタンク23〜26が配設されている。各インクタンク23〜26は、フレキシブルチューブなどの供給部材(図示略)を介してY,M,C,Kの色毎にその色を吐出する記録ヘッド7〜10にそれぞれ連結されており、各記録ヘッド7〜10で吐出する色に応じたインクがその色を貯留するインクタンク23〜26から各記録ヘッド7〜10にそれぞれ供給されるようになっている。
【0026】
図1においてプラテン4の右側の位置(筐体3で覆われた図1中右側の位置)は、キャリッジ6が移動・休止可能な「ホームポジション」となっている。ホームポジションには各記録ヘッド7〜10のメンテナンスをおこなうメンテナンス機構30が配設されている。
【0027】
図2は上記メンテナンス機構30の斜視図であり、図3は上記メンテナンス機構30の断面図である。
【0028】
図2及び図3に示す通り、メンテナンス機構30は、各記録ヘッド7〜10のメンテナンスをおこなうための各種装置を搭載した上下方向に昇降自在なベース部材31を有している。ベース部材31の上部には、洗浄液41を用いて各記録ヘッド7〜10の下面を拭く湿式の第1ワイピング装置40と、乾燥したシート材51で記録ヘッド7〜10の下面のインクを拭く乾式の第2ワイピング装置50と、各記録ヘッド7〜10の下面からインクを吸引する吸引装置60とが配設されている。第1ワイピング装置40、第2ワイピング装置50及び吸引装置60はこの順にプラテン4から離れた位置に配置されている。
【0029】
第1ワイピング装置40は、洗浄液41を貯留する容器42とワイピングローラ43を有している。ワイピングローラ43は、所定長さを有するローラ44の外周部に円筒状の払拭体45を装着した構造を有しており、ローラ44の端部が容器42の側壁に回転自在に取り付けられている。ローラ44にはモータなどの駆動源が連結されており、ローラ44は図3において反時計回り方向に回転するようになっている。
【0030】
払拭体45はスポンジ状の柔軟な多孔材料から構成されており、例えば複数の気泡を連続的に形成したプラスチックポリマーなどから構成されている。「多孔材料」というのは、固体部と空隙が細かく混ざり合っている不均一系材料のことである。このような構成を有することから払拭体45は液体の吸収性に優れ、払拭体45が洗浄液41などの液体に接触すると払拭体45のほぼすべての部分にその液体が染みわたるようになっている。
【0031】
容器42には所定量の洗浄液41が貯留されている。容器42に貯留された洗浄液41には払拭体45の下側が浸っており、払拭体45のほぼすべての部分に洗浄液41が染みわたっている。また容器42には、純粋な洗浄液41を供給する供給機構(図示略)と汚濁した洗浄液41を排水する排水機構(図示略)とが接続されている。本実施形態では洗浄液41の使用状況に応じて上記供給機構及び排水機構とが作動して基準以上の純度の洗浄液41が容器42に所定量だけ貯留されるようになっている。これにより払拭体45の下側が常に洗浄液41に浸るようになっており、払拭体45のほぼすべての部分に洗浄液41が常に染みわたった状態を維持することができるようになっている。
【0032】
なお、洗浄液41としては純水や表面活性剤などを添加した純水などが適用可能であるが、洗浄液41として、各記録ヘッド7〜10から吐出されるインクと性質が類似した液体を適用するのが好ましく、各記録ヘッド7〜10から吐出されるインクと同じ成分を含む液体を適用するのがさらに好ましい。「インクと性質が類似した液体」というのは、インクと混合しあっても凝集したりすることがなく、インクの粘度や表面張力といった特性を大きく変化させないような液体のことである。本実施形態においては、そのような液体(洗浄液41)としてインクから顔料,染料などの色材と光開始剤を除いた液体が挙げられる。また洗浄液41の長期保存の観点から洗浄液41に防腐剤などを添加してもよい。
【0033】
第2ワイピング装置50は、払拭体としてのシート材51を巻回した元巻きローラ52とシート材51を巻き取る巻き取りローラ53とを有している。元巻きローラ52と巻き取りローラ53との間であって元巻きローラ52及び巻き取りローラ53より高い位置には、シート材51を案内するための2本の従動ローラ54,55が配設されている。
【0034】
図2及び図3では元巻きローラ52に巻回されたシート材51が各従動ローラ54,55を介して巻き取りローラ53に導かれている。巻き取りローラ53にはモータなどの駆動源が連結されており、巻き取りローラ53は図3において反時計回り方向に回転可能となっている。巻き取りローラ53が回転するとシート材51が元巻きローラ52から繰り出され、繰り出されたシート材51が各従動ローラ54,55を通過して巻き取りローラ53に巻き取られるようになっている。
【0035】
シート材51はポリエステルやアクリル、ナイロンなどの繊維から構成された織物、編物、メリヤス、不織布などであり、0.1デニール以下の繊度を有している。そのためシート材51は液体に対する吸収性に優れており、本実施形態ではインクや洗浄液41を迅速かつ効率的に吸収することができるようになっている。
【0036】
各従動ローラ54,55間には、各従動ローラ54,55間に掛けられたシート材51の下面を上方に押圧する押圧部材56が配設されている。押圧部材56は樹脂などの弾性体から構成されており、シート材51の下面を上方に押圧した状態で左右方向に移動自在となっている。
【0037】
吸引装置60は4つのキャップ部材61〜64を有している。各キャップ部材61〜64は記録ヘッド7〜10の下面を充分に覆える程度の大きさを有しており、各キャップ部材61〜64にはチューブ(図示略)を介してポンプ(図示略)が連結されている。吸引装置60ではポンプが作動することでチューブを介してキャップ部材61〜64に吸引力を伝達することができるようになっている。また各キャップ部材61〜64に連結されたチューブは、各キャップ部材61〜64から吸引したインクを廃棄用のインクとして貯留する廃インクタンク(図示略)に導かれている。
【0038】
なお、上記第1ワイピング装置40、第2ワイピング装置50及び吸引装置60の各装置において、ワイピングローラ43の上面と、各従動ローラ54,55間に掛けられたシート材51の上面と、各キャップ部材61〜64の上面とがほぼ同じ高さ位置になるように各部材が配置されている。
【0039】
図1に示す通り、インクジェットプリンタ1では画像記録部2の下部が逆T字状の2本の脚70,70により支持されている。各脚70間には画像記録部2に配設された各種部材やインクタンク23〜26、メンテナンス機構30などの自重を強固に支持するための2本の補強部材71,71が架け渡されており、各脚70の下部にはキャスタ72が2個ずつ配設されている。このような構成によりインクジェットプリンタ1は前後方向又は左右方向に移動自在となっている。
【0040】
次に、本実施形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施形態に用いられるインクは、紫外線の被照射により硬化する性質を具備する光硬化型インクであって、オキセタン化合物,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物などの重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)、光開始剤及び色材を主成分とするインクである。
【0041】
光硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。
【0042】
次に、本実施形態に用いられる「記録媒体」について説明する。
本実施形態に用いられる記録媒体としては、インクに対して非吸収性の記録媒体であってもよいし、インクに対して吸収性の記録媒体であってもよい。ここでいう「非吸収性」とは、インク組成物を吸収しないという意味であるけれども、本実施形態においては、ブリストウ法におけるインクの転移量が0.1ml/mm2未満である場合に実質的に0ml/mm2であるような記録媒体を非吸収性の記録媒体といい、それ以外の記録媒体を吸収性の記録媒体という。
【0043】
非吸収性の記録媒体としては、例えば、通常の非コート紙、コート紙などの他、軟包装に用いられる各種樹脂製フィルムを適用することができる。樹脂製フィルムの具体的な樹脂の種類として、ポリエチレンテレフタレート,ポリエステル,ポリオレフィン,ポリアミド,ポリエステルアミド,ポリエーテル,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリ−ρ−フェニレンスルフィド,ポリエーテルエステル,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリル酸エステル,ポリエチレン,ポリプロピレン,ナイロンなどが適用可能であり、さらにはこれら樹脂の共重合体、これら樹脂の混合物、これら樹脂を架橋したものなども適用可能である。そしてこれら非吸収性の記録媒体としては、表面エネルギーが35〜60mN/mの範囲に収まるものが好ましく、表面エネルギーが40〜60mN/mの範囲に収まるものがさらに好ましい。また吸収性の記録媒体としては、例えば、普通紙(コピー用紙),上質紙などが挙げられる。
【0044】
続いてインクジェットプリンタ1の動作を説明する。
インクジェットプリンタ1の記録動作中において、筐体3の内部に配設された搬送機構が作動して、筐体3の搬入口から筐体3の内部に送り込まれた記録媒体が、筐体3の内部でプラテン4により非記録面を支持されながら搬送方向Aに沿って搬送される。これに伴いキャリッジ6が作動して記録媒体の直上を走査方向Bに沿って往復移動し、4つの記録ヘッド7〜10と2つの紫外線照射機構11,12とがキャリッジ6の往復移動に追従する。
【0045】
この状態において各記録ヘッド7〜10が記録媒体の記録面に向かってインクを吐出するとともに、各紫外線照射機構11,12の紫外線光源が点灯して各紫外線照射機構11,12から記録媒体の記録面に紫外線を照射する。すると各記録ヘッド7〜10から吐出されたインクが、記録媒体の記録面に着弾してその直後に紫外線を照射される。これによりインクが即座に硬化して記録媒体の記録面上に定着する。
【0046】
以降、インクジェットプリンタ1が上記の各動作を繰り返し、各プロセスカラーの無数のドットからなる所望の画像が記録媒体の記録面に順次記録される。
【0047】
インクジェットプリンタ1では上記のような記録動作がおこなわれる以外に、所定数の画像が記録される毎にキャリッジ6がホームポジションに移動して、メンテナンス機構30による4つの記録ヘッド7〜10のメンテナンスがおこなわれる。
【0048】
各記録ヘッド7〜10のメンテナンスの前段階ではメンテナンス機構30のベース部材31が「初期位置」で待機しており、ワイピングローラ43の上面、各従動ローラ54,55間に掛けられたシート材51の上面及び各キャップ部材61〜64の上面の高さ位置が各記録ヘッド7〜10の下面よりやや低い位置に配置されている。
【0049】
そうしてキャリッジ6がホームポジションに移動する直前でメンテナンス機構30のベース部材31が「初期位置」から「メンテナンス位置」に上昇する。するとワイピングローラ43の上面、各従動ローラ54,55間に掛けられたシート材51の上面及び各キャップ部材61〜64の上面の高さ位置が各記録ヘッド7〜10の下面とほぼ同じ高さ位置に配置される。
【0050】
ここで、各記録ヘッド7〜10のメンテナンスには以下の2通りのパターンがあり、各記録ヘッド7〜10の使用状況に応じてどちらかのパターンのメンテナンスが選択的におこなわれる。
【0051】
[パターン1]
ベース部材31が「メンテナンス位置」に配置された状態において、ローラ44が図3において反時計回りに回転するとともにキャリッジ6が第1ワイピング装置40の直上に移動し、各記録ヘッド7〜10の下面が回転した状態のワイピングローラ43の払拭体45の上面(外周面)に接触しながら移動する。これにより洗浄液41が染みわたった払拭体45で各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが拭き取られる。
【0052】
その後、キャリッジ6が第1ワイピング装置40の直上を通過して第2ワイピング装置50の直上に移動すると、巻き取りローラ53が回転してシート材51がキャリッジ6の移動方向(左方から右方に向かう方向)に沿って搬送される。この状態で押圧部材56がシート材51を各記録ヘッド7〜10の下面に押圧しながらキャリッジ6の移動方向と反対の方向(右方から左方に向かう方向)に移動する。これにより各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが洗浄液41ごとシート材51に吸収され、シート材51で各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが洗浄液41ごと拭き取られる。
【0053】
このような第1ワイピング装置40及び第2ワイピング装置50による各記録ヘッド7〜10のメンテナンス処理が終了すると、ベース部材31が「メンテナンス位置」から「初期位置」に下降する。するとキャリッジ6がホームポジションからプラテン4に向かって右方から左方へと移動し、各記録ヘッド7〜10のメンテナンスがおこなわれる前の画像の記録動作が再開される。
【0054】
[パターン2]
ベース部材31が「メンテナンス位置」に配置された状態において、ローラ44が図3において反時計回りに回転するとともにキャリッジ6が第1ワイピング装置40の直上に移動し、各記録ヘッド7〜10の下面が回転した状態のワイピングローラ43の払拭体45の上面(外周面)に接触しながら移動する。これにより洗浄液41が染みわたった払拭体45で各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが拭き取られる。
【0055】
その後、キャリッジ6が第1ワイピング装置40の直上を通過して第2ワイピング装置50の直上に移動すると、巻き取りローラ53が回転してシート材51がキャリッジ6の移動方向(左方から右方に向かう方向)に沿って搬送される。この状態で押圧部材56がシート材51を各記録ヘッド7〜10の下面に押圧しながらキャリッジ6の移動方向と反対の方向(右方から左方に向かう方向)に移動する。これにより各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが洗浄液41ごとシート材51に吸収され、シート材51で各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが洗浄液41ごと拭き取られる。
【0056】
その後、キャリッジ6が第2ワイピング装置50の直上を通過して吸引装置60の直上に移動すると、各記録ヘッド7〜10の下面が4つのキャップ部材61〜64によりそれぞれ覆われ、キャリッジ6がこの位置で停止する。この状態でポンプが作動して各記録ヘッド7〜10のノズルからインクを吸引するとともに、各記録ヘッド7〜10が4つのキャップ部材61〜64に向けてインクの空吐出をおこなう。吸引又は空吐出されたインクは廃棄用のインクとしてチューブを流動しながら廃インクタンクに回収される。
【0057】
その後、再度、キャリッジ6が吸引装置60の直上から第2ワイピング装置50の直上に移動する。すると、上記と同様に、巻き取りローラ53が回転してシート材51がキャリッジ6の移動方向と反対の方向(左方から右方に向かう方向)に沿って搬送される。この状態で押圧部材56がシート材51を各記録ヘッド7〜10の下面に押圧しながらキャリッジ6の移動方向と反対の方向(左方から右方に向かう方向)に移動する。これにより、吸引装置60の処理で吸引又は空吐出されて各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクがシート材51に吸収され、シート材51で各記録ヘッド7〜10の下面に付着したインクが拭き取られる。
【0058】
このような第1ワイピング装置40、第2ワイピング装置50及び吸引装置60による各記録ヘッド7〜10のメンテナンス処理が終了すると、ベース部材31が「メンテナンス位置」から「初期位置」に下降する。するとキャリッジ6がホームポジションからプラテン4に向かって右方から左方へと移動し、各記録ヘッド7〜10のメンテナンスがおこなわれる前の画像の記録動作が再開される。
【0059】
以上のようなインクジェットプリンタ1では、メンテナンス機構30による各記録ヘッド7〜10のメンテナンス時において、まず始めに第1ワイピング装置40のワイピングローラ43の払拭体45で各記録ヘッド7〜10の下面が拭かれるため、払拭体45に染みわたった洗浄液41で各記録ヘッド7〜10の下面に残存したインクを溶かし出しながらそのインクを拭き取ることができる。
【0060】
この場合、払拭体45が洗浄液41に浸された状態でワイピングローラ43が回転するため、払拭体45を乾燥させることなく常に洗浄液41の染み込んだ状態に維持することができ、各記録ヘッド7〜10の下面に残存したインクを確実に溶かし出すことができる。
【0061】
そうして第1ワイピング装置40での拭き取り作業の後に、第2ワイピング装置50のシート材51で各記録ヘッド7〜10の下面が拭かれるため、洗浄液41で溶かし出されたインクを洗浄液41ごとシート材51で拭き取ることができる。このような構成からインクジェットプリンタ1では、各記録ヘッド7〜10のメンテナンス時に各記録ヘッド7〜10の下面に残存したインクを確実に除去することができる。
【0062】
また特に第2ワイピング装置50では、払拭体として繊度0.1デニール以下の極細繊維から構成されたシート材51が適用されているため、洗浄液41で溶かし出されたインクを洗浄液41ごと確実にシート材51で吸収することができ、各記録ヘッド7〜10の下面の拭き残しを防止することができる。
【0063】
ところで、本実施形態に用いられるインク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)は上記の通り紫外線の被照射により硬化するものであるが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光の被照射により硬化するものであってもよい。本明細書でいう「光」とは、広義の光であって、紫外線,電子線,X線,可視光線,赤外線などの電磁波を含むものである。つまり、本実施形態に用いられるインクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを本実施形態に用いられるインクとして用いる場合は、その光を照射する光源を各紫外線照射機構11,12に配設しなければならない。
【0064】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、始めに払拭体に染み込んだ洗浄液で記録ヘッドの吐出面に残存したインクを溶かし出しながらそのインクを払拭体で拭き取ることができ、その後に洗浄液で溶かし出したインクを洗浄液ごと乾燥した払拭体で拭き取ることができるようになっている。このような構成から、記録ヘッドのメンテナンス時に記録ヘッドの吐出面に残存したインクを確実に除去することができる。
【0065】
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドのメンテナンス時においては第1ワイピング装置の払拭体を常に乾燥させることなく洗浄液が染み込んだ状態に維持することができる。
【0066】
請求項3に記載の発明によれば、第1ワイピング装置では払拭体のほぼすべての部分にわたって洗浄液を容易に染み込ませることができる。
【0067】
請求項4に記載の発明によれば、第1ワイピング装置の洗浄液で溶かし出されたインクを洗浄液ごと払拭体で確実に吸収することができ、記録ヘッドの吐出面の拭き残しを防止することができる。
【0068】
請求項5に記載の発明によれば、比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの斜視図である。
【図2】メンテナンス機構の斜視図である。
【図3】メンテナンス機構の断面図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ
2…画像記録部
3…筐体
4…プラテン
5…ガイド部材
6…キャリッジ
7〜10…記録ヘッド
11,12…紫外線照射機構
23〜26…インクタンク
30…メンテナンス機構
31…ベース部材
40…第1ワイピング装置
41…洗浄液
42…容器
43…ワイピングローラ
44…ローラ
45…払拭体
50…第2ワイピング装置
51…シート材(払拭体)
52…元巻きローラ
53…巻き取りローラ
54,55…従動ローラ
56…押圧部材
60…吸引装置
61〜64…キャップ部材
70…脚
71…補強部材
72…キャスタ
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットプリンタに係り、特に記録ヘッドのメンテナンスをおこなうメンテナンス機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グラビア印刷方式より簡便・安価に画像を作成することができるという理由から、近年ではインクジェット記録方式が写真・各種印刷・マーキング・カラーフィルターといった特殊印刷などの様々な印刷分野に応用されてきている。特にインクジェット記録方式では、微細なドットを吐出・制御するインクジェット記録方式のインクジェットプリンタと、色再現域・耐久性・吐出適性などを改善したインクと、インク吸収性・色材発色性・表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙と、を組み合わせることで銀塩写真にも匹敵する画質を得ることができるようになっている。
【0003】
ところで、従来のインクジェットプリンタはインクの種類で分類することができる。すなわち従来のインクジェットプリンタには、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式、紫外線の被照射により硬化する光硬化型インクを用いる光硬化型インクジェット方式などがある。中でも光硬化型インクジェット方式は他の記録方式に比べて比較的低臭気であり、専用紙以外にも速乾性・インク吸収性のない記録媒体にも記録できる点で注目されている。
【0004】
このような光硬化型インクジェット方式のインクジェットプリンタでは、インクを微小な液滴として記録媒体に吐出する記録ヘッドの他にも紫外線を放射する紫外線光源がキャリッジに搭載されており、記録媒体上で紫外線光源を点灯させたままキャリッジを移動させ、記録媒体に着弾した直後のインクに紫外線を照射して当該インクを即座に硬化させている(例えば特許文献1参照)。そして画像の記録動作が一時休止又は終了すると、キャリッジが記録媒体の搬送経路から外れた所定位置(ホームポジション)に移動して記録ヘッドのメンテナンス処理がおこなわれる。メンテナンス処理では、記録ヘッドからインクが空吐出されたり記録ヘッドからインクが吸引されたりするほかに、記録ヘッドのインクの吐出面(インクの吐出口が形成された面)に残存したインクを完全に拭き取るため、乾燥した払拭体で記録ヘッドのインクの吐出面が拭かれる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−132767号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表面に凹凸のある記録媒体を用いる場合やプラテンの平面性が充分に保たれていない場合、記録ヘッドのインクの吐出面と記録媒体との距離が大きい場合などには、記録媒体の表面で反射した紫外線が記録ヘッドの吐出面に入射しやすくなる。したがって画像の記録動作が長時間にわたりおこなわれると、記録ヘッドの吐出面でインクの粘度が次第に増大してしまい、メンテナンス処理において乾燥した払拭体で記録ヘッドのインクの吐出面を拭くだけの操作では、記録ヘッドの吐出面に残存したインクを完全に除去するのが難しくなる。
【0007】
本発明の課題は、記録ヘッドのメンテナンス時に記録ヘッドの吐出面に残存したインクを確実に除去することができるインクジェットプリンタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明のインクジェットプリンタは、
光の被照射により硬化するインクを所定の吐出面から吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのメンテナンスをおこなうメンテナンス機構と、
を備え、
前記メンテナンス機構が、洗浄液を染み込ませた払拭体で前記記録ヘッドの吐出面を拭く第1ワイピング装置と、乾燥した払拭体で前記記録ヘッドの吐出面を拭く第2ワイピング装置と、を有しており、
前記メンテナンス機構による前記記録ヘッドのメンテナンス時には、先に前記第1ワイピング装置の払拭体で前記記録ヘッドの吐出面が拭かれ、その後に前記第2ワイピング装置の払拭体で前記記録ヘッドの吐出面が拭かれることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明では、記録ヘッドのメンテナンス時に先に第1ワイピング装置の払拭体で記録ヘッドの吐出面が拭かれ、その後に第2ワイピング装置の払拭体で記録ヘッドの吐出面が拭かれるため、まず始めに払拭体に染み込んだ洗浄液で記録ヘッドの吐出面に残存したインクを溶かし出しながらそのインクを払拭体で拭き取ることができ、その後に洗浄液で溶かし出したインクを洗浄液ごと乾燥した払拭体で拭き取ることができる。このような構成から請求項1に記載の発明では、記録ヘッドのメンテナンス時に記録ヘッドの吐出面に残存したインクを確実に除去することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1ワイピング装置の払拭体は回転可能なローラに装着されており、前記記録ヘッドのメンテナンス時には前記洗浄液に浸された状態で前記ローラの回転に追従しながら回転することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明では、記録ヘッドのメンテナンス時に第1ワイピング装置の払拭体が洗浄液に浸された状態で回転するため、記録ヘッドのメンテナンス時においては第1ワイピング装置の払拭体を乾燥させることなく常に洗浄液の染み込んだ状態に維持することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1ワイピング装置の払拭体は多孔材料から構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明では、第1ワイピング装置の払拭体が多孔材料から構成されているため、第1ワイピング装置では払拭体のほぼすべての部分にわたって洗浄液を容易に染み込ませることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第2ワイピング装置の払拭体は、0.1デニール以下の繊度を有する繊維から構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明では、第2ワイピング装置の払拭体が、0.1デニール以下の繊度を有する極細の繊維から構成されているため、第1ワイピング装置の洗浄液で溶かし出されたインクを洗浄液ごと払拭体で確実に吸収することができ、記録ヘッドの吐出面の拭き残しを防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、一主成分としてカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明では、インクがカチオン重合系の光硬化型インクであるため比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
図1はインクジェットプリンタ1の斜視図である。
【0019】
図1に示す通り、インクジェットプリンタ1は記録媒体に対して画像の記録動作をおこなう部分として画像記録部2を有しており、画像記録部2には記録媒体に画像を記録するための各種記録系部材が配設されている。画像記録部2は一部、左右側面が多角形状を有しかつ左右方向に延在する長尺な筐体3で覆われている。筐体3の前側には正面視して四角形状の開口部3aが形成されており、画像記録部2での記録動作を開口部3aから視認することができるようになっている。一方、筐体3の後側には記録媒体を筐体3の内部に送り込むためのスリット状の搬入口(図示略)が形成されている。
【0020】
画像記録部2には、左右方向に延在する長尺状でかつ平板状のプラテン4が配設されている。プラテン4は、記録媒体を非記録面(記録面の反対側の面)からシート状に支持するものである。
【0021】
図1では記録媒体を省略しているけれども、記録媒体は、筐体3の後側の搬入口から送り込まれ、筐体3の内部に配設された搬送機構(図示略)によりプラテン4で非記録面を支持されながら筐体3の内部を後方から前方へ通過して筐体3の外部に搬出されるようになっている。つまり、記録媒体は搬送機構により筐体3の内部を通過するように搬送方向Aに沿って搬送される。
【0022】
プラテン4の上方には筐体3の内部で左右方向に延在する長尺なガイド部材5が配設されている。ガイド部材5にはキャリッジ6が支持されている。キャリッジ6はガイド部材5によりガイド・支持された状態で左右方向に延びる走査方向Bに沿って走査自在(移動自在)とされている。
【0023】
キャリッジ6には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各プロセスカラーのインクを下方に向けて吐出する4つの記録ヘッド7〜10が一列に並んだ状態で搭載されている。各記録ヘッド7〜10の下面には複数のノズル(図示略)がそれぞれ配列されており、各記録ヘッド7〜10はノズルからインクを微小な液滴として吐出するようになっている。つまり本実施形態では各記録ヘッド7〜10の下面がインクの吐出面となっている。
【0024】
4つの記録ヘッド7〜10からなる記録ヘッド群の左右両側には、紫外線を下方に向けて照射する紫外線照射機構11,12がそれぞれ配設されている。各紫外線照射機構11,12には紫外線を放射する線状の紫外線光源が配設されており、各紫外線光源が点灯することで各紫外線照射機構11,12から紫外線を下方に向けて照射できるようになっている。紫外線光源としては、LED(Light Emitting Diode),紫外線レーザ,キセノンフラッシュランプ,捕虫灯,ブラックライト,殺菌灯,冷陰極管,熱陰極管,低圧水銀ランプ,高圧水銀ランプ,メタルハライドランプ,無電極紫外線ランプなどが適用可能であり、これら以外の光源が適用されてもよい。
【0025】
図1においてプラテン4の左側には、4つの記録ヘッド7〜10に供給するためのインクを貯留する4つのインクタンク23〜26が配設されている。各インクタンク23〜26は、フレキシブルチューブなどの供給部材(図示略)を介してY,M,C,Kの色毎にその色を吐出する記録ヘッド7〜10にそれぞれ連結されており、各記録ヘッド7〜10で吐出する色に応じたインクがその色を貯留するインクタンク23〜26から各記録ヘッド7〜10にそれぞれ供給されるようになっている。
【0026】
図1においてプラテン4の右側の位置(筐体3で覆われた図1中右側の位置)は、キャリッジ6が移動・休止可能な「ホームポジション」となっている。ホームポジションには各記録ヘッド7〜10のメンテナンスをおこなうメンテナンス機構30が配設されている。
【0027】
図2は上記メンテナンス機構30の斜視図であり、図3は上記メンテナンス機構30の断面図である。
【0028】
図2及び図3に示す通り、メンテナンス機構30は、各記録ヘッド7〜10のメンテナンスをおこなうための各種装置を搭載した上下方向に昇降自在なベース部材31を有している。ベース部材31の上部には、洗浄液41を用いて各記録ヘッド7〜10の下面を拭く湿式の第1ワイピング装置40と、乾燥したシート材51で記録ヘッド7〜10の下面のインクを拭く乾式の第2ワイピング装置50と、各記録ヘッド7〜10の下面からインクを吸引する吸引装置60とが配設されている。第1ワイピング装置40、第2ワイピング装置50及び吸引装置60はこの順にプラテン4から離れた位置に配置されている。
【0029】
第1ワイピング装置40は、洗浄液41を貯留する容器42とワイピングローラ43を有している。ワイピングローラ43は、所定長さを有するローラ44の外周部に円筒状の払拭体45を装着した構造を有しており、ローラ44の端部が容器42の側壁に回転自在に取り付けられている。ローラ44にはモータなどの駆動源が連結されており、ローラ44は図3において反時計回り方向に回転するようになっている。
【0030】
払拭体45はスポンジ状の柔軟な多孔材料から構成されており、例えば複数の気泡を連続的に形成したプラスチックポリマーなどから構成されている。「多孔材料」というのは、固体部と空隙が細かく混ざり合っている不均一系材料のことである。このような構成を有することから払拭体45は液体の吸収性に優れ、払拭体45が洗浄液41などの液体に接触すると払拭体45のほぼすべての部分にその液体が染みわたるようになっている。
【0031】
容器42には所定量の洗浄液41が貯留されている。容器42に貯留された洗浄液41には払拭体45の下側が浸っており、払拭体45のほぼすべての部分に洗浄液41が染みわたっている。また容器42には、純粋な洗浄液41を供給する供給機構(図示略)と汚濁した洗浄液41を排水する排水機構(図示略)とが接続されている。本実施形態では洗浄液41の使用状況に応じて上記供給機構及び排水機構とが作動して基準以上の純度の洗浄液41が容器42に所定量だけ貯留されるようになっている。これにより払拭体45の下側が常に洗浄液41に浸るようになっており、払拭体45のほぼすべての部分に洗浄液41が常に染みわたった状態を維持することができるようになっている。
【0032】
なお、洗浄液41としては純水や表面活性剤などを添加した純水などが適用可能であるが、洗浄液41として、各記録ヘッド7〜10から吐出されるインクと性質が類似した液体を適用するのが好ましく、各記録ヘッド7〜10から吐出されるインクと同じ成分を含む液体を適用するのがさらに好ましい。「インクと性質が類似した液体」というのは、インクと混合しあっても凝集したりすることがなく、インクの粘度や表面張力といった特性を大きく変化させないような液体のことである。本実施形態においては、そのような液体(洗浄液41)としてインクから顔料,染料などの色材と光開始剤を除いた液体が挙げられる。また洗浄液41の長期保存の観点から洗浄液41に防腐剤などを添加してもよい。
【0033】
第2ワイピング装置50は、払拭体としてのシート材51を巻回した元巻きローラ52とシート材51を巻き取る巻き取りローラ53とを有している。元巻きローラ52と巻き取りローラ53との間であって元巻きローラ52及び巻き取りローラ53より高い位置には、シート材51を案内するための2本の従動ローラ54,55が配設されている。
【0034】
図2及び図3では元巻きローラ52に巻回されたシート材51が各従動ローラ54,55を介して巻き取りローラ53に導かれている。巻き取りローラ53にはモータなどの駆動源が連結されており、巻き取りローラ53は図3において反時計回り方向に回転可能となっている。巻き取りローラ53が回転するとシート材51が元巻きローラ52から繰り出され、繰り出されたシート材51が各従動ローラ54,55を通過して巻き取りローラ53に巻き取られるようになっている。
【0035】
シート材51はポリエステルやアクリル、ナイロンなどの繊維から構成された織物、編物、メリヤス、不織布などであり、0.1デニール以下の繊度を有している。そのためシート材51は液体に対する吸収性に優れており、本実施形態ではインクや洗浄液41を迅速かつ効率的に吸収することができるようになっている。
【0036】
各従動ローラ54,55間には、各従動ローラ54,55間に掛けられたシート材51の下面を上方に押圧する押圧部材56が配設されている。押圧部材56は樹脂などの弾性体から構成されており、シート材51の下面を上方に押圧した状態で左右方向に移動自在となっている。
【0037】
吸引装置60は4つのキャップ部材61〜64を有している。各キャップ部材61〜64は記録ヘッド7〜10の下面を充分に覆える程度の大きさを有しており、各キャップ部材61〜64にはチューブ(図示略)を介してポンプ(図示略)が連結されている。吸引装置60ではポンプが作動することでチューブを介してキャップ部材61〜64に吸引力を伝達することができるようになっている。また各キャップ部材61〜64に連結されたチューブは、各キャップ部材61〜64から吸引したインクを廃棄用のインクとして貯留する廃インクタンク(図示略)に導かれている。
【0038】
なお、上記第1ワイピング装置40、第2ワイピング装置50及び吸引装置60の各装置において、ワイピングローラ43の上面と、各従動ローラ54,55間に掛けられたシート材51の上面と、各キャップ部材61〜64の上面とがほぼ同じ高さ位置になるように各部材が配置されている。
【0039】
図1に示す通り、インクジェットプリンタ1では画像記録部2の下部が逆T字状の2本の脚70,70により支持されている。各脚70間には画像記録部2に配設された各種部材やインクタンク23〜26、メンテナンス機構30などの自重を強固に支持するための2本の補強部材71,71が架け渡されており、各脚70の下部にはキャスタ72が2個ずつ配設されている。このような構成によりインクジェットプリンタ1は前後方向又は左右方向に移動自在となっている。
【0040】
次に、本実施形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施形態に用いられるインクは、紫外線の被照射により硬化する性質を具備する光硬化型インクであって、オキセタン化合物,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物などの重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)、光開始剤及び色材を主成分とするインクである。
【0041】
光硬化型インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。
【0042】
次に、本実施形態に用いられる「記録媒体」について説明する。
本実施形態に用いられる記録媒体としては、インクに対して非吸収性の記録媒体であってもよいし、インクに対して吸収性の記録媒体であってもよい。ここでいう「非吸収性」とは、インク組成物を吸収しないという意味であるけれども、本実施形態においては、ブリストウ法におけるインクの転移量が0.1ml/mm2未満である場合に実質的に0ml/mm2であるような記録媒体を非吸収性の記録媒体といい、それ以外の記録媒体を吸収性の記録媒体という。
【0043】
非吸収性の記録媒体としては、例えば、通常の非コート紙、コート紙などの他、軟包装に用いられる各種樹脂製フィルムを適用することができる。樹脂製フィルムの具体的な樹脂の種類として、ポリエチレンテレフタレート,ポリエステル,ポリオレフィン,ポリアミド,ポリエステルアミド,ポリエーテル,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリ−ρ−フェニレンスルフィド,ポリエーテルエステル,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリル酸エステル,ポリエチレン,ポリプロピレン,ナイロンなどが適用可能であり、さらにはこれら樹脂の共重合体、これら樹脂の混合物、これら樹脂を架橋したものなども適用可能である。そしてこれら非吸収性の記録媒体としては、表面エネルギーが35〜60mN/mの範囲に収まるものが好ましく、表面エネルギーが40〜60mN/mの範囲に収まるものがさらに好ましい。また吸収性の記録媒体としては、例えば、普通紙(コピー用紙),上質紙などが挙げられる。
【0044】
続いてインクジェットプリンタ1の動作を説明する。
インクジェットプリンタ1の記録動作中において、筐体3の内部に配設された搬送機構が作動して、筐体3の搬入口から筐体3の内部に送り込まれた記録媒体が、筐体3の内部でプラテン4により非記録面を支持されながら搬送方向Aに沿って搬送される。これに伴いキャリッジ6が作動して記録媒体の直上を走査方向Bに沿って往復移動し、4つの記録ヘッド7〜10と2つの紫外線照射機構11,12とがキャリッジ6の往復移動に追従する。
【0045】
この状態において各記録ヘッド7〜10が記録媒体の記録面に向かってインクを吐出するとともに、各紫外線照射機構11,12の紫外線光源が点灯して各紫外線照射機構11,12から記録媒体の記録面に紫外線を照射する。すると各記録ヘッド7〜10から吐出されたインクが、記録媒体の記録面に着弾してその直後に紫外線を照射される。これによりインクが即座に硬化して記録媒体の記録面上に定着する。
【0046】
以降、インクジェットプリンタ1が上記の各動作を繰り返し、各プロセスカラーの無数のドットからなる所望の画像が記録媒体の記録面に順次記録される。
【0047】
インクジェットプリンタ1では上記のような記録動作がおこなわれる以外に、所定数の画像が記録される毎にキャリッジ6がホームポジションに移動して、メンテナンス機構30による4つの記録ヘッド7〜10のメンテナンスがおこなわれる。
【0048】
各記録ヘッド7〜10のメンテナンスの前段階ではメンテナンス機構30のベース部材31が「初期位置」で待機しており、ワイピングローラ43の上面、各従動ローラ54,55間に掛けられたシート材51の上面及び各キャップ部材61〜64の上面の高さ位置が各記録ヘッド7〜10の下面よりやや低い位置に配置されている。
【0049】
そうしてキャリッジ6がホームポジションに移動する直前でメンテナンス機構30のベース部材31が「初期位置」から「メンテナンス位置」に上昇する。するとワイピングローラ43の上面、各従動ローラ54,55間に掛けられたシート材51の上面及び各キャップ部材61〜64の上面の高さ位置が各記録ヘッド7〜10の下面とほぼ同じ高さ位置に配置される。
【0050】
ここで、各記録ヘッド7〜10のメンテナンスには以下の2通りのパターンがあり、各記録ヘッド7〜10の使用状況に応じてどちらかのパターンのメンテナンスが選択的におこなわれる。
【0051】
[パターン1]
ベース部材31が「メンテナンス位置」に配置された状態において、ローラ44が図3において反時計回りに回転するとともにキャリッジ6が第1ワイピング装置40の直上に移動し、各記録ヘッド7〜10の下面が回転した状態のワイピングローラ43の払拭体45の上面(外周面)に接触しながら移動する。これにより洗浄液41が染みわたった払拭体45で各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが拭き取られる。
【0052】
その後、キャリッジ6が第1ワイピング装置40の直上を通過して第2ワイピング装置50の直上に移動すると、巻き取りローラ53が回転してシート材51がキャリッジ6の移動方向(左方から右方に向かう方向)に沿って搬送される。この状態で押圧部材56がシート材51を各記録ヘッド7〜10の下面に押圧しながらキャリッジ6の移動方向と反対の方向(右方から左方に向かう方向)に移動する。これにより各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが洗浄液41ごとシート材51に吸収され、シート材51で各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが洗浄液41ごと拭き取られる。
【0053】
このような第1ワイピング装置40及び第2ワイピング装置50による各記録ヘッド7〜10のメンテナンス処理が終了すると、ベース部材31が「メンテナンス位置」から「初期位置」に下降する。するとキャリッジ6がホームポジションからプラテン4に向かって右方から左方へと移動し、各記録ヘッド7〜10のメンテナンスがおこなわれる前の画像の記録動作が再開される。
【0054】
[パターン2]
ベース部材31が「メンテナンス位置」に配置された状態において、ローラ44が図3において反時計回りに回転するとともにキャリッジ6が第1ワイピング装置40の直上に移動し、各記録ヘッド7〜10の下面が回転した状態のワイピングローラ43の払拭体45の上面(外周面)に接触しながら移動する。これにより洗浄液41が染みわたった払拭体45で各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが拭き取られる。
【0055】
その後、キャリッジ6が第1ワイピング装置40の直上を通過して第2ワイピング装置50の直上に移動すると、巻き取りローラ53が回転してシート材51がキャリッジ6の移動方向(左方から右方に向かう方向)に沿って搬送される。この状態で押圧部材56がシート材51を各記録ヘッド7〜10の下面に押圧しながらキャリッジ6の移動方向と反対の方向(右方から左方に向かう方向)に移動する。これにより各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが洗浄液41ごとシート材51に吸収され、シート材51で各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクが洗浄液41ごと拭き取られる。
【0056】
その後、キャリッジ6が第2ワイピング装置50の直上を通過して吸引装置60の直上に移動すると、各記録ヘッド7〜10の下面が4つのキャップ部材61〜64によりそれぞれ覆われ、キャリッジ6がこの位置で停止する。この状態でポンプが作動して各記録ヘッド7〜10のノズルからインクを吸引するとともに、各記録ヘッド7〜10が4つのキャップ部材61〜64に向けてインクの空吐出をおこなう。吸引又は空吐出されたインクは廃棄用のインクとしてチューブを流動しながら廃インクタンクに回収される。
【0057】
その後、再度、キャリッジ6が吸引装置60の直上から第2ワイピング装置50の直上に移動する。すると、上記と同様に、巻き取りローラ53が回転してシート材51がキャリッジ6の移動方向と反対の方向(左方から右方に向かう方向)に沿って搬送される。この状態で押圧部材56がシート材51を各記録ヘッド7〜10の下面に押圧しながらキャリッジ6の移動方向と反対の方向(左方から右方に向かう方向)に移動する。これにより、吸引装置60の処理で吸引又は空吐出されて各記録ヘッド7〜10の下面に付着・残存したインクがシート材51に吸収され、シート材51で各記録ヘッド7〜10の下面に付着したインクが拭き取られる。
【0058】
このような第1ワイピング装置40、第2ワイピング装置50及び吸引装置60による各記録ヘッド7〜10のメンテナンス処理が終了すると、ベース部材31が「メンテナンス位置」から「初期位置」に下降する。するとキャリッジ6がホームポジションからプラテン4に向かって右方から左方へと移動し、各記録ヘッド7〜10のメンテナンスがおこなわれる前の画像の記録動作が再開される。
【0059】
以上のようなインクジェットプリンタ1では、メンテナンス機構30による各記録ヘッド7〜10のメンテナンス時において、まず始めに第1ワイピング装置40のワイピングローラ43の払拭体45で各記録ヘッド7〜10の下面が拭かれるため、払拭体45に染みわたった洗浄液41で各記録ヘッド7〜10の下面に残存したインクを溶かし出しながらそのインクを拭き取ることができる。
【0060】
この場合、払拭体45が洗浄液41に浸された状態でワイピングローラ43が回転するため、払拭体45を乾燥させることなく常に洗浄液41の染み込んだ状態に維持することができ、各記録ヘッド7〜10の下面に残存したインクを確実に溶かし出すことができる。
【0061】
そうして第1ワイピング装置40での拭き取り作業の後に、第2ワイピング装置50のシート材51で各記録ヘッド7〜10の下面が拭かれるため、洗浄液41で溶かし出されたインクを洗浄液41ごとシート材51で拭き取ることができる。このような構成からインクジェットプリンタ1では、各記録ヘッド7〜10のメンテナンス時に各記録ヘッド7〜10の下面に残存したインクを確実に除去することができる。
【0062】
また特に第2ワイピング装置50では、払拭体として繊度0.1デニール以下の極細繊維から構成されたシート材51が適用されているため、洗浄液41で溶かし出されたインクを洗浄液41ごと確実にシート材51で吸収することができ、各記録ヘッド7〜10の下面の拭き残しを防止することができる。
【0063】
ところで、本実施形態に用いられるインク(ラジカル重合系インク,カチオン重合系インク及びハイブリッド型インクを含む。)は上記の通り紫外線の被照射により硬化するものであるが、必ずしもこれには限定されず、紫外線以外の光の被照射により硬化するものであってもよい。本明細書でいう「光」とは、広義の光であって、紫外線,電子線,X線,可視光線,赤外線などの電磁波を含むものである。つまり、本実施形態に用いられるインクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。紫外線以外の光で硬化する光硬化型のインクを本実施形態に用いられるインクとして用いる場合は、その光を照射する光源を各紫外線照射機構11,12に配設しなければならない。
【0064】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、始めに払拭体に染み込んだ洗浄液で記録ヘッドの吐出面に残存したインクを溶かし出しながらそのインクを払拭体で拭き取ることができ、その後に洗浄液で溶かし出したインクを洗浄液ごと乾燥した払拭体で拭き取ることができるようになっている。このような構成から、記録ヘッドのメンテナンス時に記録ヘッドの吐出面に残存したインクを確実に除去することができる。
【0065】
請求項2に記載の発明によれば、記録ヘッドのメンテナンス時においては第1ワイピング装置の払拭体を常に乾燥させることなく洗浄液が染み込んだ状態に維持することができる。
【0066】
請求項3に記載の発明によれば、第1ワイピング装置では払拭体のほぼすべての部分にわたって洗浄液を容易に染み込ませることができる。
【0067】
請求項4に記載の発明によれば、第1ワイピング装置の洗浄液で溶かし出されたインクを洗浄液ごと払拭体で確実に吸収することができ、記録ヘッドの吐出面の拭き残しを防止することができる。
【0068】
請求項5に記載の発明によれば、比較的低照度の紫外線でインクを硬化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの斜視図である。
【図2】メンテナンス機構の斜視図である。
【図3】メンテナンス機構の断面図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ
2…画像記録部
3…筐体
4…プラテン
5…ガイド部材
6…キャリッジ
7〜10…記録ヘッド
11,12…紫外線照射機構
23〜26…インクタンク
30…メンテナンス機構
31…ベース部材
40…第1ワイピング装置
41…洗浄液
42…容器
43…ワイピングローラ
44…ローラ
45…払拭体
50…第2ワイピング装置
51…シート材(払拭体)
52…元巻きローラ
53…巻き取りローラ
54,55…従動ローラ
56…押圧部材
60…吸引装置
61〜64…キャップ部材
70…脚
71…補強部材
72…キャスタ
Claims (5)
- 光の被照射により硬化するインクを所定の吐出面から吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのメンテナンスをおこなうメンテナンス機構と、
を備え、
前記メンテナンス機構が、洗浄液を染み込ませた払拭体で前記記録ヘッドの吐出面を拭く第1ワイピング装置と、乾燥した払拭体で前記記録ヘッドの吐出面を拭く第2ワイピング装置と、を有しており、
前記メンテナンス機構による前記記録ヘッドのメンテナンス時には、先に前記第1ワイピング装置の払拭体で前記記録ヘッドの吐出面が拭かれ、その後に前記第2ワイピング装置の払拭体で前記記録ヘッドの吐出面が拭かれることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1ワイピング装置の払拭体は回転可能なローラに装着されており、前記記録ヘッドのメンテナンス時には前記洗浄液に浸された状態で前記ローラの回転に追従しながら回転することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第1ワイピング装置の払拭体は多孔材料から構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記第2ワイピング装置の払拭体は、0.1デニール以下の繊度を有する繊維から構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、一主成分としてカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系の光硬化型インクであることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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