JP2004224810A - 二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents
二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】色相品質に優れた二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】下記工程(1)〜(4)
(1)芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分とを有機極性溶媒中にて反応せしめ、ポリアミド酸溶液を調製する、
(2)得られたポリアミド酸溶液と脱水剤と反応せしめ、ポリアミド酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲルフィルムを形成する、
(3)得られたゲルフィルムを支持体から分離し、必要に応じ有機極性溶媒で洗浄した後、二軸延伸する、
(4)得られた二軸延伸ゲルフィルムを、必要に応じ有機極性溶媒で洗浄した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する、
の工程から成るポリイミドフィルムの製造方法であって、上記工程(2)において用いられる有機極性溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドであることを特徴とする二軸配向ポリイミドフィルムの製造法。
【選択図】 なし
【解決手段】下記工程(1)〜(4)
(1)芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分とを有機極性溶媒中にて反応せしめ、ポリアミド酸溶液を調製する、
(2)得られたポリアミド酸溶液と脱水剤と反応せしめ、ポリアミド酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲルフィルムを形成する、
(3)得られたゲルフィルムを支持体から分離し、必要に応じ有機極性溶媒で洗浄した後、二軸延伸する、
(4)得られた二軸延伸ゲルフィルムを、必要に応じ有機極性溶媒で洗浄した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する、
の工程から成るポリイミドフィルムの製造方法であって、上記工程(2)において用いられる有機極性溶媒がN,N−ジメチルアセトアミドであることを特徴とする二軸配向ポリイミドフィルムの製造法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミドフィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
全芳香族ポリイミドはその優れた耐熱性や機械物性から広く工業的に利用され、とくにそのフィルムは電子実装用途を始めとする薄層電子部品用基材として重要な位置をしめるに至っている。近年電子部品の小型化への強い要請から、より厚さの薄いポリイミドフィルムが要求されているが、厚みの減少に伴い高い剛性を有することがフィルムの実用上、またはハンドリング上必要不可欠な条件となる。全芳香族ポリイミドフィルムは剛直な構造を有するものの、例えば全芳香族ポリアミドフィルムとして比較して必ずしも高ヤング率が実現されているとは言えず、市販される最高のヤング率を有するポリイミドフィルムでさえ高々9GPaのレベルに留まるのが現状である。
【0003】
全芳香族ポリイミドフィルムで高ヤング率を実現する方法として、(1)ポリイミドを構成する分子骨格を剛直且つ直線性の高い化学構造とする方法、(2)ポリイミドを物理的な方法で分子配向させる方法とが考えられる。方法(1)の化学構造としては酸成分としてピロメリット酸あるいは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、アミン成分としてp−フェニレンジアミン、ベンジジンあるいはそれらの核置換体の様々な組み合わせで素材検討がなされてきた。このなかでポリ−p−フェニレンピロメリットイミドは理論弾性率がもっとも高く(非特許文献1参照)、かつ原料が安価であることから、高ヤング率フィルム素材として最も期待される素材である。しかしそのポテンシャルにも関わらず、これまでポリ−p−フェニレンピロメリットイミドフィルムとしてはきわめて脆いものしか得られておらず、またバランスのとれた高ヤング率フィルムとしても実現に至っていないのが現状である。
【0004】
これを克服する方法として、p−フェニレンジアミンとピロメリット酸無水物の反応で得られたポリアミド酸溶液を化学環化することによる方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法で得たポリ−p−フェニレンピロメリットイミドフィルムのヤング率は高々8.5GPaにすぎない。
【0005】
また、他の方法として、置換基を有するp−フェニレンジアミンとピロメリット酸無水物の反応で得られたポリアミック酸溶液に無水酢酸を大量に添加したドープを流延し、低音で減圧下にて乾燥した後熱処理することにより、ヤング率20.1GPaのフィルムが得られることが記載されている(特許文献2参照)。しかしこの方法は低温で数時間の乾燥処理を必要とすることから工業的には非現実的な技術であり、またこの技術をポリ−p−フェニレンピロメリットイミドに適用した場合には機械特性すら不可能な脆弱なフィルムしか得られないことが記載されている。従って、剛直な芳香族ポリイミドに広く適用可能な高ヤング率フィルムの実現技術は未完成であり、特に高ヤング率か実用的な靭性を有する全芳香族ポリイミドフィルムは知られていない。
【0006】
一方、ポリイミドを延伸配向させる方法として、ポリ−p−フェニレンピロメリットイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を製膜後乾燥し、得られたポリアミド酸フィルムを溶剤中で1軸延伸した後、イミド化する方法が提案され(非特許文献2参照)、また長鎖(炭素数10〜18)のエステル基をポリマー鎖中に導入した前駆体ポリアミドエステルを湿式防止したものを延伸配向したのち過熱によりイミド化する方法が提案されている(非特許文献3参照)。しかしながら、いずれの方法も、面内にバランスの取れた二軸延伸については記載されていない。
【0007】
一方、ポリイミドを面内に二軸延伸配向させる方法として、ポリアミド酸をジシクロヘキシルジカルボジイミドと反応せしめ、脱水イミド化反応により得られたゲルフィルムを二軸延伸し二軸配向ポイリミドフィルムを製造する方法が提案されている(特許文献3、4、5及び6)。これらの方法により縦横バランスの取れた機械物性の優れたポリイミドフィルムが得られる。しかしながら、本反応ではN−メチル−2−ピロリドンを有機極性溶媒として用いている。この場合、得られるフィルムが熱処理時に例えば、焼けなどが起こり、黒色点、黒色斑といった黒色色相異常が発生するといった課題があり、より色相において高品質の2軸配向ポリイミドフィルムが望まれていた。また、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として用いた場合、原材料である芳香族ジアミン成分の溶解性が不充分となり、充分な重合度のポリアミド酸が得られなかったり、非常に長い重合時間を要するという課題があった。
【0008】
【非特許文献1】
繊維学会誌43巻、78頁(1987)
【0009】
【非特許文献2】
高分子論文集Vol.56,No.5,PP282〜290
【0010】
【非特許文献3】
Polymer Preprint Japan,Vol.141,No.9(1992)3752頁
【0011】
【特許文献1】
特開平1−282219号公報 1頁
【0012】
【特許文献2】
特開平6−172529号公報 1頁
【0013】
【特許文献3】
特開2001−302821号公報 1頁
【0014】
【特許文献4】
特開2002−030519号公報 1頁
【0015】
【特許文献5】
WO01/81456号
【0016】
【特許文献6】
特開平05−237928号公報 1頁
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、二軸方向にバランスのとれた高ヤング率の二軸配向ポリイミドフィルムを製造するに際し、色相に優れた二軸配向ポリイミドフィルムを安定して製造する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記工程(1)〜(4)
(1)芳香族ジアミン成分をN,N−ジメチルアセトアミドに添加し、5℃以上165℃以下にして、完全溶解せしめた後に冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分の一部が微粉末状に析出せしめた懸濁液に芳香族テトラカルボン酸成分を添加、反応せしめ、ポリアミド酸溶液を調製する、
(2)得られたポリアミド酸溶液と脱水剤と反応せしめ、ポリアミド酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲルフィルムを形成する、
(3)得られたゲルフィルムを支持体から分離し、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、二軸延伸する、
(4)得られた二軸延伸ゲルフィルムを、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する、
の工程から成る二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法である。
以下、本発明について詳細を説明する。
【0019】
本発明の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法は、下記の工程(1)〜(4)から成る。
(1)芳香族ジアミン成分をN,N−ジメチルアセトアミドに添加し、5℃以上165℃以下にして、完全溶解せしめた後に冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分の一部が微粉末状に析出せしめた懸濁液に芳香族テトラカルボン酸成分を添加、反応せしめ、ポリアミド酸溶液を調製する。
(2)得られたポリアミド酸溶液と脱水剤と反応せしめ、ポリアミド酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲルフィルムを形成する。
(3)得られたゲルフィルムを支持体から分離し、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、二軸延伸する。
(4)得られた二軸延伸ゲルフィルムを、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する。
【0020】
まず、工程(1)について説明する。工程(1)において、芳香族ジアミン成分をN,N−ジメチルアセトアミドに添加し、加温して完全溶解せしめた後に冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分の一部が微粉末状に析出せしめた懸濁液に芳香族テトラカルボン酸成分を添加、反応せしめ、ポリアミド酸溶液を調製する。
【0021】
工程(1)における芳香族ジアミン成分としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラセン、2,7−ジアミノアントラセン、1,8−ジアミノアントラセン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノ(m−キシレン)、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノトルエンベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)アミンビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミンビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミンビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、1,1−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等およびそれらのハロゲン原子あるいはアルキル基による芳香核置換体が挙げられる。
【0022】
上記の芳香族ジアミン成分は二種以上を同時に併用することもできる。また、好ましい芳香族ジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンが例示される。更に好ましい芳香族ジアミン成分としては、全ジアミン成分に基づき、p−フェニレンジアミンが30〜100モル%であることが、二軸配向ポリイミドフィルムの弾性率として、例えば5GPa以上といった高弾性率特性を発現する為に好ましい。p−フェニレンジアミン30モル%以上とすることで、二軸配向ポリイミドフィルムの弾性率として、例えば5GPa以上といった高弾性率特性が発現されるといった良好な機械物性が得られる。更に好ましくは40〜100モル%以上である。この場合、p−フェニレンジアミン以外の他の芳香族ジアミン成分としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンが好ましい。これらの中でも、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが特に好ましい。また、芳香族ジアミン成分の実質的な形態としては、芳香族ジアミンの他、芳香族ジアミンのアミド酸形成性誘導体でもよい。例えば芳香族ジアミン成分のアミノ基の一部又は全てがトリアルキルシリル化されていてもよく、酢酸の如く脂肪族酸によりアミド化されていても良い。この中でも、実質的に芳香族ジアミンを用いることが好ましい。
【0023】
芳香族テトラカルボン酸成分としては、例えばピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,9,10−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ピリジン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物等が挙げられる。
【0024】
この中でも、好ましい芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸単独からなるかあるいはピロメリット酸および上記の如きそれと異なる芳香族テトラカルボン酸との組み合わせからなるものが例示される。より具体的には、全テトラカルボン酸成分に基づき、ピロメリット酸二無水物が50〜100モル%であることが好ましい。ピロメリット酸二無水物50モル%以上とすることで、二軸配向ポリイミドフィルムの弾性率として、例えば5GPa以上といった高弾性率特性が発現されるといった良好な機械物性が得られる。好ましくはピロメリット酸二無水物が70〜100モル%であり、更に好ましくは90〜100モル%であり、ピロメリット酸二無水物単独で用いることが特に好ましい。また、芳香族テトラカルボン酸成分は二無水物以外でも構わない。例えば、芳香族テトラカルボン酸成分の一部又は全部がジカルボン酸ハロゲン化物ジカルボン酸アルキルエステル誘導体であっても構わない。芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
【0025】
以上のことから、芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分との組み合わせとしては、例えば、芳香族ジアミン成分がp−フェニレンジアミン単独から成るあるいはp−フェニレンジアミン30モル%以上100モル%未満とそれ以外の他の芳香族ジアミン50モル%以下から成り、かつ芳香族テトラカルボン酸成分がピロメリット酸二無水物単独から成る組み合わせの場合が、例えば弾性率が10GPa以上といった特に優れた機械物性が得られる点から、特に好ましい例として挙げることができる。その他の芳香族ジアミンの好ましい例としては、前述の通り、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンが挙げられ、このうち3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが特に好ましい。
【0026】
工程(1)において用いられる有機極性溶媒は、N,N−ジメチルアセトアミドである。ここで、他の有機極性溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)を用いると、例えば、熱処理時に焼けなどが起こり、最終的に得られる2軸配向ポリイミドフィルムの色相が著しく悪くなり、フィルム表面に黒色点・黒色斑といった黒色色相異常が多く発生してしまう。
【0027】
ポリアミド酸重合反応の手順としては、まず、芳香族ジアミン成分をN,N−ジメチルアセトアミドに添加し、5℃以上165℃以下にして、完全溶解せしめた後に冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分の一部が微粉末状に析出せしめた懸濁液を得る。次いで、該懸濁液に芳香族テトラカルボン酸成分を添加反応せしめて、ポリアミド酸溶液を調製する必要がある。ここで、芳香族ジアミン成分を完全溶解させ、その後微粉末状に析出させるという手順を省略すると反応時に白色不溶性成分が残り、充分な重合度が得られないばかりか、均質透明なポリアミド酸溶液が得られなくなる。従って、芳香族ジアミン成分を完全に溶解した後に、一旦、析出させて微細かつ均質な懸濁状態を得ることで、初めて、好適なポリアミド酸重合が達成できる。特に本発明において用いられる芳香族ジアミン成分の必須成分であるp−フェニレンジアミンは溶解度が低いことに加え、得られるポリアミド酸の熱安定性の観点より重合温度は比較的低温が好まれることから、懸濁液での反応が必須となる。完全溶解させる為の温度は、5℃以上165℃以下の範囲で芳香族ジアミン成分組成や濃度により適宜選定できる。5℃未満の場合、完全溶解することが困難な場合がある。165℃より高い場合は有機極性溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミドが揮発してしまう。好ましくは、10℃以上130℃以下であり、更に好ましくは、15℃以上100℃以下である。完全溶解させる方法・形態としては、特に限定しないが、例えば、予め上記のごとく温度に温調されたN,N−ジメチルアセトアミドへ芳香族ジアミン成分を添加してもよく、芳香族ジアミン成分を添加した後、所定の温度とし間然溶解せしめることもできる。次いで得られた溶液を冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分が微粉末状に析出するようにする。この時、冷却速度や冷却温度は微細粉末状の懸濁液が得られる様、適宜好適な条件を選択することができる。例えば、後述する重合時の反応温度までそのまま冷却しても良いし、一旦、0℃以下といった重合時の反応温度より低い温度まで冷却し懸濁液を得てから、重合に供してもよい。懸濁液とは溶液中の芳香族ジアミン成分の一部が溶解度限界に達することにより、析出した状態であり、目視にて簡単に確認できる。また、懸濁度合いについては、特に限定しないが、懸濁液が充分攪拌できる範囲である。更には、予め重合濃度よりも高い濃度で、上記の如く、完全溶解せしめた溶液を冷却し、析出させた懸濁液を好ましい温度に調整した後、適宜、N,N−ジメチルアセトアミドにて希釈して、重合に供してもよい。
【0028】
芳香族テトラカルボン酸成分の添加は、固体のまま添加でも、N,N−ジメチルアセトアミド溶液として添加しても構わない。また、一度に所望の量を添加しても、2回以上に分割し、多段で逐次添加しても構わない。芳香族テトラカルボン酸成分を添加し、ポリアミド酸重合反応は、一旦、析出した芳香族ジアミン成分が溶解しながら進行し、重合途中にて、芳香族ジアミン成分は完全に溶解し、析出物が消失し、透明で均質な反応液が得られる。
【0029】
芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分との仕込み比は、下記式(I)
0.90≦ B/A ≦ 1.10・・・(I)
を満たすことが好ましい。ここで、上記式(I)中、Aは芳香族ジアミン成分全仕込み量のモル数、Bは芳香族テトラカルボン酸成分全仕込み量のモル数を表わす。B/Aの値が上記式(I)の範囲外となると、充分な重合度が得られなくなり好ましくない。より好ましくはB/Aの値が0.95〜1.05であり、更に好ましくは0.97〜1.03である。
【0030】
ポリアミド酸の還元粘度(ml/g)は特に限定されるものではないが、例えば、1wt%塩化リチウム/NMP溶液を溶解液として用いて、ポリマー濃度0.05wt%にて、温度0℃にて測定した時、1〜30ml/gであることが、成形加工性の観点から好ましい。より好ましくは、2〜20ml/gである。
【0031】
各原料の仕込み方法については特に限定はなく、添加順序や添加方法は従来公知のいずれの方法でもよい。好ましくは、芳香族ジアミン成分を先ず有機極性溶媒に溶解し、次いで所望の反応温度にて芳香族テトラカルボン酸成分を添加し、重合させる。芳香族テトラカルボン酸成分の添加は1段で規定量添加しても、複数回に分割して、添加してもよい。特に反応熱による反応温度制御が困難な場合は、複数回に分割することが好ましい。
【0032】
工程(1)において得られるポリアミド酸溶液の濃度が1〜40wt%であることが好ましい。濃度が1wt%未満の場合、ポリアミド酸の粘度が低すぎて、工程(2)において支持体上に流延することが困難となり、40wt%より高濃度になると、反対に粘度が高すぎて、流動性が低くなり、支持体上に流延することが困難となったり、均一の厚みに流延することが困難となることがある。好ましい濃度は1〜35wt%であり、更に好ましくは2〜30wt%である。
【0033】
該ポリアミド酸の重合時の反応温度は、特に限定されるものではない。従来公知の範囲でよいが、−30℃以上、40℃以下が好ましい。−30℃未満の場合、充分な反応速度が得られず、好ましくない。また、40℃より高いと、部分的にイミド化が起きたり、副反応が発生したりする為、安定してポリアミド酸が得られなくなる場合がある。好ましくは10℃以上、30℃以下であり、更に好ましくは、0℃以上20℃以下である。
【0034】
本発明の工程(1)は低湿度条件で行われることが好ましい。例えば、窒素、アルゴンといった低湿度不活性ガス雰囲気下や、乾燥空気雰囲気下が好ましい。また、工程1において用いられる原料や溶媒も出来るだけ乾燥させたものを用いることが好ましい。
【0035】
該ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の末端は封止されることが好ましい。末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、酸無水物成分としては、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体、アミン成分としてはアニリン及びその置換体が好ましい例として挙げられる。この中でも、無水フタル酸およびその置換体及び/又はアニリン及びその置換体が特に好ましい例として挙げることが出来る。また末端封止剤の添加タイミングは特に限定されず、ポリアミド酸の重合原料仕込み時、重合途中、重合終了時のいずれに添加しても良い。添加量は実質的重合が停止し且つポリアミド酸溶液の粘度が安定する為に必要な量でよく、簡単な実験をすることで、好適な添加量を判断することができる。
【0036】
工程(2)について説明する。工程(2)では、上記工程(1)にて得られたポリアミド酸溶液と脱水剤と反応せしめ、ポリアミド酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲルフィルムを形成する。
【0037】
脱水剤との反応によるゲルフィルムを得る為の具体的方法としては、ポリアミド酸溶液を流延した後、脱水剤溶液に浸漬して反応させる方法、あるいは脱水剤をポリアミド酸溶液に添加してから流延し、その後、加熱により反応させる方法とが挙げられる。そこで具体的方法2つについて説明する。
【0038】
先ず、第一の方法として、上記(1)で調製した溶液を支持体上に流延して得られたフィルムを支持体と一緒に、脱水剤をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解してなる溶液中に浸漬し、脱水剤と反応せしめゲルフィルムを得る方法である。この溶液を調製するための脱水剤としては、カルボジイミド化合物又は、無水酢酸と有機アミン化合物との併用が挙げられる。
【0039】
カルボジイミド化合物を用いる場合、カルボジイミド化合物としてはジアルキルカルボジイミドが好ましく、より具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが挙げられる。カルボジイミド化合物の濃度は特定するものではないが、反応を十分に進行させるためには、好ましくは0.5重量%以上99重量%以下である。また、反応温度は、特に規定するものではないが、溶液の凝固点以上、沸点以下の温度を用いることができる。
【0040】
無水酢酸と有機アミン化合物との併用の場合、用いられる有機アミン化合物は無水酢酸とポリアミック酸の反応触媒として働くものであり、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミンといった三級脂肪族アミン;N,N−ジメチルアニリン、1,8−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレンの如き芳香族アミン、ピリジンおよびその誘導体、ピコリンおよびその誘導体、ルチジン、キノリン、イソキノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、N,N−ジメチルアミノピリジンの如き複素環式化合物を用いることができる。このなかで経済性からはピリジンおよびピコリンが好ましい。またトリエチレンジアミンおよびN,N−ジメチルアミノピリジンは無水酢酸との組み合わせにおいて、極めて高いイミド基分率が実現可能であり、水に対する耐性の高いゲルフィルムを与えることから好ましく用いられる。この際、有機アミン化合物の無水酢酸に対する量としては特に既定するものではないが、0.5モル%以上より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは、50モル%である。また、溶液中の無水酢酸の濃度は特定するものではないが、反応を十分に進行させるためには、好ましくは0.5重量%以上99重量%以下である。さらに好ましくは30重量%以上99重量%である。また、反応温度は、特に規定するものではないが、混合溶液中の凝固点以上、沸点以下の温度を用いることができる。
【0041】
このポリアミド酸溶液の製膜方法としてはダイ押し出しによる工法、アプリケーターを用いたキャスティング、コーターを用いる方法などが例示される。ポリアミド酸の流延に際して支持体として金属性のベルト、キャステイングドラムなどを用いることができる。またポリエステルやポリプロピレンのような有機高分子フィルム上に流延しそのまま脱水剤溶液に導入することもできる。
脱水剤との反応によるゲルフィルムを得るための第二の具体的方法としては、上記工程(1)で調製したポリアミド酸溶液に、無水酢酸と有機アミン化合物を添加して得られる組成物を支持体上に流延し、次いで、流延された組成物を20〜100℃に加熱し、ゲルフィルムを得る方法が挙げられる。より具体的には、上記工程(1)で調整したポリアミド酸溶液に先ず、有機アミン化合物を添加混合する。有機アミン化合物としては、上記第一の方法にて説明したものと同じ物が挙げられ、ピリジンが特に好ましい。有機アミン化合物の添加量は、ポリアミド酸繰り返し単位1モルに対し、0.1〜20モルの範囲である。0.1モル未満の場合、充分な添加効果が得られない。また10モルより多いと得られる組成物の粘度が低下し好ましくない。より好ましくは0.5〜10モルの範囲である。ポリアミド酸溶液と有機アミン化合物との混合温度は−30〜30℃の範囲であることが好ましい。混合温度が30℃より高い場合、ポリアミド酸が粘度安定性に欠ける為、好ましくない。−30℃未満である場合は、ポリアミド溶液の粘度が著しく高く混合することが困難となる場合がある。より好ましくは、−25〜10℃の範囲である。また、この時、必要に応じて、有機アミン化合物の揮発を抑制する為、酢酸を更に添加してもよい。酢酸を添加する場合、有機アミン化合物と酢酸の添加方法や順序は限定しないが、予め、有機アミン化合物と酢酸との塩を形成せしめて添加する方法が好ましい。酢酸の量は特に限定しないが、有機アミン化合物1モルに対し、酢酸4モル以下である。好ましくは2モル以下である。次に得られた溶液に無水酢酸を混合する。無水酢酸量は、ポリアミド酸繰り返し単位の1モルに対して0.1〜20モルの割合で用いられることが好ましい。0.1モル未満では反応が不充分となり、得られるゲルフィルムが脆いものとなる。10モルより多いと、粘度低下を起こしたり、溶解性低下によるゲルフィルムの失透が生じることがある。好ましくは0.5〜10モルである。無水酢酸の混合温度は、―30〜30℃の範囲で行なわれるのが好ましい。混合温度が30℃より高い場合、ポリアミド酸が粘度安定性に欠ける為、好ましくない。−30℃未満である場合は、ポリアミド溶液の粘度が著しく高く混合することが困難となる場合がある。より好ましくは、−25〜10℃の範囲である。これら、有機アミン化合物や無水酢酸の混練には、従来公知の何れの方法を用いることもできる。例えば、連続式混練の場合、ニーダーやエクストルーダー、スタティックミキサー、バンバリーミキサーなどを用いる方法が例示される。また、バッチ式混練の場合攪拌機を備えた容器にて混練することもできる。上記の如くポリアミド酸溶液に添加混練される有機アミン化合物及び無水酢酸は、そのまま添加しても、N,N−ジメチルアセトアミドに希釈して添加してもよい。
【0042】
これらの工程(2)は、低湿度雰囲気下で行うことが好ましい。この工程(2)においてポリアミド酸を脱水剤と反応させることで、均質かつ高度に膨潤した延伸性に富む未延伸ゲルフィルムを得ることができる。
【0043】
この工程(2)において、ポリアミック酸の少なくとも1部がポリイソイミドに変換されたゲル状フィルムが形成される。ゲルフィルムのイソイミド基分率が2%以上であるとき高い延伸倍率が得られ好ましい。より好ましくはイソイミド基分率が3%以上であり、更に好ましくは、10%以上である。このようにして工程(2)において、均質かつ高度に膨潤した延伸安定性に富む未延伸ゲルフィルムを得るところに最大の特徴の1つを有すると言える。このゲルフィルムのイソイミド基分率とイミド基分率との詳細な算出方法は後述するが、赤外吸収スペクトルから容易に算出することが出来る。
【0044】
次いで工程(3)について説明する。工程(3)では、工程(2)にて得られたゲルフィルムを支持体から分離し、必要に応じて洗浄した後、二軸延伸する。支持体から分離されたゲルフィルムは、必要に応じて、脱水剤、脱水剤反応生成物などの除去を目的として、洗浄を行うことができる。また、ゲルフィルムの洗浄を行うことが好ましい。洗浄を必要とする場合には、洗浄用溶剤としてN,N−ジメチルアセトアミドを用いる。N,N−ジメチルアセトアミドを用いて洗浄することにより、色相に優れたポリイミドフィルムが得られる。
【0045】
延伸は、縦横それぞれの方向に1.03〜10.0倍の倍率で延伸することができる。延伸温度は、特に限定するものではないが、溶剤が揮発し延伸性が低下しない程度であればよく、例えば−20〜180℃が好ましく、−10〜160℃がより好ましく、0〜140℃が特に好ましい。なお、延伸は逐次あるいは同時二軸延伸のいずれの方式で行ってもよい。延伸は溶剤中、空気中、不活性雰囲気中、また低温加熱した状態でもよい。
【0046】
工程(3)で二軸延伸に供されるゲルフィルムの膨潤度は特に限定されるものではないが、150〜5000%であることが好ましい。これにより良好な延伸性が得られる。50%以下では延伸性が不十分であり、5000%以上ではゲルフィルムの強度が低下しハンドリングが困難となる。
【0047】
最後に工程(4)について説明する。工程(4)では、工程(3)にて得られた二軸延伸ゲルフィルムを、必要に応じ洗浄した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する。
【0048】
二軸延伸ゲルフィルムは熱処理前に、例えば、有機極性溶媒、脱水剤、脱水剤反応生成物などを除去することなどを目的として、必要に応じて、洗浄することができる。この際用いられる洗浄用溶剤はN,N−ジメチルアセトアミドを用いる。その他の洗浄溶剤として、例えばN−メチル−2−ピロリドンなどを用いた場合、得られるポリイミドフィルムの色相が低下する。また、N,N−ジメチルアセトアミド以外の溶媒を用いた場合、回収し、分離する等の工程を要し、コスト高となる。
【0049】
二軸延伸ゲルフィルムの熱処理方法としては熱風加熱、真空加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱の他、熱板、ホットロールを用いた接触による加熱などが例示できる。この際、段階的に温度をあげることでイミド化を進行させることが好ましい。
【0050】
この熱処理は定長ないし緊張下にて行うことが、得られる二軸配向ポリイミドフィルムの例えば5GPa以上といった高弾性率などの機械物性を発現させる上で、好ましい。更に、熱処理の最終温度又は最高温度が300〜550℃の温度で実施することが好ましい。これより低いと充分なイミド化が進行しなかったり、充分なイミド化をする為に長時間を要する為、好ましくない。550℃より高いと二軸配向ポリイミドフィルムの分解が起こり、物性や品質の低下が起こることがあり、好ましくない。熱処理温度の時間は特に限定されるものではないが、実質的に、1秒以上5時間以内である。
【0051】
【発明の効果】
上記の如くして、N,N−ジメチルアセトアミドを有機極性溶媒として用いる、さらに洗浄処理を行うときは洗浄溶剤としても用いることにより、色相の優れた二軸配向ポリイミドフィルムを安定して製造することが可能となる。また、このようにして得られた二軸配向ポリイミドフィルムは分子鎖がフィルム面内に効果的な配向構造を形成し、面内物性バランスの優れた高弾性ポリイミドフィルムとなる。更に該ポリイミドは高弾性率であるばかりでなく、本発明の方法によれば、耐熱性、機械的特性に優れ、さらに低吸湿率である剛直ポリイミドフィルムを得ることができる。また、上記の如くして得られた本発明のポリイミドフィルムは厚みが10μm程度といった極薄いフィルムであっても、充分な剛性を有することから、電子用途、例えば銅箔が積層された電気配線板の支持体といった電子実装用途を始め、フレキシブル回路基板、TAB(テープオートメイテッドボンディング)用テープ、LOC(リードオンチップ)用テープの支持体として用いることもできる。また、電気記録テープのベースとして用いることができる。以上のように、本発明のポリイミドフィルムは各種工業用用途に好適に用いることが出来る。
【0052】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細且つ具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0053】
尚、ポリアミック酸の還元粘度は1wt%塩化リチウム/NMP溶液を溶解液として用いて、ポリマー濃度0.05%(g/ml)にて、温度0℃にて測定したものである。
【0054】
また、強伸度およびヤング率は50mm×10mmのサンプル用い、引張り速度5mm/分にて、オリエンテックUCT−1Tにより測定を行ったものである。
【0055】
イソイミド基分率およびイミド基分率は、フーリエ変換赤外分光計(Nicolet Magna 750)を用いて、反射法により測定し、得られた結果から、下記(III)
【0056】
【数1】
イソイミド基分率(%)=(A920/A1024)/11.3×100・・・(III)
A920 :サンプルのイソイミド結合由来ピーク(920cm−1)の吸収強度
A1024:サンプルのベンゼン環由来ピーク(1024cm−1)の吸収強度
から算出した。
【0057】
[比較例1]
温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)15Lを入れ、さらにp−フェニレンジアミン199gを加えた後に完全に溶解し、その後、氷浴下冷却した。この冷却したジアミン溶液に無水ピロメリット酸二無水物401gを添加し一時間反応させた。この際、p−フェニレンジアミン仕込みモル数に対するピロメリット酸二無水物添加モル数の比(B/A)は、0.999であった。さらに室温下3時間反応後、アニリン0.11gを添加しさらに60分反応させ4wt%ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸の還元粘度は10.6ml/gであった。
【0058】
このアミド酸溶液の一部をガラス板上に厚み1.5mmのドクターブレードを用いてキャストし、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)濃度28wt%のNMP溶液からなるDCC浴に導入し8分反応固化させたのちガラス板から剥離し、さらに12分反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は33%であった。
【0059】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるNMPに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ2.3倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは7.1μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について18.3GPaおよび17.8GPa、引張り強度はそれぞれ378MPaおよび381MPa、伸度はそれぞれ2.4%および2.1%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は18個であった。
【0060】
[比較例2]
比較例1にて調整された4wt%ポリアミド酸溶液(還元粘度10.6ml/g)の一部をガラス板上に厚み1.5mmのドクターブレードを用いてキャストし、組成比が無水酢酸600ml、ピリジン300ml及びNMP800mlからなる溶液に浸漬し、35℃/8分反応固化させた後、ガラス板から剥離し、さらに12分反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は18%であった。
【0061】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるNMPに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ1.7倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは12.1μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について17.5GPaおよび17.1GPa、引張り強度はそれぞれ394MPaおよび388MPa、伸度はそれぞれ4.1%および3.3%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は21個であった。
【0062】
[比較例3]
比較例1にて調整された4wt%ポリアミド酸溶液(還元粘度10.6ml/g)の一部を攪拌機と冷却ジャケットを有する容器に仕込み、−20℃に冷却した。そして、ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対し4モルの割合となる量のピリジンを添加し、均一になるまで15分混練した。更に、ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対し4モルの割合となる量の無水酢酸を添加し、均一になるまで、20分攪拌混練した。得られた組成物を、ギヤポンプにてダイ押出しを行い、ポリプロピレンフィルム上に厚み1.5mmのキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムを40℃、1時間窒素雰囲気下にて加熱反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は12%であった。
【0063】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるNMPに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ1.7倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは11.3μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について19.1GPaおよび18.6GPa、引張り強度はそれぞれ404MPaおよび393MPa、伸度はそれぞれ2.7%および3.0%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は16個であった。
【0064】
[比較例4]
温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)15Lを入れ、さらにp−フェニレンジアミン199gを加えた。この時、p−フェニレンジアミンは完全には溶解しなかった。そのままその後、氷浴下冷却した。この冷却したジアミン溶液に無水ピロメリット酸二無水物401gを添加し一時間反応させた。この際、p−フェニレンジアミン仕込みモル数に対するピロメリット酸二無水物添加モル数の比(B/A)は、0.999であった。しかしながら、部分的には重合反応が進行していることを反応熱の発生から確認したが、反応溶液中に多くの白色不溶成分が析出し、反応開始後5℃にて5時間後においても白色不溶成分は消失せず、充分な粘性が得られなかった。さらに室温下10時間反応したが、やはり白色不溶成分が残り、反応溶液を製膜に供することは不可能であった。
【0065】
[実施例1]
温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)15Lを入れ、さらにp−フェニレンジアミン199gを加えた後に35℃に加温し、一旦、完全に溶解した。その後、氷浴下、攪拌しながら冷却し、溶液温度を5℃とした。この時、p−フェニレンジアミンの一部が微細粉末状に析出し、均質な懸濁液が得られた。この冷却した芳香族ジアミン/DMAc懸濁液に無水ピロメリット酸二無水物401gを添加し一時間反応させた。この際、p−フェニレンジアミン仕込みモル数に対するピロメリット酸二無水物添加モル数の比(B/A)は、0.999であった。さらに室温下3時間反応後、アニリン0.11gを添加しさらに60分反応させ4wt%ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸の還元粘度は9.9ml/gであった。
【0066】
このアミド酸溶液の一部をガラス板上に厚み1.5mmのドクターブレードを用いてキャストし、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)濃度28wt%のDMAc溶液からなるDCC浴に導入し8分反応固化させたのちガラス板から剥離し、さらに12分反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は31%であった。
【0067】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるDMAcに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ2.3倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは7.6μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について17.9GPaおよび18.6GPa、引張り強度はそれぞれ392MPaおよび391MPa、伸度はそれぞれ3.7%および4.3%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は0個であった。
【0068】
[実施例2]
実施例1にて調整された4wt%ポリアミド酸溶液(還元粘度9.9ml/g)の一部をガラス板上に厚み1.5mmのドクターブレードを用いてキャストし、組成比が無水酢酸600ml、ピリジン300ml及びDMAc800mlからなる溶液に浸漬し、35℃/8分反応固化させた後、ガラス板から剥離し、さらに12分反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は14%であった。
【0069】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるDMAcに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ1.7倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは11.9μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について16.9GPaおよび18.2GPa、引張り強度はそれぞれ387MPaおよび372MPa、伸度はそれぞれ3.6%および4.1%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は1個であった。
【0070】
[実施例3]
実施例1にて調整された4wt%ポリアミド酸溶液(還元粘度9.9ml/g)の一部を攪拌機と冷却ジャケットを有する容器に仕込み、−20℃に冷却した。そして、ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対し4モルの割合となる量のピリジンを添加し、均一になるまで15分混練した。更に、ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対し4モルの割合となる量の無水酢酸を添加し、均一になるまで、20分攪拌混練した。得られた組成物を、ギヤポンプにてダイ押出しを行い、ポリプロピレンフィルム上に厚み1.5mmのキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムを40℃、1時間窒素雰囲気下にて加熱反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は16%であった。
【0071】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるDMAcに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ1.7倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは11.3μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について19.6GPaおよび17.9GPa、引張り強度はそれぞれ411MPaおよび378MPa、伸度はそれぞれ2.7%および4.5%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は1個であった。
【0072】
以上の実施例1〜3から明らかなように、有機極性溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用いることにより、N−メチル−2−ピロリドンのごとく他の有機極性溶媒を用いる比較例1〜3に較べ、著しく、色相に優れ、かつ機械物性の優れた高品質の二軸配向ポリイミドフィルムを安定して製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミドフィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
全芳香族ポリイミドはその優れた耐熱性や機械物性から広く工業的に利用され、とくにそのフィルムは電子実装用途を始めとする薄層電子部品用基材として重要な位置をしめるに至っている。近年電子部品の小型化への強い要請から、より厚さの薄いポリイミドフィルムが要求されているが、厚みの減少に伴い高い剛性を有することがフィルムの実用上、またはハンドリング上必要不可欠な条件となる。全芳香族ポリイミドフィルムは剛直な構造を有するものの、例えば全芳香族ポリアミドフィルムとして比較して必ずしも高ヤング率が実現されているとは言えず、市販される最高のヤング率を有するポリイミドフィルムでさえ高々9GPaのレベルに留まるのが現状である。
【0003】
全芳香族ポリイミドフィルムで高ヤング率を実現する方法として、(1)ポリイミドを構成する分子骨格を剛直且つ直線性の高い化学構造とする方法、(2)ポリイミドを物理的な方法で分子配向させる方法とが考えられる。方法(1)の化学構造としては酸成分としてピロメリット酸あるいは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、アミン成分としてp−フェニレンジアミン、ベンジジンあるいはそれらの核置換体の様々な組み合わせで素材検討がなされてきた。このなかでポリ−p−フェニレンピロメリットイミドは理論弾性率がもっとも高く(非特許文献1参照)、かつ原料が安価であることから、高ヤング率フィルム素材として最も期待される素材である。しかしそのポテンシャルにも関わらず、これまでポリ−p−フェニレンピロメリットイミドフィルムとしてはきわめて脆いものしか得られておらず、またバランスのとれた高ヤング率フィルムとしても実現に至っていないのが現状である。
【0004】
これを克服する方法として、p−フェニレンジアミンとピロメリット酸無水物の反応で得られたポリアミド酸溶液を化学環化することによる方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法で得たポリ−p−フェニレンピロメリットイミドフィルムのヤング率は高々8.5GPaにすぎない。
【0005】
また、他の方法として、置換基を有するp−フェニレンジアミンとピロメリット酸無水物の反応で得られたポリアミック酸溶液に無水酢酸を大量に添加したドープを流延し、低音で減圧下にて乾燥した後熱処理することにより、ヤング率20.1GPaのフィルムが得られることが記載されている(特許文献2参照)。しかしこの方法は低温で数時間の乾燥処理を必要とすることから工業的には非現実的な技術であり、またこの技術をポリ−p−フェニレンピロメリットイミドに適用した場合には機械特性すら不可能な脆弱なフィルムしか得られないことが記載されている。従って、剛直な芳香族ポリイミドに広く適用可能な高ヤング率フィルムの実現技術は未完成であり、特に高ヤング率か実用的な靭性を有する全芳香族ポリイミドフィルムは知られていない。
【0006】
一方、ポリイミドを延伸配向させる方法として、ポリ−p−フェニレンピロメリットイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を製膜後乾燥し、得られたポリアミド酸フィルムを溶剤中で1軸延伸した後、イミド化する方法が提案され(非特許文献2参照)、また長鎖(炭素数10〜18)のエステル基をポリマー鎖中に導入した前駆体ポリアミドエステルを湿式防止したものを延伸配向したのち過熱によりイミド化する方法が提案されている(非特許文献3参照)。しかしながら、いずれの方法も、面内にバランスの取れた二軸延伸については記載されていない。
【0007】
一方、ポリイミドを面内に二軸延伸配向させる方法として、ポリアミド酸をジシクロヘキシルジカルボジイミドと反応せしめ、脱水イミド化反応により得られたゲルフィルムを二軸延伸し二軸配向ポイリミドフィルムを製造する方法が提案されている(特許文献3、4、5及び6)。これらの方法により縦横バランスの取れた機械物性の優れたポリイミドフィルムが得られる。しかしながら、本反応ではN−メチル−2−ピロリドンを有機極性溶媒として用いている。この場合、得られるフィルムが熱処理時に例えば、焼けなどが起こり、黒色点、黒色斑といった黒色色相異常が発生するといった課題があり、より色相において高品質の2軸配向ポリイミドフィルムが望まれていた。また、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として用いた場合、原材料である芳香族ジアミン成分の溶解性が不充分となり、充分な重合度のポリアミド酸が得られなかったり、非常に長い重合時間を要するという課題があった。
【0008】
【非特許文献1】
繊維学会誌43巻、78頁(1987)
【0009】
【非特許文献2】
高分子論文集Vol.56,No.5,PP282〜290
【0010】
【非特許文献3】
Polymer Preprint Japan,Vol.141,No.9(1992)3752頁
【0011】
【特許文献1】
特開平1−282219号公報 1頁
【0012】
【特許文献2】
特開平6−172529号公報 1頁
【0013】
【特許文献3】
特開2001−302821号公報 1頁
【0014】
【特許文献4】
特開2002−030519号公報 1頁
【0015】
【特許文献5】
WO01/81456号
【0016】
【特許文献6】
特開平05−237928号公報 1頁
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、二軸方向にバランスのとれた高ヤング率の二軸配向ポリイミドフィルムを製造するに際し、色相に優れた二軸配向ポリイミドフィルムを安定して製造する方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記工程(1)〜(4)
(1)芳香族ジアミン成分をN,N−ジメチルアセトアミドに添加し、5℃以上165℃以下にして、完全溶解せしめた後に冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分の一部が微粉末状に析出せしめた懸濁液に芳香族テトラカルボン酸成分を添加、反応せしめ、ポリアミド酸溶液を調製する、
(2)得られたポリアミド酸溶液と脱水剤と反応せしめ、ポリアミド酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲルフィルムを形成する、
(3)得られたゲルフィルムを支持体から分離し、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、二軸延伸する、
(4)得られた二軸延伸ゲルフィルムを、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する、
の工程から成る二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法である。
以下、本発明について詳細を説明する。
【0019】
本発明の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法は、下記の工程(1)〜(4)から成る。
(1)芳香族ジアミン成分をN,N−ジメチルアセトアミドに添加し、5℃以上165℃以下にして、完全溶解せしめた後に冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分の一部が微粉末状に析出せしめた懸濁液に芳香族テトラカルボン酸成分を添加、反応せしめ、ポリアミド酸溶液を調製する。
(2)得られたポリアミド酸溶液と脱水剤と反応せしめ、ポリアミド酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲルフィルムを形成する。
(3)得られたゲルフィルムを支持体から分離し、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、二軸延伸する。
(4)得られた二軸延伸ゲルフィルムを、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する。
【0020】
まず、工程(1)について説明する。工程(1)において、芳香族ジアミン成分をN,N−ジメチルアセトアミドに添加し、加温して完全溶解せしめた後に冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分の一部が微粉末状に析出せしめた懸濁液に芳香族テトラカルボン酸成分を添加、反応せしめ、ポリアミド酸溶液を調製する。
【0021】
工程(1)における芳香族ジアミン成分としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラセン、2,7−ジアミノアントラセン、1,8−ジアミノアントラセン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノ(m−キシレン)、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノトルエンベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)アミンビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミンビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミンビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、1,1−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等およびそれらのハロゲン原子あるいはアルキル基による芳香核置換体が挙げられる。
【0022】
上記の芳香族ジアミン成分は二種以上を同時に併用することもできる。また、好ましい芳香族ジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンが例示される。更に好ましい芳香族ジアミン成分としては、全ジアミン成分に基づき、p−フェニレンジアミンが30〜100モル%であることが、二軸配向ポリイミドフィルムの弾性率として、例えば5GPa以上といった高弾性率特性を発現する為に好ましい。p−フェニレンジアミン30モル%以上とすることで、二軸配向ポリイミドフィルムの弾性率として、例えば5GPa以上といった高弾性率特性が発現されるといった良好な機械物性が得られる。更に好ましくは40〜100モル%以上である。この場合、p−フェニレンジアミン以外の他の芳香族ジアミン成分としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンが好ましい。これらの中でも、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが特に好ましい。また、芳香族ジアミン成分の実質的な形態としては、芳香族ジアミンの他、芳香族ジアミンのアミド酸形成性誘導体でもよい。例えば芳香族ジアミン成分のアミノ基の一部又は全てがトリアルキルシリル化されていてもよく、酢酸の如く脂肪族酸によりアミド化されていても良い。この中でも、実質的に芳香族ジアミンを用いることが好ましい。
【0023】
芳香族テトラカルボン酸成分としては、例えばピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,9,10−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ピリジン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物等が挙げられる。
【0024】
この中でも、好ましい芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリット酸単独からなるかあるいはピロメリット酸および上記の如きそれと異なる芳香族テトラカルボン酸との組み合わせからなるものが例示される。より具体的には、全テトラカルボン酸成分に基づき、ピロメリット酸二無水物が50〜100モル%であることが好ましい。ピロメリット酸二無水物50モル%以上とすることで、二軸配向ポリイミドフィルムの弾性率として、例えば5GPa以上といった高弾性率特性が発現されるといった良好な機械物性が得られる。好ましくはピロメリット酸二無水物が70〜100モル%であり、更に好ましくは90〜100モル%であり、ピロメリット酸二無水物単独で用いることが特に好ましい。また、芳香族テトラカルボン酸成分は二無水物以外でも構わない。例えば、芳香族テトラカルボン酸成分の一部又は全部がジカルボン酸ハロゲン化物ジカルボン酸アルキルエステル誘導体であっても構わない。芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
【0025】
以上のことから、芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分との組み合わせとしては、例えば、芳香族ジアミン成分がp−フェニレンジアミン単独から成るあるいはp−フェニレンジアミン30モル%以上100モル%未満とそれ以外の他の芳香族ジアミン50モル%以下から成り、かつ芳香族テトラカルボン酸成分がピロメリット酸二無水物単独から成る組み合わせの場合が、例えば弾性率が10GPa以上といった特に優れた機械物性が得られる点から、特に好ましい例として挙げることができる。その他の芳香族ジアミンの好ましい例としては、前述の通り、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンが挙げられ、このうち3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが特に好ましい。
【0026】
工程(1)において用いられる有機極性溶媒は、N,N−ジメチルアセトアミドである。ここで、他の有機極性溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)を用いると、例えば、熱処理時に焼けなどが起こり、最終的に得られる2軸配向ポリイミドフィルムの色相が著しく悪くなり、フィルム表面に黒色点・黒色斑といった黒色色相異常が多く発生してしまう。
【0027】
ポリアミド酸重合反応の手順としては、まず、芳香族ジアミン成分をN,N−ジメチルアセトアミドに添加し、5℃以上165℃以下にして、完全溶解せしめた後に冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分の一部が微粉末状に析出せしめた懸濁液を得る。次いで、該懸濁液に芳香族テトラカルボン酸成分を添加反応せしめて、ポリアミド酸溶液を調製する必要がある。ここで、芳香族ジアミン成分を完全溶解させ、その後微粉末状に析出させるという手順を省略すると反応時に白色不溶性成分が残り、充分な重合度が得られないばかりか、均質透明なポリアミド酸溶液が得られなくなる。従って、芳香族ジアミン成分を完全に溶解した後に、一旦、析出させて微細かつ均質な懸濁状態を得ることで、初めて、好適なポリアミド酸重合が達成できる。特に本発明において用いられる芳香族ジアミン成分の必須成分であるp−フェニレンジアミンは溶解度が低いことに加え、得られるポリアミド酸の熱安定性の観点より重合温度は比較的低温が好まれることから、懸濁液での反応が必須となる。完全溶解させる為の温度は、5℃以上165℃以下の範囲で芳香族ジアミン成分組成や濃度により適宜選定できる。5℃未満の場合、完全溶解することが困難な場合がある。165℃より高い場合は有機極性溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミドが揮発してしまう。好ましくは、10℃以上130℃以下であり、更に好ましくは、15℃以上100℃以下である。完全溶解させる方法・形態としては、特に限定しないが、例えば、予め上記のごとく温度に温調されたN,N−ジメチルアセトアミドへ芳香族ジアミン成分を添加してもよく、芳香族ジアミン成分を添加した後、所定の温度とし間然溶解せしめることもできる。次いで得られた溶液を冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分が微粉末状に析出するようにする。この時、冷却速度や冷却温度は微細粉末状の懸濁液が得られる様、適宜好適な条件を選択することができる。例えば、後述する重合時の反応温度までそのまま冷却しても良いし、一旦、0℃以下といった重合時の反応温度より低い温度まで冷却し懸濁液を得てから、重合に供してもよい。懸濁液とは溶液中の芳香族ジアミン成分の一部が溶解度限界に達することにより、析出した状態であり、目視にて簡単に確認できる。また、懸濁度合いについては、特に限定しないが、懸濁液が充分攪拌できる範囲である。更には、予め重合濃度よりも高い濃度で、上記の如く、完全溶解せしめた溶液を冷却し、析出させた懸濁液を好ましい温度に調整した後、適宜、N,N−ジメチルアセトアミドにて希釈して、重合に供してもよい。
【0028】
芳香族テトラカルボン酸成分の添加は、固体のまま添加でも、N,N−ジメチルアセトアミド溶液として添加しても構わない。また、一度に所望の量を添加しても、2回以上に分割し、多段で逐次添加しても構わない。芳香族テトラカルボン酸成分を添加し、ポリアミド酸重合反応は、一旦、析出した芳香族ジアミン成分が溶解しながら進行し、重合途中にて、芳香族ジアミン成分は完全に溶解し、析出物が消失し、透明で均質な反応液が得られる。
【0029】
芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分との仕込み比は、下記式(I)
0.90≦ B/A ≦ 1.10・・・(I)
を満たすことが好ましい。ここで、上記式(I)中、Aは芳香族ジアミン成分全仕込み量のモル数、Bは芳香族テトラカルボン酸成分全仕込み量のモル数を表わす。B/Aの値が上記式(I)の範囲外となると、充分な重合度が得られなくなり好ましくない。より好ましくはB/Aの値が0.95〜1.05であり、更に好ましくは0.97〜1.03である。
【0030】
ポリアミド酸の還元粘度(ml/g)は特に限定されるものではないが、例えば、1wt%塩化リチウム/NMP溶液を溶解液として用いて、ポリマー濃度0.05wt%にて、温度0℃にて測定した時、1〜30ml/gであることが、成形加工性の観点から好ましい。より好ましくは、2〜20ml/gである。
【0031】
各原料の仕込み方法については特に限定はなく、添加順序や添加方法は従来公知のいずれの方法でもよい。好ましくは、芳香族ジアミン成分を先ず有機極性溶媒に溶解し、次いで所望の反応温度にて芳香族テトラカルボン酸成分を添加し、重合させる。芳香族テトラカルボン酸成分の添加は1段で規定量添加しても、複数回に分割して、添加してもよい。特に反応熱による反応温度制御が困難な場合は、複数回に分割することが好ましい。
【0032】
工程(1)において得られるポリアミド酸溶液の濃度が1〜40wt%であることが好ましい。濃度が1wt%未満の場合、ポリアミド酸の粘度が低すぎて、工程(2)において支持体上に流延することが困難となり、40wt%より高濃度になると、反対に粘度が高すぎて、流動性が低くなり、支持体上に流延することが困難となったり、均一の厚みに流延することが困難となることがある。好ましい濃度は1〜35wt%であり、更に好ましくは2〜30wt%である。
【0033】
該ポリアミド酸の重合時の反応温度は、特に限定されるものではない。従来公知の範囲でよいが、−30℃以上、40℃以下が好ましい。−30℃未満の場合、充分な反応速度が得られず、好ましくない。また、40℃より高いと、部分的にイミド化が起きたり、副反応が発生したりする為、安定してポリアミド酸が得られなくなる場合がある。好ましくは10℃以上、30℃以下であり、更に好ましくは、0℃以上20℃以下である。
【0034】
本発明の工程(1)は低湿度条件で行われることが好ましい。例えば、窒素、アルゴンといった低湿度不活性ガス雰囲気下や、乾燥空気雰囲気下が好ましい。また、工程1において用いられる原料や溶媒も出来るだけ乾燥させたものを用いることが好ましい。
【0035】
該ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の末端は封止されることが好ましい。末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、酸無水物成分としては、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体、アミン成分としてはアニリン及びその置換体が好ましい例として挙げられる。この中でも、無水フタル酸およびその置換体及び/又はアニリン及びその置換体が特に好ましい例として挙げることが出来る。また末端封止剤の添加タイミングは特に限定されず、ポリアミド酸の重合原料仕込み時、重合途中、重合終了時のいずれに添加しても良い。添加量は実質的重合が停止し且つポリアミド酸溶液の粘度が安定する為に必要な量でよく、簡単な実験をすることで、好適な添加量を判断することができる。
【0036】
工程(2)について説明する。工程(2)では、上記工程(1)にて得られたポリアミド酸溶液と脱水剤と反応せしめ、ポリアミド酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲルフィルムを形成する。
【0037】
脱水剤との反応によるゲルフィルムを得る為の具体的方法としては、ポリアミド酸溶液を流延した後、脱水剤溶液に浸漬して反応させる方法、あるいは脱水剤をポリアミド酸溶液に添加してから流延し、その後、加熱により反応させる方法とが挙げられる。そこで具体的方法2つについて説明する。
【0038】
先ず、第一の方法として、上記(1)で調製した溶液を支持体上に流延して得られたフィルムを支持体と一緒に、脱水剤をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解してなる溶液中に浸漬し、脱水剤と反応せしめゲルフィルムを得る方法である。この溶液を調製するための脱水剤としては、カルボジイミド化合物又は、無水酢酸と有機アミン化合物との併用が挙げられる。
【0039】
カルボジイミド化合物を用いる場合、カルボジイミド化合物としてはジアルキルカルボジイミドが好ましく、より具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが挙げられる。カルボジイミド化合物の濃度は特定するものではないが、反応を十分に進行させるためには、好ましくは0.5重量%以上99重量%以下である。また、反応温度は、特に規定するものではないが、溶液の凝固点以上、沸点以下の温度を用いることができる。
【0040】
無水酢酸と有機アミン化合物との併用の場合、用いられる有機アミン化合物は無水酢酸とポリアミック酸の反応触媒として働くものであり、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミンといった三級脂肪族アミン;N,N−ジメチルアニリン、1,8−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレンの如き芳香族アミン、ピリジンおよびその誘導体、ピコリンおよびその誘導体、ルチジン、キノリン、イソキノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、N,N−ジメチルアミノピリジンの如き複素環式化合物を用いることができる。このなかで経済性からはピリジンおよびピコリンが好ましい。またトリエチレンジアミンおよびN,N−ジメチルアミノピリジンは無水酢酸との組み合わせにおいて、極めて高いイミド基分率が実現可能であり、水に対する耐性の高いゲルフィルムを与えることから好ましく用いられる。この際、有機アミン化合物の無水酢酸に対する量としては特に既定するものではないが、0.5モル%以上より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは、50モル%である。また、溶液中の無水酢酸の濃度は特定するものではないが、反応を十分に進行させるためには、好ましくは0.5重量%以上99重量%以下である。さらに好ましくは30重量%以上99重量%である。また、反応温度は、特に規定するものではないが、混合溶液中の凝固点以上、沸点以下の温度を用いることができる。
【0041】
このポリアミド酸溶液の製膜方法としてはダイ押し出しによる工法、アプリケーターを用いたキャスティング、コーターを用いる方法などが例示される。ポリアミド酸の流延に際して支持体として金属性のベルト、キャステイングドラムなどを用いることができる。またポリエステルやポリプロピレンのような有機高分子フィルム上に流延しそのまま脱水剤溶液に導入することもできる。
脱水剤との反応によるゲルフィルムを得るための第二の具体的方法としては、上記工程(1)で調製したポリアミド酸溶液に、無水酢酸と有機アミン化合物を添加して得られる組成物を支持体上に流延し、次いで、流延された組成物を20〜100℃に加熱し、ゲルフィルムを得る方法が挙げられる。より具体的には、上記工程(1)で調整したポリアミド酸溶液に先ず、有機アミン化合物を添加混合する。有機アミン化合物としては、上記第一の方法にて説明したものと同じ物が挙げられ、ピリジンが特に好ましい。有機アミン化合物の添加量は、ポリアミド酸繰り返し単位1モルに対し、0.1〜20モルの範囲である。0.1モル未満の場合、充分な添加効果が得られない。また10モルより多いと得られる組成物の粘度が低下し好ましくない。より好ましくは0.5〜10モルの範囲である。ポリアミド酸溶液と有機アミン化合物との混合温度は−30〜30℃の範囲であることが好ましい。混合温度が30℃より高い場合、ポリアミド酸が粘度安定性に欠ける為、好ましくない。−30℃未満である場合は、ポリアミド溶液の粘度が著しく高く混合することが困難となる場合がある。より好ましくは、−25〜10℃の範囲である。また、この時、必要に応じて、有機アミン化合物の揮発を抑制する為、酢酸を更に添加してもよい。酢酸を添加する場合、有機アミン化合物と酢酸の添加方法や順序は限定しないが、予め、有機アミン化合物と酢酸との塩を形成せしめて添加する方法が好ましい。酢酸の量は特に限定しないが、有機アミン化合物1モルに対し、酢酸4モル以下である。好ましくは2モル以下である。次に得られた溶液に無水酢酸を混合する。無水酢酸量は、ポリアミド酸繰り返し単位の1モルに対して0.1〜20モルの割合で用いられることが好ましい。0.1モル未満では反応が不充分となり、得られるゲルフィルムが脆いものとなる。10モルより多いと、粘度低下を起こしたり、溶解性低下によるゲルフィルムの失透が生じることがある。好ましくは0.5〜10モルである。無水酢酸の混合温度は、―30〜30℃の範囲で行なわれるのが好ましい。混合温度が30℃より高い場合、ポリアミド酸が粘度安定性に欠ける為、好ましくない。−30℃未満である場合は、ポリアミド溶液の粘度が著しく高く混合することが困難となる場合がある。より好ましくは、−25〜10℃の範囲である。これら、有機アミン化合物や無水酢酸の混練には、従来公知の何れの方法を用いることもできる。例えば、連続式混練の場合、ニーダーやエクストルーダー、スタティックミキサー、バンバリーミキサーなどを用いる方法が例示される。また、バッチ式混練の場合攪拌機を備えた容器にて混練することもできる。上記の如くポリアミド酸溶液に添加混練される有機アミン化合物及び無水酢酸は、そのまま添加しても、N,N−ジメチルアセトアミドに希釈して添加してもよい。
【0042】
これらの工程(2)は、低湿度雰囲気下で行うことが好ましい。この工程(2)においてポリアミド酸を脱水剤と反応させることで、均質かつ高度に膨潤した延伸性に富む未延伸ゲルフィルムを得ることができる。
【0043】
この工程(2)において、ポリアミック酸の少なくとも1部がポリイソイミドに変換されたゲル状フィルムが形成される。ゲルフィルムのイソイミド基分率が2%以上であるとき高い延伸倍率が得られ好ましい。より好ましくはイソイミド基分率が3%以上であり、更に好ましくは、10%以上である。このようにして工程(2)において、均質かつ高度に膨潤した延伸安定性に富む未延伸ゲルフィルムを得るところに最大の特徴の1つを有すると言える。このゲルフィルムのイソイミド基分率とイミド基分率との詳細な算出方法は後述するが、赤外吸収スペクトルから容易に算出することが出来る。
【0044】
次いで工程(3)について説明する。工程(3)では、工程(2)にて得られたゲルフィルムを支持体から分離し、必要に応じて洗浄した後、二軸延伸する。支持体から分離されたゲルフィルムは、必要に応じて、脱水剤、脱水剤反応生成物などの除去を目的として、洗浄を行うことができる。また、ゲルフィルムの洗浄を行うことが好ましい。洗浄を必要とする場合には、洗浄用溶剤としてN,N−ジメチルアセトアミドを用いる。N,N−ジメチルアセトアミドを用いて洗浄することにより、色相に優れたポリイミドフィルムが得られる。
【0045】
延伸は、縦横それぞれの方向に1.03〜10.0倍の倍率で延伸することができる。延伸温度は、特に限定するものではないが、溶剤が揮発し延伸性が低下しない程度であればよく、例えば−20〜180℃が好ましく、−10〜160℃がより好ましく、0〜140℃が特に好ましい。なお、延伸は逐次あるいは同時二軸延伸のいずれの方式で行ってもよい。延伸は溶剤中、空気中、不活性雰囲気中、また低温加熱した状態でもよい。
【0046】
工程(3)で二軸延伸に供されるゲルフィルムの膨潤度は特に限定されるものではないが、150〜5000%であることが好ましい。これにより良好な延伸性が得られる。50%以下では延伸性が不十分であり、5000%以上ではゲルフィルムの強度が低下しハンドリングが困難となる。
【0047】
最後に工程(4)について説明する。工程(4)では、工程(3)にて得られた二軸延伸ゲルフィルムを、必要に応じ洗浄した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する。
【0048】
二軸延伸ゲルフィルムは熱処理前に、例えば、有機極性溶媒、脱水剤、脱水剤反応生成物などを除去することなどを目的として、必要に応じて、洗浄することができる。この際用いられる洗浄用溶剤はN,N−ジメチルアセトアミドを用いる。その他の洗浄溶剤として、例えばN−メチル−2−ピロリドンなどを用いた場合、得られるポリイミドフィルムの色相が低下する。また、N,N−ジメチルアセトアミド以外の溶媒を用いた場合、回収し、分離する等の工程を要し、コスト高となる。
【0049】
二軸延伸ゲルフィルムの熱処理方法としては熱風加熱、真空加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱の他、熱板、ホットロールを用いた接触による加熱などが例示できる。この際、段階的に温度をあげることでイミド化を進行させることが好ましい。
【0050】
この熱処理は定長ないし緊張下にて行うことが、得られる二軸配向ポリイミドフィルムの例えば5GPa以上といった高弾性率などの機械物性を発現させる上で、好ましい。更に、熱処理の最終温度又は最高温度が300〜550℃の温度で実施することが好ましい。これより低いと充分なイミド化が進行しなかったり、充分なイミド化をする為に長時間を要する為、好ましくない。550℃より高いと二軸配向ポリイミドフィルムの分解が起こり、物性や品質の低下が起こることがあり、好ましくない。熱処理温度の時間は特に限定されるものではないが、実質的に、1秒以上5時間以内である。
【0051】
【発明の効果】
上記の如くして、N,N−ジメチルアセトアミドを有機極性溶媒として用いる、さらに洗浄処理を行うときは洗浄溶剤としても用いることにより、色相の優れた二軸配向ポリイミドフィルムを安定して製造することが可能となる。また、このようにして得られた二軸配向ポリイミドフィルムは分子鎖がフィルム面内に効果的な配向構造を形成し、面内物性バランスの優れた高弾性ポリイミドフィルムとなる。更に該ポリイミドは高弾性率であるばかりでなく、本発明の方法によれば、耐熱性、機械的特性に優れ、さらに低吸湿率である剛直ポリイミドフィルムを得ることができる。また、上記の如くして得られた本発明のポリイミドフィルムは厚みが10μm程度といった極薄いフィルムであっても、充分な剛性を有することから、電子用途、例えば銅箔が積層された電気配線板の支持体といった電子実装用途を始め、フレキシブル回路基板、TAB(テープオートメイテッドボンディング)用テープ、LOC(リードオンチップ)用テープの支持体として用いることもできる。また、電気記録テープのベースとして用いることができる。以上のように、本発明のポリイミドフィルムは各種工業用用途に好適に用いることが出来る。
【0052】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細且つ具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0053】
尚、ポリアミック酸の還元粘度は1wt%塩化リチウム/NMP溶液を溶解液として用いて、ポリマー濃度0.05%(g/ml)にて、温度0℃にて測定したものである。
【0054】
また、強伸度およびヤング率は50mm×10mmのサンプル用い、引張り速度5mm/分にて、オリエンテックUCT−1Tにより測定を行ったものである。
【0055】
イソイミド基分率およびイミド基分率は、フーリエ変換赤外分光計(Nicolet Magna 750)を用いて、反射法により測定し、得られた結果から、下記(III)
【0056】
【数1】
イソイミド基分率(%)=(A920/A1024)/11.3×100・・・(III)
A920 :サンプルのイソイミド結合由来ピーク(920cm−1)の吸収強度
A1024:サンプルのベンゼン環由来ピーク(1024cm−1)の吸収強度
から算出した。
【0057】
[比較例1]
温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)15Lを入れ、さらにp−フェニレンジアミン199gを加えた後に完全に溶解し、その後、氷浴下冷却した。この冷却したジアミン溶液に無水ピロメリット酸二無水物401gを添加し一時間反応させた。この際、p−フェニレンジアミン仕込みモル数に対するピロメリット酸二無水物添加モル数の比(B/A)は、0.999であった。さらに室温下3時間反応後、アニリン0.11gを添加しさらに60分反応させ4wt%ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸の還元粘度は10.6ml/gであった。
【0058】
このアミド酸溶液の一部をガラス板上に厚み1.5mmのドクターブレードを用いてキャストし、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)濃度28wt%のNMP溶液からなるDCC浴に導入し8分反応固化させたのちガラス板から剥離し、さらに12分反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は33%であった。
【0059】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるNMPに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ2.3倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは7.1μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について18.3GPaおよび17.8GPa、引張り強度はそれぞれ378MPaおよび381MPa、伸度はそれぞれ2.4%および2.1%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は18個であった。
【0060】
[比較例2]
比較例1にて調整された4wt%ポリアミド酸溶液(還元粘度10.6ml/g)の一部をガラス板上に厚み1.5mmのドクターブレードを用いてキャストし、組成比が無水酢酸600ml、ピリジン300ml及びNMP800mlからなる溶液に浸漬し、35℃/8分反応固化させた後、ガラス板から剥離し、さらに12分反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は18%であった。
【0061】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるNMPに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ1.7倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは12.1μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について17.5GPaおよび17.1GPa、引張り強度はそれぞれ394MPaおよび388MPa、伸度はそれぞれ4.1%および3.3%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は21個であった。
【0062】
[比較例3]
比較例1にて調整された4wt%ポリアミド酸溶液(還元粘度10.6ml/g)の一部を攪拌機と冷却ジャケットを有する容器に仕込み、−20℃に冷却した。そして、ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対し4モルの割合となる量のピリジンを添加し、均一になるまで15分混練した。更に、ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対し4モルの割合となる量の無水酢酸を添加し、均一になるまで、20分攪拌混練した。得られた組成物を、ギヤポンプにてダイ押出しを行い、ポリプロピレンフィルム上に厚み1.5mmのキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムを40℃、1時間窒素雰囲気下にて加熱反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は12%であった。
【0063】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるNMPに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ1.7倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは11.3μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について19.1GPaおよび18.6GPa、引張り強度はそれぞれ404MPaおよび393MPa、伸度はそれぞれ2.7%および3.0%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は16個であった。
【0064】
[比較例4]
温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)15Lを入れ、さらにp−フェニレンジアミン199gを加えた。この時、p−フェニレンジアミンは完全には溶解しなかった。そのままその後、氷浴下冷却した。この冷却したジアミン溶液に無水ピロメリット酸二無水物401gを添加し一時間反応させた。この際、p−フェニレンジアミン仕込みモル数に対するピロメリット酸二無水物添加モル数の比(B/A)は、0.999であった。しかしながら、部分的には重合反応が進行していることを反応熱の発生から確認したが、反応溶液中に多くの白色不溶成分が析出し、反応開始後5℃にて5時間後においても白色不溶成分は消失せず、充分な粘性が得られなかった。さらに室温下10時間反応したが、やはり白色不溶成分が残り、反応溶液を製膜に供することは不可能であった。
【0065】
[実施例1]
温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)15Lを入れ、さらにp−フェニレンジアミン199gを加えた後に35℃に加温し、一旦、完全に溶解した。その後、氷浴下、攪拌しながら冷却し、溶液温度を5℃とした。この時、p−フェニレンジアミンの一部が微細粉末状に析出し、均質な懸濁液が得られた。この冷却した芳香族ジアミン/DMAc懸濁液に無水ピロメリット酸二無水物401gを添加し一時間反応させた。この際、p−フェニレンジアミン仕込みモル数に対するピロメリット酸二無水物添加モル数の比(B/A)は、0.999であった。さらに室温下3時間反応後、アニリン0.11gを添加しさらに60分反応させ4wt%ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸の還元粘度は9.9ml/gであった。
【0066】
このアミド酸溶液の一部をガラス板上に厚み1.5mmのドクターブレードを用いてキャストし、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)濃度28wt%のDMAc溶液からなるDCC浴に導入し8分反応固化させたのちガラス板から剥離し、さらに12分反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は31%であった。
【0067】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるDMAcに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ2.3倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは7.6μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について17.9GPaおよび18.6GPa、引張り強度はそれぞれ392MPaおよび391MPa、伸度はそれぞれ3.7%および4.3%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は0個であった。
【0068】
[実施例2]
実施例1にて調整された4wt%ポリアミド酸溶液(還元粘度9.9ml/g)の一部をガラス板上に厚み1.5mmのドクターブレードを用いてキャストし、組成比が無水酢酸600ml、ピリジン300ml及びDMAc800mlからなる溶液に浸漬し、35℃/8分反応固化させた後、ガラス板から剥離し、さらに12分反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は14%であった。
【0069】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるDMAcに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ1.7倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは11.9μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について16.9GPaおよび18.2GPa、引張り強度はそれぞれ387MPaおよび372MPa、伸度はそれぞれ3.6%および4.1%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は1個であった。
【0070】
[実施例3]
実施例1にて調整された4wt%ポリアミド酸溶液(還元粘度9.9ml/g)の一部を攪拌機と冷却ジャケットを有する容器に仕込み、−20℃に冷却した。そして、ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対し4モルの割合となる量のピリジンを添加し、均一になるまで15分混練した。更に、ポリアミド酸の繰り返し単位1モルに対し4モルの割合となる量の無水酢酸を添加し、均一になるまで、20分攪拌混練した。得られた組成物を、ギヤポンプにてダイ押出しを行い、ポリプロピレンフィルム上に厚み1.5mmのキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムを40℃、1時間窒素雰囲気下にて加熱反応させ、ゲルフィルムを得た。このゲルフィルムのイソイミド基分率は16%であった。
【0071】
該ゲルフィルムを膨潤溶媒であるDMAcに室温下15分浸漬により、洗浄した後、チャックで固定し直交する二方向にそれぞれ1.7倍の倍率で室温にて、同時二軸延伸した。得られた二軸延伸ゲルフィルムをチャックで延伸されたままの状態で、金枠で挟み、定長に固定し、そのまま、200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、二軸配向ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは11.3μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について19.6GPaおよび17.9GPa、引張り強度はそれぞれ411MPaおよび378MPa、伸度はそれぞれ2.7%および4.5%であった。得られた2軸配向ポリイミドフィルムの10×10cm内に存在する表面の黒色点・黒色斑といった黒色色相異常個所の数は1個であった。
【0072】
以上の実施例1〜3から明らかなように、有機極性溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用いることにより、N−メチル−2−ピロリドンのごとく他の有機極性溶媒を用いる比較例1〜3に較べ、著しく、色相に優れ、かつ機械物性の優れた高品質の二軸配向ポリイミドフィルムを安定して製造することができる。
Claims (10)
- 下記工程(1)〜(4)
(1)芳香族ジアミン成分をN,N−ジメチルアセトアミドに添加し、5℃以上165℃以下にして、完全溶解せしめた後に冷却し、一旦、芳香族ジアミン成分の一部が微粉末状に析出せしめた懸濁液に芳香族テトラカルボン酸成分を添加、反応せしめ、ポリアミド酸溶液を調製する、
(2)得られたポリアミド酸溶液と脱水剤と反応せしめ、ポリアミド酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲルフィルムを形成する、
(3)得られたゲルフィルムを支持体から分離し、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、二軸延伸する、
(4)得られた二軸延伸ゲルフィルムを、必要に応じN,N−ジメチルアセトアミドで洗浄した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する、
の工程から成る二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。 - 工程(2)において用いられる脱水剤が無水酢酸および有機アミン化合物であることを特徴とする請求項1記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(1)において用いられる芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分が実質的に、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物であることを特徴とする請求項1又は2記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(1)において用いられる芳香族テトラカルボン酸成分の50〜100モル%がピロメリット酸成分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(1)において用いられる芳香族ジアミン成分の30〜100モル%がp−フェニレンジアミン成分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(1)において得られるポリアミド酸溶液の濃度が1〜40wt%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(2)において得られるゲルフィルムのイソイミド基分率が2%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(3)において行なわれるゲルフィルムの二軸延伸における延伸倍率が、縦、横それぞれ方向に付き1.03〜10倍であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(4)における熱処理を定長ないし緊張下にて熱処理を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
- 工程(4)における熱処理の最高温度が300〜550℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
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- 2003-01-20 JP JP2003010784A patent/JP2004224810A/ja active Pending
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