JP2004123553A - ピロロトリアゾール化合物の製造方法、ピロロトリアゾール化合物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents
ピロロトリアゾール化合物の製造方法、ピロロトリアゾール化合物及びハロゲン化銀カラー写真感光材料 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物と下記一般式(II)で表される化合物とを反応させる下記一般式(III)で表される1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物の製造方法。
【化1】
式中、R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表す。R4は、−COR41又は−CO2R42を表す。ここでR41及びR42は各々独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。R5は−COR51、−CO2R52、−CONR53R54などを表す。ここでR51〜R54は各々独立に水素原子、アルキル基などを表す。R53とR54は互いに結合して環を形成してもよい。Xはハロゲン原子を表す。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬・農薬等の生理活性物質の合成中間体、写真用カプラー、熱転写色素供与材料用色素および固体撮像管やカラー液晶テレビ用フィルター色素の前駆体として有用な1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物の製造法に関するものである。更に、本発明は新規な1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物、特に色素形成カプラーまたはその合成中間体として有用な1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物に関するものであり、該化合物を含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物は写真用マゼンタカプラー、マゼンタ染料、シアンカプラー、医薬合成用中間体等で有用であり、例えば、特許文献1〜3等に記載されている。
特に、特許文献4及び5に記載されている化合物は、写真用シアン色素形成カプラーとしては、従来のシアン色素形成カプラーよりも優れてはいるものの、日進月歩の技術進歩により、求められる性能レベルが高まり、特に、更なる発色性の向上が求められていた。
一方、これらの公報に記載されている1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物の6位及び7位に電子吸引基を有する化合物の合成方法は、必ずしも効率的であるとは言い難く、高効率な製造方法が望まれていた。また、特許文献6及び7に記載されている方法では、合成原料に使用する酸ハライドの量が多く、特に高価な酸ハライドを用いる場合、安価に製造することが困難であった。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第4,358,457号明細書
【特許文献2】
米国特許第4,962,202号明細書
【特許文献3】
米国特許第4,910,127号明細書
【特許文献4】
特開平9−189988号公報
【特許文献5】
特開2002−174885号公報
【特許文献6】
特開平7−48376号公報
【特許文献7】
特開平10−195077号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は医薬・農薬等の生理活性物質の合成中間体、写真用カプラー、熱転写色素供与材料用色素および固体撮像管やカラー液晶テレビ用フィルター色素の前駆体として有用な1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物の高効率、高収率でかつ安価な製造法を提供するものである。更に、本発明は新規な1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物、特に色素形成カプラーまたはその合成中間体として有用な1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物を提供するものである。また、新規な色素形成カプラーにより発色性を改良したハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、トリアゾール化合物を安価な酸ハライドを用いて分子内で縮合させることにより、下記一般式(I)で表される1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物を得、これと一般式(II)で表される化合物を反応させて一般式(III)で表される1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物に変換する製造方法が有用であることを見出した。また、これに加えて、新規な1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物により、前述の本発明の目的が達成できることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至ったものである。
即ち、
(1)下記一般式(I)で表される化合物と下記一般式(II)で表される化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(III)で表される1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物の製造方法。
【0006】
【化5】
【0007】
式中、R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表す。R4は、−COR41又は−CO2R42を表す。ここでR41及びR42は各々独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。R5は−COR51、−CO2R52、−CONR53R54、−SO2R55又は−P(O)R56R57を表す。ここでR51〜R55は各々独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R56及びR57は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。R53とR54は互いに結合して環を形成してもよい。Xはハロゲン原子を表す。
(2)前記反応において、更に塩基類を存在させることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3)下記一般式(C)で表される化合物。
【0008】
【化6】
【0009】
式中、Ra及びRbは各々独立にアルキル基を表す。
(4)下記式(CA)で表される化合物。
【0010】
【化7】
【0011】
(5)下記一般式(C)で表される化合物を少なくとも一種含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0012】
【化8】
【0013】
式中、Ra及びRbは各々独立にアルキル基を表す。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳しく説明する。
最初に、本発明で使用する化合物、もしくは本発明の化合物を説明する。
前記一般式(I)〜(III)において、R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表す。これらの例としてはハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基等を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基等を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、及びシリル基が例として挙げられる。
【0015】
更に詳しくは、R1、R2、R3は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基)を表す。アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含する。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、
【0016】
ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族性のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0017】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、モノアシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、ジアシルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基及び/又は炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を有するジアシルアミノ基、例えば、ホルミルアセチルアミノ、アセチルベンゾイルアミノ、アセチルピバロイルアミノ、ラウロイルプロピオニルアミノ、ベンゾイルピバロイルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、
【0018】
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ、1−メチルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルフィニル基、または炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、
【0019】
アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
【0020】
アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、又はシリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表わす。
【0021】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の官能基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アリールスルホニルアミノアルキル基(例えば、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノプロピル)、アリールスルホニルアミノアリール基(例えば、m−(p−メチルフェニルスルホニルアミノ)フェニル)、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル)、アルキルスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
【0022】
R1の好ましい置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル、t−オクチル)、アルケニル基(例えば、ビニル、ヘキセニル)、アルキニル基(例えば、アセチニル、プロパルギル)、アリール基(例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、n−プロピルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル)、ホルミル基、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、カルボンアミド基(例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホニルアミド、エタンスルホニルアミド、ベンゼンスルホニルアミド)、カルバモイル基(例えば、ジメチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、ジオクチルアミノカルボニル)、スルファモイル基(例えば、メチルアミノスルホニル、ジエチルアミノスルホニル、n−ブチルアミノスルホニル)、ウレイド基(例えば、ジメチルアミノカルボニルアミノ、アニリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、i−ブトキシカルボニルアミノ)、アミノ基(例えば、アミノ、ジエチルアミノ、ジヘキシルアミノ)、イミド基(例えば、フタルイミド)、及びヘテロ環基(例えば、フリル、チエニル、モルホリノ)が挙げられ、これらの置換基はさらに置換されていても良い。
【0023】
R2及びR3は、好ましくはシアノ基又は−CO2R23である。ここで、R23は、アルキル基又はアリール基を表す。R23で表されるアルキル基、アリール基は、前述のR1、R2、R3の置換基として表されるところのアルキル基、アリール基と同義であり、−CO2R23は前述のアルコキシカルボニル基とアリールオキシカルボニル基である。R2及びR3は、同じであっても異なっていても良い。
【0024】
上記において、さらに好ましくは、R2はシアノ基であり、R3は−CO2 R23である。ここで好ましいR23はアルキル基(即ち、本発明においては、前述のように、アルキル基、シクロアルキル基である)であり、さらに好ましいR23は3級アルキル基(例えば、t−ブチル、t−オクチル、ジイソプロピルメチルメチル)又は、少なくとも2位及び6位がアルキル基で置換されたシクロヘキシル基(例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルシクロヘキシル、2,4,6−トリメチルシクロヘキシル)である。
【0025】
R4は、−COR41又は−CO2R42を表す。ここでR41及びR42は各々独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。R41又はR42で表されるアルキル基、アリール基はR1、R2、R3で表されるところのアルキル基、アリール基と同義である。R41として好ましくはメチル基、エチル基又はフェニル基であり、最も好ましくはメチル基である。R42として好ましくはメチル基又はフェニル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0026】
R5は−COR51、−CO2R52、−CONR53R54、−SO2R55又は−P(O)R56R57を表す。ここでR51〜R55は各々独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R56、R57は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表す。R51〜R57で表されるアルキル基、アリール基はR1、R2、R3で表されるところのアルキル基、アリール基と同義である。R56、R57で表されるアルコキシ基は、炭素数1〜36の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基であり、R1 のアルキル基が有してもよい置換基で置換されていてもよい。例えば、メトキシ、エトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ等の基である。R56、R57で表されるアリールオキシ基は、炭素数6〜45のアリールオキシ基であり、R1 のアリール基が有してもよい置換基で置換されていてもよい。例えば、フェノキシ、o−メチルフェノキシ、p−エチルフェノキシ等の基である。R53、R54は互いに同じであっても異なっていても良く、互いに結合して環を形成していても良い。R56、R57は互いに同じであっても異なっていても良く、互いに環を形成していても良い。
【0027】
R5は、−COR51〔好ましいR51は3級アルキル基(例えば、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル)又は、少なくとも2位及び6位がアルキル基で置換されたフェニル基(例えば、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル)]、−CO2R52及び−CONR53R54が好ましい。
【0028】
Xはハロゲン原子を表す。Xで表されるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特に塩素原子が好ましい。
【0029】
以下に詳細に説明する本発明の製造方法により製造することができる一般式(III)で表されるピロロトリアゾール化合物のうち、特に、前記一般式(C)で表される化合物は、色素形成カプラーとして有用であり、好ましい。
以下に、一般式(C)で表される化合物を説明する。
Ra及びRbは各々独立にアルキル基を表す。これらのアルキル基は置換基を有してもよく、この置換基としては、一般式(I)におけるR1〜R3で挙げた置換基が挙げられる。
Ra及びRbは、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜20までの無置換アルキル基がより好ましく、さらに好ましくは、炭素数1〜4の無置換アルキル基であり、最も好ましくは、炭素数2のアルキル基である。
【0030】
次に、本発明の前記一般式(III)で表される1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物の製造方法について説明する。
本発明において、前記一般式(I)で表される化合物と前記一般式(II)で表される化合物とを反応させるに当たり、塩基類を存在させることが好ましい。用いる塩基としては有機性の塩基や無機性の塩基が挙げられる。より好ましくはアルキルアミン類(第三級アミン類が好ましい)、ピリジン類、環状アミン類等の有機性の塩基であり、アルキルアミン類、ピリジン類が更に好ましく、ピリジン類が最も好ましい。
より具体的には、トリエチルアミン、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンが好ましく、さらに好ましくは、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルピリジンであり、最も好ましくはピリジンである。なお、ピリジン類とトリアルキルアミン類を併用することも好ましい。
【0031】
本反応において用いられる一般式(I)で表される化合物に対する塩基(好ましくはピリジン類)および一般式(II)で表される化合物のモル比(一般式(II)で表される化合物に対し)は0.01〜100、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは0.5〜1.5である。本反応において用いられる溶媒としては芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、ベンゼン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル)、エステル系溶媒(酢酸エチルなど)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン)等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒である。
【0032】
本発明における反応温度は、−78℃〜150℃、好ましくは−20℃〜100℃、さらに好ましくは0℃〜80℃である。本発明における反応時間は、1分〜72時間、好ましくは15分〜48時間、さらに好ましくは30分〜36時間である。
反応の添加順序に関しては、特に制限はないが、一般式(I)で表される化合物に、一般式(II)で表される化合物を添加し、塩基を添加するのが好ましい。
【0033】
本発明の製造方法に用いられる一般式(I)で表される1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物(合成原料)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
【化9】
【0035】
【化10】
【0036】
次に本発明の製造方法によって合成することができる一般式(III)で表される1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物の具体例を示すがこれらに限定されるものではない。
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】
【化13】
【0040】
【化14】
【0041】
なお、上記の化合物のうち、(1)〜(8)の化合物は、一般式(III)で表される化合物であるとともに、本発明の一般式(C)で表される化合物である。
【0042】
本発明の一般式(C)で表される化合物は、色素形成カプラーとして好ましく、特にハロゲン化銀カラー写真感光材料における色素形成カプラーとして使用するのが好ましい。これにより、特に発色性が改良されたハロゲン化銀感光材料を提供することができる。
好ましく適用されるハロゲン化銀カラー写真感光材料は、特開2002−174885号公報で説明されているハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
【0043】
前記式(CA)で表される化合物は、一般式(I)で表される化合物、特に一般式(C)で表される化合物を製造するのに有用な化合物である。前記式(CA)で表される化合物は、加水分解等の周知の方法により下記化合物(B)または(E)から合成することができる。
なお、本発明においては、前記式(CA)で表わされる化合物は、ケト−エノールの互変異性体及びエノール体の塩をも含むものである。
【0044】
【実施例】
次に本発明の実施例により、さらに詳細に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1(化合物(C)の合成)
下記の反応スキームで合成した。
【0045】
【化15】
【0046】
化合物(B)の合成
化合物(A)10g(18.3mmol)をトルエン40ml、N,N−ジメチルアセトアミド30mlに溶解、氷冷してこれに無水酢酸3.8ml(40.2mmol)、続いてピリジン3.3ml(40.8mmol)を滴下した。氷冷下にて1.5時間反応後、室温まで昇温し、HPLCにて定量すると反応率100%、収率98%にて(B)が生成していることが確認された。
【0047】
化合物(C)の合成
上記の反応で得られた化合物(B)の溶液を氷冷し、これに化合物(D)5.2g(22.3mmol)を添加し、続いてピリジン3.3ml(40.8mmol)を滴下した。滴下終了直後50℃に昇温して2時間反応後、トリエチルアミン5.1ml(36.6mmol)を加えさらに1時間反応させた。室温まで冷却した後、水30ml、濃塩酸10ml、酢酸エチル50mlを加え分液し、有機層を1N塩酸90ml、水90mlで順にそれぞれ2回づつ洗浄した。減圧下、溶媒留去した後、これをメタノール40ml、酢酸エチル12mlの混合溶媒から再結晶することで化合物(C)の白色結晶10g(収率76%)を得た。
【0048】
実施例2(化合物(F)の合成)
下記の反応スキームで合成した。
【0049】
【化16】
【0050】
化合物(E)の合成
化合物(A)10g(18.3mmol)をトルエン80mlに溶解、氷冷してこれにクロロ蟻酸メチル3.0ml(38.7mmol)、トリエチルアミン5.6ml(40.2mmol)を順に滴下する。氷冷したまま1時間攪拌後、室温まで昇温しHPLCにて定量すると反応率100%、収率95%にて化合物(E)が生成していることが確認された。
化合物(F)の合成
上記の反応で得られた化合物(E)の反応溶液を氷冷し、これに化合物(G)5.6g(22.3mmol)を添加し、続いてピリジン3.3ml(40.8mmol)を滴下した。滴下終了直後室温まで昇温してさらに1時間反応させた後、水30ml、濃塩酸10ml、酢酸エチル50mlを加え分液し、有機層を1N塩酸90ml、水90mlで順にそれぞれ2回づつ洗浄した。減圧下、溶媒留去した後、これをメタノール50mlから再結晶することで化合物(F)の白色結晶12g(収率88%)を得た。
【0051】
上記のように、安価な酸ハライドを用いて、安価、簡便かつ高収率で1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物を製造することができることが明らかとなった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、高効率、高収率でかつ安価に1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物を製造することができる。
本発明の1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物は、写真用マゼンタカプラー、マゼンタ染料、シアンカプラー、医薬合成用中間体等として有用である。
本発明の1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物を用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料は、発色性に優れた効果を奏する。
Claims (5)
- 下記一般式(I)で表される化合物と下記一般式(II)で表される化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(III)で表される1H−ピロロ−[1,2−b][1,2,4]トリアゾール化合物の製造方法。
- 前記反応において、更に塩基類を存在させることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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