JP2004030725A - 光ピックアップ装置の対物光学素子及び光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】同じ波長の光源を用いて、保護基板厚の異なる光ディスク間の互換を達成する光ピックアップ装置を提供すること。
【解決手段】保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置の対物光学素子において、該対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、少なくとも前記第3領域に、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置の対物光学素子。
【選択図】 図1
【解決手段】保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置の対物光学素子において、該対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、少なくとも前記第3領域に、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置の対物光学素子。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置、及び光ピックアップ装置に用いる対物光学素子に関するものであり、より詳しくは、複数の光情報記録媒体(光ディスク)の規格に対応できる光ピックアップ装置、及び光ピックアップ装置に用いる対物光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から現在にかけて、CD、DVDなどの光情報記録媒体(光ディスク、あるいはメディアともいう)に対して情報の再生・記録を行うための光ピックアップ装置(光ヘッド、光ヘッド装置などともいわれる)が開発・製造され、一般に普及している。
【0003】
また最近では、より高密度の情報記録を可能とした光情報記録媒体の規格についても研究開発が行われている。
そしてこのような光ピックアップ装置は、光源(主にレーザーダイオードが用いられる)から出射された光束を、ビーム整形プリズム、コリメータ、ビームスプリッタ、対物レンズ(対物光学素子ともいう)等の光学素子からなる光学系を介して光ディスクの情報記録面に集光させてスポットを形成し、記録面上の情報記録孔(ピットともいう)からの反射光を、再度光学系を介して今度はセンサー上に集光させ、電気信号に変換することにより情報を再生する。この際、情報記録孔の形状によって反射光の光束も変化するため、これを利用して、「0」「1」の情報を区別する。なお、光ディスクの情報記録面の上には保護基板(プラスティック製の保護層。カバーガラスともいう)が設けられている。
【0004】
またCD−R、CD−RW等の記録型メディアに情報の記録を行う場合、記録面上にレーザー光束によるスポットを形成し、記録面上の記録材に熱化学変化を生ぜしめる。これによってたとえばCD−Rの場合は熱拡散性色素が不可逆変化することにより、情報記録孔と同様の形状が形成される。CD−RWの場合は相変化型材料を用いているため、熱化学変化によって結晶状態と非晶質状態との間で可逆変化するので、情報の書き換えが可能である。
【0005】
そしてCD規格の光ディスクから情報を再生するための光ピックアップ装置は、対物レンズのNAが0.45前後であり、用いられる光源の波長は785nm前後である。また記録用としては、0.50程度のものが用いられることが多い。なお、CD規格の光ディスクの保護基板の厚さは1.2mmである。
【0006】
さて光情報記録媒体としてCDが広く普及しているが、ここ数年、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク、あるいはディジタル・ビデオ・ディスクともいう)が普及している。これはCDに比べて保護基板厚を薄くし、さらに情報記録孔を小さくすることにより、情報記録量を多くしたもので、CDが約600〜700MB(メガバイト)程度であるのに対し、約4.7GB(ギガバイト)という大容量の記録容量を有し、映画等の動画像を記録した頒布媒体として用いられることが多い。
【0007】
またDVD規格の光ディスクから情報を再生するための光ピックアップ装置は、原理的にはCD用のそれと同じであるが、前述のように情報記録孔が小さくなっていること等から、対物レンズのNAが0.60前後であり、用いられる光源の波長は655nm前後となっている。また記録用としては、0.65程度のものが用いられることが多い。なお、DVD規格の光ディスクの保護基板の厚さは0.6mmである。
【0008】
またDVD規格の光ディスクについても記録型のものが既に実用化されており、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWなどの各規格がある。これらに関する技術的原理もまた、CD規格の場合と同じである。
【0009】
そして上述の通り、さらに高密度・高容量の光ディスクが提案されつつある。これは主に光源として波長が405nm前後の、いわゆる青紫光のレーザー光源を用いるものである。
【0010】
このような「高密度な光ディスク」については、使用される波長が決まったとしても、保護基板厚、記憶容量、NA等は一律には決まらない。
記録密度を大幅に向上させる方向を選択すると、光ディスクの保護基板厚を薄くし、それにともなってNAを大きくすることになる。逆に保護基板厚・NAについて、DVDなどの従来の光ディスクの規格と同じにすることもできる。この際は物理的な記録密度は大幅には増大しないが、光学系として要求される性能が比較的緩やかになる。
【0011】
具体的には、保護基板の厚さについて、0.1mmと、さらに薄くしたものや、DVDと同じ0.6mmにしたものなどが提案されている。
このような「高密度な光ディスク」の複数の規格は、もちろん原理的にはCD、DVDと同じであるが、保護基板厚の厚さが異なると、情報記録孔の大きさも異なることになり、たとえ同じ波長の光源を用いたとしても単純に同じ光ピックアップ装置を用いて情報の再生・記録を行うことはできない。
【0012】
そこで、対物光学素子も含めた同一の光ピックアップ装置によって「高密度な光ディスク」の複数規格に対して情報の再生・記録を行う「互換」を達成しようとすると、いくつかの問題点を解決しなければならない。
【0013】
(1)使用波長が同じで、保護基板厚・NAが異なる光ディスクの規格の間で「互換」を達成しようとする場合(例えば波長405nmの光源を使用する場合)、波長差による球面収差(=色収差分の球面収差)は生じないが、基板厚の差による球面収差の発生は避けられず、これを解消する必要がある。たとえば保護基板厚を0.1mmにした場合と、保護基板厚を0.6mmにした場合とでは、非常に顕著な球面収差が発生する。
【0014】
(2)互いにNAが異なるため、各々のNAをメディアに応じて選択的に用いるための「絞り」機能が必要になる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来、異なる光ディスク間の「互換」については、波長選択性のあるダイクロイックフィルターを用いる方法や、対物光学素子に回折構造を設けることによって波長選択性を与える方法が提案され、実現されてきたが、今回解決しようとしている「同じ波長を用いる」場合には、波長選択性に依存する方法は採用できない。
【0016】
そこで本願発明者らは、従来知られているような、対物光学素子を特殊な輪帯構造に分割する方法を応用することにより、上記の問題を解決し、互換を達成する方法を見出した。
【0017】
それだけでは不十分であって、使用波長が比較的短い波長であって、高エネルギーの光源を用いることによる温度変動や波長変動の影響を低減するための工夫をしなければならないことも知見した。
【0018】
そして光ピックアップ装置自体も小型化、軽量化、特に薄型化が要望されているため、要素部品、特に光学素子について、非常に厳しい性能が要求されている。
【0019】
特に様々な光学的機能を、対物光学素子に持たせることは、部品点数を減らし、低コスト化、小型化するために好適であるが、光学的性能を達成できなくなるおそれもある。
【0020】
そこで本願発明は、要求される性能・スペックを満たす、好適な対物光学素子、あるいは光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
(1)保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置の対物光学素子において、該対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、少なくとも前記第3領域に、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0022】
(2)前記使用する光源の波長が390nm〜420nmであることを特徴とする(1)に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
(3)前記第1領域及び前記第2領域のNAが0.58〜0.68であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0023】
(4)前記第1領域から前記第3領域のNAが0.83〜0.87であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0024】
(5)前記t1が0.1mmであることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
(6)前記t2が0.6mmであることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0025】
(7)前記第1領域と前記第2領域との間、及び前記第2領域と前記第3領域との間が不連続な段差を有することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0026】
(8)前記第1領域及び/又は前記第2領域が、前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0027】
(9)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の片面にのみ設けられていることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0028】
(10)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の両面に設けられていることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0029】
(11)保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置において、該光ピックアップ装置に含まれる対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、少なくとも前記第3領域に、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【0030】
(12)前記使用する光源の波長が390nm〜420nmであることを特徴とする(11)に記載の光ピックアップ装置。
(13)前記第1領域及び前記第2領域のNAが0.58〜0.68であることを特徴とする(11)又は(12)に記載の光ピックアップ装置。
【0031】
(14)前記第1領域から前記第3領域のNAが0.83〜0.87であることを特徴とする(11)乃至(13)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0032】
(15)前記t1が0.1mmであることを特徴とする(11)乃至(14)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
(16)前記t2が0.6mmであることを特徴とする(11)乃至(15)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0033】
(17)前記第1領域と前記第2領域との間、及び前記第2領域と前記第3領域との間が不連続な段差を有することを特徴とする(11)乃至(16)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0034】
(18)前記第1領域及び/又は前記第2領域が、前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする(11)乃至(17)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0035】
(19)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の片面にのみ設けられていることを特徴とする(11)乃至(18)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0036】
(20)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の両面に設けられていることを特徴とする(11)乃至(18)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0037】
(21)保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置において、該光ピックアップ装置に含まれる対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、前記光ピックアップ装置中の光路に、前記対物光学素子とは別体に設けられた補正光学素子を有し、当該光学素子は、前記対物光学素子の少なくとも前記第3領域に入射する光束について、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行う光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【0038】
(22)前記使用する光源の波長が390nm〜420nmであることを特徴とする(21)に記載の光ピックアップ装置。
(23)前記第1領域及び前記第2領域のNAが0.58〜0.68であることを特徴とする(21)又は(22)に記載の光ピックアップ装置。
【0039】
(24)前記第1領域から前記第3領域のNAが0.83〜0.87であることを特徴とする(21)乃至(23)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0040】
(25)前記t1が0.1mmであることを特徴とする(21)乃至(24)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
(26)前記t2が0.6mmであることを特徴とする(21)乃至(25)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0041】
(27)前記第1領域と前記第2領域との間、及び前記第2領域と前記第3領域との間が不連続な段差を有することを特徴とする(21)乃至(26)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0042】
(28)前記第1領域及び/又は前記第2領域が、前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする(21)乃至(27)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0043】
(29)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の片面にのみ設けられていることを特徴とする(21)乃至(28)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0044】
(30)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の両面に設けられていることを特徴とする(21)乃至(28)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明の内容を詳細に説明するが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0046】
(第1の実施の形態)
本実施例では、使用波長が405nmのいわゆる青紫色レーザ光源を用いた「高密度な光ディスク」をターゲットとしている。また第1光情報記録媒体として保護基板厚t1が0.1mmのもの、第2光情報記録媒体として保護基板厚t2が0.6mmのものを想定している。
【0047】
図1は、本願発明に関わる光ピックアップ装置の対物光学素子(対物レンズ)を示す図である。これはプラスティック樹脂によって成形されたものであるが、ガラスモールドによって構成されたものであってもかまわない。
【0048】
S1は、光源側の光学機能面であり、S2は光ディスク側の光学機能面である。
S1は光軸を中心とした3つの光学機能領域に分けられており、1は第1領域、2は第2領域、3は第3領域である。
【0049】
それぞれは、異なった非球面形状を有していて、第1領域と第2領域との間(境界)、第2領域と第3領域との間(境界)は非連続段差を有している。
第1領域と第2領域とをあわせたNAは0.65であるが、第1領域から第3領域すべてをあわせたNAは0.85である。
【0050】
そして、それぞれの面について、第1領域は第1光情報記録媒体と第2光情報記録媒体の両方に用いられ、第2領域は第2光情報記録媒体にのみ用いられ、第3領域は第1光情報記録媒体にのみ用いられるようになっている。
【0051】
この状態を示すのが、図2の縦球面収差図である。左側が第1光情報記録媒体の場合を示し、右側が第2光情報記録媒体の場合を示す。
第1光情報記録媒体の場合は、第2領域に相当する部位が無収差ではないが、総体的には無収差とみなすことが出来、実用の範囲になっている。また第2光情報記録媒体の場合は、第1領域に相当する部位の収差が大きいが、第2領域に相当する部位の収差が小さくなっており、これも総体的には実用の範囲になっている。いずれの場合も、周辺側の領域について、収差が小さくなるように構成されている。
【0052】
またこの例では3つの領域に分けて、異なった2つの規格に対応するようにしているが、必要に応じてさらに多くの輪帯領域に分割することもできる。
また第3領域には、回折構造を有している。これは、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うために最適化されたブレイズド化波長を有している。
【0053】
このため、光源が高温になって波長が長くなる、あるいは対物レンズを構成する硝材の屈折率が低下することによって焦点距離が変動する事態を避けることが可能である。
【0054】
そしてここでは、回折構造によって温度補償及び/又は色収差補償を達成しているが、これは他の光学的補正構造、例えば位相差付与構造(位相シフト構造、NPSともいう)によって達成することができる。
【0055】
またこの例では、S1面の第3領域にのみ温度補償及び/又は色収差補償を行う回折構造を設けているが、他の領域に設けることもできる。
特に、各々の規格に対して、周辺側の収差を小さく抑えることが重要であるところ、第2情報記録媒体に対する集光スポットを向上させるため、第2領域に温度補償及び/又は色収差補償を行う光学的補正構造を設けることが好ましい。また、全体的な光量アップに寄与するため、両方の規格の光ディスクに対して使用される第1領域に光学的補正構造を設けることも好ましい。
【0056】
また、この例では、S1面にのみ光学的補正構造を設けているが、S2面にもそのような補正構造を設けることもできる。ここでは光学的補正構造として回折構造を採用しているが、設計の自由度、実際に成形する際の転写性などを考慮すると、補正させる対象によっては、回折構造が好ましい場合もあるし、位相シフト構造が好ましい場合もある。さらにまた、単一の構造だけで温度補償とは色収差補償とを行なわしめるよりも、S1面とS2面とに別々の光学的補正構造を設けることが好ましい場合もある。
【0057】
したがって、本発明では、光学的補正構造をS1面、S2面のいずれに設けても構わないし、両方に設けても構わない。
このように構成することにより、同じ波長を用いて保護基板厚の異なった規格間で「互換」を達成することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
この実施例では、光ピックアップ装置中の光源と対物レンズとの光路中に、補正光学素子を設け、この素子に温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を設ける。
【0059】
このため、光学的な作用・得られる効果としては、第1の実施の形態と同じであるが、対物レンズの設計・製造への負荷が軽くなるという利点がある。
【0060】
【発明の効果】
以上、本発明に関わる設計方法によれば、複数のフォーマット互換の光ピックアップ装置を同じ波長の光源を用いて達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わり、第3領域に回折構造を有する対物レンズを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に関わり、第1光情報記録媒体に関する縦球面収差図と、第2光情報記録媒体に関する縦球面収差図とを示す図である。
【符号の説明】
1 第1領域
2 第2領域
3 第3領域
S1 光源側の光学機能面
S2 光ディスク側の光学機能面
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置、及び光ピックアップ装置に用いる対物光学素子に関するものであり、より詳しくは、複数の光情報記録媒体(光ディスク)の規格に対応できる光ピックアップ装置、及び光ピックアップ装置に用いる対物光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から現在にかけて、CD、DVDなどの光情報記録媒体(光ディスク、あるいはメディアともいう)に対して情報の再生・記録を行うための光ピックアップ装置(光ヘッド、光ヘッド装置などともいわれる)が開発・製造され、一般に普及している。
【0003】
また最近では、より高密度の情報記録を可能とした光情報記録媒体の規格についても研究開発が行われている。
そしてこのような光ピックアップ装置は、光源(主にレーザーダイオードが用いられる)から出射された光束を、ビーム整形プリズム、コリメータ、ビームスプリッタ、対物レンズ(対物光学素子ともいう)等の光学素子からなる光学系を介して光ディスクの情報記録面に集光させてスポットを形成し、記録面上の情報記録孔(ピットともいう)からの反射光を、再度光学系を介して今度はセンサー上に集光させ、電気信号に変換することにより情報を再生する。この際、情報記録孔の形状によって反射光の光束も変化するため、これを利用して、「0」「1」の情報を区別する。なお、光ディスクの情報記録面の上には保護基板(プラスティック製の保護層。カバーガラスともいう)が設けられている。
【0004】
またCD−R、CD−RW等の記録型メディアに情報の記録を行う場合、記録面上にレーザー光束によるスポットを形成し、記録面上の記録材に熱化学変化を生ぜしめる。これによってたとえばCD−Rの場合は熱拡散性色素が不可逆変化することにより、情報記録孔と同様の形状が形成される。CD−RWの場合は相変化型材料を用いているため、熱化学変化によって結晶状態と非晶質状態との間で可逆変化するので、情報の書き換えが可能である。
【0005】
そしてCD規格の光ディスクから情報を再生するための光ピックアップ装置は、対物レンズのNAが0.45前後であり、用いられる光源の波長は785nm前後である。また記録用としては、0.50程度のものが用いられることが多い。なお、CD規格の光ディスクの保護基板の厚さは1.2mmである。
【0006】
さて光情報記録媒体としてCDが広く普及しているが、ここ数年、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク、あるいはディジタル・ビデオ・ディスクともいう)が普及している。これはCDに比べて保護基板厚を薄くし、さらに情報記録孔を小さくすることにより、情報記録量を多くしたもので、CDが約600〜700MB(メガバイト)程度であるのに対し、約4.7GB(ギガバイト)という大容量の記録容量を有し、映画等の動画像を記録した頒布媒体として用いられることが多い。
【0007】
またDVD規格の光ディスクから情報を再生するための光ピックアップ装置は、原理的にはCD用のそれと同じであるが、前述のように情報記録孔が小さくなっていること等から、対物レンズのNAが0.60前後であり、用いられる光源の波長は655nm前後となっている。また記録用としては、0.65程度のものが用いられることが多い。なお、DVD規格の光ディスクの保護基板の厚さは0.6mmである。
【0008】
またDVD規格の光ディスクについても記録型のものが既に実用化されており、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWなどの各規格がある。これらに関する技術的原理もまた、CD規格の場合と同じである。
【0009】
そして上述の通り、さらに高密度・高容量の光ディスクが提案されつつある。これは主に光源として波長が405nm前後の、いわゆる青紫光のレーザー光源を用いるものである。
【0010】
このような「高密度な光ディスク」については、使用される波長が決まったとしても、保護基板厚、記憶容量、NA等は一律には決まらない。
記録密度を大幅に向上させる方向を選択すると、光ディスクの保護基板厚を薄くし、それにともなってNAを大きくすることになる。逆に保護基板厚・NAについて、DVDなどの従来の光ディスクの規格と同じにすることもできる。この際は物理的な記録密度は大幅には増大しないが、光学系として要求される性能が比較的緩やかになる。
【0011】
具体的には、保護基板の厚さについて、0.1mmと、さらに薄くしたものや、DVDと同じ0.6mmにしたものなどが提案されている。
このような「高密度な光ディスク」の複数の規格は、もちろん原理的にはCD、DVDと同じであるが、保護基板厚の厚さが異なると、情報記録孔の大きさも異なることになり、たとえ同じ波長の光源を用いたとしても単純に同じ光ピックアップ装置を用いて情報の再生・記録を行うことはできない。
【0012】
そこで、対物光学素子も含めた同一の光ピックアップ装置によって「高密度な光ディスク」の複数規格に対して情報の再生・記録を行う「互換」を達成しようとすると、いくつかの問題点を解決しなければならない。
【0013】
(1)使用波長が同じで、保護基板厚・NAが異なる光ディスクの規格の間で「互換」を達成しようとする場合(例えば波長405nmの光源を使用する場合)、波長差による球面収差(=色収差分の球面収差)は生じないが、基板厚の差による球面収差の発生は避けられず、これを解消する必要がある。たとえば保護基板厚を0.1mmにした場合と、保護基板厚を0.6mmにした場合とでは、非常に顕著な球面収差が発生する。
【0014】
(2)互いにNAが異なるため、各々のNAをメディアに応じて選択的に用いるための「絞り」機能が必要になる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来、異なる光ディスク間の「互換」については、波長選択性のあるダイクロイックフィルターを用いる方法や、対物光学素子に回折構造を設けることによって波長選択性を与える方法が提案され、実現されてきたが、今回解決しようとしている「同じ波長を用いる」場合には、波長選択性に依存する方法は採用できない。
【0016】
そこで本願発明者らは、従来知られているような、対物光学素子を特殊な輪帯構造に分割する方法を応用することにより、上記の問題を解決し、互換を達成する方法を見出した。
【0017】
それだけでは不十分であって、使用波長が比較的短い波長であって、高エネルギーの光源を用いることによる温度変動や波長変動の影響を低減するための工夫をしなければならないことも知見した。
【0018】
そして光ピックアップ装置自体も小型化、軽量化、特に薄型化が要望されているため、要素部品、特に光学素子について、非常に厳しい性能が要求されている。
【0019】
特に様々な光学的機能を、対物光学素子に持たせることは、部品点数を減らし、低コスト化、小型化するために好適であるが、光学的性能を達成できなくなるおそれもある。
【0020】
そこで本願発明は、要求される性能・スペックを満たす、好適な対物光学素子、あるいは光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
(1)保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置の対物光学素子において、該対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、少なくとも前記第3領域に、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0022】
(2)前記使用する光源の波長が390nm〜420nmであることを特徴とする(1)に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
(3)前記第1領域及び前記第2領域のNAが0.58〜0.68であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0023】
(4)前記第1領域から前記第3領域のNAが0.83〜0.87であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0024】
(5)前記t1が0.1mmであることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
(6)前記t2が0.6mmであることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0025】
(7)前記第1領域と前記第2領域との間、及び前記第2領域と前記第3領域との間が不連続な段差を有することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0026】
(8)前記第1領域及び/又は前記第2領域が、前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0027】
(9)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の片面にのみ設けられていることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0028】
(10)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の両面に設けられていることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
【0029】
(11)保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置において、該光ピックアップ装置に含まれる対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、少なくとも前記第3領域に、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【0030】
(12)前記使用する光源の波長が390nm〜420nmであることを特徴とする(11)に記載の光ピックアップ装置。
(13)前記第1領域及び前記第2領域のNAが0.58〜0.68であることを特徴とする(11)又は(12)に記載の光ピックアップ装置。
【0031】
(14)前記第1領域から前記第3領域のNAが0.83〜0.87であることを特徴とする(11)乃至(13)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0032】
(15)前記t1が0.1mmであることを特徴とする(11)乃至(14)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
(16)前記t2が0.6mmであることを特徴とする(11)乃至(15)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0033】
(17)前記第1領域と前記第2領域との間、及び前記第2領域と前記第3領域との間が不連続な段差を有することを特徴とする(11)乃至(16)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0034】
(18)前記第1領域及び/又は前記第2領域が、前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする(11)乃至(17)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0035】
(19)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の片面にのみ設けられていることを特徴とする(11)乃至(18)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0036】
(20)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の両面に設けられていることを特徴とする(11)乃至(18)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0037】
(21)保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置において、該光ピックアップ装置に含まれる対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、前記光ピックアップ装置中の光路に、前記対物光学素子とは別体に設けられた補正光学素子を有し、当該光学素子は、前記対物光学素子の少なくとも前記第3領域に入射する光束について、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行う光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【0038】
(22)前記使用する光源の波長が390nm〜420nmであることを特徴とする(21)に記載の光ピックアップ装置。
(23)前記第1領域及び前記第2領域のNAが0.58〜0.68であることを特徴とする(21)又は(22)に記載の光ピックアップ装置。
【0039】
(24)前記第1領域から前記第3領域のNAが0.83〜0.87であることを特徴とする(21)乃至(23)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0040】
(25)前記t1が0.1mmであることを特徴とする(21)乃至(24)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
(26)前記t2が0.6mmであることを特徴とする(21)乃至(25)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0041】
(27)前記第1領域と前記第2領域との間、及び前記第2領域と前記第3領域との間が不連続な段差を有することを特徴とする(21)乃至(26)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0042】
(28)前記第1領域及び/又は前記第2領域が、前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする(21)乃至(27)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0043】
(29)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の片面にのみ設けられていることを特徴とする(21)乃至(28)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0044】
(30)前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の両面に設けられていることを特徴とする(21)乃至(28)のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明の内容を詳細に説明するが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0046】
(第1の実施の形態)
本実施例では、使用波長が405nmのいわゆる青紫色レーザ光源を用いた「高密度な光ディスク」をターゲットとしている。また第1光情報記録媒体として保護基板厚t1が0.1mmのもの、第2光情報記録媒体として保護基板厚t2が0.6mmのものを想定している。
【0047】
図1は、本願発明に関わる光ピックアップ装置の対物光学素子(対物レンズ)を示す図である。これはプラスティック樹脂によって成形されたものであるが、ガラスモールドによって構成されたものであってもかまわない。
【0048】
S1は、光源側の光学機能面であり、S2は光ディスク側の光学機能面である。
S1は光軸を中心とした3つの光学機能領域に分けられており、1は第1領域、2は第2領域、3は第3領域である。
【0049】
それぞれは、異なった非球面形状を有していて、第1領域と第2領域との間(境界)、第2領域と第3領域との間(境界)は非連続段差を有している。
第1領域と第2領域とをあわせたNAは0.65であるが、第1領域から第3領域すべてをあわせたNAは0.85である。
【0050】
そして、それぞれの面について、第1領域は第1光情報記録媒体と第2光情報記録媒体の両方に用いられ、第2領域は第2光情報記録媒体にのみ用いられ、第3領域は第1光情報記録媒体にのみ用いられるようになっている。
【0051】
この状態を示すのが、図2の縦球面収差図である。左側が第1光情報記録媒体の場合を示し、右側が第2光情報記録媒体の場合を示す。
第1光情報記録媒体の場合は、第2領域に相当する部位が無収差ではないが、総体的には無収差とみなすことが出来、実用の範囲になっている。また第2光情報記録媒体の場合は、第1領域に相当する部位の収差が大きいが、第2領域に相当する部位の収差が小さくなっており、これも総体的には実用の範囲になっている。いずれの場合も、周辺側の領域について、収差が小さくなるように構成されている。
【0052】
またこの例では3つの領域に分けて、異なった2つの規格に対応するようにしているが、必要に応じてさらに多くの輪帯領域に分割することもできる。
また第3領域には、回折構造を有している。これは、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うために最適化されたブレイズド化波長を有している。
【0053】
このため、光源が高温になって波長が長くなる、あるいは対物レンズを構成する硝材の屈折率が低下することによって焦点距離が変動する事態を避けることが可能である。
【0054】
そしてここでは、回折構造によって温度補償及び/又は色収差補償を達成しているが、これは他の光学的補正構造、例えば位相差付与構造(位相シフト構造、NPSともいう)によって達成することができる。
【0055】
またこの例では、S1面の第3領域にのみ温度補償及び/又は色収差補償を行う回折構造を設けているが、他の領域に設けることもできる。
特に、各々の規格に対して、周辺側の収差を小さく抑えることが重要であるところ、第2情報記録媒体に対する集光スポットを向上させるため、第2領域に温度補償及び/又は色収差補償を行う光学的補正構造を設けることが好ましい。また、全体的な光量アップに寄与するため、両方の規格の光ディスクに対して使用される第1領域に光学的補正構造を設けることも好ましい。
【0056】
また、この例では、S1面にのみ光学的補正構造を設けているが、S2面にもそのような補正構造を設けることもできる。ここでは光学的補正構造として回折構造を採用しているが、設計の自由度、実際に成形する際の転写性などを考慮すると、補正させる対象によっては、回折構造が好ましい場合もあるし、位相シフト構造が好ましい場合もある。さらにまた、単一の構造だけで温度補償とは色収差補償とを行なわしめるよりも、S1面とS2面とに別々の光学的補正構造を設けることが好ましい場合もある。
【0057】
したがって、本発明では、光学的補正構造をS1面、S2面のいずれに設けても構わないし、両方に設けても構わない。
このように構成することにより、同じ波長を用いて保護基板厚の異なった規格間で「互換」を達成することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
この実施例では、光ピックアップ装置中の光源と対物レンズとの光路中に、補正光学素子を設け、この素子に温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を設ける。
【0059】
このため、光学的な作用・得られる効果としては、第1の実施の形態と同じであるが、対物レンズの設計・製造への負荷が軽くなるという利点がある。
【0060】
【発明の効果】
以上、本発明に関わる設計方法によれば、複数のフォーマット互換の光ピックアップ装置を同じ波長の光源を用いて達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わり、第3領域に回折構造を有する対物レンズを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に関わり、第1光情報記録媒体に関する縦球面収差図と、第2光情報記録媒体に関する縦球面収差図とを示す図である。
【符号の説明】
1 第1領域
2 第2領域
3 第3領域
S1 光源側の光学機能面
S2 光ディスク側の光学機能面
Claims (30)
- 保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置の対物光学素子において、
該対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、
当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、
少なくとも前記第3領域に、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置の対物光学素子。 - 前記使用する光源の波長が390nm〜420nmであることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記第1領域及び前記第2領域のNAが0.58〜0.68であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記第1領域から前記第3領域のNAが0.83〜0.87であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記t1が0.1mmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記t2が0.6mmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記第1領域と前記第2領域との間、及び前記第2領域と前記第3領域との間が不連続な段差を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記第1領域及び/又は前記第2領域が、前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の片面にのみ設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の両面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置の対物光学素子。
- 保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置に含まれる対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、
当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、
少なくとも前記第3領域に、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記使用する光源の波長が390nm〜420nmであることを特徴とする請求項11に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1領域及び前記第2領域のNAが0.58〜0.68であることを特徴とする請求項11又は12に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1領域から前記第3領域のNAが0.83〜0.87であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記t1が0.1mmであることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記t2が0.6mmであることを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1領域と前記第2領域との間、及び前記第2領域と前記第3領域との間が不連続な段差を有することを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1領域及び/又は前記第2領域が、前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の片面にのみ設けられていることを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の両面に設けられていることを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 保護基板厚がt1である第1光情報記録媒体、及び保護基板厚がt2である(t1<t2)の第2光情報記録媒体の両方に対して情報の再生/記録を行う光ピックアップ装置において、
該光ピックアップ装置に含まれる対物光学素子の光学機能面は、光軸を中心とした、少なくとも3つの同心円状領域から構成され、
当該3つの同心円状領域はそれぞれ、光軸を含み、前記第1光情報記録媒体、及び前記第2光情報記録媒体の両方に対して使用される第1領域、該第1領域よりも外縁側で、前記第2光情報記録媒体に対して使用される第2領域、該第2領域よりも外縁側で、前記第1光情報記録媒体に対して使用される第3領域であって、
前記光ピックアップ装置中の光路に、前記対物光学素子とは別体に設けられた補正光学素子を有し、当該光学素子は、前記対物光学素子の少なくとも前記第3領域に入射する光束について、使用する光源に対する温度補償及び/又は色収差補償を行う光学的補正構造を有することを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記使用する光源の波長が390nm〜420nmであることを特徴とする請求項21に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1領域及び前記第2領域のNAが0.58〜0.68であることを特徴とする請求項21又は22に記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1領域から前記第3領域のNAが0.83〜0.87であることを特徴とする請求項21乃至23のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記t1が0.1mmであることを特徴とする請求項21乃至24のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記t2が0.6mmであることを特徴とする請求項21乃至25のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1領域と前記第2領域との間、及び前記第2領域と前記第3領域との間が不連続な段差を有することを特徴とする請求項21乃至26のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記第1領域及び/又は前記第2領域が、前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造を有することを特徴とする請求項21乃至27のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の片面にのみ設けられていることを特徴とする請求項21乃至28のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
- 前記温度補償及び/又は色収差補償を行うための光学的補正構造が、光学機能面の両面に設けられていることを特徴とする請求項21乃至28のいずれか1つに記載の光ピックアップ装置。
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