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JP2004055852A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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JP2004055852A
JP2004055852A JP2002211735A JP2002211735A JP2004055852A JP 2004055852 A JP2004055852 A JP 2004055852A JP 2002211735 A JP2002211735 A JP 2002211735A JP 2002211735 A JP2002211735 A JP 2002211735A JP 2004055852 A JP2004055852 A JP 2004055852A
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Kikuo Saka
坂 喜久男
Masami Seto
瀬戸 正己
Yukiyoshi Ishimoto
石本 幸由
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】ダイシング時の半導体ウエハのチッピングやクラックの発生、樹脂層の剥離など、ダイシング工程に起因する半導体装置の損傷を防止する。
【解決手段】ウエハ1の表面1aの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に表面側溝7aを形成し(A)、ウエハ1の裏面1bの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に裏面側溝7bを、表面側溝7aと裏面側溝7bを互いに連結させず、スクライブライン領域5内の互いに異なる領域に、かつウエハ1の厚み方向で重複するように形成した後(B)、スクライブライン領域5の中央側に切断用溝9を形成して、半導体チップ領域3を個々の半導体チップに分割する(C)。表面側溝7a及び裏面側溝7bにより、チッピング及びクラックの半導体チップ領域3への伝播を阻止できる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、表面に複数の半導体チップ領域が形成され、半導体チップ領域間にスクライブライン領域が設けられた半導体ウエハ(単にウエハとも称す)を個々の半導体装置(半導体チップとも称す)に分割するためのダイシング工程を含む半導体装置の製造方法及びその製造方法により製造される半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種のウエハプロセス処理を経てウエハ上に複数の半導体チップ領域を完成させた後、各半導体チップ領域間に設けたスクライブライン領域をダイシングブレードにより切断(以下、ダイシングと称す)することにより半導体チップ領域に分離する。ダイシングブレードは、厚さ数10μm(マイクロメートル)の円形砥石の切断面表面にダイヤモンドがニッケル層のような接着材を介して固着されたものである。ダイシング工程の際には、ダイシングブレードを数万rpmの高速に回転させ、切断面表面のダイヤモンド粒子を半導体ウエハに押し当てながら、スクライブライン領域に沿ってダイシングする。
ダイシング工程には、ウエハ厚全てをダイシングするフルカット法とウエハ厚の一部を残すハーフカット法がある。
【0003】
また、近年では、1パッケージに2チップ以上搭載するマルチチップパッケージ(MCP)技術(例えば特開2002−25948号公報参照)や、チップサイズパッケージ(CSP)技術(例えば特開2000−260910号公報参照)等を用いて半導体チップを実装すべく、半導体チップを小型化することが重要になってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の構造では、図20に示すように、ウエハ1表面に形成された複数の半導体チップ領域3を個々の半導体チップに分割すべく、ダイシングブレード29を用いてダイシングする時に、ウエハ1の表面1aにチッピング(欠け)31やクラック(亀裂)等が発生するため、チッピング31等の半導体チップ領域3への伝播を阻止するためにスクライブライン領域5の幅を広くしていた。
【0005】
また、裏面1bに発生するチッピング33であっても、個々に分割した半導体チップの裏面をリードフレームにダイボンディングさせる工程において治具との接触不良等の問題を起こしやすくなる。このような問題はMCPにおいてはさらに顕著となる。
【0006】
また、近年、発達してきたCSPにおいては、半導体チップの裏面が実装時の表面になるため、半導体チップの裏面側のチッピングは外観上問題になるほか、半導体チップの裏面に文字を印字する際、特にチップサイズが小さいと文字が正常に印字できなくなるという問題があった。
【0007】
また、半導体チップの表面側のチッピングは、半導体チップを実装する際の熱ストレスにより、半導体チップの表面側の最上層に形成された樹脂層の剥離が生じるという問題があった。
【0008】
これとは別に、配線パターンが形成された基板上に半導体チップを搭載し、基板上で樹脂封止が行われるチップオンボード(COB)実装に用いられる半導体チップでは、少なくとも1辺のチッピングが発生していない基準辺が重ね合わせ作業上必要であり、半導体チップの外形精度が要求される。特に、配線パターンが形成された基板上に半導体チップを搭載し、さらにその半導体チップ上に別の半導体チップを搭載する場合に、半導体チップの外形精度が要求される。
【0009】
例えば図21に示すように、2つの半導体チップ35,37を重ねて搭載するCOB実装では、下側の半導体チップ35の半導体基板1の表面1aにチッピング31があり、上側の半導体チップ37の半導体基板1の裏面1bにチッピング33があると、半導体チップ35と37を接着させるための接着材39が基準辺からはみ出し、位置合わせ精度の低下を招くという問題があった。このような問題は、下層の半導体チップの表面又は上層の半導体チップの裏面のいずれかにチッピングがある場合にも起こっていた。
【0010】
本発明の第1の目的は、ダイシング時の半導体ウエハのチッピングやクラックの発生、樹脂層の剥離など、ダイシング工程に起因する半導体装置の損傷を防止することである。
本発明の第2の目的は、2つ以上の半導体装置を重ねて搭載する際に半導体装置間に充填される接着剤のはみ出しを防止することができる半導体装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置の製造方法は、表面に複数の半導体チップ領域が形成され、半導体チップ領域間にスクライブライン領域が設けられた半導体ウエハを個々の半導体装置に分割するためのダイシング工程を含む半導体装置の製造方法であって、ダイシング工程は、半導体ウエハの表面側の、スクライブライン領域の半導体チップ領域近傍の領域に1又は複数の表面側溝を形成し、半導体ウエハの裏面側の、スクライブライン領域の半導体チップ領域近傍の領域に1又は複数の裏面側溝を形成するチッピング及びクラック防止用溝形成工程、及びスクライブライン領域の中央側に切断用溝を形成する切断用溝形成工程を含む。
【0012】
半導体チップ領域を個々の半導体装置に分割するために切断用溝を形成する前に、スクライブライン領域の半導体チップ領域近傍の領域に表面側溝及び裏面側溝を形成する。これにより、表面側及び裏面側においてチッピングが半導体チップ領域へ伝播するのを阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法において、上記チッピング及びクラック防止用溝形成工程は、少なくとも上記表面側溝の1つ及び上記裏面側溝の1つを、互いに連結させず、スクライブライン領域内の互いに異なる領域に、かつ半導体ウエハの厚み方向で重複するように形成することが好ましい。その結果、切断用溝形成工程においてスクライブライン領域の中央側でクラックが発生しても、クラックが半導体チップ領域へ伝播するのを阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。
【0014】
さらに、上記表面側溝を形成した後、上記切断用溝形成工程の前に、上記表面側溝を覆うように半導体ウエハの表面上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程を含むことが好ましい。その結果、樹脂層は表面側溝内にも形成されるので、樹脂層と半導体ウエハの密着性を向上させることができ、樹脂層の剥離を防止することができる。
【0015】
上記樹脂層形成工程を含む場合、上記表面側溝を上面側から見て波形形状に形成することが好ましい。本明細書において波形形状とは、波線形状、櫛歯形状、ジグザグ形状など、スクライブライン領域の交差部、交差部間の表面側溝が上面側から見て直線で結ばれた直線形状以外の形状をいう。表面側溝を波形形状に形成することにより、半導体ウエハと樹脂層の接触面積を大きくすることができ、半導体ウエハと樹脂層の密着性をさらに向上させることができる。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法において、上記チッピング及びクラック防止用溝形成工程は、少なくとも上記表面側溝の1つ及び上記裏面側溝の1つを、互いに連結させず、かつスクライブライン領域内の同じ領域に位置を合わせて形成し、上記切断用溝形成工程は、位置合わせして形成された上記表面側溝及び上記裏面側溝のスクライブライン領域の中央側の側面に重複するように上記切断用溝を形成することが好ましい。
【0017】
その結果、半導体チップ領域を個々の半導体装置に分割するために切断用溝を形成する前にスクライブライン領域の半導体チップ領域近傍の領域に表面側溝及び裏面側溝を形成し、表面側溝及び裏面側溝のスクライブライン領域の中央側の側面に重複するように切断用溝を形成することにより、表面側及び裏面側でのチッピングの半導体チップ領域への伝播を阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。
さらに、分割後の半導体装置の側面において、中央側部分を除く表面側部分及び裏面側部分(エッヂ部分)は上面側溝及び裏面側溝の半導体チップ領域側の側面により構成されるので、半導体装置のエッヂ部分を奇麗に仕上げることができ、後の工程でのエッヂ部分の欠けを防止することができる。
さらに、2つ以上の半導体装置を重ねて搭載するCOB実装の場合、半導体装置のエッヂ部分の欠けをなくすことにより、重ね合わせ精度を向上させることができ、上下の半導体装置間の接触面積を維持し、接着が不安定になるのを防止することができる。
【0018】
さらに、位置合わせして形成された上記表面側溝及び上記裏面側溝の少なくとも一方について、スクライブライン領域の交差部近傍の、半導体チップ領域の形成領域形状の角部分に対応する部分を上面側から見て丸みをもつように形成することが好ましい。その結果、分割後の半導体装置の角部分に丸みをもたせることができ、後の工程での角部分の欠けを防止することができる。
【0019】
本発明の半導体装置の第1態様は、半導体基板の表面に半導体チップ領域が形成され、さらにその上に樹脂層が形成されている半導体装置であって、半導体基板の表面の外周部に表面側溝が形成されており、上記表面側溝内にも上記樹脂層が形成されているものである。
【0020】
樹脂層が表面側溝内にも形成されているので、樹脂層と半導体基板の密着性を向上させることができ、樹脂層の剥離を防止することができる。表面側溝が形成されている領域の半導体基板上にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜や保護膜が形成されている場合には、それらの膜にも表面側溝が形成されている。
【0021】
本発明の半導体装置の第1態様において、上記表面側溝を上面側から見て波形形状に形成されていることが好ましい。その結果、半導体ウエハと樹脂層の接触面積を大きくすることができるので、半導体ウエハと樹脂層の密着性をさらに向上させることができる。
【0022】
本発明の半導体装置の第2態様は、半導体基板の表面に半導体チップ領域が形成されている半導体装置であって、半導体基板の表面もしくは裏面又は両面の外周部に溝が形成されているものである。
【0023】
半導体基板の表面もしくは裏面又は両面の外周部に溝が形成されていることにより、2つ以上の半導体装置を重ねて搭載する際に半導体装置間に充填される接着剤のはみ出しを防止することができる。上記溝が形成されている領域の半導体基板上にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜や保護膜が形成されている場合には、それらの膜にも溝が形成されている。
【0024】
本発明の半導体装置の第2態様において、上記溝はテーパー形状に形成されていることが好ましい。その結果、2つ以上の半導体装置を重ねて搭載する際に半導体装置間に充填される余分な分の接着剤を溝内に導入しやすくすることができ、接着剤のはみ出しを防止する効果を向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は半導体装置の製造方法の一実施例を示す工程断面図である。図2は図1(A)及び(B)の工程でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図であり、(A)は図1(A)に対応し、(B)は図1(B)に対応している。図1及び図2を参照してこの実施例を説明する。
【0026】
(1)表面1aに複数の半導体チップ領域3が形成され、半導体チップ領域3の間にスクライブライン領域5が設けられたウエハ1の表面1aの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に表面側トレンチ(表面側溝)7aを形成する。例えばウエハ1の厚みは400μmであり、スクライブライン領域5の幅は100〜180μmであり、表面側トレンチ7aの幅は2〜3μmであり、表面側トレンチ7aの深さは150μmである(図1(A)及び図2(A)参照)。
この工程は、半導体チップ領域3の製造プロセス中に行なってもよいし、半導体チップ領域3の製造プロセスが完了した後に行なってもよい。
【0027】
表面側トレンチ7aの形成には例えばフッ素系又は塩素系ガスを用いた汎用的なドライエッチング技術を適用でき、最も好ましいのは、ICP−RIE(inductively coupled plasma reactive ion etching:誘導結合プラズマ−反応性イオンエッチング)と呼ばれる、高速なエッチング技術を挙げることができる。ICPによるエッチングとエッチング部側壁への保護膜の形成を高速で繰り返すトレンチ形成方法、いわゆるBoschプロセスによるICP−RIEは、極めてアンダーカットがなく、高アスペクト比で、トレンチを高速に加工できる。
【0028】
(2)ウエハ1の裏面1bの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に裏面側トレンチ(裏面側溝)7bを、表面側トレンチ7aと裏面側トレンチ7bを互いに連結させず、スクライブライン領域5内の互いに異なる領域に、かつウエハ1の厚み方向で重複するように形成する。例えば裏面側トレンチ7bの寸法は、幅が2〜3μm、深さが300μmである。この実施例では裏面側トレンチ7bを、表面側トレンチ7aよりも半導体チップ領域3側に、表面側トレンチ7aとは水平方向で10〜30μmの間隔をもたせて形成した(図1(B)及び図2(B)参照)。
この工程は、半導体チップ領域3の製造プロセス中に行なってもよいし、半導体チップ領域3の製造プロセスが完了した後に行なってもよい。
【0029】
裏面側トレンチ7bの形成には、表面側トレンチ7aの形成と同様に、汎用的なドライエッチング技術やICP−RIEを適用できる。
工程(1)及び工程(2)は本発明の半導体装置の製造方法のチッピング及びクラック防止用溝形成工程を構成する。
【0030】
(3)刃の幅が20〜30μm程度のダイシングブレード10を用いてスクライブライン領域5の中央側に幅が30〜40μm程度の切断用溝9を形成して、半導体チップ領域3を個々の半導体チップに分割する(図1(C)参照)。この工程は本発明の半導体装置の製造方法の切断用溝形成工程を構成する。
【0031】
切断用溝9の形成時に、スクライブライン領域5の中央側でウエハ1の表面1a及び裏面1bにチッピングが発生しても、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に表面側トレンチ7a及び裏面側トレンチ7bが形成されているので、表面1a及び裏面1bでのチッピングの半導体チップ領域3への伝播を阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。
【0032】
また、スクライブライン領域5にTEG(Test Element Group)用のパッド等の金属パターンを形成することがある(例えば特開2001−308036号公報参照)。スクライブライン領域5に金属パターンが形成されていると、切断用溝9の形成時に、金属パターンの切り屑によるダイシングブレードの刃の目詰まりにより、ウエハ1にクラックが発生することがある。
【0033】
この実施例では、切断用溝9の形成時にスクライブライン領域5の中央側でウエハ1にクラックが発生しても、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3の近傍の領域に表面側トレンチ7aと裏面側トレンチ7bを、互いに連結させず、スクライブライン領域5内の互いに異なる領域に、かつウエハ1の厚み方向で重複するように形成しているので、クラックが半導体チップ領域3へ伝播するのを阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。
【0034】
この実施例では表面側トレンチ7aを、スクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部の周囲にも形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、例えば図3に示すように、表面側トレンチ7a及び裏面側トレンチ7bをスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。また、裏面側トレンチ7bを、スクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部の周囲にも形成し、表面側トレンチ7aをスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。
【0035】
図4は半導体装置の製造方法の他の実施例を示す工程断面図である。図5は図4(B)の工程でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図である。図4及び図5を参照してこの実施例を説明する。
【0036】
(1)図1(A)及び(B)を参照して説明した工程(1)及び(2)と同様にして、表面1aに複数の半導体チップ領域3が形成され、半導体チップ領域3の間にスクライブライン領域5が設けられたウエハ1のスクライブライン領域に、表面1aには表面側トレンチ7aを形成し、裏面1bには裏面側トレンチ7bをする(図4(A)参照)。この工程は本発明の半導体装置の製造方法のチッピング及びクラック防止用溝形成工程を構成する。
【0037】
(2)半導体ウエハ1の表面1a上に、表面側トレンチ7aを覆い、表面側トレンチ7a内に入り込むように樹脂層11を形成する(図4(B)及び図5参照)。樹脂層11を表面側トレンチ7a内に入り込むように形成することにより、樹脂層11とウエハ1の密着性を向上させることができる。この工程は、本発明の半導体装置の製造方法の樹脂層形成工程を構成する。
【0038】
樹脂層11の形成方法としては、例えば特開平2001−55432号公報に示されているように、金型を作製し、その金型内にウエハ1、タブレット状の樹脂、テンポラリフィルム(封止樹脂を金型に接触させないための材料)を配置し、封止樹脂を加熱圧縮してウエハ1の表面1a上へ押し広げて樹脂層11を形成する方法や、特開平7−161764号公報に示されているように、スピンコート法によりウエハ1の表面1a上に未硬化の樹脂を形成した後、樹脂を硬化させて樹脂層11を形成する方法などを挙げることができる。ただし、樹脂層11は、これらの方法以外の方法により形成してもよい。
【0039】
(3)ダイシングブレード10を用いてスクライブライン領域5の中央側に切断用溝9を形成して、半導体チップ領域3を個々の半導体チップに分割する(図4(C)参照)。
【0040】
この実施例では、図1及び図2を参照して説明した製造方法の実施例と同様に、表面1a及び裏面1bでのチッピングの半導体チップ領域3への伝播を阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。さらに、切断用溝9の形成時にスクライブライン領域5の中央側でウエハ1にクラックが発生しても、クラックが半導体チップ領域3へ伝播するのを阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。
【0041】
さらに、個々に分割された半導体チップでは、樹脂層11が表面側トレンチ7a内にも形成されているので、樹脂層11と半導体ウエハ(半導体基板)1の密着性を向上させることができ、樹脂層11の剥離を防止することができる。個々に分割された半導体チップは本発明の半導体装置の第1態様の一実施例を構成する。
【0042】
この実施例では表面側トレンチ7aを、スクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部の周囲にも形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、例えば図6に示すように、表面側トレンチ7a及び裏面側トレンチ7bをスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。また、裏面側トレンチ7bを、スクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部の周囲にも形成し、表面側トレンチ7aをスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。
【0043】
また、この実施例では、表面側トレンチ7aを上面側から見て直線形状に形成しているが、例えば表面側トレンチ7aを上面側から見て波線形状や(図7(A)参照)、櫛歯形状(図7(B)参照)、ジグザグ形状(図7(C)参照)など、波形形状に形成するようにしてもよい。図7では樹脂層11の図示は省略している。
【0044】
表面側トレンチ7aを上面側から見て波形形状に形成することにより、半導体ウエハ1と樹脂層11の接触面積を大きくすることができ、半導体ウエハ1と樹脂層11の密着性をさらに向上させることができる。
【0045】
また、図1から図7を参照して説明した実施例では、裏面側トレンチ7bを、表面側トレンチ7aよりも半導体チップ領域3側に形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、表面側トレンチ7aを裏面側トレンチ7bよりも半導体チップ領域3側に形成してもよい。
【0046】
また、図1から図7を参照して説明した実施例では、表面側トレンチ7aを形成した後、裏面側トレンチ7bを形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、裏面側トレンチ7bを形成した後、表面側トレンチ7aを形成するようにしてもよい。
【0047】
図8は半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を示す工程断面図である。図9は図8(A)の工程でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図である。図8及び図9を参照してこの実施例を説明する。
【0048】
(1)表面1aに複数の半導体チップ領域3が形成され、半導体チップ領域3の間にスクライブライン領域5が設けられたウエハ1の表面1aの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に表面側トレンチ13aを形成する。例えばウエハ1の厚みは400μmであり、スクライブライン領域5の幅は100〜180μmであり、表面側トレンチ13aの幅は5〜20μmであり、表面側トレンチ13aの深さは150μmである(図8(A)及び図9参照)。
【0049】
表面側トレンチ13aの形成には、図1(A)を参照して説明した表面側トレンチ7aの形成と同様に、汎用的なドライエッチング技術やICP−RIEを適用できる。
工程(1)は、半導体チップ領域3の製造プロセス中に行なってもよいし、半導体チップ領域3の製造プロセスが完了した後に行なってもよい。
【0050】
(2)ウエハ1の裏面1bの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に裏面側トレンチ13bを、表面側トレンチ13aと互いに連結させず、かつスクライブライン領域内の表面側トレンチ13aと同じ領域に位置を合わせて形成する。例えば裏面側トレンチ13bの寸法は、幅が5〜20μm、深さが150μmである(図8(B)参照)。ここで、表面側トレンチ13aの底と裏面側トレンチ13bの底の間の長さ(両トレンチ13a,13b間のウエハ1の厚み)は、ダイシング工程前に、充分な強度を保てる長さにしておく。
【0051】
表面側トレンチ13aの形成には、図1(A)を参照して説明した表面側トレンチ7aの形成と同様に、汎用的なドライエッチング技術やICP−RIEを適用できる。
工程(2)は、半導体チップ領域3の製造プロセス中に行なってもよいし、半導体チップ領域3の製造プロセスが完了した後に行なってもよい。
工程(1)及び工程(2)は本発明の半導体装置の製造方法のチッピング及びクラック防止用溝形成工程を構成する。
【0052】
(3)刃の幅が20〜30μm程度のダイシングブレード10を用いてスクライブライン領域5の中央側に、表面側トレンチ13a及び裏面側トレンチ13bのスクライブライン領域5の中央側の側面に重複するように、幅が30〜40μm程度の切断用溝15を形成して、半導体チップ領域3を個々の半導体チップに分割する(図8(C)参照)。この工程は本発明の半導体装置の製造方法の切断用溝形成工程を構成する。
【0053】
切断用溝15の形成時に、スクライブライン領域5の中央側でウエハ1の表面1a及び裏面1bにチッピングが発生しても、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に表面側トレンチ13a及び裏面側トレンチ13bが形成されているので、表面1a及び裏面1bでのチッピングの半導体チップ領域3への伝播を阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。
【0054】
さらに、個々に分割された半導体チップの側面において、中央側部分を除く表面側部分及び裏面側部分(エッヂ部分)は上面側トレンチ13a及び裏面側トレンチ13bの半導体チップ領域3側の側面により構成されるので、半導体チップのエッヂ部分を奇麗に仕上げることができ、後の工程でのエッヂ部分の欠けを防止することができる。
【0055】
さらに、2つ以上の半導体チップを重ねて搭載するCOB実装の場合、半導体チップのエッヂ部分の欠けをなくすことにより、重ね合わせ精度を向上させることができ、上下の半導体チップ間の接触面積を維持し、接着が不安定になるのを防止することができる。
【0056】
図10は半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を説明するための上面図である。この実施例の工程断面図は図8と同じである。
この実施例では、図8及び図9を参照して説明した実施例の工程(1)から(3)と同様にして半導体チップ領域3を個々の半導体チップに分割する。
【0057】
この実施例で、図8及び図9を参照して説明した実施例と異なる点は、表面側トレンチ13a及び裏面側トレンチ13bについて、スクライブライン領域5の交差部近傍の、半導体チップ領域3の形成領域形状の角部分に対応する部分17を上面側から見て丸みをもつように形成することである。これにより、個々に分割された半導体チップの角部分17に丸みをもたせることができ、後の工程での角部分17の欠けを防止することができる。
【0058】
この実施例では表面側トレンチ13a及び裏面側トレンチ13bの両方についてスクライブライン領域5の交差部近傍の、半導体チップ領域3の形成領域形状の角部分に対応する部分17を上面側から見て丸みをもつように形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、表面側トレンチ13aと裏面側トレンチ13bの一方についてのみ、スクライブライン領域5の交差部近傍の、半導体チップ領域3の形成領域形状の角部分に対応する部分17を上面側から見て丸みをもつように形成してもよい。
【0059】
図11は半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を示す工程断面図である。図12は図11(A)の工程でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図である。図8及び図9と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。図11及び図12を参照してこの実施例を説明する。
【0060】
(1)ウエハ1の表面1aの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に表面側トレンチ13aを形成する。各スクライブライン領域5には2本の表面側トレンチ13a,13aを形成する。例えばスクライブライン領域5の幅は50〜100μmであり、表面側トレンチ13a、13a間の距離は20〜30μmである(図11(A)及び図12参照)。
【0061】
(2)ウエハ1の裏面1bの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に裏面側トレンチ13bを、表面側トレンチ13aと互いに連結させず、かつスクライブライン領域内の表面側トレンチ13aと同じ領域に位置を合わせて形成する。裏面側トレンチ13b、13b間の距離は例えば20〜30μmである(図11(B)参照)。
工程(1)及び工程(2)は本発明の半導体装置の製造方法のチッピング及びクラック防止用溝形成工程を構成する。
【0062】
(3)刃の幅が20〜30μm程度のダイシングブレード10を用いてスクライブライン領域5の中央側に、2本の表面側トレンチ13a,13a及び2本の裏面側トレンチ13b,13bのスクライブライン領域5の中央側の側面に重複するように、幅が30〜40μm程度の切断用溝15を形成して、半導体チップ領域3を個々の半導体チップに分割する(図11(C)参照)。この工程は本発明の半導体装置の製造方法の切断用溝形成工程を構成する。
【0063】
この実施例では、図8及び図9を参照して説明した実施例と同様に、切断用溝15の形成時にスクライブライン領域5の中央側でウエハ1の表面1a及び裏面1bにチッピングが発生しても、表面1a及び裏面1bでのチッピングの半導体チップ領域3への伝播を阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。さらに、半導体チップのエッヂ部分を奇麗に仕上げることができ、後の工程でのエッヂ部分の欠けを防止することができる。さらに、2つ以上の半導体チップを重ねて搭載するCOB実装の場合に重ね合わせ精度を向上させることができ、上下の半導体チップ間の接触面積を維持し、接着が不安定になるのを防止することができる。
【0064】
さらに、スクライブライン領域5ごとに1回のダイシングで各チップ領域3を分割することができるので、処理時間を短縮することができる。
さらに、スクライブライン領域5の幅を小さくすることができるので、ウエハ1枚あたりに形成できるチップ領域3の個数を増加させることができ、製造コストを低減することができる。
【0065】
この実施例では、表面側トレンチ13a及び裏面側トレンチ13bについて、スクライブライン領域5の交差部近傍の、半導体チップ領域3の形成領域形状の角部分に対応する部分を直角に形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図10に示したのと同様に、半導体チップ領域3の形成領域形状の角部分に対応する部分を上面側から見て丸みをもつように形成するようにしてもよい。
【0066】
図8及び図9を参照して説明した実施例、図10を参照して説明した実施例、並びに図11及び図12を参照して説明した実施例では、表面側トレンチ13a及び裏面側トレンチ13bを、スクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部を囲むように形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、図3に示したのと同様に、表面側トレンチ13a及び裏面側トレンチ13bをスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。また、表面側トレンチ13aと裏面側トレンチ13bのいずれか一方をスクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部の周囲にも形成し、他方をスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。
【0067】
また、これらの実施例では表面側トレンチ13aを形成した後、裏面側トレンチ13bを形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、裏面側トレンチ13bを形成した後、表面側トレンチ13aを形成するようにしてもよい。
【0068】
図13は半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を示す工程断面図である。図14は図13(A)の工程でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図である。図13及び図14を参照してこの実施例を説明する。
【0069】
(1)表面1aに複数の半導体チップ領域3が形成され、半導体チップ領域3の間にスクライブライン領域5が設けられたウエハ1の表面1aの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に、スクライブライン領域5の中央側から順に表面側トレンチ19a,21aを形成する。例えばウエハ1の厚みは400μmであり、スクライブライン領域5の幅は100〜180μmである。また、例えば表面側トレンチ19aの寸法は幅が5〜10μm、深さが150μmであり、表面側トレンチ21aの寸法は幅が5〜20μm、深さが50〜150μmであり、表面側トレンチ19a,21a間の寸法は10〜30μmである(図13(A)及び図14参照)。
【0070】
表面側トレンチ19a,21aの形成には、図1(A)を参照して説明した表面側トレンチ7aの形成と同様に、汎用的なドライエッチング技術やICP−RIEを適用できる。表面側トレンチ19a,21aを同じ深さに形成する場合は、製造工程数を低減するために、両トレント19a,21aを同時に形成することが好ましい。
工程(1)は、半導体チップ領域3の製造プロセス中に行なってもよいし、半導体チップ領域3の製造プロセスが完了した後に行なってもよい。
【0071】
(2)ウエハ1の裏面1bの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に、スクライブライン領域5の中央側から順に裏面側トレンチ19b,21bを形成する。裏面側トレンチ19bについては、表面側トレンチ19aと互いに連結させず、かつスクライブライン領域内の表面側トレンチ13aと同じ領域に位置を合わせて形成する。例えば裏面側トレンチ19bの寸法は、幅が5〜10μm、深さが150μmであり、裏面側トレンチ21bの寸法は幅が5〜20μm、深さが50〜150μmであり、裏面側トレンチ19b,21b間の寸法は10〜30μmである(図13(B)参照)。
【0072】
裏面側トレンチ19b,21bの形成には、図1(A)を参照して説明した表面側トレンチ7aの形成と同様に、汎用的なドライエッチング技術やICP−RIEを適用できる。裏面側トレンチ19b,21bを同じ深さに形成する場合は、製造工程数を低減するために、両トレント19b,21bを同時に形成することが好ましい。
工程(2)は、半導体チップ領域3の製造プロセス中に行なってもよいし、半導体チップ領域3の製造プロセスが完了した後に行なってもよい。
工程(1)及び工程(2)は本発明の半導体装置の製造方法のチッピング及びクラック防止用溝形成工程を構成する。
【0073】
(3)刃の幅が20〜30μm程度のダイシングブレード10を用いてスクライブライン領域5の中央側に、表面側トレンチ13a及び裏面側トレンチ13bのスクライブライン領域5の中央側の側面に重複するように、幅が30〜40μm程度の切断用溝15を形成して、半導体チップ領域3を個々の半導体チップに分割する(図11(C)参照)。この工程は本発明の半導体装置の製造方法の切断用溝形成工程を構成する。
【0074】
個々に分割された半導体チップには、ウエハ(半導体基板)1の表面1aの外周部に表面側溝21aが形成され、裏面1bの外周部に裏面側溝21bが形成されている。この半導体チップは本発明の半導体装置の第2態様の一実施例を構成する。
【0075】
この実施例では、図8及び図9を参照して説明した実施例と同様に、表面側トレンチ19a及び裏面側トレンチ19bにより、表面1a及び裏面1bでのチッピングの半導体チップ領域3への伝播を阻止して半導体装置の損傷を防止することができ、さらに、個々に分割された半導体チップの側面において半導体チップのエッヂ部分を奇麗に仕上げることができ、後の工程でのエッヂ部分の欠けを防止することができ、さらに、2つ以上の半導体チップを重ねて搭載するCOB実装の場合重ね合わせ精度を向上させることができ、上下の半導体チップ間の接触面積を維持し、接着が不安定になるのを防止することができる。
【0076】
この実施例では表面側トレンチ19a,21a及び裏面側トレンチ19b,21bを、スクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部を囲むように形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、例えば図15に示すように、表面側トレンチ19a,21a及び裏面側トレンチ19b,21bをスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。また、表面側トレンチ19a,21aと裏面側トレンチ19b,21bのうちのいずれかのトレンチをスクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部の周囲にも形成し、残りのトレンチをスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。
【0077】
図13及び図14を参照して説明した実施例により製造した半導体チップをCOB実装に適用し、2つの半導体チップを重ねて搭載した状態の断面図を図16に示す。図16では半導体チップを搭載するための基板の図示は省略し、重ね合わされて配置される2つの半導体チップのみを示している。
【0078】
下側の半導体チップ23の表面1a上に接着剤27を介して上側の半導体チップ25が位置合わせして重ね合わせられている。
半導体チップ23上に半導体チップ25を搭載する際、余分な接着剤27は半導体チップ23の表面1aの外周部に形成された表面側トレンチ21a内、及び半導体チップ25の裏面1bの外周部に形成された裏面側トレンチ21b内に入っていくので、半導体チップ23,25の側面から余分な接着材27がはみ出すのを防止することができる。
【0079】
図13及び図14を参照して説明した実施例では、表面側トレンチ21a及び裏面側トレンチ21bについて、それらの側面を表面1a及び裏面1bに対して直交する方向に形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図17に示すように、表面側トレンチ21aを表面1a側が広いテーパー形状に形成し、裏面側トレンチ21bを裏面1b側が広いテーパー形状に形成してもよい。
【0080】
表面側トレンチ21a及び裏面側トレンチ21bをテーパー形状に形成することにより、個々に分割後の半導体チップを、2つの半導体チップを重ねて搭載するCOB実装に適用した場合に、余分な接着剤が表面側トレンチ21a内及び裏面側トレンチ21b内に入りやすくすることができ、重ねて配置した半導体チップの側面から余分な接着材がはみ出すのを防止する効果を向上させることができる。
【0081】
図18は半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を示す工程断面図である。図19は図18(A)の工程でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図である。図13及び図14と同じ機能を果たす部分には同じ符号を付し、それらの部分の詳細な説明は省略する。図18及び図19を参照してこの実施例を説明する。
【0082】
(1)ウエハ1の表面1aの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に、スクライブライン領域5の中央側から順に表面側トレンチ19a,21aを形成する。各スクライブライン領域5には表面側トレンチ19a,21aの組を2組ずつ形成する。例えばスクライブライン領域5の幅は100〜180μmであり、表面側トレンチ19a、19a間の距離は20〜30μmである(図18(A)及び図19参照)。
【0083】
(2)ウエハ1の裏面1bの、スクライブライン領域5の半導体チップ領域3近傍の領域に、スクライブライン領域5の中央側から順に裏面側トレンチ19b,21bを形成する。各スクライブライン領域5には裏面側トレンチ19b,21bの組を2組ずつ形成する。裏面側トレンチ19bについては、表面側トレンチ19aと互いに連結させず、かつスクライブライン領域内の表面側トレンチ13aと同じ領域に位置を合わせて形成する。裏面側トレンチ19b、19b間の距離は例えば20〜30μmである(図18(B)参照)。
工程(1)及び工程(2)は本発明の半導体装置の製造方法のチッピング及びクラック防止用溝形成工程を構成する。
【0084】
(3)刃の幅が20〜30μm程度のダイシングブレード10を用いてスクライブライン領域5の中央側に、2本の表面側トレンチ19a,19a及び2本の裏面側トレンチ19b,19bのスクライブライン領域5の中央側の側面に重複するように、幅が30〜40μm程度の切断用溝15を形成して、半導体チップ領域3を個々の半導体チップに分割する(図18(C)参照)。この工程は本発明の半導体装置の製造方法の切断用溝形成工程を構成する。
【0085】
個々に分割された半導体チップには、ウエハ(半導体基板)1の表面1aの外周部に表面側溝21aが形成され、裏面1bの外周部に裏面側溝21bが形成されている。この半導体チップは本発明の半導体装置の第2態様の一実施例を構成する。
【0086】
この実施例では、図8及び図9を参照して説明した実施例と同様に、表面側トレンチ19a及び裏面側トレンチ19bにより、表面1a及び裏面1bでのチッピングの半導体チップ領域3への伝播を阻止して半導体装置の損傷を防止することができ、さらに、個々に分割された半導体チップの側面において半導体チップのエッヂ部分を奇麗に仕上げることができ、後の工程でのエッヂ部分の欠けを防止することができ、さらに、2つ以上の半導体チップを重ねて搭載するCOB実装の場合重ね合わせ精度を向上させることができ、上下の半導体チップ間の接触面積を維持し、接着が不安定になるのを防止することができる。
【0087】
さらに、図13及び図14を参照して説明した実施例と同様に、個々に分割後の半導体チップについて、2つの半導体チップを重ねて搭載するCOB実装に適用した場合に、余分な接着剤を表面側トレンチ21a内及び裏面側トレンチ21b内に収容することができるので、重ねて配置した半導体チップの側面から余分な接着材がはみ出すのを防止することができる。
【0088】
さらに、図11を参照して説明した実施例と同様に、スクライブライン領域5ごとに1回のダイシングで各チップ領域3を分割することができるので、処理時間を短縮することができ、さらに、スクライブライン領域5の幅を小さくすることができるので、ウエハ1枚あたりに形成できるチップ領域3の個数を増加させることができ、製造コストを低減することができる。
【0089】
この実施例では表面側トレンチ19a,21a及び裏面側トレンチ19b,21bを、スクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部を囲むように形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、例えば図15に示したのと同様に、表面側トレンチ19a,21a及び裏面側トレンチ19b,21bをスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。また、表面側トレンチ19a,21aと裏面側トレンチ19b,21bのうちのいずれかのトレンチをスクライブライン領域5を横切ってスクライブライン領域5の交差部の周囲にも形成し、残りのトレンチをスクライブライン領域5の交差部の周囲には形成せずに半導体チップ領域3を囲むように形成してもよい。
【0090】
図13及び図14を参照して説明した実施例、並びに図18及び図19を参照して説明した実施例では、表面側トレンチ19a,21aを形成した後、裏面側トレンチ19b,21bを形成しているが、本発明の半導体装置の製造方法はこれに限定されるものではなく、裏面側トレンチ19b,21bを形成した後、表面側トレンチ19a,21aを形成するようにしてもよい。
【0091】
また、これらの実施例では、位置合わせして形成する表面側トレンチ21a及び裏面側トレンチ21bを形成する領域と、半導体チップ領域3の間の領域に、表面1aと裏面1bにそれぞれ1本ずつトレンチを形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、位置合わせして形成する表面側トレンチ及び裏面側トレンチを形成する領域と、半導体チップ領域の間の領域に形成するトレンチの本数は、ウエハの表面及び裏面についてそれぞれ何本であってもよい。また、ウエハの表面及び裏面の両面の、位置合わせして形成する表面側トレンチ及び裏面側トレンチを形成する領域と半導体チップ領域の間の領域にトレンチを形成する場合、表面側トレンチと裏面側トレンチの形成位置を合わせる必要はない。
【0092】
以上、本発明の半導体装置及びその製造方法の実施例を説明したが、実施例で用いた寸法や形状は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0093】
【発明の効果】
請求項1に記載された半導体装置の製造方法では、ダイシング工程は、半導体ウエハの表面側の、スクライブライン領域の半導体チップ領域近傍の領域に1又は複数の表面側溝を形成し、半導体ウエハの裏面側の、スクライブライン領域の半導体チップ領域近傍の領域に1又は複数の裏面側溝を形成するチッピング及びクラック防止用溝形成工程、及びスクライブライン領域の中央側に切断用溝を形成する切断用溝形成工程を含むようにしたので、表面側及び裏面側でのチッピングの半導体チップ領域への伝播を阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。
【0094】
請求項2に記載された半導体装置の製造方法では、チッピング及びクラック防止用溝形成工程は、少なくとも表面側溝の1つ及び裏面側溝の1つを、互いに連結させず、スクライブライン領域内の互いに異なる領域に、かつ半導体ウエハの厚み方向で重複するように形成するようにしたので、切断用溝形成工程においてスクライブライン領域の中央側でクラックが発生しても、クラックが半導体チップ領域へ伝播するのを阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。
【0095】
請求項3に記載された半導体装置の製造方法では、表面側溝を形成した後、切断用溝形成工程の前に、表面側溝を覆うように半導体ウエハの表面上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程を含むようにしたので、樹脂層は表面側溝内にも形成されるので樹脂層と半導体ウエハの密着性を向上させることができ、樹脂層の剥離を防止することができる。
【0096】
請求項4に記載された半導体装置の製造方法では、樹脂層形成工程を含む場合、表面側溝を上面側から見て波形形状に形成するようにしたので、半導体ウエハと樹脂層の接触面積を大きくすることができ、半導体ウエハと樹脂層の密着性をさらに向上させることができる。
【0097】
請求項5に記載された半導体装置の製造方法では、請求項1に記載された半導体装置の製造方法において、チッピング及びクラック防止用溝形成工程は、少なくとも表面側溝の1つ及び裏面側溝の1つを、互いに連結させず、かつスクライブライン領域内の同じ領域に位置を合わせて形成し、切断用溝形成工程は、位置合わせして形成された表面側溝及び裏面側溝のスクライブライン領域の中央側の側面に重複するように切断用溝を形成するようにしたので、表面側及び裏面側でのチッピングの半導体チップ領域への伝播を阻止することができ、半導体装置の損傷を防止することができる。さらに、半導体装置のエッヂ部分を奇麗に仕上げることができ、後の工程でのエッヂ部分の欠けを防止することができる。さらに、2つ以上の半導体装置を重ねて搭載するCOB実装において半導体装置の重ね合わせ精度を向上させることができ、上下の半導体装置間の接触面積を維持し、接着が不安定になるのを防止することができる。
【0098】
請求項6に記載された半導体装置の製造方法では、請求項5に記載された半導体装置の製造方法において、位置合わせして形成された表面側溝及び裏面側溝の少なくとも一方について、スクライブライン領域の交差部近傍の、半導体チップ領域の形成領域形状の角部分に対応する部分を上面側から見て丸みをもつように形成するようにしたので、分割後の半導体装置の角部分に丸みをもたせることができ、後の工程での角部分の欠けを防止することができる。
【0099】
請求項7に記載された半導体装置では、半導体基板の表面に半導体チップ領域が形成され、さらにその上に樹脂層が形成されている半導体装置において、半導体基板の表面の外周部に表面側溝が形成されており、表面側溝内にも樹脂層が形成されているようにしたので、樹脂層と半導体基板の密着性を向上させることができ、樹脂層の剥離を防止することができる。
【0100】
請求項8に記載された半導体装置では、請求項7に記載された半導体装置において、表面側溝を上面側から見て波形形状に形成されているようにしたので、半導体ウエハと樹脂層の接触面積を大きくすることができ、半導体ウエハと樹脂層の密着性をさらに向上させることができる。
【0101】
請求項9に記載された半導体装置では、半導体基板の表面に半導体チップ領域が形成されている半導体装置において、半導体基板の表面もしくは裏面又は両面の外周部に溝が形成されているようにしたので、2つ以上の半導体装置を重ねて搭載する際に半導体装置間に充填される接着剤のはみ出しを防止することができる。
【0102】
請求項10に記載された半導体装置では、請求項9に記載された半導体装置において、上記溝はテーパー形状に形成されているようにしたので、2つ以上の半導体装置を重ねて搭載する際に半導体装置間に充填される余分な分の接着剤を溝内に導入しやすくすることができ、接着剤のはみ出しを防止する効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体装置の製造方法の一実施例を示す工程断面図である。
【図2】同実施例でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図であり、(A)は図1(A)の工程に対応し、(B)は図1(B)の工程に対応する。
【図3】同実施例における表面側トレンチ及び裏面側トレンチの他の形成形状を示す平面図である。
【図4】半導体装置の製造方法の他の実施例を示す工程断面図である。
【図5】同実施例でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図であり、図4(B)の工程に対応する。
【図6】同実施例における表面側トレンチ及び裏面側トレンチの他の形成形状を示す平面図である。
【図7】同実施例における表面側トレンチ及び裏面側トレンチのさらに他の形成形状を示す平面図である。
【図8】半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を示す工程断面図である。
【図9】同実施例でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図であり、図8(A)の工程に対応する。
【図10】半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を説明するための上面図である。
【図11】半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を示す工程断面図である。
【図12】同実施例でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図であり、図11(A)の工程に対応する。
【図13】半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を示す工程断面図である。
【図14】同実施例でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図であり、図13(A)の工程に対応する。
【図15】同実施例における表面側トレンチ及び裏面側トレンチの他の形成形状を示す平面図である。
【図16】図13及び図14の実施例により製造した半導体チップをCOB実装に適用し、2つの半導体チップを重ねて搭載した状態を示す断面図である。
【図17】図13及び図14の実施例における表面側トレンチ及び裏面側トレンチの他の形成形状を示す断面図である。
【図18】半導体装置の製造方法のさらに他の実施例を示す工程断面図である。
【図19】同実施例でのスクライブライン領域の交差部近傍を示す平面図であり、図18(A)の工程に対応する。
【図20】従来のダイシング工程の不具合を示す断面図である。
【図21】2つの半導体チップを重ねて搭載した従来のCOB実装の不具合を示す断面図である。
【符号の説明】
1   ウエハ
3   半導体チップ領域
5   スクライブライン領域
7a  表面側トレンチ(表面側溝)
7b  裏面側トレンチ(裏面側溝)
9   切断用溝
10   ダイシングブレード

Claims (10)

  1. 表面に複数の半導体チップ領域が形成され、半導体チップ領域間にスクライブライン領域が設けられた半導体ウエハを個々の半導体装置に分割するためのダイシング工程を含む半導体装置の製造方法において、
    ダイシング工程は、半導体ウエハの表面側の、スクライブライン領域の半導体チップ領域近傍の領域に1又は複数の表面側溝を形成し、半導体ウエハの裏面側の、スクライブライン領域の半導体チップ領域近傍の領域に1又は複数の裏面側溝を形成するチッピング及びクラック防止用溝形成工程、及び
    スクライブライン領域の中央側に切断用溝を形成する切断用溝形成工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記チッピング及びクラック防止用溝形成工程は、少なくとも前記表面側溝の1つ及び前記裏面側溝の1つを、互いに連結させず、スクライブライン領域内の互いに異なる領域に、かつ半導体ウエハの厚み方向で重複するように形成する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記表面側溝を形成した後、前記切断用溝形成工程の前に、前記表面側溝を覆うように半導体ウエハの表面上に樹脂層を形成する樹脂層形成工程を含む請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記表面側溝を上面側から見て波形形状に形成する請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記チッピング及びクラック防止用溝形成工程は、少なくとも前記表面側溝の1つ及び前記裏面側溝の1つを、互いに連結させず、かつスクライブライン領域内の同じ領域に位置を合わせて形成し、
    前記切断用溝形成工程は、位置合わせして形成された前記表面側溝及び前記裏面側溝のスクライブライン領域の中央側の側面に重複するように前記切断用溝を形成する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 位置合わせして形成された前記表面側溝及び前記裏面側溝の少なくとも一方について、スクライブライン領域の交差部近傍の、半導体チップ領域の形成領域形状の角部分に対応する部分を上面側から見て丸みをもつように形成する請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 半導体基板の表面に半導体チップ領域が形成され、さらにその上に樹脂層が形成されている半導体装置において、
    半導体基板の表面の外周部に表面側溝が形成されており、前記表面側溝内にも前記樹脂層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
  8. 前記表面側溝は上面側から見て波形形状に形成されている請求項8に記載の半導体装置。
  9. 半導体基板の表面に半導体チップ領域が形成されている半導体装置において、半導体基板の表面もしくは裏面又は両面の外周部に溝が形成されていることを特徴とする半導体装置。
  10. 前記溝はテーパー形状に形成されている請求項9に記載の半導体装置。
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