JP2004042841A - プラットホーム用2枚扉式可動柵 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】扉の閉状態から駆動部(モータ9,プーリ10)を左回転させると、戸袋1のブラケット13でベルト11の下部を掴み、固定しているため、ここを起点としてベルトが左回転する。実際にはベルトは固定支持されているため左に移動する。駆動部は後扉2と一体となっているため、戸袋のスライドレール5の上を軸受6により支持している後扉が開方向に移動する。一方、ベルトの上部は、前扉3のブラケット14によって掴み、固定しているため、ベルトの動き量と駆動部の動き量分(2倍の動き量)が後扉に固定したスライドレール7の上を前扉を支持している軸受8により移動する。後扉がL移動すると、前扉は2L移動し、前扉は後扉の倍速で動き、後扉と前扉は同時に移動が完了し、同位置に停止する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道車両の駅構内のプラットホームに設置され、乗降客の線路上への転落事故あるいは列車との接触事故を防止するプラットホーム用2枚扉式可動柵に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗降客を危険から保護するプラットホーム用可動柵は、列車待機中は閉塞され、列車がプラットホームに到着すると、扉が開かれて乗降客の通過を可能とするもので、一般にプラットホームに設置される衝立状の戸袋と、この戸袋に出入り自在に収納される引き戸式の扉とから構成されている。
軌道車両とプラットホーム用可動柵の関係説明図を図6に示す。軌道車両58の先頭車または最後尾車に乗務員乗降口60が装備されており、この乗務員乗降口60と乗降客乗降口59の間隔は、隣り合う乗降客乗降口59の間隔に対して短くなっている。この乗務員乗降口60のための乗務員扉57を設置しようとする場合、乗務員乗降口60の隣の乗降客乗降口59の可動柵は、標準的な1枚扉式可動柵の戸袋51、1枚扉52という構成が不可能であり、戸袋に対して扉を長くできる2枚扉式の可動柵の組合わせ(扉長の長い戸袋53と2枚扉54、そして、扉長の短い戸袋55と2枚扉56)構成となる。
この2枚扉式可動柵の従来技術については、特開2000−108890号公報、特開2000−177580号公報に示されている。
図5は、特開2000−108890号公報に記載されたプラットホーム4に固定の2枚扉式可動柵の内部構造の断面図である。駆動源であるリニアモータ31を戸袋1に設置し、戸袋1に固定したスライドレール5にスライド軸受6を介してスライド可能に支持させた後扉2に、前扉3の出入り方向に沿わせてボールねじ22付きのスライドレール21を固定し、前扉3にボールねじ22と螺合し、かつスライドレール21と摺動接触するスライド軸受23を固定するとともに、後扉2の出入り動作を戸袋1との間で回転運動に変換する歯車機構24〜27を設け、この歯車機構24〜27でボールねじ22を回転させて前扉3を出入り動作させるようにしている。さらに、戸袋1にラック30を固定する一方、一端にこのラック30と噛み合う平歯車26を取り付け、かつ他端に傘歯車25を取り付けた歯車軸27を送りねじと直交させて後扉2に回転自在に設ける。この歯車軸27は、後扉2に固定された支持アーム28に転がり軸受29を介して支持されている。傘歯車25と噛み合う傘歯車24をボールねじ22の軸端に取り付け、後扉2の出入り動作に伴う歯車軸27の回転によりボールねじ22を回転させ、前扉3を出入り動作させるよう後扉2を駆動して出入り動作させ、この後扉2の出入り動作に連動させて前扉3を出入りさせるという構造である。
また、特開2000−177580号公報は、2枚扉の駆動にパンタグラフ方式のリンク機構で前扉に追従して後扉が動作する構造である。図6に示すような可動柵の配置の場合、先頭車および最後尾車の乗務員乗降口の隣の乗降客乗降口を除く全ての乗務員乗降口用の可動柵は、1枚扉式で統一できる。一般に1枚扉式の扉の駆動は、ベルトまたはボールねじで直接扉を駆動させる方式であり、標準駆動方式として公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来方式では、後扉に連動して直ちに同時平行的に前扉も開閉動作させる機構にラック、平歯車、歯車軸、転がり軸受、傘歯車という歯車機構を使い、さらにボールねじ付きのスライドレールを使っているため、部品点数も多く、組立工数大であること、騒音および保守性の面でも問題があった。
リンク駆動においては、前扉に後扉が追従する機構のため、開閉動作が逐次的になり、開閉速度を迅速にする点において問題があった。
さらに、いずれの従来方式においても、標準駆動方式であるベルトあるいはボールねじによる簡単構造ではないため、駆動装置を2枚扉専用のものを設置する必要があり、1枚扉式と共通化できないという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、構造が簡単で保守性も良く、信頼性の高い扉駆動機構を1枚扉式の可動柵と同一の駆動方式で構築可能とするプラットホーム用2枚扉式可動柵を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、駆動モータ、ベルトまたはチェーン、プーリからなり、後扉に固定設置した駆動部によって後扉を駆動して出入り動作させ、後扉の出入り動作に連動させて同時に駆動部によって前扉を出入り動作させ、駆動部および後扉と前扉が一体となって移動し、開閉動作する。
また、後扉に駆動部を固定すると共に、駆動部を駆動モータ、ベルトまたはチェーン、プーリによるベルト駆動またはチェーン駆動とし、ベルトまたはチェーンの上下いずれかの端を後扉に固定支持し、ベルトまたはチェーンの反対側の端を前扉に固定支持し、駆動モータを回転させてベルトまたはチェーンを駆動し、ベルトまたはチェーンの駆動によって後扉を動かすと同時に連動して前扉を動かし、駆動部および後扉と前扉が一体となって開閉動作する。
ここで、ベルトまたはチェーンは1本であり、後扉と前扉の2枚の扉を同時駆動する。また、後扉の移動分とベルトの移動分との相乗作用により、前扉を後扉の倍速で開閉動作させる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明のプラットホーム用2枚扉式可動柵の一実施形態を示し、プラットホーム用2枚扉式可動柵(以下、単に可動柵と記すこともある。)の内部構造をホーム側から見た正面図である。図2は、本発明の扉開状態の動作図、図3は、図1の水平面のA−A断面の断面図、図4は、図1の垂直面のB−B断面の断面図である。
これらの図において、可動柵は、衝立状の戸袋1と、この戸袋1に出入り自在に収納される前後2枚の引き戸式の扉2(後扉)及び3(前扉)とからなり、戸袋1は、プラットホーム4の床面に図示しないボルトにより固定されている。後扉2及び前扉3は、扉閉時には図1の戸袋1の右端の開口1aから図示の通り押し出され、扉開時には図2の偏平な中空体からなる戸袋1内に引き入れられる。ここで、後扉2は戸袋1にスライド可能に支持され、前扉3は後扉2にスライド可能に支持されており、後扉2はこの後扉自体に固定設置された駆動モータ9でベルト駆動されて出入り動作し、前扉3は後扉2の出入り動作に連動して出入り動作するようになっている。
【0007】
以下、その機構について説明する。
まず、戸袋1の一方の側壁の内壁面中央上部に、後扉2を案内支持するスライドレール5が固定され、これに対応して後扉2の側面中央上部の後側に前後一対のスライド軸受6が固定されている。スライド軸受6は、図4に示すように、スライドレール5と嵌合し、後扉2を支持しながらスライドする。図示しないが、スライド軸受6は、無限循環運動をする多数のボール等を介してスライドレール5と転がり接触するものであり、このようなスライドレール5及びスライド軸受6はいずれも公知である。スライド軸受6によりスライドレール5に支持された後扉2は、底部は逆U字断面のガイドレール18と戸袋1の下部に固定された回転輪17がスライド可能に嵌め込まれ、左右方向に振れ止めされている。一方、後扉2には、スライド軸受6のやや上に前扉3の出入り方向に沿ってスライドレール7が固定され、これに対応して前扉3の対向側面に前後一対のスライド軸受8が固定されている。後扉2と同方式でスライド軸受8は、図4に示すように、スライドレール7と嵌合し、前扉3を支持しながらスライドする。スライド軸受8によりスライドレール7に支持された前扉3は、前扉3の底部は逆U字断面のガイドレール20と後扉2の下部に固定された回転輪19がスライド可能に嵌め込まれ、左右方向に振れ止めされている。
一方、図3に示すように、後扉2の一方の側壁の内壁面には、前後扉を駆動する動源としての駆動モータ9、プーリ10を固定設置し、他方のアイドルプーリ12は、前扉3の収納に干渉しない位置に後扉2と一体となった駆動部取付ブラケット16に取付固定し、ベルト11を取付ける。扉閉時は、前扉3は後扉2の中に完全に収納される。図1に示すように、ベルト11の下部駆動モータ9側は、戸袋1から張り出したブラケット13に固定支持し、ベルト11の上部右側は前扉3から張り出したブラケット14に固定支持されている。後扉2、前扉3の長さは同一であり、各々のブラケットからの固定支持間隔は、この前後扉の長さと一致して取付けてある。キャタピラ15は駆動モータ9のリード線を保護し、追従可動するものである。
なお、図1において、ベルト11の下端に後扉2をブラケット13によって固定支持し、ベルト11の上端に前扉3をブラケット14によって固定支持することに代えて、ベルト11の上端に後扉2をブラケット13によって固定支持し、ベルト11の下端に前扉3をブラケット14によって固定支持するようにしてもよい。
【0008】
上述した可動柵の開閉動作は、以下の通りである。
図1の閉状態から駆動モータ9を起動し、プーリ10を左回転させると、戸袋1から張り出したブラケット13でベルト11の下部が掴まれ、固定支持されているため、ここを起点として駆動モータ9のトルクによりベルト11が左回転する。実際にはベルト11は固定支持されているため、駆動源である駆動モータ9、プーリ10が開方向である左に移動する。駆動部であるこれら駆動モータ9、プーリ10は、後扉2と一体となっているため、戸袋1に固定されたスライドレール5の上をスライド軸受6により支持されている後扉2が開方向に移動する。一方、ベルト11の上部は、前扉3から張り出したブラケット14に掴まれ、固定支持されているため、プーリ10の回転によるベルト11の動き量とさらに前述したように後扉2と一体となって移動する駆動部の動き量分(2倍の動き量)が後扉2に固定されたスライドレール7の上を前扉3を支持しているスライド軸受8により移動する。図2に開状態を示すが、一体となっている駆動部と後扉2がL移動すると、前扉3は2L移動する。つまり、後扉2に対して前扉3は倍速で動き、後扉2と前扉3は同時に移動が完了し、同位置に停止する。駆動モータ9を逆回転させれば、後扉2および前扉3は同様の動作で図1の閉状態まで引き出される。
【0009】
図7は、駆動部の動作原理を説明する原理図であり、図7(A)は、扉が閉じた状態を示し、図7(B)は、後扉2が左(扉開方向)にLだけ移動した図を示す。
図7(A)において、後扉2に一定の間隔で固定されているモータ9と一体となったプーリ10とアイドルプーリ12は、ベルト11で繋がれており、また、ブラケット13は、戸袋1に固定され、ベルト11を掴んでいる。つまり、ブラケット13がベルト11を掴んでいる位置13aは動かない。
図7(B)において、モータ9によりプーリ10が左回転すると、ベルト11はブラケット13により位置13aで掴まれているため、プーリ10は、ラックとピニオンの関係のようにベルト11の歯の上をモータ9とプーリ10自身が回転しながら左(扉開方向)に移動することになる。ここで、プーリ10がLだけ移動したとすると、後扉2と駆動部は一体のため、つまりは後扉2がLだけ移動したことになる。したがって、アイドルプーリ12もLだけ移動する。前扉3に視点を変えると、図7(A)において前扉3に取り付けられていたブラケット14でベルト11を掴んでおり、扉が閉じた状態では、このブラケット14でベルト11を掴んでいる位置14aからアイドルプーリ12間の距離はaである。図7(B)において後扉2がLだけ左に移動すると、アイドルプーリ12もLだけ左に移動するが、ベルト11を掴んでいる位置14aは、扉が閉じた状態で元々距離aだけ離れた位置にあるため、プーリ10がLだけ左に回転移動すると、ベルト11の下側は位置13aで掴まれているため、ベルト11の上側がLだけ左に移動することになる。したがって、ブラケット14のベルト11を掴んでいる位置14aは、さらにLだけ左に移動することになる。つまりは、位置14aは2Lだけ左に動くことになる。
同じ移動時間で後扉2がLだけ移動すると、前扉3は2L移動、つまり前扉3は倍速で移動する。戸袋1から出ている扉の長さを後扉2、前扉3とも同じの長さLにすると、戸袋1の先端から後扉2の先端までの距離Lに対して前扉3の先端までの距離は2Lとなり、前記原理から後扉2と前扉3は全開した時に同時に移動が完了し、同位置に停止することになる。
【0010】
本実施形態においては、モータ9が回転すると、後扉2が移動を始め、前扉3もこれに連動して直ちに移動を始め、同時にベルト11も移動するので、後扉2の移動分とベルト11の移動分との相乗作用により、前扉3は後扉2の倍速で移動することになる。したがって、前扉3を駆動し、前扉3が一定距離移動した時点で後扉2を引っ張りあるいは押して後扉2を移動させるような開閉操作が逐次的な動作の従来方式に比べ、本実施形態は、扉の開閉動作が迅速になる。
なお、本実施形態ではベルト駆動方式としたが、チェーン駆動方式でも同様の機能が得られる。
【0011】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、駆動部を後扉に設け、ベルト駆動で駆動部自体を動かすことにより後扉を駆動し、前扉は後扉と連動させるため、扉の駆動機構を構造が簡単でかつ組立性の高いものとして構築することができ、また、2枚扉可動柵の動作の信頼性と開閉速度の向上を図ることができる。
さらに、本発明の扉の駆動機構は、1枚扉可動柵の標準駆動方式と同一の駆動装置であるため、部品点数と組立工数を削減し、騒音の低減かつ保守性の高い可動柵を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラットホーム用2枚扉式可動柵の一実施形態であり、可動柵の内部構造をホーム側から見た扉閉状態の正面図
【図2】本発明の扉全開状態の動作図
【図3】図1の水平面のA−A断面の断面図
【図4】図1の垂直面のB−B断面の断面図
【図5】従来の可動柵の内部構造の断面図
【図6】軌道車両とプラットホーム用可動柵の関係説明図
【図7】本発明の駆動部の動作原理を説明する原理図
【符号の説明】
1…戸袋、2…後扉、3…前扉、4…プラットホーム、5…スライドレール、6…スライド軸受、7…スライドレール、8…スライド軸受、9…駆動モータ、10…プーリ、11…ベルト、12…アイドルプーリ、13…ブラケット、14…ブラケット、15…キャタピラ、16…駆動部ブラケット、17…回転輪、18…ガイドレール、19…回転輪、20…ガイドレール、51…1枚扉式可動柵の戸袋、52…1枚扉式可動柵の扉、53…扉長の長い戸袋、54…扉長の長い2枚扉、55…扉長の短い戸袋、56…扉長の短い2枚扉、57…乗務員扉、58…軌道車両、59…乗降客乗降口、60…乗務員乗降口
Claims (4)
- 軌道のプラットホームに設置される衝立上の戸袋と、前記戸袋にスライド可能に支持させた後扉と、前記後扉にスライド可能に支持させた前扉とからなるプラットホーム用2枚扉式可動柵において、駆動モータ、ベルトまたはチェーン、プーリからなり、前記後扉に固定設置した駆動部によって前記後扉を駆動して出入り動作させ、前記後扉の出入り動作に連動させて同時に前記駆動部によって前記前扉を出入り動作させ、前記駆動部および前記後扉と前記前扉が一体となって移動し、開閉動作することを特徴とするプラットホーム用2枚扉式可動柵。
- 軌道のプラットホームに設置される衝立上の戸袋と、前記戸袋にスライド可能に支持させた後扉と、前記後扉にスライド可能に支持させた前扉とからなるプラットホーム用2枚扉式可動柵において、前記後扉に駆動部を固定すると共に、前記駆動部を駆動モータ、ベルトまたはチェーン、プーリによるベルト駆動またはチェーン駆動とし、前記ベルトまたは前記チェーンの上下いずれかの端を前記後扉に固定支持し、前記ベルトまたは前記チェーンの反対側の端を前記前扉に固定支持し、前記駆動モータを回転させて前記ベルトまたは前記チェーンを駆動し、前記ベルトまたは前記チェーンの駆動によって前記後扉を動かすと同時に連動して前記前扉を動かし、前記駆動部および前記後扉と前記前扉が一体となって移動し、開閉動作することを特徴とするプラットホーム用2枚扉式可動柵。
- 請求項1または請求項2において、前記ベルトまたは前記チェーンは1本であり、前記後扉と前記前扉の2枚の扉を同時駆動することを特徴とするプラットホーム用2枚扉式可動柵。
- 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、前記後扉の移動分と前記ベルトの移動分との相乗作用により、前記前扉を前記後扉の倍速で開閉動作させることを特徴とするプラットホーム用2枚扉式可動柵。
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