JP2003183181A - 昇華性成分含有製剤 - Google Patents
昇華性成分含有製剤Info
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Abstract
定性に優れ、しかも苦味等が軽減されていて服用し易
く、かつ製造コストが低い昇華性成分含有固形製剤、特
にイブプロフェン含有固形製剤を提供する。 【解決手段】 プロピレングリコール、グリセリンまた
はコポリビドンと水溶性高分子基剤とを含むフィルムコ
ーティング液でコーティングされてなる昇華性成分含有
製剤。
Description
剤に関する。より詳細には、本発明は昇華の抑制された
イブプロフェン含有製剤に関する。
善する目的でフィルムコーティングが行われている。こ
のフィルムコーティングの基剤としては、有機溶媒を用
いなくてもよいという利点を有する水溶性高分子基剤が
汎用されている。しかし、薬剤成分が昇華性を有する場
合、このようなコーティング法によっては、コーティン
グ層がポーラスであるため、昇華の抑制は難しく、例え
ば瓶の中に保存すると翌日、瓶の内面が曇る現象が観察
される。このため、水溶性高分子基剤以外の基剤を用い
て対策がとられるが、この場合には有機溶媒を使用する
必要があり、また昇華抑制のためにコーティング層を厚
くしたり、多層コーティングにしたりする必要があり製
造方法が極めて複雑になるという問題がある。
イブプロフェンすなわち2−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸が挙げられる。このイブプロフェン
は、抗炎症、鎮痛、解熱等の作用があり、医薬品として
広く使用されている。しかし、イブプロフェンは刺激性
の苦味を有するので、服用性の向上の観点からその苦味
を抑制することが望まれる。かかる抑制について、特開
昭63−101321号公報には、水酸化アルミニウム
を添加する方法が開示されてあり、特開平3−8392
2号公報には胃溶性高分子化合物でイブプロフェンを練
合し細粒剤や散剤を製造する方法が開示されている。ま
たイブプロフェン含有粒状物を水不溶性高分子化合物で
コーティングし、さらにその表面を糖アルコール又は糖
類で被覆して苦味を抑制する方法も知られている。しか
し、イブプロフェンの融点は75〜77℃と低く、上記
のように昇華性を有するため、上記のような製剤では苦
味のマスキング効果が薄れるとともに、湿潤、固化およ
び変色が起こり、瓶の中のように密閉された容器では曇
りが生じ、商品価値が下がるという問題が生じる。一
方、フィルムコーティングの基剤として水溶性高分子基
剤を用いる場合、フィルムコーティング液には、水溶性
高分子基剤、隠蔽剤、滑沢剤の他に、フィルム層に柔軟
性を与えて強度を増し、また展延性を向上させて、製剤
の外観を向上させるため可塑剤が添加される。かかる可
塑剤としては、マクロゴール6000が優れており汎用
されている。しかし、イブプロフェンのような低融点物
質を含有する素錠とフィルム層中のマクロゴール600
0とが界面で反応して含量が低下したり、錠剤表面が着
色して経時的安定性に問題が生じ、また昇華の抑制も困
難となるといった問題がある。このようにイブプロフェ
ンを含有する製剤の製剤化に際しては種々の問題点が残
っている。
目的は、昇華性成分の昇華が抑制されていて経時的安定
性に優れ、しかも苦味等が軽減されていて服用し易く、
かつ製造コストが低い昇華性成分含有固形製剤、特にイ
ブプロフェン含有固形製剤を提供することにある。
解決するため、フィルムコーティングの可塑剤につい
て、マクロゴール6000の代用となる可塑剤について
鋭意検討を行った結果、予想外にもプロピレングリコー
ル、グリセリンまたはコポリビドンを配合すると、本来
の可塑剤としての働きの他にフィルムコーティング錠か
らのイブプロフェンの昇華が抑制できることがわかり、
さらに検討を重ねた結果本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、 (1)プロピレングリコール、グリセリンまたはコポリ
ビドンと水溶性高分子基剤とを含むフィルムコーティン
グ液でコーティングされてなる昇華性成分含有製剤; (2)プロピレングリコール、グリセリンまたはコポリ
ビドンの配合量が水溶性高分子基剤100重量部に対し
て1〜50重量部である上記(1)記載の製剤; (3)昇華性成分がイブプロフェンである上記(1)記
載の製剤; (4)プロピレングリコール、グリセリンまたはコポリ
ビドンと水溶性高分子基剤とを含有する、昇華性成分含
有製剤用フィルムコーティング液等に関する。
しては、昇華性を有し、固形製剤に用いられる化合物で
あれば特に限定されず、有効成分でも、香料等の添加剤
であってよい。該昇華性成分としては、例えばイブプロ
フェン、l−メントール、無水カフェイン、シクランデ
レート、グアイフェネシンなどが挙げられる。中でも、
イブプロフェンが好適に用いられる。本発明で用いられ
る水溶性高分子基剤としては、固形剤のフィルムコーテ
ィングに基剤として用いられる水溶性高分子であれば特
に限定されない。該水溶性高分子基剤としては、例えば
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス2910、メチルセロースなどが挙げられる。
錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤などが
挙げられるが、特に限定されない。本発明の製剤は、そ
の剤形に応じて、上記昇華性成分、薬剤成分、および固
形製剤の製造において一般に用いられる成分を配合した
粉末、顆粒、細粒または素錠等に、可塑剤としてプロピ
レングリコール、グリセリンまたはコポリビドンと水溶
性高分子基剤とを含むコーティング液を用いて常法に従
い市販のフィルムコーティング装置によりフィルムコー
ティングを行うことによって製造できる。本発明の製剤
の製造は、その剤形に応じて、造粒ハンドブック(日本
粉体工業技術協会編、オーム社)、経口投与製剤の処方
設計(京都大学大学院薬学研究科教授橋田充編、薬業時
報社)、粉体の圧縮成形技術(粉体工学・製剤と粒子設
計部会編、日刊工業新聞社)のような刊行物に記載され
ている一般的な方法を用いて行えばよい。例えば、上記
顆粒および細粒は一般的な撹拌造粒法、流動層造粒法ま
たは乾式造粒法等により製造すればよい。また、上記素
錠は、一般的な湿式顆粒圧縮法、乾式顆粒圧縮法、直接
粉末圧縮法等により製造することができる。
成分としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤および滑沢剤等
が挙げられる。該賦形剤および結合剤としては、結晶セ
ルロース、粉末セルロース、メチルセルロース、エチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、トウモ
ロコシデンプン、デキストリン、アルファー化デンプ
ン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルス
ターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、シクロ
デキストリン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキル
メタアクリレート コポリマーE、メタアクリル酸コポ
リマーL、アミノアルキルメタアクリレート コポリマ
ーRS、メタアクリル酸コポリマーS、カルボキシビニ
ルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタ
ールジエチルアミンアセテート、ショ糖、トレハロー
ス、乳糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトー
ル、マルチトール、エリスリトール、粉末還元麦芽糖水
飴等が挙げられる。
トリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキ
シプロピルセルロース、クロスポビドン等が挙げられ
る。該滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ス
テアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル
等が挙げられる。
ピレングリコールおよびグリセリンは薬添規に収載され
ているように、無色澄明の粘ちょう性のある液で水と混
和しやすく、従来から可塑剤として使用されている。コ
ポリビドンは薬添規に収載されており、1−ビニル−2
−ピロリドンと酢酸ビニルの共重合体であり、その重量
比は3:2である。白色〜帯黄白色の粉末で、エタノー
ルに極めて溶けやすく、水に溶けやすい性質を持つ。コ
ポリビドンは市販品にて入手できる〔プラスドンS−6
30(商品名)ISP社、コリドンVA64(商品名)
BASF社〕。コポリビドンは結合剤として汎用されて
いるが、可塑剤としての作用も有する。プロピレングリ
コールの添加量は、水溶性高分子基材の100重量部に
対して1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部、よ
り好ましくは15〜25重量部である。また、グリセリ
ンまたはコポリビドンの添加量もプロピレングリコール
と同等である。なお、プロピレングリコール、グリセリ
ンおよびコポリビドンから選択される2種以上を併用し
てもよい。フィルムコーティング液には、必要に応じて
通常フィルムコーティング液に用いられる添加剤(例、
タルク、色素、沈降炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、酸化チタン等)を配合することが
できる。また、本発明における製剤に、服用性向上のた
めに、着香剤または香料、矯味剤を配合することによ
り、香りおよび味を付与してもよい。本発明で使用する
ことができる着香剤または香料としては、例えば、ハッ
カ油、ユーカリ油、ケイヒ油、ウイキョウ油、チョウジ
油、オレンジ油、レモン油、ローズ油、フルーツフレー
バー、バナナフレーバー、ストロベリーフレーバー、ミ
ントフレーバー、ペパーミントフレーバー、dl−メン
トール、l−メントール等が挙げられる。矯味剤として
は、例えば糖(例、ショ糖、トレハロース、乳糖等)、
糖アルコール(例、マンニトール、ソルビトール、キシ
リトール、マルチトール、エリスリトール等)、高甘味
度甘味剤(例、アスパルテーム、ステビア、サッカリ
ン、グリチルリチン二カリウム、ソーマチン、スクラロ
ース、アセスルファムK等)、酸味剤(例、クエン酸、
リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸等)が挙げられる。
経口投与用の製剤と同様に投与できる。
り詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
をそれぞれ製造した。イブプロフェン含有造粒末は、イ
ブプロフェン1125g、リン酸ジヒドロコデイン60
g、ヘスペリジン127.5gに乳糖1142.5g、
トウモロコシデンプン375g、結晶セルロース325
g、クロスカルメロースナトリウム150gを混合後、
流動層造粒機(FD−5S型流動層造粒機、パウレック
製)に入れ、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロー
ス6%水溶液2000gを50g/分の速度で噴霧して
製造した。一方、メキタジン含有造粒末は、メキタジン
16g、塩酸トリメトキノール19.2g、無水カフェ
イン300g、ヘスペリジン156gに乳糖2068.
8g、トウモロコシデンプン700g、結晶セルロース
400g、クロスカルメロースナトリウム(HPC−
L)200gを混合後、流動層造粒機(FD‐5S型流
動層造粒機、パウレック製)に入れ、結合剤としてヒド
ロキシプロピルセルロース6%水溶液2333gを50
g/分の速度で噴霧して製造した。表1に各造粒末の処
方を9錠当たりの理論仕込み量で示す。両造粒末をそれ
ぞれパワーミル(昭和化学機械製、スクリーンサイズ2
mmφ)で粉砕して整粒末を得た。
g、メキタジン含有整粒末2000gにクロスカルメロ
ースナトリウム110g、ステアリン酸マグネシム10
gを加えて粗混合後、タンブラー混合機(昭和化学機械
製、TM−60S型)に入れ、10rpmで3分間混合
した。打錠は、コレクト12HUK(菊水製作所製、3
0pm)で8.5mmφR面無地杵で1錠当たり270
mgの重量、圧縮圧1200kg/杵の条件で打錠し素
錠を得た。表2に素錠の処方を9錠当たりの理論仕込み
量で示す。
ィング装置(パウレック社製、ドリアコー夕ーDRC−
500型)に入れ、表3に示す処方のフィルムコーティ
ング液を用いて、回転数8rpm、給気温度70℃、給
気量4m3/min、スプレー空気量4000Nl/h
r、フィルムコーティング液供給速度12g/minの
条件で操作してフィルムコーティング錠を得た。表3に
フィルムコーティング液の処方を9錠当たりの理論仕込
み量で示す。
ムコーティング装置(パウレック社製、DRC‐500
型)に入れ、表4に示す処方のコーティング液を用い
て、実施例1と同じ条件でコーティングしてフィルムコ
ーティング錠を得た。
コーティング装置(フロイント社製、HCT−30型)
に入れ、表5に示す処方のコーティング液を用いて、実
施例1と同じ条件でコーティングしてフィルムコーティ
ング錠を得た。
ムコーティング装置(パウレック社製、ドリアコー夕ー
DRC−500型)に入れ、表6に示す処方のコーティ
ング液を用いて、実施例1と同じ条件でコーティングし
てフィルムコーティング錠を得た。
ムコーティング装置(パウレック社製、ドリアコーター
DRC−500型)に入れ、表7に示す処方のコーティ
ング液を用いて、同じ条件でコーティングしてフィルム
コーティング錠を得た。
2で製造したフィルムコーティング錠をそれぞれ80錠
ずつ瓶に小分けして密栓し、室温、40℃、50℃でそ
れぞれ保存し、経時的に取り出して錠剤の外観変化を色
差△E(スガ試験機製)として測定した。また瓶の表面
を観察してイブプロフェンの昇華の状態を下記のように
5段階で評価した。 (+++):瓶曇り大 (++):やや曇り大 (+):曇り (±):若干曇り (−):変化なし
実施例1、実施例2および実施例3で製造した製剤は、
対照例1、対照例2で製造した製剤と比べて、いずれの
保存条件下においても外観変化が小さく、イブプロフェ
ンの昇華も抑制されていた。
ば、昇華性成分の昇華が抑制されていて経時的安定性に
優れ、しかも苦味等が軽減されていて服用し易く、かつ
製造コストが低い昇華性成分含有固形製剤、特にイブプ
ロフェン含有固形製剤が提供される。
Claims (4)
- 【請求項1】 プロピレングリコール、グリセリンまた
はコポリビドンと水溶性高分子基剤とを含むフィルムコ
ーティング液でコーティングされてなる昇華性成分含有
製剤。 - 【請求項2】 プロピレングリコール、グリセリンまた
はコポリビドンの配合量が水溶性高分子基剤100重量
部に対して1〜50重量部である請求項1記載の製剤。 - 【請求項3】 昇華性成分がイブプロフェンである請求
項1記載の製剤。 - 【請求項4】 プロピレングリコール、グリセリンまた
はコポリビドンと水溶性高分子基剤とを含有する、昇華
性成分含有製剤用フィルムコーティング液。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001380961A JP4221173B2 (ja) | 2001-12-14 | 2001-12-14 | 昇華性成分含有製剤 |
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JP2006256975A (ja) * | 2005-03-15 | 2006-09-28 | Kowa Co | グアイフェネシン含有製剤 |
JP2007501810A (ja) * | 2003-08-11 | 2007-02-01 | メルク フロスト カナダ リミテツド | 一段階被覆法を用いて作製された着香味遮蔽製薬製剤 |
WO2007083679A1 (ja) * | 2006-01-20 | 2007-07-26 | Dainippon Sumitomo Pharma Co., Ltd. | 新規なフィルムコーティング錠 |
JP2009007295A (ja) * | 2007-06-28 | 2009-01-15 | Kowa Co | イブプロフェンの昇華が抑制された固形製剤 |
JP2013063964A (ja) * | 2011-08-30 | 2013-04-11 | Daiichi Sankyo Healthcare Co Ltd | イブプロフェンを含有するフィルムコーティング製剤 |
JP2013151565A (ja) * | 2013-05-13 | 2013-08-08 | Kowa Co | イブプロフェンの昇華が抑制された固形製剤 |
-
2001
- 2001-12-14 JP JP2001380961A patent/JP4221173B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP4972563B2 (ja) * | 2006-01-20 | 2012-07-11 | 大日本住友製薬株式会社 | 新規なフィルムコーティング錠 |
JP2009007295A (ja) * | 2007-06-28 | 2009-01-15 | Kowa Co | イブプロフェンの昇華が抑制された固形製剤 |
JP2013063964A (ja) * | 2011-08-30 | 2013-04-11 | Daiichi Sankyo Healthcare Co Ltd | イブプロフェンを含有するフィルムコーティング製剤 |
JP2013151565A (ja) * | 2013-05-13 | 2013-08-08 | Kowa Co | イブプロフェンの昇華が抑制された固形製剤 |
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