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JP2003147496A - 輸送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビレットの製造方法 - Google Patents

輸送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビレットの製造方法

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JP2003147496A
JP2003147496A JP2001342715A JP2001342715A JP2003147496A JP 2003147496 A JP2003147496 A JP 2003147496A JP 2001342715 A JP2001342715 A JP 2001342715A JP 2001342715 A JP2001342715 A JP 2001342715A JP 2003147496 A JP2003147496 A JP 2003147496A
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aluminum alloy
eutectic
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Shigeru Mikubo
滋 三久保
Masafumi Mizouchi
政文 溝内
Yasuyuki Murayama
康幸 村山
Tsunaki Iwashita
綱樹 岩下
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Kyushu Mitsui Aluminum Industries Inc
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Kyushu Mitsui Aluminum Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工程が簡素で低コスト化が促進され、得られ
る製品が均質な輸送機器用アルミニウム合金の半溶融成
型ビレットの製造方法の提供。 【解決手段】 Cu0.40〜5.5wt%、Si1
1.0〜15.0wt%、Zn1.0wt%以下、Fe
1.5wt%以下、Mn0.65wt%以下と、Ti
0.005〜0.5wt%及びB0.0001〜0.5
wt%の少なくとも1種以上と、Mg0.40〜1.8
wt%及びNi0.05〜1.7wt%の少なくとも1
種以上を含み、残部が実質的にAlの組成から成り、共
晶Siの平均粒径が200μm以下で、しかもデンドラ
イト枝間隔が200μm以下であるアルミニウム合金を
製造し、次いで歪み率5〜50%、加工導入速度50m
m/sec.以下で再結晶温度未満の温度で、冷間型枠
鍛造にて加工歪みを導入し、その後共晶温度以上に昇温
し、液相率が20〜80%となる温度で保持して半溶融
加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輸送機器用として
用いるアルミニウム合金の半溶融成型ビレットの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半溶融ビレットを用いるチクソキャスト
法は、従来の金型鋳造法と比較し鋳造偏析・欠陥が少な
く、金型寿命が長いなどの利点があり最近注目されてい
る技術である。これに用いるビレットの鋳造方法として
は、ペシネー・アルマックス方式として知られているビ
レット段階で初晶α(Al)相を球状化するため、半溶
融温度域で電磁・機械撹拌を行う方法(方式A)や、鋳
造時に通常添加されている量よりも多量のAl−Ti−
Bを添加し、その後半溶融温度域まで昇温し初晶α(A
l)相を球状化させる方法(方式B)がある。また、押
出・圧延にて歪みを導入後、方式Bのように昇温し球状
化させる方法(方式C)が広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の半溶融製造法の
場合、方式Aでは工程が非常に煩雑で、製造コストが高
くつく不具合があった。また、方式Bでは、多量のAl
−Ti−Bを添加するため溶融炉内でのTiB2沈降に
よる品質不安定が発生し、更に方式Cの圧延により歪み
を導入する方法は均一な歪みの導入が難しく、また押出
では常温押出により作業工程が煩雑で、しかも均一な歪
み導入が難しいし、両歪み導入法とも加工後の製品加工
が必要となり、量産化や低コスト化が図れないという問
題があった。
【0004】特許第2976073号には、改良された
方法が開示されている。即ち、そこには第1項中に「完
全に固化した金属または金属合金材料をその再結晶温度
未満の温度で変形する工程、該材料の微小構造の再結晶
を起こさせるために変形材料を加熱する工程、および該
材料の温度をその固相線温度を上回る温度に上昇させる
ことによりチキソトロピック的な挙動を呈する液状マト
リックス中に独立した粒子を形成させるために、再結晶
構造を部分的に融解させる工程を備えた方法」である。
この方法は、該材料の微小構造の再結晶を起こさせるた
めに変形材料を加熱する工程、および該材料の温度をそ
の固相線温度を上回る温度に上昇させるといういわば2
段階加熱とも言うべき加熱が行われる。このような方法
は、従来の技術に比べれば、改善された技術と言える
が、やはり2段階の加熱を必要とし、工程が複雑で加熱
制御が難しいという問題があった。
【0005】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、
工程が簡素で低コスト化を促進でき、得られる製品が均
質な輸送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビレット
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願の輸送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビ
レットの製造方法は、Cu0.40〜5.5wt%、S
i11.0〜15.0wt%、Zn1.0wt%以下、
Fe1.5wt%以下、Mn0.65wt%以下と、T
i0.005〜0.5wt%及びB0.0001〜0.
5wt%の少なくとも1種以上と、Mg0.40〜1.
8wt%及びNi0.05〜1.7wt%の少なくとも
1種以上を含み、残部が実質的にAlの組成から成り、
共晶Siの平均粒径が200μm以下で、しかもデンド
ライト枝間隔(DAS)が200μm以下であるアルミ
ニウム合金を製造し、次いで歪み率5〜50%、加工導
入速度50mm/sec.以下で再結晶温度未満の温度
で、冷間型枠鍛造にて加工歪みを導入し、その後共晶温
度以上に昇温し、液相率が20〜80%となる温度で保
持して半溶融加工する方法である。
【0007】この場合に、成分偏析の均質化、共晶Si
の分断球状化及び鋳造応力の解放のために、加工歪みを
導入する前に、450〜550℃の温度で1〜10時間
の均質化処理を行うと好ましい。
【0008】また、上記目的を達成するため、本願の輸
送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビレットの製造
方法は、Cu0.40〜5.5wt%、Si11.0〜
15.0wt%、Zn1.0wt%以下、Fe1.5w
t%以下、Mn0.65wt%以下と、Ti0.005
〜0.5wt%及びB0.0001〜0.5wt%の少
なくとも1種以上と、Mg0.40〜1.8wt%及び
Ni0.05〜1.7wt%の少なくとも1種以上と、
Sr0.001〜0.10wt%、Na0.03〜0.
01wt%及びSb0.05〜0.2wt%の中の少な
くとも1種以上を含み、残部が実質的にAlの組成から
成り、共晶Siの平均粒径が200μm以下で、しかも
デンドライト枝(DAS)が200μm以下であるアル
ミニウム合金を製造し、次いで歪み率5〜50%、加工
導入速度50mm/sec.以下で再結晶温度未満の温
度で、冷間型枠鍛造にて加工歪みを導入し、その後共晶
温度以上に昇温し、液相率が20〜80%となる温度で
保持して半溶融加工する方法である。
【0009】この場合に、成分偏析の均質化、共晶Si
の分断球状化及び鋳造応力の解放のために、加工歪みを
導入する前に、450〜550℃の温度で1〜10時間
の均質化処理を行うと好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明で用いるアルミニウム
合金成分量の数値限定等種々の数値限定理由について詳
述する。
【0011】Cu成分は、機械的性質の向上のみなら
ず、硬度・切削性・鋳造性を良くするが、0.40wt
%未満ではその効果は小さく、一方5.5wt%を越え
ると耐食性の低下をまねくので0.40〜5.5wt%
とした。
【0012】Si成分は、鋳造性を良くする効果がある
が、その量が11.0wt%未満ではその効果は小さ
く、一方15.0wt%を越えると伸び・靭性が劣化し
冷間鍛造加工性が悪くなるので、11.0〜15.0w
t%とした。
【0013】Mg成分は、Mg2Siを析出し機械的性
質の向上に寄与するが、0.40wt%未満ではその効
果は小さく、一方1.8wt%を超えると冷間鍛造加工
性が悪くなるため、0.40〜1.8wt%とした。
【0014】Fe成分は、Al成分と金属間化合物をつ
くり、多く含有されるとAl−Fe−Si系化合物とな
り伸び・靭性・耐食性に悪影響を及ぼすため、1.5w
t%以下とした。
【0015】Ti成分は、鋳塊の組織を微細化し、鋳塊
割れの発生を防止するが、0.005wt%未満ではそ
の効果が小さく、一方0.5wt%を超えるとTiAl
3の巨大な晶出物の発生を促進させ、冷間鍛造加工時の
割れや輸送機器部品の機械的性質の低下をまねくので
0.005〜0.5wt%とした。
【0016】B成分もまたTi成分と共に鋳塊の組織を
微細化し、鋳塊割れの発生を防止するが、0.0001
wt%未満ではその効果は小さく、一方0.5wt%を
越えると冷間鍛造加工時の割れや輸送機器部品の機械的
性質の低下をまねくので、0.0001〜0.5wt%
とした。
【0017】Zn成分は、鋳造性を改善するが、耐食性
を劣化させるため、1.0wt%以下とした。
【0018】Mn成分は、粗大金属間化合物の生成によ
る靭性低下を起こすことから0.65wt%以下とし
た。
【0019】Ni成分は、高温強度の向上に寄与する
が、0.05wt%未満ではその効果は小さく、一方
1.7wt%を超えると耐食性を劣化させるため、0.
05〜1.7wt%とした。
【0020】Sr、Na、Sb成分は、共晶Siを微細
化し機械的性質の向上に寄与するが、Sr0.001w
t%、Na0.003wt%、Sb0.05wt%未満
ではその効果は小さく、一方Sr0.10wt%、Na
0.01wt%を越えると鋳造時の溶湯の流動性が低下
し、Sb0.2wt%を越えると溶体化処理時に灰黒色
に着色し外観を害するため、Sr0.001〜0.10
wt%、Na0.003〜0.01wt%、Sb0.0
5〜0.2wt%とした。
【0021】共晶Siの平均粒径が200μm以下で、
しかもデンドライト枝間隔(DAS)が200μm以下
であるビレットを鋳造するが、共晶Siの平均粒径が2
00μmを越え、しかもデンドライト枝間隔(DAS)
が200μmを越えると半溶融温度域に加熱した際に初
晶α(Al)相の均一微細球状化が難しくなるし、また
均質化処理を行う場合には均質化処理に時間を要するの
で、デンドライト枝間隔(DAS)を200μm以下と
した。
【0022】鋳造で得られたビレットを均質化処理する
ことにより、鋳造時に結晶粒界に晶出したAl2Cuの
晶出物がマトリックスに固溶する。また、均質化処理に
よって共晶Siを球状化し冷間鍛造加工時の変形抵抗を
小さくする。均質化処理温度が450℃未満や1時間に
達しない加熱時間では、固溶化が充分得られず、また共
晶Siの球状化や鋳造歪の除去も不充分である。しかし
550℃を越える処理温度では、共晶融解が発生し鍛造
時の加工性を損う。また、10時間を越える加熱時間で
は、加熱時間の長時間に見合った均質化の効果上昇が得
られず、加熱エネルギーの損失となる。このため、均質
化処理条件は450〜550℃の温度で1〜10時間加
熱とした。
【0023】次に加工歪みの導入は、工程が簡素化で
き、かつ少ない加工率で歪みが有効に導入されるように
冷間鍛造で行い、なおかつ鍛造用ビレットの全体に均一
に歪みが導入されるように型枠鍛造とする。歪み率は、
5%未満の場合には歪み導入が少ないため半溶融温度域
まで昇温しても初晶α(Al)相の均一な球状化は図れ
ず、一方50%を越えると初晶α(Al)相サイズに変
化は見られないのみならず冷間鍛造時に割れが発生する
ため、5〜50%とした。ここでの歪み率は、鍛造用ビ
レットの元の長さをL1とし、鍛造後のビレットの長さ
をL2とした時、(L1−L2)/L1×100(%)
で定義した。
【0024】加工導入速度は、ビレット鋳塊の結晶粒微
細化や共晶Siの微細化と均質化処理を加えることによ
り大幅にアップできる。生産性から言えば加工導入速度
はできるだけ早い方が好ましい。しかしながら、50m
m/sec.を越えると鍛造時に割れが生じたり、鍛造
デッドゾーンが発生し、歪みが均一に導入されないため
50mm/sec.以下とした。また冷間型枠鍛造の際
のビレット温度は、再結晶温度以上では所定の加工率に
対する歪み導入が不充分となり、半溶融温度に昇温して
も初晶α(Al)相が粒状組織とならないため再結晶温
度未満とした。
【0025】その後、ビレットを共晶温度以上に昇温
し、液相率が20〜80%となる温度で保持して半溶融
成型するが、液相率が20%未満では初晶α(Al)相
の均一な球状化は図れず、半溶融成型の変形抵抗が大き
く加圧成型が困難となる。また、80%を越えると均一
な組織を有する成型品が得られない。このため共晶温度
以上の半溶融温度域での液相率は20〜80%とした。
【0026】
【実施例】以下本発明の具体的な実施例を示す。図1は
本発明方法で用いる冷間型枠鍛造の模式図であり、図中
符号1は鍛造用金型、2は鍛造用金型ポンチ、3はアル
ミニウム合金ビレットを示す。
【0027】Cu、Si、Mg、Zn、Fe、Ti、
B、Ni、Sr及びSbをそれぞれ下記表1に示すよう
な組成となるように溶湯を調製し、連続鋳造にてアルミ
ニウム合金ビレットを鋳造した。
【0028】
【表1】
【0029】上記表1に示すアルミニウム合金ビレット
を、表2に示す条件で処理し、半溶融成型の成型性、半
溶融成型後の初晶α(Al)相の形状を評価した結果も
表2に併記した。
【0030】
【表2】
【0031】表2に示した加工歪み導入時の成型性は、
表2で示す成型条件で成型した際に割れが発生せず成型
性が良好なものを○とし、割れが見られるものを×で判
定した。半溶融成型の成型性は、良好なものを○とし、
成型性の悪いものを×と判定した。半溶融成型後の初晶
α(Al)相の形状は、球状化が認められるものを○と
し、球状化が不充分であるものを×と判定した。半溶融
成型後の初晶α(Al)相の微細均一化では初晶α(A
l)相のサイズが100μm以下を○とし、100μm
を越えるサイズのものを×と判定した。
【0032】図2は、初晶α(Al)相の微細均一化が
○評価の代表例写真を示す。
【0033】
【発明の効果】以上述べて来た如く、本発明によれば、
従来の半溶融ビレットよりも工程が簡素化され低コスト
化が図れる。また、得られる組織も初晶α(Al)相サ
イズが平均100μm以下で、かつ初晶α(Al)相の
面積率50%の均一球状化組織となっており、自動車部
材等の輸送機器用として使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷間型枠鍛造の模式図である。
【図2】初晶α(Al)相の微細均一化が○評価の代表
例の顕微鏡組織写真であり、倍率は50倍である。
【符号の説明】
1 鍛造用金型 2 鍛造用金型ポンチ 3 アルミニウム合金ビレット
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月8日(2001.11.
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輸送機器用として
用いるアルミニウム合金の半溶融成型ビレットの製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半溶融ビレットを用いるチクソキャスト
法は、従来の金型鋳造法と比較し鋳造偏析・欠陥が少な
く、金型寿命が長いなどの利点があり最近注目されてい
る技術である。これに用いるビレットの鋳造方法として
は、ペシネー・アルマックス方式として知られているビ
レット段階で初晶α(Al)相を球状化するため、半溶
融温度域で電磁・機械撹拌を行う方法(方式A)や、鋳
造時に通常添加されている量よりも多量のAl−Ti−
Bを添加し、その後半溶融温度域まで昇温し初晶α(A
l)相を球状化させる方法(方式B)がある。また、押
出・圧延にて歪みを導入後、方式Bのように昇温し球状
化させる方法(方式C)が広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の半溶融製造法の
場合、方式Aでは工程が非常に煩雑で、製造コストが高
くつく不具合があった。また、方式Bでは、多量のAl
−Ti−Bを添加するため溶融炉内でのTiB 沈降に
よる品質不安定が発生し、更に方式Cの圧延により歪み
を導入する方法は均一な歪みの導入が難しく、また押出
では常温押出により作業工程が煩雑で、しかも均一な歪
み導入が難しいし、両歪み導入法とも加工後の製品加工
が必要となり、量産化や低コスト化が図れないという問
題があった。
【0004】特許第2976073号には、改良された
方法が開示されている。即ち、そこには第1項中に「完
全に固化した金属または金属合金材料をその再結晶温度
未満の温度で変形する工程、該材料の微小構造の再結晶
を起こさせるために変形材料を加熱する工程、および該
材料の温度をその固相線温度を上回る温度に上昇させる
ことによりチキソトロピック的な挙動を呈する液状マト
リックス中に独立した粒子を形成させるために、再結晶
構造を部分的に融解させる工程を備えた方法」である。
この方法は、該材料の微小構造の再結晶を起こさせるた
めに変形材料を加熱する工程、および該材料の温度をそ
の固相線温度を上回る温度に上昇させるといういわば2
段階加熱とも言うべき加熱が行われる。このような方法
は、従来の技術に比べれば、改善された技術と言える
が、やはり2段階の加熱を必要とし、工程が複雑で加熱
制御が難しいという問題があった。
【0005】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、
工程が簡素で低コスト化を促進でき、得られる製品が均
質な輸送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビレット
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願の輸送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビ
レットの製造方法は、Cu0.40〜5.5wt%、S
i11.0〜15.0wt%、Zn1.0wt%以下、
Fe1.5wt%以下、Mn0.65wt%以下と、T
i0.005〜0.5wt%及びB0.0001〜0.
5wt%の少なくとも1種以上と、Mg0.40〜1.
8wt%及びNi0.05〜1.7wt%の少なくとも
1種以上を含み、残部が実質的にAlの組成から成り、
共晶Siの平均粒径が200μm以下で、しかもデンド
ライト枝間隔(DAS)が200μm以下であるアルミ
ニウム合金を製造し、次いで歪み率5〜50%、加工導
入速度50mm/sec.以下で再結晶温度未満の温度
で、冷間型枠鍛造にて加工歪みを導入し、その後共晶温
度以上に昇温し、液相率が20〜80%となる温度で保
持して半溶融加工する方法である。
【0007】この場合に、成分偏析の均質化、共晶Si
の分断球状化及び鋳造応力の解放のために、加工歪みを
導入する前に、450〜550℃の温度で1〜10時間
の均質化処理を行うと好ましい。
【0008】また、上記目的を達成するため、本願の輸
送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビレットの製造
方法は、Cu0.40〜5.5wt%、Si11.0〜
15.0wt%、Zn1.0wt%以下、Fe1.5w
t%以下、Mn0.65wt%以下と、Ti0.005
〜0.5wt%及びB0.0001〜0.5wt%の少
なくとも1種以上と、Mg0.40〜1.8wt%及び
Ni0.05〜1.7wt%の少なくとも1種以上と、
Sr0.001〜0.10wt%、Na0.03〜0.
01wt%及びSb0.05〜0.2wt%の中の少な
くとも1種以上を含み、残部が実質的にAlの組成から
成り、共晶Siの平均粒径が200μm以下で、しかも
デンドライト枝(DAS)が200μm以下であるアル
ミニウム合金を製造し、次いで歪み率5〜50%、加工
導入速度50mm/sec.以下で再結晶温度未満の温
度で、冷間型枠鍛造にて加工歪みを導入し、その後共晶
温度以上に昇温し、液相率が20〜80%となる温度で
保持して半溶融加工する方法である。
【0009】この場合に、成分偏析の均質化、共晶Si
の分断球状化及び鋳造応力の解放のために、加工歪みを
導入する前に、450〜550℃の温度で1〜10時間
の均質化処理を行うと好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明で用いるアルミニウム
合金成分量の数値限定等種々の数値限定理由について詳
述する。
【0011】Cu成分は、機械的性質の向上のみなら
ず、硬度・切削性・鋳造性を良くするが、0.40wt
%未満ではその効果は小さく、一方5.5wt%を越え
ると耐食性の低下をまねくので0.40〜5.5wt%
とした。
【0012】Si成分は、鋳造性を良くする効果がある
が、その量が11.0wt%未満ではその効果は小さ
く、一方15.0wt%を越えると伸び・靭性が劣化し
冷間鍛造加工性が悪くなるので、11.0〜15.0w
t%とした。
【0013】Mg成分は、MgSiを析出し機械的性
質の向上に寄与するが、0.40wt%未満ではその効
果は小さく、一方1.8wt%を超えると冷間鍛造加工
性が悪くなるため、0.40〜1.8wt%とした。
【0014】Fe成分は、Al成分と金属間化合物をつ
くり、多く含有されるとAl−Fe−Si系化合物とな
り伸び・靭性・耐食性に悪影響を及ぼすため、1.5w
t%以下とした。
【0015】Ti成分は、鋳塊の組織を微細化し、鋳塊
割れの発生を防止するが、0.005wt%未満ではそ
の効果が小さく、一方0.5wt%を超えるとTiAl
の巨大な晶出物の発生を促進させ、冷間鍛造加工時の
割れや輸送機器部品の機械的性質の低下をまねくので
0.005〜0.5wt%とした。
【0016】B成分もまたTi成分と共に鋳塊の組織を
微細化し、鋳塊割れの発生を防止するが、0.0001
wt%未満ではその効果は小さく、一方0.5wt%を
越えると冷間鍛造加工時の割れや輸送機器部品の機械的
性質の低下をまねくので、0.0001〜0.5wt%
とした。
【0017】Zn成分は、鋳造性を改善するが、耐食性
を劣化させるため、1.0wt%以下とした。
【0018】Mn成分は、粗大金属間化合物の生成によ
る靭性低下を起こすことから0.65wt%以下とし
た。
【0019】Ni成分は、高温強度の向上に寄与する
が、0.05wt%未満ではその効果は小さく、一方
1.7wt%を超えると耐食性を劣化させるため、0.
05〜1.7wt%とした。
【0020】Sr、Na、Sb成分は、共晶Siを微細
化し機械的性質の向上に寄与するが、Sr0.001w
t%、Na0.003wt%、Sb0.05wt%未満
ではその効果は小さく、一方Sr0.10wt%、Na
0.01wt%を越えると鋳造時の溶湯の流動性が低下
し、Sb0.2wt%を越えると溶体化処理時に灰黒色
に着色し外観を害するため、Sr0.001〜0.10
wt%、Na0.003〜0.01wt%、Sb0.0
5〜0.2wt%とした。
【0021】共晶Siの平均粒径が200μm以下で、
しかもデンドライト枝間隔(DAS)が200μm以下
であるビレットを鋳造するが、共晶Siの平均粒径が2
00μmを越え、しかもデンドライト枝間隔(DAS)
が200μmを越えると半溶融温度域に加熱した際に初
晶α(Al)相の均一微細球状化が難しくなるし、また
均質化処理を行う場合には均質化処理に時間を要するの
で、デンドライト枝間隔(DAS)を200μm以下と
した。
【0022】鋳造で得られたビレットを均質化処理する
ことにより、鋳造時に結晶粒界に晶出したAlCu
晶出物がマトリックスに固溶する。また、均質化処理に
よって共晶Siを球状化し冷間鍛造加工時の変形抵抗を
小さくする。均質化処理温度が450℃未満や1時間に
達しない加熱時間では、固溶化が充分得られず、また共
晶Siの球状化や鋳造歪の除去も不充分である。しかし
550℃を越える処理温度では、共晶融解が発生し鍛造
時の加工性を損う。また、10時間を越える加熱時間で
は、加熱時間の長時間に見合った均質化の効果上昇が得
られず、加熱エネルギーの損失となる。このため、均質
化処理条件は450〜550℃の温度で1〜10時間加
熱とした。
【0023】次に加工歪みの導入は、工程が簡素化で
き、かつ少ない加工率で歪みが有効に導入されるように
冷間鍛造で行い、なおかつ鍛造用ビレットの全体に均一
に歪みが導入されるように型枠鍛造とする。歪み率は、
5%未満の場合には歪み導入が少ないため半溶融温度域
まで昇温しても初晶α(Al)相の均一な球状化は図れ
ず、一方50%を越えると初晶α(Al)相サイズに変
化は見られないのみならず冷間鍛造時に割れが発生する
ため、5〜50%とした。ここでの歪み率は、鍛造用ビ
レットの元の長さを とし、鍛造後のビレットの長さ
とした時、( )/ ×100(%)
で定義した。
【0024】加工導入速度は、ビレット鋳塊の結晶粒微
細化や共晶Siの微細化と均質化処理を加えることによ
り大幅にアップできる。生産性から言えば加工導入速度
はできるだけ早い方が好ましい。しかしながら、50m
m/sec.を越えると鍛造時に割れが生じたり、鍛造
デッドゾーンが発生し、歪みが均一に導入されないため
50mm/sec.以下とした。また冷間型枠鍛造の際
のビレット温度は、再結晶温度以上では所定の加工率に
対する歪み導入が不充分となり、半溶融温度に昇温して
も初晶α(Al)相が粒状組織とならないため再結晶温
度未満とした。
【0025】その後、ビレットを共晶温度以上に昇温
し、液相率が20〜80%となる温度で保持して半溶融
成型するが、液相率が20%未満では初晶α(Al)相
の均一な球状化は図れず、半溶融成型の変形抵抗が大き
く加圧成型が困難となる。また、80%を越えると均一
な組織を有する成型品が得られない。このため共晶温度
以上の半溶融温度域での液相率は20〜80%とした。
【0026】
【実施例】以下本発明の具体的な実施例を示す。図1は
本発明方法で用いる冷間型枠鍛造の模式図であり、図中
符号1は鍛造用金型、2は鍛造用金型ポンチ、3はアル
ミニウム合金ビレットを示す。
【0027】Cu、Si、Mg、Zn、Fe、Ti、
B、Ni、Sr及びSbをそれぞれ下記表1に示すよう
な組成となるように溶湯を調製し、連続鋳造にてアルミ
ニウム合金ビレットを鋳造した。
【0028】
【表1】
【0029】上記表1に示すアルミニウム合金ビレット
を、表2に示す条件で処理し、半溶融成型の成型性、半
溶融成型後の初晶α(Al)相の形状を評価した結果も
表2に併記した。
【0030】
【表2】
【0031】表2に示した加工歪み導入時の成型性は、
表2で示す成型条件で成型した際に割れが発生せず成型
性が良好なものを○とし、割れが見られるものを×で判
定した。半溶融成型の成型性は、良好なものを○とし、
成型性の悪いものを×と判定した。半溶融成型後の初晶
α(Al)相の形状は、球状化が認められるものを○と
し、球状化が不充分であるものを×と判定した。半溶融
成型後の初晶α(Al)相の微細均一化では初晶α(A
l)相のサイズが100μm以下を○とし、100μm
を越えるサイズのものを×と判定した。
【0032】図2は、初晶α(Al)相の微細均一化が
○評価の代表例写真を示す。
【0033】
【発明の効果】以上述べて来た如く、本発明によれば、
従来の半溶融ビレットよりも工程が簡素化され低コスト
化が図れる。また、得られる組織も初晶α(Al)相サ
イズが平均100μm以下で、かつ初晶α(Al)相の
面積率50%の均一球状化組織となっており、自動車部
材等の輸送機器用として使用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 21/04 B22D 21/04 A // C22C 21/02 C22C 21/02 C22F 1/00 604 C22F 1/00 604 611 611 624 624 630 630A 631 631Z 681 681 682 682 685 685 691 691B 691C 694 694A 694Z (72)発明者 村山 康幸 福岡県大牟田市四山町80番地 九州三井ア ルミニウム工業株式会社内 (72)発明者 岩下 綱樹 福岡県大牟田市四山町80番地 九州三井ア ルミニウム工業株式会社内 Fターム(参考) 4E087 AA01 BA04 BA14 CB03 DB15 DB22 GA07 HB17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu0.40〜5.5wt%、Si1
    1.0〜15.0wt%、Zn1.0wt%以下、Fe
    1.5wt%以下、Mn0.65wt%以下と、Ti
    0.005〜0.5wt%及びB0.0001〜0.5
    wt%の少なくとも1種以上と、Mg0.40〜1.8
    wt%及びNi0.05〜1.7wt%の少なくとも1
    種以上を含み、残部が実質的にAlの組成から成り、共
    晶Siの平均粒径が200μm以下で、しかもデンドラ
    イト枝間隔が200μm以下であるアルミニウム合金を
    製造し、次いで歪み率5〜50%、加工導入速度50m
    m/sec.以下で再結晶温度未満の温度で、冷間型枠
    鍛造にて加工歪みを導入し、その後共晶温度以上に昇温
    し、液相率が20〜80%となる温度で保持して半溶融
    加工することを特徴とする輸送機器用アルミニウム合金
    の半溶融成型ビレットの製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム合金を製造し、加工歪みを
    導入する前に、450〜550℃の温度で1〜10時間
    の均質化処理を行うことを特徴とする請求項1記載の輸
    送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビレットの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 Cu0.40〜5.5wt%、Si1
    1.0〜15.0wt%、Zn1.0wt%以下、Fe
    1.5wt%以下、Mn0.65wt%以下と、Ti
    0.005〜0.5wt%及びB0.0001〜0.5
    wt%の少なくとも1種以上と、Mg0.40〜1.8
    wt%及びNi0.05〜1.7wt%の少なくとも1
    種以上と、Sr0.001〜0.10wt%、Na0.
    003〜0.01wt%及びSb0.05〜0.2wt
    %の中の少なくとも1種以上を含み、残部が実質的にA
    lの組成から成り、共晶Siの平均粒径が200μm以
    下で、しかもデンドライト枝間隔が200μm以下であ
    るアルミニウム合金を製造し、次いで歪み率5〜50
    %、加工導入速度50mm/sec.以下で再結晶温度
    未満の温度で、冷間型枠鍛造にて加工歪みを導入し、そ
    の後共晶温度以上に昇温し、液相率が20〜80%とな
    る温度で保持して半溶融加工することを特徴とする輸送
    機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビレットの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 アルミニウム合金を製造し、加工歪みを
    導入する前に、450〜550℃の温度で1〜10時間
    の均質化処理を行うことを特徴とする請求項3記載の輸
    送機器用アルミニウム合金の半溶融成型ビレットの製造
    方法。
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