JP2003146658A - 複合酸化物の製造方法 - Google Patents
複合酸化物の製造方法Info
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Abstract
期の組成通りの複合酸化物が得られると共に、セラミッ
クス製反応容器の劣化を抑制し得る複合酸化物の製造方
法を提供すること。 【解決手段】 チタン等の酸化物又は水酸化物である第
1金属化合物と、リチウム等の炭酸塩又は水酸化物であ
る第2金属化合物とを含む混合粉末を、セラミックス製
反応容器に充填し焼成する複合酸化物の製造方法であっ
て、前記セラミックス製反応容器と前記混合粉末との間
の少なくとも該セラミックス製反応容器の底部に、炭化
する材質からなるシート材を介在させ、該シート材への
酸素の侵入を実質的に防止して焼成する。
Description
方法に関し、詳しくは金属の炭酸塩等の低融点金属化合
物を原料に用いて効率よく複合酸化物を製造する複合酸
化物の製造方法に関するものである。
材料分野で幅広く用いられている。例えば、チタン酸バ
リウム及びチタン酸ストロンチウムは、高誘電率を有す
るという電気的特性のため誘電体材料として有用であ
り、また、チタン酸リチウム、コバルト酸リチウム及び
マンガン酸リチウムは、パソコン及び携帯電話等の電源
に用いられるリチウム二次電池の電極の活物質として有
用である。また、チタン酸カリウムは、結晶がウィスカ
ー状であるため、金属又はプラスチックの補強材として
も利用されている。
ら種々提案されており、大別すれば、固相法(焼成
法)、溶融法、液相法(水熱法)に分類される。これら
の方法のうちどの方法が好ましいかについては、得られ
る複合酸化物の特質がそれぞれの製造方法により異なる
ため一概には決められないが、固相法、すなわち原料を
乾式方法で混合してそのまま焼成する製造方法は、工程
が少なく製造コスト面で有利であるため、広く採用され
ている。
ンやコバルト等の金属化合物と、カリウムやリチウム等
の金属化合物とを反応させて得られる。ここで、チタン
等の金属化合物としては酸化物が用いられることが多
く、一方、カリウム等の金属化合物としては反応性に富
むために炭酸塩や水酸化物が用いられることが多い。
ン等の酸化物と、カリウム等の炭酸塩や水酸化物とを焼
成する反応容器としては、工業的には、安価なセラミッ
クス製容器が一般的に用いられている。
ム等の炭酸塩や水酸化物は、反応性に富む一方、チタン
等の酸化物との固相反応が開始される反応温度よりも融
点が低い。このため、カリウム等の炭酸塩や水酸化物
は、固相反応前に融解して一部がセラミックス製容器に
浸透する。すると、カリウム等の炭酸塩や水酸化物のロ
スが生じるため、上記固相法では、チタン等の酸化物
と、カリウム等の炭酸塩や水酸化物とを理論当量の割合
で混合しても、所期の組成の複合酸化物が得られないと
いう問題があった。
ムやチタン酸リチウム等は、複数の金属成分の原子比が
少しでも変動すると電子材料や電池材料に利用した際の
静電容量などの電気的特性等の特性に非常に大きな影響
が現れるため、所期の組成の複合酸化物が得られないこ
とは重大な問題である。これに対し、従来は、原料のロ
ス分を見込んで予めカリウム等の炭酸塩や水酸化物を多
めに配合する方法が採用されている。しかし、このよう
な方法を採用しても、カリウム等の炭酸塩や水酸化物の
焼成時のロス分が一定でないため、得られた複合酸化物
の組成にばらつきが生じたり、原料の歩留まりが悪く生
産性が低かったりするという問題があった。
やリチウム等の炭酸塩や水酸化物がセラミックス製容器
に浸透すると、セラミックス製容器が劣化して強度や耐
熱性が極端に低下し、容器の寿命が短くなるという問題
もあった。なお、反応容器としては、セラミックス製容
器以外に白金やモリブデン等からなる金属製容器も知ら
れているが、これらは高価であるため工業的には通常は
用いられない。
て、原料のロスがなく容易に所期の組成通りの複合酸化
物が得られると共に、セラミックス製反応容器の劣化を
抑制し得る複合酸化物の製造方法を提供することにあ
る。
発明者らは鋭意検討を行った結果、固相法でチタン等の
酸化物とカリウムの炭酸塩等との混合粉末を焼成するに
際し、セラミックス製反応容器と前記混合粉末との間
に、炭化する材質からなるシート材を介在させ、該シー
ト材への酸素の侵入を実質的に防止して焼成すれば、焼
成途中にシート材の炭化した層が形成され、該炭化した
層が焼成時に溶融したカリウムの炭酸塩等のセラミック
ス製反応容器内壁への浸透を阻むと共に、該炭化した層
は固相法における反応温度において焼失するため、得ら
れる複合酸化物中に炭化物が不純物として残存すること
もないことを見出し、本発明を完成するに至った。
びマンガンからなる群より選択される少なくとも1種の
酸化物又は水酸化物である第1金属化合物と、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム及びランタンからなる群
より選択される少なくとも1種の炭酸塩又は水酸化物で
ある第2金属化合物とを含む混合粉末を、セラミックス
製反応容器に充填し焼成する複合酸化物の製造方法であ
って、前記セラミックス製反応容器と前記混合粉末との
間の少なくとも該セラミックス製反応容器の底部に、炭
化する材質からなるシート材を介在させ、該シート材へ
の酸素の侵入を実質的に防止して焼成することを特徴と
する複合酸化物の製造方法を提供するものである。
料である混合粉末は、第1金属化合物と第2金属化合物
とからなるものである。
ン、コバルト及びマンガンからなる群より選択される少
なくとも1種の酸化物又は水酸化物をいう。具体的に
は、酸化チタン、水酸化チタン、酸化コバルト、水酸化
コバルト、酸化マンガン、水酸化マンガンが挙げられ
る。第1金属化合物の形態としては粉末状、粒状、塊状
等、特に限定されないが、粒径100μm以下の粉末状
であることが焼結した際の反応性向上のため好ましい。
第1金属化合物は、1種又は2種以上組み合わせて用い
られる。
ウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム及びランタンからなる群
より選択される少なくとも1種の炭酸塩又は水酸化物を
いう。具体的には、炭酸リチウム、水酸化リチウム、炭
酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、
炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸
マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、
水酸化カルシウム、炭酸ストロンチウム、水酸化ストロ
ンチウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム、炭酸ランタ
ン、水酸化ランタン等が挙げられる。第2金属化合物の
形態としては粉末状、粒状、塊状等、特に限定されない
が、粒径100μm以下の粉末状であることが焼結した
際の反応性向上のため好ましい。第2金属化合物は、1
種又は2種以上組み合わせて用いられる。
属化合物と第2金属化合物とを混合してなるものであ
る。混合粉末は複合酸化物の原料であるが、複合酸化物
と、混合粉末の調製の際における第1金属化合物及び第
2金属化合物との組み合わせとしては、好ましくは以下
のものが挙げられる。
である場合には、第1金属化合物が酸化チタンで、第2
金属化合物が炭酸カリウム又は重炭酸カリウムであるこ
とが好ましい。ここで、チタン酸カリウムとしては、具
体的には、ニチタン酸カリウムK2O・2TiO2(K2
TiO5)、四チタン酸カリウムK2O・4TiO2(K 2
TiO9)、六チタン酸カリウムK2O・6TiO2(K2
TiO13)及び八チタン酸カリウムK2O・8TiO
2(K2TiO17)等が挙げられる。
る場合には、第1金属化合物が酸化チタンで、第2金属
化合物が炭酸リチウムであることが好ましい。ここで、
チタン酸リチウムとしては、具体的には、Li4Ti5O
12、Li2Ti3O7及びLiTi2O4等が挙げられる。
ムである場合には、第1金属化合物が酸化チタンで、第
2金属化合物が炭酸ストロンチウムであることが好まし
い。また、複合酸化物がチタン酸ナトリウムである場合
には、第1金属化合物が酸化チタンで、第2金属化合物
が炭酸ナトリウムであることが好ましい。
チタン酸カリウムである場合に、第1金属化合物を酸化
チタンとし、第2金属化合物を炭酸カリウムとする組み
合わせは反応性が向上するため特に好ましい。
定されず、乾式混合法又は湿式混合法のいずれも採用す
ることができる。また、混合の際に用いられる混合手段
としては、V型ブレンダー、ボールミル等の公知の混合
手段を用いることができる。また、第1金属化合物又は
第2金属化合物の少なくともいずれか一方が、粉体でな
く流状物又は塊状物である場合には、ボールミル等の粉
砕混合手段を用いて混合粉末を調製することが好まし
い。
水、アルコール、アセトン、MEK、THF等の通常の
有機溶媒等が用いられるが、混合粉末の分散性を向上さ
せて均一に混合させるために、界面活性剤や分散剤を併
用することが好ましい。
金属チタン粉を含ませてもよい。このように金属チタン
粉を配合すると金属チタン粉が空気を吸収するため、焼
成工程において、炭化する材質からなるシート材が炭化
し易くなるため好ましい。
器としては、アルミナ等の通常のセラミックス材料から
なるものであって、上記混合粉末を載置又は装入したと
きに混合粉末との間になるべく空気が侵入し難い形状の
ものが用いられる。具体的には、円筒状物、凹部を有す
る円柱状物、凹部を有する方形状物、皿状物等が挙げら
れる。このうち、円柱状物又は方形状物であってこれら
の一部に形成された凹部がある程度の深さを有するもの
は、焼成において空気中の酸素の侵入を防止するため好
ましい。
に上記混合粉末を充填するに当たり、セラミックス製反
応容器と混合粉末との間の少なくともセラミックス製反
応容器の底部に、炭化する材質からなるシート材を介在
させる。このように、シート材を介在させることによ
り、焼成時に混合粉末中の第2金属化合物が溶融して、
第2金属化合物がロスしたり、セラミックス製反応容器
に溶融した第2金属化合物が浸透したりすることを回避
できる。また、これらのシート材は、少なくともセラミ
ックス製反応容器の凹部が形成する内壁部における前記
混合粉末との接触部に介在させると、第2金属化合物の
ロスや、セラミックス製反応容器への浸透をより確実に
回避できるためより好ましい。さらに、これらのシート
材は、セラミックス製反応容器の凹部が形成する内壁部
全体に介在させると、第2金属化合物のロスや、セラミ
ックス製反応容器への浸透を略完全に回避できるため特
に好ましい。
たときに炭化し、且つ、最終的に焼失すると共に、焼成
時に軟化物又は流動物を生成しない材質のものが用いら
れ、具体的には、紙、天然繊維、樹皮又は熱硬化性樹脂
が用いられる。例えば、紙の場合には、炭化し難く軟化
する塩化ビニール等のようなものが張り合わされていな
い通常の紙が用いられ、いわゆる未晒クラフト紙、両更
晒クラフト紙、片艶晒などの包装用紙、段ボール原紙、
新聞用紙、上質紙、中質紙、再生紙、書籍用紙、キャス
トコート紙、 アート紙、PPC用紙などの情報用紙等
が用いられる。また、天然繊維としては、例えば綿、
麻、絹等が用いられる。また、熱硬化性樹脂としては、
例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等
が用いられる。
は、シート、織布、不織布又は袋とする。特に袋状とす
ると混合粉末を充填させた状態でセラミックス製反応容
器等に充填できるため、作業が容易になるため好まし
い。また、シート材に用いられる紙の密度は、シート材
が焼成の際に形成する炭化物膜等の炭化物の層が溶融し
た第2金属化合物を浸透させない程度の密度及び強度を
有する必要があるため、紙の重さを表わす「坪量」が3
0〜100g/m2程度であることが好ましい。
反応容器に炭化する材質からなるシート材を介在させて
混合粉末を充填した後、該シート材への酸素の侵入を実
質的に防止して焼成する。ここで、酸素の侵入を実質的
に防止するとは、加熱し、固相反応が開始する前に、該
シート材が燃焼しないように反応容器内への酸素の侵入
を防止する意味であり、通常は、シート材を敷き詰めた
セラミックス製反応容器に原料の混合粉末を隙間のない
ようにある程度充填することで達成できる。また、酸素
の侵入を防止する方法として、密閉可能な電気炉等のよ
うに外部からの酸素の供給を遮断できる構造の加熱炉を
用いて行うか、あるいは、加熱炉自体が密閉できず、炉
内への酸素の供給が避けられない場合でも、セラミック
ス製反応容器を、円筒状物、凹部を有する円柱状物、凹
部を有する方形状物等とし、これらを密閉して炉内の雰
囲気から遮断する方法を採ればより好ましい。また、加
熱炉内部又はセラミックス製反応容器内部のいずれか又
は両方を、窒素雰囲気中又はアルゴン雰囲気中にして焼
成を行うと、より確実に上記シート材への酸素の侵入を
防止して焼成することができるため好ましい。
種類により異なり、例えば、複合酸化物がチタン酸カリ
ウムであれば、通常800〜1200℃、好ましくは1
000〜1150℃であり、複合酸化物がチタン酸リチ
ウムであれば、通常700〜1000℃、好ましくは8
00〜950℃である。このように複合酸化物は、通常
700以上、時には1000℃以上で固相反応が開始す
るが、本発明では、該温度に至るまでの加熱途中で、セ
ラミックス製反応容器との間に介在させた炭化する材質
からなるシート材が炭化して炭化層を形成するため、溶
融した第2金属化合物がセラミックス製反応容器に直接
接触することを回避することができる。なお、炭化層
は、固相反応が開始する温度まで加熱されると、固相反
応の際に生成する炭酸ガス等と反応して一酸化炭素等を
生成して消滅するため、固相反応終了後に生成される複
合酸化物中に不純物として残存することがなく、炭化層
を形成して焼成しても複合酸化物の品質には影響しな
い。
要によりボールミル等で粉砕する。また、必要により、
該粉砕物を水中等で攪拌処理して繊維状物とし、濾過
後、該繊維状物を乾燥し、常法により焼成すればウィス
カー状のものを得ることができる。
リウムウィスカーである場合の製造方法の具体例を示
す。まず、セラミックス製で上部が開放された円筒状の
反応容器の内壁に、クラフト紙からなり前記反応容器内
壁の形状に一致する形状・大きさの袋を装入する。次
に、該袋に炭酸カリウム、酸化チタン鉱石粉末及び金属
チタン粉を混合した混合粉末を反応容器の上部まで隙間
のないように充填する。これにより、袋は空気との接触
が遮断された状態にある。その後、徐々に加熱し、11
00℃で3時間反応させる。さらに、徐々に降温した
後、別容器へ移して粉砕する。次いで、水又は温水中で
攪拌機により強制的に5〜10時間攪拌処理を行い、そ
の後コロイドミルにて解繊する。得られた繊維状物を中
和水洗後濾過し、100〜250℃で乾燥させたものを
800℃にて焼成すれば、繊維状のチタン酸カリウムが
得られる。
えばチタン酸カリウム等の複合酸化物の製造に用いるこ
とができる。特に、焼成の際に溶融する低融点原料を用
いる製造方法に好適である。
説明するが、これは単に例示であって本発明を制限する
ものではない。
化チタンのモル数と正味の炭酸カリウムのモル数とのモ
ル比が3:1の割合で混合し、該混合物に対して5重量
%のチタン粉末を添加してV型ブレンダーにて約15分
間混合した。次いで、上部が開放されたセラミックス製
反応容器内に、クラフト紙で形成され且つ一部が開放さ
れると共にセラミックス製反応容器内壁に略密着し得る
形状及び大きさを有する袋を装入し、該袋の上に前記混
合物500gを隙間のないよう密に充填した。このよう
にして、クラフト紙に酸素が侵入し難い状態を形成し
た。その後、混合粉末及びクラフト紙が充填されたセラ
ミックス製反応容器を電気炉に入れ、1100℃で3時
間の焼成を行った。除冷後、該焼成物を取り出した後、
3lの冷水中に浸してスラリー状とし、該スラリーをデ
ィスパーミルによって解繊して繊維状物質を分離した。
解繊分離したスラリーを中和した後、真空濾過法によっ
て、濾過することによりケーキ状物質を得、該ケーキ状
物質を乾燥し、800℃に昇温して30分間熱処理を行
った。このようにして、繊維径が平均0.5μm、繊維
長が50μmの単体の六チタン酸カリウムを406g得
た。上記の製造を同じセラミックス容器を用いて繰り返
し行ったところ、30回の使用においてもセラミックス
製反応容器は劣化しなかった。なお、混合粉末及びクラ
フト紙が充填されたセラミックス製反応容器を電気炉に
入れるまでは上記と同じ工程を行った後、同様の条件で
焼成を開始し、昇温途中の400℃で昇温を停止し、徐
々に冷却して室温になったところでセラミックス製反応
容器を取り出した。セラミックス製反応容器の内壁を観
察したところ、炭化層が形成されていた。
ト紙で形成された袋を装入しなかった以外は、実施例1
と同様にして、繊維径が平均0.5μm、繊維長が50
μmの六チタン酸カリウムを364g得た。上記の製造を
同じセラミックス容器を用いて繰り返し行ったところ、
15回目でセラミックス製反応容器にひび割れが生じ、
使用不可能となった。
率90%)291.5gと粉末状炭酸カリウム108.
75gとを、大気雰囲気のグローブボックス内でLi/
Tiのモル比が0.80となるように原料を採取した。
次いで、酸化チタン粉末と炭酸リチウム粉末とをロッキ
ングミキサーに充填し、2時間かけて混合した。次い
で、直径10.5cm、長さ100cmの円筒形状のアルミ
ナ製反応管内に、クラフト紙で形成され且つ一部が開放
されると共にセラミックス製反応容器内壁に略密着し得
る形状及び大きさを有する袋を装入し、該袋の上に前記
混合粉末100gを隙間のないよう密に充填した。この
ようにして、クラフト紙に酸素が侵入し難い状態を形成
した。その後、該シート材を加熱炉に入れ900℃で
4.5時間保持し焼成を行い、Li4Ti5O12の組成を
有するスピネル型のチタン酸リチウム粉末を330g得
た。該チタン酸リチウム粉末を化学分析してLi/Ti
のモル比を求めたところ、0.795であり、略目的通
りの組成のチタン酸バリウムが得られた。上記の製造を
同じアルミナ製反応管を用いて繰り返し行ったところ、
20回の使用においてもアルミナ製反応管は劣化しなか
った。なお、混合粉末及びクラフト紙が充填されたアル
ミナ製反応管を加熱炉に入れるまでは上記と同じ工程を
行った後、同様の条件で焼成を開始し、昇温途中の40
0℃で昇温を停止し、徐々に冷却してアルミナ製反応管
を取り出した。アルミナ製反応管の内壁を観察したとこ
ろ、炭化層が形成されていた。
入しなかった以外は、実施例2と同様にしてチタン酸リ
チウム粉末を290g得た。該チタン酸リチウム粉末を
化学分析してLi/Tiのモル比を求めたところ、0.
690であり、Li分が目的とする組成より少なかっ
た。上記の製造を同じアルミナ製反応管を用いて繰り返
し行ったところ、8回目でアルミナ製反応管にひび割れ
が生じ、使用不可能となった。
合酸化物の製造においてセラミックス製の反応容器の内
壁に紙等のシート材を装入しその中に原料の混合粉末を
装入して焼成するため、昇温途中で溶融した原料の金属
化合物がセラミックス製容器内に浸透することなく反応
させることが可能となり、結果として目的の組成を有す
る複合酸化物を安定して製造することができ、且つ、セ
ラミックス製反応容器を劣化させることなくその寿命を
延ばすことができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 チタン、コバルト及びマンガンからなる
群より選択される少なくとも1種の酸化物又は水酸化物
である第1金属化合物と、リチウム、ナトリウム、カリ
ウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バ
リウム及びランタンからなる群より選択される少なくと
も1種の炭酸塩又は水酸化物である第2金属化合物とを
含む混合粉末を、セラミックス製反応容器に充填し焼成
する複合酸化物の製造方法であって、前記セラミックス
製反応容器と前記混合粉末との間の少なくとも該セラミ
ックス製反応容器の底部に、炭化する材質からなるシー
ト材を介在させ、該シート材への酸素の侵入を実質的に
防止して焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方
法。 - 【請求項2】 少なくとも前記セラミックス製反応容器
の内壁部における前記混合粉末との接触部に、炭化する
材質からなるシート材を介在させることを特徴とする請
求項1記載の複合酸化物の製造方法。 - 【請求項3】 前記炭化する材質からなるシート材が、
紙、天然繊維、樹皮又は熱硬化性樹脂からなるシート、
織布、不織布又は袋であることを特徴とする請求項1又
は2記載の複合酸化物の製造方法。 - 【請求項4】 前記第1金属化合物が酸化チタンであ
り、前記第2金属化合物が炭酸カリウム、重炭酸カリウ
ム、炭酸リチウム、炭酸ストロンチウム又は炭酸ナトリ
ウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
項記載の複合酸化物の製造方法。 - 【請求項5】 窒素雰囲気中又はアルゴン雰囲気中で焼
成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記
載の複合酸化物の製造方法。 - 【請求項6】 前記混合粉末がさらに金属チタン粉を含
むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の
複合酸化物の製造方法。
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