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JP2002270894A - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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Publication number
JP2002270894A
JP2002270894A JP2001065632A JP2001065632A JP2002270894A JP 2002270894 A JP2002270894 A JP 2002270894A JP 2001065632 A JP2001065632 A JP 2001065632A JP 2001065632 A JP2001065632 A JP 2001065632A JP 2002270894 A JP2002270894 A JP 2002270894A
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JP
Japan
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layer
barrier layer
light emitting
band gap
barrier
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001065632A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuyuki Tadatomo
一行 只友
Hiroaki Okagawa
広明 岡川
Yoichiro Ouchi
洋一郎 大内
Takashi Tsunekawa
高志 常川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Cable Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光素子の量子井戸構造(MQW構造、SQ
W構造)における正孔の注入・拡散状態を改善し、発光
効率を改善すること。 【解決手段】 発光層2がMQW構造の場合、正孔がp
型半導体層3の側からn型半導体層1の側へと、該MQ
W構造中をより遠く移り易いように、該MQW構造中の
障壁層21〜26のうちの少なくとも2層のバンドギャ
ップが互いに異なるように、好ましくは多層で段階的に
p型側からn型側に向かって低くなっていく部分が存在
するように、該MQW構造を構成する。発光層2がSQ
W構造の場合には、p型側の障壁層を組成傾斜させ、バ
ンドギャップがp型側からn型側に向かって低くなって
いくように形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体発光素子
(以下、単に「発光素子」ともいう)に関するものであ
り、特にその発光層が、多重量子井戸(multi-quantum
well、以下「MQW」とも言う)構造、または単一量子
井戸(single-quantum well、以下「SQW」とも言
う)構造として形成されているものに関する。
【0002】
【従来の技術】発光素子における発光層の構造の1つと
して、SQW構造、MQW構造が知られている。図6
は、従来のGaN系LEDにおけるMQW構造の一例
を、概略的なバンドダイヤグラムによって示す図であ
る。同図の例に示すように、n型GaNクラッド層40
とp型AlGaNクラッド層60とによって発光層50
が挟まれており、該発光層50がMQW構造として形成
されている。MQW構造は、n型GaNクラッド層40
の側から、障壁層(Barrier層)51/井戸層(Well
層)52/障壁層/井戸層/・・・・/井戸層/障壁層
というように、井戸層が障壁層によって挟まれた量子井
戸構造が多重に積層された構造となっている。通常、障
壁層/井戸層のペア数は、2〜20ペア程度である。
【0003】発光層をMQW構造とすることによって、
活性層を形成した単純なダブルへテロ構造に比べて、各
層が、臨界膜厚(ミスフィットによる転位の発生がその
値を境に大小著しく変化する膜厚)以下の薄さであるこ
とから、結晶性が格段に向上し、また、キャリアの再結
合確率も向上することにより、発光強度は増大し、発光
スペクトルの色純度も向上する。
【0004】また、SQW構造の場合も同様に、井戸層
の膜厚が臨界膜厚以下の薄さであることから、結晶性が
格段に向上し、発光強度は増大し、発光スペクトルの色
純度も向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等が、従来のMQW構造における発光状態を調べ、キ
ャリアの分布状態を検討したところ、正孔が各井戸層に
均等に拡散・注入されておらず、p型半導体層側の井戸
層では高密度となり、そこからn型側へ離れるに従って
低密度となっていることがわかった。そのために、本
来、最適な層構造で設計されたMQW構造が、キャリア
(正孔)の分布に大きな偏りがあるために、本来の発光
性能、発光効率が充分に得られていないことがわかっ
た。また、電子のオーバーフローも顕著になり、発光効
率低下の要因ともなっている。
【0006】一方、SQW構造においても、正孔が井戸
層に効率良く注入されておらず、電子と再結合する前に
消滅する正孔が多数存在すると考えられ、本来の発光性
能、発光効率が充分に得られていないという問題がある
ことがわかった。
【0007】また、上記量子井戸構造に関する問題は、
特にGaN系半導体材料において顕著であることがわか
った。この材料系では、例えば、DH構造の活性層内に
注入された正孔の平均自由工程は数十nmと言われてい
るとおり正孔が拡散し難い。よって、MQW構造では、
p型半導体層側から離れるに従って正孔密度は急峻に低
下し、上記の偏りに起因する問題もより顕著に現れる。
また、SQW構造においても、発光に寄与する前に消滅
する正孔はより多くなり、上記問題もより顕著に現れ
る。
【0008】本発明の課題は、上記問題を解決し、発光
素子の多重量子井戸構造、単一量子井戸構造における正
孔の注入・拡散状態を改善し、発光効率を改善すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の特徴を有
するものである。 (1)多重量子井戸構造として形成された発光層と、こ
れを挟むp型半導体層とn型半導体層とを有し、該多重
量子井戸構造中の障壁層のうちの少なくとも2層が、互
いにバンドギャップが異なるように材料を選択されたも
のであることを特徴とする半導体発光素子。
【0010】(2)上記障壁層が、多重量子井戸構造の
特定区間において、1層毎にp型半導体層から離れるに
従って、バンドギャップが小さくなるように材料を選択
されている上記(1)記載の半導体発光素子。
【0011】(3)上記障壁層が、多重量子井戸構造の
中央部分でバンドギャップが最小となるように材料を選
択されている上記(1)記載の半導体発光素子。
【0012】(4)上記障壁層のうちp型半導体層に最
も近い障壁層が、該層内部においてp型半導体層から離
れるに従ってバンドギャップが小さくなるように、組成
傾斜した構造として形成されている上記(1)〜(3)
のいずれかに記載の半導体発光素子。
【0013】(5)上記多重量子井戸構造が、GaN系
半導体からなるものである上記(1)〜(4)のいずれ
かに記載の半導体発光素子。
【0014】(6)単一量子井戸構造として形成された
発光層と、これを挟むp型半導体層とn型半導体層とを
有し、該単一量子井戸構造中の障壁層のうち、p型半導
体層側の障壁層が、該層内部においてp型半導体層から
離れるに従ってバンドギャップが小さくなるように、組
成傾斜した構造として形成されていることを特徴とする
半導体発光素子。
【0015】(7)上記単一量子井戸構造が、GaN系
半導体からなるものである上記(6)記載の半導体発光
素子。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明による発光素子は、発光ダ
イオード(LED)、半導体レーザ(LD)などであっ
てよく材料系も限定されないが、後述のとおり、本発明
の有用性が特に顕著となるGaN系材料を用いた発光素
子(素子としてはLEDを例とする)を例として挙げ、
本発明を説明する。
【0017】先ず、発光層をMQW構造とする態様につ
いて説明する。図2に示す例では、サファイアC面基板
B1上に、低温成長されたGaNバッファ層B2、無添
加のGaN層B3、Si添加のn-GaNコンタクト層
1、発光層(MQW構造)2、Mg添加のp-AlGa
Nクラッド層3、Mg添加のp-GaNコンタクト層4
が順次結晶成長によって積層され、n-GaNコンタク
ト層1の露出部にはn型電極P1が、p-GaNコンタ
クト層4の表面にはp型電極P2がそれぞれ設けられ
て、GaN系LEDとなっている。
【0018】本発明による発光素子は、発光層2のMQ
W構造に特徴を有しており、図1にその一例をバンドダ
イヤグラムとして示すように、p型側から注入された正
孔がn型側にある井戸層へより多く達することができる
よう、障壁層のうちの少なくとも2層が互いに異なるバ
ンドギャップの層として、特に、正孔がp型端からn型
側へより遠く移り易いように、バンドギャップが段階的
にp型側からn型側に向かって低くなっていく部分が存
在するように構成されている。
【0019】従来のMQW構造では、障壁層は全て互い
に同じバンドギャップとして構成され、また、井戸層
も、全て互いに同じバンドギャップとされる。即ち、従
来の発光素子におけるMQW構造では、同じ量子井戸が
多重に繰り返された構造である。これは、各井戸層毎の
キャリアの分布の差異に着目していなかったからであ
り、各井戸層を独立的に扱う発想がなかったからであ
る。
【0020】これに対して本発明の発光素子では、上記
構成のとおり、MQW構造内においてp型側で集中的に
高密度となる正孔密度の分布状態が、n型側へと移るよ
うに、障壁層のバンドギャップを変化させた構造として
いる。例えば、p型側の最端部の障壁層から特定の区間
において、各障壁層のバンドギャップを順次小さくして
いく構造である。この構造によって、p型側からMQW
構造に注入された正孔は、最初の井戸層を超えて次の障
壁層に移り易くなり、そこからさらに次の井戸層を超え
て次の障壁層に移るというように、正孔が、n型側にあ
る井戸層へと達し易くなり、MQW構造内における正孔
密度の分布の極端な偏りが改善される。その結果、電子
のオーバーフローも抑制され、より高い発光性能、発光
効率が得られる。
【0021】本発明におけるMQW構造の各井戸層の厚
さは、2nm〜3.5nmの範囲から選ばれる。2nm
より薄くすると、界面の影響が強く現れるようになり、
3.5nmより厚くするとピエゾ電界の影響でキャリア
の再結合確率が減少し、更に厚くすると臨界膜厚を超え
て結晶性が著しく劣化する。
【0022】また、本発明におけるMQW構造の各障壁
層の厚さは、井戸層とほぼ同程度の厚さから、25nm
程度、好ましくは4nm〜10nmの範囲から選ばれ
る。ただし、最も外側のp型の障壁層の厚さは、MQW
構造の成長後の昇温過程およびMg添加層の成長中に、
井戸層が受ける熱損傷から、該井戸層を守るために、井
戸層に挟まれる障壁層よりは厚く設定され、5nm〜2
5nmの範囲で選ばれる。
【0023】障壁層/井戸層のペア数は発光素子として
機能し得る数であればよく、2〜20ペア程度、特に3
〜6ペアが好ましいペア数である。
【0024】障壁層のバンドギャップの変化パターン
は、正孔がより拡散しやすいパターンであればよい。以
下に、変化パターンの代表的な例を挙げる。図1の例
は、特定区間におけるバンドギャップの単調な減少パタ
ーンであって、該区間では、障壁層のバンドギャップ
は、p型半導体層から離れるに従って順次小さくなって
いる。この単調な減少パターンは、MQW構造の障壁層
全体のうち、どの区間において形成されていてもよい
が、正孔の偏りを解消する点からは、図1に示すよう
に、最もp型側の障壁層26から順次バンドギャップの
減少が始まり、最もn型側の障壁層21の、1つ前の障
壁層22まで単調に減少するパターンが好ましい。同図
の例では、最もn型側の障壁層21は、最もp型側の障
壁層26と同じバンドギャップとなっている。これは、
該障壁層21のIn含有量を1つ前の層よりも増加させ
る等して、そのバンドギャップを各障壁層の中で最小に
した場合、正孔がここに溜まってしまうので、それを解
消するためであり、また、n型側からの電子の拡散を促
進させるためである。
【0025】上記のような単調な減少パターンは、直線
状でも、曲線状でもよいが、発光効率を最大にする点で
は、p型側から離れるに従ってバンドギャップの減少率
が小さくなっていくような曲線状の方が好ましい。バン
ドギャップの単調な減少パターンを直線状とする場合、
最小のバンドギャップが井戸層のバンドギャップより4
00meVより大きくなるように設定し、最も外側の障
壁層の、井戸層と接している部分のバンドギャップか
ら、ほぼ直線的に減少するように設定すればよい。
【0026】図3の例は、MQW構造の中央部分でバン
ドギャップが最小となる変化パターンである。このよう
なパターンとすることによって、電子の拡散と正孔の拡
散とのバランスをとることができる。ここでいう中央部
分とは、例えばMQW構造が5ペアであった場合の第3
層目だけというような中心の1層だけを意味するのでは
なく、例えばMQW構造が20ペアであった場合の両端
の障壁層各1〜3層を除いた中央の残り14層〜18層
というように、中央の障壁層が広く同じ最小値のバンド
ギャップであるような態様をも含む概念である。また、
バンドギャップが最小となる層が、p型・n型のどちら
かの側へ偏っていてもよい。
【0027】MQW構造の中央部分でバンドギャップを
最小とする場合、バンドギャップの増減カーブは、図3
のように緩やかなU字を描く変化パターン、直線的に減
少・増加するV字形のパターン、任意の曲線を描いて減
少・増加する変化パターンであってよい。
【0028】MQW構造の障壁層のうちp型半導体層に
最も近い障壁層は、均質な層であってもよいが、図4に
示すように、この1層の内部において、p型半導体層3
から離れるに従ってバンドギャップが小さくなるように
組成傾斜した層であってもよい。この組成傾斜は、図4
(a)の障壁層26に示すような直線・曲線状の連続的
な変化でも、図4(b)の障壁層26に示すようなステ
ップ状の不連続な変化でもよい。
【0029】p型半導体層に最も近い障壁層に、上記の
ようなバンドギャップの傾斜を付与することによって、
注入した正孔を効率良く井戸層に届けることができる。
この障壁層1層内でのバンドギャップの傾斜は、後述の
SQW構造の場合(図5)も同様に、当該層成長開始の
前後、好ましくは成長開始後に、クラッド層(特にAl
GaNクラッド層)の成長温度に向けて昇温することで
容易に達成できる。例えば、750℃で、In0.05Ga
0.95Nを気相成長させるに際し、供給ガス原料はそのま
まに、成長開始から温度だけを1000℃まで変化させ
ると、実質成長するのはGaNであり、Inの組成変化
はほぼ指数関数的に減少(バンドギャップは増大)す
る。
【0030】次に、発光層をSQW構造とする態様につ
いて説明する。この態様では、図5に示すように、該S
QW構造2を構成する1対の障壁層21、22のうち、
p型半導体層側の障壁層22に特徴があり、該層22
が、p型半導体層3から離れるに従ってバンドギャップ
が小さくなるように、組成傾斜した構造として形成され
ていることを特徴とするものである。この組成傾斜は、
上記MQW構造の場合と同様、図5(a)の障壁層22
に示すような直線・曲線状の連続的な変化でも、図5
(b)の障壁層22に示すようなステップ状の不連続な
変化でもよい。
【0031】SQW構造におけるp型半導体層側の障壁
層に、上記のようなバンドギャップの傾斜を付与するこ
とによって、上記MQW構造の図4の態様で述べた作用
効果と同様、注入した正孔を効率良く井戸層に届けるこ
とができる。
【0032】MQW構造、SQW構造を構成する(障壁
層、井戸層)の材料の組み合せは、材料系毎に目的の発
光波長に応じたものを用いればよい。障壁層のバンドギ
ャップの変化は、組成比を変えることで達成すればよ
い。例えば、GaAs系では、(障壁層、井戸層)=
(AlGaAs、AlGaAs)、(AlInGaP、
AlInGaP)などが挙げられる。また、InP系で
は、(障壁層、井戸層)=(InGaAsP、InGa
AsP)などが挙げられる。また、GaN系では、(障
壁層、井戸層)=(InGaN、InGaN)、(Al
InGaN、AlInGaN)などが挙げられる。
【0033】本発明による発光素子は、GaN系発光素
子(MQW構造、SQW構造の材料がGaN系半導体)
である場合において、その作用効果が最も顕著となる。
これは、上記従来技術の説明において問題点として述べ
たとおり、GaN系半導体材料では正孔が特に拡散し難
い性質を示すので、MQW構造において正孔密度の偏り
が顕著となっているからであり、また、MQW構造、S
QW構造において、正孔が井戸層に効率良く注入されて
いないからである。GaN系半導体とは、InXGaY
ZN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦Z≦1、X+Y
+Z=1)で示される化合物半導体である。
【0034】上記GaN系における(障壁層、井戸層)
の組み合せのなかでも、特に(InGaN、InGa
N)は、井戸層の発光効率が著しく高く、井戸層、障壁
層ともに、ほぼ同じ成長雰囲気で結晶成長が可能であっ
て、本発明における障壁層のバンドギャップ変化の有用
性が特に顕著となる。
【0035】井戸層の材料は、必ずしも互いに同一であ
る必要はなく、互いに異なる材料として、1つのMQW
構造内から複数の波長の光が発生し得る構成としてもよ
い。
【0036】
【実施例】以下の実施例では、図2に示す素子構造のG
aN系LEDを作製し、発光層をMQW構造とし、その
障壁層の変化パターンを種々変えて、各々の特性を評価
した。
【0037】実施例1 本実施例では、図1に示すように、障壁層の層数を6層
(その間の井戸層は5層)とした。障壁層21〜26の
バンドギャップの変化パターンは、最もp型側の障壁層
26の次から順次バンドギャップの減少が始まり、最も
n型側の障壁層21の、1つ前の障壁層22まで単調に
直線的に減少するパターンである。
【0038】500μm厚のサファイアC面ウエハ基板
B1を、常圧MOVPE装置内に装着し、水素リッチ気
流中で1100℃まで昇温した。所定時間保持してサー
マルエッチングを行なった後、450℃まで降温し、低
温成長GaNバッファ層B2を約20nm成長させた。
続いて1000℃まで昇温し、1000nmの無添加G
aN層B3を成長させ、さらに3000nmのn-Ga
N層(Si添加)1を成長させた。このn-GaN層1
は、n型コンタクト層であり、かつn型クラッド層でも
ある。
【0039】(発光層におけるMQW構造の形成)続い
て、成長温度を760℃とし、障壁層のバンドギャップ
Eの変化パターンが次の仕様となるようにMQW構造を
形成し、発光層2とした。尚、障壁層の厚さは全て6n
mとした。また、井戸層は、全て組成をIn0.35Ga
0.65N(バンドギャップ2.60eV)とし、厚さを
2.8nmとした。 最もn型側の障壁層21:組成In0.05Ga0.95N、E
=3.28eV。 障壁層22:組成In0.15Ga0.85N、E=3.04e
V。 障壁層23:組成In0.125Ga0.875N、E=3.09
eV。 障壁層24:組成In0.1Ga0.9N、E=3.15e
V。 障壁層25:組成In0.075Ga0.925N、E=3.21
eV。 最もp型側の障壁層26:組成In0.05Ga0.95N、E
=3.28eV。
【0040】発光層2の成長終了後、再び1000℃ま
で昇温しMgを添加した50nmのAl0.2Ga0.8Nク
ラッド層を成長させ、同じくMgを添加した100nm
のGaNコンタクト層を更に成長させた。
【0041】結晶成長終了後、850℃まで温度が下が
った段階でアンモニアガス、水素ガスを全て窒素ガス流
に切り換え、そのまま室温近くまで冷却した。上記プロ
セスで得られた積層体をMOVPE装置から取り出し、
通常のフォトリソグラフィ技術、電子ビーム蒸着技術、
リアクティブイオンエッチング(RIE)技術などを使
ってエッチング加工、電極形成等を行い、最終的にLE
Dチップに加工・分割し、本発明によるGaN系LED
とした。
【0042】比較例1 上記実施例品と比較するために、MQW構造の障壁層を
すべてIn0.05Ga0. 95N(E=3.28eV)、厚さ
6nmとしたこと以外は、上記実施例品と全く同様の構
造にて、GaN系LEDを作製した。
【0043】上記実施例1、比較例1によって得られた
ベアチップ状態の素子の発光出力(電流20mA、波長
470nm)を測定したところ、実施例品が6.2m
W、比較例品が5.0mWであり、本発明による発光素
子のMQW構造が発光出力を向上させていることがわか
った。
【0044】実施例2 本実施例では、発光層のMQW構造における障壁層の層
数を6層とし、障壁層のバンドギャップの変化パターン
を、MQW構造の中央付近の部分でバンドギャップが最
小となるパターンとした。より詳しくは、図3に示すよ
うに、最もp型側の障壁層26の次から順次バンドギャ
ップの減少が始まり、中央付近の障壁層23まで単調に
減少し、次の障壁層22、最もn型側の障壁層21と順
次増加する変化パターンである。MQW構造の仕様以外
は、上記実施例品と全く同様の構造にて、GaN系LE
Dを作製した。
【0045】(発光層におけるMQW構造の形成)障壁
層のバンドギャップの変化パターンは次のとおりであ
る。 最もn型側の障壁層21:組成In0.05Ga0.95N、E
=3.28eV。 障壁層22:組成In0.075Ga0.925N、E=3.21
eV。 障壁層23:組成In0.15Ga0.85N、E=3.04e
V。 障壁層24:組成In0.125Ga0.875N、E=3.09
eV。 障壁層25:組成In0.075Ga0.925N、E=3.21
eV。 最もp型側の障壁層26:組成In0.05Ga0.95N、E
=3.28eV。
【0046】本実施例2によって得られたベアチップ状
態の素子の発光出力(電流20mA、波長470nm)
を測定したところ、6.1mWであり、上記比較例1の
素子の出力と比べて、発光出力が向上していることがわ
かった。
【0047】実施例3 本実施例では、発光層のMQW構造における障壁層の総
層数を6層とし、さらに、図4(b)に示すように、p
型半導体層に最も近い障壁層26をステップ状に組成傾
斜させ、層26内においてp型半導体層から離れるに従
ってバンドギャップが小さくなるように形成した。MQ
W構造全体としての障壁層のバンドギャップの変化パタ
ーンは、実施例2と同様である。また、p型半導体層に
最も近い障壁層内で減少したバンドギャップよりも、次
の障壁層のバンドギャップの方がより小さくなるように
した。
【0048】MQW構造の仕様は、最もp型側の障壁層
26以外は、上記実施例2と同様である。最もp型側の
障壁層26は、n型側の組成をIn0.05Ga0.95N(E
=3.28eV)とし、p型側に行くにつれて厚さ2n
m毎にバンドギャップが22meVだけ増加するレート
にてステップ状に層内で組成傾斜させ、最もp型側の組
成をGaN(E=3.39eV)とし、この障壁層のト
ータル厚さを約10nmとした。
【0049】上記MQW構造の仕様以外は、実施例1と
全く同様の構造にて、GaN系LEDを作製した。本実
施例3によって得られたベアチップ状態の素子の発光出
力(電流20mA、波長470nm)を測定したとこ
ろ、6.5mWであり、上記比較例1の素子、さらには
上記実施例2の素子の出力と比べて、発光出力が向上し
ていることがわかった。
【0050】実施例4 本実施例では、図5(a)に示すように、発光層をSQ
W構造とし、p型側の障壁層を、連続的に変化する組成
傾斜層とした。発光層のSQW構造を除く素子全体の構
造、ベアチップとするまでの製造条件は実施例1と同様
である。
【0051】(SQW構造の形成)n型側の障壁層の組
成In0.05Ga0.95N(E=3.28eV)、厚さ10
nm。 井戸層の組成:In0.35Ga0.65N(E=2.60e
V)、厚さ2.8nm。 p型側の障壁層は、成長開始時点では井戸層と同じ成長
温度で、n型側障壁層と同じ組成のIn0.05Ga0.95
を成長させ、厚さ5nmまで成長させた後、気相の組成
はそのままで、次層であるMg添加AlGaN層の成長
温度(1000℃)まで昇温した。このときの昇温速度
をコントロールすることによって、温度上昇に伴って障
壁層中のInN混晶比を低下させ、トータルで厚さ10
nmの障壁層を成長させた。組成の変化は、厚さ5nm
の時点からIn組成が低下し始め、厚さ8nmの時点で
ほぼGaNとなる変化である。
【0052】発光層の成長後、実施例1と同様に、p−
Al0.2Ga0.8Nクラッド層、p−GaNコンタクト層
を成長させ、最終的にLEDチップに加工・分割し、本
発明によるGaN系LEDとした。
【0053】比較例2 上記実施例4によって得られた素子と比較するために、
SQW構造のp型側の障壁層を、n型側の障壁層と同
様、組成傾斜の無いIn0.05Ga0.95N(E=3.28
eV)、厚さ10nm、としたこと以外は、上記実施例
4と全く同様の構造にて、GaN系LEDを作製した。
【0054】上記実施例4、比較例2によって得られた
ベアチップ状態の素子の発光出力(電流20mA、波長
470nm)を測定したところ、実施例品が5.4m
W、比較例品が4.2mWであり、本発明による発光素
子のSQW構造が発光出力を向上させていることがわか
った。
【0055】
【発明の効果】以上のように、MQW構造の障壁層のバ
ンドギャップ、そして、SQW構造のp型側の障壁層の
バンドギャップに変化をもたせることによって、正孔の
拡散状態が改善され、量子井戸構造の発光効率が改善さ
れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子のMQW構造における、障壁
層のバンドギャップの変化パターンの一例を、バンドダ
イヤグラムとして概略的に示す図である。このバンドダ
イヤグラムは、障壁層のバンドギャップの変化パターン
を視覚的に示して理解を助けるためのものであり、細部
の値は、実際のバンドダイヤグラムとは異なっている
(他の図も同様)。また、同図では、太い一点鎖線によ
って、バンドギャップの変化パターンを強調している。
【図2】本発明の発光素子の一例として、GaN系LE
Dの素子構造を示す図である。発光層2は一層のように
省略して描かれているが、MQW構造である。
【図3】本発明の発光素子のMQW構造における、障壁
層のバンドギャップの変化パターンの他の例を、バンド
ダイヤグラムとして概略的に示す図である。
【図4】本発明の発光素子のMQW構造における、障壁
層のバンドギャップの変化パターンの他の例を、バンド
ダイヤグラムとして概略的に示す図である。
【図5】本発明において発光層をSQW構造とする場合
の、p型側の障壁層のバンドギャップの変化パターンの
例を、バンドダイヤグラムとして概略的に示す図であ
る。
【図6】従来のGaN系LEDにおけるMQW構造の一
例を、バンドダイヤグラムによって概略的に示す図であ
る。
【符号の説明】
1 n型半導体層 2 発光層(MQW構造) 21〜26 障壁層 W 井戸層 3 p型半導体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大内 洋一郎 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 常川 高志 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 5F041 AA03 CA05 CA34 CA40 CA46 CA57 CA65 CA74 5F045 AA04 AB14 AB17 AD11 AD12 AD13 AD14 AF09 BB04 BB16 CA10 CA12 DA55 DA58

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多重量子井戸構造として形成された発光
    層と、これを挟むp型半導体層とn型半導体層とを有
    し、 該多重量子井戸構造中の障壁層のうちの少なくとも2層
    が、互いにバンドギャップが異なるように材料を選択さ
    れたものであることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 上記障壁層が、多重量子井戸構造の特定
    区間において、1層毎にp型半導体層から離れるに従っ
    て、バンドギャップが小さくなるように材料を選択され
    ている請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 上記障壁層が、多重量子井戸構造の中央
    部分でバンドギャップが最小となるように材料を選択さ
    れている請求項1記載の半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 上記障壁層のうちp型半導体層に最も近
    い障壁層が、該層内部においてp型半導体層から離れる
    に従ってバンドギャップが小さくなるように、組成傾斜
    した構造として形成されている請求項1〜3のいずれか
    に記載の半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 上記多重量子井戸構造が、GaN系半導
    体からなるものである請求項1〜4のいずれかに記載の
    半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 単一量子井戸構造として形成された発光
    層と、これを挟むp型半導体層とn型半導体層とを有
    し、 該単一量子井戸構造中の障壁層のうち、p型半導体層側
    の障壁層が、該層内部においてp型半導体層から離れる
    に従ってバンドギャップが小さくなるように、組成傾斜
    した構造として形成されていることを特徴とする半導体
    発光素子。
  7. 【請求項7】 上記単一量子井戸構造が、GaN系半導
    体からなるものである請求項6記載の半導体発光素子。
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