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JP2001234265A - 焼結合金製集電子および集電子用焼結合金の製造方法 - Google Patents

焼結合金製集電子および集電子用焼結合金の製造方法

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JP2001234265A
JP2001234265A JP2000048961A JP2000048961A JP2001234265A JP 2001234265 A JP2001234265 A JP 2001234265A JP 2000048961 A JP2000048961 A JP 2000048961A JP 2000048961 A JP2000048961 A JP 2000048961A JP 2001234265 A JP2001234265 A JP 2001234265A
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巌 畔津
Tsuneki Azetsu
常喜 畔津
Hideaki Azetsu
秀明 畔津
Kentaro Azetsu
健太郎 畔津
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TEIKOKU CARBON KOGYO KK
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TEIKOKU CARBON IND
TEIKOKU CARBON KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的低速(5〜40Km/時)で使用さ
れ、架線に接触導通しながら摺動する集電子において、
該集電子の機械的強度を低下せしめることなく、集電子
自身の耐摩耗性を向上せしめ、かつ、相手部材である架
線の摩耗を軽減せしめ得る技術を提供する。 【解決手段】 潤滑成分として黒鉛もしくは金属硫化物
(MoS2,WS2)の1種類ないし複数種類の2〜13
%(重量比・以下同様)と、潤滑強化成分としてBiの
1〜7%と、焼結素地成分としてPの1%以下およびS
nの4〜13%とを含有し、残部Cuから成る粉末原料
を混合後、圧縮成形し、非酸化性ないし還元性雰囲気の
中で加熱して焼結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑油を用いない
集電摺動部分に使用される、潤滑性と耐摩耗性とに優れ
た銅系焼結合金を製造する方法、および、潤滑性と耐摩
耗性に優れた銅系焼結合金より成る集電子に関するもの
であって、特に、比較的低速で走行するクレーン,ホイ
スト,電動台車等の、各種搬送機器類の集電子を適用の
対象とするものである。
【0002】
【従来の技術】比較的低速(5〜40Km/時)で常用
される各種搬送機の集電子用材料は、高速電気車のパン
タグラフすり板用の材料とは異なった特性を要求され
る。高速電気車パンタグラフすり板用材料は、高速摺動
時の耐摩耗性を重視して構成されているが、これを低速
摺動する集電子に用いると、該集電子と架線との摩擦力
が大きく、架線を荒損させるという不具合を生じる。こ
のため従来一般に、低速摺動用集電子は鉄やクロム等の
硬質成分を含まない青銅系の焼結合金母材の中に、黒鉛
や金属硫化物の微粒子を分散させた軟質材料が主として
用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年の産業界における
省力化,高能率化の推進に伴って搬送機の稼働率が向上
したため、集電子が架線に摺触する時間が伸長した。そ
の結果、前記の軟質材料製の集電子を用いても架線の摺
動面が荒損するという問題が目立つようになってきた。
架線の荒損が進行して「バリ」や「ヒゲ」と呼ばれる突
起や線状の剥離を生じると、架線相互が接触して短絡事
故を招き、走行不能に陥る虞れが有る。従来公知の技術
の範囲内で、前記の架線荒損を防止するため、潤滑成分
である黒鉛や金属硫化物の含有量を増加させると、集電
子の機械的強度が低下して、該集電子が早期に損耗する
といった弊害を生じる。このような問題の発生が示唆し
ていることは、従来技術における潤滑成分としての黒鉛
や金属硫化物の作用、すなわち、銅系焼結合金母体の中
に微粒状に分散している非金属系成分(黒鉛や硫化物)
が、集電子から架線側接触面に移着して潤滑皮膜を形成
する効果には限界が有るということである。集電子が架
線に対して摺動する頻度が高くなると、黒鉛や金属硫化
物による潤滑皮膜形成能力が低下し、皮膜形成量の不足
や皮膜の消去を招き、架線側摺動面が荒損する。こうし
た状態になると、集電子の主成分も架線の主成分も共に
銅であるため、両者の間に凝着摩耗が進行し、接触摺動
面の減耗を助長する。本発明は上述の事情に鑑みて為さ
れたものであって、低速走行用の集電子として充分な機
械的強度と耐摩耗性とを有し、かつ、潤滑油を必要とし
ない自己潤滑性を有していて、相手部材である架線の損
傷,摩耗をも軽減し得る集電子および集電子用焼結合金
の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的な原理を略述すると、従来
例の、黒鉛や金属硫化物を青銅系の母材中に微粒子とし
て分散せしめた低速走行用焼結合金製集電子の組成に対
して、潤滑強化成分としてのビスマスを1〜7重量%添
加する。ビスマスは銅と固溶体を形成しないので凝着し
にくく、また軟質かつ非削性であるから、集電子と架線
との間における黒鉛や金属硫化物の潤滑機能が低下した
とき潤滑性を補足して摩耗を抑制する。ビスマスの添加
量が1重量%未満では効果が少なく、7重量%以上では
機械的強度を低下させるので、その添加量は1〜7重量
%であることが望ましい。少量の燐を添加すると、焼結
素地形成に際して燐の脱酸作用によって金属成分を浄化
して母体合金の機械的強度を高める。燐の添加量が0.
1重量%未満であれば効果が少なく、1重量%を越える
と靱性を低下させるので、その添加量は0.1〜1重量
%が適当である。ただし、燐の添加目的は金属成分の脱
酸浄化であるから、原料粉や炉内が清浄であれば燐の添
加量を零に近づけても良い。本発明の構成において「1
%以下」とは、0を含む意である。
【0005】上述した添加量のビスマスを配合した場
合、黒鉛の含有量は2〜13重量%が適正である。2重
量%未満では黒鉛の潤滑効果が不足であり、13重量%
を越えると機械的強度を低下させる。また、金属硫化物
(MoS2,WS2)の含有量も、同様の理由によって、
黒鉛との合計配合量が2〜13重量%とすることが望ま
しい。銅と結合して焼結素地を形成する錫の配合量は4
〜13重量%が適当である。
【0006】4重量%未満では銅との結合力が弱くて素
地強度が不充分であり、13重量%を越えると機械的強
度に悪影響を及ぼし、脆弱になる。
【0007】以上に述べた原理に基づいて、請求項1に
係る発明方法の構成は、潤滑成分として黒鉛あるいは金
属硫化物(MoS2,WS2)の1種類ないし複数種類の
2〜13重量%と、潤滑強化成分としてBiの1〜7重
量%と、焼結素地成分としてPの1重量%以下およびS
nの4〜13重量%を含有し、残余は主としてCuから
成る粉末原料を調製し、混合して圧縮成形し、上記の圧
粉体を非酸化性雰囲気中ないしは還元性雰囲気中で加熱
して焼結体を得ることを特徴とする。以上に説明した請
求項1の発明方法によると、低速走行域において潤滑油
を用いることなく良好な耐摩耗性を発揮し、しかも充分
な機械的強度を有していて亀裂や欠損を生じる虞れが無
く、その上、相手部材である架線に凝着摩耗を発生させ
る虞れも無い集電子を工業的に製造することができる。
【0008】請求項2の発明に係る集電子の構成は、圧
縮成形された焼結合金から成る集電子であって、2〜1
3重量%の黒鉛もしくは金属硫化物(MoS2,WS2
の1種類または複数種類を含有するとともに、1〜7重
量%のBiを含有し、かつ、1%以下のPおよび4〜1
3%のSnを含有していて、残余は主としてCuである
ことを特徴とする。以上に説明した請求項2の発明に係
る集電子によると、潤滑油を用いることなく低速走行域
で使用した場合、優れた自己潤滑性と耐摩耗性とを発揮
するとともに、充分な機械的強度を有していて、早期摩
耗や亀裂,欠損を生じない。その上、相手部材である架
線に凝着摩耗を発生させる虞れも無いという優れた実用
的効果が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明方法を適用して本発
明に係る集電子を製作した1例を説明する。
【0010】焼結母体となるCu−Sn−P(ただしP
<1重量%)を基質とし、これに、潤滑成分としての黒
鉛もしくはMoS2を加え、または黒鉛とMoS2もしく
はWS2を加えて実施例1〜8の配合組成を構成し、か
つ、上記実施例1〜8のそれぞれに3重量%または5重
量%のビスマス粉末(60メッシュ以下)を加えて表1
に示す配合原料を得た。この表1には、比較例として黒
鉛を含有する公知の銅系焼結合金の組成、および、黒鉛
とMoS2とを含有する公知の銅系焼結合金の組成とを
併記した。
【0011】
【表1】
【0012】上掲の表1に示した組成より成る粉末を、
V型混合機によって均一に混合し、混合粉を400MP
aで圧縮成形し、還元性雰囲気中で750°Cに90分
間保持して焼結し、実施例1〜8と比較例1,2とを得
た。これら実施例,比較例の物理的・機械的性質は表2
の通りである。
【0013】
【表2】
【0014】この表2に示した規格値は、本邦の主要電
機メーカーにおけるトロリーダクト用集電子の検査規格
の1例である。本表2から明らかなように、実施例1〜
8によって得られた銅系焼結合金の総べてが、集電子と
しての電気的,機械的特性を具備している。
【0015】前記実施例および比較例として構成した集
電子から、10×25×90mmの試験片を切り出し、
これらの試験片を回転式集電摺動試験機に取り付け、押
上力20N、通電電流AC30A、摺動速度20Km/
時、無潤滑で、120分間、架線に対して摺動せしめ
た。上記摺動試験における試験片の比摩耗量と、相手部
材である架線の摩耗率と、試験片の摺動面の状態とを表
3に示す。
【0016】
【表3】
【0017】この表3から明らかなように、実施例1〜
8の何れもが、比較例1,2に比して試験片の摩耗につ
いても、架線の摩耗についても格段に低減せしめること
ができた。
【0018】
【発明の効果】以上に実施の形態を挙げて明らかならし
めたように、請求項1の発明方法によると、低速走行域
において潤滑油を用いることなく良好な耐摩耗性を発揮
し、しかも充分な機械的強度を有していて亀裂や欠損を
生じる虞れが無く、その上、相手部材である架線に凝着
摩耗を生じさせる虞れも無い集電子を工業的に製造する
ことができる。請求項2の発明に係る集電子によると、
潤滑油を用いることなく低速域で使用した場合、優れた
自己潤滑性と耐摩耗性とを発揮するとともに、充分な機
械的強度を有していて、早期摩耗や亀裂,欠損を生じな
い。その上、相手部材である架線に凝着摩耗を生じさせ
る虞れも無いという優れた実用的効果を奏する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月2日(2001.5.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畔津 秀明 大分県大分市下郡3100−3 帝国カーボン 工業株式会社内 (72)発明者 畔津 健太郎 大分県大分市下郡3100−3 帝国カーボン 工業株式会社内 Fターム(参考) 4K020 AA22 AA23 AA24 AC04 BA02 BB29 5E063 EA10 XA03 XA04 XA20

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑成分として黒鉛あるいは金属硫化物
    (MoS2,WS2)の1種類ないし複数種類の2〜13
    重量%と、潤滑強化成分としてBiの1〜7重量%と、
    焼結素地成分としてPの1重量%以下およびSnの4〜
    13重量%を含有し、残余は主としてCuから成る粉末
    原料を調製し、混合して圧縮成形し、 上記の圧粉体を非酸化性雰囲気中ないしは還元性雰囲気
    中で加熱して焼結体を得ることを特徴とする、集電子用
    焼結合金の製造法。
  2. 【請求項2】 圧縮成形された焼結合金から成る集電子
    であって、 2〜13重量%の黒鉛もしくは金属硫化物(MoS2
    WS2)の1種類または複数種類を含有するとともに、 1〜7重量%のBiを含有し、 かつ、1%以下のPおよび4〜13%のSnを含有して
    いて、 残余は主としてCuであることを特徴とする、焼結合金
    製集電子。
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