JP2001131610A - 焼結金属の製造方法 - Google Patents
焼結金属の製造方法Info
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- JP2001131610A JP2001131610A JP31033299A JP31033299A JP2001131610A JP 2001131610 A JP2001131610 A JP 2001131610A JP 31033299 A JP31033299 A JP 31033299A JP 31033299 A JP31033299 A JP 31033299A JP 2001131610 A JP2001131610 A JP 2001131610A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 鉄系焼結金属製の歯車等を転造加工し、金属
組織を緻密化する方法において、内部欠陥発生を抑え、
転造後の焼入工程を行う事なく表面の耐摩耗性を付与
し、かつ寸法精度を向上する事を提供する。 【解決手段】 鉄系粉末を焼結金属として圧縮焼き固
め、前記焼結金属をオーステナイト状態まで加熱し、オ
ーステナイト状態を維持した焼結金属にAr″変態温度
以下の転造ダイスを押圧して転造加工を施すと同時に、
転造ダイスを押圧した状態で焼結金属の表面をAr″変
態温度以下まで急冷させる。
組織を緻密化する方法において、内部欠陥発生を抑え、
転造後の焼入工程を行う事なく表面の耐摩耗性を付与
し、かつ寸法精度を向上する事を提供する。 【解決手段】 鉄系粉末を焼結金属として圧縮焼き固
め、前記焼結金属をオーステナイト状態まで加熱し、オ
ーステナイト状態を維持した焼結金属にAr″変態温度
以下の転造ダイスを押圧して転造加工を施すと同時に、
転造ダイスを押圧した状態で焼結金属の表面をAr″変
態温度以下まで急冷させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼結金属の製造方
法に関し、より詳細には、歯車の内部に欠陥を生じさせ
ることなく、歯面を高密度化させることができる焼結歯
車の製造方法に関する。
法に関し、より詳細には、歯車の内部に欠陥を生じさせ
ることなく、歯面を高密度化させることができる焼結歯
車の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属部品、特に、歯車を焼結金属として
大量安価に製造するために焼結法があるが、この方法に
よると焼結金属の内部に空孔を多数残存させることは避
けられない。そのため、切削等の加工部品に比べて機械
強度が低く、例えば、鉄系の金属粉末を焼結金属として
製造した場合、7.0〜7.4Mg/m3 の高密度に圧
縮し、浸炭焼入焼戻を施しても、曲げ疲れ強さは300
〜400MPaが限界であり、面圧疲労強度(ヘルツ応
力)も1.4〜1.8GPaが限界である。焼結金属の
長所を生かし、上記欠点を補うため、金属部品の表面、
例えば歯車の歯面を転造加工することにより金属組織を
緻密化させる技術が既に提案されている。この技術によ
れば、焼結金属であっても歯車の歯面の密度を7.7〜
7.8Mg/m3 まで向上させることができ、少なくと
も歯面において表面鉄系金属の真密度である7.9Mg
/m3 に匹敵する程度まで密度を高め、機械的強度を向
上させることができる。
大量安価に製造するために焼結法があるが、この方法に
よると焼結金属の内部に空孔を多数残存させることは避
けられない。そのため、切削等の加工部品に比べて機械
強度が低く、例えば、鉄系の金属粉末を焼結金属として
製造した場合、7.0〜7.4Mg/m3 の高密度に圧
縮し、浸炭焼入焼戻を施しても、曲げ疲れ強さは300
〜400MPaが限界であり、面圧疲労強度(ヘルツ応
力)も1.4〜1.8GPaが限界である。焼結金属の
長所を生かし、上記欠点を補うため、金属部品の表面、
例えば歯車の歯面を転造加工することにより金属組織を
緻密化させる技術が既に提案されている。この技術によ
れば、焼結金属であっても歯車の歯面の密度を7.7〜
7.8Mg/m3 まで向上させることができ、少なくと
も歯面において表面鉄系金属の真密度である7.9Mg
/m3 に匹敵する程度まで密度を高め、機械的強度を向
上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、転造加工に
より歯面の金属組織を緻密化させるには、大きな塑性変
形を伴う。焼結金属は既述した通り、内部に空孔を多数
残存させているので靭性が低く、大きな塑性変形を与え
ると破壊を生じたり、内部の金属組織にクラック等の欠
陥を生じる恐れがある。従って、焼結金属よりなる歯車
は転造加工が困難であるという問題に加えて、歯面の機
械的強度は向上しても、その歯車は結果として使用に耐
えない仕様になるという問題がある。その一方、転造加
工時における金属組織の欠陥発生を抑えるには、靭性を
維持させるために炭素濃度を例えば0.3%以下にする
ことである程度の解決は見られる。しかし、低炭素濃度
の金属粉末を用いると、転造後に浸炭焼入等の工程が必
要となり、焼結金属の長所である大量且つ安価な生産性
が失われることになる。また、転造加工後の焼入工程
は、歯車の各種寸法の製造誤差原因となり、転造加工を
最終工程として製造工程を完了させることが、寸法精度
向上のためには好ましい。
より歯面の金属組織を緻密化させるには、大きな塑性変
形を伴う。焼結金属は既述した通り、内部に空孔を多数
残存させているので靭性が低く、大きな塑性変形を与え
ると破壊を生じたり、内部の金属組織にクラック等の欠
陥を生じる恐れがある。従って、焼結金属よりなる歯車
は転造加工が困難であるという問題に加えて、歯面の機
械的強度は向上しても、その歯車は結果として使用に耐
えない仕様になるという問題がある。その一方、転造加
工時における金属組織の欠陥発生を抑えるには、靭性を
維持させるために炭素濃度を例えば0.3%以下にする
ことである程度の解決は見られる。しかし、低炭素濃度
の金属粉末を用いると、転造後に浸炭焼入等の工程が必
要となり、焼結金属の長所である大量且つ安価な生産性
が失われることになる。また、転造加工後の焼入工程
は、歯車の各種寸法の製造誤差原因となり、転造加工を
最終工程として製造工程を完了させることが、寸法精度
向上のためには好ましい。
【0004】本発明の目的は、焼結金属の長所及び転造
加工の長所を維持した上で、高炭素濃度の金属粉末を用
いて転造加工し、しかも、内部欠陥が生じにくい焼結金
属の製造方法を提供することである。本発明の他の目的
は、転造加工時の温度管理により、別途の焼入工程を行
うことなく表面にマルテンサイトの結晶構造を生じさ
せ、表面の耐摩耗性が良好な焼結金属の製造方法を提供
することである。本発明のさらに他の目的は、転造加工
時の温度管理により、マルテンサイト変態させる際、転
造ダイスにより製造物を寸法矯正することにより、精度
の高い焼結金属の製造方法を提供することである。
加工の長所を維持した上で、高炭素濃度の金属粉末を用
いて転造加工し、しかも、内部欠陥が生じにくい焼結金
属の製造方法を提供することである。本発明の他の目的
は、転造加工時の温度管理により、別途の焼入工程を行
うことなく表面にマルテンサイトの結晶構造を生じさ
せ、表面の耐摩耗性が良好な焼結金属の製造方法を提供
することである。本発明のさらに他の目的は、転造加工
時の温度管理により、マルテンサイト変態させる際、転
造ダイスにより製造物を寸法矯正することにより、精度
の高い焼結金属の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、鉄系粉末金属
を焼結金属として圧縮焼き固める工程と、前記焼結金属
をオーステナイト状態まで加熱する工程と、オーステナ
イト状態を維持した焼結金属にAr”変態温度以下の転
造ダイスを押圧して転造加工を施すと同時に、前記転造
ダイスを押圧した状態で前記焼結金属の表面をAr”変
態温度以下まで急冷させる工程よりなる焼結金属の製造
方法により前記課題を解決した。
を焼結金属として圧縮焼き固める工程と、前記焼結金属
をオーステナイト状態まで加熱する工程と、オーステナ
イト状態を維持した焼結金属にAr”変態温度以下の転
造ダイスを押圧して転造加工を施すと同時に、前記転造
ダイスを押圧した状態で前記焼結金属の表面をAr”変
態温度以下まで急冷させる工程よりなる焼結金属の製造
方法により前記課題を解決した。
【0006】
【発明の実施の形態】圧縮焼き固めた鉄系焼結金属は、
室温の状態では転造加工が困難である。さらに、炭素濃
度が高くなれば、硬度が高く転造加工は一層困難にな
る。そこで、まず、塑性変形を伴う転造加工が容易とな
るように焼結金属が加熱される。加熱温度は、組織状態
がγ鉄のオーステナイトにAc3変態する温度以上とす
る。炭素濃度によって、A3変態点は異なるが、少なく
とも純鉄のA3変態点である910℃以上に焼結金属が
加熱される。次いで、オーステナイト状態を維持させた
加熱焼結金属に転造加工が施される。炭素濃度に拘ら
ず、高温にしたためその素材は塑性変形しやすく、焼結
金属であってもクラック等の欠陥を生じることなく所定
の形状に転造加工することができる。特に、焼結金属を
転造加工するために、高炭素濃度の鉄系金属を用いて靭
性を高めても、転造加工を高温状態で行うので、その素
材は塑性変形しやすく、クラック等の欠陥を生じること
なく、高炭素濃度の焼結金属を所定の形状に転造加工す
ることができる。本発明では、さらに、転造ダイスを焼
結金属のAr”変態温度以下に温度管理することによ
り、転造加工と同時に表面を急冷焼き入れして、金属組
織をオーステナイトからマルテンサイトに結晶構造を変
態させることを特徴としている。急冷焼き入れを短時間
のうちに完了させること、すなわち、Ar”変態温度よ
りもかなり低い温度の転造ダイスを焼結金属の表面に押
圧して転造ダイスと焼結金属の接触面を更新することに
より、μ点以上(150℃/s以上)の冷却速度とな
り、転造加工と同時に焼結金属の表面をマルテンサイト
に結晶構造を変態させることができる。そして、転造加
工による塑性変形とマルテンサイト変態による膨張が完
了するまで焼結金属に転造ダイスを押圧することが好ま
しく、これにより、表面の形状、寸法及び金属組織を所
望のものに到達させることができる。また、本発明で
は、加熱工程の前において、塗布・浸漬又はディッピン
グ等により焼結金属の表面に黒鉛皮膜を形成することが
好ましい。黒鉛皮膜は、焼結金属の加熱時に表面の脱炭
を抑え、表面において炭素濃度の低下を防止することが
できる。炭素濃度の低下防止に加えて、黒鉛皮膜は転造
加工時において転造ダイスと焼結金属の接触面を潤滑
し、素材の流動性を高めるとともに面粗度を向上させる
ことに寄与する。
室温の状態では転造加工が困難である。さらに、炭素濃
度が高くなれば、硬度が高く転造加工は一層困難にな
る。そこで、まず、塑性変形を伴う転造加工が容易とな
るように焼結金属が加熱される。加熱温度は、組織状態
がγ鉄のオーステナイトにAc3変態する温度以上とす
る。炭素濃度によって、A3変態点は異なるが、少なく
とも純鉄のA3変態点である910℃以上に焼結金属が
加熱される。次いで、オーステナイト状態を維持させた
加熱焼結金属に転造加工が施される。炭素濃度に拘ら
ず、高温にしたためその素材は塑性変形しやすく、焼結
金属であってもクラック等の欠陥を生じることなく所定
の形状に転造加工することができる。特に、焼結金属を
転造加工するために、高炭素濃度の鉄系金属を用いて靭
性を高めても、転造加工を高温状態で行うので、その素
材は塑性変形しやすく、クラック等の欠陥を生じること
なく、高炭素濃度の焼結金属を所定の形状に転造加工す
ることができる。本発明では、さらに、転造ダイスを焼
結金属のAr”変態温度以下に温度管理することによ
り、転造加工と同時に表面を急冷焼き入れして、金属組
織をオーステナイトからマルテンサイトに結晶構造を変
態させることを特徴としている。急冷焼き入れを短時間
のうちに完了させること、すなわち、Ar”変態温度よ
りもかなり低い温度の転造ダイスを焼結金属の表面に押
圧して転造ダイスと焼結金属の接触面を更新することに
より、μ点以上(150℃/s以上)の冷却速度とな
り、転造加工と同時に焼結金属の表面をマルテンサイト
に結晶構造を変態させることができる。そして、転造加
工による塑性変形とマルテンサイト変態による膨張が完
了するまで焼結金属に転造ダイスを押圧することが好ま
しく、これにより、表面の形状、寸法及び金属組織を所
望のものに到達させることができる。また、本発明で
は、加熱工程の前において、塗布・浸漬又はディッピン
グ等により焼結金属の表面に黒鉛皮膜を形成することが
好ましい。黒鉛皮膜は、焼結金属の加熱時に表面の脱炭
を抑え、表面において炭素濃度の低下を防止することが
できる。炭素濃度の低下防止に加えて、黒鉛皮膜は転造
加工時において転造ダイスと焼結金属の接触面を潤滑
し、素材の流動性を高めるとともに面粗度を向上させる
ことに寄与する。
【0007】
【実施例】以下、図面を参照して本発明による焼結金属
の製造方法を説明する。所定配合率の粉末金属を準備し
た後、その粉末金属が所定の形状に圧縮される。粉末金
属は、例えば、Ni3.0〜7.0%、Mo0.3〜
1.0%、Cu1.0〜3.0%、C0.5〜1.0
%、Fe残余とし、約150度で温間成形して7.0〜
7.4Mg/m3 の圧縮密度にした後、RXガス(炭化
水素を不完全燃焼して精製した吸熱型ガス)中で115
0℃で20分焼結加工が施される。
の製造方法を説明する。所定配合率の粉末金属を準備し
た後、その粉末金属が所定の形状に圧縮される。粉末金
属は、例えば、Ni3.0〜7.0%、Mo0.3〜
1.0%、Cu1.0〜3.0%、C0.5〜1.0
%、Fe残余とし、約150度で温間成形して7.0〜
7.4Mg/m3 の圧縮密度にした後、RXガス(炭化
水素を不完全燃焼して精製した吸熱型ガス)中で115
0℃で20分焼結加工が施される。
【0008】次に、上記焼結金属に黒鉛皮膜が形成され
る。黒鉛皮膜は、塗布・浸漬又はディッピング等によ
り、焼結金属の全面に形成される。黒鉛皮膜は、次工程
の加熱工程において、焼結金属表面の脱炭を防止する。
そのため、焼結金属の全面に黒鉛皮膜を形成することが
好ましい。また、黒鉛皮膜は、次々工程の転造工程にお
いて、転造ダイスとの滑りをよくして素材の流動性を高
める働きとともに転造される表面を保護する働きもあ
る。
る。黒鉛皮膜は、塗布・浸漬又はディッピング等によ
り、焼結金属の全面に形成される。黒鉛皮膜は、次工程
の加熱工程において、焼結金属表面の脱炭を防止する。
そのため、焼結金属の全面に黒鉛皮膜を形成することが
好ましい。また、黒鉛皮膜は、次々工程の転造工程にお
いて、転造ダイスとの滑りをよくして素材の流動性を高
める働きとともに転造される表面を保護する働きもあ
る。
【0009】黒鉛皮膜が形成された焼結金属は、次い
で、急速加熱される。加熱工程は、焼結金属の金属組織
がγ鉄のオーステナイト状態まで加熱される。純鉄では
A3変態点が約910℃であるので、少なくともこの温
度以上に加熱することが必要である。なお、炭素濃度が
高くなると、濃度に応じてA3変態点は低くなる。ま
た、加熱工程により、焼結金属は硬度が低くなる。従っ
て、オーステナイト状態と硬度低下を目的として、焼結
金属が加熱される。具体的には、焼結金属は800〜1
100℃以上まで加熱される。なお、加熱は高周波加熱
装置を利用して短時間のうちに焼結金属をA3変態点以
上に加熱することが好ましい。
で、急速加熱される。加熱工程は、焼結金属の金属組織
がγ鉄のオーステナイト状態まで加熱される。純鉄では
A3変態点が約910℃であるので、少なくともこの温
度以上に加熱することが必要である。なお、炭素濃度が
高くなると、濃度に応じてA3変態点は低くなる。ま
た、加熱工程により、焼結金属は硬度が低くなる。従っ
て、オーステナイト状態と硬度低下を目的として、焼結
金属が加熱される。具体的には、焼結金属は800〜1
100℃以上まで加熱される。なお、加熱は高周波加熱
装置を利用して短時間のうちに焼結金属をA3変態点以
上に加熱することが好ましい。
【0010】次いで、オーステナイト状態のまま、すな
わち、炭素濃度に応じたA3変態点以上の温度を維持し
て、焼結金属は転造加工装置に移動させられる。この場
合、焼結金属は高温であるためロボット等を利用して、
加熱装置から転造装置にワークである焼結金属が移動さ
せられる。転造加工工程は、図1に示されるようにワー
クを歯車として説明すれば、回転自在に支持された歯車
10に対して径方向から一対の同歯数の転造ダイス1
2,14が押圧され、転造ダイス12,14を回転させ
ることでワークを所定の輪郭に仕上げる工程である。ワ
ーク10は高温に維持されており、転造加工において素
材の流動性が高く、内部欠陥を生じることなく転造加工
が進められる。加熱工程前に形成された黒鉛皮膜は、ワ
ーク10と転造ダイス12,14との接触面において潤
滑剤として機能し、歯面における素材の流動を補助す
る。転造加工により、歯面が緻密化して密度が真密度近
くまで向上する。ここで、転造ダイス12,14は、A
r”変態点以下に温度管理されており、転造加工と同時
にワーク10を3〜15秒で150〜250℃まで急冷
する。この急冷において、ワーク10の温度がAr”変
態点以下となるように、転造ダイス12,14の初期温
度が決められており、オーステナイトはワークの表面に
おいて、すなわち、歯車10の歯面においてマルテンサ
イトに変態する。急冷により、オーステナイトからマル
テンサイトにワークを変態させるため、転造ダイスの容
積はワークに比べて大きくなっており、転造加工時に接
触面を順次更新することにより、歯面において確実にマ
ルテンサイト組織に変態させる。オーステナイトからマ
ルテンサイトに変態するとき膨張が生じるので、本発明
では、さらに、転造ダイスをワークに押圧する時間を管
理することで、転造加工時における素材の流動に加えて
膨張による変形を防止している。これにより、転造ダイ
スの輪郭がワークに完全に転写される。その後、ワーク
は室温まで空冷され、必要に応じて、150℃〜250
℃で2時間焼き戻しされる。
わち、炭素濃度に応じたA3変態点以上の温度を維持し
て、焼結金属は転造加工装置に移動させられる。この場
合、焼結金属は高温であるためロボット等を利用して、
加熱装置から転造装置にワークである焼結金属が移動さ
せられる。転造加工工程は、図1に示されるようにワー
クを歯車として説明すれば、回転自在に支持された歯車
10に対して径方向から一対の同歯数の転造ダイス1
2,14が押圧され、転造ダイス12,14を回転させ
ることでワークを所定の輪郭に仕上げる工程である。ワ
ーク10は高温に維持されており、転造加工において素
材の流動性が高く、内部欠陥を生じることなく転造加工
が進められる。加熱工程前に形成された黒鉛皮膜は、ワ
ーク10と転造ダイス12,14との接触面において潤
滑剤として機能し、歯面における素材の流動を補助す
る。転造加工により、歯面が緻密化して密度が真密度近
くまで向上する。ここで、転造ダイス12,14は、A
r”変態点以下に温度管理されており、転造加工と同時
にワーク10を3〜15秒で150〜250℃まで急冷
する。この急冷において、ワーク10の温度がAr”変
態点以下となるように、転造ダイス12,14の初期温
度が決められており、オーステナイトはワークの表面に
おいて、すなわち、歯車10の歯面においてマルテンサ
イトに変態する。急冷により、オーステナイトからマル
テンサイトにワークを変態させるため、転造ダイスの容
積はワークに比べて大きくなっており、転造加工時に接
触面を順次更新することにより、歯面において確実にマ
ルテンサイト組織に変態させる。オーステナイトからマ
ルテンサイトに変態するとき膨張が生じるので、本発明
では、さらに、転造ダイスをワークに押圧する時間を管
理することで、転造加工時における素材の流動に加えて
膨張による変形を防止している。これにより、転造ダイ
スの輪郭がワークに完全に転写される。その後、ワーク
は室温まで空冷され、必要に応じて、150℃〜250
℃で2時間焼き戻しされる。
【0011】
【発明の効果】本発明は、焼き固めた後の焼結金属を加
熱し、高温において転造加工を行うので、素材の流動性
が高くなり転造加工による塑性変形が容易となり、クラ
ック等の内部欠陥を生じることなく内部空孔が残存しや
すい焼結金属に転造加工を施すことができる。特に、高
炭素濃度の鉄系粉末金属を用いて焼結金属を製造する場
合、靭性がなく転造加工による塑性変形時に内部欠陥が
生じやすいが、焼結金属を加熱して高温にすることによ
り、高炭素濃度の焼結金属に転造加工を施すことができ
る。そして、Ar”変態温度以下の転造ダイスを加熱後
の焼結金属に押圧することにより、転造加工と同時にオ
ーステナイトの金属組織を表面においてマルテンサイト
変態させるので、転造加工工程を利用して焼結金属に焼
き入れを行うことができ、通常は必要な別途の焼き入れ
工程を略して工数削減による製造コストを図ることがで
きる。さらに、オーステナイトからマルテンサイトへの
変態による膨張が完了するまで転造ダイスを焼結金属に
押圧することにより、転造ダイスの輪郭を完全に焼結金
属に転写することができ、歯車を焼結金属から製造する
場合には歯面を高精度に製造することができる。
熱し、高温において転造加工を行うので、素材の流動性
が高くなり転造加工による塑性変形が容易となり、クラ
ック等の内部欠陥を生じることなく内部空孔が残存しや
すい焼結金属に転造加工を施すことができる。特に、高
炭素濃度の鉄系粉末金属を用いて焼結金属を製造する場
合、靭性がなく転造加工による塑性変形時に内部欠陥が
生じやすいが、焼結金属を加熱して高温にすることによ
り、高炭素濃度の焼結金属に転造加工を施すことができ
る。そして、Ar”変態温度以下の転造ダイスを加熱後
の焼結金属に押圧することにより、転造加工と同時にオ
ーステナイトの金属組織を表面においてマルテンサイト
変態させるので、転造加工工程を利用して焼結金属に焼
き入れを行うことができ、通常は必要な別途の焼き入れ
工程を略して工数削減による製造コストを図ることがで
きる。さらに、オーステナイトからマルテンサイトへの
変態による膨張が完了するまで転造ダイスを焼結金属に
押圧することにより、転造ダイスの輪郭を完全に焼結金
属に転写することができ、歯車を焼結金属から製造する
場合には歯面を高精度に製造することができる。
【図1】 本発明による焼結金属の製造方法を実施する
装置を示す概念図である。
装置を示す概念図である。
10 焼結金属としてのワーク 12 転造ダイス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K018 AA28 BA14 CA02 FA04 FA05 HA05 KA63 4K042 AA18 BA02 BA04 DA01 DB01 DC02 DD01 DE02 DF02
Claims (1)
- 【請求項1】 鉄系粉末金属を焼結金属として圧縮焼き
固める工程と、 前記焼結金属をオーステナイト状態まで加熱する工程
と、 オーステナイト状態を維持した焼結金属にAr”変態温
度以下の転造ダイスを押圧して転造加工を施すと同時
に、前記転造ダイスを押圧した状態で前記焼結金属の表
面をAr”変態温度以下まで急冷させる工程よりなる、 焼結金属の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31033299A JP2001131610A (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 焼結金属の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31033299A JP2001131610A (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 焼結金属の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001131610A true JP2001131610A (ja) | 2001-05-15 |
Family
ID=18003968
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31033299A Pending JP2001131610A (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | 焼結金属の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001131610A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010522083A (ja) * | 2007-03-28 | 2010-07-01 | ミーバ ジンター オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 焼結部品の歯形を加工する方法及び装置 |
JP2016101627A (ja) * | 2014-11-28 | 2016-06-02 | 株式会社 神崎高級工機製作所 | 歯車の製造方法、及び歯車の加工具ユニット |
JP2016172931A (ja) * | 2016-05-12 | 2016-09-29 | Ntn株式会社 | 機械部品およびその製造方法 |
CN107199341A (zh) * | 2016-03-17 | 2017-09-26 | 通用汽车环球科技运作有限责任公司 | 用于表面致密化的方法和系统 |
-
1999
- 1999-10-29 JP JP31033299A patent/JP2001131610A/ja active Pending
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