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JP2000327241A - エレベータ装置および調速装置 - Google Patents

エレベータ装置および調速装置

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JP2000327241A
JP2000327241A JP11135084A JP13508499A JP2000327241A JP 2000327241 A JP2000327241 A JP 2000327241A JP 11135084 A JP11135084 A JP 11135084A JP 13508499 A JP13508499 A JP 13508499A JP 2000327241 A JP2000327241 A JP 2000327241A
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overspeed
sheave
speed control
speed
elevator
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JP11135084A
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Mineo Okada
峰夫 岡田
Yoshikatsu Hayashi
美克 林
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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    • B66HOISTING; LIFTING; HAULING
    • B66BELEVATORS; ESCALATORS OR MOVING WALKWAYS
    • B66B5/00Applications of checking, fault-correcting, or safety devices in elevators
    • B66B5/02Applications of checking, fault-correcting, or safety devices in elevators responsive to abnormal operating conditions
    • B66B5/04Applications of checking, fault-correcting, or safety devices in elevators responsive to abnormal operating conditions for detecting excessive speed
    • B66B5/044Mechanical overspeed governors

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Maintenance And Inspection Apparatuses For Elevators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エレベータかごの移動方向によって異なった
値の第1過速度を検出できるエレベータ装置および調速
機を得ることを共通の目的としている。 【解決手段】 調速用ロープ3が巻き掛けられた綱車6
に設けられ、エレベータかごが上昇する場合にも下降す
る場合にも動作するフライウェイト調速機構と、綱車6
の水平軸5とクラッチ機構54を介して連結されたフラ
イボール調速機構10を設けた。クラッチ機構54は綱
車6が正転する場合にはフライボール調速機構10の第
2の鉛直軸53に綱車6の回転力を伝達し、逆転する場
合には第2の鉛直軸53に回転力の伝達を解除する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、かごや釣合い重
り等の昇降体の過速度を検出し、昇降体を停止させる調
速機およびこれを有するエレベータ装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】図1は、例えば特開平3−177283
号公報に示された従来のフライボール形エレベータ用調
速機を示す縦断面図である。
【0003】図1において、1は昇降路の直上に設けら
れた機械室、2は機械室1に設置された調速機、3は無
端状をなし昇降路に配置されて一端が昇降体(図示せ
ず)に連結された調速ロープである。
【0004】4は調速機2の支持体、5は支持体4に枢
持された水平軸、6は水平軸5に固定されて調速ロープ
3の上端の湾曲部が巻き掛けられた綱車、7は支持体4
の上部に枢持された鉛直軸、8は水平軸5に固定されて
綱車6の回転中心と同心に配置された駆動傘歯車、9は
鉛直軸7に固定されて駆動傘歯車8と噛み合う従動傘歯
車である。
【0005】10は鉛直軸7に設けられた周知のフライ
ボール調速機構である。フライボール調速機構10のう
ち、11はその上端がそれぞれ鉛直軸7の上端部に枢持
された腕、12は腕11の下端に固定されたフライボー
ル、13は鉛直軸7に嵌合された滑り筒、14は両端が
それぞれ腕11の中間部及び滑り筒13に枢着されたリ
ンク、15は鉛直軸7に嵌合されて鉛直軸7の上端と滑
り筒13との間に配置された圧縮コイルばねからなり滑
り筒13を下方へ付勢する平衡ばねである。
【0006】16は鉛直軸7に嵌合され、かつ滑り筒1
3に枢着されることにより、滑り筒13の上下方向の変
位に伴って同じく上下方向に変位はするが、鉛直軸7の
軸を中心としての回転はしない従動筒である。17は支
持体4に固定され、昇降体を昇降させる駆動装置(図示
せず)の電源を遮断する昇降体停止用スイッチ、18は
従動筒16に固定され、従動筒16の上昇により昇降体
停止用スイッチ17を操作する操作レバーである。
【0007】従来のフライボール形エレベータ用調速機
は上記のように配置され、かつ構成されて昇降体の昇降
により調速ロープ3の動作により綱車6が回転し、この
回転が駆動傘歯車8及び従動傘歯車9を介して鉛直軸7
に伝達される。そして、鉛直軸7の回転速度に応じてフ
ライボール12が公転し、遠心力により平衡ばね15の
付勢力に抗して上昇する。
【0008】このフライボール12の上昇により滑り筒
13及び従動筒16が上昇変位する。そして、鉛直軸7
の回転速度、すなわち、昇降体の昇降速度が定格速度を
超えて第1過速度(通常は定格速度の1.3倍程度)に
達したときには操作レバー18により昇降体停止用スイ
ッチ17が操作され、昇降体の駆動装置の電源が遮断さ
れ、昇降体が停止される。さらに、詳細な説明及び図示
を省略するが、何らかの原因により昇降体が下降方向に
さらに過速し、第1過速度を超えて第2過速度に達した
ときには昇降体の非常止め装置(図示せず)の動作が行
われるようになっている。
【0009】また、図2は、例えば、特開平6−156
4号公報に示された従来のフライウェイト形エレベータ
用調速機を示す正面図である。図3はフライウェイト形
エレベータ用調速機の横断面図である。
【0010】図において、21は横断面U字状をなす基
台、22は基台21の側壁にそれぞれ配置されて軸受2
3が設けられた軸受箱、5は両端が軸受23に枢持され
た軸、6は軸5に固定された綱車、26は綱車6の側面
に軸5を介して互いに対峙して配置されて、それぞれ綱
車6に枢着されておもり側が軸5の軸線に直交する方向
に回動変位するフライウェイトである。
【0011】27は一端がフライウェイト26の反おも
り側に、他端が綱車6の側面にそれぞれ係合されて綱車
6の回転時の遠心力によるフライウェイト26の変位作
用に対抗する平衡ばね、28はフライウェイト26の平
衡ばね27係合側と同側に設けられた作動爪、29はフ
ライウェイト26のおもり側にねじこまれたボルトから
なる作動子、210は両端部がそれぞれ両方のフライウ
ェイト26自体の枢着点に対して互いに反対側に配置さ
れたリンクである。
【0012】211は基台21に装着されて作動子29
と対向する作動部212を有する停止用スイッチ、21
3は軸5に枢持されて作動爪28に対向して配置された
爪車、214は下端が基台21に枢着されて中間に制動
片215が装着された制動腕、216は一端が爪車21
3の縁部寄りに枢着された作動棒で、他端のねじ棒が制
動腕214の上端部に移動可能に挿通されて挿通端にば
ね受け217がナット218により保持されている。
【0013】219は制動棒216のねじ棒部に嵌合さ
れて制動腕214とばね受け217の間に配置された圧
縮コイルばね、3は綱車6に巻き掛けられ、図では省略
しているが、昇降路に設けられたエレベータ装置のかご
等の昇降体に一側が保持された調速用ロープである。
【0014】従来のフライウェイト形調速機は、上記の
ように構成され、昇降体と共に移動する調速用ロープ3
により綱車6が駆動されて回転する。この綱車6の回転
によりフライウェイト26は綱車6と共に公転し、綱車
6の回転速度、すなわち昇降体の昇降速度が所定値を超
えた第1過速度(通常は定格速度の1.3倍程度)にな
ると、遠心力により平衡ばね27の付勢力に抗したフラ
イウェイト26の回動変位によって作動子29が停止用
スイッチ211の作動部212を押圧する。これによっ
て、停止用スイッチ211が動作してエレベータ装置の
駆動装置の電源を遮断して昇降体を停止させて、第1過
速度発生によって生じる事故を未然に防止するように構
成されている。
【0015】しかし、エレベータ装置の主索の破断等の
事故の場合には、駆動装置が停止しても昇降体の下降が
続く。このときに、昇降体の速度が第2過速度(通常は
定格速度の1.4倍程度)になると、その遠心力による
平衡ばね27の付勢力に抗したフライウェイト26の回
動変位によって作動爪28が爪車213の爪に係合す
る。これにより、爪車213は綱車6と同方向に回動す
るので、制動棒216が変位して圧縮コイルばね219
を介して制動腕214が綱車6方向に動作し、制動片2
15より調速用ロープ3が綱車6に押圧されて調速用ロ
ープ3の下降が制動される。そして、調速用ロープ3の
制動により昇降体の非常止め装置が動作して昇降体が非
常停止する。この明細書では、駆動装置の停止動作およ
び非常止め装置による昇降体の停止動作を含めてエレベ
ータかごの非常停止動作と呼ぶ。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のフ
ライボール形又はフライウェイト形エレベータ用調速機
では、昇降体の運転方向によって綱車6の回転方向も変
化するが、フライボール12又はフライウェイト26に
発生する遠心力は、綱車6の回転方向に関係なく、鉛直
軸7又は綱車5の軸中心方向の反対方向に発生する。よ
って、昇降体の過速による従動筒16の上昇変位量、又
はフライウェイト26の回動変位量は昇降体の速度の絶
対値により決定する。このため、昇降体の運転方向によ
って異なった第1過速度を設定することができない。
【0017】また、かごが停止する最下階の床面から昇
降路の底部床面までの垂直距離、いわゆるピット深さは
エレベータの定格速度に応じて決められる数値以上設け
ることが関係法規により定められている国が有る。これ
は、ピットに取り付けられる緩衝器の寸法が定格速度に
よって異なることによるものであるが、逆に、建築上の
都合により、ピット深さに制限がある場合、エレベータ
の定格速度はそのピット深さに応じて決められる数値以
下にする必要がある。それでも輸送効率上、かごが緩衝
器に衝突するのとは関係がない上昇方向の定格速度のみ
を下降方向の定格速度よりも大きくしたいという要求が
ある。
【0018】しかし、上記のように昇降体の移動方向に
関係なく同じ大きさの第1過速度しか検出できない従来
のエレベータ用調速機を用いた場合、上昇方向の定格速
度は下降方向の定格速度よりも大きくするとしても、下
降方向の定格速度から法規によって定められる第1過速
度の最大許容量を超えることは不可能である。
【0019】また、高速運転によるかご内の急激な圧力
変動により、乗客は耳がつんとなるなどの不快感を催す
が、これについては上昇方向よりも下降方向の方がその
不快感が大きいことが知られている。この点からも、上
昇方向と下降方向とで異なる定格速度を持つエレベータ
の要求が生ずる。
【0020】この発明は、上記のような問題を解決する
ためになされたもので、エレベータかごの移動方向によ
って異なった値の第1過速度を検出できるエレベータ装
置および調速機を得ることを共通の目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】この発明におけるエレベ
ータ装置は、昇降路内を移動するエレベータかごと、前
記エレベータかごをケーブルを介して上下に移動させる
駆動機械装置と、前記エレベータかごが上昇する場合と
下降する場合とで移動速度を異ならせるように前記駆動
機械装置を制御する制御装置と、前記エレベータかごの
移動速度を調速する調速装置とを有し、当該調速装置
は、前記エレベータかごが上昇する場合の前記エレベー
タの移動速度を検出する第1調速機構と、前記エレベー
タかごが下降する場合の前記エレベータの移動速度を検
出する第2調速機構とを有し、上記エレベータかごの移
動方向に応じて上記第1調速機構又は前記第2調速機構
の調速を無効にするものである。
【0022】また、前記調速装置は、上記エレベータか
ごと連結された調速ロープと、当該調速ロープが巻き掛
けられ、上記エレベータかごの上下移動に伴い正転およ
び逆転する綱車と、当該綱車の回転方向に応じて、前記
第1調速機構又は前記第2の調速機構への前記綱車の回
転力の伝達を開閉する伝達機構とを有するものである。
【0023】さらに、上記エレベータかごの非常停止動
作を開始するためのしきい値として上昇時の第1過速度
と下降時の第1過速度が設定され、前記上昇時の第1過
速度と前記下降時の第1過速度とは互いに異なる値であ
り、前記第1調速機構は前記上昇時の第1過速度を検出
し、前記第2調速機構は前記下降時の第1過速度を検出
するものである。
【0024】さらにまた、上記エレベータかごの非常動
作を開始するためのしきい値として前記下降時の第1過
速度よりも大きい値の下降時の第2過速度が設定され、
前記第2調速機構は前記下降時の第2過速度を検出する
ものである。
【0025】また、前記上昇時の第1過速度V1と、前
記下降時の第1過速度V2と、前記下降時の第2過速度
V3は、V1>V3>V2の関係を有している。
【0026】さらに、前記上昇時の第1過速度V1と、
前記下降時の第1過速度V2と、前記下降時の第2過速
度V3は、V3>V1>V2の関係を有している。
【0027】この発明における調速装置は、調速用ロー
プと、当該調速用ロープが巻き掛けられ、この調速用ロ
ープの移動により回転する綱車と、当該綱車の回転速度
を調速する第1調速機構と、前記綱車が正転する際に当
該綱車の回転速度を調速し、綱車が逆転する際には調速
を停止する第2調速機構とを有するものである。
【0028】また、前記綱車と前記第2調速機構は、前
記綱車の回転を伝達する伝達機構を介して接続されてお
り、当該伝達機構は前記綱車が正転する際には前記第2
調速機構に前記綱車の回転を伝達し、前記綱車が逆転す
る際には前記第2調速機構への前記綱車の回転の伝達を
解除するものである。
【0029】さらに、前記第1調速機構はフライウェイ
ト形調速機である。
【0030】さらにまた、前記第2調速機構はフライボ
ール形調速機である。
【0031】また、前記伝達機構は、前記綱車の回転軸
と前記第2調速機構の回転軸との間に連結されたクラッ
チである。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
について説明する。 実施の形態1.図4は、この実施の形態におけるエレベ
ータ装置の全体構成図である。図4において、1は機械
室、41は昇降路、42は機械室内に設けられたこの実
施の形態における調速機、43はそらせ車、44は昇降
路内を上下に案内されるかご、45はかご44を吊って
いる巻上ロープ(主索とも言う)、46は巻上ロープ4
5のかご44とは反対側に吊り下げられた釣り合いおも
りである。
【0033】47は昇降路のピットに設置されたかご4
4および釣り合いおもり46用の緩衝器、48は無端状
の調速用ロープ3が巻き掛けられる張り車、49は調速
用ロープ3とアームによって接続された非常止め装置、
410は巻上ロープ45が巻回された巻上機であり、巻
上機410のシーブが回転することによりかご44を昇
降路内で上下に移動させる駆動機械装置である。
【0034】411は機械室1内に設置された制御装置
であり、この制御装置411によって巻上機410の回
転を制御することにより、設定した上昇速度および下降
速度にてかご44を昇降させる。この上昇速度と下降速
度は互いに異なった速度に設定されている。
【0035】図5はこの発明の実施の形態1によるエレ
ベータ用調速機42を示す縦断面図である。また、図6
は図5の綱車部分の正面図である。図の符号は、先の図
面に対応する構成については同一符号を用いている。4
は調速機42の支持体であり、5は支持体4に軸受56
を介して枢持された水平軸である。6は水平軸5に固定
されて調速ロープ3の上端の湾曲部が巻き掛けられた綱
車である。この綱車6はかご44の上下移動に伴い、水
平軸5を中心に回転する。例えば、かご44が昇降路内
を下降する場合には綱車6が正転し、かご44が昇降路
内を上昇する場合には綱車6が逆転する。
【0036】8は水平軸5に固定されて綱車6の回転中
心と同心に配置された駆動傘歯車であり、52は支持体
4に軸受を介して枢持された第1の鉛直軸である。9は
第1の鉛直軸52に固定されて駆動傘歯車8と噛み合う
従動傘歯車である。駆動傘歯車8および従動傘歯車9を
介して、綱車6の回転力が第1の鉛直軸52に伝達され
て、第1の鉛直軸52は回転する。53は第1の鉛直軸
52と同心で、かつ直上の位置で支持体4に枢持された
第2の鉛直軸である。この第2の鉛直軸53も軸受を介
して支持体4に枢持されている。
【0037】54は第1の鉛直軸52と第2の鉛直軸5
3との間に挿置されたクラッチ機構である。このクラッ
チ機構54は綱車6の回転方向等からかご44の移動方
向を検出し、かご44が下降方向に移動している場合に
は第1の鉛直軸52と第2の鉛直軸53を連結させ、か
ご44が上昇方向に移動している場合には第1の鉛直軸
52と第2の鉛直軸53を分離させる。
【0038】第1の鉛直軸52と第2の鉛直軸53とが
連結したときには、第2の鉛直軸53は第1の鉛直軸5
2と同じ速度で回転する。第1の鉛直軸52と第2の鉛
直軸53とが分離したときには、第1の鉛直軸52が回
転しても第2の鉛直軸53は回転しない。この実施の形
態におけるクラッチ機構54は綱車6が正転する際に第
1の鉛直軸52と第2の鉛直軸53が連結され、綱車6
が逆転する際には第1の鉛直軸52と第2の鉛直軸53
が分離される。
【0039】10は第2の鉛直軸53に設けられたフラ
イボール調速機構である。51は綱車6に設けられたフ
ライウェイト調速機構である。フライボール調速機構1
0の構成については図5に示したとおりであり、水平軸
5を介して第1過速度を検出して巻上機410を非常停
止させる第1の停止用スイッチ17と、第2過速度を検
出して昇降体の非常止め装置49を作動させる機構の両
方を有している。第2過速度を検出して昇降体の非常止
め装置49を作動させる機構については、後述する。
【0040】一方、フライウェイト調速機構51の構成
については、図6に記載したとおりである。フライウェ
イト調速機構51は、フライウェイト26、平衡ばね2
7、リンク210、停止用スイッチ211、作動子29
を有している。
【0041】フライウェイト26は綱車6の側面に水平
軸5を介して互いに対峙して配置されて、それぞれ綱車
6に枢着されておもり側が水平軸5の軸線に直交する方
向に回動変位する。平衡ばね27は一端がフライウェイ
ト26の反おもり側に、他端が綱車6の側面にそれぞれ
係合されて綱車6の回転時の遠心力によるフライウェイ
ト26の変位作用に対抗する。
【0042】リンク210は両端部がそれぞれ両方のフ
ライウェイト26自体の枢着点に対して互いに反対側に
配置されている。停止用スイッチ211は基台21に装
着されて作動子29と対向する作動部212を有し、か
ご44を昇降させる巻上機410の電源を遮断する。作
動子29はフライウェイト26に設けられ、かご44の
移動速度が第1過速度を超えてフライウェイト26が水
平軸5の軸線に直交する方向に回転したときに停止用ス
イッチ211に接触して当該スイッチを駆動させる。
【0043】この実施の形態のフライウェイト調速機
は、第1過速度を検出して巻上機410を停止させる停
止用スイッチ211のみを具備している。フライウェイ
ト調速機51が第2過速度を検出しないのは、かご44
が下降している場合にのみ非常止め装置49を作動させ
るようにしているからである。
【0044】上記のように構成されたエレベータ用調速
機42においては、かご44が上昇方向に移動する場合
に第2の鉛直軸53は回転しない。よって、2つの調速
機構のうち、フライウェイト調速機構51のみが機能
し、フライボール調速機構10は調速動作を停止した無
効状態となる。一方、かご44が下降方向に移動する場
合は、フライボール調速機構10とフライウェイト調速
機構51の両方とも機能する。
【0045】従って、クラッチ機構54は綱車6が正転
した場合に当該綱車6の回転力をフライボール調速機構
10に伝達し、綱車6が逆転した場合に綱車6の回転力
を伝達を解除する伝達機構と考えることができる。
【0046】定格速度が移動方向で異なり、例えば、上
昇方向の定格速度が下降方向の定格速度から決定される
第2過速度(通常は下降方向の定格速度の1.4倍程
度)よりも大きくなるよう設定されたエレベータを考え
る。この場合、このエレベータ用調速機の検出すべき過
速度の大きさは、小さい方から、下降方向の第1過速
度、下降方向の第2過速度、上昇方向の第1過速度の順
番で、各々の非常停止動作を行なうよう調整される。下
降方向の第1及び第2過速度はフライボール調速機構1
0にて、上昇方向の第1過速度はフライウェイト調速機
構51にて検出し、非常停止動作を行なわせるよう調整
する。
【0047】フライウェイト調速機構51はかご44が
上昇する際も下降する際も綱車6の回転力が伝達される
ため、なるべく速度が大きいものを調速させる。そのた
め、下降方向の第1過速度、下降方向の第2過速度、上
昇方向の第1過速度の順に速度が大きくなるように設定
されている状況下では、最も大きい速度である上昇方向
の第1過速度をフライウェイト調速機構51にて調速さ
せる。
【0048】この実施の形態においては、昇降体が下降
方向に移動する場合には、フライボール調速機構10と
フライウェイト調速機構51の両方が有効となる。かご
44の下降速度が下降方向の定格速度を超えて下降方向
の第1過速度に達したときには、フライボール調速機構
10がそれを検出し、またさらに下降方向に過速して第
2過速度に達したときには、同じくフライボール調速機
構10がそれを検出する。
【0049】このときには綱車6は回転し、フライウェ
イト調速機構51も昇降体の速さに応じた遠心力を受け
ているが、下降方向の第2過速度はフライウェイト調速
機構52が検出するよう設定されている上昇方向の第1
過速度よりも小さいのでフライウェイト調速機構51は
動作しない。
【0050】一方、かご44が上昇方向に移動する場合
には、フライボール調速機構10は無効となるので、か
ご44が加速して上昇方向の定格速度に達するまでに下
降方向の第1過速度又は第2過速度に相当する上昇方向
の速度を通過しても、それらの過速度は検出しない。し
かし、綱車6に設けられているフライウェイト調速機構
51は昇降体の速さに応じた遠心力を受けているので、
昇降体が上昇方向の定格速度を超えて上昇方向の第1過
速度に達したときには、非常停止動作を行なう。
【0051】これにより、上昇方向の第1過速度が下降
方向の第1過速度と異なる場合においても、必要な停止
動作を行なわしめるエレベータ用調速機を得ることがで
きる。
【0052】クラッチ機構54としては、図7に示すよ
うな、例えば自転車の後輪ギヤと後輪軸の間に配置され
るフリーギヤ、ベアリングの一種であるワンウェイクラ
ッチ、ボルトとナットの組み合わせ等といったラチェッ
ト機構71を用いたものが挙げられる。これらは第1鉛
直軸52が第2の鉛直軸53に対してある回転方向(図
7においてはaで表す)に加速回転すると、ラチェット
機構71の作用により第2の鉛直軸53は第1の鉛直軸
52と同じ角速度にて回転する。
【0053】しかし、第1の鉛直軸52が減速すると第
2の鉛直軸53は第1の鉛直軸52からトルクを受けず
に空転する。また、第1の鉛直軸52が回転方向aとは
反対方向(図7においてはbで表す)に回転するとき
も、第2の鉛直軸53は第1の鉛直軸52からトルクを
受けない。
【0054】そして、かご44が下降方向に移動すると
きの第1の鉛直軸52の回転方向がaとなるようにし、
かご44が上昇方向に移動するときの回転方向をbとす
る。すると、第2の鉛直軸53はかご44が下降方向に
加速している場合に限り、かご44の速度に対応した角
速度にて回転する。その後、かご44が減速を始めて
も、第2の鉛直軸53はフライボール調速機構10等の
慣性力により、第1の鉛直軸52と同じように減速せ
ず、しばらくはかご44の速度に対応した角速度よりも
速い角速度にて回転を続ける。さらにかご44が一旦停
止し、下降方向に移動を始めて(第1の鉛直軸52はb
の方向に回転を始める)も、第2の鉛直軸53はすぐに
は回転を止めず、しばらくはaの方向に回転を続ける場
合もある。
【0055】フライボール調速機構10がかご44の下
降速度に対応した遠心力を受けるのはかご44が加速の
状態にある場合のみであるが、かご44が最初に第1過
速度又は第2過速度に達するのは、かご44が加速の途
中にある場合のみであるので、このようなラチェット機
構71を用いた場合においても、実施の形態1のエレベ
ータ用調速機は同様の機能を有することになる。
【0056】図8は、フライボール調速機構10により
非常止め装置49を作動させる機構を示す図である。8
1は滑り筒13に連結された第1のリンク、82は一端
が第1のリンク81に連結された第2のリンクである。
この第2のリンクは軸821を中心に回転可能である。
【0057】83は第2のリンク82とローラー832
によって接した回転レバーである。この回転レバー83
は軸831を中心に回転可能である。84は回転レバー
83を付勢するばねである。通常運転時には第2のリン
ク82がばね84の付勢力に対抗することで、回転レバ
ー83の回転を防止している。
【0058】しかし、かご44が下降方向の第2過速度
を超えて下降した場合は、過速度の増加に伴い滑り筒1
3が上昇し、第1のリンク81が上昇する。そのため、
第2のリンク82が軸821を中心に回転し、回転レバ
ー83からはずれる。回転レバー83はばね84の付勢
力により軸831を中心に回転し、可動シュー85から
はずれる。その後、可動シュー85が落ち、固定シュー
86と可動シュー85とによって調速機ロープを挟みこ
む。これによって調速機ロープ3の下降が制動され、非
常止め装置49が作動する。
【0059】この実施の形態における調速機およびこの
調速機を有するエレベータ装置の効果について説明す
る。かご44が上昇する際の調速をフライウェイト調速
機構51により行なわせ、かご44が下降する際の調速
をフライボール調速機構10にて行なうので、かご44
の上昇方向の第1過速度が下降方向の第1過速度よりも
大きくなるよう設定されたエレベータにおいても、各方
向の非常停止動作をすべき過速度にて必要な停止動作を
行なわしめることができる。
【0060】さらに、下降方向の第1過速度、下降方向
の第2過速度、上昇方向の第1過速度の順で大きくなる
ように速度が設定されている場合には、下降方向の第
1、第2過速度の検出をフライボール調速機構10に持
たせることができる。さらにまたかご44の移動方向
(綱車6の回転方向)によって動作・非動作が切り替え
られるのはフライボール調速機構10のみであり、フラ
イウェイト調速機構52については切替は行なわない。
そのため、部品点数をより押さえた構成となっている。
【0061】また、この実施の形態においては、フライ
ボール調速機構10とフライウェイト調速機構51とを
クラッチ機構54により機械的に構成しているため、停
電等の場合にも動作が可能である。
【0062】さらに、この実施の形態においては、上昇
方向用の調速機構として綱車6内に取り付けるフライウ
ェイト調速機構51を採用しているため、従来のフライ
ボール調速機構とほとんど同じサイズで構成することが
できる。
【0063】尚、この実施の形態では、かご44の下降
方向の第1過速度、下降方向の第2過速度、上昇方向の
第1過速度の順で大きくなるように設定された場合を説
明したが、かご44の下降方向の第1過速度、上昇方向
の第1過速度、下降方向の第2過速度の順で大きくなる
ように設定された場合にも、本実施の形態を適用するこ
とができる。
【0064】この場合も下降方向の第1過速度および下
降方向の第2過速度をフライボール調速機10で検出
し、上昇方向の第1過速度をフライウェイト調速機構5
1で検出する。この場合、下降方向の第1過速度を超え
て加速した場合には、上昇方向の第1過速度に達した時
点でフライウェイト調速機構51による非常停止動作が
行われることになり、下降方向の速度が第2過速度に達
する確率が低くなる。したがって、より安全なエレベー
タ装置が得られる。
【0065】さらに、上昇方向の第1過速度、下降方向
の第1過速度、下降方向の第2過速度の順で大きくなる
ように設定されたエレベータの場合には、フライウェイ
ト調速機構51では下降方向の第1過速度及び第2過速
度を検出し、フライボール調速機構10では上昇方向の
第1過速度を検出し、非常停止動作を行なわせるように
調整する。クラッチ機構54は、かご44が下降する際
には綱車6の回転力のフライボール調速機構10への伝
達を解除し、かご44が上昇する際には綱車6の回転力
をフライボール調速機構10へ伝達するように調整する
必要がある。
【0066】また尚、この実施の形態ではフライボール
調速機構10、フライウェイト調速機構51とを設けて
いるが、その他の調速機構を採用することも可能であ
る。また尚、この実施の形態では上昇方向の速度につい
ては、第1過速度のみを検出しているが、上昇方向の速
度についても第2過速度の検出を行うようにしてもよ
い。フライウェイト調速機構51により第2過速度の検
出および非常止めを行なう機構としては、図2に示した
機構を採用すればよい。
【0067】また、本実施の形態では、クラッチ機構5
4は、第1の鉛直軸52と第2の鉛直軸53の間に設け
られているが、水平軸5と駆動傘歯車8との間に設ける
ようにしてもよい。
【0068】実施の形態2.実施の形態1では異なる種
類の第1、第2の調速機構を設け、第1の調速機構にお
いて上昇方向の調速を行なわせ、第2の調速機構におい
て下降方向の調速を行なわせる場合を説明した。この実
施の形態では同じ種類の調速機構を2つ設ける場合につ
いて説明する。図9はこの発明の実施の形態2によるエ
レベータ用調速機を示す縦断面図である。この実施の形
態におけるエレベータ装置の全体構造は、図4に示した
ものと同様である。
【0069】97は支持体、55は支持体97の側壁に
それぞれ配置されて軸受56が設けられた軸受箱、5は
軸受56の一つに枢持された第1の軸、6は第1の軸5
に固定されて調速用ロープ3の上端の湾曲部が巻き掛け
られた綱車である。
【0070】91は第1の軸5と同心で、かつ真横の位
置でもう一つの軸受56に枢持された第2の軸である。
92は第1の軸5と第2の軸91との間に挿置されたク
ラッチ機構である。
【0071】このクラッチ機構92は実施の形態1のク
ラッチ機構54と同様、綱車6の回転方向等からかご4
4の移動方向を検出し、かご44が下降方向に移動して
いる場合のみ第1の軸5と第2の軸91を連結させて第
2の軸91を第1の軸5と同じ角速度で回転せしめる。
一方、上昇方向に移動している場合には第1の軸5と第
2の軸91を分離させて第1の軸5が回転しても第2の
軸91を回転させない。
【0072】93は第2の軸91に固定され、第2の軸
91と同じ角速度にて回転する回転車である。94は綱
車6に設けられた第1のフライウェイト調速機構であ
る。また、95は回転車93に設けられた第2のフライ
ウェイト調速機構である。
【0073】第2のフライウェイト調速機構95は第1
過速度を検出して巻上機410を非常停止させる第1の
停止用スイッチと、第2の過速度を検出してかご44の
非常止め装置49を作動させる機構の両方を持つ。第1
のフライウェイト調速機構94は第1過速度を検出して
巻上機410を非常停止させる第2の停止用スイッチの
みを具備している。これらフライウェイト調速機構の構
成については、この実施の形態において特に示すもの以
外は、図2および図3に示したフライウェイト調速機構
と同様である。
【0074】このように構成されたエレベータ用調速機
においては、かご44が上昇方向に移動する場合には、
2つの調速機構のうち、第1のフライウェイト調速機構
94のみが機能し、第2のフライウェイト調速機構95
は調速動作を停止した無効状態となる。一方、昇降体が
下降方向に移動する場合には、第1のフライウェイト調
速機構94と第2のフライウェイト調速機構95の両方
ともが機能する。クラッチ機構92は綱車6が正転した
場合に当該綱車6の回転力を第2のフライウェイト調速
機構95に伝達し、綱車6が逆転した場合に綱車6の回
転力の伝達を解除する伝達機構と考えることができる。
【0075】これによって、かご44の下降方向の第1
過速度、下降方向の第2過速度を第2のフライウェイト
調速機構95が検出する。かご44の上昇方向の第1過
速度については第1のフライウェイト調速機構94が検
出する。以上が、かご44の下降方向の第1過速度、下
降方向の第2過速度、上昇方向の第1過速度の順で大き
くなるように設定された場合であるが、かご44の下降
方向の第1過速度、上昇方向の第1過速度、下降方向の
第2過速度の順で大きくなる場合でも同様の構成とな
る。
【0076】逆に、かご44の上昇方向の第1過速度、
下降方向の第1過速度、下降方向の第2過速度の順で大
きくなるように設定されたエレベータの場合には、第1
のフライウェイト調速機構94では下降方向の第1過速
度及び第2過速度を検出し、第2のフライウェイト調速
機構95では上昇方向の第1過速度を検出し、非常停止
動作を行なわせるように調整する。
【0077】この実施の形態においても、第1および第
2のフライウェイト調速機構94、95をクラッチ機構
92により機械的に構成しているため、停電等の場合に
も動作可能とすることができる。
【0078】尚、この実施の形態ではフライウェイト調
速機34、35を用いる場合について説明したが、その
他の調速機を2つ設けて構成することも可能である。ま
た尚、この実施の形態では上昇方向の速度については、
1つの過速度のみを検出しているが、上昇方向の速度に
ついても複数の過速度検出を行うようにしてもよい。
【0079】実施の形態3.上述の実施の形態では、フ
ライウェイト調速機構を2つ設け、上昇方向の過速度と
下降方向の過速度とをそれぞれ検出していた。フライボ
ール調速機構を2つ設け、これら2つのフライボール調
速機構によって上昇方向の過速度と下降方向の過速度と
を検出することも可能である。
【0080】この機構は次のようにして構成される。第
1のフライボール調速機構の鉛直軸を延長し、この鉛直
軸をクラッチ機構の一端側に連結する。クラッチ機構の
他端側には第2のフライボール調速機構の鉛直軸を連結
する。このクラッチ機構は上記実施の形態で用いている
クラッチ機構と同様のものである。
【0081】このような構成により、第2のフライボー
ル調速機構はかご44が上昇する時に有効となり、過速
度の検出を行なう。かご44が下降する時には第1のフ
ライボール調速機構のみが有効となり、第2のフライボ
ール調速機構は作動しない。以上の構成によって、上昇
方向の過速度と下降方向の過速度とが異なる場合にも過
速度検出が可能となる。
【0082】実施の形態4.上述の実施の形態では、昇
降体の移動方向に対応した調速機構を複数設ける場合に
ついて説明した。この実施の形態では、調速機構を複数
設けることなく昇降体の移動方向によって異なる速度の
調速を行う調速機について説明する。
【0083】図1に示したフライボール調速機の場合に
は2個の停止用スイッチ17を、図2に示したフライウ
ェイト調速機の場合には2個の停止用スイッチ211を
設置する。それぞれの調速機における2つの停止用スイ
ッチの内、1つはかご44の上昇方向の第1過速度で動
作する位置に設置し、もう一つは下降方向の第1過速度
で動作する位置に設置する。
【0084】そして、かご44を上昇させている場合に
は、下降方向の停止スイッチが動作しても、それを無効
にするように電気回路を設定する。かご44が一旦停止
し、下降方向に運転を開始する際に、下降方向の停止ス
イッチを有効にするよう復帰させる。
【0085】このように構成することにより、複数の調
速機構を設けることなく電気的な回路によって、かご4
4の移動方向によって異なる速度の調速を行うことがで
きる。
【0086】実施の形態5.調速機構を複数設けること
なく昇降体の移動方向によって異なる速度の調速を行う
他の調速機について説明する。フライボール調速機の操
作レバー18やフライウェイト調速機の作動子29は昇
降体の加速度(綱車の加速度)に応じて変位する。その
ため、停止用スイッチ17、211をかご44の移動方
向によって異なる位置に移動させる。これにより、かご
44が上昇する場合とかご44が下降する場合で異なる
過速度で停止用スイッチを動作させることが可能とな
る。
【0087】図10、11は、この実施の形態における
調速機の構造である。この実施の形態における調速機
は、昇降体の移動方向を検出する検出機構110と停止
用スイッチの位置を移動させる移動機構111とを有し
ている。検出機構110がかご44の移動方向を検出
し、移動機構111はかご44の上昇・下降に応じて、
停止用スイッチの位置を移動させる(図中→で示した方
向に移動する)。これにより、上昇および下降の第1過
速度が異なる場合にも過速度の検出を行なうことができ
る。
【0088】実施の形態1から実施の形態5で説明した
フライボール調速機構やフライウェイト調速機構以外の
調速機として、例えば図12に示したBODE社の調速
機がある。この調速機は、調速用ロープが巻き掛けられ
る綱車6と、綱車6の軸5と、綱車6に固定された四角
い枠体100と、この枠体100の側面に接し、ばねに
よって枠体100の側面に付勢されたローラ101と、
停止用スイッチ102と、枠体100に設けられたラチ
ェット103と、このラチェットと噛み合う爪104と
を有する。
【0089】綱車6が回転すると枠体100に対して付
勢されたローラ101が四角い枠体100の角を通るた
びに飛び上がる。綱車6の回転速度が大きくなるほど、
その飛び上がり角度が大きくなる。飛び上がり角度が所
定角度に達すると、停止用スイッチ102が動作し、巻
上機の電源を切る。更に大きな角度になると爪104が
ラチェット103にかかり、綱車6の回転が止まる。調
速用ロープ3の移動が制動され、昇降体の非常止め装置
が動作して昇降体が非常停止する。このようなフライボ
ール調速機構、フライウェイト調速機構以外の調速機構
を上記実施の形態1〜5に適用してもよい。
【0090】
【発明の効果】この発明におけるエレベータ装置は、昇
降路内を移動するエレベータかごと、前記エレベータか
ごをケーブルを介して上下に移動させる駆動機械装置
と、前記エレベータかごが上昇する場合と下降する場合
とで移動速度を異ならせるように前記駆動機械装置を制
御する制御装置と、前記エレベータかごの移動速度を調
速する調速装置とを有し、当該調速装置は、前記エレベ
ータかごが上昇する場合の前記エレベータの移動速度を
検出する第1調速機構と、前記エレベータかごが下降す
る場合の前記エレベータの移動速度を検出する第2調速
機構とを有し、上記エレベータかごの移動方向に応じて
上記第1調速機構又は前記第2調速機構の調速を無効に
するため、エレベータかごが上昇する場合と下降する場
合で移動速度を異ならせる場合にも適切な速度検出が可
能となる。
【0091】また、前記調速装置は、上記エレベータか
ごと連結された調速ロープと、当該調速ロープが巻き掛
けられ、上記エレベータかごの上下移動に伴い正転およ
び逆転する綱車と、当該綱車の回転方向に応じて、前記
第1調速機構又は前記第2の調速機構への前記綱車の回
転力の伝達を開閉する伝達機構とを有するため、エレベ
ータかごの上下移動方向を容易に知ることができる。
【0092】さらに、上記エレベータかごの非常停止動
作を開始するためのしきい値として上昇時の第1過速度
と下降時の第1過速度が設定され、前記上昇時の第1過
速度と前記下降時の第1過速度とは互いに異なる値であ
り、前記第1調速機構は前記上昇時の第1過速度を検出
し、前記第2調速機構は前記下降時の第1過速度を検出
するため、エレベータかごの上昇時と下降時とで異なっ
た値の第1過速度を設定できるため、第1過速度の決定
の自由度が高くなる。
【0093】さらにまた、上記エレベータかごの非常動
作を開始するためのしきい値として前記下降時の第1過
速度よりも大きい値の下降時の第2過速度が設定され、
前記第2調速機構は前記下降時の第2過速度を検出する
ため、下降時の安全性が向上する。
【0094】また、前記上昇時の第1過速度V1と、前
記下降時の第1過速度V2と、前記下降時の第2過速度
V3は、V1>V3>V2の関係を有しているため、エ
レベータかごの上昇時と下降時とで異なった値の第1過
速度を設定できることにより第1過速度の決定の自由度
が高くなるとともに下降時の安全性が向上する。
【0095】さらに、前記上昇時の第1過速度V1と、
前記下降時の第1過速度V2と、前記下降時の第2過速
度V3は、V3>V1>V2の関係を有しているため、
エレベータかごの上昇時と下降時とで異なった値の第1
過速度を設定できることにより第1過速度の決定の自由
度が高くなるとともに下降時の安全性が向上する。
【0096】この発明における調速装置は、調速用ロー
プと、当該調速用ロープが巻き掛けられ、この調速用ロ
ープの移動により回転する綱車と、当該綱車の回転速度
を調速する第1調速機構と、前記綱車が正転する際に当
該綱車の回転速度を調速し、綱車が逆転する際には調速
を停止する第2調速機構とを有するため、綱車が正転す
る際には第2調速機構による調速を行い、綱車が逆転す
る際には第1調速機構によって調速を行なわせることが
可能となり、綱車の回転方向に応じて異なったしきい値
での非常停止動作ができる。
【0097】また、前記綱車と前記第2調速機構は、前
記綱車の回転を伝達する伝達機構を介して接続されてお
り、当該伝達機構は前記綱車が正転する際には前記第2
調速機に前記綱車の回転を伝達し、前記綱車が逆転する
際には前記第2調速機構への前記綱車の回転の伝達を解
除するため、簡単な構造で綱車の回転方向に応じて異な
ったしきい値での非常停止動作ができる。
【0098】さらに、前記第1調速機構はフライウェイ
ト形調速機であるため、綱車のスペースを有効利用する
ことができ、他の種類の調速機を用いる場合に比べてス
ペースを小さく抑えることができる。
【0099】さらにまた、前記第2調速機構はフライボ
ール形調速機であるため、既存の調速機を活用すること
ができる。
【0100】また、前記伝達機構は、前記綱車の回転軸
と前記第2調速機の回転軸との間に連結されたクラッチ
であるため、機械的な切替により停電時等電気が使えな
い状況下でも機能させることができ、信頼性の高い調速
機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のフライボール形調速機の縦断面図であ
る。
【図2】 従来のフライウェイト形調速機の正面図であ
る。
【図3】 図2に示した従来のフライウェイト形調速機
の縦断面図である。
【図4】 実施の形態1におけるエレベータ装置の全体
構成図である。
【図5】 実施の形態1におけるエレベータ用調速機の
縦断面図である。
【図6】 実施の形態1におけるエレベータ用調速機の
正面図である。
【図7】 ラチェット機構の拡大図である。
【図8】 フライボール形調速機により第2過速度を検
出したときに動作する機構の動作図である。
【図9】 実施の形態2におけるエレベータ用調速機の
縦断面図である。
【図10】 実施の形態5におけるエレベータ用調速機
の縦断面図である。
【図11】 実施の形態5におけるエレベータ用調速機
の他の例を示す図である。
【図12】 エレベータ用調速機の他の例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 機械室、2 エレベータ用調速機、3 調速用ロー
プ、4 支持体、5 水平軸、6 綱車、8 駆動傘歯
車、9 従動傘歯車、10 フライボール形調速機、4
1 昇降路、42 調速機、43 そらせ車、44 か
ご、45 巻上ロープ、46 釣り合いおもり、47
緩衝器、48 張り車、49 非常止め装置、51 フ
ライウェイト形調速機、52 第1の鉛直軸、53 第
2の鉛直軸、54 クラッチ機構、71 ラチェット機
構、211 、410 巻上機、411 制御装置。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昇降路内を移動するエレベータかごと、 前記エレベータかごをケーブルを介して上下に移動させ
    る駆動機械装置と、 前記エレベータかごが上昇する場合と下降する場合とで
    移動速度を異ならせるように前記駆動機械装置を制御す
    る制御装置と、 前記エレベータかごの移動速度を調速する調速装置とを
    有し、 当該調速装置は、前記エレベータかごが上昇する場合の
    前記エレベータの移動速度を検出する第1調速機構と、
    前記エレベータかごが下降する場合の前記エレベータの
    移動速度を検出する第2調速機構とを有し、上記エレベ
    ータかごの移動方向に応じて上記第1調速機構又は前記
    第2調速機構の調速を無効にすることを特徴とするエレ
    ベータ装置。
  2. 【請求項2】 前記調速装置は、 上記エレベータかごと連結された調速ロープと、 当該調速ロープが巻き掛けられ、上記エレベータかごの
    上下移動に伴い正転および逆転する綱車と、 当該綱車の回転方向に応じて、前記第1調速機構又は前
    記第2の調速機構への前記綱車の回転力の伝達を開閉す
    る伝達機構とを有することを特徴とする請求項1記載の
    エレベータ装置。
  3. 【請求項3】 上記エレベータかごの非常停止動作を開
    始するためのしきい値として上昇時の第1過速度と下降
    時の第1過速度が設定され、前記上昇時の第1過速度と
    前記下降時の第1過速度とは互いに異なる値であり、 前記第1調速機構は前記上昇時の第1過速度を検出し、
    前記第2調速機構は前記下降時の第1過速度を検出する
    ことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
  4. 【請求項4】 上記エレベータかごの非常動作を開始す
    るためのしきい値として前記下降時の第1過速度よりも
    大きい値の下降時の第2過速度が設定され、前記第2調
    速機構は前記下降時の第2過速度を検出することを特徴
    とする請求項3記載のエレベータ装置。
  5. 【請求項5】 前記上昇時の第1過速度V1と、前記下
    降時の第1過速度V2と、前記下降時の第2過速度V3
    は、V1>V3>V2の関係を有していることを特徴と
    する請求項4記載のエレベータ装置。
  6. 【請求項6】 前記上昇時の第1過速度V1と、前記下
    降時の第1過速度V2と、前記下降時の第2過速度V3
    は、V3>V1>V2の関係を有していることを特徴と
    する請求項4記載のエレベータ装置。
  7. 【請求項7】 調速用ロープと、 当該調速用ロープが巻き掛けられ、この調速用ロープの
    移動により回転する綱車と、 当該綱車の回転速度を調速する第1調速機構と、 前記綱車が正転する際に当該綱車の回転速度を調速し、
    綱車が逆転する際には調速を停止する第2調速機構とを
    有することを特徴とする調速装置。
  8. 【請求項8】 前記綱車と前記第2調速機構は、前記綱
    車の回転を伝達する伝達機構を介して接続されており、
    当該伝達機構は前記綱車が正転する際には前記第2調速
    機構に前記綱車の回転を伝達し、前記綱車が逆転する際
    には前記第2調速機構への前記綱車の回転の伝達を解除
    することを特徴とする請求項7記載の調速装置。
  9. 【請求項9】 前記第1調速機構はフライウェイト形調
    速機であることを特徴とする請求項7記載の調速装置。
  10. 【請求項10】 前記第2調速機構はフライボール形調
    速機であることを特徴とする請求項7記載の調速装置。
  11. 【請求項11】 前記伝達機構は、前記綱車の回転軸と
    前記第2調速機構の回転軸との間に連結されたクラッチ
    であることを特徴とする請求項8記載の調速装置。
JP13508499A 1999-05-17 1999-05-17 調速装置 Expired - Fee Related JP4306014B2 (ja)

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