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JP2000256204A - ノコギリヤシ油組成物 - Google Patents

ノコギリヤシ油組成物

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Publication number
JP2000256204A
JP2000256204A JP11057136A JP5713699A JP2000256204A JP 2000256204 A JP2000256204 A JP 2000256204A JP 11057136 A JP11057136 A JP 11057136A JP 5713699 A JP5713699 A JP 5713699A JP 2000256204 A JP2000256204 A JP 2000256204A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
saw palmetto
dioxabicyclo
octane
palmetto oil
Prior art date
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Pending
Application number
JP11057136A
Other languages
English (en)
Inventor
Kanahe Yamashita
かなへ 山下
Yoshinobu Kiso
良信 木曽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suntory Ltd
Original Assignee
Suntory Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Suntory Ltd filed Critical Suntory Ltd
Priority to JP11057136A priority Critical patent/JP2000256204A/ja
Publication of JP2000256204A publication Critical patent/JP2000256204A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前立腺肥大抑制作用が増強された新規組成物
の提供。 【解決手段】 ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタ
ン誘導体と、ノコギリヤシ油又はノコギリヤシ油を含有
するノコギリヤシ果実の乾燥粉末とを含む組成物、例え
ば医薬組成物又は食品。ジオキサビシクロ〔3,3,
0〕オクタン誘導体の共存によりノコギリヤシ油の前立
腺肥大抑制作用が増強される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノコギリヤシ油の
前立腺肥大抑制作用を増強することを目的として配合し
たジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタン誘導体とノ
コギリヤシ油とを含有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】前立腺の肥大は前立腺内腺の加齢に伴な
う過形成であり、その原因として性ホルモンが強く関与
している。この前立腺肥大は加齢とともに進行し、これ
により排尿障害が認められる症状が前立腺肥大症と称さ
れる。これに悩む男性は、50代で約40%、60代以
上で約70%に及ぶといわれ、その症状は進行度により
3段階に分かれており、第1 期−頻尿、尿意があるのに
なかなか出ない、第2期−頻尿、尿意切迫、膀胱内に尿
が残る、及び第3 期−しばしば高度の頻尿、尿流速の低
下、残尿量の増加に伴う膀胱の拡張、に分類される。こ
れらの症状を持つ男性は、不快感若しくは苦痛を伴いな
がら日々の生活を余儀なくされる。抗男性ホルモンによ
る治療も多少有効であるが、手術的治療が必要なことも
多いとされる。
【0003】古くからネイティゴアメリカンは、強壮や
健康維持のため、ノコギリヤシの種子をすりつぶして食
していた。また、ヨーロッパでは、19世紀初頭には民
間伝承の強壮植物として珍重していた。1990年初
頭、フランスの医師シャンポールは、ノコギリヤシの果
実から得られたエキスを用いて前立腺肥大症の患者に投
与する臨床試験を行ったところ、前立腺肥大症が改善さ
れ、残尿感や頻尿等の症状が軽減することを見出した。
【0004】現在、ノコギリヤシの実からヘキサンで抽
出、あるいは液体二酸化炭素で超臨界抽出したものがノ
コギリヤシエキスあるいはノコギリヤシ油(以下、ノコ
ギリヤシ油と記す)と呼ばれ、前立腺肥大症の治療に用
いられている。その主な成分は、脂肪酸86%、β−シ
トステロール0.2%、オクタコサノール0.2%およ
びヘキサコサノール0.02%である(Bombardelli,
E. and Morazzoni, P.,Fitoterapia68巻,99頁,1
997年)。また、ノコギリヤシの果実を乾燥させ粉末
にしたものが使われることもある。
【0005】ノコギリヤシ油の前立腺肥大抑制作用のメ
カニズムは、ジヒドロテストステロンの生成に関与して
いる5−α−リダクターゼの活性を阻害し、ジヒドロテ
ストステロンの生成を抑制することによると考えられて
おり、その有効成分としてオクタコサノールやβ−シト
ステロール等の脂溶性成分が挙げられているが、詳細は
知られていない。マウスあるいはラットを用いた実験で
は、マウスの場合には、1 日に300mgのノコギリヤ
シ油を、ラットの場合には1 日に200mgのノコギリ
ヤシ油を経口投与した場合に、ノコギリヤシ油が有意な
前立腺重量の増加抑制効果を示すことが報告されている
(Stenger, A. et.al.,Gaz.Med.de Fra
nce 89巻,2041頁,1982年)。
【0006】一方、ヒトでは、前立腺肥大症の治療効果
ありとの結果が得られているヨーロッパでのノコギリヤ
シ油の臨床試験によると、いずれの試験もノコギリヤシ
油の経口摂取量は1日320mgである(Bombardelli,
E. and Morazzoni, P., Fitoterapia68巻,99頁,
1997年)。このノコギリヤシ油はその前立腺肥大症
の症状軽減作用を持続させるためには、長期にわたり服
用しなければならない。一方、ノコギリヤシ油は生産量
が少なく、その需要がまかなえず、長期間の服用を余儀
なくされる患者にとって負担が大きい。そこで、ノコギ
リヤシ油に配合してノコギリヤシ油の前立腺肥大抑制効
果を増強させる素材の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような現状から、
ノコギリヤシ油に添加することによりノコギリヤシ油の
前立腺肥大抑制効果を増強させる効果のある添加剤を見
い出すことが強く望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく種々検討した結果、ゴマ種子中のリグナ
ン化合物であるジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタ
ン誘導体が、ノコギリヤシ油の前立腺肥大抑制効果を有
意に高めることを見出し、本発明を完成した。従って本
発明は、次の一般式(I):
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5
及びR6 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のア
ルキル基、あるいはR1 とR2 、及び/又はR4 とR5
は一緒になってメチレン基もしくはエチレン基を表し、
そしてn,m,lは0又は1を表す)で表わされるジオ
キサビシクロ〔3,3,0〕オクタン誘導体(すべての
可能な立体異性体は上述の構造定義の中に含まれる。)
と、ノコギリヤシ油、又はノコギリヤシ油を含有するノ
コギリヤシ果実の乾燥粉末とを含む組成物、特に、医薬
組成物又は食品を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】上記のとおりノコギリヤシ油の前
立腺肥大抑制作用の活性成分や作用機能の詳細は知られ
ていないが、ノコギリヤシ油を生体内で安定化させるこ
とにより、その生体内利用率を高め、その結果、ノコギ
リヤシ油の前立腺肥大抑制作用を増強させることができ
ると考えた。そこで、ノコギリヤシ油と配合して、ノコ
ギリヤシ油の前立腺肥大抑制効果を増強させる添加物を
次のような実験系により鋭意検討した。
【0012】添加物の評価実験には去勢した雄ラットを
用いた。雄ラットは去勢することで、テストステロンの
分泌が停止し、前立腺重量が著しく低下する。この去勢
した雄ラットにテストステロンを連日皮下投与すると、
前立腺重量はほぼ去勢しない偽手術群のレベルで維持さ
れる。すなわち、前立腺重量は外から投与したテストス
テロンの量によりコントロールされるようになる。投与
したテストステロンは5−α−リダクターゼの作用によ
りジヒドロテストステロンとなり、これが前立腺を刺激
し、前立腺重量を維持すると考えられている。
【0013】このとき、テストステロンと同時に、ノコ
ギリヤシ油を連日経口投与すると、ノコギリヤシ油中の
活性成分が5−α−リダクターゼを阻害することによ
り、ジヒドロテストステロンの生成が抑制される。従っ
てテストステロンのみを投与した対照群と比較すると、
ノコギリヤシ油併用投与群では前立腺重量の低下が起こ
る。そこで、テストステロンおよびノコギリヤシ油と同
時に種々の物質を摂取させた時の前立腺重量を比較する
ことにより、ノコギリヤシ油と各種物質の組み合わせに
よるノコギリヤシ油の前立腺肥大抑制作用の増強効果を
検討した。
【0014】ノコギリヤシ油単独では、テストステロン
が前立腺重量を維持する効果を3%抑制させたが、ジオ
キサビシクロ〔3,3,0〕オクタン誘導体の1種であ
るセサミンおよび/またはエピセサミンをノコギリヤシ
油と同時に摂取させることで、テストステロンの効果を
18%抑制することができた。よって前立腺肥大抑制効
果を現すために必要なノコギリヤシ油の投与量を、ジオ
キサビシクロ〔3,3,0〕オクタン誘導体を同時に摂
取することで減少させることが出来ることになる。
【0015】本発明で使用するジオキサビシクロ〔3,
3,0〕オクタン誘導体としては、セサミン、セサミノ
ール、エピセサミン、エピセサミノール、セサモリン、
2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−6−(3
−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジオ
キサビシクロ〔3,3,0〕オクタン、2,6−ビス−
(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−3,7−
ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタン、又は2−
(3,4−メチレンジオキシフェニル)−6−(3−メ
トキシ−4−ヒドロキシフェノキシ)−3,7−ジオキ
サビシクロ〔3,3,0〕オクタン等を挙げることがで
き、これらの立体異性体又はラセミ体を単独で、または
混合して使用することができる。
【0016】本発明で使用するジオキシビシクロ〔3,
3,0〕オクタン誘導体あるいはこれを主成分とする抽
出物を得る方法として次の手順で行うことができる。ま
ず、本発明で使用するジオキシビシクロ〔3,3,0〕
オクタン誘導体あるいはこれを主成分とする抽出物を胡
麻油から得るには、胡麻油とは実質的に非混和性であり
且つ本発明で使用するジオキサロビシクロ〔3,3,
0〕オクタン誘導体を抽出・溶解することができる種々
の有機溶剤を用いて抽出・濃縮することで得られる。こ
のような有機溶剤として、例えばアセトン、メチルエチ
ルケトン、ジエチルケトン、メタノール、エタノール等
を挙げることができる。
【0017】本発明で使用するジオキシビシクロ〔3,
3,0〕オクタン誘導体あるいはこれを主成分とする抽
出物を得るには、例えば胡麻油と上記の溶剤のいずれか
とを均一に混合した後、低温において静置し、遠心分離
等の常法に従って相分離を行い、溶剤画分から溶剤を蒸
発除去することにより得られる。さらに具体的には、胡
麻油を2〜10倍、好ましくは6〜8倍容量のアセトン
に溶かし、−80℃で一晩放置する。その結果油成分が
沈澱となり、濾過により得た濾液から有機溶剤を留去し
て、本発明で使用するジオキシビシクロ〔3,3,0〕
オクタン誘導体あるいはこれを主成分とする抽出物が得
られる。
【0018】あるいは、胡麻油を熱メタノール又は熱エ
タノールで混合した後、室温において静置し、溶剤画分
から溶剤を蒸発除去することにより得られる。さらに具
体的には、胡麻油を2〜10倍、好ましくは5〜7倍容
量の熱メタノール(50℃以上)又は熱エタノール(5
0℃以上)で混合し激げしく抽出する。室温に静置ある
いは遠心分離等の常法に従って相分離を行い、溶剤画分
から溶剤を留去して、本発明で使用するジオキシビシク
ロ〔3,3,0〕オクタン誘導体あるいはこれを主成分
とする抽出物が得られる。
【0019】又超臨界ガス抽出も利用できる。この抽出
物より、本発明で使用する化合物を得るためには、抽出
物をカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラ
フィー、再結晶、蒸留、液々向流分配クロマトグラフィ
ー等の常法に従って処理することにより目的とする化合
物を単離すればよい。さらに具体的には、逆相カラム
(5C18)、溶離液にメタノール/水(60:40)を
使って、上記抽出物を高速液体クロマトグラフィーで分
取し、溶媒を留去した後、得られた結晶をエタノールで
再結晶化することでセサミン、エピセサミン、セサミノ
ール、エピセサミノール等の各本発明で使用する化合物
が得られる。
【0020】用いる胡麻油は精製品でもよく、また胡麻
油の製造過程で脱色工程前のいずれの粗製品でもよくさ
らに、胡麻種子あるいは胡麻粕(脱脂胡麻種子、残油分
8〜10%)であってもよい。この場合、胡麻種子ある
いは胡麻粕を必要により破砕した後、任意の溶剤、例え
ば胡麻油からの抽出について前記した溶剤を用いて常法
により抽出することができる。抽出残渣を分離した後、
抽出液から蒸発等により溶剤を除去することにより抽出
物が得られる。
【0021】このように調製された胡麻種子抽出物、胡
麻粕抽出物あるいは粗製品の胡麻油抽出物からはセサミ
ン、エピセサミン、セサミノール、エピセサミノール以
外に、セサモリン、2−(3,4−メチレンジオキシフ
ェニル)−6−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニ
ル)−3,7−ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタ
ン、2,6−ビス−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフ
ェニル)−3,7−ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オ
クタン、又は2−(3,4−メチレンジオキシフェニ
ル)−6−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェノキ
シ)−3,7−ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタ
ンの各本発明で使用する化合物が同様の手法で得られ
る。さらに、胡麻油製造過程の副産物からも本発明で使
用する化合物を得ることができる。
【0022】なお、本発明で使用する化合物の精製法及
び抽出物を得る方法は、これに限られるものではない。
さらに、上記本発明で使用する化合物及び本発明で使用
する化合物を主成分とする抽出物は胡麻油、胡麻粕、及
び胡麻種子から得たものに限定したわけではなく、上記
本発明で使用する化合物を含む天然物をすべて使用でき
るのは明らかであり、例えば五加皮、桐木、白果樹皮、
葦 、細辛等をあげることができる。また、合成により
本発明で使用する化合物を得る方法としては、以下のも
のが挙げられる。例えば、セサミン、エピセサミンにつ
いては、Berozaらの方法〔J.Am.Chem.Soc.78, 1242(195
6)〕で合成することができる。
【0023】ノコギリヤシ(Serenoa repens、セレノア
・レペンズ)は、ソー・パルメット(Saw-palmetto)と
も呼ばれ、北アメリカ大陸南部に広く生息するヤシ科の
植物である。この植物は、サバル・セルラタム(Sabal
serrulatum)、サバル・セルラータ(Sabal serulata)
、サバリス・セルラータ(Sabalis serulata)、サバ
リス・セルラーテ(Sabalis serulatae )、セレノア・
セルラータ(Serenoa serrulata )、セレノア・セルラ
ーテ(Serenoa serrulatae)、また一般名として、サバ
ル(Sabal )、サバル・フルクタス(Sabal Fructus
)、フルクタス・セレノア(Fructus Serenoae)、サ
ージパーム(Sagepalme )、サージパーメンフルシェ
(Sagepalmenfruchte )などの名称でも知られている。
【0024】本発明において用いるノコギリヤシ油は、
ノコギリヤシの果実を乾燥し、粉末にしたものをヘキサ
ン等による有機溶媒抽出や二酸化炭素による超臨界抽出
などにより得ることができる。しかしながら、ノコギリ
ヤシ油は、必ずしも抽出分離したものでなくてもよく、
例えばノコギリヤシの実を乾燥し、粉砕したものを用い
てもよい。先に述べたジオキサビシクロ〔3,3,0〕
オクタン誘導体は、種々の比率でノコギリヤシ油に添加
することができるが、本発明の効果を発揮するために
は、ノコギリヤシ油に対して1重量%以上、さらに望ま
しくは10重量%以上であることが望ましい。
【0025】このジオキサビシクロ〔3,3,0〕オク
タン誘導体とノコギリヤシ油とを含有する組成物は、種
々の形態をとることができ、必要に応じて乳液状製剤、
カプセル剤などを調製することが出来、健康食品、機能
性食品などの食品または医薬品として提供できる。食品
または医薬品として本発明の組成物を使用する場合のノ
コギリヤシ油の使用量は、その機能を発現するために必
要な量に応じて適宜増減すれば良いが、本発明の組成物
ではその生体内でのノコギリヤシ油の利用率が改善され
ているために、これまで必要とされてきた投与量の70
〜90%程度の投与量で良い。
【0026】本発明におけるノコギリヤシ油にはその成
分として86%の脂肪酸や脂溶性のオクタコサノール、
β−シトステロール等が含まれていることから、本発明
におけるジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタン誘導
体の作用は、ノコギリヤシ油の脂溶性成分の生体内酸化
安定性を向上させたものとも考えることができる。しか
し、ノコギリヤシ油の活性成分が未だ知られておらず、
したがってその活性成分の分解や代謝のメカニズムも当
然知られていない。
【0027】それゆえ、ジオキサビシクロ〔3,3,
0〕オクタン誘導体の添加によるノコギリヤシ油の前立
腺肥大抑制作用の増強は、ノコギリヤシ油の生体内酸化
安定性の向上以外による理由であることも考えられる。
いずれにせよ、ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタ
ン誘導体はノコギリヤシ油の活性成分を生体内で安定化
することにより、その生体内利用率を高め、その結果、
前立腺肥大抑制作用を増強させていることは明らかであ
る。
【0028】
【実施例】実施例では超臨界条件で二酸化炭素を用いて
抽出されたノコギリヤシ油(indena社製)を用いた。投
与するノコギリヤシ油は前述の評価実験結果(Stenger,
A.et.al., Gaz.Med.de France89巻,2041頁,1
982年)から、上限の投与量を300mg/日とし、
用量依存性を見るために150mg/日を設定した。ま
た、ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタン誘導体と
しては、ゴマから抽出および精製されたセサミンおよび
エピセサミン混合物(組成比が約1対1;本実施例で
は、以下これをセサミンと表記する)を用いた。
【0029】参考例1.ノコギリヤシ油の効果 Wistar系雄性ラット(初体重50g)を用いた。
ラットは、1)偽手術群、2)去勢群、3)対照(ノコ
ギリヤシ油(0))群、4)ノコギリヤシ油(150)
群、5)ノコギリヤシ油(300)群の5群(各群6あ
るいは7匹)に分け、それぞれ次のような処置を施し
た。
【0030】1)偽手術群には、去勢群と同様に陰嚢を
切開したのち縫合を施した。 2)去勢群には、陰嚢を切開したのち精巣を摘除し、縫
合を施した(去勢処置)。 3)対照(ノコギリヤシ油(0))群には、去勢処置を
施した後、1日1回、テストステロン(15μg/ラッ
ト/日、皮下投与)およびオリーブ油(300mg/ラ
ット/日、強制経口投与)を連日与えた。 4)ノコギリヤシ油(150)群には、去勢処置を施し
た後、1日1回、テストステロン(15μg/ラット/
日、皮下投与)およびノコギリヤシ油(150mg/ラ
ット/日、強制経口投与)を連日与えた。 5)ノコギリヤシ油(300)群には、去勢処置を施し
た後、1日1回、テストステロン(15μg/ラット/
日、皮下投与)およびノコギリヤシ油(300mg/ラ
ット/日、強制経口投与)を連日与えた。
【0031】各群10日間飼育した後、ラットを屠殺
し、前立腺の湿重量を測定した。その結果を図1に示
す。去勢することにより前立腺重量は著しく低下した。
去勢後テストステロン(15μg/ラット/日)を連日
皮下投与することにより、前立腺重量の低下はほぼ完全
に抑制された。つまり、去勢されたラットの前立腺重量
は皮下投与したテストステロンにより維持された。
【0032】テストステロンと同時にノコギリヤシ油を
連日摂取させた群(ノコギリヤシ油(150)群および
ノコギリヤシ油(300)群)では、有意ではなかった
がノコギリヤシ油の用量に依存した前立腺重量の低下傾
向が認められたことから、ノコギリヤシ油の前立腺肥大
抑制作用が認められたものと判断した。
【0033】実施例1.セサミンによるノコギリヤシ油
の効果の増強作用 Wistar系雄性ラット(初体重50g)を用いた。
ラットは、1)去勢群、2)対照群、3)ノコギリヤシ
油群、4)ノコギリヤシ油+セサミン群の4群(各群8
匹)に分け、それぞれ次のような処置を施した。
【0034】1)去勢群には、参考例1の去勢群と同様
の去勢処置を施したのち、オリーブ油(300mg/ラ
ット/日、強制経口投与)を連日与えた。 2)対照群には、去勢処置を施した後、1日1回、テス
トステロン(15μg/ラット/日、皮下投与)および
オリーブ油(300mg/ラット/日、強制経口投与)
を連日与えた。 3)ノコギリヤシ油群には、去勢処置を施した後、1日
1回、テストステロン(15μg/ラット/日、皮下投
与)およびノコギリヤシ油(300mg/ラット/日、
強制経口投与)を連日与えた。 4)ノコギリヤシ油+セサミン群には、去勢処置を施し
た後、1日1回、テストステロン(15μg/ラット/
日、皮下投与)、ノコギリヤシ油(300mg/ラット
/日、強制経口投与)およびセサミン(20mg/ラッ
ト/日、強制経口投与)を連日与えた。
【0035】各群10日間飼育した後、ラットを屠殺
し、前立腺の湿重量を測定した。結果を図2に示す。去
勢処置後、テストステロンおよびオリーブ油を投与した
対照群と比較して、去勢後にテストステロンおよびノコ
ギリヤシ油を同時投与したノコギリヤシ油群では、有意
ではないが前立腺重量の低下が認められた(参考例1の
結果と同様)。しかし、テストステロンおよびノコギリ
ヤシ油の投与と同時にセサミンを摂取させたノコギリヤ
シ油+セサミン群では、対照群と比較して(p<0.0
1)、またノコギリヤシ油群と比較しても(p<0.0
5)有意に前立腺重量は低下していた。
【0036】本実施例で、対照群から去勢群を差し引い
た値をテストステロンの効果(100%)とすると、ノ
コギリヤシ油単独ではその3%が抑制されたに過ぎな
い。これに対して、ノコギリヤシ油+セサミン群では1
8%抑制されたことになり、セサミンを併用することに
より、ノコギリヤシ油の効果は6倍に高まっている。以
上のことから、セサミンはノコギリヤシ油の前立腺肥大
抑制作用を著しく高めることが示された。
【0037】実施例2.ノコギリヤシ油組成物の製造 小麦胚芽油 8.82Kgをタンク内で約80℃に加熱
し、実施例1で使用したセサミン及びエピセサミン混合
物0.18Kgを混合、攪拌し溶解した。液温を40℃程
度に低下させた後、ノコギリヤシ油1Kgを加え、十分に
攪拌、混合したものをソフトカプセルの中味液とした。
ゼラチン12Kg、グリセリン4Kg、水8Kgを60℃に加
温し、混合溶解させ、濾過した液を55℃で保温したも
のをソフトカプセルの被包材として供給した。
【0038】ソフトカプセル製造には、ロータリー式の
ソフトカプセル製造機を用い、ソフトカプセルの中味液
量200mg/粒、被包材重量160mg/粒のソフト
カプセルを約5万粒製造した。中味液の組成は、1粒当
り、セサミン及びエピセサミン混合物:3.6mg、ノ
コギリヤシ油:20mg、小麦胚芽油:176.4mg
である。ヒトでの一日の摂取量は、患者の重症度あるい
はノコギリヤシ油の感受性を考慮して、使用量は増減す
る必要があるが、上記カプセル剤を1日に3粒から20
粒(ノコギリヤシ油60mg〜400mg相当)、好ま
しくは10粒から15粒(ノコギリヤシ油200mg〜
300mg相当)を摂取させることが望ましい。
【0039】
【発明の効果】従来の技術では、ノコギリヤシ油を前立
腺肥大症患者に継続して摂取させることにより、前立腺
肥大症の症状の改善をもたらすことができたが、そのた
めにはノコギリヤシ油を長期にわたり摂取する必要があ
る。一方、ノコギリヤシ油の生産量は限られており、患
者にとって負担が大きかった。しかし、本発明によれ
ば、ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタン誘導体を
ノコギリヤシ油に配合することによって、従来の用量よ
り10〜30%少ない量のノコギリヤシ油で前立腺肥大
抑制効果を引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、参考例1における前立腺重量に対する
ノコギリヤシ油の効果を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例1における前立腺重量に対する
ノコギリヤシ油およびノコギリヤシ油とセサミン混合物
の効果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07D 493/04 101 C07D 493/04 101C Fターム(参考) 4B018 LE02 MD07 ME14 MF01 4C071 AA01 BB01 CC12 EE05 FF15 GG01 JJ01 JJ06 KK17 LL01 4C086 AA01 AA02 BA03 BA13 MA01 MA02 MA04 MA37 MA52 NA05 ZA81 4C088 AB12 AB83 AC04 BA07 BA08 BA37 CA03 MA37 MA52 NA05 ZA81

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(I): 【化1】 (式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 、及びR6 はそ
    れぞれ独立に水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、あ
    るいはR1 とR2 、及び/又はR4 とR5 は一緒になっ
    てメチレン基もしくはエチレン基を表し、そしてn,
    m,lは0又は1を表す)で表わされるジオキサビシク
    ロ〔3,3,0〕オクタン誘導体と、ノコギリヤシ油又
    はノコギリヤシ油を含有するノコギリヤシ果実の乾燥粉
    末とを含む組成物。
  2. 【請求項2】 前記ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オ
    クタン誘導体がセサミン、セサミノール、エピセサミ
    ン、エピセサミノール、セサモリン、2−(3,4−メ
    チレンジオキシフェニル)−6−(3−メトキシ−4−
    ヒドロキシフェニル)−3,7−ジオキサビシクロ
    〔3,3,0〕オクタン、2,6−ビス−(3−メトキ
    シ−4−ヒドロキシフェニル)−3,7−ジオキサビシ
    クロ〔3,3,0〕オクタン、又は2−(3,4−メチ
    レンジオキシフェニル)−6−(3−メトキシ−4−ヒ
    ドロキシフェノキシ)−3,7−ジオキサビシクロ
    〔3,3,0〕オクタンである請求項1に記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オ
    クタン誘導体がセサミンおよび/またはエピセサミンで
    ある請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オ
    クタン誘導体が、ノコギリヤシ油の持つ前立腺肥大抑制
    作用を増強させる機能を果たしていることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 前記組成物が飲食物である、請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 前記組成物が医薬組成物である、請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
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