JP2000192202A - 高耐食・非磁性ステンレス快削鋼及びその製造方法 - Google Patents
高耐食・非磁性ステンレス快削鋼及びその製造方法Info
- Publication number
- JP2000192202A JP2000192202A JP37260498A JP37260498A JP2000192202A JP 2000192202 A JP2000192202 A JP 2000192202A JP 37260498 A JP37260498 A JP 37260498A JP 37260498 A JP37260498 A JP 37260498A JP 2000192202 A JP2000192202 A JP 2000192202A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- corrosion resistance
- steel
- machinability
- surface flaws
- sulfide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 精密機械加工部品で、特に機器内部の寿命低
減の原因となる硫化水素発生を抑制した高耐食快削鋼を
安価に提供する。 【解決手段】 重量%でC:0.02〜0.12%,Si:0.1〜1.0%,
Mn:0.3〜0.9%, S:0.15〜0.35%, P:0.015〜0.06%,Ni:8.0
〜10.0%, Cr:18.0〜21.0%, N:0.005%〜0.05% を含有
し、かつ下記(1) 式で示されるF値(%) が-6.0〜0.0%,C
r/Mn≧25, C+N:0.07〜0.13% で、残部Fe及び不可避的不
純物であり、硫化物中のMn濃度が20〜50%であることを
特徴とする耐食性,快削性及び熱間加工性に優れた非磁
性オーステナイト系ステンレス鋼。F(%)=3Cr+4.5Si+6.6
Ti-2.8Ni-1.4Mn-1.4Cu-84C-84N-23 ……(1)
減の原因となる硫化水素発生を抑制した高耐食快削鋼を
安価に提供する。 【解決手段】 重量%でC:0.02〜0.12%,Si:0.1〜1.0%,
Mn:0.3〜0.9%, S:0.15〜0.35%, P:0.015〜0.06%,Ni:8.0
〜10.0%, Cr:18.0〜21.0%, N:0.005%〜0.05% を含有
し、かつ下記(1) 式で示されるF値(%) が-6.0〜0.0%,C
r/Mn≧25, C+N:0.07〜0.13% で、残部Fe及び不可避的不
純物であり、硫化物中のMn濃度が20〜50%であることを
特徴とする耐食性,快削性及び熱間加工性に優れた非磁
性オーステナイト系ステンレス鋼。F(%)=3Cr+4.5Si+6.6
Ti-2.8Ni-1.4Mn-1.4Cu-84C-84N-23 ……(1)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器や真空機
器等用等の精密機械加工部品で、特に機器内部の機器寿
命の低減の原因となる硫化水素(アウトガス)の発生を
抑制した高耐食快削鋼及びその製造方法に関するもので
ある。
器等用等の精密機械加工部品で、特に機器内部の機器寿
命の低減の原因となる硫化水素(アウトガス)の発生を
抑制した高耐食快削鋼及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、快削性の耐食性を向上させるため
にPb,Bi,Se,Te等が使用されていた。しかし
ながら、これらの元素は環境に有害であるため、近年、
これらの有害な元素を使用しない快削鋼が求められてき
ている。
にPb,Bi,Se,Te等が使用されていた。しかし
ながら、これらの元素は環境に有害であるため、近年、
これらの有害な元素を使用しない快削鋼が求められてき
ている。
【0003】これらの有害元素を使用しない従来技術と
して、快削鋼の耐食性を向上させるためにSUS303
にTiやMoを添加し、更に快削性を向上させるために
Cuを添加することが、特開昭56−47553号公報
で提案されている。また、SUS303のMnを低減さ
せることで、耐食性を向上させることが提案されている
(日本ステンレス技報、No.16(1981),P47 )。但し、M
nを低減し過ぎることは原料を選別しなくてはならず、
コスト増となっていた。
して、快削鋼の耐食性を向上させるためにSUS303
にTiやMoを添加し、更に快削性を向上させるために
Cuを添加することが、特開昭56−47553号公報
で提案されている。また、SUS303のMnを低減さ
せることで、耐食性を向上させることが提案されている
(日本ステンレス技報、No.16(1981),P47 )。但し、M
nを低減し過ぎることは原料を選別しなくてはならず、
コスト増となっていた。
【0004】また、SUS303の快削性はC+Nが
0.12〜0.15%が良好であることが提案されてい
る(CAMP-ISIJ, Vol.9 (1996), P411 )。また、フェラ
イト系の開削鋼でもMn/Sを低減させ、Cr増とMo
添加で耐食性の向上が提案されている(電気製鋼 Vol.6
7, No.2 (1996), P75 )。しかしながら、磁性があるば
かりか、製造コストが高かった。ここで、快削性とは工
具寿命,表面性状のことをさす。
0.12〜0.15%が良好であることが提案されてい
る(CAMP-ISIJ, Vol.9 (1996), P411 )。また、フェラ
イト系の開削鋼でもMn/Sを低減させ、Cr増とMo
添加で耐食性の向上が提案されている(電気製鋼 Vol.6
7, No.2 (1996), P75 )。しかしながら、磁性があるば
かりか、製造コストが高かった。ここで、快削性とは工
具寿命,表面性状のことをさす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術では耐食性と被削性の両特性を十分に満たすことが
できないばかりか、熱間製造性が悪く、製造コストが高
かった。また、オーステナイト組織中にδフェライトが
出現し、透磁率(μ)が1.1以上となり、磁性に劣る
場合があった。そこで、本発明はこれらの課題を解決
し、耐食性と被削性の両特性を兼ね備え、且つ熱間製造
性に優れた非磁性鋼を安価に提供することを目的とす
る。
技術では耐食性と被削性の両特性を十分に満たすことが
できないばかりか、熱間製造性が悪く、製造コストが高
かった。また、オーステナイト組織中にδフェライトが
出現し、透磁率(μ)が1.1以上となり、磁性に劣る
場合があった。そこで、本発明はこれらの課題を解決
し、耐食性と被削性の両特性を兼ね備え、且つ熱間製造
性に優れた非磁性鋼を安価に提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために種々検討した結果、PやS添加のオー
ステナイト系ステンレス快削鋼において、マトリックス
の成分を限定し、かつ、磁性を表す指標(F値),Cr
/Mn,C+Nと硫化物中のMn濃度を限定し、更にT
i,Al,Mgを限定し、酸化物,硫化物,窒化物の形
態を制御することで、耐食性,被削性及び熱間加工性に
優れた非磁性快削鋼を安定して得ることを見い出した。
本発明は、この知見に基づいてなされた。
を解決するために種々検討した結果、PやS添加のオー
ステナイト系ステンレス快削鋼において、マトリックス
の成分を限定し、かつ、磁性を表す指標(F値),Cr
/Mn,C+Nと硫化物中のMn濃度を限定し、更にT
i,Al,Mgを限定し、酸化物,硫化物,窒化物の形
態を制御することで、耐食性,被削性及び熱間加工性に
優れた非磁性快削鋼を安定して得ることを見い出した。
本発明は、この知見に基づいてなされた。
【0007】すなわち本発明は、上記目的を達成するた
め、以下の構成を要旨とする、 (1) 重量%で、C :0.02〜0.12%、 S
i:0.1〜1.0%、Mn:0.3〜0.9%、
S :0.15〜0.35%、P:0.015〜0.
06%、 Ni:8.0〜10.0%、Cr:18.0
〜21.0%、 N :0.005%〜0.05%を含
有し、かつ下記(1)式で示されるF値が−6.0〜
0.0%、Cr/Mn≧25,C+N:0.07〜0.
13%であり、残部が実質的にFeおよび不可避的不純
物であり、硫化物中のMn濃度が20〜50%であるこ
とを特徴とする耐食性,快削性及び熱間加工性に優れた
非磁性オーステナイト系ステンレス鋼。 F(%)=3Cr+4.5Si+3Mo+6.6Ti−2.8Ni −1.4Mn−1.4Cu−84C−84N−23……(1)
め、以下の構成を要旨とする、 (1) 重量%で、C :0.02〜0.12%、 S
i:0.1〜1.0%、Mn:0.3〜0.9%、
S :0.15〜0.35%、P:0.015〜0.
06%、 Ni:8.0〜10.0%、Cr:18.0
〜21.0%、 N :0.005%〜0.05%を含
有し、かつ下記(1)式で示されるF値が−6.0〜
0.0%、Cr/Mn≧25,C+N:0.07〜0.
13%であり、残部が実質的にFeおよび不可避的不純
物であり、硫化物中のMn濃度が20〜50%であるこ
とを特徴とする耐食性,快削性及び熱間加工性に優れた
非磁性オーステナイト系ステンレス鋼。 F(%)=3Cr+4.5Si+3Mo+6.6Ti−2.8Ni −1.4Mn−1.4Cu−84C−84N−23……(1)
【0008】(2) 前記(1)記載の成分の鋼に、重
量%でさらに、Cu:0.5〜3.5%、 Mo:
0.3〜2.0%の1種または2種を含有することを特
徴とする上記記載の耐食性,快削性及び熱間加工性に優
れた非磁性オーステナイト系ステンレス鋼。
量%でさらに、Cu:0.5〜3.5%、 Mo:
0.3〜2.0%の1種または2種を含有することを特
徴とする上記記載の耐食性,快削性及び熱間加工性に優
れた非磁性オーステナイト系ステンレス鋼。
【0009】(3) 前記(1)または(2)記載の成
分の鋼に、重量%でさらに、Ti:0.01〜0.4%
を添加し、N :0.005〜0.02%とすること
を特徴とする上記記載の耐食性,快削性及び熱間加工性
に優れた非磁性オーステナイト系ステンレス鋼。
分の鋼に、重量%でさらに、Ti:0.01〜0.4%
を添加し、N :0.005〜0.02%とすること
を特徴とする上記記載の耐食性,快削性及び熱間加工性
に優れた非磁性オーステナイト系ステンレス鋼。
【0010】(4) 前記(1)乃至(3)のいずれか
1項に記載の成分の鋼に、重量%でさらに、Al:0.
02%以下、 Mg:0.0005〜0.0050
%の1種または2種を含有することを特徴とする上記記
載の耐食性,快削性及び熱間加工性に優れた非磁性オー
ステナイト系ステンレス鋼。
1項に記載の成分の鋼に、重量%でさらに、Al:0.
02%以下、 Mg:0.0005〜0.0050
%の1種または2種を含有することを特徴とする上記記
載の耐食性,快削性及び熱間加工性に優れた非磁性オー
ステナイト系ステンレス鋼。
【0011】(5) 前記(1)〜(4)に記載の鋼
を、1100℃から1300℃の温度範囲で1時間以上
保定加熱してから熱間加工することを特徴とする耐食
性,快削性及び熱間加工性に優れた非磁性オーステナイ
ト系ステンレス鋼の製造方法。
を、1100℃から1300℃の温度範囲で1時間以上
保定加熱してから熱間加工することを特徴とする耐食
性,快削性及び熱間加工性に優れた非磁性オーステナイ
ト系ステンレス鋼の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】先ず、本発明のマトリックスの鋼
の成分範囲について述べる。Cはマトリックスの延性を
低下し、被削時の表面性状及び寸法精度を向上させるた
め、0.02%以上に限定した。しかしながら、0.1
2%を超えて添加するとマトリックスの加工硬化を助長
し、工具寿命を劣化させるばかりか、表面疵, 耐食性を
劣化させる。そのため、上限を0.12%に限定した。
好ましくは、0.05〜0.10%である。
の成分範囲について述べる。Cはマトリックスの延性を
低下し、被削時の表面性状及び寸法精度を向上させるた
め、0.02%以上に限定した。しかしながら、0.1
2%を超えて添加するとマトリックスの加工硬化を助長
し、工具寿命を劣化させるばかりか、表面疵, 耐食性を
劣化させる。そのため、上限を0.12%に限定した。
好ましくは、0.05〜0.10%である。
【0013】Siは脱酸をするために0.1%以上添加
するが、オーステナイト系ステンレス鋼の加工硬化を助
長し、工具寿命を劣化させるため、上限を1.0%に限
定した。好ましくは、0.1〜0.5%である。
するが、オーステナイト系ステンレス鋼の加工硬化を助
長し、工具寿命を劣化させるため、上限を1.0%に限
定した。好ましくは、0.1〜0.5%である。
【0014】Mnは脱酸元素であり、熱間加工性の確保
のために0.3%以上添加するし、Mnを低減し過ぎる
と逆にコスト高となる。そのため、下限を0.3%に限
定した。しかしながら、0.9%を超えて添加すると硫
化物中のMn濃度が高くなり、耐食性(耐アウトガス特
性)を劣化させる。そのため上限を0.9%に限定し
た。好ましくは0.4〜0.7%である。
のために0.3%以上添加するし、Mnを低減し過ぎる
と逆にコスト高となる。そのため、下限を0.3%に限
定した。しかしながら、0.9%を超えて添加すると硫
化物中のMn濃度が高くなり、耐食性(耐アウトガス特
性)を劣化させる。そのため上限を0.9%に限定し
た。好ましくは0.4〜0.7%である。
【0015】Sは被削性を向上させる元素であるため、
0.15%以上添加する。しかしながら、0.35%を
超えて添加しても被削性への効果は飽和するし、熱間製
造性や耐食性が著しく劣化する。そのため、上限を0.
35%に限定した。好ましくは、0.25〜0.32%
である。
0.15%以上添加する。しかしながら、0.35%を
超えて添加しても被削性への効果は飽和するし、熱間製
造性や耐食性が著しく劣化する。そのため、上限を0.
35%に限定した。好ましくは、0.25〜0.32%
である。
【0016】Pは被削性を向上させる元素であるため、
0.015%以上添加する。しかしながら、0.06%
を超えて添加すると熱間製造性を著しく劣化させる。そ
のため、上限を0.06%に限定した。好ましくは0.
20〜0.50%である。
0.015%以上添加する。しかしながら、0.06%
を超えて添加すると熱間製造性を著しく劣化させる。そ
のため、上限を0.06%に限定した。好ましくは0.
20〜0.50%である。
【0017】Niはオーステナイトを安定化させ、透磁
率(μ)が1.1以下の非磁性を得るために8.0%以
上添加する。しかしながら、10.0%を超えて添加す
るとマトリックスの延性が向上し、被削性を劣化させる
ばかりか、熱間加工性が劣化し、表面疵が多発する。そ
のため、上限を10.0%に限定した。好ましくは8.
0〜9.5%である。
率(μ)が1.1以下の非磁性を得るために8.0%以
上添加する。しかしながら、10.0%を超えて添加す
るとマトリックスの延性が向上し、被削性を劣化させる
ばかりか、熱間加工性が劣化し、表面疵が多発する。そ
のため、上限を10.0%に限定した。好ましくは8.
0〜9.5%である。
【0018】Crはオーステナイト系ステンレス鋼の耐
食性を確保するために18.0%以上添加する。しかし
ながら、21.0%を超えて添加するとマトリックス組
織中にδフェライトが出現し、製品の透磁率(μ)が
1.1を超えるばかりか、熱間加工性が劣化し、表面疵
が多発する。そのため、上限を21.0%に限定した。
好ましくは18.5〜20.5%が好ましい。
食性を確保するために18.0%以上添加する。しかし
ながら、21.0%を超えて添加するとマトリックス組
織中にδフェライトが出現し、製品の透磁率(μ)が
1.1を超えるばかりか、熱間加工性が劣化し、表面疵
が多発する。そのため、上限を21.0%に限定した。
好ましくは18.5〜20.5%が好ましい。
【0019】Nはマトリックスの延性を低下させ、被削
時の表面性状及び寸法精度を向上させるため、Cと合わ
せて0.005%以上添加する。しかしながら、0.0
5%を超えて添加するとマトリックスの加工硬化を助長
し、工具寿命を劣化させる。そのため、上限を0.05
%に限定した。好ましくは、0.01〜0.05%であ
る。また、Tiを添加する場合は、Nを0.02%を超
えて添加すると粗大な硬質TiNが析出し、被削性を劣
化させる。そのため、Tiを添加する場合は上限を0.
02%に限定した。
時の表面性状及び寸法精度を向上させるため、Cと合わ
せて0.005%以上添加する。しかしながら、0.0
5%を超えて添加するとマトリックスの加工硬化を助長
し、工具寿命を劣化させる。そのため、上限を0.05
%に限定した。好ましくは、0.01〜0.05%であ
る。また、Tiを添加する場合は、Nを0.02%を超
えて添加すると粗大な硬質TiNが析出し、被削性を劣
化させる。そのため、Tiを添加する場合は上限を0.
02%に限定した。
【0020】Cuはマトリックスの加工硬化を抑止し、
被削性を向上させるために必要に応じて、0.5%以上
添加する。しかしながら、3.5%を超えて添加しても
その効果は飽和するし、熱間製造性を劣化させ、表面疵
が多発する。そのため、上限を3.5%に限定した。好
ましくは1.5〜3.2%である。
被削性を向上させるために必要に応じて、0.5%以上
添加する。しかしながら、3.5%を超えて添加しても
その効果は飽和するし、熱間製造性を劣化させ、表面疵
が多発する。そのため、上限を3.5%に限定した。好
ましくは1.5〜3.2%である。
【0021】Moは硫化物の加水分解を抑制し、耐食性
を向上させるために必要に応じて、0.3%以上添加す
る。しかしながら、2.0%を超えて添加すると、その
効果は飽和するし、マトリックス組織中にδフェライト
が出現し、製品の透磁率(μ)が1.1を超える。ま
た、熱関加工性が劣化し、表面疵が多発する。そのた
め、上限を2.0%に限定した。好ましくは、0.5〜
1.0%である。
を向上させるために必要に応じて、0.3%以上添加す
る。しかしながら、2.0%を超えて添加すると、その
効果は飽和するし、マトリックス組織中にδフェライト
が出現し、製品の透磁率(μ)が1.1を超える。ま
た、熱関加工性が劣化し、表面疵が多発する。そのた
め、上限を2.0%に限定した。好ましくは、0.5〜
1.0%である。
【0022】Tiは硫化物の加水分解を抑制し、耐食性
を向上させるために必要に応じて、0.03%以上添加
する。しかしながら、0.4%を超えて添加するとその
効果は飽和するし、表面疵,被削性も劣化する。そのた
め、上限を0.4%に限定した。好ましくは0.05%
〜0.2%である。
を向上させるために必要に応じて、0.03%以上添加
する。しかしながら、0.4%を超えて添加するとその
効果は飽和するし、表面疵,被削性も劣化する。そのた
め、上限を0.4%に限定した。好ましくは0.05%
〜0.2%である。
【0023】Al,Mgは、Ti添加材ではTiNを微
細にし被削性を向上させるため、必要に応じて、Alは
0.02%以下,Mgは0.0005以上添加する。し
かしながら、Alが0.02%超、Mgが0.0050
%超になると粗大酸化物が生成し、逆に被削性が劣化す
る。そのため、上限をAlは0.02%、Mgは0.0
050%に限定した。好ましくは、Alは0.01%以
下,Mgは0.0005〜0.0030%である。
細にし被削性を向上させるため、必要に応じて、Alは
0.02%以下,Mgは0.0005以上添加する。し
かしながら、Alが0.02%超、Mgが0.0050
%超になると粗大酸化物が生成し、逆に被削性が劣化す
る。そのため、上限をAlは0.02%、Mgは0.0
050%に限定した。好ましくは、Alは0.01%以
下,Mgは0.0005〜0.0030%である。
【0024】C+Nはマトリックスの延性を低下し、被
削時の表面性状及び寸法精度(寸法公差)を向上させる
ため、0.07%以上に限定した。しかしながら、0.
13%を超えて添加するとマトリックスの加工硬化を助
長し、工具寿命が劣化する。そのため、上限を0.13
%に限定した。好ましくは、0.09〜0.12%であ
る。
削時の表面性状及び寸法精度(寸法公差)を向上させる
ため、0.07%以上に限定した。しかしながら、0.
13%を超えて添加するとマトリックスの加工硬化を助
長し、工具寿命が劣化する。そのため、上限を0.13
%に限定した。好ましくは、0.09〜0.12%であ
る。
【0025】F値は、熱間圧延−溶体化処理後の製品の
磁性に及ぼす元素の影響を調べたもので、C,Si,M
n,Ni,Cr,Mo,Cu,Ti,Nが影響を及ぼ
す。図1にF値と磁性の関係を示す。F値が0超である
と製品の透磁率が1.1以上となり、非磁性としての特
性が劣化する。そのためF値の上限を0%に限定した。
しかしながら、―6.0%以下では熱間製造性が劣化
し、安価に製造することが困難となる。そのため、下限
を−6.0に限定した。好ましくは−5.0〜−1.0
の範囲である。
磁性に及ぼす元素の影響を調べたもので、C,Si,M
n,Ni,Cr,Mo,Cu,Ti,Nが影響を及ぼ
す。図1にF値と磁性の関係を示す。F値が0超である
と製品の透磁率が1.1以上となり、非磁性としての特
性が劣化する。そのためF値の上限を0%に限定した。
しかしながら、―6.0%以下では熱間製造性が劣化
し、安価に製造することが困難となる。そのため、下限
を−6.0に限定した。好ましくは−5.0〜−1.0
の範囲である。
【0026】Cr/Mnは硫化物の加水分解を抑制し、
耐食性を向上させる。図2にCr/Mn比と孔食電位の
関係を示す。Cr/Mn比が25以下では孔食電位が1
50mV未満になるために25以上に限定した。好ましく
は30以上である。硫化物中のMn濃度は耐食性に影響
を及ぼす。図3に硫化物中のMn濃度と孔食電位の関係
を示す。硫化物中のMn濃度が50%未満では孔食電位
が150mV未満になる。そのため、上限を50%とし
た。一方、硫化物中のMn濃度は表面疵にも影響を及ぼ
す。図4に硫化物中のMn濃度と表面疵の関係を示す。
硫化物中のMn濃度が20%以下になると熱間加工性が
劣化し、0.1μm超の表面疵が多発し、安価に製造す
ることが不可能となる。そのため、20%以上に限定し
た。好ましくは25〜40%の範囲である。
耐食性を向上させる。図2にCr/Mn比と孔食電位の
関係を示す。Cr/Mn比が25以下では孔食電位が1
50mV未満になるために25以上に限定した。好ましく
は30以上である。硫化物中のMn濃度は耐食性に影響
を及ぼす。図3に硫化物中のMn濃度と孔食電位の関係
を示す。硫化物中のMn濃度が50%未満では孔食電位
が150mV未満になる。そのため、上限を50%とし
た。一方、硫化物中のMn濃度は表面疵にも影響を及ぼ
す。図4に硫化物中のMn濃度と表面疵の関係を示す。
硫化物中のMn濃度が20%以下になると熱間加工性が
劣化し、0.1μm超の表面疵が多発し、安価に製造す
ることが不可能となる。そのため、20%以上に限定し
た。好ましくは25〜40%の範囲である。
【0027】次に熱間加工前の保定加熱条件について述
べる。本発明の範囲内にある鋼でも1100℃以上の温
度範囲で1時間以上の保定熱処理を行い、熱間加工を行
わないと硫化物中のMn濃度が20%以下になり、Sの
固定が不十分となり、熱間加工により表面疵が多発す
る。そのため、1100℃以上の温度範囲で1時間以上
の保定熱処理を行うことにした。しかしながら、130
0℃を超える温度で保定加熱すると、逆にMnSの生成
が抑制され、硫化物中のMn濃度が20%以下となり、
熱間加工により表面疵が多発する。そのため、上限を1
300℃に限定した。好ましくは1100℃から130
0℃で2時間以上の保定加熱を行うことである。
べる。本発明の範囲内にある鋼でも1100℃以上の温
度範囲で1時間以上の保定熱処理を行い、熱間加工を行
わないと硫化物中のMn濃度が20%以下になり、Sの
固定が不十分となり、熱間加工により表面疵が多発す
る。そのため、1100℃以上の温度範囲で1時間以上
の保定熱処理を行うことにした。しかしながら、130
0℃を超える温度で保定加熱すると、逆にMnSの生成
が抑制され、硫化物中のMn濃度が20%以下となり、
熱間加工により表面疵が多発する。そのため、上限を1
300℃に限定した。好ましくは1100℃から130
0℃で2時間以上の保定加熱を行うことである。
【0028】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。表
1に本発明適用鋼A〜Uと、表2に比較鋼V〜Z,AA
〜AMの成分を示す。本発明適用鋼A〜Cと比較鋼V,
Wは、0.2Si−0.6Mn−0.03P−0.3S
−9.7Ni−19Crを基本成分として、被削性,表
面疵,耐食性に影響を及ぼすC量(%),N量(%)を
変化させたものである。
1に本発明適用鋼A〜Uと、表2に比較鋼V〜Z,AA
〜AMの成分を示す。本発明適用鋼A〜Cと比較鋼V,
Wは、0.2Si−0.6Mn−0.03P−0.3S
−9.7Ni−19Crを基本成分として、被削性,表
面疵,耐食性に影響を及ぼすC量(%),N量(%)を
変化させたものである。
【0029】本発明適用鋼B,Dと比較鋼Xは、0.0
9C−0.6Mn−0.03P−0.3S−9.7Ni
−19Cr−0.03Nを基本成分として被削性に影響
を及ぼすSi量を変化させたものである。
9C−0.6Mn−0.03P−0.3S−9.7Ni
−19Cr−0.03Nを基本成分として被削性に影響
を及ぼすSi量を変化させたものである。
【0030】本発明適用鋼B,Eと比較鋼Y,Zは、
0.09C−0.2Si−0.03P−0.3S−9.
7Ni−19Cr−0.03Nを基本成分として耐食
性,表面疵に影響を及ぼすMn量を変化させたものであ
る。
0.09C−0.2Si−0.03P−0.3S−9.
7Ni−19Cr−0.03Nを基本成分として耐食
性,表面疵に影響を及ぼすMn量を変化させたものであ
る。
【0031】本発明適用鋼B,F〜Hと比較鋼AA,A
B,AC,ADは、0.09C−0.2Si−0.6M
n−9.7Ni−19Cr−0.03Nを基本成分とし
て被削性, 表面疵,耐食性に影響を及ぼすP,S量を変
化させたものである。
B,AC,ADは、0.09C−0.2Si−0.6M
n−9.7Ni−19Cr−0.03Nを基本成分とし
て被削性, 表面疵,耐食性に影響を及ぼすP,S量を変
化させたものである。
【0032】本発明適用鋼B,Iと比較鋼AE,AF
は、0.09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P
−0.3S−19Cr−0.03Nを基本成分として被
削性,表面疵に影響を及ぼすNi量を変化させたもので
ある。
は、0.09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P
−0.3S−19Cr−0.03Nを基本成分として被
削性,表面疵に影響を及ぼすNi量を変化させたもので
ある。
【0033】本発明適用鋼J,Kと比較鋼AG,AH
は、0.09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P
−0.3S−19Cr−0.03Nを基本成分として耐
食性,磁性に影響を及ぼすCr量を変化させたものであ
る。
は、0.09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P
−0.3S−19Cr−0.03Nを基本成分として耐
食性,磁性に影響を及ぼすCr量を変化させたものであ
る。
【0034】本発明適用鋼L〜Nと比較鋼AJは、0.
09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P−0.3
S−8.8Ni−19Cr−0.02Nを基本成分とし
て被削性に影響を及ぼすCu量を変化させたものであ
る。
09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P−0.3
S−8.8Ni−19Cr−0.02Nを基本成分とし
て被削性に影響を及ぼすCu量を変化させたものであ
る。
【0035】本発明適用鋼N〜Pと比較鋼AIは、0.
09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P−0.3
S−8.8Ni−19Cr−3Cu−0.02Nを基本
成分として耐食性,磁性に影響を及ぼすMo量を変化さ
せたものである。
09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P−0.3
S−8.8Ni−19Cr−3Cu−0.02Nを基本
成分として耐食性,磁性に影響を及ぼすMo量を変化さ
せたものである。
【0036】本発明適用鋼N,Q〜Sと比較鋼AKは、
0.09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P−
0.3S−8.8Ni−19Cr−3Cu−0.02N
を基本成分として表面疵,耐食性及び被削性に影響を及
ぼすTi量を変化させたものである。
0.09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P−
0.3S−8.8Ni−19Cr−3Cu−0.02N
を基本成分として表面疵,耐食性及び被削性に影響を及
ぼすTi量を変化させたものである。
【0037】本発明適用鋼T,UとAL,AMは、0.
09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P−0.3
S−8.8Ni−19Cr−3Cu−0.02Nを基本
成分として被削性に影響を及ぼすAl,Mg量を変化さ
せたものである。
09C−0.2Si−0.6Mn−0.03P−0.3
S−8.8Ni−19Cr−3Cu−0.02Nを基本
成分として被削性に影響を及ぼすAl,Mg量を変化さ
せたものである。
【0038】本発明適用鋼JとANは、0.08C−
0.2Si−0.7Mn−0.03P−0.3S−9.
7Ni−18Cr−3Cu−0.03Nを基本成分とし
て耐食性に影響を及ぼすCr/Mn量を変化させたもの
である。
0.2Si−0.7Mn−0.03P−0.3S−9.
7Ni−18Cr−3Cu−0.03Nを基本成分とし
て耐食性に影響を及ぼすCr/Mn量を変化させたもの
である。
【0039】これらの鋼は、安価に棒鋼を製造するため
に通常のステンレス線材の製造工程で、鋳片を1200
℃で2時間以上保定加熱し、その後、φ10.0mmまで
線材圧延を行い、1000℃で熱延を終了した。得られ
た熱延材を1100℃で焼鈍し、引き続き、酸洗し、引
抜き,矯直加工によりφ9.5mmの棒鋼にした。その
後、表面疵,耐食性,被削性,磁性を評価した。
に通常のステンレス線材の製造工程で、鋳片を1200
℃で2時間以上保定加熱し、その後、φ10.0mmまで
線材圧延を行い、1000℃で熱延を終了した。得られ
た熱延材を1100℃で焼鈍し、引き続き、酸洗し、引
抜き,矯直加工によりφ9.5mmの棒鋼にした。その
後、表面疵,耐食性,被削性,磁性を評価した。
【0040】表面疵は、棒鋼を横断面に埋込み、最大疵
深さを顕微鏡にて測定した。深さが100μm以上の表
面疵があると切削時のチッピング等のトラブルを引き起
こすため、本発明の疵深さは100μm以下とした。
深さを顕微鏡にて測定した。深さが100μm以上の表
面疵があると切削時のチッピング等のトラブルを引き起
こすため、本発明の疵深さは100μm以下とした。
【0041】耐食性は、孔食電位と隙間腐食により評価
した。孔食電位はJISG0577に基づき、棒鋼から
7×30×1mmの試験片を切出し、表面を#500研磨
し、30℃の3.5%NaCl溶液中に試料を浸積し、
N=3個の平均で測定した。本発明鋼の孔食電位は全て
150mV以上とした。隙間腐食は、鋼線を半割に分割
し、全面を#500研磨し、その後、2つの半割面を合
わせて35℃の1%NaCl溶液中に100時間浸積
し、浸積前後の隙間腐食減量で評価した。測定はN=3
個の平均で行った。本発明鋼の隙間腐食量は10 g/m2
以下とした。
した。孔食電位はJISG0577に基づき、棒鋼から
7×30×1mmの試験片を切出し、表面を#500研磨
し、30℃の3.5%NaCl溶液中に試料を浸積し、
N=3個の平均で測定した。本発明鋼の孔食電位は全て
150mV以上とした。隙間腐食は、鋼線を半割に分割
し、全面を#500研磨し、その後、2つの半割面を合
わせて35℃の1%NaCl溶液中に100時間浸積
し、浸積前後の隙間腐食減量で評価した。測定はN=3
個の平均で行った。本発明鋼の隙間腐食量は10 g/m2
以下とした。
【0042】切削試験は、NC旋盤で超鋼バイトを使用
し、切込み0.5mm(製品径φ8.3mm)、送り0.0
5mm,周速50m/min 、切削油無しの条件で長さがΦ
8.5×15mmの製品を300個製造し、工具の先端の
摩耗幅と寸法公差(寸法精度)にて測定した。先端の摩
耗幅は拡大鏡にて測定し、寸法交差は300個の製品の
直径をマイクロメーターにて測定した。本発明の工具の
摩耗幅は30μm以下,好ましくは20μm以下とし
た。また、寸法公差は30μm以下とした。但し、0.
1mm以上の表面疵がある場合は、工具損傷への表面疵の
影響が大きくなるので切削試験は実施できなかった。
し、切込み0.5mm(製品径φ8.3mm)、送り0.0
5mm,周速50m/min 、切削油無しの条件で長さがΦ
8.5×15mmの製品を300個製造し、工具の先端の
摩耗幅と寸法公差(寸法精度)にて測定した。先端の摩
耗幅は拡大鏡にて測定し、寸法交差は300個の製品の
直径をマイクロメーターにて測定した。本発明の工具の
摩耗幅は30μm以下,好ましくは20μm以下とし
た。また、寸法公差は30μm以下とした。但し、0.
1mm以上の表面疵がある場合は、工具損傷への表面疵の
影響が大きくなるので切削試験は実施できなかった。
【0043】磁性はフェライトメータにて測定した。本
発明の磁性は、透磁率で1.1以下とした。硫化物中の
Mn濃度EPMA分析により定量分析を行った。本発明
鋼のMn濃度は20〜50%とした。
発明の磁性は、透磁率で1.1以下とした。硫化物中の
Mn濃度EPMA分析により定量分析を行った。本発明
鋼のMn濃度は20〜50%とした。
【0044】表3に本発明適用鋼の評価結果を示す。本
発明例No.12〜14は切削性に及ぼすCuの影響を
調べたもので、Cu添加により工具寿命,寸法交差が向
上している。本発明例No.14〜16は耐食性に及ぼ
すMoの影響を調べたもので、Mo添加により耐食性が
向上している。本発明例No.14,17〜19は耐食
性に及ぼすTiの影響を調べたもので、Ti添加により
耐食性が向上している。本発明例No.18,20,2
1は切削性に及ぼすAl,Mg添加の影響を調べたもの
で、Al,Mgの適用添加により切削性が向上してい
る。
発明例No.12〜14は切削性に及ぼすCuの影響を
調べたもので、Cu添加により工具寿命,寸法交差が向
上している。本発明例No.14〜16は耐食性に及ぼ
すMoの影響を調べたもので、Mo添加により耐食性が
向上している。本発明例No.14,17〜19は耐食
性に及ぼすTiの影響を調べたもので、Ti添加により
耐食性が向上している。本発明例No.18,20,2
1は切削性に及ぼすAl,Mg添加の影響を調べたもの
で、Al,Mgの適用添加により切削性が向上してい
る。
【0045】表4に比較鋼の評価結果を示す。比較例N
o.22はC量が高く、F値がー6未満であるため、表
面疵,耐食性に劣っていた。但し、表面疵のため切削試
験は実施できなかった。比較例No.23はN量が高
く、切削性(工具摩耗,寸法公差)に劣っていた。比較
例No.24はSi量が高く、切削性(工具摩耗,寸法
公差)に劣っていた。比較例No.25はMn量が低
く、硫化物中のMn濃度が20%未満であるため、熱間
加工性が悪く、表面疵に劣っていた。表面疵のため切削
試験は実施できなかった。
o.22はC量が高く、F値がー6未満であるため、表
面疵,耐食性に劣っていた。但し、表面疵のため切削試
験は実施できなかった。比較例No.23はN量が高
く、切削性(工具摩耗,寸法公差)に劣っていた。比較
例No.24はSi量が高く、切削性(工具摩耗,寸法
公差)に劣っていた。比較例No.25はMn量が低
く、硫化物中のMn濃度が20%未満であるため、熱間
加工性が悪く、表面疵に劣っていた。表面疵のため切削
試験は実施できなかった。
【0046】比較例No.26はMn量が高く、Cr/
Mnが25未満で、硫化物中のMn濃度が50%以上で
あるため、耐食性に劣る。比較例No.27はP量が低
く、切削性(工具摩耗,寸法公差)に劣っていた。比較
例No.28はP量が高く、熱間加工性が悪く、表面疵
に劣っていた。但し、表面疵のため切削試験は実施でき
なかった。比較例No.29はS量が低く、切削性(工
具摩耗,寸法公差)に劣っていた。比較例No.30は
S量が高く、表面疵,耐食性に劣っていた。但し、表面
疵のため、切削試験は実施できなかった。
Mnが25未満で、硫化物中のMn濃度が50%以上で
あるため、耐食性に劣る。比較例No.27はP量が低
く、切削性(工具摩耗,寸法公差)に劣っていた。比較
例No.28はP量が高く、熱間加工性が悪く、表面疵
に劣っていた。但し、表面疵のため切削試験は実施でき
なかった。比較例No.29はS量が低く、切削性(工
具摩耗,寸法公差)に劣っていた。比較例No.30は
S量が高く、表面疵,耐食性に劣っていた。但し、表面
疵のため、切削試験は実施できなかった。
【0047】比較例No.31はNi量が低く、加工硬
化が大きいため、切削性に劣っていた。比較例No.3
2はNi量が高く、熱間加工性が悪いため、表面疵に劣
っていた。但し、表面疵のため切削試験は実施できなか
った。比較例No.33はCr量が低く、耐食性に劣っ
ていた。比較例No.34はCr量が高く、δフェライ
ト組織の出現により熱間加工性が悪く、表面疵,磁性に
劣っていた。但し、表面疵のため切削試験は実施できな
かった。比較例No.35はMo量が高く、δフェライ
ト組織の出現により熱間加工性が悪く、表面疵,磁性に
劣っていた。但し、表面疵のため切削試験は実施できな
かった。
化が大きいため、切削性に劣っていた。比較例No.3
2はNi量が高く、熱間加工性が悪いため、表面疵に劣
っていた。但し、表面疵のため切削試験は実施できなか
った。比較例No.33はCr量が低く、耐食性に劣っ
ていた。比較例No.34はCr量が高く、δフェライ
ト組織の出現により熱間加工性が悪く、表面疵,磁性に
劣っていた。但し、表面疵のため切削試験は実施できな
かった。比較例No.35はMo量が高く、δフェライ
ト組織の出現により熱間加工性が悪く、表面疵,磁性に
劣っていた。但し、表面疵のため切削試験は実施できな
かった。
【0048】比較例No.36はCu量が高く、熱間加
工性が悪く、表面疵に劣っていた。但し、表面疵のため
切削試験は実施できなかった。比較例No.37はTi
量が高く、表面疵に劣っていた。但し、表面疵のため切
削試験は実施できなかった。比較例No.38はAl量
が高く、切削性に劣っていた。比較例No.39はMg
量が高く、切削性に劣っていた。比較例No.40はC
r/Mn量が低く、硫化物中のMn濃度が高く、耐食性
に劣っていた。
工性が悪く、表面疵に劣っていた。但し、表面疵のため
切削試験は実施できなかった。比較例No.37はTi
量が高く、表面疵に劣っていた。但し、表面疵のため切
削試験は実施できなかった。比較例No.38はAl量
が高く、切削性に劣っていた。比較例No.39はMg
量が高く、切削性に劣っていた。比較例No.40はC
r/Mn量が低く、硫化物中のMn濃度が高く、耐食性
に劣っていた。
【0049】次に熱間加工前の鋳片の保定加熱条件を変
化した時の実施例について述べる。本発明適用鋼Eを用
い、前述と同じように通常のステンレス線材の製造工程
で、鋳片を様々な条件で保定加熱し、その後、φ10.
0mmまで線材圧延を行い、1000℃で熱延を終了し
た。得られた熱延材を1100℃で焼鈍し、引き続き、
酸洗し、引抜き,矯直加工によりφ9.5mmの棒鋼にし
た。その後、表面疵,耐食性,被削性,磁性を評価し、
保定加熱条件の影響を調べた。
化した時の実施例について述べる。本発明適用鋼Eを用
い、前述と同じように通常のステンレス線材の製造工程
で、鋳片を様々な条件で保定加熱し、その後、φ10.
0mmまで線材圧延を行い、1000℃で熱延を終了し
た。得られた熱延材を1100℃で焼鈍し、引き続き、
酸洗し、引抜き,矯直加工によりφ9.5mmの棒鋼にし
た。その後、表面疵,耐食性,被削性,磁性を評価し、
保定加熱条件の影響を調べた。
【0050】表5に、保定加熱条件を変化させた時の調
査結果を示す。本発明例は1100から1300℃で1
時間以上保定加熱処理を行っており、表面疵,耐食性,
快削性,磁性共に優れていた。
査結果を示す。本発明例は1100から1300℃で1
時間以上保定加熱処理を行っており、表面疵,耐食性,
快削性,磁性共に優れていた。
【0051】一方、比較例No.43は保定加熱時間が
短く、硫化物中のMn濃度が低く、表面疵,磁性に劣っ
ていた。但し、表面疵のため切削試験は実施できなかっ
た。比較例No.44は保定加熱温度が低く、硫化物中
のMn濃度が低く、表面疵,磁性に劣っていた。但し、
表面疵のため切削試験は実施できなかった。比較例N
o.45は保定加熱温度が高く、硫化物中のMn濃度が
低く、表面疵,磁性に劣っていた。但し、表面疵のため
切削試験は実施できなかった。以上の実施例から分かる
ように、本発明鋼の優位性が明らかである。
短く、硫化物中のMn濃度が低く、表面疵,磁性に劣っ
ていた。但し、表面疵のため切削試験は実施できなかっ
た。比較例No.44は保定加熱温度が低く、硫化物中
のMn濃度が低く、表面疵,磁性に劣っていた。但し、
表面疵のため切削試験は実施できなかった。比較例N
o.45は保定加熱温度が高く、硫化物中のMn濃度が
低く、表面疵,磁性に劣っていた。但し、表面疵のため
切削試験は実施できなかった。以上の実施例から分かる
ように、本発明鋼の優位性が明らかである。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【発明の効果】以上の各実施例から明らかなように、本
発明により電子機器や真空機器等用の精密機械加工部品
で、特に機器内部の機器寿命の低減の原因となる硫化水
素(アウトガス)の発生を抑制した高耐食快削鋼を安価
に、且つ安定して提供することが可能であり、産業上極
めて有用である。
発明により電子機器や真空機器等用の精密機械加工部品
で、特に機器内部の機器寿命の低減の原因となる硫化水
素(アウトガス)の発生を抑制した高耐食快削鋼を安価
に、且つ安定して提供することが可能であり、産業上極
めて有用である。
【図1】F値と磁性の関係を示す図。
【図2】Cr/Mn比と孔食電位の関係を示す図。
【図3】硫化物中のMn濃度と孔食電位の関係を示す
図。
図。
【図4】硫化物中のMn濃度と表面疵の関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沖森 麻佑巳 光市大字島田3434番地 新日本製鐵株式会 社光製鐵所内 (72)発明者 村田 亘 光市大字島田3434番地 新日本製鐵株式会 社光製鐵所内 Fターム(参考) 4K032 AA00 AA01 AA04 AA05 AA13 AA14 AA15 AA16 AA19 AA20 AA21 AA24 AA26 AA27 AA29 AA31 AA35 BA02 CA02 CA03
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.02〜0.12%、 Si:0.1〜1.0%、 Mn:0.3〜0.9%、 S :0.15〜0.35%、 P :0.015〜0.06%、 Ni:8.0〜10.0%、 Cr:18.0〜21.0%、 N :0.005〜0.05% を含有し、かつ下記(1)式で示されるF値(%)が−
6.0〜0.0%、 Cr/Mn≧25、 C+N:0.07〜0.13% であり、残部が実質的にFe及び不可避的不純物であっ
て、硫化物中のMn濃度が20〜50%であることを特
徴とする耐食性,快削性及び熱間加工性に優れた非磁性
オーステナイト系ステンレス鋼。 F(%)=3Cr+4.5Si+3Mo+6.6Ti−2.8Ni −1.4Mn−1.4Cu−84C−84N−23……(1) - 【請求項2】 請求項1記載の成分の鋼に、重量%でさ
らに、 Cu:0.5〜3.5% Mo:0.3〜2.0% の1種または2種を含有することを特徴とする耐食性,
快削性及び熱間加工性に優れた非磁性オーステナイト系
ステンレス鋼。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の成分の鋼に、
重量%でさらに、 Ti:0.03〜0.4% を添加し、 N :0.005〜0.02% とすることを特徴とする耐食性,快削性及び熱間加工性
に優れた非磁性オーステナイト系ステンレス鋼。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
成分の鋼に、重量%でさらに、 Al:0.02%以下、 Mg:0.0005〜0.0050% の1種または2種を含有することを特徴とする耐食性,
快削性及び熱間加工性に優れた非磁性オーステナイト系
ステンレス鋼。 - 【請求項5】 請求項1から4記載の鋼を、1100℃
から1300℃の温度範囲で1時間以上保定加熱してか
ら熱間加工することを特徴とする耐食性,快削性及び熱
間加工性に優れた非磁性オーステナイト系ステンレス鋼
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37260498A JP2000192202A (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | 高耐食・非磁性ステンレス快削鋼及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37260498A JP2000192202A (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | 高耐食・非磁性ステンレス快削鋼及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000192202A true JP2000192202A (ja) | 2000-07-11 |
Family
ID=18500734
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP37260498A Withdrawn JP2000192202A (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | 高耐食・非磁性ステンレス快削鋼及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000192202A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7297214B2 (en) | 1999-09-03 | 2007-11-20 | Kiyohito Ishida | Free cutting alloy |
US7381369B2 (en) | 1999-09-03 | 2008-06-03 | Kiyohito Ishida | Free cutting alloy |
JP2013104075A (ja) * | 2011-11-11 | 2013-05-30 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 複相介在物を有する快削ステンレス鋼 |
WO2019112144A1 (ko) * | 2017-12-06 | 2019-06-13 | 주식회사 포스코 | 내식성이 우수한 비자성 오스테나이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
KR20200054779A (ko) * | 2018-11-12 | 2020-05-20 | 주식회사 포스코 | 비자성 오스테나이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
JP7288131B1 (ja) | 2022-11-17 | 2023-06-06 | 日本冶金工業株式会社 | 表面性状に優れたs含有ステンレス鋼およびその製造方法 |
-
1998
- 1998-12-28 JP JP37260498A patent/JP2000192202A/ja not_active Withdrawn
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7297214B2 (en) | 1999-09-03 | 2007-11-20 | Kiyohito Ishida | Free cutting alloy |
US7381369B2 (en) | 1999-09-03 | 2008-06-03 | Kiyohito Ishida | Free cutting alloy |
JP2013104075A (ja) * | 2011-11-11 | 2013-05-30 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 複相介在物を有する快削ステンレス鋼 |
WO2019112144A1 (ko) * | 2017-12-06 | 2019-06-13 | 주식회사 포스코 | 내식성이 우수한 비자성 오스테나이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
KR20200054779A (ko) * | 2018-11-12 | 2020-05-20 | 주식회사 포스코 | 비자성 오스테나이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
KR102173302B1 (ko) * | 2018-11-12 | 2020-11-03 | 주식회사 포스코 | 비자성 오스테나이트계 스테인리스강 및 그 제조방법 |
JP7288131B1 (ja) | 2022-11-17 | 2023-06-06 | 日本冶金工業株式会社 | 表面性状に優れたs含有ステンレス鋼およびその製造方法 |
WO2024106225A1 (ja) * | 2022-11-17 | 2024-05-23 | 日本冶金工業株式会社 | 表面性状に優れたs含有ステンレス鋼およびその製造方法 |
JP2024073046A (ja) * | 2022-11-17 | 2024-05-29 | 日本冶金工業株式会社 | 表面性状に優れたs含有ステンレス鋼およびその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN109355592B (zh) | 一种无磁316l不锈钢及其生产方法 | |
CA2135035C (en) | Spring steel of high strength and high corrosion resistance | |
RU2607503C2 (ru) | Высокопрочная бесшовная стальная труба для применения в нефтяной скважине, обладающая высокой стойкостью к растрескиванию под действием напряжений в сульфидсодержащей среде | |
JP5307729B2 (ja) | 無鉛快削鋼 | |
KR20130021444A (ko) | 피삭성이 우수한 기계 구조용 강 | |
KR101612474B1 (ko) | 냉간 단조성 및 절삭성이 우수한 페라이트계 스테인리스 강선 | |
JP7226548B2 (ja) | 線材 | |
JP3405277B2 (ja) | 被削性に優れた軸受要素部品用の鋼線材、棒鋼及び鋼管 | |
JP2013104075A (ja) | 複相介在物を有する快削ステンレス鋼 | |
JP7542968B2 (ja) | 耐久性に優れた高強度・高耐食性のマルテンサイト系ステンレス鋼である鋼線及びその製造方法 | |
EP3115477B1 (en) | Age hardening non-heat treated bainitic steel | |
JP2000192202A (ja) | 高耐食・非磁性ステンレス快削鋼及びその製造方法 | |
JP4808598B2 (ja) | 裸耐発錆性に優れた耐食鋼材 | |
JP5907760B2 (ja) | マルテンサイト系快削ステンレス鋼棒線およびその製造方法 | |
JP2617029B2 (ja) | 耐食合金、熱間圧延用ロール及びその製造方法、並びに熱間圧延機 | |
JP3638828B2 (ja) | 表面仕上性に優れた高耐食快削ステンレス鋼 | |
EP3366799B1 (en) | Steel for hot forging and hot forged product | |
JP5957241B2 (ja) | フェライト系快削ステンレス鋼棒線およびその製造方法 | |
JP3703008B2 (ja) | 快削ステンレス鋼 | |
JP4221133B2 (ja) | マンガン合金鋼 | |
JP4359548B2 (ja) | Bn系快削鋼 | |
JPS6137953A (ja) | 非磁性鋼線材の製造方法 | |
WO2023105852A1 (ja) | 冷間鍛造性及び、耐水素脆化特性又は耐食性と非磁性に優れるステンレス鋼 | |
CN118318056A (zh) | 冷锻性及耐氢脆特性或耐蚀性和非磁性优异的不锈钢 | |
JP3966190B2 (ja) | 被削性、冷間加工性に優れたステンレス鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060307 |