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片付けパパ対談【特別編】モノを売れる人が共通して持っている「考え方」&「トーク」(全3記事)

売れない営業ほど、いきなり「決裁者」を狙う 「現場の担当者」を巻き込むアプローチのヒント

同じ商材なのに、売れる人と売れない人に大きな差が出るのはなぜか。『モノを売れる人が共通して持っている「考え方」&「トーク」』と題して、体型別お悩み解決のプロ/販促・販売員教育の豊岡舞子氏、営業コンサルタントの大岩俊之氏、片付けパパ(R)の大村信夫氏が語り合いました。本記事では、売れない営業がやりがちなパターンと「現場の担当者」を巻き込むアプローチのコツをお伝えします。

小売でのアプローチがBtoBにも使えるわけ

大村信夫氏(以下、大村):豊岡さんはBtoCじゃないですか。それこそBtoBと違ってファッションのお店だと、ある意味お客さんのほうから来てくれますよね。

豊岡舞子氏(以下、豊岡):はい。でもタイミングが合う、合わないというのは、BtoCの顧客商売もまさに同じなんですね。お声掛けや、その方が何を求められているかもそうですし。売るものにもよるんですけど、パッと行って買えるものなのか、それとも本当に高級商材で100万円、200万円のものを売っているかによっても違います。でも、それも小売なんですよ。同じお客さまなんですね。

今日使うものを買いに来たお客さまも、別の機会に500万円のものを買うかもしれないですし。それは別にお金持ちだからではなくて、人生において必要なものであれば買うかもしれないんです。

例えば高級商材で着物やジュエリーだとしたら、毎日お店に行く必要はないし、毎月買わないかもしれない。でも放っていたら顧客にはならないですよね(笑)。つまりアプローチし続けるタイミングがあるんです。例えば3年スパンで買うお客さまがいたとして、3年間なにもしなかったらそのお客さまは消えていきますよね。

じゃあ、どういう時に呼ぶのか。「セールがあるから呼べばいい」ということでもないですし、その方が次に何を求めているのかで呼ぶものが変わってくるんです。だからお客さまに来ていただくためのアプローチの仕方は、人それぞれ異なります。そのお客さまごとに全部違うアプローチをするので、実はBtoBにそのまま使える内容だったりします。

あの手この手で顧客を「呼ぶ」工夫

大村:確かに。長いおつき合いになっていく。ライフタイムバリューというか。

豊岡:そうなんです。必ずしもVIPのお客さまがすべてではないんです。VIPのお客さまだけを持っているお店は、新規がないとスパンの期間がずれちゃったら売れない月が出ちゃうんですね。だから必ずしもお金持ちのお客さまが顧客でいればOKということではない。常に一見さんのような新規を取り続けなきゃいけない。その両軸がないと成り立たないんです。

大村:なるほど。そうなるとBtoBも同じ感覚ですね(笑)。

大岩俊之氏(以下、大岩):なるほどね。(お客さんを)呼ぶという視点は、今、はっとしました。営業は嫌だろうがなんだろうが、勝手に電話して行くわけですよ。でもお客さんを呼んでも来ないケースはけっこうある……。呼び方が悪いと来なかったりするから、そのへんはやはり大変なんだろうなと、お聞きしていて思いました。

豊岡:そうですね。だからあの手この手で呼ぶんですよ(笑)。例えば時事問題でもいいですし、「今はこういう時期だから、こういうものが必要じゃないですか?」と売っているものとは関係ないテーマを持ち出してイベントを開いたり。とにかく呼ぶ方法が大事なんですよね。

大村:なるほどね。

豊岡:ファッションだと単純に服を売る、身につけるアイテムを売ることで新作(の売り上げ)を伸ばすことではなくて、「あなたの体形に合うスタイリングを組みますよ」「あなたの体形にどんな特徴があるのかを診断させていただきます」という診断会にしたり。

服をそのままお薦めするのではなくて、そのお客さまがどういう体形で、どういう服を選んだら一番適切かということをレクチャーするんです。つまり服の選び方をお教えするんですけど。

大村:まさに「物」を売るんじゃなくて「こと」を売るという。上質な生活を享受していただくために「よかったらこちらも、いいですよ」という順番なんでしょうね。だから「新作が出ました! 今だったら2割引きです!」ではない。

豊岡:そうなんです。

展示会に職人を呼んで直接説明…取引先にも喜ばれた売り方

大岩:営業でも、トヨタさんに直接行く営業を直販と言うんですけど、それはアポを取れる取れないは別にして勝手に行けばいいんですね。でもメーカー系は代理店というか商社に卸すことがけっこうあって、その場合は商社の人に営業に行ってもらわなきゃいけないんですよ。

僕は直販を経験しているから「こうやったら売れる」とわかるんですけど、商社の人の動きが悪いこともけっこうあって。商社にとって自社の製品をあまり扱いたくなかったりすると、「おまえのところなんか要らないよ」というケースもあるんですよね。

いかにそれを動かすかというので、「展示会に来て」とか「こんな勉強会をやるから来て」というような工夫はしていました。自分では動けないことのもどかしさは、メーカー営業にはありがちなんですけど。

大村:なるほど。そこはBtoBだからでしょうね。

大岩:大手の会社に勤めちゃうと、そうなっちゃいます。

豊岡:卸の会社さんもありますけどね。販売代理店があって製作元だったりすると「もうちょっと売り方を工夫してほしいんだけどな」という声を聞いたり。

大村:そういう代理店さんに売っていただくためには、どうするんですか?

豊岡:売るものにもよるんですけど、職人さんが展示会に来てお客さまに直接説明したり。これはすごく喜ばれるんですよね。

大村:なるほど。この方がこうやって作っているんだという。

豊岡:「この道何十年」という職人さんが、かごを編んでいて、お客さまはそこでじっくり説明を聞く。さらに「『こういうふうに作ってください』という要望も出せますよ」と言ったら、注文したくなると思いますし。

大村:まさにストーリーマーケティングというかね。それを作っている方の思いも含めて感じると、そうなるのかもしれないですよね。でも話を聞いていると、BtoBもBtoCも本質的なところはけっこう同じなんじゃないかという気がしてきましたね。

売れない営業は、いきなり「決裁者」を狙う

大村:一方で本に書いてあったと思うんですけど、BtoBだと実際の担当者じゃなくて決裁者が決めないこともあるというね。担当者はすごくいい顔をしていたけど、1年ぐらい決まらなかったり。大岩さんも本に書いていたと思うんですけど、それはどうやっていくんですかね?

大岩:BtoBである程度決裁者が分かれている場合は、担当者がまずイエスと言わなきゃいけないんですよね。営業で売れない人は、その上の人を狙いにいくんですけど、その上の人からすると直接来られても困るという。だから、まずは担当者がその人に上げることが条件になります。たぶん出版でも一緒だと思うんですけど。

編集者がOKを出さなきゃいけなくて、編集者がOKを出してから出版会議にかけるじゃないですか。それと同じ構図です。ただ持っていき方としては、その人がすぐ上に上げる人だったら任せればいいですけど、いつまで経っても上に上げない人だったらこっちがつつかなきゃいけない。

あとは(上の人を)説得しやすいように、こっちで書類を用意してあげたり。「これを上に持っていっていただければいいと思います」と部長や決裁者に持っていきやすいようにしてあげるとか。そういう工夫をせずに、ただ単にその人と商談しているだけではなかなか決まらないですよね。

豊岡:まさに! 結局私が今、やっている仕事は全部BtoBなんですよね。BtoCの小売をずっとやってきて、独立してからはずっとBtoBなんです。

大村:そうか。なるほど。

豊岡:一番最初に「こういう仕事をやろう」とやり始めた時には、先に決裁者に行ってしまって……決裁者は「うん」と言っているんだけど、現場が納得しなくて話が進まなかったんです。

「(上は)やると言ってくれたのに、ぜんぜん進まないな」という。けっこう大手ほどそうなりやすい。会話の中で「いいですね。ぜひやりましょう!」「ありがとうございます!」と言ったのに(笑)、「あれ、なんでずっと……?」という。

メールも出したけど、「社で1度相談をしておきます」という感じからずっと進まなくて(笑)。その後も稟議、稟議、稟議という(笑)。だから現場なんですよね。現場の人たちみんなが心からやりたいと思ってくれて初めて、「これはみんながやると言っているんだから、やれますよね」と上に持っていかないと。

大村:なるほど。ボトムアップでいったほうがいいんですね。

豊岡:そのほうが確実ですね。やはり現場のほうがお客さまに近いので、お客さまの声も見えやすい。もう絶対に現場ありきだなと思う。

大村:それは大きな気づきでしたね。だって決裁者を押さえにいったほうが早いかなと思っちゃうじゃないですか。

豊岡:そう、やったことがなかったので。今まで長い間BtoCをやってきて急にBtoBを始めたので、最初はわからなかったんですね。「どうやって取ればいいのかな?」「営業はどうやったらいいのかな?」と思っていました(笑)。

営業先で、自ら顧客になる

大岩:私は電子部品や半導体を売っていたので、もし今からどこかの会社に就職しても、かなりいい成績を上げる自信はあるんですけど。ただ「研修会社に入って研修を売ってこい」と言われたら、売れる自信はあまりないんですよ(笑)。

今、自分で研修を売っていますけど、売るものによって売り方が変わる。研修やコンサルタントは無形商材なんですね。僕が(長年)やっていたのは有形商材で。僕は理系出身だから設計者が言っていることはだいたいわかるんですよ。

でも文系の方はエンジニアに会いに行くのをすごく嫌がっていた。理系の僕には利点があったから、売れたところもあったのかなと。でも形がないものを売ることと、自分を売ることはなかなか難しいなと思います。

大村:商品の前に自分を売るということですよね。

大岩:そうですね。自分の仕事を自分で売るのは正直やりたくないというか(笑)。出版社にもよりますけど、今でも「書店に営業に行っていいですか?」と(出版社に)聞いて「いいよ」と言われたところには、自分で営業に行くんですよ。

大村:えっ、そうなんですか?

大岩:名古屋地区なんて、もう書店員さんの知り合いやお友だちでいっぱいです。もう「ういっす。ちょっとこの本を積んでくれない?」と言うと、「わかった」とバッと一面に積んでもらえたり、「ちょっと追加で発注を入れてよ」とかね(笑)。

その代わり、ぜんぜん違う時にもしょっちゅう顔を出しては本を買って……というのを続けています。

豊岡:自ら顧客になるんですね。

大岩:そうです。みんな同じように営業に行くんですけど、「POPを置いてください」と言って、そのまま帰るんですよ。そんなの、うっとうしいじゃないですか。「POPを置け」と言うだけで買わないなんて、せこいんですよ。

僕は必ず本を買ったら担当者のところに行って、「これを買っていくからね」と言うんです。わざわざ「今日、俺は(本を)買うよ」と伝えることを何十回も繰り返していると、次に行けば「大岩さん、いらっしゃい」となる。

大村:「ちょっと今回、POPを持ってきたんだけど」「あぁ、じゃあ、貼っておいてあげるよ」とね。

大岩:「新規にあったら、またちょっと積んでおくから、いつか教えて」という感じになるので、やはり買わなきゃいけないですよね。それが持ちつ持たれつのWin-Winなんだと思うんです。だから営業だけしに行くのは、書店員さんにとってはうっとうしいだけなんですよ。

大村:確かにね。いや、僕は書店営業をやったことがないんですけど、そうすればいいのか。ちょっとヒントをいただきました。

大岩:名古屋は田舎なのでね。東京は忙しいからなかなか難しいところがありますけど。

大村:なるほど。地域性もあるかもしれないですよね。

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