フューチャー株式会社(フューチャーアーキテクト株式会社)の講演で、シニアアーキテクト渋川氏とコンサルタント大岩氏が、IT業界の現状と課題についてQ&Aで答えました。IT業界における人手不足の実態や、一人前のエンジニアの定義、ITコンサルの具体的な業務内容まで、現場の生の声を届けます。また、未経験者のIT業界参入に向けたアドバイスや、長期的なキャリア構築に必要な実践的な学習方法についても詳しく解説。
IT業界の人手不足の実態
渋川よしき氏(以下、渋川):ということで発表自体は終わって、質疑応答タイムにいきたいと思っています。大岩さん、よろしくお願いします。
大岩潤矢氏(以下、大岩):はい。みなさんコメントをいっぱいありがとうございます。今からみなさんに書いていただいた質問を、こちらで渋川さんにぶつけていこうと思います。他に質問がありましたら、ぜひ、じゃんじゃん書いてください。
まずはIT業界について全般の質問がいろいろ来ています。まず人手不足の話がありました。「職種としてはIT系って人気かなと思うんですけれども、人手不足なのはどうしてなのか」というところ。渋川さん的にはどういったものが理由だと思いますか。
渋川:そうですね。やはりみんな新しいビジネスをしたいんですよね。そのためには大規模なシステムが必要で、そうすると人手が必要という。みんなスピード感を持ってビジネスをやりたいので、そのぶん人手がいくらあっても足りない状態ですね。
大岩:なるほどです。あとはそうですね。「人手不足」と言っても、できる人が少ない。できない人はけっこういるみたいな感じだったりしますかね。
渋川:ですね。やはりマネージャー経験とか、30代、40代とかで、ある程度のメンバーを動かせますよという人は、どこの会社も少ないなとは言っていますね。
大岩:なるほど。
渋川:プログラマーも、来てくれたらどんどん育てていくよみたいな感じではあるんですけど。「言われたとおりに実装しますよ」みたいな、AIで置き換えられそうな人は、もしかしたら需要がなくなっていくのかなというところはあります。うちの会社としては、まだまだほしいですけど。
大岩:ほしいですか(笑)?
渋川:はい。
大岩:みなさん、じゃあチャンスですよ。ぜひ一緒に働きましょう。
一人前のエンジニアとは?
大岩:では続きまして、「早く一人前にならなければという危機感があるんですが、そもそも一人前って何でしょうか?」という話をいただいていますが、いかがでしょうか。
渋川:そうですね。一人前もいろいろ定義があると思うんですけれども。フューチャーはけっこうシンプルというか。フューチャーのランクアップ条件とかもシンプルだと思いますね。
まずは言われたことをきちんとできますよというのがステップ1です。次に、自発的に動けます、がステップ2です。
次は、周りのちょっとジュニアなメンバーと一緒に、その人たちを指導したりしてチームで動けますよというのがステップ3。ステップ4になるとちょっと大きめなチームでも運営できたりとか。お客さまと会話して要件を詰めて、仕事の流れを作れるみたいな。そんな感じですよね。
フューチャーとかだと、ぜんぜん年功序列じゃないので、早い人だと2年目、3年目とかでも上のランクに上がることもあります。できる人はどんどん伸びていくので、一人前になるのが早い人も多くいますよ。「別にそこまで求めていないよ」で、のんびりやっている人もいたりもしますけれども。そんな感じですかね。
大岩:なるほどです。
渋川:なので大岩さんもチームのリーディングとかをするとランクが上がるので、ぜひがんばってください(笑)。
(一同笑)
大岩:そうですね。自分の経験からしても、やはり一人前というと、確かにチームを率いる経験というのは大事かなと思っていて。自分で何か物事をするというのが大事だとは思うんですけれども、それにプラスして、自分の仕事を他の人に振るという役割ができるなど、やはりマネージングすることができて、一人前になったなという感じがある気がします。
要件定義から開発まで、ITコンサルの実態
大岩:ちょっとお時間も迫っているので、ごめんなさい。この後、時間がなくて回答できなかった分については、また後日どこかで回答できればと思います。では、質問に戻っていきます。ITコンサルについての質問をちょっと先にやらせてください。「ITコンサルは要件定義など、人に関わる部分がメインで、開発に携わることが少ないと考えてますが、いかがでしょうか」。
渋川:うちの会社は途中の絵でもあったんですけれども、お客さまと話しをして要件を決めるところから、実装するところ、デプロイしたあとの運用まで、自社で全部できると言っています。開発まで全部やりますというか、要件定義では詳細設計も当然やっていたりするので。
ウォーターフォールと言いながらも内部で何回か回している感じでやっていますよね。あと小さい案件だと本当にアジャイルで、どんどんお客さまから要件を聞いて、リリースしてみたいなのを繰り返したりとか。僕も1ヶ月で「モバイルアプリがほしい」と言われて実装したこともあります。実装するチャンスもいっぱいありますね。
あとは、社内でいろいろな案件が同時並行的に動いていたりするので。インフラのひとは、この案件のインフラを構築したら次の案件のインフラ構築にうつっていきます。クラウドインフラ力を高めるにはすごくいい環境かなという気はしていますね。
大岩:なるほどです。自分も今はインフラの部分をやっていまして、お客さまのインフラのところを「Terraform」でゴリゴリに書いていたりします。やはり自分はビジネスでお客さまと課題を解決するというのをやりながらも実装するみたいなところもやっていたりします。フューチャーはさまざまなことが、フルスタックに学べるところかなと思います。
未経験からのIT業界参入
大岩:続いては、「現状未経験の人がこれから勉強を始める場合、まずは何から始めるべきでしょうか」。自分もこれを聞きたいんですけれども、今後、40年後もいろいろなものに負けないでITに携われるというところを念頭に置くと、まずは何から始めるべきかを、ぜひ渋川さんに聞いてみたいです。
渋川:そうですね。現状フューチャーも、半分ぐらいは文系とか、プログラミングを学生時代にやっていなかった人が入ってきて、新入社員研修でプログラミングを学びます。それでもすごく活躍している方はいっぱいいるので、ぜんぜん未経験だからといって、ネガティブに感じるところはないかなという気はしますね。
ただ、そのぶん、新入社員研修とかでもがんばらなきゃみたいなところはあります。そこは、どの会社に行くかとか、その会社に行くための面接をどう突破するかみたいなところではあるので、ちょっと一概に言いづらいかなという感じですね。
もし興味があれば各社に就職相談みたいな機会はあると思うので、「文系なんですけど」とか「ITじゃない理系なんですけど」みたいな感じで、「そういう先輩と話をさせてください」みたいなことを言っていけば、いろいろ教えてもらえるんじゃないでしょうか。あと大岩さんの質問は何でしたっけ? 40年間働くための?
大岩:その話に付随して、40年後も実践で戦えるためには、どういった部分をまずは固めていくべきかというのは、ちょっと気になりますね。
渋川:そうですね。ITのシステムでいうと、たぶん5年、10年勉強するとひと通りデータベースとか、アプリケーションとか、ひと通り分野は押さえられると思うんですよね。そうすると新技術が来ても、それをちょっと新しくするというのはそんなに少ない手間でやっていけるので、ひととおり、まずは食わず嫌いをしないでどんどん触っていくというのは大事かなという気はしています。
大岩:食わず嫌いで「とりあえずやってみる」というのは、自分の中でも大事かなと思います。
食わず嫌いをせずチャレンジを
大岩:では続きまして。「『他の方が泥臭くてもコツコツ貪欲にやるのが良い』という旨の話をよくしているのですが、渋川さんもそう思いますか?」という質問はいかがでしょうか。
渋川:泥臭く、それは大事かなというのは1つ思っています。今は見えていないけど本当はやらなきゃいけないものっていっぱいあって。仕事でアサインされて初めて触れてみたけど、やっておいたら良かったみたいなのはいっぱいあると思います。
ただ、10年間努力しろみたいなそういう話ではなくて。学生のうちに「なんか、そういうのをやったらいいかな」ということでは、まずは手を付けてみることですかね。それをちゃんとアウトプットが出るまでがんばるとかというところを繰り返していくのがいいかな。同じものを10年間とかは、逆にぜんぜん意味がないんじゃないかなと思います。
先ほどの食わず嫌いと同じですけれども、降ってくるチャンスというのをドンドンつかんでいくというのがいいかなと思っています。
大岩:ありがとうございます。そうですね。これが40年後もITを続ける上での一番大事なことかなと思いますので、ぜひみなさんも覚えて帰っていってください。