JPWO2011001666A1 - 非水電解質二次電池用正極及びその製造方法並びに非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
正極と負極との間にセパレータを介在させて捲回し、扁平状に成形した扁平状電極群10、電池ケース11、非水電解質等を含む非水電解質二次電池1において、正極が正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層は体積平均粒径が2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウムと架橋性官能基を有するフッ素樹脂と導電剤とを含み、正極活物質層のフッ素原子濃度が、正極活物質層の外表面から正極活物質層と正極集電体との界面に向けて減少し、界面から外表面に向けて10μmまでの範囲に架橋性官能基を有するフッ素樹脂が存在するように構成する。
Description
本発明は、非水電解質二次電池用正極及びその製造方法並びに非水電解質二次電池に関する。さらに詳しくは、本発明は、正極活物質としてオリビン型リン酸リチウムを用いる非水電解質二次電池用正極の改良に関する。
非水電解質二次電池は、高容量及び高エネルギー密度を有し、小型化及び軽量化が容易なことから、電子機器の電源として広く使用されている。また、非水電解質二次電池を電気自動車等の輸送機器の電源として用いる研究が盛んに行われ、一部実用化されつつある。代表的な非水電解質二次電池は、コバルト酸リチウムを含有する正極、黒鉛を含有する負極及びポリオレフィン製多孔質膜(セパレータ)を備える。
正極活物質として従来から用いられるコバルト酸リチウムは、コバルトが希少金属であるため、安定供給に難があり、コストも高い。また、コバルト酸リチウムは、コバルトの反応性が高いため、電池内部での過充電や短絡に伴う発熱をさらに助長する可能性がある。
コバルト酸リチウムに代わる正極活物質として、オリビン型リン酸リチウムが注目されている。オリビン型リン酸リチウムは、その原料になる金属のうちリチウム以外は地球上に豊富に存在するものが多いため、安定供給が比較的容易であり、コストも安い。また、オリビン型リン酸リチウムは、含有する金属の反応性がコバルトよりも低いため、電池内部での発熱を助長する可能性がコバルト酸リチウムよりも低い。したがって、オリビン型リン酸リチウムを含む非水電解質二次電池は、コバルト酸リチウムを含む非水電解質二次電池よりも安全性がさらに高いと考えられている。代表的なオリビン型リン酸リチウムとして、例えば、鉄リン酸リチウム等が挙げられる。
オリビン型リン酸リチウムを含む非水電解質二次電池には、充放電回数が増加すると、サイクル特性、出力特性等の電池性能が低下し易くなるという課題がある。また、この非水電解質二次電池を大量生産すると、電池性能にばらつきが生じ易い。
特許文献1は、鉄リン酸リチウムと、質量平均分子量37000〜1000000のポリフッ化ビニリデンと、を含む正極を開示している。特許文献2は、オリビン型リン酸リチウムと、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体と、を含む正極を開示している。特許文献3は、平均粒子径が500nm以下である鉄リン酸リチウムを含む正極を開示している。
しかしながら、特許文献1〜3に開示の正極を用いた場合にも、充放電回数の増加による電池性能の大幅な低下及び大量生産時の電池性能のばらつきは十分に解消されない。
また、特許文献4は、正極活物質及びフッ素樹脂を含む正極合剤スラリーを集電体に塗布し、得られた塗膜を乾燥させる際に、乾燥中の塗膜表面のフッ素濃度に応じて乾燥温度を選択することにより、乾燥後の塗膜表面のフッ素濃度を、正極合剤スラリー中のフッ素濃度の1.0〜1.5倍に制御している。特許文献5は、フッ素原子を含み、粒子表面から内部に向けてフッ素原子濃度が減少するマンガン酸リチウムを、正極活物質として用いることを開示する。
特許文献4及び5は、いずれも、オリビン型リン酸リチウム以外の正極活物質を用いている。
オリビン型リン酸リチウムとフッ素樹脂とを含む、従来の正極活物質層は、正極集電体との密着性が低い。特に、乾燥後の正極活物質層を圧延する際に、正極活物質層が正極集電体から剥離する場合がある。このため、大量生産すると電池性能がばらつくものと推測される。さらに、圧延により発生した剥離部分は、充放電回数が増加するのに伴い、周囲に拡がる。このため、正極集電体の集電性能が低下し、電池性能が大きく低下するものと推測される。特に、特許文献3のように、ナノオーダーの粒子径を有するオリビン型リン酸リチウムを用いると、正極活物質層と正極集電体との密着性が更に低下することが判明した。
これに対し、本発明者は、ナノオーダーの粒子径を有するオリビン型リン酸リチウム(以下「ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム」とすることがある)と架橋性官能基を有するフッ素樹脂(以下「架橋基含有フッ素樹脂」とすることがある)との併用について検討した。しかしながら、このような正極活物質層を備える正極を用いた場合でも、高温下での充放電により、正極活物質層と正極集電体との密着性が低下することが判明した。
本発明者は、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂とを含む正極活物質層に、前記のような不都合が生じる原因を研究した。その結果、この正極活物質層における、正極集電体と正極活物質層との界面から正極活物質層の外表面に向けて10μmまでの範囲のフッ素原子濃度が0.2質量%以下であることを見出した。このことから、この正極活物質層では、正極集電体との界面付近に架橋基含有フッ素樹脂がほとんど存在しないことを見出した。この知見に基づいて、本発明者は次のように考察した。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムのような微細な無機粒子は、他の無機粒子との密着性及び集電体との密着性が弱い。しかし、正極合剤スラリーを正極集電体表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延するという操作が実施されるので、常温下では正極集電体と正極活物質層とは見掛け上密着している。これに対し、高温下では、正極活物質層と正極集電体との界面付近に架橋基含有フッ素樹脂がほとんど存在しない上、正極活物質層が軟化するので、正極活物質層と正極集電体との密着を保つことができなくなる。その結果、正極活物質層が正極集電体から剥離し易くなり、電池性能が大きく低下するものと推測される。
本発明の目的は、ナノオーダーの粒子径を有するオリビン型リン酸リチウムを含む非水電解質二次電池用正極及びその製造方法、ならびに、この非水電解質二次電池用正極を含み、充放電回数が増加しても、優れた電池性能を有する非水電解質二次電池を提供することである。
本発明者は、前述の知見に基づいてさらに研究を重ねた。その結果、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂とを含む正極活物質層を形成する際に、正極合剤スラリーの調製方法を制御することを着想した。そして、架橋基含有フッ素樹脂を含む有機溶媒に、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの所定量を数回に分けて混合することにより得られる正極合剤スラリーを用いた場合には、フッ素原子濃度は正極活物質層外表面から正極活物質層と正極集電体との界面に向けて減少しているものの、正極集電体との界面から外表面に向けて10μmの範囲に、正極集電体と正極活物質層との密着性を保持するのに十分な量の架橋基含有フッ素樹脂が存在している正極活物質層を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の非水電解質二次電池用正極は、正極集電体と、正極集電体の表面に支持され、正極活物質としてのオリビン型リン酸リチウム、結着剤及び導電剤を含有する正極活物質層と、を備え、オリビン型リン酸リチウムが、体積平均粒径2nm〜300nmの微粒子であり、結着剤が架橋性官能基を有するフッ素樹脂を含み、正極活物質層のフッ素原子濃度が、正極活物質層の外表面から正極活物質層と正極集電体との界面に向けて減少し、前記界面から前記外表面に向けて10μmまでの範囲に架橋性官能基を有するフッ素樹脂が存在していることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池用正極の製造方法は、オリビン型リン酸リチウムを正極活物質として含む非水電解質二次電池用正極の製造方法であって、架橋性官能基を有するフッ素樹脂を含む有機溶媒に、体積平均粒径2nm〜300nmのオリビン型リン酸リチウムの所定量を複数回に分けて混合し、更に導電剤を混合して正極合剤スラリーを調製する工程と、前記工程で得られた正極合剤スラリーを正極集電体の表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延して正極活物質層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、正極と負極との間に介在するように配置されるセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質と、を備え、正極が、上記の非水電解質二次電池用正極であることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池は、サイクル特性等の電池性能に優れ、充放電回数の増加及び高温での充放電による電池性能の低下が非常に少ない。さらに、本発明の非水電解質二次電池を大量生産しても、電池性能のばらつきが少ない。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本願の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の非水電解質二次電池は、正極活物質層と正極集電体とを含む正極と、負極活物質層と負極集電体とを含む負極と、正極と負極との間に介在するように配置されるセパレータと、リチウムイオン伝導性非水電解質と、を備え、正極に特徴を有している。本発明の非水電解質二次電池では、正極以外は従来の非水電解質二次電池と同様の構成を採ることができる。
本発明の正極は、正極活物質層が次の(1)及び(2)の特徴を有している。
(1)正極活物質層は、体積平均粒径が2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂とを含有する。なお、正極活物質として、オリビン型リン酸リチウムを用いることにより、得られる非水電解質二次電池の安全性が高まる。
(1)正極活物質層は、体積平均粒径が2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂とを含有する。なお、正極活物質として、オリビン型リン酸リチウムを用いることにより、得られる非水電解質二次電池の安全性が高まる。
(2)正極活物質層は、フッ素原子濃度が、正極活物質層の厚さ方向において、正極活物質層の外表面から正極活物質層と正極集電体との界面(以下特に断らない限り単に「界面」とすることがある)に向けて減少し、前記界面から前記外表面に向けて10μmまでの範囲に、架橋基含有フッ素樹脂が存在している。フッ素原子濃度は、架橋基含有フッ素樹脂の存在割合にほぼ対応している。正極活物質層の外表面は、セパレータを介して、負極活物質層に対向している。
本発明の正極の正極活物質層では、その外表面から界面に向けてフッ素原子濃度が減少している。しかし、界面から外表面に向けて10μmまでの範囲に架橋基含有フッ素樹脂が存在しているので、界面付近のフッ素原子濃度は「0」にはならない。すなわち、架橋基含有フッ素樹脂が、正極活物質層の外表面のみに存在せず、界面付近にも存在する。
これにより、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを含むにも関わらず、正極活物質層と正極集電体との密着性が顕著に向上する。その結果、充放電回数の増加及び高温下での充放電の実施による電池性能の低下が抑制される。また、大量生産時に電池性能のばらつきが抑制され、ほぼ同等の電池性能を有する非水電解質二次電池を効率良く製造できる。
本発明の正極活物質層を形成するためには、正極合剤スラリーの調製方法を制御する必要がある。一般的な従来技術では、結着剤を含む有機溶媒に、正極活物質と導電剤との混合物を一度に添加して混合することにより、正極合剤スラリーを調製している。正極活物質としてナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを用い、結着剤として架橋基含有フッ素樹脂を用いる場合に、正極合剤スラリーを従来技術のようにして調製すると、架橋基含有フッ素樹脂が外表面のみに存在し、界面付近には存在しない正極活物質層が形成される。
これに対し、本発明では、架橋基含有フッ素樹脂を含む有機溶媒に、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを複数回に分けて混合して正極合剤スラリーを調製する。この正極合剤スラリーを用いることにより、フッ素原子濃度がその外表面から界面に向けて減少しているものの、架橋基含有フッ素樹脂が外表面のみに存在せず、界面付近にも存在する正極活物質層を形成できる。
この正極合剤スラリーを用いることにより、前記特徴を有する正極活物質層を形成できる理由は、現状では十分明らかではないが、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの正極合剤スラリー内での分散性が向上すると共に、架橋基含有フッ素樹脂の架橋性官能基とナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムとの間に、相互的な引力が作用するためであると推測される。
架橋基含有フッ素樹脂は、正極合剤スラリーに含有される溶媒の対流より、スラリー塗膜の外表面に集まる傾向がある。架橋基含有フッ素樹脂がスラリー塗膜の外表面に集まろうとする力は、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂の架橋性官能基との間に作用する相互的な引力よりも強い。しかし、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムがスラリー中で均一に分散していることから、一部の架橋基含有フッ素樹脂がその周囲に存在する多数のナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムとの間に相互的な引力を持つことにより、架橋基含有フッ素樹脂のスラリー塗膜外表面への移動が抑制される。このため、前記特徴を有する正極活物質層が形成されると推測される。
以下に、本発明の特徴について、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である非水電解質二次電池1の構成を模式的に示す斜視図である。図1では、非水電解質二次電池1の要部の構成を示すために、一部を切り欠いて示している。
図1は、本発明の第1実施形態である非水電解質二次電池1の構成を模式的に示す斜視図である。図1では、非水電解質二次電池1の要部の構成を示すために、一部を切り欠いて示している。
非水電解質二次電池1は、正極と負極との間にセパレータを介在させてこれらを捲回し、更に扁平形状に成形した扁平状電極群10と、長手方向の一端に開口を有し、扁平状電極群10や非水電解質(不図示)等をその内部に収容する角型電池ケース11と、角型電池ケース11を封口すると共に正極端子として機能する封口板14と、封口板14により支持される負極端子15と、正極集電体と封口板14とを接続する正極リード12と、負極集電体と負極端子15とを接続する負極リード13と、封口板14と負極端子15とを絶縁するガスケット16と、封口板14に形成された注液孔を、非水電解質の角型電池ケース11内への注液後に塞ぐ封栓17と、を備えている。
扁平状電極群10は、正極と負極との間にセパレータを介在させ、これらを捲回して得られる捲回型電極群を、プレス成形等により、扁平形状に成形することにより作製できる。正極、負極及びセパレータはいずれも帯状である。なお、扁平状電極群10は、正極と負極との間にセパレータを介在させた帯状の積層物を、矩形の板に捲き重ねることによっても作製できる。
正極は、正極集電体と正極活物質層とを含む。
正極集電体は帯状集電体である。正極集電体としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン等の金属材料からなる金属箔及び多孔質金属シートを使用できる。多孔質金属シートには、織布、不織布、パンチングシート等がある。正極集電体の厚さは、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
正極集電体は帯状集電体である。正極集電体としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン等の金属材料からなる金属箔及び多孔質金属シートを使用できる。多孔質金属シートには、織布、不織布、パンチングシート等がある。正極集電体の厚さは、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
正極活物質層は、本実施形態では、正極集電体の厚さ方向の両方の表面に形成されているが、それに限定されず、一方の表面のみに形成されてもよい。
正極活物質層は、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム(正極活物質)、架橋基含有フッ素樹脂(結着剤)及び導電剤を含んでいる。正極活物質層は、その外表面から界面に向けてフッ素原子濃度が減少しており、界面から外表面に向けて10μmまでの範囲に架橋基含有フッ素樹脂が存在している。正極活物質層のフッ素原子濃度は、X線マイクロアナライザー(XMA)を用いる正極活物質層の厚さ方向の断面の元素マッピングにより測定される。
正極活物質層は、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム(正極活物質)、架橋基含有フッ素樹脂(結着剤)及び導電剤を含んでいる。正極活物質層は、その外表面から界面に向けてフッ素原子濃度が減少しており、界面から外表面に向けて10μmまでの範囲に架橋基含有フッ素樹脂が存在している。正極活物質層のフッ素原子濃度は、X線マイクロアナライザー(XMA)を用いる正極活物質層の厚さ方向の断面の元素マッピングにより測定される。
正極活物質層のフッ素原子濃度は、正極活物質層の厚さ方向において、正極活物質層の外表面から界面に向けて連続的に又は段階的に減少していることが好ましい。連続的な減少とは、フッ素原子濃度が一定の勾配で減少していることである。段階的な減少とは、正極活物質層がその厚さ方向においてフッ素原子濃度の異なる複数の薄層に分かれ、界面に近付くほど前記薄層のフッ素原子濃度が減少していることである。以下において、連続的な減少及び段階的な減少を、「規則的な減少」と総称することがある。
フッ素原子濃度の規則的な減少により、架橋基含有フッ素樹脂の正極合剤スラリー塗膜内での分散性が更に高まり、正極活物質層と正極集電体との密着性が一層向上する。また、高出力時には、正極活物質層内で電圧が局所的に不均一になり易いが、この電圧の不均一性が解消されるといった利点がある。
正極活物質層のフッ素原子濃度を連続的に減少させるには、例えば、正極集電体表面に塗布された正極合剤スラリーの塗膜を乾燥させる際に、乾燥温度を所定の勾配で上昇させる方法等がある。また、正極活物質層のフッ素原子濃度を段階的に減少させるには、例えば、正極集電体表面に塗布された正極合剤スラリーの塗膜を乾燥させる際に、乾燥温度を一定時間毎に段階的に上昇させる方法等がある。
また、正極活物質層の厚さ方向において、正極活物質層の外表面から10μmまでの範囲の正極活物質層(以下「表層」とする)におけるフッ素原子濃度が、表層全量の3質量%〜9質量%であることが好ましい。即ち、表層の架橋基含有フッ素樹脂の含有割合が、フッ素原子濃度として、3質量%〜9質量%であることが好ましい。表層のフッ素原子濃度が低すぎると、表層での正極活物質を結着する力が弱まり、正極活物質が正極活物質層から離脱し、電池容量及び電池性能が低下するおそれがある。表層のフッ素原子濃度が高すぎると、相対的に界面側のフッ素原子濃度が減少する。このことは、界面側において架橋基含有フッ素樹脂の量が減少することを意味している。これにより、正極活物質層と正極集電体との密着性が低下するおそれがある。
また、正極活物質層の厚さ方向において、界面から10μmまでの範囲の正極活物質層(以下「界面層」とする)におけるフッ素原子濃度が、界面層全量の0.5質量%〜3質量%であることが好ましい。即ち、界面層の架橋基含有フッ素樹脂の含有割合が、フッ素原子濃度として、0.5質量%〜3質量%であることが好ましい。界面層のフッ素原子濃度が低すぎると、界面層における架橋基含有フッ素樹脂の量が減少し、正極活物質層と正極集電体との密着性が低下するおそれがある。界面層のフッ素原子濃度が高すぎると、相対的に表層における架橋基含有フッ素樹脂の量が減少するおそれがある。その結果、表層での結着力が弱まり、正極活物質が正極活物質層から離脱し、電池容量及び電池性能が低下するおそれがある。
正極活物質として使用するナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムは、体積平均粒径が2nm〜300nm、好ましくは10nm〜200nmである。体積平均粒径が2nm未満であるか又は300nmを超えた場合は、正極合剤スラリー中でのナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの分散性が低下することにより、架橋基含有フッ素樹脂が外表面のみに存在する正極活物質層が得られ易くなるおそれがある。
体積平均粒径は、次のようにして測定される。分散媒(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mg及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、STM社製)により超音波周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を調製する。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer2、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を算出する。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの具体例としては、式:LiXPO4(式中、XはCr、Cu、Ni、Mn、Fe、Zn及びAlよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。)で表され、体積平均粒径が2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウム、式:Li2XPO4F(式中Xは前記に同じ。)で表され、体積平均粒径が2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウム等が挙げられる。前記各式において、符号Xで示される元素の中では、Ni、Mn及びFeが好ましく、Feが特に好ましい。
符号XがFeである鉄リン酸リチウムは、例えば、安定供給性及び安全性の面で特に優れている。鉄リン酸リチウムは、リン酸鉄リチウム、リチウムリン酸鉄等と呼ばれることもある。鉄リン酸リチウムは、鉄の一部が異種金属Aで置換されていても良い。異種金属Aは鉄及びリチウム以外の金属であり、例えば、Mn、Cr、Cu、Ni、Zn、Al等が挙げられる。異種金属Aの置換割合は特に制限はないが、鉄と異種金属Aとの合計量における異種金属Aの割合が1モル%〜50モル%であることが好ましい。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、本発明の好ましい特性を損なわない範囲で、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム以外の公知の正極活物質を併用してもよい。
結着剤として用いられる架橋基含有フッ素樹脂において、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
これらの中でも、正極集電体と正極活物質層との密着性の持続性等を考慮すると、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等が好ましく、ポリフッ化ビニリデンが特に好ましい。フッ素樹脂の分子量は特に限定されないが、好ましくは質量平均分子量として20万〜150万である。
架橋基含有フッ素樹脂において、架橋性官能基としては、フッ素樹脂に含まれる水素原子やフッ素原子に置換可能な架橋性官能基を使用でき、例えば、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、シアノ基、シラノール基等が挙げられる。これらの中でも、高電圧領域での安定性等を考慮すると、カルボキシル基、水酸基、シラノール基等が好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。架橋基含有フッ素樹脂には、1種又は2種以上の架橋性官能基が置換している。
フッ素樹脂に置換する架橋性官能基の量(置換量)は特に限定されないが、好ましくはフッ素樹脂1g当たり0.1mmol〜100mmol、さらに好ましくはフッ素樹脂1g当たり0.5mmol〜10mmolである。架橋性官能基の量が少なすぎると、正極集電体と正極活物質層との密着性が不十分になるおそれがある。一方、架橋性官能基の量が多すぎると、正極活物質層中に多くの架橋部分が生成し、正極活物質層のリチウムイオン伝導性が低下するおそれがある。
架橋基含有フッ素樹脂は、例えば、架橋性官能基を有するフッ素樹脂モノマーと、架橋性官能基を有さないフッ素樹脂モノマーとを共重合させることにより合成できる。フッ素樹脂モノマーとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。また、本発明では市販の架橋基含有フッ素樹脂を使用でき、例えば、KFポリマー9210(商品名、(株)クレハ製)等が挙げられる。
架橋基含有フッ素樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。更に、本発明の好ましい特性を損なわない範囲で、架橋基含有フッ素樹脂と、従来から用いられている活物質層用結着剤と、を併用できる。
導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類等の炭素材料等が挙げられる。導電剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の正極は、例えば、正極合剤スラリーを調製する工程と、正極活物質層を形成して正極を得る工程、とを備える製造方法により作製できる。正極合剤スラリーを調製する工程では、具体的には、架橋基含有フッ素樹脂を溶解又は分散させた有機溶媒(以下「フッ素樹脂液」とする)に、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを複数回に分けて混合し、更に導電剤を混合し、正極合剤スラリーを調製する。導電剤の混合時期は特に限定されず、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの混合前、複数回の混合の間(例えば、1回目の混合と2回目の混合との間)又は混合後のいずれでもよい。また、導電剤も複数回に分けて混合してもよい。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを混合する回数は、好ましくは2回〜5回、さらに好ましくは3回〜5回である。混合回数が1回では、所望の特徴を有する正極活物質層を形成できない。また、5回を超える回数でも所望の特徴を有する正極活物質層を形成できるが、混合に要する時間が長くなり、工業的に不利である。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム及び導電剤を混合する際の、フッ素樹脂液の液温は、好ましくは20℃〜60℃程度である。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム及び導電剤を混合する際の、フッ素樹脂液の液温は、好ましくは20℃〜60℃程度である。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを複数回に分けて混合する場合、1回毎の混合量は特に限定されず、全混合量を等分してもよく、また、1回目の混合量を多くし、2回目以降の混合量を徐々に減らしてもよい。例えば、3回に分けて混合する例を挙げると、1回目に全混合量の30質量%〜50質量%を混合し、2回目は1回目よりも混合量を減らすと共に、混合量を全混合量の20質量%〜40質量%の範囲から選択し、3回目は2回目よりも混合量を減らすと共に、混合量を全混合量の5質量%〜25質量%の範囲から選択すればよい。
架橋基含有フッ素樹脂を溶解又は分散させる有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等を使用できる。
本工程で得られる正極合剤スラリーは、固形分として、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム、架橋基含有フッ素樹脂及び導電剤を含む。正極合剤スラリーにおける、これらの固形分の合計量を全固形分量とする。正極合剤スラリーにおけるナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの含有割合は、好ましくは全固形分量の80質量%〜97質量%である。架橋基含有フッ素樹脂の含有割合は、好ましくは全固形分量の2質量%〜10質量%である。導電剤の含有割合は、全固形分量からナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの含有割合及び架橋基含有フッ素樹脂の含有割合を差し引いた残部である。
正極合剤スラリーの固形分組成を前記範囲から選択し、かつナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを複数回に分けて添加することが好ましい。これにより、前記したフッ素原子濃度の減少傾向を有し、正極活物質層と正極集電体との密着性を保つのに十分な量の架橋基含有フッ素樹脂が界面付近にも存在する正極活物質層を確実に形成できる。
次の工程では、前記工程で得られた正極合剤スラリーを用い、正極集電体表面に正極活物質層を形成し、本発明の正極を作製する。具体的には、正極合剤スラリーを正極集電体の厚さ方向の一方又は両方の表面に塗布し、得られた正極合剤スラリーの塗膜を乾燥させ、圧延する。
正極合剤スラリーの正極集電体への塗布は、例えば、ディップコート、ローラコート、グラビアコート等の公知の塗布方法により実施できる。正極集電体表面に塗布された正極合剤スラリーの塗膜の乾燥は、好ましくは、60℃〜110℃の温度下に行われ、1分〜10分で終了する。乾燥温度が低すぎると、架橋基含有フッ素樹脂が外表面のみに存在する正極活物質層が得られるおそれがある。また、乾燥に長時間を要し、工業的にも不利である。乾燥温度が高すぎると、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム等の変質が起こるおそれがある。また、乾燥時間は10分を超えてもよいが、生産効率、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム等の変質等を考慮すると、10分までとするのがよい。
前記乾燥温度の範囲及び前記乾燥時間の範囲の中で、所定の温度上昇勾配又は段階的な温度上昇を設定することにより、フッ素原子濃度が連続的又は段階的に変化する正極活物質層を形成できる。
負極は、負極集電体と負極活物質層とを含む。
負極集電体は、正極集電体と同様に、帯状集電体である。負極集電体としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金等の金属材料からなる金属箔及び多孔質金属シートを使用できる。多孔質金属シートには、織布、不織布、パンチングシート等がある。負極集電体の厚さは特に限定されないが、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
負極集電体は、正極集電体と同様に、帯状集電体である。負極集電体としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金等の金属材料からなる金属箔及び多孔質金属シートを使用できる。多孔質金属シートには、織布、不織布、パンチングシート等がある。負極集電体の厚さは特に限定されないが、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
負極活物質層は、本実施形態では負極集電体の厚さ方向の両方の表面に形成されるが、それに限定されず、一方の表面に形成されてもよい。負極活物質層は負極活物質を含有し、必要に応じて結着剤、導電剤、増粘剤等を含有する。
負極活物質としては、例えば、炭素材料、合金系活物質、リチウム合金等を使用できる。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、非晶質炭素等が挙げられる。合金系活物質は、リチウムと合金化することによりリチウムイオンを吸蔵し、負極電位下でリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する物質である。合金系活物質としては、珪素系活物質、錫系活物質等が挙げられる。珪素系活物質の具体例としては、珪素、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素合金、珪素化合物等が挙げられる。錫系活物質としては、錫、錫酸化物、錫合金、錫化合物等が挙げられる。負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
結着剤としては、樹脂材料、ゴム材料等を使用できる。樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。これらは、架橋性官能基を有していないフッ素樹脂である。ゴム材料としては、スチレン−ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。結着剤は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
負極活物質層は、例えば、負極合剤スラリーを負極集電体表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延することにより形成できる。負極合剤スラリーは、例えば、負極活物質と、結着剤、導電剤、増粘剤等の任意成分と、溶媒とを混合することにより調製できる。溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒や水を使用できる。また、合金系活物質からなる負極活物質層は、例えば、真空蒸着等の気相法によっても形成できる。負極活物質層の厚さは特に限定されないが、好ましくは10μm〜200μmである。
セパレータは、正極と負極との間に介在するように配置され、正極と負極とを絶縁し、リチウムイオン透過性を有する。セパレータとしては、内部に細孔を有する多孔質シート、樹脂繊維の不織布、織布等を使用できる。多孔質シート及び樹脂繊維は樹脂材料からなる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。これらの中でも多孔質シートが好ましい。多孔質シートの細孔径は、好ましくは0.05μm〜0.15μmである。多孔質シートの厚さは、好ましくは5μm〜40μmである。
扁平状電極群10には、非水電解質が含浸される。本実施形態の非水電解質は、リチウム塩と非水溶媒とを含み、更に添加剤を含んでもよい。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類等が挙げられる。リチウム塩の濃度は特に限定されないが、非水溶媒1リットルに対して0.5モル〜2モルであることが好ましい。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類等が挙げられる。リチウム塩の濃度は特に限定されないが、非水溶媒1リットルに対して0.5モル〜2モルであることが好ましい。
非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル類、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル類等が挙げられる。非水溶媒は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
添加剤としては、ビニレンカーボネート化合物(以下「VC化合物」とする)、ベンゼン化合物等を使用できる。VC化合物としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。ベンゼン化合物としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。
本実施形態では、角型の形状を有する非水電解質二次電池1について説明している。しかしながら、本発明の非水電解質二次電池は、角型電池に限定されない。本発明の非水電解質二次電池は、捲回型電極群を含む円筒型電池、捲回型電極群、扁平状電極群又は積層型電極群を含むラミネートパック型電池、積層型電極群を含むコイン型電池等、種々の形態の電池に形成できる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
(1)正極の作製
カルボキシル基を有するポリフッ化ビニリデン(商品名:KFポリマー9210、(株)クレハ製、以下「COOH−PVDF」とする)10質量部をN−メチル−2−ピロリドン100質量部に溶解させて、フッ素樹脂液を調製した。
(実施例1)
(1)正極の作製
カルボキシル基を有するポリフッ化ビニリデン(商品名:KFポリマー9210、(株)クレハ製、以下「COOH−PVDF」とする)10質量部をN−メチル−2−ピロリドン100質量部に溶解させて、フッ素樹脂液を調製した。
双腕型練合機にて、上記で得られたフッ素樹脂液に、鉄リン酸リチウム(LiFePO4、正極活物質、体積平均粒径100nm)100質量部を4回に分けて添加して混合した。このとき、鉄リン酸リチウムの1回目の添加量を30質量部、2回目の添加量を30質量部、3回目の添加量を20質量部及び4回目の添加量を20質量部とした。1回の添加毎に十分に混合した。その後、アセチレンブラック(導電剤)2質量部を添加して混合した。こうして正極合剤スラリーを調製した。
この正極合剤スラリーを厚さ15μmの帯状アルミニウム箔(正極集電体、35mm×400mm)の両面に塗布した。帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、80℃で10分間乾燥し、正極活物質層を形成した。引き続き、正極活物質層を圧延し、正極を作製した。両面の正極活物質層と正極集電体との合計厚さは150μmであった。その後、正極を所定の寸法に裁断して、帯状の正極板を得た。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分は認められなかった。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分は認められなかった。
上記で得られた正極活物質層の断面について、X線マイクロアナライザー(以下「XMA」とする、商品名:EPMA−1610、(株)島津製作所製)によりフッ素原子濃度をライン分析した。その結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度は正極活物質層の外表面から界面に向けて減少し、界面から10μmの範囲の界面層にフッ素原子が存在することが確認された。このことから、実施例1では、COOH−PVDFは正極活物質層の外表面だけでなく、界面層にも存在していることが明らかである。
また、界面層におけるフッ素原子濃度は1質量%であり、正極活物質層の外表面から10μmまでの範囲の表層におけるフッ素原子濃度は7質量%であった。フッ素原子濃度は、濃度が異なる複数の標準試料によって求めた検量線を基に決定した。
(2)負極の作製
鱗片状の人造黒鉛を粉砕及び分級して、体積平均粒径を20μmに調整し、負極活物質とした。負極活物質100質量部と、スチレンブタジエンゴム(結着剤)1質量部と、カルボキシメチルセルロースの1質量%水溶液100質量部とを双腕型練合機で混合し、負極合剤スラリーを調製した。負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布して乾燥させた後、圧延し、負極を作製した。両面の負極活物質層と負極集電体との合計厚さは155μmであった。その後、負極を所定の寸法に裁断して、帯状の負極板を得た。
鱗片状の人造黒鉛を粉砕及び分級して、体積平均粒径を20μmに調整し、負極活物質とした。負極活物質100質量部と、スチレンブタジエンゴム(結着剤)1質量部と、カルボキシメチルセルロースの1質量%水溶液100質量部とを双腕型練合機で混合し、負極合剤スラリーを調製した。負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布して乾燥させた後、圧延し、負極を作製した。両面の負極活物質層と負極集電体との合計厚さは155μmであった。その後、負極を所定の寸法に裁断して、帯状の負極板を得た。
(3)非水電解質の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で混合した混合溶媒99質量部にビニレンカーボネート1質量部を添加して、混合溶液を得た。その後、濃度が1.0mol/LとなるようにLiPF6を混合溶液に溶解して、非水電解質を調製した。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で混合した混合溶媒99質量部にビニレンカーボネート1質量部を添加して、混合溶液を得た。その後、濃度が1.0mol/LとなるようにLiPF6を混合溶液に溶解して、非水電解質を調製した。
(4)電池の組立
上記で得られた正極板、負極板及び非水電解質を用い、次のようにして、非水電解質二次電池を作製した。
アルミニウム製正極リードの一端を正極集電体に接続した。ニッケル製負極リードの一端を負極集電体に接続した。正極板と負極板との間に厚さ16μmのポリエチレン製多孔質シート(セパレータ、商品名:ハイポア、旭化成(株)製)を介在させてこれらを捲回した。得られた捲回型電極群を25℃環境下でプレスし、扁平状電極群(以下単に「電極群」とする)を作製した。プレス圧は0.5MPaとした。
上記で得られた正極板、負極板及び非水電解質を用い、次のようにして、非水電解質二次電池を作製した。
アルミニウム製正極リードの一端を正極集電体に接続した。ニッケル製負極リードの一端を負極集電体に接続した。正極板と負極板との間に厚さ16μmのポリエチレン製多孔質シート(セパレータ、商品名:ハイポア、旭化成(株)製)を介在させてこれらを捲回した。得られた捲回型電極群を25℃環境下でプレスし、扁平状電極群(以下単に「電極群」とする)を作製した。プレス圧は0.5MPaとした。
得られた電極群を鉄製角型電池ケースに挿入した。電極群の上部には、ポリプロピレン製枠体を装着した。この枠体は、電極群とステンレス鋼製封口板とを隔離するとともに、正極リード又は負極リードと角型電池ケースとの接触を防止する。正極リードの他端を封口板の下面に接続した。負極リードの他端を負極端子に接続した。負極端子は樹脂製ガスケットを介して封口板に装着した。封口板を角型電池ケースの開口に配置して溶接した。封口板の注液孔から、所定量の非水電解質を角型電池ケース内に注液した。その後、注液口を封栓で塞ぐことにより、非水電解質二次電池を作製した。
(実施例2)
体積平均粒径3nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.5質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は9質量%であった。
体積平均粒径3nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.5質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は9質量%であった。
(実施例3)
体積平均粒径300nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は5質量%であった。
体積平均粒径300nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は5質量%であった。
(実施例4)
帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、乾燥開始温度60℃、温度上昇勾配5℃/分で20分間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて連続的に減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は6質量%であった。
帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、乾燥開始温度60℃、温度上昇勾配5℃/分で20分間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて連続的に減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は6質量%であった。
(実施例5)
帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、乾燥開始温度60℃とし、乾燥温度を2分毎に2℃上昇させて20分間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて段階的に減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は2質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は6質量%であった。
帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、乾燥開始温度60℃とし、乾燥温度を2分毎に2℃上昇させて20分間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて段階的に減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は2質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は6質量%であった。
(実施例6)
カルボキシル基の含有割合が1mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.6質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は8.5質量%であった。
カルボキシル基の含有割合が1mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.6質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は8.5質量%であった。
(実施例7)
カルボキシル基の含有割合が90mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は5質量%であった。
カルボキシル基の含有割合が90mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は5質量%であった。
(実施例8)
カルボキシル基の含有割合が120mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.5質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は9質量%であった。
カルボキシル基の含有割合が120mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.5質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は9質量%であった。
(比較例1)
鉄リン酸リチウム(LiFePO4、正極活物質、体積平均粒径100nm)とアセチレンブラックとを混合し、この混合物を1回でフッ素樹脂液に添加及び混合して正極合剤スラリーを調製する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分は認められなかった。
鉄リン酸リチウム(LiFePO4、正極活物質、体積平均粒径100nm)とアセチレンブラックとを混合し、この混合物を1回でフッ素樹脂液に添加及び混合して正極合剤スラリーを調製する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分は認められなかった。
上記で得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面でフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。このことから、比較例1の正極活物質層では、COOH−PVDFは正極活物質層表面のみに存在し、正極活物質層界面にはほとんど存在しないことが明らかである。
(比較例2)
COOH−PVDFに代えて、カルボキシル基を有しないポリフッ化ビニリデンを使用する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分が認められた。
COOH−PVDFに代えて、カルボキシル基を有しないポリフッ化ビニリデンを使用する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分が認められた。
(比較例3)
体積平均粒径0.5nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面におけるフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。界面層のフッ素原子濃度は、0.2質量%であった。
体積平均粒径0.5nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面におけるフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。界面層のフッ素原子濃度は、0.2質量%であった。
(比較例4)
体積平均粒径350nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面におけるフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。界面層のフッ素原子濃度は、0.3質量%であった。
体積平均粒径350nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面におけるフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。界面層のフッ素原子濃度は、0.3質量%であった。
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた非水電解質二次電池を、下記の評価に供した。結果を表1に示す。
[電池容量評価]
各電池について、以下の条件で充放電を3回繰返し、3回目の放電容量を求め、電池容量とした。結果を表1に示す。
定電流充電:電流200mA、終止電圧4.2V。
定電圧充電:電圧4.2V、終止電流20mA、休止時間20分。
定電流放電:電流200mA、終止電圧2.5V、休止時間20分。
各電池について、以下の条件で充放電を3回繰返し、3回目の放電容量を求め、電池容量とした。結果を表1に示す。
定電流充電:電流200mA、終止電圧4.2V。
定電圧充電:電圧4.2V、終止電流20mA、休止時間20分。
定電流放電:電流200mA、終止電圧2.5V、休止時間20分。
[サイクル寿命評価]
各電池について、20℃において、以下の条件で充放電を繰り返し、サイクル寿命を求めた。サイクル寿命は、電池の放電容量が、1サイクル目の放電容量の半分になったところのサイクル数とした。結果を表1に示す。
定電流充電:電流500mA、終止電圧4.2V。
定電圧充電:電圧4.2V、終止電流100mA。
定電流放電:電流500mA、終止電圧3V。
各電池について、20℃において、以下の条件で充放電を繰り返し、サイクル寿命を求めた。サイクル寿命は、電池の放電容量が、1サイクル目の放電容量の半分になったところのサイクル数とした。結果を表1に示す。
定電流充電:電流500mA、終止電圧4.2V。
定電圧充電:電圧4.2V、終止電流100mA。
定電流放電:電流500mA、終止電圧3V。
[高温サイクル寿命評価]
評価時の温度を20℃から45℃に変更する以外は、前記サイクル寿命評価と同様にして、評価を行い、高温サイクル寿命を求めた。高温サイクル寿命は、電池の放電容量が、1サイクル目の放電容量の半分になったところのサイクル数とした。結果を表1に示す。
評価時の温度を20℃から45℃に変更する以外は、前記サイクル寿命評価と同様にして、評価を行い、高温サイクル寿命を求めた。高温サイクル寿命は、電池の放電容量が、1サイクル目の放電容量の半分になったところのサイクル数とした。結果を表1に示す。
表1から、実施例1〜8の電池は、常温(20℃)及び高温(45℃)で充放電を繰り返しても放電容量の低下が少なく、電池性能を長期にわたって高水準で保持できることが明らかである。これは、正極集電体と正極活物質層との密着性が良好であり、高温でもその密着性が保持されたためであると考えられる。
なお、実施例8の電池は、高温サイクル寿命が実施例1〜7の電池よりも低い値を示した。これは、カルボキシル基の含有割合が120mmol/gと相対的に多いCOOH−PVDFを用いることにより、正極活物質層内で架橋部分が増加し、正極活物質層のリチウムイオン伝導性が低下したためと考えられる。
比較例1の電池は、サイクル寿命評価では実施例1の電池とほぼ同等であるが、高温サイクル寿命特性評価では実施例1の電池よりも著しく劣っていた。これは、高温下で充放電サイクルを繰り返すと、正極集電体と正極活物質層との間に剥離が発生し易くなったためと考えられる。
比較例2の電池は、サイクル寿命評価及び高温サイクル寿命評価の両方において、実施例1の電池よりも著しく劣っていた。これは、ナノオーダー系鉄リン酸リチウムと、カルボキシル基を有しないPVDFとを併用したためと考えられる。これにより、正極活物質と正極集電体との密着性が不十分になり、正極活物質層形成時に正極活物質層が正極集電体から剥離した部分が存在したためと考えられる。
比較例3及び4の電池は、ナノオーダー系鉄リン酸リチウムの体積平均粒径が小さすぎるか又は大きすぎるため、正極合剤スラリーにおけるナノオーダー系鉄リン酸リチウムの分散性が低下し、外表面のみにCOOH−PVDFが存在する正極活物質層が得られたと考えられる。これにより、高温サイクル寿命の顕著に低下したと考えられる。
本発明の非水電解質二次電池は、従来の非水電解質二次電池と同様の用途に使用でき、特に、電子機器、電気機器、工作機器、輸送機器、電力貯蔵機器等の主電源又は補助電源として有用である。電子機器には、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末、携帯用ゲーム機器等がある。電気機器には、掃除機、ビデオカメラ等がある。工作機器には、電動工具、ロボット等がある。輸送機器には、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車等がある。電力貯蔵機器には、無停電電源等がある。
本発明は、非水電解質二次電池用正極及びその製造方法並びに非水電解質二次電池に関する。さらに詳しくは、本発明は、正極活物質としてオリビン型リン酸リチウムを用いる非水電解質二次電池用正極の改良に関する。
非水電解質二次電池は、高容量及び高エネルギー密度を有し、小型化及び軽量化が容易なことから、電子機器の電源として広く使用されている。また、非水電解質二次電池を電気自動車等の輸送機器の電源として用いる研究が盛んに行われ、一部実用化されつつある。代表的な非水電解質二次電池は、コバルト酸リチウムを含有する正極、黒鉛を含有する負極及びポリオレフィン製多孔質膜(セパレータ)を備える。
正極活物質として従来から用いられるコバルト酸リチウムは、コバルトが希少金属であるため、安定供給に難があり、コストも高い。また、コバルト酸リチウムは、コバルトの反応性が高いため、電池内部での過充電や短絡に伴う発熱をさらに助長する可能性がある。
コバルト酸リチウムに代わる正極活物質として、オリビン型リン酸リチウムが注目されている。オリビン型リン酸リチウムは、その原料になる金属のうちリチウム以外は地球上に豊富に存在するものが多いため、安定供給が比較的容易であり、コストも安い。また、オリビン型リン酸リチウムは、含有する金属の反応性がコバルトよりも低いため、電池内部での発熱を助長する可能性がコバルト酸リチウムよりも低い。したがって、オリビン型リン酸リチウムを含む非水電解質二次電池は、コバルト酸リチウムを含む非水電解質二次電池よりも安全性がさらに高いと考えられている。代表的なオリビン型リン酸リチウムとして、例えば、鉄リン酸リチウム等が挙げられる。
オリビン型リン酸リチウムを含む非水電解質二次電池には、充放電回数が増加すると、サイクル特性、出力特性等の電池性能が低下し易くなるという課題がある。また、この非水電解質二次電池を大量生産すると、電池性能にばらつきが生じ易い。
特許文献1は、鉄リン酸リチウムと、質量平均分子量37000〜1000000のポリフッ化ビニリデンと、を含む正極を開示している。特許文献2は、オリビン型リン酸リチウムと、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体と、を含む正極を開示している。特許文献3は、平均粒子径が500nm以下である鉄リン酸リチウムを含む正極を開示している。
しかしながら、特許文献1〜3に開示の正極を用いた場合にも、充放電回数の増加による電池性能の大幅な低下及び大量生産時の電池性能のばらつきは十分に解消されない。
また、特許文献4は、正極活物質及びフッ素樹脂を含む正極合剤スラリーを集電体に塗布し、得られた塗膜を乾燥させる際に、乾燥中の塗膜表面のフッ素濃度に応じて乾燥温度を選択することにより、乾燥後の塗膜表面のフッ素濃度を、正極合剤スラリー中のフッ素濃度の1.0〜1.5倍に制御している。特許文献5は、フッ素原子を含み、粒子表面から内部に向けてフッ素原子濃度が減少するマンガン酸リチウムを、正極活物質として用いることを開示する。
特許文献4及び5は、いずれも、オリビン型リン酸リチウム以外の正極活物質を用いている。
オリビン型リン酸リチウムとフッ素樹脂とを含む、従来の正極活物質層は、正極集電体との密着性が低い。特に、乾燥後の正極活物質層を圧延する際に、正極活物質層が正極集電体から剥離する場合がある。このため、大量生産すると電池性能がばらつくものと推測される。さらに、圧延により発生した剥離部分は、充放電回数が増加するのに伴い、周囲に拡がる。このため、正極集電体の集電性能が低下し、電池性能が大きく低下するものと推測される。特に、特許文献3のように、ナノオーダーの粒子径を有するオリビン型リン酸リチウムを用いると、正極活物質層と正極集電体との密着性が更に低下することが判明した。
これに対し、本発明者は、ナノオーダーの粒子径を有するオリビン型リン酸リチウム(以下「ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム」とすることがある)と架橋性官能基を有するフッ素樹脂(以下「架橋基含有フッ素樹脂」とすることがある)との併用について検討した。しかしながら、このような正極活物質層を備える正極を用いた場合でも、高温下での充放電により、正極活物質層と正極集電体との密着性が低下することが判明した。
本発明者は、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂とを含む正極活物質層に、前記のような不都合が生じる原因を研究した。その結果、この正極活物質層における、正極集電体と正極活物質層との界面から正極活物質層の外表面に向けて10μmまでの範囲のフッ素原子濃度が0.2質量%以下であることを見出した。このことから、この正極活物質層では、正極集電体との界面付近に架橋基含有フッ素樹脂がほとんど存在しないことを見出した。この知見に基づいて、本発明者は次のように考察した。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムのような微細な無機粒子は、他の無機粒子との密着性及び集電体との密着性が弱い。しかし、正極合剤スラリーを正極集電体表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延するという操作が実施されるので、常温下では正極集電体と正極活物質層とは見掛け上密着している。これに対し、高温下では、正極活物質層と正極集電体との界面付近に架橋基含有フッ素樹脂がほとんど存在しない上、正極活物質層が軟化するので、正極活物質層と正極集電体との密着を保つことができなくなる。その結果、正極活物質層が正極集電体から剥離し易くなり、電池性能が大きく低下するものと推測される。
本発明の目的は、ナノオーダーの粒子径を有するオリビン型リン酸リチウムを含む非水電解質二次電池用正極及びその製造方法、ならびに、この非水電解質二次電池用正極を含み、充放電回数が増加しても、優れた電池性能を有する非水電解質二次電池を提供することである。
本発明者は、前述の知見に基づいてさらに研究を重ねた。その結果、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂とを含む正極活物質層を形成する際に、正極合剤スラリーの調製方法を制御することを着想した。そして、架橋基含有フッ素樹脂を含む有機溶媒に、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの所定量を数回に分けて混合することにより得られる正極合剤スラリーを用いた場合には、フッ素原子濃度は正極活物質層外表面から正極活物質層と正極集電体との界面に向けて減少しているものの、正極集電体との界面から外表面に向けて10μmの範囲に、正極集電体と正極活物質層との密着性を保持するのに十分な量の架橋基含有フッ素樹脂が存在している正極活物質層を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の非水電解質二次電池用正極は、正極集電体と、正極集電体の表面に支持され、正極活物質としてのオリビン型リン酸リチウム、結着剤及び導電剤を含有する正極活物質層と、を備え、オリビン型リン酸リチウムが、体積平均粒径2nm〜300nmの微粒子であり、結着剤が架橋性官能基を有するフッ素樹脂を含み、正極活物質層のフッ素原子濃度が、正極活物質層の外表面から正極活物質層と正極集電体との界面に向けて減少し、前記界面から前記外表面に向けて10μmまでの範囲に架橋性官能基を有するフッ素樹脂が存在していることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池用正極の製造方法は、オリビン型リン酸リチウムを正極活物質として含む非水電解質二次電池用正極の製造方法であって、架橋性官能基を有するフッ素樹脂を含む有機溶媒に、体積平均粒径2nm〜300nmのオリビン型リン酸リチウムの所定量を複数回に分けて混合し、更に導電剤を混合して正極合剤スラリーを調製する工程と、前記工程で得られた正極合剤スラリーを正極集電体の表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延して正極活物質層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、正極と負極との間に介在するように配置されるセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質と、を備え、正極が、上記の非水電解質二次電池用正極であることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池は、サイクル特性等の電池性能に優れ、充放電回数の増加及び高温での充放電による電池性能の低下が非常に少ない。さらに、本発明の非水電解質二次電池を大量生産しても、電池性能のばらつきが少ない。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本願の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の非水電解質二次電池は、正極活物質層と正極集電体とを含む正極と、負極活物質層と負極集電体とを含む負極と、正極と負極との間に介在するように配置されるセパレータと、リチウムイオン伝導性非水電解質と、を備え、正極に特徴を有している。本発明の非水電解質二次電池では、正極以外は従来の非水電解質二次電池と同様の構成を採ることができる。
本発明の正極は、正極活物質層が次の(1)及び(2)の特徴を有している。
(1)正極活物質層は、体積平均粒径が2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂とを含有する。なお、正極活物質として、オリビン型リン酸リチウムを用いることにより、得られる非水電解質二次電池の安全性が高まる。
(1)正極活物質層は、体積平均粒径が2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂とを含有する。なお、正極活物質として、オリビン型リン酸リチウムを用いることにより、得られる非水電解質二次電池の安全性が高まる。
(2)正極活物質層は、フッ素原子濃度が、正極活物質層の厚さ方向において、正極活物質層の外表面から正極活物質層と正極集電体との界面(以下特に断らない限り単に「界面」とすることがある)に向けて減少し、前記界面から前記外表面に向けて10μmまでの範囲に、架橋基含有フッ素樹脂が存在している。フッ素原子濃度は、架橋基含有フッ素樹脂の存在割合にほぼ対応している。正極活物質層の外表面は、セパレータを介して、負極活物質層に対向している。
本発明の正極の正極活物質層では、その外表面から界面に向けてフッ素原子濃度が減少している。しかし、界面から外表面に向けて10μmまでの範囲に架橋基含有フッ素樹脂が存在しているので、界面付近のフッ素原子濃度は「0」にはならない。すなわち、架橋基含有フッ素樹脂が、正極活物質層の外表面のみに存在せず、界面付近にも存在する。
これにより、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを含むにも関わらず、正極活物質層と正極集電体との密着性が顕著に向上する。その結果、充放電回数の増加及び高温下での充放電の実施による電池性能の低下が抑制される。また、大量生産時に電池性能のばらつきが抑制され、ほぼ同等の電池性能を有する非水電解質二次電池を効率良く製造できる。
本発明の正極活物質層を形成するためには、正極合剤スラリーの調製方法を制御する必要がある。一般的な従来技術では、結着剤を含む有機溶媒に、正極活物質と導電剤との混合物を一度に添加して混合することにより、正極合剤スラリーを調製している。正極活物質としてナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを用い、結着剤として架橋基含有フッ素樹脂を用いる場合に、正極合剤スラリーを従来技術のようにして調製すると、架橋基含有フッ素樹脂が外表面のみに存在し、界面付近には存在しない正極活物質層が形成される。
これに対し、本発明では、架橋基含有フッ素樹脂を含む有機溶媒に、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを複数回に分けて混合して正極合剤スラリーを調製する。この正極合剤スラリーを用いることにより、フッ素原子濃度がその外表面から界面に向けて減少しているものの、架橋基含有フッ素樹脂が外表面のみに存在せず、界面付近にも存在する正極活物質層を形成できる。
この正極合剤スラリーを用いることにより、前記特徴を有する正極活物質層を形成できる理由は、現状では十分明らかではないが、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの正極合剤スラリー内での分散性が向上すると共に、架橋基含有フッ素樹脂の架橋性官能基とナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムとの間に、相互的な引力が作用するためであると推測される。
架橋基含有フッ素樹脂は、正極合剤スラリーに含有される溶媒の対流により、スラリー塗膜の外表面に集まる傾向がある。架橋基含有フッ素樹脂がスラリー塗膜の外表面に集まろうとする力は、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムと架橋基含有フッ素樹脂の架橋性官能基との間に作用する相互的な引力よりも強い。しかし、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムがスラリー中で均一に分散していることから、一部の架橋基含有フッ素樹脂がその周囲に存在する多数のナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムとの間に相互的な引力を持つことにより、架橋基含有フッ素樹脂のスラリー塗膜外表面への移動が抑制される。このため、前記特徴を有する正極活物質層が形成されると推測される。
以下に、本発明の特徴について、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である非水電解質二次電池1の構成を模式的に示す斜視図である。図1では、非水電解質二次電池1の要部の構成を示すために、一部を切り欠いて示している。
図1は、本発明の第1実施形態である非水電解質二次電池1の構成を模式的に示す斜視図である。図1では、非水電解質二次電池1の要部の構成を示すために、一部を切り欠いて示している。
非水電解質二次電池1は、正極と負極との間にセパレータを介在させてこれらを捲回し、更に扁平形状に成形した扁平状電極群10と、長手方向の一端に開口を有し、扁平状電極群10や非水電解質(不図示)等をその内部に収容する角型電池ケース11と、角型電池ケース11を封口すると共に正極端子として機能する封口板14と、封口板14により支持される負極端子15と、正極集電体と封口板14とを接続する正極リード12と、負極集電体と負極端子15とを接続する負極リード13と、封口板14と負極端子15とを絶縁するガスケット16と、封口板14に形成された注液孔を、非水電解質の角型電池ケース11内への注液後に塞ぐ封栓17と、を備えている。
扁平状電極群10は、正極と負極との間にセパレータを介在させ、これらを捲回して得られる捲回型電極群を、プレス成形等により、扁平形状に成形することにより作製できる。正極、負極及びセパレータはいずれも帯状である。なお、扁平状電極群10は、正極と負極との間にセパレータを介在させた帯状の積層物を、矩形の板に捲き重ねることによっても作製できる。
正極は、正極集電体と正極活物質層とを含む。
正極集電体は帯状集電体である。正極集電体としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン等の金属材料からなる金属箔及び多孔質金属シートを使用できる。多孔質金属シートには、織布、不織布、パンチングシート等がある。正極集電体の厚さは、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
正極集電体は帯状集電体である。正極集電体としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン等の金属材料からなる金属箔及び多孔質金属シートを使用できる。多孔質金属シートには、織布、不織布、パンチングシート等がある。正極集電体の厚さは、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
正極活物質層は、本実施形態では、正極集電体の厚さ方向の両方の表面に形成されているが、それに限定されず、一方の表面のみに形成されてもよい。
正極活物質層は、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム(正極活物質)、架橋基含有フッ素樹脂(結着剤)及び導電剤を含んでいる。正極活物質層は、その外表面から界面に向けてフッ素原子濃度が減少しており、界面から外表面に向けて10μmまでの範囲に架橋基含有フッ素樹脂が存在している。正極活物質層のフッ素原子濃度は、X線マイクロアナライザー(XMA)を用いる正極活物質層の厚さ方向の断面の元素マッピングにより測定される。
正極活物質層は、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム(正極活物質)、架橋基含有フッ素樹脂(結着剤)及び導電剤を含んでいる。正極活物質層は、その外表面から界面に向けてフッ素原子濃度が減少しており、界面から外表面に向けて10μmまでの範囲に架橋基含有フッ素樹脂が存在している。正極活物質層のフッ素原子濃度は、X線マイクロアナライザー(XMA)を用いる正極活物質層の厚さ方向の断面の元素マッピングにより測定される。
正極活物質層のフッ素原子濃度は、正極活物質層の厚さ方向において、正極活物質層の外表面から界面に向けて連続的に又は段階的に減少していることが好ましい。連続的な減少とは、フッ素原子濃度が一定の勾配で減少していることである。段階的な減少とは、正極活物質層がその厚さ方向においてフッ素原子濃度の異なる複数の薄層に分かれ、界面に近付くほど前記薄層のフッ素原子濃度が減少していることである。以下において、連続的な減少及び段階的な減少を、「規則的な減少」と総称することがある。
フッ素原子濃度の規則的な減少により、架橋基含有フッ素樹脂の正極合剤スラリー塗膜内での分散性が更に高まり、正極活物質層と正極集電体との密着性が一層向上する。また、高出力時には、正極活物質層内で電圧が局所的に不均一になり易いが、この電圧の不均一性が解消されるといった利点がある。
正極活物質層のフッ素原子濃度を連続的に減少させるには、例えば、正極集電体表面に塗布された正極合剤スラリーの塗膜を乾燥させる際に、乾燥温度を所定の勾配で上昇させる方法等がある。また、正極活物質層のフッ素原子濃度を段階的に減少させるには、例えば、正極集電体表面に塗布された正極合剤スラリーの塗膜を乾燥させる際に、乾燥温度を一定時間毎に段階的に上昇させる方法等がある。
また、正極活物質層の厚さ方向において、正極活物質層の外表面から10μmまでの範囲の正極活物質層(以下「表層」とする)におけるフッ素原子濃度が、表層全量の3質量%〜9質量%であることが好ましい。即ち、表層の架橋基含有フッ素樹脂の含有割合が、フッ素原子濃度として、3質量%〜9質量%であることが好ましい。表層のフッ素原子濃度が低すぎると、表層での正極活物質を結着する力が弱まり、正極活物質が正極活物質層から離脱し、電池容量及び電池性能が低下するおそれがある。表層のフッ素原子濃度が高すぎると、相対的に界面側のフッ素原子濃度が減少する。このことは、界面側において架橋基含有フッ素樹脂の量が減少することを意味している。これにより、正極活物質層と正極集電体との密着性が低下するおそれがある。
また、正極活物質層の厚さ方向において、界面から10μmまでの範囲の正極活物質層(以下「界面層」とする)におけるフッ素原子濃度が、界面層全量の0.5質量%〜3質量%であることが好ましい。即ち、界面層の架橋基含有フッ素樹脂の含有割合が、フッ素原子濃度として、0.5質量%〜3質量%であることが好ましい。界面層のフッ素原子濃度が低すぎると、界面層における架橋基含有フッ素樹脂の量が減少し、正極活物質層と正極集電体との密着性が低下するおそれがある。界面層のフッ素原子濃度が高すぎると、相対的に表層における架橋基含有フッ素樹脂の量が減少するおそれがある。その結果、表層での結着力が弱まり、正極活物質が正極活物質層から離脱し、電池容量及び電池性能が低下するおそれがある。
正極活物質として使用するナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムは、体積平均粒径が2nm〜300nm、好ましくは10nm〜200nmである。体積平均粒径が2nm未満であるか又は300nmを超えた場合は、正極合剤スラリー中でのナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの分散性が低下することにより、架橋基含有フッ素樹脂が外表面のみに存在する正極活物質層が得られ易くなるおそれがある。
体積平均粒径は、次のようにして測定される。分散媒(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mg及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、STM社製)により超音波周波数20kHzで3分間分散処理して測定用試料を調製する。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer2、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を算出する。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの具体例としては、式:LiXPO4(式中、XはCr、Cu、Ni、Mn、Fe、Zn及びAlよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。)で表され、体積平均粒径が2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウム、式:Li2XPO4F(式中Xは前記に同じ。)で表され、体積平均粒径が2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウム等が挙げられる。前記各式において、符号Xで示される元素の中では、Ni、Mn及びFeが好ましく、Feが特に好ましい。
符号XがFeである鉄リン酸リチウムは、例えば、安定供給性及び安全性の面で特に優れている。鉄リン酸リチウムは、リン酸鉄リチウム、リチウムリン酸鉄等と呼ばれることもある。鉄リン酸リチウムは、鉄の一部が異種金属Aで置換されていても良い。異種金属Aは鉄及びリチウム以外の金属であり、例えば、Mn、Cr、Cu、Ni、Zn、Al等が挙げられる。異種金属Aの置換割合は特に制限はないが、鉄と異種金属Aとの合計量における異種金属Aの割合が1モル%〜50モル%であることが好ましい。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、本発明の好ましい特性を損なわない範囲で、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム以外の公知の正極活物質を併用してもよい。
結着剤として用いられる架橋基含有フッ素樹脂において、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
これらの中でも、正極集電体と正極活物質層との密着性の持続性等を考慮すると、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等が好ましく、ポリフッ化ビニリデンが特に好ましい。フッ素樹脂の分子量は特に限定されないが、好ましくは質量平均分子量として20万〜150万である。
架橋基含有フッ素樹脂において、架橋性官能基としては、フッ素樹脂に含まれる水素原子やフッ素原子に置換可能な架橋性官能基を使用でき、例えば、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、シアノ基、シラノール基等が挙げられる。これらの中でも、高電圧領域での安定性等を考慮すると、カルボキシル基、水酸基、シラノール基等が好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。架橋基含有フッ素樹脂には、1種又は2種以上の架橋性官能基が置換している。
フッ素樹脂に置換する架橋性官能基の量(置換量)は特に限定されないが、好ましくはフッ素樹脂1g当たり0.1mmol〜100mmol、さらに好ましくはフッ素樹脂1g当たり0.5mmol〜10mmolである。架橋性官能基の量が少なすぎると、正極集電体と正極活物質層との密着性が不十分になるおそれがある。一方、架橋性官能基の量が多すぎると、正極活物質層中に多くの架橋部分が生成し、正極活物質層のリチウムイオン伝導性が低下するおそれがある。
架橋基含有フッ素樹脂は、例えば、架橋性官能基を有するフッ素樹脂モノマーと、架橋性官能基を有さないフッ素樹脂モノマーとを共重合させることにより合成できる。フッ素樹脂モノマーとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。また、本発明では市販の架橋基含有フッ素樹脂を使用でき、例えば、KFポリマー9210(商品名、(株)クレハ製)等が挙げられる。
架橋基含有フッ素樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。更に、本発明の好ましい特性を損なわない範囲で、架橋基含有フッ素樹脂と、従来から用いられている活物質層用結着剤と、を併用できる。
導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類等の炭素材料等が挙げられる。導電剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の正極は、例えば、正極合剤スラリーを調製する工程と、正極活物質層を形成して正極を得る工程、とを備える製造方法により作製できる。正極合剤スラリーを調製する工程では、具体的には、架橋基含有フッ素樹脂を溶解又は分散させた有機溶媒(以下「フッ素樹脂液」とする)に、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを複数回に分けて混合し、更に導電剤を混合し、正極合剤スラリーを調製する。導電剤の混合時期は特に限定されず、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの混合前、複数回の混合の間(例えば、1回目の混合と2回目の混合との間)又は混合後のいずれでもよい。また、導電剤も複数回に分けて混合してもよい。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを混合する回数は、好ましくは2回〜5回、さらに好ましくは3回〜5回である。混合回数が1回では、所望の特徴を有する正極活物質層を形成できない。また、5回を超える回数でも所望の特徴を有する正極活物質層を形成できるが、混合に要する時間が長くなり、工業的に不利である。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム及び導電剤を混合する際の、フッ素樹脂液の液温は、好ましくは20℃〜60℃程度である。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム及び導電剤を混合する際の、フッ素樹脂液の液温は、好ましくは20℃〜60℃程度である。
ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを複数回に分けて混合する場合、1回毎の混合量は特に限定されず、全混合量を等分してもよく、また、1回目の混合量を多くし、2回目以降の混合量を徐々に減らしてもよい。例えば、3回に分けて混合する例を挙げると、1回目に全混合量の30質量%〜50質量%を混合し、2回目は1回目よりも混合量を減らすと共に、混合量を全混合量の20質量%〜40質量%の範囲から選択し、3回目は2回目よりも混合量を減らすと共に、混合量を全混合量の5質量%〜25質量%の範囲から選択すればよい。
架橋基含有フッ素樹脂を溶解又は分散させる有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等を使用できる。
本工程で得られる正極合剤スラリーは、固形分として、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム、架橋基含有フッ素樹脂及び導電剤を含む。正極合剤スラリーにおける、これらの固形分の合計量を全固形分量とする。正極合剤スラリーにおけるナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの含有割合は、好ましくは全固形分量の80質量%〜97質量%である。架橋基含有フッ素樹脂の含有割合は、好ましくは全固形分量の2質量%〜10質量%である。導電剤の含有割合は、全固形分量からナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムの含有割合及び架橋基含有フッ素樹脂の含有割合を差し引いた残部である。
正極合剤スラリーの固形分組成を前記範囲から選択し、かつナノオーダー系オリビン型リン酸リチウムを複数回に分けて添加することが好ましい。これにより、前記したフッ素原子濃度の減少傾向を有し、正極活物質層と正極集電体との密着性を保つのに十分な量の架橋基含有フッ素樹脂が界面付近にも存在する正極活物質層を確実に形成できる。
次の工程では、前記工程で得られた正極合剤スラリーを用い、正極集電体表面に正極活物質層を形成し、本発明の正極を作製する。具体的には、正極合剤スラリーを正極集電体の厚さ方向の一方又は両方の表面に塗布し、得られた正極合剤スラリーの塗膜を乾燥させ、圧延する。
正極合剤スラリーの正極集電体への塗布は、例えば、ディップコート、ローラコート、グラビアコート等の公知の塗布方法により実施できる。正極集電体表面に塗布された正極合剤スラリーの塗膜の乾燥は、好ましくは、60℃〜110℃の温度下に行われ、1分〜10分で終了する。乾燥温度が低すぎると、架橋基含有フッ素樹脂が外表面のみに存在する正極活物質層が得られるおそれがある。また、乾燥に長時間を要し、工業的にも不利である。乾燥温度が高すぎると、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム等の変質が起こるおそれがある。また、乾燥時間は10分を超えてもよいが、生産効率、ナノオーダー系オリビン型リン酸リチウム等の変質等を考慮すると、10分までとするのがよい。
前記乾燥温度の範囲及び前記乾燥時間の範囲の中で、所定の温度上昇勾配又は段階的な温度上昇を設定することにより、フッ素原子濃度が連続的又は段階的に変化する正極活物質層を形成できる。
負極は、負極集電体と負極活物質層とを含む。
負極集電体は、正極集電体と同様に、帯状集電体である。負極集電体としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金等の金属材料からなる金属箔及び多孔質金属シートを使用できる。多孔質金属シートには、織布、不織布、パンチングシート等がある。負極集電体の厚さは特に限定されないが、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
負極集電体は、正極集電体と同様に、帯状集電体である。負極集電体としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金等の金属材料からなる金属箔及び多孔質金属シートを使用できる。多孔質金属シートには、織布、不織布、パンチングシート等がある。負極集電体の厚さは特に限定されないが、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
負極活物質層は、本実施形態では負極集電体の厚さ方向の両方の表面に形成されるが、それに限定されず、一方の表面に形成されてもよい。負極活物質層は負極活物質を含有し、必要に応じて結着剤、導電剤、増粘剤等を含有する。
負極活物質としては、例えば、炭素材料、合金系活物質、リチウム合金等を使用できる。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、非晶質炭素等が挙げられる。合金系活物質は、リチウムと合金化することによりリチウムイオンを吸蔵し、負極電位下でリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する物質である。合金系活物質としては、珪素系活物質、錫系活物質等が挙げられる。珪素系活物質の具体例としては、珪素、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素合金、珪素化合物等が挙げられる。錫系活物質としては、錫、錫酸化物、錫合金、錫化合物等が挙げられる。負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
結着剤としては、樹脂材料、ゴム材料等を使用できる。樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。これらは、架橋性官能基を有していないフッ素樹脂である。ゴム材料としては、スチレン−ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。結着剤は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
負極活物質層は、例えば、負極合剤スラリーを負極集電体表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延することにより形成できる。負極合剤スラリーは、例えば、負極活物質と、結着剤、導電剤、増粘剤等の任意成分と、溶媒とを混合することにより調製できる。溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒や水を使用できる。また、合金系活物質からなる負極活物質層は、例えば、真空蒸着等の気相法によっても形成できる。負極活物質層の厚さは特に限定されないが、好ましくは10μm〜200μmである。
セパレータは、正極と負極との間に介在するように配置され、正極と負極とを絶縁し、リチウムイオン透過性を有する。セパレータとしては、内部に細孔を有する多孔質シート、樹脂繊維の不織布、織布等を使用できる。多孔質シート及び樹脂繊維は樹脂材料からなる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。これらの中でも多孔質シートが好ましい。多孔質シートの細孔径は、好ましくは0.05μm〜0.15μmである。多孔質シートの厚さは、好ましくは5μm〜40μmである。
扁平状電極群10には、非水電解質が含浸される。本実施形態の非水電解質は、リチウム塩と非水溶媒とを含み、更に添加剤を含んでもよい。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類等が挙げられる。リチウム塩の濃度は特に限定されないが、非水溶媒1リットルに対して0.5モル〜2モルであることが好ましい。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類等が挙げられる。リチウム塩の濃度は特に限定されないが、非水溶媒1リットルに対して0.5モル〜2モルであることが好ましい。
非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル類、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル類等が挙げられる。非水溶媒は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
添加剤としては、ビニレンカーボネート化合物(以下「VC化合物」とする)、ベンゼン化合物等を使用できる。VC化合物としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。ベンゼン化合物としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテル等が挙げられる。
本実施形態では、角型の形状を有する非水電解質二次電池1について説明している。しかしながら、本発明の非水電解質二次電池は、角型電池に限定されない。本発明の非水電解質二次電池は、捲回型電極群を含む円筒型電池、捲回型電極群、扁平状電極群又は積層型電極群を含むラミネートパック型電池、積層型電極群を含むコイン型電池等、種々の形態の電池に形成できる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
(1)正極の作製
カルボキシル基を有するポリフッ化ビニリデン(商品名:KFポリマー9210、(株)クレハ製、以下「COOH−PVDF」とする)10質量部をN−メチル−2−ピロリドン100質量部に溶解させて、フッ素樹脂液を調製した。
(実施例1)
(1)正極の作製
カルボキシル基を有するポリフッ化ビニリデン(商品名:KFポリマー9210、(株)クレハ製、以下「COOH−PVDF」とする)10質量部をN−メチル−2−ピロリドン100質量部に溶解させて、フッ素樹脂液を調製した。
双腕型練合機にて、上記で得られたフッ素樹脂液に、鉄リン酸リチウム(LiFePO4、正極活物質、体積平均粒径100nm)100質量部を4回に分けて添加して混合した。このとき、鉄リン酸リチウムの1回目の添加量を30質量部、2回目の添加量を30質量部、3回目の添加量を20質量部及び4回目の添加量を20質量部とした。1回の添加毎に十分に混合した。その後、アセチレンブラック(導電剤)2質量部を添加して混合した。こうして正極合剤スラリーを調製した。
この正極合剤スラリーを厚さ15μmの帯状アルミニウム箔(正極集電体、35mm×400mm)の両面に塗布した。帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、80℃で10分間乾燥し、正極活物質層を形成した。引き続き、正極活物質層を圧延し、正極を作製した。両面の正極活物質層と正極集電体との合計厚さは150μmであった。その後、正極を所定の寸法に裁断して、帯状の正極板を得た。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分は認められなかった。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分は認められなかった。
上記で得られた正極活物質層の断面について、X線マイクロアナライザー(以下「XMA」とする、商品名:EPMA−1610、(株)島津製作所製)によりフッ素原子濃度をライン分析した。その結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度は正極活物質層の外表面から界面に向けて減少し、界面から10μmの範囲の界面層にフッ素原子が存在することが確認された。このことから、実施例1では、COOH−PVDFは正極活物質層の外表面だけでなく、界面層にも存在していることが明らかである。
また、界面層におけるフッ素原子濃度は1質量%であり、正極活物質層の外表面から10μmまでの範囲の表層におけるフッ素原子濃度は7質量%であった。フッ素原子濃度は、濃度が異なる複数の標準試料によって求めた検量線を基に決定した。
(2)負極の作製
鱗片状の人造黒鉛を粉砕及び分級して、体積平均粒径を20μmに調整し、負極活物質とした。負極活物質100質量部と、スチレンブタジエンゴム(結着剤)1質量部と、カルボキシメチルセルロースの1質量%水溶液100質量部とを双腕型練合機で混合し、負極合剤スラリーを調製した。負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布して乾燥させた後、圧延し、負極を作製した。両面の負極活物質層と負極集電体との合計厚さは155μmであった。その後、負極を所定の寸法に裁断して、帯状の負極板を得た。
鱗片状の人造黒鉛を粉砕及び分級して、体積平均粒径を20μmに調整し、負極活物質とした。負極活物質100質量部と、スチレンブタジエンゴム(結着剤)1質量部と、カルボキシメチルセルロースの1質量%水溶液100質量部とを双腕型練合機で混合し、負極合剤スラリーを調製した。負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布して乾燥させた後、圧延し、負極を作製した。両面の負極活物質層と負極集電体との合計厚さは155μmであった。その後、負極を所定の寸法に裁断して、帯状の負極板を得た。
(3)非水電解質の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で混合した混合溶媒99質量部にビニレンカーボネート1質量部を添加して、混合溶液を得た。その後、濃度が1.0mol/LとなるようにLiPF6を混合溶液に溶解して、非水電解質を調製した。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:3で混合した混合溶媒99質量部にビニレンカーボネート1質量部を添加して、混合溶液を得た。その後、濃度が1.0mol/LとなるようにLiPF6を混合溶液に溶解して、非水電解質を調製した。
(4)電池の組立
上記で得られた正極板、負極板及び非水電解質を用い、次のようにして、非水電解質二次電池を作製した。
アルミニウム製正極リードの一端を正極集電体に接続した。ニッケル製負極リードの一端を負極集電体に接続した。正極板と負極板との間に厚さ16μmのポリエチレン製多孔質シート(セパレータ、商品名:ハイポア、旭化成(株)製)を介在させてこれらを捲回した。得られた捲回型電極群を25℃環境下でプレスし、扁平状電極群(以下単に「電極群」とする)を作製した。プレス圧は0.5MPaとした。
上記で得られた正極板、負極板及び非水電解質を用い、次のようにして、非水電解質二次電池を作製した。
アルミニウム製正極リードの一端を正極集電体に接続した。ニッケル製負極リードの一端を負極集電体に接続した。正極板と負極板との間に厚さ16μmのポリエチレン製多孔質シート(セパレータ、商品名:ハイポア、旭化成(株)製)を介在させてこれらを捲回した。得られた捲回型電極群を25℃環境下でプレスし、扁平状電極群(以下単に「電極群」とする)を作製した。プレス圧は0.5MPaとした。
得られた電極群を鉄製角型電池ケースに挿入した。電極群の上部には、ポリプロピレン製枠体を装着した。この枠体は、電極群とステンレス鋼製封口板とを隔離するとともに、正極リード又は負極リードと角型電池ケースとの接触を防止する。正極リードの他端を封口板の下面に接続した。負極リードの他端を負極端子に接続した。負極端子は樹脂製ガスケットを介して封口板に装着した。封口板を角型電池ケースの開口に配置して溶接した。封口板の注液孔から、所定量の非水電解質を角型電池ケース内に注液した。その後、注液口を封栓で塞ぐことにより、非水電解質二次電池を作製した。
(実施例2)
体積平均粒径3nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.5質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は9質量%であった。
体積平均粒径3nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.5質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は9質量%であった。
(実施例3)
体積平均粒径300nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は5質量%であった。
体積平均粒径300nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は5質量%であった。
(実施例4)
帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、乾燥開始温度60℃、温度上昇勾配5℃/分で20分間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて連続的に減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は6質量%であった。
帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、乾燥開始温度60℃、温度上昇勾配5℃/分で20分間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて連続的に減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は6質量%であった。
(実施例5)
帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、乾燥開始温度60℃とし、乾燥温度を2分毎に2℃上昇させて20分間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて段階的に減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は2質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は6質量%であった。
帯状アルミニウム箔表面の正極合剤スラリーの塗膜を、乾燥開始温度60℃とし、乾燥温度を2分毎に2℃上昇させて20分間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて段階的に減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は2質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は6質量%であった。
(実施例6)
カルボキシル基の含有割合が1mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.6質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は8.5質量%であった。
カルボキシル基の含有割合が1mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.6質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は8.5質量%であった。
(実施例7)
カルボキシル基の含有割合が90mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は5質量%であった。
カルボキシル基の含有割合が90mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は3質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は5質量%であった。
(実施例8)
カルボキシル基の含有割合が120mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.5質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は9質量%であった。
カルボキシル基の含有割合が120mmol/gであるポリフッ化ビニリデンを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の断面全域にフッ素原子が存在し、界面層にフッ素原子が存在し、フッ素原子濃度が正極活物質層の外表面から界面に向けて減少していることが確認された。また、界面層におけるフッ素原子濃度は0.5質量%であり、表層におけるフッ素原子濃度は9質量%であった。
(比較例1)
鉄リン酸リチウム(LiFePO4、正極活物質、体積平均粒径100nm)とアセチレンブラックとを混合し、この混合物を1回でフッ素樹脂液に添加及び混合して正極合剤スラリーを調製する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分は認められなかった。
鉄リン酸リチウム(LiFePO4、正極活物質、体積平均粒径100nm)とアセチレンブラックとを混合し、この混合物を1回でフッ素樹脂液に添加及び混合して正極合剤スラリーを調製する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分は認められなかった。
上記で得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面でフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。このことから、比較例1の正極活物質層では、COOH−PVDFは正極活物質層表面のみに存在し、正極活物質層界面にはほとんど存在しないことが明らかである。
(比較例2)
COOH−PVDFに代えて、カルボキシル基を有しないポリフッ化ビニリデンを使用する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分が認められた。
COOH−PVDFに代えて、カルボキシル基を有しないポリフッ化ビニリデンを使用する以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
正極の裁断片の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、アルミニウム箔と正極活物質層との間には、正極活物質層の剥離した部分が認められた。
(比較例3)
体積平均粒径0.5nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面におけるフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。界面層のフッ素原子濃度は、0.2質量%であった。
体積平均粒径0.5nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面におけるフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。界面層のフッ素原子濃度は、0.2質量%であった。
(比較例4)
体積平均粒径350nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面におけるフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。界面層のフッ素原子濃度は、0.3質量%であった。
体積平均粒径350nmの鉄リン酸リチウムを用いる以外は、実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、得られた正極活物質層の断面を、実施例1と同様にして分析した結果、正極活物質層の外表面におけるフッ素原子濃度が非常に高く、界面にはフッ素原子がほとんど存在しないことが確認された。界面層のフッ素原子濃度は、0.3質量%であった。
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた非水電解質二次電池を、下記の評価に供した。結果を表1に示す。
[電池容量評価]
各電池について、以下の条件で充放電を3回繰返し、3回目の放電容量を求め、電池容量とした。
定電流充電:電流200mA、終止電圧4.2V。
定電圧充電:電圧4.2V、終止電流20mA、休止時間20分。
定電流放電:電流200mA、終止電圧2.5V、休止時間20分。
各電池について、以下の条件で充放電を3回繰返し、3回目の放電容量を求め、電池容量とした。
定電流充電:電流200mA、終止電圧4.2V。
定電圧充電:電圧4.2V、終止電流20mA、休止時間20分。
定電流放電:電流200mA、終止電圧2.5V、休止時間20分。
[サイクル寿命評価]
各電池について、20℃において、以下の条件で充放電を繰り返し、サイクル寿命を求めた。サイクル寿命は、電池の放電容量が、1サイクル目の放電容量の半分になったところのサイクル数とした。
定電流充電:電流500mA、終止電圧4.2V。
定電圧充電:電圧4.2V、終止電流100mA。
定電流放電:電流500mA、終止電圧3V。
各電池について、20℃において、以下の条件で充放電を繰り返し、サイクル寿命を求めた。サイクル寿命は、電池の放電容量が、1サイクル目の放電容量の半分になったところのサイクル数とした。
定電流充電:電流500mA、終止電圧4.2V。
定電圧充電:電圧4.2V、終止電流100mA。
定電流放電:電流500mA、終止電圧3V。
[高温サイクル寿命評価]
評価時の温度を20℃から45℃に変更する以外は、前記サイクル寿命評価と同様にして、評価を行い、高温サイクル寿命を求めた。高温サイクル寿命は、電池の放電容量が、1サイクル目の放電容量の半分になったところのサイクル数とした。
評価時の温度を20℃から45℃に変更する以外は、前記サイクル寿命評価と同様にして、評価を行い、高温サイクル寿命を求めた。高温サイクル寿命は、電池の放電容量が、1サイクル目の放電容量の半分になったところのサイクル数とした。
表1から、実施例1〜8の電池は、常温(20℃)及び高温(45℃)で充放電を繰り返しても放電容量の低下が少なく、電池性能を長期にわたって高水準で保持できることが明らかである。これは、正極集電体と正極活物質層との密着性が良好であり、高温でもその密着性が保持されたためであると考えられる。
なお、実施例8の電池は、高温サイクル寿命が実施例1〜7の電池よりも低い値を示した。これは、カルボキシル基の含有割合が120mmol/gと相対的に多いCOOH−PVDFを用いることにより、正極活物質層内で架橋部分が増加し、正極活物質層のリチウムイオン伝導性が低下したためと考えられる。
比較例1の電池は、サイクル寿命評価では実施例1の電池とほぼ同等であるが、高温サイクル寿命特性評価では実施例1の電池よりも著しく劣っていた。これは、高温下で充放電サイクルを繰り返すと、正極集電体と正極活物質層との間に剥離が発生し易くなったためと考えられる。
比較例2の電池は、サイクル寿命評価及び高温サイクル寿命評価の両方において、実施例1の電池よりも著しく劣っていた。これは、ナノオーダー系鉄リン酸リチウムと、カルボキシル基を有しないPVDFとを併用したためと考えられる。これにより、正極活物質と正極集電体との密着性が不十分になり、正極活物質層形成時に正極活物質層が正極集電体から剥離した部分が存在したためと考えられる。
比較例3及び4の電池は、ナノオーダー系鉄リン酸リチウムの体積平均粒径が小さすぎるか又は大きすぎるため、正極合剤スラリーにおけるナノオーダー系鉄リン酸リチウムの分散性が低下し、外表面のみにCOOH−PVDFが存在する正極活物質層が得られたと考えられる。これにより、高温サイクル寿命の顕著に低下したと考えられる。
本発明の非水電解質二次電池は、従来の非水電解質二次電池と同様の用途に使用でき、特に、電子機器、電気機器、工作機器、輸送機器、電力貯蔵機器等の主電源又は補助電源として有用である。電子機器には、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末、携帯用ゲーム機器等がある。電気機器には、掃除機、ビデオカメラ等がある。工作機器には、電動工具、ロボット等がある。輸送機器には、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車等がある。電力貯蔵機器には、無停電電源等がある。
Claims (12)
- 正極集電体と、前記正極集電体の表面に支持され、正極活物質としてのオリビン型リン酸リチウム、結着剤及び導電剤を含有する正極活物質層と、を備える非水電解質二次電池用正極であって、
前記オリビン型リン酸リチウムが、体積平均粒径2nm〜300nmの微粒子であり、
前記結着剤が架橋性官能基を有するフッ素樹脂を含み、
前記正極活物質層のフッ素原子濃度が、前記正極活物質層の外表面から前記正極活物質層と前記正極集電体との界面に向けて減少し、前記界面から前記外表面に向けて10μmまでの範囲に前記架橋性官能基を有するフッ素樹脂が存在している非水電解質二次電池用正極。 - 前記正極活物質層の前記フッ素原子濃度が、前記正極活物質層の外表面から前記正極集電体と前記正極活物質層との界面に向けて連続的に又は段階的に減少している請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 前記正極活物質層の外表面から前記正極集電体と前記正極活物質層との界面に向けて10μmまでの範囲の前記正極活物質層のフッ素原子濃度が3質量%〜9質量%である請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 前記正極集電体と前記正極活物質層との界面から前記正極活物質層の外表面に向けて10μmまでの範囲の前記正極活物質層のフッ素原子濃度が0.5質量%〜3質量%である請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 前記オリビン型リン酸リチウムが鉄リン酸リチウムである請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 前記架橋性官能基の含有割合が、前記架橋性官能基を有する前記フッ素樹脂1g当たり0.1mmol〜100mmolである請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
- 前記架橋性官能基を有する前記フッ素樹脂において、前記架橋性官能基がカルボキシル基であり、且つ、前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体及びポリフッ化ビニリデンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素樹脂である請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
- オリビン型リン酸リチウムを正極活物質として含む非水電解質二次電池用正極の製造方法であって、
架橋性官能基を有するフッ素樹脂を溶解又は分散させた有機溶媒に、体積平均粒径2nm〜300nmであるオリビン型リン酸リチウムの所定量を複数回に分けて混合し、更に前記導電剤を混合して正極合剤スラリーを調製する工程と、
前記正極合剤スラリーを正極集電体の表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延して正極活物質層を形成する工程と、を備える非水電解質二次電池用正極の製造方法。 - 前記正極合剤スラリーを調製する前記工程では、前記有機溶媒に、前記オリビン型リン酸リチウムの所定量を2回〜5回に分けて混合する請求項8に記載の非水電解質二次電池用正極の製造方法。
- 前記正極合剤スラリーにおける、前記オリビン型リン酸リチウムの含有割合が、前記オリビン型リン酸リチウムと前記フッ素樹脂と前記導電剤との合計量の80質量%〜97質量%であり、前記フッ素樹脂の含有割合が前記合計量の2質量%〜10質量%であり、残部が前記導電剤である請求項8に記載の非水電解質二次電池用正極の製造方法。
- 前記正極活物質層を形成する前記工程では、前記塗膜を、60〜110℃の温度下に1〜10分乾燥する請求項8に記載の非水電解質二次電池用正極の製造方法。
- リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極と、前記正極と前記負極との間に介在するように配置されるセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質と、を備え、
前記正極は、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極である非水電解質二次電池。
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