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JPWO2018159548A1 - ベータ線二次元イメージング装置及び方法 - Google Patents

ベータ線二次元イメージング装置及び方法 Download PDF

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Abstract

撮像対象(TG)には、ベータ崩壊に続いて第1、第2エネルギーを有する固有ガンマ線を放出する第1、第2核種が分布している。ベータ線検出器(10)は、ベータ線を検出してベータ線の検出位置情報を含むベータ線検出信号を出力する。ガンマ線検出器(20)は、ガンマ線を検出して検出したガンマ線のエネルギー情報を含むガンマ線検出信号を出力する。イメージング処理部(30)は、ベータ線の検出タイミングから所定時間内にガンマ線が検出され且つエネルギー情報が第1、第2エネルギーを示しているときの位置情報から、夫々、第1、第2核種の分布像を生成する。

Description

本発明は、ベータ線二次元イメージング装置及び方法に関する。
診断装置の一つとして陽電子放射断層撮影(Positron emission tomography:PET)装置が実用化されている。PET装置では、正のベータ崩壊(β+崩壊)のうち陽電子(ポジトロン)を放出するもの(陽電子崩壊とも称されうる)を利用し、放出された陽電子が物質中の電子と対消滅した際に放出される2本のガンマ線の検出を通じて、当該ベータ崩壊を起こす放射性核種の分布を推定する。例えば、がん細胞に集積する薬剤を陽電子放出核にて標識し、その薬剤を投与した生体を撮像対象としてPET装置によりイメージングすれば、生体内でのがん細胞の3次元的な分布画像を得ることが可能である。
ライフサイエンスや医学の進展に伴い、複数の分子動態が複雑にからみ合うことによって生体の機能が発現したり病巣が形成されたりする様子が解明されつつある。そのため、異なる放射性核種によって標識した複数の薬剤を生体に投与し、生体内の核種の分布を、核種を識別可能な態様で一度にイメージングする方法(以下、複数分子同時イメージング法という)の研究が進められており、複数分子同時イメージング法をPET装置において実現する構成が下記特許文献1に示されている。
一方、X線等の放射線を利用した透過写真撮影において、写真フィルムに代わるものとして、フラットパネルディテクターと呼ばれる、半導体による撮像素子を平面上にアレイ状に配置したイメージング装置も用いられている。フラットパネルディテクターは、放射線による物質内の電離をダイレクトに読み出すものであり、医療の現場で普及してきている。
上記フラットパネルディテクターに加えて、放射線の照射量による化学的変化の二次元分布をレーザー光などにより読み出し可能なイメージングプレートが基礎研究の分野で普及している。イメージングプレートによれば、簡素な構成にて撮像対象の二次元情報を得ることができ、フィルムと比較して感度が高く、また読み出し後は白色光の照射などにより情報を消去して再利用が可能であることなどから、組織切片や培養細胞中のベータ線放出核種の分布を調べるのに利用されている。しかし、これらの装置は、何れも、撮像時間中において或る場所に入射した放射線エネルギーの総量を積算するものであるため、入射した個々の放射線のエネルギー及び入射時刻は分からない。
しかし、近年、放射線イメージング検出器において、1イベント毎に信号を処理することで、エネルギーと入射時刻を算出可能な技術(光子を読み出す場合には特に「フォトンカウンティング」と呼ばれる)が登場して来ている。この技術は、エネルギーの異なるX線を検出イベント毎にエネルギーを弁別した上で画像化することにより、エネルギーの違いによる物質のX線吸収率の違いに基づき物質を特定するCTシステムなどに応用されている。
フォトンカウンティングタイプの計測では、撮像時間内のトータルエネルギーの積算と異なり、各撮像素子における情報をイベント毎に信号処理する必要がある。従って、撮像素子の数に対応するオンラインの1イベント信号処理回路が必要となる。解像度の高い撮像素子では、それだけチャンネル数が増えることになり、高集積且つスループットの高い信号処理装置の開発がフォトンカウンティングイメージングの高分解能化への課題となっている。しかし、近年の集積回路の高密度化などにより、年々取り扱えるチャンネル数は増えて来ており、今後益々フォトンカウンティングによるイメージングの解像度が上がることが期待できる。
また、解像度向上のための別の手法として、シンチレーション光(可視光)の屈折又は反射を利用したレンズ等により拡大画像を得る方法もある。
特許第5526435号公報
或る物体にベータ線を放出する放射性核種が含まれているとき、当該物体を撮像対象としてイメージングプレートによりイメージングを行えば、当該物体内における放射性核種の分布を二次元にて得ることができる。但し、従来のイメージングプレートにおいては、複数種類の核種が撮像対象内に分布しているとき、或る核種を他の核種と区別することができないため、核種を識別可能な態様でイメージングすることができない。このようなイメージングプレートにおいても、複数分子同時イメージング法が適用できれば、現在よりも更に複雑な解析が可能となるため有益である。また、ベータ崩壊により放出されるベータ線のエネルギーは核種により特定の値とはならず連続的であるため、フォトンカウンティングタイプの検出器を用いたとしても、核種の識別を行うことは困難である。
複数種類の核種のイメージングに関わる事情について説明したが、単一種類の核種のイメージングも様々なケースにおいて必要とされ且つ有益である。この際、単一種類の核種のイメージングにおける解像度の向上は有益である。
そこで本発明は、核種の識別が可能な態様でのイメージングを実現するベータ線二次元イメージング装置及び方法を提供することを目的の1つとする。また本発明は、核種のイメージングにおける解像度向上に寄与するベータ線二次元イメージング装置及び方法を提供することを他の目的の1つとする。
尚、ベータ崩壊後の娘核において、原子核が励起状態にある場合、主としてガンマ線(高エネルギーの電磁波)としてエネルギーを放出して基底状態に遷移する。このガンマ線は一般的には脱励起ガンマ線と呼ばれるが、核種に固有のエネルギーを持っているため、ここでは「固有ガンマ線」と呼び、陽電子と電子の対消滅によるガンマ線と区別する。
本発明の一側面に係るベータ線二次元イメージング装置は、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に第1固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に前記第1固有ガンマ線とは異なるエネルギーを有する第2固有ガンマ線を放出する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器と、ガンマ線を検出する検出器であって、前記第1固有ガンマ線及び前記第2固有ガンマ線を区別して検出するガンマ線検出器と、前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記第1固有ガンマ線及び第2固有ガンマ線の何れかが検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布像を区別して生成可能なイメージング処理部と、を備えたことを特徴とする。
これにより、複数種類の核種の分布を、核種を識別可能な態様で一度にイメージングすることが可能となる。また、対消滅を利用するPET装置では正のベータ崩壊(陽電子の放出を伴うベータ崩壊)を行う核種しか利用できないが、上記ベータ線二次元イメージング装置では、ベータ線を直接イメージングする方法を採用しているため、正のベータ崩壊を行う核種だけでなく負のベータ崩壊(電子の放出を伴うベータ崩壊)を行う核種も利用可能であり、有益である。
本発明の他の側面に係るベータ線二次元イメージング装置は、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に所定エネルギーの固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によるベータ線の放出により娘核の基底状態に遷移する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器と、前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出器と、前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成可能なイメージング処理部と、を備えたことを特徴とする。
これにより、複数種類の核種の分布を、核種を識別可能な態様で(少なくとも第1核種を他の核種と識別可能な態様で)一度にイメージングすることが可能となる。また、対消滅を利用するPET装置では正のベータ崩壊(陽電子の放出を伴うベータ崩壊)を行う核種しか利用できないが、上記ベータ線二次元イメージング装置では、ベータ線を直接イメージングする方法を採用しているため、正のベータ崩壊を行う核種だけでなく負のベータ崩壊(電子の放出を伴うベータ崩壊)を行う核種も利用可能であり、有益である。
本発明の更に他の側面に係るベータ線二次元イメージング装置は、正のベータ崩壊によりベータ線として陽電子を放出する第1核種及び負のベータ崩壊によりベータ線として電子を放出する第2核種を含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器と、前記第1核種からのベータ線としての陽電子と前記ベータ線検出器内の電子との対消滅により発生する対消滅ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出器と、前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記対消滅ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成可能なイメージング処理部と、を備えたことを特徴とする。
これにより、複数種類の核種の分布を、核種を識別可能な態様で(少なくとも第1核種を他の核種と識別可能な態様で)一度にイメージングすることが可能となる。また、対消滅を利用するPET装置では正のベータ崩壊(陽電子の放出を伴うベータ崩壊)を行う核種しか利用できないが、上記ベータ線二次元イメージング装置では、ベータ線を直接イメージングする方法を採用しているため、正のベータ崩壊を行う核種だけでなく負のベータ崩壊(電子の放出を伴うベータ崩壊)を行う核種も利用可能であり、有益である。
本発明の更に他の側面に係るベータ線二次元イメージング装置は、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に固有ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、前記ベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器と、前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出器と、前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記核種の分布像を生成可能なイメージング処理部と、を備えたことを特徴とする。
上述の如く形成されたベータ線二次元イメージング装置では、ガンマ線検出器にて固有ガンマ線が検出されたときの位置情報に基づいて核種の分布像を生成することができる。ガンマ線検出器にて固有ガンマ線が検出されたとき、ベータ線検出器に固有ガンマ線は入射していないので、ガンマ線検出器にて固有ガンマ線が検出されたときの位置情報はベータ線の検出位置情報に限定され、その検出位置情報に基づき核種の分布像を生成することで、高解像度の分布像を生成することができる。生成分布像の高解像度の理由については後述の説明からより明らかとなる。
本発明の一側面に係るベータ線二次元イメージング方法は、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に第1固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に前記第1固有ガンマ線とは異なるエネルギーを有する第2固有ガンマ線を放出する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、ガンマ線を検出するステップであって、前記第1固有ガンマ線及び前記第2固有ガンマ線を区別して検出するガンマ線検出ステップと、前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記第1固有ガンマ線及び第2固有ガンマ線の何れかが検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布像を区別して生成可能なイメージング処理ステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明の他の側面に係るベータ線二次元イメージング方法は、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に所定エネルギーの固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によるベータ線の放出により娘核の基底状態に遷移する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出ステップと、前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成可能なイメージング処理ステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明の更に他の側面に係るベータ線二次元イメージング方法は、正のベータ崩壊によりベータ線として陽電子を放出する第1核種及び負のベータ崩壊によりベータ線として電子を放出する第2核種を含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、前記第1核種からのベータ線としての陽電子と前記ベータ線検出器内の電子との対消滅により発生する対消滅ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出ステップと、前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記対消滅ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成可能なイメージング処理ステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明の更に他の側面に係るベータ線二次元イメージング方法は、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に固有ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、前記ベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出ステップと、前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記核種の分布像を生成可能なイメージングステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、核種の識別が可能な態様でのイメージングを実現するベータ線二次元イメージング装置及び方法を提供することが可能となる。また本発明によれば、核種のイメージングにおける解像度向上に寄与するベータ線二次元イメージング装置及び方法を提供することが可能となる。
は、本発明の実施形態で想定されるAタイプの放射性崩壊の様式を示す図である。 は、本発明の実施形態で想定されるBタイプの放射性崩壊の様式を示す図である。 は、本発明の実施形態で想定されるAタイプの放射性崩壊の具体例を示す図である。 は、本発明の実施形態で想定されるBタイプの放射性崩壊の具体例を示す図である。 は、本発明の実施形態に係るイメージング装置の概略構成図である。 は、図5のイメージング装置において、ベータ線を放射する放射性核種の存在位置とベータ線の検出位置との関係を示す図である。 は、図5のイメージング装置におけるベータ線検出器の一構成例を示す図である。 (a)及び(b)は、夫々、本発明の実施形態に係るシンチレータの構成例を示す図、及び、ベータ線の検出に関わる3つの位置の関係を示す図である。 は、本発明の実施形態に係るイメージング装置に関し、Aタイプの放射性崩壊が生じたときの信号の様子を示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の実施形態に係るイメージング装置に関し、Bタイプの放射性崩壊が生じたときの信号の様子を示す図である。 は、本発明の実施形態に係るガンマ線検出器の構成例を示す図である。 は、本発明の第1実施例に係る画像再構成の概念図である。 は、本発明の第2実施例に係る画像再構成の概念図である。 は、本発明の第3実施例に係る画像再構成の概念図である。 は、本発明の第4実施例に係り、イメージング装置の利用例の説明図である。 は、本発明の第7実施例に係るイメージング装置に関し、負のベータ崩壊が生じたときの信号の様子を示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の第7実施例に係るイメージング装置に関し、正のベータ崩壊が生じたときの信号の様子を示す図である。 は、本発明の第7実施例に係る画像再構成の概念図である。 (a)及び(b)は、本発明の第8実施例に係り、参考イメージング装置の構成と画像再構成の概念図である。 は、本発明の第8実施例に係る画像再構成の概念図である。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
図1及び図2を参照し、まず、放射性核種(放射能を持つ核種)の放射性崩壊における2つの様式を説明する。図1はAタイプの放射性崩壊の様式を示し、図2はBタイプの放射性崩壊の様式を示している。Aタイプ、Bタイプの様式にて放射性崩壊を行う放射性核種を、夫々、Aタイプ核種、Bタイプ核種と称する。また、放射性核種について、ベータ崩壊前の核種を親核と称し、ベータ崩壊後の核種を娘核と称する。
図1に示す如く、Aタイプ核種では、親核にてベータ崩壊が生じることで娘核の基底状態に遷移する。即ち、Aタイプ核種のエネルギー準位は、ベータ崩壊によって親核のエネルギー準位から娘核の基底状態のエネルギー準位に遷移する。Aタイプ核種でのベータ崩壊は、電子(負の電荷を持ったベータ粒子)の放出を伴う負のベータ崩壊であっても良いし、陽電子(正の電荷を持ったベータ粒子)の放出を伴う正のベータ崩壊であっても良い。即ち、ベータ崩壊により、Aタイプ核種から電子又は陽電子によるベータ線が放出される。Aタイプの放射性崩壊では、後述のBタイプのそれと異なり、ガンマ線は放出されない(或いは、ガンマ線が放出されたとしても当該ガンマ線は、後述される本実施形態のイメージング装置1において無視される)。
図2に示す如く、Bタイプ核種では、親核にてベータ崩壊が生じることで娘核の励起状態に遷移した後、続けて、ガンマ崩壊により当該Bタイプ核種に固有のエネルギーを有するガンマ線(以下、固有ガンマ線と称する)を放出することで娘核の励起状態から娘核の基底状態に遷移する。Bタイプ核種の娘核における励起状態と基底状態のエネルギー差が、固有ガンマ線のエネルギーとなる。Bタイプ核種において、固有ガンマ線が放出されるタイミングは、核の構造に依存した量子力学的な確率に従う。娘核の励起状態から娘核の基底状態への寿命の指標は半減期として与えられる。Bタイプ核種でのベータ崩壊も、Aタイプ核種でのベータ崩壊と同様、電子(負の電荷を持ったベータ粒子)の放出を伴う負のベータ崩壊であっても良いし、陽電子(正の電荷を持ったベータ粒子)の放出を伴う正のベータ崩壊であっても良い。即ち、ベータ崩壊により、Bタイプ核種から電子又は陽電子によるベータ線が放出される。
図3に、Aタイプの放射性崩壊の一例を示す。Aタイプ核種の親核である18Fにてベータ崩壊が生じると、100%の確率で、娘核である18Oの基底状態に遷移する。このときのベータ崩壊は正のベータ崩壊であり、当該ベータ崩壊により陽電子が放出される。
図4に、Bタイプの放射性崩壊の一例を示す。Bタイプ核種の親核である22Naは、娘核である22Neの基底状態に遷移するまでに、約99.96%の確率で22Neの励起状態を経由する。この際、ガンマ崩壊により約3.63fs(フェムト秒)の半減期にて22Neの励起状態から22Neの基底状態へと遷移し、当該遷移のときに、エネルギーが1275keV(キロエレクトロンボルト)の固有ガンマ線を放出する。22Naから22Neの励起状態への遷移をもたらすベータ崩壊は正のベータ崩壊であり当該ベータ崩壊により陽電子が放出される。尚、Bタイプ核種では、親核から娘核の基底状態に遷移するまでの過程において、娘核における複数の励起状態を経由することもある。
[イメージング装置の概略構成]
図5に、本実施形態に係るイメージング装置(ベータ線二次元イメージング装置)1の概略構成図を示す。イメージング装置1は、位置分解型のベータ線検出器であるベータ線検出器10と、エネルギー分解型のガンマ線検出器であるガンマ線検出器20と、イメージング処理部30と、を備える。TGは、イメージング装置1における撮像対象を表している。
実空間においてX軸、Y軸及びZ軸は互いに直交しているものとし、X軸、Y軸及びZ軸にて定義される三次元空間をXYZ空間と称する。また、X軸及びY軸に平行な二次元平面をXY平面と称する。或る位置のX軸成分、Y軸成分、Z軸成分を、夫々、x、y、zにて表すと共に、或る点のXYZ空間上での位置を(x,y,z)にて表し、且つ、X軸成分及びY軸成分のみに注目したXY平面上での位置を(x,y)にて表す。更に、説明の便宜上、Z軸の正、負に向かう向きを、夫々、上の向き、下の向きと考える。
撮像対象TGは、X軸及びY軸方向に広がりを持つ二次元状の物体である、或いは、二次元状の撮像対象とみなすことができる物体である。撮像対象TGには、2種類以上のBタイプ核種が含まれている、或いは、1種類以上のAタイプ核種と1種類以上のBタイプ核種が含まれており、それらの核種は撮像対象TG内においてX軸及びY軸方向に分布している。
Aタイプ核種又はBタイプ核種によって薬剤を標識することができ、Aタイプ核種及びBタイプ核種は、夫々に、薬剤に取り込まれた形態で撮像対象TGに含まれていても良い。Aタイプ核種によって標識された薬剤(即ち、Aタイプ核種が組み込まれた薬剤)をAタイププローブと称し、Bタイプ核種によって標識された薬剤(即ち、Bタイプ核種が組み込まれた薬剤)をBタイププローブと称する。
―――ベータ線検出器―――
ベータ線検出器10は、撮像対象TG中の放射性核種から放射されるベータ線を受けることができるよう、撮像対象TGの下側において撮像対象TGに隣接配置される。ベータ線検出器10は、撮像対象TG中の放射性核種から放出されるベータ線を受けることによって当該ベータ線を検出し、自身に対するベータ線の入射を検知する度に、ベータ線検出信号を出力する。ベータ線検出信号は、ベータ線検出器10に対してベータ線の入射があったことを示すと共に、ベータ線検出器10におけるベータ線の検出位置を示す位置情報を含む。ここにおけるベータ線の検出位置はXY平面上の位置である。つまり、ベータ線検出信号中の位置情報は、ベータ線の検出位置のX軸成分及びY軸成分のみを含んでいる。
撮像対象TGは二次元状の撮像対象であって且つベータ線の透過能力は低いため、ベータ線検出器10内の位置(x1、y1、z2)にてベータ線が検出された場合、当該ベータ線を放出した放射性核種の存在位置は撮像対象TG内の位置(x1、y1、z1)である可能性が最も高い(図6参照)。故に、X軸及びY軸成分から成る二次元成分にのみ注目した場合、ベータ線の検出位置は、ベータ線を放出する放射性核種の位置とみなすことができる。つまり、ベータ線検出信号に含まれる位置情報は撮像対象TG内のベータ線を放出する放射性核種の位置のX軸成分及びY軸成分を表す、と考えることができ、よって、ベータ線検出部10は撮像対象TG内のベータ線を放出する放射性核種の位置を二次元で検出する、とも言える。このような機能を有するベータ線検出器は公知のものであり、公知の位置分解型のベータ線検出器をベータ線検出器10として採用することができる。
ベータ線検出器10により、ガンマ線も検出することがあるが、ガンマ線は透過力が高いため、イメージングに使用する核種からのベータ線を確実に止めるのに必要十分な厚さ(必要な最低限の厚さ;一般的には数ミリメートル以内)のベータ線検出器10を用意することにより、殆どのガンマ線はベータ線検出器10を突き抜ける。
ここでは、図7に示す如く、ベータ線検出器10が、シンチレータ11と光検出増幅器12とから成るシンチレーション検出器にて構成されるものとする。公知の任意のシンチレーション検出器をベータ線検出器10として用いることができるが、以下、シンチレータ11及び光検出増幅器12の構成及び機能を簡単に説明する。
シンチレータ11は、撮像対象TG中の放射性核種から放射されるベータ線を受けることができるよう、撮像対象TGの下側において撮像対象TGに隣接配置される。シンチレータ11は、X軸及びY軸方向に広がる板状のシンチレータ材料であり、ベータ線の入射によりシンチレーション光を発する。この機能を実現できる限り、シンチレータ11を構成するシンチレータ材料は任意である。
光検出増幅器12は、シンチレータ11からのシンチレーション光を受けることができるよう、シンチレータ11の下側においてシンチレータ11に隣接配置され光学接合されている。従って、撮像対象TGと光検出増幅器12との間にシンチレータ11が挿入されることになる。光検出増幅器12は、シンチレータ11からのシンチレーション光を増幅した上で電気信号に変換して出力する。より具体的には、光検出増幅器12は、シンチレーション光が自身に入射したとき、そのシンチレーション光の入射位置(検出位置)のX軸成分及びY軸成分を示す情報を上記位置情報(x,y)として含んだ電気信号をベータ線検出信号として出力する。位置のX軸成分及びY軸成分にのみ注目したとき、光検出増幅器12におけるシンチレーション光の入射位置は、ベータ線検出器10におけるベータ線の検出位置(換言すればシンチレータ11におけるシンチレーション光の発生位置)とみなされ、撮像対象TGにおけるベータ線を放出する放射性核種の位置とみなされる。ここでは、光検出増幅器12として、ガイガーモードで動作する増倍率の高いアバランシェフォトダイオード(以下、APDと称する)をアレイ状に配置して構成されるMPPC(登録商標)が用いられるものとする。ガイガーモードとは、APDに降伏電圧以上の逆電圧を印加した状態を指す。
ベータ線検出器10における位置検出の分解能が高まるよう、図8(a)に示す如く、板状のシンチレータ材料をX軸及びY軸方向の夫々に沿って分割して形成されるシンチレータ11a(分割によって得られたアレイ状のシンチレータ群)をシンチレータ11として用いるようにしても良い。分割によって得られた各シンチレータ材料の端面の内、XY平面に直交する端面に反射材を設けるようにしても良いし、当該端面を曇らせる(不均一な凹凸を設ける)ようにしても良い。当該端面に到達したシンチレーション光を反射又は拡散させるためである。図8(a)のシンチレータ11aを用いた場合、撮像対象TG内の或る位置(x1,y1,z1)からシンチレータ11aに向けて放出されたベータ線の多くは当該位置の真下の位置(x1,y1,z2)におけるシンチレータ材料に入射し、当該シンチレータ材料にて発生したシンチレーション光の内、真下に向かうもの以外は、当該シンチレータ材料の端面(XY平面に直交する端面)にて反射又は拡散されるなどし、結果として、当該シンチレータ材料からのシンチレーション光は位置(x1,y1,z2)の真下の位置(x1,y1,z3)に入射して位置(x1,y1,z3)にて電気信号に変換される確率が高くなる(図8(b)参照)。つまり、ベータ線を放出する放射性核種の、XY平面上の位置(x1,y1)を正確に検出することが可能となる。
或いは、一体且つ板状のシンチレータ材料をシンチレータ11として用いつつ、当該シンチレータ材料に対しX軸及びY軸方向の夫々に平行なスリットを設けるようにしても良く、この場合でも、シンチレータ11aを用いた場合と同様の作用が得られる。この際、各スリットの端面の内、XY平面に直交する端面に到達したシンチレーション光が反射又は拡散されるよう、当該端面に反射材を設けるようにしても良いし、当該端面を曇らせる(不均一な凹凸を設ける)ようにしても良い。
上記スリットが設けられない、一体且つ板状のシンチレータ材料をシンチレータ11として用いることも可能である。この場合、シンチレータ11内の位置(x1、y1、z2)にてシンチレーション光が発生したとき、そのシンチレーション光の光検出増幅器12での検出位置はXY平面上で相応の広がりを持つことになるが、シンチレーション光の検出強度は位置(x1、y1)において最も大きくなる確率が高いので、信号処理により、本来抽出すべき位置(x1、y1)を大まかには画像化することが可能である。
また、MPPC(登録商標)を用いて光検出増幅器12を形成することを上述したが、ガイガーモードとは異なるノーマルモードで動作するAPDを用いて光検出増幅器12を形成しても良い。或いは、光電子増倍管にて光検出増幅器12を構成しても良い。更に或いは、シンチレータ11を用いることなくベータ線を直接検出する半導体検出器にてベータ線検出器10を構成するようにしても良い。
近年の信号処理技術の発達により、ピクセルが細かくチャンネル数の多い半導体イメージング用検出器においても、フォトンカウンティングと同様に放射線を一つずつ数え、エネルギーと検出時刻を決定することができるシステムが登場して来ている。この様なシステムを本発明に応用することにより、将来的には十分に解像度の高い画像が得られて行くと予想される。
―――ガンマ線検出器―――
ガンマ線検出器20は、撮像対象TG中の放射性核種から放射されるガンマ線を受けることができるよう、撮像対象TGの上側において撮像対象TGから離間して配置される。ガンマ線検出器20は、ガンマ線(主として撮像対象TG中の放射性核種からの固有ガンマ線)を受けることによって当該ガンマ線を検出し、自身に対するガンマ線(主として撮像対象TG中の放射性核種からの固有ガンマ線)の入射を検出する度に、ガンマ線検出信号を出力する。ガンマ線検出信号は、ガンマ線検出器20に対してガンマ線の入射があったことを示すと共に、入射したガンマ線のエネルギーを示すエネルギー情報Eを含む。典型的には例えば、ガンマ線検出器20に対してガンマ線の入射があったとき、当該ガンマ線のエネルギーに応じた波高値を有するパルス状の電圧信号がガンマ線検出信号として出力される。
例えば、Ge(ゲルマニウム)による半導体検出器にてガンマ線検出器20を構成することができる。この場合、ガンマ線検出器20は、0.2〜0.5%程度のエネルギー分解能にて、ガンマ線のエネルギーを検出することが可能である。
但し、Ge以外の半導体材料(例えば、Si、CdTe、CdZnTe)を用いて構成される半導体検出器をガンマ線検出器20として用いても良いし、シンチレーション検出器を用いてガンマ線検出器20を構成しても良い。一般的にシンチレーション検出器は半導体検出器と比較してエネルギー分解能が劣るが、目的の固有ガンマ線を弁別可能なエネルギー分解能を有していれば良い。
―――イメージング処理部―――
イメージング処理部30は、ベータ線検出器10から出力されるベータ線検出信号と、ガンマ線検出器20から出力されるガンマ線検出信号とに基づいて、撮像対象TGに含まれる対象核種の分布像を生成する。対象核種とは、撮像対象TGに含まれ且つ分布の画像化の対象となる何れかの核種を指し、例えば、撮像対象TGに含まれる何れかの特定のBタイプ核種であることもあるし、撮像対象TGにAタイプ核種とBタイプ核種が含まれている場合には当該Aタイプ核種と当該Bタイプ核種の組み合わせであることもある。
対象核種の分布像とは、XY平面に平行な面内における対象核種の分布を示す画像を指す。例えば、XY平面に平行な所定の投影面に対して、撮像対象TG内の対象核種の存在位置を投影した像が、対象核種の分布像に相当する。対象核種としてのAタイプ核種により標識された薬剤(即ちAタイププローブ)が撮像対象TG内に分布している場合、当該対象核種の分布像は、Aタイププローブの分布像でもある。同様に、対象核種としてのBタイプ核種により標識された薬剤(即ちBタイププローブ)が撮像対象TG内に分布している場合、当該対象核種の分布像は、Bタイププローブの分布像でもある。
イメージング処理部30は、図5に示す如く、同時計測判別部31及び画像再構成部32を備える。
同時計測判別部31には、ベータ線検出器10の出力とガンマ線検出器20の出力とが入力される。同時計測判別部31は、ベータ線検出器10によるベータ線の検出とガンマ線検出器20によるガンマ線の検出が同時に発生したか(換言すれば、ベータ線とガンマ線が同時に計測されたか)を判別し、その判別結果を示す同時計測判別信号を出力する。ここにおける同時とは、所定の時間幅を有する概念であり、ベータ線検出器10によるベータ線の検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線の検出タイミングとの時間差が所定値以下であれば、それらの検出タイミングは同時であると判別され、そうでなければ、それらの検出タイミングは同時でないと判別される。このような判別を、以下、同時計測判別と称する。
撮像対象TG内のAタイプ核種又はBタイプ核種よりベータ線が放出されるタイミングtβ1と、ベータ線検出器10にて当該ベータ線が検出器10と相互作用を起こしたタイミングtβ2と、ベータ線検出器10から当該検出結果を示すベータ線検出信号が出力されるタイミングtβ3と、当該ベータ線検出信号が同時計測判別部31に入力されるタイミングtβ4との間には有限の時間差がある(時間の経過と共に、タイミングtβ1、tβ2、tβ3、tβ4が、この順番で訪れる)。タイミングtβ1からタイミングtβ4までの時間は、検出器10の応答及び検出器10からの信号線の長さ等により決まり、検出器10を含むベータ線検出器系に固有の長さを持つ。また、検出位置の違いによる時間応答の差や、信号ノイズの影響により、実際にベータ線が放出されたタイミングtβ1から同時計測判別部31にベータ線検出信号が入力されるタイミングtβ4までの時間差は時間的広がりを持つ。この時間差の広がりはどれだけ精確に放射線放出時刻を決定できるかを示しており、一般的に時間分解能と呼ばれる。
同様に、実際に撮像対象TG内のBタイプ核種よりガンマ線(固有ガンマ線)が放出されるタイミングtγ1と、ガンマ線検出器20にて当該ガンマ線が検出器20と相互作用を起こしたタイミングtγ2と、ガンマ線検出器20から当該検出結果を示すガンマ線検出信号が出力されるタイミングtγ3と、当該ガンマ線検出信号が同時計測判別部31に入力されるタイミングtγ4との間には有限の時間差がある(時間の経過と共に、タイミングtγ1、tγ2、tγ3、tγ4が、この順番で訪れる)。ベータ線検出器系と同様に、タイミングtγ1及びtγ4間の時間差は、検出器20を含むガンマ線検出器系に固有の長さと固有の時間分解能を持つ。
ベータ線検出器系の応答時間(tβ1からtβ4までの時間)とガンマ線検出器系の応答時間(tγ1からtγ4までの時間)が同じになるように、応答時間が短い方の検出器系に対し信号遅延回路を入れることで、同時計測判別部31は、自身に対するベータ線検出信号及びガンマ線検出信号の入力タイミングの差を、ベータ線検出器10によるベータ線の検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線の検出タイミングとの時間差であるとみなすことができる。上記信号遅延回路を考慮すれば、タイミングtβ4、tγ4を、夫々、ベータ線検出器10(ベータ線検出器系)によるベータ線の検出タイミング、ガンマ線検出器20(ガンマ線検出器系)によるガンマ線の検出タイミングと解することもできる。同時計測判別部31は、ベータ線検出器10からベータ線検出信号が入力されたとき、その入力タイミングよりも後であって且つ当該入力タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20からガンマ線検出信号が入力されたか否かを判定し、その判定結果が“肯定”であれば(即ち、ベータ線の検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線が検出されれば)、ベータ線とガンマ線(固有ガンマ線を含む)が同時に計測されたと判別して “1”の論理値を有する同時計測判別信号を出力し、そうでなければ、ベータ線とガンマ線(固有ガンマ線を含む)が同時に計測されていないと判別して“0”の論理値を有する同時計測判別信号を出力する。
ベータ線が放出されてから固有ガンマ線が放出されるまでには時間差が存在するが、娘核の励起状態が特別に長い半減期を持たない限りは、その時間はフェムト秒からピコ秒のオーダーであり、一般的な放射線検出器の時間分解能よりも短い。また、ベータ線の飛行時間、ガンマ線の飛行時間、陽電子が放出されてから対消滅を起こすまでの時間もそれぞれ有限であるが、それらは各検出器の時間分解能よりも十分に短い。従って、同時計測判別に使われる時間TTHは、主としてベータ線検出器10とガンマ線検出20についての各時間分解能に依存して決定される。即ち、ベータ線検出器10によるベータ線の検出時刻決定精度の時間的広がりと、ガンマ線検出器20によるガンマ線の検出時刻決定精度の時間的広がりとを考慮し、それらの時間的広がりを含むように時間TTHの長さが決定される。
ベータ線検出器10にてベータ線が検出される1つの事象をイベントと称する。イメージ処理部30は、イベントごとに、ベータ線検出器10の出力とガンマ線検出器20の出力とに基づいてイベントデータを作成する。
イベントデータは、イメージング装置1に内包されるメモリ(例えばイメージ処理部30に内包されるメモリ;不図示)に記録されて良い。イベントデータを作成及び記録するための条件(マスタートリガー)は、ベータ線検出器10において放射線(ベータ線)の検出があったかどうかでのみ設定するのが効率的である。この場合、ガンマ線検出器20にのみ放射線(ガンマ線)の検出があった場合は、イベントデータは記録されないことになるが、ガンマ線検出器20からの情報のみでは画像化を行うことはできないので、無駄なデータを取り込まないことになり効率的である。但し、ベータ線検出器10とガンマ線検出器20を独立に動作させ、それぞれの検出器からのデータ(イベントデータを形成するデータ)に共通のタイムスタンプを付加して、測定後オフラインで同時計測判別を行う場合は、それぞれの検出器による放射線検出がイベントデータ記録のマスタートリガーとなる。
1つのイベントに対する1つのイベントデータは、当該イベントについてのベータ線検出信号中の位置情報(x,y)と、当該イベントについての同時計測判別信号とを含み、更に、当該イベントについてのガンマ線検出信号中のエネルギー情報Eを含み得る。
1つのイベントに対する1つのイベントデータに関し、当該イベントデータに含まれる位置情報(x,y)は、当該イベントにおけるベータ線検出器10でのベータ線の検出位置を示すと共に、当該イベントにてベータ線を放出した核種の位置を示す。これらの位置は、上述したようにX軸方向及びY軸方向における位置である。
1つのイベントに対する1つのイベントデータに関し、当該イベントデータに含まれ得るエネルギー情報Eは、当該イベントについて検出されたガンマ線のエネルギーを示す。
図9は、Aタイプ核種のベータ崩壊によるイベント(以下、Aタイプイベントと称する)の説明図である。Aタイプイベントでは、Aタイプ核種がベータ線を放出することで当該Aタイプ核種の位置を示す位置情報(x,y)を含んだベータ線検出信号が生成されるが、固有ガンマ線は放出されない。従って、Aタイプイベントにおけるイベントデータは、位置情報(x,y)と“0”の同時計測判別情報とから成り、エネルギー情報Eを含まない。尚、Aタイプ核種のベータ崩壊によるベータ線がベータ線検出器10にて検出されないこともあるが、そのような事象はイベントを形成しない(Bタイプ核種についても同様)。
図10(a)及び(b)は、Bタイプ核種のベータ崩壊によるイベント(以下、Bタイプイベントと称する)の説明図である。Bタイプイベントでは、Bタイプ核種がベータ線を放出することで当該Bタイプ核種の位置を示す位置情報(x,y)を含んだベータ線検出信号が生成され、一方で、当該Bタイプ核種がベータ線に続いて固有ガンマ線を放出することでガンマ線検出信号が生成され得る。Bタイプイベントにおいて、図10(a)に示す如く、固有ガンマ線がガンマ線検出器20に入射して固有ガンマ線が検出された場合にはガンマ線検出信号が生成されるため、イベントデータはベータ線検出信号中の位置情報(x,y)と、“1”の同時計測判別情報と、ガンマ線検出信号中のエネルギー情報Eと、を含むことになる。一方、Bタイプイベントにおいて、図10(b)に示す如く、固有ガンマ線がガンマ線検出器20に入射しなかった場合には固有ガンマ線が検出されないため、イベントデータは、位置情報(x,y)と“0”の同時計測判別情報とから成り、エネルギー情報Eを含まない。
ガンマ線検出器20における固有ガンマ線の検出の立体角を高めれば、Bタイプイベントにおいて固有ガンマ線の検出確率が高まるため、当該立体角が高まるように、ガンマ線検出器20を撮像対象TGに対してなるだけ近接して配置すると共に、撮像対象TGを覆うのに十分な大きさ持つガンマ線検出器20を使用すると良い。イメージング装置1では、特許文献1(特許第5526435号公報)に示されたようなPET装置での固有ガンマ線の検出の立体角と比べても、2πに近い大きな立体角を容易に実現できる。
また複数のガンマ線検出器を使用することもできる。例えば図11に示す如く、ガンマ線検出器20を、撮像対象TGの上方に配置されたガンマ線検出器20Aと撮像対象TGの下方に配置されたガンマ線検出器20Bとで構成することで、上記立体角を更に高めることも可能である。この場合、撮像対象TG及びベータ線検出器10が、ガンマ線検出器20Aとガンマ線検出器20Bとの間に挟まれるようになる。図11の例では、ガンマ線検出器20Aとガンマ線検出器20Bとで1つのガンマ線検出器20が構成され、ガンマ線検出器20Aの出力とガンマ線検出器20Bの出力の論理和にてガンマ線検出器20の出力信号が形成される。即ち、図11のガンマ線検出器20は、ガンマ線検出器20Aの存在位置及びガンマ線検出器20Bの存在位置の何れかにてガンマ線(固有ガンマ線を含む)が検出されたとき、ガンマ線検出信号を出力する。
画像再構成部32は、複数のイベントデータに基づいて画像の再構成処理を行うことで対象核種の分布像を生成する。実際には、得られたイベントデータに含まれる(x,y)のベータ線検出位置情報を、ピクセル化されたXY平面上にヒストグラミングして行くことで、放射能の強度分布を得る。
上述したイメージング装置1の構成及び動作等を、便宜上、基本実施例と称する。以下、複数の実施例の中で、生成される分布像の具体例、イメージング装置1の更なる詳細な構成例、動作例、応用例などを説明する。特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、基本実施例に記載の事項が後述の各実施例に適用され、各実施例において基本実施例と矛盾する事項については、各実施例での記載が優先される。また矛盾無き限り、以下に述べる複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例では、撮像対象TGに、互いに種類の異なるBタイプ核種であるBタイプ核種NCB1及びBタイプ核種NCB2が含まれているものとする。撮像対象TGに、Aタイプ核種が更に含まれていても良いが、ここではAタイプ核種が含まれていないものとする。Bタイプ核種NCB1、NCB2の固有ガンマ線のエネルギーは、夫々、E1、E2であり、エネルギーE1及びE2は互いに異なる。ガンマ線検出器20は、エネルギーE1とエネルギーE2を分解してガンマ線を検出することができる。即ち、ガンマ線検出器20は、エネルギーE1の固有ガンマ線とエネルギーE2の固有ガンマ線を区別して検出することができる。
ガンマ線検出器20にて、Bタイプ核種NCB1から放出された固有ガンマ線が検出されたとき、検出された固有ガンマ線のエネルギーがエネルギーE1であることを示すエネルギー情報E(以下、エネルギー情報E1と称することもある)を含んだガンマ線検出信号が出力され、Bタイプ核種NCB2から放出された固有ガンマ線が検出されたとき、検出された固有ガンマ線のエネルギーがエネルギーE2であることを示すエネルギー情報E(以下、エネルギー情報E2と称することもある)を含んだガンマ線検出信号が出力される。つまり、エネルギー情報E1を含むガンマ線検出信号の出力は、Bタイプ核種NCB1からの固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されたことを示しており、エネルギー情報E2を含むガンマ線検出信号の出力は、Bタイプ核種NCB2からの固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されたことを示している。
図12は、第1実施例に係る画像再構成の概念図である。像200は、撮像対象TG内におけるBタイプ核種NCB1及びNCB2の実際の分布を示している。第1実施例では、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群210と、エネルギーE1の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群211と、エネルギーE2の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群212と、が得られる。
エネルギーE1の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータとは、“1”の同時計測判別信号を含むイベントデータであって、且つ、位置情報(x,y)及びエネルギー情報E1を含むイベントデータである。
エネルギーE2の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータとは、“1”の同時計測判別信号を含むイベントデータであって、且つ、位置情報(x,y)及びエネルギー情報E2を含むイベントデータである。
固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータとは、固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されないイベントについてのイベントデータであって、典型的には“0”の同時計測判別信号を含むイベントデータであり、従って、位置情報(x,y)を含むがエネルギー情報Eは含まない。後述されるように、対消滅等の影響により固有ガンマ線以外のガンマ線がガンマ線検出器20に入射することもあり、その場合には、イベントデータ中の同時計測判別信号が“1”を示すこともあるが、当該イベントデータ中のエネルギー情報EがエネルギーE1又はE2を示していないならば、当該イベントデータは、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータに分類される。
尚、固有ガンマ線を放出しない核種からのベータ線が検出されたときと同時に、偶発的に、エネルギーE1又はE2と同じエネルギーのガンマ線が検出されることもある。この偶発同時計数と呼ばれる事象は、同時計測を行う装置においては、単位時間当たりの検出回数に依存して頻度が変化するものの常に起こる事象である。イメージング装置1における偶発同時計数については、PETで用いられる公知の遅延同時計測によるバックグラウンド除去と同等の手法により補正可能である。
イベントデータ群211中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中のBタイプ核種NCB1の存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群211中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TG内におけるBタイプ核種NCB1の分布像221を生成することができる。
つまり、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つエネルギー情報E1が得られているときの位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像221を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にてエネルギーE1の固有ガンマ線が検出されていることを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像221を生成することができる。
イベントデータ群212中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中のBタイプ核種NCB2の存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群212中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TG内におけるBタイプ核種NCB2の分布像222を生成することができる。
つまり、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つエネルギー情報E2が得られているときの位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB2の分布像222を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にてエネルギーE2の固有ガンマ線が検出されていることを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB2の分布像222を生成することができる。
イベントデータ群210中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中のBタイプ核種NCB1及びNCB2の何れかの存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群210中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TGに含まれる全ての核種(ここではBタイプ核種NCB1及びNCB2)の分布を重ね合わせたものに相当する分布像220を生成することができる。つまり、イメージング処理部30は、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて分布像220を生成することができる。
このように、イメージング装置1によれば、複数種類のBタイプ核種の分布を、互いに区別して一度にイメージングすることが可能となる。
但し、イメージング装置1は、分布像220、221及び222を生成する機能を有しつつも、それらの分布像の内、1つの分布像(特に例えば分布像221又は222)のみを生成するように動作しても良いし、2つの分布像(特に例えば分布像221及び222)のみを生成するように動作しても良い。
尚、Bタイプ核種からベータ線として陽電子が放出される場合、当該陽電子がシンチレータ11にてシンチレーション光の生成に寄与した後、当該陽電子と近傍の電子との間で対消滅が発生する。そして、対消滅により発生した511keVのエネルギーを有するガンマ線がガンマ線検出器20に入射することもある。従って、ベータ崩壊によって陽電子を放出するBタイプ核種を撮像対象TGに含める場合においては、対消滅によるガンマ線と固有ガンマ線との区別を可能とするべく、撮像対象TGに含まれる各Bタイプ核種として、固有ガンマ線のエネルギーが511keVと異なるBタイプ核種を使用すると良い。そして、エネルギーE1とエネルギーE2と511keVとを分解できる程度のエネルギー分解能をガンマ線検出器20に持たせると良い。後述の他の実施例においても同様である。
上述の如く、正のベータ崩壊により陽電子を放出する核種について、当該陽電子がベータ線検出器10に入射すると、最終的には対消滅を起こし、互いに180°反対向きに、各々に511keVのエネルギーを持った2本のガンマ線(対消滅ガンマ線)を生じる。この対消滅ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されることもある。正のベータ崩壊を行う核種と負のベータ崩壊を行う核種を同時にイメージングする際は、この対消滅ガンマ線の検出の有無により、核種の識別を行うことも可能である。これは後述の他の実施例においても同様であるが、この方法については第7実施例にて詳説する。
また、ベータ線がシンチレータ11に入射したとき特性X線が発生することがあり、その特性X線がガンマ線検出器20に入射することもある。特性X線のエネルギー(数keV〜百数十keV程度)は固有ガンマ線のエネルギー(例えば300〜2000keV程度)よりも低く、ガンマ線検出器20は、そのような特性X線の検出器20への入射を阻止するために、低エネルギーであるX線を吸収する吸収体を検出器前に有していると良い。後述の他の実施例においても同様である。
撮像対象TGに2種類のBタイプ核種が含まれている場合について説明したが、撮像対象TGに、対応する固有ガンマ線のエネルギーが互いに異なる3種類以上のBタイプ核種が含まれていても良い。この場合においても、イメージング装置1は、ベータ線検出タイミング及びガンマ線検出タイミングに基づいて同時計測判別信号に“0”又は“1”を設定しつつ、イベントの発生ごとにイベントデータを生成し、イベントデータの集まりから、3種類以上のBタイプ核種の分布を互いに区別して一度にイメージングすることができる(後述の他の実施例においても同様)。
より具体的には例えば、Bタイプ核種NCB1及びNCB2に加えて、対応する固有ガンマ線のエネルギーがE3であるBタイプ核種NCB3が撮像対象TGに含まれているとき、イメージング処理部30は、上述の如くBタイプ核種NCB1の分布像221及びBタイプ核種NCB2の分布像222を生成することが可能であると共に、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つE3のエネルギー情報Eが得られているときの位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB3の分布像(不図示)を生成することができる。
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例では、撮像対象TGに、Aタイプ核種NCA1と、第1実施例でも述べたBタイプ核種NCB1が含まれており、それら以外の核種は含まれていないものとする。ガンマ線検出器20は、Bタイプ核種NCB1から放出される固有ガンマ線を検出することができる、即ち、エネルギーE1の固有ガンマ線を検出することができる。ガンマ線検出器20にて、Bタイプ核種NCB1から放出された固有ガンマ線が検出されたとき、検出された固有ガンマ線のエネルギーがエネルギーE1であることを示すエネルギー情報E(エネルギー情報E1)を含んだガンマ線検出信号が出力される。つまり、エネルギー情報E1を含むガンマ線検出信号の出力は、Bタイプ核種NCB1からの固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されたことを示している。
図13は、第2実施例に係る画像再構成の概念図である。像300は、撮像対象TG内におけるAタイプ核種NCA1及びBタイプ核種NCB1の実際の分布を示している。第2実施例では、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群310と、エネルギーE1の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群311と、が得られる。
エネルギーE1の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータとは、“1”の同時計測判別信号を含むイベントデータであって、且つ、位置情報(x,y)及びエネルギー情報E1を含むイベントデータである。
固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータとは、固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されないイベントについてのイベントデータであって、典型的には“0”の同時計測判別信号を含むイベントデータであり、従って、位置情報(x,y)を含むがエネルギー情報Eは含まない。第1実施例で述べたように、対消滅等の影響により固有ガンマ線以外のガンマ線がガンマ線検出器20に入射することもあり、その場合には、イベントデータ中の同時計測判別信号が“1”を示すこともあるが、当該イベントデータ中のエネルギー情報EがエネルギーE1を示していないならば、当該イベントデータは、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータに分類される。
イベントデータ群311中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中のBタイプ核種NCB1の存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群311中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TG内におけるBタイプ核種NCB1の分布像321を生成することができる。
つまり、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つエネルギー情報E1が得られているときの位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像321を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にてエネルギーE1の固有ガンマ線が検出されていることを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像321を生成することができる。
第2実施例では、固有ガンマ線を放出する核種はBタイプ核種NCB1のみであるため、各イベントにおいて、固有ガンマ線は検出されるか検出されないかの2パターンに限定される。このため、ガンマ線検出器20は、固有ガンマ線が検出されたか否かのみを検出すれば足る。そして、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つ固有ガンマ線が検出されたイベントの位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像321を生成できる。
イベントデータ群310中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中のAタイプ核種NCA1及びBタイプ核種NCB1の何れかの存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群310中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TGに含まれる全ての核種(ここでは核種NCA1及びNCB1)の分布を重ね合わせたものに相当する分布像320を生成することができる。つまり、イメージング処理部30は、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて分布像320を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にて固有ガンマ線(ここではエネルギーE1の固有ガンマ線)が検出されていないことを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、分布像320を生成することができる。
このように、イメージング装置1によれば、撮像対象TGにAタイプ核種とBタイプ核種が混在している場合において、Bタイプ核種の分布のみを抽出してイメージングでき、それと同時に、Aタイプ核種の分布とBタイプ核種の分布を重ねあわせたものもイメージングできる。
また、分布像320と分布像321を合成することで、Aタイプ核種NCA1のみの分布を示す分布像(以下、Aタイプ分布像と称する)を生成することもできる。この合成において、Aタイプ分布像の注目位置における画素値(画素の輝度値)は、“P320−((1−ε)/ε)P321 ”によって表される。ここで、P320は注目位置における分布像320中の画素値を表し、P321は注目位置における分布像321中の画素値を表し、εは撮像対象TG中の核種から放出される固有ガンマ線のエネルギーに対する検出効率を表す。
但し、イメージング装置1は、分布像320及び321並びにAタイプ分布像を生成する機能を有しつつも、それらの分布像の内、1つの分布像(特に例えば分布像321)のみを生成するように動作しても良いし、2つの分布像(特に例えば分布像321及びAタイプ分布像)のみを生成するように動作しても良い。
尚、第2実施例におけるガンマ線検出器20は、エネルギーE1の固有ガンマ線の有無のみを検出すれば足るため、第1実施例の如くエネルギーが互いに異なる複数の固有ガンマ線を区別して検出する必要がある場合と比べ、ガンマ線検出器20に要求されるエネルギー分解能は低くて良い。
ここで、検出効率εに関して説明を補足する。ガンマ線検出器20による固有ガンマ線の検出効率εはエネルギーに依存した値となる。また、ガンマ線検出器20の検出効率εは場所により変わるため、Z軸方向における撮像対象TGの厚みを無視して撮像対象TGが2次元物体であると考えると、検出効率εは2次元位置(x,y)に依存した関数となる。あるエネルギーに対する位置(x,y)での固有ガンマ線の検出効率εを、ε(x,y)で表す。
また、ベータ線検出器10も場所依存の検出効率を持ち、放射能の定量化を行う際は位置毎の検出回数をヒストグラミングして得た画像に対し補正を行う必要となるが、得られた画像データは、位置に依存した検出効率で補正されているものとする(本実施例以外の各実施例においても同様)。
撮像対象TGにAタイプ核種とBタイプ核種が含まれている場合において、撮像対象TG内のAタイプ核種、Bタイプ核種の実際の二次元分布を、位置(x,y)の関数として、夫々、A(x,y)、B(x,y)で表すと、固有ガンマ線の検出を伴う画像は“ε(x,y)B(x,y)”で表される。また、固有ガンマ線の検出を伴わない画像は“A(x,y)+(1−ε(x,y))B(x,y)”で表される。ここで、撮像対象TG中の各核種のベータ線の放出率、及び、撮像対象TG中のBタイプ核種がベータ線に続けて固有ガンマ線を放出する確率は、1であると仮定している。
従って、ベータ線と固有ガンマ線の同時検出を伴う画像(本実施例においてイベントデータ群311にて形成される画像)をT(x,y)とし、且つ、固有ガンマ線の検出を伴わない画像(本実施例においてイベントデータ群310にて形成される画像)をD(x,y)とすると、撮像対象TG中のBタイプ核種の実際の分布は“B(x,y)=T(x,y)/ε(x,y)”となる。また、画像の差し引きにより、撮像対象TG中のAタイプ核種の実際の分布を求めることができ、撮像対象TG中のAタイプ核種の実際の分布は“A(x,y)=D(x,y)−T(x,y)(1−ε(x,y))/ε(x,y)”となる。実測によりD(x,y)及びT(x,y)が得られるので、検出効率ε(x,y)を考慮しつつ、上記式を用いて、B(x,y)、A(x,y)を、夫々、Bタイプ核種の分布像(本実施例において分布像321)、Aタイプ核種の分布像(Aタイプ分布像)として求めれば良い。このような検出効率を考慮して各核種の分布像を導出する方法は、本実施例以外の各実施例においても適用可能である。
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。第3実施例では、撮像対象TGに、第1又は第2実施例で述べたAタイプ核種NCA1並びにBタイプ核種NCB1及びNCB2が含まれているものとする。第1実施例で述べたように、Bタイプ核種NCB1、NCB2の固有ガンマ線のエネルギーは、夫々、E1、E2であり、エネルギーE1及びE2は互いに異なる。ガンマ線検出器20は、エネルギーE1とエネルギーE2を分解してガンマ線を検出することができる。即ち、ガンマ線検出器20は、エネルギーE1の固有ガンマ線とエネルギーE2の固有ガンマ線を区別して検出することができる。
ガンマ線検出器20にて、Bタイプ核種NCB1から放出された固有ガンマ線が検出されたとき、検出された固有ガンマ線のエネルギーがエネルギーE1であることを示すエネルギー情報E(エネルギー情報E1)を含んだガンマ線検出信号が出力され、Bタイプ核種NCB2から放出された固有ガンマ線が検出されたとき、検出された固有ガンマ線のエネルギーがエネルギーE2であることを示すエネルギー情報E(エネルギー情報E2)を含んだガンマ線検出信号が出力される。つまり、エネルギー情報E1を含むガンマ線検出信号の出力は、Bタイプ核種NCB1からの固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されたことを示しており、エネルギー情報E2を含むガンマ線検出信号の出力は、Bタイプ核種NCB2からの固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されたことを示している。
図14は、第3実施例に係る画像再構成の概念図である。像400は、撮像対象TG内におけるAタイプ核種NCA1並びにBタイプ核種NCB1及びNCB2の実際の分布を示している。第3実施例では、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群410と、エネルギーE1の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群411と、エネルギーE2の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群412と、が得られる。
エネルギーE1の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータとは、“1”の同時計測判別信号を含むイベントデータであって、且つ、位置情報(x,y)及びエネルギー情報E1を含むイベントデータである。
エネルギーE2の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータとは、“1”の同時計測判別信号を含むイベントデータであって、且つ、位置情報(x,y)及びエネルギー情報E2を含むイベントデータである。
固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータとは、固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されないイベントについてのイベントデータであって、典型的には“0”の同時計測判別信号を含むイベントデータであり、従って、位置情報(x,y)を含むがエネルギー情報Eは含まない。第1実施例で述べたように、対消滅等の影響により固有ガンマ線以外のガンマ線がガンマ線検出器20に入射することもあり、その場合には、イベントデータ中の同時計測判別信号が“1”を示すこともあるが、当該イベントデータ中のエネルギー情報EがエネルギーE1又はE2を示していないならば、当該イベントデータは、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータに分類される。
イベントデータ群411中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中のBタイプ核種NCB1の存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群411中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TG内におけるBタイプ核種NCB1の分布像421を生成することができる。
つまり、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つエネルギー情報E1が得られているときの位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像421を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にてエネルギーE1の固有ガンマ線が検出されていることを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像421を生成することができる。
イベントデータ群412中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中のBタイプ核種NCB2の存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群412中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TG内におけるBタイプ核種NCB2の分布像422を生成することができる。
つまり、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つエネルギー情報E2が得られているときの位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB2の分布像422を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にてエネルギーE2の固有ガンマ線が検出されていることを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB2の分布像422を生成することができる。
イベントデータ群410中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中の核種NCA1、NCB1及びNCB2の何れかの存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群410中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TGに含まれる全ての核種(ここでは核種NCA1、NCB1及びNCB2)の分布を重ね合わせたものに相当する分布像420を生成することができる。つまり、イメージング処理部30は、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて分布像420を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にてエネルギーE1の固有ガンマ線及びエネルギーE2の固有ガンマ線の何れも検出されていないことを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、分布像420を生成することができる。
このように、イメージング装置1によれば、複数種類のBタイプ核種の分布を、互いに区別して一度にイメージングすることが可能であると共に、それと同時に、Aタイプ核種の分布とBタイプ核種の分布を重ねあわせたものもイメージングできる。また、第2実施例で述べた方法と同様の方法にて分布像420〜422を合成することで、Aタイプ核種NCA1のみの分布を示す分布像(Aタイプ分布像)を生成することもできる。
但し、イメージング装置1は、分布像420〜422及びAタイプ分布像を生成する機能を有しつつも、それらの分布像の内、1つの分布像(特に例えば分布像421又は422)のみを生成するように動作しても良いし、2つの分布像(特に例えば分布像421及び422、或いは、分布像421及びAタイプ分布像、或いは、分布像422及びAタイプ分布像)のみを生成するように動作しても良いし、3つの分布像(特に例えば分布像421及び422並びにAタイプ分布像)のみを生成するように動作しても良い。
これは、特に、後述の放射化分析を行う場合等であって且つ撮像対象TG内に放射化された複数の様々な核種が生成されている状態において、固有ガンマ線を放出する特定のBタイプ核種のみを、固有ガンマ線のエネルギーの検出結果に基づき抽出してイメージングするケース等に有益である。
尚、第1実施例で述べたように、撮像対象TGに、対応する固有ガンマ線のエネルギーが互いに異なる3種類以上のBタイプ核種が含まれていても良い。また、2種類以上のAタイプ核種が撮像対象TGに含まれていても良い。
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第4実施例では、イメージング装置1の利用例を説明する。
薬の開発過程において、どの薬剤が生体中のどの部位に良く集積するのか等の挙動を調べる際、細胞レベル(ペトリ皿等の平面上に培養した細胞)から研究することが一般的に行われる。このような研究にイメージング装置1を利用できる。
例えば、図15に示す如く、まず前工程として、Bタイプ核種NCB1により標識された第1Bタイププローブ及びBタイプ核種NCB2により標識された第2Bタイププローブを含んだ培養液600中に、或る特性を有する第1細胞の集まりから成る第1細胞群610と他の特性を有する第2細胞の集まりから成る第2細胞群620を所定時間浸す。これにより、第1Bタイププローブ又は第2Bタイププローブが、第1又は第2細胞の何れかに取り込まれることが期待される。
上記の前工程の後、培養液600、第1細胞群610及び第2細胞群620が収容されていた試験容器中から培養液600を除去したものを撮像対象TGとして用いて、イメージング装置1にてイメージングを行う。この結果、Bタイプ核種NCB1の分布像である第1Bタイププローブの分布像631及びBタイプ核種NCB2の分布像である第2Bタイププローブの分布像632が得られ、分布像631及び632から、第1細胞及び第2細胞のどちらに第1Bタイププローブが取り込まれ易いのか、第1細胞及び第2細胞のどちらに第2Bタイププローブが取り込まれ易いのかを知ることができる。例えば、試験容器中の第1細胞群610の存在位置に第1Bタイププローブが集中して分布していること及び試験容器中の第2細胞群620の存在位置に第2Bタイププローブが集中して分布していることが分布像631及び632から読み取れる場合には、第1細胞及び第2細胞の内、第1Bタイププローブは第1細胞の方に取り込まれ易く且つ第2Bタイププローブは第2細胞の方に取り込まれ易いということが分かる。
動物実験レベルにおいてもイメージング装置1は有益である。例えば、マウスに対し、Bタイプ核種NCB1により標識された第1Bタイププローブ、Bタイプ核種NCB2により標識された第2Bタイププローブ及びAタイプ核種NCA1により標識されたAタイププローブを静脈注射又は経口投与し、一定時間の経過後、当該マウスを解剖して当該マウスの組織切片(例えば厚さ50μm程度の組織切片)を作製する。この組織切片を撮像対象TGとして用い、第3実施例で述べた方法を用いれば、当該組織切片に対して図14の分布像420〜422が得られる。分布像420〜422を参照することで(更にはAタイプ分布像も参照することで)、マウスのどの部位に、どの核種が集積し易いのか等を知ることができる。例えば、マウスの肝臓の特定部分に癌細胞がある場合において、マウスの肝臓の組織切片を作製してイメージングを行えば、マウスの肝臓に集積していたのは第1Bタイププローブのみであるとか、肝臓の特定部位に集積していたのは第2Bタイププローブのみであるか等の情報を得ることができる。
また、二次元物体とみなせる程度に厚さの小さい生体組織であれば、切片化を必要とすることなく、撮像対象TGとしてイメージングできる可能性もある。
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。第5実施例では、イメージング装置1の他の利用例を説明する。
イメージング装置1の撮像対象TGは生体に限定されず、例えば植物を撮像対象TGにすることもできるし、無機物を撮像対象TGにすることもできる。
例えば、ナトリウムと鉄を含んで構成される電池に関し、当該電池の電極膜におけるナトリウムの分布や鉄の分布を知りたいという要望がある場合、前工程として、当該電池を構成するナトリウム(安定同位体の23Na)の一部をナトリウムの放射性同位体である22Naに置換すると共に、当該電池を構成する鉄(安定同位体の56Fe)の一部を鉄の放射性同位体である52Feに置換する。その後、適宜、当該電池に対して所定の劣化試験を施してから、当該電池の電極膜を撮像対象TGとする。この場合、22Na、52Feが、夫々、Bタイプ核種NCB1、NCB2として機能する。
そうすると、第1実施例で述べた方法により分布像220〜222が得られ(図12参照)、分布像221及び222により、当該電池の電極膜におけるナトリウムの分布状態及び鉄の分布状態を個別に知ることができる。
この他、イオン交換膜等の薄膜に蓄積した微量金属等を加速器からのビーム照射により放射化させ、該放射化後の微量金属等を含む薄膜を撮像対象TGにすることもできるし、イオンドープが施された物体を撮像対象TGにすることもできる。また、分布画像のみではなく、例えば単一の細胞に対し或る放射能量のプローブ核種を導入し、点としてその動きを追跡するパーティクルトラッキングに本発明を利用することもできる。
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。第4及び第5実施例で挙げた利用例は、放射性同位体によるトレーサーを撮像対象TGに含ませておいて当該トレーサーが撮像対象TG内でどのように分布したのかを分析するトレーサー分析に属するが、イメージング装置1を放射化分析に利用することもできる。
例えば、第5実施例で述べた電池の内、ナトリウムの放射性同位体及び鉄の放射性同位体を含んでいない状態の電池の電極膜に対し、加速器を用いて高エネルギーのガンマ線を照射する。これにより、当該電池の電極膜において、幾つかの元素に核変換が生じて放射性同位体が生成される。この放射性同位体が生成された状態の電極膜を撮像対象TGとする。そうすると例えば、撮像対象TG内に22Na及び52Feが含まれている場合には、22Na、52Feが、夫々、Bタイプ核種NCB1、NCB2として機能し、第1実施例で述べた方法により分布像220〜222が得られて(図12参照)、分布像221及び222により当該電池の電極膜におけるナトリウムの分布状態及び鉄の分布状態を個別に知ることができる。
<<第7実施例>>
第7実施例を説明する。正のベータ崩壊で放出された陽電子がベータ線検出器10に入射した場合、陽電子はベータ線検出器10にエネルギーを与え、最終的にはほぼ停止状態になり近隣の電子(ベータ線検出器10内の電子)と対消滅を起こす。この対消滅により、互いに180°反対向きに、各々に511keVのエネルギーを持った2本のガンマ線(対消滅ガンマ線)が発生する。この消滅ガンマ線を陽電子と共に検出器10及び20にて同時計測することにより、正のベータ崩壊であったことを同定することができる。即ち、正のベータ崩壊を行う核種(以下、正のベータ崩壊核種と称する)と負のベータ崩壊を行う核種(以下、負のベータ崩壊核種と称する)が混在している撮像対象TGにおいて、消滅ガンマ線の計測の有無により、これらを区別して同定することが可能である。この方法について説明を加える。
ガンマ線検出器20は、正のベータ崩壊核種からの陽電子とベータ線検出器10内の電子との対消滅により発生した対消滅ガンマ線を受けることができるような位置に配置されている。ガンマ線検出器20は、ガンマ線(ここでは主として対消滅ガンマ線)を受けることによって当該ガンマ線を検出し、自身に対するガンマ線(ここでは主として対消滅ガンマ線)の入射を検知する度に、ガンマ線検出信号を出力する。上述してきたように、ガンマ線検出信号は、ガンマ線検出器20に対してガンマ線の入射があったことを示すと共に、入射したガンマ線のエネルギーを示すエネルギー情報Eを含む。尚、ガンマ線検出器20にて検出されるべきガンマ線が対消滅ガンマ線である場合、ガンマ線検出器系の応答時間(tγ1からtγ4までの時間)に関して上述したタイミングtγ1、tγ2は、夫々、対消滅ガンマ線が発生したタイミング、当該対消滅ガンマ線がガンマ線検出器20と相互作用を起こしたタイミングであると解される。
同時計測判別部31は、ベータ線検出器10からベータ線検出信号が入力されたとき、その入力タイミングよりも後であって且つ当該入力タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20からガンマ線検出信号が入力されたか否かを判定し、その判定結果が“肯定”であれば(即ち、ベータ線の検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線が検出されれば)、ベータ線とガンマ線(ここでは主として対消滅ガンマ線)が同時に計測されたと判別して “1”の論理値を有する同時計測判別信号を出力し、そうでなければ、ベータ線とガンマ線(ここでは主として対消滅ガンマ線)が同時に計測されていないと判別して“0”の論理値を有する同時計測判別信号を出力する。
図16は、負のベータ崩壊によるイベント(以下、負のベータ崩壊イベントと称する)の説明図である。負のベータ崩壊イベントでは、負のベータ崩壊核種がベータ線としての電子を放出することで当該ベータ崩壊核種の位置を示す位置情報(x,y)を含んだベータ線検出信号が生成されるが、対消滅ガンマ線は生成されない。従って、負のベータ崩壊イベントにおけるイベントデータは、位置情報(x,y)と“0”の同時計測判別情報とから成り、エネルギー情報Eを含まない。尚、負のベータ崩壊核種からのベータ線がベータ線検出器10にて検出されないこともあるが、そのような事象はイベントを形成しない(正のベータ崩壊核種についても同様)。
図17(a)及び(b)は、正のベータ崩壊によるイベント(以下、正のベータ崩壊イベントと称する)の説明図である。図17(a)及び(b)において、ベータ線検出位置付近から互いに反対向きに伸びる2本の矢印付き破線線分が一対の対消滅ガンマ線を表している。正のベータ崩壊イベントでは、正のベータ崩壊核種がベータ線としての陽電子を放出することで当該ベータ崩壊核種の位置を示す位置情報(x,y)を含んだベータ線検出信号が生成され、一方で、正のベータ崩壊核種からの陽電子とベータ線検出器10内の電子との対消滅により発生した対消滅ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されることでガンマ線検出信号が生成され得る。正のベータ崩壊イベントにおいて、図17(a)に示す如く、対消滅ガンマ線がガンマ線検出器20に入射して対消滅ガンマ線が検出された場合にはガンマ線検出信号が生成されるため、イベントデータは、ベータ線検出信号中の位置情報(x,y)と、“1”の同時計測判別情報と、ガンマ線検出信号中のエネルギー情報Eと、を含むことになる。一方、正のベータ崩壊イベントにおいて、図17(b)に示す如く、対消滅ガンマ線がガンマ線検出器20に入射しなかった場合には対消滅ガンマ線が検出されないため、イベントデータは、位置情報(x,y)と“0”の同時計測判別情報とから成り、エネルギー情報Eを含まない。
対消滅により、互いに反対向きに進行する一対の対消滅ガンマ線が発生するが、ここでは、撮像対象TGの上方にのみガンマ線検出器20が配置されているものとし、一対の対消滅ガンマ線の内、一方の対消滅ガンマ線のみがガンマ線検出器20にて検出されうるものとする。但し、図11に示したように撮像対象TGの上方及び下方の夫々にガンマ線検出器を配置し、双方のガンマ線検出器にて一対の対消滅ガンマ線が同時に検出されたときに限り、対消滅ガンマ線が検出されたものとして取り扱うようにしても良い。
ガンマ線検出器20にて、対消滅ガンマ線がガンマ線として検出されたとき、検出されたガンマ線のエネルギーが対消滅ガンマ線のエネルギー(511keV)であることを示すエネルギー情報E(以下、エネルギー情報E511と称することもある)を含んだガンマ線検出信号が出力される。つまり、エネルギー情報E511を含むガンマ線検出信号の出力は、対消滅ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されたことを示している。
図18は、第7実施例に係る画像再構成の概念図である。ここでは、撮像対象TGに、正のベータ崩壊核種NCP1及び負のベータ崩壊核種NCN1が含まれているものとする。そうすると、ベータ線検出器10の検出対象は、正のベータ崩壊核種NCP1から放出される陽電子としてのベータ線と、負のベータ崩壊核種NCN1から放出される電子としてのベータ線となる。核種NCP1及びNCN1の夫々の放射性崩壊の様式はAタイプでもBタイプでも良い。
像700は、撮像対象TG内における正のベータ崩壊核種NCP1及び負のベータ崩壊核種NCN1の実際の分布を示している。第7実施例では、対消滅ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群710と、対消滅ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群711と、が得られる。
対消滅ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータとは、“1”の同時計測判別信号を含むイベントデータであって、且つ、位置情報(x,y)及びエネルギー情報E511を含むイベントデータである。
対消滅ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータとは、対消滅ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されないイベントについてのイベントデータであって、典型的には“0”の同時計測判別信号を含むイベントデータであり、従って、位置情報(x,y)を含むがエネルギー情報Eは含まない。対消滅ガンマ線以外のガンマ線がガンマ線検出器20に入射することもあり、その場合には、イベントデータ中の同時計測判別信号が“1”を示すこともあるが、当該イベントデータ中のエネルギー情報EがエネルギーE511を示していないならば、当該イベントデータは、対消滅ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータに分類される。
イベントデータ群711中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中の正のベータ崩壊核種NCP1の存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群711中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TG内における正のベータ崩壊核種NCP1の分布像721を生成することができる。
つまり、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つエネルギー情報E511が得られているときの位置情報(x,y)を用いて、正のベータ崩壊核種NCP1の分布像721を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にて対消滅ガンマ線が検出されていることを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、正のベータ崩壊核種NCP1の分布像721を生成することができる。
第7実施例では、陽電子を放出する核種は正のベータ崩壊核種NCP1のみであるため、各イベントにおいて、対消滅ガンマ線は検出されるか検出されないかの2パターンに限定される。このため、ガンマ線検出器20は、対消滅ガンマ線が検出されたか否かのみを検出すれば足る。
イベントデータ群710中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中の負のベータ崩壊核種NCN1及び正のベータ崩壊核種NCP1の何れかの存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群710中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TGに含まれる全ての核種(ここでは核種NCN1及びNCP1)の分布を重ね合わせたものに相当する分布像720を生成することができる。つまり、イメージング処理部30は、対消滅ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて分布像720を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にて対消滅ガンマ線(ここではエネルギーE1の対消滅ガンマ線)が検出されていないことを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、分布像720を生成することができる。
このように、イメージング装置1によれば、撮像対象TGに負のベータ崩壊核種と正のベータ崩壊核種が混在している場合において、正のベータ崩壊核種の分布のみを抽出してイメージングでき、それと同時に、負のベータ崩壊核種の分布と正のベータ崩壊核種の分布を重ねあわせたものもイメージングできる。
また、分布像720と分布像721を合成することで、負のベータ崩壊核種NCN1のみの分布を示す分布像(以下、負のベータ崩壊核種分布像と称する)を生成することもできる。この合成において、負のベータ崩壊核種分布像の注目位置における画素値(画素の輝度値)は、“P720−((1−ε’)/ε’)P721 ”によって表される。ここで、P720は注目位置における分布像720中の画素値を表し、P721は注目位置における分布像721中の画素値を表し、ε’は対消滅ガンマ線のエネルギーに対する検出効率を表す。この検出効率ε’は実際には、対消滅ガンマ線の発生位置に依存した値となるが、ここでは位置による依存は補正されているものとしている。検出効率を考慮して各核種の分布像を導出する方法については上述した通りである。
但し、イメージング装置1は、分布像720及び721並びに負のベータ崩壊核種分布像を生成する機能を有しつつも、それらの分布像の内、1つの分布像(特に例えば分布像721)のみを生成するように動作しても良いし、2つの分布像(特に例えば分布像721及び負のベータ崩壊核種分布像)のみを生成するように動作しても良い。
本実施例で示した方法を、他の実施例の何れかと組わせることも可能である。例えば、第1実施例で述べた、エネルギーE1の固有ガンマ線を放出するBタイプ核種NCB1及びエネルギーE2の固有ガンマ線を放出するBタイプ核種NCB2が負のベータ崩壊核種であるとした上で、負のベータ崩壊核種NCB1及びNCB2と正のベータ崩壊核種NCP1とを撮像対象TG内に含ませる。そうすると、ベータ崩壊核種NCB1及びNCB2については、夫々の固有ガンマ線のエネルギーから同定可能となる。また、負のベータ崩壊核種NCB1及びNCB2は陽電子を放出しないので、本実施例で述べた方法により対消滅ガンマ信号とベータ線との同時計測にて正のベータ崩壊核種NCP1を同定可能となる。つまり、ベータ線検出器10からのベータ線検出信号及びガンマ線検出器20からのガンマ線検出信号に基づく、エネルギーE1の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータ、エネルギーE2の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータ、対消滅ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータより、夫々、Bタイプ且つ負のベータ崩壊核種NCB1の分布像、Bタイプ且つ負のベータ崩壊核種NCB2の分布像、正のベータ崩壊核種NCP1の分布像を個別に生成することができる。
<<第8実施例>>
第8実施例を説明する。イメージング装置1を用いて複数種類の核種を識別可能な態様でイメージングする方法を上述したが、イメージング装置1は、単一種類の核種のイメージングにおいても有用である。これについて説明する。
第8実施例では、撮像対象TGに上述のBタイプ核種NCB1が含まれているものとする。撮像対象TGに、Bタイプ核種NCB1以外のBタイプ核種(例えばBタイプ核種NCB2)やAタイプ核種が更に含まれていても良いが、ここでは、撮像対象TGにBタイプ核種NCB1以外の核種は含まれていないものとする。上述したように、Bタイプ核種NCB1の固有ガンマ線のエネルギーはE1で表される。
イメージング装置1によるBタイプ核種NCB1のイメージング方法の説明に先立ち、イメージング装置1との対比に供される参考イメージング装置を説明する。図19(a)に示す如く、参考イメージング装置には、ベータ線検出器10’と、ベータ線検出器10’からのベータ線検出信号を受けるイメージング処理部30’とが設けられているが、ガンマ線検出器20は設けられていない。ベータ線検出器10’は上述のベータ線検出器10と同じ検出器であるが、本実施形態のイメージング装置1に設けられるベータ線検出器10との区別を明確にするため、参考イメージング装置に設けられるベータ線検出器を符号10’にて参照する。撮像対象TGに含まれるBタイプ核種NCB1からの放射線がベータ線検出器10’に入射する。
ベータ線検出器10’はベータ線を放射線として検出するためのものではあるが、Bタイプ核種NCB1からのガンマ線がベータ線検出器10’と相互作用を起こすこともあり、このときにもベータ線検出器10’にて放射線が検出される(ベータ線検出器10でも同様)。但し、ベータ線検出器10’は2種類の放射線(ベータ線とガンマ線)を識別できないため、ベータ線検出器10’から出力されるベータ線検出信号には、実際には、検出ベータ線についての位置情報と検出ガンマ線についての位置情報が互いに区別できない状態で混在する(ベータ線検出器10でも同様)。故に、参考イメージング装置において、ベータ線検出器10’からのベータ線検出信号に基づきイメージング処理部30’にて画像再構成を行った場合、図19(b)に示すような、ベータ線の検出とガンマ線の検出を重ね合わせたような画像IMβγがBタイプ核種NCB1の分布像として生成されることとなる。
画像IMβγは、ベータ線の検出による画像IMβとガンマの検出による画像IMγとを重ね合わせたものに相当する。一般に、ガンマ線はベータ線よりも飛程が長いため、ガンマ線の検出による画像IMγは、実際の核種NCB1の分布よりも(即ち画像IMβ)よりも広範囲に広がったものとなる(即ち解像度が悪い)。
ベータ線検出器10’を構成するシンチレーション検出器の厚みを十分に小さくすれば、殆どのガンマ線がシンチレーション検出器を透過するようになるため(即ち殆どのガンマ線がベータ線検出器10’にて検出されなくなるため)、画像IMβに近い画像を得ることができる。しかしながら、シンチレーション検出器の厚みの減少はベータ線の検出効率の低下を招くため限界がある。シンチレーション検出器の厚みを限界まで小さくしたとしても、ベータ線検出器10’におけるガンマ線の検出をゼロにすることはできない。
一方、本実施形態に係るイメージング装置1は、ガンマ線検出器20を利用することで、参考イメージング装置よりも核種NCB1の分布像を高解像度にて生成することができる。第8実施例に係るイメージング装置1の動作について説明する。既に述べたように、ガンマ線検出器20は、Bタイプ核種NCB1から放出される固有ガンマ線を検出することができる、即ち、エネルギーE1の固有ガンマ線を検出することができる。ガンマ線検出器20にて、Bタイプ核種NCB1から放出された固有ガンマ線が検出されたとき、検出された固有ガンマ線のエネルギーがエネルギーE1であることを示すエネルギー情報E(エネルギー情報E1)を含んだガンマ線検出信号が出力される。つまり、エネルギー情報E1を含むガンマ線検出信号の出力は、Bタイプ核種NCB1からの固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されたことを示している。
図20は、第8実施例に係る画像再構成の概念図である。像800は、撮像対象TG内におけるBタイプ核種NCB1の実際の分布を示している。第8実施例では、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群810と、エネルギーE1の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータの集まりであるイベントデータ群811と、が得られる。
エネルギーE1の固有ガンマ線の検出を伴うイベントについてのイベントデータとは、“1”の同時計測判別信号を含むイベントデータであって、且つ、位置情報(x,y)及びエネルギー情報E1を含むイベントデータである。
固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータとは、固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて検出されないイベントについてのイベントデータであって、典型的には“0”の同時計測判別信号を含むイベントデータであり、従って、位置情報(x,y)を含むがエネルギー情報Eは含まない。第1実施例で述べたように、対消滅等の影響により固有ガンマ線以外のガンマ線がガンマ線検出器20に入射することもあり、その場合には、イベントデータ中の同時計測判別信号が“1”を示すこともあるが、当該イベントデータ中のエネルギー情報EがエネルギーE1を示していないならば、当該イベントデータは、固有ガンマ線の検出を伴わないイベントについてのイベントデータに分類される。
イベントデータ群811中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中のBタイプ核種NCB1の存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。このため、画像再構成部32は、イベントデータ群811中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングすることにより、撮像対象TG内におけるBタイプ核種NCB1の分布像821を生成することができる。
つまり、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つエネルギー情報E1が得られているときの位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像821を生成することができる。換言すれば、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングから所定時間TTH内にガンマ線検出器20にてエネルギーE1の固有ガンマ線が検出されていることを示すイベントデータ中の位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像821を生成することができる。
第8実施例では、固有ガンマ線を放出する核種はBタイプ核種NCB1のみであるため、各イベントにおいて、固有ガンマ線は検出されるか検出されないかの2パターンに限定される。このため、ガンマ線検出器20は、固有ガンマ線が検出されたか否かのみを検出すれば足る。そして、イメージング処理部30は、ベータ線検出器10によるベータ線検出タイミングとガンマ線検出器20によるガンマ線検出タイミングとの時間差が所定時間TTH以下であって(即ち、同時計測判別信号が“1”を示していて)且つ固有ガンマ線が検出されたイベントの位置情報(x,y)を用いて、Bタイプ核種NCB1の分布像821を生成できる。
イベントデータ群810中の各イベントデータの位置情報(x,y)は、撮像対象TG中のBタイプ核種NCB1の存在位置のX軸成分及びY軸成分の検出値を表している。但し、イベントデータ群810中の各イベントデータの位置情報(x,y)には、ベータ線検出器10によるベータ線の検出に基づく位置情報に加えてベータ線検出器10によるガンマ線(固有ガンマ線を含む)の検出に基づく位置情報が含まれる。故に、画像再構成部32にてイベントデータ群810中の各イベントデータの位置情報(x,y)をXY平面上にヒストグラミングしたとき、ベータ線検出器10におけるベータ線の検出とガンマ線の検出を重ね合わせたような画像820が生成されることとなる。画像820は、イベントデータ群811に基づいて生成されるBタイプ核種NCB1の分布像821よりも広い範囲に広がったような画像であり、図19(b)の画像IMβγに類するものである。
一方、分布像821の元となるイベントデータは、ベータ線と固有ガンマ線とが同時計測されたイベントについてのデータであるので、当該イベントにおいてベータ線検出器10にガンマ線(固有ガンマ線を含む)は入射していない。故に当該イベントについての位置情報から生成された画像(即ち分布像821)は、ベータ線の分布のみを抜き出したものであると言え、高い解像度を有する。このように、イメージング装置1によれば、単一種類のBタイプ核種を高い解像度にてイメージングできる。
本実施形態に係るイメージング装置1に関し、上述の第7実施例まででは、イメージングに使用する核種からのベータ線を確実に止めるのに必要十分な厚さ(必要な最低限の厚さ;一般的には数ミリメートル以内)のベータ線検出器10を用意することで、殆どのガンマ線がベータ線検出器10を突き抜けると想定し、ベータ線検出器10からのベータ線検出信号にガンマ線の検出に基づく位置情報が含まれていないと仮定している。第8実施例に示した内容は、ベータ線検出器10でのガンマ線の検出が無視できない程度のノイズとなるようなケースにおいて有益であると言える。勿論、ベータ線検出器10でのガンマ線の検出がゼロになることは無いので、程度の多少はあれど任意のケースにおいて、本実施形態に係るイメージング装置1は、参考イメージング装置よりもBタイプ核種の分布像の高解像度化に寄与すると言える。
尚、ベータ線検出10にてベータ線だけでなくガンマ線も検出されうることを考慮すれば、ベータ線検出器10に関して、以下のように表現することもできる。
ベータ線検出器10は、撮像対象TG中の放射性核種から放出される放射線を受けることによって当該放射線を検出し、自身に対する放射線の入射を検知する度に、ベータ線検出信号を出力する。ベータ線検出器10にて検出される放射線は主としてベータ線であるが、ベータ線検出器10にて検出される放射線がガンマ線であることをも考慮すると、ベータ線検出器10からのベータ線検出信号を放射線検出信号と読み替えることもでき、当該放射線検出信号は、ベータ線検出器10に対して放射線の入射があったことを示すと共にベータ線検出器10における放射線の検出位置を示す位置情報を含む。また、ベータ線検出器10にて検出される放射線がガンマ線であることをも考慮すると、上述のベータ線検出タイミングをベータ線検出器10による放射線検出タイミングと読み替えることもできる。
<<第9実施例>>
第9実施例を説明する。イメージング処理部30において、ベータ線検出信号及びガンマ線検出信号から対象核種の分布像を形成する処理は、基本的にハードウェアとソフトウェアの組み合わせにて実現されるが、イメージング処理部30にて実現される機能の一部(例えば、ベータ線検出器20の出力信号から位置情報を導出する処理、同時計測判別の処理)は、ハードウェアで実現される場合もあるし、ソフトウェアで実現される場合もある。特に、同時計測判別をソフトウェアで実現する際は、イベントデータを形成する検出器10の出力信号のデータ及び検出器20の出力信号のデータの夫々に対し共通のタイムスタンプを付加してメモリ(不図示)上に蓄積しておき、蓄積したデータについてタイムスタンプをもとにソフトウェア上で同時計測判別を行う。
特定の機能をソフトウェアにて実現する場合、その特定の機能をプログラムとして記述しておき、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、イメージング処理部30を構成するマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体はイメージング処理部30と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。
<<第10実施例>>
第10実施例を説明する。イメージング装置1においては、Aタイプ核種として、Aタイプの放射性崩壊を行う任意の核種を利用することができ、Bタイプ核種として、Bタイプの放射性崩壊を行う任意の核種を利用することができる。
例えば、正のベータ崩壊により陽電子の放出を行うAタイプ核種として、11C、13N、18F、の内の何れか1つ以上の核種を、撮像対象TGに含めるべきAタイプ核種とすることができる。但し、ここで挙げた核種は、正のベータ崩壊後、100%の確率で娘核の基底状態に遷移する代表的なものであり、正のベータ崩壊により、高い確率で娘核の励起状態を経由せずに娘核の基底状態に遷移する他の核種についても、正のベータ崩壊を行うAタイプ核種とみなして利用可能である。
例えば、負のベータ崩壊(電子の放出を伴うベータ崩壊)を行うAタイプ核種として、32P、33P、42Ar、66Ni、90Y、106Ru、118Cd、121Sn、143Pr、209Pb、及び、210Pb、の内の何れか1つ以上の核種を、撮像対象TGに含めるべきAタイプ核種とすることができる。但し、ここで挙げた核種は、負のベータ崩壊後、100%の確率で娘核の基底状態に遷移する代表的なものであり、負のベータ崩壊により、高い確率で娘核の励起状態を経由せずに娘核の基底状態に遷移する他の核種についても、負のベータ崩壊を行うAタイプ核種とみなして利用可能である。
例えば、正のベータ崩壊により陽電子の放出を行うBタイプ核種としては、14O、22Na、34mCl、38K、44Sc、48V、52Mn、52mMn、52Fe、60Cu、72As、76Br、82mRb、94mTc、104mAg、110mIn、及び、124I、の内の何れか1つ以上の核種を、撮像対象TGに含めるべきBタイプ核種とすることができる。但し、ここで挙げた核種は、固有ガンマ線の放出率が9割前後と高い代表的なものであり、放出率がこれらよりも低い他の核種についても利用可能である。
例えば、負のベータ崩壊(電子の放出を伴うベータ崩壊)を行うBタイプ核種として、24Na、27Mg、38S、43K、46Sc、47Ca、48Sc、55Mn、60Co、72Nn、72Ga、78Ge、82Br、92Sr、95Nb、96Nb、103Ru、130I、132I、134Cs、135Xe、148mPm、160Tb、192Ir、198Au、及び、203Hg、の内の何れか1つ以上の核種を、撮像対象TGに含めるべきBタイプ核種とすることができる。但し、ここで挙げた核種は、固有ガンマ線の放出率が9割前後と高い代表的なものであり、放出率がこれらよりも低い他の核種についても利用可能である。
特許文献1(特許第5526435号公報)に示された方法は、陽電子放出に伴って生じる対消滅を利用する方法であるため、正のベータ崩壊を行う核種しか利用することができない。これに対し、本実施形態に係るイメージング装置1は、ベータ線を直接イメージングする方法を採用しているため、正のベータ崩壊を行う核種だけでなく、負のベータ崩壊を行う核種も利用可能である。これは、非常に大きなメリットをもたらす。
例えば、ナトリウムの放射性同位体である24Naやカルシウムの放射性同位体である47Caは、負のベータ崩壊を行うBタイプ核種であるが故に、特許文献1の方法では利用できないが、本実施形態のイメージング装置1では利用できる。周知の如く、ナトリウムやカルシウムは生命活動維持のために重要な役割を担っている。従って、イメージング装置1において、24Na及び47CaをBタイプ核種として用いて区別してイメージングするようにすれば、撮像対象TGとしての生体内のナトリウムとカルシウムの挙動を同時に知ることが可能となる。或いは、47Caを含む複数種類の放射性核種を含んだ生体を撮像対象TGとしてイメージングすれば、生体内のカルシウムの挙動を他の核種と区別して知ることが可能となる(ナトリウムについても同様)。
尚、放射性核種の中には、親核から娘核の基底状態に遷移する過程において、固有ガンマ線を放出しないことが支配的であるものの、小さい確率(例えば1%未満の確率)で固有ガンマ線を放出する放射性核種もある。このような放射性核種は、厳密にはBタイプ核種と言えるが、そのような放射性核種を、イメージング装置1では、Aタイプ核種として取り扱うことも可能である。
小さい確率で固有ガンマ線を放出することがあるものの、イメージング装置1においてAタイプ核種として取り扱われる放射性核種を、便宜上、疑似Aタイプ核種と称する。疑似Aタイプ核種から放出され得る固有ガンマ線は、イメージング処理部30での画像の再構成処理において無視される。例えば、図14に対応する第3実施例において、疑似Aタイプ核種がAタイプ核種NCA1として利用される場合、或るイベントについてのガンマ線検出信号中のエネルギー情報EがエネルギーE1又はE2を示していないならば、同時計測判別信号の如何に依らず、当該イベントを固有ガンマ線の検出を伴わないイベントとして取り扱って当該イベントのイベントデータをイベントデータ群410に分類すれば良い(但し、疑似Aタイプ核種から放出され得る固有ガンマ線のエネルギーは、エネルギーE1及びE2と相違し、使用するガンマ線検出器により弁別可能であるものとする)。
また、Bタイプの放射性崩壊を行う核種によっては、ベータ崩壊後に励起状態に遷移するが、その励起状態の寿命として非常に長い半減期を持つもの(核異性体又はアイソマーと呼ばれる)もある。励起状態の半減期としては、1ナノ秒以下のものから何年にも及ぶものもあるが、同時計測のタイムウインドウ以上に寿命が長い場合は、陽電子又は電子の放出と固有ガンマ線の放出とが連続しているものとして検出されないため、固有ガンマ線を核種の識別に使用することはできない。
尚、PET装置では、正のベータ崩壊により陽電子を放出する核種をイメージングに利用するが、正のベータ崩壊が起きた際には必ず陽電子が放出されるわけではなく、陽電子放出は電子捕獲(原子核の周りを回る電子を陽子が吸収して中性子に変化する現象)との競合過程となる。即ち、陽電子放出及び電子捕獲の2つの過程が競合して、どちらか一方の過程のみが起こる。陽電子放出が起こる確率及び電子捕獲が起こる確率は、核種によって決まっているが、電子捕獲のみによって正のベータ崩壊が起きる核種や、電子捕獲による正のベータ崩壊が支配的である核種が存在するため、全ての正のベータ崩壊核種がPETイメージングに利用できるわけではない。
電子捕獲による正のベータ崩壊が起きた場合、陽電子は放出されないが、捕獲された電子の軌道に空きができるため、その軌道に外側の軌道から電子が遷移する際、余ったエネルギーが特性X線として正のベータ崩壊核種から放出される。この特性X線を吸収するのに十分な厚さの検出器を使用すれば、特性X線がイメージング装置1に入射することにより、原理的にはベータ線と同様にイメージングが可能である。
本発明では、PETと異なり負のベータ崩壊核種も使用可能であるが、上記の如く、正のベータ崩壊において陽電子放出と電子捕獲は競合過程にある。従って、核種によって陽電子を放出する確率が決まっており、陽電子を出さない核種もある。一方で、負のベータ崩壊では、必ず電子を放出するため、負のベータ崩壊核種の方が、本発明で利用可能な核種の数が多い。
また、負のベータ崩壊核種は中性子が過剰な核種であるため原子炉などによる中性子照射によっても製造が可能であり、陽子が過剰な核種であって、サイクロトロン等の加速器による荷電粒子の照射を必要とする正のベータ崩壊核種よりも製造コストがかからない場合が多い。
<<第11実施例>>
第11実施例を説明する。上述してきたように、固有ガンマ線は核種に固有のエネルギーを持っているため、これを計測することにより核種を同定することが可能となるが、これは、固有ガンマ線の全エネルギーがガンマ線検出器20にて検出されることを前提としている。しかし、実際には、ガンマ線検出器20では、全エネルギー吸収の他に、コンプトン散乱などによる部分エネルギー吸収も起こる。特にコンプトン散乱により生じる部分エネルギー吸収に関しては散乱角度により連続的に吸収エネルギーが変化するため、ガンマ線検出器20の検出結果から得られるエネルギースペクトルにおいて、全エネルギー吸収によるピークよりエネルギー的に低い部分に、部分エネルギー吸収に対応する成分が連続成分として現れる。このため、相対的に高いエネルギーを有する第1の固有ガンマ線を放出する第1のBタイプ核種と相対的に低いエネルギーを有する第2の固有ガンマ線を放出する第2のBタイプ核種とが撮像対象TGに含まれているとき、第1の固有ガンマ線の部分エネルギー吸収によるスペクトル成分と、第2の固有ガンマ線の全エネルギー吸収によるスペクトル成分とが重なり合う。また、それらのスペクトル成分と、陽電子の対消滅ガンマ線(対消滅により発生した511keVのガンマ線)の全エネルギー吸収又は部分エネルギー吸収によるスペクトル成分とが重なり合うこともある。
ガンマ線検出器20の検出結果から得られるエネルギースペクトルにおいて、全エネルギー吸収に対応するピークの前後に存在する部分エネルギー吸収による連続成分が、ピークに重なった連続成分と同じであるとみなした上で、ピークの部分から当該連続成分を差し引けば、これらの重なりによるバックグランドを除去可能である。また、ガンマ線検出器20としてエネルギー分解能が十分に高いガンマ線検出器を使い、全エネルギー吸収イベント(ガンマ線検出器20での全エネルギー吸収を伴うイベント)によるピーク幅を狭くすることにより、上記重なりによるバックグランドを減らすことができる。
また、部分エネルギー吸収イベント(ガンマ線検出器20での部分エネルギー吸収を伴うイベント)については、以下のようにすることで固有ガンマ線の検出効率を向上させることが可能である。説明の具体化のため、エネルギーE1の固有ガンマ線を放出する上述のBタイプ核種NCB1に注目する。核種NCB1からの固有ガンマ線がガンマ線検出器20にて部分エネルギー吸収されたとき、エネルギーE1未満のエネルギーがガンマ線検出器20にて検出されることになるが、エネルギーE1より小さな所定のエネルギー閾値以上のエネルギーが検出されたならば、固有ガンマ線が検出されたと判断するようにする。このエネルギー閾値は、ガンマ線検出器20のエネルギー分解能を考慮した上で、固有ガンマ線と異なるガンマ線による成分が混じり込まない範囲において設定されると良い。これにより、固有ガンマ線の部分エネルギー吸収が生じたときにおいても、固有ガンマ線が検出されることになるため、固有ガンマ線の検出効率の向上が見込める。
上記の通り、部分エネルギー吸収イベントについては、他の核種の全エネルギー吸収イベントと重なることによる識別精度の低下や、エネルギー閾値の設定による検出効率の向上が考えられるが、上述の各実施例においては、説明の具体化及び簡略化のため、全エネルギー吸収によるイベントを用いた識別方法を前提とした説明を設けている。
尚、解像度向上のための手法として、シンチレーション光(可視光)の屈折又は反射を利用したレンズ等により拡大画像を得る方法が知られていると上述したが、その方法に属する方式の内、イベント毎にシンチレーション光のカウントが可能な方式であれば、本発明に応用できる。
<<発明の考察>>
本発明について考察する。
本発明の一側面に係るイメージング装置W1は(特に例えば図5及び図12参照)、ベータ線二次元イメージング装置であって、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に第1固有ガンマ線を放出する第1核種(例えばBタイプ核種NCB1)と、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に前記第1固有ガンマ線とは異なるエネルギーを有する第2固有ガンマ線を放出する第2核種(例えばBタイプ核種NCB2)とを含んだ撮像対象(TG)から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器(10)と、ガンマ線を検出する検出器であって、前記第1固有ガンマ線及び前記第2固有ガンマ線を区別して検出するガンマ線検出器(20)と、前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記第1固有ガンマ線及び第2固有ガンマ線の何れかが検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像(例えば分布像221)及び前記第2核種の分布像(例えば分布像222)を区別して生成可能なイメージング処理部(30)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、複数種類の核種の分布を、核種を識別可能な態様で一度にイメージングすることが可能となる。また、ベータ線を直接イメージングする方法を採用しているため、正のベータ崩壊を行う核種だけでなく、負のベータ崩壊を行う核種も利用可能であり、有益である。
具体的には例えば、イメージング装置W1において、前記イメージング処理部は、前記ベータ線検出タイミングから所定時間内に前記第1固有ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記第1核種の分布像を生成し、前記ベータ線検出タイミングから前記所定時間内に前記第2固有ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記第2核種の分布像を生成すると良い。
本発明の一側面に係るイメージング装置W2は(特に例えば図5及び図13参照)、ベータ線二次元イメージング装置であって、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に所定エネルギーの固有ガンマ線を放出する第1核種(例えばBタイプ核種NCB1)と、ベータ崩壊によるベータ線の放出により娘核の基底状態に遷移する第2核種(例えばAタイプ核種NCA1)とを含んだ撮像対象(TG)から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器(10)と、前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出器(20)と、前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像(例えば分布像321)及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像(例えば分布像320又はAタイプ分布像)を区別して生成可能なイメージング処理部(30)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、複数種類の核種の分布を、核種を識別可能な態様で一度にイメージングすることが可能となる。また、ベータ線を直接イメージングする方法を採用しているため、正のベータ崩壊を行う核種だけでなく、負のベータ崩壊を行う核種も利用可能であり、有益である。
具体的には例えば、イメージング装置W2において、前記イメージング処理部は、前記ベータ線検出タイミングから所定時間内に前記固有ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記第1核種の分布像を生成し、それ以外の前記位置情報を用いて、前記第1核種の分布と前記第2核種の分布を重ねあわせた分布像を生成すると良い。
また、イメージング装置W1及びW2の夫々において、負のベータ崩壊が生じる核種を、前記第1核種及び前記第2核種の一方又は双方に用いることが可能である。
本発明の一側面に係るイメージング装置W3は(特に例えば図5及び図18参照)、ベータ線二次元イメージング装置であって、正のベータ崩壊によりベータ線として陽電子を放出する第1核種(例えば正のベータ崩壊核種NCP1)及び負のベータ崩壊によりベータ線として電子を放出する第2核種(例えば負のベータ崩壊核種NCN1)を含んだ撮像対象(TG)から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器(10)と、前記第1核種からのベータ線としての陽電子と前記ベータ線検出器内の電子との対消滅により発生する対消滅ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出器(20)と、前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記対消滅ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像(例えば分布像721)及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像(例えば分布像720又は負のベータ崩壊核種分布像)を区別して生成可能なイメージング処理部(30)と、を備えたことを特徴とする。
これにより、複数種類の核種の分布を、核種を識別可能な態様で一度にイメージングすることが可能となる。また、ベータ線を直接イメージングする方法を採用しているため、正のベータ崩壊を行う核種だけでなく、負のベータ崩壊を行う核種も利用可能であり、有益である。
具体的には例えば、イメージング装置W3において、前記イメージング処理部は、前記ベータ線検出タイミングから所定時間内に前記対消滅ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記第1核種の分布像を生成し、それ以外の前記位置情報を用いて、前記第1核種の分布と前記第2核種の分布を重ねあわせた分布像を生成すると良い。
本発明の一側面に係るイメージング方法W1Aは、ベータ線二次元イメージング方法であって、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に第1固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に前記第1固有ガンマ線とは異なるエネルギーを有する第2固有ガンマ線を放出する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、ガンマ線を検出するステップであって、前記第1固有ガンマ線及び前記第2固有ガンマ線を区別して検出するガンマ線検出ステップと、前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記第1固有ガンマ線及び第2固有ガンマ線の何れかが検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布像を区別して生成するイメージング処理ステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明の一側面に係るイメージング方法W2Aは、ベータ線二次元イメージング方法であって、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に所定エネルギーの固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によるベータ線の放出により娘核の基底状態に遷移する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出ステップと、前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成するイメージング処理ステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明の一側面に係るイメージング方法W3Aは、正のベータ崩壊によりベータ線として陽電子を放出する第1核種及び負のベータ崩壊によりベータ線として電子を放出する第2核種を含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、前記第1核種からのベータ線としての陽電子と前記ベータ線検出器内の電子との対消滅により発生する対消滅ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出ステップと、前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記対消滅ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成可能なイメージング処理ステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明の一側面に係るイメージング装置W4は(特に例えば図5及び図20参照)、ベータ線二次元イメージング装置であって、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に固有ガンマ線を放出する核種(例えばBタイプ核種NCB1)を含んだ撮像対象(TG)から、前記ベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器(10)と、前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出器(20)と、前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記核種の分布像(例えば分布像821)を生成可能なイメージング処理部(30)と、を備えたことを特徴とする。
ベータ線検出器は、撮像対象中の核種からのベータ線を検出するためのものであるが、核種からのガンマ線がベータ線検出器にて検出されることもある。但し、ベータ線検出器はベータ線とガンマ線を区別して検出することができないため、ベータ線検出信号中の位置情報に、ベータ線の検出位置を示す位置情報に加えてガンマ線の検出位置を示す位置情報が互いに区別不能な状態で混在するようになる。ガンマ線の検出位置を示す位置情報がノイズとして機能し、仮にガンマ線検出器が設けられていなかったならば、生成される核種の分布像の解像度を劣化させる。ガンマ線はベータ線よりも飛程が長いため、実際の核種の分布よりも広がった分布の像が生成されるためである(図19(b)参照)。
他方、上述の如く形成されたイメージング装置W4では、ガンマ線検出器にて固有ガンマ線が検出されたときの位置情報に基づいて核種の分布像を生成することができる。ガンマ線検出器にて固有ガンマ線が検出されたとき、ベータ線検出器に固有ガンマ線は入射していないので、ガンマ線検出器にて固有ガンマ線が検出されたときの位置情報はベータ線の検出位置情報に限定され、その検出位置情報に基づき核種の分布像を生成することで、上記ノイズが排除された高解像度の分布像を生成することができる。
具体的には例えば、イメージング装置W4において、前記イメージング処理部は、前記ベータ線検出タイミングから所定時間内に前記固有ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記核種の分布像を生成すると良い。
本発明の一側面に係るイメージング方法W4Aは、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に固有ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、前記ベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出ステップと、前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記核種の分布像を生成可能なイメージングステップと、を備えたことを特徴とする。
尚、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
1 イメージング装置
10 ベータ線検出器
20 ガンマ線検出器
30 イメージング処理部
31 同時計測判別部
32 画像再構成部
TG 撮像対象

Claims (13)

  1. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に第1固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に前記第1固有ガンマ線とは異なるエネルギーを有する第2固有ガンマ線を放出する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器と、
    ガンマ線を検出する検出器であって、前記第1固有ガンマ線及び前記第2固有ガンマ線を区別して検出するガンマ線検出器と、
    前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記第1固有ガンマ線及び第2固有ガンマ線の何れかが検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布像を区別して生成可能なイメージング処理部と、を備えた
    ことを特徴とするベータ線二次元イメージング装置。
  2. 前記イメージング処理部は、前記ベータ線検出タイミングから所定時間内に前記第1固有ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記第1核種の分布像を生成し、前記ベータ線検出タイミングから前記所定時間内に前記第2固有ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記第2核種の分布像を生成する
    ことを特徴とする請求項1に記載のベータ線二次元イメージング装置。
  3. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に所定エネルギーの固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によるベータ線の放出により娘核の基底状態に遷移する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器と、
    前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出器と、
    前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成可能なイメージング処理部と、を備えた
    ことを特徴とするベータ線二次元イメージング装置。
  4. 前記イメージング処理部は、前記ベータ線検出タイミングから所定時間内に前記固有ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記第1核種の分布像を生成し、それ以外の前記位置情報を用いて、前記第1核種の分布と前記第2核種の分布を重ねあわせた分布像を生成する
    ことを特徴とする請求項3に記載のベータ線二次元イメージング装置。
  5. 負のベータ崩壊が生じる核種を、前記第1核種及び前記第2核種の一方又は双方に用いることが可能である
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のベータ線二次元イメージング装置。
  6. 正のベータ崩壊によりベータ線として陽電子を放出する第1核種及び負のベータ崩壊によりベータ線として電子を放出する第2核種を含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器と、
    前記第1核種からのベータ線としての陽電子と前記ベータ線検出器内の電子との対消滅により発生する対消滅ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出器と、
    前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記対消滅ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成可能なイメージング処理部と、を備えた
    ことを特徴とするベータ線二次元イメージング装置。
  7. 前記イメージング処理部は、前記ベータ線検出タイミングから所定時間内に前記対消滅ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記第1核種の分布像を生成し、それ以外の前記位置情報を用いて、前記第1核種の分布と前記第2核種の分布を重ねあわせた分布像を生成する
    ことを特徴とする請求項6に記載のベータ線二次元イメージング装置。
  8. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に第1固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に前記第1固有ガンマ線とは異なるエネルギーを有する第2固有ガンマ線を放出する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、
    ガンマ線を検出するステップであって、前記第1固有ガンマ線及び前記第2固有ガンマ線を区別して検出するガンマ線検出ステップと、
    前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記第1固有ガンマ線及び第2固有ガンマ線の何れかが検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布像を区別して生成可能なイメージング処理ステップと、を備えた
    ことを特徴とするベータ線二次元イメージング方法。
  9. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に所定エネルギーの固有ガンマ線を放出する第1核種と、ベータ崩壊によるベータ線の放出により娘核の基底状態に遷移する第2核種とを含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、
    前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出ステップと、
    前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成可能なイメージング処理ステップと、を備えた
    ことを特徴とするベータ線二次元イメージング方法。
  10. 正のベータ崩壊によりベータ線として陽電子を放出する第1核種及び負のベータ崩壊によりベータ線として電子を放出する第2核種を含んだ撮像対象から、前記第1核種又は前記第2核種に基づくベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、
    前記第1核種からのベータ線としての陽電子と前記ベータ線検出器内の電子との対消滅により発生する対消滅ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出ステップと、
    前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記対消滅ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記第1核種の分布像及び前記第2核種の分布に応じた他の分布像を区別して生成可能なイメージング処理ステップと、を備えた
    ことを特徴とするベータ線二次元イメージング方法。
  11. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に固有ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、前記ベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を出力するベータ線検出器と、
    前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出器と、
    前記ベータ線検出器によるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出器によるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出器にて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記核種の分布像を生成可能なイメージング処理部と、を備えた
    ことを特徴とするベータ線二次元イメージング装置。
  12. 前記イメージング処理部は、前記ベータ線検出タイミングから所定時間内に前記固有ガンマ線が検出されたときの前記位置情報を用いて前記核種の分布像を生成する
    ことを特徴とする請求項11に記載のベータ線二次元イメージング装置。
  13. ベータ崩壊によって娘核の励起状態となり、当該ベータ崩壊によるベータ線の放出に続けて娘核の基底状態に遷移する際に固有ガンマ線を放出する核種を含んだ撮像対象から、前記ベータ線を受けることで当該ベータ線を検出し、当該ベータ線の検出位置を二次元で示す位置情報を含んだベータ線検出信号を得るベータ線検出ステップと、
    前記固有ガンマ線を含むガンマ線を検出するガンマ線検出ステップと、
    前記ベータ線検出ステップにおけるベータ線検出タイミング及び前記ガンマ線検出ステップにおけるガンマ線検出タイミングと、前記ベータ線検出信号に含まれる前記位置情報と、前記ガンマ線検出ステップにて前記固有ガンマ線が検出されたかと、に基づいて、前記核種の分布像を生成可能なイメージングステップと、を備えた
    ことを特徴とするベータ線二次元イメージング方法。
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