Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JPWO2016121701A1 - 免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質精製用アフィニティー分離マトリックス - Google Patents

免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質精製用アフィニティー分離マトリックス Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016121701A1
JPWO2016121701A1 JP2016572024A JP2016572024A JPWO2016121701A1 JP WO2016121701 A1 JPWO2016121701 A1 JP WO2016121701A1 JP 2016572024 A JP2016572024 A JP 2016572024A JP 2016572024 A JP2016572024 A JP 2016572024A JP WO2016121701 A1 JPWO2016121701 A1 JP WO2016121701A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino acid
acid sequence
variable region
peptide
chain variable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016572024A
Other languages
English (en)
Inventor
吉田 慎一
慎一 吉田
大 村田
大 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Publication of JPWO2016121701A1 publication Critical patent/JPWO2016121701A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K1/00General methods for the preparation of peptides, i.e. processes for the organic chemical preparation of peptides or proteins of any length
    • C07K1/14Extraction; Separation; Purification
    • C07K1/16Extraction; Separation; Purification by chromatography
    • C07K1/22Affinity chromatography or related techniques based upon selective absorption processes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • C07K14/315Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Streptococcus (G), e.g. Enterococci
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/08Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses
    • C07K16/10Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from viruses from RNA viruses
    • C07K16/1027Paramyxoviridae, e.g. respiratory syncytial virus
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K17/00Carrier-bound or immobilised peptides; Preparation thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/55Fab or Fab'

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

本発明は、抗体のκ鎖可変領域に対する結合能が優れているペプチド、当該ペプチドをリガンドとして有するアフィニティー分離マトリックス、および当該アフィニティー分離マトリックスを用いたκ鎖可変領域含有タンパク質の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、当該ペプチドをコードするDNA、当該DNAを含むベクター、および当該ベクターにより形質転換された形質転換体を提供することも目的とする。ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株由来プロテインLのB5ドメインまたはその一部を含むペプチドを利用することによって、上記課題を解決する。

Description

本発明は、免疫グロブリンのκ鎖可変領域に対する結合能が極めて優れている免疫グロブリンのκ鎖可変領域含有タンパク質結合性ペプチドをリガンドとして有するアフィニティー分離マトリックス、当該アフィニティー分離マトリックスを用いる免疫グロブリンのκ鎖可変領域含有ペプチドの製造方法、当該ペプチドをコードするDNA、当該DNAを含むベクター、および当該ベクターにより形質転換された形質転換体に関するものである。
タンパク質の重要な機能の一つとして、特定の分子に特異的に結合する機能が挙げられる。この機能は、生体内における免疫反応やシグナル伝達に重要な役割を果たす。この機能を有用物質の分離精製に利用する技術開発も盛んになされている。実際に産業的に利用されている一例として、抗体医薬を動物細胞培養物から一度に高い純度で精製(キャプチャリング)するために利用されるプロテインAアフィニティー分離マトリックス(以下、プロテインAを「SpA」と略記する場合がある)が挙げられる(非特許文献1,2)。
抗体医薬として開発されているのは基本的にモノクローナル抗体であり、組換え培養細胞技術等を用いて大量に生産されている。「モノクローナル抗体」とは、単一の抗体産生細胞に由来するクローンから得られた抗体を指す。現在上市されている抗体医薬のほとんどは、分子構造的には免疫グロブリンG(IgG)サブクラスである。また、免疫グロブリンを断片化した分子構造を有する抗体誘導体(断片抗体)からなる抗体医薬も盛んに臨床開発されており、様々な断片抗体医薬の臨床開発が進んでいる(非特許文献3)。
抗体医薬製造工程における初期精製工程には、先述のSpAアフィニティー分離マトリックスが利用されている。しかし、SpAは基本的にIgGのFc領域に特異的に結合するタンパク質である。よって、Fc領域を含まない断片抗体は、SpAアフィニティー分離マトリックスを利用したキャプチャリングができない。従って、抗体医薬精製プロセスのプラットフォーム開発の観点から、IgGのFc領域を含まない断片抗体をキャプチャリング可能なアフィニティー分離マトリックスに対する産業的なニーズは高い。
IgGのFc領域以外に結合するペプチドはすでに複数知られている(非特許文献4)。それらの中でも、結合できる断片抗体フォーマットの種類の多さ、および、IgMやIgAなどにも結合可能という観点からは、可変領域(抗原結合ドメイン)に結合できるペプチドが最も好ましく、例えば、プロテインL(以下、プロテインLを「PpL」と略記する場合がある)がよく知られている。PpLは、複数のκ鎖可変領域結合ドメイン(以下、κ鎖可変領域を「VL−κ」と略記する場合がある)を含むタンパク質であり、個々のVL−κ結合ドメインのアミノ酸配列は異なる。また、菌株の種類によっても、VL−κ結合ドメインの数、および個々のアミノ酸配列は異なる。例えば、ペプトストレプトコッカス・マグヌス(Peptostreptococcus magnus)312株のPpLに含まれるVL−κ結合ドメインの数は5個であり、ペプトストレプトコッカス・マグヌス株3316のPpLに含まれるVL−κ結合ドメインの数は4個である(非特許文献5〜7、特許文献1〜2)。そして、それら計9個のVL−κ結合ドメインの中に、互いに同じアミノ酸配列であるドメインは無い。
PpLをリガンドとするアフィニティー分離マトリックスもすでに複数市販されている。しかし、SpAの場合には、特定の1種類の抗体結合ドメインを複数連結した組換えペプチドをリガンドとする研究が進んでいるが(非特許文献1)、PpLの場合には、個々のVL−κ結合ドメインのアミノ酸配列の違いによる物性・機能の違いに関してはほとんど研究されておらず、改良の余地が残っている。
特表平7−506573号公報 特表平7−507682号公報
Hober S.ら,J.Chromatogr.B,2007,848巻,40-47頁 Shukla A.A.ら,Trends Biotechnol.,2010,28巻,253-261頁 Nelson A.N.ら,Nat.Biotechnol.,2009,27巻,331-337頁 Bouvet P.J.,Int.J.Immunopharmac.,1994,16巻,419-424頁 Kastern W. ら, J. Biol. Chem., 1992,267巻,12820-12825頁 Murphy J. P. ら,Mol. Microbiol., 1994,12巻,911-920頁 Housden N. G. ら, Biochemical Society Transactions, 2003, 31巻,716-718頁
上記の状況下、本発明の目的は、免疫グロブリンのκ鎖可変領域に高い親和性を有し、免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質の精製に有用なアフィニティー分離マトリックスを提供することを目的とする。また、本発明は、当該アフィニティー分離マトリックスを用いる免疫グロブリンκ鎖可変領域含有ペプチドの製造方法、当該ペプチドをコードするDNA、当該DNAを含むベクター、および当該ベクターにより形質転換された形質転換体を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を進めた。その結果、本発明者らは、プロテインL(PpL)をリガンドとするアフィニティー分離マトリックスを予備的に評価した際に、軽鎖がκ鎖であるにもかかわらず、断片抗体の種類によってクロマトグラフィー・プロファイルが大きく異なることを発見した。具体的には、断片抗体の種類(配列)によって、結合容量が低い、中間洗浄での漏出が見られる、酸溶出時により強い酸が必要といった問題が挙げられる。そこで本発明者らは、ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株由来および3316由来のPpLのVL−κ結合ドメイン計9種を、アフィニティー・リガンドとしての特性に特化して比較検討した結果、312株由来PpLのB5ドメインまたはその一部をリガンドとして利用する方法を見出した。
本発明を以下に示す。
[1] 水不溶性基材とリガンドを含み、
上記リガンドが上記水不溶性基材に固定化されており、
上記リガンドが、ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株由来プロテインLのB5ドメインまたはその一部を含む抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドであることを特徴とするアフィニティー分離マトリックス。
[2] 上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列が、以下のアミノ酸配列である上記[1]に記載のアフィニティー分離マトリックス:
(1) 配列番号7または配列番号16のアミノ酸配列;
(2) 配列番号7または配列番号16のアミノ酸配列において1以上10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、抗体κ鎖可変領域への結合能を有するアミノ酸配列;
(3) 配列番号7または配列番号16のアミノ酸配列に対して85%以上の配列相同性を有し、且つ、抗体κ鎖可変領域への結合能を有するアミノ酸配列。
[3] 上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列が、配列番号7のアミノ酸配列において、第17位がグルタミン酸、第19位がイソロイシン、第20位がチロシン、第22位がグルタミン酸、第25位がトレオニン、第26位がバリン、第30位がトレオニン、第50位がセリン、第53位がヒスチジンであるアミノ酸配列である上記[2]に記載のアフィニティー分離マトリックス。
[4] 上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列が、配列番号16のアミノ酸配列において、第7位がグルタミン酸、第9位がイソロイシン、第10位がチロシン、第12位がグルタミン酸、第15位がトレオニン、第16位がバリン、第20位がトレオニン、第40位がセリン、第43位がヒスチジンであるアミノ酸配列である上記[2]に記載のアフィニティー分離マトリックス。
[5] 上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列が、上記アミノ酸配列の2個以上の繰り返しである上記[2]〜[4]のいずれかに記載のアフィニティー分離マトリックス。
[6] 抗体κ鎖可変領域を含むタンパク質を製造する方法であって、
上記[1]〜[5]のいずれかに記載のアフィニティー分離マトリックスと、抗体κ鎖可変領域を有するタンパク質を含む液体試料とを接触させる工程、および、
上記アフィニティー分離マトリックスに結合した上記タンパク質を、上記アフィニティー分離マトリックスから分離する工程を含むことを特徴とする方法。
[7] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドをコードすることを特徴とするDNA。
[8] 上記[7]に記載のDNAを含むことを特徴とするベクター。
[9] 上記[8]に記載のベクターにより形質転換されたものであることを特徴とする形質転換体。
本発明に係るアフィニティー分離マトリックスにより、精製可能な断片抗体の種類を拡張することが可能となる為、産業用精製プロセス構築時のプラットフォーム開発がより容易となる。特に、ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株由来B5ドメインは、特許文献1や非特許文献4では、主にB1〜B4ドメインからなるコンストラクトを中心に研究されていたため、B5ドメインやその一部を含むリガンドを固定化したアフィニティー分離マトリックスが上記のような特性を有していることは、驚くべき効果といえる。
図1は、LB5t−Wild.1dの発現プラスミドの作製方法を示す図である。 図2は、PpLの各種VL−κ結合性ドメインの各種IgG−Fabに対する親和定数(KA)、結合速度定数(kON)、および解離速度定数(kOFF)を対数化してプロットしたグラフである。 図3は、LB5t−Wild.4d固定化担体または市販Protein L担体にポリクローナルFabを作用させた後、溶出緩衝液および強洗浄緩衝液で溶出したクロマトグラフィチャートである。 図4は、図3のクロマトグラフィチャートのうち、ポリクローナルFabを作用させた部分の拡大図である。
本発明に係るアフィニティー分離マトリックスは、水不溶性基材とリガンドを含み、上記リガンドが上記水不溶性基材に固定化されており、上記リガンドが、ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株由来プロテインLのB5ドメインまたはその一部を含む免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチドであることを特徴とする。本発明に係るアフィニティー分離マトリックスは、様々な免疫グロブリンκ鎖可変領域に対して親和性を示し、例えば断片抗体の精製に有用である。
「免疫グロブリン(IgG)」は、リンパ球のB細胞が産生する糖タンパク質であり、特定のタンパク質などの分子を認識して結合する働きを持つ。免疫グロブリンは、この特定の分子(抗原)に特異的に結合する機能と、他の生体分子や細胞と協同して抗原を有する因子を無毒化・除去する機能を有する。免疫グロブリンは、一般的に「抗体」と呼ばれるが、それはこのような機能に着目した名称である。全ての免疫グロブリンは、基本的には同じ分子構造からなり、“Y”字型の4本鎖構造(軽鎖・重鎖の2本のポリペプチド鎖が2本ずつ)を基本構造としている。軽鎖(L鎖)には、λ鎖とκ鎖の2種類があり、すべての免疫グロブリンはこのどちらかを持つ。重鎖(H鎖)には、γ鎖、μ鎖、α鎖、δ鎖、ε鎖という構造の異なる5種類があり、この重鎖の違いによって免疫グロブリンの種類(アイソタイプ)が変わる。免疫グロブリンG(IgG)は、単量体型の免疫グロブリンで、2本の重鎖(γ鎖)と2本の軽鎖から構成され、2箇所の抗原結合部位を持っている。
免疫グロブリンの“Y”字の下半分の縦棒部分にあたる場所をFc領域と呼び、上半分の“V”字の部分をFab領域と呼ぶ。Fc領域は抗体が抗原に結合した後の反応を惹起するエフェクター機能を有し、Fab領域は抗原と結合する機能を有する。重鎖のFab領域とFc領域はヒンジ部でつながっており、パパイヤに含まれるタンパク分解酵素パパインは、このヒンジ部を分解して2つのFab領域(断片)と1つのFc領域に切断する。Fab領域のうち“Y”字の先端に近い部分(ドメイン)は、多様な抗原に結合できるように、アミノ酸配列に多彩な変化が見られるため、可変領域(V領域)と呼ばれている。軽鎖の可変領域をVL領域、重鎖の可変領域をVH領域と呼ぶ。V領域以外のFab領域とFc領域は、比較的変化の少ない領域であり、定常領域(C領域)と呼ばれる。軽鎖の定常領域をCL領域と呼び、重鎖の定常領域をCH領域と呼ぶが、CH領域はさらにCH1〜CH3の3つに分けられる。重鎖のFab領域はVH領域とCH1からなり、重鎖のFc領域はCH2とCH3からなる。ヒンジ部はCH1とCH2の間に位置する。プロテインLは、軽鎖がκ鎖である可変領域(本明細書では「VL−κ」と略記する場合がある)に結合する(非特許文献5〜7)。
本発明に係るFab領域結合性ペプチドは、免疫グロブリンのκ鎖可変領域(VL−κ領域)に結合する。本発明ペプチドが結合すべきVL−κ領域含有タンパク質は、VL−κ領域を含むものであればよく、Fab領域とFc領域を不足なく含有するIgGであってもよいし、IgM、IgDおよびIgAなどの他のIg類であってもよいし、それらをタンパク質工学的に改変した免疫グロブリン分子の誘導体であってもよい。本発明に係るVL−κ領域結合性ペプチドが結合する免疫グロブリン分子誘導体は、VL−κ領域を有する誘導体であれば特に制限されない。例えば、免疫グロブリンGのFab領域のみに断片化されたFabフラグメント、免疫グロブリンGの可変領域のみからなるscFv、ヒト免疫グロブリンGの一部のドメインを他生物種の免疫グロブリンGのドメインに置き換えて融合させたキメラ型免疫グロブリンG、Fc領域の糖鎖に分子改変を加えた免疫グロブリンG、薬剤を共有結合したscFv断片などを挙げることができる。
本発明において「ペプチド」とは、ポリペプチド構造を有するあらゆる分子を含むものであって、いわゆるタンパク質のみならず、断片化されたものや、ペプチド結合によって他のペプチドが連結されたものも包含されるものとする。「ドメイン」とは、タンパク質の高次構造上の単位であり、数十から数百のアミノ酸残基配列から構成され、なんらかの物理化学的または生物化学的な機能を発現するに十分なペプチドの単位をいう。タンパク質やペプチドの「変異体」は、野生型のタンパク質やペプチドの配列に対し、アミノ酸レベルで、少なくとも1つ以上の置換、付加または欠失が導入されたタンパク質またはペプチドをいう。アミノ酸を置換する変異の表記について、置換位置の番号の前に、野生型または非変異型のアミノ酸を付し、置換位置の番号の後に、変異したアミノ酸を付して表記する。例えば、29位のGlyをAlaに置換する変異は、G29Aと記載する。
本発明に係るアフィニティー分離マトリックスは、水不溶性基材とリガンドを含む。本発明において「水不溶性担体」とは、ペプチドの溶液に用いられる水溶媒に対して不溶性を示し、且つリガンドを担持することにより、リガンドへ特異的に結合するペプチドの精製に用いることができるものをいう。
本発明に用いる水不溶性担体としては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体;架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や;結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどの多糖類からなる有機担体;さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機−有機、有機−無機などの複合担体などが挙げられる。市販品としては、多孔質セルロースゲルであるGCL2000、アリルデキストランとメチレンビスアクリルアミドを共有結合で架橋したSephacryl S−1000、アクリレート系の担体であるToyopearl、アガロース系の架橋担体であるSepharose CL4B、および、セルロース系の架橋担体であるCellufineなどを例示することができる。但し、本発明における水不溶性担体は、例示したこれらの担体のみに限定されるものではない。
また、本発明に用いる水不溶性担体は、本アフィニティー分離マトリックスの使用目的および方法からみて、表面積が大きいことが望ましく、適当な大きさの細孔を多数有する多孔質であることが好ましい。担体の形態としては、ビーズ状、モノリス状、繊維状、膜状(中空糸を含む)などいずれも可能であり、任意の形態を選ぶことができる。
本発明において「リガンド」とは、抗原と抗体の結合に代表される、分子間の特異的な親和力に基づいて、ある分子の集合から目的の分子を選択的に捕集(結合)する物質や官能基を指す用語であり、本発明においては、免疫グロブリンに対して特異的に結合するペプチドを指す。本発明においては、単に「リガンド」と表記した場合も、「アフィニティーリガンド」と同意である。
本発明は、本発明ペプチドを、免疫グロブリンやその断片、特にVL−κ領域に親和性を有することを特徴とするアフィニティーリガンドとして利用することも、実施形態の1つとして包含する。同様に、当該リガンドを水不溶性担体に固定化したことを特徴とするアフィニティー分離マトリックスも、実施形態の1つとして包含する。
本発明に係るリガンドは、ペプトストレプトコッカス・マグヌス株312由来プロテインLのB5ドメインまたはその一部を含む抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドである。
「プロテインL(PpL)」は、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)に属する嫌気性グラム陽性球菌の細胞壁に由来するタンパク質である。本発明では、ペプトストレプトコッカス・マグヌス(Peptostreptococcus magnus)に由来するPpLであり、ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株、および、ペプトストレプトコッカス・マグヌス3316株に由来する2種類のPpLが好ましく、312株に由来するPpLを特に好ましく用いる。なお、本明細書では、ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株のPpLを「PpL312」、ペプトストレプトコッカス・マグヌス3316株由来のPpLを「PpL3316」と略記することがある。PpL312のアミノ酸配列を配列番号1に、PpL3316のアミノ酸配列を配列番号2に示す(シグナル配列も含む)。
PpLは、タンパク質中に70〜80残基からなる複数のVL−κ結合性ドメインを含有する。PpL312に含まれるVL−κ結合性ドメインの数は5個であり、PpL3316に含まれるVL−κ結合性ドメインの数は4個である。PpL312のVL−κ結合性ドメインは、N末端から順に、B1ドメイン(配列番号3)、B2ドメイン(配列番号4)、B3ドメイン(配列番号5)、B4ドメイン(配列番号6)、B5ドメイン(配列番号7)と呼び、PpL3316のVL−κ結合ドメインは、N末端から順に、C1ドメイン(配列番号8)、C2ドメイン(配列番号9)、C3ドメイン(配列番号10)、C4ドメイン(配列番号11)と呼ぶ(非特許文献5〜6)。本明細書で示される、PpL312のB5ドメインのアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列であることが好ましい。
また、VL−κ結合性ドメインのN末端の約20残基は特定の二次構造を取らないことが研究によって分かっており、N末端を欠失させた場合にも、VL−κ結合ドメインとして、三次元構造を保持し、VL−κ結合性を示す(非特許文献7)。例えば、B1ドメインに関しては配列番号12のアミノ酸配列、B2ドメインに関しては配列番号13のアミノ酸配列、B3ドメインに関しては配列番号14のアミノ酸配列、B4ドメインに関しては配列番号15のアミノ酸配列、B5ドメインに関しては配列番号16のアミノ酸配列、C1ドメインに関しては配列番号17のアミノ酸配列、C2ドメインに関しては配列番号18のアミノ酸配列、C3ドメインに関しては配列番号19のアミノ酸配列、C4ドメインに関しては配列番号20のアミノ酸配列で示されるペプチドも、VL−κ結合性ドメインとして機能する。本明細書で示される、PpL312のB5ドメインのアミノ酸配列は、配列番号16で示されるアミノ酸配列であることも好ましい。
また、配列番号1〜2のアミノ酸配列のN末端および/またはC末端の数残基を欠失させたアミノ酸配列であっても、本発明の範囲に含まれる。欠失させる残基数は、好ましくは、1以上5以下であり、より好ましくは1以上4以下であり、さらにより好ましくは1以上3以下であり、さらにより好ましくは1または2であり、さらにより好ましくは1である。
本発明においてペプチドが「(特定の)アミノ酸配列を有する」とは、そのペプチドのアミノ酸配列が特定されたアミノ酸配列を含んでいればよく、且つ、そのペプチドの機能が維持されていることを意味する。そのペプチドにおいて特定されたアミノ酸配列以外の配列としては、シグナルペプチド、ヒスチジンタグ、固定化のためのリンカー配列の他、ジスルフィド結合などの架橋構造などが挙げられる。
また、実施形態の1つとして、本発明により得られるVL−κ領域結合性ペプチドが、1つの構成成分として、機能の異なる他のペプチドと融合されていることを特徴とする融合ペプチドが挙げられる。当該他のペプチドとしては、例えば、アルブミン、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、シグナルペプチド、ヒスチジンタグなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、DNAアプタマーなどの核酸、抗生物質などの薬物、PEG(ポリエチレングリコール)などの高分子が融合されている場合も、本発明で得られたペプチドの有用性を利用するものであれば、本発明に包含される。
本発明で用いる上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列としては、具体的には、例えば、以下のアミノ酸配列(1)〜(3)を挙げることができる。
(1) 配列番号7または配列番号16のアミノ酸配列;
(2) 配列番号7または配列番号16のアミノ酸配列において1以上10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、抗体κ鎖可変領域への結合能を有するアミノ酸配列;
(3) 配列番号7または配列番号16のアミノ酸配列に対して85%以上の配列相同性を有し、且つ、抗体κ鎖可変領域への結合能を有するアミノ酸配列。
本発明の上記アミノ酸配列(2)において、アミノ酸の欠失などの数としては、8以下、6以下または5以下が好ましく、4以下または3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましく、1が特に好ましい。
本発明の上記アミノ酸配列(3)において、「上記(1)に規定されるアミノ酸配列に対して85%以上の相同性を有するアミノ酸配列」における「配列同一性」は、当該アミノ酸配列の相同性を有するペプチドが抗体κ鎖可変領域への結合能を有する限り、特に限定されない。前記アミノ酸配列の相同性は85%以上であれば特に限定されないが、86%以上、88%以上または90%以上が好ましく、92%以上、94%以上または95%以上がより好ましく、96%以上、98%以上または99%以上がさらに好ましく、99.5%以上または99.8%以上が特に好ましい。本発明において「配列の相同性」という語は、2以上のアミノ酸配列の互いに対するアミノ酸の同一性の程度を指す。従って、ある二つのアミノ酸配列の同一性が高い程、それらの配列の同一性ないし類似性は高い。2種類のアミノ酸配列が特定の相同性を有するか否かは、配列の直接の比較によって解析することが可能であり、具体的には、アミノ酸配列多重アラインメント用プログラムであるClustal(http://www.clustal.org/omega/)や市販の配列解析ソフトウェア等を用いて解析することができる。
上記アミノ酸配列(2)および(3)において、「抗体κ鎖可変領域への結合能を有する」とは、例えば、後記の実施例2(2)におけるバイオセンサーを用いたIgG−Fabに対する親和性試験において、少なくともコントロールに比してIgG−Fabに対する親和性の向上が認められることをいう。
また、本発明で用いる上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列としては、具体的には、例えば、配列番号7のアミノ酸配列において、第17位がグルタミン酸、第19位がイソロイシン、第20位がチロシン、第22位がグルタミン酸、第25位がトレオニン、第26位がバリン、第30位がトレオニン、第50位がセリン、第53位がヒスチジンであるアミノ酸配列、および、配列番号16のアミノ酸配列において、第7位がグルタミン酸、第9位がイソロイシン、第10位がチロシン、第12位がグルタミン酸、第15位がトレオニン、第16位がバリン、第20位がトレオニン、第40位がセリン、第43位がヒスチジンであるアミノ酸配列を好ましい例として挙げることができる。
PpLは、VL−κ領域結合ドメインが4個または5個タンデムに並んだ形で含まれるタンパク質である。従って、本発明に係るVL−κ領域結合性ペプチドも、実施形態の1つとして、単量体または単ドメインである当該VL−κ領域結合性ペプチドが2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上連結された複数ドメインの多量体であってもよい。連結されるドメイン数の上限としては、10個以下が挙げられ、好ましくは8個以下、より好ましくは6個以下である。これらの多量体は、単一のVL−κ領域結合性ペプチドの連結体であるホモダイマー、ホモトリマー等のホモポリマーであってもよいし、PpL312のB1〜B4ドメイン、および、PpL3316のC1〜C4ドメインのいずれも含まなければ、複数種類のVL−κ領域結合性ペプチドの連結体であるヘテロダイマー、ヘテロトリマー等のヘテロポリマーであってもよい。
本発明に係る単量体ペプチドの連結のされ方としては、1または複数のアミノ酸残基で連結する方法、および、アミノ酸残基を挟まず直接連結する方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。連結するアミノ酸残基数に特に制限は無いが、好ましくは20残基以下であり、より好ましくは15残基以下であり、さらにより好ましくは10残基以下であり、さらにより好ましくは5残基以下であり、さらにより好ましくは2残基以下である。これらのアミノ酸配列は、単量体ペプチドの3次元立体構造を不安定化しないものが好ましい。
本発明に係るアフィニティー分離マトリックスでは、上記リガンドが上記水不溶性基材に固定化されている。
上記リガンドは、直接またはリンカー基を介して、共有結合により上記水不溶性基材に固定化されている。当該リンカー基としては、例えば、C1-6アルキレン基、アミノ基(−NH−)、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、エステル基(−C(=O)O−または−OC(=O)−)、アミド基(−C(=O)NH−または−NHC(=O)−)、ウレア基(−NHC(=O)NH−);C1-6アルキレン基、アミノ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびウレア基からなる群より選択される2以上10以下の基が連結された基;アミノ基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基およびウレア基からなる群より選択される基を一端または両端に有するC1-6アルキレン基を挙げることができる。上記の連結数としては、8以下または6以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。また、上記C1-6アルキレン基は、水酸基などの置換基などにより置換されていてもよい。
本発明に係るアフィニティー分離マトリックスは、上記リガンドを上記水不溶性担体に固定化することにより製造することができる。
リガンドの固定化方法については、例えば、リガンドに存在するアミノ基、カルボキシル基またはチオール基を利用した、従来のカップリング法で担体に結合してよい。カップリング法としては、臭化シアン、エピクロロヒドリン、ジグリシジルエーテル、トシルクロライド、トレシルクロライド、ヒドラジンまたは過ヨウ素酸ナトリウムなどと担体とを反応させて担体を活性化するか、或いは担体表面に反応性官能基を導入し、リガンドとして固定化する化合物とカップリング反応を行い固定化する方法、また、担体とリガンドとして固定化する化合物が存在する系にカルボジイミドのような縮合試薬、または、グルタルアルデヒドのように分子中に複数の官能基を持つ試薬を加えて縮合、架橋することによる固定化方法が挙げられる。
また、リガンドと担体の間にスペーサー分子を導入してもよいし、担体にリガンドを直接固定化してもよい。従って、固定化のために、本発明に係るVL−κ領域結合性ペプチドを化学修飾してもよいし、固定化に有用なアミノ酸残基を加えてもよい。固定化に有用なアミノ酸としては、側鎖に固定化の化学反応に有用な官能基を有しているアミノ酸が挙げられ、例えば、側鎖にアミノ基を含むLysや、側鎖にチオール基を含むCysが挙げられる。本発明の本質は、本発明においてペプチドに付与したVL−κ領域結合性が、当該ペプチドをリガンドとして固定化したマトリックスにおいても同様に付与されることにあり、固定化のためにいかように修飾・改変しても、本発明の範囲に含まれる。
本発明のアフィニティー分離マトリックスを利用して、免疫グロブリンのκ鎖可変領域を含むタンパク質(VL−κ含有タンパク質)を含むペプチドをアフィニティーカラム・クロマトグラフィ精製法により分離精製することが可能となる。これらのVL−κ含有タンパク質の精製法は、免疫グロブリンのアフィニティーカラム・クロマトグラフィ精製法、例えばSpAアフィニティー分離マトリックスを利用した精製法に準じる手順により達成することができる(非特許文献1)。
具体的には、本発明に係るVL−κ含有タンパク質の製造方法は、上記アフィニティー分離マトリックスと、VL−κ含有タンパク質を含む液体試料とを接触させる工程、および、上記アフィニティー分離マトリックスに結合した上記タンパク質を、上記アフィニティー分離マトリックスから分離する工程を含むことを特徴とする。
より詳しくは、VL−κ含有タンパク質を含有する緩衝液を調製(pHは中性付近)した後、当該溶液を本発明のアフィニティー分離マトリックスを充填したアフィニティーカラムに通過させ、VL−κ含有タンパク質を吸着させる。次いで、アフィニティーカラムに純粋な緩衝液を適量通過させ、カラム内部を洗浄する。この時点では所望のVL−κ含有タンパク質はカラム内の本発明のアフィニティー分離マトリックスに吸着されている。そして、本発明のアフィニティー分離マトリックスは、このサンプル添加の工程からマトリックス洗浄の工程において、目的とするVL−κ含有タンパク質を吸着保持する性能に優れる。次いで、適切なpHに調整した酸性緩衝液をカラムに通液し、所望のVL−κ含有タンパク質を溶出することにより、高純度な精製が達成される。ペプチドを溶出するために用いられる上記酸性緩衝液には、マトリックスからの解離を促進する物質を添加してもよい。
本発明のアフィニティー分離マトリックスは、リガンド化合物や担体の基材が完全に機能を損なわない程度の、適当な強酸性、または、強アルカリ性の純粋な再生用緩衝液を通過させて洗浄することにより、再利用が可能である。上記の再生用緩衝液には、適当な変性剤や有機溶剤を配合してもよい。
本発明は、上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドをコードするDNAにも関する。本発明ペプチドをコードするDNAは、その塩基配列を翻訳したアミノ酸配列が、当該ペプチドを構成するものであればいずれでもよい。かかる塩基配列としては、例えば、配列番号21の塩基配列を挙げることができる。そのような塩基配列は、通常用いられる公知の方法、例えば、ポリメラーゼ・チェーン・リアクション(以下、「PCR」と略記する)法を利用して取得できる。また、公知の化学合成法で合成することも可能であり、さらに、DNAライブラリーから得ることもできる。当該塩基配列は、コドンが縮重コドンで置換されていてもよく、翻訳されたときに同一のアミノ酸をコードしている限り、本来の塩基配列と同一である必要性は無い。当該塩基配列を一つ又はそれ以上有する組換えDNA、または、当該組換えDNAを含む、プラスミドおよびファージなどのベクター、さらには、当該DNAを有するベクターにより形質転換された形質転換微生物/細胞、または、当該DNAを導入した遺伝子改変生物、または、当該DNAを転写の鋳型DNAとする無細胞タンパク質合成系を得ることができる。
また、本発明に係るVL−κ領域結合性ペプチドは、タンパク質発現を補助する作用または精製を容易にするという利点がある公知のタンパク質との融合ペプチドとして取得することができる。即ち、本発明に係るVL−κ領域結合性ペプチドを含む融合ペプチドをコードする組換えDNAを少なくとも一つ含有する微生物、または、細胞を得ることができる。上記タンパク質の例としては、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)等が挙げられるが、それらのタンパク質に限定されるものではない。
本発明のペプチドをコードするDNAを改変するための部位特異的な変異の導入は、以下のように、組換えDNA技術、PCR法等を用いて行うことができる。
即ち、組換えDNA技術による変異の導入は、例えば、本発明ペプチドをコードする遺伝子中において、変異導入を希望する目的の部位の両側に適当な制限酵素認識配列が存在する場合に、それら制限酵素認識配列部分を前記制限酵素で切断し、変異導入を希望する部位を含む領域を除去した後、化学合成等によって目的の部位のみに変異導入したDNA断片を挿入するカセット変異法によって行うことができる。
また、PCRによる部位特異的変異の導入は、例えば、本発明ペプチドをコードする二本鎖プラスミドを鋳型として、+鎖および−鎖に相補的な変異を含む2種の合成オリゴプライマーを用いてPCRを行うダブルプライマー法により行うことができる。
また、本発明の単量体ペプチド(1つのドメイン)をコードするDNAを、意図する数だけ直列に連結することにより、多量体ペプチドをコードするDNAを作製することもできる。例えば、多量体ペプチドをコードするDNAの連結方法は、DNA配列に適当な制限酵素部位を導入し、制限酵素で断片化した2本鎖DNAをDNAリガーゼで連結することができる。制限酵素部位は1種類でもよいが、複数の異なる種類の制限酵素部位を導入することもできる。また、多量体ペプチドをコードするDNAにおいて、各々の単量体ペプチドをコードする塩基配列が同一の場合には、宿主にて相同組み換えを誘発する可能性があるので、連結されている単量体ペプチドをコードするDNAの塩基配列間の配列同一性が例えば90%以下、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下、さらにより好ましくは75%以下であることが好ましい。なお、塩基配列の同一性も、アミノ酸配列と同様に、常法により決定することが可能である。
本発明の「発現ベクター」は、前述した本発明ペプチドまたはその部分アミノ酸配列をコードする塩基配列、およびその塩基配列に作動可能に連結された宿主で機能しうるプロモーターを含む。通常は、本発明ペプチドをコードする遺伝子を、適当なベクターに連結もしくは挿入することにより得ることができ、遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で自律複製可能なものであれば特に限定されず、プラスミドDNAやファージDNAをベクターとして用いることができる。例えば、大腸菌を宿主として用いる場合には、pQE系ベクター(キアゲン社)、pET系ベクター(メルク社)およびpGEX系ベクター(GEヘルスケアバイオサイエンス社)のベクターなどが挙げられる。
本発明の形質転換細胞は、宿主となる細胞へ本発明の組換えベクターを導入することにより得ることができる。宿主への組換え体DNAの導入方法としては、例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、アグロバクテリウム感染法、パーティクルガン法およびポリエチレングリコール法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、得られた遺伝子の機能を宿主で発現する方法としては、本発明で得られた遺伝子をゲノム(染色体)に組み込む方法なども挙げられる。宿主となる細胞については、特に限定されるものではないが、安価に大量生産する上では、大腸菌、枯草菌、ブレビバチルス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)等のバクテリア(真正細菌)を好適に使用しうる。
本発明に係るVL−κ領域結合性ペプチドは、前記した形質転換細胞を培地で培養し、培養菌体中(菌体ぺリプラズム領域中も含む)、または、培養液中(菌体外)に本発明のペプチドを生成蓄積させ、該培養物から所望のペプチドを採取することにより製造することができる。また、本発明ペプチドは、前記した形質転換細胞を培地で培養し、培養菌体中(菌体ぺリプラズム領域中も含む)、または、培養液中(菌体外)に、本発明ペプチドを含む融合ペプチドを生成蓄積させ、当該培養物から当該融合ペプチドを採取し、当該融合ペプチドを適切なプロテアーゼによって切断し、所望のペプチドを採取することにより製造することができる。
本発明の形質転換細胞を培地で培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。得られた形質転換体の培養に用いる培地は、本発明ペプチドを高効率、高収量で生産できるものであれば特に制限は無い。具体的には、グルコース、蔗糖、グリセロール、ポリペプトン、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸などの炭素源や窒素源を使用することができる。その他、カリウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マグネシウム塩、マンガン塩、亜鉛塩、鉄塩等の無機塩類が必要に応じて添加される。栄養要求性の宿主細胞を用いる場合は、生育に要求される栄養物質を添加すればよい。また、必要であればペニシリン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、ネオマイシンなどの抗生物質が添加されてもよい。
さらに、菌体内外に存在する宿主由来のプロテアーゼによる当該目的ペプチドの分解を抑えるために、公知の各種プロテアーゼ阻害剤、すなわち、Phenylmethane sulfonyl fluoride(PMSF)、Benzamidine、4−(2−aminoethyl)−benzenesulfonyl fluoride(AEBSF)、Antipain、Chymostatin、Leupeptin、Pepstatin A、Phosphoramidon、Aprotinin、Ethylenediaminetetra acetic acid(EDTA)および/またはその他市販されているプロテアーゼ阻害剤を適当な濃度で添加してもよい。
さらに、本発明に係るVL−κ領域結合性ペプチドを正しくフォールディングさせるために、例えば、GroEL/ES、Hsp70/DnaK、Hsp90、Hsp104/ClpBなどの分子シャペロンを利用してもよい(例えば、共発現、または、融合タンパク質化などの手法で、本発明のペプチドと共存させる)。なお、本発明ペプチドの正しいフォールディングを目的とする場合には、正しいフォールディングを助長する添加剤を培地中に加える、および、低温にて培養するなどの手法もあるが、これらに限定されるものではない。
大腸菌を宿主として得られた形質転換細胞を培養する培地としては、LB培地(トリプトン1%,酵母エキス0.5%,NaCl1%)、または、2×YT培地(トリプトン 1.6%,酵母エキス1.0%,NaCl0.5%)等が挙げられる。
また、培養温度は、例えば15〜42℃、好ましくは20〜37℃で、通気攪拌条件で好気的に数時間〜数日培養することにより本発明ペプチドを、培養細胞内(ぺリプラズム領域内を含む)、または、培養溶液(細胞外)に蓄積させて回収する。場合によっては、通気を遮断し嫌気的に培養してもよい。組換えペプチドが分泌生産される場合には、培養終了後に、遠心分離、ろ過などの一般的な分離方法で、培養細胞と分泌生産されたペプチドを含む上清を分離することにより生産された組換えペプチドを回収することができる。また、培養細胞内(ぺリプラズム領域内を含む)に蓄積される場合にも、例えば、培養液から遠心分離、ろ過などの方法により菌体を採取し、次いで、この菌体を超音波破砕法、フレンチプレス法などにより破砕し、および/または、界面活性剤等を添加して可溶化することにより、細胞内に蓄積生産されたペプチドを回収することができる。
本発明に係るペプチドの精製はアフィニティークロマトグラフィー、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等を単独でまたは適宜組み合わせることによって行うことができる。得られた精製物質が目的のペプチドであることの確認は、通常の方法、例えばSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、N末端アミノ酸配列分析、ウエスタンブロッティング等により行うことができる。
本願は、2015年1月26日に出願された日本国特許出願第2015−12663号に基づく優先権の利益を主張するものである。2015年1月26日に出願された日本国特許出願第2015−12663号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例で取得した変異ペプチドは「ペプチド名−導入した変異」の形で表記し、変位を導入しない野生型ペプチドは「ペプチド名−Wild」の形で表記する。例えば、配列番号7で示される野生型PpL312のB5ドメインは「LB5−Wild」で示す。また、単ドメインを複数連結したタンパク質については、ピリオドに続けて連結した数に「d」をつけて併記し、単ドメインは「1d」と表記する。さらに、本実施例においては、二次構造を取らないことが分かっているN末端領域を欠失させた配列番号16で示されるPpL312のB5ドメインを実験でメインに利用しており、これを配列番号7と区別するため、「LB5t−Wild」と表記する。
実施例1: PpL312のN末端領域欠失型B5ドメイン(LB5t−Wild.1d)の調製
(1) 発現プラスミド調製
LB5t−Wild.1d(配列番号16)のアミノ酸配列から逆翻訳を行い、当該ペプチドをコードする塩基配列(配列番号21)を設計した。次に、発現プラスミドの作製方法を図1に示す。LB5t−Wild.1dをコードするDNAは、同じ制限酵素サイトを有する2種の二本鎖DNA(f1とf2)を連結する形で調製し、発現ベクターのマルチクローニングサイトに組み込む。実際には、2種の二本鎖DNAと発現ベクターの計3種の二本鎖DNAを連結する3断片ライゲーションによって、コードDNA調製とベクター組込みを同時に実施した。2種の二本鎖DNAの調製方法は、互いに30塩基程度の相補領域を含む2種の一本鎖オリゴDNA(f1−1/f1−2、または、f2−1/f2−2)を、オーバーラップPCRによって伸長し、目的の二本鎖DNAを調製した。具体的な実験操作については、次の通りとなる。一本鎖オリゴDNAf1−1(配列番号22)/f1−2(配列番号23)を外注によって合成し(シグマジェノシス社)、ポリメラーゼとしてPyrobest(タカラバイオ社)を用い、オーバーラップPCR反応を行った。PCR反応生成物をアガロース電気泳動にかけ、目的のバンドを切り出すことで抽出した二本鎖DNAを、制限酵素BamHIとHindIII(いずれもタカラバイオ社)により切断した。同様に、一本鎖オリゴDNAf2−1(配列番号24)/f2−2(配列番号25)を外注によって合成し、オーバーラップPCR反応を経て、合成・抽出した二本鎖DNAを、制限酵素HindIIIとEcoRI(いずれもタカラバイオ社)により切断した。次に、プラスミドベクターpGEX−6P−1(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)のマルチクローニングサイト中のBamHI/EcoRIサイトに上記2種の二本鎖DNAをサブクローニングした。サブクローニングにおけるライゲーション反応は、Ligation high(TOYOBO社)を用いて、製品に添付のプロトコルに準ずる形で実施した。
上記プラスミドベクターpGEX−6P−1を用いて、コンピテント細胞(タカラバイオ社「大腸菌HB101」)の形質転換を、本コンピテント細胞製品に付属のプロトコルに従って行った。上記プラスミドベクターpGEX−6P−1を用いれば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(以下、「GST」と略記する)が融合したLB5t−Wild.1dを産生することができる。次いで、プラスミド精製キット(プロメガ社製「Wizard Plus SV Minipreps DNA Purification System」)を用い、キット付属の標準プロトコルに従って、プラスミドDNAを増幅し、抽出した。発現プラスミドのコードDNAの塩基配列確認は、DNAシークエンサー(Applied Biosystems社製「3130xl Genetic Analyzer」)を用いて行った。遺伝子解析キット(Applied Biosystems社製「BigDye Terminator v.1.1 Cycle Sequencing Kit)と、プラスミドベクターpGEX−6P−1のシークエンシング用DNAプライマー(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いて、添付のプロトコルに従いシークエンシングPCR反応を行った。そのシークエンシング産物を、プラスミド精製キット(Applied Biosystems社製「BigDye XTerminator Purification Kit」)を用いて、添付のプロトコルに従い精製し、塩基配列解析に用いた。
(2) ペプチドの発現・精製
上記(1)で得られた、LB5t−Wild.1d遺伝子を導入した形質転換細胞を、アンピシリン含有2×YT培地にて、37℃で終夜培養した。これらの培養液を、100倍量程度のアンピシリン含有2×YT培地に接種し、37℃で約2時間培養した後で、終濃度0.1mMになるようイソプロピル1−チオ−β−D−ガラクシド(以下、「IPTG」と略記する)を添加し、さらに37℃にて18時間培養した。
培養終了後、遠心にて集菌し、PBS緩衝液5mLに再懸濁した。超音波破砕にて細胞を破砕し、遠心分離して上清画分(無細胞抽出液)と不溶性画分に分画した。pGEX−6P−1ベクターのマルチクローニングサイトに目的の遺伝子を導入すると、GSTがN末端に付与した融合ペプチドとして発現される。それぞれの画分をSDS電気泳動により分析したところ、各々の形質転換細胞培養液から調製した各種無細胞抽出液のすべてについて、分子量約25,000以上の位置にIPTGにより誘導されたと考えられるペプチドのバンドを確認した。
GST融合ペプチドを含む各々の無細胞抽出液から、GSTに対して親和性のあるGSTrap FFカラム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いたアフィニティークロマトグラフィーにて、GST融合ペプチドを粗精製した。各々の無細胞抽出液をGSTrap FFカラムに添加し、標準緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4,150mM NaCl,pH7.4)にてカラムを洗浄し、続いて溶出用緩衝液(50mM Tris−HCl,20mMグルタチオン,pH8.0)にて目的のGST融合ペプチドを溶出した。
pGEX−6P−1ベクターのマルチクローニングサイトに遺伝子を導入すると、配列特異的プロテアーゼPreScission Protease(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)でGSTを切断することが可能なアミノ酸配列が、GSTと目的ペプチドの間に導入される。PreScission Proteaseを用いて、添付プロトコルに従いGST切断反応を行った。このようにGSTを切断した形でアッセイに利用したサンプルから、Superdex 75 10/300 GLカラム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにて、目的のペプチドの精製を行った。標準緩衝液にて平衡化したSuperdex 75 10/300 GLカラムに、各々の反応溶液を添加し、目的のペプチドを、切断したGSTやPreScission Proteaseから分離精製した。
なお、以上のカラムを用いたクロマトグラフィーによるペプチド精製は、全てAKTA prime plusシステム(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を利用して実施した。また、本実施例で得られるGST切断後の各々のペプチドのN末端側には、ベクターpGEX−6P−1由来のGly−Pro−Leu−Gly−Serが付加される。
実施例2: LB5t−Wild.1dのIgG−Fabへの親和性評価
(1) IgG由来Fabフラグメント(IgG−Fab)の調製
ヒト化モノクローナルIgG製剤を原料として、これをパパインによって、FabフラグメントとFcフラグメントに断片化し、Fabフラグメントのみを分離精製することで調製した。今回調製したFabは計6種類であり、各々のFabについて、名称、原料となるヒト化モノクローナルIgG製剤などを表1にまとめた。
ここでは、抗RSVモノクローナル抗体(一般名「パリビズマブ」)由来のIgG−Fabの調製方法を代表的に示す。なお、明細書中において、他のIgG−Fabを評価に用いている場合においても、基本的には同様の方法で調製している。具体的には、ヒト化モノクローナルIgG製剤を、パパイン消化用緩衝液(0.1M AcOH−AcONa,2mM EDTA,1mMシステイン,pH5.5)に溶解し、パパイン固定化アガロース(SIGMA社「Papain Agarose from papaya latex」)を添加し、ローテーターで混和させながら、37℃で約8時間インキュベートした。パパイン固定化アガロースから分離した反応溶液(FabフラグメントとFcフラグメントが混在)から、MabSelect SuReカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を利用したアフィニティークロマトグラフィーにより、素通り画分でIgG−Fabを回収することで分離精製した。分取したIgG−Fab溶液を、Superdex 75 10/300 GLカラム(平衡化および分離には標準緩衝液を使用)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーにて精製し、IgG−Fab溶液を得た。なお、実施例1と同様に、クロマトグラフィーによるペプチド精製は、AKTAprime plusシステムを利用して実施した。
(2) LB5t−Wild.1dのIgG−Fabに対する親和性の解析
表面プラズモン共鳴を利用したバイオセンサーBiacore3000(GEヘルスケア・バイオサイエンス社)を用いて、実施例1(2)で取得したLB5t−Wild.1dの計6種IgG−Fabとの親和性を解析した。本実施例では、実施例2(1)で取得したIgG−Fabをセンサーチップに固定化し、各種ペプチドをチップ上に流して、両者の相互作用を検出した。IgG−FabのセンサーチップCM5への固定化は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、および、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を用いたアミンカップリング法にて行い、ブロッキングにはエタノールアミンを用いた(センサーチップや固定化用試薬は、全てGEヘルスケアバイオサイエンス社製)。IgG−Fab溶液は、固定化用緩衝液(10mM CH3COOH−CH3COONa,pH4.5)を用いて10倍程度に希釈し、Biacore 3000付属のプロトコルに従い、センサーチップへ固定した。また、チップ上の別のフローセルに対して、EDC/NHSにより活性化した後にヒト血清アルブミン(和光純薬社製)を固定化する処理を行うことで、ネガティブ・コントロールとなるリファレンスセルも用意した。LB5t−Wild.1dは、ランニング緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4,150mM NaCl,0.005% P−20,pH7.4)を用いて、0.01、0.1、1、10μMに濃度を調整したタンパク質溶液を、流速40μL/minで1分間センサーチップに添加した。測定温度25℃にて、添加時(結合相、1分)、および、添加終了後(解離相、1分)の結合反応曲線を順次観測した。各々の観測終了後に、約20mM NaOHを添加して洗浄した。得られた結合反応曲線(リファレンスセルの結合反応曲線を差し引いた結合反応曲線)に対して、システム付属ソフトBIA evaluationを用いた1:1の結合モデルによるフィッティング解析を行い、ヒトIgG−Fabに対する親和定数(KA=kon/koff)を算出した。解析結果を表2に示す。
比較例2の解析結果も反映し、他のVL−κ結合ドメインのIgG−Fab結合力と比較する形でまとめたグラフを図2に示した。
表2と図2、および後記の表3と表4に示す結果のとおり、LB5t−Wild.1dは、aRSV−Fab、aTNFa−Fabなど、いくつかのFabに対して、他のドメインよりも高い結合力を示した。このような事実は今まで知られておらず、驚くべき結果であるといえる。特に、aTNFa−FabやaEGFR−Fabなど、全体的に結合力が弱い(一部のVL−κ結合ドメインに関しては結合が検出できない)傾向にあるFab類に対して、試験されたペプチドの中で最も強い結合を示したことは、B5ドメインをベースとしたリガンドを固定化したアフィニティー分離マトリックスが対応可能なFabの種類を拡大できる可能性を示す結果といえる。
比較例1: PpLの他のN末端領域欠失型VL−κ結合ドメインの調製
N末端を欠失させたPpL312のB5ドメイン(LB5t−Wild.1d)の比較対象として、B1〜B4およびC1〜C4ドメインのN末端領域欠失型のコンストラクトを調製した。各々のコンストラクト名とアミノ酸配列番号は、LB1t−Wild.1d(配列番号12)、LB2t−Wild.1d(配列番号13)、LB3t−Wild.1d(配列番号14)、LB4t−Wild.1d(配列番号15)、LC1t−Wild.1d(配列番号17)、LC2t−Wild.1d(配列番号18)、LC3t−Wild.1d(配列番号19)、および、LC4t−Wild.1d(配列番号20)となる。各々に関して、実施例1と同様の手法にて、発現プラスミド・形質転換細胞を調製し、培養・精製を経て、各種タンパク質溶液を調製した。なお、制限酵素に関して、HindIII以外の制限酵素を用いた場合もあったが、詳細は省略する。
比較例2: 各種N末端領域欠失型VL−κ結合ドメインのIgG−Fabへの親和性評価
比較例1で調製した各種N末端領域欠失型VL−κ結合ドメインに関し、実施例2(1)で調製した計6種IgG−Fabとの親和性を、実施例2(2)と同様の手法にて解析した。その解析結果を、表3と表4に示す。
表3,4に示す結果のとおり、ペプトストレプトコッカス・マグヌス由来のB1〜B4ドメインとC1〜C4ドメインは、特定のFab領域に対して高い親和性を示すことがあるものの、他のFab領域に対して親和性を示さないか或いは親和性が非常に低かった。それに対して、表2に示す結果のとおり、本発明に係るペプトストレプトコッカス・マグヌス由来のB5ドメインは、試験したすべてのFab領域に対して押し並べて高い親和性を示した。よって、本発明に係るB5ドメインは、Fab領域を含むペプチドの精製に有用であることが明らかとなった。
実施例3: PpL312のB5ドメインの4ドメイン型(LB5t−Wild.4d)の調製
配列番号1に示されるPpL312に含まれるVL−κ結合ドメイン間のアミノ酸配列を利用し、配列番号16で示されるB5ドメインのアミノ酸配列を4個連結した配列番号26のアミノ酸配列(「LB5t−Wild.4d」)を設計した。LB5t−Wild.4d(配列番号26)のアミノ酸配列から逆翻訳を行い、当該ペプチドをコードする塩基配列(配列番号27)を設計した。配列番号27のDNAの5’末端にPstI認識サイト、3’末端にXbaI認識サイトを付与したDNA(配列番号28)の人工合成遺伝子を、ユーロフィンジェノミクス社への外注によって全合成した。このサブクローニング後の発現プラスミドを、制限酵素PstIおよびXbaI(タカラバイオ社)で消化し、取得したDNA断片を、同じ制限酵素で消化したブレビバチルス発現用ベクターpNCMO2(タカラバイオ社)へライゲーションし、LB5t−Wild.4dのアミノ酸配列をコードするDNAがブレビバチルス発現用ベクターpNCMO2に挿入された発現プラスミドを調製した。なおライゲーション反応は、Ligation high(TOYOBO社)を用いて、製品に添付のプロトコルに準ずる形で実施し、プラスミドの調製にはエシェリヒア・コリJM109株(タカラバイオ社)を用いた。各々の発現プラスミドDNA塩基配列の確認は、DNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzer(Applied Biosystems社)を用いて行った。BigDye Terminator v.1.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社)を用いて、付属のプロトコルに従い、各々のプラスミドDNAのシークエンシングPCR反応を行い、そのシークエンシング産物をプラスミド精製キット(Applied Biosystems社,「BigDye XTerminator Purification Kit」)を用いて添付のプロトコルに従い精製し、配列解析に用いた。
ブレビバチルス・チョウシネンシスSP3株(タカラバイオ社)を得られたプラスミドで形質転換し、LB5t−Wild.4dを分泌生産する遺伝子組換え体を育種した。この遺伝子組換え体を60μg/mLのネオマイシンを含む30mLのA培地(ポリペプトン 3.0%,酵母エキス 0.5%,グルコース 3%,硫酸マグネシウム 0.01%,硫酸鉄 0.001%,塩化マンガン 0.001%,塩化亜鉛 0.0001%)にて、30℃で3日間の振盪培養を行った。培養後、培養液を15,000rpm、25℃で5分間遠心分離することにより菌体を分離した。
得られた培養上清から、UnoSphere S(バイオラッド社)を利用した陽イオン交換クロマトグラフィーにて、LB5t−Wild.4dを精製した。UnoSphere SはTricorn 10/200(GEヘルスケアバイオサイエンス社)に充填して使用した。具体的には、酢酸ナトリウムを終濃度50mMになるように添加し、さらに酢酸でpH4.0に調整した培養上清を、陽イオン交換用緩衝液A(50mM CH3COOH−CH3COONa,pH4.0)にて平衡化したUnoSphere Sカラムに添加し、陽イオン交換用緩衝液Aで洗浄後、陽イオン交換緩衝液Aと陽イオン交換緩衝液B(50mM CH3COOH−CH3COONa,1M NaCl,pH4.0)を利用した塩濃度勾配にて、途中に溶出されるLB5t−Wild.4dを分取した。次に、Nuvia Qカラム(バイオラッド社)を利用した陰イオン交換クロマトグラフィーにて、LB5t−Wild.4dを精製した。Nuvia QはTricorn 10/200(GEヘルスケアバイオサイエンス社)に充填して使用した。具体的には、分取したLB5t−Wild.4d溶液を、陰イオン交換用緩衝液A(50mM Tris−HCl,pH8.0)に透析し、陰イオン交換用緩衝液Aにて平衡化したNuvia Qカラムに添加し、陰イオン交換用緩衝液Aで洗浄後、陰イオン交換緩衝液Aと陰イオン交換緩衝液B(50mM Tris−HCl,1.0M NaCl,pH8.0)を利用した塩濃度勾配にて、途中に溶出されるLB5t−Wild.4dを分取した。分取したLB5t−Wild.4dを再び超純水に透析し、LB5t−Wild.4dのみを含む水溶液を最終精製サンプルとした。なお、上記のカラムを用いたクロマトグラフィーによるタンパク質精製は、AKTAavant 25システム(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を利用して実施した。
実施例4: PpL312のB5ドメインの4ドメイン型固定化担体の作製
実施例3で調製したLB5t−Wild.4dを、市販のアガロース担体へ固定化した。この際、LB5t−Wild.4dの反応性アミノ酸残基とマレイミドとの結合を利用した。
具体的には、まず、市販のNHS活性化担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社「NHS Activated Sepharose 4 Fast Flow」)1.5mL−gelをガラスフィルターに移し、保存溶液であるイソプロパノールを吸引除去した後、氷冷した1mM塩酸(5mL)で洗浄した。続いて、カップリング緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4,150mM塩化ナトリウム,pH7.2)5mLで担体を洗浄した後、カップリング緩衝液に懸濁させながら担体を回収し遠沈管に移した。カップリング緩衝液で溶解し、10mMの濃度に調整したN−[ε−Maleimidocaproic acid]hydrazide・TFA(EMCH,サーモフィッシャーサイエンフィティック社)溶液を担体の入った遠沈管に加え、25℃で1時間反応させた。その後、担体をガラスフィルターに移し、洗浄緩衝液A(0.5Mエタノールアミン,0.5M塩化ナトリウム,pH7.2)を10mL、カップリング緩衝液を10mL、洗浄緩衝液Aを10mLの順で担体を洗浄し、25℃で15分間静置した。さらにカップリング緩衝液(10mL)で担体を洗浄した。ここまでの操作で担体にマレイミドを結合させた。
次に、マレイミドを結合させた担体にLB5t−Wild.4dを固定化する操作を行った。固定化に使用する前に、LB5t−Wild.4dを、100mM DTT条件下で還元し、さらに脱塩カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社,「HiTrap Desalting」)によるDTTの除去と、カップリング緩衝液へ緩衝液交換をするという前処理を行った。マレイミドを結合させた担体を遠沈管に移し、さらにLB5t−Wild.4d溶液を加えて担体を25℃で2時間反応させた。その後、反応させた担体をガラスフィルターに移し、7mLのカップリング緩衝液で洗浄することで未反応LB5t−Wild.4dを回収した。その後、洗浄緩衝液B(50mM L−システイン,100mM NaH2PO4−Na2HPO4,0.5M塩化ナトリウム,pH7.2)を10mL、カップリング緩衝液を10mL、洗浄緩衝液Bを10mLの順で担体を洗浄した後、25℃で15分間静置した。さらに、カップリング緩衝液10mL、超純水10mL、20%エタノール10mLで担体を洗浄した後、20%エタノール担体を懸濁、回収することにより、LB5t−Wild.4d固定化担体を得た。
回収した未反応LB5t−Wild.4dの280nmの吸光度を分光計で測定し、アミノ酸配列から算出した吸光係数から未反応LB5t−Wild.4dの量を算出した。LB5t−Wild.4dの仕込み量と定量した未反応LB5t−Wild.4dの量の差からLB5t−Wild.4dの固定化量を算出し、さらに担体の体積からリガンド密度を算出した。表5に、作製した担体である試作1のリガンド密度と、比較例3として使用する市販Protein L担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社「HiTrap Protein L」)のリガンド密度をまとめた。
実施例5: LB5t−Wild.4d固定化担体のポリクローナルFabに対する吸着確認
実施例4で作製したLB5t−Wild.4d固定化担体の結合特性を確認するために、ヒトポリクローナルFabの吸着確認を行った。ヒトポリクローナルFabとして、ヒトポリクローナル抗体(製品名「ガンマグロブリン」,日本製薬社)由来のポリクローナルFabを調製した。実施例2の(1)に準じて調製したが、ヒトポリクローナル抗体はProtein A担体への非吸着成分を含むため、パパイン消化の前に、KANEKA KANEKA KanCapATMカラム(カネカ社)を利用したアフィニティークロマトグラフィーにより、吸着成分のIgGを回収し、回収したIgGについてパパイン消化を行った。
LB5t−Wild.4d固定化担体の結合特性の確認方法の具体的な操作を以下に示す。1mL−gelの担体を充填したTricorn 5/50 column(GEヘルスケアバイオサイエンス社)をクロマトシステムAKTAavant 25に接続し、流速0.25mL/minで平衡化緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4,150mM塩化ナトリウム,pH7.4)を3CV流して平衡化した。次に、流速0.25mL/minで、1mg/mLのヒトポリクローナルFab溶液を35mL流した。その後、流速0.25mL/minで平衡化緩衝液を10CV流し、続いて、溶出緩衝液(50mMクエン酸,pH3.0)を10CV流し、ヒトポリクローナルFabを溶出した。さらに流速0.25mL/minで3CVの平衡化緩衝液を流した後、強洗浄緩衝液(50mMクエン酸,pH2.5)を5CV流し、最後に平衡化緩衝液を5CV流した。比較例3として市販Protein L担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社「HiTrap Protein L」)も同様の操作を行った。得られたクロマトグラフィチャートを図3に、ヒトポリクローナルFab負荷工程の拡大クロマトグラフィチャートを図4に示す。
図3の溶出画分(2)を見ると、比較例3と比べて実施例4の担体を用いた場合は明らかにピーク面積が大きい。また、ヒトポリクローナルFab負荷工程(1)を拡大した図4の差異Aで示すように、比較例3の担体はヒトポリクローナルFab負荷時に漏出が継続的に上昇する傾向がある一方で、実施例4の担体では漏出が一定であることが分かる。ヒトポリクローナルFabにはλ鎖可変領域を含むFabが存在するため、λ鎖可変領域を含むFabは比較例3および実施例4の担体には吸着されず、ヒトポリクローナルFab負荷時には漏出することが分かる。さらに差異Aは、実施例4の担体には吸着されるが比較例3の担体には吸着されないκ鎖可変領域を含むFabが存在することを示している。そのため、各担体に負荷したヒトポリクローナルFabの量が同じであるにも関わらず、比較例3よりも、実施例4の溶出ピークが大きい、すなわち吸着したFabの量が多いということが分かる。
これらの結果は、本発明の抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドをリガンドとしたアフィニティー分離マトリックスは、精製可能な断片抗体の種類の拡張が可能であることを示す結果であるといえる。
実施例6: LB5t−Wild.4d固定化担体のモノクローナルFabに対する結合容量評価
実施例4で作製したLB5t−Wild.4d固定化担体について、モノクローナルFabに対する結合容量の評価を行った。モノクローナルFabとしては、実施例2の(1)で調製したaTNFa−Fabを平衡化緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4,150mM 塩化ナトリウム,pH7.4)で1mg/mLの濃度に調整した溶液を用いた。
クロマトシステムAKTAavant 25に1mL−gelの担体を充填したTricorn 5/50 column(GEヘルスケアバイオサイエンス社)を接続し、流速0.25mL/minで平衡化緩衝液(20mM NaH2PO4−Na2HPO4,150mM塩化ナトリウム,pH7.4)を3CV流して平衡化した。次に、流速0.25mL/minでaTNFa−Fab溶液を流し、モニタリング吸光度が100%Abs280の55%を超えるまで続けた。その後、流速0.25mL/minで平衡化緩衝液を10CV流し、続いて、溶出緩衝液(50mMクエン酸,pH2.5)を3CV流し、aTNFa−Fabを溶出した。モニタリング吸光度が100%Abs280の55%を超えたときまでに流したaTNFa−Fabの総量をaTNFa−Fabに対する55%DBCとした。比較例として市販Protein L担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社「HiTrap Protein L」)にも同様の操作を行った。測定結果を表6に示す。
表6に示す結果のとおり、aTNFa−Fabに対する55%DBCについて、実施例4の担体は比較例3の担体よりも非常に大きいという結果が得られた。本結果は、比較例3では吸着が困難なκ鎖可変領域を含むFabに対して、本発明の抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドをリガンドとしたアフィニティー分離マトリックスは、吸着および精製が可能であることを示すものであるといえる。

Claims (9)

  1. 水不溶性基材とリガンドを含み、
    上記リガンドが上記水不溶性基材に固定化されており、
    上記リガンドが、ペプトストレプトコッカス・マグヌス312株由来プロテインLのB5ドメインまたはその一部を含む抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドであることを特徴とするアフィニティー分離マトリックス。
  2. 上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列が、以下のアミノ酸配列である請求項1に記載のアフィニティー分離マトリックス:
    (1) 配列番号7または配列番号16のアミノ酸配列;
    (2) 配列番号7または配列番号16のアミノ酸配列において1以上10以下のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、抗体κ鎖可変領域への結合能を有するアミノ酸配列;
    (3) 配列番号7または配列番号16のアミノ酸配列に対して85%以上の配列相同性を有し、且つ、抗体κ鎖可変領域への結合能を有するアミノ酸配列。
  3. 上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列が、配列番号7のアミノ酸配列において、第17位がグルタミン酸、第19位がイソロイシン、第20位がチロシン、第22位がグルタミン酸、第25位がトレオニン、第26位がバリン、第30位がトレオニン、第50位がセリン、第53位がヒスチジンであるアミノ酸配列である請求項2に記載のアフィニティー分離マトリックス。
  4. 上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列が、配列番号16のアミノ酸配列において、第7位がグルタミン酸、第9位がイソロイシン、第10位がチロシン、第12位がグルタミン酸、第15位がトレオニン、第16位がバリン、第20位がトレオニン、第40位がセリン、第43位がヒスチジンであるアミノ酸配列である請求項2に記載のアフィニティー分離マトリックス。
  5. 上記抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドのアミノ酸配列が、上記アミノ酸配列の2個以上の繰り返しである請求項2〜4のいずれかに記載のアフィニティー分離マトリックス。
  6. 抗体κ鎖可変領域を含むタンパク質を製造する方法であって、
    請求項1〜5のいずれかに記載のアフィニティー分離マトリックスと、抗体κ鎖可変領域を有するタンパク質を含む液体試料とを接触させる工程、および、
    上記アフィニティー分離マトリックスに結合した上記タンパク質を、上記アフィニティー分離マトリックスから分離する工程を含むことを特徴とする方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の抗体κ鎖可変領域結合性ペプチドをコードすることを特徴とするDNA。
  8. 請求項7に記載のDNAを含むことを特徴とするベクター。
  9. 請求項8に記載のベクターにより形質転換されたものであることを特徴とする形質転換体。
JP2016572024A 2015-01-26 2016-01-25 免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質精製用アフィニティー分離マトリックス Pending JPWO2016121701A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015012663 2015-01-26
JP2015012663 2015-01-26
PCT/JP2016/052036 WO2016121701A1 (ja) 2015-01-26 2016-01-25 免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質精製用アフィニティー分離マトリックス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2016121701A1 true JPWO2016121701A1 (ja) 2017-11-09

Family

ID=56543314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016572024A Pending JPWO2016121701A1 (ja) 2015-01-26 2016-01-25 免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質精製用アフィニティー分離マトリックス

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10858392B2 (ja)
JP (1) JPWO2016121701A1 (ja)
WO (1) WO2016121701A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2016121701A1 (ja) 2015-01-26 2017-11-09 株式会社カネカ 免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質精製用アフィニティー分離マトリックス
JP6663360B2 (ja) 2015-01-26 2020-03-11 株式会社カネカ 変異型免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド
JP6950957B2 (ja) * 2015-10-22 2021-10-13 プロテノバ株式会社 イムノグロブリン結合ポリペプチド
WO2017191747A1 (ja) * 2016-05-06 2017-11-09 株式会社カネカ κ鎖可変領域を含むタンパク質の製造方法
WO2017195638A1 (ja) 2016-05-09 2017-11-16 株式会社カネカ 抗体またはκ鎖可変領域含有抗体断片の精製方法
WO2019187602A1 (ja) * 2018-03-29 2019-10-03 株式会社カネカ 改変型免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07506573A (ja) * 1992-04-28 1995-07-20 ハイテク レセプター アーベー プロテインlおよびそのハイブリッドプロテイン類
CN1634990A (zh) * 2004-10-14 2005-07-06 上海润龙生物科技有限公司 一种高亲和力免疫球蛋白结合分子及其制备方法
WO2005113584A1 (en) * 2004-04-29 2005-12-01 Board Of Regents, University Of Texas System Methods and compositions comprising protein l immunoglobulin binding domains for cell-specific targeting

Family Cites Families (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SE8505922D0 (sv) 1985-12-13 1985-12-13 Kabigen Ab Construction of an igg binding protein to facilitate downstream processing using protein engineering
CA2135208C (en) 1992-05-07 2009-06-30 Angus Robert Trowern Immunoglobulin binding proteins derived from l protein and their uses
SE9503925D0 (sv) 1995-11-07 1995-11-07 Pharmacia Biotech Ab Separationsmedium för IgG
WO2000015803A1 (en) 1998-09-14 2000-03-23 Affitech As Immunoglobulin binding protein
GB9823071D0 (en) 1998-10-21 1998-12-16 Affibody Technology Ab A method
JP4460302B2 (ja) 2002-02-05 2010-05-12 ジェネンテック インコーポレイテッド タンパク質精製法
SE0200943D0 (sv) 2002-03-25 2002-03-25 Amersham Biosciences Ab Mutant protein
US7709209B2 (en) 2002-03-25 2010-05-04 Ge Healthcare Bio-Sciences Ab Protein ligands
JP5525118B2 (ja) 2002-09-11 2014-06-18 中外製薬株式会社 タンパク質精製方法
AU2003903317A0 (en) * 2003-06-27 2003-07-10 Proteome Systems Intellectual Property Pty Ltd Method of isolating a protein
GB0323238D0 (en) 2003-10-03 2003-11-05 Domantis Ltd Synthetic LG binding domains of protein L
EP1830947A4 (en) 2004-12-14 2012-04-18 Ge Healthcare Bio Sciences Ab CLEANING OF IMMUNOGLOBULINS
US8728828B2 (en) 2004-12-22 2014-05-20 Ge Healthcare Bio-Sciences Ab Purification of immunoglobulins
JP2006304633A (ja) 2005-04-26 2006-11-09 Apro Life Science Institute Inc イムノグロブリン結合タンパク質
WO2006126942A1 (en) 2005-05-24 2006-11-30 Ge Healthcare Bio-Sciences Ab Regeneration of a chromatography matrix
US20100015044A1 (en) * 2005-08-03 2010-01-21 Robert Qiu Methods and compositions for diagnosis of iga-and igm-mediated kidney diseases
EP1992692B1 (en) 2006-02-21 2013-01-09 Protenova Co., Ltd. Immunoglobulin affinity ligand
JP4179517B2 (ja) 2006-02-21 2008-11-12 プロテノバ株式会社 イムノグロブリン親和性リガンド
CA2733782A1 (en) 2008-08-14 2010-02-18 Merck Sharp & Dohme Corp. Methods for purifying antibodies using protein a affinity chromatography
JP5952185B2 (ja) 2010-03-24 2016-07-13 株式会社カネカ 免疫グロブリンに特異的に結合するタンパク質および免疫グロブリン結合性アフィニティーリガンド
BR112013024933A2 (pt) 2011-03-29 2016-09-06 Glaxosmithkline Llc sistema tampão para purificação de proteínas
EP4371996A3 (en) 2013-03-15 2024-08-14 GlaxoSmithKline Intellectual Property Development Limited Methods for purifying antibodies
US10519195B2 (en) 2013-09-17 2019-12-31 Kaneka Corporation Antibody purification method, antibody obtained therefrom, novel antibody purification method using cation exchanger, and antibody obtained therefrom
EP3074036B1 (en) 2013-11-25 2019-09-18 Seattle Genetics, Inc. Preparing antibodies from cho cell cultures for conjugation
JP6697383B2 (ja) 2014-06-09 2020-05-20 株式会社カネカ 組換えブレビバチルス属細菌を用いた組換え蛋白質の製造方法
JPWO2015190458A1 (ja) * 2014-06-09 2017-04-20 株式会社カネカ 組換えブレビバチルス属細菌による組換え蛋白質の製造方法
US20170334947A1 (en) 2014-08-28 2017-11-23 Kaneka Corporation Affinity separation matrix for fab region-containing peptide
JP6369807B2 (ja) 2014-10-21 2018-08-08 株式会社プロテイン・エクスプレス プロテインl変異体
US10208091B2 (en) 2014-12-17 2019-02-19 Ge Healthcare Bioprocess R&D Ab Modified kappa light chain-binding polypeptides
JPWO2016121701A1 (ja) 2015-01-26 2017-11-09 株式会社カネカ 免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質精製用アフィニティー分離マトリックス
GB201503578D0 (en) 2015-03-03 2015-04-15 Ge Healthcare Bio Sciences Ab Sanitization method for affinity chromatography matrices

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07506573A (ja) * 1992-04-28 1995-07-20 ハイテク レセプター アーベー プロテインlおよびそのハイブリッドプロテイン類
WO2005113584A1 (en) * 2004-04-29 2005-12-01 Board Of Regents, University Of Texas System Methods and compositions comprising protein l immunoglobulin binding domains for cell-specific targeting
CN1634990A (zh) * 2004-10-14 2005-07-06 上海润龙生物科技有限公司 一种高亲和力免疫球蛋白结合分子及其制备方法

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BOTTOMLEY S. P., ET AL., BIOSEPARATION, vol. 5, JPN6016014391, 1995, pages 359 - 367, ISSN: 0004148718 *
GRAILLE M., ET AL.: "Complex between Peptostreptococcus magnus Protein L and a Human Antibody Reveals Structural Converge", STRUCTURE, vol. 9, JPN6016014390, 2001, pages 679 - 687, XP055259618, ISSN: 0004148717, DOI: 10.1016/S0969-2126(01)00630-X *
KIHLBERG B. M., ET AL.: "Protein LG: A Hybrid Molecule with Unique Immunoglobulin Binding Properties", THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol. 267, no. 35, JPN6016014388, 1992, pages 25583 - 25588, XP008130708, ISSN: 0004148715 *
SVENSSON H. G., ET AL.: "Protein LA, a novel hybrid protein with unique single-chain Fv antibody- and Fab-binding properties", EUROPEAN JOURNAL OF BIOCHEMISTRY, vol. 258, JPN6016014389, 1998, pages 890 - 896, XP055594874, ISSN: 0004148716, DOI: 10.1046/j.1432-1327.1998.2580890.x *

Also Published As

Publication number Publication date
US20170327535A1 (en) 2017-11-16
US10858392B2 (en) 2020-12-08
WO2016121701A1 (ja) 2016-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6506691B2 (ja) Fab領域結合性ペプチド
WO2016121701A1 (ja) 免疫グロブリンκ鎖可変領域含有タンパク質精製用アフィニティー分離マトリックス
JP6596005B2 (ja) Fab領域含有ペプチド用アフィニティー分離マトリックス
JP6663360B2 (ja) 変異型免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド
US20190134606A1 (en) Method for producing affinity separation matrix, and affinity separation matrix
WO2017191748A1 (ja) 改変型免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド
US10774115B2 (en) Modified Fab region-binding peptide
WO2017191747A1 (ja) κ鎖可変領域を含むタンパク質の製造方法
US10844112B2 (en) Method for purifying antibody or antibody fragment containing κ-chain variable region
WO2019187602A1 (ja) 改変型免疫グロブリンκ鎖可変領域結合性ペプチド
WO2016031926A1 (ja) Fab領域結合性ペプチド
JP7118949B2 (ja) 安定性改良型免疫グロブリン結合性ペプチド
WO2016031909A1 (ja) 免疫グロブリンg結合性ペプチド
WO2019187603A1 (ja) 免疫グロブリンg結合性ペプチド
WO2018180205A1 (ja) 免疫グロブリン精製用アフィニティー分離マトリックス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181130

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20181130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191007

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20191112