JPWO2002034907A1 - 1本鎖核酸の合成方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は2本鎖核酸のセンス、またはアンチセンス鎖の一方を選択的かつ効率的に合成する方法に関する。本発明にかかる1本鎖核酸の合成方法は以下の工程からなる。1)標的配列よりも5’側に制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAを、a)3’末端が突出した断片を形成し、かつb)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なるように制限酵素で切断する工程。2)制限酵素により切断されたDNA断片の1本鎖領域に、少なくとも3’末端にその領域に相補的な塩基配列を持つプライマーをアニールさせる工程。3)プライマーの3’末端を起点に鎖置換型ポリメラーゼにより核酸を合成する工程。さらに、前記制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAをLAMP反応を利用して増幅することにより、より効率的な1本鎖核酸の合成が可能になる。
Description
技術分野
本発明は1本鎖DNAの合成方法に関する、更に詳しくは2本鎖DNAのうちセンス又はアンチセンス鎖の一方のみを選択的に合成する方法に関する。
背景技術
ハイブリダイゼーションアッセイのプローブに使用する1本鎖DNAの調製方法として最も一般的な方法は、熱又はアルカリによる2本鎖DNAの変性によるものである。しかしながら、この方法では生成物中に相補鎖が共存するため、2本鎖を形成する条件下におくと相補鎖同士が再結合し、ハイブリダイゼーションの効率が低下することがある。M13等の1本鎖ファージを利用したクローニングによる1本鎖DNAの調製方法も知られているが、コストや時間がかかるという欠点がある。
数十base程度の短い1本鎖DNAであれば化学合成により容易に合成できるが、100baseを超える長い1本鎖DNAを化学合成すると収率や塩基配列の正確さが低下する。また、T7RNAポリメラーゼはDNAを鋳型に1本鎖RNAを合成できるが、鋳型DNAには該酵素が認識するプロモーター配列が必要である。
一方、WO99/09211には、2本鎖核酸の第1鎖上の標的配列を増幅する方法であって、第1鎖上の標的配列5’末端部を切断し、かつ該切断により第2鎖の3’末端領域が突出するように制限酵素を用いて2本鎖核酸を切断し、次いで前記第2鎖の3’末端に相補的なプライマーと鎖置換型ポリメラーゼを用いて、第2鎖を鋳型とした伸長反応を行わせ、前記標的配列を増幅する方法が開示されている。この方法では、プライマーによる標的領域の合成と同時に制限酵素切断部位も再生される原理になっているが、反応の開始時点で標的領域は該制限酵素切断部位を5’末端に有している必要があり、その認識部位の提供については十分な開示はされていない。またこの方法は、SDA法(Strand Displacement Amplification)[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,392−396;1992][Nucleic Acid.Res.,20,1691−1696;1992]の改良法であって、本来2本鎖DNAの増幅を目的としたものである。したがって、切断によって生じるそれぞれの3’側突出部の配列が同一(回文配列)の場合には、単一のプライマーのみを使用してもセンス鎖、アンチセンス鎖の両方が合成されてしまう。つまり、この方法は必ずしも1本鎖DNAを提供するものではない。
なお、ここでSDA法について若干の説明を加えておく。SDA法は、ある塩基配列の3’側に相補的なプライマーを合成起点として相補鎖合成を行うときに、5’側に2本鎖の領域が有るとその鎖を置換しながら相補鎖の合成を行う特殊なDNAポリメラーゼを利用する方法である。SDA法では、プライマーとしてアニールさせた配列に予め制限酵素認識配列を挿入しておくことによって、PCR法においては必須となっている温度変化工程の省略を実現できる。すなわち、制限酵素によってもたらされるニックが相補鎖合成の起点となる3’−OH基を与え、そこから鎖置換合成を行うことによって先に合成された相補鎖が1本鎖として遊離して次の相補鎖合成の鋳型として再利用される。このようにSDA法はPCR法で必須となっていた複雑な温度制御を不要とした。
発明の開示
本発明が解決すべき課題は、比較的長いセンス又はアンチセンス鎖の一方を選択的かつ効率的に合成する方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、LAMP法を応用したDNA増幅方法と「3’末端が突出した断片を形成し、かつ切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なるように切断可能な制限酵素」を用いることにより、1本鎖核酸を選択的かつ効率的に合成しうることを見出し本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)以下の工程からなる1本鎖核酸の合成方法。
1)標的配列よりも5’側に制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAを、
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる
ように制限酵素で切断する工程。
2)制限酵素により切断されたDNA断片の1本鎖領域に、少なくとも3’末端にその領域に相補的な塩基配列を持つプライマーをアニールさせる工程。
3)プライマーの3’末端を起点に鎖置換型ポリメラーゼにより核酸を合成する工程。
(2)前記制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAが、以下の工程を含む方法によって提供されることを特徴とする、上記(1)記載の方法。
1)該制限酵素認識配列をクローニングサイトの中に、あるいはクローニングサイトに隣接して有するベクターを用いて増幅すべきDNAをクローニングする工程
2)該制限酵素認識配列上あるいはこれより3’側にアニールするプライマーを用いたDNA増幅法によって、該制限酵素認識配列及び増幅すべきDNAを含む領域を増幅する工程。
(3)前記DNA増幅法がLAMP法である、上記(2)記載の方法。
(4)前記制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAが、該制限酵素認識配列を含むプライマーを用いたDNA増幅法によって提供されることを特徴とする上記(1)記載の方法。
(5)前記DNA増幅法が、以下のA)及びB)からなるプライマーを用いたLAMP法である、上記(4)記載の方法。
2本鎖DNAの第1のDNA鎖上にある標的配列の3’末端から該DNA鎖の3’末端方向に向かって順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cをそれぞれ選択し、また該標的配列の5’末端から該DNA鎖の5’末端方向に向かって順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2をそれぞれ選択したとき、
A)前記F2cに相補的な配列F2及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、又は 前記F2cに相補的な配列F2、前記制限酵素認識配列及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー
B)前記R2と同一の配列、前記制限酵素認識配列及び前記R1に相補的な配列R1cを3’側から5’側にこの順で含むプライマー
(6)前記DNA合成工程において、さらに前記インナープライマーよりも3’側にアニールするアウタープライマーを用いることを特徴とする上記(5)記載の方法。
(7)制限酵素による切断部位の1本鎖領域の長さが、少なくとも5塩基以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の方法。
(8)制限酵素による切断部位の1本鎖領域の長さが、少なくとも7塩基以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の方法。
(9)プライマーが検出可能な標識物質又は固相と結合しているか、あるいはこれらに結合可能なように修飾されていることを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれか1に記載の方法。
(10)2本鎖DNAの第1のDNA鎖上にある標的配列の3’末端から該DNA鎖の3’末端方向に向かって順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cをそれぞれ選択し、また該標的配列の5’末端から該DNA鎖の5’末端方向に向かって順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2をそれぞれ選択したとき、以下のA)及びB)からなるインナープライマー。
A)前記F2cに相補的な配列F2及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、又は 前記F2cに相補的な配列F2、以下の制限酵素の認識配列及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる
ように切断可能な制限酵素
B)前記R2と同一の配列、前記制限酵素の認識配列及び前記R1に相補的な配列R1cを3’側から5’側にこの順で含むプライマー
(11)クローニングサイトの中に、あるいはクローニングサイトに隣接して、以下の塩基配列を持つことを特徴とする、1本鎖核酸合成用ベクター。
制限酵素で切断した際に、
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる
ように切断される塩基配列
(12)少なくとも以下の試薬を含む1本鎖核酸合成用試薬キット。
1)以下の特徴を持つ制限酵素
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)それぞれの断片の塩基配列が異なるように切断可能である
2)上記制限酵素により切断されたDNA断片の1本鎖領域にアニール可能なプライマー
3)鎖置換型ポリメラーゼ
4)上記(10)記載のインナープライマー又は上記(11)記載の1本鎖核酸合成用ベクター
本発明にかかる1本鎖核酸の合成方法において、「1本鎖核酸」とは2本鎖DNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖のいずれか一方のみからなるDNA、すなわち1本鎖DNAを意味する。また、「アニール」とは核酸がワトソン−クリックの法則に基づく塩基対結合によって2本鎖構造を形成することを意味する。したがって、1本鎖核酸が分子内でこのような塩基対結合を形成しても、アニールである。本発明において、アニールとハイブリダイズは、核酸が塩基対結合による2本鎖構造を構成する点で同義である。
本発明において、「標的配列(或いは領域)」知とは1本鎖核酸として合成すべき塩基配列(あるいは領域)を意味するものとする。また、鋳型となる2本鎖DNAのうち、該標的配列を含む方の鎖を第1鎖、これに相補的な鎖を第2鎖を意味するものとする。
本発明ではLAMP法の技術が応用される。LAMP法は本発明者らが開発した核酸の増幅方法で、インナープライマーペア或いはこれにアウタープライマーペアを加えた、2種或いは4種の特異的プライマーと、鎖置換DNAポリメラーゼ及び基質であるヌクレオチドを用いて、等温条件下(65℃前後)でDNA又はRNAを迅速かつ安価に増幅する方法である。LAMP法の詳細についてはNagamine et.al.,Clinical Chemistry(2001),Vol.47,No.9,1742−1743、Notomi et.al.,Nucleic Acids Research(2000),Vol.28,e63及び国際出願(国際公開番号:WO00/28082、WO01/34838、WO01/34790等)等に記載されており、該記載は参照として本明細書中に取り入れるものとする。
本発明では、制限酵素切断部位をa)3’末端が突出した断片を形成し、かつb)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる、という特徴を併せ持つ制限酵素を使用する。制限酵素の大半は切断後に5’末端が突出した断片か、平滑末端を持つ断片を形成する。しかし、少数ながら切断後に3’末端が突出した断片を形成する制限酵素が知られており、そのような酵素を用いて切断したDNA断片の一本鎖領域にプライマーをアニールさせ、ポリメラーゼにより核酸を合成することが可能である。ただし、突出した3’末端領域にプライマーをアニールさせ核酸の合成反芯を行うためには、塩基配列の特異性や結合の強度を考慮すると、1本鎖領域の長さが少なくとも5塩基以上、好ましくは7塩基以上必要である。
また、制限酵素の中には、認識部位に挟まれた、あるいは認識部位に隣接した任意の配列中に切断部位を持つものがある。たとえば、BglIはGCCNNNNNGGCという配列の7番目と8番目の塩基の間を切断する。このような制限酵素で切断した断片は、切断部位の塩基配列が異なる非対称な断片を生成する。すなわち、GCCAAAAAGGCという配列をBglIで切断した場合、切断部位の塩基配列はGCCAAAAとGCCTTTTである。このような非対称な断片では一方に相補的な塩基配列を持つプライマー(プローブ)は他方には結合できない。
上に述べた特徴を併せ持つ制限酵素(以下、本発明の制限酵素という)としては例えばTspRIが挙げられる。TspRIはNNCA(C or G)TGNNという塩基配列を認識し、3’末端の任意の塩基と隣接する塩基の間を切断するので、切断後の1本鎖領域の長さは9塩基になる。
TspR1を例として、本発明の1本鎖核酸合成方法の原理について説明する。上述の通り、TspRIは3’側の切断面が9塩基の突出末端を持つ制限酵素である。さらに、認識配列NNCA(C/G)TGNNの両端の2塩基(NN)はATGCのいずれでも良く、非対称な認識配列を形成することができる。これを利用することにより鎖特異的なDNA合成が可能となる。例えば、BamHIクローニングサイトの両端にTspRIサイトを持つ配列を作製する。これをTspRIで消化すると異なる塩基配列を持つ4つの3’突出末端が得られる。つぎに、このうちの1つを認識する配列(図1中[1])でプライマー(Primer:GACACTGGA)を作製する。このプライマーは[2][3][4]とは完全に一致する配列でないためアニールする事が出来ない。したがって、プライマーが[1]にアニールして伸長反応が起こると、同一鎖のみを鋳型として合成反応が起こる。
上記合成反応に前記LAMP法(Nucleic Acids Research(2000),Vol.28,e63)の技術を応用することができる。例えば、
1)前記制限酵素認識配列をクローニングサイトの中に、あるいはクローニングサイトに隣接して有するベクターを用いて増幅すべきDNAをクローニングする。
2)次いで、該制限酵素認識配列上、あるいはこれより3’側にアニールするLAMP用プライマーを設計する。
3)そして、該プライマー及び鎖置換型ポリメラーゼを用いて、該制限酵素認識配列と増幅すべきDNAを含む領域をLAMP法により増幅する。
増幅した制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAから1本鎖DNAを合成する過程は上述したとおりである。LAMP法は等温条件下、短時間で大量のDNAを得ることができるため、上記合成方法と組み合わせることでより多くの鎖特異的一本鎖DNAを効率的に得ることができる。
なお、上記のLAMP用プライマーとはLAMP法で用いられる特異的プライマーで、前述したNagamine et.al.,Clinical Chemistry(2001)等に基づいて容易に調整することができる。
前記1本鎖DNAの合成に使用するプライマーは、制限酵素で切断後の第2のDNA鎖上に存在する3’末端の突出した1本鎖部分に相補的に結合するものであれば特に制限はない。長さは前記1本鎖領域と完全に一致する必要はなく、相補的結合の特異性を損なわない範囲で5’側あるいは3’側が短くなっていてもかまわないし、5’側に任意の塩基配列が伸びていてもよい。
さらに、プライマーは検出可能な標識物質、又は固相と結合している、あるいは結合可能なように修飾されていてもよい。かかる1本鎖DNA合成用プライマーの標識には、公知の標識物質、標識方法が利用できる。標識物質としては例えば、放射性物質、蛍光物質、ビオチン、及び酵素等が挙げられる。これらの標識物質を公知の方法によりプライマーに付加したり、プライマーを化学合成する際に予め標識されたヌクレオチドを取り込ませることにより、標識プライマーを作製することができる。また、上記の標識物質やラテックス粒子、磁性粒子、及び反応容器の内壁と結合可能なようにプライマーには適当な官能基を導入しても良い。
プライマーの標識部位は相補鎖とのアニーリングや、それに続く伸長反応を阻害しないように選択する必要がある。したがって、たとえば3’末端の標識は好ましくない。また、標識物質の分子量に応じて、立体障害が発生しないように5’側にリンカーとなる塩基配列を介した上で標識物質を結合させることも可能である。
本発明の1本鎖核酸の合成方法において、本発明の制限酵素認識配列をもたない2本鎖DNAへの該認識配列の挿入は、PCR,LCRなど公知の遺伝子増幅法を利用して行うことができる。例えば、用いるプライマーに本発明の制限酵素認識配列を組み込んで、標的配列あるいはこれに相補的な配列を遺伝子増幅させれば、目的とする制限酵素認識配列を標的配列の3’側に挿入することができる。
また、前述したように、クローニングベクターのクローニングサイトの中に、あるいは該クローニングサイトに隣接して本発明の制限酵素認識配列を組み込んだベクターを用いてもよい。
本発明の好適な態様として、本発明の制限酵素認識配列をもたない2本鎖DNAに対し、LAMP法を利用して該制限酵素認識配列を導入することができる。すなわち、制限酵素認識配列を挿入したプライマーを用いてLAMP増幅反応を行うことにより、制限酵素認識配列を有する1本鎖核酸合成用の鋳型DNA鎖を迅速かつ大量に調整することができる。
前記制限酵素認識配列は第1鎖上の標的配列の5’側に挿入される必要があり、特に3’側及び5’側の両方に挿入されるとより好適である。すなわち、第2鎖の3’側突出部にアニールするプライマーには制限酵素認識配列が必ず必要であるが、両方のプライマーに含まれるとより好適である。制限酵素切断部位が両側にあることにより、1種類の酵素により標的領域の両側を切断でき、必要な酵素の数を減らすことができるからである。なお、各プライマーから生じる伸長生成物を前記制限酵素で切断してできる断片の1本鎖領域の塩基配列は当然異なることが好ましい。
本発明においては、上記2種のプライマーをインナープライマーと呼ぶ。
具体的には、LAMP法を利用して2本鎖DNAに制限酵素認識配列を導入する方法は以下の工程からなる。
1)2本鎖DNAの第1のDNA鎖上にある標的配列の3’末端から該DNA鎖の3’末端方向に向かって順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cをそれぞれ選択し、また該標的配列の5’末端から該DNA鎖の5’末端方向に向かって順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2をそれぞれ選択する工程。
2)以下のインナープライマーを調整する工程。
a)前記F2cに相補的な配列F2及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、又は 前記F2cに相補的な配列F2、前記制限酵素認識配列及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、並びに
b)前記R2と同一の配列、前記制限酵素認識配列及び前記R1に相補的な配列R1cを3’側から5’側にこの順で含むプライマー
3)前記2本鎖DNAのそれぞれの鎖を鋳型として、前記プライマー及び鎖置換型ポリメラーゼを用いて、DNA合成を行う工程。
なお、前記インナープライマーにおいて、F2と制限酵素認識配列、制限酵素認識配列とF1cはオーバーラップしていてもよく、また間に数個の塩基配列が挿入されていてもよい。同様にR2と制限酵素認識配列、制限酵素認識配列とR1cはオーバーラップしていてもよく、また間に数個の塩基配列が挿入されていてもよい。好ましくは、F2/R2、制限酵素認識配列、F1c/R1cの各配列間の距離は1〜20塩基、より好ましくは1〜10塩基であると良い。
2本鎖DNAへのインナープライマーの最初のアニールは、熱又はアルカリ等の公知の方法により2本鎖DNAの一部又は全部を解離させて行うことができる。その後は、鎖置換型DNAポリメラーゼ、基質ヌクレオチドの存在下、55〜70℃程度の等温条件下でDNA合成反応が繰り返されていく。
上記LAMP反応では、さらに前記インナープライマーとは異なる2種のプライマーを用いることもできる。かかるプライマーは、鋳型DNA上において前記インナープライマーよりもさらに外側=3’側にアニールするプライマーであり、本発明ではこれらをアウタープライマーと呼ぶ。該アウタープライマーは、以下のようにして調整することができる。
前述の第1のDNA鎖上において、F2cよりも3’側にある任意配列F3c及び前記R2よりも5’側にある任意配列R3を選択し、
a)前記F3cに相補的な配列F3を含むプライマー、及び
b)前記R3と同一の配列を含むプライマー
をそれぞれアウタープライマーとして調整する。
なお、前記アウタープライマーからのDNA合成は、インナープライマーからのDNA合成よりも後に開始される必要がある。これを達成するには、(a)インナープライマーの濃度をアウタープライマーの濃度よりも高く(例えば2〜50倍、好ましくは4〜25倍高く)設定設定する方法、及び(b)インナープライマーの融解温度(Tm:melting temperature)をアウタープライマーの融解温度よりも高く設定する方法などが挙げられる。その他、LAMP法の実施条件については、前述の文献や特許を参照することにより適宜設定することができる。
さらに、上記LAMP反応では、増幅反応の結果生じる、ヘアピン構造を有する増幅産物のループ部分に特異的にアニールしうるプライマーを用いると、該増幅反応をより効率的に行うことができる。本発明においては、上記ループ特異的プライマーをループプライマーと呼ぶ。なお、このループプライマーのいずれか一方の3’末端に本発明の制限酵素認識配列を挿入すれば、ループプライマー自身が1本鎖核酸合成用プライマーとして機能しうる。
本発明はまた、本発明の方法を実施するための1本鎖核酸合成用試薬キットを提供する。該キットは、例えば特定配列のハイブリダイゼーションアッセイ用1本鎖核酸合成用試薬キットなどとして利用することができる。
前記キットは、本発明にかかる制限酵素、該制限酵素により切断されたDNA断片の1本鎖領域にアニール可能なプライマー、鎖置換型ポリメラーゼ、本発明にかかるインナープライマーを少なくとも含み、さらに本発明にかかるアウタープライマー及び/又はループプライマーを含んでいても良い。
前記キットはさらに上記試薬の他、本発明にかかる合成方法を実施するために必要な他の試薬、例えば基質ヌクレオチド、緩衝液、融解温度調整剤等を含んでいてもよい。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2000−328219号の明細書に記載された内容を包含する。
発明を実施するための最良の形態
実施例1:
1.ベクターの調製
以下のプライマーを用い、pBluescript IIベクター(Genbank DB No.X52324)を鋳型として、PCRを行った。
40μlの反応系に1 x buffer[16mM(NH4)2SO4、50mM Tris−HCl pH9.2、1.75mM MgCl2、0.001%(w/v)gelatin]、0.2mMのdNTPs、1.4UのTaq DNAポリメラーゼとPwo DNAポリメラーゼ(EXpand Long Template PCR System,ロッシュ社)、0.5mMの上記特異的プライマーペアを加え、15サイクルのPCRを94℃ 20秒、62℃ 30秒、68℃ 120秒の条件で行った。
増幅産物をT4 DNAポリメラーゼを用いて平滑末端化し、T4 DNAリガーゼを用いてライゲーションを行った。これを大腸菌DH5αへ導入し、得られた形質転換体より目的とするベクターを得た(pBSTspRIと命名)。
このベクターは、pBluescript IIベクターに存在したSacIからKpnIまでのマルチプルクローニングサイト(下線部)を欠失しているが、代わりにTspRI−BamHI−TspRIサイトを持ち、外来遺伝子をBamHIサイトに挿入する事が出来る。
・下線部の配列(配列番号11)はマルチプルクローニングサイトを示す
2.DNAのクローニング
pUC19ベクター(GenBank DB No.:L09137)をSau3AIで消化し、109bp及び82bp DNA断片を単離した。この断片を前記ベクターのBamHIサイトにそれぞれ挿入し、クローニングした。
3.LAMP反応
Sau3AI断片を組み込んだ前記ベクターを鋳型としてLAMP反応(Nucleic Acids Research(2000),Vol.28,e63参照)により標的領域の増幅をおこなった。用いた反応液組成を表1に、またプライマーの配列と濃度を以下に示す。
ターゲットDNAは熱変性をしないものを用意し、反応液を65℃で反応させた。これをPCR pulification kit(QIAGEN社)を用いて200μlのTris−HCl(pH8.0)に溶出した。
3.TspRIによる消化
LAMP産物25μlを50UのTspRI(NEW ENGLAND BioLabs)で65℃、90分反応した。反応後、PCR pulification Kit(QIAGEN社)を用いて100μlのTris−HCl(pH8.0)に溶出した。
4.プライマー伸長反応
上記TspRI断片に5’ジゴキシゲニン(DIG)標識したプライマー(BSTspRI:5’−GACACTGGA−3’)を加え、DNAポリメラーゼKlenow fragment,3’→5’exo−(NEW ENGLAND BioLabs社)による伸長反応を行った。用いた反応液組成を表2に示す。
このときプライマーBSTspRIはTspRI消化断片の1つの粘着末端のみにしかアニールする事ができないため、伸長反応によって得られるDNA鎖は単一であるはずである。
5.ドットブロットハイブリダイゼーション
ナイロンメンブランフィルター(BiodyneB,Pall)に109bp Sau3AI DNA断片の塩基配列から設計したセンスオリゴ(109A oligo)あるいはアンチセンスオリゴ(109B oligo)をブロットした。各配列を以下に示す。
このフィルターに対して上記伸長産物をプローブとして用いてハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションにはPerfectHvb buffer(TOYOBO)を使用し、60℃で終夜行った。シグナルの検出はDIG核酸検出キット(ロッシュ社)を使用した。この結果、アンチセンスオリゴをブロットしたところにのみシグナルが得られた(図2)。すなわち、単一の鎖特異的な一本鎖が得られたことを意味する。
実施例2:
鋳型を別のものに変えても同様な結果が得られるかを確認するために、前述82bpクローニング産物を使用して実験を行った。
実施例1で作製した82bpクローニングベクターを鋳型として前述と同様な反応条件でLAMP反応を行った。今回LAMP反応にはループプライマーを使用せず、以下のインナープライマーおよび実施例1と同様のアウタープライマー(濃度も実施例1と同じ)を使用した。
LAMP反応産物をTspRI処理し、2%アガロースゲル電気泳動にて確認した(図3)。
電気泳動にて完全にTspRIで消化出来ていることを確認後、プライマーエクステンションを実施例1と同様な方法にて行った。プライマーエクステンションが行われていることを確認するために、この産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、ナイロンメンブラン(BiodyneB,Pall)にメンブラントランスファーした。このメンブランに対して、DIG核酸検出キット(ロッシュ社)を使用し泳動産物に標識物が含まれているか検出した(図4)。この結果、TspRI産物中にDIGラベルされたプライマーから伸長した産物が含まれることが確認できた。
標識されていることが確認できたのでこの産物をプローブとして、ドットブロットハイブリダイゼーションを行った(図5)。ブロットされているDNAは以下の通りである。
1;82bpのアンチセンスオリゴDNA(配列番号14)
2;82bpのセンスオリゴDNA(配列番号13)
3;109A oligo
4;109B oligo
5;82bpのLAMP産物を熱変性したもの
6;無関係なLAMP産物(λDNA増幅産物)を熱変性したもの
この結果、1と5にのみシグナルが得られた。すなわち、実施例1と同様に鋳型を変えても鎖特異的なDNAのみが合成されたことが示された。また、LAMP産物を熱変性したものにもシグナルが見られたことから、LAMP産物そのものでもプローブの標的になることが分かった。LAMP産物は構造上、繰り返し配列を有しているためハイブリダイゼーションの効率は非常に悪いと考えられた。しかし、今回LAMP産物でもハイブリダイゼーションが行えたことから、DNAチップの基板上にLAMP産物をスポットして使用することも可能であることが示唆された。
今回の検討ではプライマーの5’末端にDIG標識したものを使用した。これをアミノリンカーやビオチン標識したものを使用すると、標識されたDNA鎖を単離することも可能である。
実施例3:Bst DNAポリメラーゼを用いた伸長反応
鎖置換型DNA合成酵素であるBst DNAポリメラーゼを用いてプライマー伸長反応が行えるかどうかを検討した。用いた反応液組成を表3に示す。
60℃又は65℃で1時間反応後、プライマーエクステンションが行われていることを確認するために、この産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、ナイロンメンブラン(BiodyneB,Pall)にメンブラントランスファーした。このメンブランに対して、DIG核酸検出キット(ロッシュ社)を使用して泳動産物に標識物が含まれているかを検出した(図6)。その結果、Bst DNAポリメラーゼを用いてもDIGラベルされたプライマーから伸長反応が起こることが確認できた。
実施例4:プライマー伸長産物のlambda exonuclease処理
プライマーエクステンション後は、遊離した1本鎖DNAと2本鎖DNAが生成する。この2本鎖DNAのプライマーからの伸長鎖には5’末端にリン酸基が付いていない。そのため、lambda exonuclease処理すると、鋳型となったDNA鎖は5’側からDNAの分解が起こるが、伸長鎖は分解されない。これにより、片側だけのDNA鎖だけが存在することになる。
前述(109bpのプライマー伸長産物)のプライマー伸長産物に対してlambda exonuclease処理を行った(37℃、1時間反応)。用いた反応液組成を表4に示す。
37℃、1時間反応後、4%アガロースゲルにて電気泳動した。プライマー伸長産物をlambda exonuclease処理して電気泳動した結果、約50bp付近にバンドがシフトしているのが見られた(図7のレーン2)。1本鎖DNAは泳動度が速くなることが知られており、これが目的の産物であると考えられた。以上のことから、プライマー伸長産物をlambda exonuclease処理することより、より多量の1本鎖DNAを得ることができることが確認できた。
実施例5:TspRIのバッファーを用いたBst DNAポリメラーゼ伸長反応
1. Bst DNAポリメラーゼでの反応をTspRIのバッファーを用いて行った。
鋳型として用いたLAMP産物は実施例2と同様である。このとき終濃度0,0.25,0.5,1.0,2.0mMのdNTPsで検討した。用いた反応液組成を表5に示す。
37℃、1時間反応後プライマーエクステンションが行われていることを確認するために、反応産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、ナイロンメンブラン(BiodyneB,Pall)にメンブレントランスファーした。このメンブレンに対して、DIG核酸検出キット(ロッシュ社)を使用し泳動産物に標識物が含まれているか検出した(図8)。この結果、TspRIのバッファーを用いてもBst DNAポリメラーゼによるプライマーからの伸長反応が起こることが確認できた。
以上より、本方法を用いれば、バッファーを共有することによりコスト低減が図れることがわかった。
2. TspRIのバッファーで伸長反応が起こることが確認できたので、次にLAMP以降の反応を同時に行えるか検討した。用いた反応液組成を表6に示す。
LAMP反応後の反応液(1/50量)を上記反応系に添加し、37℃、1時間反応させた。反応液中のBst DNAポリメラーゼ量は0.16Uになる。前記実施例より0.1Uの酵素量があれば、反応が進むことは確認済みである。反応後、産物をプローブとして用いてドットブロットハイブリダイゼーションを行った(図9)。ブロットされているDNAは以下の通りである。
1;82bpのアンチセンスオリゴDNA
2;82bpのセンスオリゴDNA
3;109A oligo
4;109B oligo
この結果、82bpのアンチセンスオリゴをブロットした位置(1)に強いシグナルが見られた。センスオリゴ側(2)に見られた弱いシグナルは、TspRIによる反応で切れ残りがあったためと考えられた。よって、特異的な増幅産物が出来ていることが確認できた。
以上の結果から、本方法を用いれば、コストの低減のみならず時間の短縮も可能であることが示された。
実施例6:LAMPプライマーを用いた制限酵素認識配列の挿入
1.TspRI部位を持たない鋳型から鎖特異的1本鎖を得るために、以下のTspRI認識配列を挿入したインナープライマー等を用い、pUC19プラスミド(配列番号19)5ngを鋳型としてLAMP反応を行った。
反応溶液組成は実施例1と同様の条件で62.8℃、2時間のLAMP反応を行ない、ついで、LAMP増幅産物を実施例1と同様にTspRI消化した。LAMP産物およびTspRI消化物を2%アガロースゲルにて電気泳動した結果、これらが目的のサイズに現れることが確認された(図10)。
2.次に、プライマーエクステンションによりDIG標識し、ドットブロットハイブリダイゼーションを行った。ブロットされているDNAは以下の通りである。
1;109A oligo
2;109B oligo
この結果、目的のスポットのみにシグナルが得られることが確認された(図11)。
以上より、TspRI部位を持たない鋳型にLAMP反応を利用して制限酵素認識配列が挿入でき、これを鋳型として鎖特異的1本鎖を得られることが示された。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
産業上の利用の可能性
本発明を用いれば、2本鎖核酸のセンス、又はアンチセンス鎖の一方を選択的に合成することができる。かかる1本鎖DNAはハイブリダイゼーションアッセイのプローブ等に使用することができ、本発明は該1本鎖DNAの効率的かつ安価な合成方法を提供する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、TspRIを用いた1本鎖核酸合成の原理を示す。
図2は、実施例1における伸長産物のハイブリダイゼーションアッセイの結果を示す写真である。(A:センスオリゴ、B:アンチセンスオリゴ)
図3は、実施例2におけるLAMP反応産物とTspRI処理したLAMP反応産物の電気泳動結果を示す写真である。(M:サイズマーカー、1:LAMP産物,2:TspRI処理したLAMP産物)
図4は、実施例2におけるプライマー伸長産物(DIG標識)の検出結果を示す写真である。(1:negative control,2:プライマー伸長産物)
図5は、実施例2におけるプライマー伸長産物をドットブロットハイブリダイゼーションした結果を示す写真である。
図6は、実施例3におけるプライマー伸長産物(DIG標識)の検出結果を示す写真である。(1:Klenow(−),2:Klenow(+),3:Bst(−)60℃,4:Bst(+)60℃,5:Bst(−)65℃,6:Bst(+)65℃)
図7は、実施例4におけるlambda exonuclease処理したプライマー伸長産物の電気泳動結果を示す写真である。(M:サイズマーカー,1:λ(−),2:λ(+))
図8は、実施例5におけるプライマー伸長産物(DIG標識)の検出結果を示す写真である。
図9は、実施例5におけるプライマー伸長産物をドットブロットハイブリダイゼーションした結果を示す写真である。
図10は、実施例6におけるLAMP反応産物とTspRI処理したLAMP反応産物の電気泳動結果を示す写真である。(M:サイズマーカー,1:LAMP産物,2:TspRI処理したLAMP産物)
図11は、実施例6におけるプライマー伸長産物をドットブロットハイブリダイゼーションした結果を示す写真である。
本発明は1本鎖DNAの合成方法に関する、更に詳しくは2本鎖DNAのうちセンス又はアンチセンス鎖の一方のみを選択的に合成する方法に関する。
背景技術
ハイブリダイゼーションアッセイのプローブに使用する1本鎖DNAの調製方法として最も一般的な方法は、熱又はアルカリによる2本鎖DNAの変性によるものである。しかしながら、この方法では生成物中に相補鎖が共存するため、2本鎖を形成する条件下におくと相補鎖同士が再結合し、ハイブリダイゼーションの効率が低下することがある。M13等の1本鎖ファージを利用したクローニングによる1本鎖DNAの調製方法も知られているが、コストや時間がかかるという欠点がある。
数十base程度の短い1本鎖DNAであれば化学合成により容易に合成できるが、100baseを超える長い1本鎖DNAを化学合成すると収率や塩基配列の正確さが低下する。また、T7RNAポリメラーゼはDNAを鋳型に1本鎖RNAを合成できるが、鋳型DNAには該酵素が認識するプロモーター配列が必要である。
一方、WO99/09211には、2本鎖核酸の第1鎖上の標的配列を増幅する方法であって、第1鎖上の標的配列5’末端部を切断し、かつ該切断により第2鎖の3’末端領域が突出するように制限酵素を用いて2本鎖核酸を切断し、次いで前記第2鎖の3’末端に相補的なプライマーと鎖置換型ポリメラーゼを用いて、第2鎖を鋳型とした伸長反応を行わせ、前記標的配列を増幅する方法が開示されている。この方法では、プライマーによる標的領域の合成と同時に制限酵素切断部位も再生される原理になっているが、反応の開始時点で標的領域は該制限酵素切断部位を5’末端に有している必要があり、その認識部位の提供については十分な開示はされていない。またこの方法は、SDA法(Strand Displacement Amplification)[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,392−396;1992][Nucleic Acid.Res.,20,1691−1696;1992]の改良法であって、本来2本鎖DNAの増幅を目的としたものである。したがって、切断によって生じるそれぞれの3’側突出部の配列が同一(回文配列)の場合には、単一のプライマーのみを使用してもセンス鎖、アンチセンス鎖の両方が合成されてしまう。つまり、この方法は必ずしも1本鎖DNAを提供するものではない。
なお、ここでSDA法について若干の説明を加えておく。SDA法は、ある塩基配列の3’側に相補的なプライマーを合成起点として相補鎖合成を行うときに、5’側に2本鎖の領域が有るとその鎖を置換しながら相補鎖の合成を行う特殊なDNAポリメラーゼを利用する方法である。SDA法では、プライマーとしてアニールさせた配列に予め制限酵素認識配列を挿入しておくことによって、PCR法においては必須となっている温度変化工程の省略を実現できる。すなわち、制限酵素によってもたらされるニックが相補鎖合成の起点となる3’−OH基を与え、そこから鎖置換合成を行うことによって先に合成された相補鎖が1本鎖として遊離して次の相補鎖合成の鋳型として再利用される。このようにSDA法はPCR法で必須となっていた複雑な温度制御を不要とした。
発明の開示
本発明が解決すべき課題は、比較的長いセンス又はアンチセンス鎖の一方を選択的かつ効率的に合成する方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、LAMP法を応用したDNA増幅方法と「3’末端が突出した断片を形成し、かつ切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なるように切断可能な制限酵素」を用いることにより、1本鎖核酸を選択的かつ効率的に合成しうることを見出し本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)以下の工程からなる1本鎖核酸の合成方法。
1)標的配列よりも5’側に制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAを、
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる
ように制限酵素で切断する工程。
2)制限酵素により切断されたDNA断片の1本鎖領域に、少なくとも3’末端にその領域に相補的な塩基配列を持つプライマーをアニールさせる工程。
3)プライマーの3’末端を起点に鎖置換型ポリメラーゼにより核酸を合成する工程。
(2)前記制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAが、以下の工程を含む方法によって提供されることを特徴とする、上記(1)記載の方法。
1)該制限酵素認識配列をクローニングサイトの中に、あるいはクローニングサイトに隣接して有するベクターを用いて増幅すべきDNAをクローニングする工程
2)該制限酵素認識配列上あるいはこれより3’側にアニールするプライマーを用いたDNA増幅法によって、該制限酵素認識配列及び増幅すべきDNAを含む領域を増幅する工程。
(3)前記DNA増幅法がLAMP法である、上記(2)記載の方法。
(4)前記制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAが、該制限酵素認識配列を含むプライマーを用いたDNA増幅法によって提供されることを特徴とする上記(1)記載の方法。
(5)前記DNA増幅法が、以下のA)及びB)からなるプライマーを用いたLAMP法である、上記(4)記載の方法。
2本鎖DNAの第1のDNA鎖上にある標的配列の3’末端から該DNA鎖の3’末端方向に向かって順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cをそれぞれ選択し、また該標的配列の5’末端から該DNA鎖の5’末端方向に向かって順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2をそれぞれ選択したとき、
A)前記F2cに相補的な配列F2及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、又は 前記F2cに相補的な配列F2、前記制限酵素認識配列及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー
B)前記R2と同一の配列、前記制限酵素認識配列及び前記R1に相補的な配列R1cを3’側から5’側にこの順で含むプライマー
(6)前記DNA合成工程において、さらに前記インナープライマーよりも3’側にアニールするアウタープライマーを用いることを特徴とする上記(5)記載の方法。
(7)制限酵素による切断部位の1本鎖領域の長さが、少なくとも5塩基以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の方法。
(8)制限酵素による切断部位の1本鎖領域の長さが、少なくとも7塩基以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の方法。
(9)プライマーが検出可能な標識物質又は固相と結合しているか、あるいはこれらに結合可能なように修飾されていることを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれか1に記載の方法。
(10)2本鎖DNAの第1のDNA鎖上にある標的配列の3’末端から該DNA鎖の3’末端方向に向かって順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cをそれぞれ選択し、また該標的配列の5’末端から該DNA鎖の5’末端方向に向かって順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2をそれぞれ選択したとき、以下のA)及びB)からなるインナープライマー。
A)前記F2cに相補的な配列F2及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、又は 前記F2cに相補的な配列F2、以下の制限酵素の認識配列及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる
ように切断可能な制限酵素
B)前記R2と同一の配列、前記制限酵素の認識配列及び前記R1に相補的な配列R1cを3’側から5’側にこの順で含むプライマー
(11)クローニングサイトの中に、あるいはクローニングサイトに隣接して、以下の塩基配列を持つことを特徴とする、1本鎖核酸合成用ベクター。
制限酵素で切断した際に、
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる
ように切断される塩基配列
(12)少なくとも以下の試薬を含む1本鎖核酸合成用試薬キット。
1)以下の特徴を持つ制限酵素
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)それぞれの断片の塩基配列が異なるように切断可能である
2)上記制限酵素により切断されたDNA断片の1本鎖領域にアニール可能なプライマー
3)鎖置換型ポリメラーゼ
4)上記(10)記載のインナープライマー又は上記(11)記載の1本鎖核酸合成用ベクター
本発明にかかる1本鎖核酸の合成方法において、「1本鎖核酸」とは2本鎖DNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖のいずれか一方のみからなるDNA、すなわち1本鎖DNAを意味する。また、「アニール」とは核酸がワトソン−クリックの法則に基づく塩基対結合によって2本鎖構造を形成することを意味する。したがって、1本鎖核酸が分子内でこのような塩基対結合を形成しても、アニールである。本発明において、アニールとハイブリダイズは、核酸が塩基対結合による2本鎖構造を構成する点で同義である。
本発明において、「標的配列(或いは領域)」知とは1本鎖核酸として合成すべき塩基配列(あるいは領域)を意味するものとする。また、鋳型となる2本鎖DNAのうち、該標的配列を含む方の鎖を第1鎖、これに相補的な鎖を第2鎖を意味するものとする。
本発明ではLAMP法の技術が応用される。LAMP法は本発明者らが開発した核酸の増幅方法で、インナープライマーペア或いはこれにアウタープライマーペアを加えた、2種或いは4種の特異的プライマーと、鎖置換DNAポリメラーゼ及び基質であるヌクレオチドを用いて、等温条件下(65℃前後)でDNA又はRNAを迅速かつ安価に増幅する方法である。LAMP法の詳細についてはNagamine et.al.,Clinical Chemistry(2001),Vol.47,No.9,1742−1743、Notomi et.al.,Nucleic Acids Research(2000),Vol.28,e63及び国際出願(国際公開番号:WO00/28082、WO01/34838、WO01/34790等)等に記載されており、該記載は参照として本明細書中に取り入れるものとする。
本発明では、制限酵素切断部位をa)3’末端が突出した断片を形成し、かつb)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる、という特徴を併せ持つ制限酵素を使用する。制限酵素の大半は切断後に5’末端が突出した断片か、平滑末端を持つ断片を形成する。しかし、少数ながら切断後に3’末端が突出した断片を形成する制限酵素が知られており、そのような酵素を用いて切断したDNA断片の一本鎖領域にプライマーをアニールさせ、ポリメラーゼにより核酸を合成することが可能である。ただし、突出した3’末端領域にプライマーをアニールさせ核酸の合成反芯を行うためには、塩基配列の特異性や結合の強度を考慮すると、1本鎖領域の長さが少なくとも5塩基以上、好ましくは7塩基以上必要である。
また、制限酵素の中には、認識部位に挟まれた、あるいは認識部位に隣接した任意の配列中に切断部位を持つものがある。たとえば、BglIはGCCNNNNNGGCという配列の7番目と8番目の塩基の間を切断する。このような制限酵素で切断した断片は、切断部位の塩基配列が異なる非対称な断片を生成する。すなわち、GCCAAAAAGGCという配列をBglIで切断した場合、切断部位の塩基配列はGCCAAAAとGCCTTTTである。このような非対称な断片では一方に相補的な塩基配列を持つプライマー(プローブ)は他方には結合できない。
上に述べた特徴を併せ持つ制限酵素(以下、本発明の制限酵素という)としては例えばTspRIが挙げられる。TspRIはNNCA(C or G)TGNNという塩基配列を認識し、3’末端の任意の塩基と隣接する塩基の間を切断するので、切断後の1本鎖領域の長さは9塩基になる。
TspR1を例として、本発明の1本鎖核酸合成方法の原理について説明する。上述の通り、TspRIは3’側の切断面が9塩基の突出末端を持つ制限酵素である。さらに、認識配列NNCA(C/G)TGNNの両端の2塩基(NN)はATGCのいずれでも良く、非対称な認識配列を形成することができる。これを利用することにより鎖特異的なDNA合成が可能となる。例えば、BamHIクローニングサイトの両端にTspRIサイトを持つ配列を作製する。これをTspRIで消化すると異なる塩基配列を持つ4つの3’突出末端が得られる。つぎに、このうちの1つを認識する配列(図1中[1])でプライマー(Primer:GACACTGGA)を作製する。このプライマーは[2][3][4]とは完全に一致する配列でないためアニールする事が出来ない。したがって、プライマーが[1]にアニールして伸長反応が起こると、同一鎖のみを鋳型として合成反応が起こる。
上記合成反応に前記LAMP法(Nucleic Acids Research(2000),Vol.28,e63)の技術を応用することができる。例えば、
1)前記制限酵素認識配列をクローニングサイトの中に、あるいはクローニングサイトに隣接して有するベクターを用いて増幅すべきDNAをクローニングする。
2)次いで、該制限酵素認識配列上、あるいはこれより3’側にアニールするLAMP用プライマーを設計する。
3)そして、該プライマー及び鎖置換型ポリメラーゼを用いて、該制限酵素認識配列と増幅すべきDNAを含む領域をLAMP法により増幅する。
増幅した制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAから1本鎖DNAを合成する過程は上述したとおりである。LAMP法は等温条件下、短時間で大量のDNAを得ることができるため、上記合成方法と組み合わせることでより多くの鎖特異的一本鎖DNAを効率的に得ることができる。
なお、上記のLAMP用プライマーとはLAMP法で用いられる特異的プライマーで、前述したNagamine et.al.,Clinical Chemistry(2001)等に基づいて容易に調整することができる。
前記1本鎖DNAの合成に使用するプライマーは、制限酵素で切断後の第2のDNA鎖上に存在する3’末端の突出した1本鎖部分に相補的に結合するものであれば特に制限はない。長さは前記1本鎖領域と完全に一致する必要はなく、相補的結合の特異性を損なわない範囲で5’側あるいは3’側が短くなっていてもかまわないし、5’側に任意の塩基配列が伸びていてもよい。
さらに、プライマーは検出可能な標識物質、又は固相と結合している、あるいは結合可能なように修飾されていてもよい。かかる1本鎖DNA合成用プライマーの標識には、公知の標識物質、標識方法が利用できる。標識物質としては例えば、放射性物質、蛍光物質、ビオチン、及び酵素等が挙げられる。これらの標識物質を公知の方法によりプライマーに付加したり、プライマーを化学合成する際に予め標識されたヌクレオチドを取り込ませることにより、標識プライマーを作製することができる。また、上記の標識物質やラテックス粒子、磁性粒子、及び反応容器の内壁と結合可能なようにプライマーには適当な官能基を導入しても良い。
プライマーの標識部位は相補鎖とのアニーリングや、それに続く伸長反応を阻害しないように選択する必要がある。したがって、たとえば3’末端の標識は好ましくない。また、標識物質の分子量に応じて、立体障害が発生しないように5’側にリンカーとなる塩基配列を介した上で標識物質を結合させることも可能である。
本発明の1本鎖核酸の合成方法において、本発明の制限酵素認識配列をもたない2本鎖DNAへの該認識配列の挿入は、PCR,LCRなど公知の遺伝子増幅法を利用して行うことができる。例えば、用いるプライマーに本発明の制限酵素認識配列を組み込んで、標的配列あるいはこれに相補的な配列を遺伝子増幅させれば、目的とする制限酵素認識配列を標的配列の3’側に挿入することができる。
また、前述したように、クローニングベクターのクローニングサイトの中に、あるいは該クローニングサイトに隣接して本発明の制限酵素認識配列を組み込んだベクターを用いてもよい。
本発明の好適な態様として、本発明の制限酵素認識配列をもたない2本鎖DNAに対し、LAMP法を利用して該制限酵素認識配列を導入することができる。すなわち、制限酵素認識配列を挿入したプライマーを用いてLAMP増幅反応を行うことにより、制限酵素認識配列を有する1本鎖核酸合成用の鋳型DNA鎖を迅速かつ大量に調整することができる。
前記制限酵素認識配列は第1鎖上の標的配列の5’側に挿入される必要があり、特に3’側及び5’側の両方に挿入されるとより好適である。すなわち、第2鎖の3’側突出部にアニールするプライマーには制限酵素認識配列が必ず必要であるが、両方のプライマーに含まれるとより好適である。制限酵素切断部位が両側にあることにより、1種類の酵素により標的領域の両側を切断でき、必要な酵素の数を減らすことができるからである。なお、各プライマーから生じる伸長生成物を前記制限酵素で切断してできる断片の1本鎖領域の塩基配列は当然異なることが好ましい。
本発明においては、上記2種のプライマーをインナープライマーと呼ぶ。
具体的には、LAMP法を利用して2本鎖DNAに制限酵素認識配列を導入する方法は以下の工程からなる。
1)2本鎖DNAの第1のDNA鎖上にある標的配列の3’末端から該DNA鎖の3’末端方向に向かって順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cをそれぞれ選択し、また該標的配列の5’末端から該DNA鎖の5’末端方向に向かって順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2をそれぞれ選択する工程。
2)以下のインナープライマーを調整する工程。
a)前記F2cに相補的な配列F2及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、又は 前記F2cに相補的な配列F2、前記制限酵素認識配列及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、並びに
b)前記R2と同一の配列、前記制限酵素認識配列及び前記R1に相補的な配列R1cを3’側から5’側にこの順で含むプライマー
3)前記2本鎖DNAのそれぞれの鎖を鋳型として、前記プライマー及び鎖置換型ポリメラーゼを用いて、DNA合成を行う工程。
なお、前記インナープライマーにおいて、F2と制限酵素認識配列、制限酵素認識配列とF1cはオーバーラップしていてもよく、また間に数個の塩基配列が挿入されていてもよい。同様にR2と制限酵素認識配列、制限酵素認識配列とR1cはオーバーラップしていてもよく、また間に数個の塩基配列が挿入されていてもよい。好ましくは、F2/R2、制限酵素認識配列、F1c/R1cの各配列間の距離は1〜20塩基、より好ましくは1〜10塩基であると良い。
2本鎖DNAへのインナープライマーの最初のアニールは、熱又はアルカリ等の公知の方法により2本鎖DNAの一部又は全部を解離させて行うことができる。その後は、鎖置換型DNAポリメラーゼ、基質ヌクレオチドの存在下、55〜70℃程度の等温条件下でDNA合成反応が繰り返されていく。
上記LAMP反応では、さらに前記インナープライマーとは異なる2種のプライマーを用いることもできる。かかるプライマーは、鋳型DNA上において前記インナープライマーよりもさらに外側=3’側にアニールするプライマーであり、本発明ではこれらをアウタープライマーと呼ぶ。該アウタープライマーは、以下のようにして調整することができる。
前述の第1のDNA鎖上において、F2cよりも3’側にある任意配列F3c及び前記R2よりも5’側にある任意配列R3を選択し、
a)前記F3cに相補的な配列F3を含むプライマー、及び
b)前記R3と同一の配列を含むプライマー
をそれぞれアウタープライマーとして調整する。
なお、前記アウタープライマーからのDNA合成は、インナープライマーからのDNA合成よりも後に開始される必要がある。これを達成するには、(a)インナープライマーの濃度をアウタープライマーの濃度よりも高く(例えば2〜50倍、好ましくは4〜25倍高く)設定設定する方法、及び(b)インナープライマーの融解温度(Tm:melting temperature)をアウタープライマーの融解温度よりも高く設定する方法などが挙げられる。その他、LAMP法の実施条件については、前述の文献や特許を参照することにより適宜設定することができる。
さらに、上記LAMP反応では、増幅反応の結果生じる、ヘアピン構造を有する増幅産物のループ部分に特異的にアニールしうるプライマーを用いると、該増幅反応をより効率的に行うことができる。本発明においては、上記ループ特異的プライマーをループプライマーと呼ぶ。なお、このループプライマーのいずれか一方の3’末端に本発明の制限酵素認識配列を挿入すれば、ループプライマー自身が1本鎖核酸合成用プライマーとして機能しうる。
本発明はまた、本発明の方法を実施するための1本鎖核酸合成用試薬キットを提供する。該キットは、例えば特定配列のハイブリダイゼーションアッセイ用1本鎖核酸合成用試薬キットなどとして利用することができる。
前記キットは、本発明にかかる制限酵素、該制限酵素により切断されたDNA断片の1本鎖領域にアニール可能なプライマー、鎖置換型ポリメラーゼ、本発明にかかるインナープライマーを少なくとも含み、さらに本発明にかかるアウタープライマー及び/又はループプライマーを含んでいても良い。
前記キットはさらに上記試薬の他、本発明にかかる合成方法を実施するために必要な他の試薬、例えば基質ヌクレオチド、緩衝液、融解温度調整剤等を含んでいてもよい。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2000−328219号の明細書に記載された内容を包含する。
発明を実施するための最良の形態
実施例1:
1.ベクターの調製
以下のプライマーを用い、pBluescript IIベクター(Genbank DB No.X52324)を鋳型として、PCRを行った。
40μlの反応系に1 x buffer[16mM(NH4)2SO4、50mM Tris−HCl pH9.2、1.75mM MgCl2、0.001%(w/v)gelatin]、0.2mMのdNTPs、1.4UのTaq DNAポリメラーゼとPwo DNAポリメラーゼ(EXpand Long Template PCR System,ロッシュ社)、0.5mMの上記特異的プライマーペアを加え、15サイクルのPCRを94℃ 20秒、62℃ 30秒、68℃ 120秒の条件で行った。
増幅産物をT4 DNAポリメラーゼを用いて平滑末端化し、T4 DNAリガーゼを用いてライゲーションを行った。これを大腸菌DH5αへ導入し、得られた形質転換体より目的とするベクターを得た(pBSTspRIと命名)。
このベクターは、pBluescript IIベクターに存在したSacIからKpnIまでのマルチプルクローニングサイト(下線部)を欠失しているが、代わりにTspRI−BamHI−TspRIサイトを持ち、外来遺伝子をBamHIサイトに挿入する事が出来る。
・下線部の配列(配列番号11)はマルチプルクローニングサイトを示す
2.DNAのクローニング
pUC19ベクター(GenBank DB No.:L09137)をSau3AIで消化し、109bp及び82bp DNA断片を単離した。この断片を前記ベクターのBamHIサイトにそれぞれ挿入し、クローニングした。
3.LAMP反応
Sau3AI断片を組み込んだ前記ベクターを鋳型としてLAMP反応(Nucleic Acids Research(2000),Vol.28,e63参照)により標的領域の増幅をおこなった。用いた反応液組成を表1に、またプライマーの配列と濃度を以下に示す。
ターゲットDNAは熱変性をしないものを用意し、反応液を65℃で反応させた。これをPCR pulification kit(QIAGEN社)を用いて200μlのTris−HCl(pH8.0)に溶出した。
3.TspRIによる消化
LAMP産物25μlを50UのTspRI(NEW ENGLAND BioLabs)で65℃、90分反応した。反応後、PCR pulification Kit(QIAGEN社)を用いて100μlのTris−HCl(pH8.0)に溶出した。
4.プライマー伸長反応
上記TspRI断片に5’ジゴキシゲニン(DIG)標識したプライマー(BSTspRI:5’−GACACTGGA−3’)を加え、DNAポリメラーゼKlenow fragment,3’→5’exo−(NEW ENGLAND BioLabs社)による伸長反応を行った。用いた反応液組成を表2に示す。
このときプライマーBSTspRIはTspRI消化断片の1つの粘着末端のみにしかアニールする事ができないため、伸長反応によって得られるDNA鎖は単一であるはずである。
5.ドットブロットハイブリダイゼーション
ナイロンメンブランフィルター(BiodyneB,Pall)に109bp Sau3AI DNA断片の塩基配列から設計したセンスオリゴ(109A oligo)あるいはアンチセンスオリゴ(109B oligo)をブロットした。各配列を以下に示す。
このフィルターに対して上記伸長産物をプローブとして用いてハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションにはPerfectHvb buffer(TOYOBO)を使用し、60℃で終夜行った。シグナルの検出はDIG核酸検出キット(ロッシュ社)を使用した。この結果、アンチセンスオリゴをブロットしたところにのみシグナルが得られた(図2)。すなわち、単一の鎖特異的な一本鎖が得られたことを意味する。
実施例2:
鋳型を別のものに変えても同様な結果が得られるかを確認するために、前述82bpクローニング産物を使用して実験を行った。
実施例1で作製した82bpクローニングベクターを鋳型として前述と同様な反応条件でLAMP反応を行った。今回LAMP反応にはループプライマーを使用せず、以下のインナープライマーおよび実施例1と同様のアウタープライマー(濃度も実施例1と同じ)を使用した。
LAMP反応産物をTspRI処理し、2%アガロースゲル電気泳動にて確認した(図3)。
電気泳動にて完全にTspRIで消化出来ていることを確認後、プライマーエクステンションを実施例1と同様な方法にて行った。プライマーエクステンションが行われていることを確認するために、この産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、ナイロンメンブラン(BiodyneB,Pall)にメンブラントランスファーした。このメンブランに対して、DIG核酸検出キット(ロッシュ社)を使用し泳動産物に標識物が含まれているか検出した(図4)。この結果、TspRI産物中にDIGラベルされたプライマーから伸長した産物が含まれることが確認できた。
標識されていることが確認できたのでこの産物をプローブとして、ドットブロットハイブリダイゼーションを行った(図5)。ブロットされているDNAは以下の通りである。
1;82bpのアンチセンスオリゴDNA(配列番号14)
2;82bpのセンスオリゴDNA(配列番号13)
3;109A oligo
4;109B oligo
5;82bpのLAMP産物を熱変性したもの
6;無関係なLAMP産物(λDNA増幅産物)を熱変性したもの
この結果、1と5にのみシグナルが得られた。すなわち、実施例1と同様に鋳型を変えても鎖特異的なDNAのみが合成されたことが示された。また、LAMP産物を熱変性したものにもシグナルが見られたことから、LAMP産物そのものでもプローブの標的になることが分かった。LAMP産物は構造上、繰り返し配列を有しているためハイブリダイゼーションの効率は非常に悪いと考えられた。しかし、今回LAMP産物でもハイブリダイゼーションが行えたことから、DNAチップの基板上にLAMP産物をスポットして使用することも可能であることが示唆された。
今回の検討ではプライマーの5’末端にDIG標識したものを使用した。これをアミノリンカーやビオチン標識したものを使用すると、標識されたDNA鎖を単離することも可能である。
実施例3:Bst DNAポリメラーゼを用いた伸長反応
鎖置換型DNA合成酵素であるBst DNAポリメラーゼを用いてプライマー伸長反応が行えるかどうかを検討した。用いた反応液組成を表3に示す。
60℃又は65℃で1時間反応後、プライマーエクステンションが行われていることを確認するために、この産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、ナイロンメンブラン(BiodyneB,Pall)にメンブラントランスファーした。このメンブランに対して、DIG核酸検出キット(ロッシュ社)を使用して泳動産物に標識物が含まれているかを検出した(図6)。その結果、Bst DNAポリメラーゼを用いてもDIGラベルされたプライマーから伸長反応が起こることが確認できた。
実施例4:プライマー伸長産物のlambda exonuclease処理
プライマーエクステンション後は、遊離した1本鎖DNAと2本鎖DNAが生成する。この2本鎖DNAのプライマーからの伸長鎖には5’末端にリン酸基が付いていない。そのため、lambda exonuclease処理すると、鋳型となったDNA鎖は5’側からDNAの分解が起こるが、伸長鎖は分解されない。これにより、片側だけのDNA鎖だけが存在することになる。
前述(109bpのプライマー伸長産物)のプライマー伸長産物に対してlambda exonuclease処理を行った(37℃、1時間反応)。用いた反応液組成を表4に示す。
37℃、1時間反応後、4%アガロースゲルにて電気泳動した。プライマー伸長産物をlambda exonuclease処理して電気泳動した結果、約50bp付近にバンドがシフトしているのが見られた(図7のレーン2)。1本鎖DNAは泳動度が速くなることが知られており、これが目的の産物であると考えられた。以上のことから、プライマー伸長産物をlambda exonuclease処理することより、より多量の1本鎖DNAを得ることができることが確認できた。
実施例5:TspRIのバッファーを用いたBst DNAポリメラーゼ伸長反応
1. Bst DNAポリメラーゼでの反応をTspRIのバッファーを用いて行った。
鋳型として用いたLAMP産物は実施例2と同様である。このとき終濃度0,0.25,0.5,1.0,2.0mMのdNTPsで検討した。用いた反応液組成を表5に示す。
37℃、1時間反応後プライマーエクステンションが行われていることを確認するために、反応産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、ナイロンメンブラン(BiodyneB,Pall)にメンブレントランスファーした。このメンブレンに対して、DIG核酸検出キット(ロッシュ社)を使用し泳動産物に標識物が含まれているか検出した(図8)。この結果、TspRIのバッファーを用いてもBst DNAポリメラーゼによるプライマーからの伸長反応が起こることが確認できた。
以上より、本方法を用いれば、バッファーを共有することによりコスト低減が図れることがわかった。
2. TspRIのバッファーで伸長反応が起こることが確認できたので、次にLAMP以降の反応を同時に行えるか検討した。用いた反応液組成を表6に示す。
LAMP反応後の反応液(1/50量)を上記反応系に添加し、37℃、1時間反応させた。反応液中のBst DNAポリメラーゼ量は0.16Uになる。前記実施例より0.1Uの酵素量があれば、反応が進むことは確認済みである。反応後、産物をプローブとして用いてドットブロットハイブリダイゼーションを行った(図9)。ブロットされているDNAは以下の通りである。
1;82bpのアンチセンスオリゴDNA
2;82bpのセンスオリゴDNA
3;109A oligo
4;109B oligo
この結果、82bpのアンチセンスオリゴをブロットした位置(1)に強いシグナルが見られた。センスオリゴ側(2)に見られた弱いシグナルは、TspRIによる反応で切れ残りがあったためと考えられた。よって、特異的な増幅産物が出来ていることが確認できた。
以上の結果から、本方法を用いれば、コストの低減のみならず時間の短縮も可能であることが示された。
実施例6:LAMPプライマーを用いた制限酵素認識配列の挿入
1.TspRI部位を持たない鋳型から鎖特異的1本鎖を得るために、以下のTspRI認識配列を挿入したインナープライマー等を用い、pUC19プラスミド(配列番号19)5ngを鋳型としてLAMP反応を行った。
反応溶液組成は実施例1と同様の条件で62.8℃、2時間のLAMP反応を行ない、ついで、LAMP増幅産物を実施例1と同様にTspRI消化した。LAMP産物およびTspRI消化物を2%アガロースゲルにて電気泳動した結果、これらが目的のサイズに現れることが確認された(図10)。
2.次に、プライマーエクステンションによりDIG標識し、ドットブロットハイブリダイゼーションを行った。ブロットされているDNAは以下の通りである。
1;109A oligo
2;109B oligo
この結果、目的のスポットのみにシグナルが得られることが確認された(図11)。
以上より、TspRI部位を持たない鋳型にLAMP反応を利用して制限酵素認識配列が挿入でき、これを鋳型として鎖特異的1本鎖を得られることが示された。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
産業上の利用の可能性
本発明を用いれば、2本鎖核酸のセンス、又はアンチセンス鎖の一方を選択的に合成することができる。かかる1本鎖DNAはハイブリダイゼーションアッセイのプローブ等に使用することができ、本発明は該1本鎖DNAの効率的かつ安価な合成方法を提供する。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、TspRIを用いた1本鎖核酸合成の原理を示す。
図2は、実施例1における伸長産物のハイブリダイゼーションアッセイの結果を示す写真である。(A:センスオリゴ、B:アンチセンスオリゴ)
図3は、実施例2におけるLAMP反応産物とTspRI処理したLAMP反応産物の電気泳動結果を示す写真である。(M:サイズマーカー、1:LAMP産物,2:TspRI処理したLAMP産物)
図4は、実施例2におけるプライマー伸長産物(DIG標識)の検出結果を示す写真である。(1:negative control,2:プライマー伸長産物)
図5は、実施例2におけるプライマー伸長産物をドットブロットハイブリダイゼーションした結果を示す写真である。
図6は、実施例3におけるプライマー伸長産物(DIG標識)の検出結果を示す写真である。(1:Klenow(−),2:Klenow(+),3:Bst(−)60℃,4:Bst(+)60℃,5:Bst(−)65℃,6:Bst(+)65℃)
図7は、実施例4におけるlambda exonuclease処理したプライマー伸長産物の電気泳動結果を示す写真である。(M:サイズマーカー,1:λ(−),2:λ(+))
図8は、実施例5におけるプライマー伸長産物(DIG標識)の検出結果を示す写真である。
図9は、実施例5におけるプライマー伸長産物をドットブロットハイブリダイゼーションした結果を示す写真である。
図10は、実施例6におけるLAMP反応産物とTspRI処理したLAMP反応産物の電気泳動結果を示す写真である。(M:サイズマーカー,1:LAMP産物,2:TspRI処理したLAMP産物)
図11は、実施例6におけるプライマー伸長産物をドットブロットハイブリダイゼーションした結果を示す写真である。
Claims (12)
- 以下の工程からなる1本鎖核酸の合成方法。
1)標的配列よりも5’側に制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAを、
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる
ように制限酵素で切断する工程。
2)制限酵素により切断されたDNA断片の1本鎖領域に、少なくとも3’末端にその領域に相補的な塩基配列を持つプライマーをアニールさせる工程。
3)プライマーの3’末端を起点に鎖置換型ポリメラーゼにより核酸を合成する工程。 - 前記制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAが、以下の工程を含む方法によって提供されることを特徴とする、請求の範囲第1項記載の方法。
1)該制限酵素認識配列をクローニングサイトの中に、あるいはクローニングサイトに隣接して有するベクターを用いて増幅すべきDNAをクローニングする工程
2)該制限酵素認識配列上あるいはこれより3’側にアニールするプライマーを用いたDNA増幅法によって、該制限酵素認識配列及び増幅すべきDNAを含む領域を増幅する工程。 - 前記DNA増幅法がLAMP法である、請求の範囲第2項記載の方法。
- 前記制限酵素認識配列を有する2本鎖DNAが、該制限酵素認識配列を含むプライマーを用いたDNA増幅法によって提供されることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- 前記DNA増幅法が、以下のA)及びB)からなるプライマーを用いたLAMP法である、請求の範囲第4項記載の方法。
2本鎖DNAの第1のDNA鎖上にある標的配列の3’末端から該DNA鎖の3’末端方向に向かって順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cをそれぞれ選択し、また該標的配列の5’末端から該DNA鎖の5’末端方向に向かって順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2をそれぞれ選択したとき、
A)前記F2cに相補的な配列F2及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、又は 前記F2cに相補的な配列F2、前記制限酵素認識配列及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー
B)前記R2と同一の配列、前記制限酵素認識配列及び前記R1に相補的な配列R1cを3’側から5’側にこの順で含むプライマー - 前記DNA合成工程において、さらに前記インナープライマーよりも3’側にアニールするアウタープライマーを用いることを特徴とする請求の範囲第5項記載の方法。
- 制限酵素による切断部位の1本鎖領域の長さが、少なくとも5塩基以上であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の方法。
- 制限酵素による切断部位の1本鎖領域の長さが、少なくとも7塩基以上であることを特徴とする請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の方法。
- プライマーが検出可能な標識物質又は固相と結合しているか、あるいはこれらに結合可能なように修飾されていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の方法。
- 2本鎖DNAの第1のDNA鎖上にある標的配列の3’末端から該DNA鎖の3’末端方向に向かって順に第1の任意配列F1c及び第2の任意配列F2cをそれぞれ選択し、また該標的配列の5’末端から該DNA鎖の5’末端方向に向かって順に第3の任意配列R1及び第4の任意配列R2をそれぞれ選択したとき、以下のA)及びB)からなるインナープライマー。
A)前記F2cに相補的な配列F2及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー、又は 前記F2cに相補的な配列F2、以下の制限酵素の認識配列及び前記F1cと同一の配列を3’側から5’側にこの順で含むプライマー
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる
ように切断可能な制限酵素
B)前記R2と同一の配列、前記制限酵素の認識配列及び前記R1に相補的な配列R1cを3’側から5’側にこの順で含むプライマー - クローニングサイトの中に、あるいはクローニングサイトに隣接して、以下の塩基配列を持つことを特徴とする、1本鎖核酸合成用ベクター。
制限酵素で切断した際に、
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)切断後のそれぞれの断片の1本鎖領域の塩基配列が異なる
ように切断される塩基配列 - 少なくとも以下の試薬を含む1本鎖核酸合成用試薬キット。
1)以下の特徴を持つ制限酵素
a)3’末端が突出した断片を形成し、かつ
b)それぞれの断片の塩基配列が異なるように切断可能である
2)上記制限酵素により切断されたDNA断片の1本鎖領域にアニール可能なプライマー
3)鎖置換型ポリメラーゼ
4)請求の範囲第10項記載のインナープライマー又は請求の範囲第11項記載の1本鎖核酸合成用ベクター
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070306 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070703 |