JPWO2008153179A1 - 脂肪組織由来多系統前駆細胞 - Google Patents
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Abstract
本発明は、脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団、脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法であって、(a)脂肪組織由来細胞集団から赤血球を除去し、前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団を形成し;次に、(b)該前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団から脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞を除去し、脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る、工程を含む方法およびそれにより得ることのできる脂肪組織由来多系統前駆細胞を提供する。
Description
本発明は、脂肪組織由来多系統前駆細胞(以下、「ADMPC」ともいう)を含む細胞集団、脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法およびかかる方法により得ることのできる脂肪組織由来多系統前駆細胞などに関する。
近年、再生医学や細胞組織工学・遺伝子工学等を駆使した再生医療による、難治疾患克服への道筋が示されている。これら再生医療に用いられる細胞素材の供給源として、間葉系組織由来成体幹細胞、特に安全かつ簡便に採取され得る脂肪組織由来体性幹細胞が注目されている。
脂肪組織由来体性幹細胞は、1980年代に既に確立された方法により脂肪組織から採取され得る(非特許文献1、および特許文献1および2)。しかしながら、かかる方法の採取効率は低く、最終的に得られる細胞集団には、赤血球や血管内皮細胞が数多く混入する。混入した赤血球や血管内皮細胞の増殖効率は幹細胞のものより高いため、得られた細胞集団を培養した場合、細胞集団における幹細胞の割合が減少してしまう。また、得られた細胞集団を分化誘導した場合、その分化効率は著しく低いものとなる。従って、実際に臨床上、あるいは薬剤のスクリーニングなどに応用するためには、高純度かつ高収率で脂肪組織由来体性幹細胞を採取する方法の開発が必要である。
特表2002−537849号公報
特表2005−502352号公報
de la Llera M et al., J. Lipid Res. 1981 Feb; 22(2): 245-53
本発明の解決課題は、脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の不所望な細胞の割合の低い、脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団を提供することである。さらに本発明の解決課題は、脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法およびそれにより得ることのできる脂肪組織由来多系統前駆細胞などを提供することである。
本発明者等は、上記事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、脂肪組織に含まれる赤血球および血管内皮細胞などの付着細胞をそれぞれ比重法およびEDTAにより除去することで、夾雑物、すなわち、脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞の割合が低減され、得られる脂肪組織由来多系統前駆細胞の純度および収率が上昇することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団、
(2)脂肪組織由来多系統前駆細胞がIslet−1を発現するものである、(1)記載の細胞集団、
(3)脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法であって、
(a)脂肪組織由来細胞集団から赤血球を除去し、前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団を形成し;次に、
(b)該前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団から脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞を除去し、脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る、
工程を含む方法、
(4)脂肪組織由来細胞集団からの赤血球の除去が比重法、溶血法、フィルター法によるものである、(3)記載の方法、
(5)脂肪組織由来細胞集団からの赤血球の除去が比重法によるものである、(4)記載の方法、
(6)前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団からの脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞の除去が、トリプシン以外の物質により行われるものである、(3)から(5)のいずれか記載の方法、
(7)トリプシン以外の物質がキレート剤である、(6)記載の方法、
(8)キレート剤がEDTAである、(7)記載の方法、
(9)脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞が血管内皮細胞である、(3)から(8)のいずれか記載の方法、
(10)(3)から(9)のいずれか記載の方法により得ることのできる、脂肪組織由来多系統前駆細胞、
を提供する。
(1)脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団、
(2)脂肪組織由来多系統前駆細胞がIslet−1を発現するものである、(1)記載の細胞集団、
(3)脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法であって、
(a)脂肪組織由来細胞集団から赤血球を除去し、前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団を形成し;次に、
(b)該前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団から脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞を除去し、脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る、
工程を含む方法、
(4)脂肪組織由来細胞集団からの赤血球の除去が比重法、溶血法、フィルター法によるものである、(3)記載の方法、
(5)脂肪組織由来細胞集団からの赤血球の除去が比重法によるものである、(4)記載の方法、
(6)前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団からの脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞の除去が、トリプシン以外の物質により行われるものである、(3)から(5)のいずれか記載の方法、
(7)トリプシン以外の物質がキレート剤である、(6)記載の方法、
(8)キレート剤がEDTAである、(7)記載の方法、
(9)脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞が血管内皮細胞である、(3)から(8)のいずれか記載の方法、
(10)(3)から(9)のいずれか記載の方法により得ることのできる、脂肪組織由来多系統前駆細胞、
を提供する。
本発明により、脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団、脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法およびそれにより得ることのできる脂肪組織由来多系統前駆細胞などが提供される。
本発明は、1の態様において、脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団に関するものである。脂肪組織由来多系統前駆細胞は、内胚葉、中胚葉、外胚葉などの種々の細胞系列に分化することができる細胞であって、未分化マーカーであるIslet−1を発現する細胞をいう。脂肪組織由来多系統前駆細胞は、脂肪組織の他、胚性幹細胞などから分化させて得ることができる。脂肪組織由来多系統前駆細胞が由来する動物種は特に限定されず、好ましくは、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、サルなどを含む哺乳類、より好ましくは、ヒトである。あるいは、かかる細胞集団を用いた再生医療により治療されるべき対象と同種または同一のものが好ましい。
本発明の細胞集団は、非所望な夾雑物、例えば、赤血球、血管内皮細胞などの脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞の割合が低いので、培養の容易さ、高い分化効率などの利点を有する。かかる夾雑物を除去する手段としては、脂肪組織由来多系統前駆細胞の比重との差を利用した手段・方法、例えば、比重法、脂肪組織由来多系統前駆細胞の付着性との差を利用した手段・方法、例えば、EDTAのようなキレート剤、トリプシンのような酵素を用いた方法、ソーティング、MACSなどの抗原抗体法、形態的に選別する方法、単一細胞クローン化、溶血法などが挙げられる。細胞集団における夾雑物の低減は、例えば、夾雑物が有するマーカーをRT−PCR、ELISAなどの方法を用いて定量することにより、顕微鏡下で視覚的に、あるいはフローサイトメトリー、免疫組織染色により確認され得る。
本発明の細胞集団は、好ましくは、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、93%、96%、または99%の脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む。脂肪組織由来多系統前駆細胞がかかる割合含まれることにより、本発明の細胞集団は、脂肪組織由来多系統前駆細胞の維持が容易であること、分化させたときの効率が高いことなどの利点を有する。本発明の細胞集団は、脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の他、フィーダー細胞のような脂肪組織由来多系統前駆細胞の維持または分化に有効な細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞などを含んでいてもよい。かかる細胞を含むことにより、上記利点が増強され得る。
本発明は、別の態様において、脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法であって、(a)脂肪組織由来細胞集団から赤血球を除去し、前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団を得て;次に、(b)該前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団から脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞を除去し、脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る、工程を含む方法に関するものである。本発明により、脂肪組織由来の脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞を低減させ、脂肪組織由来多系統前駆細胞を高収率かつ高純度で得ることができる。本発明において、上記工程は、連続して行われてもよいし、あるいは並行して行われてもよい。本発明のこの態様に用いられる脂肪組織は、生体内の皮下脂肪組織および内臓脂肪組織のいずれであってもよい。脂肪組織が由来する動物種は特に限定されず、好ましくは、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、サルなどを含む哺乳類、より好ましくは、ヒトである。あるいは、本発明の方法により得ることのできる脂肪組織由来多系統前駆細胞を用いた再生医療により治療されるべき対象と同種または同一のものが好ましい。
本明細書において用いられる脂肪組織由来細胞集団は、少なくとも脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団をいう。脂肪組織由来細胞集団は、脂肪組織由来多系統前駆細胞の他に、赤血球、血管内皮細胞、線維芽細胞などを含んでいてもよい。脂肪組織由来細胞集団は、例えば、脂肪組織をコラゲナーゼなどの酵素により、あるいは物理的手段・方法により処理し、および/または脂質などを例えば、遠心分離、フィルター処理により除去して得られる。
赤血球は脂肪組織由来多系統前駆細胞を吸着する性質を有し、これにより、脂肪組織由来多系統前駆細胞の収率を低下させ得る。従って、脂肪組織由来細胞集団から赤血球を除去することが必要になる。脂肪組織由来細胞集団からの赤血球の除去は、いずれの手段・方法により行われてもよく、例えば、赤血球とそれ以外の細胞の付着性の差に基づくもの以外の手段・方法で行われるものであってもよい。好ましくは、かかる除去は、比重法、溶血法、フィルター法により、より好ましくは、比重法により行われる。比重法は、適当な比重の比重液、例えば、Lymphoprepなどの市販の比重液を用いて行われ得る。用いられる比重液の比重は、赤血球とそれ以外の細胞の比重の間のものであればよく、好ましくは、1.063〜1.119、より好ましくは、1.070〜1.110、最も好ましくは、1.077である。
本明細書において用いられる前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団は、少なくとも脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団をいう。前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団は、脂肪組織由来多系統前駆細胞の他に、血管内皮細胞、線維芽細胞などを含んでいてもよい。上述の通り、前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団は、実質上、赤血球を含まない。赤血球を除去して、前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団を形成させることで、続く脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞の除去が容易かつ効率よく行われ得る。
本明細書において用いられる脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞は、血管内皮細胞、線維芽細胞などの付着細胞などをいう。前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団からの脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞の除去は、いずれの手段・方法により行われてもよいが、好ましくは、トリプシン以外の物質、より好ましくは、EDTA、EGTAなどのキレート剤、最も好ましくは、EDTAを用いて行われる。好ましくは、かかる除去は、脂肪組織由来多系統前駆細胞とそれ以外の細胞との付着性の差に基づき、行われるものである。上記の他、例えば、フィルター濾過などにより、脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞を除去することができる。これらの細胞を除去することで、得られる脂肪組織由来多系統前駆細胞集団の純度、および収率が上昇する。
本発明は、別の態様において、上記脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法により得ることのできる脂肪組織由来多系統前駆細胞に関するものである。かかる脂肪組織由来多系統前駆細胞は、上述の通りIslet−1を発現する。
本発明は、さらなる態様において、上記脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法により得ることのできる脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団に関するものである。かかる細胞集団は、赤血球、血管内皮細胞などの不所望な脂肪組織由来の細胞を実質上含まないが、フィーダー細胞などの脂肪組織由来多系統前駆細胞の維持・分化などに有効な細胞を含んでいてもよい。
本発明は、1の態様において、脂肪組織由来細胞を培養することを特徴とする、脂肪組織由来細胞から肝小葉様細胞塊を得る方法に関するものである。本発明は、肝臓の最小機能単位である肝小葉に類似する細胞塊を形成できる点で非常に優れている。脂肪組織由来細胞とは、内臓脂肪組織または皮下脂肪組織から得られる細胞または細胞集団、あるいは間葉系肝細胞、ES細胞の様な幹細胞から分化誘導された生体内の脂肪組織に含まれる細胞に類似した細胞または細胞集団をいう。通常には、脂肪組織由来細胞とは、脂肪組織由来幹細胞、脂肪組織由来間質細胞、上述の脂肪組織由来多系統前駆細胞、脂肪前駆細胞またはこれらに類似する細胞のいずれか、あるいはこれら全てまたは一部からなる混合物を含む細胞集団をいう。脂肪組織由来細胞は、当業者に公知の手段・方法により脂肪組織などから得ることができる。さらに、得られた脂肪組織由来細胞を、当業者に公知の手段・方法を用いて増殖させ、例えば、形質を安定させてもよい。脂肪組織由来細胞を、デキサメサゾンおよびアスコルビン酸を含む培地、例えば、ITS(10.0mg/L インスリン、5.5mg/L トランスフェリン、6.7ng 亜セレン酸ナトリウム)、1nM デキサメサゾン、0.1mM アスコルビン酸、10ng/mL rhEGF、および5% FCSを添加した60% DMEM(低グルコース)および40% MCDB201培地中、フィブロネクチンコートディッシュなどの培養器にて培養することにより、脂肪組織由来細胞を増殖させてもよい。
脂肪組織由来細胞が由来する動物種は、特に限定されず、好ましくは、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、サルなどを含む哺乳類、より好ましくは、ヒトである。得られた肝小葉様細胞塊を用いて疾患を予防または治療すべき動物種と同一の動物種、あるいは同一個体の脂肪組織由来細胞を用いることがより好ましい。脂肪組織は生体内に十分量存在し、比較的容易に得られるため、例えば、死体などの限られた材料から肝小葉を得る方法などと比較して、本発明は非常に優れている。例えば、自己由来の脂肪組織由来細胞を用いて本発明の上記方法を行い、得られた肝小葉様細胞塊を自己移植することで、拒絶反応を危惧することなく肝硬変などの肝機能の低下により生じる疾患を治療することが可能になる。
肝小葉様細胞塊とは、生体内の肝小葉、およびそれに類似する機能・形態を有する細胞塊をいい、例えば、肝細胞、胆管上皮細胞、内皮細胞、クッパー細胞、肝星細胞などを含む。本発明の肝小葉様細胞塊は、個々の肝細胞と比べ、十分な量の分泌タンパク質を産生できる点、高い代謝能を有する点、高い解毒能を有する点などで非常に優れている。また、細胞塊を形成させることで、例えば、移植等の目的に用い易いという利点も有する。
本発明の、脂肪組織由来細胞から肝小葉様細胞塊の取得方法は、重要な工程として、未分化細胞から肝小葉様細胞塊を形成させる工程を含むことが好ましい。本発明の、脂肪組織由来細胞から肝小葉様細胞塊の取得方法は、重要な工程として、脂肪組織由来細胞から未分化細胞を得る工程をさらに含むことが好ましい。これらの工程は、連続して行われてもよいし、あるいは並行して行われてもよい。
未分化細胞とは、多種多様な細胞、例えば、肝前駆細胞、膵前駆細胞、心筋前駆細胞、血管内皮前駆細胞、骨芽細胞、軟骨芽細胞などに分化することのできる細胞をいう。未分化細胞を得る工程は、得られた未分化細胞を増殖させる工程をさらに含んでいてもよい。未分化細胞を増殖させることで、肝小葉様細胞塊の形成効率を増大させ、得られる肝小葉様細胞塊の数を増加させることなどが可能である。未分化細胞を得る工程は、例えば、ソーティング、MACS、ロゼッタ形成法などの抗原抗体反応による方法、密度勾配法、形態的に選別する方法、単一細胞クローン化などの既知の方法を用いて行われてもよいし、脂肪組織由来細胞を浮遊化させた状態で培養し、アディポスフェアを形成させることにより行われてもよい。すでに分化した細胞を死滅させ、かつ未分化細胞を生存・増殖させることが可能であるため、脂肪組織由来細胞を浮遊化させた状態で培養し、アディポスフェアを形成させることが好ましい。浮遊化状態での培養については、後述する。ここで、アディポスフェアとは、未分化細胞を主成分として含む球状体であると定義する。アディポスフェアの形成と次の肝小葉様細胞塊への分化は、連続してまたは同時に生じ得るので、アディポスフェアは未分化細胞の他に肝細胞、胆管上皮細胞、内皮細胞、クッパー細胞、肝星細胞などを含んでいてもよい。
肝小葉様細胞塊を得る工程は、未分化細胞を例えば、線維芽細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、オンコスタチンM、上皮増殖因子、およびジメチルスルホキシドを含む培地にて培養することにより行われ、好ましくは、かかる工程は、未分化細胞を浮遊化させた状態で培養することにより行われる。浮遊化させて培養することで、生体内の肝小葉に類似した形態を有する細胞塊をより容易に得ることができる。未分化細胞の浮遊化状態での培養は、培養容器との接着を防止あるいは抑制して遊離した状態に細胞を置いて、培養することを意味する。細胞の浮遊化は種々の公知の手段・方法で行うことができる。例えば、細胞の接着を防止あるいは抑制するように処理された、あるいは細胞の接着を防止あるいは抑制するような材料で作られた培養容器または装置を用いて細胞を浮遊化状態においてもよい。培養容器または装置としては、シリコン処理された培養容器(例えば、シリコン化フラスコ)または低接着性培養ディッシュ(例えば、ハイドロセル(CellSeed))のごとき低接着性培養容器などがある。あるいはハンギング・ドロップ培養法を用いて細胞を浮遊化させた状態で培養させてもよい。また、浮遊化の開始時点において、あるいは浮遊化を継続させるために、適宜、公知の手段・方法を併用してもよい。かかる手段・方法の例としては、トリプシン/EDTA、コラゲナーゼ、Cell Dissociation Buffer(GIBCO Invitrogen)などの酵素またはキレート剤により細胞を遊離させること、スクレーバーなどを用いて物理的に細胞を掻き取ること、あるいは細胞回収用温度応答性培養器材(例えば、レプセル(CellSeed))にて細胞を培養後、例えば、20℃で30分間インキュベーションして細胞を剥離させる方法などがある。未分化細胞を浮遊化させた状態で培養することにより、上記肝小葉様細胞塊が形成される。
本発明は、もう1つの態様において、上記方法により得ることのできる肝小葉様細胞塊に関するものである。上述の通り、本発明の肝小葉様細胞塊は肝細胞を含む。例えば、肝硬変などの肝機能の低下により生じる疾患またはその素因を有する対象または該対象と同種のものの脂肪組織から採取した細胞を用いて上記方法を行い、得られた肝小葉様細胞塊を該対象に移植することで、肝硬変などの肝機能の低下により生じる疾患を治療または予防することなどが可能である。
本発明は、さらなる態様において、上記方法により得ることのできる肝小葉様細胞塊に含まれる肝細胞に関するものである。
本発明は、なおさらなる態様において、上記方法により得ることのできる肝小葉様細胞塊および/またはかかる肝小葉様細胞塊に含まれる肝細胞を含む、肝機能の低下により生じる疾患を予防または治療するための医薬組成物に関するものである。肝機能の低下により生じる疾患とは、肝臓の機能の低下のみならず機能不全により生じる疾患を含み、例えば、肝炎、肝硬変、肝癌、肝不全、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害、先天性代謝異常、胆汁うっ滞性肝障害などである。本発明の医薬組成物において、肝小葉様細胞塊または肝細胞はPBSのような適当な溶液中に懸濁されていてもよい。また、本発明の医薬組成物は、肝小葉様細胞塊または肝細胞の他、それらの肝臓への生着を促進させる物質、肝機能改善薬、適当な添加剤、賦形剤などを含んでいてもよい。
本発明はまた、別のさらなる態様において、肝機能の低下により生じる疾患を予防または治療するための医薬品の製造のための、上記方法により得ることのできる肝小葉様細胞塊および/またはかかる肝小葉細胞塊に含まれる肝細胞の使用に関するものである。
本発明は、別の態様において、上記培養方法により得ることのできる肝小葉様細胞塊および/またはかかる肝小葉様細胞塊に含まれる肝細胞を対象に投与することを特徴とする、肝機能の低下により生じる疾患の治療または予防方法に関するものである。拒絶反応等の点から、好ましくは、同一種、あるいは自己の脂肪組織由来細胞から得ることのできる肝小葉様細胞塊または肝細胞が本発明において用いられる。肝小葉様細胞塊または肝細胞は、例えば、腎皮膜下、経門脈的に肝臓内、大網内、腹腔内、脾臓内、皮下などに移植または注射されてもよい。対象は、いずれのものであってもよく、ヒト対象であってもよいし、ヒト以外の対象、例えば、マウス、サルなどの哺乳類であってもよい。肝小葉様細胞塊または肝細胞の投与量、投与回数などは、例えば、対象の状態、疾患の重篤度などの種々の因子に応じて適宜選択される。
本発明はさらに、肝小葉細胞塊および/またはかかる肝小葉様細胞塊に含まれる肝細胞を投与することを特徴とする、血中ビリルビン濃度を低減させる方法に関するものである。かかる方法は、in vivoおよびin vitroのいずれにおいて行われてもよい。
本発明は、さらに別の態様において、脂肪組織を培養して肝小葉様細胞塊を得る際に、候補物質を培地に添加することを特徴とし、肝小葉様細胞塊の形成が、候補物質不含系における形成と比較して促進されている場合に、該候補物質が肝小葉の形成を促進する物質であることを示す、肝小葉の形成を促進する物質をスクリーニングする方法に関するものである。上述の通り、肝小葉様細胞塊には肝細胞が含まれるので、かかる方法は、肝細胞への分化を促進する物質のスクリーニング方法も包含する。候補物質としては種々のものがあり、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、またはオンコスタチンMのアナログまたは誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。脂肪組織から肝小葉様細胞塊を得る際の候補物質の培地への添加は、脂肪組織由来細胞から未分化細胞を得る工程、および未分化細胞から肝小葉様細胞塊を得る工程のいずれか、あるいは両方で1回または複数回行われてもよい。
肝小葉様細胞塊の形成は、例えば、顕微鏡観察により形成された肝小葉様細胞塊の数を計測すること、培養上清中に分泌されたα−フェトプロテイン、アルブミンなどを例えば、ELISAを用いて定量すること、α−フェトプロテイン、アルブミン、CYP1B1、グルタミン合成酵素、ケラチン18、ケラチン19などの遺伝子の発現を定量的PCRにより測定すること、あるいは肝小葉への分化・形成に伴い発現が現象または増加することが分かっているマーカー物質、例えば、トランスサイレチン、α1−抗トリプシン、チロシンアミノトランスフェラーゼ、グルコース−6−ホスファターゼなどを定量的PCRまたはELISAなどにより測定することなどにより、調べることができる。
従って、本発明は、さらなる態様において、上記スクリーニング方法により得ることのできる、肝小葉の形成を促進する物質に関するものである。かかる物質を本発明の脂肪組織由来細胞から肝小葉様細胞塊を得る方法に用いて、得られる肝小葉様細胞塊の数を増加させてもよいし、肝小葉様細胞塊の形成速度を増大させてもよい。または、かかる物質を、肝機能の低下により生じる疾患の治療または予防に用いてもよい。
本発明のさらに別の態様は、脂肪組織由来細胞を培養して肝小葉様細胞塊を得る際に、候補物質を培地に添加することを特徴とし、肝小葉様細胞塊の形成が、候補物質不含系における形成と比較して抑制されている場合に、該候補物質が肝小葉の形成を抑制する物質であることを示す、肝小葉の形成を抑制する物質をスクリーニングする方法に関するものである。上述の通り、肝小葉様細胞塊には肝細胞が含まれるので、かかる方法は、肝細胞への分化を抑制する物質のスクリーニング方法も包含する。候補物質としては、種々のものがあり、例えば、四塩化炭素、フェノバルビタールなどの肝毒性を有する薬剤のアナログまたは誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。かかるスクリーニング方法により得ることのできる物質は、肝機能の亢進により生じる疾患の治療または予防に適していると考えられる。候補物質の培地への添加、肝小葉様細胞塊の形成を調べる手段・方法については上述の通りである。
従って、本発明は、さらなる態様において、上記スクリーニング方法により得ることのできる、肝小葉の形成を抑制する物質に関するものである。
本発明は、なおさらに別の態様において、肝小葉の形成を促進または抑制する物質をスクリーニングするための上記方法に用いられるキットに関するものである。本発明のキットは、脂肪組織からの細胞取得手段、培地、培養容器、ならびに肝小葉様細胞塊の形成を調べる手段等を含んでいてもよい。通常には、取扱説明書をキットに添付する。かかるキットを用いて、上記スクリーニングを迅速かつ容易に行うことができる。
本発明は、もう1つの態様において、脂肪組織由来細胞を培養して得られた肝小葉様細胞塊を候補物質を含む培地中で培養し、肝小葉様細胞塊の活性が、候補物質不含系における活性と比較して増大している場合に、該候補物質が肝小葉の活性を上昇させる物質であることを示す、肝小葉の活性を上昇させる物質をスクリーニングする方法に関するものである。肝小葉の活性とは、肝小葉の解毒作用、タンパク質合成能、代謝作用などをいう。
肝小葉様細胞塊の活性の上昇は、例えば、培養上清中に分泌されたα−フェトプロテイン、アルブミンなどをELISAなどを用いて定量し、かかるタンパク質量の増減により、あるいはα−フェトプロテイン、アルブミン、CYP1B1、グルタミン合成酵素、ケラチン18、ケラチン19などの遺伝子の発現を定量的PCRにより測定し、かかる遺伝子の発現の増減により、調べることができる。候補物質としては種々のものがあり、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、またはオンコスタチンMのアナログまたは誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。候補物質の培地への添加は、1回または複数回行われてもよい。
従って、本発明は、さらなる態様において、上記スクリーニング方法により得ることのできる、肝小葉の活性を上昇させる物質に関するものである。かかる物質を本発明の脂肪組織由来細胞から肝小葉様細胞塊を得る方法に用いて、得られる肝小葉様細胞塊の活性を増大させてもよい。または、かかる物質を、肝機能の低下により生じる疾患の治療または予防に用いてもよい。
本発明は、別の態様において、脂肪組織由来細胞を培養して得られた肝小葉様細胞塊を候補物質を含む培地中で培養し、肝小葉様細胞塊の活性が、候補物質不含系における活性と比較して低減している場合に、該候補物質が肝小葉の活性を低減させる物質であることを示す、肝小葉の活性を低減させる物質をスクリーニングする方法に関するものである。候補物質としては種々のものがあり、例えば、四塩化炭素、フェノバルビタールのアナログまたは誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。候補物質の培地への添加、肝小葉様細胞塊の活性を調べる手段・方法については上述の通りである。
従って、本発明は、さらなる態様において、上記スクリーニング方法により得ることのできる、肝小葉の活性を低減させる物質に関するものである。
本発明は、なおさらに別の態様において、肝小葉の活性を上昇または低減させる物質をスクリーニングするための上記方法に用いられるキットに関するものである。本発明のキットは、脂肪組織からの細胞取得手段、培地、培養容器、ならびに肝小葉様細胞塊の活性を調べる手段等を含んでいてもよい。通常には、取扱説明書をキットに添付する。かかるキットを用いて、上記スクリーニングを迅速かつ容易に行うことができる。
さらに、本発明により、シートを構成するのに十分な量の心筋芽細胞が提供される。従って、本発明は、1の態様において、心筋芽細胞を含むシートを提供するものである。本明細書において、心筋芽細胞とは、心筋細胞に分化するよう方向付けられた細胞であって、α-cardiac actin(α−CA)およびMyosin Light Chain(MLC)を発現している細胞をいう。心筋芽細胞が由来する動物種は特に限定されず、好ましくは、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、サルなどを含む哺乳類、より好ましくは、ヒトである。あるいは、かかる心筋芽細胞を含むシートが適用される対象と同種、または同一のものが好ましい。例えば、対象と同種または同一動物由来の心筋芽細胞を含むシートを対象に移植することで、拒絶反応を危惧することなく重症心不全を治療することなどが可能となる。
心筋芽細胞を含むシートとは、心筋芽細胞を必須構成成分として含む細胞塊をいう。シートにおいて、心筋芽細胞は単層または重層のいずれの形態で含まれていてもよい。シート形態を有することにより、移植等に用いる際の取扱が容易になる。シートの心筋芽細胞以外の構成成分は、いずれのものであってもよく、例えば、脂肪組織由来幹細胞、心筋細胞、細胞用のスキャホールド、血管内皮、マトリクスなどが挙げられる。シートの大きさおよび厚さは、適用される傷害領域の大きさなど種々の条件に応じて適宜選択され得る。
シートに含まれる心筋芽細胞の割合は、特に限定されず、例えば、かかるシートが適用される対象の状態など種々の条件に応じて適宜選択され得る。該割合は、例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%などである。心筋芽細胞の割合は、当業者に既知の手段、例えば、定量的RT−PCRを用いて心筋芽細胞マーカー遺伝子であるα−CAまたはMLCを定量することにより、決定され得る。
本発明のシートの機能は、公知の方法、例えば、シートを対象に移植して、移植された対象の心機能を心エコーにより、あるいは拡張末期径(LVDd)、収縮末期径(LVDs)、左室駆出率(%EF)または左室内径短縮率(%FS)などを計測することにより評価して、調べることができる。
本発明は、もう1つの態様において、脂肪組織由来幹細胞を培養することを特徴とする、心筋芽細胞を得る方法を提供する。該方法により、脂肪組織由来幹細胞から心筋芽細胞を大量に得ることが可能となる。該方法は、脂肪組織由来細胞から脂肪組織由来幹細胞を得る工程を含むんでいてもよい。脂肪組織由来幹細胞とは、内胚葉、中胚葉、外胚葉などの種々の細胞系列に分化することができる細胞をいい、未分化マーカーであるIslet−1を発現している脂肪組織由来多系統前駆細胞(ADMPC)を含む。脂肪組織由来幹細胞が由来する動物種は特に限定されず、好ましくは、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、サルなどを含む哺乳類、より好ましくは、ヒトである。あるいは、かかる脂肪組織由来幹細胞から得られた心筋芽細胞を用いて治療されるべき対象と同種または同一のものが好ましい。
好ましくは、本発明の心筋芽細胞を得る方法は、脂肪組織由来幹細胞をDMSOまたはOP9培養上清の存在下で培養する工程を含むものである。かかる条件下で脂肪組織由来幹細胞を培養することにより、該細胞が心筋芽細胞に分化および/または誘導され得る。かかる培養に用いられる培地は、適宜選択され得る。かかる培地は、例えば、レチノイン酸、BMP2、BMP4、TGFβ2、HGF、bFGF、チロキシン、オキシトシンまたは脂肪酸濃縮液などの種々の因子を含むものであってもよい。心筋芽細胞への分化は、例えば、α−CAまたはMLCなどの心筋芽細胞マーカーの発現をRT−PCRによって測定することにより、調べることができる。
従って、本発明は、さらなる態様において、上記心筋芽細胞を得る方法により得ることのできる心筋芽細胞を提供するものである。かかる心筋芽細胞を心筋梗塞、心筋症などの心疾患の治療に用いることもできるし、あるいは心筋芽細胞を含むシートの材料として用いることもできる。
本発明は、別の態様において、心筋芽細胞を含むシートを得る方法であって、下記工程:(a)脂肪組織由来幹細胞を心筋芽細胞に分化させ、次に、(b)心筋芽細胞を含むシートを形成させる、を含む方法を提供するものである。これらの工程は、連続して行われてもよいし、あるいは並行して行われてもよい。かかる方法により、心筋芽細胞を含むシートを容易かつ効率的に得ることができる。脂肪組織由来幹細胞を心筋芽細胞に分化させる工程は、上述の通りである。
心筋芽細胞から心筋芽細胞を含むシートを形成させる工程は、当業者に既知の手段または方法により達成され得る。好ましくは、該工程は、心筋芽細胞を付着した状態で増殖させて細胞塊を形成させ、次に、形成された細胞塊を剥離することにより達成され得る。用いられる心筋芽細胞の数、および培養時間は、得られるシートの大きさ、シートに含まれる心筋芽細胞の数など種々の条件に応じて適宜選択され得る。例えば、心筋芽細胞105〜106個を24〜72時間培養することにより、シートを得てもよい。細胞塊の剥離は、種々の手段、例えば、物理的刺激により行われ得る。あるいは、心筋芽細胞を温度感受性培養皿にて培養し、例えば、20℃以下にてインキュベーションすることにより、細胞塊を剥離してもよい。
従って、本発明は、さらなる態様において、上記心筋芽細胞を含むシートを得る方法により得ることのできる、心筋芽細胞を含むシートに関するものである。かかる心筋芽細胞を含むシートを、心筋梗塞、心筋症などの心疾患の治療に用いることができる。
本発明は、別の態様において、心筋芽細胞を含むシートまたは心筋芽細胞を対象に移植することを特徴とする、心筋の機能低下により生じる疾患を治療および/または予防する方法に関するものである。心筋の機能低下により生じる疾患とは、例えば、急性心筋梗塞、陳旧性心筋梗塞、虚血性心筋梗塞、拡張型心筋症、先天性心疾患などである。対象への移植は、当業者に既知の方法により行われ得る。例えば、心筋芽細胞を含むシートを、心筋の機能が低下した領域に移植することにより、あるいは心筋芽細胞を冠動脈経由で移植することにより、行われ得る。移植するシートの大きさおよび厚さ、シートに含まれる心筋芽細胞の数、および心筋芽細胞数は、対象の状態、傷害領域の大きさなど種々の条件に応じて適宜選択され得る。
従って、本発明は、さらなる態様において、心機能の低下により生じる疾患を治療および/または予防するための、心筋芽細胞を含むシートまたは心筋芽細胞を含む組成物を提供するものである。かかる組成物は、該シートまたは心筋芽細胞以外に、例えば、PBS、培地、生着を促進させる物質、心機能改善薬、成長因子、増殖因子などを含んでいてもよい。
本発明は、別の態様において、心筋芽細胞への分化を促進する物質をスクリーニングする方法であって、下記工程:
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;
(b)脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化を調べる、
を含み、該分化が、候補物質不含培地にて脂肪組織由来幹細胞を培養した場合の分化と比較して促進されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞への分化を促進する物質であることを示す方法に関するものである。候補物質としては種々のものがあり、例えば、レチノイン酸、BMP2、BMP4、TGFβ2、HGF、bFGF、チロキシン、またはオキシトンのアナログまたは誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化は上述の通りである。心筋芽細胞への分化は、種々の方法、例えば、α−CAまたはMLCなどの心筋芽細胞マーカーの発現をRT−PCRによって測定することにより、調べることができる。
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;
(b)脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化を調べる、
を含み、該分化が、候補物質不含培地にて脂肪組織由来幹細胞を培養した場合の分化と比較して促進されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞への分化を促進する物質であることを示す方法に関するものである。候補物質としては種々のものがあり、例えば、レチノイン酸、BMP2、BMP4、TGFβ2、HGF、bFGF、チロキシン、またはオキシトンのアナログまたは誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化は上述の通りである。心筋芽細胞への分化は、種々の方法、例えば、α−CAまたはMLCなどの心筋芽細胞マーカーの発現をRT−PCRによって測定することにより、調べることができる。
従って、本発明は、さらなる態様において、上記心筋芽細胞への分化を促進する物質のスクリーニング方法により得ることのできる、心筋芽細胞への分化を促進する物質に関するものである。該物質を、上述の心筋芽細胞および心筋芽細胞を含むシートの製造方法に用いて、得られる心筋芽細胞およびシートの数を増大させてもよい。または、かかる物質を心機能の低下により生じる疾患の治療または予防に用いてもよい。
本発明は、別の態様において、心筋芽細胞への分化を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、下記工程:
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;
(b)脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化を調べる、
を含み、該分化が、候補物質不含培地にて脂肪組織由来幹細胞を培養した場合の分化と比較して抑制されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞への分化を抑制する物質であることを示す、方法に関するものである。候補物質としては種々のものがあり、例えば、ノギンのアナログまたは誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;
(b)脂肪組織由来幹細胞の心筋芽細胞への分化を調べる、
を含み、該分化が、候補物質不含培地にて脂肪組織由来幹細胞を培養した場合の分化と比較して抑制されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞への分化を抑制する物質であることを示す、方法に関するものである。候補物質としては種々のものがあり、例えば、ノギンのアナログまたは誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
従って、本発明は、さらなる態様において、上記心筋芽細胞への分化を抑制する物質のスクリーニング方法により得ることのできる、心筋芽細胞への分化を抑制する物質に関するものである。該物質を心機能の上昇により生じる疾患の治療または予防に用いてもよい。
さらに、本発明は、心筋芽細胞への分化を促進または抑制する物質をスクリーニングするためのキットに関するものである。本発明のキットは、脂肪組織由来幹細胞、培地、培養容器、ならびに心筋芽細胞への分化を調べる手段等を含んでいてもよい。通常には、取扱説明書をキットに添付する。かかるキットを用いて、上記スクリーニングを迅速かつ容易に行うことができる。
本発明は、別の態様において、心筋芽細胞を含むシートの形成を促進または抑制する物質をスクリーニングする方法であって、下記工程:
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;または
(b)候補物質存在下にて心筋芽細胞を含むシートを形成させ;
(c)心筋芽細胞を含むシートの形成を調べる、
を含む、該形成が、候補物質不含系にて形成させたものと比較して促進または抑制されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞を含むシートの形成を促進または抑制する物質であることを示す方法に関するものである。シートの形成を調べる方法は、上述の通りである。候補物質の添加は、上記工程(a)および(b)の両方において行われてもよいし、一方にて行われてもよい。
(a)脂肪組織由来幹細胞を候補物質を含む培地にて心筋芽細胞に分化させ;または
(b)候補物質存在下にて心筋芽細胞を含むシートを形成させ;
(c)心筋芽細胞を含むシートの形成を調べる、
を含む、該形成が、候補物質不含系にて形成させたものと比較して促進または抑制されている場合に、該候補物質が心筋芽細胞を含むシートの形成を促進または抑制する物質であることを示す方法に関するものである。シートの形成を調べる方法は、上述の通りである。候補物質の添加は、上記工程(a)および(b)の両方において行われてもよいし、一方にて行われてもよい。
従って、本発明は、さらなる態様において、上記心筋芽細胞を含むシートの形成を促進または抑制する物質のスクリーニング方法により得ることのできる、心筋芽細胞を含むシートの形成を促進または抑制する物質に関するものである。
さらに、本発明は、上記心筋芽細胞を含むシートの形成を促進または抑制する物質をスクリーニングするためのキットに関するものである。
以下に実施例を示して本発明を具体的かつ詳細に説明するが、実施例は本発明を限定するものと解してはならない。
ヒト対象からの脂肪組織の採取
インフォームドコンセントを受けた対象10人(男性4人および女性6人)から、胃癌手術中に余分な脂肪組織を摘出した。プロトコールは、Osaka University Graduate School of Medicine Review Boards for Human Researchに準ずるものであった。全ての対象を少なくとも10時間絶食させた。対象の年齢は55±5歳(平均±SE;範囲40〜60歳)であった。ステロイド剤またはTZDの投与を受けている対象はいなかった。対象から、腹部皮下(筋膜表面の外側)脂肪組織および大網脂肪組織1〜10gを得た。
インフォームドコンセントを受けた対象10人(男性4人および女性6人)から、胃癌手術中に余分な脂肪組織を摘出した。プロトコールは、Osaka University Graduate School of Medicine Review Boards for Human Researchに準ずるものであった。全ての対象を少なくとも10時間絶食させた。対象の年齢は55±5歳(平均±SE;範囲40〜60歳)であった。ステロイド剤またはTZDの投与を受けている対象はいなかった。対象から、腹部皮下(筋膜表面の外側)脂肪組織および大網脂肪組織1〜10gを得た。
ADMPCの単離および培養
脂肪組織を刻み、次に、0.075% コラゲナーゼ(Sigma Chemical Co.)含有ハンクス緩衝塩類溶液(HBSS)中、37℃のウォーターバスにて振盪しながら1時間消化した。消化産物をCell Strainer(BD Bioscience)で濾過し、800gにて10分間遠心した。Lymphoprep(d=1.077)(Nycomed)を用い、比重法により赤血球を除去し、得られた前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団を10% ウシ胎児血清(Hyclone)を含むDMEM中に細胞を播種した。24時間培養して細胞を付着させ、洗浄後、EDTAで処理して、ADMPCを得た。次に、ADMPCを、培地I:60% DMEM−低グルコース、40% MCDB201、10μg/mL EGF、1nM デキサメサゾン、100μM アスコルビン酸、および5% FBS中、密度10,000細胞/cm2にてヒトフィブロネクチンコートディッシュに播種し、3から5継代し、実験に用いた。10日間培養したADMPCの顕微鏡像を図1に示す。
脂肪組織を刻み、次に、0.075% コラゲナーゼ(Sigma Chemical Co.)含有ハンクス緩衝塩類溶液(HBSS)中、37℃のウォーターバスにて振盪しながら1時間消化した。消化産物をCell Strainer(BD Bioscience)で濾過し、800gにて10分間遠心した。Lymphoprep(d=1.077)(Nycomed)を用い、比重法により赤血球を除去し、得られた前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団を10% ウシ胎児血清(Hyclone)を含むDMEM中に細胞を播種した。24時間培養して細胞を付着させ、洗浄後、EDTAで処理して、ADMPCを得た。次に、ADMPCを、培地I:60% DMEM−低グルコース、40% MCDB201、10μg/mL EGF、1nM デキサメサゾン、100μM アスコルビン酸、および5% FBS中、密度10,000細胞/cm2にてヒトフィブロネクチンコートディッシュに播種し、3から5継代し、実験に用いた。10日間培養したADMPCの顕微鏡像を図1に示す。
ADMPCの発現特性
ADMPCおよびアディポスフェアから、Mag−Extractorキット(TOYOBO)を用いて製造元の推奨プロトコールに従い、トータルRNAを単離した。トータルRNA500ngをDNase処理し、Superscript III逆転写酵素RNase H(−)(Invitrogen)を用いて、cDNAを合成した。Islet−1、Nkx2.5、GATA−4、α−CA、MLC、MHC、ネスチン、Neurofilament 68、ソマトスタチン、snail、slug、およびGAPDHについて、KOD−plus(TOYOBO)を用いて、以下の条件でRT−PCRを行った:94℃で2分間変性、次に、94℃で15秒間の変性、予め決定した温度で30秒間のアニーリング、68℃で30秒間の伸長を40サイクル。各遺伝子についてのアニーリング温度およびプライマー配列を表1に示す。対照として、特表2005−502352号公報記載の方法により得られた脂肪組織由来幹細胞(以下、「ADSC」という)を用いた。得られた増幅産物を2% アガロースゲルにて電気泳動した。結果を図2〜図4に示す。ADMPCは、アディポスフェアと同様に神経提細胞のマーカーであるsnailおよびslugを発現することが示唆された。また、ADMPCは、未分化マーカー、特に心臓、肝臓、膵臓の前駆細胞のマーカーとして知られているIslet−1を発現することが分かった。ADSCはIslet−1を発現しておらず、得られたADMPCがADSCとは異なる細胞であると確認した。
ADMPCおよびアディポスフェアから、Mag−Extractorキット(TOYOBO)を用いて製造元の推奨プロトコールに従い、トータルRNAを単離した。トータルRNA500ngをDNase処理し、Superscript III逆転写酵素RNase H(−)(Invitrogen)を用いて、cDNAを合成した。Islet−1、Nkx2.5、GATA−4、α−CA、MLC、MHC、ネスチン、Neurofilament 68、ソマトスタチン、snail、slug、およびGAPDHについて、KOD−plus(TOYOBO)を用いて、以下の条件でRT−PCRを行った:94℃で2分間変性、次に、94℃で15秒間の変性、予め決定した温度で30秒間のアニーリング、68℃で30秒間の伸長を40サイクル。各遺伝子についてのアニーリング温度およびプライマー配列を表1に示す。対照として、特表2005−502352号公報記載の方法により得られた脂肪組織由来幹細胞(以下、「ADSC」という)を用いた。得られた増幅産物を2% アガロースゲルにて電気泳動した。結果を図2〜図4に示す。ADMPCは、アディポスフェアと同様に神経提細胞のマーカーであるsnailおよびslugを発現することが示唆された。また、ADMPCは、未分化マーカー、特に心臓、肝臓、膵臓の前駆細胞のマーカーとして知られているIslet−1を発現することが分かった。ADSCはIslet−1を発現しておらず、得られたADMPCがADSCとは異なる細胞であると確認した。
さらに、ADMPCについてApplied Byosystems 7900 Fast Real−Time PCRシステムにてリアルタイムPCR(詳細は、後述する)を行い、未分化マーカーであるSca−1およびABCG2の発現を調べた。用いたTaqManプローブを表2に示す。結果を図5および6に示す。ADMPCがSca−1およびABCG2を発現していることを確認した。
ADMPCのさらなる特性を調べるために、脂肪細胞から単離したADMPCをFACS分析にかけた。ADMPCを0.5g/L−トリプシン/0.53mM−EDTA溶液により培養ディッシュから分離し、0.1% FBS含有Dulbecco’s Phosphate−buffered Saline(DPBS, Nacalai Tesque)中で懸濁した。一定量(5×105細胞数)を、ヒトCD31(BD PharMingen)、CD105(Ancell)、CD133(R&D)に対するフルオレセインイソチオシアネート(FITC)抱合マウスモノクローナル抗体、ヒトCD29、CD34、CD45、CD56、CD73、CD166(BD PharMingen)、CD44、またはCD166(Ancell)に対するフィコエリトリン(PE)抱合マウスモノクローナル抗体と4℃で30分間インキュベートした。さらに、インキュベートした細胞を、ヒトSSEA−4、TRA−1−60、TRA−1−81(Chemicon)、ABCG−2、CD117(BD PharMingen)、または線維芽細胞/上皮細胞(AbD Serotec)に対するマウスモノクローナル抗体と、ならびに陰性対照として用いる非特異的なマウス抗体とを4℃で30分間インキュベートした。DPBSで洗浄後、細胞をPEで標識されたヤギ抗マウスIg抗体(BD PharMingen)と4℃で30分間インキュベートした。3回洗浄を行った後、細胞をDPBSで再懸濁し、FACSCalibur flow cytometerおよびCellQuest Pro software(BD Biosciences)を用いてフローサイトメトリーにより解析を行った。結果を図7および図8に示す。ADMPCは、造血系細胞および造血幹細胞(CD45、ABCG−2、CD34、CD133)(Mitchell et al., Stem Cells, 24, 376-85 (2006))、内皮細胞(CD31)のマーカー、表面抗原c−Kit(CD117)、ならびに一定のES細胞とEG(胚性生殖)細胞(TRA−1−60およびTRA−1−81)(James et al., 1998およびShamblott et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 1372613731(1998))の表面マーカーについて、対照と比べて発現にほとんど変化はなかった。一方、図7から、間葉系細胞および/または神経幹細胞(CD29、CD44、CD73およびCD105)(Mitchell et al., Stem Cells, 24, 376-85 (2006)およびBarry et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 265, 134139(1999))の表面マーカーおよび時期特異的胚性抗原マーカー(SSEA−4)(Kannagi et al., EMBO J. 2, 23552361(1983))については、発現が上昇していることが確認できた。加えて、図8からは、従来法によるADSCには、線維芽細胞の表面抗原(Zuk et al., Mol. Biol. Cell. 13, 4279-4295(2002))陽性の細胞が83.4%存在するのに対して、ADMPCでは23%のみであり、線維芽細胞の夾雑が少ないことが分かった。これらのことより、本発明によるADMPCは高い分化能を有し、さらには本発明の方法は精製度の高いADMPCを得ることができることが示された。
ADMPCの多分化能の確認
1.膵臓細胞への分化能
ADMPCを国際公開公報WO2007/039986に記載の方法により、膵内分泌細胞へ分化させた。得られた膵内分泌細胞を図9に示す。ADMPCは、膵内分泌細胞に分化できること、すなわち、膵前駆細胞としての機能を有することを確認した。また、かかるADMPCから膵内分泌細胞への分化の効率は、ADSCからのものと比較して高いものであった(データは示していない)。
1.膵臓細胞への分化能
ADMPCを国際公開公報WO2007/039986に記載の方法により、膵内分泌細胞へ分化させた。得られた膵内分泌細胞を図9に示す。ADMPCは、膵内分泌細胞に分化できること、すなわち、膵前駆細胞としての機能を有することを確認した。また、かかるADMPCから膵内分泌細胞への分化の効率は、ADSCからのものと比較して高いものであった(データは示していない)。
2.肝細胞への分化能
肝前駆細胞を肝芽細胞・肝細胞へと分化させることが知られているDMSO(0.1%)、HGF(10ng/mL)、bFGF(10ng/mL)、およびオンコスタチンM(10ng/mL)を培地Iに添加して培地IIを調製した。ADMPCを培地II中で14日間培養し、肝細胞を得た。得られた肝細胞を図10に示す。ADMPCは、肝細胞へと分化できること、すなわち、肝前駆細胞としての機能を有することを確認した。また、ADMPCから肝細胞への分化の効率は、ADSCからのものと比較して高いものであった(データは示していない)。
肝前駆細胞を肝芽細胞・肝細胞へと分化させることが知られているDMSO(0.1%)、HGF(10ng/mL)、bFGF(10ng/mL)、およびオンコスタチンM(10ng/mL)を培地Iに添加して培地IIを調製した。ADMPCを培地II中で14日間培養し、肝細胞を得た。得られた肝細胞を図10に示す。ADMPCは、肝細胞へと分化できること、すなわち、肝前駆細胞としての機能を有することを確認した。また、ADMPCから肝細胞への分化の効率は、ADSCからのものと比較して高いものであった(データは示していない)。
さらに、得られた肝細胞についてApplied Byosytems 7900 Fast Real−Time PCRシステムにてリアルタイムPCR(詳細は、後述する)を行い、肝細胞への分化を示すマーカーであるα−フェトプロテイン(AFP)、アルブミン、CYP1B1、グルタミン合成酵素の発現を調べた。対照として、ADMPCを用いた。結果を図11〜14に示す。これらの遺伝子の発現が、得られた肝細胞において上昇していることが確認できた。
3.心筋細胞への分化能
ADMPCから心筋芽細胞への分化・誘導
DMSO(群1)、またはOP9培養上清(群2)を含む培地IにてADMPCを14日間培養し、得られた細胞における遺伝子の発現を上述の通りRT−PCRにより調べた。対照として、培地Iにて培養したADMPCを用いた。結果を図15に示す。群1および2の細胞において、心筋芽細胞のマーカーであるα−CAおよびMLCが発現していること、すなわち、ADMPCが心筋芽細胞へと分化・誘導されたことが確認できた。
ADMPCから心筋芽細胞への分化・誘導
DMSO(群1)、またはOP9培養上清(群2)を含む培地IにてADMPCを14日間培養し、得られた細胞における遺伝子の発現を上述の通りRT−PCRにより調べた。対照として、培地Iにて培養したADMPCを用いた。結果を図15に示す。群1および2の細胞において、心筋芽細胞のマーカーであるα−CAおよびMLCが発現していること、すなわち、ADMPCが心筋芽細胞へと分化・誘導されたことが確認できた。
心筋芽細胞への分化・誘導期間の検討
次に、ADMPCをDMSO存在下で1、2、3、4、5、7、10、14日間培養して、心筋芽細胞への分化を調べた。対照としてADMPCおよび心筋細胞を用いた。結果を図16から20に示す。DMSO存在下で培養することにより、心筋芽細胞を得られることが分かった。
次に、ADMPCをDMSO存在下で1、2、3、4、5、7、10、14日間培養して、心筋芽細胞への分化を調べた。対照としてADMPCおよび心筋細胞を用いた。結果を図16から20に示す。DMSO存在下で培養することにより、心筋芽細胞を得られることが分かった。
心筋芽細胞を含むシートの作成
得られた心筋芽細胞を、DMSOを含む培地I中、温度感受性培養皿(株式会社セルシードより供与)中37℃にて培養し、細胞塊を形成させた。20℃以下にて30分間インキュベーションすることにより、細胞塊を剥離させ、心筋芽細胞を含むシートを得た(図21参照)。得られたシートを以下の移植実験に用いた。
得られた心筋芽細胞を、DMSOを含む培地I中、温度感受性培養皿(株式会社セルシードより供与)中37℃にて培養し、細胞塊を形成させた。20℃以下にて30分間インキュベーションすることにより、細胞塊を剥離させ、心筋芽細胞を含むシートを得た(図21参照)。得られたシートを以下の移植実験に用いた。
心筋梗塞モデルラットへのシートの移植
ヌードラットの冠動脈を結紮することにより、心筋梗塞モデルラットを作成した。次に、傷害領域にADMPC由来心筋芽細胞を含むシートを移植した。移植前2週間、移植前、移植後2週間、4週間および16週間における心機能を、エコーにより、拡張末期径(LVDd)、収縮末期径(LVDs)、左室駆出率(%EF)および左室内径短縮率(%FS)を計測して、評価した。対照として、上記同様形成させたADMPCを含むシートを用いた。結果を図22から29に示す。心筋芽細胞を含むシートを移植して2週間および10週間後のラットにおいて、壁運動を確認し、心機能が著しく改善されていることが分かった。これに対し、ADMPCを含むシートを移植したラットにおいて、2週間後では壁運動を確認したが、10週間後では確認できなかった。さらに、ADMPCを含むシートでは、8週目以降において、LVDdが拡張し始め、EFが低下するのに対して、ADMPC由来心筋芽細胞(ADMPC由来心筋芽細胞はADMPCを0.1% DMSOにて48時間処理することで得られる)を含むシートでは、LVDd、EFともに維持され、心機能の改善を示した。
ヌードラットの冠動脈を結紮することにより、心筋梗塞モデルラットを作成した。次に、傷害領域にADMPC由来心筋芽細胞を含むシートを移植した。移植前2週間、移植前、移植後2週間、4週間および16週間における心機能を、エコーにより、拡張末期径(LVDd)、収縮末期径(LVDs)、左室駆出率(%EF)および左室内径短縮率(%FS)を計測して、評価した。対照として、上記同様形成させたADMPCを含むシートを用いた。結果を図22から29に示す。心筋芽細胞を含むシートを移植して2週間および10週間後のラットにおいて、壁運動を確認し、心機能が著しく改善されていることが分かった。これに対し、ADMPCを含むシートを移植したラットにおいて、2週間後では壁運動を確認したが、10週間後では確認できなかった。さらに、ADMPCを含むシートでは、8週目以降において、LVDdが拡張し始め、EFが低下するのに対して、ADMPC由来心筋芽細胞(ADMPC由来心筋芽細胞はADMPCを0.1% DMSOにて48時間処理することで得られる)を含むシートでは、LVDd、EFともに維持され、心機能の改善を示した。
シートを移植した心臓の組織解析
移植後12週間および16週間にラットを犠牲死させて、心臓を摘出した。摘出した心臓を4% パラホルムアルデヒド液で固定した後、70% エタノールに置換した。固定した心臓を数ミリ幅に切り出し、パラフィンで固めてブロックを作製した。得られたパラフィンブロックをミクロトームを用いて2μmに薄切し、スライドガラスに張り付け、乾燥させた。得られた薄切片についてヘマトキシリン・エオジン染色および免疫組織染色を以下の通り行った。
移植後12週間および16週間にラットを犠牲死させて、心臓を摘出した。摘出した心臓を4% パラホルムアルデヒド液で固定した後、70% エタノールに置換した。固定した心臓を数ミリ幅に切り出し、パラフィンで固めてブロックを作製した。得られたパラフィンブロックをミクロトームを用いて2μmに薄切し、スライドガラスに張り付け、乾燥させた。得られた薄切片についてヘマトキシリン・エオジン染色および免疫組織染色を以下の通り行った。
A.ヘマトキシリン・エオジン染色
薄切片を脱パラフィンし、水で洗浄した。ヘマトキシリン液で10分間染色し、ぬるま湯で3分間色だしした。水洗後、エオジンで5分間染色した。アルコールで分別、脱水した。キシレンで透徹後封入し、顕微鏡にて観察した。結果を図30および31に示す。移植したシートが生着していることが確認できた。
薄切片を脱パラフィンし、水で洗浄した。ヘマトキシリン液で10分間染色し、ぬるま湯で3分間色だしした。水洗後、エオジンで5分間染色した。アルコールで分別、脱水した。キシレンで透徹後封入し、顕微鏡にて観察した。結果を図30および31に示す。移植したシートが生着していることが確認できた。
B.免疫組織染色
薄切片を脱パラフィンし、水で洗浄した。免疫賦活処理し、10% 正常ヤギ血清を添加したTBS−Tに浸漬し、4℃にて24時間ブロッキングした。TBS−Tで洗浄後、10% 正常ヤギ血清を添加したTBS−Tで100倍希釈した1次抗体を試料に滴下し、37℃で1時間反応させた。1次抗体として、抗ヒトα−cA抗体(AmericanResearch Products,Inc)、抗ヒトMHC抗体(Upstate cell signaling solutions)および抗ヒトHLA−ABC抗体(株式会社 ホクドー)を用いた。TBS−Tで洗浄後、シンプルステインラットMAX−PO(株式会社ニチレイバイオサイエンス)を滴下し、室温で30分間反応させた。TBS−Tで洗浄後、シンプルステインAEC溶液(株式会社ニチレイバイオサイエンス)を滴下し、検鏡しながら発色させた。水で洗浄後、ヘマトキシリン液で3分間染色し、核染色を行った。水で洗浄後、非水溶性封入剤(株式会社ニチレイバイオサイエンス)を滴下し、カバーガラスで封入し、顕微鏡および蛍光顕微鏡にて観察した。さらに、ADMPCおよびADMPC由来心筋芽細胞を含むシートの移植領域において心筋へ分化した量および残存心筋の量を調べるために、α−CA抗体陽性の領域の厚みを測定した。結果を図32から41に示す。心筋芽細胞を含むシートを移植した部位が、HLA−ABC陽性、すなわちヒト由来であり、α−CAおよびMHCを発現し心筋へと分化し、残存心筋においてもα−CAの発現が維持されていることが確認できた。従って、移植した心筋芽細胞が心筋細胞に分化転換し、かつ残存心筋が保護されていることが分かった。
薄切片を脱パラフィンし、水で洗浄した。免疫賦活処理し、10% 正常ヤギ血清を添加したTBS−Tに浸漬し、4℃にて24時間ブロッキングした。TBS−Tで洗浄後、10% 正常ヤギ血清を添加したTBS−Tで100倍希釈した1次抗体を試料に滴下し、37℃で1時間反応させた。1次抗体として、抗ヒトα−cA抗体(AmericanResearch Products,Inc)、抗ヒトMHC抗体(Upstate cell signaling solutions)および抗ヒトHLA−ABC抗体(株式会社 ホクドー)を用いた。TBS−Tで洗浄後、シンプルステインラットMAX−PO(株式会社ニチレイバイオサイエンス)を滴下し、室温で30分間反応させた。TBS−Tで洗浄後、シンプルステインAEC溶液(株式会社ニチレイバイオサイエンス)を滴下し、検鏡しながら発色させた。水で洗浄後、ヘマトキシリン液で3分間染色し、核染色を行った。水で洗浄後、非水溶性封入剤(株式会社ニチレイバイオサイエンス)を滴下し、カバーガラスで封入し、顕微鏡および蛍光顕微鏡にて観察した。さらに、ADMPCおよびADMPC由来心筋芽細胞を含むシートの移植領域において心筋へ分化した量および残存心筋の量を調べるために、α−CA抗体陽性の領域の厚みを測定した。結果を図32から41に示す。心筋芽細胞を含むシートを移植した部位が、HLA−ABC陽性、すなわちヒト由来であり、α−CAおよびMHCを発現し心筋へと分化し、残存心筋においてもα−CAの発現が維持されていることが確認できた。従って、移植した心筋芽細胞が心筋細胞に分化転換し、かつ残存心筋が保護されていることが分かった。
4.脂肪細胞への分化能
ADMPCを、脂肪細胞分化剤であるPPAR−γアゴニストを用いて培養し、脂肪細胞へ分化させた。得られた脂肪細胞をオイルレッドO染色し、脂質含有量を測定した。対照としてADSCを用いた。結果を図42および43に示す。ADMPCは、脂肪細胞へと分化できること、すなわち、脂肪前駆細胞としての機能を有することが分かった。また、かかる分化の効率は、ADSCと比較して高いものであった。以上より、ADMPCが多系統細胞に分化する能力を有する細胞であることを確認した。
ADMPCを、脂肪細胞分化剤であるPPAR−γアゴニストを用いて培養し、脂肪細胞へ分化させた。得られた脂肪細胞をオイルレッドO染色し、脂質含有量を測定した。対照としてADSCを用いた。結果を図42および43に示す。ADMPCは、脂肪細胞へと分化できること、すなわち、脂肪前駆細胞としての機能を有することが分かった。また、かかる分化の効率は、ADSCと比較して高いものであった。以上より、ADMPCが多系統細胞に分化する能力を有する細胞であることを確認した。
5.骨組織への分化能
ADMPCを、10nM デキサメタゾン、50mg/dl アスコルビン酸二リン酸、10mM β−グリセロリン酸(Sigma)、および10% FBSを含有するDMEM中で7日間培養することにより、骨組織への分化を誘導した。分化状態をアリザリンレッド染色およびアルカリホスファターゼ(ALPase)活性により確認した。アリザリンレッド染色については、得られた細胞を3回洗浄し、無水エタノールで固定した。固定後、細胞を0.1% NH4OH(pH6.5)中の1% アリザリンレッドSで5分間染色し、H2Oで洗浄した。ALPase活性においては、公知の方法に従って行った(Bessey, O. A. et al., J. Bio.l Chem. 164, 321-329(1946))。詳細に説明すると、細胞を3回洗浄した後、0−4℃において1mlの0.9% NaCl、0.2% Triton X−100中でガラスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズし、1200gで15分間遠心分離を行った。上澄み液のALPase活性を、基質としてp−ニトロフェニルリン酸(p−NP)を用いて調べた。詳細には、この上澄み液を0.5mM pNPおよび0.5mM MgCl2を含有する0.5M Tris/HCl緩衝液(pH9.0)においてアッセイした。反応混合物を37℃で30分間インキュベートし、0.25体積の1N NaOHの添加により反応を止めた。pNPの加水分解を、分光光度計の410nmにおける吸光度の値の変化としてモニターした。p−ニトロフェノールを標準として用いた。1活性の単位を1分間に1nmolのp−NPが加水分解される量と定義した。細胞あたりのALPase活性をDNA量に基づいて計算した。DNA含有量を一般的な方法の改良により測定した(Labarca, C. et al., Biochem. 102, 344-352(1980))。洗浄後、細胞を0−4℃において1mlの2M NaCl/25mM Tris−HCl(pH7.4)中でホモジェナイズした。12000gで10分間遠心分離後、25mlの5mg/ml ビスベンズイミダゾールを100mlの上澄み液に添加した。蛍光光度計により励起356nmにし、発光458nmの蛍光スペクトルをモニターした。DNA濃度を仔ウシの胸腺のDNAの様々な濃度から作成された標準曲線を用いて調べた。結果を図44および45に示す。本発明によるADMPCは、従来法を用いるADSCと比較してアリザリンレッド染色およびAP活性における強い陽性を示し、骨組織へと分化誘導されやすいことが確認できた。以上より、ADMPCが、膵臓、肝臓、心臓、脂肪、骨などを含む多系統の組織の細胞に分化する能力を有することが示された。
ADMPCを、10nM デキサメタゾン、50mg/dl アスコルビン酸二リン酸、10mM β−グリセロリン酸(Sigma)、および10% FBSを含有するDMEM中で7日間培養することにより、骨組織への分化を誘導した。分化状態をアリザリンレッド染色およびアルカリホスファターゼ(ALPase)活性により確認した。アリザリンレッド染色については、得られた細胞を3回洗浄し、無水エタノールで固定した。固定後、細胞を0.1% NH4OH(pH6.5)中の1% アリザリンレッドSで5分間染色し、H2Oで洗浄した。ALPase活性においては、公知の方法に従って行った(Bessey, O. A. et al., J. Bio.l Chem. 164, 321-329(1946))。詳細に説明すると、細胞を3回洗浄した後、0−4℃において1mlの0.9% NaCl、0.2% Triton X−100中でガラスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズし、1200gで15分間遠心分離を行った。上澄み液のALPase活性を、基質としてp−ニトロフェニルリン酸(p−NP)を用いて調べた。詳細には、この上澄み液を0.5mM pNPおよび0.5mM MgCl2を含有する0.5M Tris/HCl緩衝液(pH9.0)においてアッセイした。反応混合物を37℃で30分間インキュベートし、0.25体積の1N NaOHの添加により反応を止めた。pNPの加水分解を、分光光度計の410nmにおける吸光度の値の変化としてモニターした。p−ニトロフェノールを標準として用いた。1活性の単位を1分間に1nmolのp−NPが加水分解される量と定義した。細胞あたりのALPase活性をDNA量に基づいて計算した。DNA含有量を一般的な方法の改良により測定した(Labarca, C. et al., Biochem. 102, 344-352(1980))。洗浄後、細胞を0−4℃において1mlの2M NaCl/25mM Tris−HCl(pH7.4)中でホモジェナイズした。12000gで10分間遠心分離後、25mlの5mg/ml ビスベンズイミダゾールを100mlの上澄み液に添加した。蛍光光度計により励起356nmにし、発光458nmの蛍光スペクトルをモニターした。DNA濃度を仔ウシの胸腺のDNAの様々な濃度から作成された標準曲線を用いて調べた。結果を図44および45に示す。本発明によるADMPCは、従来法を用いるADSCと比較してアリザリンレッド染色およびAP活性における強い陽性を示し、骨組織へと分化誘導されやすいことが確認できた。以上より、ADMPCが、膵臓、肝臓、心臓、脂肪、骨などを含む多系統の組織の細胞に分化する能力を有することが示された。
脂肪組織由来細胞の単離および培養
ヒト脂肪組織を大きさ2〜3mm2の断片に刻み、コラゲナーゼIを用いて消化した。消化物を、10% FBSおよび抗生剤を含むDMEMにて24〜36時間培養し、0.02% EDTAで処理して、脂肪組織由来細胞を得た。得られた脂肪組織由来細胞を60% DMEM(低グルコース)、40% MCDB201、1×ITS(10.0mg/L インスリン、5.5mg/L トランスフェリン、6.7ng 亜セレン酸ナトリウム)、10ng/mL rhEGF、1nM デキサメサゾン、0.1mM アスコルビン酸、および5% FCS(Hyclone)を含む培地中、フィブロネクチンコートディッシュで3〜5継代培養して拡大した。脂肪組織由来細胞の顕微鏡像を図46に示す。
ヒト脂肪組織を大きさ2〜3mm2の断片に刻み、コラゲナーゼIを用いて消化した。消化物を、10% FBSおよび抗生剤を含むDMEMにて24〜36時間培養し、0.02% EDTAで処理して、脂肪組織由来細胞を得た。得られた脂肪組織由来細胞を60% DMEM(低グルコース)、40% MCDB201、1×ITS(10.0mg/L インスリン、5.5mg/L トランスフェリン、6.7ng 亜セレン酸ナトリウム)、10ng/mL rhEGF、1nM デキサメサゾン、0.1mM アスコルビン酸、および5% FCS(Hyclone)を含む培地中、フィブロネクチンコートディッシュで3〜5継代培養して拡大した。脂肪組織由来細胞の顕微鏡像を図46に示す。
脂肪組織由来細胞からの未分化細胞の取得
脂肪組織由来細胞を0.25% トリプシン/EDTA(ナカライテスク)で処理して解離させ、単一化した細胞を、20% FCS、1mM グルタミン(GIBCO Invitrogen)、および1% 非必須アミノ酸(GIBCO Invitrogen)を含むノックアウトDMEM(GIBCO Invitrogen)中、低接着培養ディッシュ(Hydrocell;セルシード)にて2〜3日間培養した。細胞は自己凝集し、アディポスフェアを形成した。アディポスフェアの顕微鏡像を図47に示す。
脂肪組織由来細胞を0.25% トリプシン/EDTA(ナカライテスク)で処理して解離させ、単一化した細胞を、20% FCS、1mM グルタミン(GIBCO Invitrogen)、および1% 非必須アミノ酸(GIBCO Invitrogen)を含むノックアウトDMEM(GIBCO Invitrogen)中、低接着培養ディッシュ(Hydrocell;セルシード)にて2〜3日間培養した。細胞は自己凝集し、アディポスフェアを形成した。アディポスフェアの顕微鏡像を図47に示す。
未分化細胞からの肝小葉様細胞塊の形成
得られたアディポスフェアを、PBSにて2〜3回洗浄(1000〜1200rpmにて遠心)し、60% DMEM(低グルコース)、40% MCDB201、1×ITS、1nM デキサメサゾン、100μM アスコルビン酸、10ng/mL rhEGF、bFGF、HGFおよびOSM(オンコスタチンM)を含む培地中、低接着培養ディッシュ(Hydrocell;セルシード)にて3〜4週間培養した。培養開始の10日目から0.1% DMSOを添加して、肝小葉様細胞塊を得た。得られた肝小葉様細胞塊の顕微鏡像を図48に示す。
得られたアディポスフェアを、PBSにて2〜3回洗浄(1000〜1200rpmにて遠心)し、60% DMEM(低グルコース)、40% MCDB201、1×ITS、1nM デキサメサゾン、100μM アスコルビン酸、10ng/mL rhEGF、bFGF、HGFおよびOSM(オンコスタチンM)を含む培地中、低接着培養ディッシュ(Hydrocell;セルシード)にて3〜4週間培養した。培養開始の10日目から0.1% DMSOを添加して、肝小葉様細胞塊を得た。得られた肝小葉様細胞塊の顕微鏡像を図48に示す。
肝小葉様細胞塊の肝細胞遺伝子発現特性
1.RNAの抽出
肝小葉様細胞塊からのRNAの抽出を、RNeasy Protect Mini Kit(QIAGEN)を用いて、以下の通り行った。肝小葉様細胞塊を回収し、10μl/ml 2−メルカプトエタノール(Naacalai Tesqu)を含むバッファーRLTを600μl/107細胞の割合で加えた。20G針でピペッティングして、細胞をホモジェナイズし、次に、70% エタノール600μlを添加した。得られた混合液700μlを2mlのコレクションチューブ内のRNeay Miniカラムに移し、1000rpmにて15秒間遠心した。次に、バッファーRW1 350μlをカラムに添加し、1000rpmにて15秒間遠心した。DNase Iストック溶液(QIAGEN)10μlを、バッファーRDD 70μlに添加して転倒混和し、RNeasy Miniカラム内のRNeasyシリカゲルメンブレンに添加し、室温で15分間インキュベーションした。バッファーRW1 350μlを添加し、1000rpmにて15秒間遠心した。2mlコレクションチューブを新たなものに交換した。カラムにバッファーRPE 500μlを添加し、1000rpmにて15秒間遠心した。さらに、バッファーRPE 500μlを添加し、1000rpmにて2分間遠心し、次に、1500rpmにて1分間遠心した。カラムを1.5mlコレクションチューブに移し、RNase free water30〜50μlをRNeasyシリカゲルメンブレンに添加し、1000rpmにて1分間遠心し、RNAを抽出した。
1.RNAの抽出
肝小葉様細胞塊からのRNAの抽出を、RNeasy Protect Mini Kit(QIAGEN)を用いて、以下の通り行った。肝小葉様細胞塊を回収し、10μl/ml 2−メルカプトエタノール(Naacalai Tesqu)を含むバッファーRLTを600μl/107細胞の割合で加えた。20G針でピペッティングして、細胞をホモジェナイズし、次に、70% エタノール600μlを添加した。得られた混合液700μlを2mlのコレクションチューブ内のRNeay Miniカラムに移し、1000rpmにて15秒間遠心した。次に、バッファーRW1 350μlをカラムに添加し、1000rpmにて15秒間遠心した。DNase Iストック溶液(QIAGEN)10μlを、バッファーRDD 70μlに添加して転倒混和し、RNeasy Miniカラム内のRNeasyシリカゲルメンブレンに添加し、室温で15分間インキュベーションした。バッファーRW1 350μlを添加し、1000rpmにて15秒間遠心した。2mlコレクションチューブを新たなものに交換した。カラムにバッファーRPE 500μlを添加し、1000rpmにて15秒間遠心した。さらに、バッファーRPE 500μlを添加し、1000rpmにて2分間遠心し、次に、1500rpmにて1分間遠心した。カラムを1.5mlコレクションチューブに移し、RNase free water30〜50μlをRNeasyシリカゲルメンブレンに添加し、1000rpmにて1分間遠心し、RNAを抽出した。
2.1本鎖cDNAの作成
抽出したRNA溶液11.5μlに、0.5mM Random Primer(Invitorogen)0.5μlおよび10mM dNTPmix(Invitorogen)1μlを添加し、65℃にて5分間反応させ、次に、氷上で冷却した。得られた混合物に5×First−Strandバッファー(Invitorogen)4μl、0.1M DTT(Invitorogen)1μl、RNaseOUT(Invitorogen)1μl、およびSuperScript III RT(Invitorogen)1μlを添加し、25℃で5分間、50℃で60分間、70℃で15分間反応させ、1本鎖cDNAを作成した。得られたcDNAを使用まで4℃にて保存した。
抽出したRNA溶液11.5μlに、0.5mM Random Primer(Invitorogen)0.5μlおよび10mM dNTPmix(Invitorogen)1μlを添加し、65℃にて5分間反応させ、次に、氷上で冷却した。得られた混合物に5×First−Strandバッファー(Invitorogen)4μl、0.1M DTT(Invitorogen)1μl、RNaseOUT(Invitorogen)1μl、およびSuperScript III RT(Invitorogen)1μlを添加し、25℃で5分間、50℃で60分間、70℃で15分間反応させ、1本鎖cDNAを作成した。得られたcDNAを使用まで4℃にて保存した。
3.リアルタイムPCR
作成したcDNA 9μlに、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)10μlおよびTaqMan Gene Expression Assays(Applied Biosystems)1μlを添加した。Applied Byosytems 7900 Fast Real−Time PCRシステムにて次の条件でリアルタイムPCRを行った:95℃で10分間変性、95℃で15秒間および60℃で1分間を40サイクル。α−フェトプロテイン、アルブミン、CYP1B1、CYP2B6、グルタミン合成酵素、ケラチン18およびケラチン19について用いたTaqManプローブを以下の表3に示す。また、内部標準としてGAPDH(Applied Biosystems)を用いた。対照試料として、Seo MJ. et al., 2005 Mar 4; 328(1): 258-64記載の方法により得られた肝細胞(「従来法」と表す)、線維芽細胞、HepG2、および脂肪組織由来細胞(「ADSC」と表す)を用いた。結果を図49〜54に示す(図中の縦軸は、蛍光強度を示す)。本発明の方法により得られた肝小葉様細胞塊が、従来法で得られた肝細胞と比較して、α−フェトプロテイン、アルブミン、ケラチン18、ケラチン18、ケラチン19、CYP1B1およびグルタミン合成酵素を高発現することが分かった。また、アルブミンを除くこれらの遺伝子の発現は、HepG2におけるものより有意に高かった。
作成したcDNA 9μlに、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)10μlおよびTaqMan Gene Expression Assays(Applied Biosystems)1μlを添加した。Applied Byosytems 7900 Fast Real−Time PCRシステムにて次の条件でリアルタイムPCRを行った:95℃で10分間変性、95℃で15秒間および60℃で1分間を40サイクル。α−フェトプロテイン、アルブミン、CYP1B1、CYP2B6、グルタミン合成酵素、ケラチン18およびケラチン19について用いたTaqManプローブを以下の表3に示す。また、内部標準としてGAPDH(Applied Biosystems)を用いた。対照試料として、Seo MJ. et al., 2005 Mar 4; 328(1): 258-64記載の方法により得られた肝細胞(「従来法」と表す)、線維芽細胞、HepG2、および脂肪組織由来細胞(「ADSC」と表す)を用いた。結果を図49〜54に示す(図中の縦軸は、蛍光強度を示す)。本発明の方法により得られた肝小葉様細胞塊が、従来法で得られた肝細胞と比較して、α−フェトプロテイン、アルブミン、ケラチン18、ケラチン18、ケラチン19、CYP1B1およびグルタミン合成酵素を高発現することが分かった。また、アルブミンを除くこれらの遺伝子の発現は、HepG2におけるものより有意に高かった。
肝小葉様細胞塊による肝性タンパク質の産生
A.ウエスタンブロット分析
1.試料の調製
肝小葉様細胞塊をPBS(Nacalai Tesque)で3回洗浄し、次に、M−PER(PIERCE)を添加した。細胞を超音波破砕にて溶解し、14000gにて15分間遠心して、未溶解の細胞成分を除去した。試料と当量のサンプルバッファー(Nacalai Tesque)を添加し、100℃にて5分間ボイルし、氷冷した。得られた試料のタンパク質濃度を、BCA Protein Assay Reagent(PIERCE)を用いて測定した。
A.ウエスタンブロット分析
1.試料の調製
肝小葉様細胞塊をPBS(Nacalai Tesque)で3回洗浄し、次に、M−PER(PIERCE)を添加した。細胞を超音波破砕にて溶解し、14000gにて15分間遠心して、未溶解の細胞成分を除去した。試料と当量のサンプルバッファー(Nacalai Tesque)を添加し、100℃にて5分間ボイルし、氷冷した。得られた試料のタンパク質濃度を、BCA Protein Assay Reagent(PIERCE)を用いて測定した。
2.SDS−PAGE
電気泳動用ゲルミニプレート(PAG ミニ「第一」;第一化学薬品)、ランニングバッファーを用いて、SDS−PAGEを行った。用いたタンパク質の量は、5μgであった。泳動条件は、スタッキングゲル中は10mA、ランニングゲル中は40mAとした。
電気泳動用ゲルミニプレート(PAG ミニ「第一」;第一化学薬品)、ランニングバッファーを用いて、SDS−PAGEを行った。用いたタンパク質の量は、5μgであった。泳動条件は、スタッキングゲル中は10mA、ランニングゲル中は40mAとした。
3.ウェスタンブロット
上記の泳動したゲルをブロティングバッファーで10分間洗浄した。次に、ゲル中のタンパク質を、Wet式ブロティング(100mA、一晩)にてニトロセルロースメンブレンに写し取った。
上記の泳動したゲルをブロティングバッファーで10分間洗浄した。次に、ゲル中のタンパク質を、Wet式ブロティング(100mA、一晩)にてニトロセルロースメンブレンに写し取った。
4.免疫染色
メンブレンを0.1% Tween20含有PBSにて10分間洗浄した。ブロッキングワン(Nacalai Tesque)を用いて室温で1時間反応させた。1次抗体として、Human Albumin抗体(BETHYL)またはAlpha Fetoprotein Ab−2(LAB Vision)の500倍希釈液と1時間反応させた。0.1% Tween20含有PBSにて15分間洗浄した(3回)。2次抗体として、ポリクローナルブタ抗ウサギ免疫グロブリン/HRPまたはポリクローナルウサギ抗ヤギ免疫グロブリン/HRPの1000倍希釈液と1時間反応させた。0.1% Tween20含有PBSにて15分間洗浄した(3回)。ECL Plus Western Blotting Detection Reagentsを用いてバンドを検出した。結果を図55および56に示す。本発明の方法により得られた肝小葉様細胞塊が、α−フェトプロテインおよびアルブミンを十分量産生することが分かった。
メンブレンを0.1% Tween20含有PBSにて10分間洗浄した。ブロッキングワン(Nacalai Tesque)を用いて室温で1時間反応させた。1次抗体として、Human Albumin抗体(BETHYL)またはAlpha Fetoprotein Ab−2(LAB Vision)の500倍希釈液と1時間反応させた。0.1% Tween20含有PBSにて15分間洗浄した(3回)。2次抗体として、ポリクローナルブタ抗ウサギ免疫グロブリン/HRPまたはポリクローナルウサギ抗ヤギ免疫グロブリン/HRPの1000倍希釈液と1時間反応させた。0.1% Tween20含有PBSにて15分間洗浄した(3回)。ECL Plus Western Blotting Detection Reagentsを用いてバンドを検出した。結果を図55および56に示す。本発明の方法により得られた肝小葉様細胞塊が、α−フェトプロテインおよびアルブミンを十分量産生することが分かった。
B.免疫組織化学染色
1.切片の作成
肝小葉様細胞塊をPBS(Nacali Tesque)で3回洗浄し、遠心した。得られたペレットをTissue−Tek OCT−compound(Sakura Fineteck Inc.)に包埋し、−30℃で保存した。クリオスタットを用いて7μmの切片を作成し、スライドガラスに貼付し、−30℃にて保存した。
1.切片の作成
肝小葉様細胞塊をPBS(Nacali Tesque)で3回洗浄し、遠心した。得られたペレットをTissue−Tek OCT−compound(Sakura Fineteck Inc.)に包埋し、−30℃で保存した。クリオスタットを用いて7μmの切片を作成し、スライドガラスに貼付し、−30℃にて保存した。
2.免疫組織化学染色
上記の切片をドライヤーで乾燥させ、4% パラホルムアルデヒドにて30分間固定した。PBSにて5分間3回洗浄した。ブロッキングワン(Nacalai Tesque)を用いて室温にて1時間反応させた。PBSで5分間3回洗浄した。1次抗体のポリクローナルウサギ抗ヒトアルブミン抗体(DAKO)の400倍希釈液、またはポリクローナルウサギ抗ヒトα−1−フェトプロテイン抗体(DAKO)の300倍希釈液と1時間反応させた。PBSで10分間3回洗浄した。2次抗体のAlexaFluor[商標]466ヤギ抗ウサギIgG抗体(Molecular Probes)の500倍希釈液と1時間反応させた。PBSで10分間3回洗浄した。Perma Fluor(日本ターナー)を用いて包埋し、顕微鏡にて観察した。結果を図57および図58に示す。肝小葉細胞塊におけるα−フェトプロテイン、およびアルブミンの存在を確認した。これにより、肝小葉細胞塊が実際にこれらのタンパク質を産生することが分かった。
上記の切片をドライヤーで乾燥させ、4% パラホルムアルデヒドにて30分間固定した。PBSにて5分間3回洗浄した。ブロッキングワン(Nacalai Tesque)を用いて室温にて1時間反応させた。PBSで5分間3回洗浄した。1次抗体のポリクローナルウサギ抗ヒトアルブミン抗体(DAKO)の400倍希釈液、またはポリクローナルウサギ抗ヒトα−1−フェトプロテイン抗体(DAKO)の300倍希釈液と1時間反応させた。PBSで10分間3回洗浄した。2次抗体のAlexaFluor[商標]466ヤギ抗ウサギIgG抗体(Molecular Probes)の500倍希釈液と1時間反応させた。PBSで10分間3回洗浄した。Perma Fluor(日本ターナー)を用いて包埋し、顕微鏡にて観察した。結果を図57および図58に示す。肝小葉細胞塊におけるα−フェトプロテイン、およびアルブミンの存在を確認した。これにより、肝小葉細胞塊が実際にこれらのタンパク質を産生することが分かった。
肝小葉様細胞塊によるLDLの取り込み
1.LDLのDiIによる標識
ヒトLDL(密度1.019−1.063g/ml)を単離した。単離は、正常なリポたんぱく質を有するドナーから連続的に超遠心にかけ、saline−EDTAで透析し、次いで0.2μmのフィルターでろ過をして滅菌することにより行った。続いて、前記LDLを0.5% ウシ血清アルブミン(BSA)/PBS中において100mlのDMSO中の1,1′−dioctadecyl−3,3,3′,3′−tetramethylindocarbocyanine(DiI;Molecular Probes)(3mg/ml)と37℃で8時間インキュベートすることにより、リポたんぱく質(LDL)をDiIで標識した。次に、このリポたんぱく質をPBSで透析し、使用前にろ過した。
2.LDLの取り込み
DiI−LDLの取り込みを検討するために、ADMPCから分化させた肝小葉細胞塊を10μg/ml DiI−LDLを含有する無血清DMEM中で37℃3時間インキュベートさせた。次いで、細胞を3回洗浄し、Permaflur上にマウントした。このスライドを共焦点レーザー走査顕微鏡(Floview FV1000、Olympus)を用いて調べた。結果を図59に示す。図59から、DiI−LDLが肝小葉細胞塊の細胞質領域に多く取り込まれていることが分かる。これにより、本発明により得られる肝小葉様細胞塊がLDLを取り込む機能を有することが確認できた。
1.LDLのDiIによる標識
ヒトLDL(密度1.019−1.063g/ml)を単離した。単離は、正常なリポたんぱく質を有するドナーから連続的に超遠心にかけ、saline−EDTAで透析し、次いで0.2μmのフィルターでろ過をして滅菌することにより行った。続いて、前記LDLを0.5% ウシ血清アルブミン(BSA)/PBS中において100mlのDMSO中の1,1′−dioctadecyl−3,3,3′,3′−tetramethylindocarbocyanine(DiI;Molecular Probes)(3mg/ml)と37℃で8時間インキュベートすることにより、リポたんぱく質(LDL)をDiIで標識した。次に、このリポたんぱく質をPBSで透析し、使用前にろ過した。
2.LDLの取り込み
DiI−LDLの取り込みを検討するために、ADMPCから分化させた肝小葉細胞塊を10μg/ml DiI−LDLを含有する無血清DMEM中で37℃3時間インキュベートさせた。次いで、細胞を3回洗浄し、Permaflur上にマウントした。このスライドを共焦点レーザー走査顕微鏡(Floview FV1000、Olympus)を用いて調べた。結果を図59に示す。図59から、DiI−LDLが肝小葉細胞塊の細胞質領域に多く取り込まれていることが分かる。これにより、本発明により得られる肝小葉様細胞塊がLDLを取り込む機能を有することが確認できた。
肝小葉様細胞塊によるグリコーゲンの蓄積(PAS染色)
分化させた肝小葉様細胞塊を4% パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンで包埋した。サンプルを5μmの厚さにスライスして切片を作成した。次いで、この切片を1% 過ヨウ素酸中で5分間酸化させ、脱イオン化水(dH2O)で3回リンスした。続いて、シッフ試薬で15分間処理し、5〜10分間dH2Oでリンスした。さらにこの切片を1分間マイヤーヘマトキシリンで対比染色させ、dH2Oでリンスし、光学顕微鏡で観察した。結果を図60に示す。図60から、肝小葉様細胞塊には多くの過ヨウ素酸シッフ染色(PAS)陽性細胞が存在することを観察できた。これにより、本発明により得られる肝小葉様細胞塊がグリコーゲンを蓄積する機能を有することが示された。
分化させた肝小葉様細胞塊を4% パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンで包埋した。サンプルを5μmの厚さにスライスして切片を作成した。次いで、この切片を1% 過ヨウ素酸中で5分間酸化させ、脱イオン化水(dH2O)で3回リンスした。続いて、シッフ試薬で15分間処理し、5〜10分間dH2Oでリンスした。さらにこの切片を1分間マイヤーヘマトキシリンで対比染色させ、dH2Oでリンスし、光学顕微鏡で観察した。結果を図60に示す。図60から、肝小葉様細胞塊には多くの過ヨウ素酸シッフ染色(PAS)陽性細胞が存在することを観察できた。これにより、本発明により得られる肝小葉様細胞塊がグリコーゲンを蓄積する機能を有することが示された。
肝小葉様細胞塊による尿素の生成
1.尿素の生成
肝小葉様細胞塊を5mM NH4Cl含有ハンクス緩衝塩溶液(Gibco)5ml中で2時間インキュベーションした。上清0.5mlの尿素濃度を、QuantiChrom Urea Assay Kit(Bioassay Systems)を用いて測定した。得られた濃度に上清の総体積をかけて、トータルの生成尿素量を計算した。対照としてHepG2を用いた。
1.尿素の生成
肝小葉様細胞塊を5mM NH4Cl含有ハンクス緩衝塩溶液(Gibco)5ml中で2時間インキュベーションした。上清0.5mlの尿素濃度を、QuantiChrom Urea Assay Kit(Bioassay Systems)を用いて測定した。得られた濃度に上清の総体積をかけて、トータルの生成尿素量を計算した。対照としてHepG2を用いた。
2.DNA量の測定
NH4Cl含有ハンクス緩衝塩溶液を除去し、肝小葉様細胞塊をPBSにて洗浄した。緩衝液を添加し、超音波破砕を行い、細胞をホモジェナイズした。細胞ホモジネート50μlに緩衝液1mlを加え、さらに発色液50μlを添加して、攪拌した。得られた溶液の蛍光値を、励起:356nm、放出:458nmにて測定し、DNA濃度を決定した。DNA濃度に、添加した緩衝溶液の体積をかけて総DNAを計算した。
NH4Cl含有ハンクス緩衝塩溶液を除去し、肝小葉様細胞塊をPBSにて洗浄した。緩衝液を添加し、超音波破砕を行い、細胞をホモジェナイズした。細胞ホモジネート50μlに緩衝液1mlを加え、さらに発色液50μlを添加して、攪拌した。得られた溶液の蛍光値を、励起:356nm、放出:458nmにて測定し、DNA濃度を決定した。DNA濃度に、添加した緩衝溶液の体積をかけて総DNAを計算した。
3.生成尿素量
得られたトータルの生成尿素量を総DNA量で割り、総生成尿素量を決定した。結果を図61に示す。肝小葉様細胞塊がHepG2と比較して、十分量の尿素を産生したことが分かった。これにより、本発明により得られる肝小葉様細胞塊が十分な解毒作用を有することが確認できた。
得られたトータルの生成尿素量を総DNA量で割り、総生成尿素量を決定した。結果を図61に示す。肝小葉様細胞塊がHepG2と比較して、十分量の尿素を産生したことが分かった。これにより、本発明により得られる肝小葉様細胞塊が十分な解毒作用を有することが確認できた。
マウス肝炎モデルにおける肝小葉様細胞塊の移植効果
1.マウス肝炎モデルの作成
NOD−SCIDマウスに、四塩化炭素(CCl4)を300μl/kgにて週2回、12週間腹腔内注入し、マウス肝炎モデルを作成した。
1.マウス肝炎モデルの作成
NOD−SCIDマウスに、四塩化炭素(CCl4)を300μl/kgにて週2回、12週間腹腔内注入し、マウス肝炎モデルを作成した。
2.肝小葉様細胞塊の移植
肝小葉様細胞塊をハンクス緩衝塩溶液で洗浄し、遠心してペレットとした。上記のマウスをセボフルエンにて麻酔した。左傍正中切開にて開復し、左腎臓を露出し、腎皮膜を剥離してポケットを作成した。作成したポケット内にペレット化した細胞塊を注入して移植した。腹壁を2層にて閉腹した。
肝小葉様細胞塊をハンクス緩衝塩溶液で洗浄し、遠心してペレットとした。上記のマウスをセボフルエンにて麻酔した。左傍正中切開にて開復し、左腎臓を露出し、腎皮膜を剥離してポケットを作成した。作成したポケット内にペレット化した細胞塊を注入して移植した。腹壁を2層にて閉腹した。
3.解析
移植10日目に、マウスから採血し、血中ビリルビン濃度を測定した。結果を図62に示す。肝小葉様細胞塊を移植した群は、移植しなかった群と比較して、血中ビリルビン濃度が低減されることが分かった。さらに、上記の左腎臓を用いて下記の組織学的解析を行った。肝小葉様細胞塊を移植した左腎臓を取り出し、すぐに10% ホルマリンで固定した。次いで、パラフィンで包埋し、上記と同様の方法によりヘマトキシリンとエオシン染色(図63)およびPAS染色(図65)を行った。一方で、肝小葉様細胞塊を移植した腎臓を用いてアルブミンに対する免疫蛍光染色も行った。最初に、前記組織をOCT−compound(Sakura Fineteck Inc.)中に入れ、すぐに凍結させた。7μmの切片を作成し、4% パラホルムアルデヒド/PBS(WAKO)中で30分間固定した。この固定した切片をブロッキング溶液(ブロッキングワン;Nacalai Tesque)とインキュベートした。次いで、抗ヒトALB抗体(ヤギポリクローナル、ウシ、マウスおよびブタALBで吸着され、親和精製されている、Bethyl Laboratories)、次いでAlexaFluor546ロバ抗ヤギIgG抗体(Molecular Probes)でインキュベートした。処理した切片を蛍光顕微鏡(BX61、Olympus)で観察した(図64)。図63から、肝小葉様細胞塊の生着を確認できた。図64および図65各々からは、ALB抗体およびPAS染色陽性細胞を観察でき、アルブミンが発現し、グリコーゲンが蓄積していることが分かった。これらのことは肝機能が維持されていることを示す。以上より、本発明の方法により得ることのできる肝小葉様細胞塊が、肝機能の低下により生じる疾患の治療に有効であることが分かった。
移植10日目に、マウスから採血し、血中ビリルビン濃度を測定した。結果を図62に示す。肝小葉様細胞塊を移植した群は、移植しなかった群と比較して、血中ビリルビン濃度が低減されることが分かった。さらに、上記の左腎臓を用いて下記の組織学的解析を行った。肝小葉様細胞塊を移植した左腎臓を取り出し、すぐに10% ホルマリンで固定した。次いで、パラフィンで包埋し、上記と同様の方法によりヘマトキシリンとエオシン染色(図63)およびPAS染色(図65)を行った。一方で、肝小葉様細胞塊を移植した腎臓を用いてアルブミンに対する免疫蛍光染色も行った。最初に、前記組織をOCT−compound(Sakura Fineteck Inc.)中に入れ、すぐに凍結させた。7μmの切片を作成し、4% パラホルムアルデヒド/PBS(WAKO)中で30分間固定した。この固定した切片をブロッキング溶液(ブロッキングワン;Nacalai Tesque)とインキュベートした。次いで、抗ヒトALB抗体(ヤギポリクローナル、ウシ、マウスおよびブタALBで吸着され、親和精製されている、Bethyl Laboratories)、次いでAlexaFluor546ロバ抗ヤギIgG抗体(Molecular Probes)でインキュベートした。処理した切片を蛍光顕微鏡(BX61、Olympus)で観察した(図64)。図63から、肝小葉様細胞塊の生着を確認できた。図64および図65各々からは、ALB抗体およびPAS染色陽性細胞を観察でき、アルブミンが発現し、グリコーゲンが蓄積していることが分かった。これらのことは肝機能が維持されていることを示す。以上より、本発明の方法により得ることのできる肝小葉様細胞塊が、肝機能の低下により生じる疾患の治療に有効であることが分かった。
本発明により、脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団、脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法およびそれにより得ることのできる脂肪組織由来多系統前駆細胞が得られるので、再生医療およびその研究の分野において利用可能である。
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Claims (10)
- 脂肪組織由来多系統前駆細胞を含む細胞集団。
- 脂肪組織由来多系統前駆細胞がIslet−1を発現するものである、請求項1記載の細胞集団。
- 脂肪組織から脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る方法であって、
(a)脂肪組織由来細胞集団から赤血球を除去し、前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団を形成し;次に、
(b)該前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団から脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞を除去し、脂肪組織由来多系統前駆細胞を得る、
工程を含む方法。 - 脂肪組織由来細胞集団からの赤血球の除去が比重法、溶血法、フィルター法によるものである、請求項3記載の方法。
- 脂肪組織由来細胞集団からの赤血球の除去が比重法によるものである、請求項4記載の方法。
- 前脂肪組織由来多系統前駆細胞集団からの脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞の除去が、トリプシン以外の物質により行われるものである、請求項3から5のいずれか1項記載の方法。
- トリプシン以外の物質がキレート剤である、請求項6記載の方法。
- キレート剤がEDTAである、請求項7記載の方法。
- 脂肪組織由来多系統前駆細胞以外の細胞が血管内皮細胞である、請求項3から8のいずれか1項記載の方法。
- 請求項3から9のいずれか1項記載の方法により得ることのできる、脂肪組織由来多系統前駆細胞。
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JPN6008039156; HASSAN AFIZAH,B.Sc.,et al.: 'A Comparison between the chondrogenic potential of human bone marrow stem cells(BMSCs) and adipose-' TISSUE ENGINEERING(2007),Vol.13,No.4,p.659-666 , 20070514 * |
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