本発明は、PCカード等のカード型携帯情報処理機器の保護のために使用するケースに関する。
昨今、メモリーカード、LANカード、ハードディスク等、PCカードに代表されるカード型携帯情報処理機器は、多くの種類が商品化され、益々小型、薄型化が進み、あらゆる場所で使用されている。そして、カード型携帯情報処理機器を埃や水分等の侵入を防止したり、静電気の影響を低減したり、落下等の衝撃を緩和するために保護ケースや端子部を保護するキャップが使用されている。
従来より、PCカード等の保護ケースはよく知られており、内部にカード型携帯情報処理機器を収納して持ち運ぶ時に静電気、埃、水分、衝撃等から保護する。内部が確認しやすいように透明の樹脂等で形成されたケースが使用される場合が多い。また、端子部のみを静電気、埃、水分、衝撃等から保護するために端子部に被せるキャップも知られている。
JP7−40573Uは、2枚の蓋体内にICメモリカードを収納する扁平なICメモリカードケースが記載されている。このICメモリカードケースは、前記蓋体内にICメモリカードを保持するリブ状の保護片が形成され、2枚の蓋体がヒンジ部で連結され、閉じられた蓋体が開かないように係止部材が蓋体の端部に設けている。
JP2000−99668Aは、PCカードの端子部を保護するために用いられるPCカードキャップが記載されている。このPCカードキャップは、PCカードと略同じ長さの長方形状のキャップ本体の両端に、PCカードの端子部に嵌合する長方形状の2つのキャップ部がピンによって回動自在に連結されている。使用に際しては、キャップ本体をPCカードに沿わせ、前記キャップ部を回動してPCカードの端子部に嵌合すると取り付けは完了する。PCカードキャップをPCカードの端子部に取り付けた状態では、PCカードの両端子部以外は露出している。
しかしながら、JP7−40573UのようなICメモリカードケースはカード型携帯情報処理機器全体を覆い保護できるが、その分ケースの外形が大きくなり、持運び時やポケット等に収納するときに大きさの制約を受ける。他方、JP2000−99668AのようなPCカードキャップは端子部のみを密閉性を高めて覆うことができるため、ケースよりも端子部をより確実に且つコンパクトに構成できて、持ち運びには便利であるが、キャップに覆われている端子部以外の部分を保護することができない。従来のケースもキャップもそれぞれ一長一短があった。そして、ケースとキャップを使い分けするのも面倒であり使用勝手が悪いという課題があった。
そこで、使用者の便宜を考慮して、キャップを取付けたカード型携帯情報処理機器を収納できるケースが考えられた。例えば、カード型携帯情報処理機器を使用するときにはケースから取出してキャップを取り外した状態にし、室内で持運びする時や机の上に短時間放置する場合はケースから取出してキャップを取り付けた状態にする。カード型携帯情報処理機器を長期保管する場合や室外で持ち運びする場合は、キャップを取付けたカード型携帯情報処理機器をケースに装着した状態にするというように使用者が選択できるようにする。このようにすることにより使用勝手のよいケース及びキャップが構成できるが、ケースに収納されたカード型携帯情報処理機器をすぐに使用するときには、使用者はカード型携帯情報処理機器をケースから取出した後にキャップを外す必要があり面倒である。
また、前記構成のキャップでは、外したキャップを失くす可能性もある。キャップを失くしたときに、キャップが無い状態でカード型携帯情報処理機器をケース内に収納すると、カード型携帯情報処理機器とケース間でキャップの厚み分の隙間が開き、その結果ケース内でカード型携帯情報処理機器ががたつく。例えば車等で運搬するときはケース内でカード型携帯情報処理機器が振動したり、ケースが落下したときにケース内でカード型携帯情報処理機器がケース内の壁部に衝突して内部の電気部品等に衝撃が加わる可能性があった。また、破損に至らないまでも、持運び時にケース内でカード型携帯情報処理機器ががたつくため、不快な音を発してケースの品位が悪くなるという問題があった。そのため機器の信頼性やケースの品位を良くするためには、必ずキャップを取り付けてケースに装着しなければならないという制約があった。
本発明は、このような問題点に鑑み、キャップを取付けたカード型携帯情報処理機器を収納できるケースであって、使用者の選択によってカード型携帯情報処理機器をケースから取出すときにキャップを装着して取出せる態様とキャップを取り外して取出せる態様を選択できるようにした使用勝手のよいキャップ付きケースを提供することを目的とする。
また、カード型携帯情報処理機器とケースの隙間の差を少なくすることにより、キャップを取付けないカード型携帯情報処理機器をケース内に収納しても、ケース内でがたつくことがなく、振動や衝撃に強く、キャップを取付けても取り付けなくても使用できるキャップ付きケースを提供することを目的とする。
本発明のカード型携帯情報処理機器のケースは、先端に端子部を有するカード型携帯情報処理機器を収納し、この携帯情報処理機器の端子部を覆うキャップを取り付けた状態でも、取り付けない状態でも使用可能であって、前記カード型携帯情報処理機器のケースが第1の蓋体と第2の蓋体からなり、この第1の蓋体と第2の蓋体の少なくとも何れか一方に端子部を覆うキャップを係合するキャップ係合部を設け、カード型携帯情報処理機器をキャップ係合部から取り外すときに取り外す方向又は角度を変えることによって、キャップがカード型携帯情報処理機器に付随する第1の形態と、キャップがキャップ係合部に係合した状態を保ちカード型携帯情報処理機器には付随しない第2の形態を選択可能に構成した。
また、本発明のカード型携帯情報処理機器のケースはキャップの先端部の一部に薄肉部を形成し、蓋体に形成された係合突起部が前記キャップの薄肉部と当接可能に構成した。
さらに、カード型携帯情報処理機器のケースはカード型携帯情報処理機器の端子部に対応する範囲外のキャップ前面に孔を形成し、蓋体に形成された係合突起部の先端部が前記孔を貫通しカード型携帯情報処理機器の先端部に当接可能に構成した。
カード型携帯情報処理機器をケースから取り外すときに取り外す方向又は角度によって、キャップがカード型携帯情報処理機器に付随する第1の形態とキャップが第1の蓋体に係合してカード型携帯情報処理機器には付随しない第2の形態を選択可能に構成することにより、使用者がケースからカード型携帯情報処理機器を取出すときに必要に応じてキャップを装着して取出せる態様か、キャップを取り外して取出せる態様を選択できる。このため、持運び等でキャップが必要なときはキャップを装着した形態で取出すことが可能であり、すぐにホスト側の機器に装着して使用するときは、キャップを予め取り外した形態で取出すことが可能であり、使用勝手のよいキャップ付きケースが提供できる。
また、キャップの前面部に薄肉部を形成し、薄肉部と第1の蓋体の係合突起部を当接可能に構成することにより、キャップを取付けたカード型携帯情報処理機器を装着したときと、キャップを取付けないカード型携帯情報処理機器を装着したときで薄肉部の厚み分の隙間の差しか生じないことになる。また、キャップの前面部に孔を形成しスパイク状の突起部が孔を貫通してカード型携帯情報処理機器のフレーム端部と当接可能に構成することにより、キャップの有無を問わず、ケースとカード型携帯情報処理機器間の隙間を全く同じに構成できることになる。以上の結果、キャップを取付けた状態もキャップを取付けない状態でも最小の隙間しか開かないことになり、振動や衝撃等に対し信頼性を確保できることになる。また、ケースとカード型携帯情報処理機器間の隙間が大きいことに起因する持運び時等の衝突音を低減し、ケースの品位を保つことができる。
[図1]本発明の実施例1のキャップ付PCカードを収納したケースの斜視図である。
[図2]本発明の実施例1のキャップ付PCカードを収納したケースの平面図である。
[図3]本発明の実施例1のケースの斜視図である。
[図4]本発明の実施例1のケースを閉じたときの斜視図である。
[図5]本発明の実施例1のキャップとPCカードの斜視図である。
[図6]本発明の実施例1のキャップとPCカードの斜視図である。
[図7]本発明の実施例1のキャップ付PCカードの斜視図である。
[図8]本発明の実施例1の第1の形態を示す斜視図である。
[図9]本発明の実施例1の第2の形態を示す斜視図である。
[図10]本発明の実施例1の第2の形態を示す斜視図である。
[図11]本発明の実施例1の第2の形態を示す平面図である。
[図12]本発明の実施例1のケースにPCカードを収納したときの斜視図である。
[図13]本発明の実施例1のケースとPCカードの断面図である。
[図14]本発明の実施例2のキャップ及びケースを示す斜視図である。
[図15]本発明の実施例2のキャップ及びケースを示す斜視図である。
[図16]本発明の実施例2のキャップ及びケースを示す斜視図である。
[図17]本発明の実施例3のキャップ及びケースを示す斜視図である。
以下、図1から図17を用いて説明する。本実施の形態ではカード型携帯情報処理機器としてPCカードを使用した例を示すが、先端部に端子部を有するカード型携帯情報処理機器であれば同様の構成が可能でありPCカードに限定されない。
図1は本発明の実施例1のキャップ付PCカードを収納したキャップ付きケース(以下では単にケースと略す)の斜視図、図2は本発明の実施例1のキャップ付PCカードを収納したケースの平面図、図3は本発明の実施例1のケースの斜視図である。図1から図3において、1は第1の蓋体、2は第2の蓋体、3は第1の蓋体と第2の蓋体とを連結する連結部であり、4および5の薄肉で形成されたヒンジ部で連結部3と第1の蓋体と第2の蓋体が一体的に連結している。そして、第1の蓋体1と連結部3はヒンジ部4を中心にして回動可能であり、第2の蓋体2と連結部3はヒンジ部5を中心にして回動可能であり、第1の蓋体と第2の蓋体と連結部3とで開閉可能なケースを構成している。ケースは樹脂等の材料で射出成形で作ることが可能である。ケースを帯電防止樹脂で構成すると静電気の影響を受けにくくなる。
なお、本実施例では第1の蓋体1と第2の蓋体2とが連結部3を介して連結されたケースの例を示したが、連結部3を無くして第1の蓋体1と第2の蓋体2を切り離し、第1の蓋体に第2の蓋体を嵌め合わせる構成にしてもよい。このときは、第2の蓋体2の壁部の無い内端縁に壁部を設け、第2の蓋体を第1の蓋体1に嵌めた時に、第2の蓋体が第1の蓋体1の片面を完全に覆うように構成するとよい。
第1の蓋体1は、長方形の天板1Aが主要部を構成している。この天板1Aの内端縁(以後、天板1A,2Aの連結部3に近い側を内端とし、遠い側を外端と称す)には壁部9が立設している。天板1Aの両側縁の両端部には側壁部10A、10A,10B、10Bが対向して形成されている。そして、この側壁部10A、10A,10B、10Bには、その一部が内側に突出した位置決め突起部11が形成され、4箇の位置決め突起部11によってPCカード30の幅方向の移動を規制する。
また、内端側の側壁部10B、10Bの位置決め突起部11の外側に溝部12が形成され、後述する蓋体2の係止片23が係合する。この側壁部10B、10Bの内端は、前記壁部9の端部と連結して後述するキャップ40を嵌め込むためのキャップ係合部15を構成する。なお、側壁部10B、10Bの内端は壁部9から僅かに突出し、ケースを閉じた場合に連結部3に形成された溝3A,3Aに嵌まり込むように構成されている。
図3において、第1の蓋体1の前記側壁部10A,10Bより内側の天板1A上に、側壁部10A、10A,10B、10Bに沿って細い幅の一対のレール部13が形成されている。このレール部13の両端部の上端面に、レール部13の上端面より僅かに突出し、且つ各々同じ高さの4つの支持部14が形成されている。これらのレール部13と支持部14は滑らかに連続してつながるように形成されている。
天板1Aの外端部に、後述する係止部材7と略同じ厚みの浅い切れ込み1aが形成され、その中央部に係止部6が天板1Aと一体的に形成されている。ケースを閉じたときに、係止部6は後述する係止部材7の係合孔8と係止可能で、かつ、図4に示すように係止部材7が切れ込み1aに嵌まり込むように構成されている。
なお、天板1Aの裏面の両側のレール部13間に、リブ1c,1dが形成されている。また、天板1Aの外周縁には、ケースを閉じた際に、側壁部19、19と壁部20が嵌まり込むリブ1bが、内端側を除いて周設している。
図1及び図2にて、30はPCカードであり、40はキャップである。図5から図7は本発明の実施例1のキャップとPCカードの斜視図であり、図5から図7にて、PCカード30とキャップ40について説明する。
PCカードはPCカード規格によりその形状や寸法が規定されている。大きさはTypeI、TypeII、TypeIIIの3種類があり、中央部の厚さが異なる。
また、データバス幅が16ビットのPCカードとデータバス幅を32ビットにして高速化したCardBusが規格化されている。本明細書では、両者を区別しないときはPCカード、16ビットのPCカードを特定するときは16ビットPCカード、CardBusのPCカードを特定するときはカードバスPCカードと記載する。
PCカード30の中央部はTypeIIの場合厚さが最大5mmであり、通常、この内部に電気部品を実装した基板等が配置される。31は端子部であり、図示しないホスト側の機器のスロット内のコネクタと連結可能であり、PCカードでは、68ケの孔が形成されたメス側のコネクタとなっている。32は端子部両端のフレーム端部である。33はグランドプレートであり、カードバス規格でその形状、寸法が規定されており、16ビットPCカードにはない。グランドプレート33の上面には図示しないスロット側のグランドと接触可能なディンプル36が形成されている。なお、この部分に関して、16ビットPCカードの形状は、ディンプル36が無い点以外はカードバスPCカードと同じ寸法関係である。
また、フレーム端部32には、PCカード30を図示しないスロットに裏向きや左右逆向きに挿入できないように断部37や溝部38が形成されている。更にフレーム端部32は電源電圧3.3Vと5Vの識別するための電圧キーとして電圧仕様に伴って断部の厚みが異なっている。
PCカードの幅方向の両側は、図示しないスロットに挿入されたときにスロット側のレール溝部内にガイドされて摺動可能とするためにTypeI、II、III共厚さが3.3mmと共通なっており、TypeIIでは厚さ5mmの中央部に対し薄くなっている。本明細書ではこの3.3mmの厚さで構成された両側の薄い部分をレール摺動部34という。35は端子部31と反対側の背面である。
40はキャップであり樹脂や合成ゴム等からなる。静電気の影響を受けにくくするには、帯電防止材を含んだ材料を選択するとよい。また落下等の衝撃に対しては衝撃力を吸収するダンバー効果のあるエラストマ等の耐衝撃性材料を使用するとよい。
キャップ40は、図5、図6のE方向(キャップ40をPCカード30の端子部31に嵌め込む方向)に移動させてPCカードの端子部31及びフレーム端部32を覆うように装着することが可能である。キャップ40はPCカード30に装着したときは、簡単に外れないように、また後述するようにケース内でPCカードをキャップ40から引き抜くときに適切な力で外れるような摩擦力になるようにPCカードの端部と凹部40Aのはめあい寸法をやや小さめにするのが好ましい。キャップ40の前面には、周囲よりも厚さを薄くした薄肉部41が両側に形成されている。
図6はPCカードとキャップを図5と異なる角度から見た斜視図である。図6に示されているように、キャップ40は、PCカードの端子部31及びフレーム端部32が嵌まり込む凹部40Aを備え、この凹部40A内の内壁の上下には、グランドプレート33のディンプル36を回避する溝部43とスラット44が内壁の幅方向に形成されている。溝部43は、キャップ40をPCカード30に取付けたときにディンプル36が入るように、またスラット44は、グランドプレート33のディンプル36以外の平面部が入るように形成されている。そして、凹部40Aの両端部は、断部37や溝部38が形成された種々のタイプのPCカード30のフレーム端部32が嵌入できるように形成されている。
キャップ40をPCカードに圧入するときは、スラット部44でPCカードと圧接するように構成するとよい。以上の構成により、カードバスPCカード、16ビットPCカード及び電圧仕様の異なるPCカードの全てのPCカードにキャップ40を取付けることが可能となる。更にキャップ40の上下の方向に関係なく、上下逆にしてもPCカードにキャップ40を着脱可能となる。また、溝部43を形成することにより、カードバスPCカードにキャップ40を装着するときに、溝部43がディンプル36にガイドされるためにキャップ40が挿入しやすいという効果もある。
図7はPCカード30にキャップ40を取付けた状態を示す斜視図である。この状態でPCカードを持ち運ぶことにより端子部を埃、静電気、水分、衝撃から保護することが可能である。キャップ40をPCカード30から外すときは、図5のF方向(キャップ40がPCカード30の端子部31から離れる方向)にキャップを移動させることにより可能である。なお、キャップ40の上下の面や側面に凹凸や溝を形成することにより指で掴んだときに滑りにくくでき操作性がよいキャップを提供できる。
図3において、レール部13及び支持部14の上端面はPCカード30のレール摺動部34の下面と当接可能である。そしてPCカード30はレール部13及び支持部14上を図1のC方向(PCカードを抜き取る方向)及びD方向(PCカードを装着する方向)に摺動可能である。本来レール摺動部34は、図示しないスロット側のレール溝部内に摺動しながら嵌合する部分であるので、その下面は比較的摩擦も少なく摺動しやすく構成されている。
このようにレール摺動部34下面をレール部13及び支持部14の上端面に当接させて摺動させることにより、引っかかり等なく安定してPCカード30をC方向及びD方向に移動できることになる。
キャップ40は前記のように、第1の蓋体1のキャップ係合部15に係合可能である。このキャップ係合部15と位置決め突起部11の境界部分に、キャップ係合部15に嵌め込まれたキャップ40が図1のC方向に移動するのを規制するストッパー16を形成している。なお、このストッパー16の面は、キャップ係合部15側に対向している。
壁部9には、キャップ前面部の薄肉部41に対応して係合突起部17が形成され、係合突起部17が薄肉部41に嵌まり込む。キャップ係合部15の側壁部10B,10Bの内面に、2本の摺動用突起部18が側壁部10Bの幅方向に形成されている。以上のストッパー部16及び突起部17、18でキャップ係合部15に嵌め込まれたキャップ40の動きを規制している。
第2の蓋体2は、長方形の天板2Aの外端縁に壁部20が立設し、両側縁に側壁部19、19が立設している。天板2Aの外端中央には、薄肉で天板2Aと一体的に係止部材7がヒンジ部7Aを介して連結され、ヒンジ部7Aを中心にして第2の蓋体2に係止部材7が回動可能に設けられている。係止部材7には係合孔8が形成され、ヒンジ部4及び5を中心に第1の蓋体1と第2の蓋体2を回動させてケースを閉じたときに、第1の蓋体1の係止部6がこの係合孔8に係合し、第1の蓋体1と第2の蓋体2を開かないようにすることができる。前記係止部材7が接する壁部20の中央部は、前記係止部材7の厚みと幅だけ内側に入り込んでおり、図4に示すように第1の蓋体1の係止部6が係合孔8に係合した場合に、係止部材7の面と壁部20両端部の面とが一致するようになる。なお、係止部6の代わりに第1の蓋体1に、係合孔を設け、係止部材7の係合孔8の代わりに係止部を設けて、係止部が係合孔に係止するように構成してもよい。
図4はケースを閉じたときの斜視図を示す。第1の蓋体1と第2の蓋体2の天板1A,2A及び側壁部19、壁部20、並びに連結部3で箱状のケースとなり、内部に収納されたPCカードをほぼ密閉することができる。25は第2の蓋体2の外側表面に設けられたポケットで、インデックスラベル等を挿入することが可能である。
図3にて、第2の蓋体2の天板2Aの裏面の内端側に、一対の固定部21が形成され、ケースを閉じたときに第1の蓋体1のキャップ係合部15に係合されたキャップ40を固定することが可能である。この固定部21の一端部に形成された押止部22は、ケースを閉じたときに第1の蓋体1の支持部14と上下で相対峙して、両押止部22の先端は平面上に投影したときにほぼ同じ位置になるように構成されている。そして、PCカード30を第1の蓋体1に装着した後に、ケースを閉じて、蓋体1の係止部6を係合孔8に係合したときにPCカード30の両側のレール摺動部34を支持部14と押止部22で上下から同じ位置関係でほぼ隙間なく、挟み込むように構成されている。
24は天板2Aと壁部20のコーナの両側に形成されたストッパー片であり、PCカード30を装着してケースを閉じたときにPCカード30の背面35と当接可能である。
PCカード30は第1の蓋体1の4ケ所の支持部14上に支持された状態で置かれ、両側の側壁部10A、10A、10B,10Bの4ケ所に形成された位置決め突起部11で幅方向の位置が規制される。キャップ40は、第1の蓋体1のキャップ係合部15に嵌め込まれており、キャップ40の前面2ケ所に設けられた薄肉部41は第1の蓋体1に形成された係合突起部17と軽く当接している。そして、キャップ40の凹部40Aの両端に位置する端面42は、側壁部10B、10Bのストッパー16に当接している。その結果、キャップ40は2ケ所の突起17及び2ケ所のストッパー16に隙間なく挟持され、C,D方向に移動できないように固定されている。またケースの幅方向には、僅かの隙間を開けて摺動用突起部18が存在し、キャップ40がケースの幅方向に大きく移動しないようになっている。
一般的に落下等の衝撃やケースを外部から押圧したときにその力は内部のPCカードを支持している箇所に作用し、PCカードを支持する構成によっては、PCカードに強い曲げ応力、せん断力やねじりが作用することがある。例えば、PCカードの中央部には通常内部に基板や電気部品が実装されており、その部分を支持しているとその部分に外力が作用し、場合によっては内部の基板や電気部品が破損することも生じる。
図13はケースを閉じたときの支持部14、押止部22とPCカード30の断面図を示す。図13にて、PCカードの中央部の5mmの厚肉部は、第1の蓋体1及び第2の蓋体2と十分な隙間があり、外力等が作用してケースが変形してもPCカード30の厚肉部にケースが当接しないように構成することにより、PCカードの内部の基板や電気部品に直接外力が作用しなくなる。そして、PCカード30のレール摺動部34は一般的に金属や樹脂等で構成されたフレーム部であり強度的に強い。この部分を支持部14と押止部22で上下から同じ位置でレール摺動部34を挟み込むことにより、この部分に圧縮力は作用するがせん断力は作用せず破壊しにくくなる。また本構成にすることによりPCカードは中央部には外力が直接作用しにくくその結果内部の基板や電気部品が壊れにくくなる。
図1〜図3において23は係止片であり、この係止片23が形成されている壁部19とともに、ケースを閉じたときに第1の蓋体1の側壁部10Bに形成された溝部12と係合してケースを閉じたときの第1の蓋体1と第2の蓋体2の互いの位置を規制している。
以上のように構成されたキャップ付きケースについて、以下使用方法を説明する。
まず、PCカードをケースから取出すときに、PCカードにキャップが付随する第1の形態について説明する。
図1、図2の状態では、前述したように、PCカード30は第1の蓋体1の支持部14に支持されている状態であり、PCカード30をA方向(PCカード30が天板1Aから離れる方向)に移動させると、その移動を妨げるものがないために、PCカード30は第1の蓋体1からA方向に離脱可能である。PCカード30をA方向に移動させると、キャップ40はPCカード30の端部に圧入されてPCカード30から外れないため、PCカード30と一体になってA方向に移動しようとする。第1の蓋体1のキャップ係合部15は、前述のように係合突起部17及びストッパー部16でキャップ40を隙間なく挟持しており、更に幅方向には摺動用突起部18が存在するため、キャップ40はA方向以外の方向には移動できない。A方向に移動しようとすると、キャップ40は係合突起部17及びストッパー部16で挟持されている結果、移動を妨げる摩擦力が作用するがその摩擦力は大きくなく、摩擦力以上の力で移動させるとA方向に移動できる。その結果、キャップ40を装着したPCカードの形態で、キャップ40がケースから取出すことが可能となる。摩擦力は、ケースをひっくり返したときに、PCカードが落下するのを防ぐため、PCカードの自重以上の適切な値となるように係合突起部17の突き出し量を設定するとよい。
なお、外端側の側壁部10Aと内端側の側壁部10Bの間が連続していないので、PCカード30をA方向に持ち上げるときに、PCカード30のレール摺動部34を指でつまみやすくなる。
図8はPCカードがキャップを装着した状態で取り出されたときの斜視図である。PCカード30の端子部31の保護のみ注意すればよいときは、キャップ40はケースよりもコンパクトのため、この状態で持ち運び、放置しておくことができ便利である。その後PCカード30を使用するときは、手でキャップ40をPCカード30から外し、図示しないホスト側の機器に挿入する。取り外したキャップ40は、キャップ単体で保管してもよいが、キャップは小さくて紛失し易いので、第1の蓋体1のキャップ係合部15に係合させておくとケースと共に保管できるのでキャップ40のみ紛失するということがなくなる。
キャップを取付けた状態のPCカード30をケースに収納するときは、ケースを開いた状態で図8のB方向(PCカード30が天板1Aに近づく方向)に移動させてPCカード30を第1の蓋体1に嵌め込む。突起部11、17、18、ストッパー部16の上側端面は面取を施すことにより、PCカード30、キャップ40が挿入しやすくなる。挿入後、PCカード30は支持部14に支持されて装着が完了する。そのとき、キャップ40は前述のように係合突起部17及びストッパー部16で挟持されキャップ係合部15に固定される。その結果、PCカード30はキャップ40を介して第1の蓋体1に固定される。
そしてケースを閉めて第2の蓋体2の係合孔8に第1の蓋体1の係止部6を係合すると、第2の蓋体2のストッパー片24がPCカード30の背面35とほぼ当接するため、PCカード30がキャップ40から抜け落ちてケースの背面方向(C方向)に移動するということはない。以上によりPCカードの収納が完了し、図4の状態となる。
なお、キャップ40を予めキャップ係合部15に収納して、PCカードのみをケースに収納する場合は後述する。
次に、PCカードをケースから取出すときに、キャップ40をキャップ係合部15に嵌め込んだ状態にして、PCカードにキャップ40を装着しない第2の形態について説明する。
図1、図2の状態から、指をPCカード30の天板に接触させてPCカード30を支持部14に軽く押し当て、その状態でPCカードを図1のC方向に移動させると、PCカードは支持部14及びレール部13上を摺動してC方向に移動する。このとき係止部6はPCカード30の下面よりも低い位置にあり、第1の蓋体1の外端部にもPCカードの移動を妨げる高い壁部や突起はないため、PCカード30は支持部14及びレール部13に支持された状態でC方向に移動可能である。他方、キャップ40はPCカード30の端部に圧入されており、PCカード30の移動に伴いC方向に移動しようとするが、キャップ40の端面42が第1の蓋体1のストッパー部16と当接しているため移動できない。さらに大きな力でPCカード30をC方向に移動させると、PCカード30のグランドプレート33とキャップ40のスラット44間の摩擦力よりもPCカード30を引き抜く力が大きくなり、キャップ40とPCカード30の嵌合が外れることになる。その結果、キャップ40は第1の蓋体1のキャップ係合部12内に留まり、PCカード30のみケースから取出すことが可能となる。図9はPCカードを引き出す途中の状態を示す斜視図、図10はPCカードを取出した状態を示す斜視図である。
図10において、キャップ40は第1の蓋体1のキャップ係合部15内に固定されたままの状態となる。図11にその平面図を示す。この状態でケースを閉じると、第2の蓋体2の固定部21がキャップ40を上から挟持し、衝撃等がケースに加わってもキャップがケースから外れないようになっている。
以上のようにC方向にPCカードを移動させることにより、キャップ40を取り外した状態でケースから取出すことができるため、PCカードをすぐに使用するとき等、キャップを必要としないときに便利である。また、キャップ40は、ケース内で固定されているため、ケースに衝撃等が加わってもキャップ40は移動せず、後述するようにPCカードをケースに収納するときにセットし直す必要はない。
また、PCカードを第1の形態でケースから取出した後、PCカード30から取り外したキャップ40を手でキャップ係合部15に嵌合したときも図10及び図11で示す状態となる。
PCカード30をケースに収納するときは、ケースを開けて図10の状態とし、まずPCカードを上から下方向に移動させてレール部13の上に当接させる。そのとき、図9のようにPCカードは所定の収納位置よりも少しC方向に移動した位置でレール部13または支持部14に当接させるとよい。その後、D方向に移動させる。PCカード30はレール部13及び支持部14上をD方向に移動可能である。キャップ40は前述のように予めキャップ係合部15内に固定されており、PCカード30をD方向に移動させることにより、PCカード30の先端部がキャップ40の凹部40Aに圧入して嵌合が完了する。このときPCカード30はレール部13及び支持部14の上を摺動するが、レール部13と支持部14の高低差がわずかであり滑らかに連続して形成されているため、摺動時にPCカード30が大きく傾斜したり引っかかったりすることはない。PCカード30がキャップ40に挿入する手前で、レール摺動部34の下面が4つの支持部14の上面と接するようにすることで4ケ所の支持部で支持され、PCカード30は所定の高さで位置が決まってキャップ40に挿入されることになる。
PCカード30の挿入が完了すると、キャップ40が第1の蓋体1のキャップ係合部15に固定されているため、PCカード30はキャップ40を介して第1の蓋体1に固定される。そしてケースを閉めて第2の蓋体2の係合孔8に第1の蓋体1の係止部6を係合すると、第2の蓋体2のストッパー片24がPCカード30の背面35とほぼ当接するため、PCカードがキャップ40から外れて背面方向(C方向)に移動するということはない。以上によりPCカードの収納が完了し、図4の状態となる。
なお、場合によってはキャップ40を失い、代替のキャップを準備する間、キャップ40が無い状態でケースに収納する場合も生じうる。図12は本発明のケースにキャップが無い状態で、PCカードを収納したときの平面図を示す。本発明のケースでは、キャップ40の前面両側に薄肉部41を設けて、第1の蓋体1に形成された係合突起部17に当接させている。そして、薄肉部41のキャップの厚みを最小限になるように形成しているため、キャップが無い状態のPCカードを装着したときは、その薄肉部の厚み分に等しい隙間が生じることになり、壁部9に係合突起部17を設けず、キャップ40に薄肉部41を形成しない構成と比較して、キャップ40が有る状態と無い状態での、PCカードの先端と壁部9との隙間の差を少なくできる。なお、薄肉部の厚みでキャップ全体を形成するとキャップ40の強度が弱くなる。本構成のようにキャップ40の一部に薄肉部41を設けることにより、キャップの全体の強度を損なうことなく、キャップの有無による隙間の差を少なくできる。なお、薄肉部は最小範囲内で形成するとよい。薄肉部41の位置は、どこに設けてもよいが、位置決めの精度上はなるべく両端に近い部分が望ましい。
また、薄肉部41は、溝状でなく孔を形成してキャップの前面を貫通し、PCカードのフレーム端部32と壁部9の内壁面に形成されたスパイク状の突起が当接するように構成することにより、キャップの有無にかかわらずケース内で同じ隙間関係を実現できることになる。孔を形成する場合は、端子部31と当接する位置に形成すると孔から端子部に埃、水分等が浸入してキャップの効果が損なわれるため、端子部両端のフレーム端部32に位置するように孔を形成するとよい。そうすることにより孔を開けても端子部31はキャップ40で塞がれたままであり、端子部31に埃や水分が端子部に入ることが防止できる。
なお、本実施例では、連結部3近くにキャップ係合部15を形成したが、反対側の外端部にキャップ係合部15を設けて、PCカード30を本実施例と逆方向から挿入する構成にしてもよいが、本実施例のように構成することにより、PCカードを第1の蓋体の天板1Aと平行な方向に挿入するときに連結部3や第2の蓋体2とPCカード30が当接しにくく、PCカード30の着脱がしやすいという特徴がある。
また、通常、係止部材7は手で開けるときに上側に向かって回動させて開けることが多く、第1の蓋体1が下側、第2の蓋体2が上側になる場合が多いと考えられる。下側の第1の蓋体1にPCカード30を装着するように構成することで、ケースを開くときに内部に装着されたPCカード30が落下することを防止できる。
また、前述したように、キャップ40は上下方向の方向性なくPCカード30に挿入可能であり、キャップ40はキャップ係合部15に対しても上下方向の方向性に関係なく挿入し固定できる。PCカード30もディンプル部及び先端部以外は上下方向の方向性がなく対称な形状のため、キャップ40及びPCカード30を第1の蓋体1に係合するときは上下の方向性に関係なく裏表どちら側でも装着でき取出すことが可能である。
また、本実施例では、突起部11、17、18、押止部22、ストッパー片24、支持部14は、蓋体と一体的に形成したが、各々ゴム等の弾性体を蓋体に接着手段等により接着してもよい。このように、構成することにより、弾性体が衝撃力を吸収しPCカードに伝わりにくいため、落下等の衝撃等に対しより強いケースを実現できる。また、突起部17、ストッパー片24は各々薄肉部41又はPCカードの端部32、背面35と当接可能に構成したが、部品の寸法ばらつき等を考慮して僅かの隙間を設けてもよい。
また、本実施例では、連結部材3を第1の蓋体1及び第2の蓋体2の短辺側に設けたが、第1の蓋体1及び第2の蓋体2の長辺側に設けてもよい。
図14から16は、本発明の実施例2を示す。図14〜16は本発明の実施例2のキャップ及びPCカード30を示す斜視図である。図14〜16にて、100はキャップであり、実施例1と比較して両側に軸部101が一体的に形成されている点が異なる。110は第1の蓋体1のキャップ係合部の一部を構成する軸受部を示しており、この軸受部110に軸部101と係合可能な、A方向に開いた溝部111が形成されている。この構成にてPCカードをB方向に移動すると軸部101が溝部111に係合して、図15に示すように第1の蓋体1にPCカード30をセットした状態となる。この状態でPCカード30をA方向に移動させると、キャップ付の形態で取出すことが可能であり、C方向に移動させるとPCカードの本体は移動可能であるが、キャップ100は軸部101が溝111と係合しているためにC方向には移動できず、結果的にPCカード30のみC方向に移動し、キャップ100は溝部111に係合したまま第1の蓋体1に残ることになる。PCカードを取出すときに図16のようにPCカードを軸部を中心にして回転させ垂直に立てた状態にして、その後A方向に移動させることで、キャップ100の軸部101も溝110で移動を阻止されずにPCカードに装着された状態で取出すことが可能となる。なお、軸受部110は天板1Aから上方に離してキャップ係合部15に設けることにより、キャップ100が天板1Aにじゃまされずに垂直に回転させて立てることができる。
図17は本発明の実施例3を示す。図17は本発明の実施例3のキャップ及びPCカード30を示す斜視図であり、実施例2と比較して、キャップ105にB方向に開いた溝部106が形成され、第1の蓋体1のキャップ係合部の一部の軸受部115に軸部116が形成されている点が異なる。この構成でも、キャップ付のPCカード30をB方向に移動させることで、PCカード30がケースに収納でき、溝部106が軸部116と係合する。ケースから取出すときは、PCカードをA方向に移動させるとキャップ付の形態で、C方向に移動させると軸部116が溝部106と係合してキャップの移動を妨げるため、PCカード30のみ取出すことが可能となる。
本発明にかかるカード型携帯情報処理機器のキャップ付きケースは、ケースから取出すときにキャップの有無を使用者が選択できる使用勝手のよい且つ埃、水分、静電気、衝撃等に対して信頼性のあるキャップ及びケースを提供できることから、野外や様々な環境で使用されるPCカード等のカード型携帯情報処理機器において有用である。
本発明は、PCカード等のカード型携帯情報処理機器の保護のために使用するケースに関する。
昨今、メモリーカード、LANカード、ハードディスク等、PCカードに代表されるカード型携帯情報処理機器は、多くの種類が商品化され、益々小型、薄型化が進み、あらゆる場所で使用されている。そして、カード型携帯情報処理機器を埃や水分等の侵入を防止したり、静電気の影響を低減したり、落下等の衝撃を緩和するために保護ケースや端子部を保護するキャップが使用されている。
従来より、PCカード等の保護ケースはよく知られており、内部にカード型携帯情報処理機器を収納して持ち運ぶ時に静電気、埃、水分、衝撃等から保護する。内部が確認しやすいように透明の樹脂等で形成されたケースが使用される場合が多い。また、端子部のみを静電気、埃、水分、衝撃等から保護するために端子部に被せるキャップも知られている。
実開平7−40573号公報には、2枚の蓋体内にICメモリカードを収納する扁平なICメモリカードケースが記載されている。このICメモリカードケースは、前記蓋体内にICメモリカードを保持するリブ状の保護片が形成され、2枚の蓋体がヒンジ部で連結され、閉じられた蓋体が開かないように係止部材が蓋体の端部に設けている。
特開2000−99668号公報には、PCカードの端子部を保護するために用いられるPCカードキャップが記載されている。このPCカードキャップは、PCカードと略同じ長さの長方形状のキャップ本体の両端に、PCカードの端子部に嵌合する長方形状の2つのキャップ部がピンによって回動自在に連結されている。使用に際しては、キャップ本体をPCカードに沿わせ、前記キャップ部を回動してPCカードの端子部に嵌合すると取り付けは完了する。PCカードキャップをPCカードの端子部に取り付けた状態では、PCカードの両端子部以外は露出している。
実開平7−40573号公報
特開2000−99668号公報
しかしながら、実開平7−40573号公報のようなICメモリカードケースはカード型携帯情報処理機器全体を覆い保護できるが、その分ケースの外形が大きくなり、持運び時やポケット等に収納するときに大きさの制約を受ける。他方、特開2000−99668号公報のようなPCカードキャップは端子部のみを密閉性を高めて覆うことができるため、ケースよりも端子部をより確実に且つコンパクトに構成できて、持ち運びには便利であるが、キャップに覆われている端子部以外の部分を保護することができない。従来のケースもキャップもそれぞれ一長一短があった。そして、ケースとキャップを使い分けするのも面倒であり使用勝手が悪いという課題があった。
そこで、使用者の便宜を考慮して、キャップを取付けたカード型携帯情報処理機器を収納できるケースが考えられた。例えば、カード型携帯情報処理機器を使用するときにはケースから取出してキャップを取り外した状態にし、室内で持運びする時や机の上に短時間放置する場合はケースから取出してキャップを取り付けた状態にする。カード型携帯情報処理機器を長期保管する場合や室外で持ち運びする場合は、キャップを取付けたカード型携帯情報処理機器をケースに装着した状態にするというように使用者が選択できるようにする。このようにすることにより使用勝手のよいケース及びキャップが構成できるが、ケースに収納されたカード型携帯情報処理機器をすぐに使用するときには、使用者はカード型携帯情報処理機器をケースから取出した後にキャップを外す必要があり面倒である。
また、前記構成のキャップでは、外したキャップを失くす可能性もある。キャップを失くしたときに、キャップが無い状態でカード型携帯情報処理機器をケース内に収納すると、カード型携帯情報処理機器とケース間でキャップの厚み分の隙間が開き、その結果ケース内でカード型携帯情報処理機器ががたつく。例えば車等で運搬するときはケース内でカード型携帯情報処理機器が振動したり、ケースが落下したときにケース内でカード型携帯情報処理機器がケース内の壁部に衝突して内部の電気部品等に衝撃が加わる可能性があった。また、破損に至らないまでも、持運び時にケース内でカード型携帯情報処理機器ががたつくため、不快な音を発してケースの品位が悪くなるという問題があった。そのため機器の信頼性やケースの品位を良くするためには、必ずキャップを取り付けてケースに装着しなければならないという制約があった。
本発明は、このような問題点に鑑み、キャップを取付けたカード型携帯情報処理機器を収納できるケースであって、使用者の選択によってカード型携帯情報処理機器をケースから取出すときにキャップを装着して取出せる態様とキャップを取り外して取出せる態様を選択できるようにした使用勝手のよいキャップ付きケースを提供することを目的とする。
また、カード型携帯情報処理機器とケースの隙間の差を少なくすることにより、キャップを取付けないカード型携帯情報処理機器をケース内に収納しても、ケース内でがたつくことがなく、振動や衝撃に強く、キャップを取付けても取り付けなくても使用できるキャップ付きケースを提供することを目的とする。
本発明のカード型携帯情報処理機器のケースは、先端に端子部を有するカード型携帯情報処理機器を収納し、この携帯情報処理機器の端子部を覆うキャップを取り付けた状態でも、取り付けない状態でも使用可能であって、前記カード型携帯情報処理機器のケースが第1の蓋体と第2の蓋体からなり、この第1の蓋体と第2の蓋体の少なくとも何れか一方に端子部を覆うキャップを係合するキャップ係合部を設け、カード型携帯情報処理機器をキャップ係合部から取り外すときに取り外す方向又は角度を変えることによって、キャップがカード型携帯情報処理機器に付随する第1の形態と、キャップがキャップ係合部に係合した状態を保ちカード型携帯情報処理機器には付随しない第2の形態を選択可能に構成した。
また、本発明のカード型携帯情報処理機器のケースはキャップの先端部の一部に薄肉部を形成し、蓋体に形成された係合突起部が前記キャップの薄肉部と当接可能に構成した。
さらに、カード型携帯情報処理機器のケースはカード型携帯情報処理機器の端子部に対応する範囲外のキャップ前面に孔を形成し、蓋体に形成された係合突起部の先端部が前記孔を貫通しカード型携帯情報処理機器の先端部に当接可能に構成した。
カード型携帯情報処理機器をケースから取り外すときに取り外す方向又は角度によって、キャップがカード型携帯情報処理機器に付随する第1の形態とキャップが第1の蓋体に係合してカード型携帯情報処理機器には付随しない第2の形態を選択可能に構成することにより、使用者がケースからカード型携帯情報処理機器を取出すときに必要に応じてキャップを装着して取出せる態様か、キャップを取り外して取出せる態様を選択できる。このため、持運び等でキャップが必要なときはキャップを装着した形態で取出すことが可能であり、すぐにホスト側の機器に装着して使用するときは、キャップを予め取り外した形態で取出すことが可能であり、使用勝手のよいキャップ付きケースが提供できる。
また、キャップの前面部に薄肉部を形成し、薄肉部と第1の蓋体の係合突起部を当接可能に構成することにより、キャップを取付けたカード型携帯情報処理機器を装着したときと、キャップを取付けないカード型携帯情報処理機器を装着したときで薄肉部の厚み分の隙間の差しか生じないことになる。また、キャップの前面部に孔を形成しスパイク状の突起部が孔を貫通してカード型携帯情報処理機器のフレーム端部と当接可能に構成することにより、キャップの有無を問わず、ケースとカード型携帯情報処理機器間の隙間を全く同じに構成できることになる。以上の結果、キャップを取付けた状態もキャップを取付けない状態でも最小の隙間しか開かないことになり、振動や衝撃等に対し信頼性を確保できることになる。また、ケースとカード型携帯情報処理機器間の隙間が大きいことに起因する持運び時等の衝突音を低減し、ケースの品位を保つことができる。
以下、図1から図17を用いて説明する。本実施の形態ではカード型携帯情報処理機器としてPCカードを使用した例を示すが、先端部に端子部を有するカード型携帯情報処理機器であれば同様の構成が可能でありPCカードに限定されない。
図1は本発明の実施例1のキャップ付PCカードを収納したキャップ付きケース(以下では単にケースと略す)の斜視図、図2は本発明の実施例1のキャップ付PCカードを収納したケースの平面図、図3は本発明の実施例1のケースの斜視図である。図1から図3において、1は第1の蓋体、2は第2の蓋体、3は第1の蓋体と第2の蓋体とを連結する連結部であり、4および5の薄肉で形成されたヒンジ部で連結部3と第1の蓋体と第2の蓋体が一体的に連結している。そして、第1の蓋体1と連結部3はヒンジ部4を中心にして回動可能であり、第2の蓋体2と連結部3はヒンジ部5を中心にして回動可能であり、第1の蓋体と第2の蓋体と連結部3とで開閉可能なケースを構成している。ケースは樹脂等の材料で射出成形で作ることが可能である。ケースを帯電防止樹脂で構成すると静電気の影響を受けにくくなる。
なお、本実施例では第1の蓋体1と第2の蓋体2とが連結部3を介して連結されたケースの例を示したが、連結部3を無くして第1の蓋体1と第2の蓋体2を切り離し、第1の蓋体に第2の蓋体を嵌め合わせる構成にしてもよい。このときは、第2の蓋体2の壁部の無い内端縁に壁部を設け、第2の蓋体を第1の蓋体1に嵌めた時に、第2の蓋体が第1の蓋体1の片面を完全に覆うように構成するとよい。
第1の蓋体1は、長方形の天板1Aが主要部を構成している。この天板1Aの内端縁(以後、天板1A,2Aの連結部3に近い側を内端とし、遠い側を外端と称す)には壁部9が立設している。天板1Aの両側縁の両端部には側壁部10A、10A,10B、10Bが対向して形成されている。そして、この側壁部10A、10A,10B、10Bには、その一部が内側に突出した位置決め突起部11が形成され、4箇の位置決め突起部11によってPCカード30の幅方向の移動を規制する。
また、内端側の側壁部10B、10Bの位置決め突起部11の外側に溝部12が形成され、後述する蓋体2の係止片23が係合する。この側壁部10B、10Bの内端は、前記壁部9の端部と連結して後述するキャップ40を嵌め込むためのキャップ係合部15を構成する。なお、側壁部10B、10Bの内端は壁部9から僅かに突出し、ケースを閉じた場合に連結部3に形成された溝3A,3Aに嵌まり込むように構成されている。
図3において、第1の蓋体1の前記側壁部10A,10Bより内側の天板1A上に、側壁部10A、10A,10B、10Bに沿って細い幅の一対のレール部13が形成されている。このレール部13の両端部の上端面に、レール部13の上端面より僅かに突出し、且つ各々同じ高さの4つの支持部14が形成されている。これらのレール部13と支持部14は滑らかに連続してつながるように形成されている。
天板1Aの外端部に、後述する係止部材7と略同じ厚みの浅い切れ込み1aが形成され、その中央部に係止部6が天板1Aと一体的に形成されている。ケースを閉じたときに、係止部6は後述する係止部材7の係合孔8と係止可能で、かつ、図4に示すように係止部材7が切れ込み1aに嵌まり込むように構成されている。
なお、天板1Aの裏面の両側のレール部13間に、リブ1c,1dが形成されている。また、天板1Aの外周縁には、ケースを閉じた際に、側壁部19、19と壁部20が嵌まり込むリブ1bが、内端側を除いて周設している。
図1及び図2にて、30はPCカードであり、40はキャップである。図5から図7は本発明の実施例1のキャップとPCカードの斜視図であり、図5から図7にて、PCカード30とキャップ40について説明する。
PCカードはPCカード規格によりその形状や寸法が規定されている。大きさはTypeI、TypeII、TypeIIIの3種類があり、中央部の厚さが異なる。
また、データバス幅が16ビットのPCカードとデータバス幅を32ビットにして高速化したCardBusが規格化されている。本明細書では、両者を区別しないときはPCカード、16ビットのPCカードを特定するときは16ビットPCカード、CardBusのPCカードを特定するときはカードバスPCカードと記載する。
PCカード30の中央部はTypeIIの場合厚さが最大5mmであり、通常、この内部に電気部品を実装した基板等が配置される。31は端子部であり、図示しないホスト側の機器のスロット内のコネクタと連結可能であり、PCカードでは、68ケの孔が形成されたメス側のコネクタとなっている。32は端子部両端のフレーム端部である。33はグランドプレートであり、カードバス規格でその形状、寸法が規定されており、16ビットPCカードにはない。グランドプレート33の上面には図示しないスロット側のグランドと接触可能なディンプル36が形成されている。なお、この部分に関して、16ビットPCカードの形状は、ディンプル36が無い点以外はカードバスPCカードと同じ寸法関係である。
また、フレーム端部32には、PCカード30を図示しないスロットに裏向きや左右逆向きに挿入できないように断部37や溝部38が形成されている。更にフレーム端部32は電源電圧3.3Vと5Vの識別するための電圧キーとして電圧仕様に伴って断部の厚みが異なっている。
PCカードの幅方向の両側は、図示しないスロットに挿入されたときにスロット側のレール溝部内にガイドされて摺動可能とするためにTypeI、II、III共厚さが3.3mmと共通なっており、TypeIIでは厚さ5mmの中央部に対し薄くなっている。本明細書ではこの3.3mmの厚さで構成された両側の薄い部分をレール摺動部34という。35は端子部31と反対側の背面である。
40はキャップであり樹脂や合成ゴム等からなる。静電気の影響を受けにくくするには、帯電防止材を含んだ材料を選択するとよい。また落下等の衝撃に対しては衝撃力を吸収するダンバー効果のあるエラストマ等の耐衝撃性材料を使用するとよい。
キャップ40は、図5、図6のE方向(キャップ40をPCカード30の端子部31に嵌め込む方向)に移動させてPCカードの端子部31及びフレーム端部32を覆うように装着することが可能である。キャップ40はPCカード30に装着したときは、簡単に外れないように、また後述するようにケース内でPCカードをキャップ40から引き抜くときに適切な力で外れるような摩擦力になるようにPCカードの端部と凹部40Aのはめあい寸法をやや小さめにするのが好ましい。キャップ40の前面には、周囲よりも厚さを薄くした薄肉部41が両側に形成されている。
図6はPCカードとキャップを図5と異なる角度から見た斜視図である。図6に示されているように、キャップ40は、PCカードの端子部31及びフレーム端部32が嵌まり込む凹部40Aを備え、この凹部40A内の内壁の上下には、グランドプレート33のディンプル36を回避する溝部43とスラット44が内壁の幅方向に形成されている。溝部43は、キャップ40をPCカード30に取付けたときにディンプル36が入るように、またスラット44は、グランドプレート33のディンプル36以外の平面部が入るように形成されている。そして、凹部40Aの両端部は、断部37や溝部38が形成された種々のタイプのPCカード30のフレーム端部32が嵌入できるように形成されている。
キャップ40をPCカードに圧入するときは、スラット部44でPCカードと圧接するように構成するとよい。以上の構成により、カードバスPCカード、16ビットPCカード及び電圧仕様の異なるPCカードの全てのPCカードにキャップ40を取付けることが可能となる。更にキャップ40の上下の方向に関係なく、上下逆にしてもPCカードにキャップ40を着脱可能となる。また、溝部43を形成することにより、カードバスPCカードにキャップ40を装着するときに、溝部43がディンプル36にガイドされるためにキャップ40が挿入しやすいという効果もある。
図7はPCカード30にキャップ40を取付けた状態を示す斜視図である。この状態でPCカードを持ち運ぶことにより端子部を埃、静電気、水分、衝撃から保護することが可能である。キャップ40をPCカード30から外すときは、図5のF方向(キャップ40がPCカード30の端子部31から離れる方向)にキャップを移動させることにより可能である。なお、キャップ40の上下の面や側面に凹凸や溝を形成することにより指で掴んだときに滑りにくくでき操作性がよいキャップを提供できる。
図3において、レール部13及び支持部14の上端面はPCカード30のレール摺動部34の下面と当接可能である。そしてPCカード30はレール部13及び支持部14上を図1のC方向(PCカードを抜き取る方向)及びD方向(PCカードを装着する方向)に摺動可能である。本来レール摺動部34は、図示しないスロット側のレール溝部内に摺動しながら嵌合する部分であるので、その下面は比較的摩擦も少なく摺動しやすく構成されている。
このようにレール摺動部34下面をレール部13及び支持部14の上端面に当接させて摺動させることにより、引っかかり等なく安定してPCカード30をC方向及びD方向に移動できることになる。
キャップ40は前記のように、第1の蓋体1のキャップ係合部15に係合可能である。このキャップ係合部15と位置決め突起部11の境界部分に、キャップ係合部15に嵌め込まれたキャップ40が図1のC方向に移動するのを規制するストッパー部16を形成している。なお、このストッパー部16の面は、キャップ係合部15側に対向している。
壁部9には、キャップ前面部の薄肉部41に対応して係合突起部17が形成され、係合突起部17が薄肉部41に嵌まり込む。キャップ係合部15の側壁部10B,10Bの内面に、2本の摺動用突起部18が側壁部10Bの幅方向に形成されている。以上のストッパー部16及び突起部17、18でキャップ係合部15に嵌め込まれたキャップ40の動きを規制している。
第2の蓋体2は、長方形の天板2Aの外端縁に壁部20が立設し、両側縁に側壁部19、19が立設している。天板2Aの外端中央には、薄肉で天板2Aと一体的に係止部材7がヒンジ部7Aを介して連結され、ヒンジ部7Aを中心にして第2の蓋体2に係止部材7が回動可能に設けられている。係止部材7には係合孔8が形成され、ヒンジ部4及び5を中心に第1の蓋体1と第2の蓋体2を回動させてケースを閉じたときに、第1の蓋体1の係止部6がこの係合孔8に係合し、第1の蓋体1と第2の蓋体2を開かないようにすることができる。前記係止部材7が接する壁部20の中央部は、前記係止部材7の厚みと幅だけ内側に入り込んでおり、図4に示すように第1の蓋体1の係止部6が係合孔8に係合した場合に、係止部材7の面と壁部20両端部の面とが一致するようになる。なお、係止部6の代わりに第1の蓋体1に、係合孔を設け、係止部材7の係合孔8の代わりに係止部を設けて、係止部が係合孔に係止するように構成してもよい。
図4はケースを閉じたときの斜視図を示す。第1の蓋体1と第2の蓋体2の天板1A,2A及び側壁部19、壁部20、並びに連結部3で箱状のケースとなり、内部に収納されたPCカードをほぼ密閉することができる。25は第2の蓋体2の外側表面に設けられたポケットで、インデックスラベル等を挿入することが可能である。
図3にて、第2の蓋体2の天板2Aの裏面の内端側に、一対の固定部21が形成され、ケースを閉じたときに第1の蓋体1のキャップ係合部15に係合されたキャップ40を固定することが可能である。この固定部21の一端部に形成された押止部22は、ケースを閉じたときに第1の蓋体1の支持部14と上下で相対峙して、両押止部22の先端は平面上に投影したときにほぼ同じ位置になるように構成されている。そして、PCカード30を第1の蓋体1に装着した後に、ケースを閉じて、蓋体1の係止部6を係合孔8に係合したときにPCカード30の両側のレール摺動部34を支持部14と押止部22で上下から同じ位置関係でほぼ隙間なく、挟み込むように構成されている。
24は天板2Aと壁部20のコーナの両側に形成されたストッパー片であり、PCカード30を装着してケースを閉じたときにPCカード30の背面35と当接可能である。
PCカード30は第1の蓋体1の4ケ所の支持部14上に支持された状態で置かれ、両側の側壁部10A、10A、10B,10Bの4ケ所に形成された位置決め突起部11で幅方向の位置が規制される。キャップ40は、第1の蓋体1のキャップ係合部15に嵌め込まれており、キャップ40の前面2ケ所に設けられた薄肉部41は第1の蓋体1に形成された係合突起部17と軽く当接している。そして、キャップ40の凹部40Aの両端に位置する端面42は、側壁部10B、10Bのストッパー部16に当接している。その結果、キャップ40は2ケ所の突起17及び2ケ所のストッパー部16に隙間なく挟持され、C,D方向に移動できないように固定されている。またケースの幅方向には、僅かの隙間を開けて摺動用突起部18が存在し、キャップ40がケースの幅方向に大きく移動しないようになっている。
一般的に落下等の衝撃やケースを外部から押圧したときにその力は内部のPCカードを支持している箇所に作用し、PCカードを支持する構成によっては、PCカードに強い曲げ応力、せん断力やねじりが作用することがある。例えば、PCカードの中央部には通常内部に基板や電気部品が実装されており、その部分を支持しているとその部分に外力が作用し、場合によっては内部の基板や電気部品が破損することも生じる。
図13はケースを閉じたときの支持部14、押止部22とPCカード30の断面図を示す。図13にて、PCカードの中央部の5mmの厚肉部は、第1の蓋体1及び第2の蓋体2と十分な隙間があり、外力等が作用してケースが変形してもPCカード30の厚肉部にケースが当接しないように構成することにより、PCカードの内部の基板や電気部品に直接外力が作用しなくなる。そして、PCカード30のレール摺動部34は一般的に金属や樹脂等で構成されたフレーム部であり強度的に強い。この部分を支持部14と押止部22で上下から同じ位置でレール摺動部34を挟み込むことにより、この部分に圧縮力は作用するがせん断力は作用せず破壊しにくくなる。また本構成にすることによりPCカードは中央部には外力が直接作用しにくくその結果内部の基板や電気部品が壊れにくくなる。
図1〜図3において23は係止片であり、この係止片23が形成されている壁部19とともに、ケースを閉じたときに第1の蓋体1の側壁部10Bに形成された溝部12と係合してケースを閉じたときの第1の蓋体1と第2の蓋体2の互いの位置を規制している。
以上のように構成されたキャップ付きケースについて、以下使用方法を説明する。
まず、PCカードをケースから取出すときに、PCカードにキャップが付随する第1の形態について説明する。
図1、図2の状態では、前述したように、PCカード30は第1の蓋体1の支持部14に支持されている状態であり、PCカード30をA方向(PCカード30が天板1Aから離れる方向)に移動させると、その移動を妨げるものがないために、PCカード30は第1の蓋体1からA方向に離脱可能である。PCカード30をA方向に移動させると、キャップ40はPCカード30の端部に圧入されてPCカード30から外れないため、PCカード30と一体になってA方向に移動しようとする。第1の蓋体1のキャップ係合部15は、前述のように係合突起部17及びストッパー部16でキャップ40を隙間なく挟持しており、更に幅方向には摺動用突起部18が存在するため、キャップ40はA方向以外の方向には移動できない。A方向に移動しようとすると、キャップ40は係合突起部17及びストッパー部16で挟持されている結果、移動を妨げる摩擦力が作用するがその摩擦力は大きくなく、摩擦力以上の力で移動させるとA方向に移動できる。その結果、キャップ40を装着したPCカードの形態で、キャップ40がケースから取出すことが可能となる。摩擦力は、ケースをひっくり返したときに、PCカードが落下するのを防ぐため、PCカードの自重以上の適切な値となるように係合突起部17の突き出し量を設定するとよい。
なお、外端側の側壁部10Aと内端側の側壁部10Bの間が連続していないので、PCカード30をA方向に持ち上げるときに、PCカード30のレール摺動部34を指でつまみやすくなる。
図8はPCカードがキャップを装着した状態で取り出されたときの斜視図である。PCカード30の端子部31の保護のみ注意すればよいときは、キャップ40はケースよりもコンパクトのため、この状態で持ち運び、放置しておくことができ便利である。その後PCカード30を使用するときは、手でキャップ40をPCカード30から外し、図示しないホスト側の機器に挿入する。取り外したキャップ40は、キャップ単体で保管してもよいが、キャップは小さくて紛失し易いので、第1の蓋体1のキャップ係合部15に係合させておくとケースと共に保管できるのでキャップ40のみ紛失するということがなくなる。
キャップを取付けた状態のPCカード30をケースに収納するときは、ケースを開いた状態で図8のB方向(PCカード30が天板1Aに近づく方向)に移動させてPCカード30を第1の蓋体1に嵌め込む。突起部11、17、18、ストッパー部16の上側端面は面取を施すことにより、PCカード30、キャップ40が挿入しやすくなる。挿入後、PCカード30は支持部14に支持されて装着が完了する。そのとき、キャップ40は前述のように係合突起部17及びストッパー部16で挟持されキャップ係合部15に固定される。その結果、PCカード30はキャップ40を介して第1の蓋体1に固定される。
そしてケースを閉めて第2の蓋体2の係合孔8に第1の蓋体1の係止部6を係合すると、第2の蓋体2のストッパー片24がPCカード30の背面35とほぼ当接するため、PCカード30がキャップ40から抜け落ちてケースの背面方向(C方向)に移動するということはない。以上によりPCカードの収納が完了し、図4の状態となる。
なお、キャップ40を予めキャップ係合部15に収納して、PCカードのみをケースに収納する場合は後述する。
次に、PCカードをケースから取出すときに、キャップ40をキャップ係合部15に嵌め込んだ状態にして、PCカードにキャップ40を装着しない第2の形態について説明する。
図1、図2の状態から、指をPCカード30の天板に接触させてPCカード30を支持部14に軽く押し当て、その状態でPCカードを図1のC方向に移動させると、PCカードは支持部14及びレール部13上を摺動してC方向に移動する。このとき係止部6はPCカード30の下面よりも低い位置にあり、第1の蓋体1の外端部にもPCカードの移動を妨げる高い壁部や突起はないため、PCカード30は支持部14及びレール部13に支持された状態でC方向に移動可能である。他方、キャップ40はPCカード30の端部に圧入されており、PCカード30の移動に伴いC方向に移動しようとするが、キャップ40の端面42が第1の蓋体1のストッパー部16と当接しているため移動できない。さらに大きな力でPCカード30をC方向に移動させると、PCカード30のグランドプレート33とキャップ40のスラット44間の摩擦力よりもPCカード30を引き抜く力が大きくなり、キャップ40とPCカード30の嵌合が外れることになる。その結果、キャップ40は第1の蓋体1のキャップ係合部15内に留まり、PCカード30のみケースから取出すことが可能となる。図9はPCカードを引き出す途中の状態を示す斜視図、図10はPCカードを取出した状態を示す斜視図である。
図10において、キャップ40は第1の蓋体1のキャップ係合部15内に固定されたままの状態となる。図11にその平面図を示す。この状態でケースを閉じると、第2の蓋体2の固定部21がキャップ40を上から挟持し、衝撃等がケースに加わってもキャップがケースから外れないようになっている。
以上のようにC方向にPCカードを移動させることにより、キャップ40を取り外した状態でケースから取出すことができるため、PCカードをすぐに使用するとき等、キャップを必要としないときに便利である。また、キャップ40は、ケース内で固定されているため、ケースに衝撃等が加わってもキャップ40は移動せず、後述するようにPCカードをケースに収納するときにセットし直す必要はない。
また、PCカードを第1の形態でケースから取出した後、PCカード30から取り外したキャップ40を手でキャップ係合部15に嵌合したときも図10及び図11で示す状態となる。
PCカード30をケースに収納するときは、ケースを開けて図10の状態とし、まずPCカードを上から下方向に移動させてレール部13の上に当接させる。そのとき、図9のようにPCカードは所定の収納位置よりも少しC方向に移動した位置でレール部13または支持部14に当接させるとよい。その後、D方向に移動させる。PCカード30はレール部13及び支持部14上をD方向に移動可能である。キャップ40は前述のように予めキャップ係合部15内に固定されており、PCカード30をD方向に移動させることにより、PCカード30の先端部がキャップ40の凹部40Aに圧入して嵌合が完了する。このときPCカード30はレール部13及び支持部14の上を摺動するが、レール部13と支持部14の高低差がわずかであり滑らかに連続して形成されているため、摺動時にPCカード30が大きく傾斜したり引っかかったりすることはない。PCカード30がキャップ40に挿入する手前で、レール摺動部34の下面が4つの支持部14の上面と接するようにすることで4ケ所の支持部で支持され、PCカード30は所定の高さで位置が決まってキャップ40に挿入されることになる。
PCカード30の挿入が完了すると、キャップ40が第1の蓋体1のキャップ係合部15に固定されているため、PCカード30はキャップ40を介して第1の蓋体1に固定される。そしてケースを閉めて第2の蓋体2の係合孔8に第1の蓋体1の係止部6を係合すると、第2の蓋体2のストッパー片24がPCカード30の背面35とほぼ当接するため、PCカードがキャップ40から外れて背面方向(C方向)に移動するということはない。以上によりPCカードの収納が完了し、図4の状態となる。
なお、場合によってはキャップ40を失い、代替のキャップを準備する間、キャップ40が無い状態でケースに収納する場合も生じうる。図12は本発明のケースにキャップが無い状態で、PCカードを収納したときの平面図を示す。本発明のケースでは、キャップ40の前面両側に薄肉部41を設けて、第1の蓋体1に形成された係合突起部17に当接させている。そして、薄肉部41のキャップの厚みを最小限になるように形成しているため、キャップが無い状態のPCカードを装着したときは、その薄肉部の厚み分に等しい隙間が生じることになり、壁部9に係合突起部17を設けず、キャップ40に薄肉部41を形成しない構成と比較して、キャップ40が有る状態と無い状態での、PCカードの先端と壁部9との隙間の差を少なくできる。なお、薄肉部の厚みでキャップ全体を形成するとキャップ40の強度が弱くなる。本構成のようにキャップ40の一部に薄肉部41を設けることにより、キャップの全体の強度を損なうことなく、キャップの有無による隙間の差を少なくできる。なお、薄肉部は最小範囲内で形成するとよい。薄肉部41の位置は、どこに設けてもよいが、位置決めの精度上はなるべく両端に近い部分が望ましい。
また、薄肉部41は、溝状でなく孔を形成してキャップの前面を貫通し、PCカードのフレーム端部32と壁部9の内壁面に形成されたスパイク状の突起が当接するように構成することにより、キャップの有無にかかわらずケース内で同じ隙間関係を実現できることになる。孔を形成する場合は、端子部31と当接する位置に形成すると孔から端子部に埃、水分等が浸入してキャップの効果が損なわれるため、端子部両端のフレーム端部32に位置するように孔を形成するとよい。そうすることにより孔を開けても端子部31はキャップ40で塞がれたままであり、端子部31に埃や水分が端子部に入ることが防止できる。
なお、本実施例では、連結部3近くにキャップ係合部15を形成したが、反対側の外端部にキャップ係合部15を設けて、PCカード30を本実施例と逆方向から挿入する構成にしてもよいが、本実施例のように構成することにより、PCカードを第1の蓋体の天板1Aと平行な方向に挿入するときに連結部3や第2の蓋体2とPCカード30が当接しにくく、PCカード30の着脱がしやすいという特徴がある。
また、通常、係止部材7は手で開けるときに上側に向かって回動させて開けることが多く、第1の蓋体1が下側、第2の蓋体2が上側になる場合が多いと考えられる。下側の第1の蓋体1にPCカード30を装着するように構成することで、ケースを開くときに内部に装着されたPCカード30が落下することを防止できる。
また、前述したように、キャップ40は上下方向の方向性なくPCカード30に挿入可能であり、キャップ40はキャップ係合部15に対しても上下方向の方向性に関係なく挿入し固定できる。PCカード30もディンプル部及び先端部以外は上下方向の方向性がなく対称な形状のため、キャップ40及びPCカード30を第1の蓋体1に係合するときは上下の方向性に関係なく裏表どちら側でも装着でき取出すことが可能である。
また、本実施例では、突起部11、17、18、押止部22、ストッパー片24、支持部14は、蓋体と一体的に形成したが、各々ゴム等の弾性体を蓋体に接着手段等により接着してもよい。このように、構成することにより、弾性体が衝撃力を吸収しPCカードに伝わりにくいため、落下等の衝撃等に対しより強いケースを実現できる。また、突起部17、ストッパー片24は各々薄肉部41又はPCカードの端部32、背面35と当接可能に構成したが、部品の寸法ばらつき等を考慮して僅かの隙間を設けてもよい。
また、本実施例では、連結部3を第1の蓋体1及び第2の蓋体2の短辺側に設けたが、第1の蓋体1及び第2の蓋体2の長辺側に設けてもよい。
図14から16は、本発明の実施例2を示す。図14〜16は本発明の実施例2のキャップ及びPCカード30を示す斜視図である。図14〜16にて、100はキャップであり、実施例1と比較して両側に軸部101が一体的に形成されている点が異なる。110は第1の蓋体1のキャップ係合部の一部を構成する軸受部を示しており、この軸受部110に軸部101と係合可能な、A方向に開いた溝部111が形成されている。この構成にてPCカードをB方向に移動すると軸部101が溝部111に係合して、図15に示すように第1の蓋体1にPCカード30をセットした状態となる。この状態でPCカード30をA方向に移動させると、キャップ付の形態で取出すことが可能であり、C方向に移動させるとPCカードの本体は移動可能であるが、キャップ100は軸部101が溝111と係合しているためにC方向には移動できず、結果的にPCカード30のみC方向に移動し、キャップ100は溝部111に係合したまま第1の蓋体1に残ることになる。PCカードを取出すときに図16のようにPCカードを軸部を中心にして回転させ垂直に立てた状態にして、その後A方向に移動させることで、キャップ100の軸部101も溝110で移動を阻止されずにPCカードに装着された状態で取出すことが可能となる。なお、軸受部110は天板1Aから上方に離してキャップ係合部15に設けることにより、キャップ100が天板1Aにじゃまされずに垂直に回転させて立てることができる。
図17は本発明の実施例3を示す。図17は本発明の実施例3のキャップ及びPCカード30を示す斜視図であり、実施例2と比較して、キャップ105にB方向に開いた溝部106が形成され、第1の蓋体1のキャップ係合部の一部の軸受部115に軸部116が形成されている点が異なる。この構成でも、キャップ付のPCカード30をB方向に移動させることで、PCカード30がケースに収納でき、溝部106が軸部116と係合する。ケースから取出すときは、PCカードをA方向に移動させるとキャップ付の形態で、C方向に移動させると軸部116が溝部106と係合してキャップの移動を妨げるため、PCカード30のみ取出すことが可能となる。
本発明にかかるカード型携帯情報処理機器のキャップ付きケースは、ケースから取出すときにキャップの有無を使用者が選択できる使用勝手のよい且つ埃、水分、静電気、衝撃等に対して信頼性のあるキャップ及びケースを提供できることから、野外や様々な環境で使用されるPCカード等のカード型携帯情報処理機器において有用である。
本発明の実施例1のキャップ付PCカードを収納したケースの斜視図である。
本発明の実施例1のキャップ付PCカードを収納したケースの平面図である。
本発明の実施例1のケースの斜視図である。
本発明の実施例1のケースを閉じたときの斜視図である。
本発明の実施例1のキャップとPCカードの斜視図である。
本発明の実施例1のキャップとPCカードの斜視図である。
本発明の実施例1のキャップ付PCカードの斜視図である。
本発明の実施例1の第1の形態を示す斜視図である。
本発明の実施例1の第2の形態を示す斜視図である。
本発明の実施例1の第2の形態を示す斜視図である。
本発明の実施例1の第2の形態を示す平面図である。
本発明の実施例1のケースにPCカードを収納したときの斜視図である。
本発明の実施例1のケースとPCカードの断面図である。
本発明の実施例2のキャップ及びケースを示す斜視図である。
本発明の実施例2のキャップ及びケースを示す斜視図である。
本発明の実施例2のキャップ及びケースを示す斜視図である。
本発明の実施例3のキャップ及びケースを示す斜視図である。
符号の説明
1 第1の蓋体
2 第2の蓋体
3 連結部
6 係止部
7 係止部材
13 レール部
14 支持部
15 キャップ係合部
16 ストッパー部
17 係合突起部
21 固定部
22 押止部
30 PCカード
31 端子部
32 フレーム端部
33 グランドプレート
34 レール摺動部
36 ディンプル
40 キャップ
40A 凹部
41 薄肉部
42 端面
100 キャップ
101 軸部
105 キャップ
106 溝部
110 軸受部
115 軸受部
116 軸部