JPS6243911Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、たとえば自動二輪車に用いられる
ような油圧緩衝用のフロントフオークに関する。

従来のフロントフオークは、強衝撃や強振動を
吸収する反面、小さな衝撃および振動に対しては
対処することが十分でなかつた。

そこでこの考案は通常の緩衝機能に加えて路面
よりの小さな振動をも吸収して常に乗心地の良い
緩衝機能を発揮する油圧緩衝用のフロントフオー
クを提供するものである。

以下この考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。図面は自動二輪車に使用されるフロントフ
オークを示し、第１図に示すようにフオークパイ
プ１はその上端がフオークボルト２によつて閉鎖
され、下部がボトムケース３に摺動自在に嵌挿支
持されて、車体の緩衝すべき部材間にこれらフオ
ークボルト２とボトムケース３が連結されて周知
の緩衝機能が得られるものであつて、このフオー
クパイプ１の中空形成された内孔１０内に緩衝用
の油と空気５およびこれらを仕切るフリーピスト
ン６と、そのフリーピストン６を油室１２側と空
気室１１側との中立位置に上下より保持する上下
スプリング７，８と、フリーピストン６で仕切ら
れた油室１２側を連通し、且つバルブ１４より圧
縮空気を導入するための連通管１６とが内蔵され
ている。

上述のフリーピストン６は、中空の円板状に形
成され、その内外周囲にそれぞれＯリング１７，
１８が周設されて後述する連通管を挿通した状態
でフオークパイプ１内に内嵌される。これによ
り、フリーピストン６の上方に空気室１１を、下
方に油室１２をそれぞれ気密に分離して形成して
いる。

そして、空気室１１側には上スプリング７が内
嵌され、油室１２側には下スプリング８が内嵌さ
れてフリーピストン６は内孔１０の軸線方向に弾
性的に支持され、通常は下スプリング８の上面に
載つた状態にあつて、上スプリング７はフリーの
状態にある。

上述の連通管１６はフオークボルト２の下面中
央に垂設され、フオークパイプ１に装着したとき
にその下端開口部２４がフリーピストン６を縦貫
した油室１２側に延びた状態に設けられる。これ
により、フリーピストン６は連通管１６を気密に
嵌挿し、その軸線方向に摺動自在な状態にあり、
また連通管１６の下端周囲に形成された鍔状のピ
ストン受け１９およびその上面に設けたＯリング
２０によつて連通管１６からの抜止めが防止され
る。このためフリーピストン６は連通管１６の垂
設された長さ内で上下動し、その長さはフリーピ
ストン６が上動したときに空気室１１内での空気
圧縮作用が十分得られる長さに設定する。

そして、連通管１６の内部通路２１は、油室１
２側に臨んだ下端開口部２４よりその上方のフオ
ークボルト２に取付けた圧縮空気導入用のバルブ
１４と連通して設けられる。一方、フオークボル
ト２に取付けられたエアーバルブ２２と外部に設
けたサブタンク１５との間はゴム等の弾性材で形
成された連通パイプ２３で接続してサブタンク１
５と空気室１１とを連通する。なお、サブタンク
１５は外部の他部材に適宜の固定手段によつて固
着するが、サブタンクをフオークパイプと一体形
成して設けてもよい。また油室１２にバルブ１４
を介して導入される圧縮空気の圧力を適宜調整す
ることにより油室１２内の油のキヤビテーシヨン
を防止することができる。１３はスプリング受け
で、緩衝時に上スプリング７の上端面を係止す
る。２５はサブタンク１５内の圧縮空気調整用の
プラグである。なお、上スプリング７に代えてゴ
ムまたは樹脂製のストツパーラバー等の他の弾性
体を用いてもよい。

このように構成されたフロントフオークは、通
常の路面よりも強緩衝等に対してはフオークパイ
プ１とボトムケース３との接続による周知の緩衝
油の減衰作用に基づいて減衰機構（図面省略）に
よつて緩衝され、また小さな衝撃や振動等に対し
てはフリーピストン６の部分で緩衝される。すな
わち、小さな衝撃に対しフリーピストン６は、内
部の油４が押上げられるとともに上方に移動して
空気室１１の空気を圧縮する。その際、空気室１
１内の空気は連通パイプ２３を通つてサブタンク
１５で同時に空気の圧縮作用が行なわれる。これ
らの両空気圧縮作用に基づいて空気反力によつて
微衝撃、微振動等は確実に吸収され、車体等の乗
心地は確実に向上する。また、このとき、フリー
ピストン６は上スプリング７で弾性的に緩衝され
つつ上方に移動するため、上方のフオークボルト
２等に対し急激な内部衝撃を及ぼすこともない。
また、フリーピストン６の降下時はピストン受け
用のＯリング２０によつて弾性的に受け止められ
る。

このように小さな衝撃等に対し、フオークパイ
プ内の空気室とサブタンク内のそれぞれの空気反
力をその緩衝機能に活用すべく構成してあるた
め、いかなる振動をも吸収でき、また、油室側の
圧縮空気圧力を調整することによりキヤビテーシ
ヨンも防止でき、極めて緩衝能力の高いフロント
フオークとなる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は油
圧緩衝用のフロントフオークを示す要部縦断正面
図である。 １……フオークパイプ、３……ボトムケース、
４……油、５……空気、６……フリーピストン、
７……上スプリング、８……下スプリング、１１
……空気室、１２……油室、１５……サブタン
ク、１６……連通管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 緩衝用の油と空気とを内蔵するフオークパイプ
   をボトムケースで摺動自在に支持した油圧緩衝用
   のフロントフオークにおいて、前記フオークパイ
   プ内のその軸線方向に油室側と空気室側とに仕切
   るフリーピストンを設け、前記フリーピストンを
   その軸方向に摺動自在にしてフオークパイプ内の
   中立位置に弾性体で保持し、そのフリーピストン
   を介した油室側と連通する連通管をこのフオーク
   パイプ内に垂設するとともに、外側に設けたサブ
   タンクと空気室とを連通パイプで接続した、油圧
   緩衝用のフロントフオーク。