JPS6056930B2 - スポツトタイプデイスクブレ−キ用ブレ−キシユ−支持装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はスポットタイプディスクブレーキ用ブレーキ
シュー支持装置に関する。

この発明に係わるブレーキシュー支持装置はブレーキシ
ューと、互いに離間して位置する２個の支持材を備えて
いる。

そして、ブレーキシューはブレーキ作動の方向に両支持
材上を摺動自在に案内されるようになつており、また、
ブレーキディスクの周方向の両端が両支持材にしつかり
と連結されている。ブレーキカが増加されると、ブレー
キシューに生じた摩擦力が両支持材に伝達されることに
より、両支持材はブレーキシューの均一な摩耗を確保す
ることがてき、又、両支持材に摩擦力が適切に配分され
ることにより、これら支持材を有効に利用することがで
きる。西独特許公告公報第１５７５９２鰻に開示された
スポットタイプディスクディスクブレーキによれば、ブ
レーキシュー支持装置は２個の支持ボルトを備えている
。

これら支持ボルトはブレーキハウジングに取外し可能に
ねじ止めされており、バッキングプレートの孔内に夫々
遊嵌されている。そして、これら２個の孔の中心間距離
は支持ボルトの最大の弾性変形量だけ、２個の支持ボル
トの中心間距離よりも小さくなつている。このような公
知のブレーキシュー支持装置は、摩擦力を受ける支持ボ
ルトを取り外さなければブレーキシ五−の交換をなすこ
とができない欠点を有している。

即ち、ブレーキシューの交換の際にはブレーキの機能を
確保する上で、しつかりと取付けられている多数の支持
ボルトを取外す必要がある。従つて、ブレーキシューの
交換は複雑なものとなり、この交換によつてブレーキの
機能が損われる場合ある。更に、支持ボルトがねじ止め
されることから、これら２本の支持ボルトの中心間距離
の寸法交差が大きな場合には各支持ボルトに所望の比率
の摩擦力を確実に分配できないおそれがある。また、別
の公知例として英国特許第９３８９７７号があり、この
特許におけるブレーキシュー支持装置はブレーキディス
クの外周を跨いで互いに離間した平板タイプの２個のキ
ヤリパを備えている。

これらキヤリパはブレーキディスクに面する、夫々の側
に凹所を有しており、これら凹所にはバッキングプレー
ト及びブレーキシューからなるブレーキシュー体が収納
されている。ブレーキシュー体のバッキングプレートに
はキヤリパにしつかりと係合させるために、、径方向内
方縁及び外方縁に夫々スロットを有している。この公知
の構成では、ブレーキ作動の際、ブレーキシューに生じ
る摩擦力は夫々のキヤリパに伝達されることになる。し
かし、摩擦力が作用する方向でのキヤリパ自体の剛性は
小さく、キヤリパは側壁構造をなすバッキングプレート
を配設することによつてのみ、摩擦力に対し耐えるのに
必要な剛性を得ている。このため、ブレーキシューはキ
ヤリパに対して摺動しづらくなり、ブレーキを確実に作
動させることが困難となる。更に、ブレーキシューの交
換には取付けねじを外してブレーキディスクからキヤリ
パを持上げなければならない。この発明の目的は、ブレ
ーキ作動の際、ブレーキシューに生じる摩擦力をブレー
キディスクを跨ぐ一対の支持材に均等に分配できるとと
もに、ブレーキディスクの径方向から容易にしてブレー
キシューの取付け及び取外しが可能となるスポットタイ
プディスクブレーキ用ブレーキシュー支持装置を提供す
ることにある。

この発明のブレーキシュー支持装置によれば、ブレーキ
ディスクの周方向に離間した一対の支持材を備え、これ
ら支持材にはブレーキの作動方向に延び、且つブレーキ
ディスクの径方向外側に開口した摺動案内溝が形成され
ている。

これら支持材の摺動案内溝にはブレーキシュー体の両端
に設けられた摺動肩部が夫々ブレーキの作動方向に案内
されるが、各摺動案内溝におけるブレーキシュー体の中
央より遠い側の第１の壁面はブレーキディスクの外周面
から径方向外側に延びているとともに、各摺動案内溝に
おける第１の壁面と対向する第２の壁面はブレーキディ
スクの外周面から径方向内側で且つブレーキシュー体の
径方向幅中央よりも内方に位置している。そして、ブレ
ーキ作動の際、一方の支持材における摺動案内溝の第１
の壁面はブレーキシュー体における一方の摺動肩部の端
面蕃支持し、他方の支持材における第２の壁面はブレー
キシュー体の他方の摺動肩部の径方向内側の部位を支持
するようになつている。従つて、土述したこの発明のブ
レーキシュー支持装置によれば、ブレーキ作動の際、ブ
レーキシュー体の一方の摺動肩部が一方の支持材におけ
る第１の壁面に支持され、且つブレーキシュー体の他方
の摺動肩部が他方の支持材における第２の壁面に支持さ
れることになる。よつてブレーキ作動の際には、ブレー
キシュー体に生じる摩擦力を両支持材に分配して伝達す
ることができる。この結果、ブレーキ作動時におけるブ
レーキシュー体の』摺動案内を円滑に行なえるとともに
、ブレーキシュー体の摩耗を周方向に均一にすることが
できる。また、この発明のブレーキシュー支持装置によ
れば、各摺動案内溝の第１の壁面がブレーキデイ門スク
の外周面から径方向外側に延びているとともに、各摺動
案内溝の第２の壁面がブレーキディスクの外周面から径
方向内側で且つブレーキシュー体の径方向幅中央よりも
内方に位置していることから、ブレーキ作動の際、ブレ
ーキシュー体の両）摺動肩部が両支持材の対応する第１
及び第２の壁面に支持されると、ブレーキシュー体には
このブレーキシュー体を支持材に押付けるようなモーメ
ントが働くことになる。

このため、両支持材上においてブレーキシュー体を保持
するための保持手段を別に設ける必要がなく、しかも、
各支持材の摺動案内溝がブレーキディスクの径方向外側
に向かつて開口されていることから、ブレーキシュー体
の組付け及び取外しをブレーキディスクの径方向から容
易になすことができる。以下、図面を参照してこの発明
の一実施例を説明する。

図示された実施例は、自動車に使用されるフローテイン
グキヤリパ形のスポットタイプディスクディスクブレー
キを示しており、このディスクブレーキはブレーキキャ
リア１を有している。このブレーキキャリア１はブレー
キディスク２（第２図参照）に対し移動しないように自
動車のステアリングナックルに固定されている。ブレー
キキャリア１は、ブレーキディスク２の両側に夫々配置
された両ブレーキシュー体及びブレーキキヤリパ５を軸
方向に摺動自在に案内して支持するサポートガイドを有
している。

ブレーキキヤリパ５はブレーキディスク２及びブレーキ
シュー体のブレーキシュー３，４を外側からＵ字形に囲
んている。ブレーキキャリア１のガイドサポートは２個
の支持材６，７を有している。

これら支持材６，１はブレーキディスク２の周方向に互
いに離間しているとともに、ブレーキディスク２の外周
を跨いでいる。これら支持体６，７のうち、一方の支持
材６においてはブレーキディスク２の一方のディスク面
側に摺動案内溝８を有しているとともに、ブレーキディ
スク２の他方のディスク面側にも摺動案内溝９を有して
いる。また、他方の支持材７においても、支持材６と同
様にブレーキディスク２の一方のディスク面側に摺動案
内溝１０を有しているとともに、ブレーキディスク２の
他方のディスク面側に摺動案内溝１１を有している。両
ブレーキシュー体におけるブレーキシューこ３，４のブ
レーキディスク２の周方向に位置する両端部、即ち両ブ
レーキシュー体のバッキングプレートの摺動肩部は摺動
案内溝８乃至１１内において夫々案内且つ支持されてい
る。支持材６の摺動案内溝８，９並びに支持材７のｑ摺
動案内溝１０，１１を形成する両壁面はブレーキディス
ク２の回転軸線と平行に延びる共通の面内に夫々形成さ
れている。

つまり、支持材６の摺動案内溝８，９並ひに支持材７の
摺動案内溝１０，１１は例えば１回のプローチ加工によ
り同時に機械加工されている。尚、第２の壁面は第１の
壁面に対して必ずしも平行である必要はなく、摺動案内
溝８乃至１１の開口を広げるように傾斜されていてもよ
い。摺動案内溝８，９を形成する第１の壁面１２は共通
の１つの壁面であり、また、摺動案内溝１０，１１を形
成する第１の壁面１３もまた共通の１つの壁面である。

摺動案内溝８乃至１１においつて、第１の壁面１２，１
３に対向する各摺動案内溝の第２の壁面は参照符号１４
乃至１７を付して夫々示されている。これら第２の壁面
１４乃至１７はブレーキディスク２の外周面２２よりも
径方向内側に位置しており、第２の壁面１４乃至１７７
からは各第２の壁面と交差する方向に第３の壁面２３乃
至２６が夫々連なつて形成されている。両ブレーキシュ
ー体のバッキングプレートは上記第３の壁面２３乃至２
６に載置されており、これらバッキングプレート両端の
摺動肩部は図にお』いて第１の壁面１２，１３の上縁ま
て延びた第１の肩１８乃至２１を有している。これら第
１の肩１８乃至２１におけるブレーキディスク２の周方
向外方に位置する端面３３乃至３６は夫々第１の壁面１
２，１３に当接可能となつている。また、摺動肩部はブ
レーキディスク２の径方向内方に延びた第２の肩１『乃
至２「を有しており、これら第２の肩１『乃至２「は第
２の壁面１４乃至１７に当接可能となつている。この実
施例の場合、バッキングプレートの摺動肩部における端
面３３乃至３６夫々と第１の壁面１２，１３夫々との間
の第１の隙間の大きさは、第２の肩１『乃至２「と第２
の壁面１４乃至１７夫々との間の第２の隙間の大きさに
等しいか若しくは僅かに大きく設定されている。このた
め、ブレーキの作動中、ブレーキシュー３，４に生じる
摩擦力はブレーキディスク２の回転回入側に位置する支
持材のみ、若しくは支持材６，７の両方に確実に伝達さ
れる。しかしながら、ブレーキディスク２の回転回出側
に位置する支持材のみに上記摩擦力が伝達されることは
ない。ブレーキキヤリパ５はブレーキキャリア１に対し
複数のガイドピン２７を介してブレーキディスク２の回
転軸線方向に摺動自在に連結されている。

これらガイドピン２７はブレーキキャリア１におけるブ
レーキディスク２から遠く離れた側に配置されている。
ブレーキキヤリパ５におけるガイドピン２７間には液圧
ブレーキ作動シリンダ２８が設けられている。この液圧
ブレーキ作動シリンダ２８のピストン３０はその前端面
がブレーキシュー４めバッキングプレートに直接当接さ
れている。ピストン３０の摺動面はラバーブーツ３１に
よつて保護されており、これにより、ピストン３０の摺
動面の損傷及び汚れが防止されている。液圧ブレーキ作
動シリンダ２８とは反対側のブレーキディスク２の側に
おいて、ブレーキキヤリバ５はブレーキシュー３におけ
るバッキングプレートの径方向外方の端面３７，３８に
板ばね３２により付勢されて載置されている。板ばね３
２はブレーキキヤリパ５に取付けられている。ブレーキ
シュー３におけるバッキングプレートの端面３７，３８
においては、ブレーキディスク２の回転軸線側の端縁か
ら支持面３９，４０が連なり、これら支持面３９，４０
はバッキングプレートの摺動肩部の端面３４，３５と平
行に延びている。こ−のような構成によれば、ブレーキ
キヤリパ５は、液圧ブレーキ作動シリンダ２８とは反対
側に位置するその係合面４１，４２が上記支持面３９，
４０によつてブレーキディスク２の周方向に拘束されて
いる。また、同時に、液圧ブレーキ作動シリンダ２８と
は反対側に位置するブレーキキヤリパ５の一部が支持面
３９，４０間に位置するため、ブレーキ作動の際、ブレ
ーキシュー３のバツキンクプレートの第１の肩１９，２
１に生じる曲げ応力を減少させことができる。つまり、
この実施例において、ブレーキキヤリパ５のブリッジ部
はブレーキシュー３におけるバッキングプレートの摺動
肩部つまり第１の肩１９，２１を連結するビームを構成
している（第７図参照）。従つて、ブレーキシュー３の
バッキングプレートとブレーキキヤリパ５とが組合わさ
れることによつて格子構造となり、この格子構造はバッ
キングプレートのみの単独構造よりも大きな曲げモーメ
ントに対して耐えることができる。この結果、ブレーキ
作動の際、ブレーキシュー３におけるバッキングプレー
トの摺動肩部つまり第１の肩１９，２１の変形はブレー
キシュー４におけるバッキングプレートの摺動肩部の第
１の肩１８，２０の変形よりも小さくでき、また、後述
するブレーキシュー４８におけるバッキングプレートの
摺動肩部の第１の肩の変形よりも僅かに大きくなるにす
ぎない。第７図において、Ｆはブレーキカ、Ｆａｆはブ
レーキディスク２の回転回入側に位置する支持材６ての
当接力、Ｆａｒはブレーキディスク２の回転回出側に位
置する支持材７での当接力、ｆはブレーキキヤリパ５を
介してブレーキシュー３に加えられる力を夫々示してい
る。従つて、ブレーキ作動の際に、最大の摩擦力がブレ
ーキシュー３に応じた場合でも、ブレーキシュー３のバ
ッキングプレートの第１の肩１９，２１は僅かな弾性変
形を受けるに過ぎない。一方、ブレーキシュー４のバッ
キングプレートはブレーキシュー３のバッキングプレー
トと同様な形状をなしいるが、しかしブレーキシュー４
における摺動肩部つまり第１の肩１８，２０はブレーキ
キヤリパ５に当接することがない。

この結果、ブレーキ作動の際に摩擦力が最大となるとき
、ブレーキシュー４におけるバッキングプレートの第１
の肩１８，２０はブレーキシュー３の第１の肩１１９，
２１よりも大きな弾性変形を受けることになる。尚、両
ブレーキシュー体の懸架について考えれば、これらブレ
ーキシュー３，４のバッキングプレートに生じる弾性変
形の大きさは逆になる。

つまり、ブレーキシュー４はブレーキシュー３よりもブ
レーキキャリア１の剛性の大きな領域にそのバッキング
プレートを介して懸架されているので、ブレーキ作動の
際に最大の摩擦力が生じたと１き、このブレーキキャリ
ア１の弾性変形はブレーキシュー３側よりもブレーキシ
ュー４側の方が小さいことになる。従つて、このような
ブレーキキャリア１の弾性変形に伴い、ブレーキシュー
３のバッキングプレートの摺動肩部よりもブレーキシ門
ユー４のバッキングプレートの摺動肩部の弾性変形の方
が小さいことになる。このようにブレーキシュー３，４
のバッキングプレートの摺動肩部における弾性変形が異
なるため、ブレーキキャリア１の異なる弾性変形効果を
バランスすることがでフきる。これにより、両ブレーキ
シュー体に関してはブレーキキャリア１に対する配置が
異なるにも拘らず、ブレーキ作動の際、ブレーキディス
ク２の周方向に同様な弾性変形をなすことになる。そし
て、ブレーキシュー３のバッキングプレートの背面はブ
レーキキヤリパ５の外側の脚部に当接されており、一方
、ブレーキシュー４のバッキングプレートの背面はピス
トン３０と当接可能であるばかりではなく、ブレーキの
非作動時においては、ブレーキキヤリパ５の内側の脚部
に当接されている。この発明に係わるブレーキシュー支
持装置の作動は第１及び第２図によソー層明確に理解す
ることができる。

第１及び第２図において、ブレーキディスク２は矢印４
３により示されるように反時計方向に回転されているも
のとする。合成された摩擦力が作用するその作用線４５
はブレーキシュー３，４の径方向幅の中央点４４を通過
してのびており、ブレーキディスク２に対し実質的に平
行となつている。ブレーキシュー３，４におけるバッキ
ングプレートの摺動肩部の端面３３乃至３６の夫々と第
１の壁面１２，１３夫々との間の第１の隙間が上記摺動
肩部の第２の肩１「乃至２１″夫々と第２の壁面１４乃
至１７の夫々の第２の隙間よりも大きいとすると、ブレ
ーキ作動がなされたとき、ブレーキシュー３，４のバッ
キングプレートの摺動肩部は第５図に示されるように、
先ず、ブレーキディスク２の回転回入側に位置する支持
材６の第２の壁面１４，１５に当接力Ｆａでもつて当接
されることになる。上述した合成摩擦力の作用線４５が
第２の壁面１４，１５における上縁よりも上方に位置し
ていることから、ブレーキディスク２の回転回出側に位
置する支持材７の第３の壁面２３，２４に対してブレー
キシュー３，４のバッキングプレートの摺動肩部を押圧
両一Ｆｒでもつて押圧するようなトルクＭがブレーキシ
ュー３，４のバッキングプレートに生起される。ブレー
キシュー３，４におけるバッキングプレートの摺動肩部
が上述した第２の壁面１４，１５に摩擦的に係合して当
接するため、これらパン；キングプレートの摺動肩部は
支持材６の第３の壁面２５，２６上の所定の位置に支持
される。尚、第５図において、ＦＩは初期のブレーキカ
を、ｅは摩擦力の作用線４５と当接力Ｆａの作用線との
間の距離を、また、Ｃはブレーキシュー３のパン１キン
グプレートの摺動肩部と支持材７の第１の壁面１３との
間のクリアランスを夫々示す。もし、支持材６の弾性変
形したのち、ブレーキシュー３，４におけるバッキング
プレートの摺動肩部の端面３５，３６が第６図に示され
るように、支持材７の第１の壁面１３に対し当接力Ｆａ
でもつて当接するならば、上記作用線４５よりも径方向
外側に第１の壁面１３が位置することから、支持材６の
第３の壁面２５，２６に対しブレーキシュー３，４のバ
ッキングプレートの摺動肩部を押圧力Ｆｒでもつて押圧
するようなトルクＭがブレーキシュー３，４のバッキン
グプレートに生じる。

従つて、このようなブレーキシュー３，フ４の懸架構造
によれば、大きな負荷が加わつても支持材６，７の第３
の壁面２３乃至２６上にブレーキシュー３，４のバッキ
ングプレートを夫々安全に支持することができる。ブレ
ーキシュー３，４のバッキングプレートは門左右対称な
形状をなしているので、ブレーキディスク２がいずれの
方向に回転されているときにでも同様に機能する。

特に、自動車のディスクブレーキにおいては、後進の際
のブレーキディスク２の回転方向に生じる最大の摩擦力
は前進の際に比・べて小さいので、この後進時の際の摩
擦力は１個の支持材でもつて充分に支えることができる
。従つて、前進の際のブレーキディスク２の回転方向で
みて、このブレーキディスク２の回転回入側に位置する
ブレーキシュー３，４におけるバッキングプレートの摺
動肩部のみに第２の肩１『，１９″を設ければ充分であ
る。上述した一実施例のブレーキシュー支持装置によれ
ば、ブレーキ作動の際にはブレーキディスク２の回転方
向でみて、先ずブレーキディスク２の回転回入側に位置
する支持材に摩擦力が加わる。

この後、ブレーキカが増大したとき、上記回転回入側の
支持材が弾性変形し、ブレーキディスク２の回転回出側
に位置する支持材の第１の壁面にブレーキシュー３，４
におけるバッキングプレートの摺動肩部が当接支持され
ることにより、上記摩擦力はこの回転回出側の支持材に
も加えられることになる。従つて、このようにブレーキ
作動時に生じる摩擦力は両方の支持材に分配して加えら
れることになり、ブレーキディスク２の回転回入側に位
置する支持材のみにブレーキ作動時の摩擦力が伝達され
ることはない。このことから、ブレーキ作動の際、両支
持材の摺動案内溝に沿つてなされるブレーキシュー３，
４におけるバッキングプレートの摺動案内を円滑に行え
、これにより、ブレーキシュー３，４においては周方向
に均一な摩耗を生じさせることが可能となる。また、こ
の実施例によれば、ブレーキ作動の際、ブレーキシュー
３，４のバッキングプレートは各支持材の第３の壁面２
３乃至２６に対して押圧されることから、ブレーキシュ
ー３，４のバッキングプレートを各支持材上に保持する
ための保持手段を別に設ける必要がない。

このようなことから、ブレーキシュー体の組付け及び取
外しをブレーキディスク２の径方向から容易になすこと
ができるばかりでなく、これらブレーキシュー体とブレ
ーキキヤリパ５とを１つのユニットとして着脱すること
ができる。尚、ブレーキシュー３，４のバッキングプレ
ートにおいては、ブレーキが作動されないとき、これら
バッキングプレートに僅かな予荷重を与えて、そのがた
つきを防止するような板ばね３２等の弾性手段のみを設
ければよい。更に、この実施例においては、ブレーキシ
ュー３，４におけるバッキングプレートの摺動肩部つま
り第１の肩１８乃至２１夫々と支持材６，７における第
１の壁面１２，１３夫々との間の第１の隙間の大きさが
バッキングプレートの摺動肩部つまり第２の肩１『乃至
２「夫々と支持材６，７における第２の壁面１４乃至１
７夫々との間の第２の隙間の大きさに等しいか若しくは
僅かに大きく設定されているが、しかしこれに限るもの
ではなく、第１の隙間が第２の隙間よりも僅かに小さく
とも同様な機能を発揮する。

即ち、第１の隙間が第２の隙間よりも僅かに小さな場合
には、ブレーキ作動の際、ブレーキシュー３，４におけ
るバッキングプレートの摺動肩部は先ずブレーキディス
ク２の回転回出側に位置する支持材の第１の壁面に当接
されることになるが、この後、ブレーキ力の増加に伴い
回転回出側に位置する支持材が弾性変形することにより
、ブレーキディスク２の回転回入側に位置する支持材の
第２の壁面にブレーキシュー３，４におけるバッキング
プレートの摺動肩部つまり第２の肩が当接することにな
る。従つて、このような場合においても、上述した一実
施例と同様に両方の支持材にブレーキ作動の際の摩擦力
を分配して加えることができる。第４図はこの発明の他
の実施例に係わるブレーキシュー体を示している。

この第４図のブレーキシュー体つまりバッキングプレー
ト両端の摺動肩部はブレーキキャリア１及び支持材６，
７の弾性変形を補償するように特に弾性的に形成されて
いる。第４のブレーキシュー体つまりブレーキシュー４
８がブレーキシユ３の代りに第１図乃至第３図に示され
たディスクブレーキに組込まれれば、ブレーキシュー４
８におけるバッキングプレート両端の摺動肩部５２，５
３はその支持面５４（背向面）を介してブレーキキヤリ
バ５に支持される。このため、ブレーキ作動の際に伝達
される摩擦力は、ブレーキシュー４８におけるバッキン
グプレートの本体と摺動肩部との間に形成されたリブ部
５７に対し引張り歪み又は引張り応力を生じさせるに過
ぎず、このバッキングプレートに弾性変形は生じない。
しかしながら、ブレーキシュー４８がブレーキシュー４
の代わりに使用されれば、このブレーキシユ４８におけ
るバッキングプレートの摺動肩部には第４図に一点鎖線
で示すように弾性変形が生じる。第４図に示されるよう
に、ブレーキ作動の際に、ポイント５１を通つて作用す
る摩擦力は、ブレーキシュー４８におけるバッキングプ
レートの右側即ちブレーキディスク２の回転回入側に位
置するリブ部５７及び摺動肩部の端面５５を介して一方
の支持材６に加えられ、そして、左側に位置するリブ部
５７及び摺動肩部の端面５６を介して他方の支持材７に
加えられることになる。ブレーキシュー４８におけるバ
ッキングプレートのリブ部５７には所望の弾性が得られ
るように凹所４９が形成されている。上述Ｌした端面５
５がリブ部５７の径方向内方に位置され、また、端面５
６がリブ部５７の径方向外方に位置されていることから
、ブレーキシュー４８におけるバッキングプレートの摺
動肩部５２，５３に曲げモーメントが作用される。この
曲げモーメ・ントはリブ部５７が弾性を有していること
により、小さな矢印で示される方向に一点鎖線で示され
る如くそのバッキングプレートの摺動肩部を弾性変形さ
せる。このブレーキシュー４８におけるバッキングプレ
ートの摺動肩部が支持材６，７の）摺動案内溝８乃至１
１内において引掛かるのを防止するため、端面５６にお
ける径方向内側の部位は切り欠かれた傾斜面５０として
形成されている。このような構成において、リブ部５７
の弾性は摩擦力が作用する方向へのブレーキシュー４８
のバッキングプレートの変位と他方のブレーキシユ側の
支持材の弾性変形とが一致するように適当に定められる
。摩擦力が作用する方向へのブレーキシュー４８のバッ
キングプレートの変位はその摺動肩部の支持面（背向面
）５４にブレーキキヤリパ５の係合面５４が当接される
ことにより制限される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示すブレーキシュー支持
装置の正面図、第２図は第１図のブレーキシュー支持装
置の平面図、第３図はブレーキキヤリイの斜視図、第４
図は他の実施例を示すブレーキシューの正面図、第５図
及び第６図は夫々ブレーキ作動の際のブレーキシュー体
と支持体との濤接状態を説明するための図、第７図はブ
レーキキヤリパと一方のブレーキシューとの組付けを説
明するための図である。 １・・・・・・ブレーキキャリア、２・・・・・・ブレ
ーキディスク、３，４・・・・・ブレーキシュー、５・
・・・・・ブレーキキヤリアパ、６，７・・・・・・支
持材、８，９，１０，１１・・・・・・摺動案内溝、１
２，１３・・・・・・第１の壁面、１４，１５，１６，
１７・・・・・第２の壁面、２３，２４，２５，２６・
・・・・第３の壁面、１８，１９，２０，２１・・・・
・摺動肩部の第１の肩、１８″，１９″，２『，２「・
・・・摺動肩部の第１の肩。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ブレーキディスクに対し、このブレーキディスクの
   周方向に互いに離間した一対の支持材と、各支持材にそ
   の両端部がブレーキ作動の方向に摺動案内される少なく
   とも１個のブレーキシュー体とを備えてなり、ブレーキ
   シュー体の摺動案内が上記各支持材の夫々にブレーキ作
   動の方向に沿つて形成された少なくとも１個の摺動案内
   溝と、ブレーキシュー体の両端に夫々設けられ、上記摺
   動案内溝に嵌合される径方向内側に延びた一対の摺動肩
   部とによりなされるスポットタイプブレーキ用ブレーキ
   シュー支持装置において、上記各支持材の摺動案内溝は
   ブレーキディスクの径方向外側に開口して形成されてお
   り、上記各摺動案内溝におけるブレーキシュー体の中央
   より遠い側の第１の壁面はブレーキディスクの外周面か
   ら径方向外側に延びているとともに、上記各摺動溝にお
   ける第１の壁面と対向する第２の壁面はブレーキディス
   クの外周面から径方向内側で且つブレーキシュー体の径
   方向幅中央よりも内方に位置されており、ブレーキ作動
   の際、一方の支持材における摺動案内溝の第１の壁面は
   ブレーキシュー体における一方の摺動肩部の端面を支持
   し、他方の支持材における摺動溝の第２の壁面はブレー
   キシュー体における他方の摺動肩部の径方向内側の部位
   を支持することを特徴とするスポットタイプディスクブ
   レーキ用ブレーキシュー支持装置。 ２ 前記各支持材は、第１及び第２の壁面に対し交差す
   る方向に第２の壁面に連なつて延び且つブレーキディス
   クの外周面よりも径方向内側に位置して、ブレーキシュ
   ー体の摺動肩部と係合される第３の壁面を有しているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載のスポット
   タイプディスクブレーキ用ブレーキシュー支持装置。 ３ 前記各支持材には、ブレーキディスクの回転軸線と
   平行にして且つ回転軸線に沿い直列的に配置された一対
   の摺動案内溝が形成されており、これら摺動案内溝の夫
   々にはブレーキディスクを挾むようにして位置付けられ
   た一対のブレーキシユー体が摺動案内されるように配置
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第２項に記
   載のスポットタイプディスクブレーキ用ブレーキシユー
   支持装置。 ４ 摺動案内溝の夫々は凹所によつて中断された連続溝
   からなり、各摺動案内溝の第１の壁面はブレーキディス
   クを跨ぐための凹所を有する連続した１つの壁面である
   ことを特徴とする特許請求の範囲第３項に記載のスポッ
   トタイプディスクブレーキ用ブレーキシュー支持装置。 ５ 第１の壁面と摺動肩部との間の第１の隙間は第２の
   壁面と摺動肩部との間の第２の隙間の大きさに等しいか
   若しくは第２の隙間よりも僅かに大きいことを特徴とす
   る特許請求の範囲第４項に記載のスポットタイプディス
   クブレーキ用ブレーキシュー支持装置。６ 各第２の壁
   面は、摺動案内溝を拡大するように第３の壁面の方向に
   傾斜されていることを特徴とする特許請求の範囲第４項
   に記載のスポットタイプディスクブレーキ用ブレーキシ
   ュー支持装置。 ７ 前記各支持材はブレーキキヤリパを浮動的に案内す
   る手段を有するブレーキキャリアによつて支持されてお
   り、一方のブレーキシュー体はブレーキキヤリパと隙間
   を残さずに当接される支持面を有していることを特徴と
   する特許請求の範囲第４項に記載のスポットタイプディ
   スクブレーキ用ブレーキシュー支持装置。 ８ 他方のブレーキシュー体は作動手段によつて直接に
   作動されることを特徴とする特許請求の範囲第７項に記
   載のスポットタイプディスクブレーキ用ブレーキシュー
   支持装置。 ９ 一方のブレーキシュー体は、ブレーキシュー体の本
   体と摺動肩部の一方との間を結ぶリブ部を有してなり、
   上記摺動肩部は組合わされる支持材にブレーキシュー体
   からの力を伝達するように第１及び第２の壁面のいずれ
   かに係合されるとともに、上記摺動肩部はリブ部からブ
   レーキディスクの径方向に延びる一対の背向面を有し、
   これら背向面の一方が支持面として形成されていること
   を特徴とする特許請求の範囲第７項に記載のスポットタ
   イプディスクブレーキ用ブレーキシュー支持装置。 １０ 前記リブ部は、ブレーキ作動の際の摩擦力が作用
   する下で、弾性変形可能に形成されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第９項に記載のスポットタイプディ
   スクブレーキ用ブレーキシュー支持装置。 １１ 前記ブレーキシュー体は本体と他方の摺動肩部と
   の間を結ぶリブ部を有してなり、上記摺動肩部は組合わ
   される支持材にブレーキシュー体からの力を伝達するよ
   うに第１及び第２の壁面のいずれかに係合されるととも
   に、上記摺動肩部はリブ部からブレーキディスクの径方
   向に延びる一対の背向面を有し、これら背向面の一方が
   支持面として形成されていることを特徴とする特許請求
   の範囲第９項に記載のスポットタイプディスクブレーキ
   用ブレーキシュー支持装置。 １２ 前記両リブ部は、ブレーキ作動の際の摩擦力が作
   用する下で、弾性変形可能に形成されていることを特徴
   とする特許請求の範囲第１１項に記載のスポットタイプ
   ディスクブレーキ用ブレーキシュー支持装置。 １３ 各第１の壁面の対向する各摺動肩部の面は、第２
   の壁面よりも上方の領域部分において第１の壁面に係合
   する第１の部分と、第１の壁面から離反するように傾斜
   した第２の部分とを有していることを特徴とする特許請
   求の範囲第１２項に記載のスポットタイプディスクブレ
   ーキ用ブレーキシュー支持装置。