【発明の詳細な説明】
ティッシュペーパーのかさ柔軟性を増強す
る方法及びその方法により得られる製品
発明の分野
本願は、柔軟性の増強された触感を有する、ティッシュペーパー、特にパター
ン圧縮(pattern densified)ティッシュペーパーに関する。本願は、特に水溶性
ポリヒドロキシ化合物で処理したティッシュペーパーに関する。
発明の背景
紙ウエブ又はシートは、ときにティッシュ又は紙ティッシュウエブ若しくはシ
ートと呼ばれ、現代社会に於いて広範囲の用途が見出されている。これらには、
紙タオル、美顔用ティッシュ及び生理用(又はトイレット)ティッシュのような
必需品が含まれる。これらの紙製品は、湿潤及び乾燥引張強度、水性液体の吸収
性(例えば、湿潤性)、低いリント性(lint properties)、望ましい嵩及び柔ら
かさを含む種々の望ましい性質を有し得る。製紙に於ける特別の挑戦は、これら
の種々の性質を適切にバランスを取って、優れたティッシュペーパーを提供する
ことであった。
柔らかさは、タオル製品のために多少望ましいけれども、美顔用ティッシュ及
びトイレットティッシュにおいて特に重要な性質である。柔らかさは、個々の紙
製品を手に持って、それで皮膚の上を擦り、それを手の中でくしゃくしゃにする
消費者によって認識される触感である。このような触感によって認識される柔ら
かさは、これらに限定されるものではないが、摩擦、可撓性及び平滑性並びにベ
ルベット、シルク又はフラノの感触といった主観的な言葉によって特徴付けるこ
とができる。この触感は紙のシートの可撓性又は剛性、ウエブの摩擦特性並びに
紙の表面の組織を含む幾つかの物理的特性の組合せである。
紙の剛性は典型的には、ウエブの乾燥引張強度及び/又は湿潤引張強度を増加
させるための努力によって影響を受ける。乾燥引張強度の増加は、隣接する製紙
繊維のヒドロキシル基の間の水素結合の適当な形成を確保するための機械的な方
法により又はある種の乾燥強力添加剤を含有させることによって行うことができ
る。湿潤引張強度は、典型的には、ある種の湿潤強力樹脂を含有させることによ
って増強される。この湿潤強力樹脂は、典型的にはカチオン性であり、製紙繊維
のアニオン性カルボキシル基の上に容易に付着され、これによって保持される。
しかしながら、乾燥引張強度及び湿潤引張強度を改良するために機械的手段及び
化学的手段の両方を使用することによって、より堅くより粗い感触で、柔らかさ
が少ないティッシュペーパーになり得る。
一般的に剥離剤(debonding agent)と呼ばれるある種の化学添加剤を、シート
形成及び乾燥の間に生じる自然の繊維−繊維間結合を妨害し、そうしてより柔ら
かい紙にするために、製紙繊維に添加することができる。これらの剥離剤は典型
的にはカチオン性であり、ティッシュペーパーを柔らかくする際にそれを使用す
ることに伴うある種の欠点を有する。幾つかの低分子量カチオン性剥離剤は、人
の皮膚と接触して過剰の刺激を起こし得る。より高い分子量のカチオン性剥離剤
は、低濃度でティッシュペーパーに適用することがより困難であり、またティッ
シュペーパーで望ましくない疎水性効果を有する傾向があり、例えば、低下した
吸収性及び特に湿潤性になる。これらのカチオン性剥離剤は繊維間結合を破壊す
ることによって作用するので、これらはまた、許容できる水準の引張強度を与え
るために、樹脂、ラテックス又はその他の乾燥強力添加剤を必要とするような程
度まで、引張強度を低下させ得る。これらの乾燥強力添加剤はティッシュペーパ
ーのコストを上昇させるのみならず、ティッシュ柔らかさへのその他の有害な影
響を有し得る。更に、多くのカチオン性剥離剤は生物分解性ではなく、それで環
境的特性に悪影響を与え得る。
カチオン性剥離剤の例には、公知のジアルキルジメチルアンモニウム塩(例え
ば、ジ獣脂ジメチルアンモニウムクロライド、ジ獣脂ジメチルアンモニウムメチ
ルサルフェート、ジ(水素化)獣脂ジメチルアンモニウムクロライド等)のよう
な慣用の第四級アンモニウム化合物が含まれる。しかしながら、前記のように、
これらのカチオン性第四級アンモニウム化合物は、シート形成及び乾燥の間に生
じる自然の繊維−繊維間結合を妨害することによって紙を柔らかくする。引張強
度を低下させることに加えて、これらの第四級アンモニウム化合物は、また、テ
ィッシュペーパーに望ましくない疎水性効果を有する傾向があり、例えば、結果
として、低下した吸収性及び湿潤性を与える。
ティッシュペーパーウエブを脱水し及び/又はその引張強度を増加させるため
に、機械的プレス操作が典型的にはティッシュペーパーウエブに適用される。機
械的プレスは、一般的なフェルトプレス紙の場合に於けるように、紙ウエブの全
領域に亘って起こり得る。更に好ましくは、脱水は紙がパターン圧縮されるよう
な方法で行われる。パターン圧縮された紙は、相対的に高い繊維密度の一定の圧
縮領域並びに相対的に低い繊維密度の高い嵩の領域を有している。このような高
い嵩のパターン圧縮紙は典型的には、ナックルのパターン化配置を有する有孔布
(fabric)によってそれに与えられる圧縮領域を有する部分的に乾燥した紙ウエブ
から形成される。例えば、1967年1 月31日発行の米国特許第3,301,746 号(Sanfo
rd et al)、1976年11月30日発行の米国特許第3,994,771 号(Morganら)及び198
5年7 月16日発行の米国特許第4,529,480 号(Trokhan)を参照されたい。
引張強度及び嵩の他に、このようなパターン化圧縮方法の他の利点は、装飾用
のパターンをティッシュペーパーに刻印することができることである。しかしな
がら、パターン化圧縮方法の固有の問題点は、ティッシュペーパーの布側、即ち
、製紙の際に有孔布と接触している紙表面が、布と接触していない側よりも粗い
と感じられることである。これは、本質的に、紙の表面から外側に突起を形成す
る高い嵩の領域のためである。粗さの触感を与えることができるものはこれらの
突起である。
これらの圧縮した、特にパターン化して圧縮したティッシュペーパーの柔らか
さは、植物油、動物油又は合成炭化水素油及び特に典型的にはシリコーン油と呼
ばれるポリシロキサン材料のような種々の薬剤で処理することによって改良する
ことができる。1990年9 月25日発行の米国特許第4,959,125 号(Spendel)の第1
欄第30〜45行を参照されたい。これらのシリコーン油は、ティッシュペーパ
ーに絹状で柔らかい感触を与える。しかしながら、幾つかのシリコーン油は疎水
性であり、処理したティッシュペーパーの表面湿潤性に悪影響を与え得る。即ち
、処理したティッシュペーパーは浮かぶことがあり、そのため流すと下水システ
ム
で廃棄問題を起こす。実際に、幾つかのシリコーン柔軟化紙は、シリコーンによ
って起こされた湿潤性に於けるこの低下を補うために他の界面活性剤で処理する
ことを必要とする。1991年10月22日発行の米国特許第5,059,282 号(Ampulskiら
)を参照されたい。
ティッシュペーパーは、また“乾燥ウエブ”添加方法により柔軟剤で処理され
てきた。このような方法の一つには、乾燥紙をワックス様柔軟剤の成形した塊の
一つの表面の上で移動させ、次いで摩擦作用によって柔軟剤を紙の表面上に堆積
させることが含まれている。1967年2 月21日発行の米国特許第3,305,392 号(Br
itt)(柔軟剤には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸エステル、ステアリルア
ルコールのようなステアリン酸石鹸、カルボワックスのようなポリエチレングリ
コール並びにステアリン酸及びラウリン酸のポリエチレングリコールエステルが
含まれる)を参照されたい。その他のこのような方法には、柔軟剤を含有する溶
液又はエマルジョンの中に乾燥紙を浸漬することが含まれる。1967年1 月3 日発
行の米国特許第3,296,065 号(O'Brienら)(柔軟剤として、ある種の脂肪族又
は芳香族カルボン酸の脂肪族エステル)を参照されたい。これら先行技術の“乾
燥ウエブ”添加法の潜在的な問題点は、柔軟化剤をあまり有効に適用できないか
又はティッシュペーパーの吸収性に潜在的に影響を与え得る方法で添加できるこ
とである。実際に、'392特許は、柔軟剤の移動する傾向を避けるためにある種の
カチオン性材料による望ましい変性を教示している。摩擦作用により又は紙を浸
漬することにより柔軟剤を適用することはまた、高速で作動す工業製紙システム
に適合させることが困難であろう。更に、これらの先行技術の“乾燥ウエブ”方
法で有用であると教示されている、柔軟剤のある種のもの(例えば、'065特許の
ピロメリト酸エステル)並びに共添加物(例えば、'532特許のジメチルジステア
リルアンモニウムクロライド)は生物分解性ではない。
従って、(1)柔軟化剤を添加するために“湿潤ウエブ”方法を使用し、(2
)抄紙機運転性に顕著に影響を与えることなく、工業的な製紙システムで実施す
ることができ、(3)無毒性で且つ生物分解性である柔軟剤を使用し、そして(
4)ティッシュペーパーの望ましい引張強度、吸収性及び低いリント性を維持す
るような方法で実施することができる方法によって、ティッシュペーパー、特に
高い
嵩のパターン圧縮ティッシュペーパーを柔軟化することができることが望ましい
であろう。
本発明の目的は、柔らかく吸収性のトイレットティッシュペーパー製品を提供
することである。
本発明の目的は、柔らかく吸収性の美顔用ティッシュペーパー製品を提供する
ことである。
本発明の目的は、柔らかく吸収性の紙タオル製品を提供することである。
本発明の別の目的は、柔らかく吸収性のティッシュ(即ち、美顔用ティッシュ
及び/又はトイレットティッシュ)及び紙タオル製品の製造方法を提供すること
である。
これらの及びその他の目的は、下記の開示を読むことによって容易に明らかに
なるように、本発明を使用して達成される。
発明の要約
本発明は柔らかく吸収性のティッシュペーパー製品を提供する。簡潔に言うと
、この柔らかいティッシュペーパー製品は、
a)湿式抄造セルロース繊維、及び
b)該ティッシュペーパーの乾燥繊維重量基準で、約0.01%〜約5%の水
溶性ポリヒドロキシ化合物、
を包含し、該ティッシュペーパーは約10〜約65g/m2の坪量及び約0.6
0g/cc未満の密度を有し、該ポリヒドロキシ化合物は湿潤ティッシュペーパ
ーウエブの少なくとも1個の表面に適用されている。
本発明は更にこれらの柔軟化したティッシュペーパーの製造方法に関する。こ
の方法には、
a)セルロース繊維を含有する水性スラリーを湿潤抄造してウエブを形成する
工程、
b)全ウエブ重量基準で約10%〜約80%の繊維濃度の該ウエブに、十分な
量の水溶性ポリヒドロキシ化合物を適用して、該構造物に嵩柔らかさを与える工
程、及び
c)該ウエブを乾燥し、クレープ化する工程、
が含まれる。
驚くべきことに、これらの非イオン性ポリヒドロキシ化合物は、本明細書に開
示した方法によって湿潤ティッシュペーパーウエブに適用したとき、カチオン性
保持助剤又は剥離剤の不存在下でも高い保有率を有することが見出された。ポリ
ヒドロキシ化合物は、それらがセルロース繊維に対してイオン的に実存的ではな
い条件下で湿潤ウエブに適用されるので、このことは特に予想外である。重要な
ことに、この湿潤ウエブ方法によって、ポリヒドロキシ化合物が紙ウエブの内部
に移動することが可能になり、そのためポリヒドロキシ化合物はティッシュペー
パーの吸収性及び柔らかさを向上させる作用をする。
驚くべきことに、顕著に改良されたティッシュの柔軟化の利点は、(例えば、
転換操作の間に)乾燥ウエブに適用したときと比較して、湿潤ウエブに適用した
とき遥かに低いこれらのポリヒドロキシ化合物の濃度によって得ることができる
ことが見出された。実際に、本明細書に開示された方法の重要な特徴は、ポリヒ
ドロキシ化合物の濃度が経済的に十分低いことである。
本発明により柔軟にされたティッシュペーパーは、良好な可撓性を有する。こ
れは、パターン化されたデザインを有するティッシュペーパーを含む、高い嵩の
パターン圧縮されたティッシュペーパーを柔軟にする際に特に有用である。驚く
べきことに、柔軟剤を、このようなパターン圧縮紙のより平滑な(即ち、ワイヤ
ー)側にだけ適用したときでも、処理した紙はなお柔らかいと認められる。本発
明は、速度を含む抄紙機運転性に顕著に影響を与えることなく、工業的な製紙シ
ステムで実施することができる。本発明の改良された柔らかさの利点は、また紙
の望ましい引張強度、吸収性(例えば、湿潤性)及び低いリント性を維持しなが
ら達成することができる。
本明細書に於ける全てのパーセント、比及び割合は、他に特定しない限り重量
基準である。
図面の簡単な説明
図1は、本発明によるパターン圧縮ティッシュペーパーの製造のために有用な
抄紙機の概略表示である。
図2は、本発明によるパターン圧縮ティッシュペーパーの製造のために有用な
抄紙機の概略表示である。ここで、本発明で使用することが意図される処理薬品
は、図1に示すものに対して代替となる方法によって適用される。
図3は、本発明による一般的にプレスしたティッシュペーパーの製造のために
有用な抄紙機の概略表示である。
図4は、本発明による一般的にプレスしたティッシュペーパーの製造のために
有用な抄紙機の概略表示である(ここで、本発明で使用することが意図される処
理薬品は、図3に示すものに対して代替となる方法によって適用される。)。
発明の詳細な説明
本明細書は、本発明とみなされる主題を特に指摘し、明瞭に請求する請求の範
囲で終わるけれども、本発明は、下記の詳細な説明及び添付する実施例を読むこ
とによりより良く理解することができると信じられる。
本明細書で使用するとき、用語“包含する”は、種々の成分、配合剤又は工程
が、本発明の実施で共同で使用され得ることを意味する。従って、用語“包含す
る”は、より限定的な用語“本質的になる”又は“からなる”を含む。
本明細書で使用するとき、用語“ティッシュペーパーウエブ”、“紙ウエブ”
、“ウエブ”、“紙シート”及び“紙製品”は、全て、水性製紙完成紙料を形成
する工程、この完成紙料を長網のような有孔表面上に堆積させる工程及び重力又
は真空補助排水により、プレスし又はプレスせずに、そして蒸発により完成紙料
から水を除去する工程からなる方法によって製造された紙のシートを指す。
本明細書で使用するとき、水性製紙完成紙料は、以下記載する製紙繊維及び薬
品の水性スラリーである。
本明細書で使用するとき、用語“濃度(consistency)”は、湿潤ティッシュウ
エブ中のセルロース系製紙繊維(即ち、パルプ)の重量パーセントを指す。これ
は、空気乾燥繊維重量を湿潤ウエブ重量で割る式で、湿潤ウエブ中のこの繊維材
料の重量パーセントとして表わされる。
本発明の第一段階は、水性製紙完成紙料の形成である。完成紙料は、製紙繊維
(以下、ときには木材パルプという。)からなる。全てのその変形に於いて木材
パルプは、通常、本発明で使用される製紙繊維からなると予想される。しかしな
がら、綿ライナー、バガス、レーヨン等々のような他のセルロース繊維パルプを
使用することができ、何れも放棄されない。ここで有用な木材パルプには、クラ
フトパルプ、亜硫酸パルプ、硫酸塩パルプのような化学パルプ、並びに、例えば
、粉砕木材、サーモメカニカル・パルプ及び化学的に変性したサーモメカニカル
・パルプ(CTMP)を含む機械パルプが含まれる。落葉樹及び針葉樹の両方か
ら得られたパルプが使用できる。また、前記のカテゴリーの何れか又は全て並び
に最初の製紙を容易にするために使用された充填材及び接着剤のような他の非繊
維性材料を含有しているかもしれないリサイクル紙から得られる繊維を、本発明
に適用することができる。好ましくは、本発明で使用される製紙繊維は、北部の
針葉樹材及び/又は熱帯広葉樹材から得られるクラフトパルプからなる。水性製
紙完成紙料は、後で説明するように長網のような有孔フォーミングキャリヤ上の
湿潤ウエブに形成される。(A)ポリヒドロキシ化合物
本発明には、必須構成成分として、ティッシュペーパーの乾燥繊維重量基準で
、約0.01%〜約5.0%、好ましくは0.1%〜約2.0%、更に好ましく
は約0.1%〜約1.0%の水溶性ポリヒドロキシ化合物が含有されている。
本発明で使用するために適した水溶性ポリヒドロキシ化合物の例には、グリセ
リン、約150〜約800の重量平均分子量を有するポリグリセリン並びに約2
00〜約4000、好ましくは約200〜約1000、最も好ましくは約200
〜約600の重量平均分子量を有するポリオキシエチレン及びポリオキシプロピ
レンが含まれる。約200〜約600の重量平均分子量を有するポリオキシエチ
レンが特に好ましい。上記のポリヒドロキシ化合物の混合物を使用することもで
きる。例えば、グリセリンとポリグリセリンとの混合物、グリセリンとポリオキ
シエチレンとの混合物、ポリグリセリンとポリオキシエチレンとの混合物等が、
本発明に於いて有用である。特に好ましいポリヒドロキシ化合物は、約400の
重量平均分子量を有するポリオキシエチレンである。この材料は、コネチカット
州、ダンベリーのユニオン・カーバイド社(Union Carbide Company of Danbury
,Connecticut)から商品名“PEG-400”で市販されている。(B)ティッシュペーパー
一般的に、本発明は、普通のフェルトプレスしたティッシュペーパー、前記の
Sanfor-Sisson による米国特許及びその後続特許に例示されているようなパター
ン圧縮ティッシュペーパー及び1974年5 月21日発行のSalvucci,Jr.の米国特許
第3,812,000 号により例示されているような高I嵩のコンパクト化しないティッ
シュペーパーを含むがこれらに限定されないティッシュペーパーに適用すること
ができる。このティッシュペーパーは均一構成又は多層構成のものであってよく
、それから製造されたティッシュペーパー製品は単一層構成又は多層構成のもの
であってよい。積層された紙ウエブから形成されたティッシュ構造物は、1976年
11月30日発行のMorgan,Jr.らの米国特許第3,994,771 号、1981年11月17日発行
のCarstensの米国特許第4,300,981 号、1979年8 月28日発行のDunning らの米国
特許第4,166,001 号及び1994年9 月7 日公開のEdwards らのヨーロッパ特許公開
第0 613 979 A1号に記載されており、これらの全てを引用してここに組み込む。
一般的に、湿式抄造複合材料の軟らかく、嵩高で吸収性の紙構造物は、好ましく
は異なった繊維種類からなる2又はそれ以上の完成紙料の層から製造される。こ
の層は好ましくは、薄い繊維、すなわちティッシュ製紙に使用するとき典型的に
は相対的に長い針葉樹材繊維及び相対的に短い広葉樹材繊維である繊維、のスラ
リーの別々の流れを、1又はそれ以上のエンドレス有孔スクリーンの上に堆積さ
せることから形成される。この層を次いで一緒にして、積層複合ウエブを形成す
る。次いでこの積層ウエブを、ウエブに対して液体力を適用することによって、
オープンメッシュ乾燥/刻印布の表面と一致させ、その後、低密度製紙方法の一
部として該布上で加熱して予備乾燥する。積層したウエブは、本質的に同一であ
ってよい各層の繊維種類又は繊維含有量に関して層に形成することができる。こ
のティッシュペーパーは好ましくは、10g/m2〜約65g/m2の坪量及び約
0.60g/cc又はそれ以下の密度を有する。好ましくは、坪量は約35g/
m2又はそれ以下であり、密度は約0.30g/cc又はそれ以下である。最も
好ま
しくは、密度は0.04g/cc〜約0.20g/ccである。
従来、プレスしたティッシュペーパー及びこのようなペーパーの製造方法は、
当該技術分野に於いて公知である。このようなペーパーは、典型的には、有孔フ
ォーミングワイヤの上に製紙完成紙料を堆積させることによって製造される。こ
のフォーミングワイヤはしばしば当該技術分野で長網と呼ばれている。完成紙料
がこのフォーミングワイヤ上に堆積されると、これはウエブと呼ばれる。このウ
エブをプレスすることによってウエブを脱水し、高い温度で乾燥させる。ここに
記載した方法によるウエブを製造するための特別の方法及び典型的な装置は当業
者によく知られている。典型的な方法に於いて、低濃度パルプ完成紙料が加圧さ
れたヘッドボックスに供給される。ヘッドボックスは、長網の上にパルプ完成紙
料の薄い堆積物を与えて、湿潤ウエブを形成するための開口を有している。次い
でこのウエブを典型的に、真空脱水により約7%〜約25%(全ウエブ重量基準
)の繊維濃度まで脱水し、ウエブを対向している機械的部材、例えば、円筒形ロ
ールによって加えられる圧力にかけるプレス操作によって更に乾燥させる。
次いで脱水したウエブを、更にプレスし、ヤンキードライヤーとして当該技術
分野で公知のスチーム加熱ドラム装置によって乾燥する。圧力を、ウエブに対し
てプレスする対向円筒形ドラムのような機械的手段によりヤンキードライヤーで
加えることができる。ウエブがヤンキー表面に対して押し付けられるように、真
空をウエブに適用することができる。多重ヤンキードライヤードラムを使用する
ことができ、それによって追加のプレスがドラムの間に任意に加えられる。形成
されるティッシュペーパー構造物を、以下、従来のプレスしたティッシュペーパ
ー構造物と呼ぶ。このようなシートは、ウエブが、繊維が湿った状態で実質的な
全体的機械的圧縮力を受け、次いで圧縮された状態で乾燥され(そして任意にク
レープ付与され)るので、固められていると考えられる。パターン圧縮ティッシ
ュペーパーは、相対的に低い繊維密度の相対的に高い嵩のフィールドと相対的に
高い繊維密度の圧縮帯域の列を有することによって特徴付けられる。高い嵩のフ
ィールドはまた、ピロー(pillow)領域のフィールドとして特徴付けられる。圧
縮帯域はまた、ナックル(knuckle)領域と呼ばれる。圧縮帯域は、高い嵩のフィ
ールド内で分離して空間があけられていてよく又は高い嵩のフィールド内で完全
に又は部分的に、相互連結していてよい。パターン圧縮ティッシュウエブの好ま
しい製造方法は、1967年1 月31日にSanford 及びSissonに対して発行された米国
特許第3,301,746 号、1976年8 月10日にPeter G.Ayersに対して発行された米国
特許第3,974,025 号、1980年3 月4 日にPaul D.Trokhan に対して発行された米
国特許第4,191,609 号、1987年1 月20日にPaul D.Trokhan に対して発行された
米国特許第4,637,859 号、1990年7 月17日にWendt らに対して発行された米国特
許第4,942,077 号、1994年9 月28日に公開されたHylandらのヨーロッパ特許公開
第0 617 164 A1号、1994年9 月21日に公開されたHermans らのヨーロッパ特許公
開第0 616 074 A1号に開示されており、これらの全てを引用してここに組み込む
。
一般的に、パターン圧縮ウエブは好ましくは、製紙完成紙料を長網のような有
孔フォーミングワイヤの上に堆積して湿潤ウエブを形成させ、次いでこのウエブ
を支持体の列に近接させることによって製造される。ウエブを支持体の列に対し
てプレスし、それにより支持体の列と湿潤ウエブとの間の接触点に幾何学的に対
応する位置でウエブ内の圧縮帯域になる。この操作の間に圧縮されないウエブの
残りの部分は、高い嵩のフィールドと呼ばれる。この高い嵩のフィールドを、真
空型装置若しくはブロースルードライヤーによるような流体圧力を適用すること
によって更に脱圧縮することができる。このウエブは、高い嵩のフィールドの圧
縮を実質的に避けるような方式で脱水され、任意に予備乾燥される。これは好ま
しくは、真空型装置若しくはブロー・スルー ドライヤーによるような流体圧力
によって又は支持体の列に対してウエブを機械的に押し付けることによって行わ
れる。この際、高い嵩のフィールドは圧縮されない。脱水、任意の予備乾燥及び
圧縮帯域の形成の操作は、纏めて又は部分的に纏めて、実施する処理工程の全体
の数を減少させることができる。圧縮帯域の形成、脱水及び任意の予備乾燥に続
いて、好ましくはなお機械的プレスを避けながら、ウエブを完結まで乾燥させる
。好ましくは、ティッシュペーパー表面の約8%〜約55%が、高い嵩のフィー
ルドの密度の少なくとも125%の相対密度を有する圧縮ナックルからなる。
支持体の列として好ましくは、圧力をかけて圧縮帯域の形成を容易にする支持
体の列として作用するナックルのパターン化変位を有する刻印支持体布である。
ナックルのパターンは、前に参照された支持体の列を構成する。刻印支持体布は
1967年1 月31日発行のSanford 及びSissonの米国特許第3,301,746 号、1974年5
月21日発行のSalvucci Jr.らの米国特許第3,821,068 号、1976年8 月10日発行の
Ayers の米国特許第3,974,025 号、1971年3 月30日発行のFriedberg らの米国特
許第3,573,164 号、1969年10月21日発行のAmneusの米国特許第3,473,576 号、19
80年12月16日発行のTrokhan の米国特許第4,239,065 号及び1985年7 月9 日発行
のTrokhan の米国特許第4,528,239 号に開示されており、これらの全てを引用し
てここに組み込む。
好ましくは、完成紙料を最初に、長網のような有孔フォーミング支持体の上で
湿潤ウエブに形成する。このウエブを脱水して、刻印布に移す。その代わりに、
完成紙料を最初に、刻印布としても作用する有孔保持支持体の上に堆積させても
よい。形成されると、湿潤ウエブを脱水し、好ましくは、約40%〜約80%の
選択された繊維濃度まで加熱して予備乾燥する。脱水は、吸水室若しくは他の真
空装置で又はブロー・スルー ドライヤーで実施することができる。刻印布のナ
ックル模様は、前記のようにしてウエブに押し付けられ、その後ウエブを完結ま
で乾燥する。これを達成する一つの方法は、機械的圧力を掛けることによる。こ
れは、例えば、ウエブをニップロールと乾燥ドラムとの間に配置しながら、刻印
布をヤンキードライヤーのような乾燥ドラムの面に対して支持するニップロール
を押し付けることによって行うことができる。また、好ましくは、乾燥が完結す
る前に、吸水室のような真空装置で又はブロー・スルー ドライヤーで流体圧力
を適用することによって、ウエブを刻印布に対して成形する。流体圧力は、初期
の脱水の際、別の次の処理段階で又はこれらの組合せで、圧縮帯域の押し付けを
誘導するように適用することができる。
コンパクト化しないパターン無し圧縮ティッシュペーパー構造物は、1974年5
月21日にJoseph L.Salvucci Jr.及びPeter N.Yiannosに対して発行された米国
特許第3,812,000 号及び1980年6 月17日にHenry E.Becker 、Albert L.McConn
ell 及びRichard Schutte に対して発行された米国特許第4,208,459 号に記載さ
れており、この両方を引用してここに組み込む。一般的に、コンパクト化しない
パターン無し圧縮ティッシュペーパー構造物は、剥離剤を含有する製紙完成紙料
を長網のような有孔フォーミングワイヤの上に堆積させて、湿潤ウエブを形成し
、ウエブを排水し、ウエブが少なくとも80%の繊維濃度を有するまで機械的圧
縮無しに追加の水を除去し、ウエブをクレープ付与することによって製造される
。水は、真空脱水及び熱乾燥によってウエブから除去される。得られる構造物は
比較的コンパクト化されていない繊維の柔らかいが弱い嵩の高いシートである。
結合材料は好ましくは、クレープ付与の前にウエブの部分に適用される。
コンパクト化したパターン無し圧縮ティッシュ構造物は、当該技術分野で従来
のティッシュ構造物として一般的に知られている。一般的に、コンパクト化した
パターン無し圧縮ティッシュペーパー構造物は、製紙完成紙料を長網のような有
孔ワイヤの上に堆積させて、湿潤ウエブを形成し、ウエブを排水し、ウエブが2
5〜50%の濃度を有するまで均一な機械的圧縮(プレス)によって追加の水を
除去し、ウエブをヤンキーのような熱乾燥器に移し、そしてウエブをクレープ付
与することによって製造される。全体的に、水は、真空、機械的プレス及び加熱
手段によってウエブから除去される。得られる構造物は強く、一般的に優れた密
度のものであるが、嵩、吸収性及び柔らかさに於いて非常に低いものである。
本発明のティッシュペーパーウエブは、柔らかく吸収性のティッシュペーパー
ウエブが必要である全ての応用製品で使用することができる。本発明のティッシ
ュペーパーウエブの特に有利な用途は、紙タオル、トイレットティッシュ及び美
顔用ティッシュ製品にある。例えば、引用してここに組み込む、1968年12月3 日
にWells に対して発行された米国特許第3,414,459 号により教示されるように、
2枚の本発明のティッシュペーパーウエブをエンボスし、面対面の関係で一緒に
付着させて固定して、2プライ紙タオルを形成することができる。
幾つかの図を参照する下記の説明に於いて、本発明のティッシュシート構造物
の製造方法の或る好ましい態様を説明する。
図1は、本発明により紙を製造するための好ましい抄紙機80の側立面図であ
る。図1を参照して、抄紙機80は、トップチャンバー82、センターチャンバ
ー82.5及びボトムチャンバー83を有する積層ヘッドボックス81、スライ
スルーフ84並びにブレストロール86、デフレクター90、真空吸水室91、
クーチロール92及び複数個のターニングロール94の上及び周りでループを作
って動いている長網85からなっている。運転に於いて、一つの製紙完成紙料が
トップチャンバー82を通して送液され、第二の製紙完成紙料がセンターチャン
バー82.5を通して送液され、同時に第三の完成紙料がボトムチャンバー83
を通して送液され、次いでスライスルーフ84から上及び下の関係で長網85の
上に送られ、層88a、88b及び88cからなる未成熟ウエブ(embryonic web
)88を形成する。脱水は長網85を通して起こり、デフレクター90及び真空
ボックス91によって補助される。長網が矢印によって示される方向に戻り走行
しているとき、長網がブレストロール86の上の次の通過を開始する前にシャワ
ー95が長網を清浄にする。ウエブ移送帯域93で、初期ウエブ88は真空移送
ボックス97の作用によって有孔支持体布96に移送される。該支持体布96は
、ウエブを移送帯域93から真空脱水ボックス98を過ぎ、ブロースルー予備乾
燥器100を通り、2個のターニングロール101を過ぎて運び、その後、ウエ
ブは圧力ロール102の作用によってヤンキードライヤー108の方に移送され
る。次いで支持体布96は、追加のターニングロール101、シャワー103及
び真空脱水ボックス105の上及び周りを通過することによってそのループを完
結するとき、清浄にされ、脱水される。予備乾燥された紙ウエブは、スプレーア
プリケーター109によって適用される接着剤によってヤンキードライヤー10
8の円筒形表面に接着固定される。乾燥は、スチーム加熱したヤンキードライヤ
ー108上で、図示しない手段により加熱され、乾燥フード110を通して循環
している熱空気によって完結される。次いで、ウエブはドクターブレード111
によってヤンキードライヤー108から乾式クレープ付与され、その後これはヤ
ンキー側層71、中心層73及びオフ・ヤンキー側層75からなる紙シート70
と呼ばれる。次いで紙シート70はカレンダーロール112と113との間及び
リール115の外周部分の周りを通過し、次いでシャフト118に配置されてい
るコア117の上のロール116に巻き取られる。
図1を更に参照して、紙シート70のヤンキー側層71の起源は、ヘッドボッ
クス81のボトムチャンバー83を通して送液される完成紙料であり、この完成
紙料は長網85に直接適用され、長網の上でこれは未成熟ウエブ88の層88c
になる。紙シート70の中心層73の起源は、ヘッドボックス81のアンダーチ
ャンバー82.5を通して配布される完成紙料であり、この完成紙料は層88c
の上で層88bを形成する。紙シート70のオフ・ヤンキー側層75の起源は、
ヘッドボックス81のトップチャンバー82を通して配布される完成紙料であり
、この完成紙料は初期ウエブ88の層88bの上で層88aを形成する。図1に
は3層ウエブを製造するために適合したヘッドボックス81を有する抄紙機80
を示しているけれども、ヘッドボックス81はまた非積層、2層又は他の多層ウ
エブを製造するために適合させることができる。更に、フォーミング部分及びヘ
ッドボックスは、ツイン・ワイヤー・フォーマーのようなティッシュの製造に適
したどのようなシステムであってもよい。
更に、図1の抄紙機80で本発明を具体化する紙シート70の製造に関して、
長網85は、良好な形成が行われるように、短繊維完成紙料を構成する繊維の平
均長さに対して相対的に小さいスパンを有する微細な網目のものでなくてはなら
ず、有孔支持体布96は、該布96のフィラメント間空間内へ未成熟ウエブの布
側がかさばるのを実質的に予防するために、長繊維完成紙料を構成する繊維の平
均長さに対して相対的に小さい開口スパンを有する微細な網目を有していなくて
はならない。また、代表的な紙シート70を製造するための処理条件に関して、
クレープ付与の前に、紙ウエブを好ましくは約80%繊維濃度、更に好ましくは
約95%繊維濃度まで乾燥させる。
特に図1に関して、ポリヒドロキシ化合物を適用するために、真空脱水ボック
ス98の反対側にスプレーノズル120が設けられている。
図2に、スプレーノズル120の代わりに、予備乾燥器100とヤンキードラ
イヤー108との間に輪転グラビア印刷機122を設けた以外は、図1に示すも
のと実質的に同じものである代わりの抄紙機を示す。
図3は、図1〜2に示すような本発明の方法よりも優れたものであり、米国特
許第3,301,746 号に記載されている一般的な製紙方法によるティッシュシートを
製造するための別の好ましい抄紙機の側立面図であり、そのどちらもブロースル
ー乾燥が使用され、ティッシュシートの圧縮が最小にされるものである。図3の
別の好ましい抄紙機の説明を単純化するために、図1の抄紙機80内に同等物を
有する成分には同一の番号を付け、図3の代わりの抄紙機280をそれらの間の
差異に関して説明する。
図3の抄紙機280は本質的に、三重ヘッドボックス81の代わりにトップチ
ャンバー282及びボトムチャンバー283からなる二重ヘッドボックス281
を有するために、有孔支持体布96の代わりにフェルトループ296を有するこ
とにより、1個ではなくて2個の圧力ロール102を有することにより、そして
ブロースルードライヤー100を有しないことにより、図1の抄紙機80とは異
なっている。図3の抄紙機280は更に、下部フェルトループ297及び湿潤加
圧ロール298及び299並びにロール298とロール299とを一緒に制御し
て偏らせるための図示していない手段からなる。下部フェルトループ297は、
図に示すように追加のターニングロール101の周りでループを作って動いてい
る。抄紙機280は、フェルトループ296及び297を有しているために二重
フェルト抄紙機と考えられる。フェルトループ297は省略することができ、こ
の場合は抄紙機280は単一フェルト抄紙機(図示せず)と考えられる。典型的
に、単一フェルト抄紙機として運転する場合には、少なくとも1個の圧力ロール
(102)が、ヤンキードライヤー(108)に移送される点で湿潤ウエブに真
空を掛ける。
図3には更に、層288a及び288bを有する2層未成熟ウエブ288が示
され、これは次いで、ヤンキードライヤー108で乾燥されて紙シート270に
なる。紙シート270は、ヤンキー側層271及びオフ・ヤンキー側層275か
らなる。
図3を更に参照して、好ましい態様が示され、この態様に於いて、ポリヒドロ
キシ化合物を適用するためのスプレーノズル220が、ターニングロール101
と湿潤加圧ロール298及び299との間、即ち、未成熟ウエブ88が長網85
からフェルトループ296の方に移送された後に、図示されるように配置されて
いる。図示していないけれども、スプレーノズル220は代わりにフェルトルー
プ297の後でヤンキードライヤー108の前に配置することができる。任意に
ノズル220は、フェルト296の反対側に配置されている真空ボックス106
の中にスプレーすることができる。
図4は、スプレーノズル220を輪転グラビア印刷機222で置き換えた以外
は、実質的に図3に示すものと同一である。
ティッシュペーパーによって保有されるポリヒドロキシ化合物の濃度は、最小
で、少なくとも、紙に嵩柔らかさを与えるために有効な濃度である。最小有効濃
度は、シートの特別の種類、適用方法、ポリヒドロキシ化合物、界面活性剤若し
くは他の添加剤の特別の種類又は処理に依存して変化させることができる。ティ
ッシュペーパーによる適用可能なポリヒドロキシ保有の範囲を限定することなく
、好ましくは少なくとも約0.05%のポリヒドロキシ化合物がティッシュペー
パーにより保有される。更に好ましくは、約0.1%〜約2.0%のポリヒドロ
キシ化合物がティッシュペーパーにより保有される。
分析方法及び試験方法
ティッシュペーパーウエブに保持されている本発明に於ける処理薬品の量の分
析は、適用できる技術に於いて許容されるどのような方法によっても実施するこ
とができる。例えば、ティッシュペーパーにより保持されるポリヒドロキシ化合
物の量は、溶媒によるポリヒドロキシ化合物の溶媒抽出によって決定することが
できる。ある場合には、対象とするポリヒドロキシ種から妨害化合物を除去する
ために追加の方法が必要であるかもしれない。例えば、ウエイブル(Weibull)
溶媒抽出方法では、非イオン性界面活性剤からポリエチレングリコールを単離す
るために食塩水溶液が使用される(ロングマン・ジー・エル(Longman,G.F.)著
「洗剤及び洗剤製品の分析(The Analysis of Detergents and Detergent Produc ts
)」、ウイリー インターナショナル(Wiley Interscience)、ニューヨーク
、1975年、第312 頁)。次いで、ポリヒドロキシ種を分光法又はクロマトグラフ
ィー法により分析することができる。例えば、少なくとも6個のエチレンオキシ
ド単位を有する化合物は典型的には、コバルトチオシアン酸アンモニウム法によ
り分光学的に分析することができる(ロングマン・ジー・エル著「洗剤及び洗剤 製品の分析
」、ウイリー インターナショナル、ニューヨーク、1975年、346 頁
)。ポリヒドロキシ系化合物を分離し、分析するために、ガスクロマトグラフィ
ー法を使用することもできる。3〜9の範囲内の数のエチレンオキシド単位を有
するポリエチレングリコールを分離するために、グラファイト化ポリ(2,6−
ジフ
ェニル−p−フェニレンオキシド)ガスクロマトグラフィーカラムが使用されて
きた(オールテク(Alltech)クロマトグラフィーカタログ、第300 号、第158
頁)。
アルキルグリコシドのような非イオン性界面活性剤の濃度は、クロマトグラフ
ィー法により決定することができる。ブランズ(Bruns)は、アルキルグリコシ
ドの分析のための、光散乱検出を伴う高速液体クロマトグラフィー法を報告した
(Bruns,A.,Waldhoff,H.,Winkle,W.、Chromatographia、27巻、1989年、340
頁)。超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)法も、アルキルグリコシド及
び関連する種の分析で記載された(Lafosse,M.,Rollin,P.,Elfakir,c.,Mo
rin-Allory,L.,Martens,M.,Dreux,M.、「Journal of chromatography」、5
05 巻、1990年、191 頁)。スルホン酸線状アルキルのようなアニオン性界面活
性剤の濃度は、水抽出及び続く抽出物中のアニオン性界面活性剤の滴定により決
定することができる。ある場合には、2相滴定分析の前に、妨害物質からスルホ
ン酸線状アルキルを単離することが必要であるかもしれない(クロス・ジェイ(
Cross、J.)著「アニオン性界面活性剤−化学分析(Anionic Surfactants - Chem ical Analysis
)」、デッカー(Dekker)、ニューヨーク、1977年、18頁、222 頁
)。デンプンの濃度は、グルコースへのデンプンのアミラーゼ消化及び続くグル
コース濃度を決定するための比色分析により決定することができる。このデンプ
ン分析について、バックグラウンド種に干渉することによって作られる可能性の
ある寄与を差し引くために、デンプンを含有しない紙のバックグラウンド分析を
行わなくてはならない。これらの方法は例示的なものであり、ティッシュペーパ
ーによって保持される特別の成分の濃度を決定するために有用であるかもしれな
い他の方法を排除することを意味しない。
A.パネル柔らかさ
理想的には、柔らかさ試験の前に、試験する紙サンプルをタッピ法#T402
OM−88に従ってコンディショニングしなくてはならない。ここで、サンプル
を10〜35%の相対湿度レベル及び22〜40℃の温度範囲内で24時間予備
コンディショニングする。この予備コンディショニング工程の後で、サンプルを
48〜52%の相対湿度及び22〜24℃の温度範囲内で24時間コンディショ
ニングしなくてはならない。
理想的には、柔らかさパネル試験は、一定の温度及び湿度室の領域内で行わな
くてはならない。これが実行できない場合、対照を含むサンプルを同一の環境暴
露条件に受けさせなくてはならない。
柔らかさ試験は、1968年米国材料試験協会により刊行され、本明細書に引用し
て含める、ASTM特殊技術刊行物434の“感覚試験方法についてのマニュア
ル”に記載されているものと同様の形式での一対比較試験として実施される。柔
らかさは、一対差試験法(Paired Difference Test)と呼ばれるものを使用する主
観的試験により評価する。この方法では試験材料自体に対して標準的な外部の物
を使用する。触感で認める柔らかさについて、被験者がサンプルを見ることがで
きないように2個のサンプルが提示され、被験者は触感柔らかさを根拠にしてこ
れらのサンプルの一つを選択することを要求される。試験の結果は、パネル得点
ユニット(Panel Score Unit)(PSU)と呼ばれるものに報告される。PSUに
おいてここで報告された柔らかさデータを得るための柔らかさ試験に関して、多
数の柔らかさパネル試験が実施される。各試験に於いて、10人の熟練した柔ら
かさ判定者は、3組の対になったサンプルの相対柔らかさを採点することを求め
られる。サンプルの対は各判定者により同時に一対を判定され、各対の一方のサ
ンプルはXと指定され、他方はYと指定される。簡潔に言うと、各Xサンプルは
下記のようにしてその対になっているYサンプルに対して採点される。
1.XがYよりも少し柔らかいかもしれないと判定される場合は、プラス1の
評点が与えられ、YがXよりも少し柔らかいかもしれないと判定される場合は、
マイナス1の評点が与えられ、
2.XがYよりも確かに少し柔らかいと判定される場合は、プラス2の評点が
与えられ、YがXよりも確かに少し柔らかいと判定される場合は、マイナス2の
評点が与えられ、
3.XがYよりもかなり柔らかいと判定される場合は、Xにプラス3の評点が
与えられ、YがXよりもかなり柔らかいと判定される場合は、マイナス3の評点
が与えられ、最後に、
4.XがYよりも非常に柔らかいと判定される場合は、Xにプラス4の評点が
与えられ、YがXよりも非常に柔らかいと判定される場合は、マイナス4の評点
が与えられる。
評点を平均し、得られた値はPSUの単位内にある。得られたデータは一つの
パネル試験の結果と考えられる。2個以上のサンプル対を評価する場合には、全
てのサンプルは、対にした統計的分析によるそれらの評点に従ってランク付けさ
れる。次いで、このランクは、常にサンプルがゼロベースの標準物質であるよう
に選択されるゼロPSU値を与えるために必要なような値で上又は下に移動され
る。次いで他のサンプルは、ゼロベースの標準物質に対してそれらの相対評点に
よって決定されるようなプラス又はマイナスの値を有する。実施され平均化され
た多数のパネル試験は、約0.2PSUが主観的に感じた柔らかさに於いて顕著
な差を表わすようなものである。
B.親水性(吸収性)
一般的に、ティッシュペーパーの親水性は、水で湿潤するティッシュペーパー
の性質を指す。ティッシュペーパーの親水性は、乾燥ティッシュペーパーについ
て、水で完全に湿潤するようになるために必要な時間を決定することによって、
多少定量することができる。この時間は“湿潤時間”と呼ばれる。湿潤時間につ
いて一定した繰り返し可能な試験を与えるために、下記の手順を湿潤時間決定の
ために使用することができる。即ち、最初に、ティッシュペーパー構造物のコン
ディショニングしたサンプルユニットシート(紙サンプルの試験のための環境条
件は、タッピ法#T402に特定されているように、22〜24℃及び48〜5
2%R.H.である)約43/8 インチ×43/4 インチ(約11.1cm×12c
m)を用意する;2番目に、このシートを4個の並置された四半分に折りたたみ
、次いで(きれいなプラスチック製手袋をはめた、又はDawnRのような油脂
除去洗剤で何回も洗浄した)手によって直径が約0.75インチ(約1.9cm
)〜約1インチ(約2.5cm)のボールにくしゃくしゃにして丸める;3番目
に、丸めたシートを、3リットルのパイレックスガラス製ビーカーに入れた22
〜24℃の蒸留水約3リットルの物体の表面の上方に置く。この方法による紙の
全て
の試験は、22〜24℃及び48〜52%相対湿度の調節した温度及び湿度室の
領域内で行うべきであることも注意すべきである。次いでサンプルボールを、水
面の上の1cm以下の距離から水の表面上に注意深く置く。ボールが水面に触れ
た正確な瞬間に、タイマーを同時に始動させる;4番目に、第一のボールが完全
に水に浸かった後、第二のボールを水に置く。これは、紙の色がその乾燥した白
色から完全に湿潤した際の黒い灰色がかった着色に転移することによって容易に
認められる。第五のボールが完全に水に浸かった後、タイマーを止め、時間を記
録する。
各サンプルについて、少なくとも5個のボールの5組(全部で25個のボール
)で行うべきである。最終の報告結果は、5組のデータについてとった計算平均
値及び標準偏差でなくてはならない。測定の単位は秒である。5個のボールの5
組(合計=25個のボール)を試験した後に、水を交換しなくてはならない。ビ
ーカーの内壁にフィルム又は残渣が見つかった場合には、ビーカーを何回も洗浄
することが必要であろう。
水吸収速度を測定する他の方法は、パッド沈降測定によるものである。対象の
ティッシュペーパー及び全ての対照を、22〜24℃及び48〜52%相対湿度
で最低24時間コンディショニング(タッピ法#T402OM−88)した後、
ティッシュペーパー5〜20枚の重層物を、2.5″〜3.0″の寸法に切断す
る。切断は、打ち抜きプレス、一般的なペーパーカッター又はレーザー切断方法
を使用して行うことができる。手動ではさみによる切断は、サンプルの取り扱い
に於ける再現不可能性及び紙汚染の可能性の両方のために好ましくない。
紙サンプルの重層物を切断した後、これを金網サンプルホルダーの上に注意深
く置く。このホルダーの機能は、サンプルを最小の崩壊で水の表面上に置くこと
である。このホルダーは、形状が円形であり、約4.2″の直径を有する。これ
は、互いに平行で、ワイヤの周辺でのスポット溶接点まで横切って走っている5
本の真っ直ぐで等間隔の金属ワイヤを有する。ワイヤ間の空間は約0.7″であ
る。この金網スクリーンは、その表面上に紙を置く前にきれいにし、乾燥しなく
てはならない。3リットルのビーカーに、22〜24℃の温度で安定させた蒸留
水約3リットルを入れる。水面にどのような波又は表面運動も無いことが確保さ
れた後、紙を含むスクリーンを水面の上に注意深く置く。サンプルが表面上に浮
かんだ後、スクリーンサンプルホルダーを下方に下げ続けて、サンプルホルダー
スクリーンハンドルがビーカーの側部を掴むようにする。この方法で、スクリー
ンは紙サンプルの水吸収を妨害しない。紙サンプルが水の表面に触れた正確な瞬
間に、タイマーを始動させる。紙重層物が完全に水に浸かった後、タイマーを止
める。これは、紙の色がその乾燥した白色から完全に湿潤した際の黒い灰色がか
った着色に転移することを注目することによって容易に目で見て観察される。完
全に湿潤すると直ぐに、タイマーを止め、合計時間を記録する。この合計時間が
、完全に水に浸かるために紙パッドについて必要な時間である。
この手順を、少なくとも2個の追加のティッシュペーパーパッドについて繰り
返す。水の廃棄及び後洗浄及び22〜24℃の温度の新しい水をビーカーに再充
填することなく、5個を越える紙のパッドを試験してはならない。また、新しく
独特のサンプルを試験する場合には、水を常に新しい開始状態に交換しなくては
ならない。与えられたサンプルについての最終報告時間値は、測定した3〜5個
の重層物についての平均及び標準偏差でなくてはならない。測定の単位は秒であ
る。
本発明のティッシュペーパー態様の親水性特性は、勿論、製造後に直ちに決定
することができる。しかしながら、親水性に於ける実質的な上昇は、ティッシュ
ペーパーを製造した後の最初の2週間の間に、即ち、紙をその製造に続いて2週
間熟成した後に起こるかもしれない。それで、湿潤時間は好ましくは、このよう
な2週間の終わりに測定される。従って、室温で2週間の熟成期間の終わりに測
定された湿潤時間は、“2週間湿潤時間”と呼ばれる。また、対象の紙製品の長
期の貯蔵条件及び/又は可能な厳しい温度及び湿度暴露の両方を試みかつ模擬す
るために、紙サンプルの任意の熟成条件が必要であるかもしれない。例えば、対
象の紙サンプルを49〜82℃の範囲内の温度に1時間〜1年間暴露することは
、紙サンプルが商取引で受けるかもしれない潜在的に厳しい暴露条件の幾つかを
模擬できる。また、紙サンプルをオートクレーブ処理することは、紙が商取引で
受けるかもしれない厳しい熟成条件を模擬し得る。全ての厳しい温度試験の後で
、サンプルを22〜24℃の温度及び48〜52%の相対湿度で再コンディショ
ニ
ングしなくてはならないことが繰り返して述べられなくてはならない。全ての試
験はまた調節された温度及び湿度室の領域内で行われなくてはならない。
C.密度
ティッシュペーパーの密度は、本明細書でこの用語を使用するとき、g/cc
に変換するためのそこに含まれる適当な単位変換で、厚さで割ったこの紙の坪量
として計算される、平均密度である。ティッシュペーパーの厚さは、本明細書で
使用するとき、95g/in2(15.5g/cm2)の圧縮荷重に付したときの
紙の厚さである。厚さは、ツイング−アルバート モデル(Thwing-Albert mode
l)89-II 厚さ試験機(ペンシルベニア州、フィラデルフィアのツイング−アル
バート社(Thwing-Albert Co.of Philadelphia,PA))で測定する。紙の坪量
は典型的に8層厚さである4″×4″パッドで決定される。このパッドは、タッ
ピ法#T402OM−88により予備コンディショニングし、次いで重量を、グ
ラムの最も近い千分の十までグラムの単位で測定される。3000平方フィート
当たりのポンドの単位で坪量を報告するために、適当な変換が行われる。
任意の成分
製紙で一般的に使用されている他の薬品を、それらが、繊維性材料の柔軟化吸
収性及び本発明の第四級アンモニウム柔軟化化合物の柔らかさ向上作用に顕著に
且つ不利に影響を与えない限り、本明細書に記載した化学的柔軟化組成物又は製
紙完成紙料に添加することができる。A.湿潤剤
本発明には、任意の成分として、乾燥繊維基準で、約0.005重量%〜約3
.0重量%、更に好ましくは約0.03重量%〜1.0重量%の湿潤剤が含有さ
れていてよい。非イオン性界面活性剤(アルコキシル化物質)
本発明に於ける湿潤剤として使用することができる適当な非イオン性界面活性
剤には、エチレンオキサイド及び任意にプロピレンオキサイドと脂肪アルコール
、脂肪酸、脂肪アミン等との付加生成物が含まれる。
以下に記載する特定の種類のアルコキシル化物質の何れも、非イオン性界面活
性剤として使用することができる。適当な化合物は、下記一般式で表わされる実
質的に水溶性の界面活性剤である。
R2−Y−(C2H4O)Z−C2H4OH
式中、固体及び液体組成物の両方についてR2は、第一級、第二級及び分枝鎖ア
ルキル及び/又はアシルヒドロカルビル基;第一級、第二級及び分枝鎖アルケニ
ルヒドロカルビル基;並びに第一級、第二級及び分枝鎖アルキル−及びアルケニ
ル−置換フェノール性ヒドロカルビル基からなる群から選択され、該ヒドロカル
ビル基は炭素数約8〜約20、好ましくは約10〜約18のヒドロカルビル鎖長
を有する。更に好ましくは、液体組成物のためのヒドロカルビル鎖長は、炭素数
約16〜約18であり、固体組成物のためのヒドロカルビル鎖長は、炭素数約1
0〜約14である。ここでエトキシル化非イオン性界面活性剤としての上記一般
式に於いて、Yは典型的には−O−、−C(O)O−、−C(O)N(R)−又
は−C(O)N(R)R−である。但し、R2及びRは、存在するとき、前記の
意味を有するか及び/又はRは水素であってもよく、そしてzは少なくとも約8
、好ましくは少なくとも約10〜11である。より僅かのエトキシレート基が存
在するとき、柔軟剤組成物の性能及び普通安定性が低下する。
本発明に於いて非イオン性界面活性剤は、約7〜約20、好ましくは約8〜約
15のHLB(親水親油バランス)によって特徴付けられる。勿論、R2及びエ
トキシレート基の数を規定することによって、一般的に界面活性剤のHLBが決
定される。しかしながら、本発明に於いて有用な非イオン性エトキシル化界面活
性剤は、濃縮液体組成物について、比較的に長鎖のR2基を含み、比較的高度に
エトキシル化されている。短いエトキシル化基を有するより短いアルキル鎖界面
活性剤は必要なHLBを有するけれども、これらは本発明に於いては有効ではな
い。
非イオン性界面活性剤の例は下記の通りである。本発明の非イオン性界面活性
剤はこれらの例に限定されない。例に於いて、整数は分子内のエトキシル(EO
)
基の数を規定する。
線状アルコキシル化アルコール
a.線状第一級アルコールアルコキシレート
本明細書に記載した範囲内のHLBを有するn−ヘキサデカノール及びn−オ
クタデカノールのデカ−、ウンデカ−、ドデカ−、テトラデカ−及びペンタデカ
−エトキシレートは、本発明に於ける有用な湿潤剤である。本発明に於いて組成
物の粘度/分散性改質剤として有用である代表的なエトキシル化第一級アルコー
ルは、n−C18EO(10)及びn−C10EO(11)である。“オレイル”鎖長範
囲内の混合天然及び合成アルコールのエトキシレートも本発明に於いて有用であ
る。このような物質の特別の例には、オレイルアルコール−EO(11)、オレイ
ルアルコール−EO(18)及びオレイルアルコール−EO(25)が含まれる。
b.線状第二級アルコールアルコキシレート
本明細書に記載した範囲内のHLBを有する3−ヘキサデカノール、2−オク
タデカノール、4−エイコサノール及び5−エイコサノールのデカ−、ウンデカ
−、ドデカ−、テトラデカ−、ペンタデカ−、オクタデカ−及びノナデカ−エト
キシレートは、本発明に於ける湿潤剤として使用することができる。本発明で湿
潤剤として使用することができる代表的なエトキシル化第二級アルコールは、2
−C16EO(11)、2−C20EO(11)及び2−C16EO(14)である。
線状アルキルフェノキシル化アルコール
アルコールアルコキシラートの場合に於けるように、本明細書に記載した範囲
内のHLBを有する、アルキル化フェノール、特に一価のアルキルフェノールの
ヘキサ−乃至オクタデカ−エトキシレートは、本発明の組成物の粘度/分散性改
質剤として有用である。p−トリデシルフェノール、m−ペンタデシルフェノー
ル等々のヘキサ−乃至オクタデカ−エトキシラートが本発明に於いて有用である
。本発明に於ける混合物の湿潤剤として有用である代表的なエトキシル化アルキ
ルフェノールは、p−トリデシルフェノールEO(11)及びp−ペンタデシルフ
ェ
ノールEO(18)である。
本明細書で使用されるように及び当該技術分野で一般的に認められているよう
に、非イオン性式中のフェニレン基は、2〜4個の炭素原子を含有するアルキレ
ン基の等価物である。本発明の目的のために、フェニレン基を含有する非イオン
性物は、アルキル基中の炭素原子プラス各フェニレン基について約3.3個の炭
素原子の合計として計算される炭素原子の等価数を含有すると考えられる。
オレフィン性アルコキシレート
本明細書で直上に開示されたものに対応する、アルケニルアルコール、第一級
アルコールと第二級アルコールとの両方、及びアルケニルフェノールは、本明細
書に記載した範囲内のHLBにまでエトキシル化することができ、本発明に於け
る湿潤剤として使用することができる。
分枝鎖アルコキシレート
公知の“オキソ”法から得ることができる分枝鎖第一級アルコール及び第二級
アルコールはエトキシル化することができ、本発明に於ける湿潤剤として使用す
ることができる。
上記のエトキシル化非イオン性界面活性剤は、本発明の組成物に於いて単独で
又は組み合わせて有用であり、用語“非イオン性界面活性剤”は混合した非イオ
ン性界面活性剤を包含する。
使用する場合、界面活性剤の濃度は好ましくは、ティッシュペーパーの乾燥繊
維重量基準で約0.01重量%〜約2.0重量%である。この界面活性剤は好ま
しくは8個又はそれ以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する。代表的なアニ
オン性界面活性剤は線状アルキルスルホン酸塩及びアルキルベンゼンスルホン酸
塩である。代表的な非イオン性界面活性剤は、ニューヨーク州、ニューヨーク(N
ew York,NY)のクローダ社(Croda,Inc.)から入手できるクローデスタ(Crod
esta)SL-40 のようなアルキルグリコシドエステル;1977年3 月8 日にW.K.La
ngdon らに対して発行された米国特許第4,011,389 号に記載されているようなア
ルキルグリコシドエーテル;並びにグリコ・ケミカルズ社(Glyco Chemicals,I
nc.)(コネチカット州、グリーンウィッチ(Greenwich,CT )から入手できる
ペゴスパース(Pegosperse)200 ML及びローン・ポーレンク社(Rhone Poulenc
Corporation)(ニュージャージー州、クランベリー(Cranbury,N.J ))から
入手できるIGEPAL RC-520 のようなアルキルポリエトキシル化エステルを含むア
ルキルグリコシドである。
B.強力添加剤
添加することができる薬品の他の種類には、ティッシュウエブの乾燥引張強度
及び湿潤破裂強度を増加させるための強力添加剤が含まれる。本発明には、任意
の成分として、有効量、好ましくは、乾燥繊維重量基準で約0.01重量%〜約
3.0重量%、更に好ましくは約0.2重量%〜約2.0重量%の、水溶性強力
添加剤樹脂が含有されていてよい。これらの強力添加剤樹脂は好ましくは、乾燥
強力樹脂、永久湿潤強力樹脂、一時湿潤強力樹脂及びこれらの混合物からなる群
から選択される。
(a)乾燥強力添加剤
乾燥強力添加剤は好ましくは、カルボキシメチルセルロース樹脂、デンプン系
樹脂及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましい乾燥強力添加剤の
例には、ACCO 711及びACCO 514のようなACCO化学系からのカチオン性重合体が含
まれ、ACCO化学系のものが最も好ましい。この材料は、ニュージャージー州、ウ
エイン(Wayne)のアメリカン・シアナミド社(American Cyanamid Company)か
ら市販されている。
(b)永久湿潤強力添加剤
本発明で有用な永久湿潤強力樹脂は幾つかの種類のものであってよい。一般的
に、製紙技術分野に於ける有用性を従来見出したこれらの樹脂及び今後見出すで
あろうこれらの樹脂が、本発明に於いて有用である。非常に多数の例が、Westfe
ltの前記の文献に示されており、引用してここに組み込む。
通常の場合、この湿潤強力樹脂は水溶性のカチオン性材料である。即ち、この
樹脂は、それらが製紙完成紙料に添加される時点で水溶性である。架橋のような
次の工程でこの樹脂を水に不溶性にすることが完全に可能で期待できる。更に、
幾つかの樹脂は、限定されたpH範囲に亘るような特別の条件下でのみ溶解性で
ある。
湿潤強力樹脂は、一般的に、それらを製紙繊維の上に、中に又は間に堆積させ
た後、架橋又はその他の硬化反応を受けると信じられる。架橋又は硬化は、実質
的な量の水が存在している限り通常は起こらない。
好ましくは、永久湿潤強力樹脂バインダー材料は、ポリアミド−エピクロロヒ
ドリン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂及びこれらの混合物からなる群から選択さ
れる。
特に有用なものは、種々のポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂である。これ
らの材料は、アミノ、エポキシ及びアゼチジニウム(azetidinium)基のような反
応性官能基を有する低分子量重合体である。特許文献はこのような材料の製造方
法の記載が充実している。1972年10月24日にKeimに対して発行された米国特許第
3,700,623 号及び1973年11月13日にKeimに対して発行された米国特許第3,772,07
6 号はこのような特許の例であり、これらをともに引用してここに組み込む。
デラウエア州、ウィンミントンのハーキュリーズ社(Hercules Incorporated
of Wilmington,Delaware)により商標名キメン(Kymene)557H及びキメン(Kym
ene)2064で販売されているポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂は、本発明に
於いて特に有用である。これらの樹脂は一般的にKeimの上記の特許に記載されて
いる。
本発明で有用な塩基活性化ポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂は、ミズーリ
州、セントルイスのモンサント社(Monsanto Company of St.Louis Missouri)
によりサント・レス(Santo Res)31のようなサント・レス(Santo Res)の商標
名で販売されている。これらの種類の材料は一般的に、1974年12月17日にPetrov
ich に対して発行された米国特許第3,855,158 号、1975年8 月12日にPetrovich
に対して発行された米国特許第3,899,388 号、1978年12月12日にPetrovich に対
して発行された米国特許第4,129,528 号、1979年4 月3 日にPetrovich に対して
発行された米国特許第4,147,586 号及び1980年9 月16日にVan Eenam に対して
発行された米国特許第4,222,921 号に記載されており、これら全てを引用してこ
こに組み込む。
本発明で有用な他の水溶性カチオン性樹脂は、コネチカット州、スタンフォー
ドのアメリカン・シアナミド社(American Cyanamid Company of Stanford,Con
necticut)によりパレズ(Parez)631NC のようなパレズ(Parez)の商標名で販
売されているもののようなポリアクリルアミド樹脂である。これらの材料は一般
的に、1971年1 月19日にCosciaらに対して発行された米国特許第3,556,932 号及
び1971年1 月19日にWilliamsらに対して発行された米国特許第3,556,933 号に記
載されており、これら全てを引用してここに組み込む。
本発明で有用な水溶性樹脂の他の種類には、アクリルエマルジョン及びアニオ
ン性スチレン−ブタジエンラテックスが含まれる。これらの種類の樹脂の非常に
多数の例が、1974年10月29日発行のMeisel,Jr.らの米国特許第3,844,880 号に
記載されているが、これを引用して本明細書に含める。
本発明に於いて有用性を見出す更に他の水溶性カチオン性樹脂は、尿素ホルム
アルデヒド樹脂及びメラミンホルムアルデヒド樹脂である。これらの多官能性反
応性ポリマーは、約数千の分子量を有する。更に一般的な官能基には、アミノ基
及び窒素に結合したメチロール基のような窒素含有基が含まれる。
あまり好ましくはないけれども、ポリエチレンイミン系樹脂が本発明に於いて
有用性を見出している。
それらの製造を含む、上記の水溶性樹脂の更に完全な記載は、TAPPI Monograp
h SeriesNo.29、「紙及びボール紙に於ける湿潤強度」、パルプ製紙業界技術協
会(ニューヨーク、1965年)に記載されており、これを引用してここに組み込む
。本明細書で使用するとき、用語「永久湿潤強力樹脂」は、水性媒体中に入れた
とき、紙シートを少なくとも2分間より長い時間、その初期の湿潤強度の大部分
を維持させるようにする樹脂を指す。
(c)一時湿潤強力樹脂
上記の湿潤強力添加剤によって典型的には、永久的な湿潤強度を有する紙製品
、即ち、水性媒体中に入れたとき、時間を通じてその初期の湿潤強度の実質的な
部
分を保持する紙になる。しかしながら、ある種の紙製品に於いて永久湿潤強度は
不必要で望ましくない性質であり得る。トイレットティッシュ等のような紙製品
は一般的に、短期間使用した後汚水処理システムなどに棄てられる。紙製品が永
久的にその耐加水分解強度性質を保有していると、これらのシステムが詰まるこ
とになり得る。更に最近、メーカーは、湿潤強度が意図する使用のためには十分
であるが、次いで水中に浸漬すると崩壊する紙製品に一時湿潤強力添加剤を添加
してきた。湿潤強度の減衰によって、汚水処理システムを通過する紙製品の流れ
が容易になる。
適当な一時湿潤強力樹脂の例には、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル
社(the National Starch and Chemical Corporation)(ニューヨーク州、ニュ
ーヨーク(New York,New York))によって市販されているナショナル・スター
チ(National Starch)78-0080のような変性デンプン一時湿潤強力剤が含まれる。
この種の湿潤強力剤は、ジメトキシエチル−N−メチル−クロロアセトアミドを
カチオン性デンプンポリマーと反応させることによって製造することができる。
変性デンプン一時湿潤強力剤はまた1987年6 月23日に発行されたSolarek らの米
国特許第4,675,394 号に記載されており、これを引用してここに組み込む。好ま
しい一時湿潤強力樹脂には、1991年1 月1 日に発行されたBjorkquistの米国特許
第4,981,557 号に記載されているものが含まれ、この特許を引用してここに組み
込む。
上記の永久及び一時湿潤強力樹脂の種類及び特別の例に関して、上記の樹脂は
事実上代表的なものであり、本発明の範囲を限定することを意味しないことが理
解されるべきである。
相溶性の湿潤強力樹脂の混合物も、本発明の実施で使用することができる。
任意の化学添加剤の上記のものは、事実上単に代表的なものであり、本発明の
範囲を限定することを意味しない。
下記の実施例は本発明の実施を示すが、本発明の限定であることを意図するも
のではない。
実施例
この実施例の目的は、湿潤ティッシュがPEG-400 の水溶液で処理される、図1
に示す型の抄紙機によって製造されたティッシュペーパーを示すことである。
パイロット規模の長網抄紙機を本発明の実施で使用する。NSKの3重量%水
性スラリーを、一般的なリパルパ(re-pulper)で製造した。NSKスラリーを適
切に精製し、永久湿潤強力樹脂(即ち、デラウエア州、ウィンミントンのハーキ
ュリーズ社(Hercules Incorporated of Wilmington,Delaware)により市販さ
れているキメン(Kymene)557H)の2%溶液を、NSK紙料パイプに、乾燥繊維
の1重量%の割合で添加する。NSKへのキメン(Kymene)557Hの吸着は、イン
ラインミキサーによって増強される。繊維性支持体の乾燥強度を増強させるため
に、カルボキシメチルセルロース(CMC)の1%溶液を、インラインミキサー
の後で乾燥繊維の0.2重量%の割合で添加する。NSKスラリーをファン・ポ
ンプによって0.2%まで希釈する。CTMPの3重量%水性スラリーを、一般
的なリパルパで製造する。非イオン性界面活性剤(Pegosperse)を、リパルパに
乾燥繊維の0.2重量%の割合で添加する。CTMPスラリーをファンポンプに
よって0.2%まで希釈する。処理された完成紙料混合物(NSK/CTMP)
をヘッドボックス内でブレンドし、長網の上に堆積させて、均一な未成熟ウエブ
を形成する。脱水は長網を通して行われ、デフレクター及び真空ボックスによっ
て補助される。長網は、それぞれ1インチ当たり84本の縦方向モノフィラメン
ト及び76本の横方向モノフィラメントを有する5杼道、朱子織り形状のもので
ある。この初期湿潤ウエブは、移送の点で約22%の繊維濃度で、長網から、1
平方インチ当たり240個のリニア・アイダホ・セル(Linear Idaho cell)、即
ち、34パーセントのナックル領域及び14ミルの感光性樹脂深さを有する感光
性樹脂ベルトの方に移送される。より以上の脱水は、真空補助排水により、ウエ
ブが約28%の繊維濃度を有するまで行われる。パターン化されたウエブは、空
気吹き抜けにより約65重量%の繊維濃度まで予備乾燥される。次いでウエブは
、ポリビニルアルコール(PVA)の0.25%水溶液からなるスプレーされた
クレープ付与接着剤により、ヤンキードライヤーの表面に接着される。繊維濃度
は、ドクターブレードでウエブをドライクレープ付与する前に推定96%まで増
加される。このドクターブレードは約25度のベベル角度を有し、約81度の衝
撃角
度を与えるようにヤンキードライヤーに対して配置されており、ヤンキードライ
ヤーは約800fpm(フィート/分)(約244メートル/分)で運転される
。乾燥ウエブは、700fpm(214メートル/分)の速度でロールに形成さ
れる。
約50重量%のポリヒドロキシ化合物からなる水溶液を含有するスプレーノズ
ル220から、水溶液が湿潤ティッシュペーパーの上にスプレーされる。使用さ
れるポリヒドロキシ化合物は、コネチカット州、ダンベリーのユニオン・カーバ
イド社(Union Carbide Company of Danbury,Connecticut)から市販されてい
るPEG-400 である。この湿潤ウエブは、ポリヒドロキシ化合物を含有する水溶液
でスプレーされたとき全ウエブ坪量基準で約25%の繊維濃度を有する。このウ
エブの2プライを、PVA接着剤を使用してそれらを一緒にエンボスし、積層す
ることによって紙タオル製品に形成する。この紙タオルは約26 #/3M平方
フィート坪量を有し、約1%のPEG-400 及び約0.5%の永久湿潤強力樹脂を含
有している。得られた紙タオルは柔らかく、吸収性であり、湿潤したとき非常に
強い。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
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),AL,AM,AT,AU,AZ,BB,BG,BR
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