JPH11342342A - 酸化触媒及びそれを用いた酸化方法 - Google Patents
酸化触媒及びそれを用いた酸化方法Info
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- JPH11342342A JPH11342342A JP10151643A JP15164398A JPH11342342A JP H11342342 A JPH11342342 A JP H11342342A JP 10151643 A JP10151643 A JP 10151643A JP 15164398 A JP15164398 A JP 15164398A JP H11342342 A JPH11342342 A JP H11342342A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い転化率及び選択率でβ−イソホロンから
ケトイソホロンを得る。 【解決手段】 (1)マンガンとN,N′−ジサリチリ
デンジアミン(N,N′−ジサリチリデンC2-5 アルキ
レンジアミンなど)との結晶性錯体で構成された酸化触
媒、又は(2)上記錯体と塩基性窒素含有化合物とで構
成された酸化触媒の存在下、基質(β−イソホロン又は
その誘導体)を分子状酸素で酸化し、対応する酸化物
(ケトイソホロンなど)を得る。錯体はマンガンnモル
に対してN,N′−ジサリチリデンジアミンn+1モル
が配位した構造を有しており、融点は190〜240℃
程度である。
ケトイソホロンを得る。 【解決手段】 (1)マンガンとN,N′−ジサリチリ
デンジアミン(N,N′−ジサリチリデンC2-5 アルキ
レンジアミンなど)との結晶性錯体で構成された酸化触
媒、又は(2)上記錯体と塩基性窒素含有化合物とで構
成された酸化触媒の存在下、基質(β−イソホロン又は
その誘導体)を分子状酸素で酸化し、対応する酸化物
(ケトイソホロンなど)を得る。錯体はマンガンnモル
に対してN,N′−ジサリチリデンジアミンn+1モル
が配位した構造を有しており、融点は190〜240℃
程度である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化触媒及びそれ
を用いた酸化方法、並びにβ−イソホロンからケトイソ
ホロンを製造する方法に関する。
を用いた酸化方法、並びにβ−イソホロンからケトイソ
ホロンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬、香料、調味料及び高分子樹脂原料
として有用な中間化合物であるケトイソホロン(4−オ
キソイソホロン)は、イソホロンなどから製造されてい
る。例えば、α−イソホロンを酸素酸化し、4−オキソ
イソホロンを製造する方法において、リンモリブデン酸
又はシリコモリブデン酸の存在下で酸素酸化する方法
(特公昭55−30696号公報)、リンモリブデン酸
又はシリコモリブデン酸とアルカリ金属化合物又は芳香
族アミンの共存下で酸素酸化する方法(特開昭61−1
91645号公報)、バナジウム触媒の存在下で酸素酸
化する方法(特開昭50−93947号公報)が提案さ
れている。特開昭49−81347号公報には、α−イ
ソホロンをアルカリ金属クロム酸塩又は重クロム酸塩又
は三酸化クロムを用いて酸化し、4−オキソイソホロン
を製造する方法が提案されている。さらに、Chem. Let
t.(1983),(7),1081 には、パラジウム触媒の存在下、α
−イソホロンをt−ブチルヒドロペルオキシドを用いて
酸化し、4−オキソイソホロンを製造する方法が提案さ
れている。しかし、これらの方法では、ケトイソホロン
への選択率が低く、生成する副生成物又は金属触媒など
の分離、精製が煩雑化する。さらに、クロムなどの処理
を必要とする重金属化合物又は取扱に注意を要する過酸
化物などを使用する場合もあり、作業性を低下させる。
として有用な中間化合物であるケトイソホロン(4−オ
キソイソホロン)は、イソホロンなどから製造されてい
る。例えば、α−イソホロンを酸素酸化し、4−オキソ
イソホロンを製造する方法において、リンモリブデン酸
又はシリコモリブデン酸の存在下で酸素酸化する方法
(特公昭55−30696号公報)、リンモリブデン酸
又はシリコモリブデン酸とアルカリ金属化合物又は芳香
族アミンの共存下で酸素酸化する方法(特開昭61−1
91645号公報)、バナジウム触媒の存在下で酸素酸
化する方法(特開昭50−93947号公報)が提案さ
れている。特開昭49−81347号公報には、α−イ
ソホロンをアルカリ金属クロム酸塩又は重クロム酸塩又
は三酸化クロムを用いて酸化し、4−オキソイソホロン
を製造する方法が提案されている。さらに、Chem. Let
t.(1983),(7),1081 には、パラジウム触媒の存在下、α
−イソホロンをt−ブチルヒドロペルオキシドを用いて
酸化し、4−オキソイソホロンを製造する方法が提案さ
れている。しかし、これらの方法では、ケトイソホロン
への選択率が低く、生成する副生成物又は金属触媒など
の分離、精製が煩雑化する。さらに、クロムなどの処理
を必要とする重金属化合物又は取扱に注意を要する過酸
化物などを使用する場合もあり、作業性を低下させる。
【0003】β−イソホロンからケトイソホロンを製造
する方法として、特開昭51−125316号公報には
β−エチレン性不飽和ケトンを無機塩基又は有機塩基と
コバルト又はマンガンキレートとの存在下、分子状酸素
又は分子状酸素含有ガスで酸化してエチレン性不飽和ジ
カルボン酸を製造する方法が開示されている。しかし、
この方法では、有機塩基としてトリエチルアミンなどの
直鎖状二級又は三級アミンを使用しているため、ケトイ
ソホロンの収率が低い。
する方法として、特開昭51−125316号公報には
β−エチレン性不飽和ケトンを無機塩基又は有機塩基と
コバルト又はマンガンキレートとの存在下、分子状酸素
又は分子状酸素含有ガスで酸化してエチレン性不飽和ジ
カルボン酸を製造する方法が開示されている。しかし、
この方法では、有機塩基としてトリエチルアミンなどの
直鎖状二級又は三級アミンを使用しているため、ケトイ
ソホロンの収率が低い。
【0004】特開平10−53553号公報には、ビス
(2−ヒドロキシベンジリデン)−エチレンジアミン−
マンガン錯塩(いわゆるマンガン−サレン)、有機塩
基、触媒作用を有する特定の物質(アセチルアセトンな
ど)及び水の存在下、β−イソホロンを分子状酸素を用
いて酸化するケトイソホロンの製造方法が開示されてい
る。この文献には、マンガン錯塩として、マンガン1モ
ルに対してビス(2−ヒドロキシベンジリデン)−エチ
レンジアミン1モルが配位した構造を有する錯体が記載
されている。しかし、前記マンガン錯塩を用いる方法で
も、基質の転化率又は選択率が未だ十分でない。特に、
反応系のβ−イソホロンの濃度が高くなるとケトイソホ
ロンの収率が大きく低下する。例えば、β−イソホロン
の濃度が20重量%以上であると、転化率及び/又は選
択率が大きく低下する。そのため、転化率を向上させる
ためには、比較的多くのマンガン錯塩及び有機塩基を必
要とする。さらには、酸素濃度が低くなると、反応速度
が大幅に低下する。
(2−ヒドロキシベンジリデン)−エチレンジアミン−
マンガン錯塩(いわゆるマンガン−サレン)、有機塩
基、触媒作用を有する特定の物質(アセチルアセトンな
ど)及び水の存在下、β−イソホロンを分子状酸素を用
いて酸化するケトイソホロンの製造方法が開示されてい
る。この文献には、マンガン錯塩として、マンガン1モ
ルに対してビス(2−ヒドロキシベンジリデン)−エチ
レンジアミン1モルが配位した構造を有する錯体が記載
されている。しかし、前記マンガン錯塩を用いる方法で
も、基質の転化率又は選択率が未だ十分でない。特に、
反応系のβ−イソホロンの濃度が高くなるとケトイソホ
ロンの収率が大きく低下する。例えば、β−イソホロン
の濃度が20重量%以上であると、転化率及び/又は選
択率が大きく低下する。そのため、転化率を向上させる
ためには、比較的多くのマンガン錯塩及び有機塩基を必
要とする。さらには、酸素濃度が低くなると、反応速度
が大幅に低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、基質の濃度に拘らず、高い転化率及び選択率で基質
を酸化できる酸化触媒及びそれを用いた酸化方法を提供
することにある。本発明の他の目的は、触媒量であって
も、高い転化率及び選択率で基質を酸化できる酸化触媒
及びそれを用いた酸化方法を提供することにある。本発
明のさらに他の目的は、酸素濃度の低い空気などを分子
状酸素の供給源として用いても、効率よく酸化反応が進
行する酸化触媒及びそれを用いた酸化方法を提供するこ
とにある。本発明の別の目的は、β−イソホロンの濃度
が高く、酸素濃度が低くても高い転化率及び選択率を維
持しつつ、ケトイソホロンを生成できる酸化触媒及びそ
れを用いたケトイソホロンの製造方法を提供することに
ある。
は、基質の濃度に拘らず、高い転化率及び選択率で基質
を酸化できる酸化触媒及びそれを用いた酸化方法を提供
することにある。本発明の他の目的は、触媒量であって
も、高い転化率及び選択率で基質を酸化できる酸化触媒
及びそれを用いた酸化方法を提供することにある。本発
明のさらに他の目的は、酸素濃度の低い空気などを分子
状酸素の供給源として用いても、効率よく酸化反応が進
行する酸化触媒及びそれを用いた酸化方法を提供するこ
とにある。本発明の別の目的は、β−イソホロンの濃度
が高く、酸素濃度が低くても高い転化率及び選択率を維
持しつつ、ケトイソホロンを生成できる酸化触媒及びそ
れを用いたケトイソホロンの製造方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために鋭意検討の結果、マンガンとN,N′−
ジサリチリデンジアミンとで構成された特定の錯体を用
いることにより、基質(β−イソホロンなど)の濃度が
高く、酸素濃度が低い反応系であっても、基質を高い転
化率及び選択率で酸化できること、さらに塩基性窒素含
有化合物とを組合せて用いることにより前記転化率及び
選択率が顕著に改善することを見出し、本発明を完成し
た。
達成するために鋭意検討の結果、マンガンとN,N′−
ジサリチリデンジアミンとで構成された特定の錯体を用
いることにより、基質(β−イソホロンなど)の濃度が
高く、酸素濃度が低い反応系であっても、基質を高い転
化率及び選択率で酸化できること、さらに塩基性窒素含
有化合物とを組合せて用いることにより前記転化率及び
選択率が顕著に改善することを見出し、本発明を完成し
た。
【0007】すなわち、本発明の酸化触媒は、(1)マ
ンガンとN,N′−ジサリチリデンジアミンとで形成さ
れた結晶性の錯体、又は(2)この錯体(1)と、塩基性
窒素含有化合物とで構成されている。前記結晶性錯体の
融点は、190〜240℃程度であってもよい。本発明
には、前記酸化触媒の存在下、基質を酸素酸化する酸化
方法、例えば、β−イソホロン又はその誘導体を分子状
酸素で酸化し、対応するケトイソホロンを製造する方法
も含まれる。
ンガンとN,N′−ジサリチリデンジアミンとで形成さ
れた結晶性の錯体、又は(2)この錯体(1)と、塩基性
窒素含有化合物とで構成されている。前記結晶性錯体の
融点は、190〜240℃程度であってもよい。本発明
には、前記酸化触媒の存在下、基質を酸素酸化する酸化
方法、例えば、β−イソホロン又はその誘導体を分子状
酸素で酸化し、対応するケトイソホロンを製造する方法
も含まれる。
【0008】なお、本明細書中、「N,N′−サリチリ
デンジアミン」とは、脂肪族、脂環族、又は芳香族ジア
ミンなどのジアミンのアミノ基のそれぞれの窒素原子
に、サリチリデン基が結合した構造を有してもよいこと
を意味する。
デンジアミン」とは、脂肪族、脂環族、又は芳香族ジア
ミンなどのジアミンのアミノ基のそれぞれの窒素原子
に、サリチリデン基が結合した構造を有してもよいこと
を意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】[錯体]本発明の酸化触媒を構成
する錯体は、結晶性であり、マンガンとN,N′−ジサ
リチリデンジアミンとで構成されている。マンガンの原
子価は、通常、2〜4価(特に2価)である。なお、必
要であれば、錯体は、マンガンとともに、他の遷移金属
成分、例えば、周期表3〜12族遷移金属元素[周期表
5族元素(V,Nbなど)、6族元素(Crなど)、7
族元素(Mn,Reなど)、8族元素(Fe,Ruな
ど)、9族元素(Co,Rhなど)、10族元素(N
i,Pdなど)、及び11族元素(Cuなど)など]を
含有していてもよい。
する錯体は、結晶性であり、マンガンとN,N′−ジサ
リチリデンジアミンとで構成されている。マンガンの原
子価は、通常、2〜4価(特に2価)である。なお、必
要であれば、錯体は、マンガンとともに、他の遷移金属
成分、例えば、周期表3〜12族遷移金属元素[周期表
5族元素(V,Nbなど)、6族元素(Crなど)、7
族元素(Mn,Reなど)、8族元素(Fe,Ruな
ど)、9族元素(Co,Rhなど)、10族元素(N
i,Pdなど)、及び11族元素(Cuなど)など]を
含有していてもよい。
【0010】前記N,N′−ジサリチリデンジアミン
は、脂肪族、脂環族、芳香族などのジアミンの2つのア
ミノ基の窒素原子に、それぞれサリチリデン基が結合し
た構造を有している。マンガンとN,N′−ジサリチリ
デンジアミン配位子とで形成された本発明のマンガン錯
体は、下記式で表すことができる。
は、脂肪族、脂環族、芳香族などのジアミンの2つのア
ミノ基の窒素原子に、それぞれサリチリデン基が結合し
た構造を有している。マンガンとN,N′−ジサリチリ
デンジアミン配位子とで形成された本発明のマンガン錯
体は、下記式で表すことができる。
【0011】
【化2】 (式中、R1 ,R2 ,R3 は、同一又は異なって、アル
キレン基,シクロアルキレン基又はアリーレン基を示
し、これらの基は置換基を有していてもよい。R4〜R
9 は、同一又は異なって、水素原子,ハロゲン原子,ア
ルキル基,ヒドロキシル基,ヒドロキシメチル基又はア
ルコキシ基を示し、環Zは芳香族性環を示す。Mはマン
ガンを示し、nは0又は1以上の整数である) 前記R1 ,R2 ,R3 に対応するジアミンとしては、直
鎖又は分岐鎖状C2-10アルキレンジアミン,イミノ基
(NH基)を含むC2-10アルキレンジアミンなどの脂肪
族ジアミン、ジアミノシクロヘキサンなどの脂環族ジア
ミン、ジアミノベンゼン,ジアミノナフタレン,ビフェ
ニルジアミン又はこれらの誘導体などのC 6-12芳香族ジ
アミンなどが例示できる。
キレン基,シクロアルキレン基又はアリーレン基を示
し、これらの基は置換基を有していてもよい。R4〜R
9 は、同一又は異なって、水素原子,ハロゲン原子,ア
ルキル基,ヒドロキシル基,ヒドロキシメチル基又はア
ルコキシ基を示し、環Zは芳香族性環を示す。Mはマン
ガンを示し、nは0又は1以上の整数である) 前記R1 ,R2 ,R3 に対応するジアミンとしては、直
鎖又は分岐鎖状C2-10アルキレンジアミン,イミノ基
(NH基)を含むC2-10アルキレンジアミンなどの脂肪
族ジアミン、ジアミノシクロヘキサンなどの脂環族ジア
ミン、ジアミノベンゼン,ジアミノナフタレン,ビフェ
ニルジアミン又はこれらの誘導体などのC 6-12芳香族ジ
アミンなどが例示できる。
【0012】前記N,N′−ジサリチリデンジアミン類
には、例えば、N,N′−ジサリチリデンエチレンジア
ミン、N,N′−ジサリチリデントリメチレンジアミ
ン、N,N′−ジサリチリデン−4−アザ−1,7−ヘ
プタンジアミンなどのN,N′−ジサリチリデンC2-8
アルキレンジアミン(好ましくはN,N′−ジサリチリ
デンC2-5 アルキレンジアミン)、N,N′−ジサリチ
リデン−o−フェニレンジアミン、N,N′−ジサリチ
リデン−2,2′−ビフェニリレンジアミンなどのN,
N′−ジサリチリデンC6-12アリーレンジアミンなどが
含まれる。特に好ましいN,N′−ジサリチリデンジア
ミンは、N,N′−ジサリチリデンエチレンジアミン、
N,N′−ジサリチリデントリメチレンジアミンなどの
N,N′−ジサリチリデンC2-4 アルキレンジアミン類
である。
には、例えば、N,N′−ジサリチリデンエチレンジア
ミン、N,N′−ジサリチリデントリメチレンジアミ
ン、N,N′−ジサリチリデン−4−アザ−1,7−ヘ
プタンジアミンなどのN,N′−ジサリチリデンC2-8
アルキレンジアミン(好ましくはN,N′−ジサリチリ
デンC2-5 アルキレンジアミン)、N,N′−ジサリチ
リデン−o−フェニレンジアミン、N,N′−ジサリチ
リデン−2,2′−ビフェニリレンジアミンなどのN,
N′−ジサリチリデンC6-12アリーレンジアミンなどが
含まれる。特に好ましいN,N′−ジサリチリデンジア
ミンは、N,N′−ジサリチリデンエチレンジアミン、
N,N′−ジサリチリデントリメチレンジアミンなどの
N,N′−ジサリチリデンC2-4 アルキレンジアミン類
である。
【0013】芳香族性環Zには、炭化水素環(ベンゼ
ン,ナフタレンなど)、複素環(ピリジン,ビラジン,
ピリミジン,キノリンなどの窒素原子含有複素環、チオ
フェンなどの硫黄原子含有複素環、フランなどの酸素原
子含有複素環など)が例示できる。芳香族性環Zの置換
基R4 〜R9 のうち、ハロゲン原子には、臭素,塩素,
フッ素原子などが含まれ、アルキル基には、メチル,エ
チル,プロピル,ブチル,t−ブチルなどのC1-6 アル
キル基が含まれる。アルコキシ基としては、メトキシ,
エトキシ,プロポキシ,ブトキシ基などのC1-6 アルコ
キシ基が例示できる。置換基R4 〜R9 は、通常、水素
原子,C1-4 アルキル基又はヒドロキシメチル基であ
る。前記式で表される錯体において、nは0又は1以上
の整数(例えば、1〜5、特に1又は2)程度である。
ン,ナフタレンなど)、複素環(ピリジン,ビラジン,
ピリミジン,キノリンなどの窒素原子含有複素環、チオ
フェンなどの硫黄原子含有複素環、フランなどの酸素原
子含有複素環など)が例示できる。芳香族性環Zの置換
基R4 〜R9 のうち、ハロゲン原子には、臭素,塩素,
フッ素原子などが含まれ、アルキル基には、メチル,エ
チル,プロピル,ブチル,t−ブチルなどのC1-6 アル
キル基が含まれる。アルコキシ基としては、メトキシ,
エトキシ,プロポキシ,ブトキシ基などのC1-6 アルコ
キシ基が例示できる。置換基R4 〜R9 は、通常、水素
原子,C1-4 アルキル基又はヒドロキシメチル基であ
る。前記式で表される錯体において、nは0又は1以上
の整数(例えば、1〜5、特に1又は2)程度である。
【0014】前記錯体はマンガンnモルに対してN,
N′−ジサリチリデンジアミンn+1モルが配位した構
造を有しており、マンガン1モルに対してN,N′−ジ
サリチリデンジアミン1モルが配位した従来のマンガン
錯体とは構造的に異なる。また、従来のマンガン錯体が
非晶質であるのに対して、本発明の錯体が、結晶性であ
り、TC/TDAによる熱分析において明瞭な融点を示
す。錯体の融点は、通常、190〜240℃、特に20
0〜220℃程度である。さらには、赤外線吸収スペク
トルにおけるヒドロキシル基に由来する吸収ピークの有
無によっても、従来のマンガン錯体と本発明の錯体とを
区別できる。
N′−ジサリチリデンジアミンn+1モルが配位した構
造を有しており、マンガン1モルに対してN,N′−ジ
サリチリデンジアミン1モルが配位した従来のマンガン
錯体とは構造的に異なる。また、従来のマンガン錯体が
非晶質であるのに対して、本発明の錯体が、結晶性であ
り、TC/TDAによる熱分析において明瞭な融点を示
す。錯体の融点は、通常、190〜240℃、特に20
0〜220℃程度である。さらには、赤外線吸収スペク
トルにおけるヒドロキシル基に由来する吸収ピークの有
無によっても、従来のマンガン錯体と本発明の錯体とを
区別できる。
【0015】このような錯体で構成された酸化触媒は、
基質(β−イソホロン又はその誘導体など)を分子状酸
素で酸化して、酸化物(ケトイソホロン又はその誘導体
など)を生成させるのに有用である。さらに、前記酸化
触媒は前記錯体と塩基性窒素含有化合物とで構成しても
よい。
基質(β−イソホロン又はその誘導体など)を分子状酸
素で酸化して、酸化物(ケトイソホロン又はその誘導体
など)を生成させるのに有用である。さらに、前記酸化
触媒は前記錯体と塩基性窒素含有化合物とで構成しても
よい。
【0016】[錯体の製造方法]前記錯体は、マンガン
化合物に対して過剰量のN,N′−ジサリチリデンジア
ミン類を配位させることにより得ることができる。マン
ガン化合物としては、有機酸塩(酢酸塩など)、ハロゲ
ン化物(塩化マンガンなど)、無機酸塩などが例示でき
る。N,N′−ジサリチリデンジアミン類とマンガン化
合物との割合は、前者/後者(モル比)=0.5〜5、
好ましくは0.9〜3、特に1〜2程度である。なお、
前記割合が当モル程度であってもマンガン化合物を遊離
させることにより、収率は低下するものの、実質的に過
剰モルのN,N′−ジサリチリデンジアミン類が配位し
た錯体を得ることができる。
化合物に対して過剰量のN,N′−ジサリチリデンジア
ミン類を配位させることにより得ることができる。マン
ガン化合物としては、有機酸塩(酢酸塩など)、ハロゲ
ン化物(塩化マンガンなど)、無機酸塩などが例示でき
る。N,N′−ジサリチリデンジアミン類とマンガン化
合物との割合は、前者/後者(モル比)=0.5〜5、
好ましくは0.9〜3、特に1〜2程度である。なお、
前記割合が当モル程度であってもマンガン化合物を遊離
させることにより、収率は低下するものの、実質的に過
剰モルのN,N′−ジサリチリデンジアミン類が配位し
た錯体を得ることができる。
【0017】反応は、反応に不活性な溶媒(例えば、ア
ルコール類などの有機溶媒)中で行うことができる。反
応は不活性ガス雰囲気中で行う場合がおおく、通常、7
0℃〜溶媒の還流温度で撹拌することにより行うことが
できる。反応生成物を回収し、必要により再結晶操作な
どにより精製して乾燥することにより錯体を得ることが
できる。
ルコール類などの有機溶媒)中で行うことができる。反
応は不活性ガス雰囲気中で行う場合がおおく、通常、7
0℃〜溶媒の還流温度で撹拌することにより行うことが
できる。反応生成物を回収し、必要により再結晶操作な
どにより精製して乾燥することにより錯体を得ることが
できる。
【0018】[塩基性窒素含有化合物]前記錯体と塩基
性窒素含有化合物とを組み合わせると、さらに活性能の
高い酸化触媒を得ることができ、基質(β−イソホロン
など)の転化率及び目的酸化物(ケトイソホロンなど)
への選択率を顕著に改善できる。塩基性窒素含有化合物
には、脂肪族アミン類の他,環状塩基(脂環族,芳香族
アミン類)が含まれ、環状塩基は複素環式アミン類であ
ってもよい。アミン類は第1級,第2級又は第3級アミ
ンのいずれであってもよいが、通常、第3級アミンが使
用される。
性窒素含有化合物とを組み合わせると、さらに活性能の
高い酸化触媒を得ることができ、基質(β−イソホロン
など)の転化率及び目的酸化物(ケトイソホロンなど)
への選択率を顕著に改善できる。塩基性窒素含有化合物
には、脂肪族アミン類の他,環状塩基(脂環族,芳香族
アミン類)が含まれ、環状塩基は複素環式アミン類であ
ってもよい。アミン類は第1級,第2級又は第3級アミ
ンのいずれであってもよいが、通常、第3級アミンが使
用される。
【0019】脂肪族アミン類には、ジメチルアミン,ジ
エチルアミン,ジブチルアミン,トリエチルアミン,ト
リブチルアミンなどのモノ−,ジ−又はトリC1-6 アル
キルアミン類、エタノールアミン、ジエタノールアミ
ン,トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン
類、エチレンジアミン,ジエチレントリアミン,ブタン
ジアミンなどのアルキレンジアミン又はそのN置換アル
キレンジアミン類などが例示できる。
エチルアミン,ジブチルアミン,トリエチルアミン,ト
リブチルアミンなどのモノ−,ジ−又はトリC1-6 アル
キルアミン類、エタノールアミン、ジエタノールアミ
ン,トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン
類、エチレンジアミン,ジエチレントリアミン,ブタン
ジアミンなどのアルキレンジアミン又はそのN置換アル
キレンジアミン類などが例示できる。
【0020】環状塩基としては、少なくとも1つの窒素
原子を有する脂環族又は芳香族塩基などが挙げられる。
前記脂環族塩基には、アミノ基又はN置換アミノ基を有
する脂環族炭化水素類(脂環族アミン類)と、少なくと
も1つの窒素原子がヘテロ原子として環を構成する化合
物(窒素含有ヘテロ環化合物)とが含まれる。脂環族ア
ミン類としては、シクロアルキルアミン又はその誘導体
(ジメチルアミノシクロヘキサンなどのモノ又はジC
1-4 アルキルアミノシクロアルカン)などが例示でき
る。窒素含有ヘテロ環化合物には、例えば、ピロリジン
又はその誘導体[N−置換ピロリジン(N−メチルピロ
リジンなどのN−C1-4 アルキルピロリジンなど)、置
換ピロリジン(2−又は3−メチルピロリジン、2−又
は3−アミノピロリジン)など]、ピペリジン又はその
誘導体[N−置換ピペリジン(N−メチルピペリジンな
どのN−C1-4 アルキルピペリジン、ピペリルヒドラジ
ンなど)、置換ピペリジン(o−,m−,及びp−アミ
ノピペリジンなど)]、アルキレンイミン又はその誘導
体[ヘキサメチレンイミン、N−置換ヘキサメチレンイ
ミン(N−メチルヘキサメチレンイミンなど)]、ピペ
ラジン又はその誘導体[N−メチルピペラジンなどのN
−C1-4 アルキルピペラジン、N,N′−ジメチルピペ
ラジンなどのN,N′−ジC1-4 アルキルピペラジン、
2−メチルピペラジンなど]などの5〜10員環の単環
式のヘテロ環化合物、アザビシクロC7-12アルカン(キ
ヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オ
クタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[3.
2.1]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[3.3.
0]オクタン、1,4−ジアザビシクロ[4.2.0]
オクタン、1,5−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ
ン、1,5−ジアザビシクロ[5.3.0]デカンな
ど)、アザトリシクロC8-16アルカン(1,5−ジアザ
シクロ[3.3.0.02,6 ]オクタン、ヘキサメチレ
ンテトラミンなど)、又はこれらの誘導体などの多環式
のヘテロ環化合物などが含まれる。
原子を有する脂環族又は芳香族塩基などが挙げられる。
前記脂環族塩基には、アミノ基又はN置換アミノ基を有
する脂環族炭化水素類(脂環族アミン類)と、少なくと
も1つの窒素原子がヘテロ原子として環を構成する化合
物(窒素含有ヘテロ環化合物)とが含まれる。脂環族ア
ミン類としては、シクロアルキルアミン又はその誘導体
(ジメチルアミノシクロヘキサンなどのモノ又はジC
1-4 アルキルアミノシクロアルカン)などが例示でき
る。窒素含有ヘテロ環化合物には、例えば、ピロリジン
又はその誘導体[N−置換ピロリジン(N−メチルピロ
リジンなどのN−C1-4 アルキルピロリジンなど)、置
換ピロリジン(2−又は3−メチルピロリジン、2−又
は3−アミノピロリジン)など]、ピペリジン又はその
誘導体[N−置換ピペリジン(N−メチルピペリジンな
どのN−C1-4 アルキルピペリジン、ピペリルヒドラジ
ンなど)、置換ピペリジン(o−,m−,及びp−アミ
ノピペリジンなど)]、アルキレンイミン又はその誘導
体[ヘキサメチレンイミン、N−置換ヘキサメチレンイ
ミン(N−メチルヘキサメチレンイミンなど)]、ピペ
ラジン又はその誘導体[N−メチルピペラジンなどのN
−C1-4 アルキルピペラジン、N,N′−ジメチルピペ
ラジンなどのN,N′−ジC1-4 アルキルピペラジン、
2−メチルピペラジンなど]などの5〜10員環の単環
式のヘテロ環化合物、アザビシクロC7-12アルカン(キ
ヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オ
クタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[3.
2.1]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[3.3.
0]オクタン、1,4−ジアザビシクロ[4.2.0]
オクタン、1,5−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナ
ン、1,5−ジアザビシクロ[5.3.0]デカンな
ど)、アザトリシクロC8-16アルカン(1,5−ジアザ
シクロ[3.3.0.02,6 ]オクタン、ヘキサメチレ
ンテトラミンなど)、又はこれらの誘導体などの多環式
のヘテロ環化合物などが含まれる。
【0021】前記脂環族塩基のうち、少なくとも2つ
(特に、2〜6個)の窒素原子を有する脂環族塩基(特
に前記窒素原子をヘテロ原子として有する脂環族塩基)
が好ましく、このような脂環族塩基としては、6〜8員
環の単環式ヘテロ環化合物(ピペラジン、N−置換ピペ
ラジン、アミノ基置換ピペラジンなど)、アザビシクロ
C 7-10アルカン(キヌクリジン、DABCO又はこれら
の誘導体など)、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げ
られる。
(特に、2〜6個)の窒素原子を有する脂環族塩基(特
に前記窒素原子をヘテロ原子として有する脂環族塩基)
が好ましく、このような脂環族塩基としては、6〜8員
環の単環式ヘテロ環化合物(ピペラジン、N−置換ピペ
ラジン、アミノ基置換ピペラジンなど)、アザビシクロ
C 7-10アルカン(キヌクリジン、DABCO又はこれら
の誘導体など)、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げ
られる。
【0022】前記芳香族塩基には、アミノ基又はN置換
アミノ基を有する芳香族炭化水素類(芳香族アミン類)
と、少なくとも1つの窒素原子が環を構成している芳香
族化合物(芳香族ヘテロ環化合物)が含まれる。芳香族
アミン類には、アニリン又はその誘導体(N,N−ジC
1-4 アルキルアニリンなど)、トルイジン又はその誘導
体(N,N−ジC1-4 アルキルトルイジンなど)、アニ
シジン又はその誘導体(N,N−ジC1-4 アルキルアニ
シジンなど)などが例示できる。芳香族ヘテロ環化合物
としては、少なくとも2つの窒素原子を有し、かつその
うち少なくとも1つの窒素原子が環を構成している芳香
族化合物が好ましい。このような芳香族ヘテロ環化合物
としては、ヘテロ原子として少なくとも1つの窒素原子
を含む芳香族性複素環化合物(ピリジンなど)に、アミ
ノ基又はN置換アミノ基が置換した化合物[例えば、2
−,3−,又は4−アミノピリジン、2−,3−,又は
4−モノ又はジアルキルアミノピリジン(例えば、ジメ
チルアミノピリジンなどのジC1-4 アルキルアミノピリ
ジンなど)、2−,3−,又は4−ピペリジノピリジ
ン、4−ピリリジノピリジンなど]、ピラジン又はその
誘導体(2−メチルピラジンなど)、フタラジン、キナ
ゾリン、キノキサリン又はこれらの誘導体、フェナント
ロリン又はその誘導体(1,10−フェナントロリンな
ど)、2,2−ビピリジル又はその誘導体などが例示で
きる。N,N−ジアルキルアミノピリジン、ピラジン、
フェナントロリン又はこれらの誘導体が特に好ましい。
アミノ基を有する芳香族炭化水素類(芳香族アミン類)
と、少なくとも1つの窒素原子が環を構成している芳香
族化合物(芳香族ヘテロ環化合物)が含まれる。芳香族
アミン類には、アニリン又はその誘導体(N,N−ジC
1-4 アルキルアニリンなど)、トルイジン又はその誘導
体(N,N−ジC1-4 アルキルトルイジンなど)、アニ
シジン又はその誘導体(N,N−ジC1-4 アルキルアニ
シジンなど)などが例示できる。芳香族ヘテロ環化合物
としては、少なくとも2つの窒素原子を有し、かつその
うち少なくとも1つの窒素原子が環を構成している芳香
族化合物が好ましい。このような芳香族ヘテロ環化合物
としては、ヘテロ原子として少なくとも1つの窒素原子
を含む芳香族性複素環化合物(ピリジンなど)に、アミ
ノ基又はN置換アミノ基が置換した化合物[例えば、2
−,3−,又は4−アミノピリジン、2−,3−,又は
4−モノ又はジアルキルアミノピリジン(例えば、ジメ
チルアミノピリジンなどのジC1-4 アルキルアミノピリ
ジンなど)、2−,3−,又は4−ピペリジノピリジ
ン、4−ピリリジノピリジンなど]、ピラジン又はその
誘導体(2−メチルピラジンなど)、フタラジン、キナ
ゾリン、キノキサリン又はこれらの誘導体、フェナント
ロリン又はその誘導体(1,10−フェナントロリンな
ど)、2,2−ビピリジル又はその誘導体などが例示で
きる。N,N−ジアルキルアミノピリジン、ピラジン、
フェナントロリン又はこれらの誘導体が特に好ましい。
【0023】前記環状塩基において、環を構成する窒素
原子以外の窒素原子は3級アミノ基を構成するのが好ま
しく、環を構成している窒素原子には水素原子以外の置
換基(C1-4 アルキル基など)が置換していてもよい。
前記塩基性窒素含有化合物は単独又は二種以上組合せて
使用できる。
原子以外の窒素原子は3級アミノ基を構成するのが好ま
しく、環を構成している窒素原子には水素原子以外の置
換基(C1-4 アルキル基など)が置換していてもよい。
前記塩基性窒素含有化合物は単独又は二種以上組合せて
使用できる。
【0024】塩基性窒素含有化合物と前記錯体との割合
は、前者/後者=0.1/1〜500/1(モル比)、
好ましくは0.5/1〜250/1(例えば0.8/1
〜250/1)程度の範囲から適当に選択できる。
は、前者/後者=0.1/1〜500/1(モル比)、
好ましくは0.5/1〜250/1(例えば0.8/1
〜250/1)程度の範囲から適当に選択できる。
【0025】[酸化反応]本発明の酸化触媒を用いて、
基質を分子状酸素で酸化することにより、反応系での基
質濃度が高くても、対応する酸化物を高い収率で製造で
きる。また、活性能が高いため、酸化触媒の使用量を従
来のマンガン錯体に比べて著しく低減でき、極微量の酸
化触媒の存在下であっても、高い転化率および選択率で
酸化物を生成できる。さらには、酸素濃度が低くても高
い転化率および選択率で酸化物を生成できるので、空気
なども酸素源として使用できる。
基質を分子状酸素で酸化することにより、反応系での基
質濃度が高くても、対応する酸化物を高い収率で製造で
きる。また、活性能が高いため、酸化触媒の使用量を従
来のマンガン錯体に比べて著しく低減でき、極微量の酸
化触媒の存在下であっても、高い転化率および選択率で
酸化物を生成できる。さらには、酸素濃度が低くても高
い転化率および選択率で酸化物を生成できるので、空気
なども酸素源として使用できる。
【0026】前記基質の種類は特に制限されず、β−イ
ソホロン(3,5,5−トリメチルヘキサ−3−エン−
1−オン)又はその誘導体、β−イソホロンに類似の構
造を有する化合物、例えば、3−シクロヘキセノン骨格
を有する化合物などが例示できる。特に、本発明の酸化
触媒は、β−イソホロン又はその誘導体を分子状酸素で
酸化し、対応するケトイソホロンを製造するのに有用で
ある。
ソホロン(3,5,5−トリメチルヘキサ−3−エン−
1−オン)又はその誘導体、β−イソホロンに類似の構
造を有する化合物、例えば、3−シクロヘキセノン骨格
を有する化合物などが例示できる。特に、本発明の酸化
触媒は、β−イソホロン又はその誘導体を分子状酸素で
酸化し、対応するケトイソホロンを製造するのに有用で
ある。
【0027】反応系での基質の濃度は、特に制限され
ず、例えば、5〜50重量%程度であっても高い転化率
および選択率で目的化合物を効率よく生成させることが
できる。特に基質(β−イソホロン又はその誘導体な
ど)の濃度が10〜50重量%、好ましくは20〜50
重量%であっても、選択率を90%以上(例えば、選択
率93〜97%程度)に維持しつつ酸化反応を行うこと
ができ、工業的に極めて有用である。
ず、例えば、5〜50重量%程度であっても高い転化率
および選択率で目的化合物を効率よく生成させることが
できる。特に基質(β−イソホロン又はその誘導体な
ど)の濃度が10〜50重量%、好ましくは20〜50
重量%であっても、選択率を90%以上(例えば、選択
率93〜97%程度)に維持しつつ酸化反応を行うこと
ができ、工業的に極めて有用である。
【0028】本発明において酸素源としては、酸素や酸
素含有ガスの他、分子状酸素を供給できるものであれ
ば、酸素を生成する化合物も使用できる。酸素源として
は、例えば、酸素高純度ガスを用いてもよいが、反応に
不活性なガス、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、二
酸化炭素などにより希釈して、反応系に供給するのが好
ましい。また、本発明の酸化触媒系を利用すると、酸素
に代えて空気を酸素源として用いても有効に基質を酸化
できる。そのため、経済的に非常に有利であるばかりで
なく、工業化する場合において生じる爆発の危険性も低
くすることができる。
素含有ガスの他、分子状酸素を供給できるものであれ
ば、酸素を生成する化合物も使用できる。酸素源として
は、例えば、酸素高純度ガスを用いてもよいが、反応に
不活性なガス、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、二
酸化炭素などにより希釈して、反応系に供給するのが好
ましい。また、本発明の酸化触媒系を利用すると、酸素
に代えて空気を酸素源として用いても有効に基質を酸化
できる。そのため、経済的に非常に有利であるばかりで
なく、工業化する場合において生じる爆発の危険性も低
くすることができる。
【0029】酸素源中の酸素濃度は、例えば、5〜10
0体積%、好ましくは5〜50体積%、特に7〜30体
積%程度であり、8〜25体積%程度の低い酸素濃度で
あっても有効に酸化反応が進行する。
0体積%、好ましくは5〜50体積%、特に7〜30体
積%程度であり、8〜25体積%程度の低い酸素濃度で
あっても有効に酸化反応が進行する。
【0030】分子状酸素を反応容器内に供給する場合、
予め十分な分子状酸素を供給した後、密閉系で反応を行
ってもよく、連続的に分子状酸素を流通させて行っても
よい。連続的に流通させる場合、その流通速度は、例え
ば、単位容積1L当たり、0.1〜3L/分、好ましく
は0.5〜2.8L/分程度である。酸化反応は、気相
酸化及び液相酸化のいずれであってもよい。反応は、溶
媒の非存在下で行ってもよいが、通常、不活性溶媒中で
行われる。
予め十分な分子状酸素を供給した後、密閉系で反応を行
ってもよく、連続的に分子状酸素を流通させて行っても
よい。連続的に流通させる場合、その流通速度は、例え
ば、単位容積1L当たり、0.1〜3L/分、好ましく
は0.5〜2.8L/分程度である。酸化反応は、気相
酸化及び液相酸化のいずれであってもよい。反応は、溶
媒の非存在下で行ってもよいが、通常、不活性溶媒中で
行われる。
【0031】反応溶媒としては、酸化反応を特に阻害し
ない限り、炭化水素類,ハロゲン化炭化水素類,エステ
ル類,ケトン類,エーテル類,非プロトン性極性溶媒な
どの親水性又は疎水性溶媒のいずれも使用できる。な
お、酸化反応において水が生成するため、前記塩基性窒
素含有化合物の種類によっては回収が困難となったり、
溶媒がリサイクルできない場合がある。このような場
合、水不溶性(又は疎水性)の有機溶媒が好ましい。水
不溶性有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、シク
ロヘキサンなどの脂環族炭化水素系溶媒、メチルエチル
ケトン、ジブチルケトン(ジイソブチルケトン、ジt−
ブチルケトンなど)などのケトン系溶媒(特に、ジアル
キルケトン類など)、ジエチルエーテル、ジイソプロピ
ルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメ
チルエーテルなどのエーテル系溶媒、モノクロロエタ
ン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,
2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒など
が挙げられる。好ましい溶媒は、ジアルキルケトン類、
特にジブチルケトンなどである。溶媒の使用量は、特に
制限されず、5〜70重量%、好ましくは15〜60重
量%(例えば、20〜55重量%)程度の範囲から選択
できる。
ない限り、炭化水素類,ハロゲン化炭化水素類,エステ
ル類,ケトン類,エーテル類,非プロトン性極性溶媒な
どの親水性又は疎水性溶媒のいずれも使用できる。な
お、酸化反応において水が生成するため、前記塩基性窒
素含有化合物の種類によっては回収が困難となったり、
溶媒がリサイクルできない場合がある。このような場
合、水不溶性(又は疎水性)の有機溶媒が好ましい。水
不溶性有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、シク
ロヘキサンなどの脂環族炭化水素系溶媒、メチルエチル
ケトン、ジブチルケトン(ジイソブチルケトン、ジt−
ブチルケトンなど)などのケトン系溶媒(特に、ジアル
キルケトン類など)、ジエチルエーテル、ジイソプロピ
ルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメ
チルエーテルなどのエーテル系溶媒、モノクロロエタ
ン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,
2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒など
が挙げられる。好ましい溶媒は、ジアルキルケトン類、
特にジブチルケトンなどである。溶媒の使用量は、特に
制限されず、5〜70重量%、好ましくは15〜60重
量%(例えば、20〜55重量%)程度の範囲から選択
できる。
【0032】反応系内に含まれる水の割合は、酸化触媒
系の失活などに影響を及ぼさない範囲で選択でき、1重
量%以下(0.001〜1重量%程度)、好ましくは
0.5重量%以下(0.001〜0.5重量%程度)で
ある。水の割合が1重量%を越えると、初期の段階で反
応を促進するものの、その後反応の停止、又は選択率の
低下を引き起こす場合がある。なお、反応系内の水に
は、反応開始時に含まれる水だけでなく、反応により生
成する水も含まれ、本反応系においては、通常、有限量
の水が存在する。反応により生成する水は、系外に除く
ことが望ましく、生成する水分量はβ−イソホロンの基
質濃度により異なるが、系外へ除く水分量は、生成する
水の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50
重量%、好ましくは少なくとも80重量%程度である。
系の失活などに影響を及ぼさない範囲で選択でき、1重
量%以下(0.001〜1重量%程度)、好ましくは
0.5重量%以下(0.001〜0.5重量%程度)で
ある。水の割合が1重量%を越えると、初期の段階で反
応を促進するものの、その後反応の停止、又は選択率の
低下を引き起こす場合がある。なお、反応系内の水に
は、反応開始時に含まれる水だけでなく、反応により生
成する水も含まれ、本反応系においては、通常、有限量
の水が存在する。反応により生成する水は、系外に除く
ことが望ましく、生成する水分量はβ−イソホロンの基
質濃度により異なるが、系外へ除く水分量は、生成する
水の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50
重量%、好ましくは少なくとも80重量%程度である。
【0033】反応温度は、反応速度、選択性、及び使用
する溶媒に応じて、例えば、10〜100℃(好ましく
は20〜60℃)程度の範囲から選択できる。反応圧力
は、常圧又は加圧(〜150atm程度)でもよいが、
好ましくは常圧である。反応時間(又は滞留時間)は、
特に制限されず、反応の形態(連続式又はバッチ式反応
など)に応じて、10秒〜24時間程度の範囲から選択
できる。
する溶媒に応じて、例えば、10〜100℃(好ましく
は20〜60℃)程度の範囲から選択できる。反応圧力
は、常圧又は加圧(〜150atm程度)でもよいが、
好ましくは常圧である。反応時間(又は滞留時間)は、
特に制限されず、反応の形態(連続式又はバッチ式反応
など)に応じて、10秒〜24時間程度の範囲から選択
できる。
【0034】反応は、バッチ式、セミバッチ式、又は連
続式などの慣用の方法で行なうことができる。反応を連
続式で行う場合は、連続的又は間欠的に触媒の一部を反
応器から抜き取って、再生した後、再び反応器へリサイ
クルしてもよい。反応をバッチ式で行う場合は、反応後
に反応生成物から分離回収された触媒は、その全部又は
一部を再生し、繰り返して触媒として反応に使用するこ
とができる。
続式などの慣用の方法で行なうことができる。反応を連
続式で行う場合は、連続的又は間欠的に触媒の一部を反
応器から抜き取って、再生した後、再び反応器へリサイ
クルしてもよい。反応をバッチ式で行う場合は、反応後
に反応生成物から分離回収された触媒は、その全部又は
一部を再生し、繰り返して触媒として反応に使用するこ
とができる。
【0035】反応により生成した酸化物(ケトイソホロ
ンなど)は、慣用の分離手段、例えば、濾過、濃縮、蒸
留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーな
どの分離手段、又はこれらを組合せた分離手段により容
易に分離精製できる。特に、本発明では、β−イソホロ
ンの転化率及びケトイソホロンへの選択率が非常に高
く、他の副生成物の副生を著しく抑制できるので、分離
精製したとしても容易かつ効率よく行なうことができ、
高度に分離精製する必要がない。
ンなど)は、慣用の分離手段、例えば、濾過、濃縮、蒸
留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーな
どの分離手段、又はこれらを組合せた分離手段により容
易に分離精製できる。特に、本発明では、β−イソホロ
ンの転化率及びケトイソホロンへの選択率が非常に高
く、他の副生成物の副生を著しく抑制できるので、分離
精製したとしても容易かつ効率よく行なうことができ、
高度に分離精製する必要がない。
【0036】
【発明の効果】本発明では、マンガンとN,N′−ジサ
リチリデンジアミンとで形成された結晶性マンガン錯体
を用いるので、基質の濃度に拘らず、高い転化率及び選
択率で基質を酸化できる。また、触媒の使用量が極微量
であっても、高い転化率及び選択率で基質を酸化でき
る。さらには、酸素濃度の低い空気などを分子状酸素の
供給源として用いても、効率よく酸化反応を進行させる
ことができる。そのため、β−イソホロンの酸化に適用
すると、β−イソホロンの濃度が高く、酸素濃度が低く
ても高い転化率及び選択率を維持しつつ、ケトイソホロ
ンを生成できる。と、環状塩基とで酸化触媒系を構成す
るので、β−イソホロン又はその誘導体を分子状酸素で
酸化できるとともに、副生成物の生成を著しく抑制で
き、高転化率及び高選択率でケトイソホロン又はその誘
導体を生成させることができる。特に、β−イソホロン
の濃度が高い反応系であっても、高い選択率を維持で
き、ケトイソホロンを効率よく生成できる。
リチリデンジアミンとで形成された結晶性マンガン錯体
を用いるので、基質の濃度に拘らず、高い転化率及び選
択率で基質を酸化できる。また、触媒の使用量が極微量
であっても、高い転化率及び選択率で基質を酸化でき
る。さらには、酸素濃度の低い空気などを分子状酸素の
供給源として用いても、効率よく酸化反応を進行させる
ことができる。そのため、β−イソホロンの酸化に適用
すると、β−イソホロンの濃度が高く、酸素濃度が低く
ても高い転化率及び選択率を維持しつつ、ケトイソホロ
ンを生成できる。と、環状塩基とで酸化触媒系を構成す
るので、β−イソホロン又はその誘導体を分子状酸素で
酸化できるとともに、副生成物の生成を著しく抑制で
き、高転化率及び高選択率でケトイソホロン又はその誘
導体を生成させることができる。特に、β−イソホロン
の濃度が高い反応系であっても、高い選択率を維持で
き、ケトイソホロンを効率よく生成できる。
【0037】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。実施例及び比較例で用いた基質、遷移
金属錯体、窒素含有化合物、溶媒は以下の通りである。
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。実施例及び比較例で用いた基質、遷移
金属錯体、窒素含有化合物、溶媒は以下の通りである。
【0038】1.基質:β−イソホロン(β−IP) 2.マンガン錯体 (b-1):結晶性マンガン錯体 反応器にN,N′−ジサリチリデンエチレンジアミン
(EDSA)169g(630ミリモル)とメタノール
5000mlを入れ、窒素気流下、還流温度で溶解し
た。なお、EDSAは、Inorg. Synth. 3 (1950) 196に
記載の方法に準じて、サリチルアルデヒド2モルとエチ
レンジアミン1モルとを、エタノール中、6時間還流す
ることにより合成した。酢酸マンガン・4水和物Mn
(OAc)2・4H2O 156g(637ミリモル)と
メタノール1500mlとの溶液を、窒素気流下、温度
50℃で、前記EDSAのメタノール溶液中に添加し、
窒素気流下、還流温度で8時間反応させた。反応終了
後、窒素ガス雰囲気中で一晩放置することにより冷却
し、窒素ガスが流通する容器に収容した。この容器に窒
素ガスを流しながら濾過し、80℃で6時間真空乾燥す
ることにより、結晶135.4g(収率70%)を得
た。熱分析(TC/TDA)に供したところ、この結晶
錯体の融点は207.8℃であった。 元素分析 実測値 C:65.5,H5.2,:N:9.5 計算値 C:65.2,H5.1,:N:9.5(式でn=0) 計算値 C:63.3,H4.9,:N:9.2(式でn=1) (b-2):非晶性マンガン錯体 J. Am. Chem. Soc., 108 (1986) 2317に記載されている
方法に準じて、マンガン錯体を得た。すなわち、EDS
A 2.15g(8ミリモル)とメタノール50mlと
の混合溶液に、水酸化カリウム0.90g(16ミリモ
ル)とメタノール20mlとの溶液を添加した後、窒素
気流下、酢酸マンガン・4水和物Mn(OAc)2・4
H2O 1.98g(8.08ミリモル)とメタノール
30mlとの溶液を添加し、還流温度で5時間撹拌し
た。反応混合液を2時間かけて室温に冷却し、濾過した
後、メタノール10mlで洗浄して濾過し、100℃で
8時間真空乾燥することによりマンガン錯体を得た。
(EDSA)169g(630ミリモル)とメタノール
5000mlを入れ、窒素気流下、還流温度で溶解し
た。なお、EDSAは、Inorg. Synth. 3 (1950) 196に
記載の方法に準じて、サリチルアルデヒド2モルとエチ
レンジアミン1モルとを、エタノール中、6時間還流す
ることにより合成した。酢酸マンガン・4水和物Mn
(OAc)2・4H2O 156g(637ミリモル)と
メタノール1500mlとの溶液を、窒素気流下、温度
50℃で、前記EDSAのメタノール溶液中に添加し、
窒素気流下、還流温度で8時間反応させた。反応終了
後、窒素ガス雰囲気中で一晩放置することにより冷却
し、窒素ガスが流通する容器に収容した。この容器に窒
素ガスを流しながら濾過し、80℃で6時間真空乾燥す
ることにより、結晶135.4g(収率70%)を得
た。熱分析(TC/TDA)に供したところ、この結晶
錯体の融点は207.8℃であった。 元素分析 実測値 C:65.5,H5.2,:N:9.5 計算値 C:65.2,H5.1,:N:9.5(式でn=0) 計算値 C:63.3,H4.9,:N:9.2(式でn=1) (b-2):非晶性マンガン錯体 J. Am. Chem. Soc., 108 (1986) 2317に記載されている
方法に準じて、マンガン錯体を得た。すなわち、EDS
A 2.15g(8ミリモル)とメタノール50mlと
の混合溶液に、水酸化カリウム0.90g(16ミリモ
ル)とメタノール20mlとの溶液を添加した後、窒素
気流下、酢酸マンガン・4水和物Mn(OAc)2・4
H2O 1.98g(8.08ミリモル)とメタノール
30mlとの溶液を添加し、還流温度で5時間撹拌し
た。反応混合液を2時間かけて室温に冷却し、濾過した
後、メタノール10mlで洗浄して濾過し、100℃で
8時間真空乾燥することによりマンガン錯体を得た。
【0039】熱分析(TC/TDA)に供したところ、
明瞭な吸熱ピークが認められず、非晶質であった。な
お、EDSA単独の融点は127.6℃であった。 元素分析 実測値 C:59.6,H4.3,:N:8.7 計算値 C:59.8,H4.4,:N:8.7 3.窒素含有化合物 (c-1):1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オク
タン(DABCO) (c-2):4−ジメチルアミノピリジン (c-3):2−ジメチルアミノピリジン (c-4):1,10−フェナントロリン (c-5):トリエチルアミン 4.溶媒:ジイソブチルケトン 実施例1〜8及び比較例1〜3 タービン翼付攪拌機と多孔質ガラス付分子状酸素ガス挿
入管を付帯したガラス製反応器(1L)に、β−イソホ
ロン、マンガン錯体、窒素含有化合物、及び溶媒を表1
に示す割合で仕込み、酸素含有ガス(酸素濃度,体積
%)を一定の流通速度で流通させつつ反応を行った。実
施例1〜8及び比較例1〜3のβ−イソホロンの転化率
及びβ−イソホロンからケトイソホロンへの選択率を反
応条件と共に表1及び表2に示す。
明瞭な吸熱ピークが認められず、非晶質であった。な
お、EDSA単独の融点は127.6℃であった。 元素分析 実測値 C:59.6,H4.3,:N:8.7 計算値 C:59.8,H4.4,:N:8.7 3.窒素含有化合物 (c-1):1,4−ジアゾビシクロ[2.2.2]オク
タン(DABCO) (c-2):4−ジメチルアミノピリジン (c-3):2−ジメチルアミノピリジン (c-4):1,10−フェナントロリン (c-5):トリエチルアミン 4.溶媒:ジイソブチルケトン 実施例1〜8及び比較例1〜3 タービン翼付攪拌機と多孔質ガラス付分子状酸素ガス挿
入管を付帯したガラス製反応器(1L)に、β−イソホ
ロン、マンガン錯体、窒素含有化合物、及び溶媒を表1
に示す割合で仕込み、酸素含有ガス(酸素濃度,体積
%)を一定の流通速度で流通させつつ反応を行った。実
施例1〜8及び比較例1〜3のβ−イソホロンの転化率
及びβ−イソホロンからケトイソホロンへの選択率を反
応条件と共に表1及び表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】 表1及び表2から明らかなように、実施例では、β−イ
ソホロンの濃度が高く酸素濃度が低くても、比較例に比
べて転化率、選択率とも大幅に改善できる。また、窒素
含有化合物と組合わせることにより、さらに転化率及び
選択率が改善できる。さらには、マンガン錯体の濃度が
小さくても高い活性でケトイソホロンを生成させること
ができる。
ソホロンの濃度が高く酸素濃度が低くても、比較例に比
べて転化率、選択率とも大幅に改善できる。また、窒素
含有化合物と組合わせることにより、さらに転化率及び
選択率が改善できる。さらには、マンガン錯体の濃度が
小さくても高い活性でケトイソホロンを生成させること
ができる。
Claims (12)
- 【請求項1】 マンガンとN,N′−ジサリチリデンジ
アミンとで形成された結晶性の錯体で構成された酸化触
媒。 - 【請求項2】 錯体が下記式 【化1】 (式中、R1 ,R2 ,R3 は、同一又は異なって、アル
キレン基,シクロアルキレン基又はアリーレン基を示
し、これらの基は置換基を有していてもよい。R4〜R
9 は、同一又は異なって、水素原子,ハロゲン原子,ア
ルキル基,ヒドロキシル基,ヒドロキシメチル基又はア
ルコキシ基を示し、環Zは芳香族性環を示す。Mはマン
ガンを示し、nは0又は1以上の整数である)で表され
る請求項1記載の酸化触媒。 - 【請求項3】 錯体が、マンガンとN,N′−ジサリチ
リデンC2-5 アルキレンジアミンとの錯体である請求項
1記載の酸化触媒。 - 【請求項4】 錯体の融点が190〜240℃である請
求項1記載の酸化触媒。 - 【請求項5】 請求項1記載の錯体と、塩基性窒素含有
化合物とで構成されている酸化触媒。 - 【請求項6】 窒素含有化合物が、複数の窒素原子を有
する脂環族又は芳香族環状塩基である請求項5記載の酸
化触媒。 - 【請求項7】 環状塩基の環が、少なくとも1つの窒素
原子を含む請求項6記載の酸化触媒。 - 【請求項8】 環状塩基が2〜6個の窒素原子を有する
請求項6記載の酸化触媒。 - 【請求項9】 窒素含有化合物が第3級アミンである請
求項5記載の酸化触媒。 - 【請求項10】 窒素含有化合物と錯体との割合が、前
者/後者=0.1/1〜500/1(モル比)である請
求項5記載の酸化触媒。 - 【請求項11】 請求項1又は請求項5記載の酸化触媒
の存在下、基質を酸素酸化する酸化方法。 - 【請求項12】 請求項1又は請求項5記載の酸化触媒
の存在下、β−イソホロン又はその誘導体を分子状酸素
で酸化し、対応するケトイソホロンを製造する方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10151643A JPH11342342A (ja) | 1998-06-01 | 1998-06-01 | 酸化触媒及びそれを用いた酸化方法 |
EP99110492A EP0962252B1 (en) | 1998-06-01 | 1999-05-31 | Process for preparing ketoisophorone |
DE69919077T DE69919077T2 (de) | 1998-06-01 | 1999-05-31 | Verfahren zur Herstellung von Ketoisophoron |
US09/323,225 US6255509B1 (en) | 1998-06-01 | 1999-06-01 | Oxidation catalyst and oxidation process using the same |
US09/832,104 US6462239B2 (en) | 1998-06-01 | 2001-04-11 | Oxidation catalyst and oxidation process using the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10151643A JPH11342342A (ja) | 1998-06-01 | 1998-06-01 | 酸化触媒及びそれを用いた酸化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11342342A true JPH11342342A (ja) | 1999-12-14 |
Family
ID=15523052
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10151643A Pending JPH11342342A (ja) | 1998-06-01 | 1998-06-01 | 酸化触媒及びそれを用いた酸化方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US6255509B1 (ja) |
EP (1) | EP0962252B1 (ja) |
JP (1) | JPH11342342A (ja) |
DE (1) | DE69919077T2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008212853A (ja) * | 2007-03-06 | 2008-09-18 | Nissan Chem Ind Ltd | アルコール酸化触媒およびその合成方法 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000247921A (ja) * | 1998-12-28 | 2000-09-12 | Daicel Chem Ind Ltd | ケトイソホロン誘導体の製造方法及び製造装置 |
DE102010030995A1 (de) | 2010-07-06 | 2012-01-12 | Evonik Degussa Gmbh | Verwendung von beta-Isophoron als Lösemittel |
CN110721696B (zh) * | 2019-10-01 | 2020-06-05 | 山东新和成维生素有限公司 | 一种采用钙钛矿型复合氧化物催化合成茶香酮的方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CH559156A5 (ja) | 1972-11-16 | 1975-02-28 | Firmenich & Cie | |
CH586173A5 (ja) | 1973-12-07 | 1977-03-31 | Firmenich & Cie | |
CH611590A5 (en) | 1974-06-28 | 1979-06-15 | Hoffmann La Roche | Process for the preparation of a diketo compound |
FR2303785A1 (fr) | 1975-03-11 | 1976-10-08 | Rhone Poulenc Ind | Procede d'oxydation de cetones b-ethyleniques |
JPS61191645A (ja) | 1985-02-20 | 1986-08-26 | Sagami Chem Res Center | オキソホロンの製造方法 |
DE19619570A1 (de) * | 1996-05-15 | 1997-11-20 | Degussa | Verfahren zur Herstellung von Ketoisophoron |
-
1998
- 1998-06-01 JP JP10151643A patent/JPH11342342A/ja active Pending
-
1999
- 1999-05-31 EP EP99110492A patent/EP0962252B1/en not_active Expired - Lifetime
- 1999-05-31 DE DE69919077T patent/DE69919077T2/de not_active Expired - Fee Related
- 1999-06-01 US US09/323,225 patent/US6255509B1/en not_active Expired - Fee Related
-
2001
- 2001-04-11 US US09/832,104 patent/US6462239B2/en not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008212853A (ja) * | 2007-03-06 | 2008-09-18 | Nissan Chem Ind Ltd | アルコール酸化触媒およびその合成方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP0962252A2 (en) | 1999-12-08 |
EP0962252B1 (en) | 2004-08-04 |
US20020007098A1 (en) | 2002-01-17 |
US6255509B1 (en) | 2001-07-03 |
EP0962252A3 (en) | 2000-04-05 |
US6462239B2 (en) | 2002-10-08 |
DE69919077T2 (de) | 2004-12-02 |
DE69919077D1 (de) | 2004-09-09 |
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