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JPH11349748A - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物

Info

Publication number
JPH11349748A
JPH11349748A JP15824598A JP15824598A JPH11349748A JP H11349748 A JPH11349748 A JP H11349748A JP 15824598 A JP15824598 A JP 15824598A JP 15824598 A JP15824598 A JP 15824598A JP H11349748 A JPH11349748 A JP H11349748A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propylene
group
component
weight
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15824598A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaru Hayakawa
優 早川
Yuji Fujita
祐二 藤田
Toru Suzuki
亨 鈴木
Toshihiko Sugano
利彦 菅野
Takao Tayano
孝夫 田谷野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP15824598A priority Critical patent/JPH11349748A/ja
Priority to US09/485,189 priority patent/US6825280B1/en
Priority to CA002299390A priority patent/CA2299390A1/en
Priority to KR1020007001158A priority patent/KR100598192B1/ko
Priority to PCT/JP1999/003030 priority patent/WO1999064490A1/ja
Priority to EP99923939A priority patent/EP1002814A4/en
Publication of JPH11349748A publication Critical patent/JPH11349748A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性と耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)と耐熱
性のバランスに優れた成形品を容易に製造可能なプロピ
レン系樹脂組成物を提供することを課題とする。 【解決手段】 プロピレン単位が100〜80モル%、
コモノマーから誘導される構成単位が0〜20モル%存
在し、MFRが0.1〜200g/10分であり、平均
溶出温度が75〜120℃の範囲にあり、且つ溶出分散
度が9以下であるプロピレン系重合体に、エラストマー
及び場合によりチーグラー系ポリプロピレンを配合し、
プロピレン系樹脂組成物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なプロピレン
系樹脂組成物に関する。詳しくは、本発明は剛性、耐衝
撃性(特に低温耐衝撃性)及び耐熱性のバランスに優れ
た、射出成形、押出成形、又は中空成形用材料として有
用なプロピレン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、成形用材料として従
来から射出成形品、押出成形品、ブロー成形品等に広く
用いられている。
【0003】一方、近年、省資源・省エネルギーの観点
から、射出成形品等の成形品の薄肉化や軽量化が求めら
れており、ポリプロピレン成形材料についてもその剛性
と耐衝撃性のバランスを向上させることにより、成形品
の薄肉化や軽量化を可能にするため、種々の提案がなさ
れている。
【0004】例えば、プロピレンとエチレンまたは他の
オレフィンとを段階的に重合させて製造したブロック共
重合体を用いて薄肉化や軽量化を図ることは、既に公知
である。更に、最近では低温耐衝撃性等の物性を改良し
たポリプロピレンとして、メタロセン化合物と助触媒か
らなる触媒系の存在下に重合されたプロピレンブロック
共重合体が提案されている(特開平4−337308号
公報、特開平5−202152号公報、特開平6−20
6921号公報、特表平8−510491号公報、WO
95/27740号公報、WO95/27741号公報
等)。また、本出額人も、特定の担体や特定の重合方法
を用いた上記触媒系での改良方法を提案した(特開平6
−172414号公報、特開平6−287257号公
報、特開平8−27237号公報)。
【0005】しかしながら、これらの方法で得られたポ
リプロピレンでは、剛性と耐衝撃強度〈特に低温耐衝撃
強度)と耐熱性のバランスが必ずしも十分でなく、なお
一層の向上が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、剛性、耐衝
撃性(特に低温耐衝撃性)及び耐熱性のバランスに優れ
た成形品を容易に製造可能なプロピレン系樹脂組成物を
提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を行った結果、特定範囲の溶出温度及び溶出分散度を有
し結晶性のばらつきのないプロピレン系重合体を用いる
ことによって、剛性と耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)と
耐熱性とのバランスに優れた成形品が得られることを見
出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、(1)以下に示す要
件(a)〜(c)を満たすプロピレン系重合体と(2)
エラストマーとを含有し、前記プロピレン系重合体の含
有量が10〜99重量%、前記エラストマーの含有量が
1〜90重量%である、プロピレン系樹脂組成物(以
下、「組成物I」とする)を提供する。
【0009】(a):プロピレンから誘導される構成単
位が100〜80モル%、エチレン及び炭素数4〜20
のα−オレフィンからなる群より選ばれるコモノマーか
ら誘導される構成単位が0〜20モル%存在すること。 (b):メルトフローレートが0.1〜200g/10
分であること。 (c):平均溶出温度が75〜120℃の範囲にあり、
溶出分散度が9以下であること。
【0010】また、本発明は、(1)プロピレン系重合
体及び(2)エラストマーに加えて、(3)チーグラー
系触媒を用いて製造されたポリプロピレン樹脂を含有
し、前記プロピレン系重合体の含有量が10〜94重量
%、前記エラストマーの含有量が1〜85重量%、前記
ポリプロピレン樹脂の含有量が5〜89重量%である前
記プロピレン系樹脂組成物(以下、「組成物II」とす
る)を提供する。
【0011】また、本発明は、前記プロピレン系重合体
が、以下に示す(a)〜(e)を満たすことを特徴とす
る前記いずれかのプロピレン系樹脂組成物を提供する。 (a):プロピレンから誘導される構成単位が100〜
94モル%、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフ
ィンからなる群より選ばれるコモノマーから誘導される
構成単位が0〜6モル%存在すること。 (b):メルトフローレートが0.1〜200g/10
分であること。 (c):平均溶出温度が75〜120℃の範囲にあり、
溶出分散度が9以下であること。 (d):アイソタクティックペンタッド連鎖の分率が9
5%以上であること。 (e):1,3−不整結合の割合が0.06〜3%であ
ること。
【0012】また、本発明は、射出成形品、中空成形
品、及び押出成形品からなる群から選ばれる成形品であ
って、上記いずれかのプロピレン系樹脂組成物により構
成されていることを特徴とする、プロピレン系樹脂成形
品を提供する。
【0013】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロ
ピレン系重合体に、エラストマー、及び必要に応じてチ
ーグラー系触媒を用いて得られるポリプロピレン樹脂を
配合したものであり、前記プロピレン系重合体として、
特定範囲の溶出温度及び溶出分散度を有し結晶性のばら
つきのない重合体を用いることによって、剛性と耐衝撃
性(特に低温耐衝撃性)と耐熱性とのバランスに優れた
成形材料を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明のプロピレン系樹脂組成物は、プロ
ピレン系重合体と前記プロピレン系重合体への配合成分
とからなる。
【0015】(1)プロピレン系重合体 本発明のプロピレン系重合体は、以下に示す構成単位に
関する要件(a)、メルトフローレートに関する要件
(b)、及び平均溶出温度と溶出分散度に関する要件
(c)を満たすものである。好ましくは、これらの要件
(a)〜(c)に加え、さらにアイソタクティックペン
タッド連鎖に分率に関する要件(d)及び1,3−不整
結合の割合に関する要件(e)を満たすものである。
【0016】(a)構成単位 本発明で用いられるプロピレン系重合体は、その全構成
単位中に、プロピレンから誘導される構成単位(以下、
「プロピレン単位」という)が100〜80モル%、エ
チレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンからなる群
より選ばれるコモノマーから誘導される構成単位(以
下、「コモノマー単位」という)が0〜20モル%存在
するものである。好ましくは、プロピレン単位が100
〜94モル%、コモノマー単位が0〜6モル%存在する
ものである。コモノマーの構造単位が上記範囲を超過す
る場合には、剛性が大きく低下してしまい、実用性が損
なわれてしまう。
【0017】このようなプロピレン系重合体としては、
プロピレン単独重合体又はプロピレン系共重合体を挙げ
ることができる。プロピレン系共重合体としては、プロ
ピレン系ランダム共重合体及びプロピレン系ブロック共
重合体のいずれを用いてもよい。
【0018】ここで用いられるコモノマーとしては、好
ましくはエチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィン
からなる群から選ばれる。炭素数4〜20のα−オレフ
ィンとしては、具体的には、エチレン、ブテン−1、ペ
ンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル
ペンテン−1等を挙げることができる。
【0019】なお、これらプロピレン系重合体中のプロ
ピレン単位及びコモノマー単位は、 13C−NMR(核
磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的に
は、日本電子社製FT−NMRの270MHzの装置に
より測定される値である。
【0020】(b)メルトフローレート(MFR) 本発明のプロピレン系重合体は、そのメルトフローレー
ト[JIS−K7210(230℃、2.16kg荷
重)に準拠して測定された値。以下、「MFR」と略
す]が、0.1〜200g/10分、好ましくは1〜2
00g/10分、特に好ましくは4〜200g/10分
である。MFRが上記範囲より高いと製品の衝撃強度が
不足する傾向にあり、MFRが上記範囲未満では成形時
に流動不良となる場合がある。
【0021】(c)平均溶出温度(T50)及び溶出分
散度(σ) 本発明のプロピレン系重合体は、温度上昇溶離分別(T
REF:TemperatureRising Elution Fraction)によっ
て得られる溶出曲線の平均溶出温度(T50)が75〜
120℃、好ましくは75〜110℃、特に好ましくは
75〜100℃の範囲にあり、かつ溶出分散度(σ)が
9以下、好ましくは8以下、特に好ましくは7.7以下
のものである。
【0022】ここで、温度上昇溶離分別(TREF)の
測定は、一定高温でポリマーを完全に溶解させた後に冷
却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次
いで温度を連続又は段階的に昇温して、溶出した成分
(溶出重合体)を回収し、その濃度を連続的に検出し
て、その溶出成分の量と溶出温度とを求める方法であ
る。その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフが溶
出曲線であり、これによりポリマーの組成分布を測定す
ることができる。温度上昇溶離分別(TREF)の測定
方法及び装置等の詳細については、Journal of Applied
Polymer Science、第26巻、第4217〜4231頁
(1981年)に記載されている。
【0023】平均溶出温度(T50)は、溶出重合体の
積算重量が50%となるときの温度を示すものである。
平均溶出温度(T50)が上記範囲未満であると分子量
が低すぎるか融点が低すぎるために、剛性不足の原因と
なる。また、上記範囲を超過すると分子量が高すぎるか
融点が高すぎて、成形が困難になる。
【0024】溶出分散度(σ)は下記数式(1)で表さ
れる値、すなわち、溶出重合体の積算重量が15.9%
となるときの温度(T15.9)と溶出重合体が84.
1%となるときの温度(T84.1)との温度差を示す
ものである。
【0025】
【数1】σ=T84.1−T15.9・・・(1)
【0026】溶出分散度(σ)が上記範囲を超過する
と、結晶性を阻害する立体規則性の低い成分やコモノマ
ー組成の大きく異なる部分が増加し、剛性が低下するの
で好ましくない。
【0027】(d)アイソタクティックペンタッド連鎖
の分率 本発明のプロピレン系重合体は、上述した要件(a)〜
(c)を満たすことが必要であるが、好ましくは、さら
に以下に述べるアイソタクティックペンタッド連鎖の分
率に関する要件(d)を満たすものである。
【0028】すなわち、本発明のプロピレン系重合体
は、13C−NMRスペクトル解析により定法に従って
決定される立体規則性の指標であるアイソタクティック
ペンタッド連鎖(mmmm)の分率(メソペンタッド分
率)が95%以上、好ましくは97%以上であることが
望ましい。立体規則性が低いと融点が低下し、耐熟牲が
低下する傾向にある。製造法によっては、平均値である
(mmmm)は高い値であっても、少量のアタクティッ
クポリマー成分が存在する場合がある。沸騰へプタン可
溶分で定義されるアタクティックポリマー成分は5%以
下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以
下である。
【0029】メソペンタッド分率は、13C−NMRス
ペクトルに基づいて公知の方法により評価される(Rand
all J.C. ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス,1
2,7031974)。また、1,3一不整結合の定量は、A.Zam
belliのMacromolecules(21(3) 617 1988)に従ってピ
ークを帰属し、−CH−、−CH−の炭素の総和から
モル%を算出する。
【0030】(e)1,3−不整結合の割合 本発明のプロピレン系重合体は、上述した要件(a)〜
(c)を満たすことが必要であり、さらに上記要件
(d)を満たすことが好ましいが、より好ましくは、以
下に述べる1,3−不整結合の割合に関する要件(e)
を満たすものである。すなわち、本発明のプロピレン系
重合体は、1,3−不整結合の割合が0.06〜3%で
あるのが好ましい。
【0031】(2)プロピレン系重合体の製造方法 本発明で用いられるプロピレン系重合体の製造方法は、
本発明で規定する物性を有する所定の重合体が得られる
限り特に制限はなく、任意の方法を採用することができ
る。以下に、本発明のプロピレン系重合体の代表的製造
法について示す。
【0032】本発明のプロピレン系重合体は、特定の触
媒系の存在下に重合工程を実施することによって製造す
ることができる。
【0033】[触媒]本発明で使用する触媒は、次の必
須成分(A)及び(B)と任意成分(C)を含有するこ
とを特徴とするメタロセン系のα−オレフィン重合用触
媒である。 (A)下記一般式[1]で表される遷移金属化合物。 (B)アルミニウムオキシ化合物、成分(A)と反応し
て該成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオ
ン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状
化合物、及び無機珪酸塩からなる群から選ばれる1種以
上の化合物。 (C)有機アルミニウム化合物。
【0034】
【化1】
【0035】ここで、式[1]中、A及びA’は共役五
員環配位子を示し、Qは2つの共役五員環配位子を任意
の位置で架橋する結合性基を示し、Mは周期律表4〜6
族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、
ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、
リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。
なお、A及びA’は同一化合物内において相互に同一で
あっても異なっていてもよい。
【0036】成分(A):上記一般式[1]で表される
遷移金属化合物における共役五員環配位子(A及び
A’)の具体例としては、共役炭素五員環配位子、即ち
シクロペンタジエニル基を挙げることができる。シクロ
ペンタジエニル基は水素原子を4個有するもの(架橋部
の炭素原子を除く全ての炭素原子の結合部位に水素原子
を有するもの:C−)であってもよく、また、そ
の誘導体、すなわち前記水素原子のいくつかが置換基で
置換されているものであってもよい。
【0037】この置換基の例としては、炭素数1〜2
0、好ましくは1〜12の炭化水素基が挙げられる。こ
の炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基
と結合していても、またこれが複数存在するときにその
うちの2個がそれぞれ他端(ω−端)で結合してシクロ
ペンタジエニル基の一部と共に環を形成していてもよ
い。
【0038】後者の例としては、2個の置換基がそれぞ
れのω−端で結合して該シクロペンタジエニル基中の隣
接した2個の炭素原子を共有して縮合六員環を形成して
いるもの、すなわちインデニル基、テトラヒドロインデ
ニル基又はフルオレニル基が挙げられる。また、2個の
置換基がそれぞれのω-端で結合して該シクロペンタジ
エニル基中の隣接した2個の炭素原子を共有して縮合七
員環を形成しているもの、すなわち、アズレニル基、テ
トラヒドロアズレニル基があげられる。
【0039】すなわち、A及びA’で示される共役五員
環配位子の具体例としては、置換又は非置換のシクロペ
ンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、アズ
レニル基等が挙げられる。
【0040】シクロペンタジエニル基等の共役五員環配
位子上の置換基としては、前述の炭素数1〜20、好ま
しくは1〜12の炭化水素基に加え、フッ素、塩素、臭
素等のハロゲン原子基、C〜C12のアルコキシ基、
例えば−Si(R)(R)(R)で示される炭素
数1〜24のケイ素含有炭化水素基、−P(R)(R
)で示される炭素数1〜18のリン含有炭化水素基、
−N(R)(R)で示される炭素数1〜18の窒素
含有炭化水素基、又は−B(R)(R)で示される
炭素数1〜18のホウ素含有炭化水素基、あるいはハロ
ゲン、酸素、窒素、燐、硫黄、硼素、珪素を含有する炭
素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基、が挙
げられる。
【0041】これらの置換基が複数ある場合、それぞれ
の置換基は同一であっても異なっていてもよい。また、
上述のR〜R は同一でも異なっていてもよく、水
素原子、あるいはC〜C20のアルキル基、アルケニ
ル基、アリール基等を示す。またこれらは連結して環状
置換基を形成していても良い。
【0042】Qは二つの共役五員配位子間を任意の位置
で架橋する結合性基を表す。Qの具体例としては、
(イ)メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、フ
ェニルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シク
ロヘキシレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基類、
(ロ)シリレン基、ジメチルシリレン基、フェニルメチ
ルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジシリレン基、
テトラメチルジシリレン基等のシリレン基類、(ハ)ゲ
ルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウム
を含む炭化水素基、さらに具体的には、(CH
e、(CGe、(CH)P、(C
P、(C)N、(C)N、(CH)B、
(C)B、(C)B、(C)Al、
(CHO)Alで示される基、等である。このうち、
好ましいものはアルキレン基類、シリレン基類、及びゲ
ルミレン基類である。
【0043】Mは、周期律表4〜6族から選ばれる金属
原子、好ましくは周期律表4族金属原子、具体的にはチ
タン、ジルコニウム及びハフニウム等である。特にはジ
ルコニウム及びハフニウムが好ましい。
【0044】X及びYは、各々水素、ハロゲン原子、炭
素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素
数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミ
ノ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10を含有する
窒素含有炭化水素基、ジフェニルホスフィン基等の炭素
数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素
基、又はトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリ
ル)メチル基等の炭素数1〜20、好ましくは1〜12
のケイ素含有炭化水素基である。XとYとは同一でも異
なってもよい。これらのうちハロゲン原子、炭素数1〜
8の炭化水素基、及び炭素数1〜12の窒素含有炭化水
素基が好ましい。
【0045】本発明によるオレフィン重合用触媒におい
て、成分(A)として一般式[1]で表される化合物の
うち、好ましいものは以下の置換基を有するものであ
る。 ・A、A’=シクロペンタジエニル、n−ブチル−シク
ロペンタジエニル、インデニル、2−メチル−インデニ
ル、2−メチル−4−フェニルインデニル、テトラヒド
ロインデニル、2−メチル−テトラヒドロインデニル、
2−メチルベンゾインデニル、2,4−ジメチルアズレ
ニル、2−メチル−4−フェニルアズレニル、2−メチ
ル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−ナフチ
ルアズレニル、2−エチル−4−フェニルアズレニル、
2−メチル−4−(4ークロロフェニル)アズレニル。 ・Q=エチレン、ジメチルシリレン、イソプロピリデ
ン。 ・M=4族遷移金属。 ・X、Y=塩素、メチル、フェニル、ベンジル、ジエチ
ルアミノ。
【0046】特に好ましいのは、A、A’=2,4−ジ
メチルアズレニル、2−メチル−4−フェニルアズレニ
ル、2−メチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル
−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−フェニル
アズレニル、2−イソプロピル−4−ナフチルアズレニ
ル、2−メチル−4−(4ークロロフェニル)アズレニ
ルを有するものである。
【0047】遷移金属化合物の具体例としては、以下の
ものが挙げられる。Q=アルキレン基のものとしては例
えば (1)メチレンビス(2−メチル、4−フェニル、4ーヒ
ドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(2)エチレ
ンビス(2−メチル、4−フェニル、4ーヒドロアズレ
ニル)ジルコニウムジクロリド、(3)エチレンビス(2
−メチル、4−フェニル、4ーヒドロアズレニル)ジロ
コニウムハイドライドモノクロリド、(4)エチレンビス
(2−メチル、4−フェニル、4ーヒドロアズレニル)
メチルジルコニウムモノクロリド、(5)エチレンビス
(2−メチル、4−フェニル、4ーヒドロアズレニル)
ジルコニウムモノメトキシドモノクロリド、(6)エチレ
ンビス(2−メチル、4−フェニル、4ーヒドロアズレ
ニル)ジルコニウムジエトキシド、(7)エチレンビス
(2−メチル、4−フェニル、4ーヒドロアズレニル)
ジルコニウムジメチル、(8)エチレンビス(2−メチル
インデニル)ジルコニウムジクロリド、(9)エチレンビ
ス(2−メチル、4,5,6,7−テトラヒドロインデ
ニル)ジルコニウムジクロリド、(10)エチレンビス(2
−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0048】(11)エチレンビス(2,4−ジメチルイン
デニル)ジルコニウムジクロリド、(12)エチレン(2,
4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、(13)エチレン(2−メチル−4−tert−ブチル
シクロペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−
5’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジク
ロリド、(14)エチレン(2,3,5−トリメチルシクロ
ペンタジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(15)エチ
レン−1,2−ビス(4−インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、(16)エチレン−1,2−ビス〔4−(2,7
−ジメチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、(1
7)エチレンビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(18)エチレンビス〔1,1´−(4−ヒ
ドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリド (19)エチレンビス〔1,1´−(2−エチル、4−フェ
ニル、4ーヒドロアズレニル)〕ジルコニウムジクロリ
ド (20)エチレンビス〔1,1´−(2−メチル、4−(4
ークロロフェニル)、4ーヒドロアズレニル)〕ジルコ
ニウムジクロリド
【0049】(21)エチレンビス(9−ビシクロ[8.
3.0]トリデカ−2−メチルペンタエニル)ジルコニ
ウムジクロリド (22)エチレン(1−インデニル)〔1−(4−ヒドロア
ズレニル)〕ジルコニウムジクロリド (23)イソプロピリデンビス(2−メチル、4−フェニ
ル、4ーヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(24)イソプロピリデン(2,4−ジメチルシクロペンタ
ジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、(25)イソプロピリデン
(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエ
ニル)(3’−tert−ブチル−5−メチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等が挙げられ
る。
【0050】又、Q=シリレン基のものとしては、例え
ば (1)ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、(2)ジメチルシリレンビス(2
−メチル、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)
ジルコニウムジクロリド、(3)ジメチルシリレンビス
(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(4)ジメチルシリレンビス(2−メチ
ル、4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、(5)ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルアズ
レニル)ジルコニウムジクロリド、(6)ジメチルシリレ
ンビス(2−メチル−4,フェニル、4、5,6,7−
8ペンタヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタ
ジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、(8)ジメチルシリレンビ
ス(2−エチル、4−フェニル、4−ヒドロアズレニ
ル)ジルコニウムジクロリド、(9)ジメチルシリレンビ
ス(2−メチル−4,4−ジメチル−4,5,6,7−
テトラヒドロ−4−シラインデニル)ジルコニウムジク
ロリド、(10)ジメチルシリレンビス〔4−(2−フェニ
ルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、
【0051】(11)ジメチルシリレンビス〔4−(2−t
ert−ブチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリ
ド、(12)ジメチルシリレンビス〔4−(1−フェニル−
3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、(1
3)ジメチルシリレンビス〔4−(2−フェニル−3−メ
チルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、(14)フェ
ニルメチルシリレンビス(2−メチル4−フェニル、4
−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(15)フ
ェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4,フェニ
ル、4、5,6,7−8ペンタヒドロアズレニル)ジル
コニウムジクロリド、(16)フェニルメチルシリレン
(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,
5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジ
クロリド、(17)ジフェニルシリレンビス(2−メチル4
−フェニル、4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジク
ロリド、(18)テトラメチルジシリレンビス(2−メチル
4−フェニル、4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジ
クロリド、(19)ジメチルシリレンビス〔1,1’−(2
−イソプロピル、4−フェニル、4−ヒドロアズレニ
ル)〕ジルコニウムジクロリド (20)ジメチルシリレンビス〔1,1´−(2−エチル、
4−ナフチル、4−ヒドロアズレニル)〕ジルコニウム
ジクロリド
【0052】(21)ジメチルシリレンビス〔1,1´−
{2−メチル−4ー(4ークロロフェニル)、4−ヒド
ロアズレニル}〕ジルコニウムジクロリド (22)ジメチルシリレンビス(9−ビシクロ[8.3.
0]トリデカ−2−メチルペンタエニル)ジルコニウム
ジクロリド (23)(メチル)(フェニル)シリレンビス{1,1´−
(2−メチル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウム
ジクロリド等が挙げられる。
【0053】Q=ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あ
るいはアルミニウムを含む炭化水素基のものとしては、
例えば (1)ジメチルゲルマニウムビス(2−メチル4−フェニ
ル、4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)メチルアルミニウムビス(2−メチル4−フェニ
ル、4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)フェニルアルミニウムビス(2−メチル4−フェニ
ルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、(4)フェニル
ホスフィノビス(2−メチル4−フェニル、4−ヒドロ
アズレニル)ジルコニウムジクロリド、(5)エチルボラ
ノビス(2−メチル4−フェニルアズレニル)ジルコニ
ウムジクロリド、(6)フェニルアミノビス(2−メチル
4−フェニル、4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジ
クロリド等が挙げられる。
【0054】また、前述の化合物の塩素を臭素、ヨウ
素、ヒドリド、メチル、フェニル等に置きかえたものも
使用可能である。さらに、本発明では、成分(A)とし
て上記に例示したジルコニウム化合物の中心金属をチタ
ン、ハフニウム、ニオブ、モリブデン又はタングステン
等に換えた化合物も用いることができる。
【0055】これらのうちで好ましいものは、ジルコニ
ウム化合物、ハフニウム化合物及びチタン化合物であ
る。さらに好ましいのは、ジルコニウム化合物、ハフニ
ウム化合物である。これら成分(A)は2種以上組み合
わせて用いてもよい。また、重合の第1段階終了時や第
2段階の重合開始前に、新たに成分(A)を追加しても
よい。
【0056】成分(B):本発明で用いられる触媒の成
分(B)としては、アルミニウムオキシ化合物、成分
(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換すること
が可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオ
ン交換性層状化合物、及び無機珪酸塩からなる群より選
ばれる1種以上の物質を用いる。なお、ルイス酸のある
種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオ
ンに変換することが可能なイオン性化合物として把握す
ることもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン
性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属する
ものと解することとする。
【0057】アルミニウムオキシ化合物としては、具体
的には次の一般式[2],[3]又は[4]で表される
化合物が挙げられる。
【0058】
【化2】
【0059】上記各一般式中、Rは、水素原子または
炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好まし
くは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数の
はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、p
は0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
【0060】一般式[2]及び[3]で表される化合物
は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類
のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアル
キルアルミニウムと水との反応により得られる。具体的
には、(a)一種類のトリアルキルアルミニウムと水か
ら得られる、メチルアルモキサン、エチルアルモキサ
ン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソ
ブチルアルモキサン、(b)二種類のトリアルキルアル
ミニウムと水から得られる、メチルエチルアルモキサ
ン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアル
モキサン等が例示される。これらの中では、メチルアル
モキサン及びメチルイソブチルアルモキサンが好まし
い。
【0061】上記のアルモキサンは、複数種併用するこ
とも可能である。そして、上記のアルモキサンは、公知
の様々な条件下に調製することができる。一般式[4]
で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウ
ム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一
般式[5]で表されるアルキルボロン酸との10:1〜
1:1(モル比)の反応により得ることができる。な
お、一般式[5]中、Rは、炭素数1〜10、好まし
くは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化
水素基を示す。
【0062】
【化3】R−B−(OH) ・・・[5]
【0063】一般式[4]で表される化合物としては、
具体的には以下のような反応生成物を例示することがで
きる。 (a)トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:
1の反応物 (b)トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の
2:1反応物 (c)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミ
ニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物 (d)トリメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:
1反応物 (e)トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:
1反応物
【0064】また、成分(A)と反応して成分(A)を
カチオンに変換することが可能なイオン性化合物として
は、一般式[6]で表される化合物が挙げられる。
【0065】
【化4】〔K〕e〔Z〕e ・・・[6]
【0066】一般式[6]中、Kはカチオン成分であっ
て、例えばカルボニウムカチオン、トロピリウムカチオ
ン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、ス
ルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げ
られる。また、それ自身が還元され易い金属の陽イオン
や有機金属の陽イオン等も挙げられる。
【0067】上記のカチオンの具体例としては、トリフ
ェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロ
ヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモ
ニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモ
ニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、ジプロピルア
ンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェ
ニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリス
(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(メチルフ
ェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホニウム、ト
リフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピ
リリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオ
ン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイ
オン等が挙げられる。
【0068】上記の一般式[6]中、Zは、アニオン成
分であり、成分(A)が変換されたカチオン種に対して
対アニオンとなる成分(一般には非配位の成分)であ
る。Zとしては、例えば有機ホウ素化合物アニオン、有
機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物ア
ニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニ
オン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられ、具
体的には次の化合物が挙げられる。
【0069】(a)テトラフェニルホウ素、テトラキス
(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素、テトラキ
ス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ホ
ウ素、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニ
ル}ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素等、 (b)テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,
4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム、テトラ
キス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}
アルミニウム、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)
フェニル)アルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)アルミニウム等 (c)テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,4,5
−トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラキス{3,
5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ガリウム、
テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)ガリ
ウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム
【0070】(d)テトラフェニルリン、テトラキス
(ペンタフルオロフェニル)リン等 (e)テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ヒ素など (f)テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)アンチモン等 (g)デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカ
ボレート、デカクロロデカボレート等
【0071】また、ルイス酸、特に成分(A)をカチオ
ンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化
合物、金属ハロゲン化合物、固体酸などが例示され、そ
の具体的例としては次の化合物が挙げられる。
【0072】(a)トリフェニルホウ素、トリス(3,
5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフル
オロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物 (b)塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化ア
ルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨ
ウ化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化
マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシ
ウムハイドライド、塩化マグネシウムハイドロオキシ
ド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシ
ウムアルコキシド、臭化マグネシウムアルコキシド等の
金属ハロゲン化合物 (c)アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸 珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、イオン結合等
によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み
重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオン
が交換可能なものを言う。
【0073】珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、
六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、
CdI型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化
合物等を例示することができる。このような結晶構造を
有するイオン交換性層状化合物の具体例としては、α−
Zr(HAsO・HO、α−Zr(HPO
、α−Zr(KPO・3HO、α−Ti(H
PO、α−Ti(HAsO・HO、α−
Sn(HPO・HO、γ−Zr(HP
、γ−Ti(HPO、γ−Ti(NH
PO・HO等の多価金属の結晶性酸性塩があげ
られる。
【0074】また、無機珪酸塩としては、粘土、粘土鉱
物、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。これらは、合
成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いても
よい。粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等
のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナ
イト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイ
ト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、
リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリ
ロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイ
ト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バー
ミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セ
リサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セ
ピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、木節粘
土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、
リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成
していてもよい。
【0075】人工合成物としては、合成雲母、合成ヘク
トライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げ
られる。これら具体例のうち好ましくは、ディッカイ
ト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカ
オリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイ
サイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライ
ト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ソーコナイト、バ
イデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライ
ト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュ
ライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱
物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合
成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロ
ナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイ
ト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バー
ミキュライト等のバーミキュライト鉱物、合成雲母、合
成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが
挙げられる。これらは、特に処理を行うことなくそのま
ま使用してもよいし、ボールミル、篩い分け等の処理を
行った後に使用してもよい。また、単独で使用しても、
2種以上を混合して使用してもよい。
【0076】上記のイオン交換性層状化合物および無機
珪酸塩は、塩類処理および/または酸処理により、固体
の酸強度を変えることができる。また、塩類処理におい
ては、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形
成することにより、表面積や層間距離を変えることがで
きる。すなわち、イオン交換性を利用し、層間の交換性
イオンを別の大きな嵩高いイオンと置換することによ
り、層間が拡大した状態の層状物質を得ることができ
る。
【0077】上記の前処理を行っていない化合物におい
ては、含有される交換可能な金属陽イオンを次に示す塩
類および/または酸より解離した陽イオンとイオン交換
することが好ましい。
【0078】上記のイオン交換に使用する塩類は、1〜
14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原
子を含む陽イオンを含有する化合物であり、好ましく
は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも
一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸お
よび有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の原
子または原子団よりより誘導される陰イオンとから成る
化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成
る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオン
と、Cl、Br、I、F、PO、SO、NO、C
、C、ClO、OOCCH、CHCO
CHCOCH、OCl、O(NO 、O(Cl
、O(SO)、OH、OCl、OC
、OOCH及びOOCCHCHから成る群より
選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物で
ある。また、これら塩類は2種以上を同時に使用しても
よい。
【0079】上記のイオン交換に使用する酸は、好まし
くは、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸から選択さ
れ、これらは、2種以上を同時に使用してもよい。塩類
処理と酸処理を組み合わせる方法としては、塩類処理を
行った後に酸処理を行う方法、酸処理を行った後に塩類
処理を行う方法、塩類処理と酸処理を同時に行う方法、
塩類処理を行った後に塩類処理と酸処理を同時に行う方
法などがある。なお、酸処理は、イオン交換や表面の不
純物を取り除く効果の他、結晶構造のAl、Fe、M
g、Li等の陽イオンの一部を溶出させる効果がある。
【0080】塩類および酸による処理条件は特に制限さ
れない。しかしながら、通常、塩類および酸濃度は0.
1〜30重量%、処理温度は室温から使用溶媒の沸点の
範囲の温度、処理時間は5分から24時間の条件を選択
し、被処理化合物の少なくとも一部を溶出する条件で行
うことが好ましい。また、塩類および酸は一般的には水
溶液で使用される。
【0081】上記の塩類処理および/または酸処理を行
う場合、処理前、処理間、処理後に粉砕や造粒などで形
状制御を行ってもよい。また、アルカリ処理や有機物処
理などの他の化学処理を併用してもよい。このようにし
て得られる成分(B)としては、水銀圧入法で測定した
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上、特に
は0.3〜5cc/gであることが好ましい。粘土、粘
土鉱物は、通常、吸着水および層間水を含む。ここで、
吸着水とは、イオン交換性層状化合物または無機珪酸塩
の表面あるいは結晶破面に吸着された水であり、層間水
とは、結晶の層間に存在する水である。
【0082】本発明において、粘土、粘土鉱物は、上記
のような吸着水および層間水を除去してから使用するこ
とが好ましい。脱水方法は、特に制限されないが、加熱
脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水および
有機溶媒との共沸脱水などの方法が使用される。加熱温
度は、吸着水および層間水が残存しないような温度範囲
とされ、通常100℃以上、好ましくは150℃以上と
されるが、構造破壊を生じるような高温条件は好ましく
ない。加熱時間は、0.5時間以上、好ましくは1時間
以上である。その際、脱水乾燥した後の成分(B)の重
量減少は、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2
時間吸引した場合の値として3重量%以下であることが
好ましい。本発明においては、重量減少が3重量%以下
に調整された成分(B)を使用する場合、必須成分
(A)及び後述する任意成分(C)と接触する際にも、
同様の重量減少が示されるような状態で取り扱うことが
好ましい。
【0083】成分(C):次に、本発明で用いられる触
媒の任意成分(C)である有機アルミニウム化合物につ
いて説明する。本発明においては、一般式[7]で表さ
れる有機アルミニウム化合物が好適に使用される。
【0084】
【化5】AlR3−a ・・・[7]
【0085】一般式[7]中、Rは炭素数1〜20の炭
化水素基、Pは、水素、ハロゲン、アルコキシ基または
シロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示
す。一般式[7]で表される有機アルミニウム化合物の
具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブ
チルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエ
チルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウ
ムモノメトキシド等のハロゲン又はアルコキシ含有アル
キルアルミニウムが挙げられる。これらの中では、トリ
アルキルアルミニウムが好ましい。また、成分(C)と
して、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類など
も使用できる。(尚、成分(B)がアルモキサンの場合
は成分(C)の例示としてアルモキサンは除く。)
【0086】触媒の調製:オレフィン重合用触媒は、必
須成分(A)と(B)及び任意成分(C)とを接触させ
ることにより調製される。接触方法は、特に限定されな
いが、次のような方法を例示することができる。なお、
この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる
予備重合時またはオレフィンの重合時に行ってもよい。
【0087】(1)成分(A)と成分(B)を接触させ
る。 (2)成分(A)と成分(B)を接触させた後に成分
(C)を添加する。 (3)成分(A)と成分(C)を接触させた後に成分
(B)を添加する。 (4)成分(B)と成分(C)を接触させた後に成分
(A)を添加する。 (5)成分(A)、(B)、(C)を同時に接触させ
る。
【0088】上記の各成分の接触の際もしくは接触の後
に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリ
カ、アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させるか、ま
たは、接触させてもよい。
【0089】また、上記の各成分の接触は、窒素などの
不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエ
ン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよ
い。接触は、−20℃から溶媒の沸点の間の温度で行
い、特に室温から溶媒の沸点の間での温度で行うのが好
ましい。
【0090】成分(A)及び(B)の使用量は任意であ
る。例えば、溶媒重合の場合、成分(A)の使用量は、
遷移金属原子として、通常10−7〜10mmol/
L、好ましくは10−4〜1mmol/Lの範囲とされ
る。アルミニウムオキシ化合物の場合、Al/遷移金属
のモル比は、通常10〜10、好ましくは100〜2
×10、更に好ましくは100〜10の範囲とされ
る。成分(B)としてイオン性化合物またはルイス酸を
使用した場合、遷移金属に対するこれらのモル比は、通
常0.1〜1000、好ましくは0.5〜100、更に
好ましくは1〜50の範囲とされる。
【0091】また、成分(B)として、珪酸塩を除くイ
オン交換性層状化合物、無機珪酸塩を使用した場合、成
分(B)1g当たり、成分(A)は、通常10−4〜1
0mmol、好ましくは10−3〜5mmolであり、
成分(C)は、通常0.01〜10mmol、好まし
くは0.1〜100mmolである。また、成分(A)
中の遷移金属と成分(C)中のアルミニウムの原子比
は、通常1:0.01〜10、好ましくは1:0.1
〜10である。このようにして調製された触媒は、調
製後に洗浄せずに使用してもよく、また、洗浄した後に
使用してもよい。また、必要に応じて新たに成分(C)
を組み合わせて使用してもよい。すなわち、成分(A)
及び/又は(B)と成分(C)とを使用して触媒調製を
行った場合は、この触媒調製とは別途に更に成分(C)
を反応系に添加してもよい。この際、使用される成分
(C)の量は、成分(A)中の遷移金属に対する成分
(C)中のアルミニウムの原子比で1:0〜10とな
るように選ばれる。
【0092】また、さらに任意成分として微粒子担体を
共存させてもよい。微粒子担体は、無機または有機の化
合物からなり、通常5μm〜5mm、好ましくは10μ
m〜2mmの粒径を有する微粒子状の担体である。
【0093】上記の無機担体としては、例えば、SiO
、Al、MgO、ZrO、TiO、B
、ZnO等の酸化物、SiO−MgO、SiO
−Al、SiO−TiO、SiO−Cr
、SiO−Al−MgO等の複合酸化物
などが挙げられる。
【0094】上記の有機担体としては、例えば、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの(共)重合
体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化
水素の(共)重合体などからなる多孔質ポリマーの微粒
子担体が挙げられる。これらの比表面積は、通常20〜
1000m/g、好ましくは50〜700m/gで
あり、細孔容積は、通常0.1cm/g以上、好まし
くは0.3cm/g、更に好ましくは0.8cm
g以上である。
【0095】本発明で用いるオレフィン重合用触媒は、
また、微粒子担体以外の任意成分として、例えばH
O、メタノール、エタノール、ブタノール等の活性水
素含有化合物、エーテル、エステル、アミン等の電子供
与性化合物、ホウ酸フェニル、ジメチルメトキシアルミ
ニウム、亜リン酸フェニル、テトラエトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン等のアルコキシ含有化合物を
含むことができる。
【0096】オレフィン重合用触媒において、成分
(B)のアルミニウムオキシ化合物、成分(A)と反応
して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオ
ン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状
化合物、無機珪酸塩からなる群より選ばれる一種以上の
物質は、それぞれ単独使用される他、これらの3成分を
適宜組み合わせて使用することができる。また、成分
(C)の低級アルキルアルミニウム、ハロゲン含有アル
キルアルミニウム、アルキルアルミニウムヒドリド、ア
ルコキシ含有アルキルアルミニウム、アリールオキシ含
有アルキルアルミニウムの1種または2種以上は、任意
成分ではあるが、アルミニウムオキシ化合物、イオン性
化合物またはルイス酸と併用してオレフィン重合用触媒
中に含有させるのが好ましい。
【0097】また、成分(A)、(B)及び成分(C)
を予め接触させる際、重合させるモノマーを存在させて
α−オレフィンの一部を重合する、いわゆる予備重合を
行うこともできる。すなわち、重合の前に、エチレン、
プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテ
ン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンの
予備重合を行い、必要に応じて洗浄した予備重合生成物
を触媒として使用することもできる。この予備重合は、
不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体
触媒1g当たり、通常0.01〜1000g、好ましく
は0.1〜100gの重合体が生成するように行うのが
好ましい。
【0098】[重合]本発明のプロピレン系重合体は、
上述したメタロセン系のオレフィン重合用触媒を用い、
プロピレン単独、あるいはプロピレンとコモノマーとを
混合接触させることにより行われる。共重合の場合は、
反応系中の各モノマーの量比は経時的に一定である必要
はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも便
利であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化
させることも可能である。また、共重合反応比を考慮し
てモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
【0099】重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率
よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用するこ
とができる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー
法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒とし
て用いるバルク法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶
媒を用いず各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法等
を採用することができる。
【0100】また、連続重合、回分式重合にも適用され
る。スラリー重合の場合には、重合溶媒としてヘキサ
ン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、
トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独ある
いは混合物を用いることができる。
【0101】重合時条件としては重合温度が−78℃〜
160℃、好ましくは0℃〜150℃であり、そのとき
の分子量調節剤として補助的に水素を用いることができ
る。また、重合圧力は0〜90kg/cm・G、好ま
しくは0〜60kg/cm・G、特に好ましくは1〜
50kg/cm・Gが適当である。
【0102】(2)組成物I 本発明のプロピレン系樹脂組成物における組成物Iは、
上述したプロピレン系重合体に、エラストマーが配合さ
れたものである。用いられるエラストマーとしては、エ
チレン・α−オレフィンランダム共重合ゴム、スチレン
含有熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0103】[エチレン・α−オレフィンランダム共重
合ゴム]エチレン・α−オレフィンランダム共重合ゴム
中のα−オレフィン単位の含有量は、15〜70重量
%、好ましくは20〜55重量%である。α−オレフィ
ン単位の含有量が上記範囲よりも少なすぎると衝撃強度
が劣り、一方、多すぎると剛性が低下するばかりでな
く、このエラストマーの形状をペレット状に保持しにく
くなって樹脂組成物の製造に際しての生産ハンドリング
が著しく低下するため、各々不適である。
【0104】α−オレフィンとしては、好ましくは炭素
数3〜20のものが挙げられ、具体的には、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘ
プテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−
ウンデセン、1−ドデセン等を挙げることができる。な
かでも、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−
ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンが好ましい。
【0105】また、上記エチレン・α−オレフィンラン
ダム共重合ゴムのMFR(230℃、2.16kg荷
重)は、0.01〜100g/10分のものが好まし
く、とりわけ0.1〜100g/10分のものが好まし
い。さらに、密度は0.85〜0.90g/cmのも
のが好ましく、とりわけ0.86〜0.89g/cm
のものが好ましい。
【0106】MFRが0.01g/10分未満のもの
は、樹脂組成物を形成する際の混練時に十分な分散を得
ることができず、衝撃強度の低下を引き起こす。一方、
MFRが100g/10分を超えるものは、共重合ゴム
自身の靭性が足らず、やはり衝撃強度が低下する。ま
た、密度が0.90g/cmを超えるものは衝撃強度
が劣るようになり、0.85g/cm未満のものはそ
れ自体のペレット化が困難となる。また、これらは後述
するバナジウム化合物系や、WO−91/04257号
公報等に示されるようなメタロセン系の触媒を用いて製
造されたものが好ましい。
【0107】ここで、α−オレフィンの含有量は赤外ス
ペクトル分析法や13C−NMR法等の常法に従って測
定される値である。MFRはJIS−K7210、密度
はJIS−K7112に各々準拠して測定される値であ
る。
【0108】エチレン・α−オレフィンランダム共重合
ゴムは、その重合法として、例えば気相流動床法、溶液
法、スラリー法や高圧重合法などを挙げることができ、
また少量の例えばジシクロペンタジエン、エチリデンノ
ルボルネンなどのジエン成分が共重合されていてもよ
い。
【0109】重合触媒としては、ハロゲン化チタンのよ
うなチタン化合物、バナジウム化合物、アルキルアルミ
ニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルコキシアルミ
ニウム−マグネシウム錯体のような有機アルミニウム−
マグネシウム錯体や、アルキルアルミニウム或いはアル
キルアルミニウムクロリドなどの有機金属化合物との組
合せによるいわゆるチーグラー型触媒、もしくはWO−
91/04257号公報等に示されるようなメタロセン
系触媒が挙げられる。なお、メタロセン系触媒と称せら
れる触媒は、アルモキサンを含まなくてもよいが、好ま
しくはメタロセン化合物とアルモキサンとを組み合わせ
た触媒、いわゆるカミンスキー系触媒のことである。
【0110】[スチレン含有熱可塑性エラストマー]本
発明で用いるスチレン含有熱可塑性エラストマーは、ポ
リスチレン部を5〜60重量%、好ましくは10〜30
重量%含有するものである。ポリスチレンの含有量が上
記範囲外のものであると、耐衝撃性が不十分となる。
【0111】また、そのMFR(230℃、2.16k
g荷重)は、0.01〜100g/10分、好ましくは
0.1〜50g/10分の範囲のものが用いられる。M
FRが上記範囲外の場合は、やはり耐衝撃性が不十分と
なる。
【0112】かかるスチレン含有熱可塑性エラストマー
の具体例としては、スチレン・エチレン/ブチレン・ス
チレンブロック共重合体(SEBS)を挙げることがで
きる。
【0113】スチレン・エチレン/ブチレン・スチレン
ブロック共重合体は、ポリスチレンブロック単位とポリ
エチレン/ブチレンゴムブロック単位とからなる熱可塑
性エラストマーである。このようなSEBSでは、ハー
ドセグメントであるポリスチレンブロック単位が物理架
橋(ドメイン)を形成してゴムブロック単位の橋かけ点
として存在しており、このポリスチレンブロック単位間
に存在するゴムブロック単位はソフトセグメントであっ
てゴム弾性を有している。
【0114】本発明で用いられるSEBSは、ポリスチ
レン単位を10〜40モル%の量で含有していることが
望ましい。なおスチレンから導かれる単位の含有量は、
赤外スペクトル分析法、13C−NMR法などの常法に
よって測定される値である。
【0115】このSEBSは、具体的にはたとえば特公
昭60−57463号公報などに記載されている公知の
方法によって得られる。このようなSEBSとしては、
より具体的には、クレイトン(Kraton)G1650、G
1652、G1657(シェル化学(株)製、商品
名)、タフテック(旭化成(株)製、商品名)などが挙
げられる。
【0116】本発明で用いられるSEBSは、一般的に
スチレン・ブタジエン系ブロック共重合体であるSBS
(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)
の水添物として知られている。本発明では、SEBSと
ともにSBSおよび他のスチレン・共役ジエン系共重合
体あるいはこれらの完全又は不完全水素化物を用いても
よい。
【0117】このようなスチレン・共役系共重合体とし
ては、具体的には、SBR(スチレン・ブタジエンラン
ダム共重合体)、SBS、PS−ポリイソブチレンブロ
ック共重合体、SIS(スチレン・イソブチレン・スチ
レンブロック共重合体)及びSIS水添物(SEPS)
などが挙げられる。
【0118】より具体的には、クレイトン(Kraton:シ
ェル化学(株)製)、キャリブレックスTR(シェル化
学(株)製)、ソルブレン(フィリップスペトロリファ
ム社製)、ユーロブレンSOLT(アニッチ社製)、タ
フブレン(旭化成(株)製)、ソルブレン−T(日本エ
ラストマー社製)、JSRTR(日本合成ゴム社製)、
電化STR(電気化学社製)、クインタック(日本ゼオ
ン社製)、クレイトンG(シェル化学(株)製)、タフ
テック(旭化成(株)製)(以上、商品名)などが挙げ
られる。
【0119】本発明では、エラストマー成分として、上
述したエチレン・α−オレフィンランダム共重合ゴム及
びスチレン含有熱可塑性エラストマーを、各々単独で用
いてもよく、またこれらを適宜組み合わせて用いてもよ
い。
【0120】本発明の組成物Iは、プロピレン系重合体
を10〜99重量%好ましくは60〜99重量%含有
し、上記エラストマーを1〜90重量%好ましくは1〜
40重量%含有する。このような本発明の組成物Iは剛
性、低温耐衝撃性及び耐熱性に優れている。
【0121】また、本発明の組成物Iには、上述した必
須成分に加えて、必要に応じてさらに任意成分としてポ
リエチレン樹脂を配合することもできる。ポリエチレン
樹脂としては、チーグラー、クロム、メタロセン触媒等
を用いてスラリー、気相、溶液、高圧イオン、高圧ラジ
カル重合法等によって重合されたものが挙げられる。
【0122】このポリエチレン樹脂は、エチレン単独重
合体であってもエチレン・α−オレフィン共重合体であ
ってもよいが、このうち、MFR(190℃、2.16
kg荷重)が0.1〜200g/10分、密度が0.9
0〜0.97g/cmのものが好ましい。エチレン・
α−オレフィン共重合体の場合、含有するα−オレフィ
ンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、
1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセ
ン等を挙げることができる。また、エチレン・α−オレ
フィン共重合体中のα−オレフィン単位の含有量は0〜
15モル%である。
【0123】かかるポリエチレンの具体例としては、高
密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度
ポリエチレン等が挙げられる。
【0124】本発明の組成物Iにおけるポリエチレン樹
脂の含有量は、1〜89重量%が好ましく、とりわけ1
〜40重量%が好ましい。本発明においては、かかるポ
リエチレン樹脂を配合することにより、剛性、耐衝撃性
及び耐熱性に加え、塗装時の塗膜との接着強度が向上す
るので好ましい。
【0125】(3)組成物II 本発明のプロピレン系樹脂組成物における組成物IIは、
上述したプロピレン系重合体に、エラストマー、及びチ
ーグラー系触媒を用いて製造されたポリプロピレン樹脂
(以下、「チーグラー系ポリプロピレン」とする)が配
合されたものである。使用できるエラストマーの具体例
は、組成物Iに用いられるものと同様である。
【0126】チーグラー系ポリプロピレンについて説明
すると、チーグラー系触媒の具体的な調製方法として
は、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、
さらに各種電子供与体及び電子受容体で処理して得られ
た三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物を組み
合わせる方法、及びハロゲン化マグネシウムに四塩化チ
タンと各種電子供与体とを接触させる担持型触媒の調製
方法等を例示することができる。
【0127】このようにして得られるチーグラー系触媒
の存在下、スラリー重合、気相重合あるいは液相塊状重
合等の製造プロセスを適用してプロピレン単独、もしく
はプロピレンとエチレンをブロック共重合、もしくはプ
ロピレンとエチレンをランダム共重合することによっ
て、本発明のチーグラー系ポリプロピレンを得ることが
できる。
【0128】このうち、プロピレン−エチレンブロック
共重合体を製造するに際しては、最初にプロピレンの単
独重合を行い、次にプロピレンとエチレンとのランダム
共重合によってブロック共重合体を形成したものが品質
上から好ましい。
【0129】また、このプロピレン−エチレンブロック
共重合体は本発明の効果を損なわない範囲で他の不飽和
化合物例えば1−ブテン等のα−オレフィン:酢酸ビニ
ルの如きビニルエステル等を含有する三元以上の共重合
体であってもこれらの混合物であってもよい。
【0130】このチーグラー系ポリプロピレンのMFR
(230℃、2.16kg荷重)は、0.01〜200
g/10分のものが好ましく、とりわけ0.1〜200
g/10分のものが好ましい。
【0131】本発明の組成物IIは、プロピレン系重合体
を10〜94重量%好ましくは49〜89重量%含有
し、エラストマーを1〜85重量%好ましくは1〜40
重量%含有し、上記チーグラー系ポリプロピレンを5〜
89重量%好ましくは10〜50重量%含有する。この
ような本発明の組成物IIは剛性、低温耐衝撃性及び耐熱
性に優れ、かつ流動性が良好で成形加工性が改良されて
いる。
【0132】また、本発明の組成物IIには、上述した必
須成分に加えて、必要に応じてさらに任意成分としてポ
リエチレン樹脂を配合することもできる。ポリエチレン
樹脂の具体例は、前述した組成物Iにおいて任意成分と
して用いられるポリエチレン樹脂と同様である。
【0133】本発明の組成物IIにおけるポリエチレン樹
脂の含有量は、1〜84重量%が好ましく、とりわけ1
〜40重量%が好ましい。本発明においては、かかるポ
リエチレン樹脂を配合することにより、剛性、耐衝撃性
及び耐熱性に加え、塗装時の塗膜との接着強度が向上す
るので好ましい。
【0134】(4)その他の配合成分 本発明のプロピレン系樹脂組成物(上述した組成物I〜
II)には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、或
いはさらに性能の向上をはかるために、上記必須成分の
ほかに、以下に示す任意の添加剤や配合材を配合するこ
とができる。
【0135】具体的には、着色するための顔料、フェノ
ール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止
剤、ヒンダードアミン等光安定剤、紫外線吸収剤、有機
アルミ・タルク等の各種核剤、分散剤、中和剤、発泡
剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤、上記プロピレン系重合
体以外の各種樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン角
各種ゴム成分等の配合材を挙げることができる。
【0136】このうち、例えば各種核剤、各種ゴムの配
合は、剛性や衝撃強度等の物性バランスや寸法安定性の
向上に効果的であり、また例えばヒンダードアミン系安
定剤の配合は、耐候・耐久性の向上に有効である。
【0137】(7)樹脂組成物の製造 本発明のプロピレン系樹脂組成物の製造方法は特に限定
されず、従来公知の方法で上記配合成分をプロピレン系
重合体へ配合し、混合及び溶融混練することにより製造
することができる。
【0138】本発明においては、上述した必須成分、す
なわちプロピレン系重合体、エラストマー、及び場合に
よりチーグラー系ポリプロピレン、並びに必要に応じて
用いられる任意成分等を、上記配合割合で配合して、一
軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミ
キサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等の通
常の混練機を用いて混練・造粒することによって、本発
明のプロピレン系樹脂組成物が得られる。
【0139】この場合、各成分の分散を良好にすること
ができる混練・造粒方法を選択することが好ましく、通
常は二軸押出機を用いて行われる。この混練・造粒の際
には、上記各成分の配合物を同時に混練してもよく、ま
た性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、す
なわち例えば先ずプロピレン系重合体の一部又は全部と
エラストマーとを混練し、その後に残りの成分を混練・
造粒するといった方法を採用することもできる。
【0140】(8)プロピレン系樹脂組成物の用途 このようにして得られた本発明のプロピレン系樹脂組成
物は、公知の各種方法による成形に用いることができ
る。例えば射出成形(ガス射出成形も含む)、射出圧縮
成形(プレスインジェクション)、押出成形、中空成
形、カレンダー成形、インフレーション成形、一軸延伸
フィルム成形、二軸延伸フィルム成形等にて成形するこ
とによって各種成形品を得ることができる。このうち、
射出成形、射出圧縮成形がより好ましい。
【0141】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、剛
性、耐衝撃性、耐熱性において高度な物性バランスを有
しているため、各種工業部品分野、特に薄肉化、高機能
化、大型化された各種成形品、例えばバンパー、インス
トルメントパネル、ガーニッシュなどの自動車部品やテ
レビケースなどの家電機器部品などの各種工業部品用成
形材料として、実用に十分な性能を有している。
【0142】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0143】なお、実施例における各種の物性測定は下
記の要領で実施した。 (1)MFR(単位:g/10分)はJIS−K721
0(230℃、2.16kg荷重)(ポリエチレン樹脂
の場合は190℃、2.16kg荷重)に従って測定し
た。 (2)立体規則性度(メソペンタッド分率:mmmm、
単位%)は、13C−NMRスペクトルに基づいて公知
の方法により評価した(Randall J.C. ジャーナル・オ
ブ・ポリマーサイエンス,12,703 1974)。
【0144】(3)1,3一不整結合の定量は、A.Zamb
elliのMacromolecules(21(3) 617 1988)に従ってピー
クを帰属し、−CH−、−CH−の炭素の総和からモ
ル%を算出した。 (4)曲げ弾性率(単位:MPa)は、JIS−K72
03に準拠して23℃下で測定した。 (5)アイゾット(IZOD)衝撃強度(単位:kJ/
)は、JIS−K7110に準拠して23℃下で測
定した。 (6)荷重たわみ温度(単位:℃)は、JIS−K72
07に準拠して、4.6kgf/cmと18.5kg
f/cmの条件で測定した。
【0145】(7)平均溶出温度(T50)及び溶出分
散度(σ) 平均溶出温度(T50:単位℃)及び溶出分散度(σ)
は、温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶
出曲線から求めた。ここで、TREFによる溶出曲線の
ピーク測定は、一度高温にてポリマーを完全に溶解させ
た後に冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成
させ、次いで、温度を連続又は段階的に昇温して、溶出
した成分を回収し、その濃度を連続的に検出して、その
溶出量と溶出温度を測定することにより求めた。
【0146】該溶出曲線の測定は、以下に示す測定条件
で行われた。 ・溶媒:o−ジクロロベンゼン ・測定濃度:4mg/ml ・注入量:0.5ml ・カラム:4.6mmφ×150mm ・冷却速度:100℃×120分
【0147】
【製造例1:PP−1の製造】(1)触媒成分の調製 (i)成分(A)(ジメチルシリレンビス{1,1’−
(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニ
ル)}ハフニウムジクロリド)の合成:以下の反応は全
て不活性ガス雰囲気下で行い、また反応溶媒はあらかじ
め乾燥したものを使用した。
【0148】(a)ラセミ・メソ混合物の合成 2−メチルアズレン3.22gをヘキサン30mlに溶
かし、フェニルリチウムのシクロヘキサン−ジエチルエ
ーテル溶液21ml(1.0当量)を0℃で少しずつ加
えた。この溶液を室温で1.5時間撹拌した後、−78
℃に冷却しテトラヒドロフラン30mlを加えた。この
溶液に1−メチルイミダゾール45μmolとジメチル
ジクロロシラン1.37mlを加え、室温まで戻して1
時間撹拌した。その後、塩化アンモニウム水溶液を加
え、分液した後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、
減圧下に溶媒を留去し、ビス{1,1’−(2−メチル
−4−フェニル−1,4−ジヒドロアズレニル)}ジメ
チルシランの粗精製物5.84gを得た。
【0149】このようにして得たビス{1,1’−(2
−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロアズレニ
ル)}ジチルシランの粗精製物をジエチルエーテル30
mlに溶かし、−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサ
ン溶液14.2ml(1.6mol/L)を滴下し、徐
々に室温まで戻して12時間撹拌した。減圧下に溶媒留
去した後、トルエン・ジエチルエーテル(40:1)8
0mlを加え、−60℃で四塩化ハフニウム3.3gを
加え、徐々に室温まで戻し4時間撹拌した。得られた溶
液を滅圧下に濃縮し、得られた固体をトルエンで洗浄
後、ジクロロメタンで抽出し、ジメチルシリレンビス
{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4一ヒドロ
アズレニル)}ハフニウムジクロリドのラセミ・メソ混
合物1.74gを得た。
【0150】(b)ラセミ体の精製 上記の反応を繰り返して得られたラセミ・メソ混合物
1.74gをジクロロメタン30mlに溶解し、100
W高圧水銀ランプを有するパイレックスガラス製容器に
導入した。この溶液を撹拌しながら常圧下40分間光照
射してラセミ体の比率を高めた後、ジクロロメタンを減
圧下に留去した。得られた黄色固体にトルエン10ml
を加えて撹拌した後に濾過した。濾別した固形分をトル
エン8mlとヘキサン4mlで洗浄し、ジメチルシリレ
ンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4−
ヒドロアズレニル)}ハフニウムジクロリドのラセミ体
917mgを得た。
【0151】(ii)成分(B)の製造:500ml丸底フ
ラスコに脱塩水135mlと硫酸マグネシウム16gを
採取し、撹拌下に溶解させた。この溶液にモンモリロナ
イト(クニピアF、クニミネ工業(株)製)22.2g
を添加し、昇温して80℃で1時間処理した。次いで脱
塩水300mlを加えた後、濾過して固形成分を回収し
た。
【0152】このものに、脱塩水46mlと硫酸23.
4gおよび硫酸マグネシウム29.2gを加えた後、昇
温して還流下に2時間処理した。処理後脱塩水200m
lを加えて濾過した。さらに脱塩水400mlを加えて
濾過し、この操作を2回繰り返した。次いで100℃で
乾燥して化学処理モンモリロナイトを得た。
【0153】100ml丸底フラスコに上述した化学処
理モンモリロナイト1.05gを採取し、減圧下200
℃で2時間乾燥させた。これに、精製窒素下でトリエチ
ルアルミニウムのトルエン溶液(0.5mmol/m
l)を3.5ml添加して室温で1時間反応させた後、
トルエン30mlで2回洗浄した後トルエンスラリーと
して成分(B)を得た。
【0154】(iii)触媒の調製 上記トルエンスラリー全量に、トリイソブチルアルミニ
ウムのトルエン溶液(0.5mmol/ml):0.6
mlと、(i)で合成したジメチルシリレンビス{1,
1’−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレ
ニル)}ハフニウムジクロリドラセミ体のトルエン溶液
(1.5μmol/ml):19.1mlとを加えて、
室温で10分間接触させた。
【0155】(2)プロピレン予備重合 2Lの誘導撹拌式オートクレーブに、精製窒素下、トル
エン40mlと、予備重合触媒として前項(iii)で得ら
れた接触物全量とを導入した。撹拌下にプロピレンを導
入し、室温において全重合圧力=0.6MPaで3分間
予備重合を行った。次いで未反応のプロピレンをパージ
し、精製窒素で加圧置換した後、予備重合触媒を取り出
した。このものは、成分(B)1gあたり2.98gの
重合体を含有していた。
【0156】(3)プロピレンの重合 精製窒素で置換された、いかり型撹拌翼を内蔵する2L
の誘導撹拌式オートクレーブにトリイソブチルアルミニ
ウムのトルエン溶液(0.5mmol/ml)を0.6
ml添加し、水素ガスを13.5KPa装入した後、液
化プロピレン700gを装入した。その後、前項(2)
で得られた予備重合触媒を固体触媒成分として37.5
mg圧入し、昇温後75℃で30分間重合を行った。次
いでプロピレンおよび水素をパージして重合反応を終わ
らせた。
【0157】重合体収量を秤量したところ318gのポ
リプロピレンを得た。得られたポリプロピレン(PP−
1)のMFRは30であった。
【0158】
【製造例2:PP−2の製造】[触媒の合成]特開平3
−234707号公報の実施例1に記載された方法に従
って、固体触媒成分−(1)を合成した。
【0159】[重合]内容積200リットルの撹拌式オ
ートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、ここ
に脱水・脱酸素したn−ヘプタン60リットルを導入
し、トリエチルアルミニウム10.5g、及び上記方法
で合成した固体触媒成分−(1)2.7gを、70℃の
プロピレン雰囲気下で導入した。
【0160】その後、オートクレーブを75℃に昇温
し、気相部水素濃度を6.5容量%に保ちながら、プロ
ピレンを9kg/時間のフィード速度で3時間フィード
し、フィード終了後、さらに1時間重合を継続した。
【0161】その後、残ガスをパージし、ブタノールに
より反応を停止させ、生成物の濾過及び乾燥を行った。
その結果、MFR=29.7g/10分であるホモポリ
プロピレン(PP−2)30kgを得た。
【0162】
【実施例1、比較例1】(1)プロピレン系樹脂組成物
の製造 前記製造例1〜2で得られたプロピレン系樹脂PP−1
〜PP−2を用いてプロピレン系樹脂組成物を製造し
た。PP−1〜PP−2の諸物性については表1に示
す。
【0163】前記プロピレン系樹脂PP−1〜PP−2
に配合するエラストマーとしては、エチレン・1−オク
テン共重合体(MFR(230℃、2.16kg荷
重):12g/10分、1−オクテン含有量:24重量
%)を用いた。
【0164】これらのプロピレン系樹脂と配合成分と
を、表2に記載された配合割合(重量%)で配合し、二
軸押出機にて混練・造粒してペレット状の樹脂組成物を
得た。
【0165】(2)試験片の成形 得られた組成物を金型温度40℃、シリンダー温度22
0℃にて加熱した射出成形機に導入し、射出成形により
試験片を成形した。得られた射出成形片について、上述
した方法で曲げ弾性率、IZOD衝撃強度、及び荷重た
わみ温度を測定した。結果を表2に示す。
【0166】
【表1】
【0167】
【表2】
【0168】
【発明の効果】特定の構造を有するプロピレン系重合体
を用いた本発明のプロピレン系樹脂組成物は、機械的強
度(特に剛性と低温耐衝撃性と耐熱性)のバランスに優
れており、射出成形用、押出成形用等の成形材料として
工業的に非常に有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅野 利彦 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 田谷野 孝夫 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所樹脂技術開発センター 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)以下に示す要件(a)〜(c)を
    満たすプロピレン系重合体と(2)エラストマーとを含
    有し、前記プロピレン系重合体の含有量が10〜99重
    量%、前記エラストマーの含有量が1〜90重量%であ
    る、プロピレン系樹脂組成物。 (a):プロピレンから誘導される構成単位が100〜
    80モル%、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフ
    ィンからなる群より選ばれるコモノマーから誘導される
    構成単位が0〜20モル%存在すること。 (b):メルトフローレートが0.1〜200g/10
    分であること。 (c):平均溶出温度が75〜120℃の範囲にあり、
    溶出分散度が9以下であること。
  2. 【請求項2】 (1)プロピレン系重合体及び(2)エ
    ラストマーに加えて、(3)チーグラー系触媒を用いて
    製造されたポリプロピレン樹脂を含有し、前記プロピレ
    ン系重合体の含有量が10〜94重量%、前記エラスト
    マーの含有量が1〜85重量%、前記ポリプロピレン樹
    脂の含有量が5〜89重量%である、請求項1記載のプ
    ロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記プロピレン系重合体が、以下に示す
    (a)〜(e)を満たすことを特徴とする、請求項1又
    は2記載のプロピレン系樹脂組成物。 (a):プロピレンから誘導される構成単位が100〜
    94モル%、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフ
    ィンからなる群より選ばれるコモノマーから誘導される
    構成単位が0〜6モル%存在すること。 (b):メルトフローレートが0.1〜200g/10
    分であること。 (c):平均溶出温度が75〜120℃の範囲にあり、
    溶出分散度が9以下であること。 (d):アイソタクティックペンタッド連鎖の分率が9
    5%以上であること。 (e):1,3−不整結合の割合が0.06〜3%であ
    ること。
  4. 【請求項4】 射出成形品、中空成形品、及び押出成形
    品からなる群から選ばれる成形品であって、請求項1〜
    3のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物により構
    成されていることを特徴とする、プロピレン系樹脂成形
    品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010116848A1 (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 三井化学株式会社 熱可塑性樹脂組成物

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