JPH11302764A - 高温特性に優れたアルミニウム合金 - Google Patents
高温特性に優れたアルミニウム合金Info
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- JPH11302764A JPH11302764A JP10815398A JP10815398A JPH11302764A JP H11302764 A JPH11302764 A JP H11302764A JP 10815398 A JP10815398 A JP 10815398A JP 10815398 A JP10815398 A JP 10815398A JP H11302764 A JPH11302764 A JP H11302764A
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Abstract
合金において、θ' 相の平均サイズが120 nm以下である
とともにθ' 相の析出物間の平均距離が100 nm以下であ
り、また更に、Ag:0.05 〜0.7%を含み、Ω相を有するア
ルミニウム合金において、Ω相の平均サイズが100 nm以
下であるとともに、Ω相の析出物間の平均距離が150 nm
以下であるものとする。
Description
性) に優れたAl-Cu-Mg系アルミニウム合金 (以下、アル
ミニウムを単にAlと言う) に関するものである。
用、鉄道車両、自動車、船舶などの輸送機材用、エンジ
ン部品、コンプレッサーなどの機械部品用などに使用さ
れるAl合金で、特に200 ℃以上の高温の使用環境となる
Al合金には、高温特性に優れたAl合金が用いられる。そ
して、これらAl合金に求められる高温特性とは、基本的
に高温での耐クリープ特性および高温耐力である。
系 Al 合金が用いられている。この内、特に、ロケット
などの宇宙機器のタンクや航空機などの機体外板および
タービン、ローター等の羽根などの耐熱Al合金には、Al
-Cu-Mn-Zr-V-Ti系のJIS 2219Al 合金およびAl-Cu-Mg-Fe
-Ni-Si-Ti系のJIS 2618 Al 合金が主に使用されてい
る。これらのJIS 2000系 Al 合金は溶接性にも優れてい
る。しかし、これらのJIS 2000系 Al 合金は、120 ℃を
越える高温では強度の低下が著しい。このため、特に航
空機などの構造材として用いる場合には、120 ℃以下の
使用条件でしか用いることができない。したがって、使
用条件が120 ℃を越える場合には、使用時間を短く制限
するか、冷却装置を付加して使用環境を低温に保持して
使用されているのが実情である。
温使用環境でのクリープ破断強度や高温耐力を改善する
ために、近年では、JIS 2219 Al 合金にMgを0.3mass%添
加したJIS 2519 Al 合金(Al-6.1Cu-0.3Mn-0.15Zr-0.1V)
が開発されている。また、このJIS 2519 Al 合金にAgを
添加した2519(Ag)Al合金も開発されている。
合金の高温特性が高いのは、「Metal Sience ,12(197
8),478頁,J.A.Tayler 他」或いは「Metall Trans ,19A
(1988),1027頁,J.Polmear他」に開示されている通り、J
IS 2519 Al 合金では(100) 面にθ' 相、2519(Ag)Al合
金では(111) 面に晶癖面をもつ六角形盤状の析出物であ
るΩ相が、各々析出するためである。
19 Al 合金および2519(Ag)Al合金材を製造する場合、前
記高い高温特性を有するAl合金を、必ずしも再現性良く
作れるわけではないという問題がある。即ち、これらJI
S 2519 Al 合金および2519(Ag)Al合金材を製造しても、
化学成分や製造工程のバラツキなどにより高温特性が劣
るAl合金材が生じるという問題がある。つまり、これら
Al合金材に、前記した通り高温特性改善のポイントとな
るθ' 相乃至Ω相が析出していたとしても、製造したこ
れらAl合金の全てが高い高温特性を有するわけではな
い。
ものであって、その目的は、高い高温特性を再現性良く
保証することが可能なAl合金を提供しようとするもので
ある。
に、本発明の高温特性に優れたAl合金の要旨は、Cu:1.5
〜7.0%、Mg:0.01 〜2.0%を含み、θ' 相を有するアルミ
ニウム合金の場合に、θ' 相の平均サイズを120 nm以下
とするとともに、θ' 相の析出物間の平均間隔を100 nm
以下とする、およびCu:1.5〜7.0%、Mg:0.01 〜2.0%、A
g:0.05 〜0.7%を含み、Ω相を有するアルミニウム合金
の場合に、Ω相の平均サイズを100 nm以下であるととも
に、Ω相の析出物間の平均間隔を150 nm以下とすること
である。
り、Al合金の高温特性として、Al合金の1000hrクリープ
破断強度 (応力負荷方向:LT 方向、温度204 ℃) が150N
/mm2以上、高温耐力 (保持条件:204℃で1000hr、引張方
向:LT 方向、引張温度:204℃、引張歪速度:8×10-5S
-1) が200N/mm2以上となることを再現性良く保証する
ことができる。
と析出物間の平均間隔) 本発明者らは、Al合金の組織に
ついて検討を重ねた。前記した通り、これらJIS 2519 A
l 合金および2519(Ag)Al合金の高温特性が高いのは、確
かに、前記従来技術に開示されている通り、JIS 2519 A
l 合金では(100) 面に析出するθ' 相、2519(Ag)Al合金
では(111) 面に析出するΩ相が微細にかつ高密度に析出
するためである。特にΩ相はすべり面(111) と同一面に
析出するため、(100) 面に析出するθ' 相に比べ、転移
の運動には極めて大きな障害となるオロワン機構を発揮
し、高温耐力やクリープ破断強さが向上する。
相およびΩ相の分散状態、即ち、θ' 相とΩ相との各々
の大きさと析出物間の平均間隔が、JIS 2519乃至2519(A
g)Al合金の高温特性 (耐熱性) を支配している。そし
て、θ' 相とΩ相との各々の大きさと析出物間の平均間
隔が、大きすぎる場合には、これらJIS 2519 Al 合金お
よび2519(Ag)Al合金の高温特性が低下し、実際のAl合金
製造の際に、高い高温特性を有するAl合金を再現性良く
作れないことにつながる。
Ω相の平均サイズと析出物間の平均間隔の同定は、透過
型電子顕微鏡(TEM) により、アルミ合金マトリックスを
観察して行う。より具体的には、50000 倍のTEM による
目視観察乃至画像解析を行い、θ' 相とΩ相の平均サイ
ズと析出物間の平均間隔の同定を行う。
JIS 2519系或いはJIS 2618系などのAl合金において、
θ' 相の平均サイズが120 nmを越え、またθ' 相の析出
物間の平均間隔が100 nmを越えた場合、また、Cu:1.5〜
7.0%、Mg:0.01 〜2.0%に加えて、更にAg:0.05 〜0.7%を
含むJIS 2519(Ag)系などのAl合金において、Ω相の平均
サイズが100 nmを越え、またΩ相の析出物間の平均間隔
が150 nmを越えた場合には、各々これらθ' 相およびΩ
相の高温特性向上効果 (転移に対する障害となるオロワ
ン機構の発揮など) が極端に低下し、結果として、Al合
金材の高温耐力やクリープ破断強さが低下し、優れた高
温特性を保証することができない。なお、JIS 2519系或
いはJIS 2618系などのΩ相を生じないAl合金では、θ'
相の前記規定が重要となるが、Ag:0.05 〜0.7%を含むJI
S 2519(Ag)系など、Ω相を生じるAl合金では、θ' 相を
含む場合にθ' 相が前記サイズや間隔の規定を外れてい
ても、Ω相さえ前記サイズや間隔の規定を満足していれ
ば、高温特性が向上する。
成について説明する。本発明のAl合金の化学成分組成
は、基本的にJIS 2519 或いはJIS 2618などのAl合金お
よびJIS2519 にAgを加えたJIS 2519(Ag)系Al合金の成分
規格として良いが、より具体的な用途および要求特性に
応じて、以下に説明する成分組成範囲から適宜選択しう
る。
成分であり、主としてAl合金の常温および180 ℃以上の
クリープ破断強度および高温耐力を確保するために必須
である。即ち、本発明のAl合金材は、ロケットや航空機
などの航空・宇宙機材用、鉄道車両、自動車、船舶など
の輸送機材用、エンジン部品、コンプレッサーなどの機
械部品用などに使用されるAl合金で、しかも200 ℃以上
の高温の使用環境となるAl合金として、クリープ破断強
度が135N/mm2以上、高温耐力が280N/mm2以上を確保する
必要がある。この点、Cuは固溶強化及び析出強化の双方
の作用によりAl合金の強度を向上させる。後述するMgも
同様の作用を有するが、高温強度( 耐力)の向上に寄与
する割合はCuの方が大きい。この効果は1.5%、より好ま
しくは4.0%以上で発揮され、Cuの含有量が1.5%未満では
上述の効果が小さく、Al合金の常温および180 ℃以上で
の十分なクリープ破断強度および高温耐力が得られな
い。一方、Cuの含有量が7.0%を越えると、CuAl2 の組成
を有する晶出物が発生するため、常温強度が高くなりす
ぎ圧延性、押出性および鍛造性などの加工性が低下す
る。また、Al合金の融点が低下するため、強度も低下し
てしまう。したがって、Cuの含有量は1.5 〜7.0%の範
囲、より好ましくは4.0 〜7.0%の範囲とする。
化及び析出強化の双方の作用により、主としてAl合金の
常温および180 ℃以上のクリープ破断強度および高温耐
力を確保するために必須である。この効果は0.01% 、よ
り好ましくは0.4%以上で発揮され、Mgの含有量が0.01%
未満では上述の効果が小さく、Al合金の常温および180
℃以上での十分なクリープ破断強度および高温耐力が得
られない。一方、Mgの含有量が2.0%、より厳密には1.0%
を越えると、MgAl2 の組成を有する晶出物が発生するた
め、常温強度が高くなりすぎ、圧延性、押出性および鍛
造性などの加工性が低下する可能性が高くなる。また、
Al合金の融点が低下するため、強度も低下してしまう。
したがって、Mgの含有量は0.01〜2.0%の範囲、より好ま
しくは0.4〜1.0%の範囲とする。
15% 、Mn:0.05 〜1.5%、Cr:0.15 〜0.30% 、Zr:0.05 〜
0.50% 、Sc:0.05 〜1.0%の一種または二種以上) Fe、N
i、V 、Mn、Cr、Zr、Scは、いずれもAl合金の組織を繊
維組織化して、常温強度および高温強度を向上させる同
効元素である。この内、FeはAl中には殆ど固溶せず、凝
固時にAlとの反応によってマトリックス中に硬い繊維状
の晶出物を形成して常温強度および高温強度を向上させ
る。特にNiと同時に含有するとAl9(Fe−Ni) を形成して
高温特性を著しく向上させる。しかし、Feを1.5%を越え
て含有すると、不溶性金属間化合物を生成しやすい。こ
のため、Feの含有量は1.5%以下とする。
の反応によってマトリックス中に硬い繊維状の晶出物(N
i Al3)を形成して常温強度および高温強度を向上させ
る。特にFeと同時に含有するとAl9(Fe−Ni) を形成して
高温特性を著しく向上させる。しかし、Ni:0.8% 未満で
はこの効果が発揮されず、一方、Ni:2.4% を越えて含有
すると、粗大なNiAl3 を生成しやすく、成形性を阻害す
る。このため、Niの含有量は0.8 〜2.4%の範囲とする。
て、常温強度および高温強度を向上させる。これらの元
素は、均質化加熱処理時にそれぞれアルミ合金マトリッ
クス中で熱的に安定な化合物であるAl20Cu2Mn3あるいは
Al12Mg2Cr2等の分散粒子を生成する。これら分散粒子は
再結晶後の粒界移動を妨げる作用があるため微細結晶粒
の作成には効果的である。V:0.05% 、Mn:0.05%、Cr:0.1
5%未満ではこれらの効果が得られず、一方、V:0.15% 、
Mn:1.5% 、Cr:0.30%を越えると、溶解鋳造時に粗大な不
溶性金属間化合物を生成しやすく成形不良の原因とな
る。したがって、V 、Mn、Crの含有量は、各々V:0.05〜
0.15% 、Mn:0.05 〜1.5%、Cr:0.15 〜0.30% の範囲とす
る。
常温強度および高温強度を向上させる。これらの元素
は、アルミ合金マトリックス中で均質化加熱処理時にそ
れぞれアルミ合金マトリックス中で熱的に安定な化合物
であるAl3Sc あるいはAl3Zr 等の微細分散粒子を析出さ
せる。そして、これらの分散粒子は、高温変形時に抵抗
となり、高温特性を向上させる。また、これらの分散粒
子には再結晶後の粒界移動を妨げる作用があるため、ア
ルミ合金マトリックス微細結晶粒の作成にも効果的であ
る。ZrとScの含有量が各々Zr:0.05%未満、Sc:0.05 % 未
満ではこの効果がなく、また一方でZrとScの含有量が各
々Zr:0.50%、Sc:1.0% を越えると、溶解鋳造時に粗大な
不溶性金属間化合物を生成しやすく成形不良の原因とな
る。したがって、ZrとScを含有させる場合、これらの含
有量は、各々Zr:0.05 〜0.50% 、Sc:0.05 〜1.0%の範囲
とする。
微細で均一なΩ相を形成するとともに、析出物相が存在
しない領域(PFZ;solute-depleted precipitate free zo
ne) の幅を極めて狭くすることによりAl合金の常温およ
び高温強度を向上させる。Agの含有量が0.05% 未満では
この効果がなく、また一方でAgの含有量が0.7%を越えて
含有しても効果は飽和する。したがって、Agの含有量は
0.05〜0.7%の範囲とする。
合金材の高温特性やその他の特性を阻害しない範囲での
含有は許容される。例えば、SiはMgと結合してアルミマ
トリックス中に晶出物としてMg2Si が形成され、溶体化
処理により大部分は固溶するが、過剰なMg2Si が形成さ
れると溶体化処理においても残存して破断の起点になる
ため、成形性が低下する。したがって、Siは0.3%以下と
する。この他、Ti、Bは、結晶粒を微細化するが、過剰
に添加すると粗大な金属間化合物を形成し、成形加工時
の破断の起点になるため、成形性が低下する。したがっ
て、Ti、B は、各々0.20% 以下、0.005%以下までの含有
は許容される。また、この他の不純物元素についてもJI
S 規格での上限値までは許容される。
ついて説明する。まず、本発明に係るAl合金材は常法に
より製造される。即ち、前記本発明の成分範囲内に溶解
調整されたAl合金溶湯を、例えば、連続鋳造圧延法、半
連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜
選択して鋳造する。次いで、このAl合金鋳塊に均質化熱
処理を施した後、熱間圧延および冷間圧延、または押
出、或いは鍛造などの加工方法により、板材、型材、線
棒など、所望Al合金材の形状に塑性加工される。
り溶体化処理および焼入れなどの調質を行う。この熱処
理に用いる炉はバッチ炉、連続焼鈍炉、溶融塩浴炉など
が適宜使用可能であり、焼入れに際しての冷却手段も、
水浸漬、水噴射、空気噴射などの手段が適宜選択され
る。そして、この溶体化処理および焼入れは、可溶性金
属間化合物を再固溶し、かつ冷却中の再析出を十分に抑
制するため、JIS −W −1103、MIL −H −6088F に規定
された条件内にて行うことが好ましい。また、焼入れは
水中あるいは温湯中へ試料を投入しても良い。また焼入
れ後、焼入れ時の歪み強制および最終製品の耐力値を増
大させることを目的として、冷間圧延機、ストレッチャ
ーおよび冷間鍛造等を用いて、伸び換算値で最大10% ま
での冷間加工を行っても良い。更に、容体化処理および
焼入れ後、必要に応じて冷間加工を行った後人工時効処
理を行い、Ω相およびθ' 相を請求項に示す形態に析出
させても良い。前記した通り、人工時効処理条件は、JI
S −W −1103あるいはMIL −H −6088F に規定された条
件内にて行うことが好ましいが、要するに、請求項に示
す形態にΩ相およびθ' 相が得られるものであれば良
い。
が、析出するθ' 相の平均サイズを120 nm未満、θ' 相
の析出物間の平均間隔を100 nm以下とする乃至析出する
Ω相の平均サイズを100 nm未満とするとともに、Ω相の
析出物間の平均間隔を150 nm以下とすることに影響す
る。即ち、本発明Al合金におけるθ' 相およびΩ相の微
細分散析出のためには、冷却途中に粗大なθ' 相乃至Ω
相が析出することを防止するために、冷却速度は20℃/
分以上、好ましくは100 ℃/secとできるだけ速い方が望
ましい。また、昇温速度は、例えば10℃/hr 以上の速い
方が、溶体化処理温度までの昇温中に生じる結晶粒の粗
大化を防止し、破壊靱性および疲労特性に優れる微細結
晶を得るためにも好ましい。
す組成のAl合金鋳塊(300mm厚み)を溶製後、470 ℃×8
時間の範囲で均質化熱処理を施し、厚さ15mmの板まで熱
間圧延した。次に厚さ12mmの板まで冷間圧延し、硝石炉
を用いて530 ℃で30分の溶体化処理した後水焼入れし、
177 ℃×18時間の時効処理でT6材とし、Al合金板供試材
とした。
て、50000 倍の倍率の透過型電子顕微鏡(TEM) により、
(100) 入射、(111) 入射のTEM 画像解析を行い、供試材
の(100) 面上に析出するθ' 相および(111) 面上に析出
するΩ相の、各平均サイズ(nm)、各相の析出物間の平均
間隔(nm)を測定した。また、同様に供試材の平均結晶粒
径を求めたところ、平均結晶粒径dIは表2 の発明例1 は
約80μm 、その他の例はいずれも20μm と同じサイズで
あった。
Al合金の1000hrクリープ破断強度 (応力負荷方向:LT 方
向、温度204 ℃) および高温耐力 (保持条件:204℃で10
00hr、引張方向:LT 方向、引張温度:204℃、引張歪速
度:8×10-5S -1) を測定した。これらの試験片の板厚は
2.5mm とした。これらの結果を常温での耐力とともに表
2 に示す。
するθ' 相および(110) 面上に析出するΩ相の、各平均
サイズ(nm)と各相の析出物間の平均間隔(nm)が、各々規
定を満足する発明例No.1〜6 は、クリープ破断強度が15
0N/mm2以上、および高温耐力が200N/mm2以上と、高温特
性に著しく優れている。
るAl合金であっても、(100) 面上に析出するθ' 相また
は(110) 面上に析出するΩ相の、各平均サイズ(nm)と各
相の析出物間の平均間隔(nm)が、各々規定を越える比較
例No.7〜9 は、クリープ破断強度が100N/mm2以下、およ
び高温耐力が190N/mm2以下と、高温特性が著しく劣って
いる。
(Ag)Al合金材を製造しても、高い高温特性を有するAl合
金を、必ずしも再現性良く作れるわけではないという問
題が立証されるとともに、本発明の(100) 面上に析出す
るθ' 相および(110) 面上に析出するΩ相の、各平均サ
イズ(nm)と各相の析出物間の平均間隔(nm)の規定の臨界
的な意義が裏付けられる。この結果、本発明によって得
られるAl合金材が、ロケットや航空機などの航空・宇宙
機材用、鉄道車両、自動車、船舶などの輸送機材用、エ
ンジン部品、コンプレッサーなどの機械部品用などに使
用されるAl合金で、特に200 ℃以上の高温の使用環境と
なるAl合金に、高温特性に優れたAl合金として好適に用
いれることが分かる。
良く保証することが可能なAl合金を提供することができ
る。したがって、これら高温特性に優れた耐熱Al合金材
の用途を拡大することができる点で、工業的な価値を有
するものである。
Claims (6)
- 【請求項1】 Cu:1.5〜7.0%、Mg:0.01 〜2.0%を含み、
θ' 相を有するアルミニウム合金であって、θ' 相の平
均サイズが120 nm以下であるとともに、θ'相の析出物
間の平均間隔が100 nm以下であることを特徴とする高温
特性に優れたアルミニウム合金。 - 【請求項2】 Cu:1.5〜7.0%、Mg:0.01 〜2.0%、Ag:0.0
5 〜0.7%を含み、Ω相を有するアルミニウム合金であっ
て、Ω相の平均サイズが100 nm以下であるとともに、Ω
相の析出物間の平均間隔が150 nm以下であることを特徴
とする高温特性に優れたアルミ合金。 - 【請求項3】 前記アルミ合金が、更にFe:1.5% 以下、
Ni:0.8〜2.4%、V:0.05〜0.15% 、Mn:0.05 〜1.5%、Cr:
0.15 〜0.30% 、Zr:0.05 〜0.50% 、Sc:0.05〜1.0%の一
種または二種以上を含有する請求項1または2に記載の
高温特性に優れたアルミニウム合金。 - 【請求項4】 前記アルミニウム合金の1000hrクリープ
破断強度 (応力負荷方向:LT 方向、温度204 ℃) が150N
/mm2以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
高温特性に優れたアルミニウム合金。 - 【請求項5】 前記アルミニウム合金の高温耐力 (保持
条件:204℃で1000hr、引張方向:LT 方向、引張温度:204
℃、引張歪速度:8×10-5S -1) が200N/mm2以上である請
求項1乃至4のいずれか1項に記載の高温特性に優れた
アルミニウム合金。 - 【請求項6】 前記アルミニウム合金が航空・宇宙機材
用である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高温特
性に優れたアルミニウム合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10815398A JPH11302764A (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 高温特性に優れたアルミニウム合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10815398A JPH11302764A (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 高温特性に優れたアルミニウム合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11302764A true JPH11302764A (ja) | 1999-11-02 |
Family
ID=14477302
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10815398A Pending JPH11302764A (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 高温特性に優れたアルミニウム合金 |
Country Status (1)
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JP (1) | JPH11302764A (ja) |
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