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JPH11230245A - 空気圧加振式の能動型制振器 - Google Patents

空気圧加振式の能動型制振器

Info

Publication number
JPH11230245A
JPH11230245A JP10028105A JP2810598A JPH11230245A JP H11230245 A JPH11230245 A JP H11230245A JP 10028105 A JP10028105 A JP 10028105A JP 2810598 A JP2810598 A JP 2810598A JP H11230245 A JPH11230245 A JP H11230245A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
pressure
regulating valve
air chamber
pressure regulating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10028105A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Muramatsu
篤 村松
Yoshihiko Hagino
吉彦 萩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP10028105A priority Critical patent/JPH11230245A/ja
Priority to US09/239,347 priority patent/US6055317A/en
Priority to EP99102461A priority patent/EP0936376B1/en
Priority to DE69912169T priority patent/DE69912169T2/de
Publication of JPH11230245A publication Critical patent/JPH11230245A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F7/00Vibration-dampers; Shock-absorbers
    • F16F7/10Vibration-dampers; Shock-absorbers using inertia effect
    • F16F7/1005Vibration-dampers; Shock-absorbers using inertia effect characterised by active control of the mass
    • F16F7/1017Vibration-dampers; Shock-absorbers using inertia effect characterised by active control of the mass by fluid means
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F7/00Vibration-dampers; Shock-absorbers
    • F16F7/10Vibration-dampers; Shock-absorbers using inertia effect
    • F16F7/104Vibration-dampers; Shock-absorbers using inertia effect the inertia member being resiliently mounted
    • F16F7/108Vibration-dampers; Shock-absorbers using inertia effect the inertia member being resiliently mounted on plastics springs

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)
  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動用切換弁の切換制御によって、作用空気
室を負圧源と大気に択一的に接続して、該作用空気室に
圧力変化を生ぜしめることにより、マス部材に加振力を
及ぼすようにした空気圧加振式の能動型制振器におい
て、発生加振力における高調波成分を低減せしめるこ
と。 【解決手段】 制振器本体10の作用空気室に負圧力と
大気を及ぼす空気給排管路22において、発生加振力の
周波数と位相を調節するための駆動用切換弁54とは独
立して、作用空気室の負圧源60または大気への少なく
とも一方の接続を連通/遮断することにより、作用空気
室に及ぼされる空気圧変動幅を調節する調圧弁66を設
けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、振動を抑制すべき制振対象に装
着されて制振対象における振動を能動的に低減する能動
型制振器に係り、特に、空気圧変動を利用してマス部材
を加振することによって生ぜしめられる加振力を制振対
象に及ぼすことによって能動的な制振効果を得るように
した空気圧加振式の能動型制振器に関するものである。
【0002】
【背景技術】自動車の車体等のように振動が問題となる
制振対象において、その振動を低減するための手段の一
つとして、従来から、動的吸振器(ダイナミックダン
パ)が、広く知られている。また、近年では、より高度
な制振効果を得るために、制振対象に加振力を及ぼすこ
とにより、制振対象の振動を干渉的に抑制乃至は制御す
るようにした能動型の制振装置が提案されており、その
一種として、特開平3−292219号公報や特開平6
−235438号公報等には、制振対象に取り付けられ
る取付部材に対し、ばね部材を介してマス部材を支持せ
しめて一振動系を構成すると共に、この振動系のマス部
材に加振力を及ぼす電磁駆動機構を設けて、振動系の振
動作用を利用することにより、制振対象に大きな加振力
を及ぼすようにした制振器が開示されている。
【0003】また、取付部材とマス部材の間に、内部の
圧力変化によってマス部材に加振力を及ぼす作用空気室
を設け、かかる作用空気室を、駆動用切換弁を介して、
負圧源と大気に交互に切換接続することにより、マス部
材に対して、駆動用切換弁の切換周期に対応した周波数
の加振力を生ぜしめるようにした空気圧加振式の能動型
制振器も、考えられている。このような空気圧式の駆動
機構を採用すれば、電磁駆動機構等の重い部材を制振器
内部に組み込む必要がなく、部品点数が減少され得て、
制振器の小型,軽量化が可能となると共に、消費電力の
減少も図られ得るのである。
【0004】ところで、かくの如き空気圧式の駆動機構
を用いた能動型制振器では、制振すべき振動に対して有
効な制振効果を得るために、制振対象における制振すべ
き振動の周波数および位相に対応することは勿論、制振
すべき振動の大きさにも対応した加振力を発生させて制
振対象に及ぼすことが重要となる。
【0005】そこで、例えば、制振対象における制振す
べき振動の周波数や位相,大きさを、それぞれ、加速度
センサ等で検出し、或いは予め設定されたマップデータ
等に基づいて推定することによって求め、目的とする周
波数および位相の加振力が得られるように、駆動用切換
弁の切換作動の周期と位相を制御すると共に、目的とす
る大きさの加振力が得られるように、作用空気室に及ぼ
される負圧の大きさを制御することが考えられる。とこ
ろが、自動車用の制振器の如く、内燃機関における吸気
系等を負圧源として利用する場合には、負圧源自体にお
ける負圧の大きさを制御することが難しいために、制振
すべき振動に対応した大きさの加振力を得ることが困難
であるという問題があり、制振すべき振動の大きさと加
振力の大きさの対応が充分でないと、有効な制振効果が
得られないばかりか、制振対象における振動状態が悪化
してしまうおそれもあったのである。
【0006】なお、制振すべき振動の大きさに対応した
加振力を得るための一つの方策として、一般的に、動作
周期における稼働時間の割合としてのデューティ比、具
体的には作用空気室に対する負圧源と大気の何れか一方
への接続時間、換言すれば切換弁の切換作動における一
周期中での負圧源への接続時間または大気への接続時間
の割合を、制振すべき振動の大きさに応じて調節するこ
とによって、作用空気室に及ぼされる負圧の大きさを制
振すべき振動の大きさに対応して制御することも、行わ
れ得る。しかしながら、本発明者等が詳細に検討したと
ころによれば、そのように切換弁におけるデューティ比
の調節で発生加振力を制御すると、制振すべき振動の大
きさに対応して小さな加振力や大きな加振力を得るため
に、デューティ比が50%から大きく外れた場合には、
得られる加振力の波形が制振すべき振動波形に対して大
きく歪んでしまうおそれがある。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、高調波成分の発生が抑えられて、制振すべ
き振動の周波数,位相および大きさに対して高度に対応
した加振力が有利に生ぜしめられ得る空気圧加振式の能
動型制振器を提供することにある。
【0008】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、本発明の特徴とするところは、制振対象に取り付け
られる取付部材に対して、マス部材を弾性支持せしめる
一方、内部の圧力変化によって該マス部材に加振力を及
ぼす密閉された作用空気室を設けると共に、該作用空気
室に接続された空気給排管路に、該作用空気室を負圧源
と大気に択一的に接続する駆動用切換弁を設け、該駆動
用切換弁の切換制御により、前記マス部材の加振周波数
と位相を調節するようにした空気圧加振式の能動型制振
器において、前記作用空気室に接続された空気給排管路
に配されて、該作用空気室の前記負圧源及び/又は大気
中への接続を繰り返し連通/遮断することにより、該作
用空気室に及ぼされる空気圧変動幅を調節する調圧弁を
設けたことにある。
【0009】このような本発明に従う構造とされた能動
型制振器においては、負圧源における負圧値の直接的な
制御が困難な場合でも、調圧弁によって、作用空気室に
及ぼされる空気圧変動幅を調節することにより、マス部
材の駆動力ひいては発生加振力の大きさを制御すること
が出来るのであり、それ故、制振すべき振動の大きさに
応じて調圧弁による空気圧管路の連通/遮断作動を制御
することによって、有効な制振効果が発揮され得るので
ある。
【0010】そして、このように調圧弁によって発生加
振力の大きさが制御されることから、駆動用切換弁は、
制振すべき振動の周波数と位相だけを考慮して切換制御
すれば良いこととなり、その結果、制振すべき振動の大
きさに応じて駆動用切換弁のデューティ比を制御する必
要がなく、小さな加振力や大きな加振力が必要とされる
場合でも、駆動用切換弁の一切換周期における負圧源へ
の接続時間の割合を極端に小さくしたり大きくしたりす
る必要がなくなることから、発生加振力の波形の歪みが
抑えられて高次成分の発生が軽減されるのであり、制振
対象に対する能動的な制振効果の向上と安定化が達成さ
れ得るのである。
【0011】なお、本発明に係る能動型制振器におい
て、マス部材を取付部材に対して弾性支持せしめる弾性
体としては、例えば、ゴム弾性体や金属ばね,板ばね等
が好適に採用される。また、本発明に係る能動型成形器
においては、マス部材をマス系とすると共に、該マス部
材を取付部材に対して弾性支持せしめる弾性体をバネ系
として構成された一振動系における固有振動数を、制振
対象において制振を目的とする振動周波数にチューニン
グすることにより、かかる振動系の共振作用を利用し
て、加振力をより効率的に生ぜしめることも可能であ
る。また、空気給排管路の材質等は特に限定されるもの
でないが、管路内に及ぼされる空気圧によって潰れや大
きな変形等を生ずることなく、空気圧を効率的に伝達し
得る各種の管路が好適に採用され得る。更にまた、駆動
用切換弁は、制振すべき振動の周波数域で充分な作動性
を有するものであれば良く、特に、応答性や制御性に優
れた電磁弁等が好適に採用される。また、駆動用切換弁
は、作用空気室への負圧源と大気の択一的な接続のため
に、複数の方向制御弁の組み合わせ等によって構成する
ことも出来るが、構造および制御の簡略化のために、3
ポート式の方向制御弁、特にスプール型や回転型等の電
磁駆動弁等が好適に採用される。更に、駆動用切換弁
は、一般に、制振すべき振動を干渉的に打ち消すような
加振力が制振対象に及ぼされるように切換制御されるこ
ととなり、例えば、制振すべき振動を加速度センサ等で
検出し、それと同じ周波数で位相がπだけずれた逆位相
の加振力が制振対象に及ぼされるように、伝達関数等を
考慮して、駆動用切換弁を適応制御等のフィードバック
制御することによって、或いは、予め実験等に基づいて
設定されたマップデータに従って、振動関連条件等から
一義的に決定される周波数と位相で駆動用切換弁をオー
プンループ的に制御すること等によって、有利に実現さ
れる。
【0012】また、本発明において、調圧弁は、作用空
気室に対して、負圧源と大気の少なくとも一方の接続を
連通/遮断するものであれば良く、調圧弁の配設位置に
応じて、作用空気室に対する負圧源の接続だけを連通/
遮断するものや、作用空気室に対する大気の接続だけを
連通/遮断するもの、或いは作用空気室に対する負圧源
の接続と大気の接続の両方を連通/遮断するものが、そ
れぞれ採用され得る。また、かかる調圧弁は、作用空気
室の負圧源及び/又は大気への接続を、実質的に連通/
遮断するものであれば良く、完全に連通と遮断を行うも
のの他、通路の開口量を大小に切り換えることで実質的
に連通/遮断するもの、或いは作用空気室を負圧源に接
続する空気給排管路上において、該管路から分岐して大
気に連通する分岐路を開閉することによって、空気給排
管路を通じた作用空気室の負圧源への接続を実質的に連
通/遮断するもの等も、調圧弁として採用可能である。
なお、このような調圧弁としては、設置箇所等によって
は3ポート式の方向制御弁等も採用可能であるが、2ポ
ート式のポペット弁やスプール弁、回転弁等が好適に採
用され、特に、応答性に優れた電磁弁が好適に採用され
る。
【0013】さらに、本発明に係る空気圧加振式の能動
型制振器では、調圧弁の切換周波数を駆動用切換弁の切
換周波数よりも充分に高周波に設定すること等によっ
て、調圧弁を駆動用切換弁よりも作用空気室側に配する
ことも可能であるが、好ましくは、空気給排管路におい
て、調圧弁が、駆動用切換弁よりも負圧源側または大気
側に配され、かかる調圧弁によって、作用空気室の負圧
源または大気への接続が繰り返し連通/遮断される構成
が採用される。このような構成を採用すれば、駆動用切
換弁と作用空気室の間の空気給排管路を短くすることが
出来、作用空気室の圧力変動ひいては発生加振力の効率
的な確保と制御精度の向上が有利に図られ得ると共に、
調圧弁と作用空気室の間の空気給排管路を長くすること
が出来、不要な圧力変動による発生加振力の歪みの増大
を抑えて、加振力における高次成分の発生を一層有利に
抑えることが可能となるのである。
【0014】特に、駆動用切換弁と大気を接続する大気
側管路に調圧弁を配した場合には、調圧弁で大気側管路
を連通/遮断制御することにより、作用空気室内の圧力
平均値を、調圧弁を設けない場合に比して、負圧側に移
行させることが出来るのであり、それによって、マス部
材を弾性支持する弾性体をばね定数的に硬くして、応答
性の向上を図ることが可能であり、高周波での制御精度
が向上されて、高周波数域の振動に対する制振効果の更
なる向上が図られ得る。
【0015】また一方、駆動用切換弁と負圧源を接続す
る負圧側管路に調圧弁を配した場合には、調圧弁で負圧
側管路を連通/遮断制御することにより、作用空気室内
の平均圧力値を、調圧弁を設けない場合に比して、大気
圧側に移行させることが出来るのであり、それによっ
て、マス部材を弾性支持する弾性体の弾性歪の平均値を
小さく抑えて、耐久性の向上を図ることが可能であり、
また、非圧縮性流体の封入された流体室を有する制振器
を採用した場合等において、何等かの不具合で作用空気
室内に液体等が侵入した場合でも、負圧側管路上にアキ
ュムレータ等を設置することにより、ポンプや内燃機関
等の負圧源への液体等の流入による悪影響の回避が容易
に図られ得る等といった利点もある。
【0016】また、本発明に係る空気圧加振式の能動型
制振器では、調圧弁の制御によって発生加振力の大きさ
が制御されることから、制振すべき振動の大きさに応じ
て駆動用切換弁のデューティ比を制御する必要がなく、
デューティ比の設定値が特に制限されることはないが、
好ましくは、該駆動用切換弁の負圧源と大気への接続
を、一周期における負圧源および大気への接続時間の割
合が何れも40%〜60%となるように、且つ制振対象
における振動に対応した周波数および位相で切り換える
駆動弁用制御装置が、採用される。このような駆動弁用
制御装置を採用すれば、発生加振力における高次成分の
発生を一層有利に抑えることが出来るのであり、より優
れた制振効果を得ることが可能となるのである。なお、
その際、駆動用切換弁のデューティ比は、40〜60%
の範囲内で、発生する高調波成分、即ち制振すべき振動
の周波数から外れた周波数成分が最小となるように、適
宜に調節されることとなるが、一般に、制振すべき振動
は略サイン波形を有することから、駆動用切換弁のデュ
ーティ比も略50%に設定することが有効である。ま
た、かかる駆動用切換弁のデューティ比は、40〜60
%の範囲内で固定的に設定することも可能であるが、制
振すべき振動等に応じて変更乃至は変化させても良い。
【0017】さらに、本発明に係る空気圧加振式の能動
型制振器では、作用空気室に及ぼされる空気圧変動幅の
調節を、調圧弁における連通/遮断の切換周波数を変化
させることによって行うことも可能であるが、好ましく
は、調圧弁の負圧源及び/又は大気中への接続を、制振
対象における振動の大きさに応じて、一周期における連
通時間の割合を調節して連通/遮断切り換えする第一の
調圧弁用制御装置が、採用される。このように調圧弁の
デューティ比を調節する第一の調圧弁用制御装置を採用
すれば、作用空気室に及ぼされる空気圧変動幅ひいては
発生加振力の大きさを容易に且つ高精度に調節すること
が出来ると共に、調圧弁の切換周波数を任意に設定する
ことが可能となる。
【0018】また、本発明に係る空気圧加振式の能動型
制振器では、調圧弁の負圧源及び/又は大気への接続
を、駆動用切換弁の切換周波数よりも高く且つ調和しな
い切換周波数で繰り返し連通/遮断切り換えする第二の
調圧弁用制御装置が、好適に採用される。このように調
圧弁の切換周波数を調節する第二の調圧弁用制御装置を
採用すれば、調圧弁の連通/遮断作動に起因して発生加
振力に内在せしめられる高調波成分を有利に抑えること
が出来、目的とする振動に対してより優れた制振効果を
発揮せしめることが可能となる。なお、調圧弁の切換周
波数は、固定的に設定することも可能であるが、例え
ば、制振を目的とする振動周波数に応じて駆動用切換弁
の切換周波数が変更されることから、それに伴って、調
圧弁の切換周波数を変更することも可能である。なお、
駆動用切換弁の切換周波数に調和しない周波数とは、駆
動用切換弁の切換周波数と公約数をもたない、共振しな
いような周波数をいい、具体的には、駆動用切換弁の切
換周波数、即ち制振すべき振動の周波数が30〜50Hz
である場合に、調圧弁の切換周波数を、例えば50Hzよ
り大きく且つ60Hzより小さな値に設定すること等によ
って、調和が回避される。
【0019】さらに、本発明に係る空気圧加振式の能動
型制振器では、空気給排管路における、駆動用切換弁と
調圧弁の間に、空気圧変動を低減せしめる圧力変動低減
手段を設けた構成が、好適に採用される。このような構
成を採用すれば、作用空気室の負圧源及び/又は大気へ
の接続の調圧弁による連通/遮断切り換えに起因する空
気圧変動が、圧力変動低減手段によって軽減され得るこ
とから、制振すべき振動に対応しない周波数域での空気
圧変動ひいては加振力の発生が抑えられて、制振効果の
向上が図られ得るのである。なお、圧力変動低減手段と
しては、従来から公知のものが適宜に採用され得るが、
特に、調圧弁の切換周波数域の空気圧変動に対して有効
な圧力吸収効果を発揮し得るものが望ましく、例えばサ
ージタンク等として用いられているダイヤフラム型やピ
ストン型,ばね型,重量型,ゴムチューブ型,直接型等
の各種の蓄圧器(アキュムレータ)や、サイドブランチ
タイプや共鳴タイプ,共鳴箱タイプ,共鳴型消音器タイ
プ,空洞型消音器タイプ,干渉型消音器タイプ,吹出口
型消音器タイプ等の消音器等、或いはそれらを組み合わ
せた圧力変動低減器等が、何れも採用可能である。ま
た、このような圧力変動低減手段は、調圧弁が駆動用切
換弁よりも負圧源側または大気側に配される場合におい
て、負圧側管路や大気側管路に配設することが望まし
く、それによって、発生加振力を有利に確保することが
出来る。そして、このような圧力変動低減手段を採用す
れば、調圧弁の切換周波数が駆動用切換弁の切換周波数
よりも低くなった場合や、調圧弁の切換作動のデューテ
ィ比が50%から大きく外れて0%や100%の近くに
なった場合、或いは調圧弁の切換周波数やデューティ比
が急に変化した場合等においても、調圧弁や駆動用切換
弁の制御によって、制振すべき振動の大きさや周波数,
位相に応じた加振力を安定して有利に得ることが可能と
なるのであり、それによって、発生加振力の制御の容易
化と高精度化が達成されて、優れた制振効果が安定して
発揮されるのである。
【0020】また、負圧源による駆動機構を備えた装置
においては、一般に、サージタンク等の蓄圧器を予め備
えたものが多く、その場合には、予め設けられた蓄圧器
を圧力変動低減手段として利用することも可能である。
それによって、特別な部品の増加を伴うことなく、上述
の如き、圧力変動低減手段の採用に基づく制振効果の安
定化等の効果を有利に得ることが出来るのである。
【0021】さらに、本発明に係る能動型制振器におい
て、作用空気室は、内部の空気圧変化によって加振力を
マス部材に対して直接に及ぼすようにすることも可能で
あるが、非圧縮性流体が封入された液室を形成し、作用
空気室の空気圧変化を液室に及ぼし、液圧を介して、加
振力をマス部材に間接的に及ぼすようにしても良い。例
えば、本発明においては、作用空気室の壁部の一部を可
撓性膜で構成する一方、該可撓性膜を挟んで作用空気室
とは反対側に、非圧縮性流体が封入されて、可撓性膜の
変形によって作用空気室の圧力変化が伝達される液室を
形成し、該作用空気室の圧力変化を、非圧縮性流体の液
圧を介して間接的にマス部材に及ぼしめてマス部材を加
振するようにした構成が、好適に採用される。このよう
な構成を採用すれば、作用空気室の容積を小さく設定し
て応答性の向上を図ることが可能であると共に、パスカ
ルの原理に基づく液圧による加振力の増幅効果を利用
し、小さな空気圧変化によって大きな加振力を効率的に
得ることも可能となるのである。
【0022】また、そこにおいて、かかる液室を、壁部
の一部が前記可撓性膜で構成され、該可撓性膜を介し
て、作用空気室の圧力変化が直接に伝達される作用液室
と、該作用液室に対してオリフィス通路を通じて連通せ
しめられ、内圧変化によってマス部材に対して直接に加
振力を及ぼす加振液室とによって構成し、作用空気室の
圧力変化に伴う作用液室の圧力変化を、オリフィス通路
を通じての流体流動に基づいて加振液室に伝達せしめ
て、マス部材を加振するようにした構成も、好適に採用
される。このような構成を採用すれば、オリフィス通路
を通じて流動せしめられる液体の共振作用を利用して、
加振力をマス部材に対してより一層効率的に及ぼすこと
が可能となるのである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0024】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての能動型制振器が、示されている。この能動型制
振器は、制振器本体10と、該制振器本体10に対して
空気圧変化を及ぼしめて加振力を生ぜしめるための加振
機構を含んで構成されている。かかる制振器本体10
は、自動車のボデー等の制振対象としての振動体12に
取り付けられる取付部材としての取付金具14に対し
て、マス部材16が、本体ゴム弾性体18を介して弾性
的に連結支持せしめられており、それによって、マス部
材16をマス系とし本体ゴム弾性体18をバネ系とする
一つの振動系が構成されている。また、取付金具14と
マス部材16の間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体1
8によって構成されて、外部空間に対して遮断されて密
閉された作用空気室20が画成されている。そして、こ
の作用空気室20に対して、加振機構を構成する空気給
排管路としてのエア給排路22を通じて圧力変化が及ぼ
されることにより、かかる振動系に加振力が及ぼされて
マス部材16が取付金具14に対して加振変位せしめら
れるようになっており、この振動系における加振力を取
付金具14を介して振動体12に及ぼすことにより、振
動体12における振動を能動的に抑えるようになってい
る。なお、本実施形態の制振器本体10においては、図
1中の上下方向の振動に対して、有効な制振効果を発揮
し得るようにされている。
【0025】より詳細には、取付金具14は、小径中実
のロッド形状を有しており、軸方向一方の端部(図1
中、上端部)がボルト23とされている。また、取付金
具14の内部には、ボルト23側の軸方向端部から軸方
向に所定長さで延びて、取付金具14の軸方向中間部分
の外周面に開口するエア通路24が形成されている。な
お、取付金具14には、エア通路24に対して、エア給
排路22を接続するために、ボルト23の軸方向端部か
ら軸方向外方に突出するポート26が一体形成されてい
る。
【0026】また一方、マス部材16は、鉄系金属等の
比重の大きい材質により、大径の略円形ブロック形状を
もって形成されたマス本体28に対して、薄肉大径の有
底円筒形状を有するカバー金具30が、軸方向下方から
外挿されて一体的に固着された構造とされている。ま
た、マス本体28には、中心軸上を軸方向に貫通するガ
イド孔32が設けられており、カバー金具30がマス本
体28に外嵌されることにより、このガイド孔32の下
端側の開口が、カバー金具30の底壁によって閉塞され
ている。更に、カバー金具30における筒壁の開口周縁
部は、マス本体28から軸方向に突出したカシメ部34
とされている。
【0027】そして、このようなマス部材16は、その
ガイド孔32に対して取付金具14の軸方向下端側が挿
入されることにより、取付金具14と同軸的に配設され
ている。なお、マス部材16のガイド孔32は、取付金
具14の外径寸法よりも僅かに大きな内径寸法を有して
おり、取付金具14に対して非接触に遊挿されて、軸方
向の相対変位が許容されるようになっている。また、マ
ス部材16のガイド孔32には、下端部分にガイドスリ
ーブ36が内挿固定されており、このガイドスリーブ3
6の内周面によって、取付金具14の軸方向先端部が、
軸方向に低摩擦で摺接案内されるようになっていると共
に、取付金具14とマス部材16の軸直角方向への相対
変位に起因する衝撃的な当接が防止されるようになって
いる。
【0028】さらに、これら取付金具14とマス部材1
6を弾性的に連結する本体ゴム弾性体18は、略円環板
形状を有しており、その内周面に金属スリーブ38が、
外周部分に連結金具40が、それぞれ加硫接着されてい
る。金属スリーブ38は小径の円筒形状を有しており、
この金属スリーブ38が取付金具14に外嵌固定される
ことによって、本体ゴム弾性体18が、取付金具14か
ら軸直角方向外方に広がる状態で固着されている。な
お、金属スリーブ38は、取付金具14に対して、エア
通路24の開口部よりもボルト23側に位置して嵌着固
定されており、しかも、金属スリーブ38と取付金具1
4の嵌着面では、充分な流体密性が保持されるようにな
っている。また一方、連結金具40は、大径の円筒形状
を有していると共に、軸方向両側がそれぞれ径方向外方
に湾曲されて上下のフランジ部42,44が一体形成さ
れており、本体ゴム弾性体18の外周部分に対して埋設
状態で加硫接着されている。また、下フランジ部44
は、本体ゴム弾性体18から径方向外方に突出してお
り、この下フランジ部44の外周縁部に対して、マス部
材16を構成するカバー金具30のカシメ部34がかし
め固定されて、カシメ部34とマス本体28の間で下フ
ランジ部44が挟圧されることにより、マス部材16が
連結金具40に対して固定的に取り付けられている。な
お、マス部材16の連結金具40への取付部位では、下
フランジ部44とマス本体28の間でシールゴム層46
が挟圧されることにより、流体密性が確保されている。
【0029】すなわち、このように本体ゴム弾性体18
の内周側が取付金具14に、外周側がマス部材16に、
それぞれ取り付けられることによって、マス部材16が
取付金具14に対して本体ゴム弾性体18を介して弾性
的に支持されているのであり、また、取付金具14とマ
ス部材16の間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体18
にて構成されて、外部空間に対して密閉された一つの作
用空気室20が形成されている。なお、この作用空気室
20は、取付金具14とマス部材16の間において、ガ
イド孔32の内部も含んで形成されている。また、かか
る作用空気室20には、取付金具14に貫設されたエア
通路24が、連通,接続されている。
【0030】そして、上述の如き構造とされた制振器本
体10は、図1に示されているように、振動体12に設
けられた取付孔50に対して、取付金具14のボルト2
3部分が挿通せしめられ、取付金具14に外嵌固定され
た金属スリーブ38と、ボルト23に螺着されたナット
52の間で、振動体12を挟圧保持せしめて、取付金具
14を振動体12に固着することによって、振動体12
に装着されている。また、その際、取付金具14に対す
るマス部材16の可動方向、即ち取付金具14の軸方向
が、振動体12において制振しようとする振動の方向と
なるようにセットせしめられている。
【0031】さらに、取付金具14のポート26には、
加振機構を構成するエア給排路22が接続されており、
このエア給排路22を通じて、作用空気室20に圧力変
化が及ぼされることにより、マス部材16に対し、取付
金具14の軸方向で、該取付金具14に対して接近/離
隔する方向の変位力が及ぼされるようになっている。以
下、上述の如き制振器本体10を加振制御する加振機構
について、説明する。
【0032】かかる加振機構は、図2に示されているよ
うに、制振器本体10に対して駆動用空気圧を及ぼすた
めのエア給排路22を含むエア通路系と、該エア通路系
を通じて制振器本体10に及ぼされる駆動空気圧を制御
する作動制御系とによって、構成されている。先ず、エ
ア通路系は、エア給排路22上において、駆動用切換弁
としての3ポート式の方向制御弁54を備えており、こ
の駆動用切換弁54の第一のポートに対して、該駆動用
切換弁54を制振器本体10に連通せしめる制振器側通
路56が接続されていると共に、第二のポートに対し
て、駆動用切換弁54を大気に連通せしめる大気側管路
58が接続されており、更に、第三のポートには、駆動
用切換弁54を負圧源60に連通せしめる負圧側管路6
2が接続されている。なお、本実施形態では、負圧源6
0として、自動車の内燃機関64におけるエアインテー
ク部分に発生する負圧を利用した負圧タンクや、内燃機
関64によって駆動される負圧力発生ポンプ等が採用さ
れる。また、駆動用切換弁54としては、第一のポート
を第二のポートと第三のポートに対して択一的に接続せ
しめ得る2位置型または3位置型で、特に、電気信号に
よって高速での切換操作が可能なポペット型やスプール
型等の電磁操作式切換弁が好適に採用される。
【0033】すなわち、本実施形態では、これら制振器
側管路56と大気側管路58,負圧側管路62によっ
て、制振器本体10の作用空気室20に空気圧変化を及
ぼすエア給排路22が構成されている。そして、駆動用
切換弁54を切換作動せしめることにより、制振器本体
10の作用空気室20に対して、エア給排路22を通じ
て、負圧と大気が交互に及ぼされることとなり、以て、
駆動用切換弁54の切換周期に対応した空気圧変動が作
用空気室20に及ぼされて、マス部材16に加振力が作
用せしめられるようになっている。
【0034】また、作用空気室20を大気に連通するた
めの大気側管路58には、調圧弁としての2ポート式の
切換弁66が配設されており、第一のポートが駆動用切
換弁54に連通されていると共に、第二のポートが大気
に連通されている。かかる調圧弁66としては、第一の
ポートと第二のポートを連通/遮断せしめ得る切換弁で
あって、特に、電気信号によって高速での切換操作が可
能なポペット型やスプール型等の電磁操作式切換弁が好
適に採用される。そして、この調圧弁66を連通/遮断
作動せしめることにより、大気側管路58を通じて駆動
用切換弁54から制振器側管路56を経て制振器本体1
0の作用空気室20に導かれる大気の流入が制限される
ようになっており、以て、作用空気室20に及ぼされる
大気圧が、かかる調圧弁66の連通/遮断作動によって
調節されて、駆動用切換弁54の切換作動によって作用
空気室20に生ぜしめられる空気圧変化の変動幅が制御
されるようになっているのである。
【0035】一方、作動制御系は、上記エア通路系を構
成する駆動用切換弁54と調圧弁66の切換操作を、制
振すべき振動の状態に応じて制御することによって、振
動体12に対して能動的な制振効果を発揮し得る加振力
を及ぼすようになっている。かかる作動制御系は、コン
ピュータを構成する中央処理装置(CPU)68を有し
ており、このCPU68は、制御用プログラムや各種デ
ータを記憶するRAMやROMを含む演算および制御機
構を備えている。そして、CPU68に対して、制振器
本体10の制御用電気信号を得るための基本となる基準
信号:Rが入力されるようになっている。なお、基準信
号:Rとしては、制振すべき振動周波数に対して高い相
関性を有する電気信号が望ましく、例えば、アイドリン
グ振動等を制振しようとする場合には、内燃機関64に
装着した点火パルスセンサやクランク角センサ等から得
られる信号が好適に採用される。また、CPU68に
は、制振しようとする振動の位相やレベル(大きさ)等
に影響を与える自動車の運転状態の検出信号、例えばシ
フトポジション位置信号や車速信号,アクセル開度信
号,エアフロー信号等が、参照信号:Sとして入力され
るようになっている。
【0036】そして、CPU68において、予め求めら
れた実測データ等により決定されて記憶されたマップデ
ータ70を用い、基準信号:Rを利用して波形成形する
ことによって、振動体12の制振すべき振動に対して有
効な制振効果を発揮し得る加振力:Fを得るための制御
用電気信号が生成される。かかる制御用電気信号は、制
振器本体10に生ぜしめられる加振力:Fに対して、制
振すべき振動に応じた周波数と位相を与えるための第一
の制御信号:Pと、制振すべき振動に応じたレベル(大
きさ)を与えるための第二の制御信号:Qを有してい
る。また、これら第一の制御信号:Pと第二の制御信
号:Qは、駆動用切換弁給電装置72と調圧弁給電装置
74に入力され、それぞれ適当な電圧に増幅されること
によって、駆動用切換弁54と調圧弁66に対して、第
一及び第二の駆動電力:P′,Q′がそれぞれ給電され
るようになっている。
【0037】ここにおいて、駆動用切換弁54に給電さ
れる第一の駆動電力:P′は、制振器本体10によって
生ぜしめられるべき加振力:Fと同じ周期:Tを有する
パルス信号であって、この周期:Tは、制振すべき振動
に対応した周波数を有する基準信号:Rの周期:Tに基
づいて決定される。また、かかる第一の駆動電力:P′
は、制振のために要求される加振力:Fの周波数やレベ
ル,位相等が変化した場合でも、そのデューティ比、即
ちパルススペース:Tに対するパルス持続時間:Tdの
割合:Td/Tが、40〜60%となるように、より好
ましくは略50%となるように設定される。なお、この
ことから明らかなように、本実施形態では、CPU68
やマップデータ70,駆動用切換弁給電装置72を含ん
で、駆動弁用制御装置が構成されている。
【0038】また一方、調圧弁66に給電される第二の
駆動電力:Q′は、略一定の周期:T3を有するパルス
信号であって、この周期:Tは、制振器本体10によっ
て生ぜしめられるべき加振力:Fとは特に関係なく、第
一の駆動電力:P′よりも短く設定され、且つ第一の駆
動電力:P′と立上り時刻が周期的に重ならないよう
に、第一の駆動電力:P′のパルス周波数とは調和しな
い周波数に設定される。また、かかる第二の駆動電力:
Q′は、そのデューティ比、即ちパルススペース:Tに
対するパルス持続時間:Tdの割合:Td/Tが、制振
のために要求される加振力:Fのレベルに応じて決定さ
れる。なお、このことから明らかなように、本実施形態
では、CPU68やマップデータ70,調圧弁給電装置
74を含んで、第一の調圧弁用制御装置および第二の調
圧弁用制御装置が構成されている。
【0039】具体的には、例えば、アイドリング振動を
制振するに際して、図3に示されているように、時刻:
tの時点でシフトポジションが切り換えられることによ
りアイドリング振動の周波数とレベルが変化したため
に、制振に必要とされる加振力:Fの周期:Tと振幅:
Bが変化した場合を考えると、CPU68および給電装
置72,74により、基準信号としての点火パルス信
号:Rと、参照信号としてのシフトポジション位置信号
および車速信号に基づいて、必要加振力:Fの周波数と
位相に応じた周波数と位相を有する駆動用切換弁54の
駆動電力信号:P′と、必要加振力:Fのレベル(振
幅)に応じたデューティ比を有する調圧弁66の駆動電
力信号:Q′が求められることとなる。そこにおいて、
図3から明らかなように、時刻:tの時点でアイドリン
グ振動の周波数とレベルが変化すると、それに応じて、
駆動用切換弁54の駆動電力信号:P′における周期が
T1からT2に変更されると共に、調圧弁66の駆動電
力信号:Q′におけるデューティ比がTd3/T3から
Td4/T3に変更されるが、駆動用切換弁54の駆動
電力信号:P′におけるデューティ比:Td1/T1,
Td2/T2は、略50%に保たれる。
【0040】そして、このような駆動電力信号:P′が
駆動用切換弁54に入力されて駆動用切換弁54が切換
制御されると、駆動電力信号:P′におけるパルス持続
時間:Td1,Td2の間だけ、制振器側管路56が大
気側管路58に接続されて制振器本体10の作用空気室
20に大気が及ぼされる一方、駆動電力信号:P′にお
けるパルスセパレーション時間:Ts1,Ts2の間
は、制振器側管路56が負圧側管路62に接続されて制
振器本体10の作用空気室20に負圧が及ぼされること
となる。その結果、作用空気室20に対して、駆動電力
信号:P′の周波数と同じ周波数を有し、駆動電力信
号:P′に対応した位相を有する空気圧変動が生ぜしめ
られてマス部材16が加振されることにより、目的とす
る制振のための加振力:Fに対応した周波数と位相を有
する加振力が生ぜしめられるのである。
【0041】また、上述の如き駆動電力信号:Q′が調
圧弁66に入力されて調圧弁66が切換制御されると、
駆動電力信号:Q′におけるパルス持続時間:Td3,
Td4の間だけ、調圧弁66が連通状態とされて大気側
管路58が大気に接続される一方、駆動電力信号:P′
におけるパルスセパレーション時間:Ts3,Ts4の
間は、調圧弁66が遮断状態とされて大気側管路58が
大気から遮断されることとなる。そして、かかる駆動電
力信号:Q′におけるデューティ比が、目的とする制振
のための加振力:Fのレベルに応じて制御されることに
より、駆動用切換弁54の切換制御によって生ぜしめら
れる加振力の大きさが、目的とする制振のための加振
力:Fに応じて調節されるのである。
【0042】従って、上述の如き構造とされた能動型制
振器によれば、駆動用切換弁54と調圧弁66を加振機
構で切換制御することにより、制振器本体10の作用空
気室20に対して、制振すべき振動の周波数,位相およ
び大きさにそれぞれ対応した空気圧変動を及ぼし、以
て、制振すべき振動に対して有効な制振効果を発揮し得
る加振力を有利に生ぜしめることが出来るのである。
【0043】特に、発生加振力の基本的な波形を決定す
る駆動電力信号:P′は、発生加振力の大きさに拘わら
ず、そのデューティ比が40〜60%に保たれ得ること
から、発生加振力の波形を振動波形に相当するサイン波
に有利に近似させることが出来、高調波の発生が軽減乃
至は抑制されることから、制振効果の向上が図られて、
制振を目的とする周波数域以外での振動の悪化等の不具
合の発生も有利に回避され得るのである。
【0044】また、本実施形態では、調圧弁66を開閉
制御せしめて発生加振力の大きさを決定する駆動電力信
号:Q′が、駆動用切換弁54の駆動電力信号:P′よ
りも高周波に設定されていることから、調圧弁66の切
換作動に起因して、駆動用切換弁54の切換作動によっ
て作用空気室20に生ぜしめられる空気圧変動の波形の
歪みが、有利に軽減され得るのであり、それによって、
制振すべき振動に対してより高度に対応した波形の加振
力を得ることが出来、一層優れた制振効果が発揮される
のである。しかも、本実施形態では、調圧弁66が、駆
動用切換弁54に対して制振器本体10と反対側のエア
給排路22上に配設されていることから、調圧弁66の
切換作動に起因する作用空気室20での空気圧変動の波
形の歪みが一層有利に軽減されるのであり、それ故、調
圧弁66の駆動電力信号:Q′におけるデューティ比:
Drの値を、0%<Dr<100%の広い範囲に亘って
設定することが出来るといった利点がある。
【0045】更にまた、本実施形態の能動型制振器で
は、調圧弁66によって作用空気室20の大気への連通
が制限されることから、作用空気室20に及ぼされる空
気圧変動の平均圧力値が、調圧弁66を設けない場合に
比して、負圧側に移行することとなる。それ故、本体ゴ
ム弾性体18に初期圧縮が加えられた位置を中心として
マス部材16が加振変位されることから、振動系のばね
特性が硬くされて、応答性が向上することとなり、より
高周波域まで加振力を高精度に制御することが出来、高
周波域の振動に対しても有効な制振効果を得ることが可
能となるのである。
【0046】さらに、本実施形態の能動型制振器では、
エア給排路22上において、調圧弁66が、駆動用切換
弁54に対して、制振器本体10と反対側に位置して、
大気側管路58上に配設されていることから、駆動用切
換弁54と制振器本体10の間のエア給排路22(制振
器側管路56)の長さを充分に短く設定することによ
り、駆動用切換弁54の切換作動に基づく空気圧変動を
作用空気室20に対して効率的に及ぼしめて加振力を有
利に生ぜしめることが出来ると共に、調圧弁66と制振
器本体10の間、特に調圧弁66と駆動用切換弁54の
間のエア給排路22(大気側管路58)の長さを充分に
長く設定することにより、調圧弁66の開閉作動に起因
する、制振すべき振動に対応しない空気圧変動ひいては
加振力の発生を抑えて、制振効果の向上を図ることが出
来るといった利点もある。
【0047】加えて、上述の如き加振機構によれば、制
振すべき振動に対応した波形の加振力を得るに際して、
制振器本体10の加振制御のためにサイン波形の信号を
生成する必要がなく、パルス波形の電気信号処理で、制
振器本体10を加振制御することが出来ることから、加
振機構の構成が簡略でその制御も容易であるといった利
点がある。
【0048】また、本実施形態における制振器本体10
では、マス部材16と本体ゴム弾性体18からなる一振
動系の固有振動数域において、かかる振動系の共振作用
を利用することが出来ることから、該振動系の固有振動
数を制振すべき振動の周波数に応じて設定することによ
って、作用空気室20に及ぼす空気圧変動が小さくて
も、大きな加振力を効率的に発生させることが可能とな
る。
【0049】なお、上記実施形態では、制振すべき振動
の大きさが変化した際にも、調圧弁66の駆動用信号の
周期:T3が略一定に保たれるようになっていたが、か
かる周期:T3を変更することも可能である。例えば、
制振すべき振動の変化に対応して、駆動用切換弁54の
周期:T1,T2が変更されることに伴い、かかる駆動
用切換弁54の切換周波数と調和しないように、調圧弁
66の切換周波数を変更するようにしても良い。また、
調圧弁66の駆動電力信号:Q′におけるパルス持続時
間:Tdを一定とし、制振すべき振動の大きさの変化に
応じて、調圧弁66の駆動電力信号:Q′の周波数をP
WM制御等で調節することにより、作用空気室20に及
ぼされる空気圧変動幅ひいては発生加振力の大きさを、
調圧弁66の駆動電力信号:Q′におけるデューティ比
を制御することなく、制振すべき振動の大きさに応じて
制御することも可能である。
【0050】また、上述の如き加振機構においては、例
えば、図4に示されているように、大気側管路58にお
ける駆動用切換弁54と調圧弁66の間に、圧力変動低
減手段としてのサージタンク76を配設することも有効
である。なお、サージタンク76としては、空気圧を蓄
圧し得る各種のアキュムレータが採用可能であるが、特
に、駆動用切換弁54の切換周波数や負圧源60によっ
て及ぼされる負圧力の大きさ、制振効果的に特に問題と
なる高調波成分等を考慮して、調圧弁66の開閉作動に
基づく空気圧変動が、大気側管路58を通じて、駆動用
切換弁54から制振器側管路56に対して出来るだけ及
ぼされないように、大きさ(容積)や種類等を設定する
ことが望ましい。
【0051】すなわち、このようなサージタンク76を
配設すると、調圧弁66の開閉作動に基づく空気圧変動
の伝達が軽減乃至は回避されることから、駆動用切換弁
54の切換制御に基づいて、制振器本体10の作用空気
室20の空気圧変動ひいては発生加振力を、より高度に
制御することが出来るのであり、一層優れた制振効果を
安定して得ることが可能となる。しかも、サージタンク
76を配設することによって、調圧弁66の切換周波数
を、駆動用切換弁54の切換周波数との調和等を考慮す
ることなく、自由に設定することが可能となるのであ
り、調圧弁66の制御性の向上や容易化等も図られ得る
のである。なお、具体的には、調圧弁66の切換周波数
を、駆動用切換弁54の切換周波数よりも低く、例えば
10Hz程度の低い切換周波数を採用することも可能とな
る。
【0052】また、圧力変動低減手段としては、サージ
タンク76に限定されるものでなく、空気圧変動を、好
ましくは特に調圧弁66の切換周波数域で、有効に吸
収,軽減し得るものであれば良く、従来から公知の消音
器等も採用可能である。例えば、図5には、圧力変動低
減手段として、サイドブランチタイプの消音器78を採
用したものの一具体例が示されている。かかる消音器7
8は、大気側管路58における駆動用切換弁54と調圧
弁66の間に位置する周壁面に開口,連通せしめられ
て、該大気側管路58から分岐して所定長さ:Lで延び
出すと共に、先端部が気密に閉塞された中空管体構造と
されている。かかる消音器78は、長さ:Lを適当に調
節することにより、その長さ:Lに対応した周波数(振
動数)域の空気振動(空気圧変動)に対して、波動の共
鳴減衰作用に基づく低減効果を発揮し得るのである。そ
れ故、消音器78の長さ:Lを、調圧弁66の開閉操作
によって発生する、制振上で問題となる周波数域の空気
圧変動に対して有効な低減効果を発揮し得るように調節
することによって、前記サージタンク76を採用した場
合と同様に、駆動用切換弁54の切換制御に基づく発生
加振力の制御の高精度化および安定化が図られると共
に、調圧弁66の制御性の向上や容易化等も達成される
のである。特に、このような消音器78は、サージタン
ク76に比べて小型で構造簡略であることから、採用が
容易でコスト的にも優れている等といった利点がある。
【0053】なお、消音器としても、例示の如きサイド
ブランチタイプの他、各種の構造のものが採用可能であ
り、例えば、大気側管路58から分岐した中空管体の先
端部に所定大きさの共鳴箱が設けられた共鳴型消音器
や、所定大きさの拡径部が軸方向に複数接続されて、大
気側管路58上に直列的に配設された共鳴型消音器、大
気側管路58の外周を覆う共鳴箱が設けられると共に、
該共鳴箱によって形成された所定大きさの内部空間に連
通する連通孔が大気側管路58の管壁部に設けられた共
鳴型消音器、所定容積の膨張箱が大気側管路58上に直
列的に配置された空洞型消音器、更には、大気側管路5
8上で軸方向に離間位置した2点を、大気側管路58上
とは異なる所定長さで連通するバイパス管路を設けた干
渉型消音器、或いは、大気側管路58を分断して、その
一方の分断口が接続された膨張箱に対して、他方の分断
口を複数の細孔を通じて開口,連通せしめた吹出口型消
音器等が、何れも、採用可能である。
【0054】次に、図6には、本発明の第二の実施形態
としての能動型制振器が示されている。なお、本実施形
態における制振器本体は、第一の実施形態における制振
器本体と同一の構造のものが採用されていることから、
その詳細な説明を省略し、加振機構の特徴点だけを詳述
する。
【0055】すなわち、本実施形態の能動型制振器で
は、加振機構におけるエア通路系において、調圧弁とし
ての2ポート式の切換弁80が、大気側管路58上でな
く、作用空気室20を負圧源60に連通するための負圧
側管路62上に配設されており、この切換弁80を通じ
て、負圧源60の負圧が、駆動用切換弁54から作用空
気室20に及ぼされるようになっている。そして、切換
弁80における第一のポートが駆動用切換弁54に連通
されていると共に、第二のポートが負圧源60に連通さ
れている。なお、この調圧弁80としては、前記第一の
実施形態における調圧弁66と同様なものが、好適に採
用される。そして、この調圧弁80を連通/遮断作動せ
しめることにより、負圧源60から作用空気室20に導
かれる負圧力に基づくエア給排路22を通じてのエアの
吸引流動量が制限されるようになっており、以て、作用
空気室20に及ぼされる負圧力が、かかる調圧弁80の
連通/遮断作動によって調節されて、駆動用切換弁54
の切換作動によって作用空気室20に生ぜしめられる空
気圧変化の変動幅が制御されるようになっているのであ
る。
【0056】なお、本実施形態においても、前記第一の
実施形態と同様、駆動用切換弁54および調圧弁80の
切換操作を制振すべき振動の状態に応じて制御すること
によって、振動体12に対して能動的な制振効果を発揮
し得る加振力を及ぼす作動制御系を備えているが、かか
る作動制御系は、基本的に第一の実施形態のものと同様
であり、ここでは、その詳細な説明を省略する。即ち、
本実施形態においても、前記第一の実施形態と同様な作
動制御系によって、例えば、目的とする振動体12の振
動を制振するために必要とされる加振力:Fに応じた周
波数と位相を有する駆動用切換弁54の駆動電力信号:
P′と、必要加振力:Fのレベル(振幅)に応じたデュ
ーティ比を有する調圧弁80の駆動電力信号:Q′が求
められ、それらの駆動電力信号:P′,Q′に従って、
駆動用切換弁54と調圧弁80が切換制御されることと
なる。
【0057】そして、このような本実施形態の能動型制
振器においても、前記第一の実施形態の能動型制振器と
同様、駆動用切換弁54と調圧弁66を加振機構で切換
制御することにより、制振器本体10の作用空気室20
に対して、制振すべき振動の周波数,位相および大きさ
にそれぞれ対応した空気圧変動を及ぼし、以て、制振す
べき振動に対して有効な制振効果を発揮し得る加振力を
有利に生ぜしめることが出来るのである。そこにおい
て、駆動用切換弁54の制御信号としての駆動電力信
号:P′は、発生加振力の大きさに拘わらず、そのデュ
ーティ比を40〜60%に保つことが出来ることから、
高調波の発生が軽減乃至は抑制されるのであり、以て、
前記第一の実施形態に係る能動型制振器と同様、極めて
優れた制振効果を有利に且つ安定して容易に得ることが
出来るのである。
【0058】また、本実施形態に係る能動型制振器は、
前記第一の実施形態に係る能動型制振器と同様な各種の
効果を、何れも、有利に発揮し得るものであるが、特
に、本実施形態の能動型制振器では、調圧弁66によっ
て作用空気室20の負圧源60への連通が制限されるこ
とから、図7に示されているように、作用空気室20に
及ぼされる空気圧変動の平均圧力値:Aが、第一の実施
形態の能動型制振器において作用空気室20に及ぼされ
る空気圧変動の圧力平均値:aに比して、更には調圧弁
80を設けない場合に比しても、大気圧側に移行するこ
ととなる。それ故、同じマス部材16の変位量(振
幅):B′を得るに際して、本体ゴム弾性体18に生ぜ
しめられる最大歪が小さく抑えられることから、本体ゴ
ム弾性体18ひいては能動型制振器の耐久性の向上が図
られるといった利点がある。
【0059】さらに、本実施形態の能動型制振器におい
ても、図8および図9に示されているように、前記第一
の実施形態の能動型制振器と同様、その加振機構に対し
て、駆動用切換弁54と調圧弁66の間のエア給排路2
2上に、圧力変動低減手段としてのサージタンク76や
消音器78等を配設することによって、調圧弁66の開
閉作動に基づく空気圧変動の伝達を軽減乃至は回避せし
めて、発生加振力の制御精度の更なる向上と容易化等を
図ることも可能である。
【0060】また、本実施形態の能動型制振器において
は、調圧弁80によって、作用空気室20を負圧源60
に連通せしめる負圧側管路62を連通/遮断することに
よって、作用空気室20に及ぼされる負圧力が調節され
るようになっていたが、かかる調圧弁80に換えて、例
えば図10や図11に示されているような調圧弁80a
や80bを採用することも可能である。
【0061】すなわち、図10に示された調圧弁80a
は、作用空気室20を負圧源60に連通せしめる負圧側
管路62を、駆動用切換弁54と負圧源60の間におい
て、大気に連通し或いは大気から遮断するものである。
この調圧弁80aにより負圧側管路62を大気に連通さ
せると、負圧源60からエア給排路22を通じて作用空
気室20に及ぼされる負圧力が、調圧弁80aを通じて
流入する大気エアで低下乃至は解消されるのであり、そ
の結果、実質的に、作用空気室20に対する負圧源60
の接続状態が遮断されることとなる。
【0062】従って、かかる調圧弁80aを、調圧弁8
0と同様に、制振すべき振動の大きさに応じてデューテ
ィ比を調節して連通/遮断制御することにより、制振器
本体10の作用空気室20に対して、制振すべき振動の
大きさに対応した空気圧変動を及ぼし、制振すべき振動
に対して有効な制振効果を発揮し得る加振力を生ぜしめ
ることが出来るのである。なお、かかる調圧弁80aと
しては、図6に示された調圧弁80と同様、2ポート式
の電磁切換弁等が好適に採用される。また、かかる調圧
弁80aでは、図6に示された調圧弁80と反対に、連
通状態下で、作用空気室20に対する負圧源60の接続
状態を実質的に遮断するものであることから、それに応
じて、調圧弁80aに給電される連通/遮断用の駆動電
気信号が、加振機構の作動制御系において生成されるこ
ととなる。
【0063】また、図11に示された調圧弁80bは、
負圧側管路62上に配されて、作用空気室20を、負圧
源60と大気とに択一的に連通せしめるものである。即
ち、かかる調圧弁80bとしては、例えば駆動用切換弁
54と同様に3ポート式の電磁切換弁が好適に採用さ
れ、その第一のポートがエア給排路によって駆動用切換
弁54に連通されると共に、第二のポートがエア給排路
によって負圧源60に連通され、更に第三のポートが大
気に連通されており、該調圧弁80bの切換操作によっ
て、第一のポートが第二のポートと第三のポートに対し
て択一的に接続されるようになっている。そして、この
調圧弁80bにおける第一のポートを第三のポートに接
続すると、作用空気室20に対する負圧源60の接続が
遮断されると同時に、作用空気室20が大気中に接続さ
れることとなる。
【0064】従って、かかる調圧弁80bにおいても、
上記調圧弁80aと同様に、制振すべき振動の大きさに
応じて、第一のポートの第二のポートへの接続時間と第
三のポートへの接続時間の比を、調圧弁80bに供給さ
れる駆動電気信号のデューティ比によって調節すること
により、作用空気室20に対する負圧源60の接続を実
質的に連通/遮断せしめて、作用空気室20に対して、
制振すべき振動の大きさに対応した空気圧変動を及ぼ
し、以て、制振すべき振動に対して有効な制振効果を発
揮し得る加振力を生ぜしめることが出来るのである。
【0065】一方、本発明において採用される制振器本
体も、内部に形成された作用空気室に空気圧変動を及ぼ
すことによって、作用空気圧の変動周期に対応した周期
でマス部材が加振せしめられる空気圧加振式の能動型制
振器であれば良く、その構造は限定されるものではな
い。具体的には、前記第一及び第二の実施形態において
採用され得る別の構造の制振器本体82,84が、図1
2,図13に示されている。
【0066】先ず、図12に示された制振器本体82
は、取付部材として平板形状の取付金具84を有してお
り、この取付金具84が、制振対象である振動体86に
対して、取付ボルト88にて取り付けられるようになっ
ている。また、取付金具84の下面には、浅底の有底円
筒形状を有する仕切金具90が重ね合わされ、連結ボル
ト106で固着されており、仕切金具90の開口部が取
付金具84で流体密に覆蓋されることにより、仕切金具
90と取付金具84の間に密閉室が形成されている。更
に、この密閉室には、円板形状のゴム弾性板92が軸直
角方向に広がって収容されており、該ゴム弾性板92の
外周面に加硫接着された金属リング94が仕切金具90
の筒壁内面に嵌着固定されることにより、密閉室がゴム
弾性板92で流体密に二分され、以て、ゴム弾性板92
と取付金具84の間には、外部空間に対して密閉された
作用空気室96が形成されていると共に、ゴム弾性板9
2と仕切金具90の底壁の間には、非圧縮性流体が封入
された作用液室98が形成されている。また、取付金具
84には、作用空気室96に連通された通孔100が穿
孔されており、ポート部102に接続される図示しない
外部のエア給排路を通じて及ぼされる空気圧変化が、作
用空気室96に及ぼされるようになっている。そして、
この作用空気室96に生ぜしめられる空気圧変動が、ゴ
ム弾性板92の弾性変形により、作用液室98に及ぼさ
れるようになっているのである。
【0067】また、仕切金具90の軸方向下方には、円
形ブロック形状のマス金具108が離間配置されている
と共に、これら仕切金具90とマス金具108の間に本
体ゴム弾性体110が介装せしめられ、マス金具108
が仕切金具90によって弾性支持されている。本体ゴム
弾性体110は、略逆円錐台形状を有しており、その大
径側端部外周面に対して、円環形状の第一の連結金具1
04が加硫接着されていると共に、小径側端面に対し
て、厚肉円板形状の第二の連結金具112が加硫接着さ
れている。そして、第一の連結金具104が、仕切金具
90の下面の外周縁部に重ね合わされ、連結ボルト10
6で仕切金具90に固着されている一方、第二の連結金
具112が、マス金具108の上面の中央部分に重ね合
わされ、連結ボルト114でマス金具108に固着され
ている。それによって、仕切金具90とマス金具108
が、本体ゴム弾性体110で弾性的に連結されており、
以て、マス金具108と第二の連結金具112をマス系
とし、本体ゴム弾性体110をばね系とする一振動系が
構成されている。
【0068】さらに、仕切金具90とマス金具108の
間には、壁部の一部が本体ゴム弾性体110で構成され
て、内部に非圧縮性流体が封入された加振液室116が
形成されている。また、作用液室98と加振液室116
を仕切る仕切金具90の底壁には、外周部分を周方向に
所定長さで延びると共に、一方の端部が作用液室98
に、他方の端部が加振液室116に、それぞれ開口,連
通せしめられることによって、それら作用液室98と加
振液室116の間での流体流動を許容するオリフィス通
路118が形成されている。なお、封入される非圧縮性
流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキ
レングリコール,シリコーン油等が採用され得、特に、
流体の共振作用を有効に利用するために、0.1Pa・
s以下の低粘性流体が好適に採用される。また、非圧縮
性流体の封入は、例えば、仕切金具90に対する第一の
連結金具104の組み付けを非圧縮性流体中で行うこと
等によって、容易に為され得る。
【0069】このような構造とされた制振器本体82に
おいては、通孔100を通じて作用空気室96に空気圧
変動を及ぼすことによって、該作用空気室96の空気圧
変動が、ゴム弾性板92の変形により、作用液室98に
伝達されて液圧変動が生ぜしめられることとなり、更に
この作用液室98の液圧変動が、オリフィス通路118
を通じての流体流動によって、加振液室116に及ぼさ
れることとなる。そして、加振液室116に液圧変動が
生ぜしめられると、本体ゴム弾性体110の弾性変形を
伴ってマス金具108が取付金具84に対する接近/離
隔方向に加振変位せしめられることとなり、以て、この
マス金具108の変位によって加振力が取付金具84か
ら振動体86に及ぼされるのである。
【0070】従って、このような制振器本体82を用い
ても、前記第一,第二の実施形態と同様に、作用空気室
96へのエア給排を制御することによって、有効な制振
効果を得ることが出来るのである。また、そこにおい
て、オリフィス通路118を通じて流動せしめられる流
体は、オリフィス通路118の長さや断面積等によって
決定される特定の周波数域で共振現象を示すことから、
オリフィス通路118の長さや断面積等を適当にチュー
ニングし、この流体の共振作用を利用することによっ
て、制振すべき振動周波数域における加振力を一層効率
的に得ることも出来るのである。
【0071】次に、図13に示された制振器本体120
は、取付部材として平板形状の取付金具122を有して
おり、この取付金具122が、制振対象である振動体1
24に対して、取付ボルト126で取り付けられるよう
になっている。また、取付金具122の下方には、全体
として円形ブロック形状を有するマス部材128が離間
配置されていると共に、これら取付金具122とマス部
材128の間に本体ゴム弾性体130が介装せしめら
れ、マス部材128が取付金具122によって弾性支持
されている。本体ゴム弾性体130は、略円錐台形状を
有しており、小径側端面に対して、厚肉円板形状の第一
の連結金具132が加硫接着されていると共に、その大
径側端部外周面に対して、円環形状の第二の連結金具1
34が加硫接着されている。そして、第一の連結金具1
32が、取付金具122の下面の中央部分に重ね合わさ
れ、連結ボルト136で取付金具122に固着されてい
る一方、第二の連結金具134が、マス部材128の上
面の外周縁部に重ね合わされ、連結ボルト138でマス
部材128に固着されている。それによって、取付金具
122とマス部材128が、本体ゴム弾性体130で弾
性的に連結されており、以て、マス部材128と第二の
連結金具134をマス系とし、本体ゴム弾性体130を
ばね系とする一振動系が構成されている。
【0072】また、マス部材128は、浅底の逆有底円
筒形状を有する上側マス金具140と、厚肉円板形状を
有する下側マス金具142が、軸方向に重ね合わされて
連結ボルト138で相互に固着されることによって形成
されており、上側マス金具140の開口部が下側マス金
具142で流体密に覆蓋されることにより、上下マス金
具140,142間に密閉室が形成されている。更に、
この密閉室には、円板形状のゴム弾性板144が軸直角
方向に広がって収容されており、該ゴム弾性板144の
外周面に加硫接着された金属リング146が上側マス金
具140の筒壁内面に嵌着固定されることにより、密閉
室がゴム弾性板144で流体密に二分され、以て、ゴム
弾性板144と下側マス金具142の間には、外部空間
に対して密閉された作用空気室148が形成されている
と共に、ゴム弾性板144と上側マス金具140の上底
壁の間には、非圧縮性流体が封入された作用液室150
が形成されている。また、下側マス金具142には、作
用空気室148に連通された通孔152が穿孔されてお
り、ポート部154に接続される図示しない外部のエア
給排路を通じて及ぼされる空気圧変化が、作用空気室1
48に及ぼされるようになっている。そして、この作用
空気室148に生ぜしめられる空気圧変動が、ゴム弾性
板144の弾性変形により、作用液室150に及ぼされ
るようになっている。なお、封入流体としては、図12
に示された制振器本体82と同様の非圧縮性流体が採用
され得る。
【0073】さらに、取付金具122とマス部材128
(上側マス金具140)の間には、壁部の一部が本体ゴ
ム弾性体130で構成されて、内部に非圧縮性流体が封
入された加振液室156が形成されている。また、作用
液室150と加振液室156を仕切る上側マス金具14
0の上底壁には、外周部分を周方向に所定長さで延び、
作用液室150と加振液室156を相互に連通するオリ
フィス通路158が形成されている。
【0074】このような構造とされた制振器本体120
においても、図12に示された上述の制振器本体82と
同様、作用空気室148に空気圧変動を及ぼすことによ
って、該作用空気室148の空気圧変動が、作用液室1
50に伝達され、オリフィス通路118を通じての流体
流動によって、加振液室156に及ぼされることとな
り、それによって、マス部材128の変位に伴う加振力
が、取付金具122から振動体124に及ぼされるので
ある。それ故、このような制振器本体120も、前記第
一,第二の実施形態における制振器本体10に換えて採
用することが出来るのであり、また、オリフィス通路1
58を通じての流体の流動作用に利用することよって、
一層効率的な加振力を得るとこも可能となるのである。
【0075】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、
これらの実施形態における具体的な記載によって、何
等、限定的に解釈されるものでない。
【0076】例えば、作用空気室22の容積や壁ばね剛
性等を適当に設定することにより、空気の圧縮ばね作用
による共振現象も利用することが可能であり、それによ
って、より大きな加振力を一層効率的に得ることも出来
る。
【0077】また、前述の如き制振器本体10,82,
120において、作用空気室20や加振液室116,1
56内に、コイルスプリング等を配設し、マス部材1
6,128やマス金具108に対して、取付金具14,
84,122から離隔する方向の付勢力を及ぼしめるよ
うにしても良い。それによって、マス部材16,128
やマス金具108の姿勢の安定化が図られると共に、本
体ゴム弾性体18,110,130の弾性力が補助され
てヘタリ等による特性変化が軽減され得る。
【0078】さらに、図12や図13に示された制振器
本体82,120において、作用液室98,150と加
振液室116,156を仕切る隔壁部分、即ち仕切金具
90や上側マス金具140の底壁部を除去せしめること
により、作用液室98,150と加振液室116,15
6を一体化せしめて単一の液室構造とすることも可能で
ある。そして、このような単一構造の液室を採用した場
合でも、液室を設けない場合に比して、作用空気室9
8,148の容積を小さく設定出来ることから、加振制
御の応答性の向上等の効果が発揮される。
【0079】加えて、本発明は、例示の如き自動車のボ
デー用の制振器以外にも、自動車の各部材や自動車以外
の各種装置に用いられる制振器に対して、何れも、同様
に適用され得るものであることは、勿論である。また、
その際、作用空気室に負圧力を及ぼす負圧源としては、
例示の如き、内燃機関で直接発生する負圧を利用したタ
ンクや負圧ポンプ等の他、各種の負圧源が採用され得
る。
【0080】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもないところである。
【0081】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた空気圧加振式の能動型制振器におい
ては、作用空気室に及ぼされる空気圧変動幅が調圧弁に
よって制御されるのであり、それ故、作用空気室に対す
る負圧と大気の接続を切り換えて発生加振力の周波数と
位相を調節する駆動用切換弁における切換作動周期を、
制振のために必要とされる加振力の大きさに拘わらずに
設定することが可能であることから、かかる駆動用切換
弁の切換作動(デューティ比)を、作用空気室の空気圧
変動ひいては発生加振力において発生する、制振すべき
振動に対応しない高調波成分が最も小さくなるように、
適当に且つ容易に調節することが出来るのであり、それ
によって、制振すべき振動に対して高精度に対応した加
振力を制振対象に及ぼしめて優れた制振効果を得ること
が可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての能動型制振器
における制振器本体を示す縦断面図である。
【図2】図1に示された制振器本体を用いた能動型制振
器の全体の構成をモデル的に示す説明図である。
【図3】図2に示された能動制振器における制御系の作
動を説明するためのグラフである。
【図4】図2に示された能動型制振器において採用され
得るエア通路系の別の具体例を示す説明図である。
【図5】図2に示された能動型制振器において採用され
得るエア通路系の更に別の具体例を示す説明図である。
【図6】本発明の第二の実施形態としての能動型制振器
の全体の構成をモデル的に示す、図2に対応した説明図
である。
【図7】図6に示された能動型制振器において作用空気
室に及ぼされる空気圧変動を、図2に示された能動型制
振の場合と比較しつつ、例示的に示して説明するための
グラフである。
【図8】図6に示された能動型制振器において採用され
得るエア通路系の別の具体例を示す説明図である。
【図9】図6に示された能動型制振器において採用され
得るエア通路系の更に別の具体例を示す説明図である。
【図10】図6に示された能動型制振器において採用さ
れ得る調圧弁の別の具体例を示す説明図である。
【図11】図6に示された能動型制振器において採用さ
れ得る調圧弁の更に別の具体例を示す説明図である。
【図12】本発明に係る能動型制振器において採用され
得る制振器本体の別の具体例を示す、図1に対応した縦
断面図である。
【図13】本発明に係る能動型制振器において採用され
得る制振器本体の更に別の具体例を示す、図1に対応し
た縦断面図である。
【符号の説明】
10,82,120 制振器本体 12,86,124 振動体 14,84,122 取付金具 16,128 マス部材 18,110,130 本体ゴム弾性体 20,,96,148 作用空気室 22 エア給排路 54 駆動用切換弁 60 負圧源 66,80 調圧弁 108 マス金具

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制振対象に取り付けられる取付部材に対
    して、マス部材を弾性支持せしめる一方、内部の圧力変
    化によって該マス部材に加振力を及ぼす密閉された作用
    空気室を設けると共に、該作用空気室に接続された空気
    給排管路に、該作用空気室を負圧源と大気に択一的に接
    続する駆動用切換弁を設け、該駆動用切換弁の切換制御
    により、前記マス部材の加振周波数と位相を調節するよ
    うにした空気圧加振式の能動型制振器において、 前記作用空気室に接続された空気給排管路に配されて、
    該作用空気室の前記負圧源及び/又は大気中への接続を
    繰り返し連通/遮断することにより、該作用空気室に及
    ぼされる空気圧変動幅を調節する調圧弁を設けたことを
    特徴とする空気圧加振式の能動型制振器。
  2. 【請求項2】 前記空気給排管路において、前記調圧弁
    が、前記駆動用切換弁よりも負圧源側または大気側に配
    されており、かかる調圧弁によって、前記作用空気室の
    負圧源または大気への接続が繰り返し連通/遮断される
    請求項1に記載の空気圧加振式の能動型制振器。
  3. 【請求項3】 前記駆動用切換弁の負圧源と大気への接
    続を、一周期における該負圧源および該大気への接続時
    間の割合が何れも40%〜60%となるように、且つ制
    振対象における振動に対応した周波数および位相で切り
    換える駆動弁用制御装置を備えた請求項1又は2に記載
    の空気圧加振式の能動型制振器。
  4. 【請求項4】 前記調圧弁の負圧源及び/又は大気中へ
    の接続を、前記制振対象における振動の大きさに応じ
    て、一周期における連通時間の割合を調節して連通/遮
    断切り換えする第一の調圧弁用制御装置を備えた請求項
    1乃至3の何れかに記載の空気圧加振式の能動型制振
    器。
  5. 【請求項5】 前記調圧弁の負圧源及び/又は大気への
    接続を、前記駆動用切換弁の切換周波数よりも高く且つ
    調和しない切換周波数で繰り返し連通/遮断切り換えす
    る第二の調圧弁用制御装置を備えた請求項1乃至4の何
    れかに記載の空気圧加振式の能動型制振器。
  6. 【請求項6】 前記空気給排管路における、前記駆動用
    切換弁と前記調圧弁の間に、空気圧変動を低減せしめる
    圧力変動低減手段を設けた請求項1乃至5の何れかに記
    載の空気圧加振式の能動型制振器。
  7. 【請求項7】 前記作用空気室の壁部の一部を可撓性膜
    で構成する一方、該可撓性膜を挟んで該作用空気室とは
    反対側に、非圧縮性流体が封入されて、該可撓性膜の変
    形によって該作用空気室の圧力変化が伝達される液室を
    形成し、該作用空気室の圧力変化を、非圧縮性流体の液
    圧を介して間接的に前記マス部材に及ぼしめて該マス部
    材を加振するようにした請求項1乃至6の何れかに記載
    の空気圧加振式の能動型制振器。
  8. 【請求項8】 前記液室を、壁部の一部が前記可撓性膜
    で構成され、該可撓性膜を介して、前記作用空気室の圧
    力変化が直接に伝達される作用液室と、該作用液室に対
    してオリフィス通路を通じて連通せしめられ、内圧変化
    によって前記マス部材に対して直接に加振力を及ぼす加
    振液室とによって構成し、前記作用空気室の圧力変化に
    伴う該作用液室の圧力変化を、該オリフィス通路を通じ
    ての流体流動に基づいて該加振液室に伝達せしめて、前
    記マス部材を加振するようにした請求項7に記載の空気
    圧加振式の能動型制振器。
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