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JPH11209534A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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Publication number
JPH11209534A
JPH11209534A JP2017498A JP2017498A JPH11209534A JP H11209534 A JPH11209534 A JP H11209534A JP 2017498 A JP2017498 A JP 2017498A JP 2017498 A JP2017498 A JP 2017498A JP H11209534 A JPH11209534 A JP H11209534A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
weight
component
block copolymer
polyphenylene ether
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017498A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Iwamoto
隆志 岩元
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2017498A priority Critical patent/JPH11209534A/ja
Publication of JPH11209534A publication Critical patent/JPH11209534A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マトリックスがポリプロピレン系樹脂、分散
相がポリフェニレンエーテル系樹脂、混和剤が水添ブロ
ック共重合体、αオレフィンと芳香族モノビニリデン化
合物との疑似ランダムコポリマーからなり、難燃性に優
れた樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂のマトリックス中
に、特定構造の難燃剤とポリフェニレンエーテル系樹脂
を分散させ、これらの相乗効果により、難燃性に優れた
樹脂組成物を与える。ここで、難燃剤の一部として用い
る環状含窒素化合物は1,3,5−トリアジン誘導体で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐油性、耐薬品性、
耐熱性に優れ、電気・電子分野、自動車分野、その他の
各種工業材料分野で利用できる難燃性樹脂組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル樹脂は、優れた
難燃性、耐熱性、寸法安定性、非吸水性および電気特性
に優れたエンジニアリングプラスチックとして知られて
いるが、溶融流動性が悪く成形加工性に劣り、かつ、耐
溶剤性、耐衝撃性に劣る欠点がある。一方、ポリオレフ
ィン樹脂は、低比重で安価なプラスチックであり、耐薬
品性、耐溶剤性、成形加工性などに優れるため自動車部
品や電気・電子機器部品および家庭用電気製品などの各
種分野に使用されている。そこで、この両樹脂を混ぜ合
わせ、互いの短所を補い、長所を引き出すことにより、
成形性、耐熱性、難燃性に優れた樹脂組成物が得られる
ことが予測され、利用分野の広い優れた樹脂材料が期待
できる。
【0003】このため、このポリオレフィン/ポリフェ
ニレンエーテル系ポリマーアロイに関して数多くの提案
がなされている。例えば、米国特許第3361851号
明細書では、ポリフェニレンエーテルをポリオレフィン
とブレンドすることにより、耐溶剤性、耐衝撃性を改良
する提案がなされ、米国特許第3994856号明細書
には、ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニレンエ
ーテルおよびスチレン系樹脂を水添ブロック共重合体と
ブレンドすることによる耐衝撃性、耐溶剤性の改良に関
する開示があり、米国特許第4145377号明細書に
は、ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニレンエー
テルおよびスチレン系樹脂をポリオレフィン/水添ブロ
ック共重合体=20〜80重量部/80〜20重量部か
らなる予備混合物および水添ブロック共重合体とブレン
ドすることによる耐衝撃性、耐溶剤性の改良に関する開
示があり、さらに米国特許第4166055号明細書お
よび米国特許第4239673号明細書には、ポリフェ
ニレンエーテルを水添ブロック共重合体およびポリオレ
フィンとブレンドすることによる耐衝撃性の改良が開示
されている。
【0004】そして、米国特許第4383082号明細
書およびヨーロッパ公開特許第115712号明細書で
はポリフェニレンエーテルをポリオレフィンおよび水添
ブロック共重合体とブレンドすることにより耐衝撃性を
改良するという開示がなされている。また、特開昭63
−113058号公報、特開昭63−225642号公
報、米国特許第4863997号明細書および特開平3
−72512号公報、特開平4−183748号公報、
特開平5−320471号公報には、ポリオレフィン樹
脂とポリフェニレンエーテル樹脂からなる樹脂組成物の
改質に特定の水添ブロック共重合体を配合し、耐薬品
性、加工性に優れた樹脂組成物が提案されている。
【0005】また、本出願人は、特開平2−22556
3号公報、特開平3−185058号公報、特開平5−
70679号公報、特開平5−295184号公報、特
開平6−9828号公報、特開平6−16924号公
報、特開平6−57130号公報、特開平6−1362
02号公報ではポリフェニレンエーテルとポリオレフィ
ンおよび特定の水添ブロック共重合体からなる相溶性、
剛性と耐熱性に優れ、耐溶剤性に優れた樹脂組成物を提
案した。また、特開平4−28739号公報、特開平4
−28740号公報ではポリフェニレンエーテルとポリ
オレフィンおよび水添ブロック共重合体またはゴム状重
合体からなる、機械的物性、特に衝撃強度と剛性のバラ
ンスに優れた樹脂組成物の製造方法が提案されている。
【0006】また、特開平7−166026号公報では
ポリフェニレンエーテル系樹脂とポリオレフィン系の相
溶性が良好で、優れた機械特性、特に耐衝撃性を有する
樹脂組成物の製造方法が提案されている。さらに、特開
平7−53859号公報にはポリフェニレンエーテル系
樹脂とポリオレフィン系樹脂のブレンド物にハロゲン含
有有機燐酸エステル化合物とアンチモン化合物をさらに
加えた難燃性樹脂組成物が提案されており、同様に特開
平7−216145号公報に於いては、ポリフェニレン
エーテル系樹脂とポリオレフィン系樹脂のブレンド物に
有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウムと環状
含窒素化合物をさらに加えた難燃性樹脂組成物が提案さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この上記した先行技術
で得られるポリマーアロイ組成物は、概ね、耐熱性、機
械的強度、加工性に関して、ポリフェニレンエーテル樹
脂とポリオレフィン樹脂の各々の特徴を活かした改良さ
れた樹脂組成物を提供している。しかしながらこのポリ
マーアロイ組成物は、ポリフェニレンエーテルが本来有
する優れた難燃性ポテンシャルは全く見受けられず、多
量の難燃剤を必要とするため機械的強度を著しく損なう
という欠点があった。
【0008】本発明は、マトリックスがポリプロピレン
系樹脂、分散相がポリフェニレンエーテル系樹脂、混和
剤が水添ブロック共重合体、α−オレフィンと芳香族モ
ノビニリデン化合物との疑似ランダムコポリマーからな
る樹脂組成物の難燃性を改良し、難燃性、耐油性、耐薬
品性、耐熱性および機械的強度に優れた難燃性樹脂組成
物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題
を解決するため、マトリックスがポリプロピレン系樹
脂、分散相がポリフェニレンエーテル系樹脂、およびこ
れらの両樹脂成分の混和剤としての水添ブロック共重合
体、α−オレフィンと芳香族モノビニリデン化合物との
疑似ランダムコポリマーから成る樹脂組成物の難燃性に
関して鋭意検討を重ねた結果、有機リン酸エステル化合
物と特定構造の1,3,5−トリアジン誘導体を含む樹
脂組成物がポリフェニレンエーテル系樹脂と相俟って難
燃性に優れ、さらに機械的性質に優れた樹脂組成物をも
たらすことを見出した。
【0010】すなわち、本発明は、(a)ポリフェニレ
ンエーテル系樹脂:55〜5重量%、(b)ポリプロピ
レン系樹脂:45〜95重量%、上記(a)、(b)成
分の合計100重量部に対して、(c)ビニル芳香族化
合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックA
と、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重
合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加
してなる水添ブロック共重合体:1〜30重量部、
(d)α−オレフィンと芳香族モノビニリデン化合物と
の疑似ランダムコポリマー:1〜30重量部、(e)有
機リン酸エステル化合物:4〜40重量部、(f)下記
の一般式(I)で表される化学構造を有する1,3,5
−トリアジン誘導体:2〜20重量部、を含むことを特
徴とする難燃性の樹脂組成物、である。
【0011】
【化2】 (式中、Xはモルホリノ基またはピペリジノ基であり、
Yはピペラジンから誘導される2価の基であり、nは1
以上の数である。) 本発明で(a)成分のポリフェニレンエーテル(以下、
単に「PPE」と略記)は、本発明の樹脂組成物に耐熱
性および難燃性を付与するうえで必須な成分であり、該
PPEは、結合単位:
【0012】
【化3】 (ここで、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ、水
素、ハロゲン、炭素数1〜7の第一級または第二級低級
アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアル
キル基、炭化水素オキシ基または少なくとも2個の炭素
原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化
水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互
いに同一でも異なっていてもよい)からなり、還元粘度
(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃で測定)
が、0.15〜2.0の範囲、より好ましくは0.20
〜1.0の範囲にあるホモ重合体および/または共重合
体である。
【0013】このPPEの具体的な例としては、例え
ば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエー
テル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェ
ニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−
1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロ
ロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さら
に2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例
えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル
−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフ
ェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチル
フェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好まし
い。
【0014】かかるPPEの製造方法は公知の方法で得
られるものであれば特に限定されるものではなく、例え
ば、米国特許第3306874号明細書記載のHayに
よる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用
い、例えば2,6−キシレノールを酸化重合することに
より容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3306
875号、同第3257357号および同第32573
58号の各明細書、特公昭52−17880号および特
開昭50−51197号および同63−152628号
の各公報等に記載された方法で容易に製造できる。
【0015】また、本発明で用いるPPEは、上記した
PPEのほかに、該PPEとスチレン系モノマーおよび
/もしくはα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体
とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶
液状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応
させることによって得られる公知の変性(該スチレン系
モノマーおよび/もしくはα,β−不飽和カルボン酸ま
たはその誘導体が0.01〜10重量%グラフトまたは
付加)PPEであってもよく、さらに上記したPPEと
該変性PPEの任意の割合の混合物であってもかまわな
い。また、本発明で用いるPPEは上記したPPEのほ
かに、これらPPE100重量部に対してポリスチレン
またはハイインパクトポリスチレンを400重量部を超
えない範囲で加えたものも好適に用いることができる。
【0016】つぎに本発明で(b)成分として用いるポ
リプロピレン系樹脂は、結晶性プロピレンホモポリマ
ー、および重合の第一工程で得られる結晶性プロピレン
ホモポリマー部分と重合の第二工程以降でプロピレン、
エチレンおよび/もしくは少なくとも1つの他のα−オ
レフィン(例えば、ブテン−1、ヘキセン−1等)を共
重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合
体部分を有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共
重合体であり、さらにこれら結晶性プロピレンホモポリ
マーと結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の
混合物であってもかまわない。
【0017】かかるポリプロピレン系樹脂は、通常、三
塩化チタン触媒または塩化マグネシウムなどの担体に担
持したハロゲン化チタン触媒等とアルキルアルミニウム
化合物の存在下に、重合温度0〜100℃の範囲で、重
合圧力3〜100気圧の範囲で重合して得られる。この
際、重合体の分子量を調製するために水素等の連鎖移動
剤を添加することも可能であり、また重合方法としてバ
ッチ式、連続式いずれの方法でも可能で、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の溶媒下での溶
液重合、スラリー重合等の方法も選択でき、さらには無
溶媒下モノマー中での塊状重合、ガス状モノマー中での
気相重合方法などが適用できる。また、さらには、上記
した重合触媒の他に得られるポリプロピレンのアイソタ
クティシティおよび重合活性を高めるため、第三成分と
して電子供与性化合物を内部ドナー成分または外部ドナ
ー成分として用いることができる。
【0018】これらの電子供与性化合物としては公知の
ものが使用でき、例えば、ε−カプロラクトン、メタク
リル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチルなど
のエステル化合物、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ト
リブチルなどの亜リン酸エステル、ヘキサメチルホスホ
リックトリアミドなどのリン酸誘導体などや、アルコキ
シエステル化合物、芳香族モノカルボン酸エステルおよ
び/または芳香族アルキルアルコキシシラン、脂肪族炭
化水素アルコキシシラン、各種エーテル化合物、各種ア
ルコール類および/または各種フェノール類などが挙げ
られる。本発明で供するポリプロピレン系樹脂は上記し
た方法で得られるものであれば、いかなる結晶性や融点
を有するものでも単独でも併用でも用いることができ
る。
【0019】また、このポリプロピレン系樹脂のメルト
フローレート(MFR)(230℃、荷重2.16k
g)は、0.01〜300g/10分であり、好ましく
は0.1〜100g/10分、より好ましくは0.3〜
50g/10分の範囲である。また、これらの範囲のM
FRであれば、単独でも、併用しても用いることができ
る。
【0020】つぎに本発明で(c)成分として用いる水
添ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とす
る少なくとも1個の重合体ブロックAと、全ビニル結合
量が40〜90%である共役ジエン化合物を主体とする
少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック
共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であ
り、例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、
(A−B−)4 −Si、A−B−A−B−A等の構造を
有するブロック共重合体のブロックBに基づく脂肪族系
二重結合を水素添加反応せしめて得られる水添ブロック
共重合体である。かかる脂肪族系二重結合の水素添加率
は少なくとも50%を超え、好ましくは80%以上、よ
り好ましくは耐熱安定性の観点より85%以上である。
そしてこの水素添加率は通常、水添反応の前後のヨウ素
価滴定、赤外分光光度計やNMR等で知ることができ
る。
【0021】この(c)成分の水添ブロック共重合体
は、その水素添加する前のブロック共重合体が結合した
ビニル芳香族化合物の量は20〜80重量%、好ましく
は30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%
である。またブロック構造に言及すると、ビニル芳香族
化合物を主体とする重合体ブロックAとは、ビニル芳香
族化合物のホモ重合体ブロック、またはビニル芳香族化
合物を50重量%を超え好ましくは70重量%以上含有
するビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合
体ブロックの構造を有しており、そしてさらに、共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックBとは、共役ジ
エン化合物のホモ重合体ブロック、または共役ジエン化
合物を50重量%を超え好ましくは70重量%以上含有
する共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合
体ブロックの構造を有するものである。
【0022】そして、こらのビニル芳香族化合物を主体
とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とす
る重合体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにお
ける分子鎖中の共役ジエン化合物またはビニル芳香族化
合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモ
ノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック
状またはこれらの任意の組み合わせでなっていてもよ
く、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体および該
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックがそれぞ
れ2個以上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれ同
一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
【0023】このブロック共重合体を構成するビニル芳
香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレ
ン、ジフェニルエチレンなどの中から1種または2種以
上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、共役
ジエン化合物とては、例えば、ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3
−ブタジエンなどの中から1種または2種以上が選ば
れ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み
合わせが好ましい。そして、共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロックは、そのブロックにおける共役ジエ
ン化合物の結合形態は、全ビニル結合量(1,2−ビニ
ル結合量と3,4−ビニル結合量の合計量)が40〜9
0%、好ましくは45〜85%、より好ましくは45〜
80%である。かかる全ビニル結合量が40%未満であ
ると得られる樹脂組成物に分散するポリフェニレンエー
テル系樹脂の分散性が悪化し好ましくない。全ビニル結
合量が90%を超えてもポリフェニレンエーテル系樹脂
の分散性の改良は顕著でない。
【0024】また、上記の構造を有するブロック共重合
体の数平均分子量は10,000〜1,000,00
0、好ましくは30,000〜500,000、より好
ましくは50,000〜300,000であり、分子量
分布(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定
した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
比)は10以下である。さらに、このブロック共重合体
の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれら
の任意の組み合わせのいずれであってもよい。本発明で
用いる(c)成分の水添ブロック共重合体は、上記した
構造を有するものであれば、1種のみならず2種以上を
併用することができる。
【0025】これらの上記した(c)成分の水添ブロッ
ク共重合体は、上記した構造を有するものであればどの
ような製造方法で得られるものであってもかまわない。
公知の製造方法の例としては、例えば、特開昭47−1
1486号公報、特開昭49−66743号公報、特開
昭50−75651号公報、特開昭54−126255
号公報、特開昭56−10542号公報、特開昭56−
62847号公報、特開昭56−100840号公報、
特開平2−300218号公報、英国特許第11307
70号および米国特許第3281383号および同第3
639517号の各明細書に記載された方法や英国特許
第1020720号および米国特許第3333024号
および同第4501857号の各明細書等に記載された
方法が挙げられる。
【0026】また、本発明で用いる(c)成分の水添ブ
ロック共重合体は、上記した水添ブロック共重合体のほ
かに、該水添ブロック共重合体とα,β−不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下また
は非存在下で、溶融状態、溶液状態またはスラリー状態
で80〜350℃の温度下で反応させることによって得
られる公知の変性(該α,β−不飽和カルボン酸または
その誘導体が0.01〜10重量%がグラフトまたは付
加した)水添ブロック共重合体であってもよく、さらに
上記した水添ブロック共重合体と該変性水添ブロック共
重合体の任意の割合の混合物であってもかまわない。
【0027】つぎに本発明で(d)成分として用いるα
−オレフィンと芳香族モノビニリデン化合物との疑似ラ
ンダムコポリマーは、脂肪族α−オレフィン及び芳香族
モノビニリデン化合物からなる実質的にランダムなイン
ター重合体である。脂肪族α−オレフィンは、2−18
個の炭素原子を有する脂肪族及びシクロ脂肪族α−オレ
フィン、そして好ましくは2−8個の炭素原子を有する
α−オレフィンを含む。最も好ましくは、脂肪族α−オ
レフィンは、エチレンまたはプロピレン、好ましくはエ
チレン、そして任意に3−8個の炭素原子を有する1種
以上のα−オレフィンとの混合物、例えば、エチレン及
びプロピレン、またはエチレン及びオクテン、またはエ
チレン及びプロピレン及びオクテンからなる。芳香族モ
ノビニリデン化合物は、以下の式により表される化合物
である。
【0028】
【化4】 (ただし、R1は水素及び3個以下の炭素を含むアルキ
ル基からなる置換基群から選ばれ、そしてArはフェニ
ル基、またはハロゲン、C1−4のアルキル及びC1−
4のハロアルキルからなる群から選ばれる1−5個の置
換基により置換されているフェニル基である。)
【0029】好適な例としては、スチレン及びその低級
アルキル−またはハロゲン−置換誘導体を含む。好まし
い例としては、スチレン、α−メチルスチレン、スチレ
ンの低級アルキル−またはフェニル置換誘導体、例え
ば、オルト−、メタ−及びパラ−メチルスチレン、また
はこれらの重合物、並びに環ハロゲン化スチレンを含
む。より好ましい芳香族モノビニリデン化合物は、スチ
レンである。
【0030】本発明で有用な(d)は、好ましくは、脂
肪族α−オレフィン及び芳香族モノビニリデン化合物か
らなる疑似(pseudo)ランダム鎖状または実質的
に鎖状、より好ましくは鎖状のインター重合体である。
これらの疑似ランダム鎖状インター重合体は、1990
年7月3日に出願された米国特許出願第545403号
(ヨーロッパ特許公開第0416815号に対応)に記
述されている。(d)中に配合される芳香族モノビニリ
デン化合物そして好ましくは疑似ランダム鎖状インター
重合体から由来する単位の含量は、好ましくは少なくと
も1.0モル%、さらに好ましくは1.5〜55モル
%、非常に好ましくは3.0〜50モル%、そして最も
好ましくは、15.0〜47モル%である。
【0031】好ましくは、例えば13000より大きい
重量平均分子量(Mw)を有するような高い分子量イン
ター重合体成分(d)が使用される。また、これら重合
体は、好ましくは125より低い、さらに好ましくは
0.01〜100、よりさらに好ましくは0.01〜2
5そして最も好ましくは0.05〜8のメルトインデッ
クス(ASTM−D−1235 Procedure
A.条件Eで測定)を有する。
【0032】以下に記述されるように、実質的にランダ
ムなインター重合体成分(d)を調製している間、ある
量のアタクチック芳香族モノビニリデン化合物ホモ重合
体が、高濃度での芳香族モノビニリデン化合物のホモ重
合により、生成される。一般に、重合温度が高くなれば
なるほど、生成するホモ重合体の量は増大する。芳香族
モノビニリデン化合物ホモ重合体の存在は、一般に、本
発明の目的にとり、有害ではなく、許容できるものであ
る。芳香族モノビニリデン化合物ホモ重合体は、所望に
より、例えば好適な抽出剤、アセトンまたはクロロホル
ムによる抽出により、成分(d)から分離できる。本発
明の目的のためには、成分(d)において、成分(d)
の重量に基づいて、20重量%以下、さらに好ましくは
15重量%より少ない芳香族モノビニリデン化合物ホモ
重合体が存在する。
【0033】実質的にランダムなインター重合体は、そ
れらの相溶化機能が実質的に影響されないならば、当業
者に周知の代表的なグラフト化、水素化、官能化または
他の反応によって変性できる。重合体は、確立された技
術に従って、容易にスルホン化または塩素化されて官能
化された誘導体をもたらすことができる。疑似ランダム
インター重合体は、1990年7月3日に出願された米
国特許出願第545403号(ヨーロッパ特許公開第0
416815号に対応)に記述されているような方法で
製造できる。これらの重合反応において、より好ましい
操作条件は、大気圧から3000気圧までの圧力、及び
30〜200℃の温度である。
【0034】疑似ランダムインター重合体を製造するた
めの好適な触媒及び方法の例は、1990年7月3日に
出願された米国特許出願第545403号(ヨーロッパ
特許公開第0416815号)、1990年7月3日に
出願された米国特許出願第547718号(ヨーロッパ
特許公開第468651号)、1991年5月20日に
出願された米国特許出願第702475号(ヨーロッパ
特許公開第514828号)、1992年5月1日に出
願された米国特許出願第876268号(ヨーロッパ特
許公開第520732号)、1993年1月21日に出
願された米国特許出願第8003号、1993年3月1
9日に出願された米国特許出願第34434号、199
3年6月24日に出願された米国特許出願第82197
号、並びに米国特許出願第5055436、50574
75、5096867、5064802、513238
0及び5189192号明細書に開示されており、これ
らの特許及び出願の全ては、本明細書の参考として引用
する。
【0035】ところで、このα−オレフィンと芳香族モ
ノビニリデン化合物との疑似ランダムコポリマーは、芳
香族モノビニリデン化合物の含有割合を変えることによ
り硬質樹脂状から軟質エラストマー状まで広範囲に変化
することが知られている。また、ポリオレフィンとポリ
フェニレンエーテルは本来相溶性がなく、単純に混ぜた
だけでは層剥離が著しく実用に耐えないため、ポリオレ
フィンとポリフェニレンエーテルをポリマーアロイ化す
る混和剤として、新規なα−オレフィンと芳香族モノビ
ニリデン化合物との疑似ランダムコポリマーが有用であ
ることを見いだした。つぎに本発明で(e)成分として
用いる有機リン酸エステル化合物は、例えば、下記一般
式:
【0036】
【化5】
【0037】〔式中、R1、R2、R3およびR4は各
々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール置換アルキル基、アリール基、ハロゲン
置換アリール基またはアルキル置換アリール基を表し、
それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Xはアリ
ーレン基を表す。nは0〜5の整数である。(異なるn
値を有する縮合物の組成物では、nはそれらの平均値を
表す)〕で示されるリン酸エステルおよびまたはその縮
合物である。n=0はリン酸エステル単量体を示す。
【0038】代表的なリン酸エステル単量体としては、
例えば、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフ
ォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等を挙げ
ることができる。縮合物としては、通常nは1〜5の値
を取り得るが、好ましくは平均値で1〜3である。ま
た、R1、R2、R3及びR4のうち少なくとも一つが
アリール基であることが好ましく、特に好ましくはR
1、R2、R3及びR4のすべてがアリール基である。
好ましいアリール基としてはフェニル、キシレニル、ク
レジルまたはこれらのハロゲン化誘導体が挙げられる。
【0039】また、好ましいXのアリーレン基として
は、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノール
A、ビフェノールまたはこれらのハロゲン化誘導体から
それぞれ2個の水酸基が脱離した残基を挙げることがで
きる。代表的な縮合型のリン酸エステル化合物として
は、レゾルシノール・ビスフェニルホスフェート化合
物、ビスフェノールA−ポリフェニルホスフェート化合
物、ビスフェノールA−ポリクレジルホスフェート化合
物などが挙げられる。
【0040】つぎに本発明で(f)成分として用いる
1,3,5−トリアジン誘導体とは、非ハロゲン系難燃
剤であって、1位、3位および5位の位置で窒素原子を
含む六員環複素化合物の誘導体である。このような1,
3,5−トリアジン誘導体成分は、下記の一般式
(I):
【0041】
【化6】 (式中、Xはモルホリノ基またはピペリジノ基、Yはピ
ペラジンから誘導される2価の基、nは1以上、好まし
くは2〜50であって通常は約11である。)で表され
る。
【0042】このような1,3,5−トリアジン誘導体
成分の好適具体例としては、置換基Xがモルホリノ基で
ある2−ピペラジニレン−4−モルホリノ−1,3,5
−トリアジンのオリゴマーまたはポリマー、および置換
基Xがピペリジノ基である2−ピペラジニレン−4−ピ
ペリジノ−1,3,5−トリアジンのオリゴマーまたは
ポリマー等を挙げることができる。具体的に、2−ピペ
ラジニレン−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジン
のポリマーは、以下の方法で製造することができる。
【0043】すなわち、等モルの2,6−ジハロ−4−
モルホリノ−1,3,5−トリアジン(例えば、2,6
−ジクロロ−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジン
や2,6−ジブロモ−4−モルホリノ−1,3,5−ト
リアジン)とピペラジンとを、有機塩基(例えば、トリ
エチルアミンまたはトリブチルアミン等)または無機塩
基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは
炭酸ナトリウム等)の共存下、例えばキシレン等の不活
性溶媒中で、好ましくはこの種の不活性溶媒の沸点以下
の温度に加熱して反応させる。反応終了後に、反応混合
物を濾過して固形物を分離し、分離された固形物を沸騰
水で洗浄し、この際、反応で生成する副製物の塩を該沸
騰水に溶解させて除去した後に、残存する固形物を乾燥
する。
【0044】ここで得られるポリ(2−ピペラジニレン
−4−モルホリノ−1,3,5−トリアジン)の性状は
以下の通りである。 ・溶解性:水および有機溶剤に不溶。 ・融点:なし(分解温度310℃付近)。 ・嵩密度:0.3g/cc ・構造式:下記の一般式(III)に示す。
【0045】
【化7】 (式中、nは11である。)
【0046】このようにして得られた1,3,5−トリ
アジン誘導体成分を、本発明の樹脂組成物に配合した場
合、高温または炎との接触などによる熱分解に際して
も、非引火性ガス(水、二酸化炭素、窒素など)と炭素
質残渣のみを生じ、腐食性ガス、ハロゲン系ガスや有毒
性ガスの発生を殆ど伴わない利点を有する。また、1,
3,5−トリアジン誘導体は、上記した有機リン酸エス
テル化合物およびポリフェニレンエーテル系樹脂との相
乗効果によって、本発明の樹脂組成物に優れた難燃性を
付与する。
【0047】本発明の難燃性樹脂組成物は、上記した
(a)〜(f)成分より構成され、かかる成分の割合
は、(a)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂が55
〜5重量%、(b)成分のポリプロピレン系樹脂が45
〜95重量%、(c)成分の水添ブロック共重合体が
(a)成分+(b)成分の合計量100重量部に対して
1〜30重量部であり、(d)成分のエチレン・スチレ
ン疑似ランダムコポリマーが(a)成分+(b)成分の
合計量100重量部に対して1〜30重量部であり、
(e)成分の有機リン酸エステル化合物が(a)成分+
(b)成分の合計量100重量部に対して4〜40重量
部であり、(f)成分の1,3,5−トリアジン誘導体
が(a)成分+(b)成分の合計量100重量部に対し
て2〜20重量部である。
【0048】本発明において、(a)ポリフェニレンエ
ーテル系樹脂の配合量は55〜5重量%、好ましくは5
5〜15重量%である。かかる配合量が55重量%を超
える場合、得られる樹脂組成物の耐熱性は極度に優れる
ものの、成形加工性、耐溶剤性が劣り好ましくない。ま
た、5重量%未満では成形加工性、耐溶剤性に優れるも
のの、耐熱性が劣り耐熱材料として利用できない。本発
明において、(b)ポリプロピレン系樹脂の配合量は、
45〜95重量%であり、好ましくは45〜85重量%
である。かかる配合量が45重量%未満では、得られる
樹脂組成物の耐熱性は優れるものの、成形加工性、耐溶
剤性が劣り好ましくない。また、95重量%を超える場
合は成形加工性、耐溶剤性は良好なものの、耐熱性が劣
り耐熱性材料として利用できない。
【0049】本発明において、(c)水添ブロック共重
合体の配合量は、上記(a)、(b)成分の合計100
重量部に対して、1〜30重量部である。かかる配合量
が1重量部未満では本発明の樹脂組成物の混和剤として
の効果(ポリプロピレン系樹脂中にポリフェニレンエー
テル系樹脂を微細に乳化分散させる)が見られず好まし
くない。また、かかる配合量が30重量部を超える場合
は、(a)、(b)成分が示す作用効果の耐熱性、耐溶
剤性、剛性および機械的強度の低下が顕著であり好まし
くない。
【0050】(d)α−オレフィンと芳香族モノビニリ
デン化合物との疑似ランダムコポリマーの配合量も、上
記(a)、(b)成分の合計100重量部に対して、1
〜30重量部である。かかる配合量が1重量部未満では
本発明の樹脂組成物の混和剤としての効果(ポリプロピ
レン系樹脂中にポリフェニレンエーテル系樹脂を微細に
乳化分散させる)が見られず好ましくない。また、かか
る配合量が30重量部を超える場合は、(a)、(b)
成分が示す作用効果の耐熱性、耐溶剤性、剛性および機
械的強度の低下が顕著であり好ましくない。また、本発
明において(e)、(f)成分の配合量は、上記した各
々の範囲で用い、これらの下限値に満たない場合は難燃
性改良効果が見られず好ましくなく、またこれらの上限
値を超える場合は難燃性に優れるものの、機械的物性が
顕著に悪化し好ましくない。
【0051】本発明では、上記の成分の他に、本発明の
特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附
加的成分、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重
合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、酸化防
止剤、金属不活性化剤、難燃剤(無機系リン化合物、シ
リコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウムなど)、難燃効果を示すフッ素系ポリマー、可塑
剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆
油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、
三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、
ポリオレフィン用造核剤、スリップ剤、無機または有機
の充填材や強化材(ガラス繊維、カーボン繊維、ポリア
クリロニトリル繊維、ウィスカー、マイカ、タルク、カ
ーボンブラック、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸
カルシウム、チタン酸カリウム、ワラストナイト、導電
性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色
剤、離型剤等を添加してもかまわない。
【0052】本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法は、
上記した各成分を用いて、 (a)〜(f)成分を一括して溶融混練する方法、 (a)成分と(c)成分の溶融混練状態下に(b)成
分、(d)成分、(e)成分および(f)成分を追加添
加し溶融混練する方法、 (a)成分を溶融混練した状態下に、(b)成分、
(c)成分、(d)成分、(e)成分および(f)成分
を追加添加し溶融混練する方法や (a)成分と(b)成分の一部を溶融混練した状態下
に、(b)成分の残部と(c)成分、(d)成分、
(e)成分および(f)成分を追加添加し溶融混練する
方法、 など種々の方法で製造することができる。
【0053】これらの方法として例えば、単軸押出機、
二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラスト
グラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法
が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方
法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定さ
れるものではないが、通常200〜350℃の中から好
適な樹脂組成物が得られる条件を任意に選ぶことができ
る。
【0054】このようにして得られる本発明のポリマー
組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成
形、押出成形、中空成形により各種部品の成形体として
成形できる。これら各種部品としては、例えば自動車部
品が挙げられ、具体的には、バンパー、フェンダー、ド
アーパネル、各種モール、エンブレム、エンジンフー
ド、ホイールキャップ、ルーフ、スポイラー、各種エア
ロパーツ等の外装品や、インストゥルメントパネル、コ
ンソールボックス、トリム等の内装部品等に適してい
る。さらに、電気機器の内外装部品としても好適に使用
でき、具体的には各種コンピューターおよびその周辺機
器、その他のOA機器、テレビ、ビデオ、各種ディスク
プレーヤー等のシャーシー、キャビネット、二次電池用
電槽材料および冷蔵庫等の部品用途に適している。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、実施例などによって、本発
明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例
などにより何ら限定されるものではない。(a)成分のPPE (a):2,6−キシレノールを酸化重合して得た還元
粘度0.41のポリフェニレンエーテル
【0056】(b)成分の高結晶ポリプロピレン (b):ホモ−ポリプロピレン 融点=162℃、MFR=0.4 ポリプロピレンのMFR(メルトフローレート)はAS
TM−D1238に準拠し、230℃、2.16Kgの
荷重で測定した。(c)成分の水添ブロック共重合体 (c):ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン
−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン量48%、
数平均分子量91,000、分子量分布1.06、水素
添加前のポリブタジエンの全ビニル結合量(1,2−ビ
ニル結合)が76%、水素添加率が99.6%の水添ブ
ロック共重合体を合成した。
【0057】(d)成分のα−オレフィンと芳香族モノ
ビニリデン化合物との疑似ランダムコポリマー <dー1:(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメ
チル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジク
ロライドの製造> (a)(クロロ)(ジメチル)(テトラメチルシクロペ
ンタジ−2,4−エニル)シラン −40℃に冷却したTHF150ml中の21.5g
(167mmol)のジメチルジクロロシラン溶液に、
THF80ml中の8.00g(55.6mmol)の
ナトリウム1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタ
ジエナイドを徐々に加えた。反応混合物を室温に加温
し、一夜攪拌した。溶媒を除去し、残渣をペンタンで抽
出して濾過した。ペンタンを減圧下で除去して生成物を
明黄色油として得た。収量は10.50g(83.0
%)であった。
【0058】生成物のNMRによる分析結果は次の通り
である。 1H NMR(C6D6)δ2.89(s,1H)、
1.91(s,6H)、1.71(s,6H)、0.1
4(s,6H); 13C NMR(C6D6)δ137.8,131.
5,56.6,14.6,11.4,0.81。
【0059】(b)(第3級ブチルアミノ)(ジメチ
ル)(テトラメチルシクロペンタジ−2,4−エニル)
シラン 20mlTHF中の11.07g(151mmol)の
t−ブチルアミンの溶液を、300mlTHF中の1
3.00g(60.5mmol)の(クロロ)(ジメチ
ル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランの溶
液に、5分かけて加えた。直ちに沈殿が生成した。スラ
リを3日間攪拌し、ついで溶媒を除去し、残渣をペンタ
ンで抽出して濾過した。収量は14.8g(97.2
%)であった。
【0060】生成物のNMRによる分析結果は次の通り
である。 MS:251 1H NMR(C6D6)δ2.76(s,1H)、
2.01(s,6H)、1.84(s,6H)、1.0
9(s,9H)、0.10(s,6H); 13C NMR(C6D6)δ135.4,133.
2,57.0,49.3,33.8,15.0,11.
2,1.30。
【0061】(c)ジリチウム(第3級ブチルアミド)
(ジメチル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)シ
ラン 100mlエーテル中の3.000g(11.98mm
ol)の(第3級ブチルアミド)(ジメチル)(テトラ
メチルシクロペンタジエニル)シランの溶液に混合C6
アルカン溶媒中の2.6M(23.95mmol)ブチ
ルリチウム溶液9.21mlを徐々に加えた。この反応
混合物を一夜攪拌し次いで濾過した。固体をエーテルで
数回洗浄し、次いで減圧下で乾燥して生成物を白色粉末
として得た。収量は3.134g(99.8%)であっ
た。
【0062】(d)(第3級ブチルアミド)ジメチル
(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シラン
チタンジクロライド 0.721g(11.98mmol)のTiCl4 を3
0mlの凍結(−196℃)THFに加えた。混合物を
−78℃に加温した(乾燥氷浴)。生成黄色溶液に、3
0mlTHF中の1.000g(3.80mmol)の
ジリチウム(第3級ブチルアミド)(ジメチル)(テト
ラメチルシクロペンタジエニル)シランの溶液を加え
た。一夜攪拌しながら溶液を室温に加温した。生成する
非常に暗色の溶液から溶媒を除去した。残渣をペンタン
で抽出して濾過した。凍結器中での冷却により淡黄緑色
結晶固体から非常に可溶性の暗い赤褐色物質を分離し
た。固体を濾過し、ペンタンから再結晶させてオリーブ
色緑色生成物を得た。収量は0.143g(10.2
%)であった。
【0063】生成物のNMRによる分析結果は次の通り
である。 1H NMR(C6D6)δ2.00(s,6H)、
1.99(s,6H)、1.42(s,9H)、0.4
3(s,6H); 13C NMR(C6D6)δ140.6,137.
9,104.0,62.1,32.7,16.1,1
3.0,5.40。
【0064】<dー2:(d)成分のエチレン−スチレ
ン疑似ランダムコポリマー(ES1と略記する)の調製
トルエン中メチルアルミノキサン(MAO)の10%溶
液1.65mlを45mlのトルエンと50mlのスチ
レンとの溶液とステンレス性ショットタンクの中で混合
することによってスチレン/エチレン混合物の重合を行
った。(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル
−η5 −シクロペンタジエニル)シランチタンジクロラ
イドの0.010M溶液250μlを第2ショットタン
ク中のトルエン25mlに加えた。両方のショットタン
クを密封しグローブボックスから除き、そして600m
lのステンレス鋼圧力容器に取り付けた。この圧力容器
を真空にし、アルゴンでパージした。
【0065】スチレン/トルエン/MAO溶液を圧力容
器に加え、攪拌しながら620kPa(90psig)
のエチレンのもとで89℃に加温した。この時点で触媒
溶液を加え、圧力を1271kPa(185psig)
に増大させ1240〜1275kpa(180〜185
psig)の間に調節した。発熱反応により温度は95
℃に上昇した。温度を90℃に下げ、次いで反応の残余
の間90〜92℃に調節した。1.0時間後にエチレン
の供給を停止した。反応物を大気圧に排気し、30℃に
冷却し、この時点でメタノールを加えた。生成物を集
め、メタノールで洗浄し、そして残存溶媒を減圧下に1
20℃で除去した。9.02gの物質が得られた。この
物質の13C−NMR分析はこの物質がポリスチレンに
起因するピークのないスチレン(モル基準で15.2
%、重量基準で40重量%)とエチレンとのランダムコ
ポリマーであることを示した。このポリマーを(c−
1、ES1)とした。
【0066】<dー3:(d)成分のエチレン−スチレ
ン疑似ランダムコポリマー(ES2と略記する)の調製
基本的には上記製造例の重合法に従った。ただし反応温
度は90℃であった。150mlの混合アルカン溶媒、
500mlのスチレン及び8mlの15%MAOトルエ
ン溶液(1000Al/Ti)を充填した。反応器を1
240kPa(180psig)のエチレンで飽和さ
せ、20μモルの[(C5 Me4 )SiMe2 (N−フ
ェニル)]TiCl2 を加えて重合を始めた。エチレン
を1240kPa(180psig)の要求量で与え
た。60分後に溶液反応器からの少量の酸化防止剤を含
む溶液に排出させた。ポリマーを真空中で乾燥した。ポ
リマー収量は26.6gであった。メルトインデックス
(I2 )=26.6、13CNMR分析はポリマーが4
6モル%(76重量%)のスチレンを持つことを示し、
エチレンとのランダムコポリマーであることを示した。
このポリマーを(c−2、ES2)とした。
【0067】(e)成分の有機リン酸エステル化合物 (e1):トリフェニルフォスフェート(TPP:大八
化学工業社製) (e2):芳香族縮合リン酸エステル(CR−741:
大八化学工業社製)(f)成分の1,3,5−トリアジン誘導体 シアヌル酸クロライド、モルホリンおよびピペラジンを
用いて、2−ピペラジニレン−4−モルホリノ−1,
3,5−トリアジンのポリマー(n=11、分子量約2
770)を合成した。(g)他の環状含窒素化合物 本発明で用いる(f)成分と異なる構造で、イソシアヌ
ル酸の誘導体であるトリス(2−ヒドロキシエチル)イ
ソシアヌレート(融点134℃:四国化成工業社製)を
(g)成分として用いた。
【0068】
【実施例1〜7および比較例1〜4】(a)成分として
ポリフェニレンエーテル、(b)成分としてポリプロピ
レン、(c)成分として水添ブロック共重合体、(d)
成分としてα−オレフィンと芳香族モノビニリデン化合
物との疑似ランダムコポリマー、(e)成分として有機
リン酸エステル化合物および(f)成分として1,3,
5−トリアジン誘導体を表1に示した組成で配合し、樹
脂流れ方向に対し上流に第1供給口及び下流に第2供給
口を有し、第2供給口の上流及び第2供給口とダイとの
間に真空ベント口を設けた二軸押出機ZSK−40(W
ERNER&PFLEIDERER社製)を用いて前段
バレル設定温度290〜310℃、後段バレル設定温度
250〜290℃、スクリュー回転数295rpm、吐
出量60kg/時間の条件にて溶融混練しペレットとし
て得た。なお、ここで、(a)成分のポリフェニレンエ
ーテルおよび(e)成分の有機リン酸エステル化合物
は、押出機の第1供給口より供給し、(b)成分、
(d)成分のα−オレフィンと芳香族モノビニリデン化
合物との疑似ランダムコポリマーおよび(f)成分は押
出機の第2供給口より供給し、(c)成分の水添ブロッ
ク共重合体は押出機の第1供給口より供給した。
【0069】上記の製造条件で得たペレットを用いて2
40〜280℃に設定したスクリューインライン型射出
成形機に供給し、金型温度60℃の条件で曲げ弾性率測
定試験用テストピース、アイゾット衝撃試験用テストピ
ースおよび熱変形温度測定用テストピースを射出成形し
た。これらのテストピースを用いて曲げ弾性率(AST
M−D−790:23℃)、アイゾット(ノッチ付き)
衝撃強度(ASTM−D−256:23℃)および熱変
形温度(ASTM D−648)を測定した。また、燃
焼試験としてUL94規格に準拠して、試験片厚さ1/
16インチのサンプルを用いて燃焼試験を実施した。
【0070】これらの結果を併せて表1に載せた。これ
らの結果より、ポリフェニレンエーテル系樹脂/ポリプ
ロピレン系樹脂/水添ブロック共重合体/α−オレフィ
ンと芳香族モノビニリデン化合物との疑似ランダムコポ
リマーから構成される樹脂組成物の難燃化において、下
記のことが明確になった。 本系樹脂組成物の難燃剤として有機リン酸エステル
化合物/環状含窒素化合物の併用系の中でも、環状含窒
素化合物として1,3,5−トリアジン誘導体化合物が
顕著に難燃性効果がある。 本系のポリプロピレン系樹脂をマトリックスとする
樹脂組成物は有機リン酸エステル化合物/1,3,5−
トリアジン誘導体化合物の難燃剤の他にポリフェニレン
エーテル系樹脂を併用することによりさらに難燃効果が
発揮される。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】本発明の難燃の樹脂組成物は、ポリプロ
ピレン系樹脂をマトリックスとしポリフェニレンエーテ
ル系樹脂を分散相とする樹脂組成物であり、分散相のポ
リフェニレンエーテル系樹脂と難燃剤の有機リン酸エス
テル化合物/1,3,5−トリアジン誘導体化合物を複
合併用することにより、難燃性が著しく改良される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 53:02 23:02 79:04)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリフェニレンエーテル系樹脂:
    55〜5重量% (b)ポリプロピレン系樹脂:45〜95重量% 上記(a)、(b)成分の合計100重量部に対して、 (c)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個
    の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする
    少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック
    共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体:1
    〜30重量部、 (d)α−オレフィンと芳香族モノビニリデン化合物と
    の疑似ランダムコポリマー:1〜30重量部、 (e)有機リン酸エステル化合物:4〜40重量部、 (f)下記の一般式(I)で表される化学構造を有する
    1,3,5−トリアジン誘導体:2〜20重量部、を含
    むことを特徴とする難燃性の樹脂組成物。 【化1】 (式中、Xはモルホリノ基またはピペリジノ基であり、
    Yはピペラジンから誘導される2価の基であり、nは1
    以上の数である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7220917B2 (en) 2004-12-17 2007-05-22 General Electric Company Electrical wire and method of making an electrical wire
US7332677B2 (en) 2004-12-17 2008-02-19 General Electric Company Multiconductor cable assemblies and methods of making multiconductor cable assemblies
US7741564B2 (en) 2004-12-17 2010-06-22 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Electrical wire and method of making an electrical wire

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