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JPH11197809A - 連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法

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JPH11197809A
JPH11197809A JP309198A JP309198A JPH11197809A JP H11197809 A JPH11197809 A JP H11197809A JP 309198 A JP309198 A JP 309198A JP 309198 A JP309198 A JP 309198A JP H11197809 A JPH11197809 A JP H11197809A
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Toru Kato
徹 加藤
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼の連続鋳造において、鋳片の表面割れを防
止する鋳片の冷却方法を提供する。 【解決手段】 鋳片を鋳型から引き抜いた後、鋳片の表
面をA3 変態温度以下に一旦冷却をして、次いで水量密
度を0.003 〜0.015 リットル/cm2・min として0.5〜2.
0分間の緩冷却をおこないA3 変態温度を越えて復熱を
させ、引き続き、水量密度を0.003 リットル/cm2・min 以下
として更なる緩冷却をおこなう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造時に
おける連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、材料特性上の要求からNb、V 、Ni
およびCuなど種々の合金元素を含有した低合金鋼の生産
量が増加している。しかしながら、これらの合金元素の
添加にともない連続鋳造の際、鋳片表面に横割れや横ひ
び割れと呼ばれる表面割れが発生する場合があり、製造
上の問題となっている。
【0003】これらの表面割れは、粒界近傍部分或いは
粒界の初析フェライト部分に発生しており、その原因
は、2次冷却時に鋳片の表面温度が熱間延性の低下する
γ→α変態温度近傍(約600〜850℃)となり、こ
の時、鋳片の矯正がおこなわれるためと考えられてい
る。この対策として、鋳片矯正時の表面温度が熱間延性
の低下する上記の温度域(以下、脆化温度域という)を
低温側もしくは高温側に回避し、表面割れを抑制する方
法が採用されている。しかし、上記のように、鋳片矯正
時の表面温度を制御するのみでは表面割れの防止が不充
分であり、種々の方法が提案されている。
【0004】例えば、特公昭58−3790号公報に
は、2次冷却帯の上部で強冷却して鋳片の表面温度を6
50〜700℃とし、それ以降緩やかに復熱させて矯正
点の位置で鋳片の表面温度を700〜800℃にして脆
下温度域を低温側に回避して横ひび割れを防止する方法
が開示されている。また特開平5−329505号公報
には、加熱炉装入前に鋳片表層部を350〜500℃の
温度に1分間以上冷却、保持する方法が開示されてい
る。これらの方法はいずれも一旦鋳片表面温度を低下さ
せることにより、鋳片の大部分もしくは全体の相変態を
生じさせ、割れ感受性を鈍くする方法であるが、鋳片表
面温度を一旦700℃以下にまで低下するとその後に復
熱をさせても脆化温度域を高温側に回避することは熱的
に困難である。また、合金量が多く割れ感受性の高い鋼
種では、スケールの不均一固着による温度むらが生じ易
く鋳片矯正時の脆化温度域を回避する事は困難という問
題がある。
【0005】また、表面割れはγ粒界に発生することか
ら、γ粒径に着目し、これを微細化させる提案が数多く
ある。例えば、本出願人は、特開昭63−63559号
公報でγ粒の成長を抑制するためにオーステナイト単相
化温度からの冷却速度を10℃/s以上とする方法、あ
るいは特開昭61−195742号公報で鋳型長さの関
係式を規定し早めに鋳片を引き出し直ちに2次冷却する
方法、等を提案した。しかし、通常、鋳型出口で鋳片表
面の温度はオーステナイト単相化温度より低くなるため
前記冷却速度の制御は困難であること、また鋳型長さを
極端に短くすることは操業上のトラブルを招きやすいこ
と、等の問題がありいずれも実用化は困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、特開平
9−253814号公報で、鋳片を鋳型から引き抜いた
後、鋳片表面温度がA3 変態温度以下となるように一旦
冷却をして、その後A3変態温度を越えて復熱をさせる
連続鋳造において、前記冷却の水量密度を規定すること
により矯正時に発生する横ひび割れを防止する方法を提
案した。
【0007】しかし、この方法においては、復熱時の冷
却条件を誤ると横ひび割れが発生し、さらにオシレーシ
ョンマークに沿った鋳片コーナ割れや鋳片表皮下割れ
(以下、それぞれ「コーナ割れ」、「表皮下割れ」とい
う)といった別の表面割れも発生することが判った。
【0008】本発明の目的は、鋳片を鋳型から引き抜い
た後、鋳片表面温度がA3 変態温度以下となるように一
旦冷却をして、次いでA3 変態温度を越えて復熱をさせ
る連続鋳造において、連続鋳造鋳片の横ひび割れ、コー
ナ割れおよび表皮下割れ等の表面割れを防止する方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋳片を鋳型
から引き抜いた後、鋳片表面温度がA3 変態温度以下と
なるように一旦冷却をして、次いでA3 変態温度を越え
て復熱をさせる連続鋳造において、復熱過程での冷却に
注視した基礎試験をおこない、以下の知見を得た。
【0010】(a) A3 変態温度以下に冷却後、水量密度
を0.003 〜0.015 リットル/cm2・min として0.5〜2.0
分間の緩冷却をおこないA3 変態温度を越えて復熱をさ
せることにより、復熱過程あるいは矯正時に発生する横
ひび割れ、コーナ割れおよび表皮下割れ等の表面割れを
抑制することができる。
【0011】(b) 上記緩冷却に引き続き、水量密度を0.
003 リットル/cm2・min 以下として更に緩冷却をおこなうこ
とにより、上記の表面割れの抑制を一層効果的にするこ
とができる。
【0012】本発明は、上記の知見に基づくもので、そ
の要旨は以下の(1) と(2) のとおりである。 (1) 鋳片を鋳型から引き抜いた後、鋳片の表面をA3
態温度以下に一旦冷却をして、次いで水量密度を0.003
〜0.015 リットル/cm2・min として0.5〜2.0分間の緩
冷却をおこないA3 変態温度を越えて復熱をさせること
を特徴とする連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法。
【0013】(2) 上記緩冷却に引き続き、水量密度を0.
003 リットル/cm2・min 以下として更に緩冷却をおこなうこ
とを特徴とする上記(1) 項に記載の連続鋳造鋳片の表面
割れ防止方法。
【0014】なお、上記(1) およびあるいは(2) 項に記
載の水量密度と水冷時間を、上記連続鋳造の際の操業管
理指標とすることにより、鋳片の表面割れ防止の管理が
容易となる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明方法は、鋳片を鋳型から引
き抜いた後、鋳片の表面をA3 変態温度以下に一旦冷却
をして、次いでA3 変態温度を越えて復熱をさせる連続
鋳造に適用するものであり、前記冷却の後、水量密度を
0.003 〜0.015 リットル/cm2・min として0.5〜2.0分
間の緩冷却をおこないA3 変態温度を越えて復熱をさせ
ること、更に、前記緩冷却に引き続き、水量密度を0.00
3 リットル/cm2・min 以下として更に緩冷却をおこなうこ
と、を特徴とする。
【0016】本発明者は、鋳片の矯正時に発生する横ひ
び割れの防止を目的に、鋳片を鋳型から引き抜いた後、
鋳片表面温度を一旦A3 変態温度以下まで急速に冷却を
して、次いで冷却水量を低下してA3 変態温度を越えて
復熱をさせる連続鋳造の試験を実施し、横ひび割れ防止
の効果を確認した。しかし、A3 変態温度以下まで冷却
をおこなった後の復熱過程で極端に冷却水量を低下する
と、コーナ割れや表皮下割れが発生することが判明し
た。コーナ割れは、長さが10〜20mm、深さが5〜1
5mm程度で、オシレーションマークに沿い、また、表皮
下割れは、表皮下3〜5mm程度の位置でオーステナイト
粒界に沿って発生しており、いずれの割れも、鋳片内部
の未凝固溶鋼が持つ潜熱により鋳片表層が急激に復熱を
することにより生じる熱応力が原因であることが熱応力
解析から判った。
【0017】そこで、復熱時の熱応力による上記割れの
防止を目的に、復熱時の冷却水量の影響を調査するた
め、連続鋳造試験をおこなった。低炭素Nb鋼(C:0.10
〜0.15重量%、Nb:0.015 重量%)を用い、鋳片サイズ
が幅800mm ×厚150mm の垂直型連続鋳造機ならびに幅23
00mm×厚235mm の湾曲型連続鋳造機を使用し、連続鋳造
機の2次冷却帯を鋳造方向に向かって仮に急冷帯、復熱
帯および徐冷帯の順に3帯に分け、復熱帯あるいは徐冷
帯の冷却水量を変えて鋳造をおこない鋳片の表面状況を
調査した。
【0018】図1は、表面割れに及ぼす復熱帯の水量密
度と冷却時間の関係を整理したグラフである。同図にお
いて、急冷帯では、水量密度を0.04〜0.07リットル/cm2・mi
n として0.8〜1.8分間の冷却をおこない、急冷帯
の出側で表面温度を680〜760℃(A3 変態温度:
780〜820℃)とし、復熱帯で、A3 変態温度を越
えて復熱をさせた。ただし、復熱帯の水量密度が0.015
リットル/cm2・min を越える場合には、冷却が進み復熱帯で
の前記復熱は不可となった。なお、徐冷帯では、水量密
度を0.003 リットル/cm2・min として2.1分間の冷却をお
こなった。ここで、水量密度は単位時間の冷却水量を対
応する鋳片の表面積で除した値である。
【0019】図1に示すように、復熱帯の水量密度を0.
003 〜0.015 リットル/cm2・min として0.5〜2.0分間
の冷却をおこないA3 変態温度を越えて復熱をさせた場
合には、コーナ割れや表皮下割れ等の表面割れの発生は
ない。水量密度が0.015 リットル/cm2・min を越えると、復
熱帯でさらに冷却が進行し、次の徐冷帯での水量密度の
大幅な低下により、急激な復熱が生じコーナ割れや表皮
下割れの発生を招く。水量密度が0.003 リットル/cm2・min
未満あるいは水量密度が0.003 リットル/cm2・min以上0.015
リットル/cm2・min 以下で冷却時間が0.5分未満の場合
には復熱帯あるいは徐冷帯での復熱が急速であるためコ
ーナ割れや表皮下割れが発生する。さらに、水量密度が
0.003 リットル/cm2・min 以上0.015 リットル/cm2・min 以下で
2分間を越えて冷却した場合には、鋳片コーナ部が過冷
却され、鋳片コーナ部近傍に横ひび割れが発生する。
【0020】したがって、本発明の方法は、鋳片表面を
3 変態温度以下に冷却後、水量密度を0.003 リットル/cm2
・min 以上0.015 リットル/cm2・min 以下とし0.5分間以
上2.0分間以下の緩冷却をおこないA3 変態温度を越
えて復熱をさせる。好ましくは、水量密度が0.003 リットル
/cm2・min 以上0.010 リットル/cm2・min 以下である。
【0021】次に、本発明の好適態様で、上記緩冷却に
引き続き、水量密度を0.003 リットル/cm2・min 以下として
更に緩冷却をおこなうとした理由を説明する。急冷帯で
水量密度を0.04〜0.07リットル/cm2・min として0.8〜
1.8分間の冷却をおこない鋳片表面温度をA3 変態温
度以下とし、次いで復熱帯で水量密度を0.005 リットル/cm2
・min として1.0分間の緩冷却をおこないA3 変態温
度を越えて復熱をさせた後、徐冷帯の水量密度と冷却時
間を種々変えて連続鋳造をおこない鋳片の表面状況を調
査した。
【0022】図2は、表面割れに及ぼす徐冷帯の水量密
度と冷却時間の関係を整理したグラフである。同図に示
すように、徐冷帯の水量密度が0.003 リットル/cm2・min 以
下では表面割れの発生はない。水量密度が0.003 リットル/c
m2・min を越えると鋳片表面温度が低下し、矯正時に脆
化温度域(700〜780℃)を回避できず横ひび割れ
が発生する。なお、直送圧延時の熱効率の観点から、矯
正点での鋳片温度は高い方が好ましく、徐冷帯における
水量密度はロールの変形、熱歪みを防止できるのであれ
ば少ない方が望ましい。好ましくは、0.002 リットル/cm2
min 以下である。
【0023】本発明を実現するための冷却装置は、通常
の連続鋳造に適用されるスプレー冷却装置あるいはミス
ト冷却装置のいずれでもよい。なお、本発明の方法は、
横ひび割れやコーナ割れ等の割れ感受性の高いNbあるい
はVを含有する鋼種を連続鋳造する際に特に有効であ
る。
【0024】
【実施例】表1に示す組成の鋼および湾曲型連続鋳造機
を使用し、表2に示す冷却条件で連続鋳造をおこない鋳
片の表面割れ発生状況を調査した。鋳造速度は0.75〜1.
1m/min、鋳片の寸法は幅2300mm、厚さ235mm とした。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】本発明例1〜6において、急冷帯では、水
量密度を0.042 リットル/cm2・min として1.1分間のミス
ト冷却をおこない、急冷帯の出側で鋳片の表面温度を約
750℃とし、次いで復熱帯では、水量密度を0.005 〜
0.014 リットル/cm2・min として1.0〜1.8分間の冷却
をおこない、鋳片表面温度を850〜1050℃の範囲
(A3 変態温度:815℃)に復熱をさせ、引き続き徐
冷帯では、水量密度を0 〜0.004 リットル/cm2・min として
0〜2.1分間の冷却をおこなった。
【0028】比較例1〜4において、急冷帯では本発明
例と同じ条件で冷却し、復熱帯と徐冷帯では表2のよう
に冷却条件を変更した。なお、復熱帯等の各帯の冷却時
間は、鋳造速度あるいは各帯の長さを変更して調整し
た。
【0029】鋳片の表面割れは、鋳造後の鋳片の表面を
スカーフィングして表層の酸化物を取り除いた後、ダイ
チェックをおこない目視観察にて評価した。表3に、鋳
片の表面割れ状況を示す。
【0030】
【表3】
【0031】本発明例1は、矯正点で鋳片コーナの表面
温度が760℃程度に低下してコーナ近傍の鋳片上面に
軽度の横ひび割れが発生したが、コーナ割れや表皮下割
れの発生はなく品質上の問題はなかった。本発明例2〜
6は、矯正点で鋳片表面温度が幅中央部で880〜92
0℃、コーナ部で790〜820℃となり、コーナ割れ
および表皮下割れは発生せず、また横ひび割れの発生も
なく表面性状は良好であった。
【0032】比較例1はコーナ割れが発生した。復熱帯
の出側で鋳片表面温度は約700℃まで低下しており、
徐冷帯で急速に復熱したため割れが発生したものと考え
られる。比較例2と3は、復熱帯での冷却が不十分で、
復熱帯あるいは徐冷帯で急速に復熱し、コーナ割れと表
皮下割れが発生した。比較例4は、矯正点での鋳片の表
面温度がコーナ部で約750℃となり、コーナ割れと表
皮下割れとともにコーナ近傍の鋳片上面に軽度の横ひび
割れが発生した。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法により、連続鋳造時に鋳片
表面に発生するコーナ割れや表皮下割れなどの表面割れ
を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面割れに及ぼす復熱帯の水量密度と冷却時間
の関係を整理したグラフである。
【図2】表面割れに及ぼす徐冷帯の水量密度と冷却時間
の関係を整理したグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳片を鋳型から引き抜いた後、鋳片表面
    をA3 変態温度以下に一旦冷却をして、次いで水量密度
    を0.003 〜0.015 リットル/cm2・min として0.5〜2.0
    分間の緩冷却をおこないA3 変態温度を越えて復熱をさ
    せることを特徴とする連続鋳造鋳片の表面割れ防止方
    法。
  2. 【請求項2】 上記緩冷却に引き続き、水量密度を0.00
    3 リットル/cm2・min 以下として更に緩冷却をおこなうこと
    を特徴とする請求項1に記載の連続鋳造鋳片の表面割れ
    防止方法。
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