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JPH11173881A - 流速測定装置 - Google Patents

流速測定装置

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Publication number
JPH11173881A
JPH11173881A JP9340875A JP34087597A JPH11173881A JP H11173881 A JPH11173881 A JP H11173881A JP 9340875 A JP9340875 A JP 9340875A JP 34087597 A JP34087597 A JP 34087597A JP H11173881 A JPH11173881 A JP H11173881A
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JP
Japan
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flow velocity
section
slider
vertical rod
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JP9340875A
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Chan Hakusoo
ハクソー、チャン
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CHANG MIN TEC CO Ltd
TOHO KEISOKU KENKYUSHO KK
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CHANG MIN TEC CO Ltd
TOHO KEISOKU KENKYUSHO KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な操作で、精度高く短時間で流速を測定
できるようにする。 【解決手段】 流体内に位置する複数のトランスデュー
サ部13、15間の超音波の伝播時間または繰り返し周
波数を測定して流速を求める装置であって、縦桿11に
滑動子14を昇降動自在に組み付け、先端部に超音波発
受信用の第一のトランスデューサ部13を配した横桿1
2を、縦桿11の下端と滑動子14の何れか一方に連設
し、他方に、超音波発受信用の第二のトランスデューサ
部15を第一のトランスデューサ部13に対向して配
し、更に装置の一部に、水面または水底部分で超音波を
反射させる音速測定用の第三のトランスデューサ部18
と第四のトランスデューサ部20を、上下に所定間隔を
あけて夫々設けた構成で、第三のトランスデューサ部1
8、第四のトランスデューサ部20を省略し、第一のト
ランスデューサ部13と第二のトランスデューサ部15
との直線距離を確定する滑動子14の縦桿11に対する
任意の停止位置を、設定記録しても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、主として河川等の開
水路での流量を測定するための流速測定装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、河川等の開水路の所定箇
所の流量を測定する代表的な方法には、所定箇所に於け
る断面積と、その断面部分に於ける流体の流速を測定す
れば良いことが知られており、その具体的な手段は、開
水路の幅方向に沿った仮想線を一定の間隔でいくつかの
区間に分割し、この各区間毎の中央に於いて種々の垂直
水深位置で例えばプロペラ式流速計で局部流速を測定
し、この垂直線上の平均流速を計算し、部分断面積との
積から分割区間毎に部分流量を求め、それらの総和を算
出することから行われていた。
【0003】上記具体的手段を更に詳細に述べるなら
ば、図5に示すように、開水路と直交する測定断面を間
隔bで区分し、水深測線h1 、h2 ………、及び流速測
線V1、V2 ………を定める。更にこの流速測線につい
ては、図6に示すように水深方向にd1 、d2 ………と
区分し、この各境界点に於ける局部流速Uiを例えばプ
ロペラ式流速計で測定するのである。
【0004】このときプロペラ式流速計は物理的に有限
の大きさを有するため、例えば水面ではプロペラの一部
が水面から露出したり、河床ではプロペラが衝突してし
まったりして、水面及び河床の流速測定は現実には不可
能なので、可能な最近点の測定値をもとに推定すること
もある。
【0005】一方、水深測定は、例えばメジャーの如き
長さ目盛の付いた丸棒等の測深ロッドを使用して、人為
的に各水深測線に於ける水深を測定する。
【0006】その後の流量計算については、先ず、流速
測線毎の平均流速、即ち垂直平均流速Viを求める。例
えば図6に於いて式(a)である。
【0007】
【数1】
【0008】次に、このようにして求めた各流速測線の
垂直平均流速V1 、V2 ………V5と、各々に対応する
部分断面積を乗じて部分流量qを算出する。図5に於い
て式(b)であり、これ等の部分流量qの合計を式
(c)で全流量Qとするのである。
【0009】
【数2】
【0010】しかしながらこの手段は、種々の水深位置
で局部流速を測定し、且つ垂直平均流速を計算するのに
多くの時間と手間がかかり、しかも得られた垂直平均流
速は種々の要因で精度が低い欠点があり、この問題を解
消するべく、水中に発射した超音波の伝播速度、または
反射波の周波数が流速により変化することを利用して流
速を測定する装置がある。
【0011】この超音波を利用した流速測定手段は、従
来から主として使用されている前述したような機械式測
定手段に較べて、流速分布を乱さない、微流速から
高流速まで直線性がある、流速成分がわかる、実時
間測定ができ、連続自動観測が可能、機械的動作部分
がないので保守が容易である、等の利点が挙げられてい
る。
【0012】そして超音波流速測定方法には、伝播時間
差法、位相差法、シングアラウンド法、ドップラー法、
ビーム変位法等がある。
【0013】このうちシングアラウンド法の原理は、図
7に示す如くで、静止流体中の音速をc、流れの速さを
vとすると、超音波の伝播方向と流れの方向が同じ(順
方向)であれば伝播速度は(c+v)となり、逆の場合
には(c−v)となる。
【0014】そこで、二組の送受波器T1 →R1 、T2
→R2 を間隔l(スモールエル)で配置し、流れの向き
がX軸に対してθだけ傾いているとする。この場合、図
から明らかなように、X軸はT2 →R2 の方向であり、
また、T1 →R1 とT2 →R2 とは直交している。
【0015】送波器T1 から超音波パルスを発射し、受
波器R1 でこれを受信する。増幅、検波、波形整形して
パルス発信回路を駆動して、送波器T1 から再び超音波
パルスを発射する。以後この繰返しが行われ、繰返し周
波数(シングアラウンド周波数)f1 が得られる。尚、
図7で符号101はカウンター、102は増幅発振器で
ある。
【0016】次に、逆方向に音波が伝播するR1 →T1
についても同様の動作を行わせ、シングアラウンド周波
数f1'を得る。順、逆二つのシングアラウンド周波数の
差Δf1 を計算すると式(d)の如くなり、同様にT2
−R2 の組についてシングアラウンド周波数の差Δf2
を計算すると式(e)の如くなる。
【0017】
【数3】
【0018】従って、Δf1 、Δf2 は音速cに無関係
に流速vの直交成分に比例した値となるので、流速の大
きさと方向を知ることができるのである。水路などのよ
うに流速の方向が一方向で決まっているときには、一組
の送受波器で充分である。
【0019】また、河川のように流れの方向が一方向の
とき、河川の斜め横断方向に上流側と下流側に交互に音
波を発射して伝播時間を計測し、これ等の伝播時間の
差、或いはその逆数の差から流速を求める方法が時間作
法の原理であるが、伝播時間の差と、逆数の差から流速
を求める方法は、単に演算方法の違いに過ぎない。
【0020】さて、このうち、伝播時間差法を用いて開
水路の底から水表面までの垂直平均流速を超音波により
直接測定する装置として、例えば米国特許公報第553
1125号公報の如き発明が提案されている。
【0021】この米国特許公報第5531125号の概
略構成を図4に示すと共に、その動作原理を説明する
と、垂直桿1に対して、斜桿2が昇降動自在に及び角度
を変えての回動自在に装着されてあり、超音波発受信用
のトランスデューサ3を斜桿2下端に、トランスデュー
サ4と5を垂直桿1と斜桿2との連結位置に、トランス
デューサ6を垂直桿1下端に、夫々配する。尚、符号7
は各トランスデューサ等と電気的に接続された演算制御
器である。
【0022】上述したように、測定しようとする開水路
の幅方向に沿った仮想線を一定の間隔に水深測線として
分割し、一つおき毎の水深測線を流速測線として、この
位置で垂直桿1を水中に直立させ、開水路の上流方向に
延出する斜桿2を垂直桿1に対して昇降動させてトラン
スデューサ4と5を水面直下に位置させると共に、斜桿
2を垂直桿1に対して回動させて斜桿2下端を水底に接
地させて、垂直桿1に対して斜桿2を角度ψの姿勢にす
る。
【0023】ここで、トランスデューサ4から斜桿2下
端のトランスデューサ3に、また、逆にトランスデュー
サ3からトランスデューサ4に超音波を発信させ且つ受
信させ、両者の直線区間Lを伝播した時間t4,3 とt3,
4 を測定し、その差Δtを式(1)の如く求める。
【0024】
【数4】
【0025】ここで式(1)のvは、v=Vcosψ で流
速VのL線上での成分であり、音速をCとすると、式
(1)から流速Vは、式(2)の如く求められるもので
あり、時間差流速測定方法の演算式として周知のもので
ある。但し、流速を測定しようとするその水温や濁度等
によって、音速が変化し、またトランスデューサ3とト
ランスデューサ4との直線区間Lも水深hによって変え
ざるを得ないため、変動がある。
【0026】
【数5】
【0027】そこで、音速Cを式(3)で求め、水深h
を式(4)で求めるものであり、これらの値は、トラン
スデューサ5から垂直桿1下端のトランスデューサ6
に、また、逆にトランスデューサ6からトランスデュー
サ5に垂直方向に超音波を発信させ且つ受信させ、両者
の直線区間を伝播した時間t5,6 とt6,5 を測定するこ
とにより求める。
【0028】そして、式(3)を式(2)に代入して式
(5)を求め、式(5)と式(4)に4種のt、即ちt
3,4, 、t4,3 、t5,6 、t6,5 を代入して、垂直平均
流速Vと水深hを演算するのである。
【0029】処で、流量測定を目的として流速を測定す
る場合には、前述したように開水路の幅方向に沿った測
定断面に対し90°の方向の流速を測定することが必要
である。しかしながら、例えば流体の流れの方向が上下
傾斜する斜線成分を含んでいたり、或いは、垂直桿1自
体が斜めに立てられていると、垂直桿1に対する流れ方
向は90°ではなく、90°±βとなる。
【0030】そこでこの角度βを考慮して、前記した式
(2)、式(5)の cosψに代えてcos(ψ±β) とし
なければ、測定誤差が生じる。
【0031】トランスデューサ5と垂直桿1下端のトラ
ンスデューサ6とが相互に超音波を発受信させ、その伝
播時間t5,6 とt6,5 を測定してこれらの差を求めると
式(6)の如くなる。
【0032】
【数6】
【0033】ここで、β=0°のときはΔt5,6 =0に
なるが、仮にΔt5,6 ≠0のときは、垂直桿1を流れ方
向に対して前後に傾けながらΔt5,6 =0になる垂直桿
1の位置を探して、この際に傾けた垂直桿1の角度をβ
として測定し、式(7)で測定断面に対して90°な流
速成分vx を演算するのである。
【0034】
【数7】
【0035】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の発明には様々の欠点が存し、この欠点は実験に
於いても明らかになった。例えば、流速が0.5m/s以上に
なると、斜桿2の振動が激しくなる。これは、斜桿2全
体に流圧が加わるばかりでなく、下流側である斜桿2の
後方に渦流が発生するためである。更には、流速分布に
よって斜桿2に作用する流体の動圧が長さ方向の位置に
より異なり、また様々の水深での流速の脈動が異なるた
め、斜桿2の長さLが長いほど振動が著しくなる。
【0036】このように斜桿2の振動が顕著であると、
垂直桿1の振動も大きくなるため超音波で測定する流速
値の偏差が大きくなる。この偏差は流速の脈動よりもは
るかに大きい。その結果、長時間をかけて反復測定し、
平均値を求めてみても、その平均値が一定とならない。
即ち、流速測定誤差が高くなり、且つ測定時間が長くな
る問題があるのである。
【0037】また、他の欠点としては、流速が高いとそ
の抵抗力により斜桿2を自重で回動して水中に投入する
ことが困難な問題もある。
【0038】次に、上記した従来発明では、水深hに応
じて、垂直桿1に対する斜桿2の連結位置を水面位置に
対応するように昇降動させ、且つ斜桿2の先端を水底に
接地させるのであるから、斜桿2の角度ψは測定する水
深hによって毎回必ず変動する。また、トランスデュー
サ3とトランスデューサ4との直線区間Lも、水深hに
応じて度々変化する。
【0039】この角度ψ、或いは区間Lの正確な測定は
極めて重要である。即ち例えばψ=45°なのに±1°
の誤差で測定したらば、 cosψの測定誤差だけで1.8
%になってしまう。或いは区間Lの測定誤差が0.5%
あるとすると、式(2)及び式(3)の演算で合計3回
用いるので、0.5×3=1.5%の誤差になってしま
う。この他に斜桿2の振動が原因するΔt測定の誤差を
加えたらば、流速測定誤差が3乃至5%以上になってし
まうであろう。
【0040】そこでψ及び区間Lを正確に測定して流速
演算装置に入力しなければならず、この角度ψを測定す
るためには角度計を利用するか、角度センサを斜桿2の
回転軸に装着しなければならないが、角度計或いは角度
センサ等のコスト、重量、耐久性に問題があり、また、
屋外の用水路上に於いての正確な測定は困難であって、
更には流速測定作業量そのものを倍増させる。区間Lの
測定についても同様である。
【0041】なぜならば、流速測定誤差を1%に抑える
なら、時間t、区間L、及び角度ψの測定誤差が均等で
あるとした場合、例えば角度ψならψ=40°に於いて
±0.0572°以下、また、時間tなら一般的諸条件
のもとでの試算で±0.188nsと、非現実的な許容
誤差となる。
【0042】更には、上述した式(7)の角度をβを求
めるべく、垂直桿1を流れ方向に対して前後に傾けなが
らΔt5,6 =0になる垂直桿1の位置を探すことも、流
速の方向が刻々と変化するため困難を極める。
【0043】即ち、垂直桿1の姿勢を瞬間的にΔt5,6
=0にすることはできても、流速の方向が一定でなく脈
動があるので、常にゼロにすることはできない。現実の
用水路に於いて、流速方向に脈動がない場所など存在し
ないのである。そこでこの脈動の発生を見込んで、ディ
スプレイ表示が或る程度の幅をもってΔt5,6 =0とな
るように、超音波伝播時間測定装置の感度を低く抑える
と、本来の最終目的である直線区間Lの伝播時間t4,3
とt3,4 との測定誤差が大きくなる欠点が生じる。
【0044】仮に脈動がなかったとしても、トランスデ
ューサ5及び6の配置が原因で、現在の技術では有限の
寸法、重量、消費電力に於いて屋外環境のもとで、Δt
5,6の測定に必要とする精度を得ることは実現不可能で
ある。諸条件にもよるが、試算によればΔt5,6 の測定
には±0.1nsの精度が要求される。
【0045】以上説明したように、上記した従来発明
は、特に垂直桿1と斜桿2とを主要な構成要素としてい
るために様々な欠点不都合があり、本来の伝播時間差Δ
tの誤差のみならず、振動により伝播時間差Δtを倍増
させる一方、直線区間L、斜桿角度ψ等の誤差成分を招
き、そのまま或いはその数倍を流速測定誤差に波及させ
てしまう。
【0046】よって本発明は、上述した従来技術の不満
点を解決するため開発されたもので、簡単な構造で、且
つ省力化された極めて簡単な操作で、精度高く短時間で
流速を測定できるようにすることを目的とする。
【0047】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の流速測定装置は、請求項1の発明では、流体内
に位置する複数のトランスデューサ部間の超音波の伝播
時間または繰り返し周波数を測定して流速を求める装置
であって、縦桿に滑動子を昇降動自在に組み付け、先端
部に超音波発受信用の第一のトランスデューサ部を配し
た横桿を、縦桿の下端と滑動子の何れか一方に連設し、
他方に、超音波発受信用の第二のトランスデューサ部を
第一のトランスデューサ部に対向して配し、更に第一の
トランスデューサ部と第二のトランスデューサ部との直
線距離を確定する滑動子の縦桿に対する任意の停止位置
を、設定記録した構成である。
【0048】そこで先ず、横桿を縦桿の下端に連設し、
滑動子に超音波発受信用の第二のトランスデューサ部を
第一のトランスデューサ部に対向して配した構成の場
合、滑動子を縦桿に沿って昇降動させ、その任意の停止
位置を設定し、この停止位置での第一のトランスデュー
サ部と第二のトランスデューサ部との直線距離を予め測
定確定しておく。
【0049】そして、第一のトランスデューサ部と第二
のトランスデューサ部との直線距離が予め判明してい
る、縦桿に対する滑動子の任意の停止位置に滑動子を移
動させて再現させ、また、装置を測定しようとする任意
の流速測線位置に配置して、第一のトランスデューサ部
と第二のトランスデューサ部の何れか一方を水底に、他
方を水面に位置させ、両者間で超音波を発受信させて伝
播時間を測定し、その値と、確定している第一のトラン
スデューサ部と第二のトランスデューサ部との直線距離
の値とから、演算によって音速を求める。
【0050】次いで、縦桿を任意の流速測線である所定
位置に垂直に立設し、これによってこの下端にほぼ直角
に固定連設された横桿が、流速が最も小さく、従って流
圧等による振動等の影響が少ない水底に沿って位置し、
また、滑動子を昇降動させ、滑動子に装着させた超音波
発受信用の第二のトランスデューサ部を水面直下に配置
させる。
【0051】そこで、横桿先端部の第一のトランスデュ
ーサ部と滑動子の水面直下の第二のトランスデューサ部
との間で超音波を発受信し、この超音波の伝播時間差或
いは繰返し周波数の測定から、及び先に求めた音速を加
味して、流速を演算で求めるのである。このように、こ
こでは従来例の如き斜桿の構成はないので、大きな誤差
要因である流圧振動等や、角度ψや区間L、更には測定
作業の際の大きな手間となるこの角度ψや区間L等自体
を考慮する必要がない。
【0052】尚、上記した請求項1を含む以下の全請求
項全般に共通することであるが、横桿を滑動子に連設す
ると共に、超音波発受信用の第二のトランスデューサ部
を縦桿の下端に第一のトランスデューサ部に対向して配
した構成としても、前記した操作及び作用に何の差異も
ない。この場合は、第一のトランスデューサ部が水面直
下に、第二のトランスデューサ部が水底部分に、夫々位
置することになる。
【0053】横桿を滑動子に連設すれば、測定時に横桿
が水没することはないので、流圧を受ける部分が更に減
少して振動を全く考慮する必要がなく、次の流速測線へ
移動する時等にも撤去や水中へ再投入する際の水の抵抗
も殆ど受けることがなく、また水底に凸凹があっても邪
魔にならない利点がある一方、作業時に縦桿を立てるだ
けであるので安定感に欠けることもあり、作業現場の状
況に応じて、何れの構成の装置を使用することになるか
選択すれば良いであろう。
【0054】請求項2の発明では、縦桿に目盛を設け、
或るこの目盛の位置を、滑動子の縦桿に対する任意の停
止位置とした構成である。
【0055】ここでは、縦桿の或る目盛に滑動子を一致
させれば、第一のトランスデューサ部と第二のトランス
デューサ部との直線距離が判明するので、前述と同様の
操作で、超音波の伝播時間の測定のみによって音速を演
算で求め、流速測定をすることができる。
【0056】尚、目盛はそのまま水深測定の機能も果た
すことになるため、流速値を求めた後の流量値の演算に
も、利用することができる。
【0057】請求項3の発明では、流体内に位置する複
数のトランスデューサ部間の超音波の伝播時間または繰
り返し周波数を測定して流速を求める装置であって、縦
桿に滑動子を昇降動自在に組み付け、先端部に超音波発
受信用の第一のトランスデューサ部を配した横桿を、縦
桿の下端と滑動子の何れか一方に連設し、他方に、超音
波発受信用の第二のトランスデューサ部を第一のトラン
スデューサ部に対向して配し、更に装置の一部に、音速
測定用のトランスデューサ部を第一のトランスデューサ
部または第二のトランスデューサ部に対向して固定した
構成である。
【0058】ここでは音速測定用のトランスデューサ部
が装置の任意の一部に固定されているので、この音速測
定用のトランスデューサ部と、第一のトランスデューサ
部または第二のトランスデューサ部との直線距離が確定
しているため、直ちに超音波の伝播時間の測定のみによ
って音速を演算で求め、前述と同様の操作で流速測定を
することができる。
【0059】上記した請求項1から3に記載の発明は、
主に測定者が水中に入って作業できるような場合に最適
である。
【0060】次に請求項4の発明では、流体内に位置す
る複数のトランスデューサ部間の超音波の伝播時間また
は繰り返し周波数を測定して流速を求める装置であっ
て、縦桿に滑動子を昇降動自在に組み付け、先端部に超
音波発受信用の第一のトランスデューサ部を配した横桿
を、縦桿の下端と滑動子の何れか一方に連設し、他方
に、超音波発受信用の第二のトランスデューサ部を第一
のトランスデューサ部に対向して配し、更に装置の一部
に、水面または水底部分で超音波を反射させる音速測定
用の第三のトランスデューサ部と第四のトランスデュー
サ部を、上下に所定間隔をあけて夫々設けた構成とす
る。
【0061】従って、第三のトランスデューサ部から水
面または水底の何れか一方に向かって発信され且つそこ
で反射されて第三のトランスデューサ部で受信する超音
波の伝播時間、及び第四のトランスデューサ部から水面
または水底にの何れか一方に向かって発信され且つそこ
で反射されて第四のトランスデューサ部で受信する超音
波の伝播時間、を夫々測定し、その値を演算して水深と
音速を求める。
【0062】ここでの超音波の伝播時間の測定パターン
は、上記したように、第三のトランスデューサ部同士及
び第四のトランスデューサ部同士での発受信に限るもの
ではなく、第三のトランスデューサ部同士及び第三のト
ランスデューサ部から発信して第四のトランスデューサ
部で受信するパターン、第三のトランスデューサ部同士
及び第四のトランスデューサ部から発信して第三のトラ
ンスデューサ部で受信するパターン、第四のトランスデ
ューサ部同士及び第四のトランスデューサ部から発信し
て第三のトランスデューサ部で受信するパターン、更
に、第四のトランスデューサ部同士及び第三のトランス
デューサ部から発信して第四のトランスデューサ部で受
信するパターン、の何れであっても、その測定値を演算
して水深と音速を求めることができる。
【0063】そして、前述と同様に滑動子を昇降動させ
て、滑動子に装着させた超音波発受信用の第二のトラン
スデューサ部を水面直下に配置し、横桿先端部の第一の
トランスデューサ部との間で超音波を発受信して、この
超音波の伝播時間差或いは繰返し周波数の測定から、及
び先に求めた音速を加味して流速を演算で求める。
【0064】この場合、請求項5の発明のように、第三
のトランスデューサ部と第四のトランスデューサ部の双
方または何れか一方が発信する超音波を反射する反射板
を、装置の一部に配すると共に、第三のトランスデュー
サ部と第四のトランスデューサ部を、反射板に対向する
装置の他の一部に配すれば、水深と音速を求めるための
超音波の伝播時間の測定に関し、超音波の反射をより確
実にすることができる。
【0065】また、請求項6の発明のように、第三のト
ランスデューサ部と第四のトランスデューサ部、または
反射板の何れか一方を、滑動子に、第二のトランスデュ
ーサ部とほぼ同一高さ位置で下方に向けて配する構成と
すれば、これ等の何れかを第二のトランスデューサ部と
共に水面部分に同時に位置せしめることができて、配置
の手間が省けることになる。
【0066】請求項7の発明は、流体内に位置する複数
のトランスデューサ部間の超音波の伝播時間または繰り
返し周波数を測定して流速を求める装置であって、縦桿
に滑動子を昇降動自在に組み付け、先端部に超音波発受
信用の第一のトランスデューサ部を配した横桿を、縦桿
の下端と滑動子の何れか一方に連設し、他方に、超音波
発受信用の第二のトランスデューサ部を第一のトランス
デューサ部に対向して配し、更に、装置の一部に、音速
測定用の第五のトランスデューサ部を設けると共に、他
の一部に、この第五のトランスデューサ部に対向して、
音速測定用の第三のトランスデューサ部と第四のトラン
スデューサ部とを、上下に所定間隔をあけて夫々設けた
構成である。
【0067】即ちここでは、請求項5、6に記載の反射
板に替えて第五のトランスデューサ部を採用するもので
あって、音速と水深を求めるのに、第三のトランスデュ
ーサ部と第五のトランスデューサ部、及び第四のトラン
スデューサ部と第五のトランスデューサ部との間の超音
波の伝播時間を測ることにより、超音波を反射させるの
ではなく、直接トランスデューサ同士の交信とするもの
であり、より確実な測定が可能となる。
【0068】請求項8の発明は、流体内に位置する複数
のトランスデューサ部間の超音波の伝播時間または繰り
返し周波数を測定して流速を求める装置であって、縦桿
に滑動子を昇降動自在に組み付け、先端部に超音波発受
信用の第一のトランスデューサ部を配した横桿を、縦桿
の下端と滑動子の何れか一方に連設し、他方に、超音波
発受信用の第二のトランスデューサ部を第一のトランス
デューサ部に対向して配し、更に、装置の一部に、第一
のトランスデューサ部または第二のトランスデューサ部
に対向して、音速測定用の第三のトランスデューサ部と
第四のトランスデューサ部とを、上下に所定間隔をあけ
て夫々設けた構成とする。
【0069】そしてこの場合、請求項7の発明のように
第五のトランスデューサ部を別途装着することなく、音
速と水深を求めるのに第一のトランスデューサ部または
第二のトランスデューサ部をもって代替させる構成にす
れば、この測定に新たな部材を必要としないので経済的
で且つ流速測定もそのまま引き続き行えるので省力的で
ある。
【0070】上記したいずれの請求項に記載の発明で
も、前述したように、横桿を滑動子に連設すると共に、
超音波発受信用の第二のトランスデューサ部を縦桿の下
端に第一のトランスデューサ部に対向して配した構成と
しても、前記した操作及び作用に何の差異もない。
【0071】更には、上記した請求項4から8に記載の
発明は、水深が深かったり流速が大きくて測定者が水中
に立ち入るのに危険が伴う場合に、また例えば、水面か
ら離れていてメジャーでは水深が測定しにくい仮設橋等
から作業するのに、主に用いることを想定するものであ
る。
【0072】尚、上記した説明では、トランスデューサ
部間での超音波の伝播時間差の測定から流速を演算で求
める手段を主として述べたが、各請求項の何れにあって
も、第一のトランスデューサ部と第二のトランスデュー
サ部との間で超音波を発受信することにより、前述した
ようにシングアラウンド法の繰返し周波数から流速を求
めることも可能である。
【0073】また、請求項9に記載した発明のように、
縦桿に昇降動自在に組み付けられる滑動子を、水に浮く
浮力体で構成すれば、滑動子は常に水に浮く状態となる
ので、特に、仮設橋等から作業する場合に、手作業によ
る滑動子の位置合せを必要としなくて済み、且つ人為的
な誤差や位置合せ作業のバラツキが皆無となり、より正
確にして例えば測定作業者が異なっても一定を確保した
測定が可能となる。
【0074】即ち前述したように滑動子には、トランス
デューサ部や反射板を配置することになるのであるが、
これ等は測定時には水面直下に位置させなければなら
ず、従って、滑動子が水に浮く浮力体であれば、滑動子
が水面に浮いた際に確実にトランスデューサ部や反射板
等を水面直下に位置させることができるのである。
【0075】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の基本的構造は、縦
桿11に滑動子14を昇降動自在に組み付け、先端部に
超音波発受信用の第一のトランスデューサ部13を配し
た横桿12を、この縦桿11の下端と滑動子14の何れ
か一方に連設し、他方に、超音波発受信用の第二のトラ
ンスデューサ部15を横桿12先端部の第一のトランス
デューサ部13に対向して配した構成である。
【0076】この場合、図1、図3に示した図示実施例
では、縦桿11の下端に横桿12がほぼ直角に連設さ
れ、滑動子14に第二のトランスデューサ部15が設け
られており、図2に示した図示実施例では、滑動子14
に横桿12を、縦桿11に対してほぼ直角に連設し、縦
桿11の下端に第二のトランスデューサ部15を設ける
構成としている。
【0077】何れの形態であってもその作用・機能には
なんらの変化や遜色はないが、図2では測定時に横桿1
2先端部から垂下設した第一のトランスデューサ部13
のみが水没することになって、横桿12は流圧を受けな
いので装置の振動を更に著しく抑制することができ、次
の流速測線へ移動する時等にも撤去や水中へ再投入する
際の水の抵抗も殆ど受けることがなく、更には水底に凸
凹があっても邪魔にならない利点があり、一方図1、図
3では縦桿11が横桿12に支持されるので立脚が安定
する。
【0078】そして、図2に示した構成にすると、測定
時の河川に対する平面視で、両岸を結ぶ流速測定仮想線
即ち測定断面に対して横桿12が直角に配置されている
ことを簡単且つ確実に視認できる利点もある。
【0079】基本的に請求項1、2に記載の発明を示し
た図1、図2の実施例にあって、第一のトランスデュー
サ部13と第二のトランスデューサ部15との水平方向
の間隔dは、滑動子14の昇降動に関わりなく常に一定
(d=constant)となっていて、滑動子14を
縦桿11のほぼ下端にまで移動させ、水平に対向させた
際の第一のトランスデューサ部13と第二のトランスデ
ューサ部15の距離である。
【0080】第一のトランスデューサ部13と第二のト
ランスデューサ部15は、例えば球形の圧電セラミック
等で成形された指向角の広い超音波発受信用のものであ
るが、これは滑動子14の昇降動に伴い両者の対向角度
が異なってくるので、いかなる相互位置でも両者間の超
音波の発受信が確実に行われるようにするためである。
従って、この作用が達成される限り、ここでのトランス
デューサを指向角の広いものにする必要はなく、例え
ば、ギアまたはワイヤ、或いは細桿等で、第一のトラン
スデューサ部13と第二のトランスデューサ部15とを
連結し、滑動子14の昇降動に対応して第一のトランス
デューサ部13と第二のトランスデューサ部15とが常
にほぼ対向できるようにする機構としても良い。
【0081】また、滑動子14を長尺管構造として縦桿
11に昇降動自在に外装組付けし、図1、図3の変形例
として、この滑動子14の例えば上・中・下の三箇所に
夫々単体のトランスデューサを設けて、これ等三個の単
体のトランスデューサをもって第二のトランスデューサ
部15を形成し、各トランスデューサを第一のトランス
デューサ部13とほぼ対向する最適な角度にする構成と
しても良い。ここでは、滑動子14を昇降動させて水面
に最も近い位置にあるトランスデューサ単体を水面直下
に位置させるのであり、滑動子14の昇降動ストローク
を小さくできる利点がある。
【0082】逆に、第一のトランスデューサ部13また
は第二のトランスデューサ部15として複数のトランス
デューサ単体を夫々最適な角度で配して構成しても良い
し、更には、第二のトランスデューサ部15も第一のト
ランスデューサ部13も夫々複数のトランスデューサ単
体で構成しても良い。これ等の複数のトランスデューサ
単体を同時にまたは別々に送信したり、受信信号を必要
に応じて選択するのは、後述するコントローラ23で容
易に制御可能である。
【0083】尚、第一のトランスデューサ部13または
第二のトランスデューサ部15を例えば三個程度のトラ
ンスデューサ単体で構成し、ほぼ対向させれば良いの
は、通常のトランスデューサ単体の指向角が15°から
30°はあるからであり、そして、各トランスデューサ
部の夫々複数のトランスデューサ単体を、発信専用、受
信専用のものにすることも可能である。またいずれのト
ランスデューサ部にあっても、発信専用や受信専用のト
ランスデューサを含めて構成することも可能である。
【0084】更に上記した滑動子14は、図1の実施例
では第二のトランスデューサ部15と一体となって縦桿
11に沿って昇降動できる形態であれば良く、単純に保
持片やブラケット等であっても良い。そして図2の実施
例のように、滑動子14に横桿12を一体設しても良
い。
【0085】縦桿11の上部は把持部21となってお
り、更にその上端には水平計22が設けられ、更に各ト
ランスデューサはコントローラ23と電気的に接続さ
れ、このコントローラ23には、各トランスデューサ稼
働用のパルス発振器、受信信号の増幅器、超音波パルス
の伝播時間測定装置、トランスデューサの作動アルゴリ
ズム制御装置、水深、音速、流速等の演算装置、等が内
蔵され、制御できるようになっている。
【0086】処で、超音波の伝播時間を測定し流速を算
出する一つの方法に於いては、この超音波が伝播する流
体中(水中)での速度即ち音速を求めなければならな
い。測定者が立ち入ることができるような低水深で且つ
或る程度の流速でしかも自然の開水路の場合は、同一測
定断面内にある各流速測線毎に水温差や浮遊物量差等に
よって水密度に局部的差異が生じ音速が異なることは非
常に稀であるが、上記した理由で少なくとも一回は音速
の測定が必要である。
【0087】そこで請求項1の発明にかかる実施例で
は、第一のトランスデューサ部13と第二のトランスデ
ューサ部15との直線距離を確定する滑動子14の縦桿
11に対する任意の停止位置を設定記録し、音速の計算
に用いる。
【0088】例えば、滑動子14を縦桿11に沿って最
下端まで移動させて確実に突き当たり停止する位置Aを
製造時等に工場等で予め設け、この位置に於ける第一の
トランスデューサ部13と第二のトランスデューサ部1
5との直線距離Liを専用測定器で精密に測定し、記録
しておく。尚、この位置Aが前述したように第一のトラ
ンスデューサ部13と水平に対向する位置であれば、L
i(=constant一定)=d(=constan
t一定)となり、記録するのに更に便利である。
【0089】ここでのdは、流速測定時の測定断面と直
交する方向の仮想距離で流速の演算に用いるものであ
り、これが一定であれば良いのであるから、滑動子14
の昇降動に伴って昇降動する第一のトランスデューサ部
13または第二のトランスデューサ部15の移動が測定
断面と平行な垂直方向であれば良く、横桿12は縦桿1
1に対して必ずしも直角に延出する必要はない。
【0090】そして音速測定時には、上記したように滑
動子14を縦桿11に沿って最下端まで移動させて停止
する位置Aに配し、第一のトランスデューサ部13と第
二のトランスデューサ部15との直線距離を確定させた
ならば、装置を流速測定しようとする任意の流速測線に
配置し、例えば位置Aを支点にして横桿12を引き起こ
し、その先端部に設けられた第一のトランスデューサ部
13を水面直下に位置させる。
【0091】第二のトランスデューサ部15は位置Aで
ある水底近傍に位置しているので、第一のトランスデュ
ーサ部13との間で例えばパルス状の超音波を発受信
し、音速C2 を式(8)で演算することができる。ここ
でt1513は第二のトランスデューサ部15から第一の
トランスデューサ部13までの超音波の伝播時間、
1315は第一のトランスデューサ部13から第二のト
ランスデューサ部15までの超音波の伝播時間である。
【0092】
【数8】
【0093】尚、第一のトランスデューサ部13を位置
Aである水底近傍の位置に、第二のトランスデューサ部
15を水面直下に位置させるように、縦桿11を引き起
こしたり傾けたりしても、この姿勢が瞬間的に保持され
れば、音速を求めるのになんの差異もない。
【0094】また音速測定の場合は、水深が浅ければ、
または流速が或る程度の速さであれば、水面から水底ま
での範囲に於ける水密度分布が急変することはないの
で、夫々を水底に密着させたり、厳密に水面直下に位置
させたりする必要はない。
【0095】上記した実施例は、滑動子14を縦桿11
の最下端まで移動させて第一のトランスデューサ部13
と第二のトランスデューサ部15との直線距離を確定し
ていたが、逆に滑動子14を縦桿11の最上端まで移動
させて突き当たり停止する位置Bで直線距離を確定して
も良いものである。
【0096】この場合の音速測定は、第一のトランスデ
ューサ部13を水底近傍に位置させた状態で縦桿11を
横桿12の延長線に対して90°異なった河岸方向に傾
け、第二のトランスデューサ部15を水面直下に水没さ
せて行うことになる。
【0097】そして図2に示した実施例の構成のよう
に、第一のトランスデューサ部13を水面直下に、第二
のトランスデューサ部15を水底に、夫々に位置させて
も、第一のトランスデューサ部13と第二のトランスデ
ューサ部15とは所定の間隔を維持させることができる
ので、音速を求めるための操作や作用は上記実施例と変
動がない。
【0098】次いで、請求項3の発明のように、音速測
定専用のトランスデューサ部15’を、第一のトランス
デューサ部13または第二のトランスデューサ部15に
対向して装置の一部に固定しても良い。この場合の固定
位置は、滑動子14の縦桿11に対する移動に支障のな
い部分である。
【0099】図1の実施例のように、縦桿11の下端に
連設された横桿12の先端部に第一のトランスデューサ
部13を配し、滑動子14に第二のトランスデューサ部
15を設けた構成では、音速測定専用のトランスデュー
サ部15’は、第一のトランスデューサ部13に対向し
て縦桿11の最上端である位置B、または第二のトラン
スデューサ部15に対向して縦桿11の最下端である位
置Aに固定されるのが望ましく、図2の実施例のよう
に、滑動子14に横桿12を連設し、縦桿11の下端に
第二のトランスデューサ部15を設けた構成では、音速
測定専用のトランスデューサ部15’は、第一のトラン
スデューサ部13に対向して縦桿11の最下端である位
置A、または第二のトランスデューサ部15に対向して
縦桿11の最上端である位置Bに固定されるのが望まし
いが、上述したように原則的には、固定位置は、滑動子
14の移動に支障がなければ良い。
【0100】音速測定のため第一のトランスデューサ部
13と第二のトランスデューサ部15との直線距離を確
定させるべく、第一のトランスデューサ部13または第
二のトランスデューサ部15と一体となっている滑動子
14を縦桿11の所定停止位置に必ず位置合せをしなけ
ればならない場合、上記したように、滑動子14を縦桿
11を上下に移動させて突き当てることが、或いは前記
したように音速測定専用のトランスデューサ部15’を
固定しておくことが、操作が簡単である。
【0101】しかしながら、滑動子14の縦桿11に対
する所定停止位置は上記の形態に限るものではなく、位
置Aと位置Bとの間の何れの箇所であっても、且つ一箇
所に限らず複数箇所であっても、更にはこの複数箇所が
等間隔でも等間隔でなくても良い。
【0102】この停止手段はその任意の位置で確実に停
止できるものであれば良く、上記したように突き当てる
手段、或いは縦桿11と滑動子14との間の摺接対向面
に相互に凹凸を設け、凸部が凹部にバネ等の作用で噛み
合い仮係止する手段でも良い。そして、その位置をスト
ップ点として自動入力するようにすれば、作業性が更に
向上しよう。
【0103】この滑動子14の縦桿11に対する任意の
停止位置が予め判明していれば、第一のトランスデュー
サ部13と第二のトランスデューサ部15との直線距離
が確定することになるので、従来例の如くLを毎回測定
する必要もそれに伴う誤差もなくなる。そしてこの直線
距離Liを例えばコントローラ23に予め入力記憶させ
ておけば、更に正確且つ高作業性となる。
【0104】上記構成であれば、予めコントローラ23
に入力記憶等させて記録した第一のトランスデューサ部
13と第二のトランスデューサ部15との直線距離Li
の値を、同じく予め設定した或る箇所に滑動子14を停
止させることにより正確且つ容易に再現でき、しかも所
定の作業によって第一のトランスデューサ部13と第二
のトランスデューサ部15との何れか一方を水面直下近
傍、他方を水底近傍に位置させることができるので、上
記の如くして音速を測定することができるのである。
【0105】そして後述するように、流量を測定する場
合には、当該測定位置での水深hも求めなければなら
ず、メジャーで水深hを計測する手段もあるが、請求項
2に記載した発明のように、本装置にメジャーの機能も
持たせるべく、縦桿11に一定間隔(通常は1cm毎が必
要)で目盛24を設ける手段も考えられ、この目盛24
をもって、音速測定作業の際の上記滑動子14の所定停
止箇所を設定することも可能である。
【0106】例えば今、水深hが45cmであるのに対
し、滑動子14の或る所定停止点を約40cmに設定すれ
ば、その位置に停止させてそのままで音速Cを測定で
き、滑動子14の或る所定停止点を約50cmに設定すれ
ば、その位置に停止させた場合は、縦桿11を河岸方向
に傾けて滑動子14をほんの僅かの時間だけ水面下に位
置させ、音速Cを測定できる。
【0107】更には、水深hの値と、第一のトランスデ
ューサ部13と第二のトランスデューサ部15との直線
距離Liの値との関数を予め記録し、Liを確定するこ
とも可能である。つまり、後述するように流速を求める
ためには第一のトランスデューサ部13または第二のト
ランスデューサ部15は水面直下に位置させなければな
らず、この位置は、縦桿11を直立させた際の水深位置
である。
【0108】そして、流量を求めるためには、前述した
ように何れかの段階で水深hを測定しなければならな
い。そこで、或る水深h値と直線距離Liの値、他の水
深h値とその場合の直線距離Liの値といった関数が、
例えばコントローラ23に予め入力記憶されてあれば、
水深hを測定すれば直線距離Liも判明する。
【0109】また、第一のトランスデューサ部13また
は第二のトランスデューサ部15を水面直下に配して流
速測定を行うときの直線距離Liが正確に算出できれ
ば、dは一定なので、後述の計算式とは異なり、音速を
測定することなく、即ち用いることなく流速を算出する
こともできる。
【0110】従ってここでは、滑動子14の停止位置を
設定する必要もなく、別途のメジャーを用いるのであれ
ば、目盛24も必要としない。但し、人為的に目盛を読
み取って水深を測定する手段は、水深のみならずそれか
ら算出するLi等にも誤差の虞れがあろう。
【0111】上述した音速測定のための各手段によれ
ば、流速測定現場での一対のトランスデューサ部の直線
距離Liの値や、それを算出するための角度や距離を毎
回のように測定したり、一致・調整する手間は無用であ
り、しかもそれらの作業に伴う誤差は、例えば工場の専
用測定器で精密に測定し、自動的に滑動子14を或る所
定位置に停止させることができるので誤差は殆ど無く、
簡便且つ正確な音速測定が可能となる。
【0112】さて、上述したような各手段の何れかによ
って音速Cを求めたならば、任意の流速測線で縦桿11
を開水路内に入れて水底に下端を突き刺し、縦桿11を
軸回動させて横桿12を、開水路の測定断面に直交する
上流方向に位置させ、縦桿11上端の水平計22を見な
がら縦桿11を垂直姿勢にする。但し、開水路の水底の
勾配角度が大きい場合は、縦桿11をこの勾配面に直交
するようにする。
【0113】そして、滑動子14を昇降動させて第一の
トランスデューサ部13または第二のトランスデューサ
部15を水面直下に位置せしめ、滑動子14を縦桿11
に固定する。
【0114】この状態でコントローラ23で制御して、
直ちに第一のトランスデューサ部13と第二のトランス
デューサ部15との間で例えばパルス状の超音波を発受
信させ、伝播時間t1513とt1315とを測定して流速
Vを式(9)で演算し、ディスプレイに表示すると同時
に記憶させる。
【0115】
【数9】
【0116】ここでdは、滑動子14を下降させて、そ
の第二のトランスデューサ部15が横桿12先端部の第
一のトランスデューサ部13に水平に対向した際の間隔
であって、式(10)から明らかなように、滑動子14
の昇降動に伴い第二のトランスデューサ部15があらゆ
る水深に対応していかに上下変位しても常に一定であ
り、このdは、予め例えば工場での生産時にただの一回
のみ精密に測定してコントローラ23に入力記憶させて
ある。
【0117】これにより、従来例で行われていた角度や
長さを毎回測定する手間や機構自体を省くことができる
ばかりでなく、不要な誤差を招く可能性が皆無になる。
またC2 は、式(8)で測定して記憶していた音速を用
いて演算する。
【0118】水中での音速は、一般にC≒1500m/
sなので、第一のトランスデューサ部13と第二のトラ
ンスデューサ部15との間の直線距離間隔をL=1mと
しても、t15,13 とt13,15 を一回だけ測定するのに必
要な時間は1.5×10-3以内であり、従って1秒間に20
回の反復をさせながら5秒間測定をしたら、100回の
反復測定となり、t15,13 とt13,15 の平均値を式
(9)に代入するのである。この場合の伝播時間測定の
偶然誤差は、100の平方根で1/10になる。
【0119】尚、上述の測定対象や演算式は一例に過ぎ
ず、シングアラウンド法はもとより同じ時間差法であっ
ても、測定対象物を代えることにより、例えばd=co
nstant(一定)なので、水深測定によって求めた
hまたは人為的に測定したhを用いて演算すれば、前述
のように音速Cの測定や演算を省略する等、異なった式
での演算方法もある。
【0120】このようにして流速を測定する或る流速測
線で垂直平均流速を測定したならば、次の流速測線に装
置を移動して、同様の操作を行うことになる。
【0121】上記した請求項1から3に記載の発明にか
かる実施例は、測定者が水中に入って作業できるような
場合に用いることができるものであるが、請求項4から
8に記載の発明にかかる以下の実施例は、水深が深かっ
たり流速が大きくて測定者が水中に立ち入るのに危険が
伴う場合や、例えば、水面から離れていてメジャーでは
水深が図りにくい仮設橋等から作業するのに主に用いる
ことを想定するものである。但し、以下の実施例であっ
ても、測定者が水中に入って作業する場合にも使用でき
ることは勿論である。
【0122】先ず、基本的に請求項6に記載の発明を示
した図3の実施例にあって、先の実施例と同様、縦桿1
1、横桿12、横桿12の先端部に取り付けられる第一
のトランスデューサ部13、縦桿11に昇降動自在に組
み付けられる滑動子14、滑動子14に取り付けられる
第二のトランスデューサ部15を有し、滑動子14にあ
って第二のトランスデューサ部15とほぼ同一高さレベ
ルで、90°周方向にずれた位置には、反射板16が設
けられている。反射板16の下流にトランスデューサ部
15が位置すると、流体が反射板16にあたって渦流や
泡を起こし、トランスデューサ部15の測定精度に影響
を及ぼす虞れがあるため、この位置に設定される。
【0123】一方、装置の下端である縦桿11の下端に
は横桿12と共に、反射板16に対向して底板17が設
けられており、この底板17上には第三のトランスデュ
ーサ部18が設けられ、更に底板17上に立設された保
持桿19の上端には第四のトランスデューサ部20が設
けられる。
【0124】即ち、第四のトランスデューサ部20は、
第三のトランスデューサ部18の上方で、保持桿19の
長さ(l)(スモールエル)の所定上位に位置し、且つ
これ等第三のトランスデューサ部18と第四のトランス
デューサ部20は反射板16に対向する。
【0125】そこで装置を水中に設置して、滑動子14
を昇降動させ、第二のトランスデューサ部15を水面直
下に位置させることによって反射板16も水面に位置さ
せ、先ず、第三のトランスデューサ部18から例えばパ
ルス状の超音波を発信して反射板16に至らしめて反射
させ、再度この第三のトランスデューサ部18で反射超
音波パルスを受信させた場合、その伝播時間は式(1
1)の如くなり、また、同様にして第四のトランスデュ
ーサ部20と反射板16との間の超音波パルスの伝播時
間は式(12)の如くなる。
【0126】
【数10】
【0127】
【数11】
【0128】ここでvは、流速Vが、第三のトランスデ
ューサ部18から反射板16までの間隔であるh’線に
対して、直角でない場合(例えば88°、92°等)の
h’線上の流速成分であって、v=Vcos (90°−
β)で表される。ここでβは、Vがh’と直交する仮想
線に対してずれた角度である。
【0129】このようにして求めたt18とt20の伝播時
間をコントローラ23が測定して記憶すると共に、以下
の式(13)で音速のいかんによらず水深hを演算す
る。ここで保持桿19の長さである(l)(スモールエ
ル)、及び第三のトランスデューサ部18と水底との間
隔aは、予め正確に判明しているので、定数として入力
しておく。また、式(13)は式(14)で求め得る。
そして水深hと共に、音速Cを式(15)で演算し、記
憶させる。
【0130】
【数12】
【0131】尚、ここでの超音波の発受信は、前述した
ように必ず同一のトランスデューサ部で行う必要はな
い。即ち例えば、第三のトランスデューサ部18同士及
び第四のトランスデューサ部20同士での発受信に限る
ものではなく、第三のトランスデューサ部18同士及び
第三のトランスデューサ部18から発信して第四のトラ
ンスデューサ部20で受信する形態、第三のトランスデ
ューサ部18同士及び第四のトランスデューサ部20か
ら発信して第三のトランスデューサ部18で受信する形
態、第四のトランスデューサ部20同士及び第四のトラ
ンスデューサ部20から発信して第三のトランスデュー
サ部18で受信する形態、更に、第四のトランスデュー
サ部20同士及び第三のトランスデューサ部18から発
信して第四のトランスデューサ部20で受信する形態、
の何れであっても、その測定値を演算して水深と音速を
求めることができる。
【0132】上記水深hと音速Cの演算を行い、記憶が
終了したならば第二のトランスデューサ部15は既に水
面直下に位置しているので、先の実施例と同様、直ちに
第一のトランスデューサ部13と第二のトランスデュー
サ部15との間で例えばパルス状の超音波を発受信さ
せ、伝播時間t1513とt1315とを測定し、且つ音速
Cを加味して流速Vを式(9)で演算させ、求めること
になる。
【0133】このようにして流速を測定する或る流速測
線で垂直平均流速を測定したならば、次の流速測線に装
置を移動して、同様の操作を行うことになる。
【0134】そこで、例えば、測定断面を開水路幅方向
に間隔bで等分して、各流速測線での流速値から流量を
計算する手段では、コントローラ23には各流速測線に
於けるVi及びhiが既に記憶されているので、水深未
測定の水深測線に於いて本装置で順次水深のみを測定し
自動入力させる一方、間隔bなる一つの値だけをコント
ローラ23に入力して流量計算を行わせると、例えば前
述した式(b)、式(c)の如くコントローラ23が総
流量Qを自動演算し、その値をディスプレイに表示する
と共に記憶させることができる。尚、水深測定のみを行
う測線では、本装置によらず、測深ロッドで人為的に水
深測定を行い、コントローラ23に人為的に入力するこ
とも勿論可能である。
【0135】処で、上述した実施例では、水深hと音速
Cの測定のための部材として、縦桿11下端に設置した
第三のトランスデューサ部18とその上位に設置した第
四のトランスデューサ部20に対向して、反射板16を
上方の滑動子14に装着した構造を示したが、これに限
定されるものではなく、例えば第三のトランスデューサ
部18と第四のトランスデューサ部20を横桿12の一
部に設置し、これ等に垂直方向に対向する上方に反射板
16を設置する構成としても良い。これが請求項5に記
載の実施形態である。
【0136】但しこの場合、少なくとも水深測定時には
反射板16が常に水面に移動できる構造にしなければな
らないのはもとよりであり、また、音速測定だけの機能
としては、反射板16は必ずしも水面に移動させること
はなく、更には第三のトランスデューサ部18と第四の
トランスデューサ部20に対し、反射板16を垂直方向
に対向させる必要もない。
【0137】尚、反射板16と、第三のトランスデュー
サ部18と第四のトランスデューサ部20の組み合わせ
物とは、上下に相対的に位置すれば良いものであるか
ら、反射板16を縦桿11下端またはこの位置に相当す
る装置下部に、第三のトランスデューサ部18と保持桿
19の長さである(l)(スモールエル)だけ下位の第
四のトランスデューサ部20の組み合わせ物を例えば滑
動子14の一部に夫々装着し、第三のトランスデューサ
部18と第四のトランスデューサ部20の組み合わせ物
を水面直下に移動させるようにしても良い。
【0138】また、超音波の反射が確実に確保されるな
らば、部材削減の観点から反射板16を設けずに、第三
のトランスデューサ部18或いは第四のトランスデュー
サ部20からの超音波を水面或いは水底で反射させる形
態としても良い。これが請求項4に記載の実施形態であ
る。
【0139】更には、水深及び音速の測定確度を高める
ためならば、反射板16や水面または水底で反射させる
方式ではなく、第三のトランスデューサ部18と第四の
トランスデューサ部20に対向する所定水面或いは水底
部分に、音速測定用の第五のトランスデューサ部1
5’’を設ける構成としても良い。請求項7に記載の発
明の実施形態である。この場合、併せて水深も測定する
場合には、第三のトランスデューサ部18と第四のトラ
ンスデューサ部20の組み合わせ物と、この第五のトラ
ンスデューサ部15’’とは垂直に対向させる必要があ
り、且つ一方は水面直下に、他方は水底部分に位置させ
なければならない。
【0140】ここでは、第三のトランスデューサ部18
と第五のトランスデューサ部15’’との間、及び第四
のトランスデューサ部20と第五のトランスデューサ部
15’’との間で超音波を交信することにより伝播時間
を測定することができる。
【0141】この場合、第五のトランスデューサ部1
5’’を上述したように滑動子14に装着しておけば、
水深h及び音速Cの測定と、流速V測定のための水面部
分への位置合せが一回の操作で済む。また、請求項8の
発明のように、第一のトランスデューサ部13または第
二のトランスデューサ部15をもって第五のトランスデ
ューサ部15’’を兼用させることもできる。
【0142】さて、上記した実施例は、基本的構造であ
る図1の発展形として図3での説明をしたものである
が、同じく基本的構造である図2の発展形として図3の
構造を加味しても、機能的には同一である。即ち、滑動
子14に横桿12を、縦桿11に対してほぼ直角に連設
し、縦桿11の下端に第二のトランスデューサ部15を
設ける構成とするものである。
【0143】この場合にも、滑動子14またはこれと一
体となった横桿12の所定部位に、反射板16または第
三のトランスデューサ部18と第四のトランスデューサ
部20の組み合わせ物の何れかを装着し、或いは反射板
16を省略して第三のトランスデューサ部18と第四の
トランスデューサ部20の組み合わせ物を装着し、ま
た、第五のトランスデューサ部15’’または第三のト
ランスデューサ部18と第四のトランスデューサ部20
の組み合わせ物の何れかを装着し、更には、第一のトラ
ンスデューサ部13に対向してこの組み合わせ物を縦桿
11の下端に装着する構成でも良い。
【0144】上記した図2の各実施例は、開水路に流量
測定橋を架け、その上に測定者が立って流速を測定する
場合、或いは、流速と水深を測定してコントローラ23
に記憶させて流量を演算する場合、等に最も役に立つも
のである。
【0145】尚、例えば測定橋が水面から非常に遠く、
水面直下に配置しなければならない部材(例えば或る実
施例での反射板16や第二のトランスデューサ部15等
々)が確実に水面直下に位置したことが視認できないよ
うな場合には、なんらかの確認装置が必要となることも
あろう。例えば水中に位置している或るトランスデュー
サから発信された超音波信号は水面で水中に反射するこ
とを利用し、水上から滑動子14を縦桿11に沿って下
降させ、滑動子14に装着した例えば或るトランスデュ
ーサが水中からの超音波信号を受信したならば、所定の
ランプが点灯し、或いはブザーが鳴動する、といった確
認装置を設けると良い。
【0146】次に、滑動子14を縦桿11に沿って昇降
動させる手段は多々考えられる処であり、手動によるも
の、また測定橋から操作する場合には、機械的な遠隔装
置を用いる等がある。
【0147】しかしながら本発明では、縦桿11や滑動
子14を水中に投入することから、水に対する浮力を利
用して滑動子14を昇降動させることが有効である。即
ち請求項9に記載の図8に示したような発明の如きであ
り、縦桿11に昇降動自在に組み付けられる滑動子14
を、水に浮く浮力体で構成するのである。
【0148】前述したように滑動子14には、各実施例
に応じて、直接的、間接的に各トランスデューサ部や反
射板等を配置し、且つこれ等は測定時に水面直下に位置
させることになるのであり、従ってこの場合、滑動子1
4が水に浮いていれば、トランスデューサ部や反射板等
を水面直下に確実に位置させることができる。更にはこ
の浮力体を反射板16として利用しても良い。
【0149】但し、浮力を利用して滑動子14を昇降動
させる場合には、縦桿11に滑動子14を円滑に移動さ
せなければならず、従って相互の組付きを緩やかなもの
にしなければならない。処がこのように緩やかにすると
滑動子14が縦桿11に対して回転してしまい、トラン
スデューサ部や反射板等の位置が確定しない。
【0150】そこで、縦桿11を角棒形状にするとか、
或いは図示したように、縦桿11に長さ方向に沿ってガ
イド溝11aを設けると共に、滑動子14にこのガイド
溝11aに係合する案内子14aを設ける構成にする等
して、回転の防止を図る必要がある。
【0151】或いは縦桿11に対して滑動子14が回転
自在であるとしても、滑動子14を例えば流線形や長円
形形状にしてこれ等の偏心端部に縦桿11を挿通するこ
とにより回転中心が偏心するので流力により、所定方向
に向かせることができるような構造にしても良い。この
構造は、同時に流圧を減らし、浮力または重力による昇
降動を確実なものにする。
【0152】更には、滑動子14の昇降動を確実にする
目的ならば、錘を装備して重くし、これに応じて浮力を
増加させることも考えられる。しかしながら一方で流圧
を減らすため流れ方向の投影面積は最小にしたいので、
浮力体は流れ方向に細い縦長形状にする。
【0153】処で、水面は波打つことが多いので、浮上
している滑動子14がこの波打ちにより上下動して位置
が定まらず、精度高い測定が確保できなくなる虞れもあ
る。従って、滑動子14は水面波の影響を受け易い上端
部分を細くし、浮力体の本体部は波打ちの少ない水中に
位置する形状とし、且つ前記のように重量を大きくする
ことにより滑動子14の慣性を大きくして、波打ちによ
る上下動を抑制する。更には、重量増加に対応すべく、
この本体部は、その横断面形状を翼状として流力によっ
て生じる揚力を利用すると良いであろう。
【0154】そしてこの状態でトンスデューサ部や反射
板等が水面直下に位置するような構造とする必要がある
が、更にその精密な調整を施すためには、浮力体を空洞
にし、その一部に孔を開設すると共に栓を設けて、この
栓の開閉により必要に応じて最適な浮力・重量バランス
となるよう、例えば現地の水を出し入れできるようにし
ても良いであろう。
【0155】
【発明の効果】本発明にかかる流速測定装置は上述した
構成となっている。従って従来例の如き斜桿がないた
め、流体の流れを受けて測定精度に重大な支障を及ぼす
振動等の影響がないので、極めて精度の高い測定が可能
となり、従来技術の如く大きな誤差要因となる変数であ
る角度ψや長さLを、例えば1分毎、1日に何十回とい
った如くに、一度の流速測定毎に測定する必要もなく、
第一のトランスデューサ部は横桿の先端部に固定されて
いて縦桿との間隔dは一定不変なので、予め必要な点間
の定数を、1年に一回、或いは製造時に工場等で一回だ
け、等の如くして精密に測定して記録しておくだけでよ
く、構成が簡単で測定制度及び操作性も格段に良い等、
多くの優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる流速測定装置の説明図である。
【図2】他の実施例を示す説明図である。
【図3】他の実施例を示す説明図である。
【図4】従来例の説明図である。
【図5】河川の測定断面説明図である。
【図6】流速測線の説明図である。
【図7】超音波流速測定方法のうち、シングアラウンド
法の説明図である。
【図8】本発明にかかる流速測定装置の滑動子の一実施
例を示す断面図である。
【符号の説明】
11;縦桿、12;横桿、13;第一のトランスデュー
サ部、14;滑動子、15;第二のトランスデューサ
部、15’;音速測定専用のトランスデューサ部、1
5’’;第五のトランスデューサ部、16;反射板、1
7;底板、18;第三のトランスデューサ部、19;保
持桿、20;第四のトランスデューサ部、21;把持
部、22;水平計、23;コントローラ、24;目盛。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正内容】
【0154】そしてこの状態でトランスデューサ部や反
射板等が水面直下に位置するような構造とする必要があ
るが、更にその精密な調整を施すためには、浮力体を空
洞にし、その一部に孔を開設すると共に栓を設けて、こ
の栓の開閉により必要に応じて最適な浮力・重量バラン
スとなるよう、例えば現地の水を出し入れできるように
しても良いであろう。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0155
【補正方法】変更
【補正内容】
【0155】
【発明の効果】本発明にかかる流速測定装置は上述した
構成となっている。従って従来例の如き斜桿がないた
め、流体の流れを受けて測定精度に重大な支障を及ぼす
振動等の影響がないので、極めて精度の高い測定が可能
となり、従来技術の如く大きな誤差要因となる変数であ
る角度ψや長さLを、例えば1分毎、1日に何十回とい
った如くに、一度の流速測定毎に測定する必要もなく、
第一のトランスデューサ部は横桿の先端部に固定されて
いて縦桿との間隔dは一定不変なので、予め必要な点間
の定数を、1年に一回、或いは製造時に工場等で一回だ
け、等の如くして精密に測定して記録しておくだけでよ
く、構成が簡単で測定精度及び操作性も格段に良い等、
多くの優れた作用効果を奏する。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体内に位置する複数のトランスデュー
    サ部(13、15)間の超音波の伝播時間または繰り返
    し周波数を測定して流速を求める装置であって、縦桿
    (11)に滑動子(14)を昇降動自在に組み付け、先
    端部に超音波発受信用の第一のトランスデューサ部(1
    3)を配した横桿(12)を、前記縦桿(11)の下端
    と滑動子(14)の何れか一方に連設し、他方に、超音
    波発受信用の第二のトランスデューサ部(15)を前記
    第一のトランスデューサ部(13)に対向して配し、更
    に前記第一のトランスデューサ部(13)と第二のトラ
    ンスデューサ部(15)との直線距離を確定する前記滑
    動子(14)の縦桿(11)に対する任意の停止位置
    を、設定記録したことを特徴とする流速測定装置。
  2. 【請求項2】 縦桿(11)に目盛(24)を設け、或
    る該目盛(24)位置を、滑動子(14)の縦桿(1
    1)に対する任意の停止位置とした請求項1に記載の流
    速測定装置。
  3. 【請求項3】 流体内に位置する複数のトランスデュー
    サ部(13、15)間の超音波の伝播時間または繰り返
    し周波数を測定して流速を求める装置であって、縦桿
    (11)に滑動子(14)を昇降動自在に組み付け、先
    端部に超音波発受信用の第一のトランスデューサ部(1
    3)を配した横桿(12)を、前記縦桿(11)の下端
    と滑動子(14)の何れか一方に連設し、他方に、超音
    波発受信用の第二のトランスデューサ部(15)を前記
    第一のトランスデューサ部(13)に対向して配し、更
    に装置の一部に、音速測定用のトランスデューサ部(1
    5’)を前記第一のトランスデューサ部(13)または
    第二のトランスデューサ部(15)に対向して固定した
    ことを特徴とする流速測定装置。
  4. 【請求項4】 流体内に位置する複数のトランスデュー
    サ部(13、15)間の超音波の伝播時間または繰り返
    し周波数を測定して流速を求める装置であって、縦桿
    (11)に滑動子(14)を昇降動自在に組み付け、先
    端部に超音波発受信用の第一のトランスデューサ部(1
    3)を配した横桿(12)を、前記縦桿(11)の下端
    と滑動子(14)の何れか一方に連設し、他方に、超音
    波発受信用の第二のトランスデューサ部(15)を前記
    第一のトランスデューサ部(13)に対向して配し、更
    に装置の一部に、水面または水底部分で超音波を反射さ
    せる音速測定用の第三のトランスデューサ部(18)と
    第四のトランスデューサ部(20)を、上下に所定間隔
    をあけて夫々設けたことを特徴とする流速測定装置。
  5. 【請求項5】 装置の一部に、第三のトランスデューサ
    部(18)と第四のトランスデューサ部(20)を設け
    ると共に、他の一部に、該第三のトランスデューサ部
    (18)と第四のトランスデューサ部(20)の双方ま
    たは何れか一方が発信する超音波を反射する反射板(1
    6)を、対向して配した請求項4に記載の流速測定装
    置。
  6. 【請求項6】滑動子(14)に、第三のトランスデュー
    サ部(18)と第四のトランスデューサ部(20)、ま
    たは反射板(16)の何れか一方を配した請求項5に記
    載の流速測定装置。
  7. 【請求項7】 流体内に位置する複数のトランスデュー
    サ部(13、15)間の超音波の伝播時間または繰り返
    し周波数を測定して流速を求める装置であって、縦桿
    (11)に滑動子(14)を昇降動自在に組み付け、先
    端部に超音波発受信用の第一のトランスデューサ部(1
    3)を配した横桿(12)を、前記縦桿(11)の下端
    と滑動子(14)の何れか一方に連設し、他方に、超音
    波発受信用の第二のトランスデューサ部(15)を前記
    第一のトランスデューサ部(13)に対向して配し、更
    に、装置の一部に、音速測定用の第五のトランスデュー
    サ部(15’’)を設けると共に、他の一部に、該第五
    のトランスデューサ部(15’’)に対向して、音速測
    定用の第三のトランスデューサ部(18)と第四のトラ
    ンスデューサ部(20)とを、上下に所定間隔をあけて
    夫々設けたことを特徴とする流速測定装置。
  8. 【請求項8】 流体内に位置する複数のトランスデュー
    サ部(13、15)間の超音波の伝播時間または繰り返
    し周波数を測定して流速を求める装置であって、縦桿
    (11)に滑動子(14)を昇降動自在に組み付け、先
    端部に超音波発受信用の第一のトランスデューサ部(1
    3)を配した横桿(12)を、前記縦桿(11)の下端
    と滑動子(14)の何れか一方に連設し、他方に、超音
    波発受信用の第二のトランスデューサ部(15)を前記
    第一のトランスデューサ部(13)に対向して配し、更
    に、装置の一部に、前記第一のトランスデューサ部(1
    3)または第二のトランスデューサ部(15)に対向し
    て、音速測定用の第三のトランスデューサ部(18)と
    第四のトランスデューサ部(20)とを、上下に所定間
    隔をあけて夫々設けたことを特徴とする流速測定装置。
  9. 【請求項9】 縦桿(11)に昇降動自在に組み付けら
    れる滑動子(14)を、水に浮く浮力体で構成した請求
    項1、2、3、4、5、6、7、8に記載の流速測定装
    置。
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