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JPH111129A - 4輪駆動車のスリップ制御装置 - Google Patents

4輪駆動車のスリップ制御装置

Info

Publication number
JPH111129A
JPH111129A JP15404097A JP15404097A JPH111129A JP H111129 A JPH111129 A JP H111129A JP 15404097 A JP15404097 A JP 15404097A JP 15404097 A JP15404097 A JP 15404097A JP H111129 A JPH111129 A JP H111129A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
wheel speed
speed
difference
turning
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15404097A
Other languages
English (en)
Inventor
Minoru Hiwatari
穣 樋渡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Heavy Industries Ltd filed Critical Fuji Heavy Industries Ltd
Priority to JP15404097A priority Critical patent/JPH111129A/ja
Publication of JPH111129A publication Critical patent/JPH111129A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 極低速旋回時のタイトコーナブレーキ現象を
防止しつつ、スリップ制御における不感帯の幅を可能な
限り狭くし、確実にスリップを防止する。 【解決手段】 補正量算出部41でハンドル角センサ2
2及びヨーレートセンサ23からの信号に基づいて、旋
回時の各輪の軌跡差を解消するように各輪の車輪速の補
正量を算出し、この補正量に基づいて、前輪外輪速度算
出部42、前輪内輪速度算出部43、後輪外輪速度算出
部44、後輪内輪速度算出部45で、それぞれ、ABS
ユニット30から読み込んだ車輪速を補正する。そし
て、クラッチ制御部46で、補正後の前後輪の車輪速差
に基づいてトランスファクラッチの締結力を可変する。
これにより、極低速旋回時のタイトコーナブレーキ現象
の発生を抑えつつ、スリップ制御の際の前後輪の車輪速
差に対する不感帯の幅を従来よりも狭くすることがで
き、転舵発進時等のスリップを確実に防止することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前輪側と後輪側と
のトルク伝達配分をトランスファクラッチを介して可変
することで、車輪のスリップを防止する4輪駆動車のス
リップ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、4輪駆動車では、4輪駆
動の走行状態で転舵しながら旋回すると、前後輪の間に
旋回半径の相違に伴う回転速度差を生じ、タイトコーナ
ブレーキ現象が発生する。
【0003】このため、本出願人は、先に、特公平1−
29725号公報において、2輪駆動と4輪駆動との駆
動切換用のトランスファクラッチに容量変化可能な油圧
クラッチを用い、転舵による旋回走行中に前後輪のスリ
ップ率に応じてトランスファクラッチの容量を低減し、
前輪側あるいは後輪側の駆動力を減じる技術を提案して
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、4輪駆動車
を制御する機能の1つとして、前後輪の回転差に応じて
前後輪のトルク伝達配分を可変することで、前輪又は後
輪の過剰なスリップを防止するスリップ制御機能があ
り、前述のトランスファクラッチを用いるシステムで
は、トランスファクラッチへ供給する油圧を制御してト
ランスファクラッチの締結力を可変し、前後輪のトルク
伝達配分を決定するようにしている。
【0005】しかしながら、車輪のスリップを防止する
ためには、前後輪の回転差に応じてトランスファクラッ
チを直結方向に制御することが必要である反面、タイト
コーナブレーキング現象を防止するためには、前後輪に
回転差が生じた場合、トランスファクラッチを解放方向
にする必要がある。
【0006】このため、従来のスリップ制御では、前後
輪の車輪速差に対して比較的大きな不感帯(制御を行わ
ない領域)を設けることで極低速旋回時の前後輪の回転
差を吸収し、タイトコーナブレーキング現象を防止する
ようにしており、転舵発進時等には、多大な不感帯のた
め、スリップ制御に入り難くなってしまうという問題が
ある。
【0007】この場合、上記不感帯を単純に狭くする
と、極低速旋回時の車輪の軌跡差による車輪速度差をス
リップと誤判定してトランスファクラッチの締結力を増
加させる方向に制御してしまい、結果的にタイトコーナ
ブレーキ現象の発生を促すことになってしまう。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、極低速旋回時のタイトコーナブレーキ現象を防止し
つつ、スリップ制御における不感帯の幅を可能な限り狭
くし、確実にスリップを防止することのできる4輪駆動
車のスリップ制御装置を提供することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
前輪側と後輪側とのトルク伝達配分をトランスファクラ
ッチを介して可変し、車輪のスリップを防止する4輪駆
動車のスリップ制御装置において、車両旋回時の各車輪
の軌跡差を解消するよう、車輪速度を補正する手段と、
前輪側と後輪側との補正後の車輪速度の差に応じて上記
トランスファクラッチの締結力を可変する手段とを備え
たことを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、4つの車輪の中の任意の1つを基準車輪と
し、この基準車輪の旋回軌跡と他の車輪の旋回軌跡との
差に基づいて他の車輪の車輪速度を補正することを特徴
とする。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前輪側と後輪側とのいずれか一方を基準車
輪とし、この基準車輪の旋回軌跡と前輪側あるいは後輪
側の旋回軌跡との差に基づいて、前輪側あるいは後輪側
の車輪速度を補正することを特徴とする。
【0012】すなわち、本発明による4輪駆動車のスリ
ップ制御装置では、車両旋回時の各車輪の軌跡差を解消
するよう車輪速度を補正し、前輪側と後輪側との補正後
の車輪速度の差に応じてトランスファクラッチの締結力
を可変することで、前輪側と後輪側とのトルク伝達配分
を変更して車輪のスリップを防止する。
【0013】その際、4つの車輪の中の任意の1つを基
準車輪とし、この基準車輪の旋回軌跡と他の車輪の旋回
軌跡との差に基づいて他の車輪の車輪速度を補正しても
良く、前輪側と後輪側とのいずれか一方を基準車輪と
し、この基準車輪の旋回軌跡と前輪側あるいは後輪側の
旋回軌跡との差に基づいて、前輪側あるいは後輪側の車
輪速度を補正しても良い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1〜図5は本発明の実施の第1
形態に係わり、図1はクラッチ制御機能のブロック図、
図2は駆動制御系の全体構成図、図3はクラッチ制御ル
ーチンのフローチャート、図4は4輪モデルによる車輪
速補正量算出の説明図、図5はスリップ判定マップの説
明図である。
【0015】図2において、符号1は車両前部に配置さ
れたエンジンを示し、このエンジン1の出力軸に、流体
トルクコンバータを使用した自動変速機あるいはクラッ
チ機構部を含むマニュアル変速機等の変速機構部2が連
設され、この変速機構部2後部に、センターディファレ
ンシャル装置3が連設されている。
【0016】上記センターディファレンシャル装置3
は、トランスファドライブギヤ4、トランスファドリブ
ンギヤ5、ドライブピニオン軸部となっているフロント
ドライブ軸6を介してフロントディファレンシャル装置
7に連結されるとともに、油圧多板式トランスファクラ
ッチ8を介してリヤドライブ軸9に連結され、このリヤ
ドライブ軸9からプロペラシャフト10、ドライブピニ
オン軸部11を介してリヤディファレンシャル装置12
に連結されている。
【0017】上記トランスファクラッチ8は、図示しな
い油圧系統からクラッチ制御弁13を介して供給される
油圧力によって締結力が可変されるものであり、解放状
態では、上記センターディファレンシャル装置3のトル
ク配分をそのまま出力し、完全に締結されると、前後輪
に等分にトルクを配分する直結状態となる。
【0018】尚、上記変速機構部2、センターディファ
レンシャル装置3、及び、フロントディファレンシャル
装置7等は、一体にケース14内に設けられている。
【0019】また、上記フロントディファレンシャル置
7には、前輪左ドライブ軸15Lを介して左前輪16L
が連設されるとともに、前輪右ドライブ軸15Rを介し
て右前輪16Rが連設されており、上記リヤディファレ
ンシャル装置12には、後輪左ドライブ軸17Lを介し
て左後輪18Lが連設されるとともに、後輪右ドライブ
軸17Rを介して右後輪18Rが連設されている。
【0020】一方、符号30は、前後輪16L,16
R,18L,18Rにそれぞれに取り付けらた各車輪速
センサ19L,19R,20L,20Rからの信号に基
づいて、図示しないブレーキ系統の油圧を制御し、制動
時の車輪のロックを回避するABSユニットであり、ま
た、符号40は、上記トランスファクラッチ8の締結力
を制御する制御ユニットで、例えばシリアル回線を介し
て上記ABSユニット30と接続されている。
【0021】上記制御ユニット40には、ステアリング
ホイール21のステアリングコラムに設けられたハンド
ル角θを検出するハンドル角センサ22、車両の実際の
ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ23等のセン
サ類が接続されるとともに、上記トランスファクラッチ
8への油圧を制御する上述のクラッチ制御弁13等のア
クチュエータ類が接続されており、上記トランスファク
ラッチ8の締結力を制御して、前後輪の速度差に応じて
前後輪へのトルク配分を可変し、摩擦係数μの低い路面
での車輪のスリップを防止するスリップ制御等を行う。
【0022】すなわち、前後の摩擦係数μが異なる路面
での発進や、後輪偏重の4WDの加速時等のように、前
後輪の車輪速差(回転数差)が生じた場合、上記クラッ
チ制御弁13を介して上記トランスファクラッチ8の締
結力を強化し、直結方向に近づけてスリップを抑える。
【0023】この場合、上記制御ユニット40には、例
えば図5に示すような車輪速差に関するスリップ判定マ
ップが内蔵されており、このスリップ判定マップを参照
して不感帯(制御を行わない領域)を越えた値に比例す
る締結力が発生するよう、上記クラッチ制御弁13を介
して上記トランスファクラッチ8を直結方向に制御する
が、スリップ制御の制御効率を向上させるためには、上
記スリップ判定マップにおける不感帯の幅を可能な限り
狭くすることが望ましい。
【0024】しかしながら、摩擦係数μが比較的高い路
面での極低速旋回走行においては、各輪の軌跡差によっ
て前後輪の車輪速差が生じるため、上記スリップ判定マ
ップの不感帯を単純に狭くすると、この軌跡差による車
輪速差をスリップと誤判定して上記トランスファクラッ
チ8の締結力を増加させる方向に制御してしまい、結果
的にタイトコーナブレーキ現象の発生を促すことになっ
てしまう。
【0025】このため、上記制御ユニット40では、各
輪の中の一輪を基準車輪とし、この基準車輪に合わせる
ように残りの各輪の車輪速を補正することで、極低速旋
回走行における車輪軌跡誤差を取り除き、補正した車輪
速の差に基づいてスリップ制御を行うようにしている。
【0026】上記制御ユニット40のクラッチ締結制御
に係わる機能は、図1に示すように、ハンドル角センサ
22及びヨーレートセンサ23からの信号に基づいて各
輪の車輪速の補正量を算出する補正量算出部41、上記
ABSユニット30から読み込んだ各車輪速を上記補正
量に基づいて補正し、補正後の車輪速を算出する各機能
部、すなわち、前輪外輪速度を算出する前輪外輪速度算
出部42、前輪内輪速度を算出する前輪内輪速度算出部
43、後輪外輪速度を算出する後輪外輪速度算出部4
4、後輪内輪速度を算出する後輪内輪速度算出部45、
及び、補正後の前後輪の車輪速差に基づいてクラッチ制
御弁13を制御し、トランスファクラッチ8の締結力を
可変するクラッチ制御部46から構成されている。
【0027】以下、上記構成によるクラッチ締結制御処
理について、図3のフローチャートに従って説明する。
尚、以下の説明では、旋回中心に対し、前輪の外側車輪
を基準車輪として残りの各輪の車輪速を補正する例につ
いて説明し、前輪外輪速度の補正量は0とする。
【0028】図3のクラッチ締結制御ルーチンでは、ま
ず、ステップS10で、ハンドル角センサ22によって検
出したハンドル角θ、ヨーレートセンサ23によって検
出したヨーレートγを読み込むとともに、ABSユニッ
ト3からの各輪の車輪速データを読み込む。尚、旋回中
心に対する各車輪速データは、前輪外輪速度Vα01、前
輪内輪速度Vα02、後輪外輪速度Vα03、後輪内輪速度
Vα04とする。
【0029】次に、ステップS20へ進み、前輪外輪を基
準車輪とし、この基準車輪に対する旋回半径の差による
各輪の速度補正量を算出する。例えば、図4に示すよう
に、車両が左旋回する例で説明すると、基準車輪に対す
る各輪の速度差ΔV12,ΔV13,ΔV14は、以下の(1)〜
(3)式に示すように、基準車輪の旋回半径と各輪の旋回
半径との差にヨーレートγを乗じた値として求めること
ができ、これらを各輪の補正量とする。 ΔV12=(R1−R2)・γ …(1) ΔV13=(R1−R3)・γ …(2) ΔV14=(R1−R4)・γ …(3) 但し、R1:前輪外輪(基準車輪)の旋回半径 R2:前輪内輪の旋回半径 R3:後輪外輪の旋回半径 R4:後輪内輪の旋回半径
【0030】ここで、図4に示すように、車両の定常旋
回を幾何学的に記述した場合、前輪内輪の旋回半径R2
は、以下の(4)式のように、前輪外輪の旋回半径R1から
前輪のトレッドDfを減算した値に略等しいみなすこと
ができ、また、後輪外輪の旋回半径R3は、車両の極低
速走行時の車両重心の横すべり角をβ0とすると、この
横すべり角β0と車両のホイールベースLとから、以下
の(5)式で近似することができる。 R2=R1−Df …(4) R3=R1−L・sinβ0 …(5)
【0031】また、後輪内輪の旋回半径R4は、後輪外
輪の旋回半径R3から後輪のトレッドDrを減算した値
に等しいみなすことができるため、上記(5)式を用いて
変形すると、以下の(6)式で示すことができる。 R4=R3−Dr=R1−L・sinβ0−Dr …(6)
【0032】さらに、車両重心の横すべり角β0、車両
重心の旋回半径RM、及び、後軸−重心間距離Lrの幾
何学的関係は、以下の(7)式によって求めることがで
き、車両重心の旋回半径RMは、以下の(8)式に示すよう
に、ホイールベースLと実舵角δ(δ=θ/N;Nはス
テアリングギヤ比)とによって求めることができる。こ
れらの式を用い、横すべり角β0は、以下の(9)式によっ
て求めることができる。 tanβ0=Lr/RM …(7) RM=L/tanδ …(8) β0=tan-1(Lr・tanδ/L) …(9)
【0033】従って、最終的に、上記(1)〜(3)式に示す
各輪の補正量ΔV12,ΔV13,ΔV14は、上記(4)〜(6)式
を用いて変形し、さらに、上記(9)式による横すべり角
β0を用いることで、以下の(10)〜(12)式によって求め
ることができる。 ΔV12=Df・γ …(10) ΔV13=L・sin(tan-1(Lr・tanδ/L))・γ …(11) ΔV14=L・sin(tan-1(Lr・tanδ/L))・γ+Dr・γ…(12)
【0034】以上により、各輪の補正量ΔV12,ΔV13,
ΔV14を算出すると、次にステップS30へ進み、ABS
ユニット30から読み込んだ各輪の車輪速Vα01,Vα0
2,Vα03,Vα04を以下の(13)〜(16)に従って補正し、
各輪の車輪速Vα1,Vα2,Vα3,Vα4を算出する。
尚、基準車輪である前輪外輪の車輪速は補正せず(補正
量0)、ABSユニット30から読み込んだデータを採
用する。 Vα1=Vα01 …(13) Vα2=Vα02+ΔV12 …(14) Vα3=Vα03+ΔV13 …(15) Vα4=Vα04+ΔV14 …(16)
【0035】その後、ステップS40へ進み、前輪外輪と
前輪内輪との車輪速和(Vα1+Vα2)で前輪速度を代
表するとともに、後輪外輪と後輪内輪との車輪速(Vα
3+Vα4)で後輪速度を代表し、前輪と後輪との速度差
が図5に示すスリップ判定マップの不感帯を越えている
か否かを判定する。その結果、前輪と後輪との速度差が
不感帯幅内にあるときには、上記ステップS40からルー
チンを抜け、不感帯を越えているとき、上記ステップS4
0からステップS50へ進んでトランスファクラッチ8の締
結力に関するクラッチ制御を行う。
【0036】このステップS50におけるクラッチ制御で
は、前輪と後輪の速度差(Vαf−Vαr)が図5に示
すスリップ判定マップの不感帯を越えた値に応じてクラ
ッチ制御弁13に対する制御量、例えばクラッチ制御弁
13としてデューティソレノイド弁を使用する場合に
は、トランスファクラッチ8の作動油圧を制御するデュ
ーティ比を算出し、トランスファクラッチ8の締結力を
増減する。
【0037】この場合、前後輪の速度差は、極低速旋回
走行における車輪軌跡誤差を取り除くように補正されて
いるため、上記スリップ判定マップの不感帯幅を従来よ
りも狭くしてもタイトコーナブレーキ現象が発生するこ
とはなく、適正な不感帯幅によるスリップ制御効率の向
上とタイトコーナブレーキ現象の発生防止とを両立する
ことができる。すなわち、転舵発進時等のスリップを確
実に防止するとともに、極低速旋回時のタイトコーナブ
レーキ現象の発生による乗り心地の悪化を防止すること
ができる。
【0038】図6〜図8は本発明の実施の第2形態に係
わり、図6は駆動制御系の全体構成図、図7はクラッチ
制御機能のブロック図、図8は2輪モデルによる車輪速
補正量算出の説明図である。
【0039】本形態は、前述の第1形態に対し、4輪の
各輪毎に車輪速を計測することなく、前輪側の左右の車
輪速の平均値に相当する前輪車速信号と後輪側の左右の
車輪速の平均値に相当する後輪車速信号とを用い、後輪
側と前輪側とのいずれか一方を基準として補正を行うも
のである。
【0040】このため、図6に示すように、制御ユニッ
ト40では、各輪毎の車輪速センサを使用することな
く、変速機構部2のフロントディファレンシャル装置7
にケーブルを介して連結されるインストルメントパネル
内の第1の車速センサ24から前輪側の車輪速データを
取得するとともに、トランスファクラッチ8の出力軸の
回転を検出するためケース14に取り付けられた第2の
車速センサ25から後輪側の車輪速データを取得する。
【0041】本形態における制御ユニット40のクラッ
チ制御に係わる機能は、図7に示すように、第1形態の
補正量算出部41の処理を変更し、ハンドル角センサ2
2及びヨーレートセンサ23からの信号に基づいて後輪
側と前輪側との軌跡差による車輪速の補正量を算出する
補正量算出部41A、第1の車速センサ24からの信号
及び上記補正量に基づいて前輪側の車輪速を算出する前
輪速度算出部47、第2の車速センサからの信号及び上
記補正量に基づいて後輪側の車輪速を算出する後輪速度
算出部48、第1形態と同様、補正後の前後輪の車輪速
差に基づいてクラッチ制御弁13を制御し、トランスフ
ァクラッチ8の締結力を可変するクラッチ制御部46か
ら構成されている。
【0042】本形態の補正量算出部41Aの処理では、
前輪側、後輪側のいずれか一方を基準として車輪速を補
正するため、後輪側を基準とする場合には、第1の車速
センサ24からの信号に基づく前輪側の車輪速Vαf0
に対する補正量を算出し、第2の車速センサ25からの
信号に基づく後輪側の車輪速Vαr0に対する補正量は
0とする。また、前輪側を基準とする場合には、第1の
車速センサ24からの信号に基づく前輪側の車輪速Vα
f0に対する補正量は0とし、第2の車速センサ25か
らの信号に基づく後輪側の車輪速Vαr0に対する補正
量を算出する。
【0043】図8に示すように、後輪側を基準とし、車
両が左旋回する例で説明すると、後輪側と後輪側との速
度差Δは、以下の式(18)に示すように、後輪側の旋回半
径Rrと前輪側の旋回半径Rfとの差にヨーレートγを
乗じた値として求めることができる。 Δ=(Rr−Rf)・γ …(17)
【0044】第1形態で説明したように、車両の定常旋
回を幾何学的に記述した場合、図8から、後輪側の旋回
半径Rrは、車両重心の横すべり角β0と車両のホイー
ルベースLとから、以下の(18)式で近似することができ
る。 Rr=Rf−L・sinβ0 …(18)
【0045】また、横すべり角β0は、第1形態と同
様、後輪側の旋回半径Rrと後軸−重心間距離Lrとの
幾何学的関係から求めた以下の(19)式と、ホイールベー
スLと実舵角δf(δf=θ/N;Nはステアリングギ
ヤ比)とによって後輪側の旋回半径Rrを求めた以下の
(20)式とを用い、以下の(21)式によって求めることがで
きる。 tanβ0=Lr/Rr …(19) Rr=L/tanδf …(20) β0=tan-1(Lr・tanδf/L) …(21)
【0046】従って、上記(17)式による速度差(補正
量)Δは、上記(18),(21)式を用いて、以下の(22)式に
よって求めることができ、以下の(23),(24)式に示すよ
うに、第1の車速センサ24による前輪側の車輪速Vα
f0に補正量Δを加算して補正後の前輪側の車輪速Vα
fを算出し、一方、後輪側の車輪速Vαrは、第2の車
速センサ25による後輪側の車輪速Vαr0を、そのま
ま採用する。 Δ=−L・sin(tan-1(Lr・tanδf/L))・γ …(22) Vαf=Vαf0+Δ …(23) Vαr=Vαr0 …(24)
【0047】そして、第1形態と同様、クラッチ制御部
46で、前輪側の車輪速Vαfと後輪側の車輪速Vαr
と差がスリップ判定マップの不感帯を越えた値に応じて
クラッチ制御弁13に対する制御量を算出し、トランス
ファクラッチ8の締結力を増減する。
【0048】本形態においても、前述の第1形態と同
様、極低速旋回時のタイトコーナブレーキ現象の発生を
抑えつつ、転舵発進時等のスリップを確実に防止するこ
とができる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車
両旋回時の各車輪の軌跡差を解消するよう車輪速度を補
正し、前輪側と後輪側との補正後の車輪速度の差に応じ
てトランスファクラッチの締結力を可変することで、前
輪側と後輪側とのトルク伝達配分を変更して車輪のスリ
ップを防止するため、前後輪の車輪速差に対する不感帯
の幅を従来よりも狭くしても極低速旋回時にタイトコー
ナブレーキ現象が発生することがなく、適正な不感帯幅
によるスリップ制御効率の向上とタイトコーナブレーキ
現象の発生防止とを両立することができ、転舵発進時等
のスリップを確実に防止するとともに、極低速旋回時の
タイトコーナブレーキ現象の発生による乗り心地の悪化
を防止することができる等優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、クラッチ制
御機能のブロック図
【図2】同上、駆動制御系の全体構成図
【図3】同上、クラッチ制御ルーチンのフローチャート
【図4】同上、4輪モデルによる車輪速補正量算出の説
明図
【図5】同上、スリップ判定マップの説明図
【図6】本発明の実施の第2形態に係わり、駆動制御系
の全体構成図
【図7】同上、クラッチ制御機能のブロック図
【図8】同上、2輪モデルによる車輪速補正量算出の説
明図
【符号の説明】
8 …トランスファクラッチ 41…補正量算出部 42…前輪外輪速度算出部 43…前輪内輪速度算出部 44…後輪外輪速度算出部 45…後輪内輪速度算出部 46…クラッチ制御部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪側と後輪側とのトルク伝達配分をト
    ランスファクラッチを介して可変し、車輪のスリップを
    防止する4輪駆動車のスリップ制御装置において、 車両旋回時の各車輪の軌跡差を解消するよう、車輪速度
    を補正する手段と、 前輪側と後輪側との補正後の車輪速度の差に応じて上記
    トランスファクラッチの締結力を可変する手段とを備え
    たことを特徴とする4輪駆動車のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 4つの車輪の中の任意の1つを基準車輪
    とし、この基準車輪の旋回軌跡と他の車輪の旋回軌跡と
    の差に基づいて他の車輪の車輪速度を補正することを特
    徴とする請求項1記載の4輪駆動車のスリップ制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前輪側と後輪側とのいずれか一方を基準
    車輪とし、この基準車輪の旋回軌跡と前輪側あるいは後
    輪側の旋回軌跡との差に基づいて、前輪側あるいは後輪
    側の車輪速度を補正することを特徴とする請求項1記載
    の4輪駆動車のスリップ制御装置。
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