【発明の詳細な説明】
同調質量体ダンパー発明の分野
本発明は、構造体に作用するモーメント力によって構造体が振動するときに、
構造体の動的応答を減衰させるのに使用可能な装置に関する。背景
構造体に作用するモーメント力は、構造体内に振動を含む動的応答を惹起し、
構造体を弱体化し、居住者に振動に伴う不快感や危険を与えると共に、構造体内
に設置された機器の性能に悪影響を及ぼす。従って、構造体におけるこうした動
的応答を減衰させる方策が求められている。
例えば、日本特許出願第62−328916号及び第61−12569号には
、一次質量体(primary mass)から二次質量体(secondary mass)すなわち錘を
吊り下げたスプリングとダッシュポットとを有する減衰システムが記載されてい
る。日本特許出願第62−328916号は、床の振動を減衰させるために、二
つのスプリングと二つのダッシュポットとによって床に連結された錘を開示する
。日本特許出願第61−12569号は、システムの振動数が減衰対象の床又は
天井の固有振動数と等しくなるように、錘の質量とスプリング要素のばね定数と
を選択した同調(tuned)減衰システムを開示する。この同調作用は、システムの
減衰能力を向上させる。
Journal of Vibration,Acoustics,Stress,and Reliability
in DesignのVol.108(1986年7 月)の378〜381頁に掲載されたKim & Yao
の「動的ダンパーのための粘弾性材料の利用(Application of Viscoelastic M
aterial for a Dynamic Damper)」には、一次質量体から減衰用質量体を吊り下
げるために、スプリング又は摩擦ないし流体ダッシュポットと組み合わされたス
プリングを採用した減衰システムについての報告が記載されている。この文献に
は、スプリング及びダッシュポット減衰システムの代わりに、予め歪みを与えら
れた粘弾性材料を減衰用質量体として使用することが述べられている。
Rubbercon '88 の「振動と騒音制御のための同調ダンパーにおけるゴム材料の
利用(Use of Rubber Materials in Tuned Dampers for Vibration and Noise C
ontrol)」の中で、Halverson & Hansenは、質量エレメントと基礎構造との間の
スプリング及び減衰エレメントとしてゴム材料を使用した同調減衰システムにつ
いて述べている。
粘弾性材料は、構造体の減衰の分野にも使用されている。例えば、Caldwell e
t al.に与えられた米国特許第3,605,953 号、Journal of the Structural Divi
sion,Proceedings of the American Society of Civil Engineers,1661(1969
年8 月)に掲載されたMahmoodiの「構造的ダンパー(Structural Dampers)」、19
89年4 月8 日にWashington州Seattle で開催されたASCE convention 協賛、Aero
dynamics Committee of the Aerospace Division及びthe Wind Effects Committ
ee of the Structural Division of the American Society of Civil Engineers
後援の学会のProceedings,Building Motion in Windに記載されたKeel & Mahmo
odi の「コロンビアセンタービルのための粘弾性ダンパーの設計(Design of Vis
coelastic Dampers for Columbia Center Building)
」には、間に粘弾性材料を挟んだ金属板の層を有するダンパーについての記載が
見られる。このダンパーの粘弾性材料は、構造体の振動エネルギーの一部を熱に
変換して、周囲の環境に消失させている。発明
本発明は、スプリングと粘弾性材料とによって構造体から吊り下げられる質量
体を備えた減衰システムを提供するものである。この減衰システムの質量体、ス
プリング及び粘弾性材料の各部材間の相互作用は、構造体に力が作用してその中
に動的応答が生じると、システムがこの動的応答に関連する振動を減衰させるよ
うに働く。図面の簡単な説明
添付の図面に基づいて本発明を詳細に説明するが、これらの図面を通じて、同
じ部品は同じ符号で示されている。
図1は、単純支持梁上に取付けられた本発明装置の振動の第1モードにおける
側面図である。
図2は、単純支持梁上に取付けられた本発明装置の振動の第2モードにおける
側面図である。
図3は、片持ち梁上に取付けられた本発明装置の振動の第1モードにおける側
面図である。
図4は、片持ち梁上に取付けられた本発明装置の振動の第2モードにおける側
面図である。
図5は、固定梁(clamped-clamped beam)上に取付けられた本発明装置の振動
の第1モードにおける側面図である。
図6は、本発明の第1装置の断面図である。
図7は、本発明の第2装置の断面図である。
図8は、本発明の第3装置の断面図である。
図9は、本発明の第4装置の断面図である。
図10は、本発明の第5装置の断面図である。
図11は、本発明の第6装置の部分断面図である。
図12は、本発明の第7装置の断面図である。
図13は、本発明の第8装置の断面平面図である。
図14は、本発明の第9装置の切欠斜視図である。
図15は、本発明の第10装置の斜視図である。
図16は、本発明の第11装置の部分断面図である。
図17は、図15に類似の装置によって減衰される構造体に対する、数学モデ
ル化された振幅対振動数の構造体応答曲線である。
図18は、本発明の第12装置の切欠斜視図である。図面の詳細な説明
図1及び図2を参照すると、本発明の減衰装置20は単純支持梁22に沿って
配置される。梁22は、支持材24及び26によってその両端で支えられている
。図1では、破線28は梁22の振動の第1モードを表している。図2では、破
線30は梁22の振動の第2モードを表している。
図1では、振動は梁22の両端に結節点(node)32,33を有する。図2では
、振動は梁22の中心及び両端に結節点34,35,36を有する。最適な減衰
作用を行うには、装置20は腹(antinode)37,38,39のできるだけ近く
に設置される必要がある。
図3及び図4は、一つの支持材44に支えられた片持ち梁42
上に設置される本発明の減衰装置40を示している。二つの例示的な振動モード
が破線46及び48で示されている。図3の振動は、梁42と支持材44との接
合点に結節点50を有する。図4の振動は、梁22上に二つの結節点52及び5
4を有する。最大の減衰効果を得るために、本発明の装置40は腹55及び56
のできるだけ近くに設置される必要がある。装置40を結節点50,52,54
の真上に設けた場合には、装置40の減衰作用は最も小さくなるであろう。
図5では、本発明の減衰装置60は固定梁62上に配置される。固定梁62の
両端は、支持構造材64,66に支えられている。振動のモードは破線68で表
され、梁62上に結節点70及び72を有する。減衰装置60を腹74のできる
だけ近くに設置した場合に、最大の減衰効果が得られる。
図6においては、本発明の装置80の詳細な断面が片持ち梁82上に示されて
いる。この梁82は、壁等の支持構造84に取付けられている。この装置は梁8
2に取付けられたハウジング88を具え、ハウジング内には、二次すなわち減衰
用質量体90、これと連携するスプリング92及び側面に取付けられた粘弾性エ
レメント96,98が収容される。これら粘弾性エレメントは、本装置における
粘弾性材料部材を構成している。
ハウジング88は、通常は金属、プラスチックその他の適宜な材料で作られ、
溶接、機械的締結、接着等の公知の固定技術によって梁82に装着される。ハウ
ジング88はベースが開放されていてもよいが、内部に異物が侵入してこの減衰
装置の性能に悪影響を与えないように完全に閉鎖されていることが好ましい。
二次質量体90は、スプリング92及び粘弾性エレメント96,98と連携し
て、梁82の振動を熱エネルギーに変換して、振
動を減衰させる。典型的な二次質量体90は金属ブロックであるが、液体を充填
した容器、コンクリート等の高密度材料のブロック等も使用できる。アルミ、木
材、合成材料等の低密度材料は、小さな二次質量体を必要とする用途に利用可能
である。
スプリング92は、溶接、機械的締結、接着等の公知の固定技術によって、梁
82と二次質量体90との両者に装着される。図には一つのスプリングしか示さ
れていないが、二次質量体90の側面や上下面とハウジング88のベースや側壁
との間に設置された補助スプリングを使用することもできる。他のタイプのスプ
リング、例えば充分な復元力を提供する板ばね等を使用してもよい。
粘弾性エレメント96,98は二次質量体90の側面とハウジング88の側壁
とに装着される。これら粘弾性エレメントを形成する粘弾性材料は、梁82の振
動等の動的応答に関連する機械的エネルギーを熱エネルギーに変換する。図6(
及び図7〜図10)に示す粘弾性エレメントは長方形断面を有する。円形又は平
行四辺形断面を有する粘弾性エレメントも利用可能であり、剪断断面積と厚みと
を適宜に調節すれば所望の減衰性能が得られる。剪断力に平行な粘弾性材料の寸
法と粘弾性材料の厚さとの比を5以上に維持することによって、粘弾性材料内の
剪断力を大きくすることが好ましい。
好適な粘弾性材料は、Minnesota 州St.Paulの3M社から入手可能な、Scotch
dampTM SJ2015Xアクリル粘弾性ポリマーのタイプ110,112,113 であり、これは
3M Industrial Tape and Specialties Division から出されているSuggested Pu
rchase Specification,ScotchdampTM Viscoelastic Polymers,No.70-072-022
5-7(89.3)R1 に記載されている。その他の好適な粘弾性材料は、Pe
nnsylvania州ErieのLord Corporationから入手可能なLord LD-400、及びNew Yor
k州Deer Park のSoundcoat から入手可能なSoundcoat DYAD 606,Soundcoat DYA
D 609,Soundcoat N であるが、これらに限定されるものではない。
粘弾性材料は温度の影響を受け易い。特に、Earthquake SpectraのVol.9,No
.3(1993)の371 〜387 頁に掲載されたChang et al.の「地震対策用エネルギー
消失装置としての粘弾性ダンパー(Viscoelastic Dampers as Energy Dissipatio
n Devices for Seismic Applications)」には、環境温度の上昇によって粘弾性
材料が軟化して、材料の減衰効率が減少することが指摘されている。前述したSu
ggested Purchase Specificationには、ScotchdampTM SJ2015Xのタイプ110,112
,113 の温度感受性についての別の情報が記載されている。従って、本発明の装
置を構成する場合には、粘弾性材料の温度変化を考慮に入れる必要がある。
粘弾性エレメント96,98は、機械的締結、接着等の公知の固定技術によっ
てハウジング8と二次質量体90とに装着されることが望ましい。二つの粘弾性
エレメント96,98のそれぞれを二次質量体90の側面に取り付けて、これを
ハウジング88に連結することが望ましいが、ハウジング88と二次質量体90
との間に更に追加の粘弾性エレメントを組み込むことも可能である。
図7には、支持構造材114及び116に取付けられた単純支持梁112上の
本発明の装置110が示されている。この装置110は、梁112に取付けられ
たハウジング118を備え、このハウジングには二次質量体120が収容されて
いる。この二次質量体120は、スプリング122及び124によって梁112
から垂直に吊り下げられ、横方向には粘弾性エレメント126及び
128によって支持されている。これらの粘弾性エレメント126,128は、
この装置110のための粘弾性材料部材を構成している。二次質量体120を貫
通して延在し、溶接、機械的締結、接着等の公知の固定技術によってハウジング
118のベースと梁112の底部とに連結されたロッド130は、二次質量体1
20を垂直運動に限定する機能を有する。或いは、ロッド130を梁112とハ
ウジング118のベースとのいずれか一方のみに連結してもよい。二次質量体1
20を梁112から吊り下げるのに、更に追加のスプリングや粘弾性エレメント
を使用してもよい。
図8には、単純支持梁142上の本発明の装置140が示されている。この梁
142は、構造体144及び146に取付けられている。この装置140は梁1
42に取付けられたハウジング148を備え、このハウジングは二次質量体15
0を収容し、この二次質量体は板ばね152,154と粘弾性材料部材を構成す
る粘弾性エレメント156,158とによってハウジング148内に吊り下げら
れている。板ばね152,154と粘弾性エレメント156,158とは二次質
量体150の両側に位置している。二次質量体のそれぞれの側に一つのスプリン
グと一つの粘弾性エレメントを設けることが望ましいが、更に追加のスプリング
又は粘弾性エレメントを使用してもよい。
図9には、単純支持梁162を減衰するのに適した形状の本発明の装置160
が示されている。このシステムでは、梁162は支持材164,166によって
その両端を固定されている。この装置160は、スプリング172と粘弾性エレ
メント176によって梁162から吊り下げられた二次質量体170を有する。
スプリング172は、前述のように一次構造体と二次質量体170とに締結され
ている。一つのスプリングと一つの粘弾性エレメン
トとが示されているが、追加のスプリングや粘弾性エレメントを使用することも
できる。
粘弾性エレメント176は、粘弾性材料部材178,180と剛性部材182
,184,186とを交互に積層して構成される。この積層構造によって、粘弾
性エレメント176の寸法を著しく増大させることなく、粘弾性材料の剪断面積
が増加する。
粘弾性エレメント176の剛性部材182,184,186は金属やプラスチ
ックで作られているが、木材や合成物質等の他の材料を使用することもできる。
剛性部材182,184,186は、動的応答に関連する機械的エネルギーを吸
収し、これを熱エネルギーに変換する粘弾性材料の能力を最大に発揮させるのに
充分な剛性を有するものでなければならない。剛性部材はアーム状部材であるこ
とが望ましいが、これに限定されるものではない。粘弾性エレメント176,梁
162及び二次質量体170の間の連結は、中央の剛性部材182が梁162に
装着され、側方の剛性部材184及び186が二次質量体170に装着されるよ
うに、逆にすることが可能である。
粘弾性材料部材としての一つ又は複数の粘弾性材料を備えた別の構成も使用可
能である。剛性部材が梁と二次質量体とに交互に装着され、中間の粘弾性部材に
よって相互に分離されていれば、粘弾性部材と剛性部材とからなるその他の構成
も使用できる。図10は、支持構造体194,196に取付けられた垂直な両持
ち梁192に設置された本発明の装置190を示す。この装置190は、梁19
2に取付けられたハウジング198を備え、このハウジング内には二次質量体2
00が収容されている。この二次質量体200は、スプリング202と粘弾性エ
レメント206によって梁192に装着されている。粘弾性エレメント206は
、中
央の剛性部材212によって分離された粘弾性材料部材208,210と、梁1
92及び二次質量体200にそれぞれ装着された側方の剛性部材214,216
とを有する。この装置190に採用されている粘弾性エレメント206は、上述
の図9に関して説明したものと同様である。一つのスプリングと一つの粘弾性エ
レメントとが示されているが、追加のスプリングや粘弾性エレメントを使用して
もよい。
図11は梁222に取付けられた減衰装置220を示している。この装置22
0は、スプリング232と粘弾性エレメント236とによって梁222に連結さ
れた二次質量体230を備えている。
粘弾性エレメント236は、円筒状粘弾性材料部材238と、一端で梁222
に連結された内側円柱状剛性部材240と、二次質量体230の一端に連結され
た外側円柱状剛性部材244とを備えている。円筒状粘弾性材料部材238は、
内側円柱状剛性部材240と外側円柱状剛性部材244とに接着されている。こ
れらの円柱状剛性部材240及び244は、上述の方法によって梁222と二次
質量体230とに装着されていることが望ましい。逆に、前述の締結技術を使用
して内側円柱状剛性部材240を二次質量体230に装着し、外側円柱状剛性部
材244を梁222に装着してもよい。一つのスプリングと一つの粘弾性エレメ
ントが示されているが、追加のスプリングや粘弾性エレメントを使用してもよい
。
図12には、両端で支持材254及び256に取付けられた単純支持梁252
上に設置された本発明の装置250が示されている。この装置250は、スプリ
ング262と粘弾性エレメント266とによって梁252から吊り下げられた二
次質量体260を
有する。一つのスプリングと一つの粘弾性エレメントが示されているが、追加の
スプリングや粘弾性エレメントを使用してもよい。
このシステム用の粘弾性エレメント266は、二つのプレート270,272
の間に接着固定された粘弾性材料部材268を備えている。これらのプレート2
70,272は、溶接、機械的締結、接着等によってロッド274,276に連
結されている。ロッド274,276は、梁252と二次質量体260とにそれ
ぞれ連結されている。プレート270,272はロッド274,276と連携し
て、粘弾性エレメントの剛性部材を形成している。プレート270,272の間
に粘弾性材料部材268を挟んだ構成は、図6〜図11に示した粘弾性エレメン
トに共通する剪断モードではなく、粘弾性エレメント268を圧縮又は引張りモ
ードの状態に置く。
図13は、本発明の二次元減衰装置100の詳細を示す。この装置300は、
矢印302,303の方向の平面に沿う振動を減衰させる。この装置300は、
一次構造体(図示しない)に取付けられたハウジング306を備えている。ハウ
ジング306は、スプリング310と粘弾性エレメント312とによってハウジ
ング306に装着された二次質量体308を収容している。スプリング310は
、図6〜図12について述べたものと同様である。スプリング310のばね定数
は、スプリングの選択によって、又は特定の所望の振動数に適合するようにスプ
リングを調整することによって同調可能である。粘弾性エレメント312は、ハ
ウジング306に装着されたU字型部材317で構成された側方剛性部材314
,316と、枢軸324及び325によってそれぞれ二次質量体308に装着さ
れた中央剛性部材322によって分離
された粘弾性材料部材318及び320とを有する。枢軸は一つが望ましいが、
複数の枢軸も使用可能である。逆に、U字型部材317を枢軸によって二次質量
体322に装着し、中央剛性部材322を少なくとも一つの枢軸によってハウジ
ング306に装着してもよい。この装置300に採用されている粘弾性エレメン
トは、上述の図9のものと同様である。更に、上述の粘弾性エレメント312に
ついて説明したのと同様に、スプリング310を枢軸によってハウジング306
及び/又は二次質量体308に装着してもよい。
図14は、本発明の他の二次元減衰装置を示す。矢印332,333の方向の
平面に沿う振動を減衰させるこの装置330は、一次構造体(図示しない)に取
付けられたハウジング334を備えている。このハウジング334は、スプリン
グ338によってハウジング334に装着された二次質量体336を収容してい
る。粘弾性エレメント340が前述の固定方法によって二次質量体336(及び
一次構造体)に装着されている。
図15は、本発明の二次元減衰装置350の詳細を示す。この装置350は、
矢印352,353の方向の平面内での振動を減衰させるものである。この装置
350は、好ましくはプレート状の二次質量体356を備えている。ローラーベ
アリング358が二次質量体356の下面に接している。このローラーベアリン
グ358の運動は、一次構造体及び二次質量体356の溝又はトラックによって
拘束されている。相互に直角な単一方向のみ可動な二つのローラーベアリングの
トラックを展開させることによって、二次質量体356の平面運動が得られる。
スプリング362と粘弾性エレメント364とが二次質量体356の下面36
0に取付けられている。一つのスプリング362
と一つの粘弾性エレメント364が示されているが、追加のスプリングや粘弾性
エレメントを採用することも可能である。
図示のように、スプリング362は0.15未満の損失係数を有するゴム等の
弾性材料である。50〜70のジュロメータ硬度を有するネオプレンが好ましい
材料である。或いは、ゴムスプリング362の代わりに、二次元的に無抵抗で復
元可能な力を有するロッドを使用してもよい。このロッドは、機械的締結、接着
等の公知の固定技術によって二次質量体356(及び一次構造体)に装着される
。上述の固定方法によって、粘弾性エレメント364が二次質量体(及び一次構
造体)に装着される。
図16は、ケーブル382のための二次元減衰装置380を示す。ケーブル3
82の代わりに、バーやロッド等を使用することができる。この装置は、ピン3
86,387によってケーブル382に装着されたT字型の円形エレメント38
4及び385を備えている。この装着は、溶接、クランプ等の公知の結合技術で
行われる。T字型円形エレメント384,385のそれぞれに、スプリング39
0,391及びそれらの間に介装された粘弾性エレメント392,393によっ
て、二次質量体388が装着される。二組のスプリング390,391と粘弾性
エレメント392,393とが示されているが、更に別のスプリングと粘弾性エ
レメントとの組を、所望に応じて二次質量体388のいずれかの側面に介装して
もよい。
T型の円形エレメント384,385は、ケーブル382上に最初から設置し
ておいたり、又は改装(retrofit)の際に設置できるように、一体構造であって
も又は複数の部品で構成されていてもよい。二次質量体388はH字型の円形エ
レメントであることが好ましい。T型の円形エレメント384,385と同じく
、
二次質量体388のH字型エレメントは、ケーブル382上に最初から設置して
おいたり、又は改装の際に設置できるように、一体構造であっても又は複数の部
品で構成されていてもよい。
スプリング390,391は、0.15未満の損失係数を有するゴム等の弾性
材料で作られている。50〜70のジュロメータ硬度を有するネオプレンが好適
である。スプリング390,391が、機械的締結、接着等の公知の固定技術に
よって、T字型の円形エレメント384,385と二次質量体388とに装着さ
れている。粘弾性エレメント392,393が、前記した固定方法によってT字
型円形エレメント384,385と二次質量体388とに装着されている。
図17は、図15に関して述べた装置に類似した減衰装置を使用した場合の、
数学的にモデル化された構造の応答曲線を示す。曲線401及び402は、それ
ぞれ、X,Y方向の未減衰応答を示し、曲線403及び404は、それぞれ、X
,Y方向の減衰された応答を示す。
図18は、本発明の三次元減衰装置420の詳細を示す。この装置420は、
矢印422,423,424の方向の振動を減衰させる。この装置420は、一
次構造体(図示しない)に取付けられたハウジング426を備えている。このハ
ウジング426は、スプリング430と粘弾性エレメント432とによってハウ
ジング426に装着された二次質量体428を備えている。矢印423に対応す
る軸に沿って減衰を行うスプリングと粘弾性エレメントとは、この斜視図には示
されていないが、この減衰装置420に含まれていることを理解されたい。スプ
リング430は図6〜図12に関して述べたものとと同様である。粘弾性エレメ
ント432は、ハウジング426に装着されたU字型部材437で構
成された側方の剛性部材434,436と、枢軸444,445によってそれぞ
れ二次質量体428に装着された中央剛性部材442によって分離された粘弾性
材料部材438,440とを有する。枢軸は一つだけが望ましいが、複数の枢軸
を使用することも可能である。逆に、U字型部材437を枢軸によって二次質量
体428に装着し、中央の剛性部材442を少なくとも一つの枢軸によってハウ
ジング426に装着してもよい。この装置420に採用されている粘弾性エレメ
ントは、図9に関して述べたものと同様である。
上に述べた本発明の実施例は、すべてが同調システム(tuned system)である
。同調システムとは、二次質量体と、スプリング及び粘弾性エレメントのばね定
数とが、一次質量体の固有振動数とほぼ同じ振動数で振動するように構成されて
いるシステムである。同調に関する一連の式に基づいて、本発明によって構成さ
れる各装置の粘弾性材料の寸法を決定することができる。
同調は、最適同調振動数(ωopt)と最適減衰比(ζopt)とのための式に基づ
いて、一次構造体の応答を最小にするように行われる。最適同調振動数(ωopt
)及び最適減衰比(ζopt)の両者は、二次質量体の質量(m2)を一次構造体の
実効質量即ち計量質量(scaled mass)(m1)で除することによって得られる質量比
(μ)に応じて求められる。
μ=m2/m1 (1)
計量質量(m1)は、一次構造体の実際の質量(M)にスケーリング因子(Z)を乗じ、
それに、特定用途でハウジングが存在する場合にはハウジングの質量(MH)を加算
することにより求められる。
m1= ZM + MH (2)
McGraw-Hill Book Company(1976)の「衝撃と振動のハンドブ
ック(Shock and Vibration Handbook)」Harris & Credeによれば、典型的なス
ケーリング因子(Z)は、固定梁の場合に0.375、単純支持梁の場合に0.5
、一端に負荷された片持ち梁の場合に0.23、スプリングが減衰対象の一次構
造体であるときの当該スプリングの場合に0.333である。質量比(μ)は0
.001〜1.000の範囲にあるが、通常は0.005〜0.500の範囲に
ある。
最適同調振動数(ωopt)及び最適減衰比(ζopt)は、構造体に対する既知の
外部の励起力によって求められる。これらの数値は、以下のようにダンパーの特
性に関連している。
ここで、kv′は粘弾性材料の貯蔵剛性(storage stiffness)(ばね定数)、
ksはスプリングの剛性(ばね定数)、
m2は前記した通り、
ηは粘弾性材料の損失係数を表す温度・振動数依存性パラメーターであ
って、製造業者から提供されるものである。
本発明の同調質量体ダンパーのスプリングエレメントとして弾性材料を使用す
る場合にも、減衰効果が得られる。この効果は、上述の式(4)を次の式と代え
ることによって修正可能である。
ここで、ηsは弾性材料の損失係数である。
連立方程式(3)及び(4)、又は(3)及び(4a.1)を解けば、式(5
)及び(6)、又は(5a.1)及び(6a.1)で示されるスプリングのスプリング剛性(ばね
定数)(ks)及び粘弾性材料の貯蔵剛性(ばね定数)(kv′)の式が得られる。
一次構造体にクランプが存在しない場合には特殊な部分集合が生じ、最適同調
振動数(ωopt)はMcGraw Hill,New YorkのDen Hartogの「機械的振動(Mechani
cal Vibrations)」(1956 年発行、第4版)に記載されているように、次の式で
表される。
ここで、ω1は一次構造体の固有振動数である。
同じ状況の下で、最適減衰比(ζopt)は次の式で表される。
これらの式を、式(5)及び(6)のこれらに対応する値に代入すると、スプ
リングのばね定数(ks)及び粘弾性材料のばね定数(kv′)の式は、次のようにな
る。
ここで、ω1,m1,μ,ηは、前に定義した通りである。
スプリングのばね定数(ks)が判れば、式(9)に従ってスプリングの製造業者
からスプリングを選ぶことができる。粘弾性材料のばね定数(kv′)は、剪断モー
ドの場合には、例えば粘弾性材料の断面積(A)及び厚さ(h)の関数として、次の式
で表される。
ここで、G ′は粘弾性材料の貯蔵剪断弾性率(storage shear modulus)である。
粘弾性エレメント即ちゴム状スプリングエレメント(図15及び図16)は、
それが曲げを受けるような厚さを持っていてもよい。特に、粘弾性材料即ちゴム
状スプリングエレメントの長さに対する厚さの比率が1/3未満の場合、曲げは
無視可能であり、考慮に入れる必要はない。しかし、長さに対する厚さの比率が
1/3以上の場合には、見掛けの剪断弾性率(Gapp、下記参照)が貯蔵剪断弾性
率(G′)に比べて5%以上異なることがあるので、曲げを考慮に入れる必要があ
る。曲げ効果は、粘弾性材料の剛性成分に影響を与える。曲げ成分の影響は、次
の式によって貯蔵剪断弾性率(G ′)に対する見掛けの剪断弾性率(Gapp)を求
めることにより、実験的に求めたり修正したりすることができる。
ここで、Gappは見掛けの剪断弾性率、
G ′は粘弾性材料の貯蔵剪断弾性率(前出)、
h は粘弾性材料の厚さ(前出)、
L は力の方向における粘弾性材料の長さである。
粘弾性材料が円筒状の場合、式(11a.1)は円筒形を考慮に入れて次のように書
き換えられる。
ここで、r は円筒の半径である。
前出の式(11)は、剪断モードの粘弾性材料の断面積(A)を求めるように書き換
えられる。
曲げに対する修正が必要な状況では、前出の式(11a.1)及び(11a.2)で表されて
いるように、Gappを式(11)のG ′と置き換えて次の式を得る。
或いはまた、粘弾性材料が圧縮又は引張りモードの場合(図12)には、粘弾性
材料の断面積(A)は次の式で表される。
ここで、1 は圧縮又は引っ張りモードにおける粘弾性材料の長さ
、
kTはWiley Interscience Publications,John Wiley & Sons,New York,1985年
発行のNashof,A.D.,Jones,D.I.G.及びHendersen,J.P.の「振動の減衰(Vib
ration Damping)」の194 〜195 ページに記載の次式で与えられる形状係数(shap
e factor)である。
ここで、βは中空の粘弾性材料の場合には2、中実の粘弾性材料の場合には1.
5に等しい無次元定数、
A は粘弾性材料の断面積、
A ′は粘弾性材料の無荷重面積、
E は圧縮又は引張りモードの場合に
E=3G′ (14)
で表される粘弾性材料の貯蔵弾性率である。
粘弾性材料に対する剪断歪み(γ)は製造業者から得ることができ、二次質量
体の変位(Ymax)は次のようにこの剪断歪み(γ)に関係しているので、一次構造
体に対する二次質量体(m2)の最大変位(Ymax)を求めることができる。
式(15)は、厚さ(h)を求めるために次のように書き換えられる。
圧縮又は引っ張りモードにおける長さ(1)は、同様に求められる。
二次質量体(m2)の最大変位(Ymax)が未知の場合、二次質量体(m2)の理論的最大
変位は、有効一次質量体に対する二次質量体の運動(Y(t))と有効一次質量体の運
動(X(t))とを記述した二つの式を解くことによって見出すことができる。
ζ1は一次系の減衰比、
ζ2=ζoptで、二次系の減衰比であり、
P1(t) = F1(t)/m1であって、F1(t)は外部励起力である。
特に変位が小さい用途においては、一次質量体と二次質量体との間の摩擦相互
作用を小さくする必要がある。例えば、図15に示す基本構造を有するダンパーを
利用する場合、一次質量体とベアリングエレメントと二次質量体との間の摩擦相
互作用を最小にして、最適な減衰性能を発揮させる必要がある。図15の装置の場
合の摩擦成分の影響は、次の式を前出の式(18)と置き換えることにより調整でき
る。
ここで、fdは(使用している特殊軸受け装置の製造業者から示される)摩擦係
数、
m2は二次質量体の質量(前出)である。
式(17)及び(18)は、McGraw Hill,Inc.1986年発行のL.Meirovitch の「振動
解析の要素(Elements of Vibration Analysis)
」の477 〜497 ページに記載されている推移マトリックス法を用いて同時に解く
ことができる。式(17)及び(18a.1)は、Runge-Kotta 方程式等の数値積分法を用
いて同時に解くことができる。上記方法による式(17)及び(18)の実際の解は、ソ
フトウエアパッケージ付きのユーザ用ガイド指針に従って、Massachusetts 州Na
tickのThe MathWorks,Inc.から入手可能なControl System Toolbox software
Version 3.0bを使用することにより容易となる。また、上記方法による式(17)
及び(18a.1)の実際の解は、ソフトウェアパッケージ付きのユーザ用ガイド指針
に従って、Masschusetts州NatickのThe MathWorks,Inc.から入手可能なMatlab
V.4.2b functions ODE23 又はODE45 を使用すれば容易に求められる。いずれの
場合も、ソフトウエアパッケージによって得られた解の出力は、時間の関数とし
て二次質量体の相対変位をグラフ化して示し、減衰装置の減衰性能の指標を提供
する。一次構造体に対する二次質量体の最大変位(Ymax)はこのグラフから直接に
得られ、式(16)に代入されて粘弾性材料の厚さと寸法とを順次に計算する。
上述の式は一次構造体上に設置された一つのダンパーのためのものであるが、
複数のダンパーを採用したシステムに対しても同じように適用可能である。これ
らのパラメータを調整して、こうしたシステムに適用することは、当業者であれ
ば周知の技術に属する。多次元・多成分減衰に対する応用の場合には、各ダンパ
ーの所与の方向における寄与の程度を別々に計算する必要がある。全体の減衰効
果は、特定の方向に沿う個々の減衰成分の合計によって得られる。これらのパラ
メータを調整してこうしたシステムに適用することは、当業者にとっては周知の
技術に属する。実施例
前述の片持ち梁式装置用の記載に基づいて、同調質量体減衰システムを構成し
た。この片持ち梁は、30.50 cm×12.70 cm×0.16 cm(12 in×5 in×0.0625 in)
の鋼板と、梁に装着された減衰システム用のハウジングとで構成された。梁とハ
ウジングとの合計の質量は546.2 g(梁が476.7 gでハウジングが69.5 g)であり
、これは片持ち梁用のスケーリング因子である前記0.23を使用して、式(2)によ
って179.1 gの計量質量に変換された。二次質量体は、式(1)から質量比(μ)がμ
=0.43となるように77.2 gに選定された。
片持ち梁用に選ばれた材料から、その振動数(ω1)は12Hzであることが分かっ
た。ダンパーの最適振動数は8.4Hz である。更に、アクリル系粘弾性高分子材料
ScotchdampTM SJ 2015X type 112は、2.46 kg/cm2(35 ポンド/in2)の貯蔵剪断
弾性率(G′)と25℃において0.9 の損失係数(η)とを有していた。
次にこれらの値を式(5)〜(8)に入れてスプリングのばね剛性(ks)と粘弾性材料
のばね定数(kv′)とを求め、0.095 kg/cm(0.53 ポンド/in)のスプリングのばね
定数(ks)と0.11 kg/cm(0.59ポンド/in)の粘弾性材料のばね定数(kv′)とを得た
。
減衰装置の設計上の必要性から、0.51 cm(0.2 in)の厚さ(h)の二つの粘弾性バ
ンドがハウジングの側壁に連結された二次質量体(m2)の両側面に取付けられた。
粘弾性材料の二つの片のそれぞれの断面積は式(12)を用いて計算され、0.011 cm2
(0.0017 in2)が得られた。この計算と粘弾性材料の正方形断面を使用したい要
望とに基づいて、純粋な剪断モードの場合の粘弾性材料に対しては、各辺の長さ
が0.10 cm(0.13 in)の正方形が最適であることが計算された。上のような寸法の
装置は、粘弾性材料を曲げモー
ドと剪断モードとの両方で使用するので、その結果、粘弾性材料の剛性が減少す
る。この剛性の減少を補うために、粘弾性材料の断面積を片側当たり0.18 cm×0
.23 cmまで増加した。
前述のようにして求められた0.095kg/cmのばね定数(ks)を有するスプリングが
、片持ち梁と二次質量体との両方に装着された。0.18 cm×0.23 cm×0.51 cmの
寸法を有する粘弾性材料が二次質量体とハウジングの側壁とに接着された。ハウ
ジングは更に、ピンをハウジングの壁を貫通して二次質量体の壁に挿入すること
によって、二次質量体がハウジングに固定されるように構成された。二次質量体
の位置を固定すれば減衰システムが不作動となり、ピンを取り除いた場合にはこ
の減衰システムの有効性を目で確認することができるようにした。発泡体の片が
ハウジングの両側に装着され、二次質量体とハウジングとの間の側面衝撃を和ら
げた。
ピンを所定位置に置くと梁は1 cm下方に変位し、梁の振動が開始された。実質
的に振動が静まる前に、約10秒にわたって振動は徐々に消失した。
同様に、ピンが取り外されて二次質量体が解放され、梁が下方に1 cm変位し、
減衰システムの振動の開始を許容した。この例では、振動は0.5 秒以下で終息し
、ダンパーの有効性を示した。
本発明の装置は、スプリング、粘弾性材料の形式及び量、並びに二次即ち減衰
質量体の質量を変更することによって、小さな構造体にも大きな構造体にも適用
することができる。同じ原理を、垂直又は水平でない向きを必要とする減衰装置
に適用することができる。
当業者が本発明の技術を実施できるように、本発明の装置を説明したが、これ
はあくまでも例示であって、本発明の範囲を限定
するのに使用してはならない。本発明の範囲は、次の請求の範囲によって定めら
れる。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1996年5月10日
【補正内容】
明細書
Journal of Vibration,Acoustics,Stress,and Reliability in DesignのVo
l.108(1986年7 月)の378〜381頁に掲載されたKim & Yao の「動的ダン
パーのための粘弾性材料の利用(Application of Viscoelastic Material for a
Dynamic Damper)」には、一次質量体から減衰用質量体を吊り下げるために、ス
プリング又は摩擦ないし流体ダッシュポットと組み合わされたスプリングを採用
した減衰システムについての報告が記載されている。この文献には、スプリング
及びダッシュポット減衰システムの代わりに、予め歪みを与えられた粘弾性材料
を減衰用質量体として使用することが述べられている。
Rubbercon '88 の「振動と騒音制御のための同調ダンパーにおけるゴム材料の
利用(Use of Rubber Materials in Tuned Dampers for Vibration and Noise C
ontrol)」の中で、Halverson & Hansenは、質量エレメントと基礎構造との間の
スプリング及び減衰エレメントとしてゴム材料を使用した同調減衰システムにつ
いて述べている。
粘弾性材料は、構造体の減衰の分野にも使用されている。例えば、Caldwell e
t al.に与えられた米国特許第3,605,953 号、Journal of the Structural Divi
sion,Proceedings of the American Society of Civll Engineers,1661(1969
年8 月)に掲載されたMahmoodiの「構造的ダンパー(Structural Dampers)」、19
89年4 月8 日にWashington州Seattle で開催されたASCE convention 協賛、Aero
dynamics Committee of the Aerospace Division及びthe Wind Effects Committ
ee of the Structural Division of the American Society of Civil Engineers
後援の学会のProceedings,Building Motion in Windに記載されたKeel & Mahmo
odi の「コロンビアセンタービルのための粘弾性ダンパーの設計(Design of Vis
coelastic Da
mpers for Columbia Center Building)」には、間に粘弾性材料を挟んだ金属板
の層を有するダンパーについての記載が見られる。このダンパーの粘弾性材料は
、構造体の振動エネルギーの一部を熱に変換して、周囲の環境に消失させている
。
EP-A-0509911は回転装置用の減衰システムに関するものである。この減衰シス
テムは、二つの粘弾性エレメントの間に挟まれて回転装置のハウジングと地面と
の間に介在しているアーマチュアと、アーマチュアを両垂直方向に付勢するよう
に構成されたマグネットベアリングと、アーマチュアの振動を検出する加速度計
と、加速度計とマグネットベアリングとの間に介在するフィードバック回路とを
備え、マグネットベアリングがアーマチュアに対してその振動を打ち消す力を与
えるように構成された構造を有している。
JP-A-63053331 は振動体の振動を減少させるための振動制御装置に関する。こ
の装置は、振動体の振動速度を検出する加速度計と、スプリング、アクチュエー
タ及びベアリングを介して振動体に装着された可動質量体と、振動体の振動速度
を検出し、それに比例する反対方向の制御力を発生させてアクチュエータを制御
する制御ユニットと、可動質量体と振動体とに装着され両方の磁力が相互に影響
し合うように構成された一対のマグネットとを備えている。発明
本発明は、スプリングと粘弾性材料とによって構造体から吊り下げられる質量
体を備えた減衰システムを提供するものである。この減衰システムの質量体、ス
プリング及び粘弾性材料の各部材間の相互作用は、構造体に力が作用してその中
に動的応答が生じると、システムがこの動的応答に関連する振動を減衰させるよ
うに働く。図面の簡単な説明
添付の図面に基づいて本発明を詳細に説明するが、これらの図面を通じて、同
じ部品は同じ符号で示されている。
図1は、単純支持梁上に取付けられた本発明装置の振動の第1モードにおける
側面図である。
図2は、単純支持梁上に取付けられた本発明装置の振動の第2モードにおける
側面図である。
図3は、片持ち梁上に取付けられた本発明装置の振動の第1モードにおける側
面図である。
図4は、片持ち梁上に取付けられた本発明装置の振動の第2モードにおける側
面図である。
図5は、固定梁(clamped-clamped beam)上に取付けられた本発明装置の振動
の第1モードにおける側面図である。
図6は、本発明の第1装置の断面図である。
図7は、本発明の第2装置の断面図である。
図8は、本発明の第3装置の断面図である。
図9は、本発明の第4装置の断面図である。
請求の範囲
1.固有振動数を有する一次構造体における動的応答を制御するための減衰装
置であって、
二次質量体と、
前記二次質量体と前記一次構造体とを動作可能に連結し、該一次構造体に対す
る二次元運動を該二次質量体に与える、該二次質量体のための支持手段と、
前記一次構造体と前記二次質量体との間に介在する少なくとも一つのスプリン
グと、
前記一次構造体と前記二次質量体との間に介在する少なくとも一つの粘弾性エ
レメントとを具備し、
前記少なくとも一つのスプリングと前記少なくとも一つの粘弾性エレメントと
をある振動数に同調させて、ほぼ前記一次構造体の前記固有振動数からなる振動
数を前記減衰装置に与え、
以て、前記一次構造体において動的応答が始まったときに、前記二次質量体の
前記運動によって該動的応答を減衰するように構成された装置。
2.前記支持手段がローラーベアリングを備える請求項1に記載の装置。
3.前記粘弾性エレメントが少なくとも一つの粘弾性材料部材を具備する請求
項1に記載の装置。
4.固有振動数を有する一次構造体における動的応答を制御するための減衰装
置であって、
前記一次構造体への装着手段と、
二次質量体と、
前記装着手段と前記二次質量体との間に介在する複数のスプリン
グと、
前記装着手段と前記二次質量体との間に介在する複数の粘弾性エレメントとを
具備し、
前記装着手段と前記二次質量体との間に介在する前記スプリングと前記粘弾性
エレメントとが、該二次質量体の運動を二次元に拘束し、
前記複数のスプリングと前記複数の粘弾性エレメントとをある振動数に同調さ
せて、ほぼ前記一次構造体の前記固有振動数からなる振動数を前記減衰装置に与
え、
以て、前記一次構造体において動的応答が始まったときに、前記二次質量体の
前記運動によって該動的応答を減衰するように構成された装置。
5.前記粘弾性エレメントの各々が少なくとも一つの粘弾性材料部材を具備す
る請求項4に記載の装置。
6.前記粘弾性エレメントの各々が少なくとも一つの剛性部材をさらに具備す
る請求項5に記載の装置。
7.少なくとも一つの前記粘弾性材料部材が中央剛性部材と側方剛性部材との
間にあり、該少なくとも一つの部材が前記装着手段と前記二次質量体との間に介
在する請求項6に記載の装置。
8.固有振動数を有する一次構造体における動的応答を制御するための減衰装
置であって、
前記一次構造体への装着手段と、
二次質量体と、
前記二次質量体の運動を二次元に拘束するように、前記装着手段と該二次質量
体との間に介在する複数のスプリングと、
前記一次構造体と前記二次質量体との間に介在する少なくとも一つの粘弾性エ
レメントとを具備し、
前記複数のスプリングと前記少なくとも一つの粘弾性エレメントとをある振動
数に同調させて、ほぼ前記一次構造体の前記固有振動数からなる振動数を前記減
衰装置に与え、
以て、前記一次構造体において動的応答が始まったときに、前記二次質量体の
前記運動によって該動的応答を減衰するように構成された装置。
9.前記粘弾性エレメントの各々が少なくとも一つの粘弾性材料部材を具備す
る請求項8に記載の装置。
10.前記粘弾性エレメントの各々が少なくとも一つの剛性部材をさらに具備
する請求項9に記載の装置。
11.少なくとも一つの前記粘弾性材料部材が中央剛性部材と側方剛性部材と
の間にあり、該少なくとも一つの部材が前記装着手段と前記二次質量体との間に
介在する請求項10に記載の装置。
12.固有振動数を有する一次構造体における動的応答を制御するための減衰
装置であって、
二次質量体と、
前記一次構造体と前記二次質量体との間に介在する少なくとも一つのスプリン
グと、
前記一次構造体と前記二次質量体との間に介在する少なくとも一つの粘弾性エ
レメントとを具備し、
前記少なくとも一つのスプリングと前記少なくとも一つの粘弾性エレメントと
をある振動数に同調させて、ほぼ前記一次構造体の前記固有振動数からなる振動
数を前記減衰装置に与え、
以て、前記一次構造体において動的応答が始まったときに、該動的応答を減衰
するように構成された装置。
13.前記一次構造体と前記二次質量体との間に複数のスプリングを介在させ
た請求項12に記載の装置。
14.前記粘弾性エレメントが少なくとも一つの粘弾性材料部材を具備する請
求項12に記載の装置。
15.前記二次質量体が前記一次構造体の有効質量に対して0.001 〜0.500 の
質量比(μ)を有する請求項12に記載の装置。
16.前記粘弾性エレメントが少なくとも一つの剛性部材をさらに具備する請
求項14に記載の装置。
17.前記粘弾性エレメントが複数の粘弾性材料部材と複数の剛性部材とを具
備し、該剛性部材が少なくとも一つの中央剛性部材と複数の側方剛性部材とを備
え、該粘弾性材料部材が該中央剛性部材と該側方剛性部材との間にあり、該粘弾
性エレメントが前記一次構造体と前記二次質量体との間に介在する請求項6に記
載の装置。
18.前記一次構造体と前記二次質量体との間に複数の粘弾性エレメントを介
在させた請求項12に記載の装置。
19.固有振動数を有する一次構造体における動的応答を制御するための装置
であって、
前記一次構造体への装着手段と、
前記装着手段の中に設置された二次質量体と、
前記装着手段と前記二次質量体との間に介在する少なくとも一つのスプリング
と、
前記二次質量体と前記装着手段との間に介在する少なくとも一つの粘弾性エレ
メントとを具備し、
前記スプリングと前記粘弾性エレメントとは、前記二次質量体の運動が少なく
とも一方向に拘束されるように前記装着手段と該二次質量体との間に介在し、
前記少なくとも一つのスプリングと前記少なくとも一つの粘弾性エレメントと
をある振動数に同調させて、ほぼ前記一次構造体の前記固有振動数からなる振動
数を前記減衰装置に与え、
以て、前記一次構造体において動的応答が始まったときに該動的応答を減衰す
るように構成された装置。
20.前記少なくとも一つの粘弾性エレメントが少なくとも一つの粘弾性材料
部材を具備する請求項19に記載の装置。
21.前記少なくとも一つの粘弾性エレメントが少なくとも一つの剛性部材を
具備する請求項20に記載の装置。
22.前記少なくとも一つの剛性部材が三つの剛性部材を備え、該三つの剛性
部材が中央剛性部材と二つの側方剛性部材とを具備し、少なくとも一つの粘弾性
材料部材が該中央剛性部材と一方の該側方剛性部材との間にあり、該少なくとも
一つの粘弾性材料部材が前記装着手段と前記二次質量体との間に介在する請求項
21に記載の装置。
─────────────────────────────────────────────────────
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),CA,CN,JP