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JPH1047426A - 流体封入式マウント装置 - Google Patents

流体封入式マウント装置

Info

Publication number
JPH1047426A
JPH1047426A JP20808196A JP20808196A JPH1047426A JP H1047426 A JPH1047426 A JP H1047426A JP 20808196 A JP20808196 A JP 20808196A JP 20808196 A JP20808196 A JP 20808196A JP H1047426 A JPH1047426 A JP H1047426A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
mass member
fluid
mass
mounting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20808196A
Other languages
English (en)
Inventor
Rentaro Kato
錬太郎 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP20808196A priority Critical patent/JPH1047426A/ja
Publication of JPH1047426A publication Critical patent/JPH1047426A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)
  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さな供給エネルギによって大きな加振力を
制振対象に及ぼしめて、能動的な振動の抑制乃至は制御
を行うことの出来る、加振手段を備えた流体封入式マウ
ント装置を提供すること。 【解決手段】 それぞれ被連結体に取り付けられる第一
の取付部材12と第二の取付部材14を本体ゴム弾性体
16で連結すると共に、本体ゴム弾性体16にて壁部の
一部が構成された受圧室72を形成する一方、第二の取
付部材14に対して、第一の弾性部材66を介して第一
のマス部材(62,86,88等)を、第二の弾性部材
102を介して第二のマス部材(92,94,96等)
を、それぞれ弾性支持せしめて第一の振動系および第二
の振動系を構成し、第一のマス部材(62,86,88
等)によって受圧室72の壁部の別の一部を構成せしめ
ると共に、第一のマス部材(62,86,88等)と第
二のマス部材(92,94,96等)の間に相対的な変
位力を及ぼす加振手段(88,92,94,96等)を
設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、振動伝達系を構成する被連結体
間に介装されて、それらの被連結体を防振連結する流体
封入式マウント装置に係り、特に防振対象である被連結
体に加振力を及ぼすことによって、被連結体における能
動的な振動の抑制乃至は制御を行うことの出来る加振手
段を備えた流体封入式マウント装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来から、振動伝達系を構成する被連結体
を防振連結する防振装置の一種として、特開平5−14
9369号公報や特開平5−149372号公報等に記
載されているように、各被連結体に取り付けられる第一
の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体によって
連結すると共に、本体ゴム弾性体により壁部の一部が構
成された受圧室を形成せしめて、この受圧室の壁部の別
の一部を構成する加振板を加振駆動せしめることによ
り、受圧室の内圧を制御可能とした流体封入式のマウン
ト装置が知られている。
【0003】このようなマウント装置では、加振板の加
振により受圧室の内圧を制御してマウント防振特性を調
節すること等により、能動的な防振効果を得ることが出
来る。或いは、容積可変の平衡室を設けると共に、受圧
室と平衡室を連通するオリフィス通路を形成すれば、加
振板を加振して受圧室の内圧を制御し、オリフィス通路
を通じての流体流動を積極的に生ぜしめること等によっ
て、流体の流動作用を利用した防振効果の向上を図るこ
とも可能となる。
【0004】ところが、能動的な防振効果を有効に得る
ためには、制振対象である被連結体(一般に、防振連結
される一方の被連結体)の振動エネルギに見合うだけの
加振力を制振対象に及ぼし得るアクチュエータを採用す
る必要があることから、特に、自動車の車体等のように
制振対象が大型で且つ高剛性で、振動エネルギが大きい
場合には、アクチュエータが大型化したり、アクチュエ
ータの消費エネルギが大きくなったりすることが避けら
れないことに加えて、十分な加振力を及ぼすことが難し
く、満足できる制振効果を得ることの出来ない場合があ
ったのである。
【0005】また、オリフィス通路を形成し、流体の流
動作用を利用して有効な防振効果を得ようとしても、流
体の流動作用に基づく防振効果が発揮される周波数域が
狭い範囲に限られてしまうために、特に複数のまたは広
い周波数域の振動に対して防振効果が要求される自動車
の車体等においては、必ずしも有効ではなかったのであ
る。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は上述の如き事情を
背景として為されたものであって、請求項1乃至9に記
載の発明の解決課題とするところは、何れも、小さな供
給エネルギによって大きな制振効果を制振対象である被
連結体に及ぼすことが可能であり、被連結体における複
数の又は広い周波数域の振動に対して有効な低減効果を
発揮し得る、新規な構造の流体封入式マウント装置を提
供することにある。
【0007】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明の特徴とするところは、
(a)防振連結される各被連結体にそれぞれ取り付けら
れる第一の取付部材および第二の取付部材と、(b)そ
れら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性的に連結す
る本体ゴム弾性体と、(c)該本体ゴム弾性体により壁
部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室
と、(d)前記第二の取付部材に対して第一の弾性部材
を介して相対変位可能に取り付けられて、前記受圧室の
壁部の一部を構成する第一のマス部材と、(e)前記第
二の取付部材に対して第二の弾性部材を介して取り付け
られて、該第二の取付部材および前記第一のマス部材に
対してそれぞれ相対変位可能に配設された第二のマス部
材と、(f)前記第一のマス部材と前記第二のマス部材
の間に相対的な変位力を及ぼす加振手段とを、有する流
体封入式マウント装置にある。
【0008】このような請求項1に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式マウント装置においては、第一の
マス部材が第一の弾性部材によって第二の取付部材に弾
性支持されることにより、第一の振動系が構成されてい
ると共に、第二のマス部材が第二の弾性部材によって第
二の取付部材に弾性支持されることにより、第二の振動
系が構成されている。そして、加振手段による力が、第
一のマス部材と第二のマス部材の間に相対的変位力とし
て作用せしめられることから、該加振手段による力が、
第一の振動系および第二の振動系を介して、第二の取付
部材ひいては制振対象である被連結体に及ぼされること
となる。
【0009】それ故、第一の振動系の固有振動周波数と
第二の振動系の固有振動周波数をそれぞれ適当にチュー
ニングすることにより、それら第一及び第二の振動系に
おける各固有振動周波数域においては、第一及び第二の
振動系の共振現象に基づき、加振手段による力が増幅さ
れて、第二の取付部材に及ぼされることとなる。その結
果、加振手段への供給エネルギに対して、大きな加振力
を被連結体に及ぼすことが可能となるのであり、小さな
出力の加振手段、即ち小型で消費エネルギの小さい加振
手段によって、有効な振動低減効果を得ることが出来る
のである。
【0010】従って、請求項1に記載の発明に従う構造
とされた流体封入式マウント装置においては、本体ゴム
弾性体の弾性変形に基づく防振効果と、第一のマス部材
の加振による受圧室の内圧制御に基づく防振効果とに加
えて、第一及び第二の振動系の共振現象を伴う加振力の
作用に基づく防振効果が、発揮されるのであり、特に第
一及び第二の振動系の共振現象による増幅作用によって
大きな加振力が被連結体に及ぼされることから、能動的
な制振による防振効果が有効に発揮されるのである。
【0011】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装
置において、前記第二のマス部材および前記加振手段
が、前記受圧室の外部の空間に配設されていることを、
特徴とする。
【0012】このような請求項2に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式マウント装置においては、構造の
簡略化と製作性の向上が有利に図られ得る。また、第二
のマス部材の変位に対する封入流体(非圧縮性流体)の
作用が回避されることから、第二の振動系の共振現象が
有利に安定して生ぜしめられるといった利点もある。
【0013】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウ
ント装置において、壁部の一部が可撓性膜で構成されて
非圧縮性流体が封入された容積可変の平衡室が、前記受
圧室とは独立して形成されると共に、それら受圧室と平
衡室を相互に連通するオリフィス通路が設けられている
ことを、特徴とする。
【0014】このような請求項3に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式マウント装置においては、振動入
力時に受圧室と平衡室の間に惹起される内圧差に基づい
てオリフィス通路を通じての流体の流動が生ぜしめられ
ることとなり、この流体の共振作用等の流動作用を利用
して防振効果を得ることが出来る。それ故、オリフィス
通路の長さや断面積等を適当に調節することにより、流
体の流動作用に基づいて発揮される更に別の防振性能を
付与することが可能であり、防振特性のチューニング自
由度が一層向上され得る。
【0015】また、請求項4に記載の発明は、請求項3
に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装
置において、前記受圧室と前記平衡室を仕切る隔壁の一
部が、前記第一のマス部材と前記第一の弾性部材によっ
て構成されていることを、特徴とする。
【0016】このような請求項4に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式マウント装置においては、受圧室
と平衡室を仕切る隔壁部材が、第一のマス部材および第
一の弾性部材を利用して構成されることから、マウント
装置の小型化と軽量化等が図られ得る。また、第一のマ
ス部材および第一の弾性部材の外周側を周方向に延びる
ようにしてオリフィス通路を形成すれば、オリフィス通
路の長さを有利に確保することも可能となる。
【0017】また、請求項5に記載の発明は、請求項1
乃至4の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式マウント装置において、前記第一のマス部材と前記
第一の弾性部材を含んで構成された第一の振動系におけ
る固有振動周波数と、前記第二のマス部材と前記第二の
弾性部材を含んで構成された第二の振動系における固有
振動周波数とが、互いに異なる周波数域にチューニング
されていることを、特徴とする。
【0018】このような請求項5に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式マウント装置においては、互いに
異なる周波数域に設定された第一の振動系の固有振動周
波数域と第二の振動系の固有振動周波数域とにおいて、
何れも、加振手段による力が振動系の共振現象によって
増幅されて第二の取付部材に及ぼされることにより、被
連結体に対する有効な制振効果が発揮され得る。しか
も、第一の振動系と第二の振動系との両固有振動周波数
域間においても、各振動系の共振現象に基づく加振力の
増大効果が或る程度は発揮されることから、かかる両固
有振動周波数域間で、加振手段によって及ぼされる変位
力の周期を連続的に乃至は段階的に可変とすれば、より
一層広い周波数域の振動に対しても、有効な制振効果を
得ることが可能となる。
【0019】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
乃至5の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式マウント装置において、前記第一の弾性部材と前記
第二の弾性部材の少なくとも一方がゴム弾性体にて構成
されていることを、特徴とする。
【0020】このような請求項6に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式マウント装置においては、弾性部
材を構成するゴム弾性体の材質や形状等を調節すること
によって、弾性部材のばね特性ひいては振動系の固有振
動周波数を容易にチューニングすることが可能となる。
【0021】また、請求項7に記載の発明は、請求項1
乃至6の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式マウント装置において、前記加振手段が、前記第一
のマス部材と前記第二のマス部材の間に及ぼす相対的な
変位力の周期を調節可能な可制御型加振手段によって構
成されていることを、特徴とする。
【0022】このような請求項7に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式マウント装置においては、制御対
象である被連結体における防振すべき振動周波数域が、
複数あったり変化したりする場合等にも、有効な制振力
を被連結体に及ぼすことが可能となる。特に、請求項5
に記載の発明の構成と組み合わせて、第一の振動系と第
二の振動系を異なる固有振動周波数にチューニングした
場合には、加振手段によって及ぼされる変位力の周期を
それら各振動系の固有振動周波数に合わせることによ
り、各振動系の共振作用を、防振すべき振動に応じて選
択的且つ有効に利用することが可能となる。
【0023】また、請求項8に記載の発明は、請求項1
乃至7の何れかに記載の発明に従う構造とされた流体封
入式マウント装置において、前記加振手段が、前記第一
のマス部材と前記第二のマス部材の間に電磁力を及ぼす
電磁駆動手段であることを、特徴とする。
【0024】このような請求項8に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式マウント装置においては、第一の
マス部材と第二のマス部材に対する相対的な変位力を、
第一のマス部材と第二のマス部材の相対的接触を回避し
つつ及ぼすことが出来ることから、第一のマス部材およ
び第二のマス部材における変位が有利に許容され得て第
一及び第二の振動系が共に有利に構成され得る。また、
電磁駆動手段が採用されることから、供給エネルギとし
ての供給電力の大きさや周波数を制御することにより、
第一のマス部材と第二のマス部材に及ぼされる相対的な
変位力の大きさや周期等を容易に且つ有利に調節するこ
とも可能となり、それによって、被連結体に及ぼされる
制振力を容易且つ高精度に制御することが出来る。
【0025】また、請求項9に記載の発明は、請求項8
に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マウント装
置において、前記第一のマス部材および前記第二のマス
部材の何れか一方のマス部材に永久磁石を組み付けて磁
路を形成すると共に、何れか他方のマス部材にコイルを
組み付けて、該コイルを該一方のマス部材の磁路に設け
たギャップ部に配設せしめることにより、該コイルへの
給電にて該第一のマス部材と該第二のマス部材の間に電
磁力を及ぼす電磁駆動手段を構成したことを、特徴とす
る。
【0026】このような請求項9に記載の発明に従う構
造とされた流体封入式マウント装置においては、一方の
マス部材において略閉磁路形態の磁路を形成することが
出来ると共に、該磁路上のギャップ部に、他方のマス部
材に組み付けられたコイルが配設されることから、コイ
ル配設領域において大きな磁束密度が得られて、第一の
マス部材と第二のマス部材に対して相対的な変位力とし
ての電磁力が効率的に及ぼされ得るのである。しかも、
コイルに供給される電流の大きさと周波数を制御するこ
とにより、第一のマス部材と第二のマス部材の間に及ぼ
される相対的変位力を容易に制御することも出来る。
【0027】さらに、請求項9に記載の発明に従う構造
とされた流体封入式マウント装置においては、磁路形成
用部材の質量を利用することによって、一方のマス部材
を含んで構成された振動系の固有振動周波数を低周波数
域に有利にチューニングすることが出来るといった利点
もあり、それによって、例えば自動車の車体におけるア
イドル振動等の加振力が大きい振動に対しても、大きな
制振力を作用せしめることにより有効な防振効果を得る
ことが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施の形態としての具体例に
ついて、図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、以
下の説明中では、原則として図中の上下方向を、単に上
下方向という。
【0029】図1には、本発明に従う構造とされた自動
車用エンジンマウント10が示されている。このエンジ
ンマウント10は、互いに所定距離を隔てて配された第
一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付
部材としての第二の取付金具14が、それらの間に介装
された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された
構造を有しており、第一の取付金具12および第二の取
付金具14が車両のボデー側およびパワーユニット側の
各一方に取り付けられることにより、パワーユニットを
ボデーに対して防振支持せしめるようになっている。ま
た、自動車への装着時には、パワーユニット重量が及ぼ
されて本体ゴム16が弾性変形することにより、第一の
取付金具12と第二の取付金具14が互いに接近する方
向に所定量だけ相対変位せしめられると共に、防振を目
的とする主たる振動が、図中の略上下方向に入力される
こととなる。
【0030】より詳細には、第一の取付金具12は、略
円板形状を有しており、中央部分において、軸方向下方
に向かって突出する支持ロッド20が固着されていると
共に、この支持ロッド20の突出先端部(下端部)に対
して、軸直角方向外方に向かって広がる傘金具22がボ
ルト固定されている。また、支持ロッド20の軸方向上
端部には、取付ボルト18が、軸方向に延び出して一体
形成されており、第一の取付金具12の軸方向上方に向
かって突出せしめられている。そして、第一の取付金具
12は、取付ボルト18によって、図示しないパワーユ
ニット側に取り付けられるようになっている。
【0031】一方、第二の取付金具14は、それぞれ全
体として略大径の略円筒形状を有する上筒金具24と下
筒金具26から構成されている。上筒金具24は、軸方
向中間部分に段差部28が形成されて、該段差部28を
挟んで、軸方向上側部分が小径部30とされていると共
に、軸方向下側部分が大径部32とされている。また、
小径部30側の開口部には、湾曲して内方に突出するく
びれ部34が形成されていると共に、大径部32側の開
口部には、かしめ部36が設けられている。また、下筒
金具26は、上筒金具24と略同一の径方向寸法を有し
ており、軸方向上側開口部には、径方向外方に広がるフ
ランジ状部38が一体形成されていると共に、軸方向下
側開口部には、径方向外方に広がる円環板状の取付板部
40が一体形成されている。そして、上筒金具24の軸
方向下方に下筒金具26が同軸的に重ね合わされ、下筒
金具26のフランジ状部38に上筒金具24のかしめ部
36がかしめ固定されることにより、上下筒金具24,
26が相互に固定的に連結されている。それによって、
全体として大径の円筒形状を有する第二の取付金具14
が構成されているのであり、この第二の取付金具14
が、下筒金具26の取付板部40において、図示しない
ボデー側に対して、ボルト等で固定されて取り付けられ
るようになっている。
【0032】そして、第一の取付金具12が、第二の取
付金具14の軸方向上方に所定距離を隔てて略同一軸上
に配設されており、これら第一の取付金具12と第二の
取付金具14の間に本体ゴム弾性体16が介装されてい
る。この本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を有して
おり、小径側端面に第一の取付金具12が加硫接着され
ると共に、大径側端部外周面に第二の取付金具14を構
成する上筒金具24のくびれ部34が加硫接着された一
体加硫成形品とされている。これにより、第二の取付金
具14の軸方向上側(上筒金具24側)の開口部が、本
体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。ま
た、本体ゴム弾性体16の中心軸上には、支持ロッド2
0が貫通して配設されており、この支持ロッド20の先
端部に取り付けられた傘金具22が、第二の取付金具1
4における上筒金具24内に位置せしめられている。こ
れにより、上筒金具24の内部領域が、軸方向中間部分
において、傘金具22によって略仕切られており、以
て、傘金具22の外周面と上筒金具24の内周面との間
の円環状狭窄部42と、傘金具22に設けられた適当な
大きさの開口窓44とによって、傘金具22で仕切られ
た両側領域を相互に連通する狭窄流路が構成されてい
る。
【0033】また、第二の取付金具14を構成する上筒
金具24の大径部32には、剛性材からなる円環形状の
仕切部材50と、可撓性膜としての薄肉ゴム膜からなる
略円板形状のダイヤフラム52が、互いに重ね合わされ
て挿入配置されており、それぞれの外周縁部が、上筒金
具24の段差部28と下筒金具26のフランジ状部38
の間で挟まれた状態で、かしめ部36のかしめ力によっ
て重ね合わせ方向に挟圧保持されることにより、第二の
取付金具14に対して固定されている。なお、ダイヤフ
ラム52の外周縁部には、有効な挟圧保持力を及ぼすた
めに金属リング54が加硫接着されている。そして、ダ
イヤフラム52によって第二の取付金具14の内部が流
体密に仕切られており、ダイヤフラム52に対して本体
ゴム弾性体16側にだけ、所定の非圧縮性流体が封入さ
れている。なお、封入流体としては、特に本実施例では
流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るために、
例えば水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリ
コール,シリコーン油等の、粘性率が0.1Pa・s以
下の低粘性流体が好適に採用される。
【0034】さらに、仕切部材50は、それぞれ略円環
板形状を有する上板金具56と下板金具58が、互いに
軸方向に重ね合わされた構造とされており、上板金具5
6の内周縁部には、軸方向上方に突出する円筒部60が
一体形成されている。そして、この円筒部60の内部中
央に、第一のマス部材を構成する作用ロッド62が配設
されて、略同軸上に位置せしめられている。この作用ロ
ッド62は、先端部が僅かに小径とされた段付の円形ロ
ッド形状を有しており、ダイヤフラム52を貫通して仕
切部材50の中央孔に軸方向下方から挿入された状態で
配設せしめられて、その小径先端部64が、上板金具5
6の円筒部60内に位置せしめられている。なお、ダイ
ヤフラム52は、作用ロッド62の貫通部位において、
作用ロッド62の外周面に対して、一体加硫接着等によ
り、流体密に密着されている。
【0035】また、作用ロッド62の小径先端部64と
上板金具56の円筒部60との径方向対向面間には、第
一の弾性部材としての第一のゴム弾性体66が配設され
ており、この第一のゴム弾性体66によって、作用ロッ
ド62が仕切部材50に対して弾性的に連結支持せしめ
られている。かかる第一のゴム弾性体66は、円環板形
状を有しており、外周縁部が上板金具56の円筒部60
に対して加硫接着されている一方、内周縁部に円筒形状
の嵌着金具68が加硫接着されており、この嵌着金具6
8が作用ロッド62の小径先端部64に嵌着固定されて
いる。
【0036】そして、このように作用ロッド62の小径
先端部64と上板金具56の円筒部60との径方向対向
面間に第一のゴム弾性体66が配設されることにより、
仕切部材50の中央孔が、作用ロッド62と第一のゴム
弾性体66によって流体密に閉塞されているのであり、
以て、これら仕切部材50と作用ロッド62および第一
のゴム弾性体66によって、本体ゴム弾性体16とダイ
ヤフラム52の間に形成された非圧縮性流体の封入領域
を、本体ゴム弾性体16側とダイヤフラム52側とに仕
切る隔壁が構成されている。また、これにより、隔壁を
挟んだ両側に位置して、壁部の一部が本体ゴム弾性体1
6によって構成されて振動入力時に本体ゴム弾性体16
の弾性変形に基づいて内圧変動が生ぜしめられる受圧室
72と、壁部の一部がダイヤフラム52によって構成さ
れて該ダイヤフラム52の変形に基づいて容積変化が容
易に許容される平衡室74が、それぞれ形成されてい
る。
【0037】また、受圧室72と平衡室74を仕切る仕
切部材50には、上下板金具56,58の重ね合わせ面
間において、第二の取付金具14の周壁部に沿って周方
向に所定長さで延びるオリフィス通路76が形成されて
いる。このオリフィス通路76は、両端部が連通孔7
8,80を通じて受圧室72と平衡室74の各一方に連
通されており、振動入力時に、受圧室72と平衡室74
の間に惹起される相対的な内圧変動に基づいて、それら
両室72,74間で、オリフィス通路76を通じての流
体流動が生ぜしめられるようになっている。そして、本
実施例では、このオリフィス通路76の流路長さや流路
断面積が適当にチューニングされることにより、オリフ
ィス通路76を流動せしめられる流体の共振作用に基づ
いて、シェイク等の低周波振動(例えば、10Hz前後)
に対する減衰効果が発揮されるようになっている。
【0038】更にまた、受圧室72には、傘金具22が
位置せしめられており、振動入力時に受圧室72内で傘
金具22が変位せしめられることによって、狭窄流路4
2,44を通じての流体流動が生ぜしめられるようにな
っている。そして、本実施例では、この狭窄流路の流路
長さや流路断面積が適用にチューニングされることによ
り、狭窄流路を流動せしめられる流体の共振作用に基づ
いて、高速こもり音等の高周波振動(例えば、200Hz
程度)に対する防振効果が発揮されるようになってい
る。
【0039】さらに、受圧室72の壁部の一部を構成す
る作用ロッド62には、ダイヤフラム52を貫通して大
気中に延び出す下端部において、軸方向下方に突出する
取付ボルト82が一体形成されている。そして、この取
付ボルト82に対して、円形ロッド状のガイドピン84
が螺着されていると共に、逆カップ形状のボビン86
が、その底壁中央に設けられた装着孔において取付ボル
ト82に外挿され、ガイドピン84により締付け固着さ
れている。また、ボビン86の筒壁部には、コイル88
が巻回されて固設されている。要するに、作用ロッド6
2には、コイル88が巻回されたボビン86とガイドピ
ン84が固定的に取り付けられており、以て、これら作
用ロッド62,コイル88,ボビン86,ガイドピン8
4によって一体的な第一のマス部材が構成されている。
そして、かかる第一のマス部材が、第一のゴム弾性体6
6によって、仕切部材50に対して弾性的に取り付けら
れていることにより、第一のマス部材をマス系とし、第
一のゴム弾性体66をバネ系とする第一の振動系が構成
されて、第二の取付金具14に対して取り付けられてい
るのである。
【0040】また一方、第二の取付金具14を構成する
下筒金具26の内部には、磁路形成部材90が、軸方向
下方から挿入された状態で配設されている。この磁路形
成部材90は、厚肉のカップ形状を有する外側ヨーク部
材92を備えており、円環板形状の永久磁石94と円環
板形状の内側ヨーク部材96が軸方向に重ね合わされた
状態で、かかる外側ヨーク部材92内に収容配置されて
おり、それら永久磁石94と内側ヨーク部材96が、外
側ヨーク部材92の底壁部上に積み上げられている。ま
た、内側ヨーク部材96は、第一のマス部材を構成する
ガイドピン84の外径よりも僅かに大きな内径と、外側
ヨーク部材92の筒壁部の内径よりも所定量だけ小さな
外径を有しており、内孔には摺動スリーブ98が嵌着固
定されている。一方、永久磁石94は、内側ヨーク部材
96の内径と略同一の内径と、内側ヨーク部材96の外
径よりも僅かに小さな外径を有しており、内側ヨーク部
材96と外側ヨーク部材92の底壁部との対向面間に配
設されている。これにより、永久磁石94と内側ヨーク
部材96の外周側には、外側ヨーク部材92の筒壁部と
の間を周方向に連続して延びる凹溝99が形成されてい
る。
【0041】ここにおいて、永久磁石94は、内側ヨー
ク部材96と外側ヨーク部材92にそれぞれ重ね合わせ
られる軸方向両側に両磁極(N極とS極)が設定されて
おり、それによって、外側ヨーク部材92と内側ヨーク
部材96により、全体として実質的にドーナツ形状を有
する、断面が環状の閉磁路形態の磁路が形成されてい
る。また、この閉磁路形態の磁路には、凹溝99の開口
部に位置する内側ヨーク部材96の外周面と外側ヨーク
部材92の筒壁部内面との径方向対向面間において、凹
溝99の周方向全周に亘って連続して延びるギャップ部
100が形成されている。なお、このことから明らかな
ように、両ヨーク部材92,96は、鉄等の強磁性材に
て形成されている。
【0042】そして、このような磁路形成部材90は、
下筒金具26の軸方向下方の開口部に挿入された状態
で、第二の弾性部材としての第二のゴム弾性体102に
よって、下筒金具26に対して弾性的に連結支持せしめ
られている。この第二のゴム弾性体102は、円筒形状
の筒壁部の軸方向下方の端部が径方向内方に屈曲されて
円環板状部が一体形成された構造とされており、筒壁部
の開口側端部と円環板状部の内周縁部に連結金具104
と106がそれぞれ加硫接着されている。そして、筒壁
部側の連結金具104が、下筒金具26の取付板部40
に対して、該取付板部40に溶着されたかしめ金具10
8により固着される一方、円環板状部側の連結金具10
6が、外側ヨーク部材92の軸方向下端部に嵌着固定さ
れることによって、かかる第二のゴム弾性体102が、
外側ヨーク部材92と下筒金具26の間に介装されてい
る。これによって、磁路形成部材90が、第二のゴム弾
性体102により、第二の取付金具14に対して弾性的
に連結支持せしめられている。
【0043】要するに、永久磁石94と内外ヨーク部材
96,92を含む磁路形成部材90によって一体的な第
二のマス部材が構成されており、この第二のマス部材
が、第二のゴム弾性体102により下筒金具26に対し
て弾性的に取り付けられていることによって、第二のマ
ス部材をマス系とし、第二のゴム弾性体102をバネ系
とする第二の振動系が構成されて、第二の取付金具14
に対して取り付けられているのである。
【0044】なお、第二のゴム弾性体102には、連結
金具106の中心穴110を閉塞せしめる薄肉ゴム膜1
12が一体形成されている。そして、この薄肉ゴム膜1
12と外側ヨーク部材92の底壁部の間に、薄肉ゴム膜
112の変形に基づいて容積変化が容易に許容される空
気室114が画成されており、かかる空気室114が、
外側ヨーク部材92の底壁部に貫設された圧抜き孔11
6を通じて、磁路形成部材90の凹溝99内に連通せし
められている。
【0045】さらに、かくの如く第二の取付金具14に
弾性支持せしめられた第二のマス部材としての磁路形成
部材90には、その凹溝99に対して、第一のマス部材
を構成するボビン86の筒壁部が差し込まれ、該第一の
マス部材のコイル88が、第二のマス部材に形成された
磁路上のギャップ部100内に位置せしめられている。
また、磁路形成部材90の摺動スリーブ98には、第一
のマス部材を構成するガイドピン84が挿入されてお
り、このガイドピン84が摺動スリーブ98にて軸方向
に案内されることにより、第一のマス部材の第二のマス
部材に対する軸直角方向の振れが防止されて、コイル8
8がギャップ部100内を軸方向に導かれて滑らかに移
動せしめられるようになっている。
【0046】なお、ボビン86の上方には、ボビン86
の外径寸法よりも小さな内径寸法を有する円環板形状の
ストッパ金具118が配設されており、上筒金具24と
下筒金具26のかしめ部で外周縁部をかしめ固定される
ことによって、第二の取付金具14で固定的に支持され
ている。そして、このストッパ金具118に対するボビ
ン86の当接にて、ボビン86のダイヤフラム52側へ
の変位量が制限されることにより、第二のゴム弾性体1
02やダイヤフラム52の耐久性が確保されるようにな
っている。
【0047】このような構造とされたエンジンマウント
10においては、コイル88に通電すると、ギャップ部
100における磁界との関係で電磁力が発生して、磁路
形成部材90とコイル88の間、ひいては第一のマス部
材と第二のマス部材の間に相対的な変位力が及ぼされ
る。特に、コイル88に脈流や交流の電流を通電する
と、第一のゴム弾性体66および第二のゴム弾性体10
2の弾性力とも相まって、第一のマス部材と第二のマス
部材の間に軸方向の相対的な往復変位力、即ち加振力が
及ぼされるのであり、更に、コイル88に通電する電流
の周波数および大きさを調節することによって、第一の
マス部材と第二のマス部材の間に及ぼされる加振力の周
波数および大きさを制御することが出来るのである。な
お、このことから明らかなように、本具体例では、第一
のマス部材側のコイル88を含む通電部材と第二のマス
部材側の磁路形成部材90とによって、第一のマス部材
と第二のマス部材の間に電磁力を及ぼす電磁駆動手段が
構成されている。
【0048】ここにおいて、作用ロッド62等を含む第
一のマス部材と第一のゴム弾性体66で構成された第一
の振動系と、磁路形成部材90等を含む第二のマス部材
と第二のゴム弾性体102で構成された第二の振動系
は、何れも、各マス系の質量と各ばね系のばね定数に応
じて固有の共振周波数(固有振動周波数)を有してい
る。特に本具体例では、第二のマス部材が、質量の大き
いヨーク部材92,96や永久磁石94を含んで構成さ
れていることから、第二の振動系の固有振動周波数が第
一の振動系の固有振動周波数よりも低く設定されてい
る。
【0049】従って、コイル88に交番電流を通電して
第一のマス部材と第二のマス部材の間に軸方向の加振力
を及ぼすと、第一の振動系の共振周波数域では、第一の
振動系が共振して第一のマス部材の振幅および振動加速
度が大きくなることから、この第一のマス部材の振動が
第一のゴム弾性体66を介して第二の取付金具14に伝
達されることにより、制振対象であるボデーに対して大
きな制御力(即ち、加振力)が及ぼされることとなる。
また一方、第二の振動系の共振周波数域では、第一のマ
ス部材の振幅および振動加速度が小さくなるが、第二の
振動系が共振して第二のマス部材の振幅および振動加速
度が大きくなることから、この第二のマス部材の振動
が、第二のゴム弾性体102を介して第二の取付金具1
4に伝達されることにより、制振対象であるボデーに対
して大きな制御力が及ぼされることとなる。
【0050】それ故、第一及び第二の振動系の各固有振
動周波数域では、ボデーに対して大きな制御力を及ぼす
ことが可能であり、振動モードに応じて加振力の位相や
大きさ等を調節することによって、ボデーの振動を能動
的に且つ有効に抑制乃至は制御せしめて、優れた防振効
果を得ることが出来るのである。
【0051】なお、第一及び第二の振動系の各固有振動
周波数は、下式に従ってチューニングすることが可能で
あり、特に本具体例では、第二の振動系の固有振動数
が、アイドル振動等に相当する低〜中周波数域(例え
ば、30Hz程度)にチューニングされていると共に、第
一の振動系の固有振動数が、低〜中速こもり音等に相当
する中〜高周波数域(例えば、100Hz程度)にチュー
ニングされている。
【0052】f =(1/2π)√(k/W) f:振動系における固有振動周波数 k:振動系におけるばね系のばね定数 W:振動系におけるマス系の質量
【0053】また、特に本具体例では、第一の振動系の
固有振動周波数と第二の振動系の固有振動周波数が異な
る周波数域に設定されており、第一の振動系の固有振動
周波数域では第二の振動系の振幅が十分に小さく、第二
の振動系の固有振動周波数域では第一の振動系の振幅が
十分に小さいことから、各固有振動周波数域での振動系
の共振作用に基づく加振力が、他方の振動系によって大
幅に低減されることもなく、制御対象であるボデーに対
して有効に及ぼされ得るのである。
【0054】しかも、これら第一の振動系の共振作用と
第二の振動系の共振作用により、両固有振動周波数域間
においても、加振力の増大効果が発揮されて、第二の取
付金具14ひいてはボデーに対して有効な制御力が及ぼ
され得るのである。
【0055】さらに、そこにおいて、かかるエンジンマ
ウント10は、第一及び第二の振動系における共振作用
を利用して大きな加振力を生ぜしめるものであることか
ら、小型の電磁駆動手段を用い且つ小さな供給電力によ
って、有効な加振力を制御対象に及ぼすことが出来るの
であり、エンジンマウント10の小型化や軽量化と、消
費エネルギ(電力)の軽減も図られ得るのである。
【0056】加えて、特に本具体例では、ボイスコイル
形を基本とする電磁駆動手段(VCMタイプ)が採用さ
れていることから、第一のマス部材と第二のマス部材に
対して、大きな加振力を大きな振幅範囲に亘って安定し
て及ぼすことが可能であり、優れた加振力制御特性を得
ることが出来るのである。
【0057】また、本具体例では、電磁駆動手段を構成
するコイル88や磁路形成部材90が、非圧縮性流体の
封入されていない空間に配設されていることから、製作
が容易であると共に、非圧縮性流体による悪影響が回避
されるといった利点がある。
【0058】更にまた、本具体例のエンジンマウント1
0は、受圧室72に対してオリフィス通路76を通じて
連通された平衡室74が設けられていることから、この
オリフィス通路76を通じて流動せしめられる流体の共
振作用に基づいて、低周波振動に対する防振効果も有効
に発揮されるのであり、そこにおいて、受圧室72の壁
部の一部を構成する第一のゴム弾性体66を硬く設定す
ることによって、振動入力時に生ぜしめられる受圧室7
2の内圧変動の第一のゴム弾性体66の弾性変形による
吸収を軽減せしめて、オリフィス通路76を通じての流
体流動量を十分に確保することにより、流体共振作用に
基づく防振効果を有効に得ることが可能となる。即ち、
第一のゴム弾性体66を硬く設定した場合でも、第一の
マス部材の質量を調節すること等により、第一の振動系
の固有振動周波数を目的とする周波数域にチューニング
することが可能であると共に、第一の振動系の共振作用
によって有効な制振力をボデーに及ぼしめることが出来
るのであり、それ故、オリフィス通路76を流動せしめ
られる流体の共振作用に基づく防振効果と、第一の振動
系の共振作用に基づく防振効果とを、共に両立して有利
に発揮せしめることが出来るのである。
【0059】なお、本具体例では、コイル88への供給
電流を制御することにより、受圧室72の壁部の一部を
構成する作用ロッド62の加振周波数を調節することが
出来ることから、例えば、低周波振動に対する大きな防
振効果が要求される場合には、作用ロッド62を低周波
加振せしめてオリフィス通路76を通じての流体流動量
の増大を図ることにより、オリフィス通路76を流動せ
しめられる流体の共振作用に基づく防振効果を向上させ
たり、或いは、防振効果が要求される入力振動の周波数
に応じて作用ロッド62を加振せしめて受圧室72の内
圧制御を行うことにより、受圧室72の流体圧を介し
て、マウントの振動伝達特性を調節することも可能であ
る。
【0060】以上、本発明の具体的な実施形態について
詳述してきたが、これは文字通りの例示であって、本発
明は、かかる実施形態によって何等限定的に解釈される
ものでない。
【0061】例えば、第一のマス部材と第二のマス部材
の間に相対変位力を及ぼす加振手段として、例示のVC
Mタイプ以外の電磁駆動手段や、更には電磁駆動手段以
外のものを採用することも可能であり、また、前記実施
形態に示すように、第一及び第二のゴム弾性体66,1
02によって第一及び第二のマス部材の所定位置への復
元力が発揮されるような場合には、第一のマス部材に対
して第二のマス部材を変位方向一方の側だけに変位せし
める力を及ぼす加振手段を採用することも可能である。
【0062】また、第一の弾性部材および第二の弾性部
材として、例示の如きゴム弾性体の他、板ばね等の弾性
部材を採用することも可能である。
【0063】更にまた、電磁駆動手段を採用する場合に
も、永久磁石が装着される振動系の共振周波数よりも、
コイルが装着される振動系の共振周波数を低く設定する
ことも、勿論可能である。
【0064】さらに、オリフィス通路の形状や構造は、
要求される防振特性等に応じて適宜に設定されるもので
あり、例えば、特開平5−149369号公報等に開示
されているように、第一の取付金具を中空構造として、
該第一の取付金具の内部に平衡室とオリフィス通路を形
成するようにしても良い。
【0065】また、前記実施形態においては、第一の取
付部材と第二の取付部材が、主たる振動入力方向の一方
向で所定距離を隔てて対向配置されて、それらの対向面
間にブロック状の本体ゴム弾性体が介装された構造のマ
ウント装置に対して本発明を適用したものの具体例を示
したが、その他、本発明は、特開平5−149372号
公報等に開示されているように、ロッド状の第一の取付
部材の周りを、軸直角方向外方に所定距離を隔てて覆う
ように、筒状の第二の取付部材が配設されて、それらの
軸直角方向対向面間に本体ゴム弾性体が介装された構造
の全体として略筒形のマウント装置に対しても、同様に
適用可能である。
【0066】その他、一々列挙はしないが、本発明は当
業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加
えた態様において実施され得るものであり、また、その
ような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何
れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言
うまでもないところである。
【0067】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、請求項
1乃至9に記載の発明に従う構造とされた流体封入式マ
ウント装置においては、何れも、第二の取付部材に取り
付けられた二つの振動系を備えており、それらの振動系
における固有振動周波数域で、加振手段による力が増幅
されて制振対象である被連結体に及ぼされることから、
加振手段の大型化や消費エネルギの増大を抑えつつ、被
連結体に対する能動的な制振効果が有利に発揮され得る
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態としての具体例である自動車
用エンジンマウントを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント 12 第一の取付金具 14 第二の取付金具 16 本体ゴム弾性体 50 仕切部材 52 ダイヤフラム 62 作用ロッド 66 第一のゴム弾性体 72 受圧室 74 平衡室 76 オリフィス通路 86 ボビン 88 コイル 90 磁路形成部材 92 外側ヨーク部材 94 永久磁石 96 内側ヨーク部材 100 ギャップ部 102 第二のゴム弾性体

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防振連結される各被連結体にそれぞれ取
    り付けられる第一の取付部材および第二の取付部材と、 それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性的に連結
    する本体ゴム弾性体と、 該本体ゴム弾性体により壁部の一部が構成されて非圧縮
    性流体が封入された受圧室と、 前記第二の取付部材に対して第一の弾性部材を介して相
    対変位可能に取り付けられて、前記受圧室の壁部の一部
    を構成する第一のマス部材と、 前記第二の取付部材に対して第二の弾性部材を介して取
    り付けられて、該第二の取付部材および前記第一のマス
    部材に対してそれぞれ相対変位可能に配設された第二の
    マス部材と、 前記第一のマス部材と前記第二のマス部材の間に相対的
    な変位力を及ぼす加振手段とを、有することを特徴とす
    る流体封入式マウント装置。
  2. 【請求項2】 前記第二のマス部材および前記加振手段
    が、前記受圧室の外部の空間に配設されている請求項1
    に記載の流体封入式マウント装置。
  3. 【請求項3】 壁部の一部が可撓性膜で構成されて非圧
    縮性流体が封入された容積可変の平衡室が、前記受圧室
    とは独立して形成されると共に、それら受圧室と平衡室
    を相互に連通するオリフィス通路が設けられた請求項1
    又は2に記載の流体封入式マウント装置。
  4. 【請求項4】 前記受圧室と前記平衡室を仕切る隔壁の
    一部が、前記第一のマス部材と前記第一の弾性部材によ
    って構成されている請求項3に記載の流体封入式マウン
    ト装置。
  5. 【請求項5】 前記第一のマス部材と前記第一の弾性部
    材を含んで構成された第一の振動系における固有振動周
    波数と、前記第二のマス部材と前記第二の弾性部材を含
    んで構成された第二の振動系における固有振動周波数と
    が、互いに異なる周波数域にチューニングされている請
    求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式マウント装
    置。
  6. 【請求項6】 前記第一の弾性部材と前記第二の弾性部
    材の少なくとも一方がゴム弾性体にて構成されている請
    求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式マウント装
    置。
  7. 【請求項7】 前記加振手段が、前記第一のマス部材と
    前記第二のマス部材の間に及ぼす相対的な変位力の周期
    を調節可能な可制御型加振手段である請求項1乃至6の
    何れかに記載の流体封入式マウント装置。
  8. 【請求項8】 前記加振手段が、前記第一のマス部材と
    前記第二のマス部材の間に電磁力を及ぼす電磁駆動手段
    である請求項1乃至7の何れかに記載の流体封入式マウ
    ント装置。
  9. 【請求項9】 前記第一のマス部材および前記第二のマ
    ス部材の何れか一方のマス部材に永久磁石を組み付けて
    磁路を形成すると共に、何れか他方のマス部材にコイル
    を組み付けて、該コイルを該一方のマス部材の磁路に設
    けたギャップ部に配設せしめることにより、該コイルへ
    の給電にて該第一のマス部材と該第二のマス部材の間に
    電磁力を及ぼす電磁駆動手段を構成した請求項8に記載
    の流体封入式マウント装置。
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